JP4737414B2 - 画像記録装置 - Google Patents

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Description

本発明は,インクジェット式等の画像記録装置に係り,より詳しくは記録ヘッドを搭載したキャリッジの支持装置の構成に関する。
従来の画像記録装置は,例えば,特許文献1に開示されているように,記録ヘッドを搭載したキャリッジを主走査方向(以下,X軸方向といい,主走査方向に延びる軸をX軸という)に沿って往復移動可能に支持するために,丸軸状のガイド軸に,キャリッジが摺動可能に支持されたものが主流であった。
この丸軸のガイド軸によれば,寸法精度が良い,剛性が高いなどの理由から,記録ヘッドのノズル面から被記録媒体の表面までの,いわゆるペーパーギャップの変動を小さくでき,高品質の記録画像を得やすいが,フレーム構成を含めて高価であった。また,メンテナンスや交換などのために,キャリッジをガイド軸から取り外すときは,まずフレームからガイド軸を取り外し,その上で更にガイド軸からキャリッジを取り外さなければならず,組み付けるときはその逆の手順を実行しなければならないので,キャリッジの装着が非常に困難であるという問題があった。
上記の問題を解決する従来技術として,特許文献2及び特許文献3では,用紙の搬送方向(主走査方向と直交する副走査方向(以下,Y軸方向といい,副走査方向に延びる軸をY軸という))の上流側と下流側とに板状のプラテンを挟んでプレート状の第1ガイド部材及び第2ガイド部材が主走査方向に長く配置され,この第1及び第2ガイド部材に跨がって摺動自在に支持されるキャリッジには下面側に記録ヘッドが備えられ,このキャリッジは,主走査方向に長く配置された無端ベルトの一部に連結されてキャリッジ駆動モータにより往復移動するように構成したものが開示されている。
そして,キャリッジの下面には,第1ガイド部材及び第2ガイド部材の上面の摺動面に当接(摺接)するガイド部(摺動凸部)が設けられて,キャリッジにおける記録ヘッドとプラテン上の用紙との印字ギャップ(ペーパギャップ)が規制されている。また,無端ベルトとの連結部を有する箇所に近い側のガイド部材(下流側である第2ガイド部材)には,キャリッジガイド板を鉛直方向(上記X軸及びY軸に対して直交するZ軸方向)に切り起こし形成し,キャリッジが無端ベルトにより引っ張られて移動するときの当該キャリッジの向きが鉛直(垂直)軸(以下,Z軸という)線回りに回転しないように規制している。
そして,特許文献2のキャリッジには,インクカートリッジが搭載されていた。他方,特許文献3のインクジェットプリンタでは,プリンタ装置の本体ハウジングにインクカートリッジが静置され,インクカートリッジとキャリッジをインク供給チューブにて連結している。
特開平5−270091号公報(図1〜図4参照) 特開2002−254746号公報(図2参照) 特開2005−313492号公報(図4,図5, 図13参照)
ところで,特許文献3に示すように,装置本体のフレームまたは上記第2ガイド部材における主走査方向の一端部に固定されたキャリッジモータ(CRモータ)に駆動プーリを固着し,主走査方向の他端部には従動プーリを回転自在に取りつけする。そして,駆動プーリ及び従動プーリには,これらに巻回する無端ベルトがプーリの軸線方向に外れないようにするためのフランジ部が形成されている。さらに,キャリッジに対する無端ベルトの取付部のZ軸方向の高さ位置が上記両プーリに対して無端ベルトが巻回する高さ位置より高くすることにより,無端ベルトの張力のうち,鉛直(Z軸)方向の下向きの分力にて,第2ガイド部材の上面へキャリッジを押しつける力が作用するようにしている。換言すれば,無端ベルトでキャリッジが引っ張られるときに,当該キャリッジが第2ガイド部材から浮き上がるなどの不安定性を無くすようにしているのである。
しかしながら,特許文献2及び3の構成では,キャリッジに対する無端ベルトの連結部が,第2ガイド部材における上面の水平な摺動面に当接すべきキャリッジのガイド部(摺動凸部)の上方またはガイド部(摺動凸部)を挟んで第1ガイド部材よりも遠い下流側に位置させていた。したがって,無端ベルトによる前記Z軸方向下向きの分力がキャリッジにおけるベルト取付位置で作用すると,このベルト取付位置から遠い側の第1ガイド部材の摺動面に対してキャリッジの当接部が浮き上がる,つまり, キャリッジがX軸回りに回転するモーメントを受ける。これにより,画像記録動作時のキャリッジの姿勢が不安定になって,上記ペーパギャップの精度が不安定になり,記録される画像の品質が劣化もしくは不安定になるという問題があった。
本発明は,これら従来の技術の問題点を解決すべくなされたものであり,ガイド軸を使用しないで,キャリッジの着脱作業が容易で,且つ製造コストも低減でき,しかも,主走査方向(X軸)回りのキャリッジの姿勢が安定するように構成された画像記録装置を提供することを目的とするものである。
