JP2004507375A - タイヤを製造する方法、それによって得られたタイヤおよびそれに使用されるエラストマー組成物 - Google Patents
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Abstract
(a)カルボキシル基を含有するエラストマーポリマーと、(b)その分子の内部に位置するエポキシド基を含有するエポキシ化液体有機化合物と、を含む組成物で架橋を行うことを特徴とする、タイヤを製造する方法。加熱すると、そのエラストマー的材料は、従来の架橋剤を添加することなく、工業用途で許容可能な限界内に維持される架橋時間で高い架橋度に達する。これらの組成物は、トレッドバンドの製造に特に適している。
Description
【0001】
本発明は、自動車車輪用タイヤを製造する方法、その方法によって得られたタイヤ、およびそれに使用される架橋性エラストマー組成物に関する。さらに詳細には、本発明は、従来の架橋剤が実質上存在しない条件で行うことができる、自動車車輪用タイヤを製造する方法、その方法よって得られたタイヤ、およびそれに使用される架橋性組成物に関する。
【0002】
ジエンエラストマーを硫黄で加硫する方法は、ゴム工業において、広範囲の製品、特に自動車車輪用タイヤの製造に広く使用されている。工業的に許容可能な時間内で最適な加硫を得るためには、硫黄もしくは硫黄供与化合物(sulphur−donating compounds)に加えて、1種または複数種の活性剤(例えば、ステアリン酸、酸化亜鉛等)および1種または複数種の促進剤(例えば、チアゾール、ジチオカルバメート、チウラム、グアニジン、スルフェンアミド等)を含有する複合加硫系を使用する必要があるという事実に主に起因して、これらの方法の実施は、高品質の加硫製品が得られるが、かなり複雑となる。場合によって、これらの生成物が存在すると、特に、加硫製品が医療/ヘルスケアまたは食品用途を目的する場合、製造中および使用中両方における有害性/毒性の面から考慮すべき問題を伴う。さらに、通常、150℃を超える温度で行われる加硫工程の際、硫黄または硫黄供与化合物を使用することによって、揮発性硫黄含有化合物が生じる。
【0003】
そのため、近年、2つの異なる方向に研究努力が向けられている。第1には、公知の加硫プロセスを改善し、さらに効率的かつ清浄にすることであり、第2には、代替架橋技術の開発をねらいとしている。かなりの進歩が見られるが、現時点では、同様な結果が得られ、製造面での有効な簡略化を同時に提供する、硫黄を用いた架橋の代替技術が存在すると述べるのは不可能である。例えば、過酸化物化合物による架橋プロセスでは、活性剤を使用する必要があることに加えて、過酸化物化合物が不安定性であることから、特別な注意が必要である。照射による架橋は、複合装置の使用ならびに、高エネルギーおよび高出力照射を用いる場合に必要とされるあらゆる注意を組み込むことを含む。
【0004】
いわゆる「自己架橋」エラストマー組成物、つまり硫黄もしくは硫黄化合物などの架橋剤を使用する必要がない組成物は、当技術分野で公知である。
【0005】
例えば、米国特許第2,724,707号に、カルボキシル基を含有するジエンポリマー、特にブタジエン/アクリロニトリルポリマーを一部加水分解することによって得られたカルボキシ化ニトリルゴム(XNBR)からなり、多価金属酸化物(例えば酸化亜鉛)が分散された、エラストマー組成物が記載されている。加熱すると、これらの組成物はイオン型のメカニズムに従って架橋する。
【0006】
カーボンブラック、シリカおよび粘土などの補強充填剤の存在下でエポキシ樹脂(例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル)との反応による、高カルボキシル化度(a high carboxylation degree)を有するXNBRの架橋についての研究が、S.K.ChakrabortyおよびS.K.Deによる論文、Journal of Applied Polymer Science,Vol.27,pp.4561−4576(1982)に報告されている。その架橋は、ゴム化合物を150〜180℃に加熱することによって行われる。公知のようにエポキシ樹脂は、そのオキシド(またはオキシラン)基が「外側にある」、つまり炭化水素主鎖の末位に位置し、その酸素原子が、この鎖の末端および末位から2番目の炭素原子に結合するオキシラン環を形成する、低分子量生成物である。
【0007】
エポキシ化天然ゴム(ENR)およびXNBRをベースとする組成物の架橋についての研究が、R.Alex、P.P.De、N.M.MathewおよびS.K.Deによる論文、Plastics and Rubber Processing and Applications,Vol.14,No.4,1990に報告されている。特にこの論文には、ENRおよびXNBRそれ自体からなるか、または補強充填剤としてシリカもしくはカーボンブラックを含有する組成物の架橋が記載されている。著者により報告されている内容よれば、ENRおよびXNBRの混合物において、その架橋反応は、エポキシド基とカルボキシル基との間にエステル結合が形成することを意味する。レオメトリー曲線によって、加硫戻りの無いこと、架橋構造の安定性、および高架橋度が示されるだろう。
【0008】
イタリア特許IT−1,245,551号には、エポキシ化エラストマーと、式R1‐R‐R2(式中、Rはアリーレン、アルキレンもしくはアルケニレン基であり、R1およびR2はカルボキシル基、アミン基、スルホン基もしくはクロロスルホン基である)の架橋剤とを含有する自己架橋組成物が記載されている。ジカルボン酸もしくはポリカルボン酸、またはそれらの混合物を架橋剤として使用することができる。エポキシ化エラストマーと、そのポリマー鎖の繰り返し単位が少なくとも1つのカルボキシル基を含有する第2エラストマーとを含有する自己架橋組成物もまた記載されている。例えば、自己架橋組成物は、エポキシ化エラストマー(例えば、Malaysian Rubber Producers Research Associationからブランド名Epoxiprene(登録商標)として市販されている製品ENR25またはENR50)を、ブタジエン/アクリル酸コポリマー(例えば、ブランド名Krynac(登録商標)としてPolysar/Bayerによって販売されている製品)と混合することによって得られる。その架橋反応は、加熱することによって起こり、エポキシド基とカルボキシル基の間にエステル結合が形成する。
【0009】
米国特許第5,173,557号には、イソシアネート基で官能性を付与されたエラストマーポリマーと、少なくとも2つのツェレウィチノフ活性水素原子を含有する化合物とを含む自己架橋組成物、またはツェレウィチノフ活性水素原子を含有するエラストマーポリマーと、少なくとも2つのイソシアネート基を含有する化合物とを含む自己架橋組成物が記載されている。代替方法として、その他の架橋剤を使用することなく、イソシアネート基またはツェレウィチノフ活性水素のいずれかを含有するエラストマーポリマーを用いることができる。その活性水素原子は、例えば水酸化物、アミン、カルボキシルもしくはチオール基上に存在することが可能である。好ましくないエラストマーの予備架橋を避けるために、イソシアネート基を適切な官能基で予めブロックする。その官能基は、遊離イソシアネート基と活性水素との間の架橋反応前に、任意に触媒を使用して、加熱することによって除去する。
【0010】
本出願人の経験に基づくと、従来技術において今まで提案されてきた自己架橋組成物によって、硫黄またはその誘導体で加硫された従来の組成物に代わる有効な組成物は得られていない。この理由は、一般に架橋製品の性能品質が、特に、広範囲な作業温度にわたる弾性性能品質の実質的な定常性を有すること、それと同時に許容できないほど硬度が増大することなく高い摩耗抵抗を有することが必要とされるタイヤゴムコンパウンドなどの用途で、満足の行くものではないことである。これは、例えば、カルボキシル基を含有するポリマー(例えばXNBR)を、エポキシ化エラストマーポリマーまたはエポキシ樹脂との混合剤中で加熱することによって架橋する、上述の自己架橋組成物の場合である。
【0011】
ここで本出願人は、所望の組み合わせの特性を有する架橋製品、特に自動車車輪用タイヤを、実質上他の添加剤が存在しない条件で、カルボキシル基を含有するエラストマーポリマーと、その分子の内部に位置するエポキシド基を含有する液体有機化合物との混合物を含む自己架橋組成物を用いることによって、製造することが可能であることを見出した。
【0012】
加熱後、これらの組成物は、従来の添加剤を添加することなく、工業用途で許容可能な限界内に含まれる架橋時間で高い架橋度を達成する。得られた架橋生成物は、優れた機械的および弾性性能品質(特に、破断応力、破断点伸び、モジュラスおよび硬度)と、低い値の摩耗性(abradability)とを兼ね備え、その結果、上記の自己架橋組成物は、タイヤ、特にトレッドバンドの製造に使用するエラストマー的材料として特に適切となる。
【0013】
さらに、内部オキシド基を含有する液体化合物を使用することによって、優れた加工性と、相溶化添加剤が存在しない条件でさえ補強充填剤を含有する高い能力とを有する架橋性組成物を得ることが可能となる。というのは、これらのエポキシ化生成物は、架橋剤としてだけではなく、処理補助剤(processing coadjuvants)としても作用し、活性ヒドロキシル基(例えばシリカ)を含有する補強充填剤と相互作用し、したがってポリマーマトリックスとの相溶化に有利に働くことができるからである。
【0014】
第一の態様によれば、本発明は、次のように自動車車輪用タイヤを製造する方法に関するものであり、前記方法は以下の工程:
少なくとも1種の架橋性エラストマー的材料を含有する未加工タイヤを製造する工程;
その未加工タイヤを、加硫金型において定義される金型キャビティ中で成形にかける工程;
所定の温度に所定の時間加熱することによって、そのエラストマー的材料を架橋する工程;を含む方法であって、
その架橋性エラストマー的材料が:(a)カルボキシル基を含有するエラストマーポリマーと、(b)その分子上の内部に位置するエポキシド基を含有するエポキシ化液体有機化合物と、を含み、前記架橋工程が、その他の架橋剤が実質上存在しない条件で行われることを特徴とする。
【0015】
さらに好ましい態様によれば、架橋性エラストマー的材料を少なくとも120℃、好ましくは少なくとも160℃の温度に、少なくとも3分間、好ましくは少なくとも10分間加熱することによって、架橋工程を行う。
【0016】
特に好ましい態様によれば、前記架橋エラストマー的材料は、補強充填剤もまた含有する。
【0017】
第2の態様では、本発明は、架橋されたエラストマー的材料から製造された1つまたは複数の構成要素を含む自動車車輪用タイヤであって、前記構成要素が、架橋されたエラストマー的材料として、その分子の内部に位置するエポキシド基を含有するエポキシ化液体有機化合物との反応によって架橋される、カルボキシル基を含有するエラストマーポリマーを含み、前記カルボキシ化エラストマーポリマーが、その他の架橋剤が実質上存在しない条件で架橋されることを特徴とする、タイヤに関する。
【0018】
他の態様によれば、本発明は、カーカス構造体の周囲に同軸状に延在するベルト構造体と、ベルト構造体の周囲に同軸状に延在するトレッドバンドとを備え、地面と接触することを意図する外部転がり面を有する自動車用タイヤであって、前記トレッドバンドが、その分子の内部に位置するエポキシド基を含有するエポキシ化液体有機化合物との反応によって架橋される、カルボキシル基を含有するエラストマーポリマーを含み、かつ前記カルボキシ化エラストマーポリマーが、その他の架橋剤が実質上存在しない条件で架橋されることを特徴とする、自動車用タイヤに関する。
【0019】
他の態様によれば、本発明は、(a)カルボキシル基を含有するエラストマーポリマー;(b)その分子の内部に位置するエポキシド基を含有する液体有機化合物;を含む組成物であって、追加の架橋剤が実質上存在しない条件で架橋可能である、架橋性エラストマー組成物に関する。
【0020】
他の態様によれば、本発明は、先に定義される架橋性組成物を架橋することによって得られる架橋エラストマー製品に関する。
【0021】
本発明の説明および特許請求の範囲において、「その他の架橋剤が実質上存在しない条件で」という表現は、架橋性組成物を、架橋を生じさせることができる他の系の作用にさらさない、あるいは組成物中に存在する他の生成物が、それ自体で架橋反応に関与することが可能であるが、短時間(例えば5分以内)でかなりの架橋度を得るのに必要な最低量より少ない量で使用されることを意味する。特に、本発明による組成物は、例えば硫黄もしくは硫黄供与体、過酸化物または他のラジカル開始剤など、当技術分野で通常使用される架橋系のいずれも実質上存在しない条件で架橋することが可能であり、また、これらの組成物は、ポリマー中に架橋現象を引き起こすための高エネルギー照射(UV、ガンマ線等)の作用にさらされることもない。
【0022】
その分子の内部に位置するエポキシド基を含有する液体有機化合物(簡単にするために、これ以降、これらを「内部エポキシド基を含有する有機化合物」または「エポキシ化有機化合物」と呼ぶ)は、室温で粘性の液体または油状の炭化水素型の生成物である。
【0023】
これらの化合物は、少なくとも2つの内部エポキシド基を、つまり1つのオキシランブリッジが:
(i)いずれも主鎖の末端炭素原子ではない、その主鎖に位置する2つの隣接炭素原子;または
