JP2004516232A - Cla異性体の調製方法 - Google Patents
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Abstract
共役リノール酸異性体を含む、新規組成物を、ガスクロマトグラフィー中のコントロールのために、または動物飼育研究のために使用し得る。共役リノール酸の精製した異性体を処理して、CLAの2つの異性体を含有した調製物を生成し得る。この調製物は、そのままの状態で使用し得るか、またはさらに処理して2つの異性体を分離し得る。これらの異性体は、これらの遊離脂肪酸形成において使用され得るかあるいはアルキルエステルまたはトリグリセリドに転換され得る。さらに、これらの異性体は、食料品または飼料のための補助剤として有用である。
Description
【0001】
(発明の分野)
本発明は、脂質の生化学に関し、詳細には、共役リノール酸の種々の異性体の調製に関する。
【0002】
(発明の背景)
1978年に、University of Wisconsinの研究者らは、調理された牛肉中に含まれる突然変異誘発を阻害するようである物質の同定を得た。この物質は、共役した二重結合を有するリノール酸(C18:2)の位置異性体の混合物であることが見出された。c9,t11異性体およびt10,c12異性体は、非常に多量存在するが、どの異性体が観察された生物学的活性の原因であるかは不確定である。9,11異性体が動物組織のリン脂質画分にいくらか優先的に取り込まれかつ組み込まれ、そして10,12異性体はその程度が低いようであることが、標識された取り込み研究より記述されてきた(Haら、Cancer Res.,50:1097(1990))。
【0003】
共役リノール酸(CLAと称する)に関する生物学的活性は、多様でありかつ複雑である。現在、作用の機構についてほとんど知られていないが、進行中のいくつかの前臨床研究および臨床研究は、作用の生理学的様式および生化学的様式に新たな光を与えるようである。CLAの抗発癌性特性は、十分実証されてきた。CLAの投与は、Birtら、Cancer Res.,52:2035s(1992)によって実証されるようにラット乳腺腫瘍形成を阻害する。Haら(上記)は、マウス噴門洞新生物形成モデルにおいて、同様の結果を報告した。CLAはまた、インビトロで標的ヒト黒色腫、結腸直腸癌細胞および乳癌細胞に対する強力な細胞傷害性剤として同定された。
【0004】
CLA作用の機構は未だ不明であるが、免疫系のいくつかの成分が、少なくともインビボで関与し得るという証拠が存在する。米国特許第5,585,400号(Cookら、本明細書中に参照として援用される)は、CLAを含有する食餌を投与することによって、I型またはIgE過敏性によって媒介される、動物でのアレルギー性反応を減弱するための方法を開示する。約0.1〜1.0%の濃度でのCLAはまた、白血球を保存するに効果的なアジュバントであることが示された。米国特許第5,674,901号(Cookら)(本明細書中に参照として援用される)は、遊離酸または塩のいずれかの形態でのCLAの経口または非経口の投与が、細胞性免疫に関与するCD−4およびCD−8のリンパ球亜集団における上昇をもたらしたことを開示した。外因性腫瘍壊死因子での前処置により生じる不利な効果は、CLAが投与された動物中のCD−4細胞およびCD−8細胞のレベルの上昇または維持により間接的に緩和され得る。最後に、米国特許第5,430,066号(Cookら)(参考として本明細書中に援用される)は、免疫刺激による体重減少および食欲不振を予防する際のCLAの効果を記載する。
【0005】
上記のCLAの有力な治療的適用および薬理的適用とは別に、栄養補助食品としてのCLAの使用に関して、非常に興奮させられている。CLAは、身体構成に対して非常に一般化された効果を発揮することが見出されている。特に、脂肪組織塊と脂肪のない組織塊との区画を再指向する。米国特許第5,554,646号(Cookら)(参考として本明細書中に援用される)は、栄養補助食品としてCLAを利用する方法を開示し、ここで、ブタ、マウスおよびヒトは、0.5% CLAを含有する食品を給餌された。各種において、脂肪含量における顕著な減少が、タンパク質質量において付随する増加とともに観察された。これらの動物において、CLAの添加による食餌の脂肪酸含量の増加は、体重の増加をもたらさないが、身体内の脂肪および無脂肪(lean)の再分布に関連したことは興味深い。目的の別の食餌現象は、食餌転換に対するCLA補填の効果である。米国特許第5,428,072号(Cookら、本明細書中に参考として援用される)は、動物食餌(トリおよび哺乳動物)へのCLAの組み込みがCLA補填トリおよび哺乳動物におけるかなりの体重増加を導く食餌変換の効果を増加することを示すデータを提供した。食品動物飼育者にとってCLA補填の潜在的な有利な効果は、明白である。
【0006】
CLAにおける目的の別の重要な供給源、およびその初期の商業的潜在性を強調するものは、それがヒトおよび動物などによって消費される食品および食餌の中に天然に存在することである。特に、CLAは、反芻動物からの産物中に豊富である。例えばCLAが、種々の乳製品において調査された、いくつかの研究が実施されてきた。Anejaら、J.Dairy Sci.,43:231(1990)は、牛乳からヨーグルトへの加工がCLAの濃縮を生じることを観察した。(Shantaら、Food Chem.,47:257(1993))は、処理する温度および乳清の添加における組合わせた増加が、プロセスチーズの調製の間CLA濃度を増加したことを示した。別の研究において、Shantaら、J.Food Sci.60:695(1995)は、処理および貯蔵の条件は明らかにはCLA濃度を減少しないがいずれの増加も観察されなかったことを報告した。実際、いくつかの研究は、季節的変動または動物間の変動は牛乳のCLA含量における3倍もの差異の原因であり得ることを示した(例えば、Parodiら、J Dairy Sci.,60:1550(1997)を参照のこと)。また、食物因子は、CLA含量の変動に関係している(Chinら、J.Food Comp.Anal.,5:185(1992))。天然の供給源におけるこのCLA含量の変動に起因して、規定された量の種々の食品の摂取は、ヒト(individual)または動物が最適用量を受けて所望の栄養効果を達成することを確保することを保障しない。
【0007】
治療的適用および栄養的適用の両方のためのCLAの規定された市販の供給源の開発において、大量の規定された材料の産生のためのプロセスが必要とされる。従来のアプローチによって産生されるほとんどのCLA産物についての問題は、その異質性、およびバッチ間でのアイソフォームにおける実質的な変化である。最近の文献は、この変化について実証し、そしてCLAの生産者が自分達の製品の複雑な性質を評価することの必要性を示す(Christieら、JAOCS、74(11):1231(1997)を参照のこと)。
【0008】
獣脂の代わりに多量の硬化油およびショートニングを摂取することは、トランス脂肪酸量の高い食餌を生じる、という事実にもまた、多くの注意が払われてきた。例えば、Holmanら(Proc.Nat’l.Acad.Sci.88:4830(1991))は、硬化油を給餌されたラットは異常なポリ不飽和脂肪酸異性体のラット肝における蓄積を生じることを示した。これは、天然に存在するポリ不飽和脂肪酸の正常な代謝を妨害するようである。従って、CLAの種々の異性体の化学的分析および生物学的分析に対して強い要求が存在する。
【0009】
(発明の要旨)
本発明は、脂質の生化学に関し、詳細には、共役リノール酸(オクタデカジエン酸)の種々の異性体の調製に関する。本発明は、いずれの特定のオクタデカジエン酸異性体の産生にも限定されない。実際に、c9,t11オクタデカジエン酸、t8,c10オクタデカジエン酸、t10,c12オクタデカジエン酸、c11,t13オクタデカジエン酸、c7,t9オクタデカジエン酸、t6,c8オクタデカジエン酸、t11,c13オクタデカジエン酸、c12,t14オクタデカジエン酸、c6,t8オクタデカジエン酸、t5,c6オクタデカジエン酸、c5,t7オクタデカジエン酸、t4,c6オクタデカジエン酸、t3,c5オクタデカジエン酸、t12,c14オクタデカジエン酸、c13,t15オクタデカジエン酸、およびc14,t16オクタデカジエン酸が挙げられるが、これらに限定されない種々の異性体が調製され得る。この異性体は、遊離脂肪酸、アルキルエステル、またはアシルグリセリドとして提供され得る。従って、いくつかの実施形態において、本発明は、前述の異性体のうちの1つを25%よりも多く含む組成物を提供する。さらに他の実施形態において、本発明は、前述の異性体のうちの1つを40%よりも多く含む組成物を提供する。さらに他の実施形態において、本発明は、前述の異性体のうちの1つを50%よりも多く含む組成物を提供する。もう一度述べると、この異性体は、遊離脂肪酸、アルキルエステル、またはアシルグリセリドとして提供され得る。いくつかの他の好ましい実施形態において、本発明は、50%よりも多くのc11,t13CLAを含む組成物を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、60%よりも多くのc11,t13CLAを含む組成物を提供する。
【0010】
特に好ましい実施形態において、本発明は、共役リノール酸の異性体の残基を含むアシルグリセロールの混合物を提供し、ここで、前記アシルグリセロールの脂肪アシル含有量は、以下からなる群から選択される共役リノール酸異性体の少なくとも25%である:t8,c10オクタデカジエン酸、c11,t13オクタデカジエン酸、c7,t9オクタデカジエン酸、t6,c8オクタデカジエン酸、t11,c13オクタデカジエン酸、c12,t14オクタデカジエン酸、c6,t8オクタデカジエン酸、t5,c6オクタデカジエン酸、c5,t7オクタデカジエン酸、t4,c6オクタデカジエン酸、t3,c5オクタデカジエン酸、t12,c14オクタデカジエン酸、c13,t15オクタデカジエン酸、およびc14,t16オクタデカジエン酸。他の特定の好ましい実施形態において、本発明は、共役リノール酸の異性体の残基を含むアシルグリセロールの混合物を提供し、ここで、前記アシルグリセロールの脂肪アシル含有量は、以下からなる群から選択される共役リノール酸異性体の少なくとも45%である:t8,c10オクタデカジエン酸、c11,t13オクタデカジエン酸、c7,t9オクタデカジエン酸、t6,c8オクタデカジエン酸、t11,c13オクタデカジエン酸、c12,t14オクタデカジエン酸、c6,t8オクタデカジエン酸、t5,c6オクタデカジエン酸、c5,t7オクタデカジエン酸、t4,c6オクタデカジエン酸、t3,c5オクタデカジエン酸、t12,c14オクタデカジエン酸、c13,t15オクタデカジエン酸、およびc14,t16オクタデカジエン酸。なおさらなる特定の好ましい実施形態において、本発明は、共役リノール酸の異性体の残基を含むアシルグリセロールの混合物を提供し、ここで、前記アシルグリセロールの脂肪アシル含有量は、以下からなる群から選択される共役リノール酸異性体の少なくとも50%である:t8,c10オクタデカジエン酸、c11,t13オクタデカジエン酸、c7,t9オクタデカジエン酸、t6,c8オクタデカジエン酸、t11,c13オクタデカジエン酸、c12,t14オクタデカジエン酸、c6,t8オクタデカジエン酸、t5,c6オクタデカジエン酸、c5,t7オクタデカジエン酸、t4,c6オクタデカジエン酸、t3,c5オクタデカジエン酸、t12,c14オクタデカジエン酸、c13,t15オクタデカジエン酸、およびc14,t16オクタデカジエン酸。
【0011】
他の実施形態において、本発明は、共役リノール酸の異性体を含む組成物を提供し、ここで、この組成物は、少なくとも25%のオクタデカジエン酸の第1異性体、および少なくとも25%の前記第1異性体の姉妹異性体(sister isomer)を含むか、または実質的にこれらからなる。本発明は、姉妹異性体のいずれの対にも限定されない。実際、種々の姉妹異性体対が考えられ、この姉妹異性体は、以下を含むが、これらに限定されない:c9,t11オクタデカジエン酸およびt8,c10オクタデカジエン酸、t10,c12オクタデカジエン酸およびc11,t13オクタデカジエン酸、c7,t9オクタデカジエン酸およびt6,c8オクタデカジエン酸、t11,c13オクタデカジエン酸およびc12,t14オクタデカジエン酸、c6,t8オクタデカジエン酸およびt5,c6オクタデカジエン酸、c5,t7オクタデカジエン酸およびt4,c6オクタデカジエン酸、c4,t6オクタデカジエン酸およびt3,c5オクタデカジエン酸、t12,c14オクタデカジエン酸およびc13,t15オクタデカジエン酸、ならびにt13,c15オクタデカジエン酸およびc14,t16オクタデカジエン酸。この異性体は、遊離脂肪酸、アルキルエステル、またはアシルグリセリドとして提供され得る。
【0012】
