JP2004514519A - ドラム洗濯機の脱水速度制御方法 - Google Patents

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Abstract

本発明の目的は、ドラムタイプの洗濯機に印加される電圧の大きさにしたがってリード角の最大制限値を変えるようにすることによって、定格電圧より高い電圧が印加されても脱水最大速度へ到達する時に許容される洗濯物の偏心量を予め設定した値より小さく減らしてシステムの安定性を向上させることにある。
この本発明の目的を達成するために、本発明の洗濯機の脱水速度制御方法においては、印加される入力電圧を検出した後、入力電圧の大きさに応じてリード角の最大値が異なるように設定されるようにしたことを特徴とする。

Description

【0001】
(技術分野)
本発明はドラム洗濯機の脱水速度制御方法に関するもので、特に、洗濯機に印加される電圧の大きさにしたがってリード角の最大制限値を変えるようにすることによって、ドラムの最大速度で許容される洗濯物の偏心量を設定値以下に制御してシステムの安定性を確保できるようにすることに関するものである。
(従来技術)
一般に、洗濯機には洗濯槽が立てられた状態で回転するパルセータタイプの洗濯機と、洗濯槽が横になっている状態で回転するドラムタイプの洗濯機とがあり、それぞれ長短所を有している。
【0002】
特に、ドラム洗濯タイプは、洗剤と洗濯水及び洗濯物がドラム内に投入された状態でモータの駆動力を受けて回転するドラムと洗濯物との摩擦力を用いて洗濯を行うものであって、洗濯物の損傷が殆どなく、洗濯物が互いに絡み合うこともなく、叩いたり揉み洗いしたりするような洗濯効果が得られる。
【0003】
以下、図1を参照して従来の直結式ドラム洗濯機の一例について簡単に説明する。
【0004】
図1は既存の直結式ドラム洗濯機の一例の断面図を示すもので、キャビネット5の内側にタブ3が設けられ、タブ3の内側にドラム9が設けられる。そして、ドラム9にはモータ6の駆動力をドラム9に伝達するドラム軸13が設けられる。
【0005】
一方、ドラム軸13の前後にはベアリング12がそれぞれ設けられ、タブ3の後壁の中央部にはベアリング12を支持するベアリングハウジングが設けられる。
【0006】
また、タブ3の後壁部には直結式モータ6を構成するステータ7が締結され、ドラム軸13上にはステータ7と共に直結式モータ6を構成するロータ8が結合される。これにより、ドラム9はロータ8に直結して回転する。
【0007】
一方、キャビネット5の前方にはドア1が設けられ、ドア1とタブ3との間にはガスケット2が設けられる。
【0008】
そして、キャビネット5の上部面の内側とタブ3の外周面の上部側との間にはタブ3を支持するハンギングスプリング4が設けられ、キャビネット5の下部面の内側とタブ3の外周面の下部側との間には、脱水時に発生するタブ3の振動を減殺させるためのフリクションダンパ(friction damper)10が設けられる。
【0009】
また、モータ6の一方にはロータ8の回転速度を検出するためのモータセンサ11が取り付けられている。
【0010】
ところで、このように構成された既存の直結式ドラム洗濯機において脱水時におけるドラム9の回転速度の制御は次のように行われる。
【0011】
まず、脱水(spinning)が始まってロータ8が回転し始めると、モータセンサ11はロータ8の回転速度を継続的に検出してコントローラ(図示せず)に送り、コントローラはロータ8の回転速度が所望の回転速度に到達したかどうかを比較する。
【0012】
この際、ロータ8の回転速度が、洗濯物がドラム9の内壁に付いてそれから落ちてこない回転速度(例えば、110rpm)に到達すると、洗濯物の偏心量(eccentricity)を検出し、洗濯物の偏心量が許容値より大きいと判定される場合にはドラムを停止させた後再び回転させ、洗濯物の偏心量が許容値より低いと判定される場合は、ロータ8の回転速度を次第に上昇させる。
【0013】
