JP2004509719A - 柔軟で可撓性のある使い捨てエンボス加工拭取り布 - Google Patents

Abstract

ウェットタイプの乳児用拭取り布として使用するのに好適な不織布拭取り布が、所定の呼び繊維長を有する熱可塑性繊維からなり、その拭取り布は、複数の別個のアイコンを含むパターンでカレンダーエンボス加工され（ｃａｌｅｎｄａｒ−ｅｍｂｏｓｓｅｄ）ており、アイコンのそれぞれが、呼び繊維長の少なくとも約半分のアイコン相当直径を有し、複数のアイコンは、呼び繊維長の少なくとも約半分の非結合領域相当直径により互いに分離されている。好ましい実施態様では、不織布ウエブは、約４０％〜６０％がビスコースで、及び残りが熱可塑性繊維の繊維組成物で、スパンレース加工される（ｓｐａｎｌａｃｅｄ）。
本発明の拭取り布は、更なる審美的魅力のために優れた柔軟性にエンボスデザインを組み合わせる。

Description

【０００１】
（発明の分野）
本発明は、使い捨て拭取り物品に関し、特に、乳児用拭取り布として使用するのに好適なウェットタイプの拭取り布に関する。
【０００２】
（発明の背景）
ウェットタイプの清浄拭取り布は、周知であり、ウェットタオル、ぬれナプキンなどと呼ばれることが多い。ウェットタイプの拭取り布は、ローションで湿りが与えられている不織布ウエブなどの基材を含む。ローションは、水性ローションとすることができ、皮膚コンディショニング成分を含有してもよい。好ましい１つのローションは、ナトリウムアクリレートなどの高分子乳化剤、及び水中油エマルション型処方のジメチコーンなどのシリコーン油を含む。
【０００３】
ローションは、１つ以上の表面活性材料（界面活性剤）を含有することもできる。ローションはまた、防腐及び芳香成分を含有することもできる。別の形式では、拭取り布は、乾燥しており、使用時に使用者が湿らすこともできる。したがって、本発明は、乳児用拭取り布として使用するのに好適なウェットタイプ拭取り布として最も有用であると考えるが、最終使用者が望むように、湿らせることができるドライ拭取り布としても用途があり得る。
【０００４】
ウェットタイプ拭取り布は、家庭内または家庭外で、特に子供及び幼児の清浄に使用される。例えば、拭取り布は、おむつの交換中に幼児の皮膚を清浄するのに使用されることが多い。同様に、ウェットタイプの拭取り布は、大人の間で、失禁用物品の使用に関連して使われることが多い。ウェットタイプの拭取り布のその他の用途は、石鹸、布、及び流水が入手できない、または好適ではない、或いは特定の作業に不便である一般的な洗浄作業を包含する。殆ど全ての場合に、ウェットタイプの拭取り布は、折って重ねられたシートの使い捨て拭取り布として提供され、各拭取り布は１回のみの使用を意図している。ウェットタイプの拭取り布は、使い捨てウェットタオルと呼ばれることが多い。
【０００５】
歴史的には、様々なタイプの不織布ウエブが、使い捨てウェットタオルとしての使用に利用されてきた。その様々なタイプの不織布は、通常その製造に使われる特定の生産工程のために、視覚及び触覚特性が異なる。しかし、乳児用拭取り布として使用するのに好適な、使い捨て拭取り布の消費者は、あらゆる場合において、清浄能力などの他の機能的な属性に加えて、柔軟性及び可撓性を要求する。柔軟性及び可撓性は、ある種の測定可能な物理変数に関係づけることができるが、実際には知覚される柔らかさが何より主体的であることが多く、消費者は、ウェットタオルの評価に際して、視覚及び触覚特性に反応することが多い。
【０００６】
一例として、オハイオ州（Ｃｉｎｃｉｎｎａｔｉ ＯＨ）のプロクターアンドギャンブル社（Ｔｈｅ Ｐｒｏｃｔｅｒ ＆ Ｇａｍｂｌｅ Ｃｏ．）がパンパース（ＰＡＭＰＥＲＳ：登録商標）ベイビーフレッシュ（Ｂａｂｙ Ｆｒｅｓｈ：商標）拭取り布を北米で販売しており、その不織布基材は、湿っても永久的であるカレンダーエンボス（ｃａｌｅｎｄａｒ−ｅｍｂｏｓｓｅｄ）デザインの刻印加工を含む、エアレイド接着剤接合工法により製造されている。その不織布ウエブは、平方メートル当り約６３．６グラム（ｇｓｍ）の乾燥坪量、及び湿潤時の厚さ約０．６１ｍｍを有する。そのエンボスパターンは、消費者にさらなる承認と魅力を与える視覚上の満足効果を提供する。その上、消費者は、ある種のエンボスデザインが柔軟性を付与すると察知している。これは、場合によって、専門的には真実である。その結果、パンパース（ＰＡＭＰＥＲＳ：登録商標）ベイビーフレッシュ（Ｂａｂｙ Ｆｒｅｓｈ：商標）拭取り布は、米国内でめざましい商業的成功を得ている。
【０００７】
欧州では、プロクターアンドギャンブル社（Ｐｒｏｃｔｅｒ ＆ Ｇａｍｂｌｅ Ｃｏ．）がパンパース（ＰＡＭＰＥＲＳ：登録商標）ベイビーフレッシュ使い捨て拭取り布を販売しているが、その不織布基材は、スパンレース工法（ｓｐａｎｌａｃｅ ｐｒｏｃｅｓｓ）で製造され、どのデザインでもエンボスされていない。その不織布ウエブは、乾燥坪量約６０ｇｓｍ〜６２ｇｓｍ、及び湿潤時の厚さ約０．５２ｍｍを有する。エンボスデザインなどの柔軟性の視覚信号はないが、スパンレース加工された（ｓｐａｎｌａｃｅｄ）ウエブに熱的または化学的接着がないことが、非常に低い弾性係数及び曲げトルクの結果となっている。低い弾性係数、低い曲げトルク、及び適切な繊維選定の組み合わせが、これらの拭取り布に非常に優れた固有の柔軟性を与えている。これら使い捨て拭取り布は、欧州の多くの場所で、例えば英国で、めざましい商業的成功を得ている。
【０００８】
この結果から、適切な繊維を利用すれば、スパンレース工法（ｓｐａｎｌａｃｅｄ ｐｒｏｃｅｓｓ）が、使い捨て乳児用拭取り布として使用するのに好適な、比較的柔軟で、可撓性があり強度のある、不織布ウエブを生産することがわかる。しかし、特に北米の消費者に対して美的魅力を追加するためにエンボス加工すると、可撓性が受け入れられないほどに減少することが判明した（すなわち、剛性が知覚できるほど増加し、特に欧州の消費者が不承認を示す）。２つの異なる製品を世界の消費者に販売するよりも、エンボス加工ウェットタオルの視覚上の美的魅力に、スパンレース製（ｓｐａｎｌａｃｅ−ｐｒｏｄｕｃｅｄ）エンボス無しウェットタオルの固有の柔軟性を組み合わせた共通製品を見つけられれば、経済的に有利である。
【０００９】
