JP2004508574A - 電気泳動装置および方法 - Google Patents
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Abstract
第1の電解液チャンバおよび第2の電解液チャンバ;第1のサンプル液チャンバおよび第2のサンプル液チャンバ;前記第1のサンプル液チャンバと第2のサンプル液チャンバとの間に配置されて前記第1および第2のサンプル液チャンバの内容物間での実質的な対流混合を防止する第1のイオン透過性隔壁;前記第1の電解液チャンバと前記第1のサンプル液チャンバとの間に配置されて前記第1の電解液チャンバと前記第1のサンプル液チャンバの内容物の実質的な対流混合を防止する第2のイオン透過性隔壁;前記第2のサンプル液チャンバと前記第2の電解液チャンバの間に配置されて前記第2の電解液チャンバと前記第2のサンプル液チャンバの内容物の実質的な対流混合を防止する第3のイオン透過性隔壁;を有する分離ユニットを有する電気泳動装置。
Description
【0001】
発明の分野
本発明は、少なくとも1種類の両性電解質成分を含む混合物の最初の組成を電気泳動的に変える上で好適な電気泳動装置および方法に関する。
【0002】
発明の背景
アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、タンパク質などの両性電解質化合物が低濃度で溶液中に存在する場合、それの電荷状態はその環境のpHによって決まる。ある特徴的なpH値で、両性電解質化合物の正味電荷(従って、電気泳動的移動性)がゼロになる。そのpH値は、両性電解質化合物のpI値と称される。2種類の両性電解質化合物が異なるpI値を有する場合、それの正味電荷は異なるpH値でゼロになる。従って、電界においてpH勾配が確立されている場合、その2種類の両性電解質化学種はpH勾配の異なる箇所でゼロ正味電荷となることから、結果的にそれらを分離することができる。そのような分離は、等電点電気泳動(IEF)分離と称される。IEF分離は、(i)一定温度または空間的に変化する温度での非両性電解質緩衝液からつくられる人工的pH勾配、(ii)キャリアである両性電解質化合物または分離対象の混合物の成分そのものからつくられる自然型pH勾配(自動フォーカシング型)、ならびに(iii)固定型pH勾配でなされてきた。IEF分離は通常pH勾配の安定性を保つための抗対流手段に依存する。このIEF原理は、両性電解質成分の単純な混合物および複雑な混合物の両方の分析的規模および分取的規模の両方の分離に利用されてきた。IEF分離は、静的媒体および流動媒体の両方で、薄層形式、カラム形式およびマルチコンパートメント形式で得られてきた。流動媒体では分離は、直貫形式および循環形式の両方で行われてきた。両性電解質化学種が等電性となるpH勾配の点に近づくに連れて、各両性電解質化学種の電気泳動的移動度が低くなることから、IEF分離は多くの場合、かなりの時間を要する。従って、(i)分離を達成するために成分が電気泳動的に移動すべき距離を低減し、(ii)有害な加熱効果を生じることなく電気泳動分離を生じる電界強度を最大とし、(iii)単位分離空間および時間で得ることができる製造速度を最大とし、(iv)電気泳動分離に必要な補助剤の使用を低減するIEF分離法および装置が必要とされている。
【0003】
本発明は、少なくとも1種類の両性電解質成分を含む混合物の最初の組成を電気泳動的に変えることができる装置および方法を提供する。
【0004】
発明の概要
第1の態様において本発明は、
(a)第1の電解液貯槽および第2の電解液貯槽;
(b)第1のサンプル液貯槽および第2のサンプル液貯槽;
(c)前記第1の電解液貯槽と流体連通する第1の電解液チャンバ;前記第2の電解液貯槽と流体連通する第2の電解液チャンバ;前記第1の電解液チャンバと前記第2の電解液チャンバの間に配置された第1のサンプル液チャンバ;前記第1のサンプル液チャンバに隣接し、前記第1の電解液チャンバおよび前記第2の電解液チャンバの間に配置された第2のサンプル液チャンバ;を有する分離ユニットであって、前記第1のサンプル液チャンバが前記第1のサンプル液貯槽と流体連通し、前記第2のサンプル液チャンバが前記第2のサンプル液貯槽と流体連通する分離ユニット;
(d)前記第1および第2のサンプル液チャンバの間に配置された第1のイオン透過性隔壁であって、前記第1および第2のサンプル液チャンバの内容物の実質的な対流混合を防止する隔壁;
(e)前記第1の電解液チャンバと前記第1のサンプル液チャンバとの間に配置された第2のイオン透過性隔壁であって、前記第1の電解液チャンバおよび前記第1のサンプル液チャンバの内容物の実質的な対流混合を防止する隔壁;
(f)前記第2のサンプル液チャンバと前記第2の電解液チャンバとの間に配置された第3のイオン透過性隔壁であって、前記第2の電解液チャンバと前記第2のサンプル液チャンバの内容物の実質的な対流混合を防止する隔壁;
(g)前記第1および第2の電解液チャンバ中に配置された電極;
(h)前記第1の電解液貯槽から前記第1の電解液チャンバに、ならびに前記第2の電解液貯槽から前記第2の電解液チャンバに電解液を供給する手段;
(i)少なくとも前記第1のサンプル液貯槽から前記第1のサンプル液チャンバに、または前記第2のサンプル液貯槽から前記第2のサンプル液チャンバにサンプル液もしくは液体を供給する手段;
を有する電気泳動装置を提供する。
【0005】
1つの好ましい形態では、前記第1のイオン透過性隔壁は、特徴的な平均孔径および孔径分布を有する膜である。1つの形態では、全てのイオン透過性隔壁が、特徴的な平均孔径および孔径分布を有する膜である。この装置構成は、電荷および/または大きさに基づく化合物の分離に好適である。
【0006】
別の好ましい形態では、前記第1のイオン浸透性隔壁は、特徴的なpI値を有する等電膜である。好ましくは前記等電膜は、約2〜12の範囲のpI値を有する。
【0007】
別の好ましい形態では、前記第2および第3のイオン透過性隔壁は、特徴的な平均孔径および孔径分布を有する膜である。
【0008】
別の好ましい形態では、前記第2または第3のイオン透過性隔壁のうちの少なくとも一方が、特徴的なpI値を有する等電膜である。好ましくは、前記少なくとも一方の等電膜は約2〜約12の範囲のpI値を有する。
【0009】
別の好ましい形態では、前記第2および第3のイオン透過性隔壁の両方がそれぞれ特徴的なpI値を有する等電膜である。好ましくは前記等電膜は、約2〜約12の範囲のpI値を有する。前記第2および第3のイオン透過性隔壁の両方が等電膜である場合、前記膜は同じまたは異なる特徴的なpI値を有することができる。
【0010】
前記等電膜は、好ましくはImmobilineポリアクリルアミド膜である。しかしながら、他の等電膜も本発明に好適であると考えられることは明らかであろう。
【0011】
好適な等電膜は、アクリルアミド、N,N′−メチレンビスアクリルアミドおよび弱電解質の適切なアクリルアミド誘導体を共重合させて、pI値が2〜12の範囲であって、特定の大きさの成分の膜横断輸送を促進または実質的に防止する平均孔径を有する等電膜を形成することで製造することができる。
【0012】
別の好ましい形態では、前記装置は、
(h)前記第1および第2の電解液貯槽のそれぞれから、前記それぞれの第1および第2の電解液チャンバを通して電解液を循環させることで、前記それぞれの電解液チャンバで第1および第2の電解液流を形成する手段;および
(i)前記第1および第2のサンプル液貯槽のそれぞれから、前記それぞれの第1および第2のサンプル液チャンバを通して内容物を循環させることで、前記それぞれのサンプル液チャンバで第1および第2のサンプル液流を形成する手段;
を有する。
【0013】
好ましくは手段(h)および(i)は、前記電解液流および前記サンプル液流を独立して動かせるように個別に制御可能なポンプ配列である。
【0014】
前記装置はさらに、
(j)前記第1または第2のサンプル液貯槽でサンプル液を取り出しおよび交換する手段;
を含み得る。
【0015】
前記装置はまたさらに、
(k)電解液溶液およびサンプル液溶液の温度を維持する手段;
を含み得る。
【0016】
別の好ましい形態において、前記分離ユニットは、前記電解液貯槽および前記サンプル液貯槽に流体的に連結されたカートリッジまたはカセットとして提供される。
【0017】
1つの好ましい形態において、前記分離ユニットは、前記電解液貯槽および前記サンプル液貯槽に連結されたカートリッジまたはカセットとして提供される。
【0018】
本発明による装置は、分子、特にはタンパク質、ペプチド、糖タンパク質、核酸分子、組換え分子、代謝物、薬剤、栄養補助食品、医薬などの生体分子、ウィルス、細菌、真菌および酵母などの微生物、ならびにプリオンの電気泳動、等電点電気泳動および電気透析に好適である。
【0019】
使用に際しては、処理すべきサンプル液を第1および/または第2のサンプル液貯槽に入れ、第1および/または第2のチャンバに送るか、またはそれらを通って循環させる。電解液を第1および第2の電解液貯槽に入れ、前記二つの電解液貯槽で電解液間に実質的な混合を起こすことなく、それぞれの第1および第2の電解液チャンバに送るか、あるいはそれらを通って循環させる。電解液その他の液体を、必要な場合は第1および/または第2のサンプル液貯槽に入れることができる。電極に電位を印加すると、そこで第1および/または第2のサンプル液チャンバ中の1以上の成分が、拡散隔壁を通って第2および/または第1のサンプル液チャンバに移動するか、あるいは第1および/または第2の貯槽チャンバに移動する。処理されたサンプル液または生成物を、第2および/または第1のサンプル液貯槽で回収することができる。
【0020】
第2の態様において本発明は、電気泳動によってサンプル液から少なくとも一つの成分を分離または除去する方法において、
(a)本発明の第1の態様による電気泳動装置を提供する段階;
(b)前記第1および第2の電解液貯槽に電解液を加える段階;
(c)前記第1および第2のサンプル液貯槽の少なくとも一方にサンプル液を加える段階;
(d)必要な場合は、前記第1および第2のサンプル液貯槽の少なくとも一方に液体を加える段階;
(e)前記第1および第2の電解液貯槽から前記第1および第2の電解液チャンバに電解液を供給する段階;
(f)前記第1および第2のサンプル液貯槽中のサンプル液または液体を前記第1および第2のサンプル液チャンバに供給する段階;
(g)前記電極間に電位を印加することで、前記第1または第2のサンプル液チャンバ中の少なくとも一つの成分を、前記第1のイオン透過性隔壁を通過して前記第1または第2のサンプル液チャンバの他方に移動させるか、あるいは前記第1および第2の電解液チャンバの少なくとも一方を通して移動させる段階であって、前記第1および第2の電解液チャンバ中の前記電解液と前記第1および第2のサンプル液チャンバ中の前記サンプル液または液体との間で実質的な対流混合がない段階;
を有する方法を提供する。
【0021】
好ましくは、少なくとも一つのサンプル液成分が、あるpI値を有する。
【0022】
好ましい形態では、前記第1および第2の電解液貯槽のうちの少なくとも一方からの電解液を、前記第1または第2の電解液チャンバを通して循環させて、第1または第2の電解液流を形成する。
【0023】
前記第1および第2の電解液チャンバ中の電解液の選択は、サンプル液チャンバから他方のサンプル液チャンバへ、または前記電解液チャンバの一方もしくは両方に処理、分離または移動され化合物または複数化合物のpIに依存する。同様に、等電膜のpIの選択もまた、与えられたサンプル液から処理、分離または移動させるべき化合物または複数化合物のpIに依存する。
【0024】
陽極液としてのHClで所望のpHに調節された酢酸または5−アミノカプロン酸、ならびに陰極液としてのNaOHで所望のpHに調節されたトリエタノールアミンまたはモルホリノプロパンスルホン酸などの電解液が、生体サンプル液からの多くの成分の分離に好適であることが見い出されている。NaClなどの塩もまた前記電解液に加えることで前記移動の助けとなり得る。しかしながら、所望の分離または処理に応じて、他の電解液も適用可能であると考えられることは理解されよう。
【0025】
別の好ましい形態では、前記第1および第2の電解液貯槽の両方からの電解液が、前記第1および第2の電解液チャンバを通って循環して、第1および第2の電解液流を形成する。
【0026】
別の好ましい形態では、前記第1または第2のサンプル液貯槽の内容物を、前記第1または第2のサンプル液チャンバを通して循環させて、前記第1または第2のサンプル液チャンバを通る第1または第2のサンプル液流を形成する。
【0027】
別の好ましい形態では、前記第1および第2のサンプル液貯槽の内容物を、前記第1および第2のサンプル液チャンバを通して循環させて、前記第1および第2のサンプル液チャンバを通る第1および第2のサンプル液流を形成する。
【0028】
別の好ましい形態では、前記第1または第2のサンプル液貯槽中のサンプル液または液体を除去し、新鮮なサンプル液または液体と交換する。
【0029】
好ましくは電位の印加と同時に実質的に全ての隔壁横断移動が起こる。
【0030】
別の好ましい形態では、少なくとも一種類の所望の成分が前記第1または第2のサンプル液チャンバ中、あるいは前記第1または第2のサンプル液貯槽中で所望の純度レベルに達するまで、段階(g)を維持する。
【0031】
第3の態様において本発明は、電気泳動分離ユニットにおいて、
(a)第1の電解液チャンバ;
(b)第2の電解液チャンバ;
(c)前記第1の電解液チャンバと前記第2の電解液チャンバの間に配置された第1のサンプル液チャンバ;
(d)前記第1のサンプル液チャンバに隣接し、前記第1の電解液チャンバと前記第2の電解液チャンバの間に配置された第2のサンプル液チャンバ;
(e)前記第1および第2のサンプル液チャンバの間に配置された特徴的なpI値を有する等電膜であって、前記第1および第2のサンプル液チャンバの内容物の実質的な対流混合を防止する等電膜;
(f)前記第1の電解液チャンバと前記第1のサンプル液チャンバの間に配置された第1のイオン透過性隔壁であって、前記第1の電解液チャンバと前記第1のサンプル液チャンバの内容物の実質的な対流混合を防止する第1のイオン透過性隔壁;
(g)前記第2のサンプル液チャンバと前記第2の電解液チャンバの間に配置された第2のイオン透過性隔壁であって、前記第2の電解液チャンバおよび前記第2のサンプル液チャンバの内容物の実質的な対流混合を防止する第2のイオン透過性隔壁;
(h)前記第1および第2の電解液チャンバ中に配置された電極;
を有することを特徴とする電気泳動ユニットを提供する。
【0032】
好ましくは前記等電膜は、約2〜12の範囲のpI値を有する。
【0033】
好ましい形態では、前記第1および第2のイオン透過性隔壁は、特徴的な平均孔径および孔径分布を有する膜である。
【0034】
別の好ましい形態では、前記第1または第2のイオン浸透性隔壁のうちの少なくとも一方は、特徴的なpI値を有する等電膜である。好ましくは前記等電膜は、約2〜12の範囲のpI値を有する。
【0035】
別の好ましい形態では、前記第1および第2のイオン透過性隔壁の両方が、それぞれ特徴的なpI値を有する等電膜である。好ましくはその各等電膜は約2〜12の範囲のpI値を有する。各等電膜は、同じまたは異なる特徴的なpI値を有することができる。
【0036】
第4の態様において本発明は、電気泳動によってサンプル液から少なくとも一種類の成分を分離または除去する方法において、
(a)本発明の第3の態様による電気泳動ユニットを提供する段階;
(b)前記第1および第2の電解液チャンバに電解液を加える段階;
(c)第1および第2のサンプル液チャンバの少なくとも一方にサンプル液を加える段階;
(d)必要な場合は、前記第1および第2のサンプル液チャンバの少なくとも一方に液体を加える段階;
(e)前記電極間に電位を印加することで、前記第1または第2のサンプル液チャンバ中の少なくとも1種類の成分を、前記等電膜を通って前記第1もしくは第2のサンプル液チャンバの他方に移動させるか、あるいは前記第1および第2の電解液チャンバと前記第1および第2のサンプル液チャンバを分離する前記イオン透過性隔壁のうちの少なくとも一方を通して移動させ、前記第1および第2の電解液チャンバ中の電解液と前記第1および第2のサンプル液チャンバ中の前記サンプル液もしくは液体との間で実質的な対流混合が生じない段階;
を有する方法を提供する。
【0037】
好ましくは、電位の印加と同時に実質的に全ての膜横断または隔壁横断移動が起こる。
【0038】
好ましくは、少なくとも1種類のサンプル液成分がpI値を有する。
【0039】
好ましい形態では、少なくとも一種類の所望の成分が前記第1または第2のサンプル液チャンバ中で所望の純度レベルに達するまで、段階(e)を維持する。
【0040】
第5の態様で本発明は、少なくとも1種類の化合物を含むサンプル液の組成を変えるための本発明の第1の態様による装置の使用を提供する。
【0041】
第6の態様で本発明は、本発明の第2の態様による方法によって得られる生成物を提供する。
【0042】
第7の態様で本発明は、少なくとも1種類の化合物を含むサンプル液の組成を変えるための本発明の第3の態様による電気泳動ユニットの使用を提供する。
【0043】
第8の態様で本発明は、本発明の第4の態様による方法によって得られる生成物を提供する。
【0044】
本発明の利点は、前記装置および方法がサンプル液中の帯電した分子および他の成分を効果的かつ効率的に処理および分離できるという点である。
【0045】
本発明の別の利点は、前記装置および方法が大規模化能力、速い分離速度、相対的に低い運転コスト、高い安全性配慮、相対的に低い電力必要量および改善された使い易さを有するという点である。
【0046】
本発明のさらに別の利点は、前記装置および方法が、分離成分の高い収率を有し、サンプル液中の分離成分またはその他の成分の失活が微小または皆無であり、分離された成分の純度が高いという点である。
【0047】
上記および他の利点は、本明細書を読み、理解すると同時に当業者には明らかなことであろう。
【0048】
本明細書を通して、特に断らない限り、「有する」という用語または「からなる」もしくは「有してなる」などの変形は、記載された要素、物または段階、あるいは、複数の要素、物または段階の群を包含することを示唆し、他の要素、物または段階、あるいは、複数の要素、物または段階の群を除外するものではないことを意味すると理解する。
【0049】
本明細書中に含まれた文書、行為、材料、装置、論文などについての議論は、本発明に脈絡を持たせることのみを目的としたものである。その議論は、本願の各請求項の優先日以前にオーストラリアに存在していたことから、そのような事柄のいずれかまたは全てが先行技術の基礎一部を形成する、あるいは、本発明に関連する分野で公知の一般的な知識であったと認めることととるべきではない。
【0050】
本発明についての理解を深めるため、添付の図面および実施例を参照しながら、好ましい形態について説明する。
【0051】
図面の簡単な説明
図1は、本発明で使用される分離ユニットの模式図である。
【0052】
図2は、図1の分離ユニットを使用する本発明による装置の模式図である。
【0053】
図3は、図1の分離ユニットとともに使用し得るカートリッジの分解組立図である。