(ii)側鎖に位置する2つの隣接炭素原子;を連結する基を含有する。
【0024】
しかしながら、内部エポキシド基が存在することによって、分子中に存在する末端位にあるエポキシド基の可能性が除外されるわけではない。
【0025】
少なくとも2つの内部エポキシド基が、本発明による液体有機化合物中に存在する。一般に、エポキシド基の量は、エポキシ化化合物のエポキシド当量が通常40〜2,000、好ましくは50〜1,500、さらに好ましくは100〜1,000であるような量である。「エポキシド当量(EEW)」という用語は、オキシラン酸素1モル当たりのエポキシ化化合物のモル重量、すなわち:
【数1】
(式中、%Oは、オキシラン酸素含有率であり、化合物の総重量に対するオキシラン酸素の重量%で表される)を意味する。エポキシ化化合物中のオキシラン酸素含有率は、公知の技術に従って、例えば臭化水素酸の酢酸溶液で滴定することによって決定することができる。
【0026】
特に好ましい内部オキシド基を含有する液体有機化合物の一種類は、合成もしくは天然の、不飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸エステル(特にグリセリド、ジグリセリドもしくはトリグリセリド)をエポキシ化することによって、あるいは前記不飽和酸またはエステルと飽和酸またはそのエステルとの混合物をエポキシ化することによって得られるエポキシ化油である。飽和もしくは不飽和脂肪酸は一般に、炭素原子10〜26個、好ましくは14〜22個を含有する。不飽和脂肪酸の例としては:ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、リシノール酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等、またはそれらの混合物が挙げられる。飽和脂肪酸の例としては:ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸等、またはそれらの混合物が挙げられる。例えばエポキシ化アマニ油、エポキシ化サフラワー油、エポキシ化ダイズ油、エポキシ化トウモロコシ油、エポキシ化綿実油、エポキシ化ナタネ油、エポキシ化ヒマシ油、エポキシ化キリ油、エポキシ化トール油、エポキシタル油酸オクチル、エポキシ化ヒマワリ油、エポキシ化オリーブ油等、またはそれらの混合物などの植物油が特に好ましい。エポキシ化油は一般に、23℃未満、好ましくは10℃未満の凍結温度を有する。このタイプの製品は、例えばブランド名Epoxol(登録商標)(FACI、American Chemical Service社);Paraplex(登録商標)、Plasthall(登録商標)およびMonoplex(登録商標)(C.P.Hall社);Vikoflex(登録商標)およびEcepox(登録商標)(Elf Atochem社)として市場で見られる。
【0027】
本発明に従って有利に使用することができる、内部エポキシドを含有する他の種類の液体有機化合物は、エポキシ化ジエンオリゴマーからなり、合成もしくは天然のベースポリマー構造が、1種または複数種の共役ジエンモノマーから誘導され、任意に、エチレン不飽和を含有する他のモノマーと共重合する。これらのオリゴマーは一般に、例えばゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定することができる平均分子量(数平均)500〜10,000、好ましくは1,000〜8,000を有する。
【0028】
例えば、1,3‐ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、2,3‐ジメチル‐1,3‐ブタジエン、3‐ブチル‐1,3‐オクタジエン、2‐フェニル‐1,3‐ブタジエン等、またはそれらの混合物から選択され、炭素原子4〜12個、好ましくは4〜8個を含有する共役ジエンモノマーの(共)重合から誘導されるオリゴマーが特に好ましい。1,3‐ブタジエンおよびイソプレンが特に好ましい。
【0029】
任意に、ジエンモノマーを、例えば:炭素原子2〜12個を含有するα‐オレフィン(例えばエチレン、プロピレンまたは1‐ブテン)、炭素原子8〜20個を含有するモノビニルアレーン(例えばスチレン、1‐ビニルナフタレンもしくは3‐メチルスチレン)、そのエステル基が炭素原子2〜8個を含有するビニルエステル(例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルもしくはブタン酸ビニル)、そのアルキルが炭素原子1〜8個を含有するアクリル酸アルキルおよびメタクリル酸アルキル(例えばアクリル酸エチル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、t‐ブチルアクリレートもしくはn‐ブチルアクリレート)、アクリロニトリル等、またはそれらの混合物など、エチレン不飽和を含有する他のモノマーと共重合することができる。
【0030】
エポキシ化ジエンオリゴマーの中では、1,3‐ブタジエン;イソプレン;1,3‐ブタジエンおよびスチレン;1,3ブタジエンおよびイソプレン;イソプレンおよびスチレン;1,3‐ブタジエンおよびアクリロニトリル等のオリゴマーをエポキシ化することによって得られるオリゴマーが好ましい。1,3‐ブタジエンまたはイソプレンのエポキシ化オリゴマーが特に好ましい。
【0031】
本発明で使用可能なエポキシ化ジエンオリゴマーは、例えばElf Atochem社からブランド名Poly BD(登録商標)として市販されている。
【0032】
内部アルキレン基を含有する化合物のエポキシ化反応を、公知の技術に従って行うことができる。例えば、過酸などの適切な酸化剤(特に、過安息香酸、メタクロロ過安息香酸、過酢酸、トリフルオロ過酢酸、過プロピオン酸等)またはアルカリ性酸化剤(例えば、水酸化ナトリウム水溶液と混合した過酸化水素)を用いて、あるいは代替方法として、触媒(例えばAg)存在下で酸素ガスと反応させることによって、出発原料を直接酸化することができる。代替方法として、水存在下でハロゲン(例えばCl2またはBr2)と反応させてハロヒドリンを形成し、続いてアルカリ処理してエポキシド基を形成することによって、内部アルキレン基の選択的酸化反応を行うことが可能である。エポキシ化反応についてのさらなる詳細は、例えば米国特許第4,341,672号、同第4,851,556号および同第5,366,846号に記載されている。
【0033】
本発明に従って使用することが可能な、カルボキシル基を含有するエラストマーポリマー(これもまた簡単にするため、これ以降、「カルボキシ化エラストマーポリマー」と呼ぶ)は、23℃未満、好ましくは0℃未満のガラス転移温度(Tg)を有し、かつポリマー中に存在するモノマーの総モル数に対して、カルボキシル基を少なくとも0.1モル%、好ましくは1〜30モル%、さらに好ましくは2〜10モル%含有する、ゴム状弾性を有するホモポリマーまたはコポリマーである。カルボキシル基を含有する様々なポリマーの混合物、または1種または複数種のカルボキシ化ポリマーと1種または複数種の非カルボキシ化エラストマーポリマーとの混合物もまた、本発明の定義内に入る。
【0034】
コポリマーの場合には、これらは、ランダム、ブロック、グラフトまたは混合構造もまた有することが可能である。ベースポリマーの平均分子量は、このましくは2,000〜1,000,000、さらに好ましくは50,000〜500,000である。
【0035】
合成もしくは天然の、そのベースポリマー構造が、1種または複数種の共役ジエンモノマーから誘導され、任意にモノビニルアレーンおよび/または極性コモノマーと共重合する、カルボキシ化ジエンホモポリマーまたはコポリマーが特に好ましい。ベースポリマー構造は、例えば:1,3‐ブタジエン、イソプレン、2,3‐ジメチル‐1,3‐ブタジエン、3‐ブチル‐1,3‐オクタジエン、2‐フェニル‐1,3‐ブタジエン等、またはそれらの混合物から選択される、炭素原子4〜12個、好ましくは4〜8個を含有するジエンモノマーを(共)重合することによって得ることが好ましい。1,3‐ブタジエンおよびイソプレンが特に好ましい。
【0036】
コモノマーとして任意に使用することができるモノビニルアレーンは一般に、炭素原子8〜20個、好ましくは8〜12個を含有し、例えば:スチレン、1‐ビニルナフタレン;2‐ビニルナフタレン;スチレンの様々なアルキル誘導体、シクロアルキル誘導体、アリール誘導体、アルキルアリールもしくはアリールアルキル誘導体、例えば3‐メチルスチレン、4‐プロピルスチレン、4‐シクロヘキシルスチレン、4‐ドデシルスチレン、2‐エチル‐4‐ベンジル‐スチレン、4‐p‐トリルスチレン、4‐(4‐フェニルブチル)スチレン等、またはそれらの混合物から選択することができる。スチレンが特に好ましい。これらのモノビニルアレーンは任意に、アルコキシ基、例えば4‐メトキシスチレン、アミノ基、例えば4‐ジメチルアミノスチレン等などの1つまたは複数の官能基で置換することができる。
【0037】
様々な極性コモノマーを、ベースポリマー構造、特にビニルピリジン、ビニルキノリン、アクリル酸およびアルキルアクリル酸エステル、ニトリル等、またはそれらの混合物、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルおよびアクリロニトリルに導入することができる。
【0038】
特に好ましいベースポリマー構造の中では、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン/ブタジエンコポリマー、ブタジエン/イソプレンコポリマー、スチレン/イソプレンコポリマー、ブタジエン/アクリロニトリルコポリマー等、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0039】
コポリマータイプのベース構造の場合には、他のコモノマーに対するジエンコモノマーの量は、最終ポリマーが確実にゴム状弾性を有するような量である。この点で、所望のゴム状弾性を得るのに必要なジエンコモノマーの最低量を確立することは通常不可能である。指標として、コモノマーの総重量に対して少なくとも50重量%のジエンコモノマーの量が一般に十分であると見なすことができる。
【0040】
公知の技術に従って、一般に、エマルジョン、懸濁液もしくは溶液中で、対応するモノマーを(共)重合することによって、ベースポリマーの調製を行うことができる。
【0041】
カルボキシル基を導入するために、このようにして得られたベースポリマーを、ラジカル開始剤、好ましくは有機過酸化物(例えば、ジクミルペルオキシドもしくは過酸化ベンゾイル)の存在下でカルボキシル化剤と反応させることが可能である。通常使用されるカルボキシル化剤は、例えば無水マレイン酸、無水イタコン酸、チオグリコール酸、β‐メルカプトプロピオン酸等である。
【0042】
カルボキシル基の導入もまた、上述のようにモノビニルアレーンおよび/または極性コモノマーと任意に混合される共役ジエンと、1つまたは複数のカルボキシル基を含有するオレフィンモノマー、またはそれらの誘導体との間の共重合によって、ポリマーを合成する際に行うことができる。
【0043】
通常使用されるカルボキシ化オレフィンモノマーは、例えば:アクリル酸、メタクリル酸、ソルビン酸、β‐アクリロキシプロピオン酸、エタクリン酸、2‐エチル‐3‐プロピルアクリル酸、ビニルアクリル酸、イタコン酸、ケイ皮酸、マレイン酸、フマル酸等、またはそれらの混合物である。この種類のカルボキシ化エラストマーポリマーの中では、以下のポリマー:1,3‐ブタジエン/アクリル(メタクリル)酸コポリマー、1,3‐ブタジエン/アクリロニトリル/アクリル(メタクリル)酸コポリマー、1,3‐ブタジエン/スチレン/アクリル(メタクリル)酸コポリマー等、またはそれらの混合物が特に好ましい。
【0044】
代替方法として、対応するカルボキシル誘導体、特に無水物、エステル、ニトリルまたはアミドを使用することができる。この場合には、次いで、このように導入された官能基を一部または完全に遊離カルボキシル基に転化するために、得られたポリマーを加水分解する。
【0045】
また使用可能なカルボキシ化エラストマーポリマーは、1種または複数種のものオレフィンと、1つまたは複数のカルボキシル基を含有するオレフィンコモノマーまたはその誘導体とのエラストマーコポリマーである。モノオレフィンは、炭素原子3〜12個を含有するエチレンおよびα‐オレフィン、例えば:プロピレン、1‐ブテン、1‐ペンテン、1‐ヘキセン、1‐オクテン等、またはそれらの混合物から選択することができる。エチレンとα‐オレフィン、任意にジエンとの間のコポリマー:任意に少なくとも一部ハロゲン化される、少量のジエンを有するイソブテンのホモポリマーまたはそのコポリマーが好ましい。任意のジエンは一般に、炭素原子4〜20個を含有し、1,3‐ブタジエン、イソプレン、1,4‐ヘキサジエン、1,4‐シクロヘキサジエン,5‐エチルイデン‐2‐ノルボルネン、5‐メチレン‐2‐ノルボルネン等から選択することが好ましい。これらの中では、エチレン/プロピレンコポリマー(EPR)またはエチレン/プロピレン/ジエンコポリマー(EPDM);ポリイソブテン;ブチルゴム;ハロブチルゴム、特にクロロブチルもしくはブロモブチルゴム等、またはそれらの混合物が特に好ましい。カルボキシ化オレフィンコモノマーは、ジエンポリマーについての上述のコモノマーから選択することができる。ジエンコモノマーが存在する場合には、それを用いて、上述のようにカルボキシル化によってカルボキシル基を導入することができる。
