JP2004513249A - 紡糸添加剤を用いるポリエステルフィラメントの紡糸および巻取方法、その紡糸方法によって得られるポリエステルフィラメント、そのポリエステルフィラメントの延伸テクスチャー加工、および延伸テクスチャー加工によって得られるバルキーポリエステルフィラメント - Google Patents
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Abstract
本発明は、a)紡糸線伸長率を70から500に設定すること、b)紡糸ノズルを出た直後に、フィラメントを長さ30mmから200mmの冷却遅延ゾーンに通すこと、c)フィラメントを凝固温度より下に冷却すること、d)フィラメントをノズルの底面から500mmと2500mmの間離れた位置で束ねること、e)延伸ガレットの前および間の糸張力を0.05cN/dtexと0.20cN/dtexの間に設定すること、f)糸を0.025cN/dtexと0.15cN/dtexの間の糸張力で巻取ること、g)巻取速度を2200m/分と6000m/分の間に設定すること、およびh)ポリエステルを、フィラメントの全重量を基準として0.05重量%から2.5重量%の伸長性向上剤として添加される添加剤ポリマーと共に用いることを特徴とする、ポリエステルフィラメントの全重量を基準にして少なくとも90重量%のポリブチレンテレフタレート(PBT)および/またはポリトリメチレンテレフタレート(PTMT)、好ましくはPTMTを含む前配向ポリエステルフィラメントの製造および巻取方法に関する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紡糸添加剤を用いることによって、ポリエステルフィラメントの全重量を基準にして少なくとも90重量%以上が、ポリブチレンテレフタレート(PBT)および/またはポリトリメチレンテレフタレート(PTMT)、好ましくはPTMTからなるPOY(vororientierten)ポリエステルフィラメントを紡糸し、巻取る方法に関するものであり、又その方法によって得ることができるPOYポリエステルフィラメントにも関する。本発明は、さらに、その紡糸して巻上げたポリエステルフィラメントを延伸テクスチャー加工するための方法に関し、それによって得ることができるバルキーポリエステルフィラメントにも関する。
【0002】
【従来の技術】
二段法での連続ポリエステルフィラメント、特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィラメントの製造は、すでに知られている。この方法では、第一段階は、フラットPOYフィラメントの紡糸および巻上げからなり、第二段階で充分に延伸して熱硬化するかまたは延伸テクスチャー加工して、バルキーフィラメントにする。
【0003】
この分野の概要は、ミュンヘンのHanserによって出版されたF.Fourneによる書籍Synthetische Fasern(1995)によって提供されている(非特許文献1参照。)。しかし、PET繊維の製造しか記載されておらず、統一された紡糸技術は提供されておらず、最も多様な特徴が記載されている概要にすぎない。
【0004】
ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステルなどを含む多様な紡糸可能なポリマーからの繊維の製造は、ドイツ特許第38 19 913 A号の主題の一部である(特許文献1参照。)。しかし、ポリマーが加工される温度から認識できるように、実施例にはPET繊維の製造しか記載されていない。
【0005】
連続ポリトリメチレンテレフタレート(PTMT)またはポリブチレン(PBT)フィラメントの製造に伴う問題は、紡糸直後および巻取り中ばかりでなく、巻取り後数時間の間、室温で保存中のPOYフィラメントが収縮する傾向がかなり強いことであり、その結果、糸は短くなる。パッケージは結果として締め付けられるので、極端な場合、パッケージは、巻取マンドレル上にきつく締め付けられて、もはや除去できない。さらに、パッケージは、硬い端とくびれた中心部を備えるいわゆるサドルを形成する。結果として、フィラメントの繊維データ、例えばウースタ値は、さほど一定でなくなり、パッケージをほどく時に問題が生じる。こうした問題は、PET繊維の加工では生じない。
【0006】
PETフィラメントと対比して、POY PBTまたはPTMTフィラメントは、保存中に老化が激しいことが、さらに観察される。構造の硬化が起こり、後結晶化が検出されうるほど大きく沸騰水収縮率を減少させる。こうしたPBTまたはPTMTフィラメントは、延伸テクスチャー加工において欠陥を生じ、テクスチャー加工糸の破断強度を有意に低下させるその後の加工にはある程度しか適さない。
【0007】
例えば、Chemical Fibers Int.の50巻(2000)、53ページに報告されているように、および9月13から15日のドルンビルンでの第39回国際合成繊維会議(39th International Manmade Fibre Congress)で討議されたように、一方のPETと他方のPBTおよびPTMTの間のこれらの違いは、構造および特性の違いに帰する(非特許文献2参照。)。従って、異なる鎖構成が特性の違いの原因となると考えられる。
【0008】
これらの問題を解決する第一のアプローチは、国際公開公報第99/27168号および欧州特許第0,731,196 B1号に記載されている(特許文献2および3参照。)。国際公開公報第99/27168号は、少なくとも90重量%のポリトリメチレンテレフタレートであり、5%と16%の間の沸騰水収縮率および20%から60%の破断伸びを有するポリエステル繊維を開示している。国際公開公報第99/27168号に記載されているポリエステル繊維は、紡糸および延伸によって製造される。報告されている最大紡糸引取速度は、2100m/分である。この方法は、紡糸速度が遅いため、非経済的である。加えて、得られるポリエステル繊維は、報告されている特性値が示すとおり、非常に結晶性であり、故に、延伸テクスチャー加工法にはある程度しか適さない。
【0009】
欧州特許第0,731,196 B1号には、延伸後、巻取り前に糸を熱処理に付して、収縮する傾向を減少させることによる、合成糸を紡糸し、延伸し、巻取る方法が記載されている。用いることができる合成繊維には、ポリトリメチレンテレフタレート繊維が挙げられる。欧州特許第0,731,196 B1号では、細長い加熱表面の直ぐ近くに、しかし本質的には接触せずにそれに沿って合成糸を導くことによって、熱処理を行う。熱処理の適用は、加工費用を増し、その上、延伸テクスチャー加工にある程度しか適さない高結晶性の合成糸をもたらす。
【0010】
Dr.H.S.BrownおよびH.H.Chuahによる論文:「ポリトリメチレンテレフタレートをベースにした紡織フィラメント糸のテクスチャー加工(Texturing of textile filament yarns based on polytrimethylene terephthalate)」、Chemical Fibers International、47巻、1997年2月の72から74ページには、450m/分および850m/分のテクスチャー加工速度でのPOYポリトリメチレンテレフタレートフィラメントの延伸テクスチャー加工が記載されている(非特許文献3参照。)。この開示によると、450m/分の低いほうのテクスチャー加工速度のほうが、ポリトリメチレンテレフタレートフィラメントには適している。それは、より良好な材料特性を有する繊維がこのケースで得られるからである。ポリトリメチレンテレフタレート繊維の破断強度は、26.5cN/tex(テクスチャー加工速度450m/分)および29.15cN/tex(テクスチャー加工速度850m/分)、ならびに破断伸びは、38.0%(テクスチャー加工速度450m/分)および33.5%(テクスチャー加工速度850m/分)と報告されている。
【0011】
国際公開公報第01/04393号には、3から40%の範囲の沸騰水収縮率を有するPTMTフィラメントが記載されている(特許文献4参照。)。しかし、この値は、フィラメントが形成された直後に測定されたものである。この値は、添付の図1によって証明されるように、標準条件のもとで4週間の保存の間に20%未満に低下する。
【0012】
図1は、標準条件のもとでの保存時間の関数としての3つのPTMT POYボビンに関する沸騰水収縮率の変化を記載している。調査した3つのボビンは、異なる初期値を有していた。40%より大きい高い初期値を有するボビン#16および17は、4週間後に30%を超える、好ましくは40%を超える沸騰水収縮率を有する。しかし、初期沸騰水収縮率値が40%未満である時、沸騰水収縮率の値が4週間の保存時間後に30%の臨海値未満に低下するであろうことは、ボビン18から明白である。
【0013】
沸騰水収縮率は、繊維の加工性および結晶性の尺度である。WO 01/04393に記載されている繊維には、加工が本質的により困難であり、より低い延伸比および/またはより低いテクスチャー加工速度でしか加工することができない比較的高い結晶性を有する合成樹脂が含まれる。
【0014】
【特許文献1】
独国特許出願公開第3819913号明細書
【特許文献2】
国際公開第99/27168号パンフレット
【特許文献3】
欧州特許第0731196号明細書
【特許文献4】
国際公開第01/04393号パンフレット
【非特許文献1】
エフ.フルネ(F.Fourne)著,「合成繊維(Synthetische Fasern)」,(独国),ハンゼル(Hanser),1995年
【非特許文献2】
「国際化学繊維刊行物(Chemical Fibers Int.)」,50巻,2000年,p.53
【非特許文献3】
エイチ.エス.ブラウンおよびエイチ.エイチ.チュア著(H.S.Brown and H.H.Chuah),「ポリトリメチレンテレフタレートをベースにした紡織フィラメント糸のテクスチャー加工(Texturing of textile filament yarns based on polytrimethylene terephthalate)」,Chemical Fibers International,47巻,1997年2月,p.72〜74
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、POYポリエステルフィラメントの製造および巻取りが簡単である、フィラメントの全重量を基準にして少なくとも90重量%以上が、PBTおよび/またはPTMTであるPOYポリエステルフィラメントを紡糸し、巻取る方法を提供することである。より詳細には、本POYポリエステルフィラメントは、90%から165%の範囲の破断伸び値、フィラメント特性値に関する高い均質性、および低い結晶性を示す。
【0016】
本発明のさらなる目的は、POYポリエステルフィラメントを紡糸し、巻取るための経済的な工業的方法を提供することである。本発明の方法は、非常に速い、好ましくは2200m/分より速い紡糸引取速度、およびパッケージについて4kgより大きい高い糸重量を可能ならしめるものである。
【0017】
さらに、本発明のさらなる目的は、本発明の方法によって得ることができるPOYポリエステルフィラメントの保存性を改善することである。それらは、長期間、例えば4週間、保存することができる。理想的には、パッケージは、保存の間に圧縮されず、特に、巻取マンドレル上にきつく締め付けられず、硬い端とくびれた中心部を備えるサドルを形成せず、そのため、パッケージをはずす際に巻戻しに問題がないものになる。
【0018】
本発明によると、POYポリエステルフィラメントは、延伸または延伸テクスチャー加工操作、特に、速い、好ましくは450m/分より速いテクスチャー加工速度でのさらなる加工が容易になる。延伸テクスチャー加工によって得ることができるフィラメントは、優れた材料特性、例えば、26cN/texより大きい破断強度、およびHEフィラメントについては30%より大きい、またはSETフィラメントについては36%より大きい破断伸びを有するものになる。
【0019】
【課題を解決するための手段】
