JP2004516594A - 記録担体を読み取る及び/又は該記録担体に書き込むデバイス - Google Patents

記録担体を読み取る及び/又は該記録担体に書き込むデバイス Download PDF

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Abstract

記録担体(13)を読み取る及び/又は該記録担体(13)に書き込むためのデバイスであって、デバイスは、記録担体(13)上の放射源(25)から生ずる放射ビーム(27、101)を集束させるための収束手段(35、45、47、106、108)を含む。収束手段は、偏光手段(103)及び複屈折材料の回折格子(107)を含む。偏光の方向に依存して、放射ビーム(101)は、それぞれ、DVD(110)及びDVR(109)に相当する二つの可能な面の一つに集束する。回折格子(107)は、放射ビーム(101)の中央領域に存在し、放射ビーム(101)の一つの方向の偏光に対して第一の次数の回折及び放射ビーム(101)の第二の方向の偏光に対して第二のより高い次数の回折を引き起こす。回折格子(107)は、複屈折材料で作られる。

Description

【0001】
本発明は、記録担体を読み取る及び/又は該記録担体に書き込むためのデバイスに関し、そのデバイスは、放射源及び、記録担体の書き込まれた面及び/又は書き込まれる面に放射源からの放射ビームを集束させるための手段を含み、前記手段は、偏光手段及び放射ビームの偏光の方向に依存して二つの可能なタイプの面の一つに放射ビームを集束させるための少なくとも複屈折材料の回折格子を含み、前記二つの可能なタイプの面の第一の面は、第一のタイプの記録担体の読み取られる及び/又は書き込まれる面に相当し、第二の面は、第二のタイプの記録担体の読み取られる及び/又は書き込まれる面に相当する。
【0002】
このようなデバイスは、米国特許第6,052,353号から知られている。この文書に記載する記録担体は、CD及びDVDである。放射源として機能する単一の光源から到来する光は、記録担体の書き込まれた面に集束する。また収束手段は、偏光手段及び少なくとも複屈折材料の回折格子も含む。放射源として機能する光源からの光の偏光の方向に依存して、放射ビームは、CDの書き込まれた面である、二つの可能な面の第一の面か、又はDVDの書き込まれた面である、二つの可能な面の第二の面か、どちらかに収束する。従来の規格に従って、透明層は、放射が記録担体に入る記録担体の入射面と書き込まれた面及び/又は書き込まれる面との間における、CDで1.2mm及びDVDで0.6mmの厚さを有する。透明層は、この厚さのいたるところで放射源の放射に対して透明である。さらに、CDを読み取る(0.45)ことに、又はCDに書き込む(0.50)ことに適切なデバイスの開口数よりも大きい、デバイスの開口数が、DVDを読み取る(0.6)ために要求される。
【0003】
DVD(デジタル・ビデオ・ディスク)は、4.7Gbの情報の記憶容量を有し、赤色光を放出する放射源によって読み取られ得る。CD又はDVDと同じ円周の寸法を有するディスクにより大量の映像を記録するために、標準的な名付けられたDVR(デジタルビデオレコーディング)が提案されてきた。DVDにおけるよりもかなり大量の情報を、DVRに書き込むことができる。DVRにおいては、青色光を放出する放射源が使用される。また、DVDに対する開口数が、たった0.6であるのに対して、より大きな開口数:0.85を使用するべきである。
【0004】
本発明の目的は、DVR形式で書き込む及び読み取るため並びにDVD形式で読み取るための両方に対して、単一の放射源が使用されるデバイスを提供することである。DVR形式に対して要求される放射源は青色の放射源であるので、青色の放射源と関連するDVDを読み取ることもまた可能であるべきである。使用する光の色及び開口数における差に加えて、DVR用の透明層は、また、DVD用の既知の透明層よりも薄くなければならない。DVR用の透明層の厚さが0.1mmであることが期待される。
【0005】