【0046】
カルボキシ化エラストマーの構造および製法についてのさらなる情報は、例えば、H.P.Brownによる論文、Rubber Chemistry and Technology,Vol.XXX,5,p.1347以下参照(1957)または米国特許第2,724,707号にも記載されている。
【0047】
本発明で使用することが可能であり、現在市販されているカルボキシ化エラストマーポリマーの例としては、製品Nipol(登録商標)EP(Nippon Zeon社)またはKrynac(登録商標)Xシリーズの製品(Bayer社)が挙げられる。
【0048】
存在する官能基の量の関数として、かつ最終製品に得られることが望ましいゴム状弾性の関数として変化する割合で、本発明に従ってエポキシ化液体化合物をカルボキシ化エラストマーポリマーと混合する。一般に、エポキシ化液体化合物の量は、エラストマーポリマー100重量部当たり、5〜200重量部、好ましくは10〜120重量部の範囲であることが可能である。
【0049】
本発明による架橋性組成物は、一般に20〜120phr、好ましくは40〜90phr(phr=ポリマーベース100部当たりの重量部)の量で補強充填剤を含有することが可能である。補強充填剤は、架橋製品、特にタイヤに通常使用される充填剤:例えば、カーボンブラック、シリカ、アルミナ、アルミノケイ酸塩、炭酸カルシウム、カオリン等、またはそれらの混合物から選択することができる。
【0050】
本発明による架橋性組成物は、対象とされる特定の用途に基づいて選択される、通常使用する他の添加剤を含むことが可能である。例えば、これらの組成物に以下の添加剤:酸化防止剤、保護剤、可塑剤、補強充填剤用の可溶化剤、接着剤、オゾン劣化防止剤、改質剤、繊維(例えば、Kevlar(登録商標)パルプ)等を添加することができる。
【0051】
特に、加工性をさらに改善するために、本発明による架橋性組成物に滑剤を添加することが可能であり、この滑剤は一般に、鉱油、植物油、合成油等、またはそれらの混合物、例えば:芳香油、ナフテン系油、フタル酸油(phthalic oil)、ダイズ油等から選択される。滑剤の量は一般に、2〜100phr、好ましくは5〜50phrの範囲である。
【0052】
架橋速度を増大するために、有効量の縮合触媒もまた、本発明による架橋性組成物に添加することができる。この量は、広範囲内で変化し、カルボキシ化エラストマーポリマー100重量部に対して、一般に0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部である。その触媒は、縮合反応の技術分野で公知の触媒、特に:
スズ、亜鉛、ジルコニウム、鉄、鉛、コバルト、バリウム、カルシウム、マンガン等の金属のカルボン酸塩、例えばジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジオクチルスズジラウレート、酢酸第一スズ、カプリル酸第一スズ、ナフテン酸鉛、カプリル酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクタン酸第一鉄、2‐エチルヘキサノン酸鉄;
アリールスルホン酸またはその誘導体、例えば:p‐ドデシルベンゼンスルホン酸、テトラプロピルベンゼンスルホン酸、p‐ドデシルベンゼン‐スルホン酸アセチル、1‐ナフタレンスルホン酸、2‐ナフタレンスルホン酸、スルホン酸アセチルメチル、p‐トルエンスルホン酸アセチル等;
強無機酸または塩基、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、塩酸、硫酸等;
アミンおよびアルカノールアミン、例えばエチルアミン、ジブチルアミン、ヘキシルアミン、ピリジン、ジメチルエタノールアミン等;
またはそれらの混合物から選択することができる。
【0053】
本発明による架橋性組成物は、当技術分野で公知の技術に従って、ポリマーベースおよび任意に存在する補強充填剤および他の添加剤を混合することによって調製することができる。その混合は、例えば開放式ミキサー、または接線ローター(tangential rotors)を有するタイプ(BanBury)もしくはインターロックローターを有するタイプ(Intermix)の密閉式ミキサーを用いて、あるいはKo‐ニーダー(Buss)または共回転もしくは逆回転二軸スクリュー型の連続ミキサー中で行うことができる。
【0054】
混合中、組成物の予備架橋を防ぐために、所定の値未満の温度に維持する。このためには、一般に、170℃未満、好ましくは150℃未満、さらに好ましくは120℃未満に温度を維持する。混合温度に関しては、混合物の特定の組成、充填剤の存在、および使用するミキサーの種類に応じて、広範囲内で変化する。一般に、90秒を超える、好ましくは3〜35分の混合時間が、均質な組成物を得るのに十分である。
【0055】
先に示した値より低い温度を維持しながら、充填剤の分散を最適化するために、連続して配置された、異なるミキサーの組み合わせを任意に用いた多工程混合プロセスもまた用いることができる。
【0056】
上記の固体混合プロセスの代替として、成分の分散を改善するために、本発明による架橋性組成物を、エポキシ化液体化合物、任意に補強充填剤、および他の添加剤を、水性エマルジョン状態または有機溶剤中の溶液状態のポリマーベースと混合することによって有利に調製することができる。充填剤は、それ自体で、または水性媒体中の懸濁液もしくは分散液状で使用することができる。続いて、適切な手段によって、溶剤または水から、ポリマーを分離する。例えば、エマルジョン中のポリマーを使用する場合、そのポリマーは、凝析剤を添加することによって、油状相およびいずれかの充填剤を含有する粒子状で沈殿させることができる。使用可能な凝析剤は特に、電解液、例えばケイ酸ナトリウム溶液またはケイ酸カリウム溶液である。揮発性有機溶剤を用いて凝析プロセスを促進することができる。揮発性有機溶剤は、充填剤入りポリマーを沈殿させる際に蒸発によって除去される。エラストマー組成物を調製するためのこの種のプロセスに関するさらなる詳細は、例えば米国特許第3,846,365号に記載されている。
【0057】
ここで、本発明によるタイヤの部分破断図を有する断面図である添付の図面1を参照しながら、いくつかの作業実施例によってさらに詳細に本発明を説明する。
【0058】
図1を参照すると、タイヤ1は従来どおり、その対向する端部がそれぞれの固定ビードワイヤ3の周りで外側に折り返される、少なくとも1つのカーカスプライ2を備える。各ビードワイヤ3は、タイヤの内部周方向端部に沿って定められるビード4中にそれぞれが密閉され、ビード4によって、タイヤが、自動車の車輪の一部を形成するホイールリム5に係合する、
【0059】
カーカスプライ2の周方向の延長に沿って、ゴム引シートに封入した金属または織物コードを用いて製造された、1つまたは複数のベルトストリップ6を設ける。カーカスプライ2の外側、このプライの対向するそれぞれの部分に、1対のサイドウォール7もまた設ける。各サイドウォール7は、ビード4から、ベルトストリップ6の対向端部によって定められる、タイヤのいわゆる「ショルダー」領域8まで、延在する。ベルトストリップ6上に、その側面縁端部がショルダー8で終端し、サイドウォール7につながるトレッドバンドを周方向に設ける。トレッドバンド9は外面上、地面に接触するよう設計された転がり表面9aを表し、これには、添付の図面に図示されていない横方向のカッティングと交互になる、周方向の溝10を設けることができる。それは、前記転がり表面9a上に様々に分布する複数のブロックを画定する。
【0060】
本発明によるタイヤの製造方法は、当技術分野で公知の技術に従って、かつ当技術分野で公知の装置を用いて行うことができる(例えば、欧州特許第199,064号、米国特許第4,872,822号および同第4,768,937号を参照のこと)。特に、この方法は、未加工タイヤを製造する工程であって、予め互いに別々に製造した、タイヤの様々な部品(カーカスプライ、ベルトストリップ、ビードワイヤ、充填材、サイドウォールおよびトレッドバンド)に対応する一連の半完成製品を、適切な製造機械を用いて組み立てる工程を含む。
【0061】
次いで、このようにして得られた未加工タイヤを、次の成形および架橋工程にかける。このために、加工されるタイヤを金型キャビティ内側に受け入れるよう設計された加硫金型を使用する。この金型キャビティは、架橋が完了した際に、タイヤの外面に対向してかたどられるウォールを有している。
【0062】
未加工タイヤの外面を金型キャビティの壁に押し付けるために、タイヤの内面によって画定される空間に加圧流体を導入することによって、未加工タイヤを成形することができる。広く実施されている成形方法の1つでは、エラストマー的材料から製造された加硫チャンバを、加圧下で蒸気および/または他の流体を充填して、成形用キャビティ内に密閉されたタイヤ内で膨らませる。この方法では、未加工タイヤを成形用キャビティの内壁に押し付け、これによって所望の成形が得られる。代替方法としては、膨張式加硫チャンバを用いることなく、得られるタイヤの内面の形状に従って形成される環状金属支持体をタイヤ内に設けることによって、成形を行うことができる(例えば、欧州特許第242,840号を参照のこと)。環状金属支持体と粗エラストマー的材料との間の熱膨張係数の差を利用して、適切な成形圧力が達成される。
【0063】
この時点で、タイヤに存在する粗エラストマー的材料の架橋工程を行う。このために、加硫金型の外壁を、外壁が通常100℃〜230℃の最高温度に達するように、熱流体(一般に蒸気)と接触して配置する。それと同時に、成形用キャビティの壁に対してタイヤを押し付けるのに使用する同一の加圧流体を用いて、タイヤの内面を架橋温度まで上げ、最高温度100〜250℃に加熱する。エラストマー的材料の全体について十分な架橋度を得るのに必要な時間は一般に、3分〜90分であり、主にタイヤの寸法によって異なる。
【0064】
ここで、いくつかの調製実施例によって、さらに詳細に本発明を説明する。
【0065】
実施例1〜6
表1に示す組成物は、混合時間約30分で開放式ミキサーを用い、できる限り低い温度に保つように、いずれにせよ、120℃を超えないように注意して調製した。このように調製した組成物を、Monsanto社製MDRレオメーターを用いてMDRレオメトリー分析にかけた。その試験は、振動周波数1.66Hz(1分当たり100振動)および振動振幅±0.5°で、30分間200℃にて行った。その機械的性質(ISO規格37に準拠)およびIRHD硬さ(ISO規格48に準拠)を、200℃で15分間架橋した前記組成物のサンプルで測定した。結果を表1に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
例1および例2(比較例)に関しては、本質的に架橋が存在しないか、いずれにせよ、試験片を調製するのに十分ではなく、このため、引張特性は報告されていない。
【0068】
表1に示す実施例は、液体エポキシ化化合物と混合したカルボキシ化ポリマーを含有する、本発明による組成物については、従来の架橋系を添加することなく、短時間で高架橋度を達成することが可能であることを実証している。構造は似ているが、同一のエポキシ化化合物と混合したカルボキシ化ポリマーではない(not carboxylated mixed with the same epoxidized compound)ポリマーを用いても、カルボキシ化ポリマーを単独で加熱しても、いずれの場合にも架橋は生じない。
【0069】
実施例7〜13
表2に示す組成物を、実施例1〜6と同じ開放式ミキサーを用いて、混合時間約30分、達した最高温度100℃で調製した。
【0070】
このようにして調製した組成物を、実施例1〜6と同一レオメーターを用いて、同一条件下でMDRレオメトリー分析にかけた。その機械的性質(ISO規格37に準拠)およびIRHD硬さ(ISO規格48に準拠)を、200℃で15分間架橋した上述の組成物のサンプルで測定した。基準組成物に対する相対容積の減少分として表される、ISO規格4649に準拠したDIN耐摩耗値もまた測定した。
【0071】
表2に示すデータからわかるように、従来の架橋剤を含有しない本発明による組成物によって、その製品の特性が、硫黄で加硫した通常の組成物から得られる製品と完全に匹敵する架橋製品を得ることが可能となる。カルボキシ化ポリマーは、大量のエポキシ化液体化合物を含むことが可能であり、それによって引張特性または磨耗性を損なうことなく、優れた加工性を有するゴム組成物を製造できる。
【0072】
【表2】
【0073】
実施例14〜16
表3に示す組成物を、実施例1〜6で用いた方法と同じ方法によって調製した。例14および15(比較例)の組成物には、架橋剤として、エポキシド末端基のみを含有するエポキシ樹脂を使用し、実施例16の組成物は、本発明に従って配合した。
【0074】
ISO規格289/1に従って、100℃におけるムーニーML(1+4)粘度を非架橋組成物について測定した。その組成物を、実施例1〜6と同じレオメーターを用いて、同一条件下でMDRレオメトリー分析にかけた。その機械的性質(ISO規格37に準拠)、IRHD硬さ(ISO規格48に準拠)およびDIN耐磨耗性(ISO規格4649に準拠)を、200℃で15分間架橋した前記組成物のサンプルで測定した。その結果を表3に示す。
【0075】
