JP2004521772A - タイヤを製造する方法、それにより得られるタイヤ、およびそこに用いられるエラストマー組成物 - Google Patents
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Abstract
組成物を架橋させることによってタイヤを製造する方法であって、この組成物には(a)エポキシ基を含むエラストマー性ポリマーと、(b)脂肪酸のオリゴマーとが含まれる。加熱することによってこのエラストマー材料が、従来から使用されている架橋剤を添加しなくても、高度の架橋状態に達し、その架橋に要する時間も工業的な使用において受容可能な範囲内である。これらの組成物は特にトレッドバンドの製造に好適である。
Description
【0001】
本発明は、車両の車輪に用いられるタイヤを製造する方法、それにより得られるタイヤ、およびそこに用いられる架橋性のエラストマー組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は、車両の車輪に用いられるタイヤを製造する方法であって、従来から使用されてきた架橋剤を実質的に使用することなく実施できる方法、
それにより得られるタイヤ、およびそこで用いられる架橋性組成物に関する。
【0002】
ゴム産業においては、広く各種の製品、とりわけ車両の車輪に用いられるタイヤを製造するために、ジエンエラストマーを硫黄で加硫するプロセスが広く用いられてきた。それらのプロセスでは高品質の加硫製品が得られはするものの、かなり煩雑なものとなっている。その理由は主に、工業的に受容される時間内に最適の加硫をさせようとすると、硫黄または硫黄供与型化合物だけではなく、1種または複数の活性化剤(たとえば、ステアリン酸、酸化亜鉛など)および1種または複数の加硫促進剤(たとえば、チアゾール、ジチオカルバメート、チウラム、グアニジン、スルフェンアミドなど)が含まれる、複合加硫システムを使用する必要があるからである。これらの製品を使用するとなると、場合によっては、製造時および使用時の両方において、有害性/毒性の面で大きな問題を伴う可能性があり、とりわけこのような加硫させた製品を医療/ヘルスケアあるいは食品用途で使用しようとする場合には問題がある。それに加えて、硫黄または硫黄供与型化合物を使用すると、一般には150℃以上の温度で実施される加硫の段階で、揮発性の硫化物が発生することも知られている。
【0003】
そのため最近では、研究の努力が異なった2方向に集約されつつあるが、その第1の方向は、公知の加硫プロセスを改良してより効率よく、よりクリーンにしようとするものであり、その第2の方向は代替の架橋技術の開発を目標としている。かなりの進歩は認められるものの、現時点においては、従来の技術と同程度の結果が得られ、かつ生産の面で効果的な簡素化をもたらすような、硫黄による架橋に代わる技術が存在すると言えるような状態にはなっていない。たとえば、過酸化化合物を使用する架橋プロセスは、それらの化合物が不安定であるために特別な防護処置をとる必要があり、さらに、活性化剤も使用しなければならない。放射線によって架橋させようとしても、複雑な機器を使用しなければならないし、その上、高エネルギーおよび高出力放射線を使用する場合に必要な全ての防護処置を講ずる必要がある。
【0004】
先行技術で開示されているものとして、いわゆる「自己加硫性(self−vulcanizing)」エラストマー組成物、すなわち、硫黄や硫黄化合物のような架橋剤を使用しなくてもよい組成物がある。
【0005】
たとえば、米国特許第2,724,707号には、遊離のカルボキシル基を含むジエンポリマー、特にブタジエン/アクリロニトリルコポリマーの部分加水分解により得られるカルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)を含むエラストマー組成物が記載されており、それらには、多価金属酸化物(たとえば酸化亜鉛)が分散されている。加熱すると、これらの組成物がイオン型のメカニズムによって架橋する。
【0006】
Journal of Applied Polymer Science、第27巻、p.4561〜4576(1982)で公表されたS.K.ChakrabortyおよびS.K.Deによる論文には、カーボンブラック、シリカ、クレイなどの補強用フィラーの存在下、エポキシ樹脂(たとえばビスフェノールAジグリシジルエーテル)との反応で大量のカルボキシル化をさせてXNBRを架橋させる研究が開示されている。この架橋をさせるために、反応混合物を150〜180℃に加熱している。知られているように、エポキシ樹脂は低分子量製品であって、そのなかでエポキシ(すなわちオキシラン)基は、「外向け(external)」になっている。すなわち、それらはメインの炭化水素鎖の末端の位置にあり、オキシラン環を形成する酸素原子は鎖の末端とその隣の炭素原子に結合している。
【0007】
エポキシ化天然ゴム(ENR)およびXNBRに基づく組成物の架橋に関する研究は、R.Alex、P.P.De、N.M.MathewおよびS.K.Deにより、Plastics and Rubber Processing and Applications、第14巻、第4号(1990年)に報告されている。特にその論文に開示されているのは、未変性または補強用フィラーとしてのシリカもしくはカーボンブラックを含む、ENRおよびXNBRからなる組成物の架橋である。それらの著者の開示によれば、ENRおよびXNBR混合物の場合には、そこでの架橋反応にはエポキシ基とカルボキシル基との間のエステル結合生成が含まれる。レオメーター測定曲線には、架橋戻りがなく、架橋構造が安定であり、架橋が急速度で生成していることが示されていると言われている。
【0008】
米国特許第5,173,557号に開示されているのは、イソシアナート基で官能基化されたエラストマー性ポリマーと少なくとも2つのツェレウィチノフ型の活性水素を含む化合物とからなる自己加硫性組成物、または、ツェレウィチノフ型の活性水素を有するエラストマー性ポリマーと少なくとも2つのイソシアナート基を含む化合物とからなる自己加硫性組成物である。それとは別な方法で、イソシアナート基かツェレウィチノフ型の活性水素かのどちらかを含むエラストマー性ポリマーを使用することができ、この場合は別途の架橋剤は使用しない。この活性水素は、たとえば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基あるいはチオール基として存在することができる。エラストマーが早まって架橋してしまうような好ましくない状況を避ける目的で、イソシアナート基を適当な官能基であらかじめブロックしておき、これを加熱によって除去すると、遊離イソシアナート基と活性水素の間の架橋反応が始まるが、これには触媒の助けを借りることもある。
【0009】
イタリア国特許第1 245 551号には、エポキシ化させたエラストマーとR1−R−R2の化学式を有する加硫剤を含む自己加硫性組成物が記載されている。ここでRは、アリーレン、アルキレンまたはアルケニレン基であり、一方R1およびR2は、カルボキシル、アミン、スルホンまたはクロロスルホン基である。ジカルボン酸もしくはポリカルボン酸、またはそれらの混合物を加硫剤として使用することもできる。エポキシ化させたエラストマーと、ポリマー鎖中のくり返し単位に少なくとも1つのカルボキシル基が含まれているような第2のエラストマーとを含む自己加硫性組成物もまた記載されている。たとえば、自己加硫性組成物を得るには、エポキシ化エラストマー(たとえば、マレーシア・ラバー・プロデューサー・リサーチ・アソシエーション(Malaysian Rubber Producers Research Association)から商品名Epoxiprene(登録商標)として得られるものの内の、ENR25またはENR50という商品)を、テレフタル酸、セバシン酸またはマレイン酸と混合する。エポキシ基とカルボキシル基を加熱すると架橋反応が起こり、エステル結合が生成する。
【0010】
本願出願人の経験から言えば、先行技術としてこれまで提案されてきた自己加硫性組成物は、硫黄あるいはその誘導体を用いて加硫される従来からの組成物の有効な代替物とはなり得ない。その理由は、架橋させた製品の性能品質が一般に不十分であり、特に、高弾性高強度の性能品質(high elastic and tensile performance)が要求されるタイヤコンパウンドのような用途では不十分だからである。実例をあげれば、たとえば、上記のイタリア国特許第1 245 551号に記載された自己加硫性組成物ではカルボキシル基を含む加硫剤を使用するが、しかしこの場合、得られるエラストマー混合物の破断時伸びは低く(一般に200%を超えることはない)、ほとんどのタイヤ用途、たとえばトレッドバンドの製造には使用できない。さらに、ジカルボン酸は一般に結晶性の固体形状をしており、その融点は150℃より高い。そのために、混合フェーズの間でも、ポリマー中に架橋剤がうまく分散しない。
【0011】
驚くべきことに、本願発明者は、エポキシ基を含むエラストマー性ポリマーと脂肪酸のオリゴマーとの混合物を含む自己架橋性組成物を使用すれば、実質的に別途の架橋剤を添加しなくても、架橋させた製品、特に車両の車輪用で好ましい性質を併せ持つタイヤ、を製造することができることを見出した。
【0012】
加熱しさえすれば、従来タイプの架橋剤を添加しなくても、これらの組成物が高度の架橋を形成し、しかも、その架橋に要する時間は工業的使用で許容される範囲内に収まる。こうして得られる架橋済みの製品は、優れた機械的、弾性的性能品質を併せ持ち、特に破断時応力、破断時延び、モジュラスおよび硬度の面で優れているので、上記の自己架橋性組成物は、タイヤ、特にトレッドバンドの製造のための弾性材料として特に適したものとなる。