なお他の実施形態において、本発明は、オクタデカジエン酸異性体の対および/または個々のオクタデカジエン酸異性体を調製する方法を提供し、これらは以下:a)第1の部分的に精製されたオクタデカジエン酸異性体を提供する工程;およびb)この第1オクタデカジエン酸異性体を、共役結合系が移動するような条件下で処理し、それによってオクタデカジエン酸の少なくとも第1異性体および第2異性体を含む混合物を形成する工程、を包含する。なおさらなる実施形態において、この方法は、工程c)オクタデカジエン酸の少なくとも第1異性体および第2異性体を分離し、第2の精製されたオクタデカジエン酸異性体を提供する工程、をさらに包含する。本発明の他の実施形態において、この条件は、部分的に精製されたオクタデカジエン酸異性体を加熱する工程を包含する。なおさらなる実施形態において、この分離する工程は、ガス液体クロマトグラフィによって達成される。いくつかの実施形態において、この第1の部分的に精製されたオクタデカジエン酸異性体は、c9,t11オクタデカジエン酸およびt8,c10オクタデカジエン酸の1つであり、そして第2のオクタデカジエン酸異性体は、もう一方のt8,c10オクタデカジエン酸およびc9,t11オクタデカジエン酸である。いくつかの実施形態において、この第1の部分的に精製されたオクタデカジエン酸異性体は、t10,c12オクタデカジエン酸およびc11,t13オクタデカジエン酸の1つであり、そして第2のオクタデカジエン酸異性体は、もう一方のt10,c12オクタデカジエン酸およびc11,t13オクタデカジエン酸である。いくつかの実施形態において、この第1の部分的に精製されたオクタデカジエン酸異性体は、c7,t9オクタデカジエン酸およびt6,c8オクタデカジエン酸の1つであり、そして第2のオクタデカジエン酸異性体は、もう一方のc7,t9オクタデカジエン酸およびt6,c8オクタデカジエン酸である。いくつかの実施形態において、この第1の部分的に精製されたオクタデカジエン酸異性体は、t11,c13オクタデカジエン酸およびc12,t14オクタデカジエン酸の1つであり、そして第2のオクタデカジエン酸異性体は、もう一方のt11,c13オクタデカジエン酸およびc12,t14オクタデカジエン酸である。いくつかの実施形態において、この第1の部分的に精製されたオクタデカジエン酸異性体は、c6,t8オクタデカジエン酸およびt5,c6オクタデカジエン酸の1つであり、そして第2のオクタデカジエン酸異性体は、もう一方のc6,t8オクタデカジエン酸およびt5,c6オクタデカジエン酸である。いくつかの実施形態において、この第1の部分的に精製されたオクタデカジエン酸異性体は、c5,t7オクタデカジエン酸およびt4,c6オクタデカジエン酸の1つであり、そして第2のオクタデカジエン酸異性体は、もう一方のc5,t7オクタデカジエン酸およびt4,c6オクタデカジエン酸である。いくつかの実施形態において、この第1の部分的に精製されたオクタデカジエン酸異性体は、t3,c5オクタデカジエン酸およびc4,t6オクタデカジエン酸の1つであり、そして第2のオクタデカジエン酸異性体は、もう一方のc4,t6オクタデカジエン酸およびt3,c5オクタデカジエン酸である。他の実施形態において、この第1の部分的に精製されたオクタデカジエン酸異性体は、t12,c14オクタデカジエン酸およびc13,t15オクタデカジエン酸の1つであり、そして第2の部分的に精製されたオクタデカジエン酸異性体は、もう一方のt12,c14オクタデカジエン酸およびc13,t15オクタデカジエン酸である。いくつかの実施形態において、この第1の部分的に精製されたオクタデカジエン酸異性体は、c14,t16オクタデカジエン酸およびt13,c15オクタデカジエン酸の1つであり、そして第2のオクタデカジエン酸異性体は、もう一方のc14,t16オクタデカジエン酸およびt13,c15オクタデカジエン酸である。
【0013】
なおさらなる実施形態において、本発明は、上記の方法によって生成される組成物を提供する。いくつかの実施形態において、第二の異性体は、第一の異性体の30%よりも高い濃度で存在する。他の実施形態において、第二の異性体は、第一の異性体の40%よりも高い濃度で存在する。なおさらなる実施形態において、第二の異性体は、第一の異性体の20%と80%との間の濃度で存在する。
【0014】
(定義)
本明細書において用いる場合、「共役リノール酸」または「CLA」とは、任意の、共役リノール酸、またはオクタデカジエン遊離脂肪酸をいう。この用語は、分子の任意の位置で2つの共役炭素間二重結合を有する、リノール酸の全ての位置的および幾何的な異性体(アイソマー)を包含し、そして示すことが意図される。CLAは、普通のリノール酸が、炭素原子9および12で二重結合を有するという点で、普通のリノール酸とは異なる。CLAの例としては、以下:2,4−オクタデカジエン酸、4,6−オクタデカジエン酸、6,8−オクタデカジエン酸、7,9−オクタデカジエン酸、8,10−オクタデカジエン酸、9,11−オクタデカジエン酸、および10,12−オクタデカジエン酸、11,13−オクタデカジエン酸、の位置異性体のシス異性体およびトランス異性体(「E/Z異性体」)が挙げられる。本明細書において用いる場合、「CLA」は、単一の異性体、2つ以上の異性体の選択された混合物、および天然の供給源から得られた異性体の非選択的混合物、ならびに合成CLAおよび半合成CLAを包含する。
【0015】
本明細書において用いる場合、用語「異性化された共役リノール酸」は、化学的方法(例えば、水性アルカリ異性化、非水性アルカリ異性化、またはアルカリアルコレート異性化)によって合成されたCLAをいう。
【0016】
本明細書において用いる場合、用語「共役リノール酸部分」とは、共役リノール酸または誘導体を含む任意の化合物または複数の化合物をいう。例としては、共役リノール酸の脂肪酸、アルキルエステル、およびトリグリセリドが挙げられるがこれらに限定されない。
【0017】
本明細書において用いる場合、CLAの「トリグリセリド」は、グリセロール骨格の上の3つの位置(例えば、SN−1、SN−2、またはSN−3の位置)の任意または3つ全ての位置においてCLAを含むことが意図される。従って、CLAを含有するトリグリセリドは、CLAの位置異性体および幾何異性体のうちいずれかを含み得る。本明細書において用いる場合、「アシルグリセロール」とは、グリセロール分子上の利用可能な位置のうちのいずれか1つの位置での1つ(モノアシルグリセロール)、2つ(ジアシルグリセロール)、または3つ(トリアシルグリセロールまたはトリグリセリド)の脂肪酸残基を有するグリセロール分子をいう。トリグリセリドまたはアシルグリセロールの混合物は、様々な量のCLAの特定の異性体を含有し得、この異性体は、トリグリセリドを生成するために使用されるCLAにおける特定の異性体の濃度に依存し、そして酵素学的手順を使用してトリグリセリドまたはアシルグリセロールを作製する場合、利用されるリパーゼの特異性に依存する。従って、得られたトリグリセリドまたはアシルグリセロールの混合物または組成物を、全混合物または組成物内に含まれる特定のCLA異性体の(割合に基づく)量に関して特徴付けることは簡便である。非限定的な例によって、グリセロール骨格上の種々の位置においてCLA残基を含有するトリグリセリドまたはアシルグリセロール組成物は、特定の共役リノール酸異性体が混合物中のトリグリセリドのSN−1、SN−2、およびSN−3の位置のいずれかの位置の少なくとも25%を占める場合、この共役リノール酸異性体の少なくとも25%の脂肪アシル残基含有量を有すると言われ得る。別の観点から見ると、脂肪アシル残基が鹸化によって除去される場合、得られる脂肪酸塩の混合物は、少なくとも25%の特定の異性体を含む。
【0018】
本明細書において用いる場合、CLAの「エステル」は、アルコールまたは任意の他の化学基(生理学的に受容可能な、天然に存在するアルコール(例えば、メタノール、エタノールまたはプロパノール)が挙げられるがこれらに限定されない)に対してエステル結合を通じて結合したCLAの位置異性体および幾何異性体のいずれかおよび全てを含むことが意図される。従って、CLAのエステルまたはエステル化されたCLAは、CLAの任意の位置異性体および幾何異性体を含み得る。
【0019】
CLAの「天然に存在しない(非天然)異性体」としては、c11,t13;t11,c13;t11,t13;c11,c13;c8,t10;t8,c10;t8,t10;c8,c10;ならびにオクタデカジエン酸のトランス−トランス異性体が挙げられるがこれらに限定されない。しかし、この定義は、オクタデカジエン酸のt10、c12、およびc9,t11の異性体を含まない。「天然に存在しない異性体」はまた、CLAがアルカリ異性化によって合成されるとき、これらの異性体が一般に低量で生成されるので、CLAの「マイナー異性体」とも呼ばれ得る。
【0020】
本明細書において用いる場合、「低不純物」CLAとは、遊離脂肪酸、アルキルエステル、およびトリグリセリドを含み、1%未満の8,10−オクタデカジエン酸、11,13−オクタデカジエン酸、またはトランス−トランスオクタデカジエン酸の総量を含む、CLA組成物をいう。
【0021】
本明細書において用いる場合、「c」は、シス配向における化学結合を包含し、そして「t」は、トランス配向における化学結合をいう。CLAの位置異性体が「c」も「t」もなしに命名されるならば、その命名は、4つ全ての可能性のある異性体を含む。例えば、10,12−オクタデカジエン酸は,c10,t12;t10,c12;t10,t12;およびc10,c12−オクタデカジエン酸を包含するが、t10,c12−オクタデカジエン酸またはCLAは、単一の異性体のみをいう。
【0022】
本明細書において用いる場合、用語「オイル(油)」とは、長鎖脂肪酸(例えば、CLA)、トリグリセリド、または他の長鎖炭化水素基を含む、自由流動性の液体をいう。長鎖脂肪酸としては、CLAの種々の異性体が挙げられるがこれらに限定されない。
【0023】
本明細書において用いる場合、用語「生理学的に受容可能なキャリア」とは、油状の医薬品とともに通常用いられる任意のキャリアまたは賦形剤をいう。このようなキャリアまたは賦形剤としては、オイル、デンプンおよび糖(例えば、スクロースおよびラクトース)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0024】
本明細書において用いる場合、用語「経口送達ビヒクル」とは、医薬品を経口的に送達する任意の手段をいい、カプセル、丸剤、錠剤、およびシロップが挙げられるがこれらに限定されない。
【0025】
本明細書において用いる場合、用語「食品(food product)」とは、ヒト、非反芻動物、または反芻動物による消費に適切な任意の食物または飼料をいう。「食品」とは、調製され包装された食物(例えば、マヨネーズ、サラダドレッシング、パン、またはチーズ食品)、または動物用飼料(例えば、押し出されたおよびペレット化された動物用飼料または粗混合飼料)であり得る。「調製された食品」とは、ヒトまたは動物の消費について承認された予め包装された任意の食物を意味する。
【0026】
本明細書において用いる場合、用語「フードスタッフ」とは、ヒトまたは動物の消費に適した任意の物質をいう。
【0027】
本明細書において用いる場合、用語「揮発性有機化合物」とは、所定の温度で部分的に、または完全にガス状態で存在する、任意の炭素含有化合物をいう。揮発性有機化合物は、有機化合物(例えば、CLA)の酸化から形成され得る。揮発性有機化合物の例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、2−ブテナール、エタノール、3−メチルブタナール、4−メチルペンタノン、ヘキサナール、ヘプタナール、2−ペンチルフランおよびオクタナールが挙げられるがこれらに限定されない。
【0028】
本明細書において用いる場合、用語「金属酸化剤キレート剤」とは、金属をキレート化する任意の抗酸化剤をいう。例としては、レシチンおよびクエン酸エステルが挙げられるがこれらに限定されない。
【0029】
本明細書において用いる場合、用語「部分的に精製する」とは、目的の成分からいくらかの不純物を除去する任意のプロセス(例えば、共役リノール酸調製物から望ましくない異性体を除去すること)を意味する。それによって、精製された成分の割合は、サンプル中で増大する(すなわち、目的の成分が濃縮される)。
【0030】
本明細書において用いる場合、用語「姉妹(sister)異性体」とは、いくつかの処理(例えば、加熱)によって相互変換され得る共役リノール酸異性体の対をいう。姉妹異性体の例は、下記の表1で提供される。
【0031】
本明細書において用いる場合、用語「共役結合系」とは、糖鎖:−C=C−C=C−(すなわち、単結合によって分離された2つの二重鎖)の糖鎖の不飽和二重結合の配置をいう。
【0032】
本明細書において用いる場合、用語「移動」とは、糖鎖における共役結合系を参照するのに使用される場合、糖鎖内の不飽和の炭素間二重結合の転位をいい、その結果、二重結合は、その鎖の上位または下位に移動される。
【0033】
(発明の詳細な説明)
本発明は、脂質生化学に関し、詳細には、共役リノール酸の種々の異性体の調製物に関する。リノール酸の共役位置ヘの二重結合の転位は、触媒(例えば、高温でのニッケルまたはアルカリ)を用いた処理の間、および自動酸化の間に生じることが示されている。理論的に、9,11−オクタデカジエン酸および10,12−オクタデカジエン酸(c9,c11;c9,t11;t9,c11;t9,t11;c10,c12;c10,t12;t10,c12およびt10,t12)の8つの可能な幾何異性体は、c9,c12−オクタデカジエン酸の異性化から形成される。リノール酸の異性化についての一般的な機構は、J.C.Cowan(JAOCS 72:492−99[1950])により記載された。二重結合は、活性化触媒との衝突の結果によって分極されると考えられる。次いで、分極した炭素原子およびその隣接炭素は、自由に回転し、この力は、不完全な炭素原子を本質的に平面にするような力である。次いで、システムが衝突の結果として定められたこれらの力を解放するように作動する場合、シスおよびトランスの両異性体が形成される。特定のCLAの異性体の形成は、熱力学的に支持される。これは、共役二重結合周囲の5つの炭素原子の共面特性および共鳴ラジカルの空間的衝突に起因する。9,11異性体および10,12異性体の相対的により高い分布は、明らかに、c9,t11またはt10,c12幾何異性体のさらなる安定化から生じる。
