JP2004521325A - 標識されたレクチンを使用する炭水化物のための貫流膜アッセイ - Google Patents
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Abstract
【選択図】図2
Description
(本発明の背景)
本発明の技術分野は、試料糖タンパク質上の炭水化物の存在を、標識されたレクチンを使用して測定するための方法に関する。糖タンパク質は、種々の技術によって分析されてきており、そのうちのいくつかは、炭水化物に特異的に結合する標識されたレクチンを使用する。レクチン、その炭水化物及び抗体特異性、並びにその結合形態、例えば、コロイド金標識レクチンでの使用の議論は、EYラボラトリーズ社(EY Laboratories, Inc.)の、「レクチン類のレクチン結合(Lectins Lectin Conjugates)」(2000)と題する最新の出版物に記載されている(ここで、「EY出版物」とする)。しかしながら、このような炭水化物分析で既知の分析技術は、たとえ標識されたレクチンを含むものであっても、時間消費的で高価である。
種々のタイプの分析装置、及びその装置を使用する方法が、イムノアッセイに使用されてきた。多くのこれら装置は、その上に、標的物質に特異的に結合し得るレセプターが固定化された、反応膜を使用する。これらのタイプの装置を使用するアッセイにおいて、試験される試料は、典型的に反応膜に適用される。標的物質が試料に存在するときは、固定化されたレセプターに結合する。種々の方法が、標的物質がレセプターに結合したか否かを決定し、もって、それが試料中に存在することを示すために使用される。イムノアッセイに対し、標的物質が抗原であるときは、この抗原に特異的に結合し得、かつ、検出可能なマーカーで標識された抗体を使用することが一般的である。標識された抗体が反応膜に加えられる場合、これは、もし存在すれば、標的抗原に結合し、マーカー(例えば、蛍光標識、着色試薬、検出可能な酵素マーカー等)が検出される。
【0002】
膜ベース分析アッセイ及び装置は、医学診断を大いに単純化してきた。膜ベース分析アッセイの結果は、短時間で得ることができる。定量的な結果は、試験結果を読むためにデザインされた特別な機器によって提供され得る。種々のタイプの貫流膜ベースイムノアッセイ用の他の装置は、チュ(Chu)らの米国特許第5,006,464号、ヘイ−カウフマン(Hay-Kaufman)らの米国特許第4,818,677号、バルキルス(Valkirs)らの米国特許第4,632,901号、及びボンク(Vonk)らの米国特許第5,185,127号明細書に記載されている。しかしながら、このような装置及び方法は、炭水化物分析に使用されていない。
数分以下で実行可能な高速試験キットは、EYラボラトリーズ社からInstantChekTMの商標で販売されている。これは、典型的に、免疫学的なサンドイッチアッセイを使用する。このような試験キットは、米国特許第5,885,626号に記載されており、これは、ここで参考として取り入れる。
【0003】
(発明の概要)
本発明は、炭水化物含有試料分子中の少なくとも第1炭水化物の高速検出方法であって、以下の工程:
(a)試料分子を一つの液体浸透性反応膜の領域に保持する工程、
(b)第1炭水化物を結合し得る第1レクチンの溶液を、保持された第1炭水化物に第1レクチンを結合するための当該一つの反応膜を通して流し、該レクチンが、炭水化物に結合する前に標識に直接結合され、又は、第1レクチンが炭化水素に結合された後にのみ標識された分離分子に結合される工程、及び
(c)その後、当該一つの反応膜に結合した標識を検出して第1炭水化物の存在を示す工程、
を含む。
【0004】
(発明の詳細な説明)
本方法において、試料中の一つ以上の炭水化物が、米国特許第6,284,194号(イムノアッセイに使用される)に説明され、かつ、本発明の背景において議論された膜ベースの先行技術で述べたような一般的タイプの高速アッセイを使用して検出される。このような炭水化物グループ含有又はリンクされた試料分子は、「複合糖質」と名付けられ、糖タンパク質、ネオ糖タンパク質、単糖、ジ−並びにトリ−オリゴ糖、及びオリゴ糖を含む。記述の単純化のため、糖タンパク質試料分子は、他に断らない限り、糖の結合体(glyco conjugates)として言及する。
一つの態様において、試料は、そのような試験キットの液体浸透性反応膜の領域上に直接保持される。標識されたレクチンの溶液は、炭水化物を試料上に結合でき、レクチンを炭水化物に選択的に結合するための反応膜を通して流れる。その表面は、典型的に、洗浄溶液を反応膜に通して流すことによって洗浄される。そして、膜に結合される標識されたレクチンは、検出され、及び、炭水化物の量の既知の炭水化物標準曲線との比較において定量的に分析される。比較的純粋な試料に対し、特に定量的分析においては、洗浄工程を排除してもよい。以下で議論するように、一つの態様において、糖タンパク質は、膜に直接堆積し、及びラベルされたレクチンがこの堆積した炭水化物と反応する。好ましい方法において、サンドイッチアッセイが使用される。具体的には、試料を結合することができる固定化されたレセプターは、反応膜の限定された領域に堆積される。試料は、固定化されたレセプターに結合することによって反応膜上に保持される。その後、結合した炭水化物が標識されたレクチンと反応する。その後、反応膜が洗浄され、標識されたレクチンが炭水化物の指標として検出される。
【0005】
固定化されたレセプターは、サンドイッチアッセイにおいて、標識されたレクチンと同一又は異なったタイプの第2レクチンを含んでもよい。異なったタイプのレクチンとともに、各レクチンは、特定の炭水化物に結合でき、分析における更なる情報を提供する。しかしながら、偽陽性を作り出す交差反応性(cross-reactivity)を回避するための2つのレクチンを選択することが重要である。
ここで使用する、「レクチン」の語は、炭水化物に結合するタンパク質又は糖タンパク質を広く言及するために使用される。従って、これは、自然動物及び植物源から典型的に由来し、及び親和性によって炭水化物と結合するその用語の現在の広範な範囲を包含する。動物源は、脊椎動物又は無脊椎動物、例えば、カタツムリ、魚等を含む。植物源は、種及び樹皮を含む。このようなレクチンの例は、EY出版物に示されている。加えて、「レクチン」の語は、ここで、通常名付けたレクチンではない糖タンパク質及びタンパク質であって、抗体のような炭水化物、例えば、モノクローナル抗体を免疫学的に結合するものを包含する。そのような抗体の例は、現在の生化学アメリカンカタログ(Seikagaku American catalog)に示されている。