表3には、以下の方法に従って、インストロン動的試験機を用い、23℃および70℃における牽引‐圧縮で測定した動的弾性率値(E’)も示す。円筒形(長さ=25mm;直径=14mm)の架橋材料試験サンプルに、初期の長さに対して縦方向の変形10%までの圧縮で予荷重をかけ、試験中ずっと設定温度(23℃または70℃)に保ち、振動数100Hzを用いて、予荷重下の長さに対して振幅±3.33%の動的正弦波変形を行った。
【0076】
【表3】
【0077】
これからわかるように、カルボキシ化ポリマーが、エポキシド末端基のみを含有するエポキシ樹脂で架橋される組成物と比較して、本発明による組成物によって、加工性が向上したゴム組成物(低いムーニー粘度)、および弾性(特に高い破断点伸び)の向上が、低い硬度によって達成される架橋製品を得ることが可能となる。
【0078】
さらに本発明による架橋組成物は、温度の変化に伴って、非常に制限された動的弾性率の変化を示し、その変動は、エポキシ樹脂で架橋した組成物で生じる変化よりもかなり小さい。この特性によって、本発明による架橋組成物は「熱可塑性」が低いこと、つまり広い温度範囲にわたり弾性性能特性が本質的に一定であることが示されており、タイヤの製造にこの組成物を用いる場合に、この特性は最も重要である。
【0079】
実施例17〜18
実施例1〜6と同一の開放式ミキサーを用いて:
硫黄で加硫するための標準手順に従ってカルボキシ化したポリマーをポリマーベースとして有する組成物(「The Vanderbilt Rubber Handbook」‐1978年版、p534を参照のこと)(比較例17); 硫黄またはその誘導体を含まず、本発明に従ってエポキシ化油を含有する類似組成物(実施例18);を調製した。
【0080】
その組成物を表4に示す。例17の組成物では、フタル酸トリオクチルおよびステアリン酸が、処理補助剤および可塑剤として作用し、6PPDは老化防止剤(Monsanto社製SantoflexX 13)であり、MBTSは加硫促進剤(2‐メルカプトベンゾチアゾールジスルフィド‐Bayer社製Vulkacit Merkapto(登録商標))である。このようにして得られた組成物を実施例1〜6で示された方法に従って、170℃で30分間かつ200℃で30分間、MDRレオメトリー分析にかけた。得られた結果を表4に示す。2種類の組成物の最適架橋条件:実施例17(比較例)の組成物については170℃で10分間;実施例18(本発明)の組成物については200℃で15分間;を分析によって得られた曲線から決定した。
【0081】
23℃および70℃における機械的性質、IRHD硬さ、DIN耐摩耗性および動的弾性率(E’)を、上記の方法に従って最適条件下で架橋させた上述の組成物のサンプルで測定した。完全を期すために、200℃で15分間架橋させた実施例17の組成物で、同一の測定を行った。その結果を表5に示す。
【0082】
【表4】
【0083】
【表5】
【0084】
表5に示すデータを比較すると、本発明による組成物によって、最適架橋条件下で、優れた機械的性質および低い磨耗性を有し、動的弾性率値が温度に比較的依存せず、したがって硫黄で架橋した類似組成物よりも熱可塑性が低い架橋材料を、得ることが可能となることが表されている。
【0085】
実施例19〜21
ゴムとともに加硫されるトレッドバンドの従来の組成物に対して、本発明による架橋組成物の性質を評価するために、接線ローターを備え、1.5Lに等しい容積を有するバンバリーミキサー(Banbury mixer)を用いて、補強充填剤としてシリカを含有する3種類の異なる組成物を調製した。
【0086】
例19(比較例)において、組成物は、欧州特許第501,227号に記載のように、硫黄で加硫されるトレッドバンドの通常の組成を有した。シリカの分散と、カップリング剤(シラン)およびシリカとの間の反応とを最適化するために、その特許の教示に従って、多工程熱機械処理法:145℃を超える最高温度に達するまでポリマーベース、充填剤および処理補助剤を機械混合し、60℃未満の温度に冷却する第1工程と、145℃を超える最高温度に達するまで機械混合する工程であって、組成物の他の成分(架橋系を除く)を添加する第2工程によって調製した。最後に、100℃未満の温度で混合しながら、架橋系を添加した。
【0087】
一方、実施例20〜21(本発明)の組成物を、ローター速度65rpmおよびミキサー冷却水温度約40℃のバンバリーミキサー中、単一工程(single passage)で調製した。
【0088】
100℃におけるムーニー粘度ML(1+4)を、ISO規格289/1に準拠して非架橋組成物で測定した。次いで、実施例1〜6と同じレオメーターを用いて、同一条件下で、その組成物をMDRレオメトリー分析にかけた。最適架橋条件をレオメトリー分析に基づいて決定した。比較用組成物(例19)については170℃で10分間、本発明による組成物(実施例20〜21)については200℃で15分間であった。
【0089】
機械的性質(ISO規格37に準拠)、23℃および100℃におけるIRHD硬さ(ISO規格48に準拠)を、最適条件下で架橋した前記組成物のサンプルで測定した。0℃および70℃におけるサンプルの動的弾性もまた、実施例14〜16に記載の方法に従って牽引‐圧縮における測定によって評価した。その結果を表6に示す。動的弾性は0℃および70℃におけるE’およびタンデルタ(損失係数)により表される。公知のようにタンデルタ値は、どちらも上記の動的測定を用いて決定される、粘性率(E’’)と弾性率(E’)との比として計算する。
【0090】
【表6】
【0091】
表6に示すデータから、本発明による組成物によって、硫黄を含有する従来のトレッドバンド組成物を架橋することにより得ることができる性質と同様な性質を有する架橋製品を得ることが可能となることが明らかである。本発明に従って架橋した組成物についての:
ウェットグリップに対する指標として公知である、0℃でのタンデルタ値が、標準組成物で得られたよりも高く、従って、良好であること;
「ドライハンドリング」条件下におけるカーブでのトレッドバンドの安定性に対する指標である、70℃でのE’値が、標準組成物で得られるよりも高く、従って、カーブでの応力に対するタイヤの良好な応答を示すこと;もまた留意することができる。
【0092】
実質的に等しい性能品質のための組成物配合が、従来の組成(11〜4成分)と比較してかなりの簡略化を達成しており、工業生産に対する明らかな利点を有するということを留意することも重要である。特に、本発明による組成物は、硫黄で加硫される系を含有しない上に、シリカで充填する場合には、シリカのためのカップリング剤が存在する必要はなく、あるいはポリマーマトリックス中で充填剤の良好な分散および可溶化を得るための複雑な熱機械処理法が必要ない。
【0093】
例22〜24(比較例)
エポキシ化ダイズ油を、高分子量を有するエポキシ化エラストマーポリマー(エポキシ化天然ゴム)に取り替え、任意に、加工性を向上させるために芳香油と混合した、類似組成物と、実施例20による組成物を比較した。その組成物は、実施例1〜6に示す方法に従って、開放式ミキサー中で調製した。100℃におけるムーニーML(1+4)粘度を、ISO規格289/1に従って、非架橋組成物について測定した。次いで、実施例1〜6と同じレオメーターを用いて、同一条件下で、その組成物をMDRレオメトリー分析にかけた。機械的性質(ISO規格37に準拠)、IRHD硬さ(ISO規格48に準拠)および0℃および70℃における動的性質(E’、タンデルタ)を、200℃で15分間架橋した上記組成物のサンプルで上述の方法に従って測定した。その組成物および結果を表7に示す。
【0094】
【表7】
【0095】
表7に示す結果から、
比較用組成物のムーニー粘度値は非常に高く、測定装置の最大値を超える;したがって、これらの組成物の加工性は非常に低い(この事実は、比較用組成物のML値が高いレオメトリー曲線によって表されている);
比較用架橋組成物は、あまり良好でない引張特性、特に低い値の破断点伸びを有する;
比較用架橋組成物の硬度値は充填剤が少量でさえ高く、そのためその組成物はトレッドバンドの製造に完全に不適切である;
測定装置の最大値を超えるため測定されなかった、特に0℃でのタンデルタ値に関して、比較用組成物の動的性能品質は劣る;
ということが理解される。
本発明は、自動車車輪用タイヤを製造する方法、その方法によって得られたタイヤ、およびそれに使用される架橋性エラストマー組成物に関する。さらに詳細には、本発明は、従来の架橋剤が実質上存在しない条件で行うことができる、自動車車輪用タイヤを製造する方法、その方法よって得られたタイヤ、およびそれに使用される架橋性組成物に関する。
【0002】
ジエンエラストマーを硫黄で加硫する方法は、ゴム工業において、広範囲の製品、特に自動車車輪用タイヤの製造に広く使用されている。工業的に許容可能な時間内で最適な加硫を得るためには、硫黄もしくは硫黄供与化合物(sulphur−donating compounds)に加えて、1種または複数種の活性剤(例えば、ステアリン酸、酸化亜鉛等)および1種または複数種の促進剤(例えば、チアゾール、ジチオカルバメート、チウラム、グアニジン、スルフェンアミド等)を含有する複合加硫系を使用する必要があるという事実に主に起因して、これらの方法の実施は、高品質の加硫製品が得られるが、かなり複雑となる。場合によって、これらの生成物が存在すると、特に、加硫製品が医療/ヘルスケアまたは食品用途を目的する場合、製造中および使用中両方における有害性/毒性の面から考慮すべき問題を伴う。さらに、通常、150℃を超える温度で行われる加硫工程の際、硫黄または硫黄供与化合物を使用することによって、揮発性硫黄含有化合物が生じる。
【0003】
そのため、近年、2つの異なる方向に研究努力が向けられている。第1には、公知の加硫プロセスを改善し、さらに効率的かつ清浄にすることであり、第2には、代替架橋技術の開発をねらいとしている。かなりの進歩が見られるが、現時点では、同様な結果が得られ、製造面での有効な簡略化を同時に提供する、硫黄を用いた架橋の代替技術が存在すると述べるのは不可能である。例えば、過酸化物化合物による架橋プロセスでは、活性剤を使用する必要があることに加えて、過酸化物化合物が不安定性であることから、特別な注意が必要である。照射による架橋は、複合装置の使用ならびに、高エネルギーおよび高出力照射を用いる場合に必要とされるあらゆる注意を組み込むことを含む。
【0004】
いわゆる「自己架橋」エラストマー組成物、つまり硫黄もしくは硫黄化合物などの架橋剤を使用する必要がない組成物は、当技術分野で公知である。
【0005】
例えば、米国特許第2,724,707号に、カルボキシル基を含有するジエンポリマー、特にブタジエン/アクリロニトリルポリマーを一部加水分解することによって得られたカルボキシ化ニトリルゴム(XNBR)からなり、多価金属酸化物(例えば酸化亜鉛)が分散された、エラストマー組成物が記載されている。加熱すると、これらの組成物はイオン型のメカニズムに従って架橋する。
【0006】
カーボンブラック、シリカおよび粘土などの補強充填剤の存在下でエポキシ樹脂(例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル)との反応による、高カルボキシル化度(a high carboxylation degree)を有するXNBRの架橋についての研究が、S.K.ChakrabortyおよびS.K.Deによる論文、Journal of Applied Polymer Science,Vol.27,pp.4561−4576(1982)に報告されている。その架橋は、ゴム化合物を150〜180℃に加熱することによって行われる。公知のようにエポキシ樹脂は、そのオキシド(またはオキシラン)基が「外側にある」、つまり炭化水素主鎖の末位に位置し、その酸素原子が、この鎖の末端および末位から2番目の炭素原子に結合するオキシラン環を形成する、低分子量生成物である。
【0007】
エポキシ化天然ゴム(ENR)およびXNBRをベースとする組成物の架橋についての研究が、R.Alex、P.P.De、N.M.MathewおよびS.K.Deによる論文、Plastics and Rubber Processing and Applications,Vol.14,No.4,1990に報告されている。特にこの論文には、ENRおよびXNBRそれ自体からなるか、または補強充填剤としてシリカもしくはカーボンブラックを含有する組成物の架橋が記載されている。著者により報告されている内容よれば、ENRおよびXNBRの混合物において、その架橋反応は、エポキシド基とカルボキシル基との間にエステル結合が形成することを意味する。レオメトリー曲線によって、加硫戻りの無いこと、架橋構造の安定性、および高架橋度が示されるだろう。
【0008】
イタリア特許IT−1,245,551号には、エポキシ化エラストマーと、式R1‐R‐R2(式中、Rはアリーレン、アルキレンもしくはアルケニレン基であり、R1およびR2はカルボキシル基、アミン基、スルホン基もしくはクロロスルホン基である)の架橋剤とを含有する自己架橋組成物が記載されている。ジカルボン酸もしくはポリカルボン酸、またはそれらの混合物を架橋剤として使用することができる。エポキシ化エラストマーと、そのポリマー鎖の繰り返し単位が少なくとも1つのカルボキシル基を含有する第2エラストマーとを含有する自己架橋組成物もまた記載されている。例えば、自己架橋組成物は、エポキシ化エラストマー(例えば、Malaysian Rubber Producers Research Associationからブランド名Epoxiprene(登録商標)として市販されている製品ENR25またはENR50)を、ブタジエン/アクリル酸コポリマー(例えば、ブランド名Krynac(登録商標)としてPolysar/Bayerによって販売されている製品)と混合することによって得られる。その架橋反応は、加熱することによって起こり、エポキシド基とカルボキシル基の間にエステル結合が形成する。
