JP2004516170A - プリンタ用のキャリッジ - Google Patents

Abstract

インクジェットプリンタ（１００）は、可動プリントキャリッジ（１２０）を有し、これに担持されたプリントヘッド（１３０）にインクが固定タンク（１５０）から、第２可動キャリッジ（１４０）に取り付けられた中間部分（１３５）を介して供給される。中間部分（１３５）は、第１の長さのチューブ（１５１）によってタンク（１５０）に接続され、第２の長さのチューブ（１５２）によってプリントヘッド（１３０）に接続されており、第２キャリッジ（１４０）は、印刷品質を低下させる原因となる力をプリントキャリッジ（１２０）から切り離すことができる。キャリッジ（１２０、１４０）は、駆動ベルト（１６０）によって共通の長手方向ガイド（１２３、１２４）に沿って移動させられる。キャリッジは、端部を突き合わせるか、部分的に重ね合わせて配置することができ、あるいは、一方（８４０、９４０）が他方を跨ぐか、包囲するようにしてもよい。

Description

本発明は、プリンタ、複写機、ファクシミリ機および複合装置などのインクジェットプリンタと、それのプリントヘッドを取り付けるキャリッジとに関する。特に、本発明は、インクを固定タンクからインクジェットプリンタのプリントヘッドへ搬送する方法に関する。
【０００１】
印刷を行うために必要なさまざまな色のインクのカートリッジをプリントキャリッジ自体が搬送するようにしたプリンタが知られている。しかし、これらのプリンタでは、カートリッジを定期的に交換または補充する必要があり、このことは、特に大型プリンタでは不都合である。
【０００２】
この問題に対する従来の解決策は、プリンタに対して固定されて、可撓性チューブ系によって可動プリントキャリッジ上のペンに接続された比較的大きいインクタンクを設けることである。これによって、インクを補給するために印刷動作を中断する必要がなくなる。しかし、そのようなプリンタ構造には多くの欠点がある。たとえば、プリントキャリッジ内のチューブ系によって誘発された振動によって発生するドット位置エラーのため、生成された画像の印刷品質が低下する可能性がある。チューブが急に方向転換したり、チューブがプリンタの部品と衝突した時、そのような振動が発生する。
【０００３】
別の欠点は、チューブ系がプリントキャリッジにねじりモーメントを加え、そのためにプリントキャリッジがそのガイドを中心に回転する可能性があることである。これも印刷品質を低下させ、二方向印刷の場合、２つの印刷方向で不均一が生じる可能性がある。チューブ系はまた、プリントキャリッジの有効質量を増加させ、キャリッジ支承システムに高い予荷重が必要になる。プリントキャリッジには高い精度、剛度、および強度が必要とされるので、印刷品質を満足できないレベルに低下させることなくそれに接続することができるインクチューブの数および／またはチューブの直径が制限される。
【０００４】
本発明は、上記の欠点の１つまたは複数を解決または軽減しようとするものである。
【０００５】
本発明によれば、プリントヘッド手段を担持している可動プリントキャリッジ部材と、このキャリッジ部材に載置されていないで、可撓性連結部を介してインクおよび／または印刷データを上記プリントヘッド手段に供給する供給手段とを備えたプリンタであって、供給手段が、プリントキャリッジ部材と同一方向に移動可能な別のキャリッジ部材に取り付けられていることを特徴とするプリンタが提供される。
【０００６】
好適な構造では、キャリッジ部材は、共通の駆動部材、たとえば、駆動ベルトによって駆動される。ベルトは、キャリッジ部材の各々に対して個別の駆動連結部を有し、これによって、望ましくない力が一方のキャリッジから他方のキャリッジへ直接的に伝達されることはなく、駆動ベルトを介して間接的に比較的少ない程度に伝達されるだけであるという利点が得られる。
【０００７】
あるいは、装置部材をキャリッジ部材の第１のものに直結してもよく、この第１キャリッジ部材は、第２キャリッジ部材を駆動するように構成される。この場合、第１および第２キャリッジ部材は、力を移動方向だけに伝達する駆動連結部によって連結されており、これにもプリントキャリッジ部材に加わる望ましくない力を減少させるという利点がある。
【０００８】
好適な実施形態では、駆動部材は、プリントキャリッジ部材の重心を通るか、その比較的近傍を通る。これには、傾動によって生じる望ましくない作用を減少させるという利点がある。
【０００９】
２つのキャリッジ部材は、少なくとも部分的に重ね合わせて配置することができ、これによって省スペース化が達成される。あるいは、一方のキャリッジ部材が他方のキャリッジ部材を跨ぐか、ほぼ包囲することによって省スペース化してもよい。
【００１０】
次に、添付の図面を参照しながら、例示として、本発明の好適な実施形態を説明する。