【0006】
本発明は、試料中の異なる炭水化物を選択的に検出するための特に効果的な方法を提供する。一つの態様において、ここで「チェッカーボードアプローチ」と言及する、互いに分離された複数の反応表面が、試験キットと一緒又は分かれた分離膜に提供される。ここで使用する、「膜試験キット」又は「膜ベースアッセイ」タイプの試験は、米国特許第5,885,626号に記載されており、ここでは、試料が膜に保持され、標識された試薬が膜を通して流れ、その一部が試料に結合する。好ましくは、チェッカーボード中の各四角は、膜試験キットである。試料は、各反応膜の限定された領域に保持される。アッセイは、少なくとも第1標識レクチン及び標識された第1レクチンとは異なるタイプの第2標識レクチンを使用して繰り返される。第2レクチンは、試料上の第2炭水化物を選択的に結合することができる。このように、特定の炭水化物に対して選択的な標識された第1及び第2レクチンを使用する陽性又は陰性の結果は、糖タンパク質試料中の2つの異なる炭水化物に関する定量的な情報を提供し得る。以下に説明するように、このチェッカーボードアプローチは、糖タンパク質試料上の炭水化物を定量的に分析するために炭水化物に対して選択的な多くの異なるレクチンとして使用して拡大し得る。各炭水化物に対する各レクチンの反応性及び反応条件下でのアッセイに使用される異なるレクチンに対する交差反応性の詳細な情報を有することが重要である。そして、既知の試料を分析しても良い。
【0007】
従来技術と対照的に、本発明は、炭水化物に対する高速定量アッセイを可能にし、炭水化物は、1時間未満〜5分未満、より好ましくは2分未満、または更に1分以下で分析され得る。これは、特定のレクチンが、いくつかではあるがすべてではない炭化水素(例えば、マンノース、GleNac、ゲラトース(gelatose)、a−フルクトース、又はシアル酸のような単糖)に対して異なる程度で選択的に結合するとの認識に一部基づく。本アッセイを使用すると、特定のレクチンの炭化水素に対する結合又はその欠如から得られる情報が、分子を同定する。
このシステムの利点の一つは、糖タンパク質中の大量の異なる炭水化物を、対応する炭水化物に対する異なるレクチンの公知の結合特異性を利用して高速検出する能力にある。これら結合特異性のいくつかの概要は、EY出版物の裏ページに示されている。レクチンを使用する糖タンパク質の分析における他の背景情報は、糖解析手順(Glycoanalysis Protocols)第2版(エリザベス F. ハウンセル(Elizabeth F. Hounsel)著)及びレクチン法と手順(Lectin Methods and Protocols)(ジョナサン M. ローデス(Jonathan M. Rhodes)及びジェレミィ D. ミルトン(Jeremy D. Milton)著)、炭水化物生物工学手順(Carbohydrate Biotechnology Protocols)(クリストファー バック(Christopher Buck)著)に示されている。
【0008】
アッセイに影響し得るいくつかのパラメーターは、pHレベル、緩衝液の種類、試薬の濃度、緩衝液のイオン強度、特に、カルシウム又はマグネシウムのような二価のイオン、及び糖タンパク質又は他の試料分子の濃度を含む。
溶液の相対イオン強度において、レクチン対炭水化物は、この方法において重要なパラメーターであり得る。好ましくは、いくつかのレクチンが、高いイオン強度作用環境において、炭水化物と良好に相互作用する。
好適な緩衝液の種は、リン酸ナトリウムのような通常のものを含む。トリスグリシン緩衝液、トリスHCl緩衝液、又はホウ酸塩緩衝液がある。カルシウムがリン酸塩緩衝液中のカチオンとして使用される場合、カルシウム濃度は、リン酸塩が沈殿するレベル未満であるべきで、好ましい濃度は、濃度で1mM未満である。塩化ナトリウムは、緩衝液のイオン強度を増加するために使用され得る。ある場合に、高い塩濃度はバックグラウンドを引き起こし得る。カルシウムは、レクチンの炭水化物に対する結合を補助するために補助因子として役立つ。好適な濃縮装置(concentrator)は、0.05mM〜5mMである。
好適な緩衝液濃度は、約20mM〜200mM、好ましくは、約10〜100mMで変動し得る。緩衝液は、膜に堆積又は接種されるべきレクチン及び糖タンパク質を可溶化するのに役立つ。0.02%アジ化ナトリウムを有するホウ酸塩緩衝液(10mM以上)は、糖タンパク質を可溶化するのに特に効果的な緩衝液である。
レクチンと炭水化物の反応の間に使用される緩衝液の全イオン強度は、分子を一緒にして複合体の形成を向上し及び複合体を安定化する。イオン強度は、レクチンと炭水化物の結合定数に依存するだろう。全イオン強度は、約0.02M〜0.7Mで変動しても良い。
【0009】
潜在的な重要性の他のパラメーターは、pHである。典型的に、pH範囲は、約5.5〜10であり、好ましくは、炭水化物及びレクチンに依存し、約6.0〜8.5である。図6において、後述するが、Con Aと炭水化物の結合のpHプロファイルの関係の一例を示す。図6は、8を超えないpHでアッセイを実行することを示唆する。
分析アッセイ装置の種々の構成は、本発明の実行に使用され得る。好適な装置は、当該技術分野で既知であり、チュ(Chu)らの米国特許第5,006,464号、ヘイ−カウフマン(Hay-Kaufman)らの米国特許第4,818,677号、及びバルキルス(Valkirs)らの米国特許第4,632,901号明細書に記載されている。米国特許第5,885,526号明細書に開示された装置が、本発明の実行に使用される好ましい装置である。これは、他の分析用のアッセイ装置と比べ、比較的安価であり、及び製造が容易だからである。
【0010】