これらの目的およびはっきりとは述べていないが、最初に本明細書中で論議した関連事項から容易に推論できるまたは明らかである他の目的は、請求項1のすべての特徴を含む紡糸および巻取りの方法によって達成される。本発明による方法の有利な変形は、請求項1に従属する従属請求項において保護される。本紡糸法によって得ることができるPOYポリエステルフィラメントを、独立の物質請求項に記載する。POYポリエステルフィラメントの延伸テクスチャー加工は、方法請求項7において特許請求するが、物質請求項8および9は、延伸テクスチャー加工によって得ることができるバルキーフィラメントに関する。
【0020】
従って、本発明は、
a)紡糸線伸長率を70から500の範囲に設定すること、
b)紡糸ノズルから出て直ぐ、長さ30mmから200mmの冷却遅延ゾーンにフィラメントを通すこと、
c)凝固温度より低い温度にフィラメントを冷却すること、
d)紡糸ノズルの下面から500mmと2500mmの間の距離でフィラメントを集束すること、
e)引取ゴデッドの前および間の糸張力を0.05cN/dtexと0.20cN/dtexの間に設定すること、
f)0.025cN/dtexと0.15cN/dtexの間の糸張力で糸を巻き取ること、
g)巻取り速度を2200m/分と6000m/分の間に設定すること、および
h)フィラメントの全重量を基準にして0.05重量%から2.5重量%の添加剤ポリマーが伸長性向上剤として混合されているポリエステルを用いること
からなることを特徴とする、ポリエステルフィラメントの全重量を基準にして少なくとも90重量%以上が、ポリブチレンテレフタレート(PBT)および/またはポリトリメチレンテレフタレート(PTMT)、好ましくはPTMTからなるPOYポリエステルフィラメントを製造し、巻取る方法を提供する。
【0021】
この予測しえない方法は、標準条件もと、4週間の保存後でさえ優れた材料特性を維持するPOYポリエステルフィラメントを提供する。老化による糸の均質価の有意な悪化およびボビン上での紡糸繊維の収縮は、観察されない。
【0022】
同時に、本発明の方法は、多数のさらなる利点を有する。これらには、以下のことが挙げられる:
○本発明の方法は、大きな工業規模で、容易に、且つ、経済的に実施される。さらに詳細には、本方法は、少なくとも2200m/分の速い引取速度での紡糸および巻取り、および4kgより大きい高い糸重量を保持するパッケージの生産を可能ならしめる。
○紡糸添加剤の使用によって、6000m/分までの引取速度を達成することができるようになる。結果として、設備を特に経済的に操作することができる。
○従って、本方法によって得ることができるPOYポリエステルフィラメントは、延伸または延伸テクスチャー加工操作において、容易に、経済的に、且つ、大きな工業規模で、さらに加工することができる。この操作において、テクスチャー加工を450m/分より速い速度で行うことができる。
○本方法によって得ることができるPOYポリエステルフィラメントは、均質性が高いため、POYポリエステルフィラメントの均質で実質的に欠陥のない染色およびさらなる加工を確実にする良好なパッケージ構造を実現することが容易である。
○延伸テクスチャー加工によって得ることができるフィラメントは、26cN/texより大きい高い破断強度、およびにHEフィラメントについては30%より大きい、SETフィラメントについては36%より大きい高い破断伸びを示す。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明は、フィラメントの全重量を基準にして少なくとも90重量%以上が、ポリブチレンテレフタレート(PBT)および/またはポリトリメチレンテレフタレート(PTMT)からなるPOYポリエステルフィラメントを製造および巻取る方法を提供する。ポリブチレンテレフタレート(PBT)および/またはポリトリメチレンテレフタレート(PTMT)は、当業者に知られている。ポリブチレンテレフタレート(PBT)は、テレフタル酸と等モル量の1,4−ブタンジオールとの重縮合によって得ることができ、ポリトリメチレンテレフタレートは、テレフタル酸と等モル量の1,3−プロパンジオールとの重縮合によって得ることができる。二つのポリエステルの混合物も考えられる。本発明によると、PTMTが、好ましい。
【0024】
ポリエステルは、ホモポリマーであってもよいし、コポリマーであってもよい。有用なコポリマーには、PTMTおよび/またはPBT繰り返し単位のほか、ポリエステルの全繰り返し単位を基準にして15mol%以下の通例のコモノマー、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、イソフタル酸および/またはアジピン酸の繰り返し単位を含むコポリマーを特に挙げることができる。しかし、本発明のためには、ポリエステルホモポリマーが好ましい。
【0025】
本発明のポリエステルは、触媒、安定剤、静電防止剤、酸化防止剤、難燃剤、染料、染料吸収改質剤、光安定剤、有機亜リン酸エステル、任意の増白剤および艶消し剤などのさらなる添加剤を、通例の量、混合物として含むことができる。好ましくは、本ポリエステルは、フィラメントの全重量を基準にして0から5重量%の添加剤を含む。
【0026】
本ポリエステルは、さらに、フィラメントの全重量を基準にして少しの割合、好ましくは0.5重量%以下の分枝成分を含むことができる。本発明による好ましい分枝成分には、トリメリット酸もしくはピロメリット酸などの多官能酸、またはトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、グリセロールなどの三から六価のアルコールもしくは対応するヒドロキシ酸が挙げられる。
【0027】
本発明に関連して、PBTおよび/またはPTMTは、フィラメントの全重量を基準にして0.05重量%から2.5重量%の伸張性向上剤としての添加剤ポリマーと混合される。本発明の目的に特に有用な添加剤ポリマーには、下記に特定するポリマーおよび/またはコポリマーが挙げられる:
【0028】
1.次のモノマー単位を含有するコポリマー:
A=アクリル酸、メタクリル酸またはCH2=CR−COOR’(式中、Rは、水素原子またはCH3基であり、R’は、C1〜15アルキル基またはC5〜12シクロアルキル基またはC6〜14アリール基である)、
B=スチレンまたはC1〜3アルキル置換スチレン
を含むコポリマーであって、60から98重量%のAおよび2から40重量%のB、好ましくは83から98重量%のAおよび2から17重量%のB、さらに好ましくは90から98重量%のAおよび2から10重量%のB(総計=100重量%)から成るコポリマー。
【0029】
2.次のモノマー単位を含有するコポリマー:
C=スチレンまたはC1〜3アルキル置換スチレン、
D=一つ以上の式I、IIまたはIIIのモノマー
【0030】
【化1】
(式中、R1、R2およびR3は、各々、水素原子またはC1〜15アルキル基またはC6〜14アリール基またはC5〜12シクロアルキル基である)
【0031】
このコポリマーは、15から95重量%のCおよび2から80重量%のD、好ましくは50から90重量%のCおよび10から50重量%のD、さらに好ましくは70から85重量%のCおよび15から30重量%のD(この場合、CとDの総計は、100重量%である)から成る。
【0032】
3.次のモノマー単位を含有するコポリマー:
E=アクリル酸、メタクリル酸またはCH2=CR−COOR’(式中、Rは、水素原子またはCH3基であり、R’は、C1〜15アルキル基またはC5〜12−シクロアルキル基またはC6〜14アリール基である)、
F=スチレンまたはC1〜3アルキル置換スチレン、
G=一つ以上の式I、IIまたはIIIのモノマー
【0033】
【化2】
(式中、R1、R2およびR3は、各々、水素原子またはC1〜15アルキル基またはC5〜12シクロアルキル基またはC6〜14アリール基である)
【0034】
H=Eおよび/またはFおよび/またはGと共重合可能であり、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、E以外のアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ハロゲン置換スチレン、ビニルエーテル、イソプロペニルエーテルおよびジエンから成る群から選択される、一つ以上のエチレン性不飽和モノマー
を含むコポリマーであって、30から99重量%のE、0から50重量%のF、0(0は含まない)から50重量%のGおよび0から50重量%のH、好ましくは45から97重量%のE、0から30重量%のF、3から40重量%のGおよび0から30重量%のH、さらに好ましくは60から94重量%のE、0から20重量%のF、6から30重量%のGおよび0から20重量%のH(この場合、EとFとGとHの総計は、100重量%である)から成るコポリマー。
【0035】
4.次のモノマー単位からなるポリマー:
【化3】
(式中、R1およびR2は、任意の原子C、H、O、S、Pおよびハロゲン原子から成る置換基であり、R1とR2の分子量の総計は、少なくとも40である)
【0036】
このモノマー単位の例には、アクリル酸、メタクリル酸およびCH2=CR−COOR’(式中、Rは、水素原子またはCH3基であり、R’は、C1〜15アルキル基またはC5〜12シクロアルキル基またはC6〜14アリール基である)、ならびにスチレンおよびC1〜3アルキル置換スチレンも挙げられる。
これらの物質の製造の詳細は、国際公開公報第99/07927号に記載されている。
【0037】
粒径が特に好ましい範囲にあるビーズポリマーの形態の添加剤ポリマーおよび/またはコポリマーは、本発明の目的に特に好ましい。本発明によると、例えば、繊維ポリマーの溶融体に混入することによって用いられる添加剤ポリマーおよび/またはコポリマーは、0.1から1.0mmの平均径を有する粒子の形態で存在することが好ましい。しかし、より大きいまたはより小さいビーズまたは粒体を使用することもできる。添加剤ポリマーおよび/またはコポリマーは、マトリックスポリマーのチップ内にすでに包含されていてもよく、その場合、一切の計量添加が不要である。
【0038】
さらに、非晶質であり、ポリエステルマトリックスに不溶性である添加剤ポリマーおよび/またはコポリマーが、好ましい。それらは、好ましくは90から200℃の、既知の方法、好ましくは示差走査熱量計によって測定されるガラス転移温度を有する。さらに進んだ詳細は、先行技術、例えば、国際公開公報第99/07927号から認識することができる。本明細書は、前記特許の開示を参照として本明細書に明白に取り入れる。
【0039】
好ましくは、添加剤ポリマーおよび/またはコポリマーは、添加剤ポリマーおよび/またはコポリマーとマトリックスポリマーの溶融粘度の比率が0.8:1から10:1の範囲、好ましくは1.5:1から8:1の範囲であるように選択される。溶融粘度は、2.4Hzの振動周波数およびマトリックスポリマーの溶融温度+28℃の温度で振動レオメータを用いる既知の方法で測定される。PTMTについて、溶融粘度を測定する温度は、255℃である。さらなる詳細は、重ねて、国際公開公報第99/07927号において見出すことができる。添加剤ポリマーおよび/またはコポリマーの溶融粘度は、好ましくはマトリックスポリマーのものより高く、添加剤ポリマーおよび/またはコポリマーについての比粘度範囲の選択ならびに粘度比の選択は、糸製品の特性の最適化に寄与すると判定された。最適化された粘度比において、添加する添加剤ポリマーおよび/またはコポリマーの量を最小にし、それによって、とりわけ、プロセスの経済性を改善することが可能である。紡糸することができるポリマーブレンドは、好ましくは0.05から2.5重量%、さらに好ましくは0.25から2.0重量%の添加剤ポリマーおよび/またはコポリマーを含有する。
【0040】
好適な粘度比の選択は、ポリマーマトリックス内の添加剤ポリマーおよび/またはコポリマーの狭い粒径分布、併せて、繊維内の添加剤ポリマーおよび/またはコポリマーの望ましいフィブリル構造をもたらす。マトリックスポリマーと比較して添加剤ポリマーおよび/またはコポリマーの高いガラス転移温度は、紡績繊維内でこのフィブリル構造の急速な硬化を確実にする。最大粒径の添加剤ポリマーおよび/またはコポリマーは、紡糸ノズルから出た直後に約1000nmに達するが、平均粒径は、400nm以下である。好適なフィブリル構造は、繊維が紡糸された後に得られ、そのフィラメントは少なくとも60重量%の添加剤ポリマーおよび/またはコポリマーを、0.5から20μmの範囲の長さおよび0.01から0.5μmの範囲の直径を有するフィブリルの形態で含有する。
【0041】