前記目的を達成するため,請求項1に記載の発明の画像記録装置は,被記録媒体上に画像を記録可能な記録ヘッドを搭載して主走査方向に往復移動するキャリッジと,前記主走査方向と水平方向において直交する副走査方向の上流側に配置した第1ガイド部材と下流側に配置した第2ガイド部材とを備え,前記キャリッジが前記第1ガイド部材と前記第2ガイド部材とに跨がって摺動可能に支持された画像記録装置において,前記第1ガイド部材のほぼ水平な上面に形成された第1摺動面と,前記第2ガイド部材のほぼ水平な上面に形成された第2摺動面とは,それぞれ前記キャリッジを支持し,且つ前記記録ヘッドのヘッド面と平行に形成されており,前記キャリッジには,前記第1摺動面に当接する第1摺動凸部と,前記第2摺動面に当接する2つの第2摺動凸部とがキャリッジの下面側から突出するように設けられ,前記キャリッジは,前記第2ガイド部材の上面側に前記主走査方向に沿って長く設けられた無端ベルトの一部に連結されて,前記主走査方向に沿って移動可能に構成され,前記無端ベルトとキャリッジとのベルト連結部は,前記副走査方向において,前記第1摺動凸部と第2摺動凸部との間に位置し,前記主走査方向及び前記副走査方向と直交する鉛直方向において,前記ベルト連結部の高さ位置が,前記無端ベルトの第2ガイド部材に対する装着部より高い位置であることを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は,請求項1に記載の画像記録装置において,前記第2ガイド部材には,前記第2摺動面に対して実質上直交するように立設した第3摺動面が,前記副走査方向において,前記第1摺動面と前記第2摺動面との間に位置するように備えられ,前記キャリッジには,前記第3摺動面に当接して摺動可能な第3摺動凸部と,前記第3摺動凸部と前記第3摺動面を挟んで対向する第4摺動凸部を前記第3摺動面の方向に弾力付勢するための弾性部材とを備え,前記ベルト連結部は,前記副走査方向において,前記第2摺動凸部と第3摺動凸部との間に位置することを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は,請求項1または2に記載の画像記録装置において,前記画像記録装置の本体の静止位置に備えたインク貯蔵部からインクを供給する湾曲可能なインク供給管が,前記キャリッジにおける前記主走査方向と対面する一側部に接続されており,前記インク供給管が前記キャリッジに接続する箇所は,前記副走査方向において,前記第1摺動凸部と第2摺動凸部との間に位置するものである。
請求項4に記載の発明は,請求項3に記載の画像記録装置において,前記インク供給管が前記キャリッジに接続する箇所は,前記副走査方向において,前記第2摺動凸部と第3摺動凸部との間に位置するものである。
請求項5に記載の発明は,請求項1乃至4のいずれかに記載の画像記録装置において,前記第1摺動凸部と前記第2摺動凸部とは,前記第1及び第2ガイド部材に跨がる三角形の各頂点に配置されているものである。
請求項1に記載の発明によれば,水平状の第1ガイド部材の上面の第1摺動面と第2ガイド部材の上面の第2摺動面に対して,キャリッジの下面側から突出する第1摺動凸部及び2つの第2摺動凸部がそれぞれ当接するので,キャリッジの自重だけで両ガイド部材に支持された状態で,主走査方向に移動可能である。
そして,副走査方向に沿ってのキャリッジにおけるベルト連結部の位置も,第1摺動凸部(第1摺動面)と2つの第2摺動凸部(第2摺動面)の間に位置しているから,特に,キャリッジが主走査方向に移動開始するとき(キャリッジが静止状態から加速度を受けて移動するとき)の無端ベルトによる鉛直方向の分力の作用で,ベルト連結部を通るX軸回りにキャリッジが回転しようとする力を,第1摺動凸部(第1摺動面)と2つの第2摺動凸部(第2摺動面)の箇所で効率良く受け止めることができる。その結果,上記X軸回りのキャリッジの姿勢変化を無くし,主走査方向への安定した移動を確保することができる。
請求項2に記載の発明によれば,前記第2ガイド部材には,前記第2摺動面に対して実質上直交するように立設した第3摺動面が,前記副走査方向において,前記第1摺動面と前記第2摺動面との間に位置するように備えられ,前記キャリッジには,前記第3摺動面に当接して摺動可能な第3摺動凸部と,前記第3摺動凸部と前記第3摺動面を挟んで対向する第4摺動凸部を前記第3摺動面の方向に弾力付勢するための弾性部材とを備え,前記ベルト連結部は,前記副走査方向において,前記第2摺動凸部と第3摺動凸部との間に位置することを特徴とするものである。このように構成すると,上記無端ベルトの張力にてキャリッジがベルト連結部を通るX軸回りに回転しようとする回転モーメントを,キャリッジに設けられた第3摺動凸部が鉛直方向(Z軸方向)の第3摺動面に当接することで受け止めることができ,上記X軸回りのキャリッジの姿勢変化を無くし,主走査方向への安定した移動を確保することができる。
請求項1に記載の発明によれば,前記主走査方向及び前記副走査方向と直交する鉛直方向において,前記ベルト連結部の高さ位置が,前記無端ベルトの第2ガイド部材に対する装着部より高い位置であることを特徴とするものである。したがって,キャリッジが主走査方向に移動開始するとき(キャリッジが静止状態から加速度を受けて移動するとき),キャリッジにおける前記ベルト連結部の位置で,当該キャリッジには,無端ベルトの張力の鉛直方向の分力が作用する。その場合,その分力にてベルト連結部を通るX軸回りに回転しようとする回転モーメント[無端ベルトによる鉛直方向の分力の作用で,上記X軸回りにキャリッジが回転しようとする力]を,2つの第2摺動凸部(第2摺動面)と第3摺動凸部(第3摺動面)の箇所で効率良く受け止めることができる。その結果,上記X軸回りのキャリッジの姿勢変化を無くし,主走査方向への安定した移動を確保することができる。
請求項3に記載の発明によれば,前記画像記録装置の本体の静止位置に備えたインク貯蔵部からインクを供給する湾曲可能なインク供給管が,前記キャリッジにおける前記主走査方向と対面する一側部に接続されており,前記インク供給管が前記キャリッジに接続する箇所は,前記副走査方向において,前記第1摺動凸部と第2摺動凸部との間に位置するものである。このように,キャリッジにおける前記主走査方向と対面する一側部に複数本のインク供給管が接続されることにより,その接続部には,鉛直方向の荷重が掛かる。その荷重によるキャリッジの重心位置を通るX軸回りのモーメントも第2摺動凸部(第2摺動面)側で支持でき,その結果,上記X軸回りのキャリッジの姿勢変化を無くし,主走査方向への安定した移動を確保することができる。