本発明によれば、この目的は、回折格子が放射ビームの中央領域に存在する、並びに回折格子が、実質的に放射ビームの第一の方向の偏光に対して第一の次数の回折を、及び実質的に放射ビームの第二の方向の偏光に対する第二のより高い次数の回折ビームを、集束させる、という開始の段落に記載するようなデバイスで達成される。
【0006】
それによって、DVDアプリケーションに対して、放射ビームの偏光の方向を、焦点が入射面からの第一の距離にあることになるように、適切に選ぶとき、放射ビームが、より高次の回折を受けることが達成される。他の方向の偏光に対して、放射ビームは、零次の回折を受けることになり、よって、あたかも回折格子が全く無かったかのように、さらなる回折は全く無い。従って、フォーカシングは、記録担体の入射面からの第二の距離で起こることになる。
【0007】
放射ビームの中央領域に回折格子を置くというこの選択によって、回折格子が、DVDを読み取るために厳密に必要であるほど大きくないと同時に、DVRを使用するとき、回折格子の存在は、零次の回折に対して全く関連がない。しかしながら、先行技術に従う回折格子において、少なくとも一つの中央の開口は、常に回折格子が無いのでなければならないので、大きな格子を提供しなければならない。回折格子が、放射ビームの中央部分において、DVD用の0.6の開口数を得るために必要であるよりも少しも遠くに広がらない場合において、入射する放射ビームは、どんな顕著な問題もなく、DVRに使用しなければならない放射源と同じ断面を有してもよい。その理由は、DVDに使用される放射ビームは、同じ直径にもかかわらず、DVRに使用される放射ビームとは異なる方向の偏光を有することである。たとえ広い放射ビームをDVDに使用するとしても、この放射ビームのより狭い中央部分のみを、回折格子によってより高い次数で回折することになり、記録担体の入射面から正確な深度(DVD深度)で焦点合わせすることを生じさせる。零次の回折が、この変調された方向の偏光に対して起こるので、回折格子に入射する、中央部分の外側における放射ビームの可能な部分を、記録担体の入射面の下で、回折格子によって影響されない変調された偏光を有する等しく大きな放射ビームの部分と同じ深度で集束させる。中央部分の外側の放射ビームの部分は、中央部分内の放射ビームの部分の焦点から1ミリメートルの数十分の一で集束し、放射ビームの集束した中央部分の位置で実質的に無視できる強度を有する。
【0008】
回折格子は、好ましくは、平面に配置される。
【0009】
収束手段は、好ましくは、平面を有する少なくとも一つのレンズを含み、回折格子は、少なくとも一つのレンズの平面に配置される。
【0010】
それによって、回折格子を比較的単純な方法で設計し製造することができると共に、少なくとも一つのレンズの端に対しての位置決めにおいて平行移動する、放射ビームに対する回折格子の位置決めは、二つの別個の位置における整列よりも単純であることが達成される。
【0011】
回折格子は、好ましくは、複屈折材料のみで作られる。
【0012】
それによって、回折格子の面の構造が提供された後には、個別の製造ステップは、もはや必要ではないことが達成される。米国特許第6,052,353号においては、複屈折材料を設計しなければならないだけでなく、イオン交換が、回折格子をそれとして仕上げる前に、回折格子の与えられた領域で起こるべきであることにも注意しなければならない。
【0013】
複屈折材料は、好ましくは、紫外光によって硬化可能である液晶材料である。
【0014】
偏光手段が、放射ビームを円偏光させるとすれば、液晶材料は、好ましくはコレステリック液晶材料である。
【0015】
回折格子は、好ましくは輪帯を含む。
【0016】
各帯は、好ましくは、少なくとも二つの階段を有する輪郭を含む。それによって、複屈折材料が第一の屈折率を有する、一方向の偏光の放射ビームにおいては、他の方向の偏光の放射ビームに対する同じ高さが、よって異なる屈折率が、2πの整数倍と異なる位相軌道を有するのに対して、階段の高さは、常に2πの整数倍の位相軌道に相当することが達成される。結果として、位相軌道が2πの整数倍であるビームに対して、零次の回折が起こり、位相軌道が2πの整数倍ではないビームに対して、回折格子は、より高次の回折を引き起こす。
【0017】
帯は、好ましくはブレーズ化された輪郭を含む。