即ち、ここで図1〜3に言及すれば、分析装置は、典型的にハウジングユニット又は上部及び底部支持膜(10及び16)を含み、これは、共に結合し、及び吸収体(15)と流体係合する反応膜(13)を含む。ハウジングの上部又は上部支持膜(10)は、開口領域又はポート(11)を有し、これは、反応膜(13)の上部表面(14)の部分を暴露する。アッセイの実行中、標的物質の存在について試験されるべき液体試料は、反応膜の暴露された表面に適用される。反応膜の上部表面の限定された領域は、その上に付着したレセプターを有し、そこに、標的物質が、もし液体試料中に存在すれば、特異的に結合する。この限定された領域は、ここで、「レセプター領域」(22)として言及される。反応膜の上部表面は、任意に「コントロール領域」(23)を有し、これは、アッセイの完了において、アッセイが適当に実施されたか否かを示すコントロール物質を含有する。種々のタイプのコントロール物質が、当該技術において知られている。例えば、タンパク質Aコントロール領域の使用が米国特許第5,541,059号に開示されている。当該技術において知られているように、及び、同時継続出願番号08/823,436号により詳細に開示されているように、1より多いタイプのレセプター分子が、複数のレセプター領域で反応膜上に固定化され、試料中の複数の標的物質(即ち分析物)の存在を試験し得る。これは、図4c、4e、及び4fに示されており、複数レセプター領域(22)に示されている。
【0011】
分析アッセイにおいて使用されるレセプター試薬を固定化し得るすべての好適な多孔質材料は、反応膜に使用され得る。好適な材料は、ニトロセルロース、ガラスファイバー、ポリエステル、硝酸セルロース、ポリエステル、ポリカーボン、ナイロン及び選択されたレセプターに直接又は間接的に結合し得る他の天然及び合成材料を含む。一般的に、反応膜は、疎水性及び一部親水性であり、レセプター分子を結合しておける部分的に正の及び/又は負の電荷を有する。ある膜材料、例えば、ニトロ基によって与えられた部分的な負の電荷を有する硝酸セルロースは、荷電されている。他の材料は前処理されて荷電した膜を提供してもよい。例えば、ポリエステルをカルボキシル又はアミノ基で誘導化して負又は正に荷電した膜を与え得る。ナイロンを酸で処理して、ペプチド結合を切断し、正の電荷(アミノ基から)及び負の電荷(カルボキシル基)を与える。反応膜の多孔度は、試料の流速及びアッセイ感度に重要な影響を有する。多くのアッセイに対し、膜の多孔度は、好ましくは、約0.1〜約12μm(ミクロン)の範囲、より好ましくは、約0.45〜3μm(ミクロン)である。米国特許出願第08/823,936号は、アッセイ結果に影響し得る追加の膜特性を開示する。
「反応膜」の語は、多孔質材料を含み、そこに液体試料が分析アッセイの実行中に適用され、並びに、もしあれば、反応膜の下位表面を形成する追加の多孔質支持材料を含むことを意図する。例えば、好ましい反応膜は、多孔質紙で裏打ちされたニトロセルロースのシートを含む。市場で入手できるニトロセルロースで支持された多孔質ポリエステルも使用され得る。紙裏打ニトロセルロースの代表的な例は、EYラボラトリーズ社から市場で入手できる(San Mateo, CA; カタログナンバー(Cat. Nos.) PBNC15-1, PBNC15-10, PBNC15M-1, 及びPBMC15M-10)。この好適な膜は、ニトロセルロースだけよりも実質的に耐久性があり、他の支持成分なしで使用され得る。これは、取り扱い及び装置組み立てを容易にする。これは、おそらく、試料が反応膜に加えられる場合、膜のより疎水性の部分とは対照的に高い界面活性剤濃度を有する反応膜の部分を通してより容易に流れる傾向があるからであろう。特定された材料の反応膜の特性が、ロット毎及び年と共に異なり得ることが認められるだろう。従って、品質管理試験は、標準的なコントロールを使用して、与えられた分析アッセイ用の特定の膜の適合性を決定するために行われる。
【0012】
界面活性剤を使用する場合、分析装置は、好ましくは、タンパク質含有試薬でブロックされない反応膜を使用して組み立てられる。「ブロック」の語は、膜ベース分析アッセイデザインの分野における当業者にとって、標的物質の反応膜に対する非特異的結合を妨げる組成物での反応膜の処理について言及するものとして理解される。典型的に、ブロック組成物は、タンパク質、例えば、カゼイン又はアルブミンを含み、及び界面活性剤を追加的に含む。タンパク質の機能は、反応膜に結合し、試料及び/又はアッセイ試薬が反応膜に非特異的に結合することを防止することにある。本発明の分析アッセイ装置は、好ましくは、ブロックされた反応膜を使用せず、及びブロック工程は、アッセイの実行中に要求されないので、この装置は、典型的な分析用のアッセイ装置よりも製造するのが簡単であり、このアッセイは、実行するのが容易である。
分析装置が組み立てられた後、例えば、米国特許第5,885,526号明細書に詳述された方法を使用して、反応膜が、界面活性剤を、好ましくは高い濃度で含有する溶液で処理されないようにしてもよい。「界面活性剤で処理」のフレーズは、界面活性剤含有溶液、例えば、リン酸で処理した緩衝液生理食塩水溶液が、反応膜の暴露された表面の全部又は一部に適用され、分析アッセイを行う前に十分に乾燥されることを単に意味する。最良の結果は、界面活性剤含有溶液が、界面活性剤及びこの溶液を調製するのに使用される溶媒(例えば、水、アルコール又は他の溶媒)から実質的になる場合に、通常達成される。しかしながら、いくつかの適用において、界面活性剤含有溶液に含まれる他の追加の成分を有することが望ましい。1以上のレセプター領域が反応膜上にもいくらか形成されるので、得られる反応膜は、反応膜の暴露された表面の部分において高濃度の界面活性剤を含み、ここで、レセプター領域は、レセプター領域に対して周辺の反応膜の暴露された表面の部分と関連して位置されている。表面処理の詳細は、米国特許第6,284,184号明細書に開示されており、これは、ここで参考として取り入れる。
【0013】
反応膜が、高濃度の界面活性剤、約0.2%より多い、通常は約0.2〜約15.0%の範囲(なお、より高い濃度は、時々界面活性剤の溶解性に依存して使用され得る)を有する所定の界面活性剤含有溶液で処理される場合、試料及び他の試薬の、レセプター分子が典型的に位置する反応膜の中央を通した増加した流れが達成され得る。典型的な膜ベース分析アッセイにおいて、試料流が増加することは、液体試料中の標的物質と反応膜上に位置するレセプター分子との間の反応時間を短くすることと等しく、及びアッセイの感度の低下になる。しかしながら、本発明の分析装置では、レセプター領域が位置するところで試料流が増加すると、レセプター領域がない膜の部分で試料流が減少し、より多くの試料がレセプター領域を通して流れるようになる。従って、レセプター領域での高濃度の界面活性剤は、結局、試料流をレセプターが位置する膜の領域に向けるファネルとして働く。これは、増加するアッセイ感度の正味の(net)効果を有する。
