JP2004513739A - 骨回復用冠状鋸を備えたドリル装置 - Google Patents

Abstract

両端が開放され、かつその前方開口（２）の周縁に歯（２Ａ）を備えかつ回転駆動されるように構成された管状の冠状鋸（１）を備えた骨回復用ドリル装置（Ａ）。本発明は、前記冠状鋸が内部に骨粉砕用刃を備え、この刃は前記冠状鋸の前方開口の平面内に実質的に延びている切断用エッジ（１１、１２）を備えた一端部（１０）を有することを特徴とする。

Description

【０００１】
発明の属する技術分野
本発明は、骨回復用冠状鋸を備えたドリル装置に関する。
【０００２】
本発明は、患者からの骨を回復させて骨移植を行ったり、あるいは充填材料として使用する要望のある歯周組織学、移植学及び整形外科に特に有利な用途を見出している。
【０００３】
従来技術
従来のやり方においては、骨回復用冠状鋸は回転駆動されるように構成された管状をなし、その前端部には周囲に歯を備えた開口を備えている。この冠状鋸はその後端部が閉鎖され、それをハンドルに取り付けるため、あるいは握り部に装着するための軸部に接続されてそれと一体化され、低速度で回転駆動される。
【０００４】
前述の種類の冠状鋸の主な欠点は、骨と共に得られた骨のコアを直接使用できないことにある。このコアは冠状鋸から取り出され、種々の器具によって処理される必要がある。骨のサンプルを移転させるためのこれらの処理によって、サンプルは不幸にして外部の汚染物質によって汚染されることがある。
【０００５】
米国特許第５９２８２３８号には、前述の従来型の骨回復用冠状鋸を備えた外科用ドリル装置が開示されており、ドリル装置は、これを貫通して長手方向にロッドが延びており、その自由端部には歯を備えた冠状鋸の前記開口を越えて突出した尖端を有している。
【０００６】
この尖端は穿孔される骨内に係止され、冠状鋸が骨内に切り込む際にそれが滑らないようにしている。
【０００７】
前記ドリル装置によれば、砕けていない骨のコアを得ることができるが、それ以外には前記骨回復用冠状鋸に関して挙げた欠点を有している。
【０００８】
更に、最近は砕かれた骨を得るための種々の装置が存在している。これらの装置の幾つかはカッタを有すると共に、外科用吸引装置に組み込まれたフィルタで構成された粉砕骨回復用装置装置を備えている。
【０００９】
洗浄を伴う穿孔の際に、この外科用吸引装置はドリルの孔の出口において骨の破片を回収するように作用する。砕かれた骨を構成するこれらの骨の破片は、外科用吸引装置のフィルタによって分別される。
【００１０】
口腔前庭の内側から骨のサンプルを採取する場合に、上述のタイプの粉砕骨回復用装置は唾液から生じる汚染物質を収集することができる。
【００１１】
粉砕された骨を得るためのその他の装置は、外科用吸引装置にカッタの刃とフィルタとを組み込んでいる。この種の装置は、汚染物質と共に骨物質も回収してしまうことと、特に大型であることが主な欠点である。
【００１２】
大型であることにより、これらの装置は、口腔前庭の後部から骨のサンプルを採取するのに使用することができず、前部のみで使用可能である。
【００１３】
更に、概して前記装置は比較的複雑であり、その製造コストが高い。
【００１４】
最後に、欧州特許第０９９２２１８号には、骨サンプルを採取するための骨回復用冠状鋸を備えた生体組織検査装置が開示されており、この鋸は回転はせずに横方向に動き、内部に、冠状鋸の軸に沿って長手方向に延びて冠状鋸の開口を越えて突出する切断用端部を有する骨粉砕用刃を備えている。
【００１５】
この生体組織検査装置が患者の骨内に導入されると、冠状鋸は固定状態に保持され、骨粉砕刃は冠状鋸の内側で回転駆動されて、骨を砕く。
【００１６】
粉砕用刃の端は冠状鋸の開口を越えて突出しているので、欧州特許第０９９２２１８号に記載された生体組織検査装置の回転鋸と刃は同時に作動して骨のコアのサンプルを生成することはできない。
【００１７】
前述のすべての欠点を克服するために、本発明は、両端が開放され、その前方開口の周縁に歯を備えた回転駆動されるように構成された管状の冠状鋸を備えた骨回復用ドリル装置であって、内部に骨粉砕用刃を備え、この刃は前記冠状鋸の前方開口の平面内に実質的に延びている切断用エッジを備えた一端部を有する骨回復用ドリル装置を提案するものである。