本発明に有用なポリエステルは、好ましくは熱可塑性成形することができ、およびフィラメントに紡糸し、巻き上げることができる。これに関連して、特に有利なポリエステルは、0.70dL/gから0.95dL/gの極限粘度数を有する。
【0042】
溶融ポリマーは、例えば、重縮合プラントの最終反応器から直接得ることもできるし、または溶融押出機において固体ポリマーチップから製造することもできる。
【0043】
一つの知られている紡糸添加剤の配合法は、それを溶融または固体状態でマトリックスポリマーに計量供給し、そこに均質に分散させて、微粒子を形成することである。有利には、ドイツ特許第100 22 889号に記載されているような装置を用いることができる。
【0044】
本発明の方法において、ポリエステルの溶融体または溶融体混合物は、望ましい繊維線密度(Titer)が得られるように、既知の式によって計算した一定速度で紡糸用ポンプによって紡糸ノズルパックにポンピングされ、そのパックのダイプレートの穴を通して押出されて、溶融フィラメントを形成する。
【0045】
溶融体は、例えば、押出し機内でポリマーチップから調製することができ、この場合、チップを、先ず、30ppm以下の含水量、特に15ppm以下の含水量に乾燥することが特に好ましい。
【0046】
一般には紡糸温度と呼ばれ、紡糸用ポンプの前で測定される溶融体の温度は、用いられるポリマーまたはポリマーブレンドの融点に依存する。好ましくは、式1:
式1:
Tm+15℃≦Tsp≦Tm+45℃
(式中、
Tmは、ポリエステルの融点[℃]であり、
Tspは、紡糸温度[℃]である)
によって与えられる範囲に定められる。
特定したパラメータは、出来るだけ低いことが好ましい加水分解および/または熱による粘度低下を制限するために役立つ。本発明に関しては、0.12dl/g未満、特に0.08dl/g未満の粘度低下が望ましい。
【0047】
溶融体の均質性は、紡糸フィラメントの特性に直接的な影響を及ぼす。従って、少なくとも一つの要素を備え、紡糸用ポンプの後に取り付けられるスタティックミキサーを用いて、溶融体を均質化することが好ましい。
【0048】
ダイプレート温度は紡糸温度によるが、プレートの二次加熱システムによって調節される。有用な二次加熱システムには、例えば、「Diphyl」で加熱されたスピニングビームまたは付加的な対流もしくは輻射加熱器が挙げられる。ダイプレートの温度は、通例、紡糸温度と等しい。
【0049】
ダイプレートにおける温度上昇は、紡糸ノズルパックにおける圧力傾斜によって達成することができる。既知の派生文献、例えば、K.Riggert,「Fortschritte in der Herstellung von Polyester−Reifenkordgarn」,Chemiefasern 21,379ページ(1971)には、100barの圧力降下につき約4℃の温度上昇が記載されている。
【0050】
さらに、ルーズフィルタ手段の使用によって、特に、0.10mmと1.2mmの間、好ましくは0.12mmと0.75mmの間の平均粒径を有する鋼砂および/または40μm以下の繊度を有する織物もしくは不織金属布から形成されうるフィルタディスクの使用によって、ダイ圧力を調節することが可能である。
加えて、ダイホール内の圧力降下は、全体の圧力に寄与する。ダイ圧力は、好ましくは80barと450barの間、特に100barと250barの間に設定される。
【0051】
紡糸線伸長率isp、すなわち、引取速度の押出し速度に対する比率は、米国特許5,250,245号に従って、ポリマーまたはポリマー混合物の密度、紡糸ノズル孔径およびフィラメント線密度から式2によって計算される:
式2:
isp=2.25・105・(δ・π)・D2(cm)/dpf(den)
(式中、
δ=溶融体の密度[g/cm3]; PTMTについては、1.12g/cm3 D=紡糸ノズル孔径[cm]
dpf=フィラメントあたりのデニール[den]
本発明の目的には、紡糸線伸長率は、70と500の間、好ましくは100と250の間である。
紡糸ノズル孔の長さ/直径比は、好ましくは1.5と6の間、特に1.5と4の間に選択される。
【0052】
押出されたフィラメントは、冷却遅延ゾーンを通過する。冷却遅延ゾーンは、紡糸ノズル孔から出てくるフィラメントを冷却ガスの直接的な作用から保護し、伸長または冷却を遅らせる遅緩ゾーン(Ruecksprungzone)として紡糸パックの直ぐ下に配置される。この遅緩ゾーンの活性部は、フィラメントが加熱壁に囲まれるように、紡糸パックの拡張部としてスピニングビームの中に構成される。非活性部は、絶縁層および非加熱フレームによって形成される。遅緩ゾーン活性部の長さは、0から100mmの間であり、非活性部の長さは、20から120mmの間であるが、全長が30から200mm、好ましくは30から120mmであることを条件とする。
【0053】
遅緩ゾーン活性部の代替として、再加熱器をスピニングビームの下に配置することができる。活性部とは対照的に、円筒または長方形断面のこのゾーンは、スピニングビームから独立した加熱システムを少なくとも一つ具備する。
同心円状に紡糸ラインを囲む放射多孔冷却システムの場合、冷却遅延は、円筒シュラウドを用いて達成される。
【0054】
その後、フィラメントは、凝固温度より低い温度に冷却される。本発明の目的には、凝固温度は、溶融体が固体状態になる温度である。
本発明に関連して、本質的にもはや粘着性でない温度までフィラメントを冷却することは、特に有利であると分かった。結晶化温度より低い温度、特に、ガラス転移温度より低い温度にフィラメントを冷却することは、特に有利である。
【0055】
フィラメントを冷却するための手段は、先行技術からわかる。冷却用ガス、特に冷却した空気を用いることは、本発明では特に有用である。冷却用空気の温度は、好ましくは12℃から35℃の範囲であり、特に16℃から26℃の範囲である。冷却用空気の速度は、0.20m/秒から0.55m/秒の範囲が有利である。
【0056】
フィラメントは、例えば、多孔壁を有する個別冷却管からなる単繊維システムを用いて冷却することができる。個々のフィラメント各々の冷却は、積極的な冷却用空気の供給によって、またはフィラメントの自己吸気効果を利用することによって達成される。個々の管の代替として、よく知られている直交流冷却システムを用いることも可能である。
【0057】
冷却および伸長領域の特に好ましい実施形態において、遅延ゾーンから出てくるフィラメントは、長さ10から175cm、好ましくは10から80cmのゾーンで冷却用空気に曝される。長さ10から40cmのゾーンは、フィラメントあたり1.5dtex以下の巻上げ時の線密度を有するフィラメントに特に適し、20から80のゾーン長は、フィラメントあたり1.5dtexと9.0dtexの間の線密度を有するフィラメントに特に適する。その後、断面収縮を調節し、紡糸ライン走行方向に寸法調節することによって、フィラメントおよび随伴する空気は、0.2から20:1の範囲、好ましくは0.4から5:1の範囲の引取り時の空気対紡糸ライン速度の比率で、断面を小さくしたチャンネルに一緒に通される。
【0058】
フィラメントは、凝固点より低い温度に冷却された後、集束されて、糸束にされる。紡糸ノズルの下面からの集束位置の本発明で適する距離は、糸の速度および/または糸の温度のオンライン測定のための従来の方法、例えば、TSI社/ドイツのレーザードップラー風速計またはGoratec製作所/ドイツの赤外線カメラ、IRIIS 160型を用いて測定することができる。それは、500から2500mm、好ましくは500から1800mmの範囲である。3.5dtex以下の線密度を有するフィラメントは、好ましくは1500mm以下のより短い距離で、より太いフィラメントは、好ましくはより大きな距離で集束される。
【0059】
紡糸フィラメントと接触するすべての表面は、好ましくは低摩擦材料で製造されることが、本発明の目的には有利である。これによって、フィラメントの破断が実質的に回避され、より高い品質のフィラメント糸が提供される。Cermetec社/ドイツの「TriboFil」規格の低摩擦表面が、この目的に特に適する。
【0060】
フィラメントは、望ましい量の紡糸仕上げ剤を糸に均一に供給する給油器ピンにおいて集束される。特に適する給油器ピンは、入口部、給油開口部を具備する糸導管および出口部によって特徴づけられる。入口部は、漏斗様であり、そのため、まだ乾燥しているフィラメントによる接触が回避される。フィラメントの接触点は、防止仕上げ剤の供給後に糸導管内で生じる。糸導管および給油開口部の幅は、糸の線密度およびフィラメントの数に従う。1.0mmから4.0mmの範囲の開口部および幅が特に適する。給油器の出口部は、好ましくは油溜めを具備する均質化ゾーンとして形成される。こうした給油器は、例えば、Ceramtec社/ドイツまたはGoulston社/米国から入手することができる。
【0061】
油塗布の均質性は、本発明にとって大きな意義がある。均質性は、例えば、Chemiefasern/Textilindustrie,42/94 November 1992の896ページに記載されている方法のようにRossaメータを用いて測定することができる。好ましくは、こうした手順は、90ディジット未満、特に60ディジット未満の油塗布に関する標準偏差値を提供する。45ディジット未満、特に30ディジット未満の油塗布標準偏差値が、本発明の目的には特に好ましい。90または45ディジットの標準偏差値は、それぞれ6.2%または3.1%の変動率にほぼ相当する。
【0062】
気泡は、油塗布に相当な変化を起こしうるので、紡糸仕上げラインおよびポンプを自己脱気性であるように設計して、気泡の発生を防止することが本発明の目的にはとくに有利である。
【0063】
本発明によると、糸が巻上げられる前にフィラメントを交絡させることが、特に好ましい。本発明に関連して、閉じた糸導管を有するノズルは、こうしたシステムが低い糸張力および高い空気圧の時でさえ供給スロットにおける糸のひっかかりを妨げるので、特に適することがわかるであろう。この交絡ノズルは、好ましくは、ゴデット間に配置され、糸の出口張力を、入口ゴデットと出口のゴデットの速度差によって調節する。糸の出口張力は、0.20cN/dtexを越えるべきではなく、主として、0.05cN/dtexと0.15cN/dtexの間の値を有する。交絡空気圧は、0.5barと5.5barの間、3500m/分の巻取り速度の場合には、多くとも3.0barである。
【0064】
糸は、好ましくは、少なくとも10n/mのノード数に交絡させる。100cm未満の最大無ノード間隙および100%未満のノード数変動率値は、特に重要なことである。有利には、1.0barより高い空気圧の利用によって、変動率が70%以下であり、最大無ノード間隙が50cmである高い均質性によって特徴づけられる15n/m以上のノード数が達成される。実用では、Temco社/ドイツのLDタイプのシステム、Slack & Parr社/米国のダブルシステムまたはHeberlein社のPoyjetタイプのノズルが特に有用であることがわかった。
【0065】
第一ゴデット装置の円周速度は、引取速度と呼ばれる。巻取集成装置において糸が空ボンビ上に巻上げられて、パッケージ(ボンビ)を形成する前に、さらなるゴデットシステムが用いられる。
【0066】
安定した、欠陥の無いパッケージは、欠陥の無い糸の巻取りおよび理想的には欠陥の無い後続加工のための基本前提条件である。従って、本発明に関連して、利用される引取張力は、0.025cN/dtexから0.15cN/dtexの範囲、好ましくは0.03cN/dtexから0.08cN/dtexである。
【0067】
本発明による方法の重要なパラメータは、引取ゴデット前および間に設定される糸張力である。知られているように、この張力は、本質的に、Hamanaの実配向張力、糸路上の摩擦張力、ならびに給油器および糸−空気摩擦張力から成る。本発明の目的には、引取ゴデット前および間の糸張力は、0.05cN/dtexから0.20cN/dtexの範囲、好ましくは0.08cN/dtexと0.15cN/dtexの間の範囲である。
【0068】
0.05cN/dtex未満の過度に低い張力は、もはや所望の部分配向度を与えない。張力が0.20cN/dtexを越える時、この張力は、ボビンを巻取り、保存する間に記憶効果を起こし、これが、糸パラメータの低下を導く。
【0069】
