JP2004523598A - 湿気透過性構造のための改善された接着特性を有する熱可塑性親水性ポリマー組成物 - Google Patents
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Abstract
本発明は、例えば、組成物を層またはフィルムに形成することによって、液体不透過性湿気透過性構造を製造するための、熱可塑性親水性ポリマー組成物に関する。熱可塑性親水性ポリマー組成物から、好ましい熱可塑性ポリマーと、熱可塑性親水性組成物に所望の接着性または粘着レベルを与える好適な親水性粘着付与樹脂とを含む熱可塑性組成物を、フィルムまたは層の湿気透過性を損なわずに製造する。本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物から製造した層は、液体不透過性と湿気透過性とが望まれる様々な用途を見出すことができる。
Description
【0001】
(発明の分野)
本発明は、例えば組成物をフィルムなどの湿気透過性・液体不透過性層に形成することによって、湿気透過性・液体不透過性構造を製造するための、熱可塑性親水性ポリマー組成物に関する。本発明の組成物は、湿気透過性が望まれる様々な用途を見出すことができる。
【0002】
(発明の背景)
湿気透過性を提供することに加えて、液体障壁を提供する熱可塑性フィルムは、当該技術分野において既知である。特に好ましいものは、材料内の開口部または孔からは湿気を通さないが、水分をフィルムの湿度が高い側から吸収してフィルムの湿度が低い反対側に放出または蒸発させることにより、かなりの量の湿気をフィルムを通して輸送する親水性の連続フィルムである。このようなフィルムは、通常、熱可塑性親水性ポリマーまたはそのブレンドを含む、熱可塑性ポリマー組成物から形成される。
前述の特徴を有する熱可塑性親水性ポリマー組成物は、当該技術分野で「モノリシック組成物」としても知られており、それらから製造される湿気透過性・液体不透過性の層またはフィルムは、「モノリシック層」または「モノリシックフィルム」として知られている。
【0003】
例えば、PCT国際公開特許WO95/16746は、a)ブロックコポリエーテルエステル、ブロックコポリエーテルアミド(例えば、ペバックス(Pebax)(商標))、及び/またはポリウレタンと、b)aと相溶性でない熱可塑性ポリマーと、c)混和剤の混合物とから調製されるフィルムを開示している。そのフィルムは、液体不透過性で、湿気透過度が1日当たり約700g/m2である。また、米国特許第5,447,783号は、少なくとも3つの層を有する蒸気透過性・耐水性の多成分フィルム構造を開示している。その外層は、厚さが1.3〜7.6マイクロメートル、及びWVTRが400〜2500g/m2・24hの疎水性コポリエーテルエステルエラストマーであり、内層は、厚さが7.6〜152マイクロメートル、WVTRが少なくとも3500g/m2・24hの親水性コポリエーテルエステルエラストマーである。
【0004】
米国特許第5,445,875号は、耐水性・耐血液性・耐ウイルス性の、通気性の積層体を開示している。その積層体は、織布/不織布と、厚さが約1ミル(25.4マイクロメートル)のハイトレル(Hytrel)(商標)などの押出成形フィルムとを含む。
米国特許第5,532,053号は、不織布材料上に積層することのできる、湿分透過率の高い医療用フィルムを開示している。その積層フィルムは、ポリエーテルエステルコポリマーの第1層と、特定のポリマー群から選択される第2層及び第3層とを含む。そのフィルムは、MVTRが750g/m2・24hより高く(ASTM F−1249)、厚さが1ミル(25.4マイクロメートル)未満、好ましくは0.6ミル〜0.75ミル(15〜19マイクロメートル)である。
【0005】
米国特許第4,938,752号は、水透過性が低く、水蒸気透過率が(特に記載された試験で測定して)500g/m2・24h、厚さが5〜35マイクロメートルのコポリエーテルエステルのフィルムを含む吸収性物品を開示している。
支持基材については開示されていない。
米国特許第4,493,870号は、MVTR(ASTM E96−66)が少なくとも1000g/m2・24h、厚さが5〜35マイクロメートルのコポリエーテルエステルのフィルムで被覆された織物材料を含む、柔軟性のある層状の耐水性製品を開示している。
GB2024100号は、湿気透過性であるが液体は通さないミクロ孔質の疎水性外層と、MVTRが1000g/m2・24hより高いポリエーテルポリウレタンの親水性内層とを含む、柔軟性のある層状の耐水性物品を開示している。
【0006】
前述の従来技術の文書に示すように、湿気透過性・液体不透過性層を製造するための既知の熱可塑性親水性ポリマー組成物(「モノリシック組成物」)の好ましい使用とは、湿気透過性・液体不透過性複合構造の製造における使用であり、熱可塑性親水性ポリマー組成物の1つまたはそれ以上の層が、1つまたはそれ以上の異なる基材、例えば不織布などの繊維層に結合される。
異なる層の間の結合は、既知のいかなる接着手段で達成することができ、例えば接着剤を使用して、あるいは、例えば加熱接着など熱及び圧力を用いて達成することもできる。しかし、例えば接着剤を用いて接着すると、積層体構造にさらに層を追加することを意味し、、それがコスト、製造の容易性、及び結果として得られる構造の全体的通気性から見て望ましくないことがあるので、これらの既知の方法は好ましくない。一方、熱及び圧力に関係する手段は、湿気透過性を変性させることがあり、より可能性が高いことには、例えば層に不連続性または孔までも形成して液体不透過性に影響を及ぼし得るので、熱可塑性親水性ポリマー組成物から形成される層の一体性に有害な可能性がある。
【0007】
したがって、例えば複合層状構造を形成するために、前述の熱可塑性親水性ポリマー組成物から形成した湿気透過性・液体不透過性層を好適な基材、例えば不織布層に直接接着させることが好ましい。それは通常、溶融、半溶融、または可塑性状態にある熱可塑性ポリマー組成物の固有の粘着性を、例えば、熱可塑性親水性ポリマー組成物から製造されたフィルムを基材上に直接押出成形することによって、あるいはホットメルトコーティング、すなわち通常低粘性の溶融状態にある熱可塑性親水性ポリマー組成物の層で基材をコーティングすることによって利用することで達成される。特にホットメルトコーティングに好適な方法は、例えばPCT国際公開特許WO99/64077またはWO99/64505で参照され、低粘度でホットメルトコーティング処理に特に好適な、湿気透過性・液体不透過性構造のための熱可塑性親水性ポリマー組成物が開示されている。
【0008】
しかし、湿気透過性・液体不透過性構造を製造するための熱可塑性親水性ポリマー組成物(「モノリシック組成物」)に含まれる親水性ポリマーは、通常、極性の特徴を有し、可塑性状態、半溶融状態、及び完全な溶融状態にあるときでさえ、多くの基材、特に、少なくとも好適な繊維性基材に結合された少なくともモノリシック層またはフィルムを含む湿気透過性・液体不透過性複合構造の製造で好ましい、例えば合成非極性ポリマー繊維製のほとんどの不織布などの非極性基材への接着が不十分である。
例えば、熱可塑性親水性ポリマー組成物のフィルムまたは層を前述の基材上に直接形成及び接着することによって複合構造を製造する際に、繊維性不織布基材などの基材上への組成物の直接接着を改善するように、例えば溶融、半溶融、または可塑性状態にある、熱可塑性ポリマー組成物並びに特に熱可塑性親水性ポリマー組成物に所望の程度の接着性または粘着性を与えるため、好適な粘着付与樹脂を添加することが、当該技術分野で一般に知られている。粘着付与樹脂はまた、室温で安定状態にある熱可塑性ポリマー組成物に、永久的な接着性を付与するために添加することもできる。
【0009】
湿気透過性・液体不透過性構造のための熱可塑性親水性ポリマー組成物に既知の粘着付与樹脂を添加することの問題点とは、この添加が、例えば溶融、半溶融、または可塑性状態にある組成物に所望の程度の接着性または粘着性を付与するのに効果的である一方で、組成物自体から形成された層またはフィルムの通気性に有害でもあることである。換言すれば、既知の粘着付与樹脂を熱可塑性親水性ポリマー組成物に添加すると、その組成物から形成された「モノリシック」層またはフィルムの、厚さを通して湿気を透過させる能力が劇的に低下する。
したがって、本発明の目的は、好適な粘着付与樹脂またはそのブレンドを添加することによって、例えば溶融、半溶融、または可塑性状態だけでなく、室温における安定状態でも所望の程度の接着性または粘着性を有し、すなわち永久的な粘着性を有し、また同時により優れた湿気透過性特徴を有する、湿気透過性・液体不透過性構造のための熱可塑性親水性ポリマー組成物を提供することである。
【0010】
驚くべきことに、これは、前記熱可塑性親水性ポリマー組成物に関して、好ましい極性特性を有する粘着付与樹脂またはそのブレンドを選択することによって達成できることがわかった。極性特性は、好適な極性パラメータを用いて測定される。
所与の物質に関する好適な極性パラメータは、科学文献で周知であり、いくつかのパラメータの中から選択することができ、及び公知の方法に準じて測定可能である。極性パラメータは、例えば、その物質の平衡時の吸水率、またはヒルデブランド(Hildebrand)溶解度パラメータ、あるいは水との接触角、または二重接触角(dual contact angle)であることができる。本明細書に記載の方法に準じて測定される水との平衡接触角が、本発明による粘着付与樹脂の極性特性を測定する、特に好ましい極性パラメータであることがわかった。
【0011】
(発明の概要)
本発明は、湿気透過性・液体不透過性構造を製造するための熱可塑性親水性ポリマー組成物に関する。この組成物は、ポリウレタン、ポリエーテルアミドブロックコポリマー、ポリエチレンアクリル酸及びポリエチレンメタクリル酸のコポリマー、ポリエチレンオキシド及びそのコポリマー、エチレンアクリル酸エステル及びエチレンメタクリル酸エステルのコポリマー、ポリラクチド及びコポリマー、ポリアミド、ポリエステル及びコポリエステル、ポリエステルブロックコポリマー、スルホン化ポリエステル、ポリエーテルエステルブロックコポリマー、ポリエーテルエステルアミドブロックコポリマー、ポリアクリレート、ポリアクリル酸及び誘導体、アイオノマー、重量で少なくとも28%のビニルアセテートを含有するポリエチレンビニルアセテート、ポリビニルアルコール及びそのコポリマー、ポリビニルエーテル及びそのコポリマー、ポリ−2−エチル−オキサゾリン及び誘導体、ポリビニルピロリドン及びそのコポリマー、熱可塑性セルロース誘導体、ポリカプロラクトン及びコポリマー、ポリグリコリド、ポリグリコール酸及びコポリマー、ポリ乳酸及びコポリマー、ポリ尿素、またはこれらの混合物から成る群から選択される、熱可塑性親水性ポリマーまたは熱可塑性親水性ポリマー類の混合物と、相溶性の親水性粘着付与樹脂であって、本明細書に記載の平衡接触角測定試験に準じて測定したときに、水との平衡接触角が、86度以下、好ましくは84度以下、より好ましくは82度以下である、相溶性の親水性粘着付与樹脂、あるいはまた、相溶性の親水性粘着付与樹脂のブレンドであって、本明細書に記載の平衡接触角測定試験に準じて測定したときに、水との平衡接触角が、86度以下、好ましくは84度以下、より好ましくは82度以下である粘着付与樹脂または樹脂類を、重量で少なくとも50%含む相溶性の親水性粘着付与樹脂のブレンドのいずれかを含む。
【0012】
(詳細な説明)
本発明によれば、湿気透過性・液体不透過性構造を製造するための熱可塑性親水性ポリマー組成物が、少なくとも、熱可塑性親水性ポリマーまたは熱可塑性親水性ポリマーの混合物と、溶融、半溶融、または可塑性状態、及び/または室温における安定状態で、前記熱可塑性親水性ポリマー組成物に所望の程度の接着性または粘着性を与えるために、好適な相溶性の親水性粘着付与樹脂または好適な相溶性親水性粘着付与樹脂類のブレンドとを含む。
以下の説明では、用語「接着性」及び「粘着性」を同義語とみなす。
本明細書では、用語「通気性のある(breathable)」及び「通気性(breathability)」は、発明の背景の項で定義した「モノリシック組成物」及び「モノリシック層またはフィルム」と関連して、「湿気透過性の(moisture vapour permeable)」または「水蒸気透過性の(water vapour permeable)」、並びに「湿気透過性(moisture vapour permeability)」または「水蒸気透過性(water vapour permeability)」に対応するものとする。「湿気(moisture vapour)」と「水蒸気(water vapour)」も等価とみなす。
【0013】
本発明による組成物中に含まれる好適な熱可塑性親水性ポリマーとしては、ポリウレタン、ポリエーテルアミドブロックコポリマー、ポリエチレンアクリル酸とポリエチレンメタクリル酸のコポリマー、ポリエチレンオキシド及びそのコポリマー、エチレンアクリル酸エステルとエチレンメタクリル酸エステルのコポリマー、ポリラクチド及びコポリマー、ポリアミド、ポリエステル及びコポリエステル、ポリエステルブロックコポリマー、スルホン化ポリエステル、ポリエーテルエステルブロックコポリマー、ポリエーテルエステルアミドブロックコポリマー、ポリアクリレート、ポリアクリル酸及び誘導体、アイオノマー、重量で少なくとも28%のビニルアセテートを含有するポリエチレンビニルアセテート、ポリビニルアルコール及びそのコポリマー、ポリビニルエーテル及びそのコポリマー、ポリ−2−エチル−オキサゾリン及び誘導体、ポリビニルピロリドン及びそのコポリマー、熱可塑性セルロース誘導体、ポリ−カプロラクトン及びコポリマー、ポリグリコリド、ポリグリコール酸及びコポリマー、ポリ乳酸及びコポリマー、ポリ尿素、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0014】
本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物に好適なその他の熱可塑性親水性ポリマーは、主成分としてまたは官能化剤として、通常、無水マレイン酸、一酸化炭素、グリシジルメタクリレート、無水硫酸など、極性の強い成分を含有するポリマーであり、前記官能化剤は、反応、グラフト化、または共重合によって添加される。
特に好ましい熱可塑性親水性ポリマーは、熱可塑性ポリエーテルアミドブロックコポリマー(例えば、ペバックス(Pebax)(商標))、熱可塑性ポリエーテルエステルアミドブロックコポリマー、熱可塑性ポリエステルブロックコポリマー(例えばハイトレル(Hytrel)(商標))、熱可塑性ポリウレタン、通常は非反応性ポリウレタン(例えばエスタン(Estane)(商標))、またはこれらの混合物である。
【0015】
本発明による熱可塑性親水性ポリマー組成物中に含まれる親水性の粘着付与樹脂は、高い極性特性を持たなければならない。この極性特性は、好適な極性パラメータを用いて測定され表示される。
別法として、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物に親水性の粘着付与樹脂のブレンドを含むときには、このブレンドが、前記の高い極性特性を有する粘着付与樹脂を重量の少なくとも50%含まなければならない。ブレンドの各々の親水性粘着付与樹脂が、前記の高い極性特性を有することが好ましい。
好適な極性パラメータは、例えば、好適な試験方法を用いて測定したその親水性または溶解性(通常水への)から見て、物質の極性特性を測定するのに有用な、文献で既知のパラメータの中から選択することができる。例えば、本発明に関連して物質の極性特性を測定するのに好適な公知の極性パラメータには、平衡時の吸水率、またはヒルデブランド溶解度パラメータ、あるいは水との接触角、または二重接触角(dual contact angle)が含まれ、これらのパラメータは、物理化学分野で周知であり、科学及び技術文献に見ることのできる公知の方法に準じて測定可能である。
【0016】
本発明による粘着付与樹脂の極性特性を測定するための特に好適な極性パラメータが、本明細書に記載の平衡接触角測定試験方法に準じて測定される、親水性粘着付与樹脂の水との平衡接触角であることがわかった。水との平衡接触角は、共通界面における物質と水滴の間の相互作用から見た物質の親水度を実際に測るものである。
本発明によれば、親水性粘着付与樹脂は、本明細書に記載の平衡接触角測定試験に準じて測定したときに、その水との接触角が86度以下、好ましくは84度以下、より好ましくは82度以下である場合に、本発明による必要な高い極性特性を有する。