【0013】
さらに、脂肪酸のオリゴマーを使用すれば、それらは通常液状であるので、優れた加工性を有し、相溶化剤(compatibilizing additives)を加えなくても補強用フィラーを取り込む能力の高い、架橋性の組成物を得ることができる。その理由は、これらのカルボキシル化された製品は、架橋剤としてだけではなく加工補助剤としても機能し、また活性な水酸基を有する補強用フィラー(たとえばシリカ)と相互作用を持つことができるので、ポリマーマトリックスへのフィラーの相溶性を高めるからである。
【0014】
第1の態様においては、以上のように本発明は、車両の車輪用タイヤを製造する方法に関するもので、前記方法には
少なくとも1種の架橋性エラストマー材料を含む未加工タイヤを製造する工程と、
前記未加工タイヤを加硫用金型で画成される金型キャビティの中で成形にかける工程と、
所定の温度で所定の時間をかけて前記タイヤを加熱してエラストマー材料を架橋させる工程とが含まれ、
前記架橋性エラストマー材料に、(a)エポキシ基を含むエラストマー性ポリマー、および(b)脂肪酸のオリゴマーを含むことを特徴としている。
【0015】
1つの好ましい実施態様においては、前記架橋フェーズを、実質的に別途の架橋剤を添加することなく実施する。
【0016】
他の好ましい態様においては、架橋性エラストマー材料を、少なくとも3分間、好ましくは少なくとも10分間の間、少なくとも120℃、好ましくは少なくとも160℃の温度に加熱することによって、この架橋フェーズを実施する。
【0017】
特に好ましい態様においては、前記架橋性エラストマー材料には補強用フィラーも加える。
【0018】
第2の態様において、本発明は、車両の車輪用のタイヤに関するものであり、そのタイヤには架橋性エラストマー材料から作った1種または複数の要素が含まれ、前記要素の少なくとも1種は、架橋性エラストマー材料として、脂肪酸のオリゴマーと反応することで架橋するエポキシ基を持つエラストマー性ポリマーを含むことを特徴とする。
【0019】
本発明のさらなる態様においては、本発明は、車両用のタイヤに関し、そのタイヤにはカーカス構造の周りで同軸上に延在するベルト構造と、該ベルト構造の周りで同軸上に延在し、外周には路面と接触することを目的とする回転表面を有するトレッドバンドとが含まれるが、ここで、前記トレッドバンドに脂肪酸のオリゴマーとの反応によって架橋されるエポキシ基を有するエラストマー性ポリマーが含まれていることを特徴としている。
【0020】
さらなる態様によれば、本発明は(a)エポキシ基を含むエラストマー性ポリマーと、(b)脂肪酸のオリゴマーとを含む、架橋性エラストマー組成物を含むトレッドバンドに関する。
【0021】
さらなる態様によれば、本発明は(a)エポキシ基を含むエラストマー性ポリマーと、(b)脂肪酸のオリゴマーとを含む、架橋性エラストマー組成物に関する。
【0022】
さらなる態様によれば、本発明は先に定義した架橋性組成物を架橋させることによって得られる架橋したエラストマー製品に関する。
【0023】
本願明細書および特許請求の範囲における、「実質的に別途の架橋剤を添加しない」という表現は、この架橋性組成物が、架橋をもたらすことができる他のシステムの作用を受ける必要がないことを意味し、また、この組成物中に存在させておくことが可能な他の製品類がそれら自体で架橋反応に関わっても構わないが、短時間(たとえば5分以内)にかなりの程度の架橋を起こさせるのに必要な最低量よりも少ない量で使用される、ということを意味している。特に本発明による組成物は、当技術において通常使用されるような架橋システム、たとえば硫黄や硫黄供与体、過酸化物、あるいはその他のラジカル開始剤などを実質的に一切使用しなくても架橋することが可能であり、またこれら組成物は、ポリマー中で架橋現象を起こさせる目的での高エネルギー照射(紫外線、ガンマ線など)の作用を必要としないのである。
【0024】
脂肪酸のオリゴマーは、常温では、油状または高粘度液状の形をとっている。
【0025】
「脂肪酸のオリゴマー」という表現は、各種の分子量をもつ製品の混合物であること、特にその脂肪酸の(あるいは、各種の出発脂肪酸類の)ダイマーおよびトリマーであることを意味している。最終的な製品中に脂肪酸のダイマーおよびトリマーに混じって未反応のモノマーが存在していても構わない。これらのモノマーは任意に、たとえば蒸留によって最終製品から除去することも可能である。しかしながら、出発物質の脂肪酸が存在したとしても組成物の性質に悪影響をおよぼすことは無いと考えられる。
【0026】
本発明における脂肪酸のオリゴマーは、公知技術にしたがい、触媒、たとえばクレイ、活性白土(active earth)、モンモリロナイトあるいは非活性化クレイと水の混合物の存在下で、加熱条件下で、不飽和脂肪酸または少なくとも1種の不飽和脂肪酸を含む飽和脂肪酸混合物を反応させることによって得ることができる。
【0027】
別な方法として、上記と類似の反応により、対応するエステル類をオリゴマー化させ、次いでそれを加水分解することによっても、脂肪酸のオリゴマーを得ることができる。上記の反応については、米国特許第4,937,320号、同第4,776,983号および同第5,880,298号に詳しく記載されている。しかしながらここで注目しておかなければならないのは、不飽和脂肪酸を含む出発反応混合物中に飽和脂肪酸が存在していても構わないということである。これらの脂肪酸では一般に、炭素原子を10〜26個、好ましくは炭素原子を14〜22個含んでいる。
【0028】
不飽和脂肪酸の例をあげると以下の、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、リシノール酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸など、およびそれらの混合物などがある。
【0029】
混合物中に存在させてもよい飽和脂肪酸の例をあげると以下のようなものがある;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸など、およびそれらの混合物。
【0030】
上記のようにしてオリゴマーを得るための、特に好ましい出発物質は植物性油であって、たとえば、あまに油、サフラワー油、大豆油、とうもろこし油、綿実油、なたね油、ひまし油、きり油、トール油、タル油酸オクチル、ひまわり油、オリーブ油など、およびそれらの混合物である。
【0031】
本発明による組成物に使用できるエポキシ基含有ポリマーは、エラストマー性を有するホモポリマーまたはコポリマーであって、そのガラス転移温度(Tg)が23℃未満、好ましくは0℃未満であり、ポリマー中に存在するモノマーの全モル数に対してエポキシ基を1〜60モル%、好ましくは2〜40モル%含むものである。エポキシ基を含む異なったポリマーの混合物、あるいはそれとは別に、1種または複数のエポキシ化ポリマーを1種または複数の非エポキシ化エラストマー性ポリマーと混合したものも、この定義の範囲に含まれる。
【0032】
コポリマーの場合には、ランダム構造、ブロック構造、グラフト構造あるいはこれらが混合した構造であってよい。ベースポリマーの平均分子量は好ましくは2000〜1,000,000、好ましくは50,000〜500,000の範囲である。
【0033】
特に、合成品または天然品のベースポリマーの構造が1種または複数の共役ジエンモノマーからのものであり、任意にモノビニルアレーンおよび/または極性コモノマーと共重合させたような、エポキシ化ジエンホモポリマーまたはコポリマーが好ましい。
【0034】
特に好ましいポリマーは、炭素原子を4〜12個、好ましくは4〜8個含むジエンモノマーの(共)重合により得られるもので、それらのモノマーはたとえば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエンなど、およびそれらの混合物から選択されるが、1,3−ブタジエンおよびイソプレンが特に好ましい。
【0035】
コモノマーとして任意に用いることができるモノビニルアレーンは一般に8〜20個、好ましくは8〜12個の炭素原子を含んでいて、たとえば次のものから選択することができる、すなわち、スチレン;1−ビニルナフタレン;2−ビニルナフタレン;スチレンの各種のアルキル、シクロアルキル、アリール、アルキルアリールまたはアリールアルキル誘導体、たとえば、3−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−p−トリルスチレン、4−(4−フェニルブチル)スチレンなど、およびそれらの混合物である。スチレンが特に好ましい。これらのモノビニルアレーンは任意に1種または複数の官能基で置換されていてもよく、たとえばアルコキシ基による置換、たとえば4−メトキシスチレン、アミノ基による置換、たとえば4−ジメチルアミノスチレンなどがある。
【0036】
このベースポリマー構造中に各種の極性コモノマーを組み込むこともでき、具体的には、ビニルピリジン、ビニルキノリン、アクリル酸およびアルキルアクリル酸エステル、ニトリルなど、あるいはそれらの混合物であり、例をあげれば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリロニトリルなどである。
【0037】
ジエンポリマーの中でも特に好ましいのは、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン/ブタジエンコポリマー、ブタジエン/イソプレンコポリマー、スチレン/イソプレンコポリマー、ニトリルゴムなど、およびそれらの混合物である。
【0038】