【0034】
ガスクロマトグラフィーの進歩は、研究者がCLAのサンプルの異性体組成を正確に決定するのを可能にする。これらの研究は、8つより多い異性体が共役の間に実際に形成されることを実証する。Christieらの研究において(JAOCS 74(11):1231[1997])、CLAの市販のサンプルの異性体分布は、以下のようであることが報告された:8,10(14%);9,11(30%);10,12(31%)および11,13(24%)。Christieらによる別の研究において(Lipids 33(2):217−21[1998])、市販のCLA調製物の以下のCLA異性体組成が報告された:t11,t13(74%);t10,t12(1.23%);t9,t11(1.18%);t8,t10(0.46%);c11,t13およびt11,c13(21.7%);c10,t12およびt10,c12(29.0%);c9,t11およびt9,c11(29.5%);c8,t10およびt8,c10(12.3%);c11,c13(0.96%);c10,c12(0.88%);c9,c11(0.88%);ならびにc8,c10(0.20%)。これらの研究から理解され得るように、特定の異性体の形成が支持されるにもかかわらず、CLAの他の異性体は、アルカリ異性化CLA調製物の組成に強く寄与し得る。
【0035】
(A.共役二重結合の移動)
本発明は、CLAの異なる異性体について濃縮された組成物を生成するための方法を提供する。本発明のいくつかの実施形態において、部分的に精製されたまたは濃縮されたCLAの異性体は、二重結合系の移動を引き起こす条件下で処理される。好ましい実施形態において、この条件は、少なくとも1つの異性体を約200〜240℃、好ましくは、約220℃まで加熱することを含む。他の実施形態において、この条件は、部分的に精製されたまたは濃縮された異性体を密封容器中において窒素下で反応させることをさらに含む。表1を参照すると、欄1の異性体の調製物を使用して、欄2の相当量の対応する異性体を含有する調製物を生成し得る。初期変換反応の後、この調製物は、開始異性体および「姉妹」異性体の両方を含有する。同様に、欄2の異性体の調製物を使用して、欄1の相当量の対応する異性体生成し得る。両異性体を含有する調製物は、姉妹異性体を(例えば、ガスクロマトグラフィーによって)精製するためにさらに処理され得る。当業者に理解されるように、1つより多い部分的に精製された異性体で開始して、それによって4つ、6つ、8つまたはそれ以上の異性体を含有する調製物を生成することが可能である。さらなる実施形態において、精製された姉妹異性体の調製物は、当該分野で公知の方法(例えば、ガス液体クロマトグラフィー)によって、初期異性体およびその姉妹異性体を含有する処理された調製物から調製され得る。
【0036】
【表1】
実施例において実証されるように、精製されたt10,c12オクタデカジエン酸の処理は、c11,t13オクタデカジエン酸の生成を生じる。同様に、濃縮されたかまたは部分的に精製されたc11,t13オクタデカジエン酸を使用して、t10,c12オクタデカジエン酸を生成し得る。部分的に精製された異性体が姉妹異性体を生成するために処理された後に、得られる調製物は、好ましくは、部分的に精製された初期異性体と比較して、約20%より多い姉妹異性体を含有する。他の実施形態において、得られる調製物は、部分的に精製された初期異性体と比較して、約40%より多い姉妹異性体を含有する。なおさらなる実施形態において、得られる調製物は、部分的に精製された初期異性体と比較して、約20%と80%との間の姉妹異性体を含有する。なお他の実施形態において、得られる調製物は、重量/重量基準で、約20%より多い姉妹異性体を含有するか、または本質的にそれからなる(例えば、調製物は、約20gの姉妹異性体および約80gの部分的に精製された初期異性体を含有する)。さらなる実施形態において、得られる調製物は、重量/重量基準で、約40%より多い姉妹異性体を含有する。なおさらなる実施形態において、調製物は、重量/重量基準で、約20%と80%との間の姉妹異性体を含有する。
【0037】
(B.精製異性体および姉妹(sister)異性体対の使用)
上記の精製異性体および姉妹異性体対は、多くの使途を有する。本発明のいくつかの実施形態において、これらの精製異性体または姉妹異性体対は、ガスクロマトグラフィーおよび液体クロマトグラフィーにおける基準としての使途を見出す。これらの異性体の精製または富化された供給源は、未同定の異性体を示す未同定のピークを今まで含み得た商業的CLA産物の分析のための基準として使用され得る。
【0038】
本発明の他の実施形態において、この精製異性体または姉妹異性体対を含む調製物は、動物の食餌研究において、栄養補助剤として使用される。精製異性体および姉妹異性体対が、動物の食餌研究におけるコントロールとして使用され得、その結果、この異性体の生物学的効果(例えば、器官および細胞内の区分け、脂質生合成に対する効果、および代謝)が研究され得ることが意図される。この異性体は、遊離脂肪酸、アルキルエステル(例えば、CLAのメチルエステルもしくはエチルエステル)、トリグリセリド、またはこれらの組み合わせとして提供され得る。いくつかの好ましい実施形態において、この異性体は、経口的に提供される。他の実施形態において、この異性体は、適切なキャリア(例えば、デンプン、スクロースまたはラクトース)と共に、錠剤、丸剤、糖衣剤、カプセル剤、溶液、液体、スラリー、懸濁液およびエマルジョンに処方され得る。好ましくは、この異性体処方物は、抗酸化剤(Controx(Grunau(Henkel),Illertissen,DE)、Covi−OX(Grunau(Henkel),Illertissen,DE)、レシチン、およびビタミンCの油溶性形態が挙げられるが、これらに限定されない)を含む。この異性体は、水溶液、油性溶液、または上記の他の形態のいずれかで提供され得る。本発明の錠剤またはカプセル剤は、腸溶性コーティングでコートされ得、このコーティングは、約6.0〜7.0のpHで溶解する。小腸で溶解するが胃で溶解しない適切な腸溶性コーティングは、酢酸フタル酸セルロースである。いくつかの実施形態において、この異性体は、軟性ゼラチンカプセル剤として提供される。CLAはまた、多くの他の経路のいずれかによって提供され得る。これらの経路としては、静脈内、筋内、動脈内、髄内、クモ膜下腔内、脳室内、経皮、皮下、腹腔内、鼻腔内、腸内、局所的、舌下または直腸手段が挙げられるが、これらに限定されない。処方および投与のための技術のさらなる詳細は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Maack Publishing Co.,Easton,PA)の最新版に見出され得る。
【0039】
有効量の異性体が、種々の食品(動物飼料、および飲料を含む)における補助剤として提供され得る。この出願の目的のために、「CLA異性体を含む食品」は、外来性のCLA異性体が添加された、任意の天然の食品、加工食品、ダイエット食品または非ダイエット食品をいう。同様に、「CLAを含む食品」は、外来性のCLA異性体が添加された任意の動物食餌をいう。CLAは、遊離脂肪酸、共役リノール酸のエステルの形態で、または油含有のCLAの部分トリグリセリドまたは全トリグリセリドとして添加され得る。従って、CLAは、種々の食品(ダイエット飲料、ダイエットバー、補助剤、加工凍結食、キャンディー、スナック製品(例えば、チップス)、加工肉製品、牛乳、チーズ、ヨーグルトおよび任意の他の脂肪または油含有食品が挙げられるが、これらに限定されない)に直接含まれ得る。
【0040】
本発明のさらなる実施形態において、この異性体調製物は、揮発性有機化合物を除去するために、さらに精製されて得る(例えば、分子蒸留または吸着によって)。従って、本発明のいくつかの実施形態において、100ppm未満の揮発性有機化合物、および好ましくは5ppm未満の揮発性有機化合物を有する異性体調製物の提供が意図される。
【0041】
(実験)
以下の実施例は、本発明の特定の好ましい実施形態および局面を実証およびさらに例示するために提供され、そして本発明の範囲を限定するものとして解釈されない。
【0042】
以下の実験の開示において、以下の略語を適用する:M(モル濃度);mM(ミリモル濃度);μM(マイクロモル濃度);kg(キログラム);g(グラム);mg(ミリグラム);μg(マイクログラム);ng(ナノグラム);Lまたはl(リットル);ml(ミリリットル)μl;(マイクロリットル);cm(センチメートル);mm(ミリメートル);nm(ナノメートル);℃(摂氏度);KOH(水酸化カリウム);HCL(塩酸);およびHg(水銀)。
【0043】
(実施例1)
(CLA異性体の調製)
本実施例は、t10,c12オクタデカジエン酸からのc11,t13オクタジエン酸の生成を記載する。50gのKOHを、中程度の加熱下で、ポリエチレングリコール中に溶解させた。次いで、100gの98%リノール酸をこの混合物に添加し、そしてこの混合物を150℃に加熱して3時間攪拌した。次いで、この混合物を冷却し、そして熱水で数回洗浄し、次いで中程度の加熱で減圧下で乾燥させた。得られたCLA混合物は、c9,t11およびt10,c12オクタデカジエン酸ならびに微量のCLA異性体からなった。この混合物を、酸性メタノール中の還流沸騰によってメチルエステルに変換した。50gの共役遊離脂肪酸を、4.5%の硫酸を含むメタノールに溶解させ、そして水浴中で1時間還流条件下で沸騰させた。この混合物を冷却し、下層を廃棄した。4.5%硫酸を含む新鮮なメタノールを添加し、そしてこの混合物を還流条件下でさらに1時間沸騰させた。冷却後、このメチルエステル混合物を水で数回洗浄し、次いで、中程度の加熱で減圧下で乾燥させた。10gのメチルエステルをアセトン中に溶解させ、そして冷凍庫で一晩−60℃で冷却した。固体沈殿物を、濾過によって回収し、そしてアセトン中に再溶解し、そして再び−60℃で一晩冷却した。この沈殿物を減圧下で乾燥させ、GLC分析によって97%のt10,c12CLAを含むことを示した。この分析装置は、自動サンプラーを備えたPerkin Elmer GLCからなった。カラムは、高い極性の溶融シリカ型であった。以下のプログラム設定を使用した:
注入:スプリットレス(Splitless)(250℃)
検出:フレームイオン化検出器(280℃)
キャリア:ヘリウム(psig)
オーブンプログラム:80℃〜130℃(45℃/分)、その後1℃/分で220℃まで、そして220℃で10分間
カラム:WCOT FUSED SILICA 0.25mm×100m、CP−SIL 88 for FAME、df=0.2。
【0044】
次いで、1gの精製t10,c12異性体を、密封管内で窒素で覆って、220℃で2時間加熱した。冷却後、得られたメチルエステルを、GCによって上記のように分析した。混合物中のt10,c12相対含量を、52.32%に減少させ、c11,t13異性体は、41.96%のレベルで存在した(表2を参照のこと)。
【0045】
【表2】
(実施例2)
(CLA異性体の調製)
本実施例は、c9,t11オクタジエン酸からのt8,c10オクタデカジエン酸の生成を記載する。精製c9,t11オクタジエン酸を、商業的供給源(Matreya、State College、PA)から、またはルーメン微生物による発酵(例えば、本明細書中で参考として援用される米国特許第5,674,901号を参照のこと)から得ることができる。精製c9,t11オクタジエン酸を、密封管に窒素下でc9,t11オクタジエン酸を配置し、そして220℃で約2時間加熱することによって、高い割合(例えば、25%〜50%)のt8,c10オクタジエン酸に変換する。
【0046】
(実施例3)
(CLA異性体の調製)
本実施例は、c7,t9オクタジエン酸からのt6,c8オクタデカジエン酸の生成を記載する。精製c7,t9オクタジエン酸を、分取スケールのガスコロマトグラフィーによって得ることができる。精製c7,t9オクタジエン酸を、密封管に窒素下でc9,t11オクタジエン酸を配置し、そして220℃で約2時間加熱することによって、高い割合(例えば、25%〜50%)のt6,c8オクタジエン酸に変換する。
【0047】
(実施例4)
(CLA異性体の調製)
本実施例は、t11,c13オクタジエン酸からのc12,t14オクタデカジエン酸の生成を記載する。精製t11,c13オクタジエン酸を、分取スケールのガスコロマトグラフィーによって得ることができる(例えば、実施例1に記載のプロセスに従って)。精製t11,c13オクタジエン酸を、密封管に窒素下でc9,t11オクタジエン酸を配置し、そして220℃で約2時間加熱することによって、高い割合(例えば、25%〜50%)のc12,t14オクタジエン酸に変換する。
【0048】
(実施例5)
(CLA異性体の調製)
本実施例は、c6,t8オクタジエン酸からのt5,c6オクタデカジエン酸の生成を記載する。精製c6,t8オクタジエン酸を、分取スケールのガスコロマトグラフィーによって得ることができる。精製c6,t8オクタジエン酸を、密封管に窒素下でc9,t11オクタジエン酸を配置し、そして220℃で約2時間加熱することによって、高い割合(例えば、25%〜50%)のt5,c6オクタジエン酸に変換する。
【0049】
(実施例6)
(CLA異性体の調製)