請求項4に記載の発明によれば,前記インク供給管が前記キャリッジに接続する箇所は,前記副走査方向において,前記第2摺動凸部と第3摺動凸部との間に位置するものである。即ち,上記接続部は無端ベルトのベルト連結部に近い第3摺動凸部に位置するのであるから,インク供給管が接続された場合の荷重によるキャリッジの重心位置を通るX軸回りのモーメントも第2摺動凸部(第2摺動面)と,第3摺動凸部(第3摺動面)とで支持でき,その結果,上記X軸回りのキャリッジの姿勢変化を無くし,主走査方向への安定した移動を確保することができる。
請求項5に記載の発明によれば,前記第1摺動凸部と前記第2摺動凸部とは,前記第1及び第2ガイド部材に跨がる三角形の各頂点に配置されているものであるので,キャリッジが主走査方向(X軸方向)に移動開始するとき(キャリッジが静止状態から加速度を受けて移動するとき)の無端ベルトによるベルト連結部を通るX軸方向分力Fの作用で,Y軸回りにキャリッジが回転しようとする力を,左右に離れた左右一対の第2摺動凸部と,第2摺動面との箇所で効率良く受け止めることができる。その結果,Y軸回りのキャリッジの姿勢変化を無くし,主走査方向への安定した移動を確保することができる。
次に,本発明を具体化した最良の実施形態について説明する。図1は本発明の画像記録装置の全体斜視図,図2は記録部と給紙カセットの側断面図,図3は画像読取装置を除いた状態の画像記録装置の平面図,図4は記録部の平面図,図5は記録部を示す斜視図,図6は図4のVI−VI線矢視図,図7は記録部の一部切欠き拡大斜視図,図8は図4の VIII −VIII線矢視図,図9は図4のIX−IX線矢視図,図10は図4のX−X線における側断面図であってキャリッジは側面で示すもの,図11はキャリッジと第1ガイド部材と第2ガイド部材とを示す左側面図,図12はキャリッジの平面図,図13はキャリッジの下面図,図14はキャリッジに対する無端ベルト(タイミングベルト)の連結状態を示す説明図,図15はキャリッジを除いた状態の記録部の全体斜視図である。
本実施形態の画像記録装置1は,プリンタ機能,コピー機能,スキャナ機能,ファクシミリ機能を備えた多機能装置(MFD:Multi Function Device )に本発明を適用したものであり,図1に示すように,装置における合成樹脂製の記録装置本体2の底部には,記録装置本体2の前側(図1において左側)の開口部2aから差込み可能な給紙カセット3が配置されている。以下,開口部2aがある側を前側または前方といい,これを基準に装置の前側,左右側,後側という。
本実施形態では,給紙カセット3は,被記録媒体としての例えばA4サイズ,レターサイズ,リーガルサイズ,はがきサイズ等にカットされた用紙Pをその短辺が用紙搬送方向(副走査方向,Y軸方向)と直交する方向(図1において紙面と直交する方向,主走査方向,X軸方向)に延びるようにして複数枚積層(堆積)されて収納できる形態とする(図1参照)。
なお,給紙カセット3の上部には,前端には,小サイズの用紙(図示せず)を複数枚堆積させて供給する補助カセット3aがY軸方向に移動可能に装着されている。図1では,補助カセット3aが記録装置本体(ハウジング)2から外部に突出しない位置に押し込み配置されている状態を示している。
また,給紙カセット3の奥側(図1及び図2において右側)には,用紙分離用の土手部8が配置されている。また,記録装置本体2側には,上端部が上下方向に回動可能なアーム6aが装着され,このアーム6aの下端に設けられた給紙ローラ6と,傾斜分離板8とにより,給紙カセット3及び補助給紙カセット3aに堆積された被記録媒体である用紙Pを一枚ずつ分離搬送する。分離された用紙Pは上横向きのUターンパス(給送路)9を介して給紙カセット3より後方の上側(高い位置)に設けられた記録部7に給送される。記録部7は,後に詳述するように,プリンタ機能などを実現するためのインクジェット式の記録ヘッド4が搭載された往復動可能なキャリッジ5等からなる。
記録部7にて記録された用紙Pがその記録面を上向きにして排出される排紙部10は,補助給紙カセット3aの上側に形成されており,排紙部10に連通する排紙口10a(開口部2aの上方)が記録装置本体2の前面に向かって開口されている。
記録装置本体2の上部には,コピー機能やファクシミリ機能における原稿読取などのための画像読取装置12が配置されている。
記録装置本体2の上側には,画像読取装置12の前方に各種操作ボタンや液晶表示部等を備えた操作パネル部14とが設けられており,画像読取装置12と操作パネル部14との平面視投影面積内に,記録部7と排紙部10並びにこの排紙部10の一側に設けられたインク貯蔵部15が位置するように配置されている。
画像読取装置12の上面には,原稿カバー体13を上側に開けて原稿を載置することができる載置用ガラス板(図示せず)が設けられ,その下側に原稿読取り用のイメージスキャナ装置(CIS:Contact Image Sensor) (図示せず)が図1の紙面と直交する方向(主走査方向,図1におけるX軸方向)に往復移動可能に設けられている。
インク貯蔵部15は,記録装置本体2の上方に向かって開放されており,インク貯蔵部15には,フルカラー記録のための4色のインクを各々収容した平面視の面積が小さく,且つ高さ寸法の高いほぼ矩形箱状のインクカートリッジ19(個別の色,即ち,ブラック(BK),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)用インクのカートリッジに対しては符号19a〜19dを付する,図3参照)を,Y軸方向に沿って一列状に収納でき,上方から着脱可能となるように構成されている。