コポリマーの場合、他のコモノマーに対するジエンコモノマーの量は、最終的に得られるポリマーがエラストマー性を有するような量にする。この意味では、所望のエラストマー的性質を得るために必要なジエンコモノマーの最小量を一般的に定めることは不可能である。指標としては、コモノマーの全量に対してジエンコモノマーの量が少なくとも50重量%であれば、一般的には十分と考えられる。
【0039】
ベースのジエンポリマーは公知の技術すなわち、一般的には乳化重合、懸濁重合または溶液重合により調製することができる。そのようにして得られるベースポリマーは次いで、公知の技術によりエポキシ化させるが、それにはたとえば、溶液中でエポキシ化剤と反応させる。一般にこの反応剤は、過酸化物または過酸、たとえば、m−クロロ過安息香酸、過酢酸など、または過酸化水素であり、カルボン酸またはその誘導体たとえば酢酸、無水酢酸などを共存させ、任意に硫酸のような酸触媒を混合する。エラストマー性ポリマーをエポキシ化させるための方法に関しては、米国特許第4,341,672号、または、SchulzらによるRubber Chemistry and Technology第55巻、第809頁以下にさらに詳しく記載されている。
【0040】
使用可能なその他の、エポキシ基を含むポリマーとしては、1種または複数のモノオレフィンを、1または複数のエポキシ基を含むオレフィン系コモノマーと組み合わせたエラストマーコポリマーがある。このモノオレフィンは以下のものから選択することができる、すなわち、エチレンおよび一般に3〜12個の炭素原子を含むα−オレフィン、たとえば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどおよびそれらの混合物である。好ましいのは次のもの、すなわち、エチレンとα−オレフィンのコポリマーで任意にジエンを加えたもの、イソブテンのホモポリマーまたはそのコポリマーであって、少量のジエンを含み、任意に少なくともその一部をハロゲン化させたものである。任意に加えるジエンは一般的には4〜20の炭素原子を含み、好ましくは、次のものから選択される、すなわち、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,4−ヘキサジエン、1,4−シクロヘキサジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネンなどである。これらの内でも、以下のものが特に好ましい、すなわち、エチレン/プロピレンコポリマー(EPR)またはエチレン/プロピレン/ジエンコポリマー(EPDM);ポリイソブチレン;ブチルゴム;ハロブチルゴム、特にクロロブチルまたはブロモブチルゴム;など、およびこれらの混合物である。エポキシ基を含むオレフィン系コモノマーは次のようなものから選択することができる、すなわち、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、ビニルシクロヘキセンモノオキシド、アリルグリシジルエーテルおよびメタアリルグリシジルエーテルなどである。上記のエポキシ化コモノマーによってエポキシ基を導入することは、公知の技術にしたがって、その対応するモノマーを共重合させることによって可能であるが、特に乳化状態でラジカル共重合させるのがよい。ジエン系のコモノマーが共存している場合には、先に述べたエポキシ化反応によってエポキシ基を導入するのに、それを用いることができる。
【0041】
本発明において使用することができ、現在市販されているエポキシ化させたエラストマー性ポリマーの例としては、ガスリー(Guthrie)社のEpoxyprene(登録商標)(エポキシ化天然ゴム、ENR)という商品および、エルフ・アトケム(Elf Atochem)社のPolyBD(登録商標)(エポキシ化ポリブタジエン)という商品などがあげられる。
【0042】
本発明によれば、脂肪酸のオリゴマーをエポキシ化エラストマー性ポリマーと混合するが、その混合比は、存在している官能基の量に応じ、また、最終製品に付与しようとする弾性の程度に応じて変化させる。一般にこのオリゴマーの量は、エポキシ化ポリマーの重量に対して3重量%〜50重量%、好ましくは10重量%〜30重量%、より好ましくは8重量%〜24重量%の範囲である。
【0043】
本発明の架橋性組成物には補強用フィラーを、一般に30phr〜120phrの範囲で加えることができる(phr=ポリマーベース100部あたりの重量部)。この補強用フィラーは、架橋製品、特にタイヤに通常使用されるものから選択すればよいが、たとえば、カーボンブラック、シリカ、アルミナ、アルミノシリケート、炭酸カルシウム、カオリンなど、またはそれらの混合物である。
【0044】
本発明の架橋性組成物には、その他の通常使用されている添加物も加えることができるが、それらは目的とする特定の用途を基準にして選択することができる。たとえば、抗酸化剤、保護剤、可塑剤、補強用フィラーのための相溶化剤、接着剤、抗オゾン化剤、変性用樹脂、繊維(たとえばKevlar(登録商標)パルプ)などを、これらの組成物に添加することができる。
【0045】
特に、加工性をさらに改良するために、鉱油、植物油、合成油などまたはそれらの混合物、たとえば、芳香油、ナフテン系油、フタル酸エステル、大豆油などから一般に選択される可塑剤を、本発明による架橋性組成物に添加することもできる。潤滑剤の量は一般的に、2〜100phrの範囲、好ましくは5〜50phrの範囲でよい。
【0046】
架橋速度を上げる目的で、本発明の架橋性組成物に有効量のカップリング触媒を加えることできる。その添加量は広い範囲で変えることができるが、エポキシ化エラストマー性ポリマー100重量部に対して、一般的には0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部の範囲である。この触媒は、カップリング反応用で、当業者に公知のものから選択すればよいが、具体的には、
−スズ、亜鉛、ジルコニウム、鉄、鉛、コバルト、バリウム、カルシウム、マンガンなどの金属のカルボキシレート、たとえば、ジラウリン酸ジブチルスズ、ジ酢酸ジブチルスズ、ジラウリン酸ジオクチルスズ、酢酸第一スズ、カプリン酸第一スズ、ナフテン酸鉛、カプリル酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクタン酸第一鉄、2−エチルヘキサン酸鉄など、
−アリールスルホン酸またはその誘導体、たとえば、p−ドデシルベンゼンスルホン酸、テトラプロピルベンゼンスルホン酸、アセチル−p−ドデシルベンゼンスルホネート、1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、アセチルメタンスルホネート、アセチルp−トルエンスルホネートなど、
−無機強酸または強塩基、たとえば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、塩酸、硫酸など、
−アミンおよびアルカノールアミン、たとえば、エチルアミン、ジブチルアミン、ヘキシルアミン、ピリジン、ジメチルエタノールアミンなど、およびこれらの混合物である。
【0047】
本発明の架橋性組成物は、当業者公知の技術を用いて、ポリマーベースを(任意に添加可能な)補強用フィラーおよびその他の添加物と混合することによって調製することができる。この混合を行うのに使用できる装置としては、たとえば、開放式ロール混合機、または接線方向ローター(tangential rotors)型(バンバリー型)または相互貫入ローター(interpenetrating rotors)型(インターミックス型)のような内部型ミキサー、または、コニーダー(Ko−Kneader)(バス型)もしくは同方向回転もしくは逆方向回転の二軸タイプの連続ミキサーなどがある。
【0048】
混合の間は、温度を所定の値以下に保ち、組成物が早まって架橋することがないようにする。この目的のためには通常温度を、170℃以下、好ましくは150℃以下、より好ましくは120℃以下に保つ。混合時間については、主として混合物中にある組成によって、さらに場合によっては共存しているフィラーおよび使用しているミキサーのタイプによって、広範囲に変えることができる。一般には混合時間を90秒超、好ましくは3〜35分の間とすれば、均一な組成物を得るには十分である。
【0049】
先に記したように、温度を所定の値以下に保ちながらフィラーの分散を最適に行うために、多段の混合工程を採用してもよく、任意に、異なったタイプのミキサーを順に組み合わせてもよい。
【0050】
上記の混合プロセスに代わるものとして、組成物の分散状態を改良するために、脂肪酸のオリゴマーおよび任意成分の補強用フィラーやその他の添加物とエポキシ化ポリマーベースとの混合を、水性エマルションまたは有機溶媒溶液中で実施すると、本発明による架橋性組成物を都合良く調製することができる。任意成分のフィラーは上記のような形、または、水性媒体中の懸濁液または分散液の形で使用することができる。次いでポリマーを、適当な手段を用いて、溶媒または水から分離する。たとえば、エマルション中でポリマーを使用した場合には、凝固剤を添加することによって、油相と任意成分のフィラーを含む微粒子の形でポリマーを沈殿させることができる。使用可能な凝固剤は、具体的には、電解質溶液で、たとえば水性のケイ酸ナトリウムまたはケイ酸カリウム溶液である。この凝固法は揮発性の有機溶媒を使用すれば促進することが可能で、この溶媒は次いでフィラー入りのポリマーの沈降の間に蒸発により除去される。さらに、エラストマー性化合物の調製のためにこのタイプの方法を用いることについては、たとえば、米国特許第3 846 365号などに詳細な記述がある。
【0051】