本実施例は、c5,t7オクタジエン酸からのt4,c6オクタデカジエン酸の生成を記載する。精製c5,t7オクタジエン酸を、分取スケールのガスコロマトグラフィーによって得ることができる。精製c5,t7オクタジエン酸を、密封管に窒素下でc9,t11オクタジエン酸を配置し、そして220℃で約2時間加熱することによって、高い割合(例えば、25%〜50%)のt4,c6オクタジエン酸に変換する。
【0050】
(実施例7)
(CLA異性体の調製)
本実施例は、c4,t6オクタジエン酸からのt3,c5オクタデカジエン酸の生成を記載する。精製c4,t6オクタジエン酸を、分取スケールのガスコロマトグラフィーによって得ることができる。精製c4,t6オクタジエン酸を、密封管に窒素下でc9,t11オクタジエン酸を配置し、そして220℃で約2時間加熱することによって、高い割合(例えば、25%〜50%)のt3,c5オクタジエン酸に変換する。
【0051】
(実施例8)
(CLA異性体の調製)
本実施例は、t12,c14オクタジエン酸からのc13,t15オクタデカジエン酸の生成を記載する。精製t12,c14オクタジエン酸を、分取スケールのガスコロマトグラフィーによって得ることができる。精製t12,c14オクタジエン酸を、密封管に窒素下でc9,t11オクタジエン酸を配置し、そして220℃で約2時間加熱することによって、高い割合(例えば、25%〜50%)のc13,t15オクタジエン酸に変換する。
【0052】
(実施例9)
(CLA異性体の調製)
本実施例は、t13,c15オクタジエン酸からのc14,t16オクタデカジエン酸の生成を記載する。精製t13,c15オクタジエン酸を、分取スケールのガスコロマトグラフィーによって得ることができる。精製t13,c15オクタジエン酸を、密封管に窒素下でc9,t11オクタジエン酸を配置し、そして220℃で約2時間加熱することによって、高い割合(例えば、25%〜50%)のc14,t16オクタジエン酸に変換する。
【0053】
(実施例10)
(直接エステル化によるCLAのトリアシルグリセロールの調製)
固定したCandida antarcticaリパーゼ(1.25g)を、グリセロール(1.22g、13.3mmol)および所望のCLA異性体の混合物に添加する。この混合物をマグネチックスターラーホットプレート上、65℃、0.01〜0.5Torrの持続減圧下で、緩やかに攪拌する。この反応の進行の間に生成した揮発性の水を、液体窒素冷却トラップ中に持続的に凝縮する。48時間後、この反応を中断し、n−ヘキサンを添加し、そして酵素を濾過によって濾別する。この有機相を、炭酸ナトリウムのアルカリ性水溶液で処理して、過剰の遊離脂肪酸を除去する(必要な場合)。この有機溶媒(適切な場合、無水硫酸マグネシウムで乾燥後)を、ロータリーエバポレーターで減圧下で除去し、続いて、高減圧処理によって実質的に純粋な生成物を得る。化学量論量の遊離脂肪酸を使用する場合、標準化水酸化ナトリウムによる滴定を適用して、粗反応生成物の遊離脂肪酸含有量を決定する。
【0054】
(実施例11)
(CLA異性体を含む飼料)
この実施例は、本発明のCLA遊離脂肪酸、トリグリセリドおよびエステルを含む典型的な動物飼料を提供する。CLA異性体調製物は、遊離脂肪酸、アルキルエステル、トリグリセリドまたはそれらの組み合わせの形態であり得る。本発明を、任意の特定の処方物に限定することを意図しない。実際は、種々の濃度におけるCLA異性体は、種々の飼料における用途を見出すことを意図する。
【0055】
(A.ブタの開始期食料)
【0056】
【表3】
(B.ブタのための飼育期−仕上げ期食料(40−240LBS[18−109KGS])
【0057】
【表4】
(C.ブタの飼育期−仕上げ期食料(ブタ121−240LBS[55−109KGS])
【0058】
【表5】
(1.ブタの微量鉱物再混合物の組成および分析)
【0059】
【表6】
(2.ブタビタミンプレミックスの組成)
【0060】
【表7】
(D.雌鶏用の18%タンパク質層食料)
【0061】
【表8】
(E.ブロイラー用の開始期食料および仕上げ期食料)
【0062】
【表9】
(F.飼育期/仕上げ期シチメンチョウ食料)
【0063】
【表10】
(G.乾燥ドッグフード処方)
【0064】
【表11】
(H.やや湿気のあるドッグフードの処方)
【0065】
【表12】
(実施例12)
(トリアシルグリセリドの生成)
CLA異性体を、上記の方法に従って調製し、150℃および圧力10−2mbarで分子蒸留プラントにて蒸留した。次いで、1000kgのこの蒸留生成物を、97kgの純粋なグリセロールおよび80kgリパーゼと混合した。この反応を、減圧下で攪拌しながら、55℃で12時間進行させた。そのトリアシルグリセリド生成物を、分子蒸留装置にて蒸留して、未反応脂肪酸を除去した。
【0066】
(実施例13)
(c11、c13CLAの合成)
この実施例は、約60%のCLAのc11、c13異性体を含むCLAサンプルの生成を記載する。簡潔には、95%のt10、c12脂肪酸エチルエステル混合物の2つの部分、各30gを、70mlの試験管に移した。この試験管を窒素でパージし、密封した。この試験管を、100℃の水浴中で1分間予熱し、次いで、220℃の油浴に直接移した。2時間後、この試験管の1つを、油浴から取り出し、そして冷却した。他方の試験管を、さらに1時間後に取り出し、次いで、冷却した。最初のサンプルと2つの加熱したサンプルの異性体プロフィールを、GCによって決定した(表13)。
【0067】
3つのサンプルを、それぞれ2つの加熱したサンプルから回収し、そして70mlの試験管に脂肪1グラムあたり3.5ml、4.5mlまたは5.5mlのアセトンに希釈した(表14)。次いで、アセトン溶液を含む試験管を、フリーザー中で−60℃に冷却した。3日後、サンプルを、上清画分から回収した。上清画分の異性体プロフィールをGCによって決定した(表15)。
【0068】
最初のサンプル(約99%の総CLA、0.9%のオレイン酸)の220℃での2時間および3時間の加熱は、t10、c12異性体のc11、t13への部分的な変換を起こした。加熱したサンプルは、35〜45%のc11、t13異性体を含んだ(表13)。異性体の正確な含量は、選択されたGC条件下での不完全な分離に起因して決定され得なかった。
【0069】
2時間加熱されたサンプルの結晶化は、より良い(より固体の)結晶を与えることだけ、3時間加熱したサンプルの結晶化と異なった。3時間加熱したサンプルは、どろどろした結晶を与える。上清画分の分析により、2時間加熱したサンプルの結晶化が、上清画分においてより高い含有量のc11、13を伴うより良い分離を与えることが明かになった。これらの上清画分におけるc11、t13CLAおよびt10、c12CLAの含有量は、それぞれ、56〜60%および27〜30%であった。c11、t13の含有量は、より小さい脂肪/アセトン比を有するサンプルの上清分画においてわずかにより高かった(表15)。
【0070】
【表13】
*加熱したサンプルにおいて、c9、t11の欄において与えられた値は、c9、t11からの同様の変換によるc9、t11およびt8、c10を示す。c10、c12およびc11、c13の量について与えられた値は、GCによって積分した値である。これらの値は、クロマトグラフィーにおける不完全な分離による本当の含有量からはずれ得る。
【0071】
【表14】
*2つの加熱したサンプルを、等量に希釈した。
【0072】
【表15】
*加熱したサンプルにおいて、c9、t11の欄において与えられた値は、c9、t11からの同様の変換によるc9、t11およびt8、c10を示す。c10、c12およびc11、c13の量について与えられた値は、GCによって積分した値である。これらの値は、クロマトグラフィーにおける不完全な分離による本当の含有量からはずれ得る。
【0073】
上記から明らかなことは、本発明は、CLA異性体の新規の組成物を調製するための方法を提供することである。これらのCLA異性体は、種々の目的(以下が挙げられるが、これらに限定されない:ガスクロマトグラフィーコントロールおよび飼料研究のためのコントロールのために、ならびにヒトおよび動物のための栄養補助食品)のために使用され得る。
【0074】
上記明細書に言及されたすべての刊行物および特許が、本明細書中に参考として援用される。本発明の記載された方法および系の種々の改変および変更は、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、当業者に明らかである。本発明は、特定の好ましい実施形態に関して記載されているが、特許請求された本発明が、このような特定の実施形態に過度に限定されるべきでないことが、理解されるべきである。実際、食料科学、畜産分野、医学分野、生化学分野または関連分野における当業者に明らかである本発明を実施するための記載された様式の種々の改変が、上記の特許請求の範囲内にあることが意図される。
(発明の分野)
本発明は、脂質の生化学に関し、詳細には、共役リノール酸の種々の異性体の調製に関する。
【0002】
(発明の背景)
1978年に、University of Wisconsinの研究者らは、調理された牛肉中に含まれる突然変異誘発を阻害するようである物質の同定を得た。この物質は、共役した二重結合を有するリノール酸(C18:2)の位置異性体の混合物であることが見出された。c9,t11異性体およびt10,c12異性体は、非常に多量存在するが、どの異性体が観察された生物学的活性の原因であるかは不確定である。9,11異性体が動物組織のリン脂質画分にいくらか優先的に取り込まれかつ組み込まれ、そして10,12異性体はその程度が低いようであることが、標識された取り込み研究より記述されてきた(Haら、Cancer Res.,50:1097(1990))。
【0003】
共役リノール酸(CLAと称する)に関する生物学的活性は、多様でありかつ複雑である。現在、作用の機構についてほとんど知られていないが、進行中のいくつかの前臨床研究および臨床研究は、作用の生理学的様式および生化学的様式に新たな光を与えるようである。CLAの抗発癌性特性は、十分実証されてきた。CLAの投与は、Birtら、Cancer Res.,52:2035s(1992)によって実証されるようにラット乳腺腫瘍形成を阻害する。Haら(上記)は、マウス噴門洞新生物形成モデルにおいて、同様の結果を報告した。CLAはまた、インビトロで標的ヒト黒色腫、結腸直腸癌細胞および乳癌細胞に対する強力な細胞傷害性剤として同定された。
【0004】
CLA作用の機構は未だ不明であるが、免疫系のいくつかの成分が、少なくともインビボで関与し得るという証拠が存在する。米国特許第5,585,400号(Cookら、本明細書中に参照として援用される)は、CLAを含有する食餌を投与することによって、I型またはIgE過敏性によって媒介される、動物でのアレルギー性反応を減弱するための方法を開示する。約0.1〜1.0%の濃度でのCLAはまた、白血球を保存するに効果的なアジュバントであることが示された。米国特許第5,674,901号(Cookら)(本明細書中に参照として援用される)は、遊離酸または塩のいずれかの形態でのCLAの経口または非経口の投与が、細胞性免疫に関与するCD−4およびCD−8のリンパ球亜集団における上昇をもたらしたことを開示した。外因性腫瘍壊死因子での前処置により生じる不利な効果は、CLAが投与された動物中のCD−4細胞およびCD−8細胞のレベルの上昇または維持により間接的に緩和され得る。最後に、米国特許第5,430,066号(Cookら)(参考として本明細書中に援用される)は、免疫刺激による体重減少および食欲不振を予防する際のCLAの効果を記載する。
【0005】
上記のCLAの有力な治療的適用および薬理的適用とは別に、栄養補助食品としてのCLAの使用に関して、非常に興奮させられている。CLAは、身体構成に対して非常に一般化された効果を発揮することが見出されている。特に、脂肪組織塊と脂肪のない組織塊との区画を再指向する。米国特許第5,554,646号(Cookら)(参考として本明細書中に援用される)は、栄養補助食品としてCLAを利用する方法を開示し、ここで、ブタ、マウスおよびヒトは、0.5% CLAを含有する食品を給餌された。各種において、脂肪含量における顕著な減少が、タンパク質質量において付随する増加とともに観察された。これらの動物において、CLAの添加による食餌の脂肪酸含量の増加は、体重の増加をもたらさないが、身体内の脂肪および無脂肪(lean)の再分布に関連したことは興味深い。目的の別の食餌現象は、食餌転換に対するCLA補填の効果である。米国特許第5,428,072号(Cookら、本明細書中に参考として援用される)は、動物食餌(トリおよび哺乳動物)へのCLAの組み込みがCLA補填トリおよび哺乳動物におけるかなりの体重増加を導く食餌変換の効果を増加することを示すデータを提供した。食品動物飼育者にとってCLA補填の潜在的な有利な効果は、明白である。
【0006】
CLAにおける目的の別の重要な供給源、およびその初期の商業的潜在性を強調するものは、それがヒトおよび動物などによって消費される食品および食餌の中に天然に存在することである。特に、CLAは、反芻動物からの産物中に豊富である。例えばCLAが、種々の乳製品において調査された、いくつかの研究が実施されてきた。Anejaら、J.Dairy Sci.,43:231(1990)は、牛乳からヨーグルトへの加工がCLAの濃縮を生じることを観察した。(Shantaら、Food Chem.,47:257(1993))は、処理する温度および乳清の添加における組合わせた増加が、プロセスチーズの調製の間CLA濃度を増加したことを示した。別の研究において、Shantaら、J.Food Sci.60:695(1995)は、処理および貯蔵の条件は明らかにはCLA濃度を減少しないがいずれの増加も観察されなかったことを報告した。実際、いくつかの研究は、季節的変動または動物間の変動は牛乳のCLA含量における3倍もの差異の原因であり得ることを示した(例えば、Parodiら、J Dairy Sci.,60:1550(1997)を参照のこと)。また、食物因子は、CLA含量の変動に関係している(Chinら、J.Food Comp.Anal.,5:185(1992))。天然の供給源におけるこのCLA含量の変動に起因して、規定された量の種々の食品の摂取は、ヒト(individual)または動物が最適用量を受けて所望の栄養効果を達成することを確保することを保障しない。