そして,各インクカートリッジ19(個別には符号19a〜19dで示す)からインクジェット式の記録ヘッド4に複数本(実施形態では4本)のインク供給管(インクチューブ)20(個別には符号20a〜20dで示す,図4,5参照)を介してインクを供給するように構成されている。なお,4色よりも多数のインク色を使用する場合(6色〜8色等)には,そのインク色の数に応じたインクカートリッジをインク貯蔵部15に収納可能に構成すれば良いし,インク供給管20もインクカートリッジの数に合わせて増やせばよい。
記録部7は,図3〜図15に示すように,上面開放された枠状のメインフレーム21における左右一対の側板21a,21bにて支持され,X軸方向(主走査方向)に延びる横長の板状(プレート状)の第1ガイド部材22,第2ガイド部材23と,これら両ガイド部材22,23に跨がって摺動自在に支持(搭載)されて往復移動可能に構成されたキャリッジ5と,記録ヘッド4が搭載されたキャリッジ5を往復移動させるために第2ガイド部材23の上面にそれと平行状に配置された無端ベルトとしてのタイミングベルト24と,そのタイミングベルト24を駆動するCR(キャリッジ)モータ25(実施形態ではDCモータであるが,ステッピングモータ等他のモータでもよい。)と,記録ヘッド4の下面側にて搬送される用紙Pを支持する板状のプラテン26と,主走査方向に沿って延びるように配置されてキャリッジ5のX軸方向(主走査方向)の位置とその方向の移動速度を検知するためのエンコーダストリップ47等を備える。この帯状のエンコーダストリップ47は検査面(X軸方向に一定間隔で配置されたスリットの形成面)が垂直方向に沿うように配置されている。なお,プラテン26上で用紙Pが通過する方向での用紙搬送方向(矢印A方向,図3,図4,図9〜図11参照)の上流側に,第1ガイド部材22が配置され,下流側に第2ガイド部材23が配置されることになる。
また,プラテン26を挟んで搬送上流側にレジストローラ対27が配置されて用紙Pを記録ヘッド4の下面のノズル面とプラテン26との隙間に送られる。プラテン26の下流側には,用紙Pの上面に接する拍車28bと下面側の排紙ローラ28aとが配置され記録済みの用紙Pが排紙部10に搬送される。
また,搬送される用紙Pの幅(用紙Pの短辺)より外側には,その一端側(実施形態では図3及び図4で左側の側板21aに近い部位)にインク受け部48が,また,他端側(図3及び図5で右側の側板21aに近い部位)にメンテナンスユニット50がそれぞれ配置されている。これにより,記録ヘッド4はインク受け部48に設けられたフラッシング位置にて記録動作中に定期的にノズルの目詰まり防止のためのインク吐出を行い,インク受け部にてインクを受ける。メンテナンスユニット50部分では,キャリッジ5は待機位置であって,色毎にインクを選択的に吸引したり,記録ヘッド4上の図示しないバッファタンク内の気泡を除去するための回復処理等を行う。また,メンテナンスユニット50には図示しないが,ワイパーが設けられており,キャリッジ5をメンテナンスユニット50部分から画像記録領域方向に移動させるときに記録ヘッド4のノズル面のクリーニングを行う。
用紙搬送方向(矢印A方向)の上流側の第1ガイド部材22及び下流側の第2ガイド部材23はそれぞれほぼ水平状態に配置されている。第1ガイド部材22の側断面は,図9〜図11に示すように,キャリッジ5における用紙搬送方向(矢印A方向)の上流側部位を水平状に摺動可能に支持するための第1摺動面51を有する平板部22aと,キャリッジ5の後述するホルダ体61における用紙搬送方向の上流側部位の係合凹部70に嵌まる側面Z字状の突片22bとが一体的に形成されている。
第2ガイド部材23の側断面は,図4〜図6,図9〜図11及び図15に示すように,上記タイミングベルト24,CR(キャリッジ)モータ25,エンコーダストリップ47等の取付けの鉛直方向(Z軸方向)の基準面となる水平広幅片23aと,この水平広幅片23aを挟んでキャリッジ5における用紙搬送方向の下流側部位を水平状に摺動可能に支持するための第2摺動面51を有する平板部23bと,水平広幅片23aを挟んで用紙搬送方向の上流側部位で上向き屈曲させたほぼ鉛直なガイド片23cとを備える。
第1ガイド部材22における第1摺動面51と,第2ガイド部材23における第2摺動面52とは,キャリッジ5における記録ヘッド4の下面(ノズルが形成されたノズル面)と平行になるように,各ガイド部材22,23の上面に形成されている。ガイド片23cには,用紙搬送の下流側に向く第3摺動面54が形成されている(図4及び図5参照)。第1,第2,第3摺動面51,52,54はそれぞれX軸方向に長く直線的に形成されている。
キャリッジ5は,図11〜図13に示すように,平面視でほぼ矩形状の合成樹脂製のホルダ体61からなり,ホルダ体61の用紙搬送上流側部位には記録ヘッド4が下面側に収納される下向き高さ寸法の大きいヘッド収納部61aが形成されている。ホルダ体61の用紙搬送下流側部位には上記複数本のインク供給管20a〜20dの先端部が横向きに接続されて記録ヘッド4にインクを供給するインク流路(図示せず)やフレキシブルフラットケーブル40の先端部を接続するための接続支持部61bや,エンコーダストリップ47を通過させて位置及び移動速度を検知するための光透過式のセンサ(ホトカプラ)61cのためのガイド溝85が一体的に設けられている。
キャリッジ5の用紙搬送上流側部位には,その下面側から突出して第1ガイド部材22における第1摺動面51に当接する1つの第1摺動凸部55aが,ホルダ体61のX軸方向の中央部に設けられている(図11〜図13参照)。
キャリッジ5(ホルダ体61)の用紙搬送下流側部位には,その下面側から突出して第2ガイド部材23における第2摺動面52に当接する左右一対の第2摺動凸部55bが,ホルダ体61のX軸方向の中央線OXを挟んで寸法X1だけ隔てて左右対称状に設けられている(図11〜図13,図15参照)。したがって,キャリッジ5の平面視(または下面視)において,1つの第1摺動凸部55aと左右一対の第2摺動凸部55bとの各中心部を結ぶ形状が二等辺三角形となる。この構成により,第1及び第2ガイド部材22,23に対してキャリッジ5が安定して支持される。