【0009】
米国特許第5,173,557号には、イソシアネート基で官能性を付与されたエラストマーポリマーと、少なくとも2つのツェレウィチノフ活性水素原子を含有する化合物とを含む自己架橋組成物、またはツェレウィチノフ活性水素原子を含有するエラストマーポリマーと、少なくとも2つのイソシアネート基を含有する化合物とを含む自己架橋組成物が記載されている。代替方法として、その他の架橋剤を使用することなく、イソシアネート基またはツェレウィチノフ活性水素のいずれかを含有するエラストマーポリマーを用いることができる。その活性水素原子は、例えば水酸化物、アミン、カルボキシルもしくはチオール基上に存在することが可能である。好ましくないエラストマーの予備架橋を避けるために、イソシアネート基を適切な官能基で予めブロックする。その官能基は、遊離イソシアネート基と活性水素との間の架橋反応前に、任意に触媒を使用して、加熱することによって除去する。
【0010】
本出願人の経験に基づくと、従来技術において今まで提案されてきた自己架橋組成物によって、硫黄またはその誘導体で加硫された従来の組成物に代わる有効な組成物は得られていない。この理由は、一般に架橋製品の性能品質が、特に、広範囲な作業温度にわたる弾性性能品質の実質的な定常性を有すること、それと同時に許容できないほど硬度が増大することなく高い摩耗抵抗を有することが必要とされるタイヤゴムコンパウンドなどの用途で、満足の行くものではないことである。これは、例えば、カルボキシル基を含有するポリマー(例えばXNBR)を、エポキシ化エラストマーポリマーまたはエポキシ樹脂との混合剤中で加熱することによって架橋する、上述の自己架橋組成物の場合である。
【0011】
ここで本出願人は、所望の組み合わせの特性を有する架橋製品、特に自動車車輪用タイヤを、実質上他の添加剤が存在しない条件で、カルボキシル基を含有するエラストマーポリマーと、その分子の内部に位置するエポキシド基を含有する液体有機化合物との混合物を含む自己架橋組成物を用いることによって、製造することが可能であることを見出した。
【0012】
加熱後、これらの組成物は、従来の添加剤を添加することなく、工業用途で許容可能な限界内に含まれる架橋時間で高い架橋度を達成する。得られた架橋生成物は、優れた機械的および弾性性能品質(特に、破断応力、破断点伸び、モジュラスおよび硬度)と、低い値の摩耗性(abradability)とを兼ね備え、その結果、上記の自己架橋組成物は、タイヤ、特にトレッドバンドの製造に使用するエラストマー的材料として特に適切となる。
【0013】
さらに、内部オキシド基を含有する液体化合物を使用することによって、優れた加工性と、相溶化添加剤が存在しない条件でさえ補強充填剤を含有する高い能力とを有する架橋性組成物を得ることが可能となる。というのは、これらのエポキシ化生成物は、架橋剤としてだけではなく、処理補助剤(processing coadjuvants)としても作用し、活性ヒドロキシル基(例えばシリカ)を含有する補強充填剤と相互作用し、したがってポリマーマトリックスとの相溶化に有利に働くことができるからである。
【0014】
第一の態様によれば、本発明は、次のように自動車車輪用タイヤを製造する方法に関するものであり、前記方法は以下の工程:
少なくとも1種の架橋性エラストマー的材料を含有する未加工タイヤを製造する工程;
その未加工タイヤを、加硫金型において定義される金型キャビティ中で成形にかける工程;
所定の温度に所定の時間加熱することによって、そのエラストマー的材料を架橋する工程;を含む方法であって、
その架橋性エラストマー的材料が:(a)カルボキシル基を含有するエラストマーポリマーと、(b)その分子上の内部に位置するエポキシド基を含有するエポキシ化液体有機化合物と、を含み、前記架橋工程が、その他の架橋剤が実質上存在しない条件で行われることを特徴とする。
【0015】
さらに好ましい態様によれば、架橋性エラストマー的材料を少なくとも120℃、好ましくは少なくとも160℃の温度に、少なくとも3分間、好ましくは少なくとも10分間加熱することによって、架橋工程を行う。
【0016】
特に好ましい態様によれば、前記架橋エラストマー的材料は、補強充填剤もまた含有する。
【0017】
第2の態様では、本発明は、架橋されたエラストマー的材料から製造された1つまたは複数の構成要素を含む自動車車輪用タイヤであって、前記構成要素が、架橋されたエラストマー的材料として、その分子の内部に位置するエポキシド基を含有するエポキシ化液体有機化合物との反応によって架橋される、カルボキシル基を含有するエラストマーポリマーを含み、前記カルボキシ化エラストマーポリマーが、その他の架橋剤が実質上存在しない条件で架橋されることを特徴とする、タイヤに関する。
【0018】
他の態様によれば、本発明は、カーカス構造体の周囲に同軸状に延在するベルト構造体と、ベルト構造体の周囲に同軸状に延在するトレッドバンドとを備え、地面と接触することを意図する外部転がり面を有する自動車用タイヤであって、前記トレッドバンドが、その分子の内部に位置するエポキシド基を含有するエポキシ化液体有機化合物との反応によって架橋される、カルボキシル基を含有するエラストマーポリマーを含み、かつ前記カルボキシ化エラストマーポリマーが、その他の架橋剤が実質上存在しない条件で架橋されることを特徴とする、自動車用タイヤに関する。
【0019】
他の態様によれば、本発明は、(a)カルボキシル基を含有するエラストマーポリマー;(b)その分子の内部に位置するエポキシド基を含有する液体有機化合物;を含む組成物であって、追加の架橋剤が実質上存在しない条件で架橋可能である、架橋性エラストマー組成物に関する。
【0020】
他の態様によれば、本発明は、先に定義される架橋性組成物を架橋することによって得られる架橋エラストマー製品に関する。
【0021】
本発明の説明および特許請求の範囲において、「その他の架橋剤が実質上存在しない条件で」という表現は、架橋性組成物を、架橋を生じさせることができる他の系の作用にさらさない、あるいは組成物中に存在する他の生成物が、それ自体で架橋反応に関与することが可能であるが、短時間(例えば5分以内)でかなりの架橋度を得るのに必要な最低量より少ない量で使用されることを意味する。特に、本発明による組成物は、例えば硫黄もしくは硫黄供与体、過酸化物または他のラジカル開始剤など、当技術分野で通常使用される架橋系のいずれも実質上存在しない条件で架橋することが可能であり、また、これらの組成物は、ポリマー中に架橋現象を引き起こすための高エネルギー照射(UV、ガンマ線等)の作用にさらされることもない。
【0022】
その分子の内部に位置するエポキシド基を含有する液体有機化合物(簡単にするために、これ以降、これらを「内部エポキシド基を含有する有機化合物」または「エポキシ化有機化合物」と呼ぶ)は、室温で粘性の液体または油状の炭化水素型の生成物である。
【0023】
これらの化合物は、少なくとも2つの内部エポキシド基を、つまり1つのオキシランブリッジが:
(i)いずれも主鎖の末端炭素原子ではない、その主鎖に位置する2つの隣接炭素原子;または
(ii)側鎖に位置する2つの隣接炭素原子;を連結する基を含有する。
【0024】
しかしながら、内部エポキシド基が存在することによって、分子中に存在する末端位にあるエポキシド基の可能性が除外されるわけではない。
【0025】
少なくとも2つの内部エポキシド基が、本発明による液体有機化合物中に存在する。一般に、エポキシド基の量は、エポキシ化化合物のエポキシド当量が通常40〜2,000、好ましくは50〜1,500、さらに好ましくは100〜1,000であるような量である。「エポキシド当量(EEW)」という用語は、オキシラン酸素1モル当たりのエポキシ化化合物のモル重量、すなわち:
【数1】
(式中、%Oは、オキシラン酸素含有率であり、化合物の総重量に対するオキシラン酸素の重量%で表される)を意味する。エポキシ化化合物中のオキシラン酸素含有率は、公知の技術に従って、例えば臭化水素酸の酢酸溶液で滴定することによって決定することができる。
【0026】
特に好ましい内部オキシド基を含有する液体有機化合物の一種類は、合成もしくは天然の、不飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸エステル(特にグリセリド、ジグリセリドもしくはトリグリセリド)をエポキシ化することによって、あるいは前記不飽和酸またはエステルと飽和酸またはそのエステルとの混合物をエポキシ化することによって得られるエポキシ化油である。飽和もしくは不飽和脂肪酸は一般に、炭素原子10〜26個、好ましくは14〜22個を含有する。不飽和脂肪酸の例としては:ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、リシノール酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等、またはそれらの混合物が挙げられる。飽和脂肪酸の例としては:ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸等、またはそれらの混合物が挙げられる。例えばエポキシ化アマニ油、エポキシ化サフラワー油、エポキシ化ダイズ油、エポキシ化トウモロコシ油、エポキシ化綿実油、エポキシ化ナタネ油、エポキシ化ヒマシ油、エポキシ化キリ油、エポキシ化トール油、エポキシタル油酸オクチル、エポキシ化ヒマワリ油、エポキシ化オリーブ油等、またはそれらの混合物などの植物油が特に好ましい。エポキシ化油は一般に、23℃未満、好ましくは10℃未満の凍結温度を有する。このタイプの製品は、例えばブランド名Epoxol(登録商標)(FACI、American Chemical Service社);Paraplex(登録商標)、Plasthall(登録商標)およびMonoplex(登録商標)(C.P.Hall社);Vikoflex(登録商標)およびEcepox(登録商標)(Elf Atochem社)として市場で見られる。
【0027】
本発明に従って有利に使用することができる、内部エポキシドを含有する他の種類の液体有機化合物は、エポキシ化ジエンオリゴマーからなり、合成もしくは天然のベースポリマー構造が、1種または複数種の共役ジエンモノマーから誘導され、任意に、エチレン不飽和を含有する他のモノマーと共重合する。これらのオリゴマーは一般に、例えばゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定することができる平均分子量(数平均)500〜10,000、好ましくは1,000〜8,000を有する。
【0028】
例えば、1,3‐ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、2,3‐ジメチル‐1,3‐ブタジエン、3‐ブチル‐1,3‐オクタジエン、2‐フェニル‐1,3‐ブタジエン等、またはそれらの混合物から選択され、炭素原子4〜12個、好ましくは4〜8個を含有する共役ジエンモノマーの(共)重合から誘導されるオリゴマーが特に好ましい。1,3‐ブタジエンおよびイソプレンが特に好ましい。
【0029】
任意に、ジエンモノマーを、例えば:炭素原子2〜12個を含有するα‐オレフィン(例えばエチレン、プロピレンまたは1‐ブテン)、炭素原子8〜20個を含有するモノビニルアレーン(例えばスチレン、1‐ビニルナフタレンもしくは3‐メチルスチレン)、そのエステル基が炭素原子2〜8個を含有するビニルエステル(例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルもしくはブタン酸ビニル)、そのアルキルが炭素原子1〜8個を含有するアクリル酸アルキルおよびメタクリル酸アルキル(例えばアクリル酸エチル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、t‐ブチルアクリレートもしくはn‐ブチルアクリレート)、アクリロニトリル等、またはそれらの混合物など、エチレン不飽和を含有する他のモノマーと共重合することができる。
【0030】
エポキシ化ジエンオリゴマーの中では、1,3‐ブタジエン;イソプレン;1,3‐ブタジエンおよびスチレン;1,3ブタジエンおよびイソプレン;イソプレンおよびスチレン;1,3‐ブタジエンおよびアクリロニトリル等のオリゴマーをエポキシ化することによって得られるオリゴマーが好ましい。1,3‐ブタジエンまたはイソプレンのエポキシ化オリゴマーが特に好ましい。
【0031】
本発明で使用可能なエポキシ化ジエンオリゴマーは、例えばElf Atochem社からブランド名Poly BD(登録商標)として市販されている。
【0032】
内部アルキレン基を含有する化合物のエポキシ化反応を、公知の技術に従って行うことができる。例えば、過酸などの適切な酸化剤(特に、過安息香酸、メタクロロ過安息香酸、過酢酸、トリフルオロ過酢酸、過プロピオン酸等)またはアルカリ性酸化剤(例えば、水酸化ナトリウム水溶液と混合した過酸化水素)を用いて、あるいは代替方法として、触媒(例えばAg)存在下で酸素ガスと反応させることによって、出発原料を直接酸化することができる。代替方法として、水存在下でハロゲン(例えばCl2またはBr2)と反応させてハロヒドリンを形成し、続いてアルカリ処理してエポキシド基を形成することによって、内部アルキレン基の選択的酸化反応を行うことが可能である。エポキシ化反応についてのさらなる詳細は、例えば米国特許第4,341,672号、同第4,851,556号および同第5,366,846号に記載されている。