【0018】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に記載する実施例から明白であり、それらにを参照して解明されると思われる。
【0019】
図1に図で示す光プレーヤーの実施例は、回転軸3のまわりに回転可能であると共にフレーム7に固定された電気モーター5によって駆動され得るテーブル1を含む。例えばDVD又はDVRのような光学的に読み取り可能な記録担体9を、テーブル1に置くことができ、その記録担体は、螺旋の情報トラックを有する情報層13が提供される円盤形状の透明な基板を含む。情報層13は、透明層11によって覆われる。光プレーヤーは、記録担体9の情報トラックを光学的に走査するための光学式スキャナ15をさらに含む。スキャナ15は、光プレーヤーの変位デバイス17によって、回転軸3に対する二つの対向する方向X及びX’に、実質的に変位可能である。このために、スキャナ15は、X方向に平行に延びると共にフレーム7に配置されるまっすぐなガイド手段21及び滑動部19をガイド手段21上で変位させる電気モーター23がさらに提供される変位デバイス17の滑動部19に固定され、そのガイド手段を横切って滑動部19が変位可能である。動作中に、モーター5及び23は、光プレーヤーの電気制御ユニット(示してない)によって駆動され、それによって記録担体9を、回転軸3まわりに回転させ、同時に、記録担体9に存在する螺旋の情報トラックをスキャナ15によって走査するような方法で、スキャナ15をX方向に平行に変位させる。走査の間に、情報トラックに存在する情報をスキャナ15によって読み取ることができるか、又は、情報をスキャナ15によって情報トラックに書き込むことができる。
【0020】
スキャナ15は、例えば光軸27を有する半導体レーザーのような放射源25を含む。さらに、スキャナ15は、放射源25の光軸27に対して45°の角度で配置されると共に放射源25に面する反射面33を有する透明板31を含む放射ビームスプリッター29を含む。また、スキャナ15は、光軸37をもつコリメーターレンズユニット35及び光軸41をもつ光学レンズ系39を含み、コリメーターレンズユニット35は、放射ビームスプリッター29とレンズ系39との間に配置される。示す実施例において、レンズ系39が、第一のレンズ又は対物レンズ45、及び対物レンズ45と記録担体9との間に配置される第二のレンズ又は補助レンズ47を含むと同時に、コリメーターレンズユニット35は、単一のコリメーターレンズ43を含む。示す実施例において、コリメーターレンズユニット35の光軸37及びレンズ系39の光軸41は、一致し、放射源25の光軸27に対して90°の角度をなす。スキャナ15は、放射ビームスプリッター29の後方にコリメーターレンズユニット35に対して配置される、既知及び従来のタイプの光学検出器49をさらに含む。動作中に、放射源25は、放射ビームスプリッター29の反射面33によって反射されると共に記録担体9の情報層13にレンズ系39によって走査スポット53に集束される、放射ビーム51を発生させる。放射ビーム51は、レンズ系39、コリメーターレンズユニット35及び放射ビームスプリッター29を介して光学検出器49に集束される反射された放射ビーム55へ、情報層13によって反射される。記録担体9に存在する情報を読み取るために、光学検出器49が、記録担体9の情報トラックにおける走査スポット53に存在する一連の連続的な基本情報マークに相当する検出信号を供給すると同時に、放射源25は、連続な、又はパルス化された放射ビーム51を発生させる。記録担体9に情報を書き込むために、記録担体9の情報トラックにおける一連の連続的な基本情報マークを走査スポット53に発生させると同時に、放射源25は、書き込まれる情報に相当する、パワーを有する放射ビーム51を発生させる。放射源25、コリメーターレンズユニット35及びレンズ系39を互いに対して異なって配置してもよいことに注意しなければならい。例えば、本発明は、コリメーターレンズユニット35の光軸37及びレンズ系39の光軸41が、相互に90°の角度をなすと共に鏡をコリメーターレンズユニット35とレンズ系39のと間に配置する実施例を含む。これらの実施例において、光学式スキャナは、レンズ系39の光軸41に平行に見て、寸法を減少させてきた。また、実施例は、実現可能であり、放射源25及びコリメーターレンズユニット35は、滑動部19にではなく、フレーム7に対して固定された位置に配置され、コリメーターレンズユニット35の光軸37は、半径方向X、X’に平行に向けられる。これらの実施例において、レンズ系39及び追加の鏡のみが滑動部19に配置されるので、滑動部19の変位可能な質量は、減少する。