界面活性剤処理は、界面活性剤含有溶液をすでに組み立てられた分析用の装置の反応膜の暴露された表面に、すべて又は多くの暴露された表面が界面活性剤と接触するために十分な量で適用することによって行われてもよい。使用される界面活性剤に依存して、界面活性剤の濃度は、典型的に約0.2〜約15.0%の範囲にある。界面活性剤は、水、アルコール、又は他の好適な溶液 (多くの市販の界面活性剤は、独自の(proprietary)溶媒ベースを含む) に希釈され得る。典型的に、約20〜50μl界面活性剤含有溶液が、1cm2の暴露された表面積を有する反応膜を処理するために使用される。
【0014】
上記逆流/ファネル効果を達成する好ましい界面活性剤は、単独で、又は他の界面活性剤と共に使用してもよい約1,000未満の分子量を有するアニオン性界面活性剤である。より好ましくは、界面活性剤含有溶液に使用されるアニオン性界面活性剤は、約800未満、及びより好ましくは、500未満の分子量を有する。界面活性剤含有溶液は、通常、少なくとも0.2%の界面活性剤を含有する。いくらかのアニオン性界面活性剤、例えばドデシル硫酸ナトリウム(SDS)は、より低い濃度で作用する。しかしながら、SDSで達成される感度は、一般的に低く、いくつかのアッセイとって好ましい界面活性剤ではない。好ましい界面活性剤含有溶液は、約0.2%〜約2%のコール酸界面活性剤を含む。約0.1%未満のコール酸界面活性剤を膜の処理に使用する場合、試料流は減少し、感度は低下する。
これとは別に、レセプター試薬が位置する反応膜の部分だけが、界面活性剤含有溶液で処理される。本発明のこの態様において、反応膜の暴露された表面全体が処理される場合と比べていくらか高濃度の界面活性剤が一般的に使用される。
【0015】
典型的に、糖タンパク質試料は、反応膜の上に、当該技術で既知の方法を使用して、スポットされ、ドロップされ、プリントされ、又はバイオジェクト(bioject)され、糖タンパク質は、反応膜の限定された部分に付着する。本発明の最も単純な態様において、糖タンパク質含有組成物のドロップが反応膜の中央にスポットされ、図4a及び4cに示すような円形のレセプター領域を形成する。ニトロセルロース反応膜に約1〜4mmの直径を有する円形レセプター領域に対し、約0.5〜2.5μlのレセプター含有組成物が反応膜の中央に添加される。他の方法は、異なる形を有するレセプター領域を達成するために使用され得る。例えば、棒形状のレセプター領域は、図4dに示すように、米国特許第4,916,056号に記載されたようなプラス及びマイナスサインを形成するために使用され得る。すべての他の形のレセプター領域が使用され、例えば、点又は星が使用される。
糖タンパク質試料が反応膜に加えられた後、好適な検出領域が加えられ、存在すれば糖タンパク質試料において予め決定された炭水化物に特異的に結合する。検出試薬を添加する前に、洗浄緩衝液を加えて、残りの試料を反応膜から除去してもよい。しかしながら、本発明の好ましい態様において、検出試薬は、残りの試料を洗い去る洗剤ベース中に作られる。従って、洗浄及び検出工程は1つに結合され、アッセイは単純化される。
好ましい標識されたレクチン試薬は、洗剤組成物中に希釈されたレクチン/コロイド金結合体であり、これは、以下により詳細に開示する。レクチン/コロイド金の検出試薬としての使用は、当該技術において周知である。コロイド金は、好ましい標識である。コロイド金結合体は、従来の酵素結合標識と比較して、使用及び調製するのがとてもシンプルだからである。コロイド金は、色が赤紫(又はルビーレッド)であり、従って、他のタイプの標識、例えば、放射性同位元素、蛍光標識、生物発光標識及び化学発光標識並びに分析アッセイにおける他の周知の標識の検出に要求される計測手段の使用なしで視覚的に検出され得る。さらに、酵素標識と異なり、コロイド金粒子標識は、支持体を添加する追加の工程を要求しない。しかしながら、これら他の標識は、本発明の範囲内で使用され得る。
【0016】
他のタイプの標識システムは、ブリッジが、立体障害を回避するために試料と標識の間で使用されるものである。例えば、試料と結合するレクチンは、標識されず、かつビオチンと結合されてもよい。アビジンで標識された結合体は、膜を通して流れることによって試料に結合される前に、レクチン−ビオチン結合体上でビオチンと結合される。ビオチン及びアビジンの役割は、逆転し得る。このアプローチは、間接的標識アプローチとして言及される。
レクチン/コロイド金に対する好ましい希釈液は、1以上の下記洗剤を含む界面活性剤含有組成物である:TRITON(R) X-305、TRITON(R) X-100、TWEEN(R) 20、PLURONIC(R) L64及びBRIJ(R) 35。TRITON(R)シリーズの洗剤は、ポリオキシエチレンエーテル及び他の表面活性化合物を含むノニオン性洗剤である。PLURONIC(R)シリーズは、ポリ(オキシエテン-co-オキシプロピレン)のブロックコポリマーの部分エステルであるノニオン界面活性剤である。TWEEN(R)シリーズは、SPAN(R)製品からポリオキシエチレン鎖を非立体性(none-sterified)水酸基に添加することによって得られる。BRIJ(R) 35は、ピアスケミカル社(Pierce Chemical Company)、Rockford, Ill.の商標であり、ポリオキシエチレンラウリルエーテル洗剤の30%溶液である。上記リストされた洗剤又は同様の特性を有する他の洗剤若しくは界面活性剤が使用され得る。通常、洗剤の最終濃度は、約0.5%〜約3.0%の範囲の洗剤であり;約1.0%〜1.5%の洗剤が通常良好に働く。
あるケースにおいては、レセプター領域の赤紫色は、標的物質の存在を示すが、コロイド金を反応膜に添加した後に直ちに現れ、もし定性的な結果のみが要求されているならば、最終洗浄工程は不要になる(即ち、試験結果は、「陽性」又は「陰性」のいずれかである)。しかしながら、もし定量的な結果が要求されるならば、又は、もしバックグラウンド「ノイズ」の存在(即ち、レセプター領域が存在しない反応膜の部分の色)が、レセプター領域の読み取りを妨害するならば、最終洗浄工程は、水洗、又は洗浄組成物(検出試薬を調製するために使用される希釈液と同一又は異なってもよい)を使用して利用され得る。定量的結果のため、レセプター領域は、そのような測定を行うためにデザインされたいかなる装置、例えば、米国特許第5,717,778号明細書に記載された光学分析計を使用して測定され得る。