【0054】
図4Aは、分離ユニットのカートリッジの1構成要素として組み込み得るグリッドエレメントの平面図である。
【0055】
図4Bは、図4Aのグリッドエレメントの逆平面図である。
【0056】
図5は、図4AのX−X線での断面図である。
【0057】
図6は、図4AのXI−XI線での断面図である。
【0058】
図7は、図4AのXII−XII線での断面図である。
【0059】
図8は、分離ユニットのカートリッジの1構成要素として組み込み得るグリッドエレメントの別の実施形態の平面図である。
【0060】
図9は、図1の分離ユニットを使用する装置を示す図である。
【0061】
図10は、実施例1〜3に記載の電気泳動分離実験で出発物質として使用されたニワトリ卵白サンプル液からの、iCE280全カラム撮像キャピラリー型等電点電気泳動装置によって分離されたタンパク質バンドの280nmでの画像を示す図である。pI3.52およびpI9.61と表示されたピークはそれぞれ、等電点マーカーとして使用されるダンシルフェニルアラニンおよびテルブタリンに対応する。卵白サンプルは脱イオン水で1:25に希釈し、濾過してから分析に供した。分析条件は、装置:iCE280全カラム撮像キャピラリーIEFシステム、分離キャピラリー:長さ5cm、内径100μmの溶融シリカ、フォーカシング媒体:0.1%メチルセルロース水溶液中pH3〜10用の8%キャリア両性電解質、フォーカシング時間:5分、印加電位:3000Vである。
【0062】
図11は、本明細書に開示され、また実施例1に記載の電気泳動装置の第1のサンプル液貯槽(下図)および第2のサンプル液貯槽(上図)から実験の終了時に回収されたアリコートからの、iCE280全カラム撮像キャピラリー型等電点電気泳動装置によって分離したタンパク質バンドの280nmでの画像を示す図である。分離条件は、陽極液:80mM酢酸(pH=2.9)60mL、陰極液:8mMトリエタノールアミン(pH=9.9)60mL、サンプル液:脱イオン水中に1:25に希釈された卵白サンプル水溶液60mL、分離時間:15分、印加電位:250V、第1の電解液チャンバと第1のサンプル液チャンバとの間の第1のイオン透過性隔壁:pI=4.0の等電膜、第1のサンプル液チャンバと第2のサンプル液チャンバの間の第2のイオン透過性隔壁:pI=5.0の等電膜、第2のサンプル液チャンバと第2の電解液チャンバの間の第3のイオン透過性隔壁:pI=7.0の等電膜である。pI3.52およびpI9.61と表示されたピークはそれぞれ、等電点マーカーとして使用されるダンシルフェニルアラニンおよびテルブタリンに対応する。分析条件は、装置:iCE280全カラム影像IEFシステム、キャピラリー:長さ5cm、内径100μmの溶融シリカ、フォーカシング媒体:0.1%メチルセルロース水溶液中のpH3〜10用8%キャリア両性電解質、フォーカシング時間:5分、印加電位:3000Vである。
【0063】
図12は、本明細書に開示の電気泳動装置の第1のサンプル液貯槽(下図)および第2のサンプル液貯槽(上図)から実施例2に記載の実験の終了時に回収されたアリコートからの、iCE280全カラム撮像キャピラリー型等電点電気泳動装置によって分離したタンパク質バンドの280nmでの画像を示す図である。分離条件は、陽極液:2mM酢酸60mL、陰極液:8mMトリエタノールアミン60mL、サンプル液:脱イオン水中に1:25に希釈された卵白サンプル水溶液60mL、分離時間:15分、印加電位:250V、第1の電解液チャンバと第1のサンプル液チャンバとの間の第1のイオン透過性隔壁:公称分子量カットオフ5000ダルトンを有するポリアクリルアミド膜、第1のサンプル液チャンバと第2のサンプル液チャンバの間の第2のイオン透過性隔壁:pI=5.0の等電膜、第2のサンプル液チャンバと第2の電解液チャンバの間の第3のイオン透過性隔壁:公称分子量カットオフ5000ダルトンを有するポリアクリルアミド膜である。pI3.52およびpI9.61と表示されたピークはそれぞれ、等電点マーカーとして使用されるダンシルフェニルアラニンおよびテルブタリンに対応する。分析条件は、装置:iCE280全カラム撮像IEFシステム、キャピラリー:長さ5cm、内径100μmの溶融シリカ、フォーカシング媒体:0.1%メチルセルロース水溶液中のpH3〜10用8%キャリア両性電解液、フォーカシング時間:5分、印加電位:3000Vである。
【0064】
図13は、本明細書に開示の電気泳動装置の第1のサンプル液貯槽(下図)および第2のサンプル液貯槽(上図)から実施例3に記載の実験の終了時に回収されたアリコートからの、iCE280全カラム撮像キャピラリー型等電点電気泳動装置によって分離されたタンパク質バンドの280nmでの画像を示す図である。分離条件は、陽極液:2mM酢酸60mL、陰極液:8mMトリエタノールアミン60mL、サンプル液:脱イオン水に1:25に希釈された卵白サンプル水溶液60mL、分離時間:15分、印加電位:250V、第1の電解液チャンバと第1のサンプル液チャンバとの間の第1のイオン透過性隔壁:公称分子量カットオフ1000000ダルトンを有するポリアクリルアミド膜、第1のサンプル液チャンバと第2のサンプル液チャンバの間の第2のイオン透過性隔壁:pI=5.0の等電膜、第2のサンプル液チャンバと第2の電解液チャンバの間の第3のイオン透過性隔壁:公称分子量カットオフ1000000ダルトンを有するポリアクリルアミド膜である。pI3.52と表示されたピークは、等電点マーカーとして使用されるダンシルフェニルアラニンに相当する。分析条件は、装置:iCE280全カラム撮像IEFシステム、キャピラリー:長さ5cm、内径100μmの溶融シリカ、フォーカシング媒体:0.1%メチルセルロース水溶液中のpH3〜10用8%キャリア両性電解質、フォーカシング時間:5分、印加電位:3000Vである。
【0065】
図14は、ヒト血漿からのIgGの単離時における、本明細書に開示されまた実施例4に記載された電気泳動装置の第1および第2のサンプル液貯槽から回収されたアリコートに存在するタンパク質バンドを分析するのに用いられるSDS−PAGEゲルの影像を示す図である。分子量マーカー(Sigma, St. Louis, Mo., USA)をレーン1にアプライし、参照物質として使用される医薬グレードのIgG調製物をレーン2にアプライした。第1のサンプル液貯槽からそれぞれ0分後、10分後、20分後および40分後に採取されたサンプルを、レーン3、4、5および6にアプライした。第2のサンプル液貯槽からそれぞれ0分後、10分後、20分後および40分後に採取されたサンプル液を、レーン7、8、9および10にアプライした。分離条件は、陽極液:HClでpH4.8に調節された2mMの5−アミノカプロン酸ならびに5mMのNaClも含む2リットル、陰極液:NaOHでpH6.8に調節された2mMのMOPSOならびに5mMのNaClも含む2リットル、サンプル液:脱イオン水で1:3に希釈されたヒト血漿サンプル液10mL、分離時間:40分、印加電位:250V、第1の電解液チャンバと第1のサンプル液チャンバの間の第1のイオン透過性隔壁:公称分子量カットオフ150000ダルトンを有するポリアクリルアミド膜、第1のサンプル液チャンバと第2のサンプル液チャンバの間の第2のイオン透過性隔壁:pI=5.8の等電膜、第2のサンプル液チャンバと第2の電解液チャンバの間の第3のイオン透過性隔壁:公称分子量カットオフ150000ダルトンを有するポリアクリルアミド膜である。
【0066】
発明の実施の形態
好ましい実施形態について詳細に説明する前に、装置の操作の主要部分について最初に説明する。溶液中のイオンに対して印加される電界または電位によって、イオンは一方の電極の方へ移動する。イオンが正電荷を有する場合、それは負電極(陰極)の方へ動く。逆に、負電荷を有するイオンは、正電極(陽極)の方へ動く。
【0067】
本発明の装置では、装置またはユニットの隣接するチャンバ間での対流混合を実質的に防止するイオン透過性隔壁が電界中に置かれ、サンプル液の成分が隔壁を通って選択的に輸送される。使用される特定のイオン透過性隔壁は異なる用途に応じて変わるものであり、異なる成分の通過を許容または実質的に防止する特徴的な平均孔径および孔径分布および/または等電点を有する。
【0068】
本発明による装置の操作原理の一部について説明したが、装置自体について説明する。
【0069】
図1について説明すると、分離ユニット2の模式図を、本発明の技術を利用する分離装置の一般的機能を説明するために示してある。分離ユニット2は、第1の電解液導入口4、および第2の電解液導入口6、第1のサンプル液導入口8、および第2のサンプル液導入口10、第1の電解液排出口12、および第2の電解液排出口14、および第1のサンプル液排出口16および第2のサンプル液排出口18を有する。第1の電解液導入口4と第1の排出口12の間には、第1の電解液チャンバ22がある。同様に、第2の電解液導入口6と第2の電解液排出口14の間には第2の電解液チャンバ24がある。第1のサンプル液および第2のサンプル液導入口および排出口は、連結チャンバも有する。第1の電解液チャンバ22に隣接して延びる第1のサンプル液チャンバ26は、第1のサンプル液導入口8を第1のサンプル液排出口16に連結している。同様に、第2の電解液チャンバ24に隣接して延びる第2のサンプル液チャンバ28は、第2のサンプル液導入口10を第2のサンプル液排出口18に連結している。イオン透過性隔壁30および32は、それぞれ第1のサンプル液および第2のサンプル液チャンバ26および28から、電解液チャンバ22および24を分離する。第1のサンプル液および第2のサンプル液チャンバ26および28の間には、イオン透過性隔壁34がある。1実施形態においては、使用時に、第1および第2の電解液36および38が第1および第2の電解液チャンバ22および24を占有する。理解すべき点として、操作中に、第1および第2の電解液36および38、ならびに第1および第2のサンプル液56および66は、それぞれのチャンバ中で停滞し得るか、あるいはそのチャンバを通過して流れ得る。
【0070】
図1の分離ユニット2を利用する装置の模式図を、本発明の技術を用いる装置の一般的機能を説明するために図2に示してある。この純粋に説明のための例において、4つのチャンバ(第1の電解液チャンバ22、第2の電解液チャンバ24、第1のサンプル液チャンバ26および第2のサンプル液チャンバ28)が、4つの流動回路に連結されている。第1の電解液流動回路40は、第1の電解液貯槽42、電解液管路44および電解液ポンプ46を有する。第2の電解液流動回路41は、第2の電解液貯槽43、電解液管路45および電解液ポンプ47を有する。図2に示した構成では、電解液流動回路40および41が互いに独立に流れていることで、第1の電解液36および第2の電解液38の組成、温度、流量および容量を互いに独立に好適に調節することができる。
【0071】
図示の実施形態においては、第1の電解液36が第1の電解液貯槽42から管路44を通り、ポンプ46へ、そして第1の電解液チャンバ22に流れる。第2の電解液24は、第2の電解液貯槽43から管路45を通り、ポンプ47へ、そして第2の電解液チャンバ24に流れる。第1の電解液36は導入口4を通って流れ、第2の電解液38は導入口6を通って流れる。第1の電解液36は排出口12を通って分離ユニット2から出て、第2の電解液38は排出口14を通って分離ユニット2から出る。分離ユニット2から出た後、電解液36および38は管路44および45を通って流れて戻り、それぞれの電解液貯槽42および43に入る。1実施形態において電解液36および38は、分離の間電解液チャンバ22および24で停滞状態に保持される。電解液36および38は、冷媒として作用し、電気泳動の間に発生する気体の蓄積を防止する効果を有し得る。
【0072】
第1のサンプル液流動回路48は、第1のサンプル液貯槽50、管路52およびポンプ54を有する。第1のサンプル液56は、第1のサンプル液貯槽50から管路52を通って流れ、ポンプ54に至り、次に導入口8を通って第1のサンプル液チャンバ26に入る。1実施形態において、第1のサンプル液チャンバ26での第1のサンプル液56と電解液36および38の流動方向は反対である。第1のサンプル液56は、排出口16で分離ユニット2を出て、管路52を通り、第2の電解液貯槽43を通過する熱交換器68に至り、その後に管路52から第1のサンプル液貯槽50に戻る。別の実施形態では、熱交換器68は第1の電解液貯槽42を通過する。別の実施形態では、第1のサンプル液チャンバ26での第1のサンプル液56と電解液36および38の流動方向は同じである。
【0073】
対象とする成分以外に、第1のサンプル液56は、イオン透過性隔壁を通過する特定成分の移動を実質的に防止する、あるいはその移動を引き起こすために実施される手順、用途または分離によって要求される当業界で公知の適切な電解質または添加物を含み得る。好ましい実施形態では、構成成分が除去されるサンプル液を第1のサンプル液貯槽50に入れる。しかしながら、別の実施形態で、構成成分が除去されるサンプル液を第2のサンプル液貯槽60に入れることは理解されるものである。
【0074】
同様に、第2のサンプル液流動回路58は第2のサンプル液貯槽60、管路62およびポンプ64を有する。第2のサンプル液66は、第2のサンプル液貯槽60から管路62を通ってポンプ64に流れ、次に導入口10を通って第2のサンプル液チャンバ28に入る。1実施形態では、第2のサンプル液チャンバ28での第2のサンプル液66と電解液36および38の流動方向は反対である。第2のサンプル液66は、排出口18で分離ユニット2を出て、管路62を通って流れ、第2の電解液貯槽43を通過する熱交換器70を通り、それから管路62を通って第2のサンプル液貯槽60に戻る。別の実施形態では、熱交換器70は第1の電解液貯槽43を通過する。
【0075】
第2のサンプル液66は、イオン透過性隔壁を通過する特定の成分の移動を実質的に防止する、あるいはその移動を引き起こすために実施される手順、用途または分離によって要求される当業界で公知の適切な電解質または添加物を含み得る。ある好ましい実施形態では、構成成分が除去されるサンプル液を第2のサンプル液貯槽60に入れる。しかしながら、別の実施形態で、構成成分が除去されるサンプル液を第1のサンプル液貯槽50に入れることは理解されるものである。
【0076】
第1のサンプル液、第2のサンプル液、第1の電解液および第2の電解液の個々に調節可能な流量は、これを用いると、分離に対して大きな影響を与え得る。0〜数ミリリットル/分ないしは数リットル/分の範囲の流量が、装置の構成ならびに処理されるサンプル液の組成、量および容量に応じて適切である。実験室規模の装置では、約0mL/分〜約50000mL/分の範囲の個々に調節可能な流量を用い、好ましい流量は0mL/分〜約1000mL/分の範囲内である。しかしながら、ポンプ送り手段および装置の大きさに応じて、それより高い流量も可能である。個々に調節可能な流量の選択は、工程、移動されるべき成分または複数成分、移動の効率、ならびに本工程と他の工程(前工程または後工程)の組み合わせによって決まる。
【0077】
好ましくは、全ての管路44、52および62は、加圧滅菌可能で、耐薬品性であり、生物学的に不活性である蠕動管路である。1つのそのような管路が、マスターフレックス(登録商標)(Masterflex)C−FLEX(登録商標)50A管路である。また、ポンプ46、47、54および64は好ましくは、電解液36および38、ならびにサンプル液56および66と接触しない蠕動ポンプである。現在好ましい実施形態では、熱交換器68および70はステンレス製のものである。ただし、当業界で公知の他の材料も適宜使用される。好ましくは、熱交換器68および70は、加圧滅菌可能で、耐薬品性であり、生物学的に不活性であり、熱交換を促進することができるものである。
【0078】
さらに、第1のサンプル液流動回路48、第2のサンプル液流動回路58、第1の電解液流動回路40および第2の電解液流動回路41を完全に密閉して、汚染や交差汚染を防止することが好ましい。ある好ましい実施形態では、貯槽42、43、50および60は、装置の他の部分から完全かつ個別に密閉されている。
【0079】
分離ユニットはさらに、電極88aおよび88bを有する。好ましくはそれぞれの電極は、第1および第2の電解液チャンバにあり、イオン透過性隔壁によって第1および第2のサンプル液チャンバから分離されている。
【0080】
電極88aおよび88bは、適切には標準的な電極であるか、あるいは好ましくは、優れた機械特性、均一な電界分布、長い耐用期間およびコスト効率を提供する白金コートチタンエキスパンデッドメッシュから形成される。電極88aおよび88bは好ましくは、イオン透過性隔壁30および32に相対的に近い位置に置いて、印加電位のより良好な利用および発熱低減が行われるようにする。約0.1〜6mmの距離が、実験室規模の装置に好適であることが見い出されている。規模拡大版の場合、その距離はイオン透過性隔壁の数および種類、ならびに電解液チャンバおよびサンプル液チャンバの大きさおよび容量によって決まる。好ましい距離は、約0.1mm〜約10mmのレベルになると考えられる。
【0081】
分離ユニット2は好ましくは、分離ユニット2を電源装置72に接続するのに用いられる電極コネクタ78も有する。好ましくは、電源装置72は分離ユニット2に対して外部にある。しかしながら、分離ユニット2は内部電源装置72を受け入れるような構成とすることもできる。電極コネクタ78は好ましくは、加圧滅菌可能である。
【0082】
分離は、電位を分離ユニット2に印加した時に行われる。電界強度の選択は分離に応じて変わる。代表的には電界強度は、1V/cm〜約5000V/cm、好ましくは10V/cm〜2000V/cmで変動し、最大約1Aの電流を生じる。ユニットの総電力消費を、所望の分離および製造速度に釣り合う最小値に維持することが好ましい。
【0083】
1実施形態では、印加電位を周期的に停止および逆転させて、他の流体流に進入した成分の再進入を実質的に生起させることなく、イオン透過性隔壁に進入した成分の少なくとも流体流の一つの中への逆移動を起させる。別の実施形態では、休息期間を用いる。休息(流体流は維持されるが、電位は印加されない期間)は、場合によって行われる電位の逆転を適宜に置き換えるまたはその後に適宜に含まれる任意の段階である。休息は、電位逆転に対する代替法として、タンパク質含有サンプル液に用いられる場合が多い。
【0084】
分離ユニット2は好適には、一方もしくは両方の電解液貯槽42および43の中に置かれた氷ブロックまたは冷却コイル(外部の装置)などの当業界で公知の各種方法、または電解液36および38の温度を制御することができる他の適当な手段によって適宜に冷却される。第1のサンプル液流動回路48および第2のサンプル液流動回路58の両方が電解液貯槽42または43のいずれかを通過することから、第1および第2のサンプル液と第1および第2の電解液の一方もしくは両方との間で熱交換が行われる。熱交換は、第1のサンプル液56および第2のサンプル液66における温度を、好ましい、通常は低いレベルに維持する傾向がある。
【0085】