【0021】
図2にさらに示すように、光学式スキャナ15は、第一のアクチュエーター57及び第二のアクチュエーター59を含む。第一のアクチュエーター57によって、レンズ系39は、光軸41に平行な比較的小さい距離を通じて、及びX方向に平行な比較的小さい距離を通じて、変位可能である。第一のアクチュエーター57によって光軸41に平行してレンズ系39を変位させることにより、走査スポット53を、記録担体9の情報層13に所望の確度で集束させる。第一のアクチュエーター57によってX方向に平行してレンズ系39を変位させることにより、走査スポット53を、走査される情報トラックにおいて所望の確度で保持する。このために、第一のアクチュエーター57は、光学検出器49から焦点誤差信号及びトラッキング誤差信号を受信する光プレーヤーの前記制御ユニットによって制御される。第二のアクチュエーター59によって、コリメーターレンズユニット35のコリメーターレンズ43は、光軸37に平行な比較的小さい距離を通じて変位可能である。第二のアクチュエーター59によって光軸37に平行してコリメーターレンズ43を変位させることによって、記録担体9の透明層11によって引き起こされる放射ビーム51の球面収差を、補正することができる。このような球面収差は、層11の厚さにおける変動によって主として引き起こされる。このために、例えば、走査スポット53付近における透明層11の厚さが測定可能である間に、第二のアクチュエーター59は、センサー(示してない)からの誤差信号を受信する光プレーヤーの前記制御ユニットによる制御電流によって制御される。予め決められた既知及び従来の様式で前記球面収差を補正する位置にコリメーターレンズ43を位置決めすることができるような方法で、第二のアクチュエーター59を通じて電流を制御するために制御ユニットを改作する。
【0022】
p−偏光からs−偏光へ放射ビームの偏光を変化させることが可能である液晶セル38は、コリメーターレンズ43とレンズ系39との間に配置される。
【0023】
光学レンズ系の特定の実施例は、400nmの波長を有すると共に例えばs方向で偏光した平行な放射ビーム51を、記録担体9の透明層11を通じて情報層13に走査スポット53を形成する0.85の開口数(NA)を有する集束するビームへ変化させる。光学系39の第一のレンズ45は、光軸60における1.500mmの厚さ及び2.835mmの入射瞳径を有する。第一のレンズ45は、1.477の屈折率及び66のアッベ数を有するSchott社のガラスFK3で作られる。コリメーターレンズ43に面する第一のレンズ45の凸面は、式
【0024】
【数1】
Figure 2004516594
によって定義される回転対称非球面の形状を有し、ここでzは、ミリメートルでの光軸60の方向における面の位置であり、rは、光軸60に対するミリメートルでの位置であり、cは、曲率(半径の逆数)であり、bは、円錐係数であり、Aは、rのk乗の係数である。この場合に、c=0.533mm−1及びb=0である。係数A4乃至A16の値は、それぞれ、−0.0096653516、−0.0031223071、−0.0004646800、−2.9911127 10−5、−0.0001740062、6.6600388 10 、及び−1.3526451 10−5である。凸面と反対側の第一のレンズ45の境界面46は、無限の曲率半径を有する。図5を参照してさらに記載することになる、輪帯からなる平面の回折構造は、境界面に存在する。
【0025】