【0017】
あるいは、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物中に相溶性の親水性粘着付与樹脂のブレンドが含まれる場合、このブレンドは、本明細書に記載の平衡接触角測定試験に準じて測定した水との平衡接触角が86度以下、好ましくは84度以下、より好ましくは82度以下の粘着付与樹脂を、少なくとも50重量%含まなければならない。
しかし好ましくは、このようなブレンドの各々の相溶性の親水性粘着付与樹脂が、前述のその好ましい水との平衡接触角から見て表された、必要とされる高い極性特性を有するべきである。
本発明による熱可塑性親水性ポリマーまたはその混合物と相溶性があり、必要とされる高い極性特性を有する、好適な相溶性の親水性粘着付与樹脂またはそのブレンドは、それぞれの極性パラメータの値、すなわち前述の水との平衡接触角を測定することにより、また本明細書に記載の試験方法に準じて、利用可能な粘着付与樹脂の中から当業者が選択することができる。好適な樹脂は、例えばハーキュレス・インコーポレーテッド(Hercules Inc.)が製造する粘着性樹脂であり、コードResA−2690、ResA−2691、ResA−2682、ResA−2683、ResA−2698として入手可能である。
【0018】
本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物中に含まれる、高い極性特性を有する選択された好ましい親水性粘着付与樹脂またはそのブレンドは、一般に、2成分熱可塑性親水性ポリマー組成物を形成するためにこのような親水性粘着付与樹脂を純粋な熱可塑性親水性ポリマーに30重量%のレベルで添加するときに、親水性粘着付与樹脂と親水性ポリマーで構成される熱可塑性親水性ポリマー組成物から形成した厚さ50μmの連続フィルムの水蒸気透過速度(WVTR)が、純粋な親水性ポリマーから製造され粘着付与樹脂を含まない厚さ50μmの連続フィルムのWVTRの値の、少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%になるようなものであり、WVTRは、修正ASTM E−96「直立カップ(Upright Cup)」法に準じて測定する。30重量%とは、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物中の粘着付与樹脂に関する典型的な平均添加レベルに相当する。
【0019】
好ましくは、本発明による熱可塑性親水性ポリマー組成物が、親水性粘着付与樹脂のブレンドを含み、より好ましくはブレンドの各々樹脂が前述の条件を満たす極性パラメータを用いて選択されたものであり、このブレンドが少なくとも室温で液体の親水性粘着付与樹脂を含む。これは、こうすることで、熱可塑性親水性ポリマー組成物の処理性に有益となるからである。ただし、このようなブレンドの粘着付与樹脂の必ずしもすべてが室温で液体でないことが好ましい。
本明細書で、「室温で液体である粘着付与樹脂」とは、軟化点が25℃未満の粘着付与樹脂を意味し、この軟化点は、リング・アンド・ボール(Ring and Ball)法ASTM E28−67に準じて評価される。逆に、室温で固体の粘着性樹脂とは、軟化点が25℃より高い樹脂である。ここでは、温度25℃とは、従来通り「室温」に相当するものと考える。
【0020】
本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物中に含まれる、前述の熱可塑性親水性ポリマーまたはその混合物は、通常、フィルムまたは層形成処理、例えば高出力スクリュー押出成形機に関係する押出成形処理の典型的な処理条件における溶融状態で、高粘性にすることができる。例えば、それらの粘度が、DSC(示差走査熱量計)ピーク、あるいは2つ以上のピークを示すポリマー混合物の場合には最大DSCピークに相当するものとして識別される温度であるDSC融点より20℃高い温度において、1ラジアン(rad)/秒の振動数で、5000ポアズより高い可能性がある。
したがって、熱可塑性親水性ポリマー及び相溶性の親水性粘着付与樹脂を含む本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物は、処理条件における溶融状態で、なお高粘性にすることができる。
【0021】
本発明の好ましい実施形態において、本発明者らのPCT国際特許出願WO99/64077またはWO99/64505に開示のように、熱可塑性親水性ポリマー組成物に好適な可塑剤またはそのブレンドを加えることによって、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物の粘度を好ましくは任意選択的に調整することができ、この可塑剤またはそのブレンドは、熱可塑性親水性ポリマー及び親水性粘着付与樹脂とも相溶性があり、処理条件における溶融状態にある熱可塑性親水性ポリマー組成物の粘度を低下させる。
したがって、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物の粘度は、組成物をどのように処理するかに応じて可塑剤を適切に選択することによって調整することができる。例えば、当該技術分野で既知のように、処理条件において高い粘度を有する組成物に、フィルム押出成形技術を好適に使用することができる。あるいは、前述のPCT国際特許出願WO99/64077及びWO99/64505で説明されているように、組成物の処理に、好適なホットメルトコーティング処理が好ましい可能性もある。これは、処理条件における熱可塑性親水性ポリマー組成物の粘度を、好適な低いレベルで調整しなければならないことを意味する。
【0022】
このような場合、本発明のこの代替的な実施形態の熱可塑性親水性ポリマー組成物は、それらが好ましくは次の複素粘度(η*)を有するように、好適な可塑剤またはそのブレンドを含む。
振動数1ラジアン/秒、温度210℃以下では、50ポアズ<η*<4000ポアズ、好ましくは100ポアズ<η*<2000ポアズ、より好ましくは100ポアズ<η*<1000ポアズであり、振動数1000ラジアン/秒、処理温度(T)が210℃以下では、η*<2000ポアズ、好ましくはη*<1000ポアズ、より好ましくはη*<500ポアズであり、ここでη*は、熱可塑性親水性ポリマー組成物の複素粘度を示す。
好ましくは、温度Tが200℃以下、より好ましくは180℃以下、最も好ましくは200℃〜50℃である。
【0023】
本発明のこの好ましい実施形態によれば、前述の複素粘度を有する熱可塑性親水性ポリマー組成物により、低粘度のホットメルト組成物を基材上にコーティングして必要な厚さの層にする当該技術分野で公知の典型的なコーティング条件及び装置を用いてフィルムまたは層を基材にコーティングすることができ、また親水性の連続的な湿気透過性・液体不透過性層またはフィルムを提供する、好ましい熱可塑性親水性ポリマーの有利な特徴も維持することができる。
このような粘度を有する熱可塑性親水性ポリマー組成物は、また、非常に薄いフィルムまたは層を提供することもできる。
本発明の好ましい実施形態に従う熱可塑性親水性ポリマー組成物中に含まれる好適な相溶性可塑剤としては、クエン酸エステル、酒石酸エステル、グリセロール及びそのエステル、スクロースエステル、アジペート、セバケート、ソルビトール、エポキシ化植物油、重合植物油、ポリオール、フタレート、液体ポリエステル、グリコレート、p−トルエンスルホンアミド及び誘導体、グリコールとポリグリコール及びこれらの誘導体、ソルビタンエステル、ホスフェート、モノカルボキシル脂肪酸(C8〜C22)及びこれらの誘導体、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0024】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、特に好ましい可塑剤は、本発明者らのPCT国際特許出願WO99/64505号に開示の、酸、エステル、アミド、アルコール、多価アルコール、これらの混合物など、親水性の可塑剤である。この特に好ましい親水性可塑剤は、特に高い極性特性を有し、前記可塑剤またまたはそのブレンドを含む本発明の好ましい熱可塑性親水性ポリマー組成物から形成される、得られた層またはフィルムの湿気透過性を、同一の成分を含むが可塑剤を含まない熱可塑性親水性ポリマー組成物から形成された対応するフィルムまたは層に比べて損なわず、高めることさえあるというさらなる利点を与える。
特に好ましい親水性可塑剤またはそのブレンドも、もちろん、熱可塑性組成物を基材上にコーティングして所望の厚さの層またはフィルムにすることによって処理可能にするために、本発明の好ましい実施形態による熱可塑性組成物の粘度を好ましい値に調整することもできる。
【0025】
本発明のこの好ましい実施形態による好適な好ましい親水性可塑剤は、酸、エステル、アミド、アルコール、多価アルコール、またはこれらの混合物を含み、特に好ましい親水性可塑剤は、クエン酸エステル、酒石酸エステル、グリセロール及びそのエステル、ソルビトール、グリコレート、並びにこれらの混合物である。
本発明者らの、「湿気透過性構造のための改良型熱可塑性親水性ポリマー組成物(Improved thermoplastic hydrophilic polymeric compositions for moisture vapour permeable structures)」という名称の、同時係属欧州特許出願EP00121585.4(2000年10月2日出願)に記載のものの中から選択される可塑剤も、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物中で使用することができる。
【0026】
前記可塑剤は、リン酸のエステル;安息香酸、フタル酸、及びトリメリット酸のエステル;ポリカルボキシルオキシ酸のエステル;スルホンアミドホルムアルデヒド樹脂などのスルホンアミド及びその誘導体;スルホン類;多価アルコールのエステル;ラクチド;グリコリド;ラクトン;ラクタムから成る群から選択することができる。
前述のものの内の一つなど、好適な極性パラメータはまた、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物のその他の成分を選択するために使用することもできる。
特に、相溶性親水性粘着付与樹脂に関して既に説明したのと同一の原理による好適な極性パラメータを用いて、好ましい熱可塑性ポリマー、並びに任意選択的に好ましい相溶性親水性可塑剤を、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物のために選択することができる。本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物の異なる成分を選択するために、同一の極性パラメータを使用でき、あるいは異なる成分に異なる極性パラメータにもでき、当業者が決定することができる。
【0027】
好ましくは、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物が、その10重量%〜99重量%、好ましくは20重量%〜70重量%、より好ましくは30重量%〜50重量%の熱可塑性親水性ポリマーまたはその混合物と、その1重量%〜90重量%、好ましくは10重量%〜70重量%、より好ましくは20重量%〜50重量%の好適な相溶性親水性粘着付与樹脂またはそのブレンドを含む。
より好ましくは、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物はまた、その0重量%〜95重量%、好ましくは10重量%〜70重量%、より好ましくは20重量%〜50重量%の好適な相溶性可塑剤またはそのブレンドも含む。
さらに、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物は、組成物の処理性をさらに改善し、またこのような熱可塑性親水性ポリマー組成物から形成されたフィルムまたは層の、機械的特性、並びに光及び酸素によるエージングに対する耐性や、目に見える外観などの他の特性をさらに改善するために、追加的な任意成分をさらに含むことができる。
【0028】
本発明による熱可塑性親水性ポリマー組成物は、いかなる既知のプロセスによって製造することもでき、このプロセスは、通常、少なくとも熱可塑性親水性ポリマーまたはその混合物、好適な相溶性親水性粘着付与樹脂またはそのブレンド、並びに任意選択的に、前述したさらなる追加成分を提供する工程と、これらの成分を加熱する工程と、例えば既知の好適な混合器によってこれらを合成して、後続の処理工程のために溶融状態にある熱可塑性親水性ポリマー組成物を形成する工程とを含む。
あるいは、溶媒またはエマルション系を作成して、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物を処理するために、前記組成物から湿気透過性・液体不透過性構造を製造する際、並びにこの構造を含む物品を製造する際の、中間または最終工程として使用することもできる。
【0029】
本発明によれば、例えば前記熱可塑性親水性ポリマー組成物を基材上に置くことによって、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物から、湿気透過性・液体不透過性層を形成することができる。本発明の熱可塑性組成物から形成されるフィルムまたは層は、好ましくは、修正ASTM E−96「直立カップ(Upright Cup)」法に準じて測定される湿気透過速度が、少なくとも400g/m2・24h、より好ましくは少なくとも500g/m2・24h、さらに好ましくは少なくとも600g/m2・24h、最も好ましくは少なくとも1000g/m2・24hで、その厚さが少なくとも40μmである。より好ましくは、前述のフィルムまたは層が前述の好ましいWVTRレベルを有し、熱可塑性親水性ポリマー組成物が、本発明による親水性粘着付与樹脂またはそのブレンドを少なくとも30重量%含む。
【0030】
本発明によれば、これまでに説明した熱可塑性親水性ポリマー組成物からフィルムまたは層を形成でき、その厚さが約0.5μm〜約200μm及びそれ以上であり、このフィルムまたは層は、そのままで、あるいは例えば不織布繊維性基材を含む層状構造など、異なる基材との組合せで使用可能である。
より一般的には、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物から形成される構造の厚さは、一定にも、構造内で変化させることもできる。いかなる特定の厚さ範囲にも限定されるものではないが、用途によっては好ましい範囲がある可能性がある。例えば、使い捨て物品に含まれる構造に好ましい範囲は、好ましくは400ミクロンから0.5ミクロン未満の厚さ範囲が望まれ、特定の場合には、実質的に0.5ミクロン未満がより好ましいこともある。対照的に、建築用途またはさらに包装用途では、ある理由から、構造について200〜2000ミクロン、あるいはさらに厚い好ましい範囲が指示される。
【0031】
本発明による熱可塑性親水性ポリマー組成物から層またはフィルムを製造するプロセスは、通常、この組成物を提供する工程と、それを流動化させるために加熱する工程と、前述のように処理条件において組成物に関して達成される粘度に応じて、例えばフィルム押出成形処理またはホットメルトコーティング処理によって、溶融、半溶融、または可塑性状態にあるこの組成物を基材上で所望の厚さの層またはフィルムに形成する工程とを含む。原理的には、前記基材を単に成形基材とし、後で前記基材から分離して単独で使用する所望の厚さのフィルムまたは層を製造するために、熱可塑性親水性ポリマー組成物を基材の上に形成することもできるが、本発明の好ましい実施形態では、熱可塑性親水性ポリマー組成物と、熱可塑性組成物をその上に置く好適な基材とを含む、湿気透過性・水不透過性の複合構造を形成することができる。ここではこの基材も湿気透過性であることが好ましい。
【0032】
通常、相溶性の親水性粘着付与樹脂またはそのブレンドを添加することによって本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物に付与された好ましい接着性及び粘着性は、実際、例えば疎水性合成繊維を含む不織布層などの繊維性基材に、溶融、半溶融、または可塑性状態にあるフィルムまたは層の高い接着性を与え、同時に、フィルムまたは層、したがって好ましくは層状構造全体の高い通気性を維持する。