第1摺動凸部55aに隣接して設けられた第1補助摺動凸部56aは,キャップのノズル面とプラテン26との隙間(ペーパーギャップ)PGを,上記第1摺動凸部55aで当接する場合より大きくするときに,第1摺動凸部55aの下面よりも選択的に下向きに突出するように構成されている。同様に,一対の第2摺動凸部55bに隣接して設けられた第2補助摺動凸部56bは,キャップのノズル面とプラテン26との隙間(ペーパーギャップ)PGを上記と同様に大きくするときに,第2摺動凸部55bの下面よりも選択的に下向きに突出するように構成されている(図10,図11及び図13参照)。なお,キャリッジ5には,第1補助摺動凸部56a及び第2補助摺動凸部56bを選択的に昇降させる機構(詳細な説明は省略する)とその作用片57a,57bがX軸方向に往復移動可能且つ出没可能に設けられている。キャリッジ5がX軸方向に沿って移動したときの一方の移動端と他方端にて,第1ガイド部材22及び第2ガイド部材23の切り起こし片22b,23dに,作用片57a,57bが衝突することにより,第1補助摺動凸部56a及び第2補助摺動凸部56bを選択的に昇降させる構成である(図4,図5,図8,図9,図10,図13等参照)。
キャリッジ5(ホルダ体61)には,第2ガイド部材23における第3摺動面54に当接させる左右一対の第3摺動凸部60a,60bが一体的に形成されている。即ち,左右一対の第3摺動凸部60a,60bは,図13において,X軸方向の中央線OXを挟んで寸法X2だけ隔てて左右対称状に設けられている。
さらに,キャリッジ5(ホルダ体61)には,鉛直方向のガイド片23cを挟んで裏面側に,左右一対の第4摺動凸部65a,65bが配置されるものとし,この一対の第4摺動凸部65a,65bは合成樹脂製の左右長手の弾性部材としての挟持体62(図13において影線が施された部分を参照)の両端部に形成されている。一対の第4摺動凸部65a,65bは,図13において,X軸方向の中央線OXを挟んで寸法X3(<X2)だけ隔てて左右対称状の位置に配置されている。
図13に示すように,挟持体62の左右の中央部がホルダ体61への取付部62aであり,左右両端の膨出部62bとの間はそれ自体で可撓性を有する断面の小さい連設部62cである。各膨出部62b内には,図示しない圧縮コイルバネが配置されており,この圧縮コイルバネの付勢力にて,ガイド片23cを挟持体62と第3摺動凸部60a,60bとで挟み込んで,弾性的に支持させている。なお,挟持体62と第3摺動凸部60a,60bとの間は,主走査方向(X軸方向)及び下方方向(Z軸方向)が開放されている(図10,図11及び図13参照)。
キャリッジ5(ホルダ体61)の下面側には,副走査方向(Y軸方向)において,第2摺動凸部55bと第3摺動凸部60a(60b)との間に,タイミングベルト24の一部が連結されるベルト連結部63が設けられている(図10, 図11及び図13参照)。より詳しく説明すると,ベルト連結部63は,接続支持部61bの下面側に設けられて,キャリッジ5の下面側及び主走査方向の両側に開放されてタイミングベルト24が嵌まる溝部を有する。
タイミングベルト24を巻き掛ける駆動プーリ89と従動プーリ90とを,図3,図4,図5,図14(但し,図4,図5では従動プーリ90のみ示す)に示すように,第2ガイド部材23における水平広巾片23aの上面側の主走査方向の両端部に配置する。このようにすると,第2ガイド部材23はキャリッジ5の摺動支持と,駆動プーリ89とCRモータ25及び従動プーリ90等の移動手段の取付けとの両機能を果たすことができて,コストダウンを図ることができると共に,記録部7ひいては画像記録装置1を小型化できるという効果を奏する。
なお,キャリッジモータ(CRモータ)25の首部25aから突出する駆動軸25bに嵌着した駆動プーリ89の最大直径D1は首部25aの直径D2より小さく形成しておく(図14参照)。そして,予め,駆動軸25bに駆動プーリ89を装着固定した状態で,第2ガイド部材23における水平広巾片23aに穿設されている取付け孔(首部25aの直径D2に等しい)に,下方から駆動プーリ89及び首部25aを差し込む。次いで,水平広巾片23aの上面からねじ(図示せず)にて駆動モータ25を固定する。
このように,駆動プーリ89の最大直径D1を駆動モータ25の首部25aの直径D2より小さく形成し,且つ第2ガイド部材23に首部25aの直径D2とほぼ等しい取付け孔23bを形成しておくと,駆動モータ25を第2ガイド部材23に取付けする前に駆動プーリ89を駆動軸25bに嵌着することができる。また,第2ガイド部材23の水平広巾片23aには,駆動モータ25を取付けするための取付け孔のみを穿設しておけば良いから,第2ガイド部材23の機械的強度を極端に弱めることがない。さらには,首部25aと駆動プーリ89との間に水平広巾片23aが配置されるような取付け構造に比べて,首部25aに対して駆動プーリ89を極めて接近させて配置することができる。駆動プーリ89の円周面にはタイミングベルト24用の歯面(歯型)89aが形成されていると,駆動モータ25の回転とタイミングベルト24の移動との間にスリップ現象が発生しない。また,駆動プーリ89の上端側にはタイミングベルト24の離脱防止用のフランジ部89bが一体的に形成されている。
従動プーリ90はタイミングベルト24が巻回するプーリ部90aと,このプーリ部90aからその回転中心軸線に沿って両方方向に突出する軸部90bと,タイミングベルト24の幅方向の両縁を軸部90b方向に離脱させない大径のフランジ部90cとが,合成樹脂材により一体的に形成されたものである(図14参照)。そして,従動プーリ90が回転可能に支持されたホルダ92を駆動プーリ89から離間する方向に図示しないばねにて弾力付勢する。