本発明を図1を参照しながら、いくつかの実施例でさらに説明する。
【0052】
添付の図1は、本発明によるタイヤの部分破断面を含む断面図である。
【0053】
図1では、タイヤ1には従来品同様に少なくとも1つのカーカスプライ2が含まれ、その両側の縁部はそれぞれアンカリングビードワイヤー3に連接されており、各アンカリングビードワイヤー3はタイヤの周方向内縁部を画成するビード4内に封入され、ビード4によってタイヤが車両の車輪の一部を形成するリム5の上に係合している。
【0054】
カーカスプライ(2)とビードワイヤー(3)との間の連接は通常、カーカスプライ(2)の横方向の両端をビードワイヤー(3)のまわりに折り曲げて行い、それによっていわゆるカーカスフォールドが形成される。
【0055】
それとは別な方法として、従来から使用されているビードワイヤー(3)を、同心コイル状に配列した細長要素(elongated components)によって形成した1対の周方向には伸縮不能な環状インサートに置換えてもよい(図1に示さず)(たとえば、欧州特許出願A第0 928 680号および同A第0 928 702号参照)。この場合、カーカスプライ(2)は、前記環状インサートのまわりで折り返すことはせず、連接は第1のカーカスプライの上に外側に設けた第2のカーカスプライ(図1に示さず)によって行われる。
【0056】
カーカスプライ2の周方向に沿って、1本または複数のベルトストリップ6が設けられるが、これは金属または織布のコードをゴムシートに封入して作られている。カーカスプライ2の外側の、このプライのそれぞれ向かい合っている側部には、1対のサイドウォール7が取り付けられ、このサイドウォールはそれぞれビード4からタイヤのいわゆる「ショルダー」領域8にまで延在しており、この領域はベルトストリップ6の両端部となっている。ベルトストリップ6の上には、トレッドバンド9が周方向に設けられていて、その側面の縁部はショルダー8で終わっていて、サイドウォール7に連結している。トレッドバンド9はその外側に路面と接触するように設計された回転表面9aを有していて、そこには、横方向に切り込みを挿入した周方向の溝10(添付図面には表示せず)が設けられていて、それによって前記回転表面9aの上に複数のブロック11がさまざまに分散されている。
【0057】
本発明によるタイヤを製造する方法は、当業者公知の技術および装置を用いることで実施することができる(たとえば、欧州特許第199 064号、米国特許第4,872,822号および米国特許第4,768,937号を参照)。より具体的には、本方法には未加工タイヤを製造する工程が含まれ、そこでは、あらかじめそれぞれ別個に製造され、タイヤの各部位(カーカスプライ、ベルトストリップ、ビードワイヤー、フィラー、サイドウォールおよびトレッドバンド)に対応する一連の半完成品要素類が、適切な製造機械を用いて互いに組み合わされる。
【0058】
こうして得られた未加工タイヤを次の成形、架橋の工程に送る。この目的のために、加硫用金型を使用するが、この金型は金型キャビティの中に加工する対象のタイヤを収めるように設計されており、金型キャビティの壁は、架橋が完了した時のタイヤの外表面とは凹凸が反転した形状をしている。半完成品要素類を用いずにタイヤやタイヤ部品を製造するための別な方法も、たとえば、上記の特許出願、欧州特許出願A第0 928 680号および同A第0 928 702号に記載されている。
【0059】
未加工タイヤは、タイヤの内部表面により画定される空間の中に加圧流体を導入し、未加工タイヤの外表面を金型キャビティの壁に押しつけることによって、成形することができる。広く実行されている成形法の1つでは、金型キャビティの内側に封じ込めたタイヤの中で、蒸気および/または他の加圧流体を充満させた、エラストマー材料から作られた加硫チャンバーを膨らませるものがある。この場合、その未加工タイヤは金型キャビティの内壁に押さえつけられることになり、それにより所望の型押しが得られる。それとは別の方法で、膨張性の加硫チャンバーを使用しないで成形する方法もあり、それでは、目的とするタイヤの内表面の形状に合わせた形状の円環型の金属製支持体をタイヤの内部に設ける(たとえば、欧州特許第242 840号参照)。この円環状金属製支持体と生のエラストマー材料との間の熱膨張率の差を利用して、十分な成形圧力を得ようとするものである。
【0060】
この時点で、タイヤ中に存在する生のエラストマー材料の架橋工程が実行される。この目的を達成するために、加硫用金型の外側壁面を加熱流体(通常はスチーム)と接触させて、その外側表面を最高温度、通常は100℃〜230℃の間の温度になるようにする。同時に、タイヤの内側表面も、タイヤを金型キャビティの壁に押さえつけるのに使用されているのと同じ加圧流体を用いて架橋温度とし、最高温度100〜250℃に加熱する。エラストマー材料全体を十分な架橋度に達せしめるのに必要な時間は、一般に3分〜90分であるが、これは主として、タイヤのサイズによって決まってくる。
【0061】
本発明を、いくつかの実施例を用いて以下でさらに説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
【0062】
実施例1〜8
表1に示した化合物を、接線方向型内部ミキサーを用い、約30分間の撹拌時間で調製したが、温度は可能な限り低く保つよう配慮し、いずれの場合においても120℃を超えないようにした。
【0063】
ISO標準289/1にしたがって、未架橋の組成物について100℃でのムーニーML(1+4)粘度を測定した。次いでその組成物をモンサント(Monsanto)社のMDRレオメーターを用いてMDRレオメーター解析にかけたが、その試験は200℃、30分間で実施し、振動数は1.66Hz(毎分100振動)、振幅は±0.5度であった。得られた最小トルク(ML)および最大トルク(MH)の値を表2に示す。
【0064】
上記の組成物を200℃で15分間かけて架橋させた試料について、機械的物性(ISO標準37による)およびIRHD硬度(ISO標準48による)を測定した。結果を表2に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
表2からわかるように、オリゴマーと共に加硫させた混合物での伸びの値は、参考混合物(比較例1および2)の対応する値の2倍を超えるものである。
【0068】
表2にはまた、以下の方法による引張・圧縮における動的インストロン試験器を用いて0℃および70℃で測定した動的弾性率(dynamic elastic modulus)(E’)の値も示している。
【0069】
架橋させた材料の円筒状試験片(長さ25mm、直径14mm)を、あらかじめ圧縮の予備荷重をかけて元の長さに対して10%だけ長手方向に変形させ、試験の間所定の温度(0℃または70℃)に保持しながら、100Hzの振動数で、予備荷重下における長さに対して±3.33%の振幅で動的正弦波状変形を加えた。
【0070】
本発明による化合物のモジュラス値および硬度は低く、タイヤ用途、特にトレッドバンドを製造するには好適である。
【0071】
実施例9(比較例)
先に記した実施例と同じ撹拌器を用いて、表3に示す比較例化合物を調製した。
【0072】
この化合物を170℃で10分間かけて架橋させ、上記の実施例1〜8に記したのと同じ測定を行った。
【0073】
結果を表4に示すが、ここでは実施例8の値と比較している。
【0074】
【表3】
【0075】
表4のデータから、本発明による組成物によって、硫黄架橋によって得られる従来のトレッドバンド混合物と同等の性質をもつ架橋製品が得られることが明らかである。さらに、本発明による架橋組成物では以下のようなことが言える。
−tanδの0℃における値は、よく知られているように、濡れ時グリップの指標であるが、これが参照化合物で得られる数値に比較すると高く、したがって、本発明による組成物がより高い性能品質を有している。
−E’の70℃における値は、よく知られているように、「ドライハンドリング」条件下でのコーナリング時のトレッドバンドの安定性の指標であるが、これが参照化合物で得られる数値に比較すると同等であり(したがって、コーナリングの時の応力に対してタイヤが良好な応答を示す)、
−tanδの70℃における値は、よく知られているように、転がり抵抗の低さの指標であるが、これが参照化合物の値よりも低く、したがって、転がり抵抗も低いことを示している。
【0076】
さらに注目すべき重要な点は、実質的に同等の性能品質を有していながら、本発明の化合物の配合が、従来からの化合物のそれと比較すると、明らかに単純化されており(表3参照、11成分から5成分になっている)、これは工業的な生産においては大きな利点である。特筆すべきは、硫黄による加硫システムを含まないことに加えて、本発明による組成物は、フィラーにシリカを用いた場合でも、シリカに対するカップリング剤を必要とせず、また、ポリマーマトリックス中にフィラーを十分に分散させ相溶化させるための、複雑な熱機械的な操作のプロセスを必要としないことである。
【0077】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるタイヤの部分破断面を含む断面図である。
本発明は、車両の車輪に用いられるタイヤを製造する方法、それにより得られるタイヤ、およびそこに用いられる架橋性のエラストマー組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は、車両の車輪に用いられるタイヤを製造する方法であって、従来から使用されてきた架橋剤を実質的に使用することなく実施できる方法、
それにより得られるタイヤ、およびそこで用いられる架橋性組成物に関する。
【0002】