【００１８】
即ち、本発明によるドリル装置の骨回復用冠状鋸は、採取した骨を再移植するための骨注射器に骨のサンプルを移転する作業を行うことなしに患者の骨格の適宜な箇所で直接に使用できる利点を有する。
【００１９】
発明の概要
この目的のために、本発明のドリル装置の冠状鋸の一つの利点は、この鋸が、骨注射器のピストンロッドがスライドする筒状通路の端部に取り外し可能に装着されるように構成されていることにある。
【００２０】
更に、本発明によるドリル装置においては、回転鋸と骨粉砕刃とが同時に作動して、採取された骨が汚染物質によって汚染されることなく、且つ冠状鋸の入口を詰まらせることなく、砕かれた骨のコアを生成する。
【００２１】
本発明によるドリル装置を用いて、冠状鋸によって得られたコアは刃によって直接に砕かれ、砕かれた骨は冠状鋸の管を徐々に満たしていく。
【００２２】
本発明によるドリル装置の一つの好適実施形態においては、前記刃は冠状鋸の軸線Ｘに沿って長手方向に延びている。
【００２３】
前記刃は、前記二つの切断用エッジの中央に設けられて冠状鋸の外側まで延びて穿孔しながらこの冠状鋸をガイドするスパイクを備えていることが好ましい。
【００２４】
この刃は、冠状鋸に取り外し可能に装着されるように構成されて回転駆動される軸を備えたカッタの一部であることが望ましく、その軸の端部に冠状鋸が装着されて前記刃に固定され、そして前記刃と反対方向に延びている。
【００２５】
したがって、砕かれた骨のコアのサンプルが採取された後、カッタは砕かれた骨の入った冠状鋸から取り外され、この冠状鋸は前述のように骨注射器に装着されることができる。
【００２６】
前述のこのドリル装置のカッタの軸は、その長さの全体にわたって内部洗浄孔を備え、これは前記Ｕ字型の刃の中央の開口内まで延びていてもよい。
【００２７】
一実施形態においては、冠状鋸は、ピン手段によってカッタに取り外し可能に装着されている。
【００２８】
別の実施形態においては、冠状鋸は、バヨネット手段によってカッタに取り外し可能に装着されている。
【００２９】
別の実施形態においては、冠状鋸は、クリップ手段によってカッタに取り外し可能に装着されている。
【００３０】
別の実施形態においては、冠状鋸は、ねじ手段によってカッタに取り外し可能に装着されている。
【００３１】
本発明にかかるドリル装置の別の実施形態においては、前記刃は、冠状鋸の軸線Ｘの長手方向と全体的に横方向に延びている。
【００３２】
次いでこの刃は冠状鋸と一体化され、冠状鋸の前端部の近傍に位置決めされる。
【００３３】
添付図面を参照して非限定的な例によって与えられる以下の説明は、本発明が何で構成され、それがどのように作用するかを示すものである。
【００３４】
発明の実施の形態
最初に、種々の図面に示された本発明の種々の実施形態の同じあるいは同様な部品は、あるならばいずれの図においても同じ符号で示され、その都度説明しないことを注意すべきである。
【００３５】
図１は、軸線Ｘを有し、かつ特に軸５によって回転駆動されるように構成された、管状の骨回復用冠状鋸１を示す。この冠状鋸１は、穿孔して骨のコアのサンプルを採取する際に患者の骨格の骨に切り込む歯２Ａを前端部の周縁に備えた開口２を有している。
【００３６】
この冠状鋸１は、その後端部にも開口３を有している。
【００３７】
前記開口３に隣接するその後方部分は、軸５の端部６に冠状鋸を取り外し可能に装着する手段を備えている。この軸５は、留め金具あるいは握り部（図示しない）に連結されることができ、低速度で回転駆動されて穿孔作用を行う。
【００３８】
ここで、装着手段は、前記軸線Ｘに対して対称的に位置しかつ冠状鋸１の開口３のエッジの上に開いている、冠状鋸１上に設けられたの二つの溝４を備えたバヨネット手段であり、これらの溝４は、軸５の端部６にこれと対応して位置決めされている二つのスタッド７の上に直交して装着されるように構成されている。
【００３９】
勿論、別の実施形態においては、軸５上に冠状鋸１を取り外し可能に装着する手段は、図５及び図８に示されているように、軸５の端部に設けられたピン７と協働するように構成された冠状鋸１の後端部にハウジング４を備えたピン手段であってもよく、このピン７は図示しないばねによってばね付勢されている。