図3において、符号101は、放射源25から生ずると共に符号102によって示す、図の平面に方向な平行で偏光する放射ビーム、例えば光ビームを表示する。引用符103は、偏光の方向を変調するデバイスを表示し、そのデバイスは、図3において符号104によって表示するように、放射ビーム101の偏光の方向を維持することができるか、又は、図3において符号105によって表示するように、90°回転することができる。偏光の方向を変化させるデバイス103は、それ自体知られており、例えば、ツイステッドネマチック液晶を含む。放射ビーム101は、図2において符号45によって表示すると共にこの図を参照して記載する第一の平凸レンズ106に実質的に入射し、その平面側は、本発明による、以下では回折格子107と呼ばれる、平面の回折構造を有する。平凸レンズ106及び回折格子107を通過した後、ビーム101は、図2において符号47によって表示する共にこの図を参照して記載する第二の平凸レンズ108に入射する。引き続き、ビームは、記録担体の透明層109(図1)及び110(図2)に入射する。図6及び7の次の記載から明白であると思われるが、回折格子107の直径並びに透明層109及び110の厚さの両方を、正確な方法で互いに対して適合させることができることに注意するべきである。
【0026】
図5は、本発明によるデバイスで使用することができるような回折格子の一部の例を示す。回折格子107は、いくつかの帯、Z、Z+1、…等を有する。帯Zは、平凸レンズ6の平面側の中心Mまわりに円形に広がる(図3及び4参照)。半径方向における帯の寸法は、帯Znと点Mとの間の距離に依存する。
【0027】
回折格子107の帯の境界rは、式
【0028】
【数2】
Figure 2004516594
によって定義され、jは、常に整数である。構造は、0.695mmの半径まで広がる。そして、112個の帯があり、(回折格子の端付近の)最も狭い帯は、幅3.26μmである。現在のリソグラフィー技術は、最も狭い帯内に3個又はさらにそれ以上のサブ帯を有するこのような構造を作る可能性を提供する。回折構造は、反応性の液晶材料で作られる。n=1.51及びn=1.70をもつこのような材料の例は、C6M/E7 50/50(重量%)である(図8参照)。光開始剤(例えばDarocure 4265)を、光重合のために加えてきた。代替の混合物は、C6M/C3M/E7 40/10/50(重量%)である(図8参照)。室温での光重合の後に、屈折率n及びnは、それぞれ1.55及び1.69であることになる。使用するコードは、次の物質を参照する。
E7:51%C11シアノビフェニル、25%C15シアノビフェニル、16%C17シアノビフェニル、8%C11シアノトリフェニル
C3M:4−(6−アクリロイルオキシプロピルオキシ)ベンゾイルオキシ−2−メチルフェニル4−(6−アクリロイルオキシプロピルオキシ)ベンゾアートC6M:4−(6−アクリロイルオキシヘキシルオキシ)ベンゾイルオキシ−2−メチルフェニル4−(6−アクリロイルオキシヘキシルオキシ)ベンゾアート 光重合が起こる温度を、屈折率n及びn(よって複屈折)を適合させるために使用してもよい。例えば、温度を30℃から140℃まで変化させるとき、neを、0.01ずつ適合させることができ、n0を、約0.03ずつ適合させることができる。また、これらの値を、混合比を変化させることによって微調整してもよい。
【0029】
回折格子の好適な実施例は、図5における断面に示され、帯当たり三個の領域111、112及び113を含む。回折格子107の材料は、複屈折材料であり、その詳細は、以上に記載されている。図5は、各帯が、それぞれh111、h112、及びh113で表示される、階段111での第一の高さ、階段112での第二の高さ、及び階段113での第三の高さを有する構造を有する実施例を示す。
【0030】
複屈折層は、s−偏光がnの屈折率を選択するような方法で方向付けられる。帯内の、及び何れの帯でも繰り返される構造は、各階段が、
【0031】
【数3】
Figure 2004516594
によって定義されるhの整数倍の数である高さhを有する階段状の構造であり、ここで、λは、波長(λ=400nm)であり、nは、通常の屈折率(n=1.55)である。この方法では、構造は、2πの整数倍の位相の階段を有するので、この構造は、s−偏光に対して影響をもたない。何れの帯も等しい幅及びそれぞれ1h、2h、及び3hの高さの比をもつ三つの階段で構築されるとき、光は、s−偏光に対して散乱されないことになる(零次の回折は、このように選択される)。s−偏光に垂直であるp−偏光に対しては、複屈折層の屈折率は、ここではn=1である。階段状の構造は、ここでは、2πの整数倍に等しくない、すなわち0.5092π、1.0184π及び1.5276πである、相対的な位相の飛び越しを有する。この場合には、一次の回折は、58%の効率で選択される。与えられた構造において、理論的に一次の回折に到達してもよい最大の百分率は、68.4%であることが知られている。