別の形態では、4つのチャンバ(第1の電解液チャンバ22、第2の電解液チャンバ24、第1のサンプル液チャンバ26および第2のサンプル液チャンバ28)を有する電気泳動ユニットが提供される。イオン透過性隔壁30および32は、電解液チャンバ22および24を、それぞれ第1のサンプル液および第2のサンプル液チャンバ26および28から分離している。第1のサンプル液および第2のサンプル液チャンバ26および28の間には、イオン透過性隔壁34がある。電極は第1および第2の電解液チャンバ内に収納され、サンプル液および/または流体が第1のサンプル液チャンバ26および第2のサンプル液チャンバ28に入れられる。使用に際しては、電極間に電位を印加し、第1のサンプル液チャンバ26または第2のサンプル液チャンバ28中の1以上の成分を他方のサンプル液チャンバまたは電解液チャンバの一方に移動させる。
【0086】
図3は、好ましくは分離ユニット2のモジュラー構成要素であるカートリッジ100の分解組立図である。モジュラーユニットとして構成する場合、カートリッジ100は好ましくは、カートリッジ100の構成部品を適所に保持したり収納するための筐体102を有する。現在好ましい実施形態では、カートリッジ100は細長いものであり、互いにまたカートリッジ100の長軸Aに平行な側壁104を有する。カートリッジは好適には、八角形、六角形または楕円形である。八角形形状では、カートリッジ100は側壁104の両側に3つの端壁106を有して八角形を形成する。しかしながら、各側の2つの端壁106を適宜に用いて六角形を形成するか、あるいは各側の一つの曲線端壁106を適宜用いて楕円形状を形成する。さらに、端壁106は適切には、真直ぐかまたは曲がっているかのいずれかである。
【0087】
側壁104および端壁106の底部の囲りには、側壁104および端壁106に対して直角であって、カートリッジ100の中心に向かって中側に入り込んでいる小さいフランジ108が延びている。側壁104または端壁106の外側に沿っては好ましくは、カートリッジ100を分離ユニット2内に入れるのを容易にするためのハンドル110がある。フランジ108は好ましくは、下側ガスケット112と相互関係がとれるような構造とする。好ましい実施形態では、下側ガスケット112は平面状であり、カートリッジ100の内壁104および106に合うような構造とする。現在好ましい実施形態では、下側ガスケット112はシリコンゴム製である。下側ガスケット112は、下側ガスケット112の中心を通って長細く延びる開口114を有するような構造とすることができる。下側ガスケット112の各末端の近くでそれを通って延びる位置決め穴116もある。好ましい実施形態では、位置決め穴116は円形であって、下側ガスケット112を通る円筒形流路を形成する。しかしながら、位置決め穴116は適切には三角形、正方形、矩形、六角形、八角形または同様の形状であることも想到される。
【0088】
下側ガスケット112の上には、平面状の下側イオン透過性隔壁32がある。イオン透過性隔壁32の外側形状は、下側ガスケット112およびカートリッジ100の内側の形状と同じであることで、イオン透過性隔壁32がカートリッジ100の内側に合うような構造となっている。下側ガスケット112と同様に、イオン透過性隔壁32は好ましくは、下側ガスケット112における位置決め穴116と同じ配置および構造の2つの位置決め穴を有する。イオン透過性隔壁32は、電位の印加と同時に特定の構成成分の選択的隔壁横断輸送を可能としながら、第1の電解液チャンバ22および第1のサンプル液チャンバ26の内容物の対流混合を実質的に防止する。
【0089】
1実施形態では、イオン透過性隔壁32は、特徴的な平均孔径および孔径分布を有する膜から形成される。その膜の平均孔径および孔径分布は、ある構成成分の膜横断輸送を促進しながら、他の構成成分の膜横断輸送を実質的に防止するように選択される。
【0090】
別の実施形態ではイオン透過性隔壁32は、第1の電解液チャンバ22および第1のサンプル液チャンバ26の内容物の対流混合を実質的に防止しながら、電位の印加と同時に特定構成成分の選択的隔壁横断輸送を許容する等電膜などの等電イオン透過性隔壁である。好適な等電膜は、アクリルアミド、N,N′−メチレンビスアクリルアミドおよび弱電解液の適切なアクリルアミド誘導体を共重合させて、pI値が2〜12の範囲であり、特定の大きさの成分の膜横断輸送を促進または実質的に防止する平均孔径を有する等電膜を形成することで製造することができる。
【0091】
下側イオン透過性隔壁32の上には、通常は平面であって、下側ガスケット112およびカートリッジ100の内側と同様の形状を持つことで、下側グリッドエレメント118がカートリッジ100内部に合うような構造となる下側グリッドエレメント118がある。下側グリッドエレメント118の機能の一つは、下側イオン透過性隔壁32をイオン透過性隔壁34から分離することにある。下側グリッドエレメント118の他の機能は、第1のサンプル液56用の流路を提供することにある。下側イオン透過性隔壁32および下側ガスケット112と同様に、下側グリッドエレメント118は好適には位置決め穴116も有する。
【0092】
下側グリッドエレメント118の上には、平面状のイオン透過性隔壁34がある。イオン透過性隔壁34の外側形状は、下側ガスケット112およびカートリッジ100の内側と同じであることで、イオン透過性隔壁34がカートリッジ100の内側に合うような構造となっている。イオン透過性隔壁34は、第1のサンプル液チャンバ26および第2のサンプル液チャンバ28の内容物の対流混合を実質的に防止しながら、電位の印加と同時の特定構成成分の選択的隔壁横断輸送を許容するものである。
【0093】
1実施形態では、イオン透過性隔壁34は特徴的な平均孔径および孔径分布を有する膜から形成される。その膜の平均孔径および孔径分布は、ある構成成分の膜横断輸送を促進しながら、他の構成成分の膜横断輸送を実質的に防止するように選択される。
【0094】
別の実施形態ではイオン透過性隔壁34は、第1のサンプル液チャンバ26および第2のサンプル液チャンバ28の内容物の対流混合を実質的に防止しながら、電位の印加と同時に特定構成成分の選択的隔壁横断輸送を許容する等電膜などの等電イオン透過性隔壁である。好適な等電膜は、アクリルアミド、N,N′−メチレンビスアクリルアミドおよび適切な弱電解質のアクリルアミド誘導体を共重合させて、pI値が2〜12の範囲であり、特定の大きさの成分の膜横断輸送を促進または実質的に防止する平均孔径を有する等電膜を形成することで製造することができる。
【0095】
イオン透過性隔壁34の上には、上側グリッドエレメント120、上側イオン透過性隔壁38および上側ガスケット124という3つの上側構成要素がある。これらの3種類の構成要素は、上側グリッドエレメント120がイオン透過性隔壁34の直ぐ上にあり、イオン透過性隔壁38が上側グリッドエレメント120の直ぐ上にあり、上側ガスケット124がイオン透過性隔壁38の直ぐ上にあるように配置されている。これら3つの上側構成要素の構造は好適には下側の3つの構成要素の構造とそっくり同じである。
【0096】
位置決め穴116を有するイオン透過性隔壁34の下の構成要素は、固定具で一緒に連結されていてもよく、その固定具は位置決め穴116と相互関係がとれ、第1のサンプル液56の貫流を促進する構造を有する種類のコネクタである。同様に、位置決め穴116を有するイオン透過性隔壁34の上の構成要素は、固定具で一緒に連結されていてもよく、その固定具は位置決め穴116と相互関係がとれ、第2のサンプル液66の貫流を促進する構造を有する種類のコネクタである。
【0097】
カートリッジ100の構成要素は、クリップ126によってカートリッジ100内に好適に保持される。クリップ126は、カートリッジ100の壁104および106の頂部の囲りで適宜スナップ留めまたは接着されている。
【0098】
イオン透過性隔壁38は、第2の電解液チャンバ24および第2のサンプル液チャンバ28の内容物の対流混合を実質的に防止しながら、電位の印加と同時の特定の構成成分の選択的隔壁横断輸送を許容する。
【0099】
1実施形態において、イオン透過性隔壁38は特徴的な平均孔径および孔径分布を有する膜から形成される。その膜の平均孔径および孔径分布は、ある構成成分の膜横断輸送を促進しながら、他の構成成分の膜横断輸送を実質的に防止するように選択される。
【0100】
別の実施形態ではイオン透過性隔壁38は、第2の電解液チャンバ24および第2のサンプル液チャンバ28の内容物の対流混合を実質的に防止しながら、電位の印加と同時に特定構成成分の選択的隔壁横断輸送を許容する等電膜などの等電イオン透過性隔壁である。好適な等電膜は、アクリルアミド、N,N′−メチレンビスアクリルアミドおよび弱電解液の適切なアクリルアミド誘導体を共重合させて、pI値が2〜12の範囲であり、特定の大きさの成分の膜横断輸送を促進または実質的に防止する平均孔径を有する等電膜を形成することで製造することができる。
【0101】
好ましいグリッドエレメント118および120を、図4〜7にさらに詳細に示してある。図4Aには、分離ユニット2用のカートリッジ100の構成要素として組み込まれる好ましいグリッドエレメントの平面図を示してある。格子131を組み込んだ細長い矩形切り込み部分128が、グリッドエレメントの中央に画定されている。グリッドエレメントの各末端には、カートリッジ100の他の構成要素との位置合わせ用に、位置決め穴116が適宜に設けられている。好ましくは、側面および底面を有する三角形流路領域130が、位置決め穴116から切り込み部分128へと延び且つ広がっている。直立リブ132、134および136(図6および7に最も良く示してある)が、流路領域130に画定されている。穴116を通って流れる液体は従ってリブ132、134および136の間の三角形流路領域130に沿って流れ、そして格子131の中に入る。リブ132、134および136は、穴116からの液体の流れを導き、液体が格子131の断面に沿って均等に分布するのを確実にする上で役立つ。リブ132、134および136はまた、グリッドエレメントの上または下に配置されたイオン透過性隔壁34に対して支持を提供するものでもある。
【0102】
格子131は、上に配置されたグリッドの長軸に対してある角度で延びる第1の離間平行部材138アレイからなり、前記第1の平行部材138アレイのグリッドの長軸に対する角度の約2倍の角度で延びる第2の下側の離間平行部材140のセットと一体化される。現在好ましい実施形態では、前記第1の平行部材138アレイは前記長軸から約45°の角度で延び、前記第2の平行部材140アレイは第1の平行部材138アレイに対して約90°で延びる。しかしながら、他の角度も適宜に用いられる。
【0103】
図4Bについて説明すると、グリッドエレメントの反対面を示してある。その反対面は好適には、切り取り領域128および位置決め穴116を除いて、比較的平滑且つ平坦である。その平滑、平坦表面は、それぞれイオン透過性隔壁32とグリッドエレメント118との間、ならびにイオン透過性隔壁38とグリッドエレメント120との間の封止を確実に行う傾向を有する。
【0104】
図5について説明すると、第1および第2の平行部材138および140の上側および下側表面は、好ましくは丸みを帯びている。平行部材138および140が丸みを帯びている場合、鋭利な縁部がないことで、イオン透過性隔壁34に対する損傷が防止され、さらなる支持が提供される。格子131は、イオン透過性隔壁34の表面での液体の流れを均等分布させる。第2の部材140のセットの上に配置された第1の部材138のセットを使用することで、液流中の液体が強制的に上下に動かされて、頻繁に方向を変え、それが液体の混合を促進するのを助け、静止流領域の発生を防ぐ傾向がある。
【0105】
グリッドエレメントの厚さは好ましくは、比較的薄い。1つの現在好ましい実施形態では、エレメントの外側領域144は厚さ0.8mmである。密封用リッジ142(図4Aおよび4Bにも示してある)が格子131の外周の回りに延びて、密封が改善される。リッジ142は好ましくは、グリッドエレメントの一方の側から他方の側まで測定して約1.2mmの厚さを有する。グリッドエレメント138および140の対向する頂点間の距離は、グリッドの一方の側から他方まで測定して、好ましくは約1mmである。その比較的薄いグリッド厚さは、いくつかの利点を提供する。第1に、それによってイオン透過性隔壁34全体にわたって液体のさらに均一な分布が得られ、巨大分子によるそれの汚れを防止する上で役立つ。
【0106】
また、比較的薄いグリッドを用いることで必要な液体の容量が低減し、それによって比較的少ないサンプル液容量を実験室規模の分離に用いることができ、先行技術の分離装置と比較して大きい利点となる。
【0107】
最後に、電界強度が一定に維持される場合、比較的薄いグリッドエレメントを用いることで、液体に加える電力をより少なくすることができる。液体への熱伝達が少ないと、液体の温度は低温に維持される。高温ではサンプルおよび目的生成物の両方が破壊される可能性があることから、それは有利である。
【0108】
図8には、本発明の別の実施形態でのグリッドエレメント144を示してある。グリッドエレメント144は、グリッドエレメント118および120よりずっと大きい表面積を有するイオン透過性隔壁を使用するものである。グリッドエレメント144の主要な操作は好適には、それより小さいグリッドエレメントの場合とほぼ同様である。ただし、第1のサンプル液56または第2のサンプル液66が供給される穴146は、グリッド144の2つの対向するコーナー部に配置されており、穴146からグリッド144の中央部分150に液流を供給するもっと多くの流路148がある。カートリッジ、カートリッジ収納ケースおよび他のコンポーネントの大きさおよび形状は、グリッド144のそれに合うように大きくする。
【0109】
図9は、本発明に従い使用するための分離装置200の現在好ましい実施形態の図である。分離装置には、カートリッジ100およびクランプ86を受け入れる構造となっている分離ユニット2がある。クランプ86は、コンポーネントであるカートリッジが分離ユニット2内に設置されたら、分離ユニット2を固定するのに用いられる。現在好ましい実施形態では、クランプ86はアルミニウム製であり、好ましくは陽極酸化されている。クランプ86は好ましくは単純なネジ式クランプユニットであることで、ネジ式操作ノブを用いてクランプ86の開閉を行うことができるようになっている。この分離装置は、第1のサンプル液貯槽50、第2のサンプル液貯槽60、ならびに、電解液コンパートメント202中の第1および第2の電解液貯槽42および43、を示している。
【0110】
本発明についての理解をさらに深めるため、記載の好ましい分離技術の形態を参照しながら、分離方法の例を説明する。
【0111】
実施例
実施例1
図9に示した本発明による装置を用いて、ニワトリ卵白中に存在するタンパク質を2つの画分に分離した。図3〜7に示した電気泳動分離のカートリッジを、使用すべく装置に装着した。第1の電解液チャンバと第1のサンプル液チャンバの間に配置された第1のイオン透過性隔壁は、イモビリンケミカルズ(Immobiline chemicals)(Pharmacia, Sweden)の、アクリルアミドおよびN,N′−メチレンビス−アクリルアミドから製造されたpI=4.0の等電膜とした。第1のサンプル液チャンバと第2のサンプル液チャンバの間に配置された第2のイオン透過性隔壁は、イモビリンケミカルズ(Pharmacia, Sweden)の、アクリルアミドおよびN,N′−メチレンビス−アクリルアミドから製造されたpI=5.0の等電膜とした。第2のサンプル液チャンバと第2の電解液チャンバの間に配置された第3のイオン透過性隔壁は、イモビリンケミカルズ(Pharmacia, Sweden)の、アクリルアミドおよびN,N′−メチレンビス−アクリルアミドから製造されたpI=7.0の等電膜とした。
【0112】
第1の電解液貯槽を、2mM酢酸溶液(pH2.9)60mLで満たした。第2の電解液貯槽を、8mMトリエタノールアミン溶液(pH9.9)60mLで満たした。第1および第2のサンプル液貯槽をそれぞれ、1:25の割合で脱イオン水で希釈した濾過済みニワトリ卵白溶液30mLで満たした。陽極は第1の電解液チャンバに入れ、陰極は第2の電解液チャンバに入れた。印加電位は250Vとし、分離時間は15分とした。分離前および分離終了後に、サンプル液貯槽から分析用にアリコートを採取した。
【0113】
iCE280装置(Convergent Bioscience, Toronto, Canada)での全カラム撮像キャピラリー型等電点電気泳動を用いて、卵白サンプル液の分析を行った。溶融シリカ分離キャピラリーは、長さ5cm、内径100μmのものであった。フォーカシング媒体は、0.1%メチルセルロース水溶液中に、pH3〜10の範囲をカバーする8%キャリア両性電解質を含有した。分析対象サンプル液75μLをフォーカシング媒体150μLと混合し、キャピラリーに充填し、3000Vで5分間のフォーカシングを行った。ダンシルフェニルアラニン(pI=3.52)およびテルブタリン(pI=9.61)をpIマーカーとして用いた。
【0114】
図10には、卵白供給サンプル液についての結果を示してある。ピクセル650と850の間のピークは、卵白アルブミンのイソ型に相当し、ピクセル1250と1350の間のものはオボトランスフェリンのイソ型に相当する。
【0115】
電気泳動分離の結果として、卵白アルブミン(pI=4.7)などの5.0より低いpI値を有するタンパク質が、第1のサンプル液貯槽中に、pI=5.0の等電膜の陽極側に蓄積した(図11の下図)。オボトランスフェリン(pI=6.1)などの5.0より大きいpI値を有するタンパク質は第2のサンプル液貯槽中に、等電膜の陰極側に蓄積した(図11の上図)。
【0116】
実施例2
実施例1と同じ装置を用いて、ニワトリ卵白中に存在するタンパク質を2つの画分に分離した。図3〜7に示した電気泳動分離のカートリッジを、使用すべく装置に装着した。第1の電解液チャンバと第1のサンプル液チャンバの間に配置された第1のイオン透過性隔壁は、公称分子量カットオフ5000ダルトンを有するポリアクリルアミド膜とした。第1のサンプル液チャンバと第2のサンプル液チャンバの間のイオン透過性隔壁は、実施例1のようなイモビリンケミカルズ(Pharmacia, Sweden)の、アクリルアミドおよびN,N′−メチレンビス−アクリルアミドから製造されたpI5.0の等電膜とした。第2のサンプル液チャンバと第2の電解液チャンバの間に配置された第3のイオン透過性隔壁は、公称分子量カットオフ5000ダルトンを有するポリアクリルアミド膜とした。
【0117】
第1の電解液貯槽を、2mM酢酸溶液(pH3.8)60mLで満たした。第2の電解液貯槽を、8mMトリエタノールアミン溶液(pH9.9)60mLで満たした。第1および第2のサンプル液貯槽をそれぞれ、1:25の割合で脱イオン水で希釈した濾過済みニワトリ卵白溶液30mLで満たした。陽極は第1の電解液チャンバに入れ、陰極は第2の電解液チャンバに入れた。印加電位は250Vとし、分離時間は15分とした。分離終了後に、サンプル液貯槽チャンバから分析用にアリコートを採取した。
【0118】