本発明によると、張力は、ノズルからの給油器の距離、摩擦表面ならびに給油器と引取ゴデット間の間隙の長さによって調節される。この間隙の長さは、6.0m以下がよく、好ましくは2.0m未満であり、紡糸システムおよび引取機は、直線糸路を確保するために、平行構成などの方式で配置される。
【0070】
幾何学的パラメータは、集束点と巻取りの間の糸の調節時間も表す。その時間中の急速な緩和は、造られるパッケージの品質に対して影響を及ぼす。そう定義される調節時間は、好ましくは50msと200msの間であるように選択される。
POYの巻取速度は、本発明によると、2200m/分と6000m/分の間である。2500m/分と6000m/分の間の速度を選択することが好ましい。ポリマーブレンドを3500m/分から6000m/分の範囲の速度で巻上げることは、特に好ましい。
【0071】
本発明による方法は、ヤーンパッケージの周囲環境を45℃以下、特に、12℃と35℃の間の温度、および40から85%の相対湿度であるように調整することによって有利に行われる。POYパッケージを後続の加工の前に12から35℃、相対湿度40から85%で、少なくとも4時間保存すると、さらに有利である。
【0072】
標準条件のもとで4週間保存した後、本発明によるフィラメントは、
a)90%と165%の間、好ましくは90と135%の間の破断伸び、
b)少なくとも30%、好ましくは40%以上の沸騰水収縮率、
c)1.1%より低い、好ましくは0.9%より低いノーマルウースタ、
d)0.030と0.058の間の複屈折、
e)1.35g/cm3未満、好ましくは1.33g/cm3未満の密度、
f)4.5%以下、好ましくは2.5%以下の破断荷重変動率、および
g)4.5%以下、好ましくは2.5%以下の破断伸び変動率
を有する。
用語「標準条件」は、当業者に知られており、DIN 53802標準規格によって規定されている。DIN 53802による「標準条件」では、温度は、20±2℃であり、相対湿度は65±2%である。
【0073】
沸騰水収縮率が、巻上げ直後に測定した時、50%と65%の間であり、標準条件のもとで4週間保存した後、少なくとも30%、好ましくは40%以上であることは、本発明の目的に、特に有利である。意外にも、このように製造しPOYボビンは、この後の加工性に優れていることが判った。
【0074】
前述の材料パラメータを測定するための方法は、当業者によく知られている。それらは、技術文献から知ることができる。大部分のパラメータは、多様な方法で測定することができるが、フィラメントパラメータを測定するための以下の方法は、本発明の目的に特に有利であろう:
固有粘度は、ウベローデ毛管粘度計において25℃で測定され、よく知られている式によって計算される。用いられる溶媒は、フェノールと1,2−ジクロロベンゼンの3:2(重量/重量)混合物である。溶液の濃度は、溶液100mLに対して0.5gのポリエステルである。
【0075】
融点、結晶化温度およびガラス転移温度は、各々、Mettler社のDSC熱量計を用いて測定される。サンプルは、最初、280℃に加熱して融解し、その後、急冷する。DSC測定は、20℃から280℃の範囲で、10K/分の加熱速度で行われる。温度の値は、プロセッサによって決定される。
【0076】
フィラメント密度は、密度勾配カラムにおいて23±0.1℃の温度で測定される。用いられる試薬は、n−ヘプタン(C7H16)およびテトラクロロメタン(CCl4)である。その密度測定の結果を用いて、非晶質ポリエステルDaの密度および結晶質ポリエステルDkの密度を基に結晶性を計算することができる。この計算は、文献に記載されており、例えば、PTMTについての対応する値は、Da=1.295g/cm3およびDk=1.429g/cm3である。
【0077】
線密度(Titer)は、精密なリールおよび秤量手段を用いて、既知の方法で測定される。用いられる初張力は、好ましくは、POYについては0.05cN/dtexであり、DTYについては0.2cN/dtexである。
【0078】
破断強度および破断伸びは、Statimat装置を用いて、以下の条件のもとで測定される:
固定長は、POYについて200mmおよびDTYについて500mmであり、伸長速度は、POYについて2000mm/分およびDTYについて1500mm/分である。ならびに初張力は、POYについて0.05cN/dtexおよびDTYについて0.2cN/dtexである。最大破断荷重値を線密度で割って、破断強度を決定し、破断伸びは、最大荷重で決定される。
【0079】
沸騰水収縮率は、無張力状態で、95±1℃で10±1分間、水中でフィラメントのかせを処理することによって測定される。かせは、POYについては0.05cN/dtexおよびDTYについては0.2cN/dtexの初張力で巻取ることによって調製され、熱処理前および後のかせの長さの測定は、0.2cN/dtexで行われる。長さの差を用いて、既知の方法で沸騰水収縮率を計算する。
複屈折は、DE 19,519,898に記載されている方法によって測定される。この特許の開示は、参照として本明細書に明確に取り入れられる。
【0080】
テクスチャー加工されたフィラメントのけん縮パラメータは、120℃の展開温度で、Stein社/ドイツのTexturmat装置を用いて、DIN 53840のパート1に従って測定される。
ノーマルウースタ値は、4−CXウースタ試験機を用いて測定され、ウースタ%値として報告される。試験速度は、100m/分であり、試験時間は、2.5分である。
【0081】
本発明によるPOYは、さらなる加工、特に延伸テクスチャー加工が容易である。本発明において、延伸テクスチャー加工は、好ましくは、少なくとも500m/分のテクスチャー加工速度、特に好ましくは少なくとも700m/分のテクスチャー加工速度で行われる。延伸比は、好ましくは少なくとも1.35:1、特に、少なくとも1.40:1である。高温加熱器タイプの機械、例えば、Barmag社のAFK機を用いて延伸テクスチャー加工することは、特に有利である。
このようにして製造されたバルキーフィラメントは、欠陥の数が少なく、ならびに分散染料を用い、担体を用いずに煮沸条件で染色すると、優れた色の深みおよび色の均質性を示す。
【0082】
本発明によるバルキーSETフィラメントは、好ましくは、26cN/texより大きい破断強度および36%より大きい破断伸びを有する。第二加熱器での熱処理を伴わずに得ることができるバルキーHEフィラメントの場合、破断強度は、好ましくは26cN/texより大きく、破断伸びは、30%より大きい。
本発明によるフィラメントのかさおよび弾性挙動は、優れている。
【0083】
以下、実施例によって本発明の実施形態をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に制限されない。
実施例1から3
紡糸および巻取り
0.93dL/gの固有粘度数、325Pa・sの溶融粘度(2.4Hzおよび255℃で測定)、227℃の融点、72℃の結晶化温度および45℃のガラス転移温度を有するPTMTチップを130℃でタンブル乾燥して、11ppmの含水率にした。
溶融体の温度が255℃であるように、そのチップをBarmag社の3E4押出機内で溶融した。この溶融体に、0.1%未満の残留含水率に事前に乾燥させてある様々な量のRohm GmbH社/ドイツの銘柄Plexiglas 7Nのポリメチルメタクリレートが伸長性向上剤として添加した。
この目的のために、添加剤ポリマーは、溶融押出機内で溶融され、歯車定量ポンプを用いて供給手段に供給されて、そこから流れの方向に射出ノズルを通してポリエステル成分へと供給された。15の要素を備え、15mmの内径を有するSulzer社のSMXスタティックミキサー内で、二つの溶融体は、均一に混合され、微細に分散された。
Plexiglas 7Nの溶融粘度は、810Pa・s(2.4Hz、255℃)であり、その結果として、添加剤とポリエステルの溶融体粘度の比率は、2.5:1であった。
【0084】
溶融体の輸送量は、6分の滞留時間を併せて63g/分であり、紡糸ポンプから紡糸ノズルパックまでに送られる量を調整して、POYの線密度が約102dtexになるようにした。様々な巻取速度が設定された。10mmの内径を有するFluitec社のHD−CSEタイプのスタティックミキサーの一つの要素が、紡糸ポンプ入口のあとにあり、しかし紡糸ノズルパックへの入口前に取り付けた。ポンプおよび紡糸ノズルパックを備える、製品ラインおよび紡糸ブロックのための第二加熱システムは、255℃に設定された。紡糸ノズルパックは、フィルタ手段として、高さ30mmの粒径350から500μmの鋼砂ならびに20μmの不織フィルタおよび40μmの織フィルタも具備した。直径0.25mmおよび長さ1.0mmの穴34個を備える直径80mmの紡糸ノズルプレートを通して、溶融体を押出した。ダイ圧力は、120から140barであった。
【0085】
冷却遅延ゾーンは、加熱壁30mmと絶縁、非加熱フレーム70cmとから成り、長さ100mmであった。1500mmの長さにわたって紡糸ラインに対して水平に流れる空気で、溶融フィラメントを冷却した。冷却用空気は、0.35m/秒の流速、18℃の温度および80%の相対湿度を有した。フィラメントは、紡糸ノズルの約800mm下で固体になった。
紡糸ノズルから1050mmの距離に配置された糸給油器を用いて、紡糸仕上げ剤で処理し、集束した。給油器は、TriboFil表面および直径1mmの注入口開口部を有した。塗付した紡糸仕上げ剤の量は、繊維重量を基準にして0.40%であった。
【0086】
その後、集束された紡糸線を巻取機に供給した。給油器と第一引取ゴデットの間の距離は、3.2mであった。調節時間は、105msと140msの間であった。一対のゴデットに糸をS字型に巻き付けた。Temco交絡ノズルは、ゴデット間に位置し、1.5barの空気圧を用いて操作した。速度設定に合わせて、Barmag社 SW6巻取機の巻取速度を巻取糸張力が5cNであるように設定した。約34℃の温度がヤーンパッケージの周囲環境において保障されるように、部屋の条件を24℃および相対湿度60%に調整した。
添加したすべての量の添加剤について、生産性の有意な増加が達成された。製造された10kgのボビンは、巻取マンドレルから容易に取り外すことができた。得られたPOY糸は、DIN 53802に規定の標準条件のもとでの4週間の保存期間にわたって、良好な糸特性の時間的安定性が、顕著であった。紡糸および巻取直後の沸騰水収縮率は、51から54%の範囲であることがわかった。テクスチャー加工性および達成された染色の均一性は、優れていることがわかった。用いられる延伸比は、用いたPOY速度に対して驚くほど高かった。
他のパラメータおよび特性データを表1から4にまとめる。
【0087】
【表1】
【0088】
【表2】
【0089】
延伸テクスチャー加工
PTMTフィラメントボビンをDIN53802に規定の標準条件のもとで4週間保存し、その後、Barmag社 FK6−S−900延伸テクスチャー加工機に供した。いわゆるSETフィラメントを製造するための延伸テクスチャー加工の実験パラメータを表3にまとめ、得られたバルキーSETフィラメントの材料特性を表4にまとめる。
テクスチャー加工の欠陥は、次の極限値設定: UP/LP=3.0cN、UM/LM=6.0cNで、Barmag社のUNITENSシステムを用いて測定した。
【0090】
【表3】
【0091】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【図1】標準条件のもとでの保存時間の関数としての3つのPTMT POYボビンに関する沸騰水収縮率の変化を示す図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、紡糸添加剤を用いることによって、ポリエステルフィラメントの全重量を基準にして少なくとも90重量%以上が、ポリブチレンテレフタレート(PBT)および/またはポリトリメチレンテレフタレート(PTMT)、好ましくはPTMTからなるPOY(vororientierten)ポリエステルフィラメントを紡糸し、巻取る方法に関するものであり、又その方法によって得ることができるPOYポリエステルフィラメントにも関する。本発明は、さらに、その紡糸して巻上げたポリエステルフィラメントを延伸テクスチャー加工するための方法に関し、それによって得ることができるバルキーポリエステルフィラメントにも関する。
【0002】