即ち、脱水進行の初期に偏心量が多すぎる状態でドラム9を回転させる場合には、ドラム軸13を支持しているベアリング12が破損したりタブ3が破損するなどシステムの全般的な剛性に悪影響を及ぼすので、偏心量を予め設定した値以下に制御した後、本格的に脱水を行う。
【0014】
一方、偏心量が許容値以下と判定され、ロータ8の回転速度が段階的に上昇して最大脱水速度に到達すると、ロータ8の回転速度はそれ以上上昇せず、その速度を維持する。
【0015】
上記のような脱水進行のためにロータ8の回転速度を最大回転速度に上昇させるとき、ロータ8の回転速度はデューティ値(duty value)及びリード角(lead angle)によって制御される。
【0016】
まず、PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)によってデューティ値を上げロータの回転速度を最大回転速度(例えば、1400rpm)より低い一定の速度(例えば、1000rpm)まで上げ、それから最大回転速度に至るまでに必要な残り部分は上記のリード角の制御によって上昇させ、ロータの回転速度を所望の最大回転速度に合わせる。
【0017】
この際、デューティ値の制御、及びリード角の制御によりモータ6の速度を制御する方法は次の通りである。
【0018】
まず、PWM制御により変えられるデューティ値は0〜250まで変化する値で、この値を変化させることによりロータ8の回転速度を変化させ、デューティ値が大きくなれば大きくなるほどロータの回転速度は上昇する。
【0019】
また、上記のリード角は電流と電圧との位相差を制御することにより脱水速度を制御するためのもので、電圧に比べ電流の位相が遅いので、これを考慮して0〜75°の位相範囲内で電圧を電流に比べて早く印加されるようにして、電圧と電流との波形を一致させることに目的があり、消費電力の面からも電圧と電流との波形が一致することが有利である。
【0020】
しかしながら、従来の直結式ドラム洗濯機においての脱水速度制御方法には次のような問題点がある。
【0021】
即ち、初期の偏心検出時に偏心量が設定量より小さいと検出されるとき、高速脱水工程に進むが、脱水途中で偏心量が変わるか、又は初期に検出された偏心量値が不正確であったために、実際には設定値より大きい偏心量が発生したときでも、設定された最大回転速度に至るまで上記のリード角は次第に増加しながら脱水が進行する。
【0022】
このようになると、ロータ6に重負荷がかかるなど、システム全体に過大な力が加えられる危険があるので、これを抑制するためにリード角の最大値を設定値(例えば、65°)より小さくなるように制御するようになっている。
【0023】
しかしながら、従来は最大リード角の値が一つの値に固定されているだけでなく、定格電圧及び偏心量が正常であるときに最高脱水速度に到達するのに実際に必要なリード角の値よりは所定のある程度だけ大きい値に設定されている。
【0024】
一方、同一のリード角では、印加電圧の大きさにしたがって脱水回転速度が変わり、印加電圧が大きいほど脱水回転速度も増加する。
【0025】
したがって、従来は、同じリード角及び同じ負荷で定格電圧より大きい電圧が印加される場合、定格電圧が印加される時に比べてその分ロータ8及び、これに直結されたドラム9の回転速度が速くなるので、図4に示すように、ドラム9の最大速度への到達に対する許容偏心量もまた増加する。
【0026】
しかしながら、ドラム9が最大回転速度に到達した状態で偏心量がある一定量(例えば、300g)より大きくなると、正常な許容値を超過した偏心量によって洗濯機のシステム全体に過大な負荷がかかり、これは、結局、モータなどシステム全体に無理がかかって剛性を弱めることになる。
【0027】
一方、従来は印加電圧が低い場合、図4に示すように、偏心量が少ないにも拘わらず、リード角を最大設定のリード角まで高めても設定された最大脱水速度に到達できないという短所がある。
(発明の開示)
本発明の目的は、印加される電圧の大きさにしたがってリード角の最大制限値を変えるようにすることにより、定格電圧より高い電圧が印加されても、脱水最大速度へ到達する時に許容される洗濯物の偏心量を予め設定した値より小さい値に減らしてシステムの安定性を向上させるようにしたドラム洗濯機を提供することにある。