【0007】
治療的適用および栄養的適用の両方のためのCLAの規定された市販の供給源の開発において、大量の規定された材料の産生のためのプロセスが必要とされる。従来のアプローチによって産生されるほとんどのCLA産物についての問題は、その異質性、およびバッチ間でのアイソフォームにおける実質的な変化である。最近の文献は、この変化について実証し、そしてCLAの生産者が自分達の製品の複雑な性質を評価することの必要性を示す(Christieら、JAOCS、74(11):1231(1997)を参照のこと)。
【0008】
獣脂の代わりに多量の硬化油およびショートニングを摂取することは、トランス脂肪酸量の高い食餌を生じる、という事実にもまた、多くの注意が払われてきた。例えば、Holmanら(Proc.Nat’l.Acad.Sci.88:4830(1991))は、硬化油を給餌されたラットは異常なポリ不飽和脂肪酸異性体のラット肝における蓄積を生じることを示した。これは、天然に存在するポリ不飽和脂肪酸の正常な代謝を妨害するようである。従って、CLAの種々の異性体の化学的分析および生物学的分析に対して強い要求が存在する。
【0009】
(発明の要旨)
本発明は、脂質の生化学に関し、詳細には、共役リノール酸(オクタデカジエン酸)の種々の異性体の調製に関する。本発明は、いずれの特定のオクタデカジエン酸異性体の産生にも限定されない。実際に、c9,t11オクタデカジエン酸、t8,c10オクタデカジエン酸、t10,c12オクタデカジエン酸、c11,t13オクタデカジエン酸、c7,t9オクタデカジエン酸、t6,c8オクタデカジエン酸、t11,c13オクタデカジエン酸、c12,t14オクタデカジエン酸、c6,t8オクタデカジエン酸、t5,c6オクタデカジエン酸、c5,t7オクタデカジエン酸、t4,c6オクタデカジエン酸、t3,c5オクタデカジエン酸、t12,c14オクタデカジエン酸、c13,t15オクタデカジエン酸、およびc14,t16オクタデカジエン酸が挙げられるが、これらに限定されない種々の異性体が調製され得る。この異性体は、遊離脂肪酸、アルキルエステル、またはアシルグリセリドとして提供され得る。従って、いくつかの実施形態において、本発明は、前述の異性体のうちの1つを25%よりも多く含む組成物を提供する。さらに他の実施形態において、本発明は、前述の異性体のうちの1つを40%よりも多く含む組成物を提供する。さらに他の実施形態において、本発明は、前述の異性体のうちの1つを50%よりも多く含む組成物を提供する。もう一度述べると、この異性体は、遊離脂肪酸、アルキルエステル、またはアシルグリセリドとして提供され得る。いくつかの他の好ましい実施形態において、本発明は、50%よりも多くのc11,t13CLAを含む組成物を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、60%よりも多くのc11,t13CLAを含む組成物を提供する。
【0010】
特に好ましい実施形態において、本発明は、共役リノール酸の異性体の残基を含むアシルグリセロールの混合物を提供し、ここで、前記アシルグリセロールの脂肪アシル含有量は、以下からなる群から選択される共役リノール酸異性体の少なくとも25%である:t8,c10オクタデカジエン酸、c11,t13オクタデカジエン酸、c7,t9オクタデカジエン酸、t6,c8オクタデカジエン酸、t11,c13オクタデカジエン酸、c12,t14オクタデカジエン酸、c6,t8オクタデカジエン酸、t5,c6オクタデカジエン酸、c5,t7オクタデカジエン酸、t4,c6オクタデカジエン酸、t3,c5オクタデカジエン酸、t12,c14オクタデカジエン酸、c13,t15オクタデカジエン酸、およびc14,t16オクタデカジエン酸。他の特定の好ましい実施形態において、本発明は、共役リノール酸の異性体の残基を含むアシルグリセロールの混合物を提供し、ここで、前記アシルグリセロールの脂肪アシル含有量は、以下からなる群から選択される共役リノール酸異性体の少なくとも45%である:t8,c10オクタデカジエン酸、c11,t13オクタデカジエン酸、c7,t9オクタデカジエン酸、t6,c8オクタデカジエン酸、t11,c13オクタデカジエン酸、c12,t14オクタデカジエン酸、c6,t8オクタデカジエン酸、t5,c6オクタデカジエン酸、c5,t7オクタデカジエン酸、t4,c6オクタデカジエン酸、t3,c5オクタデカジエン酸、t12,c14オクタデカジエン酸、c13,t15オクタデカジエン酸、およびc14,t16オクタデカジエン酸。なおさらなる特定の好ましい実施形態において、本発明は、共役リノール酸の異性体の残基を含むアシルグリセロールの混合物を提供し、ここで、前記アシルグリセロールの脂肪アシル含有量は、以下からなる群から選択される共役リノール酸異性体の少なくとも50%である:t8,c10オクタデカジエン酸、c11,t13オクタデカジエン酸、c7,t9オクタデカジエン酸、t6,c8オクタデカジエン酸、t11,c13オクタデカジエン酸、c12,t14オクタデカジエン酸、c6,t8オクタデカジエン酸、t5,c6オクタデカジエン酸、c5,t7オクタデカジエン酸、t4,c6オクタデカジエン酸、t3,c5オクタデカジエン酸、t12,c14オクタデカジエン酸、c13,t15オクタデカジエン酸、およびc14,t16オクタデカジエン酸。
【0011】
他の実施形態において、本発明は、共役リノール酸の異性体を含む組成物を提供し、ここで、この組成物は、少なくとも25%のオクタデカジエン酸の第1異性体、および少なくとも25%の前記第1異性体の姉妹異性体(sister isomer)を含むか、または実質的にこれらからなる。本発明は、姉妹異性体のいずれの対にも限定されない。実際、種々の姉妹異性体対が考えられ、この姉妹異性体は、以下を含むが、これらに限定されない:c9,t11オクタデカジエン酸およびt8,c10オクタデカジエン酸、t10,c12オクタデカジエン酸およびc11,t13オクタデカジエン酸、c7,t9オクタデカジエン酸およびt6,c8オクタデカジエン酸、t11,c13オクタデカジエン酸およびc12,t14オクタデカジエン酸、c6,t8オクタデカジエン酸およびt5,c6オクタデカジエン酸、c5,t7オクタデカジエン酸およびt4,c6オクタデカジエン酸、c4,t6オクタデカジエン酸およびt3,c5オクタデカジエン酸、t12,c14オクタデカジエン酸およびc13,t15オクタデカジエン酸、ならびにt13,c15オクタデカジエン酸およびc14,t16オクタデカジエン酸。この異性体は、遊離脂肪酸、アルキルエステル、またはアシルグリセリドとして提供され得る。
【0012】
なお他の実施形態において、本発明は、オクタデカジエン酸異性体の対および/または個々のオクタデカジエン酸異性体を調製する方法を提供し、これらは以下:a)第1の部分的に精製されたオクタデカジエン酸異性体を提供する工程;およびb)この第1オクタデカジエン酸異性体を、共役結合系が移動するような条件下で処理し、それによってオクタデカジエン酸の少なくとも第1異性体および第2異性体を含む混合物を形成する工程、を包含する。なおさらなる実施形態において、この方法は、工程c)オクタデカジエン酸の少なくとも第1異性体および第2異性体を分離し、第2の精製されたオクタデカジエン酸異性体を提供する工程、をさらに包含する。本発明の他の実施形態において、この条件は、部分的に精製されたオクタデカジエン酸異性体を加熱する工程を包含する。なおさらなる実施形態において、この分離する工程は、ガス液体クロマトグラフィによって達成される。いくつかの実施形態において、この第1の部分的に精製されたオクタデカジエン酸異性体は、c9,t11オクタデカジエン酸およびt8,c10オクタデカジエン酸の1つであり、そして第2のオクタデカジエン酸異性体は、もう一方のt8,c10オクタデカジエン酸およびc9,t11オクタデカジエン酸である。いくつかの実施形態において、この第1の部分的に精製されたオクタデカジエン酸異性体は、t10,c12オクタデカジエン酸およびc11,t13オクタデカジエン酸の1つであり、そして第2のオクタデカジエン酸異性体は、もう一方のt10,c12オクタデカジエン酸およびc11,t13オクタデカジエン酸である。いくつかの実施形態において、この第1の部分的に精製されたオクタデカジエン酸異性体は、c7,t9オクタデカジエン酸およびt6,c8オクタデカジエン酸の1つであり、そして第2のオクタデカジエン酸異性体は、もう一方のc7,t9オクタデカジエン酸およびt6,c8オクタデカジエン酸である。いくつかの実施形態において、この第1の部分的に精製されたオクタデカジエン酸異性体は、t11,c13オクタデカジエン酸およびc12,t14オクタデカジエン酸の1つであり、そして第2のオクタデカジエン酸異性体は、もう一方のt11,c13オクタデカジエン酸およびc12,t14オクタデカジエン酸である。いくつかの実施形態において、この第1の部分的に精製されたオクタデカジエン酸異性体は、c6,t8オクタデカジエン酸およびt5,c6オクタデカジエン酸の1つであり、そして第2のオクタデカジエン酸異性体は、もう一方のc6,t8オクタデカジエン酸およびt5,c6オクタデカジエン酸である。いくつかの実施形態において、この第1の部分的に精製されたオクタデカジエン酸異性体は、c5,t7オクタデカジエン酸およびt4,c6オクタデカジエン酸の1つであり、そして第2のオクタデカジエン酸異性体は、もう一方のc5,t7オクタデカジエン酸およびt4,c6オクタデカジエン酸である。いくつかの実施形態において、この第1の部分的に精製されたオクタデカジエン酸異性体は、t3,c5オクタデカジエン酸およびc4,t6オクタデカジエン酸の1つであり、そして第2のオクタデカジエン酸異性体は、もう一方のc4,t6オクタデカジエン酸およびt3,c5オクタデカジエン酸である。他の実施形態において、この第1の部分的に精製されたオクタデカジエン酸異性体は、t12,c14オクタデカジエン酸およびc13,t15オクタデカジエン酸の1つであり、そして第2の部分的に精製されたオクタデカジエン酸異性体は、もう一方のt12,c14オクタデカジエン酸およびc13,t15オクタデカジエン酸である。いくつかの実施形態において、この第1の部分的に精製されたオクタデカジエン酸異性体は、c14,t16オクタデカジエン酸およびt13,c15オクタデカジエン酸の1つであり、そして第2のオクタデカジエン酸異性体は、もう一方のc14,t16オクタデカジエン酸およびt13,c15オクタデカジエン酸である。
【0013】
なおさらなる実施形態において、本発明は、上記の方法によって生成される組成物を提供する。いくつかの実施形態において、第二の異性体は、第一の異性体の30%よりも高い濃度で存在する。他の実施形態において、第二の異性体は、第一の異性体の40%よりも高い濃度で存在する。なおさらなる実施形態において、第二の異性体は、第一の異性体の20%と80%との間の濃度で存在する。
【0014】
(定義)
本明細書において用いる場合、「共役リノール酸」または「CLA」とは、任意の、共役リノール酸、またはオクタデカジエン遊離脂肪酸をいう。この用語は、分子の任意の位置で2つの共役炭素間二重結合を有する、リノール酸の全ての位置的および幾何的な異性体(アイソマー)を包含し、そして示すことが意図される。CLAは、普通のリノール酸が、炭素原子9および12で二重結合を有するという点で、普通のリノール酸とは異なる。CLAの例としては、以下:2,4−オクタデカジエン酸、4,6−オクタデカジエン酸、6,8−オクタデカジエン酸、7,9−オクタデカジエン酸、8,10−オクタデカジエン酸、9,11−オクタデカジエン酸、および10,12−オクタデカジエン酸、11,13−オクタデカジエン酸、の位置異性体のシス異性体およびトランス異性体(「E/Z異性体」)が挙げられる。本明細書において用いる場合、「CLA」は、単一の異性体、2つ以上の異性体の選択された混合物、および天然の供給源から得られた異性体の非選択的混合物、ならびに合成CLAおよび半合成CLAを包含する。
【0015】
本明細書において用いる場合、用語「異性化された共役リノール酸」は、化学的方法(例えば、水性アルカリ異性化、非水性アルカリ異性化、またはアルカリアルコレート異性化)によって合成されたCLAをいう。
【0016】
本明細書において用いる場合、用語「共役リノール酸部分」とは、共役リノール酸または誘導体を含む任意の化合物または複数の化合物をいう。例としては、共役リノール酸の脂肪酸、アルキルエステル、およびトリグリセリドが挙げられるがこれらに限定されない。
【0017】