それ故に、エアレイドエンボス加工ウェットタオルの視覚上の美的魅力に、スパンレース製エンボス無しウェットタオルの固有の柔軟性を組み合わせた、ウェットタイプの拭取り布として使用するのに好適な基材を、提供することが望ましい。
【００１０】
それに加えて、北米と欧州の両方において消費者に販売して成功できる、ウェットタイプの拭取り布を提供することも望ましい。
【００１１】
更に、湿った時に永久的なエンボスパターンを示し、及び前駆体（すなわち、エンボス前）ウエブと比較して剛性の増加を示さない、エンボスしたスパンレース（ｓｐａｎｌａｃｅ−ｐｒｏｄｕｃｅｄ）不織布ウエブを提供することが望ましい。
【００１２】
（発明の概要）
乳児用ウェットタイプ拭取り布として使用するのに好適な、不織布拭取り布を開示する。その不織布は、所定の呼び繊維長を有する熱可塑性繊維を含む繊維からなり、その拭取り布は、複数の別個のアイコンを含むパターンでカレンダーエンボス加工され（ｃａｌｅｎｄａｒ−ｅｍｂｏｓｓｅｄ）ており、アイコンのそれぞれが、呼び繊維長の少なくとも約半分のアイコン相当直径を有し、複数のアイコンは、呼び繊維長の少なくとも約半分の非結合領域相当直径により互いに分離されている。好ましい実施態様では、不織布ウエブは、約４０％〜６０％がビスコースで、及び残りが熱可塑性繊維の繊維組成で、スパンレース加工される（ｓｐａｎｌａｃｅｄ）。本発明の拭取り布は、優れた柔軟性と、より良い美的魅力のためのエンボスデザインを組み合わせる。
【００１３】
（詳細な説明）
本発明の拭取り布は、所定のエンボスパターンを有する不織布基材を含む。拭取り布は、エンボス加工後にローションで湿らせた、ウェットタイプの拭取り布であるのが好ましい。その基材は、天然繊維、合成繊維、またはこれらの組み合わせで形成された、ウェットタオルなどのウェットタイプの拭取り布として使用するのに好適な不織布ウエブを含むことができ、好ましくは、スパンレース工法で生産された柔軟で可撓性のある不織布である。そのローションは、水溶液を含むことができ、界面活性剤及び／または補助界面活性剤／起泡剤／乳化剤及び／または非セルロース系水溶性有機高分子を含むことができる。
【００１４】
本発明の拭取り布は、折って積み重ねた拭取り布の容器から分配するのが特に好適であり、容器から拭取り布を取り出すと次の拭取り布の端部が出て分配が容易になる、「ポップアップ」拭取り布として分配するのが更に好ましい。本発明の拭取り布は、Ｃ折りなどの既知の様々な折り畳みパターンのいずれでも折ることができるが、Ｚ折りが好ましい。Ｚ折り構成により、折った拭取り布の積み重ねは、重なる部分で交互配置が可能になる。好ましい折りパターンが、１９９９年６月２５日に出願されて本発明の譲渡人に譲渡された同時係属中の米国特許出願シリアル番号０９／３４４，６９５，ケース７４９６Ｒに更に完全に開示されており、これを参考として本明細書に組み入れる。
【００１５】
本明細書で使用する用語「不織布」は、方向を有するか、またはランダムに配向された繊維が、摩擦及び／または粘着及び／または接着により結合された、シート、ウエブ、またはバット（ｂａｔｔ：布団やキルトに入れる打ち延べした綿）を指し、紙、ティッシューペーパ、及び、織られた、編まれた、タフテッド加工された、若しくは縫合結合された製品を除く。構成繊維が、３００未満の長さに対する直径の比、または約１ｍｍ未満の呼び（若しくは平均）繊維長を有する場合、ウエブは紙ウエブであると考えられ、したがって分類的に本発明のウエブとして包含されない。
【００１６】
本明細書で使用する用語「水溶液」は、少なくとも５０重量％が水であり、より好ましくは少なくとも７５重量％が水であり、最も好ましくは少なくとも９４重量％が水である溶液を指す。
【００１７】
本明細書で使用する用語「ウェットタイプの拭取り布」は、消費者が使用する前に流体組成物で基材を湿らせるなど、より湿った基材を含む拭取り布を指す。特に、「ウェットタイプの拭取り布」は、一般的に湿気不透過性の容器または包み材などでの包装の前に湿らされた基材を有する拭取り布を指す。
【００１８】
「ウェットタオル」及び「ぬれナプキン」と呼ぶこともできる、ウェットタイプの拭取り布は、乳児の洗浄用途に好適であり、全年齢の人々に関連する洗浄作業に用途を見出すことができる。かかる拭取り布はまた、物質を身体に適用するために使用する物品を含むことができ、メークアップ、皮膚コンディショナー、軟膏、日焼け止め剤、防虫剤、及び医療品の適用などが挙げられるが、これには限定されない。かかる拭取り布はまた、ペットを洗浄するまたは手入れをするために使用する物品、並びに、家庭台所及びバスルーム表面、眼鏡、運動及び体操道具、自動車表面などの、表面及び物体の一般洗浄に使用する物品を含むことができる。
【００１９】
本明細書で使用する用語「％」「パーセント」「重量％」または「重量による％」は、物質組成物に関連して使用する時、他に表示がなければ、全体に対する百分率としての構成成分の重量を指す。
【００２０】
本明細書で使用する用語「坪量」は、拭取り布または不織布ウエブ基材の単位面積当りの重量を指す。したがって、坪量を決定する１つの方法は、ウエブの密度にウエブの厚さを乗算することである。坪量の単位は、通常、平方メートル当りのグラムとして表す。
【００２１】
本明細書で使用する用語「水溶性」は、ある構成成分が、２５℃において少なくとも約０．２５重量％のレベルで、水に溶解可能、さもなければ分散可能なこと（ミセル溶液を作るなど）を意味する。
【００２２】
本明細書で使用する用語「界面活性剤」は、好ましくは界面に適応する材料を指し、界面活性剤類のクラスとして、非イオン性界面活性剤類、陰イオン性界面活性剤類、陽イオン性界面活性剤類、両性界面活性剤類、双性界面活性剤類、及びこれらの混合物が挙げられる。
【００２３】
本明細書で使用する用語「乳化剤」または「可溶化剤」は、ローション中の１つ以上の他の構成成分がローションから相分離する傾向を減少する構成成分を指す。
【００２４】
本明細書で使用する用語「補助界面活性剤」は、界面活性剤としてか、または乳化剤／可溶化剤としてか、いずれかで作用することができる構成成分を意味する。
【００２５】
本明細書で使用する用語「有機水溶性重合体」は、単量体と呼ばれる更に小さな分子の化合により形成される有機化合物を意味する。この用語は、一般に、ポリペプチド類、核酸類、多糖類、及び塑性体類など、共有結合により連結された多数の単量体で作られる巨大分子か、或いはヘモグロビン、またはｌｇＭ免疫グロブリンなど、共有結合または非共有結合により連結された幾つかのサブユニットで作られるタンパク質か、いずれかを指すことに使用される。