【従来の技術】
二段法での連続ポリエステルフィラメント、特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィラメントの製造は、すでに知られている。この方法では、第一段階は、フラットPOYフィラメントの紡糸および巻上げからなり、第二段階で充分に延伸して熱硬化するかまたは延伸テクスチャー加工して、バルキーフィラメントにする。
【0003】
この分野の概要は、ミュンヘンのHanserによって出版されたF.Fourneによる書籍Synthetische Fasern(1995)によって提供されている(非特許文献1参照。)。しかし、PET繊維の製造しか記載されておらず、統一された紡糸技術は提供されておらず、最も多様な特徴が記載されている概要にすぎない。
【0004】
ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステルなどを含む多様な紡糸可能なポリマーからの繊維の製造は、ドイツ特許第38 19 913 A号の主題の一部である(特許文献1参照。)。しかし、ポリマーが加工される温度から認識できるように、実施例にはPET繊維の製造しか記載されていない。
【0005】
連続ポリトリメチレンテレフタレート(PTMT)またはポリブチレン(PBT)フィラメントの製造に伴う問題は、紡糸直後および巻取り中ばかりでなく、巻取り後数時間の間、室温で保存中のPOYフィラメントが収縮する傾向がかなり強いことであり、その結果、糸は短くなる。パッケージは結果として締め付けられるので、極端な場合、パッケージは、巻取マンドレル上にきつく締め付けられて、もはや除去できない。さらに、パッケージは、硬い端とくびれた中心部を備えるいわゆるサドルを形成する。結果として、フィラメントの繊維データ、例えばウースタ値は、さほど一定でなくなり、パッケージをほどく時に問題が生じる。こうした問題は、PET繊維の加工では生じない。
【0006】
PETフィラメントと対比して、POY PBTまたはPTMTフィラメントは、保存中に老化が激しいことが、さらに観察される。構造の硬化が起こり、後結晶化が検出されうるほど大きく沸騰水収縮率を減少させる。こうしたPBTまたはPTMTフィラメントは、延伸テクスチャー加工において欠陥を生じ、テクスチャー加工糸の破断強度を有意に低下させるその後の加工にはある程度しか適さない。
【0007】
例えば、Chemical Fibers Int.の50巻(2000)、53ページに報告されているように、および9月13から15日のドルンビルンでの第39回国際合成繊維会議(39th International Manmade Fibre Congress)で討議されたように、一方のPETと他方のPBTおよびPTMTの間のこれらの違いは、構造および特性の違いに帰する(非特許文献2参照。)。従って、異なる鎖構成が特性の違いの原因となると考えられる。
【0008】
これらの問題を解決する第一のアプローチは、国際公開公報第99/27168号および欧州特許第0,731,196 B1号に記載されている(特許文献2および3参照。)。国際公開公報第99/27168号は、少なくとも90重量%のポリトリメチレンテレフタレートであり、5%と16%の間の沸騰水収縮率および20%から60%の破断伸びを有するポリエステル繊維を開示している。国際公開公報第99/27168号に記載されているポリエステル繊維は、紡糸および延伸によって製造される。報告されている最大紡糸引取速度は、2100m/分である。この方法は、紡糸速度が遅いため、非経済的である。加えて、得られるポリエステル繊維は、報告されている特性値が示すとおり、非常に結晶性であり、故に、延伸テクスチャー加工法にはある程度しか適さない。
【0009】
欧州特許第0,731,196 B1号には、延伸後、巻取り前に糸を熱処理に付して、収縮する傾向を減少させることによる、合成糸を紡糸し、延伸し、巻取る方法が記載されている。用いることができる合成繊維には、ポリトリメチレンテレフタレート繊維が挙げられる。欧州特許第0,731,196 B1号では、細長い加熱表面の直ぐ近くに、しかし本質的には接触せずにそれに沿って合成糸を導くことによって、熱処理を行う。熱処理の適用は、加工費用を増し、その上、延伸テクスチャー加工にある程度しか適さない高結晶性の合成糸をもたらす。
【0010】
Dr.H.S.BrownおよびH.H.Chuahによる論文:「ポリトリメチレンテレフタレートをベースにした紡織フィラメント糸のテクスチャー加工(Texturing of textile filament yarns based on polytrimethylene terephthalate)」、Chemical Fibers International、47巻、1997年2月の72から74ページには、450m/分および850m/分のテクスチャー加工速度でのPOYポリトリメチレンテレフタレートフィラメントの延伸テクスチャー加工が記載されている(非特許文献3参照。)。この開示によると、450m/分の低いほうのテクスチャー加工速度のほうが、ポリトリメチレンテレフタレートフィラメントには適している。それは、より良好な材料特性を有する繊維がこのケースで得られるからである。ポリトリメチレンテレフタレート繊維の破断強度は、26.5cN/tex(テクスチャー加工速度450m/分)および29.15cN/tex(テクスチャー加工速度850m/分)、ならびに破断伸びは、38.0%(テクスチャー加工速度450m/分)および33.5%(テクスチャー加工速度850m/分)と報告されている。
【0011】
国際公開公報第01/04393号には、3から40%の範囲の沸騰水収縮率を有するPTMTフィラメントが記載されている(特許文献4参照。)。しかし、この値は、フィラメントが形成された直後に測定されたものである。この値は、添付の図1によって証明されるように、標準条件のもとで4週間の保存の間に20%未満に低下する。
【0012】
図1は、標準条件のもとでの保存時間の関数としての3つのPTMT POYボビンに関する沸騰水収縮率の変化を記載している。調査した3つのボビンは、異なる初期値を有していた。40%より大きい高い初期値を有するボビン#16および17は、4週間後に30%を超える、好ましくは40%を超える沸騰水収縮率を有する。しかし、初期沸騰水収縮率値が40%未満である時、沸騰水収縮率の値が4週間の保存時間後に30%の臨海値未満に低下するであろうことは、ボビン18から明白である。
【0013】
沸騰水収縮率は、繊維の加工性および結晶性の尺度である。WO 01/04393に記載されている繊維には、加工が本質的により困難であり、より低い延伸比および/またはより低いテクスチャー加工速度でしか加工することができない比較的高い結晶性を有する合成樹脂が含まれる。
【0014】
【特許文献1】
独国特許出願公開第3819913号明細書
【特許文献2】
国際公開第99/27168号パンフレット
【特許文献3】
欧州特許第0731196号明細書
【特許文献4】
国際公開第01/04393号パンフレット
【非特許文献1】
エフ.フルネ(F.Fourne)著,「合成繊維(Synthetische Fasern)」,(独国),ハンゼル(Hanser),1995年
【非特許文献2】
「国際化学繊維刊行物(Chemical Fibers Int.)」,50巻,2000年,p.53
【非特許文献3】
エイチ.エス.ブラウンおよびエイチ.エイチ.チュア著(H.S.Brown and H.H.Chuah),「ポリトリメチレンテレフタレートをベースにした紡織フィラメント糸のテクスチャー加工(Texturing of textile filament yarns based on polytrimethylene terephthalate)」,Chemical Fibers International,47巻,1997年2月,p.72〜74
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、POYポリエステルフィラメントの製造および巻取りが簡単である、フィラメントの全重量を基準にして少なくとも90重量%以上が、PBTおよび/またはPTMTであるPOYポリエステルフィラメントを紡糸し、巻取る方法を提供することである。より詳細には、本POYポリエステルフィラメントは、90%から165%の範囲の破断伸び値、フィラメント特性値に関する高い均質性、および低い結晶性を示す。
【0016】
本発明のさらなる目的は、POYポリエステルフィラメントを紡糸し、巻取るための経済的な工業的方法を提供することである。本発明の方法は、非常に速い、好ましくは2200m/分より速い紡糸引取速度、およびパッケージについて4kgより大きい高い糸重量を可能ならしめるものである。
【0017】
さらに、本発明のさらなる目的は、本発明の方法によって得ることができるPOYポリエステルフィラメントの保存性を改善することである。それらは、長期間、例えば4週間、保存することができる。理想的には、パッケージは、保存の間に圧縮されず、特に、巻取マンドレル上にきつく締め付けられず、硬い端とくびれた中心部を備えるサドルを形成せず、そのため、パッケージをはずす際に巻戻しに問題がないものになる。
【0018】
本発明によると、POYポリエステルフィラメントは、延伸または延伸テクスチャー加工操作、特に、速い、好ましくは450m/分より速いテクスチャー加工速度でのさらなる加工が容易になる。延伸テクスチャー加工によって得ることができるフィラメントは、優れた材料特性、例えば、26cN/texより大きい破断強度、およびHEフィラメントについては30%より大きい、またはSETフィラメントについては36%より大きい破断伸びを有するものになる。
【0019】
【課題を解決するための手段】
これらの目的およびはっきりとは述べていないが、最初に本明細書中で論議した関連事項から容易に推論できるまたは明らかである他の目的は、請求項1のすべての特徴を含む紡糸および巻取りの方法によって達成される。本発明による方法の有利な変形は、請求項1に従属する従属請求項において保護される。本紡糸法によって得ることができるPOYポリエステルフィラメントを、独立の物質請求項に記載する。POYポリエステルフィラメントの延伸テクスチャー加工は、方法請求項7において特許請求するが、物質請求項8および9は、延伸テクスチャー加工によって得ることができるバルキーフィラメントに関する。
【0020】
従って、本発明は、
a)紡糸線伸長率を70から500の範囲に設定すること、
b)紡糸ノズルから出て直ぐ、長さ30mmから200mmの冷却遅延ゾーンにフィラメントを通すこと、
c)凝固温度より低い温度にフィラメントを冷却すること、
d)紡糸ノズルの下面から500mmと2500mmの間の距離でフィラメントを集束すること、
e)引取ゴデッドの前および間の糸張力を0.05cN/dtexと0.20cN/dtexの間に設定すること、
f)0.025cN/dtexと0.15cN/dtexの間の糸張力で糸を巻き取ること、
g)巻取り速度を2200m/分と6000m/分の間に設定すること、および
h)フィラメントの全重量を基準にして0.05重量%から2.5重量%の添加剤ポリマーが伸長性向上剤として混合されているポリエステルを用いること
からなることを特徴とする、ポリエステルフィラメントの全重量を基準にして少なくとも90重量%以上が、ポリブチレンテレフタレート(PBT)および/またはポリトリメチレンテレフタレート(PTMT)、好ましくはPTMTからなるPOYポリエステルフィラメントを製造し、巻取る方法を提供する。
【0021】
この予測しえない方法は、標準条件もと、4週間の保存後でさえ優れた材料特性を維持するPOYポリエステルフィラメントを提供する。老化による糸の均質価の有意な悪化およびボビン上での紡糸繊維の収縮は、観察されない。
【0022】
同時に、本発明の方法は、多数のさらなる利点を有する。これらには、以下のことが挙げられる:
○本発明の方法は、大きな工業規模で、容易に、且つ、経済的に実施される。さらに詳細には、本方法は、少なくとも2200m/分の速い引取速度での紡糸および巻取り、および4kgより大きい高い糸重量を保持するパッケージの生産を可能ならしめる。
○紡糸添加剤の使用によって、6000m/分までの引取速度を達成することができるようになる。結果として、設備を特に経済的に操作することができる。