【００４０】
図示しない他の実施形態では、装着手段はクリップやねじ型のものであってもよい。
【００４１】
更に、図１に示されているように、軸５の後部とその装着端部６との間の結合部には、この例では円形シールであるシール８が設けられて、シール８は、装着端部６上に被せられ、冠状鋸１の後部開口３において、この冠状鋸１と軸５との間に密閉された接合部を形成している。
【００４２】
特に図２に見られるように、冠状鋸１は、この冠状鋸１を軸５の装着端部６に取り付けるための前述の取り外し可能な装着手段によって、骨注射器２０の筒状通路２３の端部に取り外し可能に装着されるように構成されていることが有利である。
【００４３】
冠状鋸１は骨注射器２８の筒状通路２３内で軸線方向に延びている。この注射器は、筒状通路２３内で摺動しかつ冠状鋸１に溜まった砕けた骨を患者の骨受け入れ箇所に注入するピストンロッド２１をさらに備えている。
【００４４】
冠状鋸を取り外し可能に装着するために骨注射器の筒状通路の端部に冠状鋸に設けられているこれらの手段は、回転駆動システムに接続された軸にこれを装着するのにも一般的に使用される。
【００４５】
歯の手術用に使用される冠状鋸１は、約３ミリから約８ミリの外径と、約２０ミリの長さとを有する。勿論、骨のサンプルがずっと大きい整形外科のための骨の手術に使用される場合には、冠状鋸１は、これよりも大きい直径と長さを持っていてもよい。
【００４６】
図３と図４は、前述の図１に示された、内部に骨破砕刃９を備えた冠状鋸１を示している。
【００４７】
この細い刃９は、冠状鋸の軸線Ｘに沿って長手方向に延びており、冠状鋸１の前方開口２の平面内に尖端を形成する二つのエッジ１１と１２を備えた端部１０を有している。
【００４８】
この刃９は、前述のバヨネット式装着手段４、７によって冠状鋸に取り外し可能に装着されるように構成されたカッタの一部であり、回転駆動軸５を備えている。冠状鋸１は、軸５の端部６に取り外し可能に装着され、かつ前記刃９に取り付けられ、刃９と反対方向に延びている。
【００４９】
この例では、刃９と軸５は一体化されている。
【００５０】
図１に示されているように、シール８が軸５の端部６上に被せられ、冠状鋸１が軸５に装着された場合に、冠状鋸１の後部開口３の密閉状態を改良している。
【００５１】
図５〜図７は図３と図４に示されたドリル装置の別の実施形態を示し、冠状鋸の軸線Ｘに沿って長手方向に延びており、冠状鋸に取り外し可能に装着されるように構成されたカッタの一部である刃９はＵ字型をなし、その分岐部は軸５の端部に結合されて両者の間に中央開口９Ａを形成している。
【００５２】
この例では、軸５はピンによる装着手段によって冠状鋸１に一時的に接続されている。
【００５３】
更に、図５と図６に示された軸５は、その長さ全体にわたる内部洗浄孔５Ａを備え、この例においては前記Ｕ字型の刃９の中央開口９Ａ内に延びている。
【００５４】
洗浄の問題についての本発明による冠状鋸１の特長は、冠状鋸１がその後端部の近傍に開口（図６と図７を参照のこと）又はスロット（図８と図９を参照のこと）等の洗浄孔１４を備えていることである。
【００５５】
図５と図６に示された刃９は、その端部１０に二つの切断用エッジ１１と１２を備え、スパイク１３がこれら二つのエッジ１１と１２の中央に位置して、冠状鋸１の外部まで延びて穿孔の際にこの冠状鋸１、更に一般的にはドリル装置を案内している。
【００５６】
図８と図９は本発明による別の実施形態を示し、この実施形態では、冠状鋸の軸線Ｘの長手方向及び全体的にこれを横切って延びている刃９を備えた冠状鋸１を備えている。
【００５７】
この例では、刃９はほぼ螺旋形状をなしているが、十字状その他の適宜な形状であってもよい。
【００５８】
回転駆動軸５は、前述のピンによる装着手段４、７によって冠状鋸１に取り外し可能に装着されている。
【００５９】
この刃９は冠状鋸１と一体化されており、開口２を備えた冠状鋸１の前端部の近傍に位置決めされている。
【００６０】
前述のように、冠状鋸１は後部にスロット形状の洗浄孔１４を備えている。
【００６１】