このことが次には、得られる複合構造の一体性をより良くし、したがって使用時の例えば層間剥離に対する耐性が高められ、また熱可塑性親水性ポリマー組成物の層を非常に薄くする。組成物のこの改善された接着特性及び得られる複合構造の耐性の増加を、例えば同様の組成物から形成されるが本発明の親水性粘着付与樹脂またはそのブレンドを含まない同一の厚さの層と比べた場合に、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物から形成した層の水蒸気伝達能力に、非常にわずかな影響、あるいは全く無害な影響と組み合わせる。本発明による特に好ましい親水性粘着付与樹脂はまた、同様の組成物から形成されるが本発明の親水性粘着付与樹脂またはそのブレンドを含まない、同一の厚さの層に比べて、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物から形成した層の水蒸気伝達速度を高めることもできる。
【0033】
本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物から、湿気透過性・液体不透過性構造(フィルム及び層に限らない)、並びにこの構造を含む物品を製造するために、その他の既知の方法を使用することもできる。
このような方法の分類は、一般に「成形」と記載され、しばしばオス型またはメス型の金型、または金型の組合せを用いて材料を形作る。技術によっては、所与の構造または物品の製造に、特定の処理温度及び圧力(または真空)条件が好ましいことがある。このような既知の成形方法としては、これらに限るものではないが、ディップ成形、吹込み成形、射出成形、圧縮成形、熱成形、真空熱成形、押出成形、回転成形、スラッシュ成形などが挙げられる。
本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物を処理するその他の既知の方法としては、フィルム・シート注型吹き込みフィルム技術、追加の幅出処理工程、追加のカレンダ工程、追加の焼入工程、追加の熱処理工程なども挙げられる。
【0034】
特定の生産条件の性質あるいは処理工程のタイプまたは順序は、選択される製造技術、環境条件、材料の形式などに応じて変更される。例えば、(i)溶媒(熱可塑性親水性ポリマー組成物の原材料の形に溶媒ベース形式を選択した場合)、(ii)水(熱可塑性親水性ポリマー組成物の原材料の形にエマルションベース形式を選択した場合)、あるいは(iii)熱(熱可塑性親水性ポリマー組成物の原材料の形にホットメルト形式を選択した場合)を取り除くための処理工程を含む必要があることもある。
2つまたはそれ以上の層を備えるフィルムまたはシートを製造することができ、その層の少なくとも1つが本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物を含む。これは、これに限るものではないが、共押出成形、押出コーティングを含めて、様々な既知の手段によって達成することができる。
【0035】
構造または物品全体を、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物だけで構成するのが好ましい場合もあるが、構造または物品は、1つまたはそれ以上の他の材料との複合体にすることができる。例えば、この複合体は、本発明の特定の熱可塑性親水性ポリマー組成物の2またはそれ以上の成分、あるいは本発明の異なる特定の熱可塑性親水性ポリマー組成物を含むことができる。
あるいは、複合体が、熱可塑性親水性ポリマー組成物の少なくとも1成分を、1つまたはそれ以上の他の材料と組み合わせて含むこともできる。このような材料としては、これに限るものではないが、繊維、繊維状芯(fibrous batts)、不織布、織布、紙、金属箔、ミクロ孔質膜または多孔性膜、ポリマーフィルムなどのフィルム、圧縮石膏シートなどの無機構造、穴あきまたは有孔フィルム及び紙、巨視的に拡張されたフィルム、布、材木などの実質的に剛性の繊維ベース材料が挙げられる。
【0036】
前記のその他の成分は、非吸収性成分、吸収性成分、液体含有成分などでもよい。
本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物はまた、例えば多孔性発泡体構造を形成するために、既知の手段によって独立気泡発泡体を含めた発泡体として製造することもできる。
その他の有用な技術は、スプレーコーティング処理である。本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物は、加熱スプレー技術に適しているが、加熱すると、スプレーコーティングまたはスパッタリングできるように粘度が十分に低下する。このような熱可塑性親水性ポリマー組成物のスプレーコーティングは、物品の表面または壁面を形成するために、オス型またはメス型の金型の支援によって実施することができる。その後、物品と金型(または金型部分)を互いに引き離す。あるいは、スプレーコーティング方法は、溶媒ベース手法やエマルションなど、ポリマー組成物の様々な形式の出発原料を使用することもできる。
【0037】
本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物を含み、スプレーコーティング手法を用いる複合物品の場合、その他の材料が単独で十分な3次元構造を提供して、他の材料が金型として働き、その後それを十分にコーティングして、前述のように金型から物品が離れるのを防ぎながら、複合物品を完成する。
本発明の一実施形態では、湿気透過性・液体不透過性の複合層状構造が提供され、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物から形成された層が複合材料の全体的な性能に寄与するのは、通気性のある液体障壁の提供だけであるので、可能な限り薄く提供することができて有利である。残りの性能の物理的基準は、その後好ましくは与えられた基材によって提供されるので、支持体層としても働くことが好ましい。
基材または支持層は、好ましくは湿気透過性のどのような有用な層でもよく、湿気透過性が少なくとも100g/m2・24h、より好ましくは少なくとも300g/m2・24h、最も好ましくは少なくとも500g/m2・24hであることが好ましい。
【0038】
本発明で支持層として使用するのに好適な基材には、2次元平面状のミクロ孔質及びマクロ孔質フィルム、巨視的に拡張されたフィルム、成形有孔フィルム、不織布及び織布層が含まれる。本発明によれば、前記層の孔はどのような構成にすることもできるが、球形または横長形が好ましく、様々な寸法にすることもできる。これらの孔は、層の表面全体に均一に分散していることが好ましいが、表面の特定の領域だけに孔を有する層も考えている。
【0039】
好適な2次元多孔性平面状層は、当該技術分野で既知のどのような材料で製造することもできるが、一般的に入手可能なポリマー材料から製造することが好ましい。好適な材料には、例えば、いわゆる通気性衣料における用途に関する当該技術分野で周知の、ゴアテックス(Goretex)(商標)またはシンパテックス(Sympatex)(商標)タイプの材料がある。その他の好適な材料としては、ミネソタ・マイニング・アンド・マニュファクチャリング社(Minnesota Mining and Manufacturing Company)(米国ミネソタ州セントポール)のXMP−1001、及びエクソン・ケミカル社(Exxon Chemical Company)から販売されるエグザイア(Exxaire)XBF−101Wが挙げられる。本明細書で使用するとき、2次元平面状の層という用語は、深さが1mm未満、好ましくは0.5mm未満の層を指し、前記孔は、これらの長さに沿って均一の平均直径を有し、層の平面からは突き出していない。本発明で使用するための有孔材料は、欧州特許EPO293,482号及びその特許中の参照文献に記載のものなど、当該技術分野で既知のどのような方法を用いて生産することもできる。
【0040】
好適な有孔成形フィルムには、層表面の水平面を超えて延び、その結果突出部を形成する、別個の孔を有するフィルムが含まれる。これらの突出部は、その終端部にオリフィスを有する。好ましくは前記突出部が、米国特許第3,929,135号に記載されているのと同様、漏斗形状である。平面内に位置する孔及び突出部自体の終端部に位置するオリフィスは、突出部末端のオリフィスの横断面の寸法または面積が、層表面に位置する孔の横断面の寸法または面積より小さければ、円形または非円形になるかもしれない。好ましくは、前記有孔事前成形フィルムが単一方向性であり、完全ではなくとも、少なくとも実質的に1方向に流体輸送する。
【0041】
本発明で使用するのに好適な、巨視的に拡張されたフィルムには、例えば、米国特許第4,637,819号及び米国特許第4,591,523号に記載のフィルムが含まれる。
本発明で使用するのに好ましい支持体層には、織布及び不織布層、最も好ましくは疎水性の不織布などの疎水性の繊維層が含まれる。
本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物を含む複合層状通気性構造を製造するための前述の基材のほとんどが、かなりまたは非常に極性特性に乏しいポリマー製であるので、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物の高い通気性と組み合わされた向上された接着性を組み合わせて特に利用している。
【0042】
本発明のこの好ましい実施形態の複合層状構造は、所望の厚さを有する層として熱可塑性組成物を支持基材上に形成できる複合体を提供することができるので、特に好都合である。例えば、前述のように、処理条件において熱可塑性親水性ポリマー組成物の粘度を適切に調整すると、熱可塑性親水性ポリマー組成物を基材上に所望の厚さで提供するために、低粘度ホットメルトを直接コーティングする当該技術分野で既知の典型的なコーティング条件及び装置を容易に利用することができる。あるいは、本発明による熱可塑性親水性ポリマー組成物が処理条件において高い粘度を有する場合、フィルム押出など、その他の既知のプロセスを使用することもできる。
【0043】
支持体層として働く基材上に熱可塑性組成物をコーティングして複合積層体を形成する可能な方法については、PCT国際公開特許WO96/25902に記載されている。
本発明による湿気透過性・液体不透過性構造を製造するための熱可塑性親水性ポリマー組成物については、通常、溶融、半溶融、または可塑性状態における所望の接着性または粘着性を備えるものとして、ここまでに説明してきた。これは、例えば、基材、例えば疎水性繊維を含む好ましい不織布などの非常に極性特性が低い基材上に熱可塑性親水性ポリマー組成物が層またはフィルムとして直接的に形成された、より安定な湿気透過性・液体不透過性層状複合構造を形成するために、本発明の好ましい実施形態で望ましいものであり、基材への接着性の向上が、得られる層またはフィルムの湿気透過性を損ねることはない。
【0044】
意図される使用によっては、前記熱可塑性組成物、並びに次には湿気透過性・液体不透過性構造、例えばそれらから製造される層及び複合体の、室温における前記熱可塑性組成物の残存粘着性のレベルを調整するために、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物を配合することもできる。こうすることで、特に、前記層がそれ自体の表面に対する圧縮を受け、通常は層が表面に実際に接着しないときには、例えば湿気透過性・液体不透過性構造に含まれる前記熱可塑性親水性ポリマー組成物の層と、使用時に前記層が接触するように意図された表面との間に、通常は使用条件において確立される摩擦の調整が可能になる。
【0045】
以下に詳細に説明するように、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物の考えられる用途は、保護カバー、例えば、マットレスや枕カバーなどの寝具保護カバー、またあるいは布張りをした椅子やソファなどの保護用家具覆い、一般には保護すべき物品を覆って位置しそれに接触するように意図された保護カバー用の、層及び複合体におけるものである。本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物を含む層、例えば積層体構造内の層と、前記層に接触する表面との間の摩擦が高まると、使用時に生じることのある、層と表面の間の相対運動を防ぎまたは少なくとも低減させながら、表面に対して相対的に、液体不透過性・蒸気透過性層の安定性を高めるのに特に好ましい可能性がある。例えば、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物が、蒸気透過性・液体不透過性のマットレスまたは枕カバーを構成する積層構造中の層として含まれ、前記層が接触して置かれる表面がマットレスまたは枕の表面である場合、使用時に、マットレスとマットレスカバー、あるいは枕と枕カバーの間に、例えば睡眠時のユーザの運動によって相対運動が生じる。したがって、使用時にマットレスまたは枕カバーが誤った位置になる危険性は、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物の調整された残存粘着性によって前記摩擦が高められることにより、大きく低減される。
【0046】
より一般的には、所望の摩擦の増加によって向上される前記安定性が、次には、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物を含む液体不透過性・湿気透過性構造用の材料の使用を軽量で安価なものにし、それが、使い捨て構造の状況で有益である。湿気透過性・液体不透過性構造に含まれる前記材料が使用時に耐える必要のある応力が小さいので、材料をより薄くすることができ、したがって、液体不透過性に加えてよりすぐれた湿気透過性が得られ、さらにより軽量にできる。このような構造を使用後に処分すると、また、材料の廃棄量が低減される。
本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物の残存粘着性のレベルを調整すると、保護カバーとは異なる、前記熱可塑性組成物の他の使用における有利な用途も見出すことができる。これについては、以下により詳細に開示する。
【0047】
本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物は、さらに、感圧接着特性を有するように、すなわち熱可塑性親水性ポリマー組成物がどの温度でも粘着性を保つように配合することができる。換言すれば、室温における残存粘着性のレベルを高めるように組成物を配合することによって、熱可塑性組成物の層、例えば積層体構造に含まれる層と、前記層が接触する表面との間の摩擦を、前記組成物、また次には層が実際に表面に貼付するレベルまで高めることができる。これは、本発明の熱可塑性組成物の意図する使用に応じて、当業者が容易に見つけられるいくつかの用途を見出すことができる。前記熱可塑性組成物はまた、例えば、連続的な湿気透過性・液体不透過性接着層が、例えば使い捨て吸収性物品中の構成接着剤として、あるいは通気性接着テープなど、前記使い捨て吸収性物品を下着または身体に固定する接着剤で必要とされるすべての用途において特に有用である。
【0048】
本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物及び湿気透過性・液体不透過性の構造、例えば、それらから形成される層及び複合体は、液体不透過性及び湿気透過性が望まれる多くの用途で有用性が見出されている。特に本発明は、おむつ、生理用ナプキン、パンティライナー、失禁用製品及び母乳パッドなどの吸収性物品;腋下発汗パッド、手首発汗パッド、頭部発汗パッド、襟インサート、靴インサート、ハットバンドなどの発汗パッド;マットレスカバー、枕カバー、保護用衣類などの保護用寝具カバーに効果的に利用することができる。
【0049】
本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物を含むその他の物品はまた、グローブ、指サック、ミット、ミトンなどのハンドカバー;靴下、タイツ、パンティーストッキング、靴、スリッパなどのフットまたはレッグカバー;帽子、キャップなどのヘッドカバー;コンドーム、膣腔内部に置かれる精液遮断体などの性病予防品;マスク、ノーズカバー、イアーカバー、またはミットなどのフェイスカバー;男性器「競技用」サポーター、ブラジャーなどの身体サポート品;下着、保護スリーブ、または保護パッド中に一部または全体を組み込んだものとして使用するための成形衣類を含む。物品及び用途のその他の例としては、これに限るものではないが、ヒトまたはその他の生物用の柔軟性衣料またはドレープ衣料品、例えば、シャツ、パンツ、下着、よだれかけ、スモック、コート、スカーフ、着ぐるみ、ストッキング、きゃはん、スカート、ドレスなどの非限定例が挙げられ;医療専門家用、農業業務用、機械組立及び修理業用、緊急公的業務用、軍用、競技用、清掃用などの種々の事業及び業務用の他の柔軟性衣料またはドレープ衣類が挙げられる。