ゴム産業においては、広く各種の製品、とりわけ車両の車輪に用いられるタイヤを製造するために、ジエンエラストマーを硫黄で加硫するプロセスが広く用いられてきた。それらのプロセスでは高品質の加硫製品が得られはするものの、かなり煩雑なものとなっている。その理由は主に、工業的に受容される時間内に最適の加硫をさせようとすると、硫黄または硫黄供与型化合物だけではなく、1種または複数の活性化剤(たとえば、ステアリン酸、酸化亜鉛など)および1種または複数の加硫促進剤(たとえば、チアゾール、ジチオカルバメート、チウラム、グアニジン、スルフェンアミドなど)が含まれる、複合加硫システムを使用する必要があるからである。これらの製品を使用するとなると、場合によっては、製造時および使用時の両方において、有害性/毒性の面で大きな問題を伴う可能性があり、とりわけこのような加硫させた製品を医療/ヘルスケアあるいは食品用途で使用しようとする場合には問題がある。それに加えて、硫黄または硫黄供与型化合物を使用すると、一般には150℃以上の温度で実施される加硫の段階で、揮発性の硫化物が発生することも知られている。
【0003】
そのため最近では、研究の努力が異なった2方向に集約されつつあるが、その第1の方向は、公知の加硫プロセスを改良してより効率よく、よりクリーンにしようとするものであり、その第2の方向は代替の架橋技術の開発を目標としている。かなりの進歩は認められるものの、現時点においては、従来の技術と同程度の結果が得られ、かつ生産の面で効果的な簡素化をもたらすような、硫黄による架橋に代わる技術が存在すると言えるような状態にはなっていない。たとえば、過酸化化合物を使用する架橋プロセスは、それらの化合物が不安定であるために特別な防護処置をとる必要があり、さらに、活性化剤も使用しなければならない。放射線によって架橋させようとしても、複雑な機器を使用しなければならないし、その上、高エネルギーおよび高出力放射線を使用する場合に必要な全ての防護処置を講ずる必要がある。
【0004】
先行技術で開示されているものとして、いわゆる「自己加硫性(self−vulcanizing)」エラストマー組成物、すなわち、硫黄や硫黄化合物のような架橋剤を使用しなくてもよい組成物がある。
【0005】
たとえば、米国特許第2,724,707号には、遊離のカルボキシル基を含むジエンポリマー、特にブタジエン/アクリロニトリルコポリマーの部分加水分解により得られるカルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)を含むエラストマー組成物が記載されており、それらには、多価金属酸化物(たとえば酸化亜鉛)が分散されている。加熱すると、これらの組成物がイオン型のメカニズムによって架橋する。
【0006】
Journal of Applied Polymer Science、第27巻、p.4561〜4576(1982)で公表されたS.K.ChakrabortyおよびS.K.Deによる論文には、カーボンブラック、シリカ、クレイなどの補強用フィラーの存在下、エポキシ樹脂(たとえばビスフェノールAジグリシジルエーテル)との反応で大量のカルボキシル化をさせてXNBRを架橋させる研究が開示されている。この架橋をさせるために、反応混合物を150〜180℃に加熱している。知られているように、エポキシ樹脂は低分子量製品であって、そのなかでエポキシ(すなわちオキシラン)基は、「外向け(external)」になっている。すなわち、それらはメインの炭化水素鎖の末端の位置にあり、オキシラン環を形成する酸素原子は鎖の末端とその隣の炭素原子に結合している。
【0007】
エポキシ化天然ゴム(ENR)およびXNBRに基づく組成物の架橋に関する研究は、R.Alex、P.P.De、N.M.MathewおよびS.K.Deにより、Plastics and Rubber Processing and Applications、第14巻、第4号(1990年)に報告されている。特にその論文に開示されているのは、未変性または補強用フィラーとしてのシリカもしくはカーボンブラックを含む、ENRおよびXNBRからなる組成物の架橋である。それらの著者の開示によれば、ENRおよびXNBR混合物の場合には、そこでの架橋反応にはエポキシ基とカルボキシル基との間のエステル結合生成が含まれる。レオメーター測定曲線には、架橋戻りがなく、架橋構造が安定であり、架橋が急速度で生成していることが示されていると言われている。
【0008】
米国特許第5,173,557号に開示されているのは、イソシアナート基で官能基化されたエラストマー性ポリマーと少なくとも2つのツェレウィチノフ型の活性水素を含む化合物とからなる自己加硫性組成物、または、ツェレウィチノフ型の活性水素を有するエラストマー性ポリマーと少なくとも2つのイソシアナート基を含む化合物とからなる自己加硫性組成物である。それとは別な方法で、イソシアナート基かツェレウィチノフ型の活性水素かのどちらかを含むエラストマー性ポリマーを使用することができ、この場合は別途の架橋剤は使用しない。この活性水素は、たとえば、水酸基、アミノ基、カルボキシル基あるいはチオール基として存在することができる。エラストマーが早まって架橋してしまうような好ましくない状況を避ける目的で、イソシアナート基を適当な官能基であらかじめブロックしておき、これを加熱によって除去すると、遊離イソシアナート基と活性水素の間の架橋反応が始まるが、これには触媒の助けを借りることもある。
【0009】
イタリア国特許第1 245 551号には、エポキシ化させたエラストマーとR1−R−R2の化学式を有する加硫剤を含む自己加硫性組成物が記載されている。ここでRは、アリーレン、アルキレンまたはアルケニレン基であり、一方R1およびR2は、カルボキシル、アミン、スルホンまたはクロロスルホン基である。ジカルボン酸もしくはポリカルボン酸、またはそれらの混合物を加硫剤として使用することもできる。エポキシ化させたエラストマーと、ポリマー鎖中のくり返し単位に少なくとも1つのカルボキシル基が含まれているような第2のエラストマーとを含む自己加硫性組成物もまた記載されている。たとえば、自己加硫性組成物を得るには、エポキシ化エラストマー(たとえば、マレーシア・ラバー・プロデューサー・リサーチ・アソシエーション(Malaysian Rubber Producers Research Association)から商品名Epoxiprene(登録商標)として得られるものの内の、ENR25またはENR50という商品)を、テレフタル酸、セバシン酸またはマレイン酸と混合する。エポキシ基とカルボキシル基を加熱すると架橋反応が起こり、エステル結合が生成する。
【0010】
本願出願人の経験から言えば、先行技術としてこれまで提案されてきた自己加硫性組成物は、硫黄あるいはその誘導体を用いて加硫される従来からの組成物の有効な代替物とはなり得ない。その理由は、架橋させた製品の性能品質が一般に不十分であり、特に、高弾性高強度の性能品質(high elastic and tensile performance)が要求されるタイヤコンパウンドのような用途では不十分だからである。実例をあげれば、たとえば、上記のイタリア国特許第1 245 551号に記載された自己加硫性組成物ではカルボキシル基を含む加硫剤を使用するが、しかしこの場合、得られるエラストマー混合物の破断時伸びは低く(一般に200%を超えることはない)、ほとんどのタイヤ用途、たとえばトレッドバンドの製造には使用できない。さらに、ジカルボン酸は一般に結晶性の固体形状をしており、その融点は150℃より高い。そのために、混合フェーズの間でも、ポリマー中に架橋剤がうまく分散しない。
【0011】
驚くべきことに、本願発明者は、エポキシ基を含むエラストマー性ポリマーと脂肪酸のオリゴマーとの混合物を含む自己架橋性組成物を使用すれば、実質的に別途の架橋剤を添加しなくても、架橋させた製品、特に車両の車輪用で好ましい性質を併せ持つタイヤ、を製造することができることを見出した。
【0012】
加熱しさえすれば、従来タイプの架橋剤を添加しなくても、これらの組成物が高度の架橋を形成し、しかも、その架橋に要する時間は工業的使用で許容される範囲内に収まる。こうして得られる架橋済みの製品は、優れた機械的、弾性的性能品質を併せ持ち、特に破断時応力、破断時延び、モジュラスおよび硬度の面で優れているので、上記の自己架橋性組成物は、タイヤ、特にトレッドバンドの製造のための弾性材料として特に適したものとなる。
【0013】
さらに、脂肪酸のオリゴマーを使用すれば、それらは通常液状であるので、優れた加工性を有し、相溶化剤(compatibilizing additives)を加えなくても補強用フィラーを取り込む能力の高い、架橋性の組成物を得ることができる。その理由は、これらのカルボキシル化された製品は、架橋剤としてだけではなく加工補助剤としても機能し、また活性な水酸基を有する補強用フィラー(たとえばシリカ)と相互作用を持つことができるので、ポリマーマトリックスへのフィラーの相溶性を高めるからである。
【0014】
第1の態様においては、以上のように本発明は、車両の車輪用タイヤを製造する方法に関するもので、前記方法には
少なくとも1種の架橋性エラストマー材料を含む未加工タイヤを製造する工程と、
前記未加工タイヤを加硫用金型で画成される金型キャビティの中で成形にかける工程と、
所定の温度で所定の時間をかけて前記タイヤを加熱してエラストマー材料を架橋させる工程とが含まれ、
前記架橋性エラストマー材料に、(a)エポキシ基を含むエラストマー性ポリマー、および(b)脂肪酸のオリゴマーを含むことを特徴としている。
【0015】
1つの好ましい実施態様においては、前記架橋フェーズを、実質的に別途の架橋剤を添加することなく実施する。
【0016】