【0017】
ここで言及したすべての文献、特許、及び特許出願は、そのすべてを参考として取り入れる。
以下の例は、例示目的のみであり、いかなる方法によっても本発明の範囲を限定するものとして解釈されるものではない。一般的に、例は、以下を例示する。
A.高速貫流タイプのアッセイをいかにして行い、レクチンを使用する炭水化物を同定するか。
B.炭水化物及びレクチンの複合体の形成の効果、pH、イオン強度、緩衝液の種類等。
C.レクチンと炭水化物の結合は、直接アッセイ手順において説明されるように非常に特異的である。
D.2つの同一又は異なるレクチンが炭水化物連結レクチンのために交差反応性を与えるかどうか見つけるため、この高速アッセイ技術を如何に使用するかのデモンストレーション。
E.複数のレクチンが装置膜において使用される場合、標識した糖タンパク質の炭水化物が、レクチンが色の反応を与えることを観察することによって素早く同定できる。従って、特定の炭水化物が推論できる。
【0018】
サンドイッチアッセイにおいて、試料は、コロイド金標識されるのを避け、及び糖タンパク質は、1より多いか、又は異なる炭水化物をタンパク質上に有することを想定し、標識されたレクチンは、右(right)サンドイッチアッセイが装置膜上に明るいスポットを引き起こす場合、どの炭水化物をこの試料が有するかの情報を追加し得る。これは、試料が、1より多い明るいスポットが装置膜上にある場合、いくつかの種類の炭水化物を一度に有してもよいことを物語っている。
【0019】
(実施例)
実施例1:分析用装置の組み立て
米国特許5,885,526号明細書に記載されたような分析装置は、以下の構成成分を使用し、及び図1〜3に示すように組み立てられる。上部支持層(10)は、3.8cm平方の寸法であり、可撓性であるが強固なポリビニルクロライド(PVC)プラスチックから切り出され、水不溶性で感圧性の接着剤を一方の側に有する。直径8mmの孔を上部支持層の中央にあけた。円形反応膜(13)は、11mmの直径であり、約0.8mmの厚さを有する紙裏打ニトロセルロース(EYラボラトリーズ社、カタログナンバー(Cat. #) PBNC15-1)から穿孔し、上部支持層の接着面に接着し、孔をカバーした。3.8cm平方の吸収性材料を含む吸収体(15)(ワットマン(Whatman), カタログナンバー F427-05)を、上部支持層の接着面に接着した。底部支持層(16)は、3.8cm平方の寸法であり、上部支持層と同じプラスチック材料及び接着剤を含み、吸収体の下部表面に接着した。上記と同じ装置は、8mm直径の孔を有し得る。
【0020】
実施例2:反応膜の処理
A.反応膜の暴露された表面全体の洗剤処理
塩化ナトリウムの1%溶液を水で調製した。コール酸塩の溶液40μlを、実施例1に従って調製された予め組み立てられた分析装置の膜に加えた。洗剤溶液を、反応膜の暴露された上部表面を完全に被覆し、膜に吸収させた。膜を室温で一晩乾燥した。膜が完全に乾燥した後、0.1〜0.5μgレクチンをリン酸塩又はトリスグリシン緩衝液中に含む溶液0.5μlを、反応膜の中央上にスポットし、乾燥した。
B.反応膜のレセプター領域に限定された洗剤処理
塩化ナトリウムの2.0%溶液を水で調製した。コール酸ナトリウム溶液0.5μlを実施例1に従って調製された予め組み立てられた分析装置の反応膜上にスポットし、4時間室温で乾燥した。100ng糖タンパク質抗原を含有する溶液0.5μlを反応膜上の同じ位置にスポットし、そこに洗剤をスポットし、乾燥した。
【0021】
実施例3:イムノアッセイ用試薬の調製
A.コロイド金
凍結乾燥されたレクチン/コロイド金を、0.2Mトリス中に希釈された以下の界面活性剤:TRITON(R) X-305、TRITON(R) X-100、TWEEN(R) 20、PLURONIC(R) L64、及びBRIJ(R) 35、を含む洗浄緩衝液中で再構成した。各洗浄剤を0.2%の量で使用し、1.0%洗剤の最終濃度を達成した。
【0022】
実施例4
ストックリン酸塩緩衝液調製は、酵素学の方法(Methods of Enzymology)Vol. I(コロウィック、カプラン(Colowick, Kaplan)編の第1チャプターに記載された方法に基づく。緩衝液濃度は、100mMである。トリスグリシン緩衝液及び炭酸水素ナトリウム緩衝液に対する同一の調製手順である。塩化カルシウム二水和物溶液20mMをストック溶液として調製した。これは、蒸留水中に溶解した。
トリスカルシウム緩衝液(TCB)を使用した。この緩衝溶液は、2mMカルシウムイオンストック溶液から得られた所望のpHの100mMトリスグリシンで構成される。40μlレクチン−金結合体(ストック溶液、最終OD520nmの読みは、約2.0)を加えた。上記手順に基づき、40μlのCon A−金結合体を各緩衝液中に所望のpHで希釈した。
すべての後の例は、他に特に支持がない限り、希釈されたコロイド金レクチン結合体でこの手順を使用している。
アッセイ手順は以下の通りである:
直接検出のために、図面に示す装置の膜を、ネオ糖タンパク質(10mg/ml)又はレクチン(10mg/ml)約0.5〜1.0μlで予め接種し、乾燥した。レクチンで予め接種される間接検出のためのアッセイ手順は、上記で述べたとおりである。
【0023】
実施例5
この例のために、アビジン及びビオチンの結合体とEY出版物で示されたレクチンとを以下の手順で使用した。
試薬調製:
1.凍結乾燥されたビオチン化されたレクチン(「B-Con A」)を、2mMカルシウムイオンを有するトリスグリシン緩衝液pH7.5,50mM中に溶解した。10mg/mlをストック溶液として使用した。
2.B-Con Aを、ステップ1の同一の緩衝液を使用して1mg/mlに希釈した。EY出版物からの凍結乾燥されたCon A−金の溶液を、約2/mlの最終OD520を有するトリスグリシン緩衝液に溶解した。
アッセイ手順:直接法
1.1μlのBM-BSA(ウシ血清アルブミンに共有結合的に連結した分枝マンノース)を、上記装置の反応膜の中央で予め接種し、6分間100V電球の下で(又は一晩室温で)乾燥した。
2.レクチン金結合体の溶液は、膜を通して流れ、サンドイッチを生成した。
3.この膜を洗浄し、保持された金結合体を示した(read)。
間接法