【0050】
その他の例の使用カテゴリには、これに限るものではないが、生鮮品及び焼製品(パン、ロール、ケーキ)などの食品用包装が含まれる。
使用カテゴリのその他の例には、これに限るものではないが、個々の物品(容器、三次元「バッグ」)などの農耕または園芸使用が含まれ、これは個々のまたは特定の植物群を部分的または全体的に包むために置かれる。
さらに他の使用カテゴリの例には、布張りをした椅子やソファなどの保護用家具覆い、または屋根葺き、テント用の保護用の耐水性・通気性材料も含まれる。
本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物を含む物品は、一般に、柔軟性または剛性にすることができる。
このようなすべての物品は、通常、使い捨てにすることもできる。好ましくは、本発明の熱可塑性組成物から形成される湿気透過性・液体不透過性構造体、例えば、層及び複合体の全体的な水蒸気透過速度が、少なくとも300g/m2・24h、より好ましくは少なくとも500g/m2・24hである。
【0051】
本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物を好適な基材上に成形することによって形成される湿気透過性・液体不透過性複合構造は、使い捨て吸収性物品、特に生理用ナプキン及びパンティライナー、さらにはおむつ、失禁用製品、及び母乳パッド用のバックシートとして、特に有用であることがわかっている。このような物品は、通常、液体透過性トップシート、吸収性コア、バックシートなど、当業者に既知の構成要素を含み、任意選択的に固定手段やウイングなどの他の構成要素を含むことができる。
本発明による好ましい親水性粘着付与樹脂は、また、ポリオレフィン、例えばポリエチレンまたはポリプロピレン、あるいはスチレンブロックコポリマーなど(これらはすべて実質的に湿気及び液体不透過性で非親水性ポリマー)、本来は蒸気透過性でない熱可塑性ポリマーに、最終的な熱可塑性組成物にある程度の湿気透過性を与えるために添加することもできる。
【0052】
(実施例)
実施例1
本発明によるサンプル、並びに2つの比較用サンプルの水蒸気透過速度(WVTR)を、修正ASTM E−96「直立カップ(Upright Cup)」法で測定した。それを以下の表Iaに示す。
サンプルは、すべて、既知の手段によって、以下の表Iによる3つの異なる熱可塑性ポリマー組成物を化合し、またそのそれぞれを厚さ40μmの連続フィルムに溶融押出しすることによって得た。
組成物中で使用した原材料は、アトフィナ(Atofina)(フランス)から入手可能で商品名ペバックス(Pebax)2533で熱可塑性親水性ポリマーとして市販されているポリエーテル−アミドブロックコポリマー;相溶性可塑剤としてアルドリッチ社(Aldrich Co.)から入手可能なクエン酸トリエチル;ハーキュレス・インコーポレーテッド(Hercules Inc.)から入手可能で商品名フォーラル(Foral)85−Eとして販売されている粘着付与樹脂;ハーキュレス・インコーポレーテッド(Hercules Inc.)によって製造されコードResA−2691として入手可能な本発明による粘着付与樹脂;酸化防止剤としてチバ・ガイギー(Ciba−Geigy)から入手可能なイルガノックス(Irganox)1010である。
【0053】
3つのサンプルに使用される組成物の成分及びパーセンテージは、以下の表Iに示す。
本明細書に記載の平衡接触角測定試験方法に準じて測定した、水との平衡接触角は、従来の樹脂フォーラル(Foral)85−Eでは88.3度、本発明による樹脂ResA−2691では81度である。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
表Iaに示すように、本発明による熱可塑性親水性ポリマー組成物から形成したフィルム(サンプル1)は、従来技術の粘着付与樹脂を含む組成物から形成した同様のフィルム(サンプル2)より6倍高い水蒸気透過速度を示す。親水性ポリマーとサンプル1及び2の可塑剤だけを含む組成物から、同じ50/50比で形成されたフィルム(サンプル3)水蒸気透過速度も、表Iaに示す。
サンプル1及び2のWVTR値をサンプル3の相当する値と比較することによって、熱可塑性親水性ポリマー組成物中に従来の粘着付与樹脂が存在すると、水蒸気透過速度が、粘着付与樹脂を含まない対応する組成物から作製したフィルム(サンプル2及び3)に比べて劇的に減少することがわかった。
これに対し、本発明による粘着付与樹脂を含むサンプル1は、粘着付与樹脂を含まない対応する組成物(サンプル3)の水蒸気透過速度の66%より多くを維持する。
【0057】
実施例2
実施例2は、同一の熱可塑性親水性ポリマーと、一定量の粘着付与樹脂(サンプル5では本発明による粘着付与樹脂、サンプル6では従来の粘着付与樹脂)とを含む組成物から製造された2つのサンプルの水蒸気透過速度(WVTR、実施例1で述べたのと同一の試験方法に準じて測定する)を、熱可塑性親水性ポリマーだけを含む組成物から製造されたサンプル(サンプル4)のWVTRを比較する。各々の組成物はまた、一定量の酸化防止化合物(イルガノックス(Irganox)1010)を含む。
サンプルは、実施例1で既に述べたように、それぞれの熱可塑性親水性ポリマー組成物を化合し、その各々を同じ50μmの厚さの連続フィルムに溶融押出しすることによって得た。
以下の表IIは、特定の成分を、サンプル4、5、及び6に使用する熱可塑性親水性ポリマー組成物のそれぞれのパーセンテージ、並びにそれらから製造したフィルムのそれぞれのWVTR値と共に示す。単一成分及びその有効性については、既に前述の実施例1で参照した。
【0058】
【表3】
【0059】
表IIは、本発明による熱可塑性親水性ポリマー組成物から製造したフィルム(サンプル5)が、純粋な親水性ポリマーだけから製造された同じ厚さのフィルム(サンプル4)のWVTRのほとんど54%を維持し、従来の組成物から製造したフィルム(サンプル6)が純粋なポリマーから製造したフィルムのWVTRの約35%しか維持しないことを示す。
【0060】
実施例3
本発明による湿気透過性・液体不透過性複合体層状構造について、実施例3として説明する。
アトフィナ(Atofina)(フランス)から入手可能で商品名ペバックス(Pebax)2533SNとして市販されているポリエーテル−アミドブロックコポリマーを、アルドリッチ社(Aldrich Co.)から入手可能なクエン酸トリブチル(可塑剤)、ハーキュレス・インコーポレーテッド(Hercules Inc.)からコードResA−2691及びResA−2690として入手可能な2つの親水性粘着付与樹脂のブレンド、並びにチバ・ガイギー(Ciba−Geigy)から入手可能なイルガノックス(Irganox)1010(酸化防止剤)と化合する。
最終配合は重量パーセントによるものであり、以下の組成物を有する:
【0061】
【表4】
【0062】
熱可塑性組成物を、ホットメルトコーティング処理によって繊維性基材上に直接コーティングして、秤量20g/m2の連続フィルムを形成する。この繊維性基材は、秤量25g/m2のSMS(スパンボンド−メルトブロウン−スパンボンド構造)疎水性100%ポリプロピレン不織布(支持層)で、コロビン−BBA不織布グループ(Corovin−BBA Nonwovens Group)(ドイツ)から商品名MD3000として入手可能である。複合湿気透過性・液体不透過性層状構造は、全体的な厚さが230μmで、WVTRが846g/m2・24hである。
【0063】
試験方法
本発明によれば、複素粘度η*は、レオメトリックス社(Rheometrics Co.)から入手可能なレオメータRDA−IIを用いて測定する。湿気透過性は、修正ASTM E−96「直立カップ(Upright Cup)」法に準じて、25℃、相対湿度55%における水蒸気透過速度(WVTR)として測定する。標準ASTM E−96「直立カップ」法に対する唯一の修正が、サンプルとカップ内の水表面との間のエアギャップの高さにおける変更であり、その高さは、標準試験法に指定の19mm±2.5mmの代わりに3mm±0.5mmにしている。
【0064】
平衡接触角測定試験
以下に説明する試験方法は、本発明による熱可塑性親水性ポリマー組成物に含むことを意図した粘着付与樹脂の、水との平衡接触角の測定を意図するものである。当該技術分野で公知のように、接触角は、液体によって固体が濡れる現象または濡れない現象を測るものである。平衡接触角は、水平な物質表面上で平衡にある液滴上で測定される。液滴のベースラインと液滴境界における接線の間の角度を測定する。
【0065】
装置
気候制御した実験室を、25℃、相対湿度55%に維持する。
ビデオ測定システムDSA1とWindows(登録商標)95NT用DSAソフトウェア・バージョン1.5とを備える、液滴形状分析システム(Drop Shape Analysis System)DSA10
G1060 1ml注射器及びG1061針(長さ30mm、直径0.5mm)を備える投与単位G1023
顕微鏡スライドガラス10mm×30mm
調整オーブン
システムDSA10及びアクセサリDSA1並びにDSAソフトウェアG1023、G1060、G1061は、クリュス株式会社(Kruss GmbH)(ドイツ、ハンブルクD22453)から販売されている。
サンプルの調製及び以下に説明する接触角測定は、気候制御実験室で実施する。
【0066】
サンプルの調製
水との平衡接触角測定のための樹脂サンプルの調製は、以下の工程を含む:
1.好適な有機溶媒中の、10重量%の樹脂の溶液を調製する。高度に希釈して溶液を非常に低粘度にする。本発明の状況で使用する粘着付与樹脂を溶解し、また即座に揮発する、好適な溶媒を選択しなければならない。したがって、好適な溶媒は、沸点が、大気圧で100℃以下、好ましくは80℃以下である。この試験方法では、特に好適な溶媒としてテトラヒドロフランを選択した。
2.清潔な顕微鏡スライドガラス(予め全体をメタノールで洗浄し乾燥させる)を完全に溶液に浸す。
3.スライドガラスをゆっくり溶液から取り出し、約10秒間垂直に維持して両面を均一にコーティングする。溶媒はほとんどすぐに蒸発し、ガラス表面上に均一な厚さと滑らかな表面を有する樹脂の非常に薄い連続層を形成する。目視検査でこのような特徴を示さないサンプルは廃棄しなければならない。
4.表面に触れずにサンプルを約10分間空乾する。
5.調整オーブン内に、サンプルを温度40℃、相対湿度85%で少なくとも12時間置く。
6.サンプルを調整オーブンから取り出し、室温25℃に達するまで、気候実験室に約20分間置いて冷却する。
7.平衡接触角を測定する。工程(3)で説明したように、樹脂コーティングが均一で表面が滑らかであれば、スライドガラスのどちらの側で実際に接触角測定を実施するかは関係がない。
【0067】
接触角測定
接触角測定は、ビデオ測定システムDSA1とDSAソフトウェアを備える、液滴形状分析システムDSA10によって、G1060注射器及びG1061針を備える投与単位G1023を用いて実施する。
液体は、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)で使用される蒸留水である。
平衡接触角の測定は、前述のそれぞれのアクセサリを含むDSA10システムに備えられた、標準使用説明書に準じて実施する。
測定は、大気及び室内条件、すなわち、25℃、相対湿度55%で実施する。
サンプルは、使用説明書に従って、DSA10システムのサンプルステージ上に設置する。
測定するサンプルの表面は、水平にすべきである。
【0068】
G1061針を備える注射器G1060を用いて、水滴をサンプルの表面上に置く。水滴の体積は、直径が1÷2mmの間の範囲になるように、注射器のマイクロメートル投与ねじを用いて正当に制御しなければならない。この範囲内では、接触角は液滴サイズに依存しない。
平衡接触角の測定は、ビデオ測定システムDSA1とDSAソフトウェアを備える液滴形状分析システムDSA10によって、自動的に実施される。ビデオ測定システムは、サンプル表面上に置かれた液滴の動画シーケンスを記録し、平衡接触角を有するように液滴をサンプル表面上に置く第1フレーム上で、測定を実際に実施する。
各々のサンプルに関し、表面の異なる点上で、5〜7の異なる測定を実施する。得られた最大値と最小値を破棄し、残りの値を平均して、調査する各サンプルに関して代表的な平衡接触角の値を確実に決定する。
【0069】
前述のサンプル調整手順に従ってスライドガラス上に形成した非常に薄い樹脂層により、室温で固体の樹脂だけでなく、室温で液体の樹脂に関しても、水との平衡接触角の有効で信頼性のある測定が提供される。ここで、室温で「固体」及び「液体」とは、前述の説明中の定義によるものとする。後者の場合、実際にスライドガラスにより、非常に薄い樹脂層サンプルに効果的な支持が提供され、樹脂に対して密度の高い水が引き起こすことのあるどのような有害な効果も回避される。換言すれば、ガラス基材によって支持された非常に薄い樹脂層と、液滴をサンプル表面上に置いた後で平衡接触角を自動測定するのに必要な非常に短い(数秒)時間を組み合わせた効果として、水滴の重量を受けて水平で平坦な樹脂表面自体が変形する可能性が妨げられ、したがって正確な平衡接触角測定が提供される。
(発明の分野)
本発明は、例えば組成物をフィルムなどの湿気透過性・液体不透過性層に形成することによって、湿気透過性・液体不透過性構造を製造するための、熱可塑性親水性ポリマー組成物に関する。本発明の組成物は、湿気透過性が望まれる様々な用途を見出すことができる。
【0002】
(発明の背景)
湿気透過性を提供することに加えて、液体障壁を提供する熱可塑性フィルムは、当該技術分野において既知である。特に好ましいものは、材料内の開口部または孔からは湿気を通さないが、水分をフィルムの湿度が高い側から吸収してフィルムの湿度が低い反対側に放出または蒸発させることにより、かなりの量の湿気をフィルムを通して輸送する親水性の連続フィルムである。このようなフィルムは、通常、熱可塑性親水性ポリマーまたはそのブレンドを含む、熱可塑性ポリマー組成物から形成される。
前述の特徴を有する熱可塑性親水性ポリマー組成物は、当該技術分野で「モノリシック組成物」としても知られており、それらから製造される湿気透過性・液体不透過性の層またはフィルムは、「モノリシック層」または「モノリシックフィルム」として知られている。
【0003】
例えば、PCT国際公開特許WO95/16746は、a)ブロックコポリエーテルエステル、ブロックコポリエーテルアミド(例えば、ペバックス(Pebax)(商標))、及び/またはポリウレタンと、b)aと相溶性でない熱可塑性ポリマーと、c)混和剤の混合物とから調製されるフィルムを開示している。そのフィルムは、液体不透過性で、湿気透過度が1日当たり約700g/m2である。また、米国特許第5,447,783号は、少なくとも3つの層を有する蒸気透過性・耐水性の多成分フィルム構造を開示している。その外層は、厚さが1.3〜7.6マイクロメートル、及びWVTRが400〜2500g/m2・24hの疎水性コポリエーテルエステルエラストマーであり、内層は、厚さが7.6〜152マイクロメートル、WVTRが少なくとも3500g/m2・24hの親水性コポリエーテルエステルエラストマーである。
【0004】
米国特許第5,445,875号は、耐水性・耐血液性・耐ウイルス性の、通気性の積層体を開示している。その積層体は、織布/不織布と、厚さが約1ミル(25.4マイクロメートル)のハイトレル(Hytrel)(商標)などの押出成形フィルムとを含む。
米国特許第5,532,053号は、不織布材料上に積層することのできる、湿分透過率の高い医療用フィルムを開示している。その積層フィルムは、ポリエーテルエステルコポリマーの第1層と、特定のポリマー群から選択される第2層及び第3層とを含む。そのフィルムは、MVTRが750g/m2・24hより高く(ASTM F−1249)、厚さが1ミル(25.4マイクロメートル)未満、好ましくは0.6ミル〜0.75ミル(15〜19マイクロメートル)である。
【0005】