【0032】
光学レンズ系39(図3、4、6及び7では108)の第二のレンズ47(図2を参照)は、光軸60で0.975mmの厚さを、また第一のレンズ45に対して1.337mmの距離を有する。第二のレンズ47は、Schott社のガラスSFL56で作られる。第一のレンズ45に面する第二のレンズ47の凸面の非球面形状は、式(1)によって定義され、ここでc=1.031mm−1及びb=0であり、係数A乃至A16の値は、それぞれ−0.05483298、0.009373890、0.067727252、−0.93408194、3.6700376、−9.1381272及び6.5187469である。第二のレンズ47の反対側における界面75は、無限の曲率半径を有する。透明層11が0.1mmの厚さ及び1.624の放射ビーム51の前記波長における屈折率nを有すると同時に、s−偏光したビームの場合における作動距離は、光学レンズ系39と透明層11との間で、0.075mmである。p−偏光したビームの場合には、光学レンズ系39の特定の実施例は、400nmの波長を有する平行な放射ビーム51を、記録担体9の透明層11を通じて情報層13に走査スポット53を形成する0.6の開口数(NA)を有する収束するビームへ変化させる。放射ビームは、ここでは回折格子において一次の回折を受けるので、回折限界のスポットが、0.6mmの透明層11の厚さ、及び1.624の屈折率nを有する記録担体用の情報層13に生成するような方法で、レンズ47を通過する放射経路を変化させる。光学レンズ系39と透明層11との間における作動距離は、ここでは0.050mmである。作動距離は、回折構造に、より弱い集束効果のより強いを与えることによって影響を受け得る。
【0033】
輪帯Znにおける階段の提供を、ブレーズ化された輪郭に接近することができるように、さらに精密にしてもよい。このブレーズ化された輪郭に良く接近すればするほど、より多くの放射が、一つの次数で到来することになる。回折格子107を製造するために使用する生産技術に依存して、その技術は当業者に知られているが、回折格子107は、またブレーズ化された輪郭を有してもよい。この場合には、平面の回折構造は、口径の全体にわたって広がり、好ましくは零と異なる次数がDVD及びDVRの両方に対して選ばれる。
【0034】
前述のものにおいては、放射ビーム101は、偏光の方向102及び偏光の方向104及び偏光の方向105の両方に関して、直線偏光していることを仮定してきた。しかしながら、本発明は、直線偏光している放射ビームに限定されず、円偏光している放射ビーム101に関してもまた作動し、ここで偏光の方向を変化させるデバイス103は、次に左旋性から右旋性へ、又は反対に偏光の方向を変化させる。円偏光している光を放射ビーム101で使用するとき、左旋性及び右旋性の円偏光している放射に対して異なる屈折率を有するコレステリック液晶材料の回折格子107を製造することは好ましい。
【0035】
図6及び7は、本発明を使用する例を示し、ここで図6は、DVRに対する本発明の使用を示し、図7は、DVDに対する本発明の使用を示す。
【0036】
DVRは、0.85の開口数及び400nmの波長で読み取る及び書き込むことによって特徴付けられ、ここで、書き込まれるか又は読み取られる面にビームが到達しなければならない、透明層11の層の厚さは、0.1mmである。この層の厚さのみを図6及び7に示し、この層が、より厚いサブ層(示してない)にもちろん存在することに注意すること。DVDに対する同じ状況において、400nmの波長における開口数は、読み取りに対しては0.60、書き込みに対しては0.65であり、透明層10は、0.6mmの層の厚さを有する。
【0037】