○従って、本方法によって得ることができるPOYポリエステルフィラメントは、延伸または延伸テクスチャー加工操作において、容易に、経済的に、且つ、大きな工業規模で、さらに加工することができる。この操作において、テクスチャー加工を450m/分より速い速度で行うことができる。
○本方法によって得ることができるPOYポリエステルフィラメントは、均質性が高いため、POYポリエステルフィラメントの均質で実質的に欠陥のない染色およびさらなる加工を確実にする良好なパッケージ構造を実現することが容易である。
○延伸テクスチャー加工によって得ることができるフィラメントは、26cN/texより大きい高い破断強度、およびにHEフィラメントについては30%より大きい、SETフィラメントについては36%より大きい高い破断伸びを示す。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明は、フィラメントの全重量を基準にして少なくとも90重量%以上が、ポリブチレンテレフタレート(PBT)および/またはポリトリメチレンテレフタレート(PTMT)からなるPOYポリエステルフィラメントを製造および巻取る方法を提供する。ポリブチレンテレフタレート(PBT)および/またはポリトリメチレンテレフタレート(PTMT)は、当業者に知られている。ポリブチレンテレフタレート(PBT)は、テレフタル酸と等モル量の1,4−ブタンジオールとの重縮合によって得ることができ、ポリトリメチレンテレフタレートは、テレフタル酸と等モル量の1,3−プロパンジオールとの重縮合によって得ることができる。二つのポリエステルの混合物も考えられる。本発明によると、PTMTが、好ましい。
【0024】
ポリエステルは、ホモポリマーであってもよいし、コポリマーであってもよい。有用なコポリマーには、PTMTおよび/またはPBT繰り返し単位のほか、ポリエステルの全繰り返し単位を基準にして15mol%以下の通例のコモノマー、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、イソフタル酸および/またはアジピン酸の繰り返し単位を含むコポリマーを特に挙げることができる。しかし、本発明のためには、ポリエステルホモポリマーが好ましい。
【0025】
本発明のポリエステルは、触媒、安定剤、静電防止剤、酸化防止剤、難燃剤、染料、染料吸収改質剤、光安定剤、有機亜リン酸エステル、任意の増白剤および艶消し剤などのさらなる添加剤を、通例の量、混合物として含むことができる。好ましくは、本ポリエステルは、フィラメントの全重量を基準にして0から5重量%の添加剤を含む。
【0026】
本ポリエステルは、さらに、フィラメントの全重量を基準にして少しの割合、好ましくは0.5重量%以下の分枝成分を含むことができる。本発明による好ましい分枝成分には、トリメリット酸もしくはピロメリット酸などの多官能酸、またはトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、グリセロールなどの三から六価のアルコールもしくは対応するヒドロキシ酸が挙げられる。
【0027】
本発明に関連して、PBTおよび/またはPTMTは、フィラメントの全重量を基準にして0.05重量%から2.5重量%の伸張性向上剤としての添加剤ポリマーと混合される。本発明の目的に特に有用な添加剤ポリマーには、下記に特定するポリマーおよび/またはコポリマーが挙げられる:
【0028】
1.次のモノマー単位を含有するコポリマー:
A=アクリル酸、メタクリル酸またはCH2=CR−COOR’(式中、Rは、水素原子またはCH3基であり、R’は、C1〜15アルキル基またはC5〜12シクロアルキル基またはC6〜14アリール基である)、
B=スチレンまたはC1〜3アルキル置換スチレン
を含むコポリマーであって、60から98重量%のAおよび2から40重量%のB、好ましくは83から98重量%のAおよび2から17重量%のB、さらに好ましくは90から98重量%のAおよび2から10重量%のB(総計=100重量%)から成るコポリマー。
【0029】
2.次のモノマー単位を含有するコポリマー:
C=スチレンまたはC1〜3アルキル置換スチレン、
D=一つ以上の式I、IIまたはIIIのモノマー
【0030】
【化1】
(式中、R1、R2およびR3は、各々、水素原子またはC1〜15アルキル基またはC6〜14アリール基またはC5〜12シクロアルキル基である)
【0031】
このコポリマーは、15から95重量%のCおよび2から80重量%のD、好ましくは50から90重量%のCおよび10から50重量%のD、さらに好ましくは70から85重量%のCおよび15から30重量%のD(この場合、CとDの総計は、100重量%である)から成る。
【0032】
3.次のモノマー単位を含有するコポリマー:
E=アクリル酸、メタクリル酸またはCH2=CR−COOR’(式中、Rは、水素原子またはCH3基であり、R’は、C1〜15アルキル基またはC5〜12−シクロアルキル基またはC6〜14アリール基である)、
F=スチレンまたはC1〜3アルキル置換スチレン、
G=一つ以上の式I、IIまたはIIIのモノマー
【0033】
【化2】
(式中、R1、R2およびR3は、各々、水素原子またはC1〜15アルキル基またはC5〜12シクロアルキル基またはC6〜14アリール基である)
【0034】
H=Eおよび/またはFおよび/またはGと共重合可能であり、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、E以外のアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ハロゲン置換スチレン、ビニルエーテル、イソプロペニルエーテルおよびジエンから成る群から選択される、一つ以上のエチレン性不飽和モノマー
を含むコポリマーであって、30から99重量%のE、0から50重量%のF、0(0は含まない)から50重量%のGおよび0から50重量%のH、好ましくは45から97重量%のE、0から30重量%のF、3から40重量%のGおよび0から30重量%のH、さらに好ましくは60から94重量%のE、0から20重量%のF、6から30重量%のGおよび0から20重量%のH(この場合、EとFとGとHの総計は、100重量%である)から成るコポリマー。
【0035】
4.次のモノマー単位からなるポリマー:
【化3】
(式中、R1およびR2は、任意の原子C、H、O、S、Pおよびハロゲン原子から成る置換基であり、R1とR2の分子量の総計は、少なくとも40である)
【0036】
このモノマー単位の例には、アクリル酸、メタクリル酸およびCH2=CR−COOR’(式中、Rは、水素原子またはCH3基であり、R’は、C1〜15アルキル基またはC5〜12シクロアルキル基またはC6〜14アリール基である)、ならびにスチレンおよびC1〜3アルキル置換スチレンも挙げられる。
これらの物質の製造の詳細は、国際公開公報第99/07927号に記載されている。
【0037】
粒径が特に好ましい範囲にあるビーズポリマーの形態の添加剤ポリマーおよび/またはコポリマーは、本発明の目的に特に好ましい。本発明によると、例えば、繊維ポリマーの溶融体に混入することによって用いられる添加剤ポリマーおよび/またはコポリマーは、0.1から1.0mmの平均径を有する粒子の形態で存在することが好ましい。しかし、より大きいまたはより小さいビーズまたは粒体を使用することもできる。添加剤ポリマーおよび/またはコポリマーは、マトリックスポリマーのチップ内にすでに包含されていてもよく、その場合、一切の計量添加が不要である。
【0038】
さらに、非晶質であり、ポリエステルマトリックスに不溶性である添加剤ポリマーおよび/またはコポリマーが、好ましい。それらは、好ましくは90から200℃の、既知の方法、好ましくは示差走査熱量計によって測定されるガラス転移温度を有する。さらに進んだ詳細は、先行技術、例えば、国際公開公報第99/07927号から認識することができる。本明細書は、前記特許の開示を参照として本明細書に明白に取り入れる。
【0039】
好ましくは、添加剤ポリマーおよび/またはコポリマーは、添加剤ポリマーおよび/またはコポリマーとマトリックスポリマーの溶融粘度の比率が0.8:1から10:1の範囲、好ましくは1.5:1から8:1の範囲であるように選択される。溶融粘度は、2.4Hzの振動周波数およびマトリックスポリマーの溶融温度+28℃の温度で振動レオメータを用いる既知の方法で測定される。PTMTについて、溶融粘度を測定する温度は、255℃である。さらなる詳細は、重ねて、国際公開公報第99/07927号において見出すことができる。添加剤ポリマーおよび/またはコポリマーの溶融粘度は、好ましくはマトリックスポリマーのものより高く、添加剤ポリマーおよび/またはコポリマーについての比粘度範囲の選択ならびに粘度比の選択は、糸製品の特性の最適化に寄与すると判定された。最適化された粘度比において、添加する添加剤ポリマーおよび/またはコポリマーの量を最小にし、それによって、とりわけ、プロセスの経済性を改善することが可能である。紡糸することができるポリマーブレンドは、好ましくは0.05から2.5重量%、さらに好ましくは0.25から2.0重量%の添加剤ポリマーおよび/またはコポリマーを含有する。
【0040】
好適な粘度比の選択は、ポリマーマトリックス内の添加剤ポリマーおよび/またはコポリマーの狭い粒径分布、併せて、繊維内の添加剤ポリマーおよび/またはコポリマーの望ましいフィブリル構造をもたらす。マトリックスポリマーと比較して添加剤ポリマーおよび/またはコポリマーの高いガラス転移温度は、紡績繊維内でこのフィブリル構造の急速な硬化を確実にする。最大粒径の添加剤ポリマーおよび/またはコポリマーは、紡糸ノズルから出た直後に約1000nmに達するが、平均粒径は、400nm以下である。好適なフィブリル構造は、繊維が紡糸された後に得られ、そのフィラメントは少なくとも60重量%の添加剤ポリマーおよび/またはコポリマーを、0.5から20μmの範囲の長さおよび0.01から0.5μmの範囲の直径を有するフィブリルの形態で含有する。
【0041】
本発明に有用なポリエステルは、好ましくは熱可塑性成形することができ、およびフィラメントに紡糸し、巻き上げることができる。これに関連して、特に有利なポリエステルは、0.70dL/gから0.95dL/gの極限粘度数を有する。
【0042】
溶融ポリマーは、例えば、重縮合プラントの最終反応器から直接得ることもできるし、または溶融押出機において固体ポリマーチップから製造することもできる。
【0043】
一つの知られている紡糸添加剤の配合法は、それを溶融または固体状態でマトリックスポリマーに計量供給し、そこに均質に分散させて、微粒子を形成することである。有利には、ドイツ特許第100 22 889号に記載されているような装置を用いることができる。
【0044】
本発明の方法において、ポリエステルの溶融体または溶融体混合物は、望ましい繊維線密度(Titer)が得られるように、既知の式によって計算した一定速度で紡糸用ポンプによって紡糸ノズルパックにポンピングされ、そのパックのダイプレートの穴を通して押出されて、溶融フィラメントを形成する。
【0045】
溶融体は、例えば、押出し機内でポリマーチップから調製することができ、この場合、チップを、先ず、30ppm以下の含水量、特に15ppm以下の含水量に乾燥することが特に好ましい。
【0046】
一般には紡糸温度と呼ばれ、紡糸用ポンプの前で測定される溶融体の温度は、用いられるポリマーまたはポリマーブレンドの融点に依存する。好ましくは、式1:
式1:
Tm+15℃≦Tsp≦Tm+45℃
(式中、
Tmは、ポリエステルの融点[℃]であり、
Tspは、紡糸温度[℃]である)
によって与えられる範囲に定められる。
特定したパラメータは、出来るだけ低いことが好ましい加水分解および/または熱による粘度低下を制限するために役立つ。本発明に関しては、0.12dl/g未満、特に0.08dl/g未満の粘度低下が望ましい。
【0047】
溶融体の均質性は、紡糸フィラメントの特性に直接的な影響を及ぼす。従って、少なくとも一つの要素を備え、紡糸用ポンプの後に取り付けられるスタティックミキサーを用いて、溶融体を均質化することが好ましい。
【0048】
ダイプレート温度は紡糸温度によるが、プレートの二次加熱システムによって調節される。有用な二次加熱システムには、例えば、「Diphyl」で加熱されたスピニングビームまたは付加的な対流もしくは輻射加熱器が挙げられる。ダイプレートの温度は、通例、紡糸温度と等しい。