米国特許第4,938,752号は、水透過性が低く、水蒸気透過率が(特に記載された試験で測定して)500g/m2・24h、厚さが5〜35マイクロメートルのコポリエーテルエステルのフィルムを含む吸収性物品を開示している。
支持基材については開示されていない。
米国特許第4,493,870号は、MVTR(ASTM E96−66)が少なくとも1000g/m2・24h、厚さが5〜35マイクロメートルのコポリエーテルエステルのフィルムで被覆された織物材料を含む、柔軟性のある層状の耐水性製品を開示している。
GB2024100号は、湿気透過性であるが液体は通さないミクロ孔質の疎水性外層と、MVTRが1000g/m2・24hより高いポリエーテルポリウレタンの親水性内層とを含む、柔軟性のある層状の耐水性物品を開示している。
【0006】
前述の従来技術の文書に示すように、湿気透過性・液体不透過性層を製造するための既知の熱可塑性親水性ポリマー組成物(「モノリシック組成物」)の好ましい使用とは、湿気透過性・液体不透過性複合構造の製造における使用であり、熱可塑性親水性ポリマー組成物の1つまたはそれ以上の層が、1つまたはそれ以上の異なる基材、例えば不織布などの繊維層に結合される。
異なる層の間の結合は、既知のいかなる接着手段で達成することができ、例えば接着剤を使用して、あるいは、例えば加熱接着など熱及び圧力を用いて達成することもできる。しかし、例えば接着剤を用いて接着すると、積層体構造にさらに層を追加することを意味し、、それがコスト、製造の容易性、及び結果として得られる構造の全体的通気性から見て望ましくないことがあるので、これらの既知の方法は好ましくない。一方、熱及び圧力に関係する手段は、湿気透過性を変性させることがあり、より可能性が高いことには、例えば層に不連続性または孔までも形成して液体不透過性に影響を及ぼし得るので、熱可塑性親水性ポリマー組成物から形成される層の一体性に有害な可能性がある。
【0007】
したがって、例えば複合層状構造を形成するために、前述の熱可塑性親水性ポリマー組成物から形成した湿気透過性・液体不透過性層を好適な基材、例えば不織布層に直接接着させることが好ましい。それは通常、溶融、半溶融、または可塑性状態にある熱可塑性ポリマー組成物の固有の粘着性を、例えば、熱可塑性親水性ポリマー組成物から製造されたフィルムを基材上に直接押出成形することによって、あるいはホットメルトコーティング、すなわち通常低粘性の溶融状態にある熱可塑性親水性ポリマー組成物の層で基材をコーティングすることによって利用することで達成される。特にホットメルトコーティングに好適な方法は、例えばPCT国際公開特許WO99/64077またはWO99/64505で参照され、低粘度でホットメルトコーティング処理に特に好適な、湿気透過性・液体不透過性構造のための熱可塑性親水性ポリマー組成物が開示されている。
【0008】
しかし、湿気透過性・液体不透過性構造を製造するための熱可塑性親水性ポリマー組成物(「モノリシック組成物」)に含まれる親水性ポリマーは、通常、極性の特徴を有し、可塑性状態、半溶融状態、及び完全な溶融状態にあるときでさえ、多くの基材、特に、少なくとも好適な繊維性基材に結合された少なくともモノリシック層またはフィルムを含む湿気透過性・液体不透過性複合構造の製造で好ましい、例えば合成非極性ポリマー繊維製のほとんどの不織布などの非極性基材への接着が不十分である。
例えば、熱可塑性親水性ポリマー組成物のフィルムまたは層を前述の基材上に直接形成及び接着することによって複合構造を製造する際に、繊維性不織布基材などの基材上への組成物の直接接着を改善するように、例えば溶融、半溶融、または可塑性状態にある、熱可塑性ポリマー組成物並びに特に熱可塑性親水性ポリマー組成物に所望の程度の接着性または粘着性を与えるため、好適な粘着付与樹脂を添加することが、当該技術分野で一般に知られている。粘着付与樹脂はまた、室温で安定状態にある熱可塑性ポリマー組成物に、永久的な接着性を付与するために添加することもできる。
【0009】
湿気透過性・液体不透過性構造のための熱可塑性親水性ポリマー組成物に既知の粘着付与樹脂を添加することの問題点とは、この添加が、例えば溶融、半溶融、または可塑性状態にある組成物に所望の程度の接着性または粘着性を付与するのに効果的である一方で、組成物自体から形成された層またはフィルムの通気性に有害でもあることである。換言すれば、既知の粘着付与樹脂を熱可塑性親水性ポリマー組成物に添加すると、その組成物から形成された「モノリシック」層またはフィルムの、厚さを通して湿気を透過させる能力が劇的に低下する。
したがって、本発明の目的は、好適な粘着付与樹脂またはそのブレンドを添加することによって、例えば溶融、半溶融、または可塑性状態だけでなく、室温における安定状態でも所望の程度の接着性または粘着性を有し、すなわち永久的な粘着性を有し、また同時により優れた湿気透過性特徴を有する、湿気透過性・液体不透過性構造のための熱可塑性親水性ポリマー組成物を提供することである。
【0010】
驚くべきことに、これは、前記熱可塑性親水性ポリマー組成物に関して、好ましい極性特性を有する粘着付与樹脂またはそのブレンドを選択することによって達成できることがわかった。極性特性は、好適な極性パラメータを用いて測定される。
所与の物質に関する好適な極性パラメータは、科学文献で周知であり、いくつかのパラメータの中から選択することができ、及び公知の方法に準じて測定可能である。極性パラメータは、例えば、その物質の平衡時の吸水率、またはヒルデブランド(Hildebrand)溶解度パラメータ、あるいは水との接触角、または二重接触角(dual contact angle)であることができる。本明細書に記載の方法に準じて測定される水との平衡接触角が、本発明による粘着付与樹脂の極性特性を測定する、特に好ましい極性パラメータであることがわかった。
【0011】
(発明の概要)
本発明は、湿気透過性・液体不透過性構造を製造するための熱可塑性親水性ポリマー組成物に関する。この組成物は、ポリウレタン、ポリエーテルアミドブロックコポリマー、ポリエチレンアクリル酸及びポリエチレンメタクリル酸のコポリマー、ポリエチレンオキシド及びそのコポリマー、エチレンアクリル酸エステル及びエチレンメタクリル酸エステルのコポリマー、ポリラクチド及びコポリマー、ポリアミド、ポリエステル及びコポリエステル、ポリエステルブロックコポリマー、スルホン化ポリエステル、ポリエーテルエステルブロックコポリマー、ポリエーテルエステルアミドブロックコポリマー、ポリアクリレート、ポリアクリル酸及び誘導体、アイオノマー、重量で少なくとも28%のビニルアセテートを含有するポリエチレンビニルアセテート、ポリビニルアルコール及びそのコポリマー、ポリビニルエーテル及びそのコポリマー、ポリ−2−エチル−オキサゾリン及び誘導体、ポリビニルピロリドン及びそのコポリマー、熱可塑性セルロース誘導体、ポリカプロラクトン及びコポリマー、ポリグリコリド、ポリグリコール酸及びコポリマー、ポリ乳酸及びコポリマー、ポリ尿素、またはこれらの混合物から成る群から選択される、熱可塑性親水性ポリマーまたは熱可塑性親水性ポリマー類の混合物と、相溶性の親水性粘着付与樹脂であって、本明細書に記載の平衡接触角測定試験に準じて測定したときに、水との平衡接触角が、86度以下、好ましくは84度以下、より好ましくは82度以下である、相溶性の親水性粘着付与樹脂、あるいはまた、相溶性の親水性粘着付与樹脂のブレンドであって、本明細書に記載の平衡接触角測定試験に準じて測定したときに、水との平衡接触角が、86度以下、好ましくは84度以下、より好ましくは82度以下である粘着付与樹脂または樹脂類を、重量で少なくとも50%含む相溶性の親水性粘着付与樹脂のブレンドのいずれかを含む。
【0012】
(詳細な説明)
本発明によれば、湿気透過性・液体不透過性構造を製造するための熱可塑性親水性ポリマー組成物が、少なくとも、熱可塑性親水性ポリマーまたは熱可塑性親水性ポリマーの混合物と、溶融、半溶融、または可塑性状態、及び/または室温における安定状態で、前記熱可塑性親水性ポリマー組成物に所望の程度の接着性または粘着性を与えるために、好適な相溶性の親水性粘着付与樹脂または好適な相溶性親水性粘着付与樹脂類のブレンドとを含む。
以下の説明では、用語「接着性」及び「粘着性」を同義語とみなす。
本明細書では、用語「通気性のある(breathable)」及び「通気性(breathability)」は、発明の背景の項で定義した「モノリシック組成物」及び「モノリシック層またはフィルム」と関連して、「湿気透過性の(moisture vapour permeable)」または「水蒸気透過性の(water vapour permeable)」、並びに「湿気透過性(moisture vapour permeability)」または「水蒸気透過性(water vapour permeability)」に対応するものとする。「湿気(moisture vapour)」と「水蒸気(water vapour)」も等価とみなす。
【0013】
本発明による組成物中に含まれる好適な熱可塑性親水性ポリマーとしては、ポリウレタン、ポリエーテルアミドブロックコポリマー、ポリエチレンアクリル酸とポリエチレンメタクリル酸のコポリマー、ポリエチレンオキシド及びそのコポリマー、エチレンアクリル酸エステルとエチレンメタクリル酸エステルのコポリマー、ポリラクチド及びコポリマー、ポリアミド、ポリエステル及びコポリエステル、ポリエステルブロックコポリマー、スルホン化ポリエステル、ポリエーテルエステルブロックコポリマー、ポリエーテルエステルアミドブロックコポリマー、ポリアクリレート、ポリアクリル酸及び誘導体、アイオノマー、重量で少なくとも28%のビニルアセテートを含有するポリエチレンビニルアセテート、ポリビニルアルコール及びそのコポリマー、ポリビニルエーテル及びそのコポリマー、ポリ−2−エチル−オキサゾリン及び誘導体、ポリビニルピロリドン及びそのコポリマー、熱可塑性セルロース誘導体、ポリ−カプロラクトン及びコポリマー、ポリグリコリド、ポリグリコール酸及びコポリマー、ポリ乳酸及びコポリマー、ポリ尿素、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0014】
本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物に好適なその他の熱可塑性親水性ポリマーは、主成分としてまたは官能化剤として、通常、無水マレイン酸、一酸化炭素、グリシジルメタクリレート、無水硫酸など、極性の強い成分を含有するポリマーであり、前記官能化剤は、反応、グラフト化、または共重合によって添加される。
特に好ましい熱可塑性親水性ポリマーは、熱可塑性ポリエーテルアミドブロックコポリマー(例えば、ペバックス(Pebax)(商標))、熱可塑性ポリエーテルエステルアミドブロックコポリマー、熱可塑性ポリエステルブロックコポリマー(例えばハイトレル(Hytrel)(商標))、熱可塑性ポリウレタン、通常は非反応性ポリウレタン(例えばエスタン(Estane)(商標))、またはこれらの混合物である。
【0015】
本発明による熱可塑性親水性ポリマー組成物中に含まれる親水性の粘着付与樹脂は、高い極性特性を持たなければならない。この極性特性は、好適な極性パラメータを用いて測定され表示される。
別法として、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物に親水性の粘着付与樹脂のブレンドを含むときには、このブレンドが、前記の高い極性特性を有する粘着付与樹脂を重量の少なくとも50%含まなければならない。ブレンドの各々の親水性粘着付与樹脂が、前記の高い極性特性を有することが好ましい。
好適な極性パラメータは、例えば、好適な試験方法を用いて測定したその親水性または溶解性(通常水への)から見て、物質の極性特性を測定するのに有用な、文献で既知のパラメータの中から選択することができる。例えば、本発明に関連して物質の極性特性を測定するのに好適な公知の極性パラメータには、平衡時の吸水率、またはヒルデブランド溶解度パラメータ、あるいは水との接触角、または二重接触角(dual contact angle)が含まれ、これらのパラメータは、物理化学分野で周知であり、科学及び技術文献に見ることのできる公知の方法に準じて測定可能である。
【0016】
本発明による粘着付与樹脂の極性特性を測定するための特に好適な極性パラメータが、本明細書に記載の平衡接触角測定試験方法に準じて測定される、親水性粘着付与樹脂の水との平衡接触角であることがわかった。水との平衡接触角は、共通界面における物質と水滴の間の相互作用から見た物質の親水度を実際に測るものである。
本発明によれば、親水性粘着付与樹脂は、本明細書に記載の平衡接触角測定試験に準じて測定したときに、その水との接触角が86度以下、好ましくは84度以下、より好ましくは82度以下である場合に、本発明による必要な高い極性特性を有する。
【0017】
あるいは、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物中に相溶性の親水性粘着付与樹脂のブレンドが含まれる場合、このブレンドは、本明細書に記載の平衡接触角測定試験に準じて測定した水との平衡接触角が86度以下、好ましくは84度以下、より好ましくは82度以下の粘着付与樹脂を、少なくとも50重量%含まなければならない。
しかし好ましくは、このようなブレンドの各々の相溶性の親水性粘着付与樹脂が、前述のその好ましい水との平衡接触角から見て表された、必要とされる高い極性特性を有するべきである。
本発明による熱可塑性親水性ポリマーまたはその混合物と相溶性があり、必要とされる高い極性特性を有する、好適な相溶性の親水性粘着付与樹脂またはそのブレンドは、それぞれの極性パラメータの値、すなわち前述の水との平衡接触角を測定することにより、また本明細書に記載の試験方法に準じて、利用可能な粘着付与樹脂の中から当業者が選択することができる。好適な樹脂は、例えばハーキュレス・インコーポレーテッド(Hercules Inc.)が製造する粘着性樹脂であり、コードResA−2690、ResA−2691、ResA−2682、ResA−2683、ResA−2698として入手可能である。
【0018】
本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物中に含まれる、高い極性特性を有する選択された好ましい親水性粘着付与樹脂またはそのブレンドは、一般に、2成分熱可塑性親水性ポリマー組成物を形成するためにこのような親水性粘着付与樹脂を純粋な熱可塑性親水性ポリマーに30重量%のレベルで添加するときに、親水性粘着付与樹脂と親水性ポリマーで構成される熱可塑性親水性ポリマー組成物から形成した厚さ50μmの連続フィルムの水蒸気透過速度(WVTR)が、純粋な親水性ポリマーから製造され粘着付与樹脂を含まない厚さ50μmの連続フィルムのWVTRの値の、少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%になるようなものであり、WVTRは、修正ASTM E−96「直立カップ(Upright Cup)」法に準じて測定する。30重量%とは、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物中の粘着付与樹脂に関する典型的な平均添加レベルに相当する。
【0019】
好ましくは、本発明による熱可塑性親水性ポリマー組成物が、親水性粘着付与樹脂のブレンドを含み、より好ましくはブレンドの各々樹脂が前述の条件を満たす極性パラメータを用いて選択されたものであり、このブレンドが少なくとも室温で液体の親水性粘着付与樹脂を含む。これは、こうすることで、熱可塑性親水性ポリマー組成物の処理性に有益となるからである。ただし、このようなブレンドの粘着付与樹脂の必ずしもすべてが室温で液体でないことが好ましい。
本明細書で、「室温で液体である粘着付与樹脂」とは、軟化点が25℃未満の粘着付与樹脂を意味し、この軟化点は、リング・アンド・ボール(Ring and Ball)法ASTM E28−67に準じて評価される。逆に、室温で固体の粘着性樹脂とは、軟化点が25℃より高い樹脂である。ここでは、温度25℃とは、従来通り「室温」に相当するものと考える。
【0020】
本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物中に含まれる、前述の熱可塑性親水性ポリマーまたはその混合物は、通常、フィルムまたは層形成処理、例えば高出力スクリュー押出成形機に関係する押出成形処理の典型的な処理条件における溶融状態で、高粘性にすることができる。例えば、それらの粘度が、DSC(示差走査熱量計)ピーク、あるいは2つ以上のピークを示すポリマー混合物の場合には最大DSCピークに相当するものとして識別される温度であるDSC融点より20℃高い温度において、1ラジアン(rad)/秒の振動数で、5000ポアズより高い可能性がある。