図6において、符号104は、平凸レンズ106に入射すると共にそれによってビーム115として回折される、その方向に偏光したレーザービーム101を表示する。ビーム115は、平凸レンズ106の平面の射出面に、並びに放射ビーム101の中央部分で回折格子107、及び平凸レンズ106に、引き続き入射する。前述のように、回折格子107は、偏光の方向104に対しては零次の回折に帰着し、このことは、回折格子107の存在が影響をもたないと同時に、ビーム115がレンズ106の平面によってビーム116へ回折されることを意味する。放射ビーム116は、平凸レンズ108によって引き続き集束され、焦点117における透明層109の厚さは、入射面114の下では0.1mmにある。
【0038】
図7において、偏光の方向105によって示すように放射ビーム101を偏光させる同じデバイスを示す。また、図は、平凸レンズ106の平面に中心Mまわりで入射して回折格子107が完全に満たされるような直径をもつ放射ビーム115を形成するために、放射ビーム101を絞り(示してない)によって絞ることを示す。偏光の方向105に対して、回折格子107の存在は、放射ビーム115が、放射ビーム116’を形成するためにより高い次数で回折されるという結果を有する。平凸レンズ108及び透明層110を通過した後、ビーム116’は、透明層110の入射面114の下0.6mmにおける焦点118に集束される。
【0039】
また、図7は、偏光方向105をもつ放射ビーム101が絞られないときの結果を示す。次に、放射ビーム101の一部分は、回折格子107が存在しない輪状部分119における平凸レンズ106の平面に入射することになる。これを、破線120及び121によって示す。輪状部分119における回折格子107の欠如によって、破線120と121との間に位置する放射ビーム101の部分は、平凸レンズ108の平面と入射面114との間の距離が同じであるという条件で、放射ビーム116が平凸レンズ106と平凸レンズ108との間に広がると共に平凸レンズ108及び透明層110によって引き続き集束されて入射面114の下約0.1mmにある焦点117’を形成することになる方法で、引き続き進行することになる。平凸レンズ108の平面と入射面114との間の異なる距離で、焦点と入射面114との間の距離は、0.1mmよりもわずかに大きいか又はわずか小さいにことになる。この差は、次の態様に関して本質的ではない。
【0040】
引き続き、焦点117に集束するビームは、再び焦点がずれて記録担体110における輪状領域122を照射することになる。図7に見ることができるように、領域122における放射の強度は、焦点118における集束する放射ビームの強度よりも何倍も低く、領域122は、焦点118を隠蔽しない。結果として、図7における放射ビーム116によって走査されたいくらかの情報は、領域122において信号に、どんな影響も、又は無視できる影響を、持たないことになり、その信号は、放射ビーム101、115、116’の焦点118からの反射によって発生する。
【0041】
どんな必要な理由に対しても、放射ビーム101を絞ることができないか、又は不十分に絞ると共に、回折格子107がDVD用の開口数に相当するものよりも中心Mから大きな距離まで広がるとすれば、次の状況が生じることになる。図7にける実線によって示す放射ビーム101の部分は、まだ焦点118での焦点合わせを起こすことになる。しかしながら、破線120と121との間で位置すると共に中心Mのまわりに7’として示す直径を有する回折格子に相当するビーム101の一部分は、収差の増加に至る場合もあるので、焦点118におけるというよりもむしろ焦点118まわりの光もあることになる。大きな開口数は、デバイスを、例えば記録担体の傾斜角の公差に対してより敏感にする。回折格子107から平凸レンズ106の平面の全体にわたって広がってもよい回折格子107’までの拡張によるより大きな収差の結果は、記録担体及びその移動の公称値からの偏差に対するデバイスのより大きな感度に帰着するが、デバイスがもはや使用可能でない状況には至らない。正確な様式で平凸レンズ108を形作ることによって、即ち平凸レンズ108が正確な量の収差を導入して回折格子107によって導入される収差を中和することを保証することによって、これらの収差の増加を、制限することができるか、又は零に維持することさえもできる。