【0028】
上記目的を達成するために、本発明は、ドラム洗濯機の脱水速度制御方法において、入力される受電電圧を感知してその受電電圧の大きさに応じてリード角の最大値が異なるように設定されるようにしたことを特徴とする。
(発明を実施するための最良の形態)
以下、本発明の一実施形態を添付の図3及び図4に基づいて詳細に説明する。
【0029】
図3は本発明の好適実施例による制御方法のステップを示す流れ図であり、図4は本発明の電圧値に対するリード角の最大値と、従来の一定のリード角の最大値とに対する最大速度における許容偏心量を比較して示した表であって、本発明は、ドラム洗濯機の脱水速度制御方法において、入力される受電電圧を感知してその入力電圧の大きさにしたがってリード角の最大値が異なった値に設定されるようにすることを提案するものである。
【0030】
この際、入力電圧の大きさが定格電圧より大きい場合はリード角の最大値が定格電圧の入力時のリード角の最大値より大きい値を有し、入力電圧の大きさが定格電圧より小さい場合にはリード角の最大値が定格電圧入力時のリード角の最大値より小さい値を有する。
【0031】
以下、直結式ドラム洗濯機においての、本発明の好適実施例による脱水速度制御方法を図3の流れ図を参照して詳細に説明する。
【0032】
脱水進行のためにロータ8の回転数を最大回転速度に上昇させるとき、ロータ8の回転数はデューティ値及び、リード角により制御される。
【0033】
まず、PWMによりデューティ値を増大させることによってロータの回転速度を最大速度(例えば、1400rpm)より低い予め設定した速度(例えば、1000rpm)まで上昇させ、最大速度に至るまでの残り部分はリード角の制御により上昇させることによって、ロータの速度を所望の最大の脱水速度に合わせることは従来技術の説明で上述した通りである。
【0034】
一方、一般に洗濯機には、機器の動作の可能な電圧範囲を外れた異常電圧が印加された場合に機器が動作することを防止するために電圧感知回路が備えられているので、入力電圧は上記の電圧感知回路により感知され、コントローラへ伝達される。これにより、コントローラは電圧感知回路で感知された入力電圧の大きさにしたがって上記のリード角の最大値を維持あるいは変更する。
【0035】
即ち、定格電圧が入力された場合には基本的にはその定格電圧に合わせてセッティングされたリード角の値が維持されるように脱水が行われるが、定格電圧より高いか低い電圧が入力された場合には電圧値(又は、電圧範囲)別に異なった値に設定されたリード角の最大値のデータにしたがって入力電圧に対応するリード角の最大値にその値が変えられた状態で脱水が進行する。
【0036】
例えば、230Vが定格電圧である場合、従来はリード角の最大値が65°であったが、本発明では、図4に示すように、定格電圧の230Vが印加される場合にはリード角の最大値は57°となる。
【0037】
また、従来は入力電圧が261Vより高い場合でもリード角の最大値が65°であったが、本発明では入力電圧が261Vより高い場合は、リード角の最大値は、図4に示すように、47°となる。
【0038】
これにより、従来は261Vより高い、定格電圧に比べて高い電圧が入力される場合でもリード角の最大値が65°であり、このリード角での許容偏心量が750gであって、許容偏心量が過大となり、この過度な偏心量によって脱水最大速度に到達する間にシステム全体に過大な負荷がかかる。
【0039】
しかしながら、本発明では261Vより高い電圧が入力される場合、最大リード角の値は入力電圧別の最大制限リード角データに従う設定値の47°に変えられるので、リード角が最大値まで増大しても脱水最大速度への到達時における許容偏心量が300gより小さいので、システム全体には過大な負荷がかかることない。
【0040】
即ち、本発明では、どれだけの電圧が印加されても偏心量が300g以下の状態でのみ脱水速度が最大速度に到達できるように、リード角の最大値が電圧別に異なるように定められており、これにより、システムには決して過大な負荷がかかることない。この際、電圧値にしたがって異なるように設定されたリード角の最大値のデータはコントローラ内に既入力されていることは勿論である。