iCE280装置(Convergent Bioscience, Toronto, Canada)での全カラム撮像キャピラリー型等電点電気泳動を用いて、卵白サンプル液の分析を行った。溶融シリカ分離キャピラリーは、長さ5cm、内径100μmのものであった。フォーカシング媒体は、0.1%メチルセルロース水溶液中に、pH3〜10の範囲をカバーする8%キャリア両性電解質を含有した。分析対象サンプル液75μLをフォーカシング媒体150μLと混合し、キャピラリーに充填し、3000Vで5分間のフォーカシングを行った。ダンシルフェニルアラニン(pI=3.52)およびテルブタリン(pI=9.61)をpIマーカーとして用いた。
【0119】
電気泳動分離の結果として、卵白アルブミン(pI=4.7)などの5.0より低いpI値を有するタンパク質が、第1のサンプル液貯漕中に、pI=5.0の等電膜の陽極側に蓄積した(図12の下図)。オボトランスフェリン(pI=6.1)などの5.0より大きいpI値を有するタンパク質は第2のサンプル液貯漕中に、pI=5.0の等電膜の陰極側に蓄積した(図12の上図)。第1および第3のイオン透過性隔壁が実施例1のように等電膜ではなかったにもかかわらず、卵白アルブミンとオボトランスフェリンのいずれも、第1または第2の電解液チャンバ中に失われなかった。分離終了後、第1および第2のサンプル液貯槽における溶液pHは、それぞれ4.7および6.7であった。
【0120】
実施例3
実施例1と同じ装置を用いて、ニワトリ卵白中に存在するタンパク質を2つの画分に分離した。第1の電解液チャンバと第1のサンプル液チャンバの間に配置された第1のイオン透過性隔壁は、公称分子量カットオフ1000000ダルトンを有するポリアクリルアミド膜とした。第1のサンプル液チャンバと第2のサンプル液チャンバの間のイオン透過性隔壁は、実施例1のようなイモビリンケミカルズ(Pharmacia, Sweden)の、アクリルアミドおよびN,N′−メチレンビス−アクリルアミドから製造されたpI5.0の等電膜とした。第2のサンプル液チャンバと第2の電解液チャンバの間に配置された第3のイオン透過性隔壁は、公称分子量カットオフ1000000ダルトンを有するポリアクリルアミド膜とした。
【0121】
第1の電解液貯槽を、2mM酢酸溶液(pH3.8)60mLで満たした。第2の電解液貯槽を、8mMトリエタノールアミン溶液(pH9.9)60mLで満たした。第1および第2のサンプル液貯槽をそれぞれ、1:25の割合で脱イオン水で希釈した濾過済みニワトリ卵白溶液30mLで満たした。陽極は第1の電解液チャンバに入れ、陰極は第2の電解液チャンバに入れた。印加電位は250Vとし、分離時間は15分とした。分離終了後に、サンプル液貯槽チャンバから分析用にアリコートを採取し、iCE280装置での全カラム撮像キャピラリー型等電点電気泳動によって分析を行った。
【0122】
電気泳動分離の結果として、卵白アルブミン(pI=4.7)などの5.0より低いpI値を有するタンパク質が、第1のサンプル液貯漕中に、pI=5.0の等電膜の陽極側に蓄積した(図13の下図)。オボトランスフェリン(pI=6.1)などの5.0より大きいpI値を有するタンパク質は第2のサンプル液貯漕中に、pI=5.0の等電膜の陰極側に蓄積した(図13の上図)。第1および第3のイオン透過性隔壁の平均孔径がそれら蛋白の隔壁通過を可能とする十分な大きさであったにもかかわらず、卵白アルブミンとオボトランスフェリンのいずれも、第1または第2の電解液チャンバ中に失われるということはなかった。分離終了後、第1および第2のサンプル液貯槽における溶液pHは、それぞれ4.7および6.2であった。
【0123】
実施例4
実施例1と同じ装置を用いて、ヒト血漿からの免疫グロブリンG(IgG)を精製した。第1の電解液チャンバと第1のサンプル液チャンバの間に配置された第1のイオン透過性隔壁は、公称分子量カットオフ150000ダルトンを有するポリアクリルアミド膜とした。第1のサンプル液チャンバと第2のサンプル液チャンバの間のイオン透過性隔壁は、イモビリンケミカルズ(Pharmacia, Sweden)の、アクリルアミドおよびN,N′−メチレンビス−アクリルアミドから製造されたpI5.8等電膜とした。第2のサンプル液チャンバと第2の電解液チャンバの間に配置された第3のイオン透過性隔壁は、公称分子量カットオフ150000ダルトンを有するポリアクリルアミド膜とした。
【0124】
第1の電解液貯槽を、5mMのNaClも含有する2mMの5−アミノカプロン酸溶液2リットルで満たし、そのpHをHClで4.8に調節した。第2の電解液貯槽を、5mMのNaClも含有する、2mMのMOPSO溶液2リットルで満たし、そのpHをNaOHで6.8に調節した。陽極は第1の電解液チャンバに入れ、陰極は第2の電解液チャンバに入れた。印加電位は250Vであった。最初に両方のサンプル液貯槽を脱イオン水で満たした。電位を2分間印加して、膜から未重合物質を除去した。2分後、全ての貯槽を空とし、電解液貯槽を新鮮な電解液で満たし、サンプル液貯槽を、脱イオン水で1:3に希釈されたヒト血漿それぞれ15mLで満たした。電位を40分間印加した。それぞれ0分後、10分後、20分後および40分後に、サンプル液貯槽チャンバから分析用にアリコートを採取した。
【0125】
図14に、ヒト血漿からのIgGの単離時に分取規模の等電点電気泳動装置の第1および第2のサンプル液貯槽から回収されたアリコートに存在するタンパク質バンドを分析するのに用いたSDS−PAGEゲルの画像を示してある。分子量マーカー(Sigma, St. Louis, Mo., USA)をレーン1にアプライし、参照物質として用いた医薬グレードのIgG調製物をレーン2にアプライした。第1のサンプル液貯槽からそれぞれ0分後、10分後、20分後および40分後に採取したサンプル液を、レーン3、4、5および6にアプライした。第2のサンプル液貯槽からそれぞれ0分後、10分後、20分後および40分後に採取したサンプル液を、レーン7、8、9および10にアプライした。IgGを40分以内で精製した。
【0126】
これらの実施例は、本明細書に開示の装置および方法を用いて、両性電解質成分の非常に迅速な分離を行うことが可能であることを示している。その高い製造速度は、このシステムに特徴的な短い電気泳動移動距離、高い電界強度および優れた熱放散によるものである。
【0127】
以上、本明細書においては、単なる例示として本発明の説明を行った。広く記載されている本発明の精神または範囲から逸脱することなく、具体的な実施形態で示されたように、本発明に対して多くの変形および/または改変を行い得ることは、当業者には明らかであろう。従って、本明細書における実施形態は、あらゆる面において例示的なものであって、限定的なものではないとみなされるべきである。本発明の他の特徴および態様については、本開示を読み、理解することで、当業者には明らかであろう。そのような特徴、態様ならびに報告された結果および実施例についての予期される変形および改変は、明らかに、発明が特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明で使用される分離ユニットの模式図である。
【図2】
図1の分離ユニットを使用する本発明による装置の模式図である。
【図3】
図1の分離ユニットとともに使用し得るカートリッジの分解組立図である。
【図4】
分離ユニットのカートリッジの1構成要素として組み込むことができるグリッドエレメントの図であって、図4Aはそのグリッドエレメントの平面図であり、図4Bは図4Aのグリッドエレメントの逆平面図である。
【図5】
図4AのX−X線での断面図である。
【図6】
図4AのXI−XI線での断面図である。
【図7】
図4AのXII−XII線での断面図である。
【図8】
分離ユニットのカートリッジの1構成要素として組み込み得るグリッドエレメントの別の実施形態の平面図である。
【図9】
図1の分離ユニットを使用する装置を示す図である。
【図10】
実施例1〜3に記載の電気泳動分離実験で出発物質として使用されたニワトリ卵白サンプル液からの、iCE280全カラム撮像キャピラリー型等電点電気泳動装置によって分離されたタンパク質バンドの280nmでの画像を示す図である。
【図11】
本明細書に開示され、また実施例1に記載の電気泳動装置の第1のサンプル液貯槽(下図)および第2のサンプル液貯槽(上図)から実験の終了時に回収されたアリコートからの、iCE280全カラム撮像キャピラリー型等電点電気泳動装置によって分離したタンパク質バンドの280nmでの画像を示す図である。
【図12】
本明細書に開示の電気泳動装置の第1のサンプル液貯槽(下図)および第2のサンプル液貯槽(上図)から実施例2に記載の実験の終了時に回収されたアリコートからの、iCE280全カラム撮像キャピラリー型等電点電気泳動装置によって分離したタンパク質バンドの280nmでの画像を示す図である。
【図13】
本明細書に開示の電気泳動装置の第1のサンプル液貯槽(下図)および第2のサンプル液貯槽(上図)から実施例3に記載の実験の終了時に回収されたアリコートからの、iCE280全カラム撮像キャピラリー型等電点電気泳動装置によって分離されたタンパク質バンドの280nmでの画像を示す図である。
【図14】
ヒト血漿からのIgGの単離時における、本明細書に開示されまた実施例4に記載された電気泳動装置の第1および第2のサンプル液貯槽から回収されたアリコートに存在するタンパク質バンドを分析するのに用いられるSDS−PAGEゲルの画像を示す図である。
発明の分野
本発明は、少なくとも1種類の両性電解質成分を含む混合物の最初の組成を電気泳動的に変える上で好適な電気泳動装置および方法に関する。
【0002】
発明の背景
アミノ酸、ペプチド、オリゴペプチド、タンパク質などの両性電解質化合物が低濃度で溶液中に存在する場合、それの電荷状態はその環境のpHによって決まる。ある特徴的なpH値で、両性電解質化合物の正味電荷(従って、電気泳動的移動性)がゼロになる。そのpH値は、両性電解質化合物のpI値と称される。2種類の両性電解質化合物が異なるpI値を有する場合、それの正味電荷は異なるpH値でゼロになる。従って、電界においてpH勾配が確立されている場合、その2種類の両性電解質化学種はpH勾配の異なる箇所でゼロ正味電荷となることから、結果的にそれらを分離することができる。そのような分離は、等電点電気泳動(IEF)分離と称される。IEF分離は、(i)一定温度または空間的に変化する温度での非両性電解質緩衝液からつくられる人工的pH勾配、(ii)キャリアである両性電解質化合物または分離対象の混合物の成分そのものからつくられる自然型pH勾配(自動フォーカシング型)、ならびに(iii)固定型pH勾配でなされてきた。IEF分離は通常pH勾配の安定性を保つための抗対流手段に依存する。このIEF原理は、両性電解質成分の単純な混合物および複雑な混合物の両方の分析的規模および分取的規模の両方の分離に利用されてきた。IEF分離は、静的媒体および流動媒体の両方で、薄層形式、カラム形式およびマルチコンパートメント形式で得られてきた。流動媒体では分離は、直貫形式および循環形式の両方で行われてきた。両性電解質化学種が等電性となるpH勾配の点に近づくに連れて、各両性電解質化学種の電気泳動的移動度が低くなることから、IEF分離は多くの場合、かなりの時間を要する。従って、(i)分離を達成するために成分が電気泳動的に移動すべき距離を低減し、(ii)有害な加熱効果を生じることなく電気泳動分離を生じる電界強度を最大とし、(iii)単位分離空間および時間で得ることができる製造速度を最大とし、(iv)電気泳動分離に必要な補助剤の使用を低減するIEF分離法および装置が必要とされている。
【0003】
本発明は、少なくとも1種類の両性電解質成分を含む混合物の最初の組成を電気泳動的に変えることができる装置および方法を提供する。
【0004】
発明の概要
第1の態様において本発明は、
(a)第1の電解液貯槽および第2の電解液貯槽;
(b)第1のサンプル液貯槽および第2のサンプル液貯槽;
(c)前記第1の電解液貯槽と流体連通する第1の電解液チャンバ;前記第2の電解液貯槽と流体連通する第2の電解液チャンバ;前記第1の電解液チャンバと前記第2の電解液チャンバの間に配置された第1のサンプル液チャンバ;前記第1のサンプル液チャンバに隣接し、前記第1の電解液チャンバおよび前記第2の電解液チャンバの間に配置された第2のサンプル液チャンバ;を有する分離ユニットであって、前記第1のサンプル液チャンバが前記第1のサンプル液貯槽と流体連通し、前記第2のサンプル液チャンバが前記第2のサンプル液貯槽と流体連通する分離ユニット;
(d)前記第1および第2のサンプル液チャンバの間に配置された第1のイオン透過性隔壁であって、前記第1および第2のサンプル液チャンバの内容物の実質的な対流混合を防止する隔壁;
(e)前記第1の電解液チャンバと前記第1のサンプル液チャンバとの間に配置された第2のイオン透過性隔壁であって、前記第1の電解液チャンバおよび前記第1のサンプル液チャンバの内容物の実質的な対流混合を防止する隔壁;
(f)前記第2のサンプル液チャンバと前記第2の電解液チャンバとの間に配置された第3のイオン透過性隔壁であって、前記第2の電解液チャンバと前記第2のサンプル液チャンバの内容物の実質的な対流混合を防止する隔壁;
(g)前記第1および第2の電解液チャンバ中に配置された電極;
(h)前記第1の電解液貯槽から前記第1の電解液チャンバに、ならびに前記第2の電解液貯槽から前記第2の電解液チャンバに電解液を供給する手段;
(i)少なくとも前記第1のサンプル液貯槽から前記第1のサンプル液チャンバに、または前記第2のサンプル液貯槽から前記第2のサンプル液チャンバにサンプル液もしくは液体を供給する手段;
を有する電気泳動装置を提供する。
【0005】
1つの好ましい形態では、前記第1のイオン透過性隔壁は、特徴的な平均孔径および孔径分布を有する膜である。1つの形態では、全てのイオン透過性隔壁が、特徴的な平均孔径および孔径分布を有する膜である。この装置構成は、電荷および/または大きさに基づく化合物の分離に好適である。
【0006】
別の好ましい形態では、前記第1のイオン浸透性隔壁は、特徴的なpI値を有する等電膜である。好ましくは前記等電膜は、約2〜12の範囲のpI値を有する。
【0007】
別の好ましい形態では、前記第2および第3のイオン透過性隔壁は、特徴的な平均孔径および孔径分布を有する膜である。
【0008】
別の好ましい形態では、前記第2または第3のイオン透過性隔壁のうちの少なくとも一方が、特徴的なpI値を有する等電膜である。好ましくは、前記少なくとも一方の等電膜は約2〜約12の範囲のpI値を有する。
【0009】
別の好ましい形態では、前記第2および第3のイオン透過性隔壁の両方がそれぞれ特徴的なpI値を有する等電膜である。好ましくは前記等電膜は、約2〜約12の範囲のpI値を有する。前記第2および第3のイオン透過性隔壁の両方が等電膜である場合、前記膜は同じまたは異なる特徴的なpI値を有することができる。
【0010】
前記等電膜は、好ましくはImmobilineポリアクリルアミド膜である。しかしながら、他の等電膜も本発明に好適であると考えられることは明らかであろう。
【0011】
好適な等電膜は、アクリルアミド、N,N′−メチレンビスアクリルアミドおよび弱電解質の適切なアクリルアミド誘導体を共重合させて、pI値が2〜12の範囲であって、特定の大きさの成分の膜横断輸送を促進または実質的に防止する平均孔径を有する等電膜を形成することで製造することができる。
【0012】
別の好ましい形態では、前記装置は、
(h)前記第1および第2の電解液貯槽のそれぞれから、前記それぞれの第1および第2の電解液チャンバを通して電解液を循環させることで、前記それぞれの電解液チャンバで第1および第2の電解液流を形成する手段;および
(i)前記第1および第2のサンプル液貯槽のそれぞれから、前記それぞれの第1および第2のサンプル液チャンバを通して内容物を循環させることで、前記それぞれのサンプル液チャンバで第1および第2のサンプル液流を形成する手段;
を有する。
【0013】
好ましくは手段(h)および(i)は、前記電解液流および前記サンプル液流を独立して動かせるように個別に制御可能なポンプ配列である。
【0014】
前記装置はさらに、
(j)前記第1または第2のサンプル液貯槽でサンプル液を取り出しおよび交換する手段;
を含み得る。
【0015】
前記装置はまたさらに、
(k)電解液溶液およびサンプル液溶液の温度を維持する手段;
を含み得る。
【0016】
別の好ましい形態において、前記分離ユニットは、前記電解液貯槽および前記サンプル液貯槽に流体的に連結されたカートリッジまたはカセットとして提供される。
【0017】
1つの好ましい形態において、前記分離ユニットは、前記電解液貯槽および前記サンプル液貯槽に連結されたカートリッジまたはカセットとして提供される。
【0018】
本発明による装置は、分子、特にはタンパク質、ペプチド、糖タンパク質、核酸分子、組換え分子、代謝物、薬剤、栄養補助食品、医薬などの生体分子、ウィルス、細菌、真菌および酵母などの微生物、ならびにプリオンの電気泳動、等電点電気泳動および電気透析に好適である。
【0019】
使用に際しては、処理すべきサンプル液を第1および/または第2のサンプル液貯槽に入れ、第1および/または第2のチャンバに送るか、またはそれらを通って循環させる。電解液を第1および第2の電解液貯槽に入れ、前記二つの電解液貯槽で電解液間に実質的な混合を起こすことなく、それぞれの第1および第2の電解液チャンバに送るか、あるいはそれらを通って循環させる。電解液その他の液体を、必要な場合は第1および/または第2のサンプル液貯槽に入れることができる。電極に電位を印加すると、そこで第1および/または第2のサンプル液チャンバ中の1以上の成分が、拡散隔壁を通って第2および/または第1のサンプル液チャンバに移動するか、あるいは第1および/または第2の貯槽チャンバに移動する。処理されたサンプル液または生成物を、第2および/または第1のサンプル液貯槽で回収することができる。
【0020】
第2の態様において本発明は、電気泳動によってサンプル液から少なくとも一つの成分を分離または除去する方法において、
(a)本発明の第1の態様による電気泳動装置を提供する段階;
(b)前記第1および第2の電解液貯槽に電解液を加える段階;
(c)前記第1および第2のサンプル液貯槽の少なくとも一方にサンプル液を加える段階;
(d)必要な場合は、前記第1および第2のサンプル液貯槽の少なくとも一方に液体を加える段階;
(e)前記第1および第2の電解液貯槽から前記第1および第2の電解液チャンバに電解液を供給する段階;
(f)前記第1および第2のサンプル液貯槽中のサンプル液または液体を前記第1および第2のサンプル液チャンバに供給する段階;
(g)前記電極間に電位を印加することで、前記第1または第2のサンプル液チャンバ中の少なくとも一つの成分を、前記第1のイオン透過性隔壁を通過して前記第1または第2のサンプル液チャンバの他方に移動させるか、あるいは前記第1および第2の電解液チャンバの少なくとも一方を通して移動させる段階であって、前記第1および第2の電解液チャンバ中の前記電解液と前記第1および第2のサンプル液チャンバ中の前記サンプル液または液体との間で実質的な対流混合がない段階;
を有する方法を提供する。
【0021】
好ましくは、少なくとも一つのサンプル液成分が、あるpI値を有する。
【0022】
好ましい形態では、前記第1および第2の電解液貯槽のうちの少なくとも一方からの電解液を、前記第1または第2の電解液チャンバを通して循環させて、第1または第2の電解液流を形成する。