【００２６】
不織布ウエブに関して本明細書で使用する用語「機械方向」は、例えば商業用不織布製造設備上で不織布ウエブが生産される時にウエブが走行する方向を指す。同様に、用語「横断方向」は、ウエブ平面内で機械方向に垂直の方向を指す。拭取り布はウエブによって製作されており、個々の拭取り布に関する用語はそのウエブに対応する拭取り布の方向を指す。試験サンプルが試験中にどの向きであるかによって、不織布ウエブの機械的特性が変わり得るので、これらの方向は、本明細書で注意深く区別される。例えば、不織布ウエブの伸張特性は、構成繊維の配向及び他のプロセスに関連する要因のために、機械方向と横断方向の間で異なる。
【００２７】
乳児用拭取り布として好適な使い捨てウェットタオルの場合、拭取り布の柔軟性、可撓性、及び厚さ全てが、消費者の満足感に影響することが判明した。これら消費者が好む属性は、不織布基材の製作方法、及び審美的にも感じのよいエンボスデザインの有無、により著しく影響されることが判明した。ウェットタオルの好ましい柔軟性及び可撓性変数を定量化して、測定し、設計するための努力の中で、広範な消費者パネル試験が実施された。消費者パネル試験の結果、拭取り布そのものの所与の厚さに対して、弾性係数及び曲げトルクの横断方向（ＣＤ）機械特性が、消費者が受け入れ可能な柔軟性及び可撓性の中で、最も適切な技術的指標であることが明らかになった。しかし、単に技術的に柔軟で可撓性があることを超えて、北米で商業的成功を得る乳児用拭取り布に対する追加的要求は、付加された柔軟性及び品質を消費者へ伝えることができる、審美的にも感じのよいエンボスデザインの存在である。
【００２８】
本発明の拭取り布の好ましい実施態様を、有益な基材及びエンボスパターンの例を示すために図を参照して、次に開示する。
【００２９】
基材：
本発明の拭取り布１は、天然繊維、合成繊維、または天然繊維と合成繊維の混合物の不織布ウエブ、を有する基材を含むことができる。好適な天然繊維として、木材パルプ繊維、木綿、及びレーヨンなどの、セルロース繊維などが挙げられるが、これらには限定されない。好適な合成繊維は、通常織物に使用される繊維を包含し、ポリエステル及びポリプロピレン繊維などの、ポリオレフィン類などが挙げられるが、これらには限定されない。好ましい実施態様では、柔軟性と（エンボス中の）結合性の経済的なバランスのために、ビスコース（レーヨン）が、ポリプロピレンと組み合わせて使用される。ビスコースは、優れた柔軟性及び布様特性をもたらすが、単独で使用するとフランネル様のウエブを作る傾向があり、これは現在、乳児用拭取り布の消費者には好まれない。ポリプロピレンにより、エンボス段階でウエブが熱により結合可能になるが、単独で使用すると、乳児用拭取り布の消費者にはあまりにも滑らかすぎて人工的な感じのするウエブとなる。２つのタイプの繊維を混合することにより、ビスコース繊維のフランネル様感触がより絹感触に変わって、拭取り布に絹様柔らか感を与え、これにより乳児用拭取り布として消費者が気に入るものとなる。
【００３０】
消費者が好む柔軟で可撓性のある乳児用拭取り布のための不織布ウエブの特定繊維組成物を超えて、最も適切なものであると特定された２つの技術的指標は、横断方向（ＣＤ）曲げトルク及びＣＤ弾性係数である。これら２つの技術的指標は、次の試験方法の項で開示される方法を使用して決定される。２つの技術的指標は、ローション加工された、すなわち湿った拭取り布に関し作成され、本明細書で開示する。現在好ましい基材は、約０．０１７ｇｍ・ｃｍ未満のＣＤ曲げトルク値、及び約２００ｇ／ｉｎ．（約７．８７４ｇ／ｍｍ）未満のＣＤ係数を有する。
【００３１】
現在のところ、非常に低いＣＤ係数特性を有し非常に柔らかく可撓性がある「垂れ易い」ウエブを生産する好ましい方法は、スパンレース加工（ｓｐａｎｌａｃｉｎｇ）である。スパンレース（ｓｐａｎｌａｃｉｎｇ）技術は、不織布ウエブを生産する既知の方法であり、例えばカードウエブとして繊維のマトリックスを積層すること、及び繊維を交絡して凝集したウエブを形成することを伴う。交絡加工は通常、複数の好適に配置した水ジェットからの高圧水を繊維のマトリックスに衝突させることにより達成され、これは水流交絡加工と呼ばれることが多い。理論上では、圧縮空気などの他の流体も、衝突媒体として使用することができる。ウエブの繊維は、このようにして交絡されるが、互いに物理的には結合していない。したがって、スパンレース加工された（ｓｐａｎｌａｃｅｄ）ウエブの繊維は、熱によりまたは化学的に結合することにより形成されるウエブの繊維よりも自由な動きを有する。特に、予湿りを与えるウェットタオルとして湿らせることにより潤滑されると、かかるスパンレース加工された（ｓｐａｎｌａｃｅｄ）ウエブは、非常に低い曲げトルクと低い係数を有するウエブを提供する。
【００３２】
ウェットタイプ拭取り布として使用する場合、本発明のウエブは、平方メートル当り約５５グラム（ｇｓｍ）〜７５ｇｓｍの、より好ましくは約６０ｇｓｍ〜７０ｇｓｍの乾燥坪量を有する。現在好ましい実施態様は、約６０ｇｓｍ〜６２ｇｓｍの乾燥坪量を有する。本発明で好ましいスパンレース加工された（ｓｐａｎｌａｃｅｄ）ウエブは、フィンランドのスオミネン社（ｔｈｅ Ｊ．Ｗ．Ｓｕｏｍｉｎｅｎ Ｃｏｍｐａｎｙ）から入手可能であり、フィブレラ（Ｆｉｂｒｅｌｌａ）の商品名で販売されている。特に、フィブレラ（Ｆｉｂｒｅｌｌａ）３１００及びフィブレラ３１６０が、本発明の前駆体ウエブとして有用であることが判明している。フィブレラ（Ｆｉｂｒｅｌｌａ）３１００は、１．５デニールポリプロピレン繊維を５０％、及び１．５デニールビスコース繊維を５０％含む、６２ｇｓｍ不織布である。フィブレラ（Ｆｉｂｒｅｌｌａ）３１６０は、１．５デニールポリプロピレン繊維を６０％、及び１．５デニールビスコース繊維を４０％含む、６０ｇｓｍ不織布である。両方の好ましいウエブにおいて、平均繊維長は、約１．５インチ（約３．８ｃｍ）である。平均繊維長とは、真っ直ぐに伸ばした場合の個々の繊維の長さについて言う。
【００３３】