1.膜を1ul Con A(10mg/ml)で予め接種した。
2.40ul BM-BSA(100ug/ml)の試料を加えた。
3.ビオチン化Con A−金40ulを膜を通して流した。
4.ストレプトアビジン−金(OD520=2.以上)40ulを加えた。
5.80ul洗浄溶液で洗浄し、前記光学分析計で結果を読んだ。
【0024】
実施例6
この例は、用量応答研究におけるCon A/Con A−金高速アッセイにおける試料としてのBM-BSAを示す。
5つの試験管を、2mMカルシウムイオンを含む、90ul緩衝液トリスグリシン100mM pH7.5ストック溶液で満たした。最初のものに対し、M-BSAストック溶液(10mg/ml)10ulを添加した。内容物を管内でよく混合した。この管から、10ulをとり、次の管に加えた。これを連続的に行い、各5つの管が、以前のものの10倍に希釈された一連の5つの管を得た。
手順:A.アッセイ用装置の調製−膜を1ulのCon Aで予め接種し、乾燥した(Con Aは、0.02%アジ化ナトリウムを有する2mMホウ酸塩緩衝液)。アッセイ手順:1.膜は、表面を洗浄し、膜を通して導き、20ulの緩衝液で予め湿潤した。40ulの希釈されたBM-BSAを膜に通して導いた。40ulCon A−金は緩衝溶液と結合し、及び結果を機械によって読み込み、以下の表の通りである。
このデータを、図5のプロットとして使用した。
【0025】
実施例7
この例において、マンノースBSA及び分枝マンノースBSAのpHプロファイルを、上述の光学機器を使用して比較した。pHプロファイルは、リン酸塩緩衝液中、約pH6.4〜7.5の定量的アッセイにおいて、Con A−コロイド金結合体を使用して示された炭水化物を検出するために使用されるべきpHの範囲を示す。これらの試験の結果を図6に示す。
【0026】
実施例8
この例は、炭水化物/レクチン高速アッセイにおけるPEGの効果を示す。
マンノースBSA試料を膜の上に堆積した。その後、溶液中Con A−コロイド金結合体を膜を通して流した。一つの例として、表面は、膜を通してPBS緩衝溶液を流すことによって洗浄される。これは、特定の結合を分離しなかった。他の例として、EYラボラトリーズによって供給される緩衝溶液 (トリスグリシン緩衝液、2〜6%PEGおよび1.5%NaClを含む) を使用した。この例において、非特異的結合標識を洗浄した。これは、洗浄のためであるが、緩衝溶液の試験の潜在的な重要性を示す。
【0027】
実施例9
この例は、直接検出手順におけるフコース特異的結合レクチン交差反応性研究を示す。ロータス(Lotus)及びAAAは、フコースBSAと特異的に結合する。UEA-1は、他の炭水化物と非特異的に結合する。この試験の結果は、以下の表1に示す。
表1 フコース結合レクチン交差反応性
交差反応性がないので、これらレクチンは、サンドイッチアッセイに適している。このタイプの試験及び交差反応性に対する実施例10のものは、本発明において使用するための、非交差反応性レクチン試薬レセプターの組み合わせを確認するために役立つ。
【0028】
実施例10
この例においては、他の交差反応性研究を示す。これは、以下の表2において示されるものである。
この例は、BM-BSAを糖タンパク質として使用し、感度は、LcH/DGL及びDGL/DGLペア(第1カラムの結果を参照のこと)で良好である。この試験は、同一レクチン又は同じ炭水化物結合を有する異なるレクチンのいずれの交差反応が存在するかを示す。この研究において、レクチンを、2mMカルシウム二価イオンを含むpH7.5のトリスグリシン緩衝液に溶解した。DGL、GNA/DGL及びDGL/DGL、膜上にシャドゥがあるのは、LcH/DGLペアを使用する場合である。しかしながら、SBA-金が使用される場合、これは、Con A、LcH及びDGLと交差反応し、GNAとは全く結合しない。Con Aは、ガラクトースをその上に有さない。従って、たいがい、SBAは、その上に分枝マンノースを有する糖タンパク質である。この仮説を実証するために、1〜10ng/ml Bm-BSAを糖タンパク質として使用した。これは、BM-BSAが相互作用を全く阻害しないことを示す。ug/ml BM-BSAを使用すると、LcHを除き交差反応を阻害する。
この表は、SBAが、HPAと膜上で低交差反応を有するが、逆のポジションではそうではないことを示す。しかしながら、HPAは、ロータスと強い交差反応性を有する。従って、サンドイッチアッセイがフコース連結糖タンパク質を捕獲するために使用される場合、AAAレクチンを膜上で使用してもよい。これは、SBA、GS-1、HPA及びWGAと交差反応性しないからである。一方、HPAは、シャドゥを与えるのであまり好ましくない。HPAのようなシャドゥを生じるレクチンも、定量測定が使用されることを条件に使用され得る。陽性の識別は、シャドゥのカットオフレベルより上の定量値によって示される。
この研究において、以下の結論が引き出される:
膜上のSBAは、ロータス、AAA及びSBAコロイド金結合体とともにペアになり得る。HPAとは、ペアになり得ない。逆に、HPAが膜上で、SBAがコロイド金結合体である場合、交差反応性が小さいからである。
GS Iは、レクチンであり、及びガラクトースと結合し、かつ、次の炭水化物に連結する。AAA及びSBAとのみペアになり得る。
HPAは、HPA金結合体が装置膜上のAAA及びSBAで使用される場合、AAA及びSBAと交差反応性を有さない。しかし、逆で使用することは勧められない。WGAは、ロータス、AAA及びSBAとペアになり得る。これは、HPAに対して強いポジティブの反応を与えるが、洗い流され得る。
WGAの表中のINDは、WGAを洗浄する前、HPAが強い点を与えて交差反応することを示す。しかしながら、洗浄後、その点は、弱い結合を示すと考えられる。
表2 レクチン交差反応性研究
Sh=シャドゥ IND=判定保留
【0029】
実施例11
これは、直説法よりも敏感な糖タンパク質を検出するための方法であるサンドイッチアッセイ法を使用するチェックボード研究である。マンノース特異的結合特性における4つの異なるレクチンの実行特性は、DGL−金結合体とSBAを使用して、ガラクトース特異的結合に対して試験した。結果を表3に示す。
表3 サンドイッチフォーマットにおけるレクチン及びレクチン金結合体を使用する分枝マンノース−BASの反応性研究
BM=分枝マンノース W=弱い Sh=シャドゥ