【0023】
前記第1および第2の電解液チャンバ中の電解液の選択は、サンプル液チャンバから他方のサンプル液チャンバへ、または前記電解液チャンバの一方もしくは両方に処理、分離または移動され化合物または複数化合物のpIに依存する。同様に、等電膜のpIの選択もまた、与えられたサンプル液から処理、分離または移動させるべき化合物または複数化合物のpIに依存する。
【0024】
陽極液としてのHClで所望のpHに調節された酢酸または5−アミノカプロン酸、ならびに陰極液としてのNaOHで所望のpHに調節されたトリエタノールアミンまたはモルホリノプロパンスルホン酸などの電解液が、生体サンプル液からの多くの成分の分離に好適であることが見い出されている。NaClなどの塩もまた前記電解液に加えることで前記移動の助けとなり得る。しかしながら、所望の分離または処理に応じて、他の電解液も適用可能であると考えられることは理解されよう。
【0025】
別の好ましい形態では、前記第1および第2の電解液貯槽の両方からの電解液が、前記第1および第2の電解液チャンバを通って循環して、第1および第2の電解液流を形成する。
【0026】
別の好ましい形態では、前記第1または第2のサンプル液貯槽の内容物を、前記第1または第2のサンプル液チャンバを通して循環させて、前記第1または第2のサンプル液チャンバを通る第1または第2のサンプル液流を形成する。
【0027】
別の好ましい形態では、前記第1および第2のサンプル液貯槽の内容物を、前記第1および第2のサンプル液チャンバを通して循環させて、前記第1および第2のサンプル液チャンバを通る第1および第2のサンプル液流を形成する。
【0028】
別の好ましい形態では、前記第1または第2のサンプル液貯槽中のサンプル液または液体を除去し、新鮮なサンプル液または液体と交換する。
【0029】
好ましくは電位の印加と同時に実質的に全ての隔壁横断移動が起こる。
【0030】
別の好ましい形態では、少なくとも一種類の所望の成分が前記第1または第2のサンプル液チャンバ中、あるいは前記第1または第2のサンプル液貯槽中で所望の純度レベルに達するまで、段階(g)を維持する。
【0031】
第3の態様において本発明は、電気泳動分離ユニットにおいて、
(a)第1の電解液チャンバ;
(b)第2の電解液チャンバ;
(c)前記第1の電解液チャンバと前記第2の電解液チャンバの間に配置された第1のサンプル液チャンバ;
(d)前記第1のサンプル液チャンバに隣接し、前記第1の電解液チャンバと前記第2の電解液チャンバの間に配置された第2のサンプル液チャンバ;
(e)前記第1および第2のサンプル液チャンバの間に配置された特徴的なpI値を有する等電膜であって、前記第1および第2のサンプル液チャンバの内容物の実質的な対流混合を防止する等電膜;
(f)前記第1の電解液チャンバと前記第1のサンプル液チャンバの間に配置された第1のイオン透過性隔壁であって、前記第1の電解液チャンバと前記第1のサンプル液チャンバの内容物の実質的な対流混合を防止する第1のイオン透過性隔壁;
(g)前記第2のサンプル液チャンバと前記第2の電解液チャンバの間に配置された第2のイオン透過性隔壁であって、前記第2の電解液チャンバおよび前記第2のサンプル液チャンバの内容物の実質的な対流混合を防止する第2のイオン透過性隔壁;
(h)前記第1および第2の電解液チャンバ中に配置された電極;
を有することを特徴とする電気泳動ユニットを提供する。
【0032】
好ましくは前記等電膜は、約2〜12の範囲のpI値を有する。
【0033】
好ましい形態では、前記第1および第2のイオン透過性隔壁は、特徴的な平均孔径および孔径分布を有する膜である。
【0034】
別の好ましい形態では、前記第1または第2のイオン浸透性隔壁のうちの少なくとも一方は、特徴的なpI値を有する等電膜である。好ましくは前記等電膜は、約2〜12の範囲のpI値を有する。
【0035】
別の好ましい形態では、前記第1および第2のイオン透過性隔壁の両方が、それぞれ特徴的なpI値を有する等電膜である。好ましくはその各等電膜は約2〜12の範囲のpI値を有する。各等電膜は、同じまたは異なる特徴的なpI値を有することができる。
【0036】
第4の態様において本発明は、電気泳動によってサンプル液から少なくとも一種類の成分を分離または除去する方法において、
(a)本発明の第3の態様による電気泳動ユニットを提供する段階;
(b)前記第1および第2の電解液チャンバに電解液を加える段階;
(c)第1および第2のサンプル液チャンバの少なくとも一方にサンプル液を加える段階;
(d)必要な場合は、前記第1および第2のサンプル液チャンバの少なくとも一方に液体を加える段階;
(e)前記電極間に電位を印加することで、前記第1または第2のサンプル液チャンバ中の少なくとも1種類の成分を、前記等電膜を通って前記第1もしくは第2のサンプル液チャンバの他方に移動させるか、あるいは前記第1および第2の電解液チャンバと前記第1および第2のサンプル液チャンバを分離する前記イオン透過性隔壁のうちの少なくとも一方を通して移動させ、前記第1および第2の電解液チャンバ中の電解液と前記第1および第2のサンプル液チャンバ中の前記サンプル液もしくは液体との間で実質的な対流混合が生じない段階;
を有する方法を提供する。
【0037】
好ましくは、電位の印加と同時に実質的に全ての膜横断または隔壁横断移動が起こる。
【0038】
好ましくは、少なくとも1種類のサンプル液成分がpI値を有する。
【0039】
好ましい形態では、少なくとも一種類の所望の成分が前記第1または第2のサンプル液チャンバ中で所望の純度レベルに達するまで、段階(e)を維持する。
【0040】
第5の態様で本発明は、少なくとも1種類の化合物を含むサンプル液の組成を変えるための本発明の第1の態様による装置の使用を提供する。
【0041】
第6の態様で本発明は、本発明の第2の態様による方法によって得られる生成物を提供する。
【0042】
第7の態様で本発明は、少なくとも1種類の化合物を含むサンプル液の組成を変えるための本発明の第3の態様による電気泳動ユニットの使用を提供する。
【0043】
第8の態様で本発明は、本発明の第4の態様による方法によって得られる生成物を提供する。
【0044】
本発明の利点は、前記装置および方法がサンプル液中の帯電した分子および他の成分を効果的かつ効率的に処理および分離できるという点である。
【0045】
本発明の別の利点は、前記装置および方法が大規模化能力、速い分離速度、相対的に低い運転コスト、高い安全性配慮、相対的に低い電力必要量および改善された使い易さを有するという点である。
【0046】
本発明のさらに別の利点は、前記装置および方法が、分離成分の高い収率を有し、サンプル液中の分離成分またはその他の成分の失活が微小または皆無であり、分離された成分の純度が高いという点である。
【0047】
上記および他の利点は、本明細書を読み、理解すると同時に当業者には明らかなことであろう。
【0048】
本明細書を通して、特に断らない限り、「有する」という用語または「からなる」もしくは「有してなる」などの変形は、記載された要素、物または段階、あるいは、複数の要素、物または段階の群を包含することを示唆し、他の要素、物または段階、あるいは、複数の要素、物または段階の群を除外するものではないことを意味すると理解する。
【0049】
本明細書中に含まれた文書、行為、材料、装置、論文などについての議論は、本発明に脈絡を持たせることのみを目的としたものである。その議論は、本願の各請求項の優先日以前にオーストラリアに存在していたことから、そのような事柄のいずれかまたは全てが先行技術の基礎一部を形成する、あるいは、本発明に関連する分野で公知の一般的な知識であったと認めることととるべきではない。
【0050】
本発明についての理解を深めるため、添付の図面および実施例を参照しながら、好ましい形態について説明する。
【0051】
図面の簡単な説明
図1は、本発明で使用される分離ユニットの模式図である。
【0052】
図2は、図1の分離ユニットを使用する本発明による装置の模式図である。
【0053】
図3は、図1の分離ユニットとともに使用し得るカートリッジの分解組立図である。
【0054】
図4Aは、分離ユニットのカートリッジの1構成要素として組み込み得るグリッドエレメントの平面図である。
【0055】
図4Bは、図4Aのグリッドエレメントの逆平面図である。
【0056】
図5は、図4AのX−X線での断面図である。
【0057】
図6は、図4AのXI−XI線での断面図である。
【0058】
図7は、図4AのXII−XII線での断面図である。
【0059】
図8は、分離ユニットのカートリッジの1構成要素として組み込み得るグリッドエレメントの別の実施形態の平面図である。
【0060】
図9は、図1の分離ユニットを使用する装置を示す図である。
【0061】
図10は、実施例1〜3に記載の電気泳動分離実験で出発物質として使用されたニワトリ卵白サンプル液からの、iCE280全カラム撮像キャピラリー型等電点電気泳動装置によって分離されたタンパク質バンドの280nmでの画像を示す図である。pI3.52およびpI9.61と表示されたピークはそれぞれ、等電点マーカーとして使用されるダンシルフェニルアラニンおよびテルブタリンに対応する。卵白サンプルは脱イオン水で1:25に希釈し、濾過してから分析に供した。分析条件は、装置:iCE280全カラム撮像キャピラリーIEFシステム、分離キャピラリー:長さ5cm、内径100μmの溶融シリカ、フォーカシング媒体:0.1%メチルセルロース水溶液中pH3〜10用の8%キャリア両性電解質、フォーカシング時間:5分、印加電位:3000Vである。
【0062】
図11は、本明細書に開示され、また実施例1に記載の電気泳動装置の第1のサンプル液貯槽(下図)および第2のサンプル液貯槽(上図)から実験の終了時に回収されたアリコートからの、iCE280全カラム撮像キャピラリー型等電点電気泳動装置によって分離したタンパク質バンドの280nmでの画像を示す図である。分離条件は、陽極液:80mM酢酸(pH=2.9)60mL、陰極液:8mMトリエタノールアミン(pH=9.9)60mL、サンプル液:脱イオン水中に1:25に希釈された卵白サンプル水溶液60mL、分離時間:15分、印加電位:250V、第1の電解液チャンバと第1のサンプル液チャンバとの間の第1のイオン透過性隔壁:pI=4.0の等電膜、第1のサンプル液チャンバと第2のサンプル液チャンバの間の第2のイオン透過性隔壁:pI=5.0の等電膜、第2のサンプル液チャンバと第2の電解液チャンバの間の第3のイオン透過性隔壁:pI=7.0の等電膜である。pI3.52およびpI9.61と表示されたピークはそれぞれ、等電点マーカーとして使用されるダンシルフェニルアラニンおよびテルブタリンに対応する。分析条件は、装置:iCE280全カラム影像IEFシステム、キャピラリー:長さ5cm、内径100μmの溶融シリカ、フォーカシング媒体:0.1%メチルセルロース水溶液中のpH3〜10用8%キャリア両性電解質、フォーカシング時間:5分、印加電位:3000Vである。
【0063】
図12は、本明細書に開示の電気泳動装置の第1のサンプル液貯槽(下図)および第2のサンプル液貯槽(上図)から実施例2に記載の実験の終了時に回収されたアリコートからの、iCE280全カラム撮像キャピラリー型等電点電気泳動装置によって分離したタンパク質バンドの280nmでの画像を示す図である。分離条件は、陽極液:2mM酢酸60mL、陰極液:8mMトリエタノールアミン60mL、サンプル液:脱イオン水中に1:25に希釈された卵白サンプル水溶液60mL、分離時間:15分、印加電位:250V、第1の電解液チャンバと第1のサンプル液チャンバとの間の第1のイオン透過性隔壁:公称分子量カットオフ5000ダルトンを有するポリアクリルアミド膜、第1のサンプル液チャンバと第2のサンプル液チャンバの間の第2のイオン透過性隔壁:pI=5.0の等電膜、第2のサンプル液チャンバと第2の電解液チャンバの間の第3のイオン透過性隔壁:公称分子量カットオフ5000ダルトンを有するポリアクリルアミド膜である。pI3.52およびpI9.61と表示されたピークはそれぞれ、等電点マーカーとして使用されるダンシルフェニルアラニンおよびテルブタリンに対応する。分析条件は、装置:iCE280全カラム撮像IEFシステム、キャピラリー:長さ5cm、内径100μmの溶融シリカ、フォーカシング媒体:0.1%メチルセルロース水溶液中のpH3〜10用8%キャリア両性電解液、フォーカシング時間:5分、印加電位:3000Vである。
【0064】
図13は、本明細書に開示の電気泳動装置の第1のサンプル液貯槽(下図)および第2のサンプル液貯槽(上図)から実施例3に記載の実験の終了時に回収されたアリコートからの、iCE280全カラム撮像キャピラリー型等電点電気泳動装置によって分離されたタンパク質バンドの280nmでの画像を示す図である。分離条件は、陽極液:2mM酢酸60mL、陰極液:8mMトリエタノールアミン60mL、サンプル液:脱イオン水に1:25に希釈された卵白サンプル水溶液60mL、分離時間:15分、印加電位:250V、第1の電解液チャンバと第1のサンプル液チャンバとの間の第1のイオン透過性隔壁:公称分子量カットオフ1000000ダルトンを有するポリアクリルアミド膜、第1のサンプル液チャンバと第2のサンプル液チャンバの間の第2のイオン透過性隔壁:pI=5.0の等電膜、第2のサンプル液チャンバと第2の電解液チャンバの間の第3のイオン透過性隔壁:公称分子量カットオフ1000000ダルトンを有するポリアクリルアミド膜である。pI3.52と表示されたピークは、等電点マーカーとして使用されるダンシルフェニルアラニンに相当する。分析条件は、装置:iCE280全カラム撮像IEFシステム、キャピラリー:長さ5cm、内径100μmの溶融シリカ、フォーカシング媒体:0.1%メチルセルロース水溶液中のpH3〜10用8%キャリア両性電解質、フォーカシング時間:5分、印加電位:3000Vである。
【0065】
図14は、ヒト血漿からのIgGの単離時における、本明細書に開示されまた実施例4に記載された電気泳動装置の第1および第2のサンプル液貯槽から回収されたアリコートに存在するタンパク質バンドを分析するのに用いられるSDS−PAGEゲルの影像を示す図である。分子量マーカー(Sigma, St. Louis, Mo., USA)をレーン1にアプライし、参照物質として使用される医薬グレードのIgG調製物をレーン2にアプライした。第1のサンプル液貯槽からそれぞれ0分後、10分後、20分後および40分後に採取されたサンプルを、レーン3、4、5および6にアプライした。第2のサンプル液貯槽からそれぞれ0分後、10分後、20分後および40分後に採取されたサンプル液を、レーン7、8、9および10にアプライした。分離条件は、陽極液:HClでpH4.8に調節された2mMの5−アミノカプロン酸ならびに5mMのNaClも含む2リットル、陰極液:NaOHでpH6.8に調節された2mMのMOPSOならびに5mMのNaClも含む2リットル、サンプル液:脱イオン水で1:3に希釈されたヒト血漿サンプル液10mL、分離時間:40分、印加電位:250V、第1の電解液チャンバと第1のサンプル液チャンバの間の第1のイオン透過性隔壁:公称分子量カットオフ150000ダルトンを有するポリアクリルアミド膜、第1のサンプル液チャンバと第2のサンプル液チャンバの間の第2のイオン透過性隔壁:pI=5.8の等電膜、第2のサンプル液チャンバと第2の電解液チャンバの間の第3のイオン透過性隔壁:公称分子量カットオフ150000ダルトンを有するポリアクリルアミド膜である。
【0066】
発明の実施の形態
好ましい実施形態について詳細に説明する前に、装置の操作の主要部分について最初に説明する。溶液中のイオンに対して印加される電界または電位によって、イオンは一方の電極の方へ移動する。イオンが正電荷を有する場合、それは負電極(陰極)の方へ動く。逆に、負電荷を有するイオンは、正電極(陽極)の方へ動く。
【0067】
本発明の装置では、装置またはユニットの隣接するチャンバ間での対流混合を実質的に防止するイオン透過性隔壁が電界中に置かれ、サンプル液の成分が隔壁を通って選択的に輸送される。使用される特定のイオン透過性隔壁は異なる用途に応じて変わるものであり、異なる成分の通過を許容または実質的に防止する特徴的な平均孔径および孔径分布および/または等電点を有する。
【0068】
本発明による装置の操作原理の一部について説明したが、装置自体について説明する。
【0069】
図1について説明すると、分離ユニット2の模式図を、本発明の技術を利用する分離装置の一般的機能を説明するために示してある。分離ユニット2は、第1の電解液導入口4、および第2の電解液導入口6、第1のサンプル液導入口8、および第2のサンプル液導入口10、第1の電解液排出口12、および第2の電解液排出口14、および第1のサンプル液排出口16および第2のサンプル液排出口18を有する。第1の電解液導入口4と第1の排出口12の間には、第1の電解液チャンバ22がある。同様に、第2の電解液導入口6と第2の電解液排出口14の間には第2の電解液チャンバ24がある。第1のサンプル液および第2のサンプル液導入口および排出口は、連結チャンバも有する。第1の電解液チャンバ22に隣接して延びる第1のサンプル液チャンバ26は、第1のサンプル液導入口8を第1のサンプル液排出口16に連結している。同様に、第2の電解液チャンバ24に隣接して延びる第2のサンプル液チャンバ28は、第2のサンプル液導入口10を第2のサンプル液排出口18に連結している。イオン透過性隔壁30および32は、それぞれ第1のサンプル液および第2のサンプル液チャンバ26および28から、電解液チャンバ22および24を分離する。第1のサンプル液および第2のサンプル液チャンバ26および28の間には、イオン透過性隔壁34がある。1実施形態においては、使用時に、第1および第2の電解液36および38が第1および第2の電解液チャンバ22および24を占有する。理解すべき点として、操作中に、第1および第2の電解液36および38、ならびに第1および第2のサンプル液56および66は、それぞれのチャンバ中で停滞し得るか、あるいはそのチャンバを通過して流れ得る。
【0070】
図1の分離ユニット2を利用する装置の模式図を、本発明の技術を用いる装置の一般的機能を説明するために図2に示してある。この純粋に説明のための例において、4つのチャンバ(第1の電解液チャンバ22、第2の電解液チャンバ24、第1のサンプル液チャンバ26および第2のサンプル液チャンバ28)が、4つの流動回路に連結されている。第1の電解液流動回路40は、第1の電解液貯槽42、電解液管路44および電解液ポンプ46を有する。第2の電解液流動回路41は、第2の電解液貯槽43、電解液管路45および電解液ポンプ47を有する。図2に示した構成では、電解液流動回路40および41が互いに独立に流れていることで、第1の電解液36および第2の電解液38の組成、温度、流量および容量を互いに独立に好適に調節することができる。
【0071】