【0041】
要するに、本発明は、ドラム洗濯機の脱水速度を制御する場合に、電圧変動時にもモータなどのシステム全体にかかる最大負荷量が安定した範囲内に入るようにするため、入力される電圧を感知してその電圧の大きさにしたがってリード角の最大値を可変にするものである。
【0042】
これにより、本発明は、脱水時にどれだけの電圧が印加されても、最大速度への到達時に許容偏心量が予め設定された値(例えば、300g)を超えることはなく、モータなどシステムに加えられる最大負荷も常に予め設定された値より小さくなるので、モータなどシステムの安定性が確保される。
【0043】
ところで、本発明の実施形態ではドラム洗濯機を例として説明したが、本発明の技術的態様はパルセータタイプの洗濯機など、他のタイプの洗濯機にも適用可能であることは勿論である。
(産業上の利用可能性)
以上説明したように、本発明は、ドラム洗濯機に印加される電圧の大きさにしたがってリード角の最大制限値を変化させることにより、定格電圧より高い電圧が印加されても脱水最大速度で許容される洗濯物の偏心量が予め設定された値より小さくなるようにしたものである。従って、本発明によりドラム洗濯機のモータなどに加えられる負荷を予め設定した値より小さく維持し、システムの安定性の向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
従来の直結式ドラム洗濯機の一例を示す断面図である。
【図2】
従来の制御方法の段階を示す流れ図である。
【図3】
本発明の好適実施例による制御方法の段階を示す流れ図である。
【図4】
本発明の電圧に対するリード角の最大値と、従来のリード角の最大値とに対する最大速度における許容偏心量を比較した表である。

Claims (5)

  1. ドラム洗濯機の脱水速度制御方法において、
    (a)入力される電圧を感知する段階と、
    (b)前記入力電圧を定格電圧と比較する段階と、
    (c)前記入力電圧の大きさに対応してリード角の最大値を調節する段階と、を含み、
    脱水時に洗濯物の不均一な分布による許容偏心量が前記入力電圧に関係なく一定の水準で維持されるようにしたことを特徴とするドラム洗濯機の脱水速度制御方法。
  2. 前記入力電圧の大きさが定格電圧より大きい場合には、前記リード角の最大値は前記定格電圧入力時のリード角の最大値より小さくなるように変更されることを特徴とする請求項1に記載のドラム洗濯機の脱水速度制御方法。
  3. 前記入力電圧の大きさが定格電圧より小さい場合には、前記リード角の最大値は前記定格電圧入力時のリード角の最大値より大きくなるように変更されることを特徴とする請求項1に記載のドラム洗濯機の脱水速度制御方法。
  4. 前記入力電圧と定格電圧との差に応じて、前記入力電圧に対するリード角の最大値の大きさが変るようにすることを特徴とする請求項1から3までのいずれか一項に記載のドラム洗濯機の脱水速度制御方法。
  5. ドラム洗濯機の脱水速度制御方法において、
    (a)電圧感知回路で入力電圧と定格電圧との差を検出する段階と、
    (b)モータの回転のために設定値までデューティ値を増加させる段階と、
    (c)前記の入力電圧を定格電圧と比較する段階と、
    (d)前記入力電圧の大きさに対応して前記リード角の最大値を調節する段階と、を含み、
    前記入力電圧の大きさに対応して前記リード角の最大値を調節する段階は、前記入力電圧の大きさが前記定格電圧より大きい場合には、前記リード角の最大値を、前記定格電圧入力時のリード角の最大値より小さくなるように変更し、
    前記入力電圧の大きさが前記定格電圧より小さい場合には、前記リード角の最大値を、前記定格電圧入力時のリード角の最大値より大きくなるように変更し、
    前記入力電圧別のリード角の最大値は前記の入力電圧と定格電圧との差に応じて変るようにする、ことを特徴とするドラム洗濯機の脱水速度制御方法。
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