ウェットタイプの拭取り布は、乾燥繊維ウエブのグラム当り少なくとも１グラムの流体ローションで乾燥基材を湿らせることにより製作する。乾燥基材は、好ましくは少なくとも約２．０グラムで、より好ましくは少なくとも約２．５グラムで湿らされ、一実施態様では、乾燥繊維ウエブのグラム当り約３．２〜３．４グラムの流体ローションが添加される。
【００３４】
本発明のスパンレース加工された（ｓｐａｎｌａｃｅｄ）ウエブは、優れた柔軟性及び可撓性を有する。例えば、上述のスパンレース加工された（ｓｐａｎｌａｃｅｄ）スオミネン（Ｓｕｏｍｉｎｅｎ）のウエブそれぞれは、約０．０１３ｇｍ・ｃｍのＣＤ曲げトルク、及び約１３４ｇ／ｉｎ．のＣＤ係数を有する。これら測定可能な技術変数は、消費者試験した柔軟性レベルとよく関連する。したがって、ウェットタオルとして使用するのに好適なスパンレース加工された（ｓｐａｎｌａｃｅｄ）ウエブは、その固有の柔軟性及び可撓性のために、ウェットタイプの幼児用拭取り布に首尾よく利用することができる。
【００３５】
しかし、上述のように、北米の消費者が受け入れ可能な乳児用拭取り布の場合、さらなる柔軟性を伝える、及び他の点ではさらなる美的魅力を提供する、エンボスパターンを有することが望ましい。エンボスパターンは、湿った時も見えなければならない。しかしながら、エンボス加工は通常、不織布ウエブの係数を増すために使用され、これにより通常、ウエブの強度も上昇する。したがって、不織布ウエブに対する既知の方法での、特に既知のパターンでのエンボス加工は、材料の曲げトルク及び／または係数を劇的に増加する傾向がある。これら機械的特性におけるかかる増加は望ましくなく、且つ柔軟で可撓性のある乳児用拭取り布の場合、商業的に受け入れ不可能である。
【００３６】
エンボスパターンを形成する１つの方法は、既知のパターンでの既知の熱によるカレンダー結合である。カレンダー結合法では、不織布ウエブは、少なくともその一つが加熱されて高められた部分を有する反対方向に回転する２つのカレンダーロールのニップの中へ供給され、高められた部分が、不織布ウエブを圧縮し、隣接する繊維を溶融結合する。エンボス加工の良い方法ではあるが、繊維のかかる溶融結合及び再固結化は、ウエブを剛化する傾向があり、乳児用拭取り布として使用するには不十分なウエブとなる。例えば、上述のスオミネン（Ｓｕｏｍｉｎｅｎ）からのスパンレース加工された（ｓｐａｎｌａｃｅｄ）フィブレラ（Ｆｉｂｒｅｌｌａ）ウエブでは、エンボス加工は、隣接するポリプロピレン繊維を結合し得て、隣接繊維の自由な（または半自由な）動きを妨げ、したがってより剛性の高い構造を作り出す。
【００３７】
本発明のウエブは、既知のエンボス法に関連する上述の問題点を克服し、審美的に感じのよいエンボス加工と共に、消費者が認めるレベルの柔軟性を示す。本明細書で説明するようにエンボス加工する時、スパンレース加工された（ｓｐａｎｌａｃｅｄ）ウエブは、ＣＤ曲げトルクまたはＣＤ係数の増加が殆どなく、湿った時も永久的なエンボスデザインを有することができる。
【００３８】
一般的に、所定の呼び（または平均）繊維長約０．７５インチ（１．９ｃｍ）〜約３インチ（７．６ｃｍ）を有する繊維からなる、エアレイドまたはカード加工されたウエブから形成されたスパンレース加工された（ｓｐａｎｌａｃｅｄ）ウエブを、本明細書で説明する方法でエンボス加工することにより、前駆体ウエブの初期の曲げトルク及び係数特性が、実質的に保存可能であることが判明した。繊維長はあらかじめ定められており、平均繊維長として指定することができる呼び長さのステープル繊維として繊維メーカーから供給される。カード加工ウエブ用の通常の繊維長は、呼び長さ１．５インチ（３８．１ｍｍ）並びに１及び９／１６インチ（３９．７ｍｍ）である。
【００３９】
比較として、スパンボンドウエブは、互いに熱により結合された連続繊維を含み、これにより、比較的固い不織布ウエブ構造となる。メルトブロー繊維は、不連続ではあるが、隣接繊維と溶融結合されて、これもまた、比較的固いウエブとなる。
【００４０】
本発明の目的のための不織布とは考えられないが、紙、例えば湿式積層ティッシューペーパは、３ミリメートル以下程度の非常に短い繊維を通常含む。
【００４１】
本発明のウエブの構成繊維は、断面が円形、犬の骨形、デルタ（すなわち、三角形断面）、３葉（ｔｒｉ−ｌｏｂａｌ）、リボン、またはステープル繊維として通常生産される他の形状とすることができる。同様に、その繊維は、二成分繊維などの抱合体繊維とすることもできる。ステープル繊維は、けん縮加工されていてもよく、潤滑剤などによる仕上げが施されていてもよい。
【００４２】
本発明のウエブをエンボス加工する方法は、ウエブに個別の「アイコン」でカレンダーエンボス加工する（ｃａｌｅｎｄａｒ ｅｍｂｏｓｓｉｎｇ）ことを包含し、各アイコンが、前駆体ウエブの呼び繊維長の半分よりも大きいアイコン相当直径を有し、各アイコンは、呼び繊維長の半分よりも大きい非結合領域相当直径により隣接アイコンから分離されている。
【００４３】
本明細書で使用する「アイコン」は、基本的に線画として形成された、花、王冠、ウサギ、象、または他のデザインなどの、単一の個別デザインまたは形状を意味する。ある種のアイコンが「線」として記述できない部分（例えば、動物の目など）を有する場合がある一方、全体デザインは、デザインまたは形状を作るパターンの線を主として含む。
【００４４】
本明細書で使用する「アイコン相当直径」は、アイコン全体を囲む（すなわち、包囲して描く）ことができる最小の円の直径を意味する。アイコンを囲むとは、アイコン上の少なくとも２つの点が円に接線的に接触し、アイコンのどの部分も円の外側にはみ出さないことを意味する。もちろん、囲むことは、基材の上に描かれる、または記される文字通りの円を必要とはしない。円を重ね合わせる光学的方法を包含するいずれの方法でも、アイコン相当直径を決定することに使用できる。本発明の目的のために、アイコン相当直径を、次の試験方法の項に示すように決定した。
【００４５】
本明細書で使用する「非結合領域相当直径」は、アイコンの間で囲むことができるが、いずれのエンボスされた部分もその中に含まない、最大円の直径を意味する。アイコンの間で囲むとは、少なくとも３つのアイコン（または、図２に示すような直線若しくは波線などの他の連続エンボス部）上の少なくとも１点が、円に接線的に接触し、どのアイコンのどの部分も円内に架橋しないことを意味する。もちろん、囲むことは、基材の上に描かれる、或いは記される文字通りの円を必要としない。円を重ね合わせる光学的方法を包含するいずれの方法でも、アイコン相当直径を決定することに使用できる。本発明の目的のために、非結合領域相当直径を、次の試験方法の項に示すように決定した。