チェッカーボードの左カラムは、すべてのマンノース結合レクチンを示す。表を横切って上部に、DGL、SBAに対するコロイド金結合体を示す。ブランクは、マンノースBSAがサンドイッチアッセイに使用されていないことを意味する。SBA金結合体は、最初、結合体に含まれるBM-BSAを有さないが、後のカラムで、SBA/BMはngのBM濃度を金結合体中に有し、最後のカラムで、BM濃度はugに増加する。
従って、サンドイッチアッセイにおいて、BMが試料であり、装置膜上のマンノース特異的レクチン及びレクチン金結合体(DGL-金)である。最初のカラムは、貫流フォーマットにおける装置膜上の異なるマンノース特異的レクチンとのすべての組み合わせに対して陽性を示す。
【0030】
ブランクカラムにおいて、DGLとLcHの間のシャドゥだけが存在する。他のすべては何も示さない。従って、この例におけるレクチンとのDGLの交差反応性は、LcHを除いて存在しない。
これは、DGLがCon A、GNA又はそれ自身とサンドイッチアッセイにおいて結合し及び交差反応を気にする必要がないことを意味する。
しかし、SBAがBMを試料とせずに使用される場合、これは、GNAを除く左カラムのすべてのレクチンで交差反応性を示す。
一つの疑問は、交差反応性がレクチン分子上のBM又はガラクトースのいずれによるか、である。末端マンノースではありそうにない。GNAとSBA金は反応しないからである。
これは、ガラクトースではないと考える。Con Aは糖タンパク質ではなく、SBAと反応することが知られているからである。従って、論理的に、これは分枝マンノースであり得る。
この点を証明するために、分枝マンノースBSAをアッセイにおいてng量加えた。これは、Con AとSBAを有するLcHとの結合を弱めた。BMの濃度がug量に増加したとき、Con AとSBA、DGLとSBAの反応はなかった。これは、BMが、Con AとDGLとの結合を、高濃度においてブロックするからである。LcHとSBAがまだ交差反応する理由。これは、文献で既知のBM拡大(extended)オリゴ糖から枝を広げたa−フコースがBMよりも良好な結合を与えるためである。
言い換えれば、LcHは、a−フコースを有するBMと良好に結合し、これは、SBA上の糖であってもよい。従って、BMはそれ自身、交差反応性をブロックするために現れない。
結論−SBAは、マンノース又は分枝マンノースをその上に有する。たいがい、これは単一のマンノースではなく、分枝である。これは、GNAが反応においてSBAと結合しないからである。このアプローチは、サンドイッチアッセイに対する非交差反応性レクチンを測定するための試験を示す。
【0031】
実施例12
この例において、マンノースBSAの、同一結合特異性のレクチンに対する結合親和性は、ガラクトースBSA(GAL)と比較される。
結果を表4に示す。これは、レクチンの感度及び特異性が、この場合はGNAレクチンによって示されるように増加し得ることを示す。
表4 マンノース結合レクチンの比較
M=マンノース BM=分枝マンノース W=弱い Sh=シャドゥ
この表において、左のカラムにおいて、すべてのレクチン、Con A、DGL及びGNAは、すべてマンノース又は分枝マンノースに結合する。
この形態のチェッカーボードにおいて、すべてのレクチンが、装置膜上に接種される。
すべてのネオ糖タンパク質、M又はBM又はGAL(BSAに連結)及びフェツイン(Fetuin)並びにアシアルフェツイン(Asialfetuin)は、コロイド金結合体である。
結果の解説
最初のラインを横切ると、Con Aは、予想通り、M及びBM(マンノース又は分枝マンノース連結BSA)に結合するが、ガラクトースとは結合しない。マンノースとガラクトースの炭水化物構造骨格上の唯一の違いは、マンノースがヒドロキシル基を炭素4でエカトリアルに有する一方、ガラクトースは、同じヒドロキシル基をバーティカル位に有することである。
これは非常に小さな違いであるが、レクチンは、1分間未満の高速アッセイにおいてこれらを区別する。
左カラムの2番目のレクチンOGLは、M及びBMに強く結合することを示す。明らかに、このレクチンは、M及びBMとより強い結合定数を有するが、ガラクトース連結BSAとは反応しないことを示す。
糖タンパク質フェツイン及びアシアルフェツインに関し、双方のレクチンは、立体障害のために、弱く結合し、又は結合しない。推測の一つとして、マンノースは、コロイド金に面しているので、結合に利用できないのかもしれない。
GNAが使用される場合、装置膜上のGNAが4倍まで増加すると、結合の反応は、増加しない。しかしながら、GNAの結合したコロイド金がトリスグリシン緩衝液中4〜6%PEGを含む溶液中にある場合、結合は、M、BMで増加し、アシアルフェツインで強く増加する。周知のように、ELISAにおいて、PEGは、免疫複合体形成を増大する。この場合、反応条件の環境が、結合活性を増加する一助となる。
同じ炭水化物結合特異性を有するレクチンは、同じ強度で結合しない。すなわち、DGLはCon Aよりもよく、GNAよりもよい。結合親和性定数は、結合が行われる環境とともに増大する。
【0032】
実施例13
この例は、高速貫流アッセイにおけるレクチン炭水化物特異性を示す。
結果を表5に示す。
表5 レクチン炭水化物特異性:高速アッセイにおける実際的実施例
M=マンノース BM=分枝マンノース W=弱い Sh=シャドゥ
A.デザインされた実験パラメーター、pH、イオン強度、選択された緩衝液の種類及び洗浄溶液の下、レクチンは、特異的な炭水化物結合を実証するために行われる。6つのネオ糖タンパク質を6つの異なる装置膜に接種し、Con Aは、マンノースとのみ選択し、SBAは、ガラクトースBSA及びGalNAc連結BSAとのみ結合し、等々である。これは、炭水化物同定を示す。
B.2つのレクチンを使用する区別。未知の糖タンパク質が、WGA及びHPAに結合する場合、GalNAc及び/又はGlcNAcであり得ることがわかる。SBAを使用してそれが結合すれば、未知のものがその両方であると確信できる。
結果の詳細な実験は、以下の通りである。
この表において、左の、ネオ糖タンパク質のカラムは(即ち、単糖(MonoS))、ウシ血清アルブミン(BSA)に共有結合的に連結する。例えば、M-BSAは、マンノースだけがBSA上に連結する。BMは分枝マンノースを意味する。GAL-BSAは、ガラクトース連結BSAを意味する。GlcNAc-BSAは、N-アセチルグルコサミンを意味し、Fu-BSAは、フコシル化BSAを意味し、及びGalNAc-BSAは、N-アセチルガラクトサイム-BSA(Galactosime-BSA)である。これらすべては、各装置上に選択的に接種される。上部を横切って、5つの異なるレクチンがあり、すべてコロイド金が結合している。