他の好ましい態様においては、架橋性エラストマー材料を、少なくとも3分間、好ましくは少なくとも10分間の間、少なくとも120℃、好ましくは少なくとも160℃の温度に加熱することによって、この架橋フェーズを実施する。
【0017】
特に好ましい態様においては、前記架橋性エラストマー材料には補強用フィラーも加える。
【0018】
第2の態様において、本発明は、車両の車輪用のタイヤに関するものであり、そのタイヤには架橋性エラストマー材料から作った1種または複数の要素が含まれ、前記要素の少なくとも1種は、架橋性エラストマー材料として、脂肪酸のオリゴマーと反応することで架橋するエポキシ基を持つエラストマー性ポリマーを含むことを特徴とする。
【0019】
本発明のさらなる態様においては、本発明は、車両用のタイヤに関し、そのタイヤにはカーカス構造の周りで同軸上に延在するベルト構造と、該ベルト構造の周りで同軸上に延在し、外周には路面と接触することを目的とする回転表面を有するトレッドバンドとが含まれるが、ここで、前記トレッドバンドに脂肪酸のオリゴマーとの反応によって架橋されるエポキシ基を有するエラストマー性ポリマーが含まれていることを特徴としている。
【0020】
さらなる態様によれば、本発明は(a)エポキシ基を含むエラストマー性ポリマーと、(b)脂肪酸のオリゴマーとを含む、架橋性エラストマー組成物を含むトレッドバンドに関する。
【0021】
さらなる態様によれば、本発明は(a)エポキシ基を含むエラストマー性ポリマーと、(b)脂肪酸のオリゴマーとを含む、架橋性エラストマー組成物に関する。
【0022】
さらなる態様によれば、本発明は先に定義した架橋性組成物を架橋させることによって得られる架橋したエラストマー製品に関する。
【0023】
本願明細書および特許請求の範囲における、「実質的に別途の架橋剤を添加しない」という表現は、この架橋性組成物が、架橋をもたらすことができる他のシステムの作用を受ける必要がないことを意味し、また、この組成物中に存在させておくことが可能な他の製品類がそれら自体で架橋反応に関わっても構わないが、短時間(たとえば5分以内)にかなりの程度の架橋を起こさせるのに必要な最低量よりも少ない量で使用される、ということを意味している。特に本発明による組成物は、当技術において通常使用されるような架橋システム、たとえば硫黄や硫黄供与体、過酸化物、あるいはその他のラジカル開始剤などを実質的に一切使用しなくても架橋することが可能であり、またこれら組成物は、ポリマー中で架橋現象を起こさせる目的での高エネルギー照射(紫外線、ガンマ線など)の作用を必要としないのである。
【0024】
脂肪酸のオリゴマーは、常温では、油状または高粘度液状の形をとっている。
【0025】
「脂肪酸のオリゴマー」という表現は、各種の分子量をもつ製品の混合物であること、特にその脂肪酸の(あるいは、各種の出発脂肪酸類の)ダイマーおよびトリマーであることを意味している。最終的な製品中に脂肪酸のダイマーおよびトリマーに混じって未反応のモノマーが存在していても構わない。これらのモノマーは任意に、たとえば蒸留によって最終製品から除去することも可能である。しかしながら、出発物質の脂肪酸が存在したとしても組成物の性質に悪影響をおよぼすことは無いと考えられる。
【0026】
本発明における脂肪酸のオリゴマーは、公知技術にしたがい、触媒、たとえばクレイ、活性白土(active earth)、モンモリロナイトあるいは非活性化クレイと水の混合物の存在下で、加熱条件下で、不飽和脂肪酸または少なくとも1種の不飽和脂肪酸を含む飽和脂肪酸混合物を反応させることによって得ることができる。
【0027】
別な方法として、上記と類似の反応により、対応するエステル類をオリゴマー化させ、次いでそれを加水分解することによっても、脂肪酸のオリゴマーを得ることができる。上記の反応については、米国特許第4,937,320号、同第4,776,983号および同第5,880,298号に詳しく記載されている。しかしながらここで注目しておかなければならないのは、不飽和脂肪酸を含む出発反応混合物中に飽和脂肪酸が存在していても構わないということである。これらの脂肪酸では一般に、炭素原子を10〜26個、好ましくは炭素原子を14〜22個含んでいる。
【0028】
不飽和脂肪酸の例をあげると以下の、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、リシノール酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸など、およびそれらの混合物などがある。
【0029】
混合物中に存在させてもよい飽和脂肪酸の例をあげると以下のようなものがある;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸など、およびそれらの混合物。
【0030】
上記のようにしてオリゴマーを得るための、特に好ましい出発物質は植物性油であって、たとえば、あまに油、サフラワー油、大豆油、とうもろこし油、綿実油、なたね油、ひまし油、きり油、トール油、タル油酸オクチル、ひまわり油、オリーブ油など、およびそれらの混合物である。
【0031】
本発明による組成物に使用できるエポキシ基含有ポリマーは、エラストマー性を有するホモポリマーまたはコポリマーであって、そのガラス転移温度(Tg)が23℃未満、好ましくは0℃未満であり、ポリマー中に存在するモノマーの全モル数に対してエポキシ基を1〜60モル%、好ましくは2〜40モル%含むものである。エポキシ基を含む異なったポリマーの混合物、あるいはそれとは別に、1種または複数のエポキシ化ポリマーを1種または複数の非エポキシ化エラストマー性ポリマーと混合したものも、この定義の範囲に含まれる。
【0032】
コポリマーの場合には、ランダム構造、ブロック構造、グラフト構造あるいはこれらが混合した構造であってよい。ベースポリマーの平均分子量は好ましくは2000〜1,000,000、好ましくは50,000〜500,000の範囲である。
【0033】
特に、合成品または天然品のベースポリマーの構造が1種または複数の共役ジエンモノマーからのものであり、任意にモノビニルアレーンおよび/または極性コモノマーと共重合させたような、エポキシ化ジエンホモポリマーまたはコポリマーが好ましい。
【0034】
特に好ましいポリマーは、炭素原子を4〜12個、好ましくは4〜8個含むジエンモノマーの(共)重合により得られるもので、それらのモノマーはたとえば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエンなど、およびそれらの混合物から選択されるが、1,3−ブタジエンおよびイソプレンが特に好ましい。
【0035】
コモノマーとして任意に用いることができるモノビニルアレーンは一般に8〜20個、好ましくは8〜12個の炭素原子を含んでいて、たとえば次のものから選択することができる、すなわち、スチレン;1−ビニルナフタレン;2−ビニルナフタレン;スチレンの各種のアルキル、シクロアルキル、アリール、アルキルアリールまたはアリールアルキル誘導体、たとえば、3−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−p−トリルスチレン、4−(4−フェニルブチル)スチレンなど、およびそれらの混合物である。スチレンが特に好ましい。これらのモノビニルアレーンは任意に1種または複数の官能基で置換されていてもよく、たとえばアルコキシ基による置換、たとえば4−メトキシスチレン、アミノ基による置換、たとえば4−ジメチルアミノスチレンなどがある。
【0036】
このベースポリマー構造中に各種の極性コモノマーを組み込むこともでき、具体的には、ビニルピリジン、ビニルキノリン、アクリル酸およびアルキルアクリル酸エステル、ニトリルなど、あるいはそれらの混合物であり、例をあげれば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリロニトリルなどである。
【0037】
ジエンポリマーの中でも特に好ましいのは、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン/ブタジエンコポリマー、ブタジエン/イソプレンコポリマー、スチレン/イソプレンコポリマー、ニトリルゴムなど、およびそれらの混合物である。
【0038】
コポリマーの場合、他のコモノマーに対するジエンコモノマーの量は、最終的に得られるポリマーがエラストマー性を有するような量にする。この意味では、所望のエラストマー的性質を得るために必要なジエンコモノマーの最小量を一般的に定めることは不可能である。指標としては、コモノマーの全量に対してジエンコモノマーの量が少なくとも50重量%であれば、一般的には十分と考えられる。
【0039】
ベースのジエンポリマーは公知の技術すなわち、一般的には乳化重合、懸濁重合または溶液重合により調製することができる。そのようにして得られるベースポリマーは次いで、公知の技術によりエポキシ化させるが、それにはたとえば、溶液中でエポキシ化剤と反応させる。一般にこの反応剤は、過酸化物または過酸、たとえば、m−クロロ過安息香酸、過酢酸など、または過酸化水素であり、カルボン酸またはその誘導体たとえば酢酸、無水酢酸などを共存させ、任意に硫酸のような酸触媒を混合する。エラストマー性ポリマーをエポキシ化させるための方法に関しては、米国特許第4,341,672号、または、SchulzらによるRubber Chemistry and Technology第55巻、第809頁以下にさらに詳しく記載されている。
【0040】