【００１１】
図１を参照すると、従来型プリンタ１０は、それぞれ前側および後側長手方向ガイド（図示せず）上を摺動するように構成された前側および後側ブッシュ２１、２２を有するプリントキャリッジ２０を備えている。キャリッジ２０は、往復ベルト部材６０によって駆動される。６色のペンを有するプリントヘッド３０に、プリンタシャシに固定された６個のそれぞれのタンク（図示せず）からインクが供給される。インクは、プリントキャリッジ２０に直付けされたクレーン３５につながった第１の長さのチューブ３１と、クレーンからプリントヘッド３０まで延びた第２の長さのチューブ３６とを通って流れる。プリントキャリッジ２０がプリンタ１０の両端部間を自由に移動できるようにするために、チューブ３１を非常に長くする必要があるが、このことは、チューブ３１が比較的重いと共に、プリンタのさまざまな部分と繰り返し衝突することを意味する。
【００１２】
次に図２〜図７を参照すると、本発明に従ったプリンタ１００は、６ペン式プリントヘッド１３０と、前側バーガイド１２３上を摺動するように構成された前側ブッシュ１２１と、後側バーガイド１２４上を摺動するように構成された後側ブッシュ１２２とを有するプリントキャリッジ１２０を備えている。キャリッジ１２０は、往復ベルト部材１６０によって駆動される。プリンタ１００はさらに、ガイド１２３上を摺動するように構成された前側ブッシュ１４１と、ガイド１２４上を摺動するように構成された後側ブッシュ１４２とを有する第２キャリッジ１４０を備えている。キャリッジ１４０は、キャリッジ１２０を駆動するものと同じ往復ベルト部材によって駆動される。キャリッジ１４０の上部領域には、２本の円筒形支柱１３６によってキャリッジ１４０のその他の部分に連結されたクレーン部分１３５が設けられている。プリンタのハウジングに固定されたインク供給装置１５０は、異なったインク用の６個のタンクを備えている。タンクは、６本の比較的長い可撓性チューブ１５１によって、クレーン部分１３５の各内部通路の第１端部に接続されている。内部通路の他端部は、６本の比較的短い可撓性チューブ１５２によって、プリントヘッド１３０の各ペンに接続されている。キャリッジ１４０が、チューブ１５１の質量および移動の作用をプリントキャリッジ１２０から切り離すので、キャリッジ１４０は「デカップリング」キャリッジと呼ばれる。
【００１３】
プリントキャリッジ１２０およびデカップリングキャリッジ１４０は、共通の駆動ベルト部材のそれぞれの部分に連結されており、したがって、それらは同期状態で駆動されるが互いに接触しない。しかし、省スペース化のため、図５に示されているように、デカップリングキャリッジ１４０の後側ブッシュ１４２の１つが、プリントキャリッジ１２０の一部の下方に配置されている。
【００１４】
使用時には、プリントキャリッジ１２０がプリンタの両端部間を移動して、印刷媒体の前進と前進の合間に印刷媒体を横切る方向に連続的に通過する。インクが６個の印刷ペンから出ると、その代わりにチューブ１５２からインクが入り、また、そのインクの代わりにチューブ１５１およびタンク１５０からインクが入る。
【００１５】
上記構造にはさまざまな利点がある。特に、機能を２つのキャリッジに分けることによって、プリントキャリッジ１２０を精密で比較的軽量な構造体として構成することができ、デカップリングキャリッジ１４０は、粗雑な荷重に耐える構造体として働き、精密な支承装置を必要としない。キャリッジ１４０のブッシュは一体に構成することができ、任意であるが、ポリテトラフルオロエチレン材料の挿入物（ｉｎｓｅｔ）を有する。長いチューブ１５１の振動およびねじれが印刷品質に悪影響を与えることはなく、また、チューブ１５２は、効果的にキャリッジと共に移動するので、同問題を生じない。
【００１６】
プリントキャリッジ１２０に対する予荷重を減少させることができ、あるいは、印刷品質に悪影響を与えることなくインクチューブの数および／または寸法を増加させることができ、かつ／またはキャリッジ１２０を重くすることができ、かつ／またはプリンタの作動を迅速化することができる。
【００１７】
上記機構によって、プリンタの構造にモジュラーおよびプラットフォーム方法を採ることもできる。たとえば、デカップリングキャリッジを使用して、大きい力、モーメント、および振動がプリントキャリッジに伝達されないようにすることによって、通常寸法のプリンタか、チューブを有していないプリンタ用に最適化された軽量のプリントキャリッジ構造を、実質的な変更を加えないでプロッタまたは大型プリンタに使用することもできる。
【００１８】