【００４６】
エンボスパターンで、多様なアイコンの大きさ及び／または間隔を使用する場合には、全ての直径の平均をアイコン相当直径として使用する。しかし、多様な大きさのアイコンを使用する場合には、最小アイコンは、平均繊維長の約半分よりも大きいアイコン相当直径を有さなければならない。同様に、アイコン間の最小間隔は、平均繊維長の約半分よりも大きい非結合領域相当直径を有さなければならない。
【００４７】
理論に縛られるわけではないが、上述の制限が、乳児用拭取り布として使用する消費者が受け入れ可能な不織布ウエブを生産するために必要である、と考えられる。しかし、上述の制限からのわずかな逸脱が、特許請求の範囲を無効にすることは意図してはいない。例えば、平均繊維長の約半分未満の非結合領域相当直径を有するわずかな数のアイコンを有するウエブは、本発明のウエブに比べてわずかな違いしか有さないと考えられる。
【００４８】
理論に縛られるわけではないが、本発明の拭取り布の予想を外れた柔軟性及び可撓性特性は、隣接繊維を「不動化」し、ウエブの可撓性を減少することがある格子または十字パターンのエンボス部など、連続パターンを欠いているためであると考えられる。エンボスパターンを上述のように作成することにより、ウエブの非常にわずかな繊維しか隣接繊維に物理的に結合されておらず、その結果、繊維は、互いに対して動くのが基本的に自由のままである。
【００４９】
したがって、一実施態様では、本拭取り布は、所定の呼び繊維長を有する繊維と、複数の別個のアイコンを含むエンボスパターンとからなり、各アイコンが呼び繊維長の少なくとも半分のアイコン相当直径を有し、複数のアイコンが呼び繊維長の少なくとも半分の非結合領域相当直径により互いに分離されている、不織布ウエブを含む拭取り布として記述することができる。
【００５０】
理論に縛られるわけではないが、結合領域合計パーセント、すなわち、拭取り布基材のエンボス面積のパーセントもまた、重要なのは明らかである。エンボス面積は、カレンダーエンボス加工（ｃａｌｅｎｄａｒ ｅｍｂｏｓｓｉｎｇ）を使用する場合には、エンボス加工突出部のランド面積に基本的に等しい。特に、約８％よりも大きい結合領域にすると、ウェットタオルが過剛性になり、したがって柔軟性、または知覚柔軟性が減少すると考えられる。
【００５１】
同様に、約４％未満の結合領域では、使用者が審美的な見かけと感触を知覚するに足りる視覚上の品質を拭取り布に与えるための十分なカレンダー掛け、エンボス加工域がない可能性がある。結合領域合計パーセントは、次の試験方法の項で述べるように決定される。
【００５２】
例として、結合パターンの幾つかの異なる実施態様を、図に関連して、次に記述する。記述した結合パターンのそれぞれに対して、前駆体ウエブは、スオミネン（Ｓｕｏｍｉｎｅｎ）からフィブレラ（Ｆｉｂｒｅｌｌａ）３１６０の商品名で購入したスパンレース加工された（ｓｐａｎｌａｃｅｄ）ウエブであった。そのウエブは、１．５デニールポリプロピレンを６０％、及び１．５デニールビスコースを４０％含む、６０ｇｓｍウエブであった。呼び繊維長は、１．５インチ（約３．８ｃｍ）であった。
【００５３】
【表１】

表１で「コントロ−ル」と表示されたサンプルは、いずれのエンボスパターンも有さない基準の、または前駆体の不織布ウエブを表す。上述のように、このウエブは、優れた柔軟性及び可撓性を有するウエブを代表し、この２つの属性は柔軟性レベルでの消費者データと適切に相互に関連する。この基準不織布ウエブは、使い捨て乳児用拭取り布用として優れたウェットタオルとなるが、エンボス加工によりもたらされる視覚上の柔軟性の表れに欠ける。北米などの特にある地域では、エンボスパターンは、消費者アピールのために必要である。
【００５４】
サンプル１のエンボスパターンを、図１に示す。アイコン１０が、主に線画で形成された動物として示される。各アイコン１０の周りは、アイコン相当直径１４を有する円１２が、囲むことができる。同様に、アイコンの間を、非結合領域相当直径１８を有する円１６が囲むことができる。サンプル１は、比較的低い結合領域パーセント（４．１％）を有するエンボスパターンを表す。一般的には低い結合領域パーセントは好ましいが、約３％〜４％未満では、アイコンが（開放線図形として）大きすぎるか、或いは分散し過ぎていて乳児用拭取り布上の審美的に感じのよい視覚表示として効果的ではないかのいずれかと考えられる。
【００５５】
サンプル２のエンボスパターンを、図２に示す。このパターンでは、アイコンが、エンボスパターン全体の一部を形成する波線の間に点在している。波線は、アイコンとはみなされないが非結合等価領域の境界を形成しており、グリッドパターンを形成しない限り、または別の方法で不織布ウエブでの隣接繊維と繊維を不動化にしない限り、受け入れ可能と考えられる。したがって、ほぼ並行及び／または波線をエンボスパターン内に取り入れる場合には、交差してはならず、呼び繊維長の少なくとも半分に等しい距離で間隔を置かなければならない、と考えられる。
【００５６】
図２に示すように、サンプル２上の各アイコン１０の周りを、アイコン相当直径１４を有する円１２が囲むことができる。同様に、アイコン及び波線の間を、非結合領域相当直径１８を有する円１６が囲むことができる。サンプル２は、本発明のウエブとしては比較的高い結合領域パーセント（７．２％）を有するエンボスパターンを表す。
【００５７】
サンプル３のエンボスパターンを図３に示す。アイコン１０は、図１に示されるものと同じであるが、アイコンからアイコンへの間隔が減少している。前と同じく、各アイコン１０の周りを、アイコン相当直径１４を有する円１２が囲むことができる。同様に、アイコンの間を、非結合領域相当直径１８を有する円１６が囲むことができる。ＣＤ曲げトルクは、前駆体ウエブより少なく表１に示される。これは測定誤差のためであると考えられ、その結果、サンプル３の曲げトルク値は、基本的に前駆体ウエブと同じである。サンプル３は、比較的高い結合領域パーセント（６．７％）を有するエンボスパターンを表す。
【００５８】