【0033】
本発明に従って使用することが可能な、カルボキシル基を含有するエラストマーポリマー(これもまた簡単にするため、これ以降、「カルボキシ化エラストマーポリマー」と呼ぶ)は、23℃未満、好ましくは0℃未満のガラス転移温度(Tg)を有し、かつポリマー中に存在するモノマーの総モル数に対して、カルボキシル基を少なくとも0.1モル%、好ましくは1〜30モル%、さらに好ましくは2〜10モル%含有する、ゴム状弾性を有するホモポリマーまたはコポリマーである。カルボキシル基を含有する様々なポリマーの混合物、または1種または複数種のカルボキシ化ポリマーと1種または複数種の非カルボキシ化エラストマーポリマーとの混合物もまた、本発明の定義内に入る。
【0034】
コポリマーの場合には、これらは、ランダム、ブロック、グラフトまたは混合構造もまた有することが可能である。ベースポリマーの平均分子量は、このましくは2,000〜1,000,000、さらに好ましくは50,000〜500,000である。
【0035】
合成もしくは天然の、そのベースポリマー構造が、1種または複数種の共役ジエンモノマーから誘導され、任意にモノビニルアレーンおよび/または極性コモノマーと共重合する、カルボキシ化ジエンホモポリマーまたはコポリマーが特に好ましい。ベースポリマー構造は、例えば:1,3‐ブタジエン、イソプレン、2,3‐ジメチル‐1,3‐ブタジエン、3‐ブチル‐1,3‐オクタジエン、2‐フェニル‐1,3‐ブタジエン等、またはそれらの混合物から選択される、炭素原子4〜12個、好ましくは4〜8個を含有するジエンモノマーを(共)重合することによって得ることが好ましい。1,3‐ブタジエンおよびイソプレンが特に好ましい。
【0036】
コモノマーとして任意に使用することができるモノビニルアレーンは一般に、炭素原子8〜20個、好ましくは8〜12個を含有し、例えば:スチレン、1‐ビニルナフタレン;2‐ビニルナフタレン;スチレンの様々なアルキル誘導体、シクロアルキル誘導体、アリール誘導体、アルキルアリールもしくはアリールアルキル誘導体、例えば3‐メチルスチレン、4‐プロピルスチレン、4‐シクロヘキシルスチレン、4‐ドデシルスチレン、2‐エチル‐4‐ベンジル‐スチレン、4‐p‐トリルスチレン、4‐(4‐フェニルブチル)スチレン等、またはそれらの混合物から選択することができる。スチレンが特に好ましい。これらのモノビニルアレーンは任意に、アルコキシ基、例えば4‐メトキシスチレン、アミノ基、例えば4‐ジメチルアミノスチレン等などの1つまたは複数の官能基で置換することができる。
【0037】
様々な極性コモノマーを、ベースポリマー構造、特にビニルピリジン、ビニルキノリン、アクリル酸およびアルキルアクリル酸エステル、ニトリル等、またはそれらの混合物、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルおよびアクリロニトリルに導入することができる。
【0038】
特に好ましいベースポリマー構造の中では、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン/ブタジエンコポリマー、ブタジエン/イソプレンコポリマー、スチレン/イソプレンコポリマー、ブタジエン/アクリロニトリルコポリマー等、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0039】
コポリマータイプのベース構造の場合には、他のコモノマーに対するジエンコモノマーの量は、最終ポリマーが確実にゴム状弾性を有するような量である。この点で、所望のゴム状弾性を得るのに必要なジエンコモノマーの最低量を確立することは通常不可能である。指標として、コモノマーの総重量に対して少なくとも50重量%のジエンコモノマーの量が一般に十分であると見なすことができる。
【0040】
公知の技術に従って、一般に、エマルジョン、懸濁液もしくは溶液中で、対応するモノマーを(共)重合することによって、ベースポリマーの調製を行うことができる。
【0041】
カルボキシル基を導入するために、このようにして得られたベースポリマーを、ラジカル開始剤、好ましくは有機過酸化物(例えば、ジクミルペルオキシドもしくは過酸化ベンゾイル)の存在下でカルボキシル化剤と反応させることが可能である。通常使用されるカルボキシル化剤は、例えば無水マレイン酸、無水イタコン酸、チオグリコール酸、β‐メルカプトプロピオン酸等である。
【0042】
カルボキシル基の導入もまた、上述のようにモノビニルアレーンおよび/または極性コモノマーと任意に混合される共役ジエンと、1つまたは複数のカルボキシル基を含有するオレフィンモノマー、またはそれらの誘導体との間の共重合によって、ポリマーを合成する際に行うことができる。
【0043】
通常使用されるカルボキシ化オレフィンモノマーは、例えば:アクリル酸、メタクリル酸、ソルビン酸、β‐アクリロキシプロピオン酸、エタクリン酸、2‐エチル‐3‐プロピルアクリル酸、ビニルアクリル酸、イタコン酸、ケイ皮酸、マレイン酸、フマル酸等、またはそれらの混合物である。この種類のカルボキシ化エラストマーポリマーの中では、以下のポリマー:1,3‐ブタジエン/アクリル(メタクリル)酸コポリマー、1,3‐ブタジエン/アクリロニトリル/アクリル(メタクリル)酸コポリマー、1,3‐ブタジエン/スチレン/アクリル(メタクリル)酸コポリマー等、またはそれらの混合物が特に好ましい。
【0044】
代替方法として、対応するカルボキシル誘導体、特に無水物、エステル、ニトリルまたはアミドを使用することができる。この場合には、次いで、このように導入された官能基を一部または完全に遊離カルボキシル基に転化するために、得られたポリマーを加水分解する。
【0045】
また使用可能なカルボキシ化エラストマーポリマーは、1種または複数種のものオレフィンと、1つまたは複数のカルボキシル基を含有するオレフィンコモノマーまたはその誘導体とのエラストマーコポリマーである。モノオレフィンは、炭素原子3〜12個を含有するエチレンおよびα‐オレフィン、例えば:プロピレン、1‐ブテン、1‐ペンテン、1‐ヘキセン、1‐オクテン等、またはそれらの混合物から選択することができる。エチレンとα‐オレフィン、任意にジエンとの間のコポリマー:任意に少なくとも一部ハロゲン化される、少量のジエンを有するイソブテンのホモポリマーまたはそのコポリマーが好ましい。任意のジエンは一般に、炭素原子4〜20個を含有し、1,3‐ブタジエン、イソプレン、1,4‐ヘキサジエン、1,4‐シクロヘキサジエン,5‐エチルイデン‐2‐ノルボルネン、5‐メチレン‐2‐ノルボルネン等から選択することが好ましい。これらの中では、エチレン/プロピレンコポリマー(EPR)またはエチレン/プロピレン/ジエンコポリマー(EPDM);ポリイソブテン;ブチルゴム;ハロブチルゴム、特にクロロブチルもしくはブロモブチルゴム等、またはそれらの混合物が特に好ましい。カルボキシ化オレフィンコモノマーは、ジエンポリマーについての上述のコモノマーから選択することができる。ジエンコモノマーが存在する場合には、それを用いて、上述のようにカルボキシル化によってカルボキシル基を導入することができる。
【0046】
カルボキシ化エラストマーの構造および製法についてのさらなる情報は、例えば、H.P.Brownによる論文、Rubber Chemistry and Technology,Vol.XXX,5,p.1347以下参照(1957)または米国特許第2,724,707号にも記載されている。
【0047】
本発明で使用することが可能であり、現在市販されているカルボキシ化エラストマーポリマーの例としては、製品Nipol(登録商標)EP(Nippon Zeon社)またはKrynac(登録商標)Xシリーズの製品(Bayer社)が挙げられる。
【0048】
存在する官能基の量の関数として、かつ最終製品に得られることが望ましいゴム状弾性の関数として変化する割合で、本発明に従ってエポキシ化液体化合物をカルボキシ化エラストマーポリマーと混合する。一般に、エポキシ化液体化合物の量は、エラストマーポリマー100重量部当たり、5〜200重量部、好ましくは10〜120重量部の範囲であることが可能である。
【0049】
本発明による架橋性組成物は、一般に20〜120phr、好ましくは40〜90phr(phr=ポリマーベース100部当たりの重量部)の量で補強充填剤を含有することが可能である。補強充填剤は、架橋製品、特にタイヤに通常使用される充填剤:例えば、カーボンブラック、シリカ、アルミナ、アルミノケイ酸塩、炭酸カルシウム、カオリン等、またはそれらの混合物から選択することができる。
【0050】
本発明による架橋性組成物は、対象とされる特定の用途に基づいて選択される、通常使用する他の添加剤を含むことが可能である。例えば、これらの組成物に以下の添加剤:酸化防止剤、保護剤、可塑剤、補強充填剤用の可溶化剤、接着剤、オゾン劣化防止剤、改質剤、繊維(例えば、Kevlar(登録商標)パルプ)等を添加することができる。
【0051】
特に、加工性をさらに改善するために、本発明による架橋性組成物に滑剤を添加することが可能であり、この滑剤は一般に、鉱油、植物油、合成油等、またはそれらの混合物、例えば:芳香油、ナフテン系油、フタル酸油(phthalic oil)、ダイズ油等から選択される。滑剤の量は一般に、2〜100phr、好ましくは5〜50phrの範囲である。
【0052】
架橋速度を増大するために、有効量の縮合触媒もまた、本発明による架橋性組成物に添加することができる。この量は、広範囲内で変化し、カルボキシ化エラストマーポリマー100重量部に対して、一般に0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部である。その触媒は、縮合反応の技術分野で公知の触媒、特に:
スズ、亜鉛、ジルコニウム、鉄、鉛、コバルト、バリウム、カルシウム、マンガン等の金属のカルボン酸塩、例えばジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジオクチルスズジラウレート、酢酸第一スズ、カプリル酸第一スズ、ナフテン酸鉛、カプリル酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクタン酸第一鉄、2‐エチルヘキサノン酸鉄;
アリールスルホン酸またはその誘導体、例えば:p‐ドデシルベンゼンスルホン酸、テトラプロピルベンゼンスルホン酸、p‐ドデシルベンゼン‐スルホン酸アセチル、1‐ナフタレンスルホン酸、2‐ナフタレンスルホン酸、スルホン酸アセチルメチル、p‐トルエンスルホン酸アセチル等;
強無機酸または塩基、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、塩酸、硫酸等;
アミンおよびアルカノールアミン、例えばエチルアミン、ジブチルアミン、ヘキシルアミン、ピリジン、ジメチルエタノールアミン等;
またはそれらの混合物から選択することができる。
【0053】
本発明による架橋性組成物は、当技術分野で公知の技術に従って、ポリマーベースおよび任意に存在する補強充填剤および他の添加剤を混合することによって調製することができる。その混合は、例えば開放式ミキサー、または接線ローター(tangential rotors)を有するタイプ(BanBury)もしくはインターロックローターを有するタイプ(Intermix)の密閉式ミキサーを用いて、あるいはKo‐ニーダー(Buss)または共回転もしくは逆回転二軸スクリュー型の連続ミキサー中で行うことができる。
【0054】
混合中、組成物の予備架橋を防ぐために、所定の値未満の温度に維持する。このためには、一般に、170℃未満、好ましくは150℃未満、さらに好ましくは120℃未満に温度を維持する。混合温度に関しては、混合物の特定の組成、充填剤の存在、および使用するミキサーの種類に応じて、広範囲内で変化する。一般に、90秒を超える、好ましくは3〜35分の混合時間が、均質な組成物を得るのに十分である。
【0055】
先に示した値より低い温度を維持しながら、充填剤の分散を最適化するために、連続して配置された、異なるミキサーの組み合わせを任意に用いた多工程混合プロセスもまた用いることができる。
【0056】
上記の固体混合プロセスの代替として、成分の分散を改善するために、本発明による架橋性組成物を、エポキシ化液体化合物、任意に補強充填剤、および他の添加剤を、水性エマルジョン状態または有機溶剤中の溶液状態のポリマーベースと混合することによって有利に調製することができる。充填剤は、それ自体で、または水性媒体中の懸濁液もしくは分散液状で使用することができる。続いて、適切な手段によって、溶剤または水から、ポリマーを分離する。例えば、エマルジョン中のポリマーを使用する場合、そのポリマーは、凝析剤を添加することによって、油状相およびいずれかの充填剤を含有する粒子状で沈殿させることができる。使用可能な凝析剤は特に、電解液、例えばケイ酸ナトリウム溶液またはケイ酸カリウム溶液である。揮発性有機溶剤を用いて凝析プロセスを促進することができる。揮発性有機溶剤は、充填剤入りポリマーを沈殿させる際に蒸発によって除去される。エラストマー組成物を調製するためのこの種のプロセスに関するさらなる詳細は、例えば米国特許第3,846,365号に記載されている。
【0057】