したがって、熱可塑性親水性ポリマー及び相溶性の親水性粘着付与樹脂を含む本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物は、処理条件における溶融状態で、なお高粘性にすることができる。
【0021】
本発明の好ましい実施形態において、本発明者らのPCT国際特許出願WO99/64077またはWO99/64505に開示のように、熱可塑性親水性ポリマー組成物に好適な可塑剤またはそのブレンドを加えることによって、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物の粘度を好ましくは任意選択的に調整することができ、この可塑剤またはそのブレンドは、熱可塑性親水性ポリマー及び親水性粘着付与樹脂とも相溶性があり、処理条件における溶融状態にある熱可塑性親水性ポリマー組成物の粘度を低下させる。
したがって、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物の粘度は、組成物をどのように処理するかに応じて可塑剤を適切に選択することによって調整することができる。例えば、当該技術分野で既知のように、処理条件において高い粘度を有する組成物に、フィルム押出成形技術を好適に使用することができる。あるいは、前述のPCT国際特許出願WO99/64077及びWO99/64505で説明されているように、組成物の処理に、好適なホットメルトコーティング処理が好ましい可能性もある。これは、処理条件における熱可塑性親水性ポリマー組成物の粘度を、好適な低いレベルで調整しなければならないことを意味する。
【0022】
このような場合、本発明のこの代替的な実施形態の熱可塑性親水性ポリマー組成物は、それらが好ましくは次の複素粘度(η*)を有するように、好適な可塑剤またはそのブレンドを含む。
振動数1ラジアン/秒、温度210℃以下では、50ポアズ<η*<4000ポアズ、好ましくは100ポアズ<η*<2000ポアズ、より好ましくは100ポアズ<η*<1000ポアズであり、振動数1000ラジアン/秒、処理温度(T)が210℃以下では、η*<2000ポアズ、好ましくはη*<1000ポアズ、より好ましくはη*<500ポアズであり、ここでη*は、熱可塑性親水性ポリマー組成物の複素粘度を示す。
好ましくは、温度Tが200℃以下、より好ましくは180℃以下、最も好ましくは200℃〜50℃である。
【0023】
本発明のこの好ましい実施形態によれば、前述の複素粘度を有する熱可塑性親水性ポリマー組成物により、低粘度のホットメルト組成物を基材上にコーティングして必要な厚さの層にする当該技術分野で公知の典型的なコーティング条件及び装置を用いてフィルムまたは層を基材にコーティングすることができ、また親水性の連続的な湿気透過性・液体不透過性層またはフィルムを提供する、好ましい熱可塑性親水性ポリマーの有利な特徴も維持することができる。
このような粘度を有する熱可塑性親水性ポリマー組成物は、また、非常に薄いフィルムまたは層を提供することもできる。
本発明の好ましい実施形態に従う熱可塑性親水性ポリマー組成物中に含まれる好適な相溶性可塑剤としては、クエン酸エステル、酒石酸エステル、グリセロール及びそのエステル、スクロースエステル、アジペート、セバケート、ソルビトール、エポキシ化植物油、重合植物油、ポリオール、フタレート、液体ポリエステル、グリコレート、p−トルエンスルホンアミド及び誘導体、グリコールとポリグリコール及びこれらの誘導体、ソルビタンエステル、ホスフェート、モノカルボキシル脂肪酸(C8〜C22)及びこれらの誘導体、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0024】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、特に好ましい可塑剤は、本発明者らのPCT国際特許出願WO99/64505号に開示の、酸、エステル、アミド、アルコール、多価アルコール、これらの混合物など、親水性の可塑剤である。この特に好ましい親水性可塑剤は、特に高い極性特性を有し、前記可塑剤またまたはそのブレンドを含む本発明の好ましい熱可塑性親水性ポリマー組成物から形成される、得られた層またはフィルムの湿気透過性を、同一の成分を含むが可塑剤を含まない熱可塑性親水性ポリマー組成物から形成された対応するフィルムまたは層に比べて損なわず、高めることさえあるというさらなる利点を与える。
特に好ましい親水性可塑剤またはそのブレンドも、もちろん、熱可塑性組成物を基材上にコーティングして所望の厚さの層またはフィルムにすることによって処理可能にするために、本発明の好ましい実施形態による熱可塑性組成物の粘度を好ましい値に調整することもできる。
【0025】
本発明のこの好ましい実施形態による好適な好ましい親水性可塑剤は、酸、エステル、アミド、アルコール、多価アルコール、またはこれらの混合物を含み、特に好ましい親水性可塑剤は、クエン酸エステル、酒石酸エステル、グリセロール及びそのエステル、ソルビトール、グリコレート、並びにこれらの混合物である。
本発明者らの、「湿気透過性構造のための改良型熱可塑性親水性ポリマー組成物(Improved thermoplastic hydrophilic polymeric compositions for moisture vapour permeable structures)」という名称の、同時係属欧州特許出願EP00121585.4(2000年10月2日出願)に記載のものの中から選択される可塑剤も、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物中で使用することができる。
【0026】
前記可塑剤は、リン酸のエステル;安息香酸、フタル酸、及びトリメリット酸のエステル;ポリカルボキシルオキシ酸のエステル;スルホンアミドホルムアルデヒド樹脂などのスルホンアミド及びその誘導体;スルホン類;多価アルコールのエステル;ラクチド;グリコリド;ラクトン;ラクタムから成る群から選択することができる。
前述のものの内の一つなど、好適な極性パラメータはまた、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物のその他の成分を選択するために使用することもできる。
特に、相溶性親水性粘着付与樹脂に関して既に説明したのと同一の原理による好適な極性パラメータを用いて、好ましい熱可塑性ポリマー、並びに任意選択的に好ましい相溶性親水性可塑剤を、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物のために選択することができる。本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物の異なる成分を選択するために、同一の極性パラメータを使用でき、あるいは異なる成分に異なる極性パラメータにもでき、当業者が決定することができる。
【0027】
好ましくは、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物が、その10重量%〜99重量%、好ましくは20重量%〜70重量%、より好ましくは30重量%〜50重量%の熱可塑性親水性ポリマーまたはその混合物と、その1重量%〜90重量%、好ましくは10重量%〜70重量%、より好ましくは20重量%〜50重量%の好適な相溶性親水性粘着付与樹脂またはそのブレンドを含む。
より好ましくは、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物はまた、その0重量%〜95重量%、好ましくは10重量%〜70重量%、より好ましくは20重量%〜50重量%の好適な相溶性可塑剤またはそのブレンドも含む。
さらに、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物は、組成物の処理性をさらに改善し、またこのような熱可塑性親水性ポリマー組成物から形成されたフィルムまたは層の、機械的特性、並びに光及び酸素によるエージングに対する耐性や、目に見える外観などの他の特性をさらに改善するために、追加的な任意成分をさらに含むことができる。
【0028】
本発明による熱可塑性親水性ポリマー組成物は、いかなる既知のプロセスによって製造することもでき、このプロセスは、通常、少なくとも熱可塑性親水性ポリマーまたはその混合物、好適な相溶性親水性粘着付与樹脂またはそのブレンド、並びに任意選択的に、前述したさらなる追加成分を提供する工程と、これらの成分を加熱する工程と、例えば既知の好適な混合器によってこれらを合成して、後続の処理工程のために溶融状態にある熱可塑性親水性ポリマー組成物を形成する工程とを含む。
あるいは、溶媒またはエマルション系を作成して、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物を処理するために、前記組成物から湿気透過性・液体不透過性構造を製造する際、並びにこの構造を含む物品を製造する際の、中間または最終工程として使用することもできる。
【0029】
本発明によれば、例えば前記熱可塑性親水性ポリマー組成物を基材上に置くことによって、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物から、湿気透過性・液体不透過性層を形成することができる。本発明の熱可塑性組成物から形成されるフィルムまたは層は、好ましくは、修正ASTM E−96「直立カップ(Upright Cup)」法に準じて測定される湿気透過速度が、少なくとも400g/m2・24h、より好ましくは少なくとも500g/m2・24h、さらに好ましくは少なくとも600g/m2・24h、最も好ましくは少なくとも1000g/m2・24hで、その厚さが少なくとも40μmである。より好ましくは、前述のフィルムまたは層が前述の好ましいWVTRレベルを有し、熱可塑性親水性ポリマー組成物が、本発明による親水性粘着付与樹脂またはそのブレンドを少なくとも30重量%含む。
【0030】
本発明によれば、これまでに説明した熱可塑性親水性ポリマー組成物からフィルムまたは層を形成でき、その厚さが約0.5μm〜約200μm及びそれ以上であり、このフィルムまたは層は、そのままで、あるいは例えば不織布繊維性基材を含む層状構造など、異なる基材との組合せで使用可能である。
より一般的には、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物から形成される構造の厚さは、一定にも、構造内で変化させることもできる。いかなる特定の厚さ範囲にも限定されるものではないが、用途によっては好ましい範囲がある可能性がある。例えば、使い捨て物品に含まれる構造に好ましい範囲は、好ましくは400ミクロンから0.5ミクロン未満の厚さ範囲が望まれ、特定の場合には、実質的に0.5ミクロン未満がより好ましいこともある。対照的に、建築用途またはさらに包装用途では、ある理由から、構造について200〜2000ミクロン、あるいはさらに厚い好ましい範囲が指示される。
【0031】
本発明による熱可塑性親水性ポリマー組成物から層またはフィルムを製造するプロセスは、通常、この組成物を提供する工程と、それを流動化させるために加熱する工程と、前述のように処理条件において組成物に関して達成される粘度に応じて、例えばフィルム押出成形処理またはホットメルトコーティング処理によって、溶融、半溶融、または可塑性状態にあるこの組成物を基材上で所望の厚さの層またはフィルムに形成する工程とを含む。原理的には、前記基材を単に成形基材とし、後で前記基材から分離して単独で使用する所望の厚さのフィルムまたは層を製造するために、熱可塑性親水性ポリマー組成物を基材の上に形成することもできるが、本発明の好ましい実施形態では、熱可塑性親水性ポリマー組成物と、熱可塑性組成物をその上に置く好適な基材とを含む、湿気透過性・水不透過性の複合構造を形成することができる。ここではこの基材も湿気透過性であることが好ましい。
【0032】
通常、相溶性の親水性粘着付与樹脂またはそのブレンドを添加することによって本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物に付与された好ましい接着性及び粘着性は、実際、例えば疎水性合成繊維を含む不織布層などの繊維性基材に、溶融、半溶融、または可塑性状態にあるフィルムまたは層の高い接着性を与え、同時に、フィルムまたは層、したがって好ましくは層状構造全体の高い通気性を維持する。
このことが次には、得られる複合構造の一体性をより良くし、したがって使用時の例えば層間剥離に対する耐性が高められ、また熱可塑性親水性ポリマー組成物の層を非常に薄くする。組成物のこの改善された接着特性及び得られる複合構造の耐性の増加を、例えば同様の組成物から形成されるが本発明の親水性粘着付与樹脂またはそのブレンドを含まない同一の厚さの層と比べた場合に、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物から形成した層の水蒸気伝達能力に、非常にわずかな影響、あるいは全く無害な影響と組み合わせる。本発明による特に好ましい親水性粘着付与樹脂はまた、同様の組成物から形成されるが本発明の親水性粘着付与樹脂またはそのブレンドを含まない、同一の厚さの層に比べて、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物から形成した層の水蒸気伝達速度を高めることもできる。
【0033】
本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物から、湿気透過性・液体不透過性構造(フィルム及び層に限らない)、並びにこの構造を含む物品を製造するために、その他の既知の方法を使用することもできる。
このような方法の分類は、一般に「成形」と記載され、しばしばオス型またはメス型の金型、または金型の組合せを用いて材料を形作る。技術によっては、所与の構造または物品の製造に、特定の処理温度及び圧力(または真空)条件が好ましいことがある。このような既知の成形方法としては、これらに限るものではないが、ディップ成形、吹込み成形、射出成形、圧縮成形、熱成形、真空熱成形、押出成形、回転成形、スラッシュ成形などが挙げられる。
本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物を処理するその他の既知の方法としては、フィルム・シート注型吹き込みフィルム技術、追加の幅出処理工程、追加のカレンダ工程、追加の焼入工程、追加の熱処理工程なども挙げられる。
【0034】
特定の生産条件の性質あるいは処理工程のタイプまたは順序は、選択される製造技術、環境条件、材料の形式などに応じて変更される。例えば、(i)溶媒(熱可塑性親水性ポリマー組成物の原材料の形に溶媒ベース形式を選択した場合)、(ii)水(熱可塑性親水性ポリマー組成物の原材料の形にエマルションベース形式を選択した場合)、あるいは(iii)熱(熱可塑性親水性ポリマー組成物の原材料の形にホットメルト形式を選択した場合)を取り除くための処理工程を含む必要があることもある。
2つまたはそれ以上の層を備えるフィルムまたはシートを製造することができ、その層の少なくとも1つが本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物を含む。これは、これに限るものではないが、共押出成形、押出コーティングを含めて、様々な既知の手段によって達成することができる。
【0035】
構造または物品全体を、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物だけで構成するのが好ましい場合もあるが、構造または物品は、1つまたはそれ以上の他の材料との複合体にすることができる。例えば、この複合体は、本発明の特定の熱可塑性親水性ポリマー組成物の2またはそれ以上の成分、あるいは本発明の異なる特定の熱可塑性親水性ポリマー組成物を含むことができる。
あるいは、複合体が、熱可塑性親水性ポリマー組成物の少なくとも1成分を、1つまたはそれ以上の他の材料と組み合わせて含むこともできる。このような材料としては、これに限るものではないが、繊維、繊維状芯(fibrous batts)、不織布、織布、紙、金属箔、ミクロ孔質膜または多孔性膜、ポリマーフィルムなどのフィルム、圧縮石膏シートなどの無機構造、穴あきまたは有孔フィルム及び紙、巨視的に拡張されたフィルム、布、材木などの実質的に剛性の繊維ベース材料が挙げられる。