サンプル４のエンボスパターンを図４に示す。このサンプルでは、アイコン１０の大きさ及び間隔が変化する。したがって、表１に示すアイコン相当直径及び非結合領域相当直径は平均値である。表１に示されるように、アイコン相当直径は呼び繊維長の半分程度である。サンプル４は、ＣＤ曲げトルク及びＣＤ係数が前駆体ウエブから基本的に変わらないままのエンボスパターンを表す。
【００５９】
サンプル５のエンボスパターンを図５に示す。アイコン１０は、図１に示されるものと同じであるが、アイコンの大きさが減少している。すなわち、各アイコン１０の周りは、サンプル１のものより小さいアイコン相当直径１４を有する円１２が、囲むことができる。同様に、各アイコンの間を、サンプル１のものより小さい非結合領域相当直径１８を有する円１６が囲むことができる。その曲げトルクは、前駆体ウエブと同じであるとして表１に示されるが、サンプル５は、比較的高い結合領域パーセント（８．０％）を有するエンボスパターンを表しており、これはＣＤ係数に反映されている。理論に縛られるわけではないが、約９％〜１０％より高い結合領域では、ＣＤ係数が受け入れ難い程度にまで増加すると考えられる。
【００６０】
サンプル６のエンボスパターンを図６に示す。アイコン１０は図５に示すものと同じであるが、近接した間隔で配置されてエンボス加工された楕円形状のグリッドパターンが、動物アイコンパターンの上にかぶさっている。このパターンは、北米でパンパース（ＰＡＭＰＥＲＳ：登録商標）ベイビーフレッシュ（Ｂａｂｙ Ｆｒｅｓｈ：商標）として販売されて商業的に成功している乳児用拭取り布のものと同じである。したがって、各アイコン１０の周りは、サンプル５のものと同じアイコン相当直径１４を有する円１２が、重ねて置かれ得る。しかし、グリッドパターンの交差線が存在するので、エンボス部分の間には、サンプル５のものよりはるかに小さい非結合領域相当直径１８を有する円１６を重ねて置くことができる。その結合領域パーセントは、本発明の拭取り布として受け入れ可能であると考えられるよりもはるかに大きい。サンプル６は、非常に高い結合領域パーセント（１５．３％）を有するエンボスパターンを表しており、これはＣＤ係数に反映されている。理論に縛られるわけではないが、約２００ｇ／ｉｎ．より大きいＣＤ係数になれば、拭取り布がウェットタイプの乳児用拭取り布として使用するには受け入れ難い固さになると考えられる。
【００６１】
したがってここに示すように、本発明の拭取り布は、前駆体不織布材料のある種の機械的特性を実質的に損なうことなく、間隔を置いた個別のアイコンの審美的に喜ばしいデザインでエンボス加工が可能である。したがって、本発明のウエブは、約４％〜８％の合計結合領域を画定する、間隔を置いた個別の複数のアイコンを有し、前駆体ウエブから殆ど変化しないＣＤ曲げトルク特質を示す、エンボス加工した不織布ウエブとして記述することができる。例えば、ＣＤ曲げトルクに関する表１のデータは、前駆体と本発明の方法によりエンボス加工されたウエブに対して、統計的に重要でないＣＤ曲げトルクの差しか示さない。
【００６２】
同様に、本発明のウエブは、約６２ｇｓｍの坪量を有して、約４％〜８％の合計結合領域を画定する、間隔を置いた個別の複数のアイコンを有し、約２００ｇ／ｉｎ．未満のＣＤ弾性係数を示す、エンボス加工した不織布ウエブとして記述することができる。
【００６３】
ローション：
本発明のウェットタイプの拭取り布は、水溶液を含む。そのローションは、好ましくは少なくとも約８５重量％が水であり、より好ましくは少なくとも約９０重量％が水であり、更により好ましくは少なくとも約９５重量％が水である。現在好ましいローションは、水中油エマルション型処方であり、高分子乳化剤、好ましくはナトリウムアクリレート類、及びシリコーン油、好ましくはジメチコーンを含有する。
【００６４】
本発明のローションは、ホスフェート四級アミン化合物類及び非イオン性界面活性剤からなる群から選択される界面活性剤と、非セルロース系有機水溶性重合体及びアルコキシル化アルコール類からなる群から選択される有効な量の第二の成分とを、含有する水溶液を含むことができる。これら構成成分のこうした量は、様々な折りパターン及び分配開口に対応してウェットタオルの信頼性ある分配をするために、様々なレベルの粘着した濡れをもたらす有効な量の調節が可能である。
【００６５】
別の実施態様では、ローションが、プロピレンオキシド及びエチレンオキシドのブロックコポリマーである、非イオン性界面活性剤を含むことができる。プロピレンオキシドのブロックは、ポロキサマー１０１〜ポロキサマー４０７からなる群から選択される、２つのエチレンオキシドブロックの間に挟まれている。好適な非イオン性界面活性剤が、ニュージャージー州マウントオリーヴ（Ｍｏｕｎｔ Ｏｌｉｖｅ，ＮＪ）のＢＡＳＦ社からプルロニック（Ｐｌｕｒｏｎｉｃ）６２のブランドとして購入可能である。
【００６６】
ローションは、約３重量％未満の非イオン性界面活性剤を含有するのが好ましい。より好ましくは、ローションは、約１重量％未満の非イオン性界面活性剤を含有することができる。更により好ましくは、ローションは、約０．２重量％〜約０．３重量％の非イオン性界面活性剤を含有する。
【００６７】
別の好ましい実施態様では、ローションは、脂肪族４級アミン類の内部塩を界面活性剤として、及び脂肪族４級のスルホン酸塩を補助界面活性剤として含有する。界面活性剤は、カプリルアミドプロピルベタイン類、ココアミドプロピルベタイン類、ラウリンアミドプロピルベタイン類、オレアミドプロピルベタイン、またはイソステラミドプロピルベタインからなる群から選択することができ、これらはイリノイ州のユニヴァーシティパーク、ガバナーズハイウェイ（Ｇｏｖｅｒｎｏｒｓ Ｈｉｇｈｗａｙ，Ｕｎｉｖｅｒｓｉｔｙ Ｐａｒｋ，Ｉｌ）のマックインタイヤグループ社（ＭｃＩｎｔｙｒｅ Ｇｒｏｕｐ Ｌｔｄ．）からマッカム（Ｍａｃｋａｍ）：ＯＡＢ、３５、Ｌ、Ｊ、ＤＺ、ＬＭＢ、及びＩＳＡとして購入可能である。好適な補助界面活性剤として、イリノイ州のユニヴァーシティパーク、ガバナーズハイウェイ（Ｇｏｖｅｒｎｏｒｓ Ｈｉｇｈｗａｙ，Ｕｎｉｖｅｒｓｉｔｙ Ｐａｒｋ，Ｉｌ）のマックインタイヤグループ社（ＭｃＩｎｔｙｒｅ Ｇｒｏｕｐ Ｌｔｄ．）からマッカム（Ｍａｃｋａｍ）ＣＢＳ−５０Ｇとして購入可能なコカミドプロピルヒドロキシスルタインがある。
【００６８】