駆動プーリ89と従動プーリ90とに巻回した(掛け渡した)タイミングベルト24のうち,キャリッジ5への連結固定された側片の延びる方向が,第2ガイド部材23における垂直方向のガイド片23cとほほ平行状となるように,駆動プーリ89の軸心(回転中心)からガイド片23cまでの最短距離が,従動プーリ90の軸心(回転中心)からガイド片23cまでの最短距離よりも小さく(短く)なるように,駆動プーリ89と従動プーリ90との配置位置を偏倚させると,キャリッジ5が主走査方向(X軸方向)に移動するするとき,ガイド片23cと平行となるように,タイミングベルト24でキャリッジを牽引でき,ガイド片23cにおける第3摺動面54(基準面)に沿って安定して移動でき画像の記録性能を向上させることができる。その場合,大径の従動プーリ90をガイド片23cから離して配置することで,第2ガイド部材23の矢印A方向の幅寸法を小さくでき,コンパクトにできる。
さらに,キャリッジ5を取付けた側のタイミングベルト24による張力の力成分(分力)がキャリッジ5を第2ガイド部材23の平板部23b及び鉛直片であるガイド片23cの双方に押圧する方向に働くように,駆動プーリ89と従動プーリ90と,タイミングベルト24に対するキャリッジ5のベルト連結部63の配置関係を設定するのが好ましい。これにより,後述するように,キャリッジ5の移動が安定するからである。
そのため,キャリッジ5を第2ガイド部材23の垂直片であるガイド片54に対して押圧するため,タイミングベルト24に対するキャリッジ5のベルト連結部63がガイド片23cにおける第3摺動面54に対する最短距離は,駆動プーリ89及び従動プーリ90へのタイミングベルト24の巻回部における最短距離よりも大きく設定するものである。このように構成すると,ベルト連結部63におけるタイミングベルト24に対する張力Fの分力のうち,ガイド片23cの延びるX軸方向と直交するY軸方向の分力により,タイミングベルト24の配置側にあるガイド片23cにおける第3摺動面54に対してキャリッジ5が押しつけられることになり,移動中のキャリッジ5の姿勢が安定し,画像の記録性能が向上するのである。
他方,図14は,キャリッジ5を第2ガイド部材23の水平広巾片23aの上面の第2摺動面52に押圧付勢する実施形態を示す。タイミングベルト24に対するキャリッジ5のベルト連結部63の高さ位置を,駆動プーリ89及び従動プーリ90へのタイミングベルト24の巻回部位の高さ位置より上方に偏倚させるものである。その場合,ベルト連結部63では,ブロック63bの下端両側に突出させた一対の係止爪部63cにより,ブロック63a,63bの間に嵌めて挟持させたタイミングベルト24の下端縁を下向きに脱落不能に係止しており,駆動プーリ89の上端のフランジ部89bによりタイミングベルト24の上端縁を上向きに離脱させないように規制し,さらに,従動プーリ90における上側のフランジ部90cでもタイミングベルト24の上端縁を上向きに離脱させないように規制している。
本実施形態では,キャリッジ5全体の重心位置Gは,X軸方向(キャリッジ5の左右幅方向)に対して,図13に示すX軸方向の中央線OX上にあり,Y軸方向に対しては,図10及び図11に示すように,キャリッジ5における収納部61a側にあって,第4摺動凸部65a,65b側からY軸に沿って距離Y1の短い位置にある。また,Z軸方向(鉛直方向)に対するキャリッジ5全体の重心位置Gの高さ位置は,ベルト連結部63の高さ方向の幅内にある。
本実施形態では,ベルト連結部63におけるタイミングベルト24に対する張力F1のX軸方向分力F4及びZ軸方向分力F5のうち,Z軸方向の分力F5と,キャリッジ5の自重とが,第1摺動凸部55aと第2摺動凸部55bとを介して上記第1ガイド部材22の第1摺動面51及び第2ガイド部材23の第2摺動面52にZ軸(鉛直)の下向き方向に作用する。そして,図10に示すように,キャリッジ5の重心位置Gから第1摺動凸部55aまでのY軸に沿っての距離Y2と,同じく第2摺動凸部55bまでの距離Y3とが大きいから,キャリッジ5の静止時及び一定速度でのX軸方向(主走査方向)への移動時にも,Y軸に沿って大きく離間した第1摺動凸部55a及び第2摺動凸部55bを介して第1ガイド部材22及び第2ガイド部材23にてキャリッジ5を安定して支持させることができ,キャリッジ5に搭載した記録ヘッド4の下面とプラテン26上の用紙Pとの隙間寸法(PG)が安定し,これによっても画像の記録性能が向上するのである。
第2ガイド部材23における鉛直方向に立設するガイド片23cには,第2摺動面52に対して実質上直交するように立設した第3摺動面54が,Y軸方向において,第1摺動面51と第2摺動面52との間に位置するように備えられ,キャリッジ5には,第3摺動面54に当接して摺動可能な第3摺動凸部60a,60bと,これらの 第3摺動凸部60a,60bと第3摺動面54(ガイド片23c)を挟んで対向する第4摺動凸部65a,65bを第3摺動面54の方向に弾力付勢するための弾性部材である挟持体62とを備え,ベルト連結部63は,Y軸において,第2摺動凸部55aと第3摺動凸部60a,60bとの間に位置している。
ベルト連結部63の高さ位置が,タイミングベルト24の第2ガイド部材23に対する装着部(駆動プーリ89及び従動プーリ90)より高い位置に設定すれば,特にキャリッジ5が主走査方向に移動開始するとき(キャリッジ5が静止状態から加速度を受けて移動するとき),キャリッジ5におけるベルト連結部63の位置で,キャリッジ5には,タイミングベルト24の張力の鉛直方向の分力F5が作用する。その場合,重心Gまわりにキャリッジ5が回転しようとする回転モーメントを,第2摺動凸部55b(第2摺動面52)の箇所で効率良く受け止めることができる。その結果,重心Gを通るX軸回りのキャリッジ5の姿勢変化を無くし,主走査方向への安定した移動を確保することができる。