【0036】
前記のその他の成分は、非吸収性成分、吸収性成分、液体含有成分などでもよい。
本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物はまた、例えば多孔性発泡体構造を形成するために、既知の手段によって独立気泡発泡体を含めた発泡体として製造することもできる。
その他の有用な技術は、スプレーコーティング処理である。本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物は、加熱スプレー技術に適しているが、加熱すると、スプレーコーティングまたはスパッタリングできるように粘度が十分に低下する。このような熱可塑性親水性ポリマー組成物のスプレーコーティングは、物品の表面または壁面を形成するために、オス型またはメス型の金型の支援によって実施することができる。その後、物品と金型(または金型部分)を互いに引き離す。あるいは、スプレーコーティング方法は、溶媒ベース手法やエマルションなど、ポリマー組成物の様々な形式の出発原料を使用することもできる。
【0037】
本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物を含み、スプレーコーティング手法を用いる複合物品の場合、その他の材料が単独で十分な3次元構造を提供して、他の材料が金型として働き、その後それを十分にコーティングして、前述のように金型から物品が離れるのを防ぎながら、複合物品を完成する。
本発明の一実施形態では、湿気透過性・液体不透過性の複合層状構造が提供され、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物から形成された層が複合材料の全体的な性能に寄与するのは、通気性のある液体障壁の提供だけであるので、可能な限り薄く提供することができて有利である。残りの性能の物理的基準は、その後好ましくは与えられた基材によって提供されるので、支持体層としても働くことが好ましい。
基材または支持層は、好ましくは湿気透過性のどのような有用な層でもよく、湿気透過性が少なくとも100g/m2・24h、より好ましくは少なくとも300g/m2・24h、最も好ましくは少なくとも500g/m2・24hであることが好ましい。
【0038】
本発明で支持層として使用するのに好適な基材には、2次元平面状のミクロ孔質及びマクロ孔質フィルム、巨視的に拡張されたフィルム、成形有孔フィルム、不織布及び織布層が含まれる。本発明によれば、前記層の孔はどのような構成にすることもできるが、球形または横長形が好ましく、様々な寸法にすることもできる。これらの孔は、層の表面全体に均一に分散していることが好ましいが、表面の特定の領域だけに孔を有する層も考えている。
【0039】
好適な2次元多孔性平面状層は、当該技術分野で既知のどのような材料で製造することもできるが、一般的に入手可能なポリマー材料から製造することが好ましい。好適な材料には、例えば、いわゆる通気性衣料における用途に関する当該技術分野で周知の、ゴアテックス(Goretex)(商標)またはシンパテックス(Sympatex)(商標)タイプの材料がある。その他の好適な材料としては、ミネソタ・マイニング・アンド・マニュファクチャリング社(Minnesota Mining and Manufacturing Company)(米国ミネソタ州セントポール)のXMP−1001、及びエクソン・ケミカル社(Exxon Chemical Company)から販売されるエグザイア(Exxaire)XBF−101Wが挙げられる。本明細書で使用するとき、2次元平面状の層という用語は、深さが1mm未満、好ましくは0.5mm未満の層を指し、前記孔は、これらの長さに沿って均一の平均直径を有し、層の平面からは突き出していない。本発明で使用するための有孔材料は、欧州特許EPO293,482号及びその特許中の参照文献に記載のものなど、当該技術分野で既知のどのような方法を用いて生産することもできる。
【0040】
好適な有孔成形フィルムには、層表面の水平面を超えて延び、その結果突出部を形成する、別個の孔を有するフィルムが含まれる。これらの突出部は、その終端部にオリフィスを有する。好ましくは前記突出部が、米国特許第3,929,135号に記載されているのと同様、漏斗形状である。平面内に位置する孔及び突出部自体の終端部に位置するオリフィスは、突出部末端のオリフィスの横断面の寸法または面積が、層表面に位置する孔の横断面の寸法または面積より小さければ、円形または非円形になるかもしれない。好ましくは、前記有孔事前成形フィルムが単一方向性であり、完全ではなくとも、少なくとも実質的に1方向に流体輸送する。
【0041】
本発明で使用するのに好適な、巨視的に拡張されたフィルムには、例えば、米国特許第4,637,819号及び米国特許第4,591,523号に記載のフィルムが含まれる。
本発明で使用するのに好ましい支持体層には、織布及び不織布層、最も好ましくは疎水性の不織布などの疎水性の繊維層が含まれる。
本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物を含む複合層状通気性構造を製造するための前述の基材のほとんどが、かなりまたは非常に極性特性に乏しいポリマー製であるので、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物の高い通気性と組み合わされた向上された接着性を組み合わせて特に利用している。
【0042】
本発明のこの好ましい実施形態の複合層状構造は、所望の厚さを有する層として熱可塑性組成物を支持基材上に形成できる複合体を提供することができるので、特に好都合である。例えば、前述のように、処理条件において熱可塑性親水性ポリマー組成物の粘度を適切に調整すると、熱可塑性親水性ポリマー組成物を基材上に所望の厚さで提供するために、低粘度ホットメルトを直接コーティングする当該技術分野で既知の典型的なコーティング条件及び装置を容易に利用することができる。あるいは、本発明による熱可塑性親水性ポリマー組成物が処理条件において高い粘度を有する場合、フィルム押出など、その他の既知のプロセスを使用することもできる。
【0043】
支持体層として働く基材上に熱可塑性組成物をコーティングして複合積層体を形成する可能な方法については、PCT国際公開特許WO96/25902に記載されている。
本発明による湿気透過性・液体不透過性構造を製造するための熱可塑性親水性ポリマー組成物については、通常、溶融、半溶融、または可塑性状態における所望の接着性または粘着性を備えるものとして、ここまでに説明してきた。これは、例えば、基材、例えば疎水性繊維を含む好ましい不織布などの非常に極性特性が低い基材上に熱可塑性親水性ポリマー組成物が層またはフィルムとして直接的に形成された、より安定な湿気透過性・液体不透過性層状複合構造を形成するために、本発明の好ましい実施形態で望ましいものであり、基材への接着性の向上が、得られる層またはフィルムの湿気透過性を損ねることはない。
【0044】
意図される使用によっては、前記熱可塑性組成物、並びに次には湿気透過性・液体不透過性構造、例えばそれらから製造される層及び複合体の、室温における前記熱可塑性組成物の残存粘着性のレベルを調整するために、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物を配合することもできる。こうすることで、特に、前記層がそれ自体の表面に対する圧縮を受け、通常は層が表面に実際に接着しないときには、例えば湿気透過性・液体不透過性構造に含まれる前記熱可塑性親水性ポリマー組成物の層と、使用時に前記層が接触するように意図された表面との間に、通常は使用条件において確立される摩擦の調整が可能になる。
【0045】
以下に詳細に説明するように、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物の考えられる用途は、保護カバー、例えば、マットレスや枕カバーなどの寝具保護カバー、またあるいは布張りをした椅子やソファなどの保護用家具覆い、一般には保護すべき物品を覆って位置しそれに接触するように意図された保護カバー用の、層及び複合体におけるものである。本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物を含む層、例えば積層体構造内の層と、前記層に接触する表面との間の摩擦が高まると、使用時に生じることのある、層と表面の間の相対運動を防ぎまたは少なくとも低減させながら、表面に対して相対的に、液体不透過性・蒸気透過性層の安定性を高めるのに特に好ましい可能性がある。例えば、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物が、蒸気透過性・液体不透過性のマットレスまたは枕カバーを構成する積層構造中の層として含まれ、前記層が接触して置かれる表面がマットレスまたは枕の表面である場合、使用時に、マットレスとマットレスカバー、あるいは枕と枕カバーの間に、例えば睡眠時のユーザの運動によって相対運動が生じる。したがって、使用時にマットレスまたは枕カバーが誤った位置になる危険性は、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物の調整された残存粘着性によって前記摩擦が高められることにより、大きく低減される。
【0046】
より一般的には、所望の摩擦の増加によって向上される前記安定性が、次には、本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物を含む液体不透過性・湿気透過性構造用の材料の使用を軽量で安価なものにし、それが、使い捨て構造の状況で有益である。湿気透過性・液体不透過性構造に含まれる前記材料が使用時に耐える必要のある応力が小さいので、材料をより薄くすることができ、したがって、液体不透過性に加えてよりすぐれた湿気透過性が得られ、さらにより軽量にできる。このような構造を使用後に処分すると、また、材料の廃棄量が低減される。
本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物の残存粘着性のレベルを調整すると、保護カバーとは異なる、前記熱可塑性組成物の他の使用における有利な用途も見出すことができる。これについては、以下により詳細に開示する。
【0047】
本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物は、さらに、感圧接着特性を有するように、すなわち熱可塑性親水性ポリマー組成物がどの温度でも粘着性を保つように配合することができる。換言すれば、室温における残存粘着性のレベルを高めるように組成物を配合することによって、熱可塑性組成物の層、例えば積層体構造に含まれる層と、前記層が接触する表面との間の摩擦を、前記組成物、また次には層が実際に表面に貼付するレベルまで高めることができる。これは、本発明の熱可塑性組成物の意図する使用に応じて、当業者が容易に見つけられるいくつかの用途を見出すことができる。前記熱可塑性組成物はまた、例えば、連続的な湿気透過性・液体不透過性接着層が、例えば使い捨て吸収性物品中の構成接着剤として、あるいは通気性接着テープなど、前記使い捨て吸収性物品を下着または身体に固定する接着剤で必要とされるすべての用途において特に有用である。
【0048】
本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物及び湿気透過性・液体不透過性の構造、例えば、それらから形成される層及び複合体は、液体不透過性及び湿気透過性が望まれる多くの用途で有用性が見出されている。特に本発明は、おむつ、生理用ナプキン、パンティライナー、失禁用製品及び母乳パッドなどの吸収性物品;腋下発汗パッド、手首発汗パッド、頭部発汗パッド、襟インサート、靴インサート、ハットバンドなどの発汗パッド;マットレスカバー、枕カバー、保護用衣類などの保護用寝具カバーに効果的に利用することができる。
【0049】
本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物を含むその他の物品はまた、グローブ、指サック、ミット、ミトンなどのハンドカバー;靴下、タイツ、パンティーストッキング、靴、スリッパなどのフットまたはレッグカバー;帽子、キャップなどのヘッドカバー;コンドーム、膣腔内部に置かれる精液遮断体などの性病予防品;マスク、ノーズカバー、イアーカバー、またはミットなどのフェイスカバー;男性器「競技用」サポーター、ブラジャーなどの身体サポート品;下着、保護スリーブ、または保護パッド中に一部または全体を組み込んだものとして使用するための成形衣類を含む。物品及び用途のその他の例としては、これに限るものではないが、ヒトまたはその他の生物用の柔軟性衣料またはドレープ衣料品、例えば、シャツ、パンツ、下着、よだれかけ、スモック、コート、スカーフ、着ぐるみ、ストッキング、きゃはん、スカート、ドレスなどの非限定例が挙げられ;医療専門家用、農業業務用、機械組立及び修理業用、緊急公的業務用、軍用、競技用、清掃用などの種々の事業及び業務用の他の柔軟性衣料またはドレープ衣類が挙げられる。
【0050】
その他の例の使用カテゴリには、これに限るものではないが、生鮮品及び焼製品(パン、ロール、ケーキ)などの食品用包装が含まれる。
使用カテゴリのその他の例には、これに限るものではないが、個々の物品(容器、三次元「バッグ」)などの農耕または園芸使用が含まれ、これは個々のまたは特定の植物群を部分的または全体的に包むために置かれる。
さらに他の使用カテゴリの例には、布張りをした椅子やソファなどの保護用家具覆い、または屋根葺き、テント用の保護用の耐水性・通気性材料も含まれる。
本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物を含む物品は、一般に、柔軟性または剛性にすることができる。
このようなすべての物品は、通常、使い捨てにすることもできる。好ましくは、本発明の熱可塑性組成物から形成される湿気透過性・液体不透過性構造体、例えば、層及び複合体の全体的な水蒸気透過速度が、少なくとも300g/m2・24h、より好ましくは少なくとも500g/m2・24hである。
【0051】
本発明の熱可塑性親水性ポリマー組成物を好適な基材上に成形することによって形成される湿気透過性・液体不透過性複合構造は、使い捨て吸収性物品、特に生理用ナプキン及びパンティライナー、さらにはおむつ、失禁用製品、及び母乳パッド用のバックシートとして、特に有用であることがわかっている。このような物品は、通常、液体透過性トップシート、吸収性コア、バックシートなど、当業者に既知の構成要素を含み、任意選択的に固定手段やウイングなどの他の構成要素を含むことができる。
本発明による好ましい親水性粘着付与樹脂は、また、ポリオレフィン、例えばポリエチレンまたはポリプロピレン、あるいはスチレンブロックコポリマーなど(これらはすべて実質的に湿気及び液体不透過性で非親水性ポリマー)、本来は蒸気透過性でない熱可塑性ポリマーに、最終的な熱可塑性組成物にある程度の湿気透過性を与えるために添加することもできる。
【0052】
(実施例)
実施例1
本発明によるサンプル、並びに2つの比較用サンプルの水蒸気透過速度(WVTR)を、修正ASTM E−96「直立カップ(Upright Cup)」法で測定した。それを以下の表Iaに示す。
サンプルは、すべて、既知の手段によって、以下の表Iによる3つの異なる熱可塑性ポリマー組成物を化合し、またそのそれぞれを厚さ40μmの連続フィルムに溶融押出しすることによって得た。
組成物中で使用した原材料は、アトフィナ(Atofina)(フランス)から入手可能で商品名ペバックス(Pebax)2533で熱可塑性親水性ポリマーとして市販されているポリエーテル−アミドブロックコポリマー;相溶性可塑剤としてアルドリッチ社(Aldrich Co.)から入手可能なクエン酸トリエチル;ハーキュレス・インコーポレーテッド(Hercules Inc.)から入手可能で商品名フォーラル(Foral)85−Eとして販売されている粘着付与樹脂;ハーキュレス・インコーポレーテッド(Hercules Inc.)によって製造されコードResA−2691として入手可能な本発明による粘着付与樹脂;酸化防止剤としてチバ・ガイギー(Ciba−Geigy)から入手可能なイルガノックス(Irganox)1010である。
【0053】
3つのサンプルに使用される組成物の成分及びパーセンテージは、以下の表Iに示す。