冠状鋸１、その軸５及び刃９は、一般的に硬化ステンレススチール等の生体適合性材料で作られている。
【００６２】
種々の図面に示されたドリル装置の冠状鋸によって採取されたコアのサンプルは刃によって直ぐに砕かれ、砕かれた骨は冠状鋸を徐々に充填する。
【００６３】
冠状鋸が充填された後、ドリル装置の軸はハンドルから切り離され、砕かれた骨は、冠状鋸を図２に示された骨注射器２０に接続されることによって直接に注入される。
【００６４】
したがって、砕かれた骨の移転又は移転の際に生じる可能性のある汚染に伴う問題は生じない。
【００６５】
本発明は前述の図示された実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨に従う変形は当業者にとって自明であろう。
【図面の簡単な説明】
【図１】
本発明による骨回復用冠状鋸と、これに付随した回転駆動軸の模式的側面図である。
【図２】
骨注射器の筒状通路に装着された図１の冠状鋸の模式的斜視図である。
【図３】
本発明によるドリル装置の第１実施形態の模式的側面図である。
【図４】
図３に示されたドリル装置の模式的分解側面図である。
【図５】
本発明によるドリル装置の第２実施形態であり、それが透明であるが如くに内部構成部品を示している。
【図６】
図５のドリル装置の模式的分解側面図である。
【図７】
別の側面の図６のドリル装置の模式図であり、刃のエッジを示している。
【図８】
本発明によるドリル装置の第３実施形態の模式図であり、それが透明であるが如くに内部構成部品を示している。
【図９】
図８に示されたドリル装置の模式的分解側面図である。

Claims (13)

1. 両端が開放され、かつその前方開口（２）の周縁に歯（２Ａ）を備えかつ回転駆動されるように構成された管状の冠状鋸（１）を備えた骨回復用ドリル装置（Ａ）において、
   前記冠状鋸（１）は内部に骨粉砕用刃（９）を備え、前記刃（９）は前記冠状鋸（１）の前方開口（２）の平面内に実質的に延びている切断用エッジ（１１、１２）を備えた一端部（１０）を有することを特徴とする骨回復用ドリル装置。
2. 前記刃が冠状鋸の軸（Ｘ）に沿って長手方向に延びていることを特徴とする請求項１に記載のドリル装置（Ａ）。
3. 前記刃（９）が、冠状鋸（１）に取り外し可能に装着されるように構成されかつ回転駆動軸（５）を備えたカッタの一部をなし、冠状鋸（１）は、前記軸（５）の端部に装着され、かつ前記刃に固定され、前記刃と反対方向に延びていることを特徴とする請求項１又は２に記載のドリル装置（Ａ）。
4. 前記軸（５）がその長さの全体にわたって内部洗浄孔（５Ａ）を有していることを特徴とする請求項３に記載のドリル装置。
5. 前記軸（５）の前記洗浄孔（５Ａ）が前記Ｕ字型の刃（９）の中央開口の内部まで延びていることを特徴とする請求項４に記載のドリル装置。
6. 前記刃（９）が二つの切断用エッジ（１１、１２）の間の中央に位置して前記冠状鋸（１）の外側まで延びているスパイク（１３）を備え、前記スパイク（３）は、穿孔の際に前記冠状鋸（１）を案内することを特徴とする請求項１〜５のいずれか１項に記載のドリル装置。
7. 前記刃（９）が冠状鋸の軸（Ｘ）に沿って長手方向及び全体的に横方向に延びていることを特徴とする請求項１に記載のドリル装置。
8. 前記刃（９）が冠状鋸（１）と一体化されていることを特徴とする請求項７に記載のドリル装置。
9. 前記冠状鋸（１）がピン手段によってカッタに取り外し可能に装着されていることを特徴とする請求項３〜５のいずれか１項に記載のドリル装置。
10. 前記冠状鋸がバヨネット手段によってカッタに取り外し可能に装着されていることを特徴とする請求項３〜６のいずれか１項に記載のドリル装置。
11. 前記冠状鋸がクリップ手段によってカッタに取り外し可能に装着されていることを特徴とする請求項３〜６のいずれか１項に記載のドリル装置。
12. 前記冠状鋸がねじ手段によってカッタに取り外し可能に装着されていることを特徴とする請求項３〜６のいずれか１項に記載のドリル装置。
13. 前記冠状鋸が、その後端部近傍にスロットや孔等の洗浄用孔（１４）を備えていることを特徴とする請求項１〜１２のいずれか１項に記載のドリル装置。