ローションは、約３重量％未満の脂肪族４級アミン類の内部塩、及び約１重量％未満の脂肪族４級アミン類のスルホン酸塩を含有するのが好ましい。より好ましくは、ローションは、約１重量％未満の脂肪族４級アミン類化合物の内部塩、及び約０．７重量％未満の脂肪族４級のスルホン酸塩を含有することができる。更により好ましくは、ローションは、約０．１５重量％〜約０．３６重量％の脂肪族４級アミン類化合物の内部塩を、及び約０．１重量％〜０．３６重量％の脂肪族４級のスルホン酸塩を含有する。
【００６９】
ローションはまた、次の１つ以上を含有するのが好ましい：有効な量の防腐剤、有効な量の保湿剤、有効な量の皮膚軟化剤、有効な量の芳香剤、及び有効な量の芳香剤可溶化剤。
【００７０】
本明細書に使用する皮膚軟化剤は、皮膚を、軟化し、滑らかにし、しなやかにし、コートし、潤滑し、または湿りを与える材料である。用語皮膚軟化剤は、従来型脂質材料（例えば、脂肪類、ろう類）、極性脂質類（更に水溶性にするために親水性に変性した脂質）、シリコーン類、炭化水素類、及びその他の溶媒材料を包含するが、これらには限定されない。本発明に有用な皮膚軟化剤は、石油基剤の、脂肪酸エステル型、アルキルエトキシレート型、脂肪酸エステルエトキシレート類、脂肪アルコール型、ポリシロキサン型、ムコ多糖類、またはこれらの混合物であり得る。
【００７１】
保湿剤は、水を角質層に引き込む作用をして皮膚を水和する吸湿性の材料である。水は真皮から来てもよく、または大気から来てもよい。保湿剤の例として、グリセリン、プロピレングリコール、及びリン脂質が挙げられる。
【００７２】
香料などの芳香剤構成成分として、精油を含む非水溶性油が挙げられるが、これに限定しない。
【００７３】
芳香剤可溶化剤は、非水溶性芳香剤構成成分がローションから沈殿する傾向を低減する構成成分である。芳香剤可溶化剤の例として、エタノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール、及びフェノキシエタノールなどのアルコール；ポリソルベートを含むがこれに限定されないＨＬＢの高い（１３を超えるＨＬＢ）あらゆる乳化剤；並びに高エトキシ化酸及びアルコール類が挙げられる。
【００７４】
防腐剤は、液体ローション及び／または基材中の微生物の成長を防ぐ。一般にこのような防腐剤は、疎水性または親水性の有機分子である。好適な防腐剤として、メチルパラベン類、プロピルパラベン類、及びこれらの組み合わせなどのパラベン類が挙げられるが、それらに限定されない。
【００７５】
ローションは、また、皮膚の回復を促進する機能を提供するための、有効な量のケロトリティック（ｋｅｒｏｔｏｌｙｔｉｃ）も含有することができる。特に好ましいケロトリティックは、実験式Ｃ_４Ｈ_６Ｎ_４Ｏ_３を有する複素環式有機化合物アラントレイン（（２，５−ジオキソ−４−イミダゾリジニル）尿素）である。アラントインは、ニュージャージー州エマーソン（Ｅｍｅｒｓｏｎ，Ｎｅｗ Ｊｅｒｓｅｙ）のトリ−Ｋ産業（Ｔｒｉ−Ｋ Ｉｎｄｕｓｔｒｉｅｓ）から市販されている。使い捨ておむつなどの使い捨て吸収性構造を長期間着用すると、皮膚が過度の水和という点で屈してしまうことがよく認識されている。過度に水和された皮膚が、あせも、すりむけ、圧力痕、及び皮膚バリアの喪失を含む皮膚疾患にかかりやすくなることは一般に知られている。例えば、２１　ＣＦＲ３３３．５０３は、おむつ域（会陰、臀部、下腹部、及び大腿内側）内での炎症性皮膚状態としてのおむつかぶれが、次の要因の１つ以上により引き起こされることを定義している：湿気、閉鎖、こすり、尿若しくは糞便との連続接触、または機械的若しくは化学的な刺激。本発明によるウェットタイプの拭取り布は、過水和した皮膚などの皮膚の回復を促進する有効な量のアラントインを含むことができる。
【００７６】
追加的なローション成分を開示する目的で、１９９６年７月９日に発行された米国特許第５，５３４，２６５号、１９９１年８月２７日に発行された米国特許第５，０４３，１５５号、及び１９９７年７月１５日に発行された米国特許第５，６４８，０８３号を、参考として組み入れる。
【００７７】
ローションは更に、約０．１重量％〜約３重量％のアラントイン、及び約０．１重量％〜約１０重量％のアロエベラなどのアロエ抽出物を含有することができ、これらは皮膚軟化剤として役立ち得る。アロエベラ抽出物は、イリノイ州（Ｗｏｏｄｓｔｏｃｋ，Ｉｌｌ）のリタ社（Ｒｉｔａ Ｃｏｒｐｏｒａｔｉｏｎ）から濃縮粉体の形態で入手可能である。
【００７８】
試験方法
アイコン相当直径：
１．実寸で寸法的に正確な全パターン繰返しの複写を入手する。これは、パターンを紙上に印刷することを含むいずれかの既知の方法で可能になる。
【００７９】
２．パターン繰返しの中でそれぞれの独特のアイコンに対して、円テンプレートを使用して、アイコン全体を囲む（すなわち、包囲して描く）ことができる最小円の直径を（アイコン相当直径の定義に関して上述したように）測定する。測定は、±１／３２インチ内の正確さでなければならない。囲んだ円の直径が、そのアイコンに対してアイコン相当直径である。
【００８０】
３．パターン繰返しの中でそれぞれの独特のアイコンに対してアイコン相当直径を記録した後、これらの値の数値平均を求める。これがパターン繰返しのアイコン相当直径である。
【００８１】
非結合領域相当直径
１．実寸で寸法的に正確な全パターン繰返しの複写を入手する。これは、パターンを紙上に印刷する事を含むいずれかの既知の方法で可能である。
【００８２】
２．円テンプレートを使用して、パターン繰返しの中でのアイコンの間で囲むことができ、並びに１つのパターン繰返しの中でのアイコンと、隣接パターン繰返しの中でのアイコンとの間で囲むことができるが、決してその中でのいずれのエンボス部分も含まない最大円の直径を（非結合領域相当直径の定義に関して上述したように）測定する。測定は、±１／３２インチ内の正確さでなければならない。それぞれの囲んだ円の直径が、パターンのその部分に対して非結合領域相当直径である。
【００８３】
３．非結合領域相当直径の全てを記録した後、これらの値の数値平均を求める。これが、そのパターン繰返し及び隣接繰返しに対する、平均非結合領域相当直径である。
【００８４】
結合面積パーセント