本明細書に記載の平衡接触角測定試験方法に準じて測定した、水との平衡接触角は、従来の樹脂フォーラル(Foral)85−Eでは88.3度、本発明による樹脂ResA−2691では81度である。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
表Iaに示すように、本発明による熱可塑性親水性ポリマー組成物から形成したフィルム(サンプル1)は、従来技術の粘着付与樹脂を含む組成物から形成した同様のフィルム(サンプル2)より6倍高い水蒸気透過速度を示す。親水性ポリマーとサンプル1及び2の可塑剤だけを含む組成物から、同じ50/50比で形成されたフィルム(サンプル3)水蒸気透過速度も、表Iaに示す。
サンプル1及び2のWVTR値をサンプル3の相当する値と比較することによって、熱可塑性親水性ポリマー組成物中に従来の粘着付与樹脂が存在すると、水蒸気透過速度が、粘着付与樹脂を含まない対応する組成物から作製したフィルム(サンプル2及び3)に比べて劇的に減少することがわかった。
これに対し、本発明による粘着付与樹脂を含むサンプル1は、粘着付与樹脂を含まない対応する組成物(サンプル3)の水蒸気透過速度の66%より多くを維持する。
【0057】
実施例2
実施例2は、同一の熱可塑性親水性ポリマーと、一定量の粘着付与樹脂(サンプル5では本発明による粘着付与樹脂、サンプル6では従来の粘着付与樹脂)とを含む組成物から製造された2つのサンプルの水蒸気透過速度(WVTR、実施例1で述べたのと同一の試験方法に準じて測定する)を、熱可塑性親水性ポリマーだけを含む組成物から製造されたサンプル(サンプル4)のWVTRを比較する。各々の組成物はまた、一定量の酸化防止化合物(イルガノックス(Irganox)1010)を含む。
サンプルは、実施例1で既に述べたように、それぞれの熱可塑性親水性ポリマー組成物を化合し、その各々を同じ50μmの厚さの連続フィルムに溶融押出しすることによって得た。
以下の表IIは、特定の成分を、サンプル4、5、及び6に使用する熱可塑性親水性ポリマー組成物のそれぞれのパーセンテージ、並びにそれらから製造したフィルムのそれぞれのWVTR値と共に示す。単一成分及びその有効性については、既に前述の実施例1で参照した。
【0058】
【表3】
【0059】
表IIは、本発明による熱可塑性親水性ポリマー組成物から製造したフィルム(サンプル5)が、純粋な親水性ポリマーだけから製造された同じ厚さのフィルム(サンプル4)のWVTRのほとんど54%を維持し、従来の組成物から製造したフィルム(サンプル6)が純粋なポリマーから製造したフィルムのWVTRの約35%しか維持しないことを示す。
【0060】
実施例3
本発明による湿気透過性・液体不透過性複合体層状構造について、実施例3として説明する。
アトフィナ(Atofina)(フランス)から入手可能で商品名ペバックス(Pebax)2533SNとして市販されているポリエーテル−アミドブロックコポリマーを、アルドリッチ社(Aldrich Co.)から入手可能なクエン酸トリブチル(可塑剤)、ハーキュレス・インコーポレーテッド(Hercules Inc.)からコードResA−2691及びResA−2690として入手可能な2つの親水性粘着付与樹脂のブレンド、並びにチバ・ガイギー(Ciba−Geigy)から入手可能なイルガノックス(Irganox)1010(酸化防止剤)と化合する。
最終配合は重量パーセントによるものであり、以下の組成物を有する:
【0061】
【表4】
【0062】
熱可塑性組成物を、ホットメルトコーティング処理によって繊維性基材上に直接コーティングして、秤量20g/m2の連続フィルムを形成する。この繊維性基材は、秤量25g/m2のSMS(スパンボンド−メルトブロウン−スパンボンド構造)疎水性100%ポリプロピレン不織布(支持層)で、コロビン−BBA不織布グループ(Corovin−BBA Nonwovens Group)(ドイツ)から商品名MD3000として入手可能である。複合湿気透過性・液体不透過性層状構造は、全体的な厚さが230μmで、WVTRが846g/m2・24hである。
【0063】
試験方法
本発明によれば、複素粘度η*は、レオメトリックス社(Rheometrics Co.)から入手可能なレオメータRDA−IIを用いて測定する。湿気透過性は、修正ASTM E−96「直立カップ(Upright Cup)」法に準じて、25℃、相対湿度55%における水蒸気透過速度(WVTR)として測定する。標準ASTM E−96「直立カップ」法に対する唯一の修正が、サンプルとカップ内の水表面との間のエアギャップの高さにおける変更であり、その高さは、標準試験法に指定の19mm±2.5mmの代わりに3mm±0.5mmにしている。
【0064】
平衡接触角測定試験
以下に説明する試験方法は、本発明による熱可塑性親水性ポリマー組成物に含むことを意図した粘着付与樹脂の、水との平衡接触角の測定を意図するものである。当該技術分野で公知のように、接触角は、液体によって固体が濡れる現象または濡れない現象を測るものである。平衡接触角は、水平な物質表面上で平衡にある液滴上で測定される。液滴のベースラインと液滴境界における接線の間の角度を測定する。
【0065】
装置
気候制御した実験室を、25℃、相対湿度55%に維持する。
ビデオ測定システムDSA1とWindows(登録商標)95NT用DSAソフトウェア・バージョン1.5とを備える、液滴形状分析システム(Drop Shape Analysis System)DSA10
G1060 1ml注射器及びG1061針(長さ30mm、直径0.5mm)を備える投与単位G1023
顕微鏡スライドガラス10mm×30mm
調整オーブン
システムDSA10及びアクセサリDSA1並びにDSAソフトウェアG1023、G1060、G1061は、クリュス株式会社(Kruss GmbH)(ドイツ、ハンブルクD22453)から販売されている。
サンプルの調製及び以下に説明する接触角測定は、気候制御実験室で実施する。
【0066】
サンプルの調製
水との平衡接触角測定のための樹脂サンプルの調製は、以下の工程を含む:
1.好適な有機溶媒中の、10重量%の樹脂の溶液を調製する。高度に希釈して溶液を非常に低粘度にする。本発明の状況で使用する粘着付与樹脂を溶解し、また即座に揮発する、好適な溶媒を選択しなければならない。したがって、好適な溶媒は、沸点が、大気圧で100℃以下、好ましくは80℃以下である。この試験方法では、特に好適な溶媒としてテトラヒドロフランを選択した。
2.清潔な顕微鏡スライドガラス(予め全体をメタノールで洗浄し乾燥させる)を完全に溶液に浸す。
3.スライドガラスをゆっくり溶液から取り出し、約10秒間垂直に維持して両面を均一にコーティングする。溶媒はほとんどすぐに蒸発し、ガラス表面上に均一な厚さと滑らかな表面を有する樹脂の非常に薄い連続層を形成する。目視検査でこのような特徴を示さないサンプルは廃棄しなければならない。
4.表面に触れずにサンプルを約10分間空乾する。
5.調整オーブン内に、サンプルを温度40℃、相対湿度85%で少なくとも12時間置く。
6.サンプルを調整オーブンから取り出し、室温25℃に達するまで、気候実験室に約20分間置いて冷却する。
7.平衡接触角を測定する。工程(3)で説明したように、樹脂コーティングが均一で表面が滑らかであれば、スライドガラスのどちらの側で実際に接触角測定を実施するかは関係がない。
【0067】
接触角測定
接触角測定は、ビデオ測定システムDSA1とDSAソフトウェアを備える、液滴形状分析システムDSA10によって、G1060注射器及びG1061針を備える投与単位G1023を用いて実施する。
液体は、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)で使用される蒸留水である。
平衡接触角の測定は、前述のそれぞれのアクセサリを含むDSA10システムに備えられた、標準使用説明書に準じて実施する。
測定は、大気及び室内条件、すなわち、25℃、相対湿度55%で実施する。
サンプルは、使用説明書に従って、DSA10システムのサンプルステージ上に設置する。
測定するサンプルの表面は、水平にすべきである。
【0068】
G1061針を備える注射器G1060を用いて、水滴をサンプルの表面上に置く。水滴の体積は、直径が1÷2mmの間の範囲になるように、注射器のマイクロメートル投与ねじを用いて正当に制御しなければならない。この範囲内では、接触角は液滴サイズに依存しない。
平衡接触角の測定は、ビデオ測定システムDSA1とDSAソフトウェアを備える液滴形状分析システムDSA10によって、自動的に実施される。ビデオ測定システムは、サンプル表面上に置かれた液滴の動画シーケンスを記録し、平衡接触角を有するように液滴をサンプル表面上に置く第1フレーム上で、測定を実際に実施する。
各々のサンプルに関し、表面の異なる点上で、5〜7の異なる測定を実施する。得られた最大値と最小値を破棄し、残りの値を平均して、調査する各サンプルに関して代表的な平衡接触角の値を確実に決定する。
【0069】
前述のサンプル調整手順に従ってスライドガラス上に形成した非常に薄い樹脂層により、室温で固体の樹脂だけでなく、室温で液体の樹脂に関しても、水との平衡接触角の有効で信頼性のある測定が提供される。ここで、室温で「固体」及び「液体」とは、前述の説明中の定義によるものとする。後者の場合、実際にスライドガラスにより、非常に薄い樹脂層サンプルに効果的な支持が提供され、樹脂に対して密度の高い水が引き起こすことのあるどのような有害な効果も回避される。換言すれば、ガラス基材によって支持された非常に薄い樹脂層と、液滴をサンプル表面上に置いた後で平衡接触角を自動測定するのに必要な非常に短い(数秒)時間を組み合わせた効果として、水滴の重量を受けて水平で平坦な樹脂表面自体が変形する可能性が妨げられ、したがって正確な平衡接触角測定が提供される。
Claims (10)
- 熱可塑性親水性ポリマー組成物であって、
熱可塑性親水性ポリマーまたは熱可塑性親水性ポリマー類の混合物であって、前記熱可塑性親水性ポリマー、あるいは前記混合物中の各々の前記熱可塑性親水性ポリマーが、ポリウレタン、ポリエーテルアミドブロックコポリマー、ポリエチレンアクリル酸及びポリエチレンメタクリル酸のコポリマー、ポリエチレンオキシド及びそのコポリマー、エチレンアクリル酸エステル及びエチレンメタクリル酸エステルのコポリマー、ポリラクチド及びコポリマー、ポリアミド、ポリエステル及びコポリエステル、ポリエステルブロックコポリマー、スルホン化ポリエステル、ポリエーテルエステルブロックコポリマー、ポリエーテルエステルアミドブロックコポリマー、ポリアクリレート、ポリアクリル酸及び誘導体、アイオノマー、少なくとも28重量%のビニルアセテートを含有するポリエチレンビニルアセテート、ポリビニルアルコール及びそのコポリマー、ポリビニルエーテル及びそのコポリマー、ポリ−2−エチル−オキサゾリン及び誘導体、ポリビニルピロリドン及びそのコポリマー、熱可塑性セルロース誘導体、ポリカプロラクトン及びコポリマー、ポリグリコリド、ポリグリコール酸及びコポリマー、ポリ乳酸及びコポリマー、ポリ尿素、またはこれらの混合物から成る群から選択される、熱可塑性親水性ポリマーまたは熱可塑性親水性ポリマー類の混合物、並びに
相溶性の親水性粘着付与樹脂であって、本明細書に記載の平衡接触角測定試験に準じて測定したときに、水との平衡接触角が、86度以下、好ましくは84度以下、より好ましくは82度以下である、相溶性の親水性粘着付与樹脂、あるいは、
相溶性の親水性粘着付与樹脂のブレンドであって、本明細書に記載の平衡接触角測定試験に準じて測定したときに、水との平衡接触角が、86度以下、好ましくは84度以下、より好ましくは82度以下である粘着付与樹脂または樹脂類を少なくとも50重量%含む、相溶性の親水性粘着付与樹脂のブレンド、
のいずれかを含むことを特徴とする熱可塑性親水性ポリマー組成物。 - 前記親水性粘着付与樹脂のブレンド中の各々の親水性粘着付与樹脂が、本明細書に記載の平衡接触角測定試験に準じて測定したときに、水との平衡接触角が86度以下、好ましくは84度以下、より好ましくは82度以下であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性親水性ポリマー組成物。
- 前記熱可塑性親水性ポリマーまたは前記可塑性親水性ポリマーの混合物が、熱可塑性ポリエーテルアミドブロックコポリマー、熱可塑性ポリエーテルエステルアミドブロックコポリマー、熱可塑性ポリエステルブロックコポリマー、熱可塑性ポリウレタン、またはこれらの混合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性親水性ポリマー組成物。
- 前記熱可塑性親水性ポリマー組成物が、好適な相溶性可塑剤または好適な相溶性可塑剤のブレンドをさらに含み、
前記好適な相溶性可塑剤または前記好適な相溶性可塑剤のブレンド中の各々の可塑剤が、クエン酸エステル、酒石酸エステル、グリセロール及びそのエステル、スクロースエステル、アジペート、セバケート、ソルビトール、エポキシ化植物油、重合植物油、ポリオール、フタレート、液体ポリエステル、グリコレート、p−トルエンスルホンアミド及び誘導体、グリコールとポリグリコール及びその誘導体、ソルビタンエステル、ホスフェート、モノカルボキシル脂肪酸(C8〜C22)及びその誘導体、並びにこれらの混合物から成る群から選択されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性親水性ポリマー組成物。 - 前記好適な相溶性可塑剤または前記好適な相溶性可塑剤のブレンドが、クエン酸エステル、酒石酸エステル、グリセロール及びそのエステル、ソルビトール、グリコレート、並びにこれらの混合物を含むことを特徴とする請求項3に記載の熱可塑性親水性ポリマー組成物。
- 前記熱可塑性親水性ポリマー組成物が、
前記熱可塑性親水性組成物を基準として、10重量%〜99重量%、好ましくは20重量%〜70重量%、より好ましくは30重量%〜50重量%の、前記熱可塑性親水性ポリマーまたは熱可塑性親水性ポリマーの混合物と、
前記熱可塑性ポリマー親水性組成物を基準として、1重量%〜90重量%、好ましくは10重量%〜70重量%、より好ましくは20重量%〜50重量%の、前記相溶性の親水性粘着付与樹脂または相溶性親水性粘着付与樹脂のブレンドと、
前記熱可塑性ポリマー親水性組成物を基準として、0重量%〜95重量%、好ましくは10重量%〜70重量%、より好ましくは20重量%〜50重量%の、前記好適な相溶性可塑剤または好適な相溶性可塑剤のブレンドと
を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の熱可塑性親水性ポリマー組成物。 - 前記熱可塑性親水性ポリマー組成物が、70重量%の前記熱可塑性親水性ポリマー類の1つと、30重量%の前記親水性粘着付与樹脂類の1つとを含み、
前記熱可塑性親水性ポリマー組成物を厚さ50μmの連続フィルムに形成したときに、そのフィルムの水蒸気透過速度(WVTR)が、前記と同一である100重量%の熱可塑性親水性ポリマーによって形成した同じ50μmの厚さを有する連続フィルムの水蒸気透過速度(WVTR)の少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%となるものであり、
前記水蒸気透過速度(WVTR)は修正ASTM E−96「直立カップ(Upright Cup)」法に準じて測定されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の熱可塑性親水性ポリマー組成物。 - 請求項1〜6のいずれかの熱可塑性親水性ポリマー組成物から形成された湿気透過性の層であって、
前記層が液体不透過性であり、前記水蒸気透過速度(WVTR)が少なくとも400g/m2・24h、好ましくは少なくとも500g/m2・24h、より好ましくは少なくとも600g/m2・24h、最も好ましくは少なくとも1000g/m2・24hであり、前記層の厚さが少なくとも40μmであり、
前記熱可塑性親水性ポリマー組成物が少なくとも30重量%の前記親水性粘着付与樹脂または前記親水性粘着付与樹脂類のブレンドを含み、
前記水蒸気透過速度(WVTR)は修正ASTM E−96「直立カップ」法に準じて測定されたものである、ことを特徴とする湿気透過性の層。 - 湿気透過性、液体不透過性の層状構造であって、
湿気透過性の基材と、前記基材に接着された請求項8の湿気透過性の層とを含むことを特徴とする層状構造。 - 吸収性物品であって、請求項8または9に記載の湿気透過性、液体不透過性の層または層状構造を含むことを特徴とする吸収性物品。
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