ここで、本発明によるタイヤの部分破断図を有する断面図である添付の図面1を参照しながら、いくつかの作業実施例によってさらに詳細に本発明を説明する。
【0058】
図1を参照すると、タイヤ1は従来どおり、その対向する端部がそれぞれの固定ビードワイヤ3の周りで外側に折り返される、少なくとも1つのカーカスプライ2を備える。各ビードワイヤ3は、タイヤの内部周方向端部に沿って定められるビード4中にそれぞれが密閉され、ビード4によって、タイヤが、自動車の車輪の一部を形成するホイールリム5に係合する、
【0059】
カーカスプライ2の周方向の延長に沿って、ゴム引シートに封入した金属または織物コードを用いて製造された、1つまたは複数のベルトストリップ6を設ける。カーカスプライ2の外側、このプライの対向するそれぞれの部分に、1対のサイドウォール7もまた設ける。各サイドウォール7は、ビード4から、ベルトストリップ6の対向端部によって定められる、タイヤのいわゆる「ショルダー」領域8まで、延在する。ベルトストリップ6上に、その側面縁端部がショルダー8で終端し、サイドウォール7につながるトレッドバンドを周方向に設ける。トレッドバンド9は外面上、地面に接触するよう設計された転がり表面9aを表し、これには、添付の図面に図示されていない横方向のカッティングと交互になる、周方向の溝10を設けることができる。それは、前記転がり表面9a上に様々に分布する複数のブロックを画定する。
【0060】
本発明によるタイヤの製造方法は、当技術分野で公知の技術に従って、かつ当技術分野で公知の装置を用いて行うことができる(例えば、欧州特許第199,064号、米国特許第4,872,822号および同第4,768,937号を参照のこと)。特に、この方法は、未加工タイヤを製造する工程であって、予め互いに別々に製造した、タイヤの様々な部品(カーカスプライ、ベルトストリップ、ビードワイヤ、充填材、サイドウォールおよびトレッドバンド)に対応する一連の半完成製品を、適切な製造機械を用いて組み立てる工程を含む。
【0061】
次いで、このようにして得られた未加工タイヤを、次の成形および架橋工程にかける。このために、加工されるタイヤを金型キャビティ内側に受け入れるよう設計された加硫金型を使用する。この金型キャビティは、架橋が完了した際に、タイヤの外面に対向してかたどられるウォールを有している。
【0062】
未加工タイヤの外面を金型キャビティの壁に押し付けるために、タイヤの内面によって画定される空間に加圧流体を導入することによって、未加工タイヤを成形することができる。広く実施されている成形方法の1つでは、エラストマー的材料から製造された加硫チャンバを、加圧下で蒸気および/または他の流体を充填して、成形用キャビティ内に密閉されたタイヤ内で膨らませる。この方法では、未加工タイヤを成形用キャビティの内壁に押し付け、これによって所望の成形が得られる。代替方法としては、膨張式加硫チャンバを用いることなく、得られるタイヤの内面の形状に従って形成される環状金属支持体をタイヤ内に設けることによって、成形を行うことができる(例えば、欧州特許第242,840号を参照のこと)。環状金属支持体と粗エラストマー的材料との間の熱膨張係数の差を利用して、適切な成形圧力が達成される。
【0063】
この時点で、タイヤに存在する粗エラストマー的材料の架橋工程を行う。このために、加硫金型の外壁を、外壁が通常100℃〜230℃の最高温度に達するように、熱流体(一般に蒸気)と接触して配置する。それと同時に、成形用キャビティの壁に対してタイヤを押し付けるのに使用する同一の加圧流体を用いて、タイヤの内面を架橋温度まで上げ、最高温度100〜250℃に加熱する。エラストマー的材料の全体について十分な架橋度を得るのに必要な時間は一般に、3分〜90分であり、主にタイヤの寸法によって異なる。
【0064】
ここで、いくつかの調製実施例によって、さらに詳細に本発明を説明する。
【0065】
実施例1〜6
表1に示す組成物は、混合時間約30分で開放式ミキサーを用い、できる限り低い温度に保つように、いずれにせよ、120℃を超えないように注意して調製した。このように調製した組成物を、Monsanto社製MDRレオメーターを用いてMDRレオメトリー分析にかけた。その試験は、振動周波数1.66Hz(1分当たり100振動)および振動振幅±0.5°で、30分間200℃にて行った。その機械的性質(ISO規格37に準拠)およびIRHD硬さ(ISO規格48に準拠)を、200℃で15分間架橋した前記組成物のサンプルで測定した。結果を表1に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
例1および例2(比較例)に関しては、本質的に架橋が存在しないか、いずれにせよ、試験片を調製するのに十分ではなく、このため、引張特性は報告されていない。
【0068】
表1に示す実施例は、液体エポキシ化化合物と混合したカルボキシ化ポリマーを含有する、本発明による組成物については、従来の架橋系を添加することなく、短時間で高架橋度を達成することが可能であることを実証している。構造は似ているが、同一のエポキシ化化合物と混合したカルボキシ化ポリマーではない(not carboxylated mixed with the same epoxidized compound)ポリマーを用いても、カルボキシ化ポリマーを単独で加熱しても、いずれの場合にも架橋は生じない。
【0069】
実施例7〜13
表2に示す組成物を、実施例1〜6と同じ開放式ミキサーを用いて、混合時間約30分、達した最高温度100℃で調製した。
【0070】
このようにして調製した組成物を、実施例1〜6と同一レオメーターを用いて、同一条件下でMDRレオメトリー分析にかけた。その機械的性質(ISO規格37に準拠)およびIRHD硬さ(ISO規格48に準拠)を、200℃で15分間架橋した上述の組成物のサンプルで測定した。基準組成物に対する相対容積の減少分として表される、ISO規格4649に準拠したDIN耐摩耗値もまた測定した。
【0071】
表2に示すデータからわかるように、従来の架橋剤を含有しない本発明による組成物によって、その製品の特性が、硫黄で加硫した通常の組成物から得られる製品と完全に匹敵する架橋製品を得ることが可能となる。カルボキシ化ポリマーは、大量のエポキシ化液体化合物を含むことが可能であり、それによって引張特性または磨耗性を損なうことなく、優れた加工性を有するゴム組成物を製造できる。
【0072】
【表2】
【0073】
実施例14〜16
表3に示す組成物を、実施例1〜6で用いた方法と同じ方法によって調製した。例14および15(比較例)の組成物には、架橋剤として、エポキシド末端基のみを含有するエポキシ樹脂を使用し、実施例16の組成物は、本発明に従って配合した。
【0074】
ISO規格289/1に従って、100℃におけるムーニーML(1+4)粘度を非架橋組成物について測定した。その組成物を、実施例1〜6と同じレオメーターを用いて、同一条件下でMDRレオメトリー分析にかけた。その機械的性質(ISO規格37に準拠)、IRHD硬さ(ISO規格48に準拠)およびDIN耐磨耗性(ISO規格4649に準拠)を、200℃で15分間架橋した前記組成物のサンプルで測定した。その結果を表3に示す。
【0075】
表3には、以下の方法に従って、インストロン動的試験機を用い、23℃および70℃における牽引‐圧縮で測定した動的弾性率値(E’)も示す。円筒形(長さ=25mm;直径=14mm)の架橋材料試験サンプルに、初期の長さに対して縦方向の変形10%までの圧縮で予荷重をかけ、試験中ずっと設定温度(23℃または70℃)に保ち、振動数100Hzを用いて、予荷重下の長さに対して振幅±3.33%の動的正弦波変形を行った。
【0076】
【表3】
【0077】
これからわかるように、カルボキシ化ポリマーが、エポキシド末端基のみを含有するエポキシ樹脂で架橋される組成物と比較して、本発明による組成物によって、加工性が向上したゴム組成物(低いムーニー粘度)、および弾性(特に高い破断点伸び)の向上が、低い硬度によって達成される架橋製品を得ることが可能となる。
【0078】
さらに本発明による架橋組成物は、温度の変化に伴って、非常に制限された動的弾性率の変化を示し、その変動は、エポキシ樹脂で架橋した組成物で生じる変化よりもかなり小さい。この特性によって、本発明による架橋組成物は「熱可塑性」が低いこと、つまり広い温度範囲にわたり弾性性能特性が本質的に一定であることが示されており、タイヤの製造にこの組成物を用いる場合に、この特性は最も重要である。
【0079】
実施例17〜18
実施例1〜6と同一の開放式ミキサーを用いて:
硫黄で加硫するための標準手順に従ってカルボキシ化したポリマーをポリマーベースとして有する組成物(「The Vanderbilt Rubber Handbook」‐1978年版、p534を参照のこと)(比較例17); 硫黄またはその誘導体を含まず、本発明に従ってエポキシ化油を含有する類似組成物(実施例18);を調製した。
【0080】
その組成物を表4に示す。例17の組成物では、フタル酸トリオクチルおよびステアリン酸が、処理補助剤および可塑剤として作用し、6PPDは老化防止剤(Monsanto社製SantoflexX 13)であり、MBTSは加硫促進剤(2‐メルカプトベンゾチアゾールジスルフィド‐Bayer社製Vulkacit Merkapto(登録商標))である。このようにして得られた組成物を実施例1〜6で示された方法に従って、170℃で30分間かつ200℃で30分間、MDRレオメトリー分析にかけた。得られた結果を表4に示す。2種類の組成物の最適架橋条件:実施例17(比較例)の組成物については170℃で10分間;実施例18(本発明)の組成物については200℃で15分間;を分析によって得られた曲線から決定した。
【0081】
23℃および70℃における機械的性質、IRHD硬さ、DIN耐摩耗性および動的弾性率(E’)を、上記の方法に従って最適条件下で架橋させた上述の組成物のサンプルで測定した。完全を期すために、200℃で15分間架橋させた実施例17の組成物で、同一の測定を行った。その結果を表5に示す。
【0082】
【表4】
【0083】
【表5】
【0084】
表5に示すデータを比較すると、本発明による組成物によって、最適架橋条件下で、優れた機械的性質および低い磨耗性を有し、動的弾性率値が温度に比較的依存せず、したがって硫黄で架橋した類似組成物よりも熱可塑性が低い架橋材料を、得ることが可能となることが表されている。
【0085】
実施例19〜21
ゴムとともに加硫されるトレッドバンドの従来の組成物に対して、本発明による架橋組成物の性質を評価するために、接線ローターを備え、1.5Lに等しい容積を有するバンバリーミキサー(Banbury mixer)を用いて、補強充填剤としてシリカを含有する3種類の異なる組成物を調製した。
【0086】
例19(比較例)において、組成物は、欧州特許第501,227号に記載のように、硫黄で加硫されるトレッドバンドの通常の組成を有した。シリカの分散と、カップリング剤(シラン)およびシリカとの間の反応とを最適化するために、その特許の教示に従って、多工程熱機械処理法:145℃を超える最高温度に達するまでポリマーベース、充填剤および処理補助剤を機械混合し、60℃未満の温度に冷却する第1工程と、145℃を超える最高温度に達するまで機械混合する工程であって、組成物の他の成分(架橋系を除く)を添加する第2工程によって調製した。最後に、100℃未満の温度で混合しながら、架橋系を添加した。
【0087】
一方、実施例20〜21(本発明)の組成物を、ローター速度65rpmおよびミキサー冷却水温度約40℃のバンバリーミキサー中、単一工程(single passage)で調製した。
【0088】
100℃におけるムーニー粘度ML(1+4)を、ISO規格289/1に準拠して非架橋組成物で測定した。次いで、実施例1〜6と同じレオメーターを用いて、同一条件下で、その組成物をMDRレオメトリー分析にかけた。最適架橋条件をレオメトリー分析に基づいて決定した。比較用組成物(例19)については170℃で10分間、本発明による組成物(実施例20〜21)については200℃で15分間であった。
【0089】
機械的性質(ISO規格37に準拠)、23℃および100℃におけるIRHD硬さ(ISO規格48に準拠)を、最適条件下で架橋した前記組成物のサンプルで測定した。0℃および70℃におけるサンプルの動的弾性もまた、実施例14〜16に記載の方法に従って牽引‐圧縮における測定によって評価した。その結果を表6に示す。動的弾性は0℃および70℃におけるE’およびタンデルタ(損失係数)により表される。公知のようにタンデルタ値は、どちらも上記の動的測定を用いて決定される、粘性率(E’’)と弾性率(E’)との比として計算する。
【0090】
【表6】
【0091】
表6に示すデータから、本発明による組成物によって、硫黄を含有する従来のトレッドバンド組成物を架橋することにより得ることができる性質と同様な性質を有する架橋製品を得ることが可能となることが明らかである。本発明に従って架橋した組成物についての:
ウェットグリップに対する指標として公知である、0℃でのタンデルタ値が、標準組成物で得られたよりも高く、従って、良好であること;
「ドライハンドリング」条件下におけるカーブでのトレッドバンドの安定性に対する指標である、70℃でのE’値が、標準組成物で得られるよりも高く、従って、カーブでの応力に対するタイヤの良好な応答を示すこと;もまた留意することができる。
【0092】