装置本体2の静止位置に備えたインク貯蔵部15からインクを供給する湾曲可能な複数本のインク供給管20a〜20bが,キャリッジ5におけるX軸方向と対面する一側部(接続支持部61b)に接続されており,インク供給管20a〜20がキャリッジに接続する箇所(管接続部72)は,Y軸方向において,第1摺動凸部55aと第2摺動凸部55bとの間に位置すると,その接続部(接続支持部61b)には,鉛直(Z軸)方向の荷重が掛かる。その荷重によるキャリッジ5の重心位置Gを通るX軸回りのモーメントも第2摺動凸部55b(第2摺動面52)側で支持でき,その結果,上記重心位置Gを通るX軸回りのキャリッジ5の姿勢変化を無くし,主走査方向への安定した移動を確保することができる。
また,Y軸方向において,インク供給管20a〜20がキャリッジに接続する箇所(管接続部72)は,第2摺動凸部55bと第3摺動凸部60a,60bとの間に位置するものである。即ち,管接続部72はベルト連結部63に近い第3摺動凸部60a,60bに位置するのであるから,インク供給管20a〜20が接続された場合の荷重によるキャリッジ5の重心位置Gを通るX軸回りのモーメントも第2摺動凸部55b(第2摺動面52)で支持でき,その結果,上記X軸回りのキャリッジ5の姿勢変化を無くし,主走査方向への安定した移動を確保することができる。
また,Y軸に沿ってのキャリッジ5におけるベルト連結部63の位置も,第1摺動凸部55a(第1摺動面51)と第2摺動凸部55b(第2摺動面52)の間に位置しているから,特に,キャリッジ5が主走査方向(X軸方向)に移動開始するとき(キャリッジが静止状態から加速度を受けて移動するとき)のタイミングベルト24による上記Z軸方向分力F5の作用で,X軸回りにキャリッジ5が回転しようとする力を,第1摺動凸部55a(第1摺動面51)と第2摺動凸部55b(第2摺動面52)の箇所で効率良く受け止めることができる。その結果,X軸回りのキャリッジ5の姿勢変化を無くし,主走査方向への安定した移動を確保することができる。
なお,図4,図12及び図13で示すように,キャリッジ5における1つの第1摺動凸部55aと,左右一対の第2摺動凸部55b,55bとにより,第1ガイド部材22(第1摺動面51)と第2ガイド部材23(第2摺動面52)に対して平面視で三角形状にて支持され,しかも,左右一対の第2摺動凸部55b,55bのX軸方向の配置間隔X1を大きく取っているので,キャリッジ5の重心位置を通るY軸回りのキャリッジの支持姿勢が安定する。特に,キャリッジ5が主走査方向(X軸方向)に移動開始するとき(キャリッジが静止状態から加速度を受けて移動するとき)のタイミングベルト24による上記X軸方向分力F4の作用で,ベルト連結部63を通るY軸回りにキャリッジ5が回転しようとする力を,左右に離れた左右一対の第2摺動凸部55b,55bと,第2摺動面52との箇所で効率良く受け止めることができる。その結果,Y軸回りのキャリッジ5の姿勢変化を無くし,主走査方向への安定した移動を確保することができる。
さらに,キャリッジ5における左右一対の第3摺動凸部60a,60bが,第2ガイド部材23における鉛直方向のガイド片23cの第3摺動面54に対して,図13に示すように,キャリッジ5のX軸方向の中央線OXを挟んで大きい間隔X2にて当接し,しかも,挟持体62の両端部に形成された一対の第4摺動凸部65a,65bは,図13において,X軸方向の中央線OXを挟んで寸法X3だけ隔てて左右対称状の位置に配置されて,ガイド片23cの裏面側から弾性的に押圧しているので,キャリッジ5が主走査方向(X軸方向)に移動開始するとき(キャリッジが静止状態から加速度を受けて移動するとき)のタイミングベルト24による上記X軸方向分力F4の作用で,重心Gを通るZ軸回りにキャリッジ5が回転しようとする力を,左右に離れた左右一対の第3摺動凸部60a,60bと,一対の第4摺動凸部65a,65bと,第3摺動面54との箇所で効率良く受け止めることができる。その結果,Z軸回りのキャリッジ5の姿勢変化を無くし,主走査方向への安定した移動を確保することができる。
キャリッジ5におけるホルダ体61の上面を覆う合成樹脂製の上蓋66の上面には,エンコーダストリップ47がX軸方向に通過し得る上方開放状で且つX軸方向にも開放されたガイド溝85が一体的に形成されており,そのガイド溝85内の中途部には,エンコーダストリップ47の表裏両面を挟んで通過可能とするホトカプラ61cが配置されている(図7〜図12参照)。なお,エンコーダストリップ47の両端は,第2ガイド部材23の左右両端から立て起こした支持片86にて張設されている。
ホルダ体61の上面に対して着脱可能な上蓋66と接続支持部61bとの間には,フレキシブルフラットケーブル40からの信号を受けて,記録ヘッド4に所定の駆動信号を出力するための制御基板(図示せず)が配置されている。上蓋66を着脱するのは制御基板や後述するインク供給管20a〜20dの交換などのメンテナンスのために必要である。
次に,インク貯蔵部15に収納されている各インクカートリッジ19と記録部7における記録ヘッド4とを常時連結している可撓性を有するインク供給管20の配置構造について詳述する。実施形態では,各インク供給管20a〜20dは互いに独立したチューブ体である。
図3〜図5に示すように,複数(実施形態では4本)のインク供給管20は,下カバー体29の上面にてその一側端部(図4で右端部)からX軸方向に沿って他端部(図4で左端部)の方向に延設されている。このとき,全てのインク供給管20a〜20dの根元部はほぼ鉛直に沿った縦一列状に並んでいる。