【0042】
上述の実施例の質を、達成することができる公差から推定することができる。λ=400nmの放射ビームにおける放射の波長、DVDに対して0.6及びDVRに対して0.85の開口数、並びにレンズ108の平面と透明層110の入射面との間の50μmの、及びDVRに対するレンズ108の平面と透明層109の入射面との間の75μmの距離では、公差は、以下のとおりである。
【0043】
DVR(直径入射瞳2.835mm)に対して
公称:0.3mλrms,15μm、レンズの偏心:19.5mλrms,0.4°、視野:17.5mλrms
DVD(直径入射瞳1.874mm)に対して
公称:5.4mλrms,15μm、レンズの偏心:35.2mλrms,0.3°、視野:37.0mλrms
前述のものの後に、記載するデバイスの異なる実施例及び修飾は、それらの全てが本発明の範囲内にあるが、当業者には明白であると思われる。これらの実施例の全ては、付随する請求項に定義するような本発明を実施するために考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
読み取り及び/又は書き込みデバイスを図に示す。
【図2】
光学式スキャナを図に示す。
【図3】
放射ビームの第一の方向の偏光に対する本発明によるデバイスを図に示す。
【図4】
放射ビームの第二の方向の偏光に対する本発明によるデバイスを図に示す。
【図5】
回折格子の複数の帯の断面図である。
【図6】
DVRに使用される本発明によるデバイスの断面である。
【図7】
DVDに使用される本発明によるデバイスの断面である。
【図8】

Claims (12)

  1. 記録担体を読み取る及び/又は該記録担体に書き込むデバイスであって、
    放射源、及び前記記録担体の書き込まれた面及び/又は書き込まれる面に前記放射源からの放射ビームを集束させる手段を含み、
    前記手段は、偏光手段、及び前記放射ビームの偏光の方向に依存して二つの可能なタイプの面の一つに前記放射ビームを集束させる少なくとも複屈折材料の回折格子を含み、
    前記二つの可能なタイプの面の第一の面は、第一のタイプの記録担体の読み取られる及び/又は書き込まれる面に相当し、
    第二の面は、第二のタイプの記録担体の読み取られる及び/又は書き込まれる面に相当し、
    前記回折格子は、前記放射ビームの中央領域に存在すると共に、
    前記回折格子は、実質的に前記放射ビームの第一の方向の偏光に対する第一の回折ビームを、及び実質的に前記放射ビームの第二の方向の偏光に対する第二のより高い次数の回折ビームを、形成することを特徴とするデバイス。
  2. 前記第一の回折ビームは、零次の回折ビームであることを特徴とする請求項1記載のデバイス。
  3. 前記回折格子は、平面に配置されることを特徴とする請求項1記載のデバイス。
  4. 前記収束手段は、平面を有する少なくとも一つのレンズを含み、
    前記回折格子は、前記少なくとも一つのレンズの前記平面に配置されることを特徴とする請求項1又は2記載のデバイス。
  5. 前記回折格子は、複屈折材料のみで作られることを特徴とする請求項1記載のデバイス。
  6. 前記複屈折材料は、液晶材料であることを特徴とする請求項5記載のデバイス。
  7. 前記液晶材料は、紫外光によって硬化可能であることを特徴とする請求項6記載のデバイス。
  8. 前記偏光手段は、前記放射ビームを円偏光させ、
    前記液晶材料は、コレステリック液晶材料であることを特徴とする請求項6記載のデバイス。
  9. 前記回折格子は、輪帯(Z、Zn+1)を含むことを特徴とする請求項1記載のデバイス。
  10. 各帯(Z、Zn+1)は、少なくとも二つの階段を有する輪郭を含むことを特徴とする請求項9記載のデバイス。
  11. 各帯(Z、Zn+1)は、少なくとも三つの階段を有する輪郭を含むことを特徴とする請求項10記載のデバイス。
  12. 前記帯(Z、Zn+1)は、ブレーズ化された輪郭を含むことを特徴とする請求項9記載のデバイス。
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