本明細書において用いる場合、CLAの「トリグリセリド」は、グリセロール骨格の上の3つの位置(例えば、SN−1、SN−2、またはSN−3の位置)の任意または3つ全ての位置においてCLAを含むことが意図される。従って、CLAを含有するトリグリセリドは、CLAの位置異性体および幾何異性体のうちいずれかを含み得る。本明細書において用いる場合、「アシルグリセロール」とは、グリセロール分子上の利用可能な位置のうちのいずれか1つの位置での1つ(モノアシルグリセロール)、2つ(ジアシルグリセロール)、または3つ(トリアシルグリセロールまたはトリグリセリド)の脂肪酸残基を有するグリセロール分子をいう。トリグリセリドまたはアシルグリセロールの混合物は、様々な量のCLAの特定の異性体を含有し得、この異性体は、トリグリセリドを生成するために使用されるCLAにおける特定の異性体の濃度に依存し、そして酵素学的手順を使用してトリグリセリドまたはアシルグリセロールを作製する場合、利用されるリパーゼの特異性に依存する。従って、得られたトリグリセリドまたはアシルグリセロールの混合物または組成物を、全混合物または組成物内に含まれる特定のCLA異性体の(割合に基づく)量に関して特徴付けることは簡便である。非限定的な例によって、グリセロール骨格上の種々の位置においてCLA残基を含有するトリグリセリドまたはアシルグリセロール組成物は、特定の共役リノール酸異性体が混合物中のトリグリセリドのSN−1、SN−2、およびSN−3の位置のいずれかの位置の少なくとも25%を占める場合、この共役リノール酸異性体の少なくとも25%の脂肪アシル残基含有量を有すると言われ得る。別の観点から見ると、脂肪アシル残基が鹸化によって除去される場合、得られる脂肪酸塩の混合物は、少なくとも25%の特定の異性体を含む。
【0018】
本明細書において用いる場合、CLAの「エステル」は、アルコールまたは任意の他の化学基(生理学的に受容可能な、天然に存在するアルコール(例えば、メタノール、エタノールまたはプロパノール)が挙げられるがこれらに限定されない)に対してエステル結合を通じて結合したCLAの位置異性体および幾何異性体のいずれかおよび全てを含むことが意図される。従って、CLAのエステルまたはエステル化されたCLAは、CLAの任意の位置異性体および幾何異性体を含み得る。
【0019】
CLAの「天然に存在しない(非天然)異性体」としては、c11,t13;t11,c13;t11,t13;c11,c13;c8,t10;t8,c10;t8,t10;c8,c10;ならびにオクタデカジエン酸のトランス−トランス異性体が挙げられるがこれらに限定されない。しかし、この定義は、オクタデカジエン酸のt10、c12、およびc9,t11の異性体を含まない。「天然に存在しない異性体」はまた、CLAがアルカリ異性化によって合成されるとき、これらの異性体が一般に低量で生成されるので、CLAの「マイナー異性体」とも呼ばれ得る。
【0020】
本明細書において用いる場合、「低不純物」CLAとは、遊離脂肪酸、アルキルエステル、およびトリグリセリドを含み、1%未満の8,10−オクタデカジエン酸、11,13−オクタデカジエン酸、またはトランス−トランスオクタデカジエン酸の総量を含む、CLA組成物をいう。
【0021】
本明細書において用いる場合、「c」は、シス配向における化学結合を包含し、そして「t」は、トランス配向における化学結合をいう。CLAの位置異性体が「c」も「t」もなしに命名されるならば、その命名は、4つ全ての可能性のある異性体を含む。例えば、10,12−オクタデカジエン酸は,c10,t12;t10,c12;t10,t12;およびc10,c12−オクタデカジエン酸を包含するが、t10,c12−オクタデカジエン酸またはCLAは、単一の異性体のみをいう。
【0022】
本明細書において用いる場合、用語「オイル(油)」とは、長鎖脂肪酸(例えば、CLA)、トリグリセリド、または他の長鎖炭化水素基を含む、自由流動性の液体をいう。長鎖脂肪酸としては、CLAの種々の異性体が挙げられるがこれらに限定されない。
【0023】
本明細書において用いる場合、用語「生理学的に受容可能なキャリア」とは、油状の医薬品とともに通常用いられる任意のキャリアまたは賦形剤をいう。このようなキャリアまたは賦形剤としては、オイル、デンプンおよび糖(例えば、スクロースおよびラクトース)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0024】
本明細書において用いる場合、用語「経口送達ビヒクル」とは、医薬品を経口的に送達する任意の手段をいい、カプセル、丸剤、錠剤、およびシロップが挙げられるがこれらに限定されない。
【0025】
本明細書において用いる場合、用語「食品(food product)」とは、ヒト、非反芻動物、または反芻動物による消費に適切な任意の食物または飼料をいう。「食品」とは、調製され包装された食物(例えば、マヨネーズ、サラダドレッシング、パン、またはチーズ食品)、または動物用飼料(例えば、押し出されたおよびペレット化された動物用飼料または粗混合飼料)であり得る。「調製された食品」とは、ヒトまたは動物の消費について承認された予め包装された任意の食物を意味する。
【0026】
本明細書において用いる場合、用語「フードスタッフ」とは、ヒトまたは動物の消費に適した任意の物質をいう。
【0027】
本明細書において用いる場合、用語「揮発性有機化合物」とは、所定の温度で部分的に、または完全にガス状態で存在する、任意の炭素含有化合物をいう。揮発性有機化合物は、有機化合物(例えば、CLA)の酸化から形成され得る。揮発性有機化合物の例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、2−ブテナール、エタノール、3−メチルブタナール、4−メチルペンタノン、ヘキサナール、ヘプタナール、2−ペンチルフランおよびオクタナールが挙げられるがこれらに限定されない。
【0028】
本明細書において用いる場合、用語「金属酸化剤キレート剤」とは、金属をキレート化する任意の抗酸化剤をいう。例としては、レシチンおよびクエン酸エステルが挙げられるがこれらに限定されない。
【0029】
本明細書において用いる場合、用語「部分的に精製する」とは、目的の成分からいくらかの不純物を除去する任意のプロセス(例えば、共役リノール酸調製物から望ましくない異性体を除去すること)を意味する。それによって、精製された成分の割合は、サンプル中で増大する(すなわち、目的の成分が濃縮される)。
【0030】
本明細書において用いる場合、用語「姉妹(sister)異性体」とは、いくつかの処理(例えば、加熱)によって相互変換され得る共役リノール酸異性体の対をいう。姉妹異性体の例は、下記の表1で提供される。
【0031】
本明細書において用いる場合、用語「共役結合系」とは、糖鎖:−C=C−C=C−(すなわち、単結合によって分離された2つの二重鎖)の糖鎖の不飽和二重結合の配置をいう。
【0032】
本明細書において用いる場合、用語「移動」とは、糖鎖における共役結合系を参照するのに使用される場合、糖鎖内の不飽和の炭素間二重結合の転位をいい、その結果、二重結合は、その鎖の上位または下位に移動される。
【0033】
(発明の詳細な説明)
本発明は、脂質生化学に関し、詳細には、共役リノール酸の種々の異性体の調製物に関する。リノール酸の共役位置ヘの二重結合の転位は、触媒(例えば、高温でのニッケルまたはアルカリ)を用いた処理の間、および自動酸化の間に生じることが示されている。理論的に、9,11−オクタデカジエン酸および10,12−オクタデカジエン酸(c9,c11;c9,t11;t9,c11;t9,t11;c10,c12;c10,t12;t10,c12およびt10,t12)の8つの可能な幾何異性体は、c9,c12−オクタデカジエン酸の異性化から形成される。リノール酸の異性化についての一般的な機構は、J.C.Cowan(JAOCS 72:492−99[1950])により記載された。二重結合は、活性化触媒との衝突の結果によって分極されると考えられる。次いで、分極した炭素原子およびその隣接炭素は、自由に回転し、この力は、不完全な炭素原子を本質的に平面にするような力である。次いで、システムが衝突の結果として定められたこれらの力を解放するように作動する場合、シスおよびトランスの両異性体が形成される。特定のCLAの異性体の形成は、熱力学的に支持される。これは、共役二重結合周囲の5つの炭素原子の共面特性および共鳴ラジカルの空間的衝突に起因する。9,11異性体および10,12異性体の相対的により高い分布は、明らかに、c9,t11またはt10,c12幾何異性体のさらなる安定化から生じる。
【0034】
ガスクロマトグラフィーの進歩は、研究者がCLAのサンプルの異性体組成を正確に決定するのを可能にする。これらの研究は、8つより多い異性体が共役の間に実際に形成されることを実証する。Christieらの研究において(JAOCS 74(11):1231[1997])、CLAの市販のサンプルの異性体分布は、以下のようであることが報告された:8,10(14%);9,11(30%);10,12(31%)および11,13(24%)。Christieらによる別の研究において(Lipids 33(2):217−21[1998])、市販のCLA調製物の以下のCLA異性体組成が報告された:t11,t13(74%);t10,t12(1.23%);t9,t11(1.18%);t8,t10(0.46%);c11,t13およびt11,c13(21.7%);c10,t12およびt10,c12(29.0%);c9,t11およびt9,c11(29.5%);c8,t10およびt8,c10(12.3%);c11,c13(0.96%);c10,c12(0.88%);c9,c11(0.88%);ならびにc8,c10(0.20%)。これらの研究から理解され得るように、特定の異性体の形成が支持されるにもかかわらず、CLAの他の異性体は、アルカリ異性化CLA調製物の組成に強く寄与し得る。
【0035】
(A.共役二重結合の移動)
本発明は、CLAの異なる異性体について濃縮された組成物を生成するための方法を提供する。本発明のいくつかの実施形態において、部分的に精製されたまたは濃縮されたCLAの異性体は、二重結合系の移動を引き起こす条件下で処理される。好ましい実施形態において、この条件は、少なくとも1つの異性体を約200〜240℃、好ましくは、約220℃まで加熱することを含む。他の実施形態において、この条件は、部分的に精製されたまたは濃縮された異性体を密封容器中において窒素下で反応させることをさらに含む。表1を参照すると、欄1の異性体の調製物を使用して、欄2の相当量の対応する異性体を含有する調製物を生成し得る。初期変換反応の後、この調製物は、開始異性体および「姉妹」異性体の両方を含有する。同様に、欄2の異性体の調製物を使用して、欄1の相当量の対応する異性体生成し得る。両異性体を含有する調製物は、姉妹異性体を(例えば、ガスクロマトグラフィーによって)精製するためにさらに処理され得る。当業者に理解されるように、1つより多い部分的に精製された異性体で開始して、それによって4つ、6つ、8つまたはそれ以上の異性体を含有する調製物を生成することが可能である。さらなる実施形態において、精製された姉妹異性体の調製物は、当該分野で公知の方法(例えば、ガス液体クロマトグラフィー)によって、初期異性体およびその姉妹異性体を含有する処理された調製物から調製され得る。
【0036】
【表1】
実施例において実証されるように、精製されたt10,c12オクタデカジエン酸の処理は、c11,t13オクタデカジエン酸の生成を生じる。同様に、濃縮されたかまたは部分的に精製されたc11,t13オクタデカジエン酸を使用して、t10,c12オクタデカジエン酸を生成し得る。部分的に精製された異性体が姉妹異性体を生成するために処理された後に、得られる調製物は、好ましくは、部分的に精製された初期異性体と比較して、約20%より多い姉妹異性体を含有する。他の実施形態において、得られる調製物は、部分的に精製された初期異性体と比較して、約40%より多い姉妹異性体を含有する。なおさらなる実施形態において、得られる調製物は、部分的に精製された初期異性体と比較して、約20%と80%との間の姉妹異性体を含有する。なお他の実施形態において、得られる調製物は、重量/重量基準で、約20%より多い姉妹異性体を含有するか、または本質的にそれからなる(例えば、調製物は、約20gの姉妹異性体および約80gの部分的に精製された初期異性体を含有する)。さらなる実施形態において、得られる調製物は、重量/重量基準で、約40%より多い姉妹異性体を含有する。なおさらなる実施形態において、調製物は、重量/重量基準で、約20%と80%との間の姉妹異性体を含有する。
【0037】
(B.精製異性体および姉妹(sister)異性体対の使用)
上記の精製異性体および姉妹異性体対は、多くの使途を有する。本発明のいくつかの実施形態において、これらの精製異性体または姉妹異性体対は、ガスクロマトグラフィーおよび液体クロマトグラフィーにおける基準としての使途を見出す。これらの異性体の精製または富化された供給源は、未同定の異性体を示す未同定のピークを今まで含み得た商業的CLA産物の分析のための基準として使用され得る。
【0038】