上記構造に多数の変更を加えてもよい。たとえば、チューブ１５２の構造をチューブ１５１と同様にするのではなく、低剛性かつ／または小さい断面にすることによって、力の伝達をさらに減少させてもよい。あるいは、チューブ１５１がクレーン部分１３５の内部通路を貫通して、チューブ１５２と連続するようにしてもよい。タンク１５０を固定しないで、それをキャリッジ１４０に取り付けて、チューブ１５１を省いてもよく、この場合、キャリッジ１４０の重量が増加するが、キャリッジ１４０はなおプリントキャリッジ１２０から切り離される。この変更例の利点は、インク容器またはタンクをキャリッジが移動する長手方向軸線上か、その近傍に置くことである。駆動連結部に弾力性を持たせることによって（例えば、ばねによって）、デカップリングキャリッジのイナーシャの増加を補償するようにしてもよい。
【００１９】
印刷命令をプリントヘッドに送るために、チューブ１５１および１５２に平行に可撓性ワイヤを設けてもよい。さらに言えば、その可撓性ワイヤが、キャリッジ間の唯一の連結部であってもよく、その場合、従来型プリントカートリッジがプリントヘッドに設けられる。
【００２０】
好適な構造では、ベルト駆動軸は、プリントキャリッジ１２０の重心を通るか、その近傍を、すわなち、前側バーガイド１２３付近を通るように配置される。変更例では、ベルト軸を重心から、たとえば、後側バーガイド１２４の近傍またはプリントヘッド１３０付近へ移動させてもよい。これらの変更例では、ベルト駆動軸がプリントキャリッジ１２０の重心を通らないことによって発生する悪影響をデカップリングキャリッジ１４０によって除去することができる。いかなる傾動も、キャリッジ１４０によって吸収されて、キャリッジ１２０に伝達されない。
【００２１】
ベルト駆動部１６０は、両キャリッジ１２０、１４０に連結するのではなく、それらの一方だけ、好ましくはデカップリングキャリッジだけに直結してもよく、その場合、２つのキャリッジ間に適当な非干渉性（ｎｏｎ−ｉｎｆｌｕｅｎｃｉｎｇ）の駆動連結部が設けられる。そのような連結部は、たとえば、球面が平坦面に係合する１つまたは複数の接触点を有することができる。あるいは、駆動連結部を二次元ヒンジ装置にしてもよく、これを単純なフラップ状にすることによって、２つのキャリッジを、フラップで連結されたキャリッジ部分を有する一体部材として製造してもよい。あるいは、駆動連結部が１つまたは複数のワイヤを有していてもよい。駆動連結部は、２つのキャリッジ間の力が、プリンタに沿った移動方向にだけ伝達されて、他の方向の力または移動が伝達されないようなものにする必要がある。
【００２２】
２つのキャリッジは、図示のように部分的に重ね合わせて配置するのではなく、端部を突き合わせて配置してもよい。しかし、同一ガイド上を移動する各キャリッジの２つのブッシュ間の距離をあまりに縮めすぎると、キャリッジがガイドに垂直な軸を中心にして揺動しやすくなる。
【００２３】
別の変更例では、デカップリングキャリッジ１４０用に個別の長手方向ガイドを設けてもよく、その場合、キャリッジ部材は、互いに長手方向に間隔を置くのではなく、横に並べるが、上下に並べることができる。この変更例はまた、異なったタイプのガイドをキャリッジに使用できるようにする。たとえば、デカップリングキャリッジを車輪で移動させることができ、これは、チューブによって誘発される望ましくないモーメントを除去するのに効果的である。
【００２４】
ベルト駆動システム以外の駆動機構を用いてもよい。
【００２５】
図８は、本発明の第２の実施形態に従ったプリンタ８１０を示し、この場合、デカップリングキャリッジ８４０が、プリントキャリッジ８２０と同一のガイド８２３に取り付けられて、プリントキャリッジを跨いでいる。
【００２６】
図９は、本発明の第３の実施形態に従ったプリンタ９１０を示し、この場合、デカップリングキャリッジ９４０がプリントキャリッジ９２０を完全に包囲している。
【００２７】
図８および図９の実施形態にも、第１の実施形態に関連して開示したものと同じ変更を加えることができる。
【００２８】
キャリッジ構造は、複写機およびファクシミリ機や、いわゆる「オール・イン・ワン」装置を含めた複合装置などの他の印刷装置の一部を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】
従来型プリンタのプリントキャリッジおよびインク供給装置を示す。
【図２】
本発明の第１の実施形態に従ったプリンタの上方前側の斜視図である。
【図３】
図２のプリンタの上方後側の斜視図である。
【図４】
図２のプリンタの端面図である。
【図５】
図２のプリンタの背面図である。
【図６】
図２のプリンタの底面図である。
【図７】
図２のプリンタの下方後側の斜視図であって、プリントキャリッジ部材には斜線を付けないで、他方のキャリッジ部材には斜線を付けて示している。
【図８】
本発明の第２の実施形態に従ったプリンタの概略図である。
【図９】
本発明の第３の実施形態に従ったプリンタの概略図である。