図示の実施形態においては、第1の電解液36が第1の電解液貯槽42から管路44を通り、ポンプ46へ、そして第1の電解液チャンバ22に流れる。第2の電解液24は、第2の電解液貯槽43から管路45を通り、ポンプ47へ、そして第2の電解液チャンバ24に流れる。第1の電解液36は導入口4を通って流れ、第2の電解液38は導入口6を通って流れる。第1の電解液36は排出口12を通って分離ユニット2から出て、第2の電解液38は排出口14を通って分離ユニット2から出る。分離ユニット2から出た後、電解液36および38は管路44および45を通って流れて戻り、それぞれの電解液貯槽42および43に入る。1実施形態において電解液36および38は、分離の間電解液チャンバ22および24で停滞状態に保持される。電解液36および38は、冷媒として作用し、電気泳動の間に発生する気体の蓄積を防止する効果を有し得る。
【0072】
第1のサンプル液流動回路48は、第1のサンプル液貯槽50、管路52およびポンプ54を有する。第1のサンプル液56は、第1のサンプル液貯槽50から管路52を通って流れ、ポンプ54に至り、次に導入口8を通って第1のサンプル液チャンバ26に入る。1実施形態において、第1のサンプル液チャンバ26での第1のサンプル液56と電解液36および38の流動方向は反対である。第1のサンプル液56は、排出口16で分離ユニット2を出て、管路52を通り、第2の電解液貯槽43を通過する熱交換器68に至り、その後に管路52から第1のサンプル液貯槽50に戻る。別の実施形態では、熱交換器68は第1の電解液貯槽42を通過する。別の実施形態では、第1のサンプル液チャンバ26での第1のサンプル液56と電解液36および38の流動方向は同じである。
【0073】
対象とする成分以外に、第1のサンプル液56は、イオン透過性隔壁を通過する特定成分の移動を実質的に防止する、あるいはその移動を引き起こすために実施される手順、用途または分離によって要求される当業界で公知の適切な電解質または添加物を含み得る。好ましい実施形態では、構成成分が除去されるサンプル液を第1のサンプル液貯槽50に入れる。しかしながら、別の実施形態で、構成成分が除去されるサンプル液を第2のサンプル液貯槽60に入れることは理解されるものである。
【0074】
同様に、第2のサンプル液流動回路58は第2のサンプル液貯槽60、管路62およびポンプ64を有する。第2のサンプル液66は、第2のサンプル液貯槽60から管路62を通ってポンプ64に流れ、次に導入口10を通って第2のサンプル液チャンバ28に入る。1実施形態では、第2のサンプル液チャンバ28での第2のサンプル液66と電解液36および38の流動方向は反対である。第2のサンプル液66は、排出口18で分離ユニット2を出て、管路62を通って流れ、第2の電解液貯槽43を通過する熱交換器70を通り、それから管路62を通って第2のサンプル液貯槽60に戻る。別の実施形態では、熱交換器70は第1の電解液貯槽43を通過する。
【0075】
第2のサンプル液66は、イオン透過性隔壁を通過する特定の成分の移動を実質的に防止する、あるいはその移動を引き起こすために実施される手順、用途または分離によって要求される当業界で公知の適切な電解質または添加物を含み得る。ある好ましい実施形態では、構成成分が除去されるサンプル液を第2のサンプル液貯槽60に入れる。しかしながら、別の実施形態で、構成成分が除去されるサンプル液を第1のサンプル液貯槽50に入れることは理解されるものである。
【0076】
第1のサンプル液、第2のサンプル液、第1の電解液および第2の電解液の個々に調節可能な流量は、これを用いると、分離に対して大きな影響を与え得る。0〜数ミリリットル/分ないしは数リットル/分の範囲の流量が、装置の構成ならびに処理されるサンプル液の組成、量および容量に応じて適切である。実験室規模の装置では、約0mL/分〜約50000mL/分の範囲の個々に調節可能な流量を用い、好ましい流量は0mL/分〜約1000mL/分の範囲内である。しかしながら、ポンプ送り手段および装置の大きさに応じて、それより高い流量も可能である。個々に調節可能な流量の選択は、工程、移動されるべき成分または複数成分、移動の効率、ならびに本工程と他の工程(前工程または後工程)の組み合わせによって決まる。
【0077】
好ましくは、全ての管路44、52および62は、加圧滅菌可能で、耐薬品性であり、生物学的に不活性である蠕動管路である。1つのそのような管路が、マスターフレックス(登録商標)(Masterflex)C−FLEX(登録商標)50A管路である。また、ポンプ46、47、54および64は好ましくは、電解液36および38、ならびにサンプル液56および66と接触しない蠕動ポンプである。現在好ましい実施形態では、熱交換器68および70はステンレス製のものである。ただし、当業界で公知の他の材料も適宜使用される。好ましくは、熱交換器68および70は、加圧滅菌可能で、耐薬品性であり、生物学的に不活性であり、熱交換を促進することができるものである。
【0078】
さらに、第1のサンプル液流動回路48、第2のサンプル液流動回路58、第1の電解液流動回路40および第2の電解液流動回路41を完全に密閉して、汚染や交差汚染を防止することが好ましい。ある好ましい実施形態では、貯槽42、43、50および60は、装置の他の部分から完全かつ個別に密閉されている。
【0079】
分離ユニットはさらに、電極88aおよび88bを有する。好ましくはそれぞれの電極は、第1および第2の電解液チャンバにあり、イオン透過性隔壁によって第1および第2のサンプル液チャンバから分離されている。
【0080】
電極88aおよび88bは、適切には標準的な電極であるか、あるいは好ましくは、優れた機械特性、均一な電界分布、長い耐用期間およびコスト効率を提供する白金コートチタンエキスパンデッドメッシュから形成される。電極88aおよび88bは好ましくは、イオン透過性隔壁30および32に相対的に近い位置に置いて、印加電位のより良好な利用および発熱低減が行われるようにする。約0.1〜6mmの距離が、実験室規模の装置に好適であることが見い出されている。規模拡大版の場合、その距離はイオン透過性隔壁の数および種類、ならびに電解液チャンバおよびサンプル液チャンバの大きさおよび容量によって決まる。好ましい距離は、約0.1mm〜約10mmのレベルになると考えられる。
【0081】
分離ユニット2は好ましくは、分離ユニット2を電源装置72に接続するのに用いられる電極コネクタ78も有する。好ましくは、電源装置72は分離ユニット2に対して外部にある。しかしながら、分離ユニット2は内部電源装置72を受け入れるような構成とすることもできる。電極コネクタ78は好ましくは、加圧滅菌可能である。
【0082】
分離は、電位を分離ユニット2に印加した時に行われる。電界強度の選択は分離に応じて変わる。代表的には電界強度は、1V/cm〜約5000V/cm、好ましくは10V/cm〜2000V/cmで変動し、最大約1Aの電流を生じる。ユニットの総電力消費を、所望の分離および製造速度に釣り合う最小値に維持することが好ましい。
【0083】
1実施形態では、印加電位を周期的に停止および逆転させて、他の流体流に進入した成分の再進入を実質的に生起させることなく、イオン透過性隔壁に進入した成分の少なくとも流体流の一つの中への逆移動を起させる。別の実施形態では、休息期間を用いる。休息(流体流は維持されるが、電位は印加されない期間)は、場合によって行われる電位の逆転を適宜に置き換えるまたはその後に適宜に含まれる任意の段階である。休息は、電位逆転に対する代替法として、タンパク質含有サンプル液に用いられる場合が多い。
【0084】
分離ユニット2は好適には、一方もしくは両方の電解液貯槽42および43の中に置かれた氷ブロックまたは冷却コイル(外部の装置)などの当業界で公知の各種方法、または電解液36および38の温度を制御することができる他の適当な手段によって適宜に冷却される。第1のサンプル液流動回路48および第2のサンプル液流動回路58の両方が電解液貯槽42または43のいずれかを通過することから、第1および第2のサンプル液と第1および第2の電解液の一方もしくは両方との間で熱交換が行われる。熱交換は、第1のサンプル液56および第2のサンプル液66における温度を、好ましい、通常は低いレベルに維持する傾向がある。
【0085】
別の形態では、4つのチャンバ(第1の電解液チャンバ22、第2の電解液チャンバ24、第1のサンプル液チャンバ26および第2のサンプル液チャンバ28)を有する電気泳動ユニットが提供される。イオン透過性隔壁30および32は、電解液チャンバ22および24を、それぞれ第1のサンプル液および第2のサンプル液チャンバ26および28から分離している。第1のサンプル液および第2のサンプル液チャンバ26および28の間には、イオン透過性隔壁34がある。電極は第1および第2の電解液チャンバ内に収納され、サンプル液および/または流体が第1のサンプル液チャンバ26および第2のサンプル液チャンバ28に入れられる。使用に際しては、電極間に電位を印加し、第1のサンプル液チャンバ26または第2のサンプル液チャンバ28中の1以上の成分を他方のサンプル液チャンバまたは電解液チャンバの一方に移動させる。
【0086】
図3は、好ましくは分離ユニット2のモジュラー構成要素であるカートリッジ100の分解組立図である。モジュラーユニットとして構成する場合、カートリッジ100は好ましくは、カートリッジ100の構成部品を適所に保持したり収納するための筐体102を有する。現在好ましい実施形態では、カートリッジ100は細長いものであり、互いにまたカートリッジ100の長軸Aに平行な側壁104を有する。カートリッジは好適には、八角形、六角形または楕円形である。八角形形状では、カートリッジ100は側壁104の両側に3つの端壁106を有して八角形を形成する。しかしながら、各側の2つの端壁106を適宜に用いて六角形を形成するか、あるいは各側の一つの曲線端壁106を適宜用いて楕円形状を形成する。さらに、端壁106は適切には、真直ぐかまたは曲がっているかのいずれかである。
【0087】
側壁104および端壁106の底部の囲りには、側壁104および端壁106に対して直角であって、カートリッジ100の中心に向かって中側に入り込んでいる小さいフランジ108が延びている。側壁104または端壁106の外側に沿っては好ましくは、カートリッジ100を分離ユニット2内に入れるのを容易にするためのハンドル110がある。フランジ108は好ましくは、下側ガスケット112と相互関係がとれるような構造とする。好ましい実施形態では、下側ガスケット112は平面状であり、カートリッジ100の内壁104および106に合うような構造とする。現在好ましい実施形態では、下側ガスケット112はシリコンゴム製である。下側ガスケット112は、下側ガスケット112の中心を通って長細く延びる開口114を有するような構造とすることができる。下側ガスケット112の各末端の近くでそれを通って延びる位置決め穴116もある。好ましい実施形態では、位置決め穴116は円形であって、下側ガスケット112を通る円筒形流路を形成する。しかしながら、位置決め穴116は適切には三角形、正方形、矩形、六角形、八角形または同様の形状であることも想到される。
【0088】
下側ガスケット112の上には、平面状の下側イオン透過性隔壁32がある。イオン透過性隔壁32の外側形状は、下側ガスケット112およびカートリッジ100の内側の形状と同じであることで、イオン透過性隔壁32がカートリッジ100の内側に合うような構造となっている。下側ガスケット112と同様に、イオン透過性隔壁32は好ましくは、下側ガスケット112における位置決め穴116と同じ配置および構造の2つの位置決め穴を有する。イオン透過性隔壁32は、電位の印加と同時に特定の構成成分の選択的隔壁横断輸送を可能としながら、第1の電解液チャンバ22および第1のサンプル液チャンバ26の内容物の対流混合を実質的に防止する。
【0089】
1実施形態では、イオン透過性隔壁32は、特徴的な平均孔径および孔径分布を有する膜から形成される。その膜の平均孔径および孔径分布は、ある構成成分の膜横断輸送を促進しながら、他の構成成分の膜横断輸送を実質的に防止するように選択される。
【0090】
別の実施形態ではイオン透過性隔壁32は、第1の電解液チャンバ22および第1のサンプル液チャンバ26の内容物の対流混合を実質的に防止しながら、電位の印加と同時に特定構成成分の選択的隔壁横断輸送を許容する等電膜などの等電イオン透過性隔壁である。好適な等電膜は、アクリルアミド、N,N′−メチレンビスアクリルアミドおよび弱電解液の適切なアクリルアミド誘導体を共重合させて、pI値が2〜12の範囲であり、特定の大きさの成分の膜横断輸送を促進または実質的に防止する平均孔径を有する等電膜を形成することで製造することができる。
【0091】
下側イオン透過性隔壁32の上には、通常は平面であって、下側ガスケット112およびカートリッジ100の内側と同様の形状を持つことで、下側グリッドエレメント118がカートリッジ100内部に合うような構造となる下側グリッドエレメント118がある。下側グリッドエレメント118の機能の一つは、下側イオン透過性隔壁32をイオン透過性隔壁34から分離することにある。下側グリッドエレメント118の他の機能は、第1のサンプル液56用の流路を提供することにある。下側イオン透過性隔壁32および下側ガスケット112と同様に、下側グリッドエレメント118は好適には位置決め穴116も有する。
【0092】
下側グリッドエレメント118の上には、平面状のイオン透過性隔壁34がある。イオン透過性隔壁34の外側形状は、下側ガスケット112およびカートリッジ100の内側と同じであることで、イオン透過性隔壁34がカートリッジ100の内側に合うような構造となっている。イオン透過性隔壁34は、第1のサンプル液チャンバ26および第2のサンプル液チャンバ28の内容物の対流混合を実質的に防止しながら、電位の印加と同時の特定構成成分の選択的隔壁横断輸送を許容するものである。
【0093】
1実施形態では、イオン透過性隔壁34は特徴的な平均孔径および孔径分布を有する膜から形成される。その膜の平均孔径および孔径分布は、ある構成成分の膜横断輸送を促進しながら、他の構成成分の膜横断輸送を実質的に防止するように選択される。
【0094】
別の実施形態ではイオン透過性隔壁34は、第1のサンプル液チャンバ26および第2のサンプル液チャンバ28の内容物の対流混合を実質的に防止しながら、電位の印加と同時に特定構成成分の選択的隔壁横断輸送を許容する等電膜などの等電イオン透過性隔壁である。好適な等電膜は、アクリルアミド、N,N′−メチレンビスアクリルアミドおよび適切な弱電解質のアクリルアミド誘導体を共重合させて、pI値が2〜12の範囲であり、特定の大きさの成分の膜横断輸送を促進または実質的に防止する平均孔径を有する等電膜を形成することで製造することができる。
【0095】
イオン透過性隔壁34の上には、上側グリッドエレメント120、上側イオン透過性隔壁38および上側ガスケット124という3つの上側構成要素がある。これらの3種類の構成要素は、上側グリッドエレメント120がイオン透過性隔壁34の直ぐ上にあり、イオン透過性隔壁38が上側グリッドエレメント120の直ぐ上にあり、上側ガスケット124がイオン透過性隔壁38の直ぐ上にあるように配置されている。これら3つの上側構成要素の構造は好適には下側の3つの構成要素の構造とそっくり同じである。
【0096】
位置決め穴116を有するイオン透過性隔壁34の下の構成要素は、固定具で一緒に連結されていてもよく、その固定具は位置決め穴116と相互関係がとれ、第1のサンプル液56の貫流を促進する構造を有する種類のコネクタである。同様に、位置決め穴116を有するイオン透過性隔壁34の上の構成要素は、固定具で一緒に連結されていてもよく、その固定具は位置決め穴116と相互関係がとれ、第2のサンプル液66の貫流を促進する構造を有する種類のコネクタである。
【0097】
カートリッジ100の構成要素は、クリップ126によってカートリッジ100内に好適に保持される。クリップ126は、カートリッジ100の壁104および106の頂部の囲りで適宜スナップ留めまたは接着されている。
【0098】
イオン透過性隔壁38は、第2の電解液チャンバ24および第2のサンプル液チャンバ28の内容物の対流混合を実質的に防止しながら、電位の印加と同時の特定の構成成分の選択的隔壁横断輸送を許容する。
【0099】
1実施形態において、イオン透過性隔壁38は特徴的な平均孔径および孔径分布を有する膜から形成される。その膜の平均孔径および孔径分布は、ある構成成分の膜横断輸送を促進しながら、他の構成成分の膜横断輸送を実質的に防止するように選択される。
【0100】
別の実施形態ではイオン透過性隔壁38は、第2の電解液チャンバ24および第2のサンプル液チャンバ28の内容物の対流混合を実質的に防止しながら、電位の印加と同時に特定構成成分の選択的隔壁横断輸送を許容する等電膜などの等電イオン透過性隔壁である。好適な等電膜は、アクリルアミド、N,N′−メチレンビスアクリルアミドおよび弱電解液の適切なアクリルアミド誘導体を共重合させて、pI値が2〜12の範囲であり、特定の大きさの成分の膜横断輸送を促進または実質的に防止する平均孔径を有する等電膜を形成することで製造することができる。
【0101】
好ましいグリッドエレメント118および120を、図4〜7にさらに詳細に示してある。図4Aには、分離ユニット2用のカートリッジ100の構成要素として組み込まれる好ましいグリッドエレメントの平面図を示してある。格子131を組み込んだ細長い矩形切り込み部分128が、グリッドエレメントの中央に画定されている。グリッドエレメントの各末端には、カートリッジ100の他の構成要素との位置合わせ用に、位置決め穴116が適宜に設けられている。好ましくは、側面および底面を有する三角形流路領域130が、位置決め穴116から切り込み部分128へと延び且つ広がっている。直立リブ132、134および136(図6および7に最も良く示してある)が、流路領域130に画定されている。穴116を通って流れる液体は従ってリブ132、134および136の間の三角形流路領域130に沿って流れ、そして格子131の中に入る。リブ132、134および136は、穴116からの液体の流れを導き、液体が格子131の断面に沿って均等に分布するのを確実にする上で役立つ。リブ132、134および136はまた、グリッドエレメントの上または下に配置されたイオン透過性隔壁34に対して支持を提供するものでもある。
【0102】
格子131は、上に配置されたグリッドの長軸に対してある角度で延びる第1の離間平行部材138アレイからなり、前記第1の平行部材138アレイのグリッドの長軸に対する角度の約2倍の角度で延びる第2の下側の離間平行部材140のセットと一体化される。現在好ましい実施形態では、前記第1の平行部材138アレイは前記長軸から約45°の角度で延び、前記第2の平行部材140アレイは第1の平行部材138アレイに対して約90°で延びる。しかしながら、他の角度も適宜に用いられる。
【0103】
図4Bについて説明すると、グリッドエレメントの反対面を示してある。その反対面は好適には、切り取り領域128および位置決め穴116を除いて、比較的平滑且つ平坦である。その平滑、平坦表面は、それぞれイオン透過性隔壁32とグリッドエレメント118との間、ならびにイオン透過性隔壁38とグリッドエレメント120との間の封止を確実に行う傾向を有する。
【0104】