使用可能なその他の、エポキシ基を含むポリマーとしては、1種または複数のモノオレフィンを、1または複数のエポキシ基を含むオレフィン系コモノマーと組み合わせたエラストマーコポリマーがある。このモノオレフィンは以下のものから選択することができる、すなわち、エチレンおよび一般に3〜12個の炭素原子を含むα−オレフィン、たとえば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどおよびそれらの混合物である。好ましいのは次のもの、すなわち、エチレンとα−オレフィンのコポリマーで任意にジエンを加えたもの、イソブテンのホモポリマーまたはそのコポリマーであって、少量のジエンを含み、任意に少なくともその一部をハロゲン化させたものである。任意に加えるジエンは一般的には4〜20の炭素原子を含み、好ましくは、次のものから選択される、すなわち、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,4−ヘキサジエン、1,4−シクロヘキサジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネンなどである。これらの内でも、以下のものが特に好ましい、すなわち、エチレン/プロピレンコポリマー(EPR)またはエチレン/プロピレン/ジエンコポリマー(EPDM);ポリイソブチレン;ブチルゴム;ハロブチルゴム、特にクロロブチルまたはブロモブチルゴム;など、およびこれらの混合物である。エポキシ基を含むオレフィン系コモノマーは次のようなものから選択することができる、すなわち、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、ビニルシクロヘキセンモノオキシド、アリルグリシジルエーテルおよびメタアリルグリシジルエーテルなどである。上記のエポキシ化コモノマーによってエポキシ基を導入することは、公知の技術にしたがって、その対応するモノマーを共重合させることによって可能であるが、特に乳化状態でラジカル共重合させるのがよい。ジエン系のコモノマーが共存している場合には、先に述べたエポキシ化反応によってエポキシ基を導入するのに、それを用いることができる。
【0041】
本発明において使用することができ、現在市販されているエポキシ化させたエラストマー性ポリマーの例としては、ガスリー(Guthrie)社のEpoxyprene(登録商標)(エポキシ化天然ゴム、ENR)という商品および、エルフ・アトケム(Elf Atochem)社のPolyBD(登録商標)(エポキシ化ポリブタジエン)という商品などがあげられる。
【0042】
本発明によれば、脂肪酸のオリゴマーをエポキシ化エラストマー性ポリマーと混合するが、その混合比は、存在している官能基の量に応じ、また、最終製品に付与しようとする弾性の程度に応じて変化させる。一般にこのオリゴマーの量は、エポキシ化ポリマーの重量に対して3重量%〜50重量%、好ましくは10重量%〜30重量%、より好ましくは8重量%〜24重量%の範囲である。
【0043】
本発明の架橋性組成物には補強用フィラーを、一般に30phr〜120phrの範囲で加えることができる(phr=ポリマーベース100部あたりの重量部)。この補強用フィラーは、架橋製品、特にタイヤに通常使用されるものから選択すればよいが、たとえば、カーボンブラック、シリカ、アルミナ、アルミノシリケート、炭酸カルシウム、カオリンなど、またはそれらの混合物である。
【0044】
本発明の架橋性組成物には、その他の通常使用されている添加物も加えることができるが、それらは目的とする特定の用途を基準にして選択することができる。たとえば、抗酸化剤、保護剤、可塑剤、補強用フィラーのための相溶化剤、接着剤、抗オゾン化剤、変性用樹脂、繊維(たとえばKevlar(登録商標)パルプ)などを、これらの組成物に添加することができる。
【0045】
特に、加工性をさらに改良するために、鉱油、植物油、合成油などまたはそれらの混合物、たとえば、芳香油、ナフテン系油、フタル酸エステル、大豆油などから一般に選択される可塑剤を、本発明による架橋性組成物に添加することもできる。潤滑剤の量は一般的に、2〜100phrの範囲、好ましくは5〜50phrの範囲でよい。
【0046】
架橋速度を上げる目的で、本発明の架橋性組成物に有効量のカップリング触媒を加えることできる。その添加量は広い範囲で変えることができるが、エポキシ化エラストマー性ポリマー100重量部に対して、一般的には0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部の範囲である。この触媒は、カップリング反応用で、当業者に公知のものから選択すればよいが、具体的には、
−スズ、亜鉛、ジルコニウム、鉄、鉛、コバルト、バリウム、カルシウム、マンガンなどの金属のカルボキシレート、たとえば、ジラウリン酸ジブチルスズ、ジ酢酸ジブチルスズ、ジラウリン酸ジオクチルスズ、酢酸第一スズ、カプリン酸第一スズ、ナフテン酸鉛、カプリル酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクタン酸第一鉄、2−エチルヘキサン酸鉄など、
−アリールスルホン酸またはその誘導体、たとえば、p−ドデシルベンゼンスルホン酸、テトラプロピルベンゼンスルホン酸、アセチル−p−ドデシルベンゼンスルホネート、1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、アセチルメタンスルホネート、アセチルp−トルエンスルホネートなど、
−無機強酸または強塩基、たとえば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、塩酸、硫酸など、
−アミンおよびアルカノールアミン、たとえば、エチルアミン、ジブチルアミン、ヘキシルアミン、ピリジン、ジメチルエタノールアミンなど、およびこれらの混合物である。
【0047】
本発明の架橋性組成物は、当業者公知の技術を用いて、ポリマーベースを(任意に添加可能な)補強用フィラーおよびその他の添加物と混合することによって調製することができる。この混合を行うのに使用できる装置としては、たとえば、開放式ロール混合機、または接線方向ローター(tangential rotors)型(バンバリー型)または相互貫入ローター(interpenetrating rotors)型(インターミックス型)のような内部型ミキサー、または、コニーダー(Ko−Kneader)(バス型)もしくは同方向回転もしくは逆方向回転の二軸タイプの連続ミキサーなどがある。
【0048】
混合の間は、温度を所定の値以下に保ち、組成物が早まって架橋することがないようにする。この目的のためには通常温度を、170℃以下、好ましくは150℃以下、より好ましくは120℃以下に保つ。混合時間については、主として混合物中にある組成によって、さらに場合によっては共存しているフィラーおよび使用しているミキサーのタイプによって、広範囲に変えることができる。一般には混合時間を90秒超、好ましくは3〜35分の間とすれば、均一な組成物を得るには十分である。
【0049】
先に記したように、温度を所定の値以下に保ちながらフィラーの分散を最適に行うために、多段の混合工程を採用してもよく、任意に、異なったタイプのミキサーを順に組み合わせてもよい。
【0050】
上記の混合プロセスに代わるものとして、組成物の分散状態を改良するために、脂肪酸のオリゴマーおよび任意成分の補強用フィラーやその他の添加物とエポキシ化ポリマーベースとの混合を、水性エマルションまたは有機溶媒溶液中で実施すると、本発明による架橋性組成物を都合良く調製することができる。任意成分のフィラーは上記のような形、または、水性媒体中の懸濁液または分散液の形で使用することができる。次いでポリマーを、適当な手段を用いて、溶媒または水から分離する。たとえば、エマルション中でポリマーを使用した場合には、凝固剤を添加することによって、油相と任意成分のフィラーを含む微粒子の形でポリマーを沈殿させることができる。使用可能な凝固剤は、具体的には、電解質溶液で、たとえば水性のケイ酸ナトリウムまたはケイ酸カリウム溶液である。この凝固法は揮発性の有機溶媒を使用すれば促進することが可能で、この溶媒は次いでフィラー入りのポリマーの沈降の間に蒸発により除去される。さらに、エラストマー性化合物の調製のためにこのタイプの方法を用いることについては、たとえば、米国特許第3 846 365号などに詳細な記述がある。
【0051】
本発明を図1を参照しながら、いくつかの実施例でさらに説明する。
【0052】
添付の図1は、本発明によるタイヤの部分破断面を含む断面図である。
【0053】
図1では、タイヤ1には従来品同様に少なくとも1つのカーカスプライ2が含まれ、その両側の縁部はそれぞれアンカリングビードワイヤー3に連接されており、各アンカリングビードワイヤー3はタイヤの周方向内縁部を画成するビード4内に封入され、ビード4によってタイヤが車両の車輪の一部を形成するリム5の上に係合している。
【0054】
カーカスプライ(2)とビードワイヤー(3)との間の連接は通常、カーカスプライ(2)の横方向の両端をビードワイヤー(3)のまわりに折り曲げて行い、それによっていわゆるカーカスフォールドが形成される。
【0055】
それとは別な方法として、従来から使用されているビードワイヤー(3)を、同心コイル状に配列した細長要素(elongated components)によって形成した1対の周方向には伸縮不能な環状インサートに置換えてもよい(図1に示さず)(たとえば、欧州特許出願A第0 928 680号および同A第0 928 702号参照)。この場合、カーカスプライ(2)は、前記環状インサートのまわりで折り返すことはせず、連接は第1のカーカスプライの上に外側に設けた第2のカーカスプライ(図1に示さず)によって行われる。
【0056】