全てのインク供給管20a〜20dの中途部が下カバー体29から第2ガイド部材23の上面側に渡り,その中途部がワイヤ状の可動可能な束ね部材71を介して束ねられている。全てのインク供給管20a〜20dは,その中途部が湾曲され且つ捩じられて,先端部は,連結支持部61bの一側部(図4, 図5で左端部)に設けられた結合部(管接続部72)にほぼ水平状の横一列の配列で接続されている。
本実施形態では,キャリッジ5に搭載された記録ヘッド4のノズルから選択的にインク滴を吐出させる指令信号を記録装置本体2側に設けた図示しない制御部から伝送するためのフレキシブルフラットケーブル40が,キャリッジ5がX軸方向(主走査方向)に往復移動する場合のインク供給管20a〜20dの通過する領域に,インク供給管20の延びる方向とほぼ平行状で,且つフレキシブルフラットケーブル40の広幅面が鉛直方向に並ぶように配置されている(図4,図5参照)。また,フレキシブルフラットケーブル40の湾曲部はインク供給管20a〜20dの湾曲部の半径内側に位置している。
インク供給管20a〜20dに上記の湾曲部があるため,この湾曲部の半径が大きくなろうとするインク供給管20a〜20dの復元力により,管接続部72ひいてはキャリッジ5にはZ軸回りの回転モーメントが作用する。この作用力は,左右に離れた左右一対の第3摺動凸部60a,60bと,一対の第4摺動凸部65a,65bと,第3摺動面54との箇所で効率良く受け止めることができる。その結果,Z軸回りのキャリッジ5の姿勢変化を無くし,主走査方向への安定した移動を確保することができる。
本発明の実施形態の画像記録装置の斜視図である。 記録部の一部切欠き側断面図である。 画像読取部を除去した状態の記録装置本体の平面図である。 記録部の平面図である。 記録部の斜視図である。 図4のVI−VI線矢視図である。 記録部の一部切欠き拡大斜視図である。 図4の VIII −VIII線矢視拡大側面図である。 図4のIX−IX線矢視拡大側断面図である。 図4のX−X線矢視拡大側断面図である。 キャリッジの左側面図である。 キャリッジの平面図である。 キャリッジの下面図である。 タイミングベルトの連結状態を示す一部切欠き説明図である。 キャリッジを外した状態の記録部の斜視図である。
符号の説明
1 画像記録装置
2 記録装置本体
3 給紙カセット
4 記録ヘッド
5 キャリッジ
7 記録部
19(19a〜19d) インクカートリッジ
20(20a〜20d) インク供給管
22 第1ガイド部材
23 第2ガイド部材
23a 水平広巾片
23b 平板
23c ガイド片
24 タイミングベルト
40 フレキシブルフラットケーブル
51 第1摺動面
52 第2摺動面
54 第3摺動面
55a 第1摺動凸部
55b 第2摺動凸部
60a,60b 第3摺動凸部
61 ホルダ体
61a 収納部
61b 接続支持部

Claims (5)

  1. 被記録媒体上に画像を記録可能な記録ヘッドを搭載して主走査方向に往復移動するキャリッジと,前記主走査方向と水平方向において直交する副走査方向の上流側に配置した第1ガイド部材と下流側に配置した第2ガイド部材とを備え,前記キャリッジが前記第1ガイド部材と前記第2ガイド部材とに跨がって摺動可能に支持された画像記録装置において,
    前記第1ガイド部材のほぼ水平な上面に形成された第1摺動面と,前記第2ガイド部材のほぼ水平な上面に形成された第2摺動面とは,それぞれ前記キャリッジを支持し,且つ前記記録ヘッドのノズル面と平行に形成されており,
    前記キャリッジには,前記第1摺動面に当接する第1摺動凸部と,前記主走査方向に適宜間隔を隔てて設けられた前記第2摺動面に当接する2つの第2摺動凸部とがキャリッジの下面側から突出するように設けられ,
    前記キャリッジは,前記第2ガイド部材の上面側に前記主走査方向に沿って長く設けられた無端ベルトの一部に連結されて,前記主走査方向に沿って移動可能に構成され,
    前記無端ベルトとキャリッジとのベルト連結部は,前記副走査方向において,前記第1摺動凸部と第2摺動凸部との間に位置し,
    前記主走査方向及び前記副走査方向と直交する鉛直方向において,前記ベルト連結部の高さ位置が,前記無端ベルトの第2ガイド部材に対する装着部より高い位置であることを特徴とする画像記録装置。
  2. 前記第2ガイド部材には,前記第2摺動面に対して実質上直交するように立設した第3摺動面が,前記副走査方向において,前記第1摺動面と前記第2摺動面との間に位置するように備えられ,
    前記キャリッジには,前記第3摺動面に当接して摺動可能な第3摺動凸部と,前記第3摺動凸部と前記第3摺動面を挟んで対向する第4摺動凸部を前記第3摺動面の方向に弾力付勢するための弾性部材とを備え,
    前記ベルト連結部は,前記副走査方向において,前記第2摺動凸部と第3摺動凸部との間に位置することを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
  3. 記画像記録装置の本体の静止位置に備えたインク貯蔵部からインクを供給する湾曲可能なインク供給管が,前記キャリッジにおける前記主走査方向と対面する一側部に接続されており,
    前記インク供給管が前記キャリッジに接続する箇所は,前記副走査方向において,前記第1摺動凸部と第2摺動凸部との間に位置することを特徴とする請求項1または2に記載の画像記録装置。
  4. 前記インク供給管が前記キャリッジに接続する箇所は,前記副走査方向において,前記第2摺動凸部と第3摺動凸部との間に位置することを特徴とする請求項3に記載の画像記録装置。
  5. 前記第1摺動凸部と前記第2摺動凸部とは,前記第1及び第2ガイド部材に跨がる三角形の各頂点に配置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像記録装置。
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