本発明の他の実施形態において、この精製異性体または姉妹異性体対を含む調製物は、動物の食餌研究において、栄養補助剤として使用される。精製異性体および姉妹異性体対が、動物の食餌研究におけるコントロールとして使用され得、その結果、この異性体の生物学的効果(例えば、器官および細胞内の区分け、脂質生合成に対する効果、および代謝)が研究され得ることが意図される。この異性体は、遊離脂肪酸、アルキルエステル(例えば、CLAのメチルエステルもしくはエチルエステル)、トリグリセリド、またはこれらの組み合わせとして提供され得る。いくつかの好ましい実施形態において、この異性体は、経口的に提供される。他の実施形態において、この異性体は、適切なキャリア(例えば、デンプン、スクロースまたはラクトース)と共に、錠剤、丸剤、糖衣剤、カプセル剤、溶液、液体、スラリー、懸濁液およびエマルジョンに処方され得る。好ましくは、この異性体処方物は、抗酸化剤(Controx(Grunau(Henkel),Illertissen,DE)、Covi−OX(Grunau(Henkel),Illertissen,DE)、レシチン、およびビタミンCの油溶性形態が挙げられるが、これらに限定されない)を含む。この異性体は、水溶液、油性溶液、または上記の他の形態のいずれかで提供され得る。本発明の錠剤またはカプセル剤は、腸溶性コーティングでコートされ得、このコーティングは、約6.0〜7.0のpHで溶解する。小腸で溶解するが胃で溶解しない適切な腸溶性コーティングは、酢酸フタル酸セルロースである。いくつかの実施形態において、この異性体は、軟性ゼラチンカプセル剤として提供される。CLAはまた、多くの他の経路のいずれかによって提供され得る。これらの経路としては、静脈内、筋内、動脈内、髄内、クモ膜下腔内、脳室内、経皮、皮下、腹腔内、鼻腔内、腸内、局所的、舌下または直腸手段が挙げられるが、これらに限定されない。処方および投与のための技術のさらなる詳細は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Maack Publishing Co.,Easton,PA)の最新版に見出され得る。
【0039】
有効量の異性体が、種々の食品(動物飼料、および飲料を含む)における補助剤として提供され得る。この出願の目的のために、「CLA異性体を含む食品」は、外来性のCLA異性体が添加された、任意の天然の食品、加工食品、ダイエット食品または非ダイエット食品をいう。同様に、「CLAを含む食品」は、外来性のCLA異性体が添加された任意の動物食餌をいう。CLAは、遊離脂肪酸、共役リノール酸のエステルの形態で、または油含有のCLAの部分トリグリセリドまたは全トリグリセリドとして添加され得る。従って、CLAは、種々の食品(ダイエット飲料、ダイエットバー、補助剤、加工凍結食、キャンディー、スナック製品(例えば、チップス)、加工肉製品、牛乳、チーズ、ヨーグルトおよび任意の他の脂肪または油含有食品が挙げられるが、これらに限定されない)に直接含まれ得る。
【0040】
本発明のさらなる実施形態において、この異性体調製物は、揮発性有機化合物を除去するために、さらに精製されて得る(例えば、分子蒸留または吸着によって)。従って、本発明のいくつかの実施形態において、100ppm未満の揮発性有機化合物、および好ましくは5ppm未満の揮発性有機化合物を有する異性体調製物の提供が意図される。
【0041】
(実験)
以下の実施例は、本発明の特定の好ましい実施形態および局面を実証およびさらに例示するために提供され、そして本発明の範囲を限定するものとして解釈されない。
【0042】
以下の実験の開示において、以下の略語を適用する:M(モル濃度);mM(ミリモル濃度);μM(マイクロモル濃度);kg(キログラム);g(グラム);mg(ミリグラム);μg(マイクログラム);ng(ナノグラム);Lまたはl(リットル);ml(ミリリットル)μl;(マイクロリットル);cm(センチメートル);mm(ミリメートル);nm(ナノメートル);℃(摂氏度);KOH(水酸化カリウム);HCL(塩酸);およびHg(水銀)。
【0043】
(実施例1)
(CLA異性体の調製)
本実施例は、t10,c12オクタデカジエン酸からのc11,t13オクタジエン酸の生成を記載する。50gのKOHを、中程度の加熱下で、ポリエチレングリコール中に溶解させた。次いで、100gの98%リノール酸をこの混合物に添加し、そしてこの混合物を150℃に加熱して3時間攪拌した。次いで、この混合物を冷却し、そして熱水で数回洗浄し、次いで中程度の加熱で減圧下で乾燥させた。得られたCLA混合物は、c9,t11およびt10,c12オクタデカジエン酸ならびに微量のCLA異性体からなった。この混合物を、酸性メタノール中の還流沸騰によってメチルエステルに変換した。50gの共役遊離脂肪酸を、4.5%の硫酸を含むメタノールに溶解させ、そして水浴中で1時間還流条件下で沸騰させた。この混合物を冷却し、下層を廃棄した。4.5%硫酸を含む新鮮なメタノールを添加し、そしてこの混合物を還流条件下でさらに1時間沸騰させた。冷却後、このメチルエステル混合物を水で数回洗浄し、次いで、中程度の加熱で減圧下で乾燥させた。10gのメチルエステルをアセトン中に溶解させ、そして冷凍庫で一晩−60℃で冷却した。固体沈殿物を、濾過によって回収し、そしてアセトン中に再溶解し、そして再び−60℃で一晩冷却した。この沈殿物を減圧下で乾燥させ、GLC分析によって97%のt10,c12CLAを含むことを示した。この分析装置は、自動サンプラーを備えたPerkin Elmer GLCからなった。カラムは、高い極性の溶融シリカ型であった。以下のプログラム設定を使用した:
注入:スプリットレス(Splitless)(250℃)
検出:フレームイオン化検出器(280℃)
キャリア:ヘリウム(psig)
オーブンプログラム:80℃〜130℃(45℃/分)、その後1℃/分で220℃まで、そして220℃で10分間
カラム:WCOT FUSED SILICA 0.25mm×100m、CP−SIL 88 for FAME、df=0.2。
【0044】
次いで、1gの精製t10,c12異性体を、密封管内で窒素で覆って、220℃で2時間加熱した。冷却後、得られたメチルエステルを、GCによって上記のように分析した。混合物中のt10,c12相対含量を、52.32%に減少させ、c11,t13異性体は、41.96%のレベルで存在した(表2を参照のこと)。
【0045】
【表2】
(実施例2)
(CLA異性体の調製)
本実施例は、c9,t11オクタジエン酸からのt8,c10オクタデカジエン酸の生成を記載する。精製c9,t11オクタジエン酸を、商業的供給源(Matreya、State College、PA)から、またはルーメン微生物による発酵(例えば、本明細書中で参考として援用される米国特許第5,674,901号を参照のこと)から得ることができる。精製c9,t11オクタジエン酸を、密封管に窒素下でc9,t11オクタジエン酸を配置し、そして220℃で約2時間加熱することによって、高い割合(例えば、25%〜50%)のt8,c10オクタジエン酸に変換する。
【0046】
(実施例3)
(CLA異性体の調製)
本実施例は、c7,t9オクタジエン酸からのt6,c8オクタデカジエン酸の生成を記載する。精製c7,t9オクタジエン酸を、分取スケールのガスコロマトグラフィーによって得ることができる。精製c7,t9オクタジエン酸を、密封管に窒素下でc9,t11オクタジエン酸を配置し、そして220℃で約2時間加熱することによって、高い割合(例えば、25%〜50%)のt6,c8オクタジエン酸に変換する。
【0047】
(実施例4)
(CLA異性体の調製)
本実施例は、t11,c13オクタジエン酸からのc12,t14オクタデカジエン酸の生成を記載する。精製t11,c13オクタジエン酸を、分取スケールのガスコロマトグラフィーによって得ることができる(例えば、実施例1に記載のプロセスに従って)。精製t11,c13オクタジエン酸を、密封管に窒素下でc9,t11オクタジエン酸を配置し、そして220℃で約2時間加熱することによって、高い割合(例えば、25%〜50%)のc12,t14オクタジエン酸に変換する。
【0048】
(実施例5)
(CLA異性体の調製)
本実施例は、c6,t8オクタジエン酸からのt5,c6オクタデカジエン酸の生成を記載する。精製c6,t8オクタジエン酸を、分取スケールのガスコロマトグラフィーによって得ることができる。精製c6,t8オクタジエン酸を、密封管に窒素下でc9,t11オクタジエン酸を配置し、そして220℃で約2時間加熱することによって、高い割合(例えば、25%〜50%)のt5,c6オクタジエン酸に変換する。
【0049】
(実施例6)
(CLA異性体の調製)
本実施例は、c5,t7オクタジエン酸からのt4,c6オクタデカジエン酸の生成を記載する。精製c5,t7オクタジエン酸を、分取スケールのガスコロマトグラフィーによって得ることができる。精製c5,t7オクタジエン酸を、密封管に窒素下でc9,t11オクタジエン酸を配置し、そして220℃で約2時間加熱することによって、高い割合(例えば、25%〜50%)のt4,c6オクタジエン酸に変換する。
【0050】
(実施例7)
(CLA異性体の調製)
本実施例は、c4,t6オクタジエン酸からのt3,c5オクタデカジエン酸の生成を記載する。精製c4,t6オクタジエン酸を、分取スケールのガスコロマトグラフィーによって得ることができる。精製c4,t6オクタジエン酸を、密封管に窒素下でc9,t11オクタジエン酸を配置し、そして220℃で約2時間加熱することによって、高い割合(例えば、25%〜50%)のt3,c5オクタジエン酸に変換する。
【0051】
(実施例8)
(CLA異性体の調製)
本実施例は、t12,c14オクタジエン酸からのc13,t15オクタデカジエン酸の生成を記載する。精製t12,c14オクタジエン酸を、分取スケールのガスコロマトグラフィーによって得ることができる。精製t12,c14オクタジエン酸を、密封管に窒素下でc9,t11オクタジエン酸を配置し、そして220℃で約2時間加熱することによって、高い割合(例えば、25%〜50%)のc13,t15オクタジエン酸に変換する。
【0052】
(実施例9)
(CLA異性体の調製)
本実施例は、t13,c15オクタジエン酸からのc14,t16オクタデカジエン酸の生成を記載する。精製t13,c15オクタジエン酸を、分取スケールのガスコロマトグラフィーによって得ることができる。精製t13,c15オクタジエン酸を、密封管に窒素下でc9,t11オクタジエン酸を配置し、そして220℃で約2時間加熱することによって、高い割合(例えば、25%〜50%)のc14,t16オクタジエン酸に変換する。
【0053】
(実施例10)
(直接エステル化によるCLAのトリアシルグリセロールの調製)
固定したCandida antarcticaリパーゼ(1.25g)を、グリセロール(1.22g、13.3mmol)および所望のCLA異性体の混合物に添加する。この混合物をマグネチックスターラーホットプレート上、65℃、0.01〜0.5Torrの持続減圧下で、緩やかに攪拌する。この反応の進行の間に生成した揮発性の水を、液体窒素冷却トラップ中に持続的に凝縮する。48時間後、この反応を中断し、n−ヘキサンを添加し、そして酵素を濾過によって濾別する。この有機相を、炭酸ナトリウムのアルカリ性水溶液で処理して、過剰の遊離脂肪酸を除去する(必要な場合)。この有機溶媒(適切な場合、無水硫酸マグネシウムで乾燥後)を、ロータリーエバポレーターで減圧下で除去し、続いて、高減圧処理によって実質的に純粋な生成物を得る。化学量論量の遊離脂肪酸を使用する場合、標準化水酸化ナトリウムによる滴定を適用して、粗反応生成物の遊離脂肪酸含有量を決定する。
【0054】
(実施例11)
(CLA異性体を含む飼料)
この実施例は、本発明のCLA遊離脂肪酸、トリグリセリドおよびエステルを含む典型的な動物飼料を提供する。CLA異性体調製物は、遊離脂肪酸、アルキルエステル、トリグリセリドまたはそれらの組み合わせの形態であり得る。本発明を、任意の特定の処方物に限定することを意図しない。実際は、種々の濃度におけるCLA異性体は、種々の飼料における用途を見出すことを意図する。
【0055】
(A.ブタの開始期食料)
【0056】
【表3】
(B.ブタのための飼育期−仕上げ期食料(40−240LBS[18−109KGS])
【0057】
【表4】
(C.ブタの飼育期−仕上げ期食料(ブタ121−240LBS[55−109KGS])
【0058】
【表5】
(1.ブタの微量鉱物再混合物の組成および分析)
【0059】
【表6】
(2.ブタビタミンプレミックスの組成)
【0060】
【表7】
(D.雌鶏用の18%タンパク質層食料)
【0061】
【表8】
(E.ブロイラー用の開始期食料および仕上げ期食料)
【0062】
【表9】
(F.飼育期/仕上げ期シチメンチョウ食料)
【0063】
【表10】
(G.乾燥ドッグフード処方)
【0064】
【表11】
(H.やや湿気のあるドッグフードの処方)
【0065】
【表12】
(実施例12)
(トリアシルグリセリドの生成)
CLA異性体を、上記の方法に従って調製し、150℃および圧力10−2mbarで分子蒸留プラントにて蒸留した。次いで、1000kgのこの蒸留生成物を、97kgの純粋なグリセロールおよび80kgリパーゼと混合した。この反応を、減圧下で攪拌しながら、55℃で12時間進行させた。そのトリアシルグリセリド生成物を、分子蒸留装置にて蒸留して、未反応脂肪酸を除去した。
【0066】
(実施例13)
(c11、c13CLAの合成)
この実施例は、約60%のCLAのc11、c13異性体を含むCLAサンプルの生成を記載する。簡潔には、95%のt10、c12脂肪酸エチルエステル混合物の2つの部分、各30gを、70mlの試験管に移した。この試験管を窒素でパージし、密封した。この試験管を、100℃の水浴中で1分間予熱し、次いで、220℃の油浴に直接移した。2時間後、この試験管の1つを、油浴から取り出し、そして冷却した。他方の試験管を、さらに1時間後に取り出し、次いで、冷却した。最初のサンプルと2つの加熱したサンプルの異性体プロフィールを、GCによって決定した(表13)。
【0067】
3つのサンプルを、それぞれ2つの加熱したサンプルから回収し、そして70mlの試験管に脂肪1グラムあたり3.5ml、4.5mlまたは5.5mlのアセトンに希釈した(表14)。次いで、アセトン溶液を含む試験管を、フリーザー中で−60℃に冷却した。3日後、サンプルを、上清画分から回収した。上清画分の異性体プロフィールをGCによって決定した(表15)。
【0068】