【0049】
ダイプレートにおける温度上昇は、紡糸ノズルパックにおける圧力傾斜によって達成することができる。既知の派生文献、例えば、K.Riggert,「Fortschritte in der Herstellung von Polyester−Reifenkordgarn」,Chemiefasern 21,379ページ(1971)には、100barの圧力降下につき約4℃の温度上昇が記載されている。
【0050】
さらに、ルーズフィルタ手段の使用によって、特に、0.10mmと1.2mmの間、好ましくは0.12mmと0.75mmの間の平均粒径を有する鋼砂および/または40μm以下の繊度を有する織物もしくは不織金属布から形成されうるフィルタディスクの使用によって、ダイ圧力を調節することが可能である。
加えて、ダイホール内の圧力降下は、全体の圧力に寄与する。ダイ圧力は、好ましくは80barと450barの間、特に100barと250barの間に設定される。
【0051】
紡糸線伸長率isp、すなわち、引取速度の押出し速度に対する比率は、米国特許5,250,245号に従って、ポリマーまたはポリマー混合物の密度、紡糸ノズル孔径およびフィラメント線密度から式2によって計算される:
式2:
isp=2.25・105・(δ・π)・D2(cm)/dpf(den)
(式中、
δ=溶融体の密度[g/cm3]; PTMTについては、1.12g/cm3 D=紡糸ノズル孔径[cm]
dpf=フィラメントあたりのデニール[den]
本発明の目的には、紡糸線伸長率は、70と500の間、好ましくは100と250の間である。
紡糸ノズル孔の長さ/直径比は、好ましくは1.5と6の間、特に1.5と4の間に選択される。
【0052】
押出されたフィラメントは、冷却遅延ゾーンを通過する。冷却遅延ゾーンは、紡糸ノズル孔から出てくるフィラメントを冷却ガスの直接的な作用から保護し、伸長または冷却を遅らせる遅緩ゾーン(Ruecksprungzone)として紡糸パックの直ぐ下に配置される。この遅緩ゾーンの活性部は、フィラメントが加熱壁に囲まれるように、紡糸パックの拡張部としてスピニングビームの中に構成される。非活性部は、絶縁層および非加熱フレームによって形成される。遅緩ゾーン活性部の長さは、0から100mmの間であり、非活性部の長さは、20から120mmの間であるが、全長が30から200mm、好ましくは30から120mmであることを条件とする。
【0053】
遅緩ゾーン活性部の代替として、再加熱器をスピニングビームの下に配置することができる。活性部とは対照的に、円筒または長方形断面のこのゾーンは、スピニングビームから独立した加熱システムを少なくとも一つ具備する。
同心円状に紡糸ラインを囲む放射多孔冷却システムの場合、冷却遅延は、円筒シュラウドを用いて達成される。
【0054】
その後、フィラメントは、凝固温度より低い温度に冷却される。本発明の目的には、凝固温度は、溶融体が固体状態になる温度である。
本発明に関連して、本質的にもはや粘着性でない温度までフィラメントを冷却することは、特に有利であると分かった。結晶化温度より低い温度、特に、ガラス転移温度より低い温度にフィラメントを冷却することは、特に有利である。
【0055】
フィラメントを冷却するための手段は、先行技術からわかる。冷却用ガス、特に冷却した空気を用いることは、本発明では特に有用である。冷却用空気の温度は、好ましくは12℃から35℃の範囲であり、特に16℃から26℃の範囲である。冷却用空気の速度は、0.20m/秒から0.55m/秒の範囲が有利である。
【0056】
フィラメントは、例えば、多孔壁を有する個別冷却管からなる単繊維システムを用いて冷却することができる。個々のフィラメント各々の冷却は、積極的な冷却用空気の供給によって、またはフィラメントの自己吸気効果を利用することによって達成される。個々の管の代替として、よく知られている直交流冷却システムを用いることも可能である。
【0057】
冷却および伸長領域の特に好ましい実施形態において、遅延ゾーンから出てくるフィラメントは、長さ10から175cm、好ましくは10から80cmのゾーンで冷却用空気に曝される。長さ10から40cmのゾーンは、フィラメントあたり1.5dtex以下の巻上げ時の線密度を有するフィラメントに特に適し、20から80のゾーン長は、フィラメントあたり1.5dtexと9.0dtexの間の線密度を有するフィラメントに特に適する。その後、断面収縮を調節し、紡糸ライン走行方向に寸法調節することによって、フィラメントおよび随伴する空気は、0.2から20:1の範囲、好ましくは0.4から5:1の範囲の引取り時の空気対紡糸ライン速度の比率で、断面を小さくしたチャンネルに一緒に通される。
【0058】
フィラメントは、凝固点より低い温度に冷却された後、集束されて、糸束にされる。紡糸ノズルの下面からの集束位置の本発明で適する距離は、糸の速度および/または糸の温度のオンライン測定のための従来の方法、例えば、TSI社/ドイツのレーザードップラー風速計またはGoratec製作所/ドイツの赤外線カメラ、IRIIS 160型を用いて測定することができる。それは、500から2500mm、好ましくは500から1800mmの範囲である。3.5dtex以下の線密度を有するフィラメントは、好ましくは1500mm以下のより短い距離で、より太いフィラメントは、好ましくはより大きな距離で集束される。
【0059】
紡糸フィラメントと接触するすべての表面は、好ましくは低摩擦材料で製造されることが、本発明の目的には有利である。これによって、フィラメントの破断が実質的に回避され、より高い品質のフィラメント糸が提供される。Cermetec社/ドイツの「TriboFil」規格の低摩擦表面が、この目的に特に適する。
【0060】
フィラメントは、望ましい量の紡糸仕上げ剤を糸に均一に供給する給油器ピンにおいて集束される。特に適する給油器ピンは、入口部、給油開口部を具備する糸導管および出口部によって特徴づけられる。入口部は、漏斗様であり、そのため、まだ乾燥しているフィラメントによる接触が回避される。フィラメントの接触点は、防止仕上げ剤の供給後に糸導管内で生じる。糸導管および給油開口部の幅は、糸の線密度およびフィラメントの数に従う。1.0mmから4.0mmの範囲の開口部および幅が特に適する。給油器の出口部は、好ましくは油溜めを具備する均質化ゾーンとして形成される。こうした給油器は、例えば、Ceramtec社/ドイツまたはGoulston社/米国から入手することができる。
【0061】
油塗布の均質性は、本発明にとって大きな意義がある。均質性は、例えば、Chemiefasern/Textilindustrie,42/94 November 1992の896ページに記載されている方法のようにRossaメータを用いて測定することができる。好ましくは、こうした手順は、90ディジット未満、特に60ディジット未満の油塗布に関する標準偏差値を提供する。45ディジット未満、特に30ディジット未満の油塗布標準偏差値が、本発明の目的には特に好ましい。90または45ディジットの標準偏差値は、それぞれ6.2%または3.1%の変動率にほぼ相当する。
【0062】
気泡は、油塗布に相当な変化を起こしうるので、紡糸仕上げラインおよびポンプを自己脱気性であるように設計して、気泡の発生を防止することが本発明の目的にはとくに有利である。
【0063】
本発明によると、糸が巻上げられる前にフィラメントを交絡させることが、特に好ましい。本発明に関連して、閉じた糸導管を有するノズルは、こうしたシステムが低い糸張力および高い空気圧の時でさえ供給スロットにおける糸のひっかかりを妨げるので、特に適することがわかるであろう。この交絡ノズルは、好ましくは、ゴデット間に配置され、糸の出口張力を、入口ゴデットと出口のゴデットの速度差によって調節する。糸の出口張力は、0.20cN/dtexを越えるべきではなく、主として、0.05cN/dtexと0.15cN/dtexの間の値を有する。交絡空気圧は、0.5barと5.5barの間、3500m/分の巻取り速度の場合には、多くとも3.0barである。
【0064】
糸は、好ましくは、少なくとも10n/mのノード数に交絡させる。100cm未満の最大無ノード間隙および100%未満のノード数変動率値は、特に重要なことである。有利には、1.0barより高い空気圧の利用によって、変動率が70%以下であり、最大無ノード間隙が50cmである高い均質性によって特徴づけられる15n/m以上のノード数が達成される。実用では、Temco社/ドイツのLDタイプのシステム、Slack & Parr社/米国のダブルシステムまたはHeberlein社のPoyjetタイプのノズルが特に有用であることがわかった。
【0065】
第一ゴデット装置の円周速度は、引取速度と呼ばれる。巻取集成装置において糸が空ボンビ上に巻上げられて、パッケージ(ボンビ)を形成する前に、さらなるゴデットシステムが用いられる。
【0066】
安定した、欠陥の無いパッケージは、欠陥の無い糸の巻取りおよび理想的には欠陥の無い後続加工のための基本前提条件である。従って、本発明に関連して、利用される引取張力は、0.025cN/dtexから0.15cN/dtexの範囲、好ましくは0.03cN/dtexから0.08cN/dtexである。
【0067】
本発明による方法の重要なパラメータは、引取ゴデット前および間に設定される糸張力である。知られているように、この張力は、本質的に、Hamanaの実配向張力、糸路上の摩擦張力、ならびに給油器および糸−空気摩擦張力から成る。本発明の目的には、引取ゴデット前および間の糸張力は、0.05cN/dtexから0.20cN/dtexの範囲、好ましくは0.08cN/dtexと0.15cN/dtexの間の範囲である。
【0068】
0.05cN/dtex未満の過度に低い張力は、もはや所望の部分配向度を与えない。張力が0.20cN/dtexを越える時、この張力は、ボビンを巻取り、保存する間に記憶効果を起こし、これが、糸パラメータの低下を導く。
【0069】
本発明によると、張力は、ノズルからの給油器の距離、摩擦表面ならびに給油器と引取ゴデット間の間隙の長さによって調節される。この間隙の長さは、6.0m以下がよく、好ましくは2.0m未満であり、紡糸システムおよび引取機は、直線糸路を確保するために、平行構成などの方式で配置される。
【0070】
幾何学的パラメータは、集束点と巻取りの間の糸の調節時間も表す。その時間中の急速な緩和は、造られるパッケージの品質に対して影響を及ぼす。そう定義される調節時間は、好ましくは50msと200msの間であるように選択される。
POYの巻取速度は、本発明によると、2200m/分と6000m/分の間である。2500m/分と6000m/分の間の速度を選択することが好ましい。ポリマーブレンドを3500m/分から6000m/分の範囲の速度で巻上げることは、特に好ましい。
【0071】
本発明による方法は、ヤーンパッケージの周囲環境を45℃以下、特に、12℃と35℃の間の温度、および40から85%の相対湿度であるように調整することによって有利に行われる。POYパッケージを後続の加工の前に12から35℃、相対湿度40から85%で、少なくとも4時間保存すると、さらに有利である。
【0072】
標準条件のもとで4週間保存した後、本発明によるフィラメントは、
a)90%と165%の間、好ましくは90と135%の間の破断伸び、
b)少なくとも30%、好ましくは40%以上の沸騰水収縮率、
c)1.1%より低い、好ましくは0.9%より低いノーマルウースタ、
d)0.030と0.058の間の複屈折、
e)1.35g/cm3未満、好ましくは1.33g/cm3未満の密度、
f)4.5%以下、好ましくは2.5%以下の破断荷重変動率、および
g)4.5%以下、好ましくは2.5%以下の破断伸び変動率
を有する。
用語「標準条件」は、当業者に知られており、DIN 53802標準規格によって規定されている。DIN 53802による「標準条件」では、温度は、20±2℃であり、相対湿度は65±2%である。
【0073】
沸騰水収縮率が、巻上げ直後に測定した時、50%と65%の間であり、標準条件のもとで4週間保存した後、少なくとも30%、好ましくは40%以上であることは、本発明の目的に、特に有利である。意外にも、このように製造しPOYボビンは、この後の加工性に優れていることが判った。
【0074】