Claims (14)

1. プリントヘッド手段（１３０）を担持している可動プリントキャリッジ部材（１２０）と、前記キャリッジ部材に載置されていないで、可撓性連結部を介してインクおよび／または印刷データを前記プリントヘッド手段に供給する供給手段（１３５）とを備えたプリンタ（１００）において、
   前記供給手段（１３５）が、前記プリントキャリッジ部材（１２０）と同一方向に移動可能な別のキャリッジ部材（１４０）に取り付けられていることを特徴とするプリンタ。
2. 前記キャリッジ部材（１２０、１４０）が、共通の駆動システム（１６０）によって駆動されることを特徴とする請求項１に記載のプリンタ。
3. 前記駆動システムが、前記キャリッジ部材（１２０、１４０）の各々に対してそれぞれ個別の駆動連結部を有する駆動部材（１６０）を備えていることを特徴とする請求項２に記載のプリンタ。
4. 前記駆動システムが、前記キャリッジ部材のうち第１のものに直結された駆動部材を有し、前記第１キャリッジ部材が、前記キャリッジ部材のうち第２のものを駆動するように構成されていることを特徴とする請求項２に記載のプリンタ。
5. 前記第１および第２キャリッジ部材が、力を移動方向だけに伝達する駆動連結部によって連結されていることを特徴とする請求項４に記載のプリンタ。
6. 前記駆動部材（１６０）が、前記プリントキャリッジ部材の重心を通るか、その比較的近傍を通ることを特徴とする請求項３から５のいずれかひとつに記載のプリンタ。
7. 前記駆動部材が、前記プリントキャリッジ部材の重心から比較的離れていることを特徴とする請求項３から５のいずれかひとつに記載のプリンタ。
8. 前記キャリッジ部材（１２０、１４０）が、共通の長手方向に延びるガイド手段（１２３、１２４）に沿って移動することを特徴とする請求項１から７のいずれかひとつに記載のプリンタ。
9. 各キャリッジ部材が、それぞれ専用の長手方向に延びるガイド手段に沿って移動することを特徴とする請求項１から７のいずれかひとつに記載のプリンタ。
10. 前記キャリッジ部材が、移動方向に端部を突き合わせて配置されていることを特徴とする請求項１から９のいずれかひとつに記載のプリンタ。
11. 前記キャリッジ部材（１２０、１４０）が、移動方向に部分的に重なっていることを特徴とする請求項１から９のいずれかひとつに記載のプリンタ。
12. 前記キャリッジ部材の一方（８４０）が、移動方向において他方のキャリッジ部材（８２０）を跨いでいることを特徴とする請求項１から９のいずれかひとつに記載のプリンタ。
13. 前記キャリッジ部材の一方（９４０）が、他方のキャリッジ部材（９２０）をほぼ包囲していることを特徴とする請求項１から９のいずれかひとつに記載のプリンタ。
14. 前記プリンタのハウジングに固定されたインクタンク手段（１５０）を備えており、前記インクタンク手段が、第１の長さの可撓性チューブ手段（１５１）によって前記供給手段（１３５）に接続され、前記供給手段（１３５）が、第２の長さの可撓性チューブ手段（１５２）によって前記プリントヘッド手段（１３０）に接続されていることを特徴とする請求項１から１３のいずれかひとつに記載のプリンタ。

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