図5について説明すると、第1および第2の平行部材138および140の上側および下側表面は、好ましくは丸みを帯びている。平行部材138および140が丸みを帯びている場合、鋭利な縁部がないことで、イオン透過性隔壁34に対する損傷が防止され、さらなる支持が提供される。格子131は、イオン透過性隔壁34の表面での液体の流れを均等分布させる。第2の部材140のセットの上に配置された第1の部材138のセットを使用することで、液流中の液体が強制的に上下に動かされて、頻繁に方向を変え、それが液体の混合を促進するのを助け、静止流領域の発生を防ぐ傾向がある。
【0105】
グリッドエレメントの厚さは好ましくは、比較的薄い。1つの現在好ましい実施形態では、エレメントの外側領域144は厚さ0.8mmである。密封用リッジ142(図4Aおよび4Bにも示してある)が格子131の外周の回りに延びて、密封が改善される。リッジ142は好ましくは、グリッドエレメントの一方の側から他方の側まで測定して約1.2mmの厚さを有する。グリッドエレメント138および140の対向する頂点間の距離は、グリッドの一方の側から他方まで測定して、好ましくは約1mmである。その比較的薄いグリッド厚さは、いくつかの利点を提供する。第1に、それによってイオン透過性隔壁34全体にわたって液体のさらに均一な分布が得られ、巨大分子によるそれの汚れを防止する上で役立つ。
【0106】
また、比較的薄いグリッドを用いることで必要な液体の容量が低減し、それによって比較的少ないサンプル液容量を実験室規模の分離に用いることができ、先行技術の分離装置と比較して大きい利点となる。
【0107】
最後に、電界強度が一定に維持される場合、比較的薄いグリッドエレメントを用いることで、液体に加える電力をより少なくすることができる。液体への熱伝達が少ないと、液体の温度は低温に維持される。高温ではサンプルおよび目的生成物の両方が破壊される可能性があることから、それは有利である。
【0108】
図8には、本発明の別の実施形態でのグリッドエレメント144を示してある。グリッドエレメント144は、グリッドエレメント118および120よりずっと大きい表面積を有するイオン透過性隔壁を使用するものである。グリッドエレメント144の主要な操作は好適には、それより小さいグリッドエレメントの場合とほぼ同様である。ただし、第1のサンプル液56または第2のサンプル液66が供給される穴146は、グリッド144の2つの対向するコーナー部に配置されており、穴146からグリッド144の中央部分150に液流を供給するもっと多くの流路148がある。カートリッジ、カートリッジ収納ケースおよび他のコンポーネントの大きさおよび形状は、グリッド144のそれに合うように大きくする。
【0109】
図9は、本発明に従い使用するための分離装置200の現在好ましい実施形態の図である。分離装置には、カートリッジ100およびクランプ86を受け入れる構造となっている分離ユニット2がある。クランプ86は、コンポーネントであるカートリッジが分離ユニット2内に設置されたら、分離ユニット2を固定するのに用いられる。現在好ましい実施形態では、クランプ86はアルミニウム製であり、好ましくは陽極酸化されている。クランプ86は好ましくは単純なネジ式クランプユニットであることで、ネジ式操作ノブを用いてクランプ86の開閉を行うことができるようになっている。この分離装置は、第1のサンプル液貯槽50、第2のサンプル液貯槽60、ならびに、電解液コンパートメント202中の第1および第2の電解液貯槽42および43、を示している。
【0110】
本発明についての理解をさらに深めるため、記載の好ましい分離技術の形態を参照しながら、分離方法の例を説明する。
【0111】
実施例
実施例1
図9に示した本発明による装置を用いて、ニワトリ卵白中に存在するタンパク質を2つの画分に分離した。図3〜7に示した電気泳動分離のカートリッジを、使用すべく装置に装着した。第1の電解液チャンバと第1のサンプル液チャンバの間に配置された第1のイオン透過性隔壁は、イモビリンケミカルズ(Immobiline chemicals)(Pharmacia, Sweden)の、アクリルアミドおよびN,N′−メチレンビス−アクリルアミドから製造されたpI=4.0の等電膜とした。第1のサンプル液チャンバと第2のサンプル液チャンバの間に配置された第2のイオン透過性隔壁は、イモビリンケミカルズ(Pharmacia, Sweden)の、アクリルアミドおよびN,N′−メチレンビス−アクリルアミドから製造されたpI=5.0の等電膜とした。第2のサンプル液チャンバと第2の電解液チャンバの間に配置された第3のイオン透過性隔壁は、イモビリンケミカルズ(Pharmacia, Sweden)の、アクリルアミドおよびN,N′−メチレンビス−アクリルアミドから製造されたpI=7.0の等電膜とした。
【0112】
第1の電解液貯槽を、2mM酢酸溶液(pH2.9)60mLで満たした。第2の電解液貯槽を、8mMトリエタノールアミン溶液(pH9.9)60mLで満たした。第1および第2のサンプル液貯槽をそれぞれ、1:25の割合で脱イオン水で希釈した濾過済みニワトリ卵白溶液30mLで満たした。陽極は第1の電解液チャンバに入れ、陰極は第2の電解液チャンバに入れた。印加電位は250Vとし、分離時間は15分とした。分離前および分離終了後に、サンプル液貯槽から分析用にアリコートを採取した。
【0113】
iCE280装置(Convergent Bioscience, Toronto, Canada)での全カラム撮像キャピラリー型等電点電気泳動を用いて、卵白サンプル液の分析を行った。溶融シリカ分離キャピラリーは、長さ5cm、内径100μmのものであった。フォーカシング媒体は、0.1%メチルセルロース水溶液中に、pH3〜10の範囲をカバーする8%キャリア両性電解質を含有した。分析対象サンプル液75μLをフォーカシング媒体150μLと混合し、キャピラリーに充填し、3000Vで5分間のフォーカシングを行った。ダンシルフェニルアラニン(pI=3.52)およびテルブタリン(pI=9.61)をpIマーカーとして用いた。
【0114】
図10には、卵白供給サンプル液についての結果を示してある。ピクセル650と850の間のピークは、卵白アルブミンのイソ型に相当し、ピクセル1250と1350の間のものはオボトランスフェリンのイソ型に相当する。
【0115】
電気泳動分離の結果として、卵白アルブミン(pI=4.7)などの5.0より低いpI値を有するタンパク質が、第1のサンプル液貯槽中に、pI=5.0の等電膜の陽極側に蓄積した(図11の下図)。オボトランスフェリン(pI=6.1)などの5.0より大きいpI値を有するタンパク質は第2のサンプル液貯槽中に、等電膜の陰極側に蓄積した(図11の上図)。
【0116】
実施例2
実施例1と同じ装置を用いて、ニワトリ卵白中に存在するタンパク質を2つの画分に分離した。図3〜7に示した電気泳動分離のカートリッジを、使用すべく装置に装着した。第1の電解液チャンバと第1のサンプル液チャンバの間に配置された第1のイオン透過性隔壁は、公称分子量カットオフ5000ダルトンを有するポリアクリルアミド膜とした。第1のサンプル液チャンバと第2のサンプル液チャンバの間のイオン透過性隔壁は、実施例1のようなイモビリンケミカルズ(Pharmacia, Sweden)の、アクリルアミドおよびN,N′−メチレンビス−アクリルアミドから製造されたpI5.0の等電膜とした。第2のサンプル液チャンバと第2の電解液チャンバの間に配置された第3のイオン透過性隔壁は、公称分子量カットオフ5000ダルトンを有するポリアクリルアミド膜とした。
【0117】
第1の電解液貯槽を、2mM酢酸溶液(pH3.8)60mLで満たした。第2の電解液貯槽を、8mMトリエタノールアミン溶液(pH9.9)60mLで満たした。第1および第2のサンプル液貯槽をそれぞれ、1:25の割合で脱イオン水で希釈した濾過済みニワトリ卵白溶液30mLで満たした。陽極は第1の電解液チャンバに入れ、陰極は第2の電解液チャンバに入れた。印加電位は250Vとし、分離時間は15分とした。分離終了後に、サンプル液貯槽チャンバから分析用にアリコートを採取した。
【0118】
iCE280装置(Convergent Bioscience, Toronto, Canada)での全カラム撮像キャピラリー型等電点電気泳動を用いて、卵白サンプル液の分析を行った。溶融シリカ分離キャピラリーは、長さ5cm、内径100μmのものであった。フォーカシング媒体は、0.1%メチルセルロース水溶液中に、pH3〜10の範囲をカバーする8%キャリア両性電解質を含有した。分析対象サンプル液75μLをフォーカシング媒体150μLと混合し、キャピラリーに充填し、3000Vで5分間のフォーカシングを行った。ダンシルフェニルアラニン(pI=3.52)およびテルブタリン(pI=9.61)をpIマーカーとして用いた。
【0119】
電気泳動分離の結果として、卵白アルブミン(pI=4.7)などの5.0より低いpI値を有するタンパク質が、第1のサンプル液貯漕中に、pI=5.0の等電膜の陽極側に蓄積した(図12の下図)。オボトランスフェリン(pI=6.1)などの5.0より大きいpI値を有するタンパク質は第2のサンプル液貯漕中に、pI=5.0の等電膜の陰極側に蓄積した(図12の上図)。第1および第3のイオン透過性隔壁が実施例1のように等電膜ではなかったにもかかわらず、卵白アルブミンとオボトランスフェリンのいずれも、第1または第2の電解液チャンバ中に失われなかった。分離終了後、第1および第2のサンプル液貯槽における溶液pHは、それぞれ4.7および6.7であった。
【0120】
実施例3
実施例1と同じ装置を用いて、ニワトリ卵白中に存在するタンパク質を2つの画分に分離した。第1の電解液チャンバと第1のサンプル液チャンバの間に配置された第1のイオン透過性隔壁は、公称分子量カットオフ1000000ダルトンを有するポリアクリルアミド膜とした。第1のサンプル液チャンバと第2のサンプル液チャンバの間のイオン透過性隔壁は、実施例1のようなイモビリンケミカルズ(Pharmacia, Sweden)の、アクリルアミドおよびN,N′−メチレンビス−アクリルアミドから製造されたpI5.0の等電膜とした。第2のサンプル液チャンバと第2の電解液チャンバの間に配置された第3のイオン透過性隔壁は、公称分子量カットオフ1000000ダルトンを有するポリアクリルアミド膜とした。
【0121】
第1の電解液貯槽を、2mM酢酸溶液(pH3.8)60mLで満たした。第2の電解液貯槽を、8mMトリエタノールアミン溶液(pH9.9)60mLで満たした。第1および第2のサンプル液貯槽をそれぞれ、1:25の割合で脱イオン水で希釈した濾過済みニワトリ卵白溶液30mLで満たした。陽極は第1の電解液チャンバに入れ、陰極は第2の電解液チャンバに入れた。印加電位は250Vとし、分離時間は15分とした。分離終了後に、サンプル液貯槽チャンバから分析用にアリコートを採取し、iCE280装置での全カラム撮像キャピラリー型等電点電気泳動によって分析を行った。
【0122】
電気泳動分離の結果として、卵白アルブミン(pI=4.7)などの5.0より低いpI値を有するタンパク質が、第1のサンプル液貯漕中に、pI=5.0の等電膜の陽極側に蓄積した(図13の下図)。オボトランスフェリン(pI=6.1)などの5.0より大きいpI値を有するタンパク質は第2のサンプル液貯漕中に、pI=5.0の等電膜の陰極側に蓄積した(図13の上図)。第1および第3のイオン透過性隔壁の平均孔径がそれら蛋白の隔壁通過を可能とする十分な大きさであったにもかかわらず、卵白アルブミンとオボトランスフェリンのいずれも、第1または第2の電解液チャンバ中に失われるということはなかった。分離終了後、第1および第2のサンプル液貯槽における溶液pHは、それぞれ4.7および6.2であった。
【0123】
実施例4
実施例1と同じ装置を用いて、ヒト血漿からの免疫グロブリンG(IgG)を精製した。第1の電解液チャンバと第1のサンプル液チャンバの間に配置された第1のイオン透過性隔壁は、公称分子量カットオフ150000ダルトンを有するポリアクリルアミド膜とした。第1のサンプル液チャンバと第2のサンプル液チャンバの間のイオン透過性隔壁は、イモビリンケミカルズ(Pharmacia, Sweden)の、アクリルアミドおよびN,N′−メチレンビス−アクリルアミドから製造されたpI5.8等電膜とした。第2のサンプル液チャンバと第2の電解液チャンバの間に配置された第3のイオン透過性隔壁は、公称分子量カットオフ150000ダルトンを有するポリアクリルアミド膜とした。
【0124】
第1の電解液貯槽を、5mMのNaClも含有する2mMの5−アミノカプロン酸溶液2リットルで満たし、そのpHをHClで4.8に調節した。第2の電解液貯槽を、5mMのNaClも含有する、2mMのMOPSO溶液2リットルで満たし、そのpHをNaOHで6.8に調節した。陽極は第1の電解液チャンバに入れ、陰極は第2の電解液チャンバに入れた。印加電位は250Vであった。最初に両方のサンプル液貯槽を脱イオン水で満たした。電位を2分間印加して、膜から未重合物質を除去した。2分後、全ての貯槽を空とし、電解液貯槽を新鮮な電解液で満たし、サンプル液貯槽を、脱イオン水で1:3に希釈されたヒト血漿それぞれ15mLで満たした。電位を40分間印加した。それぞれ0分後、10分後、20分後および40分後に、サンプル液貯槽チャンバから分析用にアリコートを採取した。
【0125】
図14に、ヒト血漿からのIgGの単離時に分取規模の等電点電気泳動装置の第1および第2のサンプル液貯槽から回収されたアリコートに存在するタンパク質バンドを分析するのに用いたSDS−PAGEゲルの画像を示してある。分子量マーカー(Sigma, St. Louis, Mo., USA)をレーン1にアプライし、参照物質として用いた医薬グレードのIgG調製物をレーン2にアプライした。第1のサンプル液貯槽からそれぞれ0分後、10分後、20分後および40分後に採取したサンプル液を、レーン3、4、5および6にアプライした。第2のサンプル液貯槽からそれぞれ0分後、10分後、20分後および40分後に採取したサンプル液を、レーン7、8、9および10にアプライした。IgGを40分以内で精製した。
【0126】
これらの実施例は、本明細書に開示の装置および方法を用いて、両性電解質成分の非常に迅速な分離を行うことが可能であることを示している。その高い製造速度は、このシステムに特徴的な短い電気泳動移動距離、高い電界強度および優れた熱放散によるものである。
【0127】
以上、本明細書においては、単なる例示として本発明の説明を行った。広く記載されている本発明の精神または範囲から逸脱することなく、具体的な実施形態で示されたように、本発明に対して多くの変形および/または改変を行い得ることは、当業者には明らかであろう。従って、本明細書における実施形態は、あらゆる面において例示的なものであって、限定的なものではないとみなされるべきである。本発明の他の特徴および態様については、本開示を読み、理解することで、当業者には明らかであろう。そのような特徴、態様ならびに報告された結果および実施例についての予期される変形および改変は、明らかに、発明が特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明で使用される分離ユニットの模式図である。
【図2】
図1の分離ユニットを使用する本発明による装置の模式図である。
【図3】
図1の分離ユニットとともに使用し得るカートリッジの分解組立図である。
【図4】
分離ユニットのカートリッジの1構成要素として組み込むことができるグリッドエレメントの図であって、図4Aはそのグリッドエレメントの平面図であり、図4Bは図4Aのグリッドエレメントの逆平面図である。
【図5】
図4AのX−X線での断面図である。
【図6】
図4AのXI−XI線での断面図である。
【図7】
図4AのXII−XII線での断面図である。
【図8】
分離ユニットのカートリッジの1構成要素として組み込み得るグリッドエレメントの別の実施形態の平面図である。
【図9】
図1の分離ユニットを使用する装置を示す図である。
【図10】
実施例1〜3に記載の電気泳動分離実験で出発物質として使用されたニワトリ卵白サンプル液からの、iCE280全カラム撮像キャピラリー型等電点電気泳動装置によって分離されたタンパク質バンドの280nmでの画像を示す図である。
【図11】
本明細書に開示され、また実施例1に記載の電気泳動装置の第1のサンプル液貯槽(下図)および第2のサンプル液貯槽(上図)から実験の終了時に回収されたアリコートからの、iCE280全カラム撮像キャピラリー型等電点電気泳動装置によって分離したタンパク質バンドの280nmでの画像を示す図である。
【図12】
本明細書に開示の電気泳動装置の第1のサンプル液貯槽(下図)および第2のサンプル液貯槽(上図)から実施例2に記載の実験の終了時に回収されたアリコートからの、iCE280全カラム撮像キャピラリー型等電点電気泳動装置によって分離したタンパク質バンドの280nmでの画像を示す図である。
【図13】
本明細書に開示の電気泳動装置の第1のサンプル液貯槽(下図)および第2のサンプル液貯槽(上図)から実施例3に記載の実験の終了時に回収されたアリコートからの、iCE280全カラム撮像キャピラリー型等電点電気泳動装置によって分離されたタンパク質バンドの280nmでの画像を示す図である。
【図14】
ヒト血漿からのIgGの単離時における、本明細書に開示されまた実施例4に記載された電気泳動装置の第1および第2のサンプル液貯槽から回収されたアリコートに存在するタンパク質バンドを分析するのに用いられるSDS−PAGEゲルの画像を示す図である。
Claims (58)
- (a)第1の電解液貯槽および第2の電解液貯槽;
(b)第1のサンプル液貯槽および第2のサンプル液貯槽;
(c)前記第1の電解液貯槽と流体連通する第1の電解液チャンバ;前記第2の電解液貯槽と流体連通する第2の電解液チャンバ;前記第1の電解液チャンバと前記第2の電解液チャンバの間に配置された第1のサンプル液チャンバ;前記第1のサンプル液チャンバに隣接し、前記第1の電解液チャンバおよび前記第2の電解液チャンバの間に配置された第2のサンプル液チャンバ;を有する分離ユニットであって、前記第1のサンプル液チャンバが前記第1のサンプル液貯槽と流体連通し、前記第2のサンプル液チャンバが前記第2のサンプル液貯槽と流体連通する分離ユニット;
(d)前記第1および第2のサンプル液チャンバの間に配置された第1のイオン透過性隔壁であって、前記第1および第2のサンプル液チャンバの内容物の実質的な対流混合を防止する該隔壁;
(e)前記第1の電解液チャンバと前記第1のサンプル液チャンバとの間に配置された第2のイオン透過性隔壁であって、前記第1の電解液チャンバおよび前記第1のサンプル液チャンバの内容物の実質的な対流混合を防止する該隔壁;
(f)前記第2のサンプル液チャンバと前記第2の電解液チャンバとの間に配置された第3のイオン透過性隔壁であって、前記第2の電解液チャンバと前記第2のサンプル液チャンバの内容物の実質的な対流混合を防止する隔壁;
(g)前記第1および第2の電解液チャンバ中に配置された電極;
(h)前記第1の電解液貯槽から前記第1の電解液チャンバに、ならびに前記第2の電解液貯槽から前記第2の電解液チャンバに電解液を供給する手段;
(i)少なくとも前記第1のサンプル液貯槽から前記第1のサンプル液チャンバに、または前記第2のサンプル液貯槽から前記第2のサンプル液チャンバにサンプル液もしくは液体を供給する手段;
を有する電気泳動装置。 - 前記第1のイオン透過性隔壁が、特徴的な平均孔径および孔径分布を有する膜である請求項1に記載の装置。