前述の材料パラメータを測定するための方法は、当業者によく知られている。それらは、技術文献から知ることができる。大部分のパラメータは、多様な方法で測定することができるが、フィラメントパラメータを測定するための以下の方法は、本発明の目的に特に有利であろう:
固有粘度は、ウベローデ毛管粘度計において25℃で測定され、よく知られている式によって計算される。用いられる溶媒は、フェノールと1,2−ジクロロベンゼンの3:2(重量/重量)混合物である。溶液の濃度は、溶液100mLに対して0.5gのポリエステルである。
【0075】
融点、結晶化温度およびガラス転移温度は、各々、Mettler社のDSC熱量計を用いて測定される。サンプルは、最初、280℃に加熱して融解し、その後、急冷する。DSC測定は、20℃から280℃の範囲で、10K/分の加熱速度で行われる。温度の値は、プロセッサによって決定される。
【0076】
フィラメント密度は、密度勾配カラムにおいて23±0.1℃の温度で測定される。用いられる試薬は、n−ヘプタン(C7H16)およびテトラクロロメタン(CCl4)である。その密度測定の結果を用いて、非晶質ポリエステルDaの密度および結晶質ポリエステルDkの密度を基に結晶性を計算することができる。この計算は、文献に記載されており、例えば、PTMTについての対応する値は、Da=1.295g/cm3およびDk=1.429g/cm3である。
【0077】
線密度(Titer)は、精密なリールおよび秤量手段を用いて、既知の方法で測定される。用いられる初張力は、好ましくは、POYについては0.05cN/dtexであり、DTYについては0.2cN/dtexである。
【0078】
破断強度および破断伸びは、Statimat装置を用いて、以下の条件のもとで測定される:
固定長は、POYについて200mmおよびDTYについて500mmであり、伸長速度は、POYについて2000mm/分およびDTYについて1500mm/分である。ならびに初張力は、POYについて0.05cN/dtexおよびDTYについて0.2cN/dtexである。最大破断荷重値を線密度で割って、破断強度を決定し、破断伸びは、最大荷重で決定される。
【0079】
沸騰水収縮率は、無張力状態で、95±1℃で10±1分間、水中でフィラメントのかせを処理することによって測定される。かせは、POYについては0.05cN/dtexおよびDTYについては0.2cN/dtexの初張力で巻取ることによって調製され、熱処理前および後のかせの長さの測定は、0.2cN/dtexで行われる。長さの差を用いて、既知の方法で沸騰水収縮率を計算する。
複屈折は、DE 19,519,898に記載されている方法によって測定される。この特許の開示は、参照として本明細書に明確に取り入れられる。
【0080】
テクスチャー加工されたフィラメントのけん縮パラメータは、120℃の展開温度で、Stein社/ドイツのTexturmat装置を用いて、DIN 53840のパート1に従って測定される。
ノーマルウースタ値は、4−CXウースタ試験機を用いて測定され、ウースタ%値として報告される。試験速度は、100m/分であり、試験時間は、2.5分である。
【0081】
本発明によるPOYは、さらなる加工、特に延伸テクスチャー加工が容易である。本発明において、延伸テクスチャー加工は、好ましくは、少なくとも500m/分のテクスチャー加工速度、特に好ましくは少なくとも700m/分のテクスチャー加工速度で行われる。延伸比は、好ましくは少なくとも1.35:1、特に、少なくとも1.40:1である。高温加熱器タイプの機械、例えば、Barmag社のAFK機を用いて延伸テクスチャー加工することは、特に有利である。
このようにして製造されたバルキーフィラメントは、欠陥の数が少なく、ならびに分散染料を用い、担体を用いずに煮沸条件で染色すると、優れた色の深みおよび色の均質性を示す。
【0082】
本発明によるバルキーSETフィラメントは、好ましくは、26cN/texより大きい破断強度および36%より大きい破断伸びを有する。第二加熱器での熱処理を伴わずに得ることができるバルキーHEフィラメントの場合、破断強度は、好ましくは26cN/texより大きく、破断伸びは、30%より大きい。
本発明によるフィラメントのかさおよび弾性挙動は、優れている。
【0083】
以下、実施例によって本発明の実施形態をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に制限されない。
実施例1から3
紡糸および巻取り
0.93dL/gの固有粘度数、325Pa・sの溶融粘度(2.4Hzおよび255℃で測定)、227℃の融点、72℃の結晶化温度および45℃のガラス転移温度を有するPTMTチップを130℃でタンブル乾燥して、11ppmの含水率にした。
溶融体の温度が255℃であるように、そのチップをBarmag社の3E4押出機内で溶融した。この溶融体に、0.1%未満の残留含水率に事前に乾燥させてある様々な量のRohm GmbH社/ドイツの銘柄Plexiglas 7Nのポリメチルメタクリレートが伸長性向上剤として添加した。
この目的のために、添加剤ポリマーは、溶融押出機内で溶融され、歯車定量ポンプを用いて供給手段に供給されて、そこから流れの方向に射出ノズルを通してポリエステル成分へと供給された。15の要素を備え、15mmの内径を有するSulzer社のSMXスタティックミキサー内で、二つの溶融体は、均一に混合され、微細に分散された。
Plexiglas 7Nの溶融粘度は、810Pa・s(2.4Hz、255℃)であり、その結果として、添加剤とポリエステルの溶融体粘度の比率は、2.5:1であった。
【0084】
溶融体の輸送量は、6分の滞留時間を併せて63g/分であり、紡糸ポンプから紡糸ノズルパックまでに送られる量を調整して、POYの線密度が約102dtexになるようにした。様々な巻取速度が設定された。10mmの内径を有するFluitec社のHD−CSEタイプのスタティックミキサーの一つの要素が、紡糸ポンプ入口のあとにあり、しかし紡糸ノズルパックへの入口前に取り付けた。ポンプおよび紡糸ノズルパックを備える、製品ラインおよび紡糸ブロックのための第二加熱システムは、255℃に設定された。紡糸ノズルパックは、フィルタ手段として、高さ30mmの粒径350から500μmの鋼砂ならびに20μmの不織フィルタおよび40μmの織フィルタも具備した。直径0.25mmおよび長さ1.0mmの穴34個を備える直径80mmの紡糸ノズルプレートを通して、溶融体を押出した。ダイ圧力は、120から140barであった。
【0085】
冷却遅延ゾーンは、加熱壁30mmと絶縁、非加熱フレーム70cmとから成り、長さ100mmであった。1500mmの長さにわたって紡糸ラインに対して水平に流れる空気で、溶融フィラメントを冷却した。冷却用空気は、0.35m/秒の流速、18℃の温度および80%の相対湿度を有した。フィラメントは、紡糸ノズルの約800mm下で固体になった。
紡糸ノズルから1050mmの距離に配置された糸給油器を用いて、紡糸仕上げ剤で処理し、集束した。給油器は、TriboFil表面および直径1mmの注入口開口部を有した。塗付した紡糸仕上げ剤の量は、繊維重量を基準にして0.40%であった。
【0086】
その後、集束された紡糸線を巻取機に供給した。給油器と第一引取ゴデットの間の距離は、3.2mであった。調節時間は、105msと140msの間であった。一対のゴデットに糸をS字型に巻き付けた。Temco交絡ノズルは、ゴデット間に位置し、1.5barの空気圧を用いて操作した。速度設定に合わせて、Barmag社 SW6巻取機の巻取速度を巻取糸張力が5cNであるように設定した。約34℃の温度がヤーンパッケージの周囲環境において保障されるように、部屋の条件を24℃および相対湿度60%に調整した。
添加したすべての量の添加剤について、生産性の有意な増加が達成された。製造された10kgのボビンは、巻取マンドレルから容易に取り外すことができた。得られたPOY糸は、DIN 53802に規定の標準条件のもとでの4週間の保存期間にわたって、良好な糸特性の時間的安定性が、顕著であった。紡糸および巻取直後の沸騰水収縮率は、51から54%の範囲であることがわかった。テクスチャー加工性および達成された染色の均一性は、優れていることがわかった。用いられる延伸比は、用いたPOY速度に対して驚くほど高かった。
他のパラメータおよび特性データを表1から4にまとめる。
【0087】
【表1】
【0088】
【表2】
【0089】
延伸テクスチャー加工
PTMTフィラメントボビンをDIN53802に規定の標準条件のもとで4週間保存し、その後、Barmag社 FK6−S−900延伸テクスチャー加工機に供した。いわゆるSETフィラメントを製造するための延伸テクスチャー加工の実験パラメータを表3にまとめ、得られたバルキーSETフィラメントの材料特性を表4にまとめる。
テクスチャー加工の欠陥は、次の極限値設定: UP/LP=3.0cN、UM/LM=6.0cNで、Barmag社のUNITENSシステムを用いて測定した。
【0090】
【表3】
【0091】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【図1】標準条件のもとでの保存時間の関数としての3つのPTMT POYボビンに関する沸騰水収縮率の変化を示す図である。
Claims (9)
- a)紡糸線伸長率を70から500の範囲に設定すること、
b)紡糸ノズルから出て直ぐ、長さ30mmから200mmの冷却遅延ゾーンにフィラメントを通すこと、
c)凝固温度より下にフィラメントを冷却すること、
d)紡糸ノズルの下面から500mmと2500mmの間の距離でフィラメントを集束すること、
e)引取ゴデッドの前および間の糸張力を0.05cN/dtexと0.20cN/dtexの間に設定すること、
f)0.025cN/dtexと0.15cN/dtexの間の糸張力で糸を巻き取ること、
g)巻取速度を2200m/分と6000m/分の間に設定すること、および
h)フィラメントの全重量を基準にして0.05重量%から2.5重量%の添加剤ポリマーが伸張性向上剤として混合されているポリエステルを用いること
からなることを特徴とする、ポリエステルフィラメントの全重量を基準にして少なくとも90重量%以上がポリブチレンテレフタレート(PBT)および/またはポリトリメチレンテレフタレート(PTMT)、好ましくはPTMTからなるPOYポリエステルフィラメントを製造し、巻取る方法。 - 0.7dl/gから0.95dl/gの範囲の極限粘度数を有するPBTおよび/またはPTMTを用いることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 巻取りが、ヤーンパッケージの周囲環境の温度を45℃以下に設定することによって行われる請求項1および/または2に記載の方法。
- POYボビンが、後続の加工前、少なくとも4時間、12〜35℃、相対湿度40〜85%で保存されることを特徴とする請求項1〜3の少なくとも一項に記載の方法。
- 巻取速度が、2500m/分と6000m/分の間に設定される請求項1〜4の少なくとも一項に記載の方法。
- DIN53802に規定の標準条件のもとで4週間保存した後に、
a)90%と165%の間の破断伸び、
b)少なくとも30%の沸騰水収縮率、
c)1.1%より低いノーマルウースタ、
d)0.030と0.058の間の複屈折、
e)1.35g/cm3未満、好ましくは1.33g/cm3未満の密度、
f)4.5%以下の破断荷重変動率、および
g)4.5%以下の破断伸び変動率
を有することを特徴とする請求項1〜5のうちの少なくとも一項に記載の方法によって得ることができるPOYポリエステルフィラメント。 - 請求項6に記載のフィラメントが、延伸テクスチャー加工機内で、少なくとも500m/分の速度および少なくとも1.35:1の延伸比で、バルキー糸に加工されることを特徴とするバルキーポリエステルフィラメントを製造する方法。
- 破断強度が、26cN/texより大きく、破断伸びが、36%より大きいことを特徴とする請求項7に記載の方法によって得ることができるバルキーポリエステルSETフィラメント。
- 破断強度が、26cN/texより大きく、破断伸びが、30%より大きいことを特徴とする請求項7に記載の方法によって得ることができるバルキーポリエステルHEフィラメント。
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