実質的に等しい性能品質のための組成物配合が、従来の組成(11〜4成分)と比較してかなりの簡略化を達成しており、工業生産に対する明らかな利点を有するということを留意することも重要である。特に、本発明による組成物は、硫黄で加硫される系を含有しない上に、シリカで充填する場合には、シリカのためのカップリング剤が存在する必要はなく、あるいはポリマーマトリックス中で充填剤の良好な分散および可溶化を得るための複雑な熱機械処理法が必要ない。
【0093】
例22〜24(比較例)
エポキシ化ダイズ油を、高分子量を有するエポキシ化エラストマーポリマー(エポキシ化天然ゴム)に取り替え、任意に、加工性を向上させるために芳香油と混合した、類似組成物と、実施例20による組成物を比較した。その組成物は、実施例1〜6に示す方法に従って、開放式ミキサー中で調製した。100℃におけるムーニーML(1+4)粘度を、ISO規格289/1に従って、非架橋組成物について測定した。次いで、実施例1〜6と同じレオメーターを用いて、同一条件下で、その組成物をMDRレオメトリー分析にかけた。機械的性質(ISO規格37に準拠)、IRHD硬さ(ISO規格48に準拠)および0℃および70℃における動的性質(E’、タンデルタ)を、200℃で15分間架橋した上記組成物のサンプルで上述の方法に従って測定した。その組成物および結果を表7に示す。
【0094】
【表7】
【0095】
表7に示す結果から、
比較用組成物のムーニー粘度値は非常に高く、測定装置の最大値を超える;したがって、これらの組成物の加工性は非常に低い(この事実は、比較用組成物のML値が高いレオメトリー曲線によって表されている);
比較用架橋組成物は、あまり良好でない引張特性、特に低い値の破断点伸びを有する;
比較用架橋組成物の硬度値は充填剤が少量でさえ高く、そのためその組成物はトレッドバンドの製造に完全に不適切である;
測定装置の最大値を超えるため測定されなかった、特に0℃でのタンデルタ値に関して、比較用組成物の動的性能品質は劣る;
ということが理解される。
Claims (61)
- 少なくとも1種の架橋性エラストマー的材料を含有する未加工タイヤを製造する工程と、
前記未加工タイヤを、加硫金型において画定される金型キャビティ中で成形にかける工程と、
所定の時間、所定の温度に加熱することによって、前記エラストマー的材料を架橋する工程と、を含む、自動車車輪用タイヤを製造する方法であって、
前記架橋性エラストマー的材料が、(a)カルボキシル基を含有するエラストマーポリマーと、(b)その分子上の内部に位置するエポキシド基を含有するエポキシ化液体有機化合物とを含み、前記架橋工程を、その他の架橋剤が実質上存在しない条件で行うことを特徴とする方法。 - 前記架橋工程が、架橋性エラストマー的材料を少なくとも120℃の温度で少なくとも3分間加熱することによって行われる、請求項1に記載の方法。
- 前記架橋工程が、架橋性エラストマー的材料を少なくとも160℃の温度で少なくとも10分間加熱することによって行われる、請求項2に記載の方法。
- 前記エラストマー的材料が、補強充填剤も含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
- 前記補強充填剤が、20〜120phrの量で存在する、請求項4に記載の方法。
- 前記補強充填剤が、40〜90phrの量で存在する、請求項5に記載の方法。
- 前記エポキシ化液体有機化合物が、40〜2,000のエポキシド当量を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
- 前記エポキシ化液体有機化合物が、50〜1,500のエポキシド当量を有する、請求項7に記載の方法。
- 前記エポキシ化液体有機化合物が、100〜1,000のエポキシド当量を有する、請求項8に記載の方法。
- 前記エポキシ化液体有機化合物が、エポキシ化油を含有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
- 前記エポキシ化油が、23℃より低い凍結温度を有する、請求項10に記載の方法。
- 前記エポキシ化液体有機化合物が、エポキシ化ジエンオリゴマーを含有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
- 前記エポキシ化ジエンオリゴマーが、500〜10,000の平均分子量を有する、請求項12に記載の方法。
- 前記エポキシ化ジエンオリゴマーが、1,000〜8,000の平均分子量を有する、請求項13に記載の方法。
- 前記エポキシ化ジエンオリゴマーが、1,3‐ブタジエンもしくはイソプレンのエポキシ化オリゴマー、またはそれらの混合物である、請求項12〜14に記載の方法。
- カルボキシル基を含有する前記エラストマーポリマーが、ポリマー中のモノマーの総モル数に対して、カルボキシル基を少なくとも0.1モル%含有するホモポリマーまたはコポリマーである、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
- 前記カルボキシ化エラストマーポリマーが、カルボキシル基を1〜30モル%含有する、請求項16に記載の方法。
- 前記カルボキシ化エラストマーポリマーが、2,000〜1,000,000の平均分子量を有する、請求項16または17に記載の方法。
- 前記カルボキシ化エラストマーポリマーが、50,000〜500,000の平均分子量を有する、請求項18に記載の方法。
- 前記カルボキシ化エラストマーポリマーが、モノビニルアレーンおよび/または極性コモノマーと任意に混合した1種または複数種の共役ジエンモノマーを(共)重合し、続いてカルボキシル化することによって得られる、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
- 前記カルボキシ化エラストマーポリマーが、モノビニルアレーンおよび/または極性コモノマーと任意に混合した共役ジエンモノマーと、1つもしくは複数のカルボキシル基を含有するオレフィンモノマーまたはその誘導体との間で共重合することによって得られる、請求項1から〜19のいずれか一項に記載の方法。
- 前記カルボキシ化エラストマーポリマーが、1種または複数種のモノオレフィンと、1つもしくは複数のカルボキシル基を含有するオレフィンコモノマーまたはその誘導体とを共重合することによって得られる、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
- 前記エポキシ化液体化合物が、エラストマーポリマー100重量部当たり、5〜200重量部の量で存在する、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。
- 前記エポキシ化液体化合物が、エラストマーポリマー100重量部当たり、10〜120重量部の量で存在する、請求項23に記載の方法。
- 前記架橋性エラストマー的材料が、有効量の縮合触媒を含有する、請求項1〜24のいずれか一項に記載の方法。
- 架橋エラストマー的材料から製造された1つまたは複数の構成要素を含む自動車車輪用タイヤであって、前記構成要素の少なくとも1つが、架橋エラストマー的材料として、その分子の内部に位置するエポキシド基を含有するエポキシ化液体有機化合物との反応によって架橋される、カルボキシル基を含有するエラストマーポリマーを含み、前記カルボキシ化エラストマーポリマーが、その他の架橋剤が実質上存在しない条件で架橋されることを特徴とするタイヤ。
- 前記架橋エラストマー的材料が、補強充填剤もまた含有する、請求項26に記載のタイヤ。
- 前記補強充填剤が、20〜120phrの量で存在する、請求項27に記載のタイヤ。
- 前記補強充填剤が、40〜90phrの量で存在する、請求項28に記載のタイヤ。
- 前記エポキシ化液体有機化合物が、請求項7から15のいずれか一項で定義される、請求項26〜29のいずれか一項に記載のタイヤ。
- カルボキシル基を含有する前記エラストマーポリマーが、請求項16〜22のいずれか一項で定義される、請求項26〜30のいずれか一項に記載のタイヤ。
- カーカス構造体の周囲に同軸状に延在するベルト構造体と、前記ベルト構造体の周囲に同軸状に延在し、地面と接触することを意図する外部転がり面を有するトレッドバンドとを備える、自動車用タイヤであって、前記トレッドバンドが、その分子の内部に位置するエポキシド基を含有するエポキシ化液体有機化合物との反応によって架橋される、カルボキシル基を含有するエラストマーポリマーを含み、かつ前記カルボキシ化エラストマーポリマーが、その他の架橋剤が実質上存在しない条件で架橋されることを特徴とする自動車用タイヤ。
- 前記トレッドバンドが、補強充填剤もまた含有する、請求項32に記載のタイヤ。
- 前記補強充填剤が、20〜120phrの量で存在する、請求項33に記載のタイヤ。
- 前記補強充填剤が、40〜90phrの量で存在する、請求項34に記載のタイヤ。
- 前記エポキシ化液体有機化合物が、請求項7〜15のいずれか一項で定義される、請求項32〜35のいずれか一項に記載のタイヤ。
- カルボキシル基を含有する前記エラストマーポリマーが、請求項16〜22のいずれか一項で定義される、請求項32〜36のいずれか一項に記載のタイヤ。
- (a)カルボキシル基を含有するエラストマーポリマーと、(b)その分子の内部に位置するエポキシド基を含有するエポキシ化液体有機化合物と、を含み、その他の架橋剤が実質上存在しない条件で架橋可能である架橋性エラストマー組成物。
- 補強充填剤もまた含有する、請求項38に記載の架橋性エラストマー組成物。
- 前記補強充填剤が、20〜120phrの量で存在する、請求項39に記載の組成物。
- 前記補強充填剤が、40〜90phrの量で存在する、請求項40に記載の組成物。
- 前記エポキシ化液体有機化合物が、40〜2,000のエポキシド当量を有する、請求項38〜41に記載の組成物。
- 前記エポキシ化液体有機化合物が、50〜1,500のエポキシド当量を有する、請求項42に記載の組成物。
- 前記エポキシ化液体有機化合物が、100〜1,000のエポキシド当量を有する、請求項43に記載の組成物。
- 前記エポキシ化液体有機化合物が、エポキシ化油を含有する、請求項38〜44のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記エポキシ化油が、23℃より低い凍結温度を有する、請求項45に記載の組成物。
- 前記エポキシ化液体有機化合物が、エポキシ化ジエンオリゴマーを含有する、請求項38〜46のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記エポキシ化ジエンオリゴマーが、500〜10,000の平均分子量を有する、請求項47に記載の組成物。
- 前記エポキシ化ジエンオリゴマーが、1,000〜8,000の平均分子量を有する、請求項48に記載の組成物。
- 前記エポキシ化ジエンオリゴマーが、1,3‐ブタジエンまたはイソプレンのエポキシ化オリゴマー、またはそれらの混合物である、請求項38〜49に記載の組成物。
- カルボキシル基を含有する前記エラストマーポリマーが、ポリマー中に存在するモノマーの総モル数に対して、カルボキシル基を少なくとも0.1モル%含有するホモポリマーまたはコポリマーである、請求項38〜50のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記カルボキシ化エラストマーポリマーが、カルボキシル基を1〜30モル%含有する、請求項51に記載の組成物。
- 前記カルボキシ化エラストマーポリマーが、2,000〜1,000,000の平均分子量を有する、請求項51または52に記載の組成物。
- 前記カルボキシ化エラストマーポリマーが、50,000から500,000の平均分子量を有する、請求項53に記載の組成物。
- 前記カルボキシ化エラストマーポリマーが、モノビニルアレーンおよび/または極性コモノマーと任意に混合した1種または複数種の共役ジエンモノマーを(共)重合し、続いてカルボキシル化することによって得られる、請求項38〜54のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記カルボキシ化エラストマーポリマーが、モノビニルアレーンおよび/または極性コモノマーと任意に混合した共役ジエンモノマーと、1つもしくは複数のカルボキシル基を含有するオレフィンモノマーまたはその誘導体との間で共重合することによって得られる、請求項38〜54のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記カルボキシ化エラストマーポリマーが、1種または複数種のモノオレフィンと、1つもしくは複数のカルボキシル基を含有するオレフィンコモノマーまたはその誘導体とを共重合することによって得られる、請求項38〜54のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記エポキシ化液体化合物が、エラストマーポリマー100重量部当たり、5〜200重量部の量で存在する、請求項38〜57のいずれか一項に記載の方法。
- 前記エポキシ化液体化合物が、エラストマーポリマー100重量部当たり、10〜120重量部の量で存在する、請求項58に記載の方法。
- 有効量の縮合触媒もまた含有する、請求項38〜59のいずれか一項に記載の組成物。
- 請求項38〜60のいずれか一項に記載の組成物を架橋することによって得られる架橋エラストマー製品。
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