高速直接アッセイ手順及びチェッカーボードフォーマットにおいて、これは、各レクチンの特異的結合を数分間で示す。
【0033】
結果の解説
Con Aは、マンノース及び分枝マンノースに結合することが知られている。従って、結果は、まさに、M-BSA(明るい点)との弱い結合、及び強い赤い点を有する分枝マンノースBSAとの強い結合を示す。
Con Aは、さらに他の4つのネオ糖タンパク質すべてと非反応性であることを示す。
SBAは、ガラクトース及びGalNAcと反応することが知られている。このチェッカーボードは、まさに、これが結合するもの、及びこのレクチンがマンノース、又はGlcNAc、又はフコース連結BSAと非反応性であることを示す。このレクチンは、大豆から精製される。
WGAは、麦芽からのレクチンであり、このチェッカーボード研究において、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)又はシアル酸とのみ結合する。他の単糖とは反応しない。
AAAは、ウナギからのレクチンである。この研究において、a−フコース連結BSAとのみ結合する。
HPAは、フランスからのカタツムリから精製されるレクチンである。これは、広範な炭水化物反応性を有する。GalNAc及びGlcNAcと強い陽性が、明るい点によって装置膜上に示される。ガラクトース及びa−フコースとの結合は弱い。
この研究は、高速アッセイの結果が、各レクチンの結合特異性と、既知のネオ糖タンパク質と一致し得ることを示す。
【0034】
実施例14
この例は、a−フコース結合反応性の特異性を示す。
表6 フコース結合レクチン比較
M=マンノース BM=分枝マンノース W=弱い Sh=シャドゥ
この研究において、ロータス及びAAAコロイド金標識は、a−フコース連結BSAとのみ結合する。
これら2つのレクチンは、他のネオ糖タンパク質と結合しないことを示す。
一方、UEA-Iは、種々のネオ糖タンパク質と結合する。このレクチンは、分類血液型(0)として使用された。これは、このレクチンが、一つの単糖よりも結合のより大きな結合領域にありそうなa−フコースに結合することを意味する。
【0035】
実施例15
この例において、実施例14の方法が使用される。結果を以下の表7に要約する。
表7 糖鎖生物学における実際的な適用;炭水化物同定用及び区別用のレクチン
糖タンパク質における未知の炭水化物部分の同定
M=マンノース BM=分枝マンノース W=弱い Sh=シャドゥ
この場合、3つの天然糖タンパク質、フェツイン、アシアルフェツイン及びラクトフェリンが使用される。この表において、Con Aの陽性反応は、すべての糖タンパク質が分枝マンノースを有することを述べ、GNAは、フェツインが末端マンノースを有さないことを知らせている。アシアルフェツインは、少量であってもよい。ラクトフェリンからの、結合に暴露される多量の末端マンノースが存在し得る。SBAは、3つの糖タンパク質すべてがガラクトース又はGalNAcを有することを示す。3つの糖タンパク質すべてが、a−フコース及びGlcNAcを有する。これは、すべてがロータス及びWGAに陽性反応を与えるからである。
5つの異なる装置を使用する代わりに、5つの異なる単糖に対して5つの異なるレクチンで接種した一つの装置膜を使用でき、3つの試料のうち一つを加えることができ、及びその後、コロイド金標識レクチンの中に入る。又は、糖タンパク質のコロイド金標識したものは、これを直接法において使用し、これが結合するレクチンはどれかを検出する。結果として、どの炭水化物試料を有するか数分で推論できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実行に使用され得る分析アッセイ装置の分解図である。
【図2】本発明の実行に使用され得る分析アッセイ装置の上面図である。
【図3】平面3−3に沿った図2の分析装置の層の断面の正面(elevation)図である。
【図4A−F】レセプター領域の配置及び反応膜の形が変動し得ることを示す。
【図5】本発明の用量応答曲線を示す。
【図6】本発明で使用するためのpHプロファイルを示す。
Claims (10)
- 炭水化物含有試料分子中の少なくとも第1炭水化物の高速検出方法であって、以下の工程:
(a)前記試料分子を一つの液体浸透性反応膜の領域に保持する工程、
(b)前記第1炭水化物を結合し得る溶液の第1レクチンを、前記第1レクチンを前記保持された第1炭水化物に選択的に結合するための前記一つの反応膜を通して流し、前記レクチンが、炭水化物に結合する前に標識に直接結合され、又は、前記第1レクチンが前記炭化水素に結合された後に分離分子上の標識に結合される工程、及び
(c)その後、前記一つの反応膜に結合した標識を検出して前記第1炭水化物の存在を示す工程、
を含むことを特徴とする方法。 - 前記反応膜が、前記試料分子を結合できる固定化されたレセプターを含み、前記試料分子が、前記固定化されたレセプターに結合することによって前記反応膜上に保持される、請求項1に記載の方法。
- 前記固定化されたレセプターが、前記第1レクチンと同一タイプの、又は異なるタイプの第2レクチンを含む、請求項2に記載の方法。
- 前記第2レクチンが、前記第1レクチンと異なるタイプである、請求項3に記載の方法。
- 前記反応膜が、工程(b)及び(c)の間で洗浄される、請求項1に記載の方法。
- 前記検出が、光学分析器を使用して定量的に行われる、請求項1に記載の方法。
- 前記試料分子が、第2液体浸透性反応膜の前記一つの反応膜の第2分離領域上に保持され、請求項1の手順を、前記第1レクチンとは異なるタイプで、前記試料分子の第2炭水化物を選択的に結合し得る少なくとも標識された第2レクチンを使用して繰り返す、請求項1に記載の方法。
- 約1時間未満行われる、請求項1に記載の方法。
- 前記分離分子が、アビジンを含み、前記第1レクチンが、ビオチンに結合している、請求項1に記載の方法。
- 前記分離分子が、ビオチンを含み、前記第1レクチンが、アビジンに結合している、請求項1に記載の方法。
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