最初のサンプル(約99%の総CLA、0.9%のオレイン酸)の220℃での2時間および3時間の加熱は、t10、c12異性体のc11、t13への部分的な変換を起こした。加熱したサンプルは、35〜45%のc11、t13異性体を含んだ(表13)。異性体の正確な含量は、選択されたGC条件下での不完全な分離に起因して決定され得なかった。
【0069】
2時間加熱されたサンプルの結晶化は、より良い(より固体の)結晶を与えることだけ、3時間加熱したサンプルの結晶化と異なった。3時間加熱したサンプルは、どろどろした結晶を与える。上清画分の分析により、2時間加熱したサンプルの結晶化が、上清画分においてより高い含有量のc11、13を伴うより良い分離を与えることが明かになった。これらの上清画分におけるc11、t13CLAおよびt10、c12CLAの含有量は、それぞれ、56〜60%および27〜30%であった。c11、t13の含有量は、より小さい脂肪/アセトン比を有するサンプルの上清分画においてわずかにより高かった(表15)。
【0070】
【表13】
*加熱したサンプルにおいて、c9、t11の欄において与えられた値は、c9、t11からの同様の変換によるc9、t11およびt8、c10を示す。c10、c12およびc11、c13の量について与えられた値は、GCによって積分した値である。これらの値は、クロマトグラフィーにおける不完全な分離による本当の含有量からはずれ得る。
【0071】
【表14】
*2つの加熱したサンプルを、等量に希釈した。
【0072】
【表15】
*加熱したサンプルにおいて、c9、t11の欄において与えられた値は、c9、t11からの同様の変換によるc9、t11およびt8、c10を示す。c10、c12およびc11、c13の量について与えられた値は、GCによって積分した値である。これらの値は、クロマトグラフィーにおける不完全な分離による本当の含有量からはずれ得る。
【0073】
上記から明らかなことは、本発明は、CLA異性体の新規の組成物を調製するための方法を提供することである。これらのCLA異性体は、種々の目的(以下が挙げられるが、これらに限定されない:ガスクロマトグラフィーコントロールおよび飼料研究のためのコントロールのために、ならびにヒトおよび動物のための栄養補助食品)のために使用され得る。
【0074】
上記明細書に言及されたすべての刊行物および特許が、本明細書中に参考として援用される。本発明の記載された方法および系の種々の改変および変更は、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、当業者に明らかである。本発明は、特定の好ましい実施形態に関して記載されているが、特許請求された本発明が、このような特定の実施形態に過度に限定されるべきでないことが、理解されるべきである。実際、食料科学、畜産分野、医学分野、生化学分野または関連分野における当業者に明らかである本発明を実施するための記載された様式の種々の改変が、上記の特許請求の範囲内にあることが意図される。
Claims (52)
- 方法であって、該方法が、以下:
a)共役結合系を有する、第1の部分的に精製されたオクタデカジエン酸異性体を提供する工程;および
b)該部分的に精製されたオクタデカジエン異性体を処理する工程であって、該異性体が、該共役結合系が移動するような条件下で処理され、
それによって、少なくとも該第1の部分的に精製されたオクタデカジエン異性体および第2のオクタデカジエン異性体を含む混合物を形成する、工程、
を包含する、方法。 - 請求項1に記載の方法であって、以下の工程:
c)前記第1の部分的に精製されたオクタデカジエン酸異性体と、前記第2のオクタデカジエン異性体とを分離し、第2の部分的に精製されたオクタデカジエン異性体を提供する工程、
をさらに包含する、方法。 - 前記条件が、前記部分的に精製されたオクタデカジエン酸を加熱する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
- 前記分離する工程がガス液体クロマトグラフィーによって達成される、請求項2に記載の方法。
- 前記オクタデカジエン酸がアルキルエステルを含む、請求項1に記載の方法。
- 請求項1に記載の方法の方法であって、
前記第1の部分的に精製されたオクタデカジエン酸異性体が、c9,t11オクタデカジエン酸およびt8,c10オクタデカジエン酸のうちの1つであり、そして、前記第2のオクタデカジエン酸異性体が、t8,c10オクタデカジエン酸およびc9,t11オクタデカジエン酸のうちのもう一方である、方法。 - 請求項1に記載の方法の方法であって、
前記第1の部分的に精製されたオクタデカジエン酸異性体が、t10,c12オクタデカジエン酸およびc11,t13オクタデカジエン酸のうちの1つであり、そして、前記第2のオクタデカジエン酸異性体が、t10,c12オクタデカジエン酸およびc11,t13オクタデカジエン酸のうちのもう一方である、方法。 - 請求項1に記載の方法であって、
前記第1の部分的に精製されたオクタデカジエン酸異性体が、c7,t9オクタデカジエン酸およびt6,c8オクタデカジエン酸のうちの1つであり、そして、前記第2のオクタデカジエン酸異性体が、c7,t9オクタデカジエン酸およびt6,c8オクタデカジエン酸のうちのもう一方である、方法。 - 請求項1に記載の方法であって、
前記第1の部分的に精製されたオクタデカジエン酸異性体が、t11,c13オクタデカジエン酸およびc12,t14オクタデカジエン酸のうちの1つであり、そして、前記第2のオクタデカジエン酸異性体が、t11,c13オクタデカジエン酸およびc12,t14オクタデカジエン酸のうちのもう一方である、方法。 - 請求項1に記載の方法であって、
前記第1の部分的に精製されたオクタデカジエン酸異性体が、c6,t8オクタデカジエン酸およびt5,c6オクタデカジエン酸のうちの1つであり、そして、前記第2のオクタデカジエン酸異性体が、t6,c8オクタデカジエン酸およびt5,c6オクタデカジエン酸のうちのもう一方である、方法。 - 請求項1に記載の方法であって、
前記第1の部分的に精製されたオクタデカジエン酸異性体が、c5,t7オクタデカジエン酸およびt4,c6オクタデカジエン酸のうちの1つであって、そして、前記第2のオクタデカジエン酸異性体が、c5,t7オクタデカジエン酸およびt4,c6オクタデカジエン酸のうちのもう一方である、方法。 - 請求項1に記載の方法であって、
前記第1の部分的に精製されたオクタデカジエン酸異性体が、t3,c5オクタデカジエン酸およびc4,t6オクタデカジエン酸のうちの1つであり、そして、前記第2のオクタデカジエン酸異性体が、c4,t6オクタデカジエン酸およびt3,c5オクタデカジエン酸のうちのもう一方である、方法。 - 請求項1に記載の方法であって、
前記第1の部分的に精製されたオクタデカジエン酸異性体が、t12,c14オクタデカジエン酸およびc13,t15オクタデカジエン酸のうちの1つであり、そして、前記第2のオクタデカジエン酸異性体が、t12,c14オクタデカジエン酸およびc13,t15オクタデカジエン酸のうちのもう一方である、方法。 - 請求項1に記載の方法であって、
前記第1の部分的に精製されたオクタデカジエン酸異性体が、c14,t16オクタデカジエン酸およびt13,c15オクタデカジエン酸のうちの1つであって、そして、前記第2のオクタデカジエン酸異性体が、c14,t16オクタデカジエン酸およびt13,c15オクタデカジエン酸のうちのもう一方である、方法。 - 請求項1に記載の方法であって、
少なくとも前記第1の部分的に精製されたオクタデカジエン酸異性体および第2のオクタデカジエン酸異性体を含む、前記混合物を用いて、アシルグリセロールを合成する工程をさらに包含する、方法。 - 前記アシルグリセロールがトリグリセリドである、請求項15に記載の方法。
- 請求項1に記載の方法によって生成される、組成物。
- 請求項15に記載の方法によって生成される、組成物。
- 前記第2の異性体が、前記第1の部分的に精製されたオクタデカジエン酸異性体の30%より大きい濃度で存在する、請求項17に記載の組成物。
- 前記第2の異性体が、前記第1の部分的に精製されたオクタデカジエン酸異性体の40%より大きい濃度で存在する、請求項17に記載の組成物。
- 前記第2の異性体が、前記第1の部分的に精製されたオクタデカジエン酸異性体の20%と80%との間の濃度で存在する、請求項17に記載の組成物。
- 方法であって、該方法が、以下:
a)共役結合系を有する、第1の部分的に精製されたオクタデカジエン酸異性体を提供する工程;
b)該第1の部分的に精製されたオクタデカジエン酸異性体を処理する工程であって、該異性体が、該共役結合系が移動するような条件下で処理され、
それによって、該第1の部分的に精製されたオクタデカジエン酸異性体および第2のオクタデカジエン酸異性体を含む混合物を形成する、工程;ならびに
c)該第1の部分的に精製されたオクタデカジエン酸異性体と、該第2のオクタデカジエン酸異性体とを分離して、第2の部分的に精製されたオクタデカジエン酸異性体を提供する工程、
を包含する、方法。 - 前記条件が、実質的に精製されたオクタデカジエン酸異性体を加熱する工程を包含する、前記請求項22に記載の方法。
- 前記分離する工程が、ガス液体クロマトグラフィーで達成される、請求項22に記載の方法。
- 共役リノール酸の異性体を含む組成物であって、ここで該組成物が、オクタデカジエン酸の第1の異性体を少なくとも25%含み、そして、該第1の異性体の姉妹異性体を少なくとも25%含む、組成物。
- 前記共役リノール酸がアルキルエステルであるか、または該共役リノール酸がアルキルエステルを含む、請求項25に記載の組成物。
- 前記共役リノール酸異性体が、アシルグリセロール組成物中に含まれる、請求項25に記載の組成物。
- 前記第1の異性体が、c9,t11オクタデカジエン酸であり、そして前記姉妹異性体がt8,c10オクタデカジエン酸である、請求項25に記載の組成物。
- 前記第1の異性体が、t10,c12オクタデカジエン酸であって、そして前記姉妹異性体がc11,t13オクタデカジエン酸である、請求項25に記載の組成物。
- 前記第1の異性体が、c7,t9オクタデカジエン酸であって、そして前記姉妹異性体がt6,c8オクタデカジエン酸である、請求項25に記載の組成物。
- 前記第1の異性体が、t11,c13オクタデカジエン酸であって、そして前記姉妹異性体がc12,t14オクタデカジエン酸である、請求項25に記載の組成物。
- 前記第1の異性体が、c6,t8オクタデカジエン酸であって、そして前記姉妹異性体がt5,c6オクタデカジエン酸である、請求項25に記載の組成物。
- 前記第1の異性体が、c5,t7オクタデカジエン酸であって、そして前記姉妹異性体がt4,c6オクタデカジエン酸である、請求項25に記載の組成物。
- 前記第1の異性体が、c4,t6オクタデカジエン酸であって、そして前記姉妹異性体がt3,c5オクタデカジエン酸である、請求項25に記載の組成物。
- 前記第1の異性体が、t12,c14オクタデカジエン酸であって、そして前記姉妹異性体がc13,t15オクタデカジエン酸である、請求項25に記載の組成物。
- 前記第1の異性体が、t13,c15オクタデカジエン酸であって、そして前記姉妹異性体がc14,t16オクタデカジエン酸である、請求項25に記載の組成物。
- アシルグリセロールの混合物を含む組成物であって、ここで、該アシルグリセロールが、以下:
t8,c10オクタデカジエン酸、c11,t13オクタデカジエン酸、
c7,t9オクタデカジエン酸、t6,c8オクタデカジエン酸、
t11,c13オクタデカジエン酸、c12,t14オクタデカジエン酸、
c6,t8オクタデカジエン酸、t5,c6オクタデカジエン酸、
c5,t7オクタデカジエン酸、t4,c6オクタデカジエン酸、
t3,c5オクタデカジエン酸、t12,c14オクタデカジエン酸、
c13,t15オクタデカジエン酸、およびc14,t16オクタデカジエン酸、
からなる群より選択された脂肪アシル残基を、少なくとも25%含む、組成物。 - 前記アシルグリセロールがトリグリセリドである、請求項37に記載の組成物。
- 前記脂肪アシル残基が、t8,c10オクタデカジエン酸である、請求項37に記載の組成物。
- 前記脂肪アシル残基が、c11,t13オクタデカジエン酸である、請求項37に記載の組成物。
- 前記脂肪アシル残基が、c7,t9オクタデカジエン酸である、請求項37に記載の組成物。
- 前記脂肪アシル残基が、t6,c8オクタデカジエン酸である、請求項37に記載の組成物。
- 前記脂肪アシル残基が、t11,c13オクタデカジエン酸である、請求項37に記載の組成物。
- 前記脂肪アシル残基が、c12,t14オクタデカジエン酸である、請求項37に記載の組成物。
- 前記脂肪アシル残基が、c6,t8オクタデカジエン酸である、請求項37に記載の組成物。
- 前記脂肪アシル残基が、t5,c6オクタデカジエン酸である、請求項37に記載の組成物。
- 前記脂肪アシル残基が、c5,t7オクタデカジエン酸である、請求項37に記載の組成物。
- 前記脂肪アシル残基が、c4,t6オクタデカジエン酸である、請求項37に記載の組成物。
- 前記脂肪アシル残基が、t3,c5オクタデカジエン酸である、請求項37に記載の組成物。
- 前記脂肪アシル残基が、t12,c14オクタデカジエン酸である、請求項37に記載の組成物。
- 前記脂肪アシル残基が、c13,t15オクタデカジエン酸である、請求項37に記載の組成物。
- 前記脂肪アシル残基が、c14,t15オクタデカジエン酸である、請求項37に記載の組成物。
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