- 前記第1のイオン浸透性隔壁が、特徴的なpI値を有する等電膜である請求項1または2に記載の装置。
- 前記等電膜が、約2〜12の範囲のpI値を有する請求項3に記載の装置。
- 前記第2および第3のイオン透過性隔壁が、特徴的な平均孔径および孔径分布を有する膜である請求項1ないし4のいずれかに記載の装置。
- 前記第2または第3のイオン透過性隔壁のうちの少なくとも一方が、特徴的なpI値を有する等電膜である請求項1ないし5のいずれかに記載の装置。
- 前記少なくとも一方の等電膜が約2〜約12の範囲のpI値を有する請求項6に記載の装置。
- 前記第2および第3のイオン透過性隔壁の両方がそれぞれ特徴的なpI値を有する等電膜である請求項1ないし7のいずれかに記載の装置。
- 前記等電膜が、約2〜約12の範囲のpI値を有する請求項8に記載の装置。
- 前記第2および第3のイオン透過性隔壁の両方が、異なる特徴的なpI値を有する等電膜である請求項8に記載の装置。
- (h)前記第1および第2の電解液貯槽のそれぞれから、前記それぞれの第1および第2の電解液チャンバを通して電解液を循環させることで、前記それぞれの電解液チャンバで第1および第2の電解液流を形成する手段;
(i)前記第1および第2のサンプル液貯槽のそれぞれから、前記それぞれの第1および第2のサンプル液チャンバを通して内容物を循環させることで、前記それぞれのサンプル液チャンバで第1および第2のサンプル液流を形成する手段;
を有する請求項1ないし10のいずれかに記載の装置。 - 手段(h)および(i)が、前記電解液流および前記サンプル液流を独立して動かせるように個別に制御可能なポンプ配列である請求項11に記載の装置。
- (j)前記第1または第2のサンプル液貯槽でサンプル液を取り出しおよび交換する手段をさらに有する請求項1ないし12のいずれかに記載の装置。
- (k)電解液溶液およびサンプル液溶液の温度を維持する手段をさらに有する請求項1ないし13のいずれかに記載の装置。
- 前記分離ユニットが、前記電解液貯槽および前記サンプル液貯槽に流体的に連結されたカートリッジまたはカセットとして提供される請求項1ないし14のいずれかに記載の装置。
- 電気泳動によってサンプル液から少なくとも一つの成分を分離または除去する方法において、
(a)第1の電解液貯槽および第2の電解液貯槽;第1のサンプル液貯槽および第2のサンプル液貯槽;前記第1の電解液貯槽と流体連通する第1の電解液チャンバ、前記第2の電解液貯槽と流体連通する第2の電解液チャンバ;前記第1の電解液チャンバと前記第2の電解液チャンバの間に配置された第1のサンプル液チャンバ、前記第1のサンプル液チャンバに隣接し前記第1の電解液チャンバおよび前記第2の電解液チャンバの間に配置された第2のサンプル液チャンバを有する分離ユニットであって、前記第1のサンプル液チャンバが前記第1のサンプル液貯槽と流体連通し、前記第2のサンプル液チャンバが前記第2のサンプル液貯槽と流体連通する分離ユニット;前記第1および第2のサンプル液チャンバの間に配置された第1のイオン透過性隔壁であって、前記第1および第2のサンプル液チャンバの内容物の実質的な対流混合を防止する第1のイオン透過性隔壁;前記第1の電解液チャンバと前記第1のサンプル液チャンバとの間に配置された第2のイオン透過性隔壁であって、前記第1の電解液チャンバおよび前記第1のサンプル液チャンバの内容物の実質的な対流混合を防止する第2のイオン透過性隔壁;前記第2のサンプル液チャンバと前記第2の電解液チャンバとの間に配置された第3のイオン透過性隔壁であって、前記第2の電解液チャンバと前記第2のサンプル液チャンバの内容物の実質的な対流混合を防止する第3のイオン透過性隔壁;前記第1および第2の電解液チャンバ中に配置された電極;前記第1の電解液貯槽から前記第1の電解液チャンバに、ならびに前記第2の電解液貯槽から前記第2の電解液チャンバに電解液を供給する手段;ならびに、少なくとも前記第1のサンプル液貯槽から前記第1のサンプル液チャンバに、または前記第2のサンプル液貯槽から前記第2のサンプル液チャンバにサンプル液もしくは液体を供給する手段;を有する電気泳動装置を提供する段階;
(b)前記第1および第2の電解液貯槽に電解液を加える段階;
(c)前記第1および第2のサンプル液貯槽の少なくとも一方にサンプル液を加える段階;
(d)必要な場合は、前記第1および第2のサンプル液貯槽の少なくとも一方に液体を加える段階;
(e)前記第1および第2の電解液貯槽から前記第1および第2の電解液チャンバに電解液を供給する段階;
(f)前記第1および第2のサンプル液貯槽中のサンプル液または液体を前記第1および第2のサンプル液チャンバに供給する段階;
(g)前記電極間に電位を印加することで、前記第1または第2のサンプル液チャンバ中の少なくとも一つの成分を、前記第1のイオン透過性隔壁を通過して前記第1または第2のサンプル液チャンバの他方に移動させるか、あるいは前記第1および第2の電解液チャンバの少なくとも一方を通して移動させる段階であって、前記第1および第2の電解液チャンバ中の前記電解液と前記第1および第2のサンプル液チャンバ中の前記サンプル液または液体との間で実質的な対流混合がない段階;
を有することを特徴とする方法。 - 少なくとも一つのサンプル液成分が、あるpI値を有する請求項16に記載の方法。
- 前記第1のイオン透過性隔壁が、特徴的な平均孔径および孔径分布を有する膜である請求項16または17に記載の方法。
- 前記第1のイオン浸透性隔壁が、特徴的なpI値を有する等電膜である請求項16ないし18のいずれかに記載の方法。
- 前記等電膜が、約2〜12の範囲のpI値を有する請求項19に記載の方法。
- 前記第2および第3のイオン透過性隔壁が、特徴的な平均孔径および孔径分布を有する膜である請求項16ないし20のいずれかに記載の方法。
- 前記第2または第3のイオン透過性隔壁のうちの少なくとも一方が、特徴的なpI値を有する等電膜である請求項16ないし21のいずれかに記載の方法。
- 前記少なくとも一方の等電膜が約2〜約12の範囲のpI値を有する請求項22に記載の方法。
- 前記第2および第3のイオン透過性隔壁の両方がそれぞれ特徴的なpI値を有する等電膜である請求項16ないし23のいずれかに記載の方法。
- 前記等電膜が、約2〜約12の範囲のpI値を有する請求項24に記載の方法。
- 前記等電膜が異なるpI値を有する請求項25に記載の方法。
- 前記第1および第2の電解液貯槽のうちの少なくとも一方からの電解液を、前記第1または第2の電解液チャンバを通して循環させて、第1または第2の電解液流を形成する請求項16ないし26のいずれかに記載の方法。
- 前記第1および第2の電解液貯槽の両方からの電解液を、前記第1および第2の電解液チャンバを通して循環させて、第1および第2の電解液流を形成する請求項27に記載の方法。
- 前記第1または第2のサンプル液貯槽の内容物を、前記第1または第2のサンプル液チャンバを通して循環させて、前記第1または第2のサンプル液チャンバを通る第1または第2のサンプル液流を形成する請求項16ないし28のいずれかに記載の方法。
- 前記第1および第2のサンプル液貯槽の両方の内容物を、前記第1および第2のサンプル液チャンバを通して循環させて、前記第1および第2のサンプル液チャンバを通る第1および第2のサンプル液流を形成する請求項29のいずれかに記載の方法。
- 前記第1または第2のサンプル液貯槽中のサンプル液または液体を除去し、新鮮なサンプル液または液体と交換する請求項16ないし30のいずれかに記載の方法。
- 前記電位の印加と同時に実質的に全ての隔壁横断移動が起こる請求項16ないし31のいずれかに記載の方法。
- 少なくとも一種類の所望の成分が前記第1または第2のサンプル液チャンバ中、あるいは前記第1または第2のサンプル液貯槽中で所望の純度レベルに達するまで、段階(g)を維持する請求項16ないし32のいずれかに記載の方法。
- 電気泳動分離ユニットにおいて、
(a)第1の電解液チャンバ;
(b)第2の電解液チャンバ;
(c)前記第1の電解液チャンバと前記第2の電解液チャンバの間に配置された第1のサンプル液チャンバ;
(d)前記第1のサンプル液チャンバに隣接し、前記第1の電解液チャンバと前記第2の電解液チャンバの間に配置された第2のサンプル液チャンバ;
(e)前記第1および第2のサンプル液チャンバの間に配置された特徴的なpI値を有する等電膜であって、前記第1および第2のサンプル液チャンバの内容物の実質的な対流混合を防止する等電膜;
(f)前記第1の電解液チャンバと前記第1のサンプル液チャンバの間に配置された第1のイオン透過性隔壁であって、前記第1の電解液チャンバと前記第1のサンプル液チャンバの内容物の実質的な対流混合を防止する第1のイオン透過性隔壁;
(g)前記第2のサンプル液チャンバと前記第2の電解液チャンバの間に配置された第2のイオン透過性隔壁であって、前記第2の電解液チャンバおよび前記第2のサンプル液チャンバの内容物の実質的な対流混合を防止する第2のイオン透過性隔壁;および
(h)前記第1および第2の電解液チャンバ中に配置された電極;
を有することを特徴とする電気泳動分離ユニット。 - 前記等電膜が、約2〜12の範囲のpI値を有する請求項34に記載のユニット。
- 前記第1および第2のイオン透過性隔壁が、特徴的な平均孔径および孔径分布を有する膜である請求項34または35に記載のユニット。
- 前記第1または第2のイオン浸透性隔壁のうちの少なくとも一方が、特徴的なpI値を有する等電膜である請求項34ないし36のいずれかに記載のユニット。
- 前記等電膜が、約2〜12の範囲のpI値を有する請求項37に記載のユニット。
- 前記第1および第2のイオン透過性隔壁の両方が、それぞれ特徴的なpI値を有する等電膜である請求項34ないし38のいずれかに記載のユニット。
- 前記各等電膜が、約2〜12の範囲のpI値を有する請求項39に記載のユニット。
- 前記各等電膜が、異なる特徴的なpI値を有する請求項40に記載のユニット。
- 電気泳動によってサンプル液から少なくとも一種類の成分を分離または除去する方法において、
(a)第1の電解液チャンバ;第2の電解液チャンバ;前記第1の電解液チャンバと前記第2の電解液チャンバの間に配置された第1のサンプル液チャンバ;前記第1のサンプル液チャンバに隣接し、前記第1の電解液チャンバと前記第2の電解液チャンバの間に配置された第2のサンプル液チャンバ;前記第1および第2のサンプル液チャンバの間に配置された特徴的なpI値を有する等電膜であって、前記第1および第2のサンプル液チャンバの内容物の実質的な対流混合を防止する等電膜;前記第1の電解液チャンバと前記第1のサンプル液チャンバの間に配置された第1のイオン透過性隔壁であって、前記第1の電解液チャンバと前記第1のサンプル液チャンバの内容物の実質的な対流混合を防止する第1のイオン透過性隔壁;前記第2のサンプル液チャンバと前記第2の電解液チャンバの間に配置された第2のイオン透過性隔壁であって、前記第2の電解液チャンバおよび前記第2のサンプル液チャンバの内容物の実質的な対流混合を防止する第2のイオン透過性隔壁;前記第1および第2の電解液チャンバ中に配置された電極;を有する電気泳動ユニットを提供する段階;
(b)前記第1および第2の電解液チャンバに電解液を加える段階;
(c)第1および第2のサンプル液チャンバの少なくとも一方にサンプル液を加える段階;
(d)必要な場合は、前記第1および第2のサンプル液チャンバの少なくとも一方に液体を加える段階;
(e)前記電極間に電位を印加することで、前記第1または第2のサンプル液チャンバ中の少なくとも1種類の成分を、前記等電膜を通って前記第1もしくは第2のサンプル液チャンバの他方に移動させるか、あるいは前記第1および第2の電解液チャンバと前記第1および第2のサンプル液チャンバを分離する前記イオン透過性隔壁のうちの少なくとも一方を通して移動させ、前記第1および第2の電解液チャンバ中の電解液と前記第1および第2のサンプル液チャンバ中の前記サンプル液もしくは液体との間で実質的な対流混合が生じない段階;
を有することを特徴とする方法。 - 少なくとも1種類のサンプル液成分があるpI値を有する請求項42に記載の方法。
- 前記等電膜が、2〜12の範囲のpI値を有する請求項42または43に記載の方法。
- 前記第1および第2のイオン透過性隔壁が、所定の平均孔径および孔径分布を有する膜である請求項42ないし44のいずれかに記載の方法。
- 前記第1または第2のイオン浸透性隔壁のうちの少なくとも一方が、所定のpI値を有する等電膜である請求項42ないし45のいずれかに記載の方法。
- 前記等電膜が、約2〜12の範囲のpI値を有する請求項42ないし46のいずれかに記載の方法。
- 前記第1および第2のイオン透過性隔壁の両方が、それぞれ所定のpI値を有する等電膜である請求項42ないし47のいずれかに記載の方法。
- 前記等電膜が、約2〜12の範囲のpI値を有する請求項48に記載の方法。
- 前記各等電膜が、異なる所定のpI値を有する請求項49に記載の方法。
- 前記電位の印加時に前記サンプル液中の成分の実質的に全ての膜横断または隔壁横断移動が起こる請求項42ないし50のいずれかに記載の方法。
- (a)第1の電解液貯槽および第2の電解液貯槽;
(b)第1のサンプル液貯槽および第2のサンプル液貯槽;
(c)前記第1の電解液貯槽と流体連通する第1の電解液チャンバ;前記第2の電解液貯槽と流体連通する第2の電解液チャンバ;前記第1の電解液チャンバと前記第2の電解液チャンバの間に配置された第1のサンプル液チャンバ;前記第1のサンプル液チャンバに隣接し、前記第1の電解液チャンバおよび前記第2の電解液チャンバの間に配置された第2のサンプル液チャンバ;を有する分離ユニットであって、前記第1のサンプル液チャンバが前記第1のサンプル液貯槽と流体連通し、前記第2のサンプル液チャンバが前記第2のサンプル液貯槽と流体連通する分離ユニット;
(d)前記第1のサンプル液チャンバと前記第2のサンプル液チャンバの間に配置された等電膜であって、前記第1および第2のサンプル液チャンバの内容物の実質的な対流混合を防止する等電膜;
(e)前記第1の電解液チャンバと前記第1のサンプル液チャンバの間に配置された所定の平均孔径および孔径分布を有する第1の膜であって、前記第1の電解液チャンバおよび前記第1のサンプル液チャンバの内容物の実質的な対流混合を防止する第1の膜;
(f)前記第2のサンプル液チャンバと前記第2の電解液チャンバの間に配置された所定の平均孔径および孔径分布を有する第2の膜であって、前記第2の電解液チャンバおよび前記第2のサンプル液チャンバの内容物の実質的な対流混合を防止する第2の膜;
(g)前記第1および第2の電解液チャンバ中に配置された電極;
(h)少なくとも前記第1の電解液貯槽から前記第1の電解液チャンバに、または前記第2の電解液貯槽から前記第2の電解液チャンバに電解液を供給する手段;
(i)少なくとも前記第1のサンプル液貯槽から前記第1のサンプル液チャンバに、または前記第2のサンプル液貯槽から前記第2のサンプル液チャンバにサンプル液を供給する手段;
を有する電気泳動装置。 - (a)第1の電解液貯槽および第2の電解液貯槽;
(b)第1のサンプル液貯槽および第2のサンプル液貯槽;
(c)前記第1の電解液貯槽と流体連通する第1の電解液チャンバ;前記第2の電解液貯槽と流体連通する第2の電解液チャンバ;前記第1の電解液チャンバと前記第2の電解液チャンバの間に配置された第1のサンプル液チャンバ;前記第1のサンプル液チャンバに隣接し、前記第1の電解液チャンバおよび前記第2の電解液チャンバの間に配置された第2のサンプル液チャンバ;を有する分離ユニットであって、前記第1のサンプル液チャンバが前記第1のサンプル液貯槽と流体連通し、前記第2のサンプル液チャンバが前記第2のサンプル液貯槽と流体連通する分離ユニット;
(d)前記第1のサンプル液チャンバと前記第2のサンプル液チャンバの間に配置された所定のpIを有する第1の等電膜であって、前記第1および第2のサンプル液チャンバの内容物の実質的な対流混合を防止する第1の等電膜;
(e)前記第1の電解液チャンバと前記第1のサンプル液チャンバの間に配置された所定のpIを有する第2の等電膜であって、前記第1の電解液チャンバおよび前記第1のサンプル液チャンバの内容物の実質的な対流混合を防止する第2の等電膜;
(f)前記第2のサンプル液チャンバと前記第2の電解液チャンバの間に配置された所定の平均孔径および孔径分布を有する膜であって、前記第2の電解液チャンバおよび前記第2のサンプル液チャンバの内容物の実質的な対流混合を防止する膜;
(g)前記第1および第2の電解液チャンバ中に配置された電極;
(h)少なくとも前記第1の電解液貯槽から前記第1の電解液チャンバに、または前記第2の電解液貯槽から前記第2の電解液チャンバに電解液を供給する手段;
(i)少なくとも前記第1のサンプル液貯槽から前記第1のサンプル液チャンバに、または前記第2のサンプル液貯槽から前記第2のサンプル液チャンバにサンプル液を供給する手段;
を有する電気泳動装置。 - (a)第1の電解液貯槽および第2の電解液貯槽;
(b)第1のサンプル液貯槽および第2のサンプル液貯槽;
(c)前記第1の電解液貯槽と流体連通する第1の電解液チャンバ;前記第2の電解液貯槽と流体連通する第2の電解液チャンバ;前記第1の電解液チャンバと前記第2の電解液チャンバの間に配置された第1のサンプル液チャンバ;前記第1のサンプル液チャンバに隣接し、前記第1の電解液チャンバおよび前記第2の電解液チャンバの間に配置された第2のサンプル液チャンバ;を有する分離ユニットであって、前記第1のサンプル液チャンバが前記第1のサンプル液貯槽と流体連通し、前記第2のサンプル液チャンバが前記第2のサンプル液貯槽と流体連通する分離ユニット;
(d)前記第1のサンプル液チャンバと前記第2のサンプル液チャンバの間に配置された所定のpIを有する第1の等電膜であって、前記第1および第2のサンプル液チャンバの内容物の実質的な対流混合を防止する第1の等電膜;
(e)前記第1の電解液チャンバと前記第1のサンプル液チャンバの間に配置された所定のpIを有する第2の等電膜であって、前記第1の電解液チャンバおよび前記第1のサンプル液チャンバの内容物の実質的な対流混合を防止する第2の等電膜;
(f)前記第2のサンプル液チャンバと前記第2の電解液チャンバの間に配置された所定のpI値を有する第3の等電膜であって、前記第2の電解液チャンバおよび前記第2のサンプル液チャンバの内容物の実質的な対流混合を防止する第3の等電膜;
(g)前記第1および第2の電解液チャンバ中に配置された電極;
(h)少なくとも前記第1の電解液貯槽から前記第1の電解液チャンバに、または前記第2の電解液貯槽から前記第2の電解液チャンバに電解液を供給する手段;
(i)少なくとも前記第1のサンプル液貯槽から前記第1のサンプル液チャンバに、または前記第2のサンプル液貯槽から前記第2のサンプル液チャンバにサンプル液を供給する手段;
を有する電気泳動装置。 - サンプル液からの少なくとも1種類の化合物の分離または移動における請求項1に記載の装置の使用。
- 請求項16に記載の方法によって分離または取得される化合物。
- サンプル液からの少なくとも1種類の化合物の分離または移動における請求項34に記載の電気泳動ユニットの使用。
- 請求項42に記載の方法によって分離または取得される化合物。
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