１．黒で示されたエンボス部と白で示された非エンボス部を有する、実寸の寸法的に正確な全パターン繰返しの複写を入手する。これは、白紙上に一定の比率のパターンを黒色で印刷することを含む、いずれかの既知の方法で可能である。
【００８５】
２．パターン繰返しの合計面積を、パターン繰返しの全てを包囲する、正方形、長方形、菱形などの、既知の幾何形状を測定することにより決定する。
【００８６】
３．パターン繰返しの合計エンボス面積は、パターン繰返しの中の全黒色域で画定される面積を決定することにより測定する。これは、パターンをスキャンしてコンピューターグラフィックファイルの中へ入れ、マッキントッシュＰＣ用イメージ１．４４、ＰＣペイント、マイクログラフィックスデザイナー、またはアドービイラストレーターなどのコンピューターソフトウエアを使用して、上のステップ２で確立した幾何域の中の黒ピクセルの面積を決定することにより実行することができる。別法として、合計エンボス面積は、ステップ２で確立した幾何域の上に０．０３０インチ×０．０３０インチ正方形からなる幾何格子を重ね合わせることにより、手動で決定することができる。この場合、合計エンボス面積は、少なくとも５０％が黒である正方形の合計面積である。
【００８７】
４．結合領域パーセントは、合計エンボス領域と合計パターン繰返し領域の比に１００を乗じたものに等しい。
【００８８】
ＣＤ曲げトルク
ＣＤ曲げトルクは、カワバタＫＥＳ−ＦＢ２純曲げ試験器を使用して測定した。この試験は、不織布及び他のウエブ材料の基本機械的特性を測定するように設計されたカワバタシステムの一部である。曲げトルクは、次の基準により試験した少なくとも３つのサンプルの結果を平均して、確立した：
サンプル大きさ＝８．９ｃｍ×８．９ｃｍ
ローション飽和＝３．４ｇ／ｇ
較正質量＝５０グラム
計器感度＝５×１
前移動つかみ具と後移動つかみ具との間隙設定＝１ｃｍ
サンプルの横向き＝無し
測定当りの曲げサイクル数＝４
曲率サイクル＝０ｃｍ^−１→＋１ｃｍ^−１→−１ｃｍ^−１→０ｃｍ^−１
サイクル速度＝０．５ｃｍ^−１／秒
測定数＝１０
曲げトルク（ｇ・ｃｍ）＝モーメント（ｇ・ｃｍ／ｃｍ）に対する曲率（１／ｃｍ）曲線の、約０．２ｃｍ^−１〜０．７ｃｍ^−１の直線回帰線の傾き
【００８９】
ＣＤ係数
ＣＤ係数は、ＭＴＳ＃７９９７装置により試験した。特に、ひずみを掛ける寸法は横断方向であるので幅寸法が機械方向であるように注意深く、幅２５．４ｍｍのサンプルを本発明の拭取り布から切断した。引張り装置は、つかみ具間隔が１０２ｍｍ、ひずみ速度が１００ｍｍ／分に設定した。拭取り布サンプルは、水中油型エマルションで３４０％飽和レベルに、すなわち乾燥基材グラム当りのローション３．４グラムの湿りを与えて試験した。弾性係数Ｅｍは、負荷／サンプル幅に対するひずみ曲線の直線部分の傾きとして定義される。１つ以上の直線域が認められる場合、その基材の弾性係数は、図７のグラフに示すように最小の傾きの直線部分により定義する。
【００９０】
しかるべく、本発明の特定の実施態様を例示し説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変形及び変更が可能であることは、当業者には明白であろう。したがって、付随する請求項において開示した機構の組み合わせを含む、本発明の範囲内にある全ての変形及び変更を包含しようとするものである。
【００９１】
本明細書は、本発明を特定して指摘し明確に請求する請求項により結論とするが、本発明は添付の図面と関連する次の説明により更に良く理解されると考えられ、図面では同じ参照番号は同じ要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の拭取り布の一例におけるエンボスパターンの平面図である。
【図２】本発明の拭取り布の別のエンボスパターンの平面図である。
【図３】本発明の拭取り布の別のエンボスパターンの平面図である。
【図４】本発明の拭取り布の別のエンボスパターンの平面図である。
【図５】本発明の拭取り布の別のエンボスパターンの平面図である。
【図６】本発明の拭取り布で使用するには好適でない、拭取り布のエンボスパターンの平面図である。
【図７】本発明のウエブの典型的な応力ひずみ曲線を示すグラフである。

Claims (10)

1. 所定の呼び繊維長を有する熱可塑性繊維からなる不織布ウエブを含む拭取り布において、前記拭取り布が複数の別個のアイコンを含むパターンでカレンダーエンボス加工され（ｃａｌｅｎｄａｒ−ｅｍｂｏｓｓｅｄ）ており、それぞれの前記アイコンが前記呼び繊維長の少なくとも半分のアイコン相当直径を有し、前記複数のアイコンが前記呼び繊維長の少なくとも半分の非結合領域相当直径により互いに分離されている、拭取り布。
2. ０．５〜３．０インチの呼び繊維長を有する繊維、及び４％〜８％の合計結合領域を画定する複数の間隔を置いた別個のアイコンを有する繊維からなる前駆体ウエブで形成されエンボス加工された不織布ウエブにおいて、前記ウエブが前記前駆体ウエブと殆ど変わらないＣＤ曲げトルク特性を示す、ウエブ。
3. ０．５〜３．０インチの呼び繊維長を有する繊維、及び４％〜８％の合計結合領域を画定する複数の間隔を置いた別個のアイコンを有する繊維からなる前駆体ウエブで形成されエンボス加工された不織布ウエブにおいて、前記ウエブが２００ｇ／ｉｎ．未満のＣＤ弾性係数を示す、ウエブ。
4. 前記不織布がスパンレース加工されている（ｓｐａｎｌａｃｅｄ）、請求項１〜３のいずれか一項に記載の拭取り布またはウエブ。
5. 前記繊維が更にビスコースを含む、請求項１〜４のいずれか一項に記載の拭取り布またはウエブ。
6. 前記繊維が４０％〜６０％のビスコースを含み、前記繊維含有量の残りが前記熱可塑性繊維である、請求項１〜５のいずれか一項に記載の拭取り布またはウエブ。
7. 前記熱可塑性繊維がポリオレフィン材料を含む、請求項１〜４のいずれか一項に記載の拭取り布またはウエブ。
8. 前記所定の呼び繊維長が０．５〜３．０インチである、請求項１〜７のいずれか一項に記載の拭取り布またはウエブ。
9. 前記拭取り布が更に水溶液を含む、請求項１〜８のいずれか一項に記載の拭取り布またはウエブ。
10. 前記別個のアイコンが、実質的に等しいアイコン相当直径を有する、請求項１〜９のいずれか一項に記載の拭取り布またはウエブ。

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