カーカスプライ2の周方向に沿って、1本または複数のベルトストリップ6が設けられるが、これは金属または織布のコードをゴムシートに封入して作られている。カーカスプライ2の外側の、このプライのそれぞれ向かい合っている側部には、1対のサイドウォール7が取り付けられ、このサイドウォールはそれぞれビード4からタイヤのいわゆる「ショルダー」領域8にまで延在しており、この領域はベルトストリップ6の両端部となっている。ベルトストリップ6の上には、トレッドバンド9が周方向に設けられていて、その側面の縁部はショルダー8で終わっていて、サイドウォール7に連結している。トレッドバンド9はその外側に路面と接触するように設計された回転表面9aを有していて、そこには、横方向に切り込みを挿入した周方向の溝10(添付図面には表示せず)が設けられていて、それによって前記回転表面9aの上に複数のブロック11がさまざまに分散されている。
【0057】
本発明によるタイヤを製造する方法は、当業者公知の技術および装置を用いることで実施することができる(たとえば、欧州特許第199 064号、米国特許第4,872,822号および米国特許第4,768,937号を参照)。より具体的には、本方法には未加工タイヤを製造する工程が含まれ、そこでは、あらかじめそれぞれ別個に製造され、タイヤの各部位(カーカスプライ、ベルトストリップ、ビードワイヤー、フィラー、サイドウォールおよびトレッドバンド)に対応する一連の半完成品要素類が、適切な製造機械を用いて互いに組み合わされる。
【0058】
こうして得られた未加工タイヤを次の成形、架橋の工程に送る。この目的のために、加硫用金型を使用するが、この金型は金型キャビティの中に加工する対象のタイヤを収めるように設計されており、金型キャビティの壁は、架橋が完了した時のタイヤの外表面とは凹凸が反転した形状をしている。半完成品要素類を用いずにタイヤやタイヤ部品を製造するための別な方法も、たとえば、上記の特許出願、欧州特許出願A第0 928 680号および同A第0 928 702号に記載されている。
【0059】
未加工タイヤは、タイヤの内部表面により画定される空間の中に加圧流体を導入し、未加工タイヤの外表面を金型キャビティの壁に押しつけることによって、成形することができる。広く実行されている成形法の1つでは、金型キャビティの内側に封じ込めたタイヤの中で、蒸気および/または他の加圧流体を充満させた、エラストマー材料から作られた加硫チャンバーを膨らませるものがある。この場合、その未加工タイヤは金型キャビティの内壁に押さえつけられることになり、それにより所望の型押しが得られる。それとは別の方法で、膨張性の加硫チャンバーを使用しないで成形する方法もあり、それでは、目的とするタイヤの内表面の形状に合わせた形状の円環型の金属製支持体をタイヤの内部に設ける(たとえば、欧州特許第242 840号参照)。この円環状金属製支持体と生のエラストマー材料との間の熱膨張率の差を利用して、十分な成形圧力を得ようとするものである。
【0060】
この時点で、タイヤ中に存在する生のエラストマー材料の架橋工程が実行される。この目的を達成するために、加硫用金型の外側壁面を加熱流体(通常はスチーム)と接触させて、その外側表面を最高温度、通常は100℃〜230℃の間の温度になるようにする。同時に、タイヤの内側表面も、タイヤを金型キャビティの壁に押さえつけるのに使用されているのと同じ加圧流体を用いて架橋温度とし、最高温度100〜250℃に加熱する。エラストマー材料全体を十分な架橋度に達せしめるのに必要な時間は、一般に3分〜90分であるが、これは主として、タイヤのサイズによって決まってくる。
【0061】
本発明を、いくつかの実施例を用いて以下でさらに説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
【0062】
実施例1〜8
表1に示した化合物を、接線方向型内部ミキサーを用い、約30分間の撹拌時間で調製したが、温度は可能な限り低く保つよう配慮し、いずれの場合においても120℃を超えないようにした。
【0063】
ISO標準289/1にしたがって、未架橋の組成物について100℃でのムーニーML(1+4)粘度を測定した。次いでその組成物をモンサント(Monsanto)社のMDRレオメーターを用いてMDRレオメーター解析にかけたが、その試験は200℃、30分間で実施し、振動数は1.66Hz(毎分100振動)、振幅は±0.5度であった。得られた最小トルク(ML)および最大トルク(MH)の値を表2に示す。
【0064】
上記の組成物を200℃で15分間かけて架橋させた試料について、機械的物性(ISO標準37による)およびIRHD硬度(ISO標準48による)を測定した。結果を表2に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
表2からわかるように、オリゴマーと共に加硫させた混合物での伸びの値は、参考混合物(比較例1および2)の対応する値の2倍を超えるものである。
【0068】
表2にはまた、以下の方法による引張・圧縮における動的インストロン試験器を用いて0℃および70℃で測定した動的弾性率(dynamic elastic modulus)(E’)の値も示している。
【0069】
架橋させた材料の円筒状試験片(長さ25mm、直径14mm)を、あらかじめ圧縮の予備荷重をかけて元の長さに対して10%だけ長手方向に変形させ、試験の間所定の温度(0℃または70℃)に保持しながら、100Hzの振動数で、予備荷重下における長さに対して±3.33%の振幅で動的正弦波状変形を加えた。
【0070】
本発明による化合物のモジュラス値および硬度は低く、タイヤ用途、特にトレッドバンドを製造するには好適である。
【0071】
実施例9(比較例)
先に記した実施例と同じ撹拌器を用いて、表3に示す比較例化合物を調製した。
【0072】
この化合物を170℃で10分間かけて架橋させ、上記の実施例1〜8に記したのと同じ測定を行った。
【0073】
結果を表4に示すが、ここでは実施例8の値と比較している。
【0074】
【表3】
【0075】
表4のデータから、本発明による組成物によって、硫黄架橋によって得られる従来のトレッドバンド混合物と同等の性質をもつ架橋製品が得られることが明らかである。さらに、本発明による架橋組成物では以下のようなことが言える。
−tanδの0℃における値は、よく知られているように、濡れ時グリップの指標であるが、これが参照化合物で得られる数値に比較すると高く、したがって、本発明による組成物がより高い性能品質を有している。
−E’の70℃における値は、よく知られているように、「ドライハンドリング」条件下でのコーナリング時のトレッドバンドの安定性の指標であるが、これが参照化合物で得られる数値に比較すると同等であり(したがって、コーナリングの時の応力に対してタイヤが良好な応答を示す)、
−tanδの70℃における値は、よく知られているように、転がり抵抗の低さの指標であるが、これが参照化合物の値よりも低く、したがって、転がり抵抗も低いことを示している。
【0076】
さらに注目すべき重要な点は、実質的に同等の性能品質を有していながら、本発明の化合物の配合が、従来からの化合物のそれと比較すると、明らかに単純化されており(表3参照、11成分から5成分になっている)、これは工業的な生産においては大きな利点である。特筆すべきは、硫黄による加硫システムを含まないことに加えて、本発明による組成物は、フィラーにシリカを用いた場合でも、シリカに対するカップリング剤を必要とせず、また、ポリマーマトリックス中にフィラーを十分に分散させ相溶化させるための、複雑な熱機械的な操作のプロセスを必要としないことである。
【0077】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるタイヤの部分破断面を含む断面図である。
Claims (47)
- 車両の車輪用のタイヤを製造する方法であって、
少なくとも1種の架橋性エラストマー材料を含む未加工タイヤを製造する工程と、
該未加工タイヤを加硫用金型で画成される金型キャビティの中で成形にかける工程と、
所定の温度と所定の時間をかけて前記タイヤを加熱してエラストマー材料を架橋させる工程とを含み、
該架橋性エラストマー材料に(a)エポキシ基を含むエラストマー性ポリマー、および(b)脂肪酸のオリゴマー、が含まれることを特徴とする方法。 - 前記架橋工程を、実質的に別途の架橋剤を添加することなく実施する、請求項1に記載の方法。
- 前記架橋工程を、前記架橋性エラストマー材料を少なくとも120℃の温度で少なくとも3分間加熱することによって実施する、請求項1または2に記載の方法。
- 前記エラストマー材料が、補強用フィラーをさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 脂肪酸の前記オリゴマーが、ダイマーもしくはトリマー、またはそれらの混合物を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- 前記脂肪酸が、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、リシノール酸、リノール酸、リノレン酸およびアラキドン酸、またはそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- 前記脂肪酸が植物油である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
- 前記植物油が、あまに油、サフラワー油、大豆油、とうもろこし油、綿実油、なたね油、ひまし油、きり油、トール油、タル油酸オクチル、
ひまわり油およびオリーブ油、またはそれらの混合物からなる群より選択される、請求項7に記載の方法。 - 前記エポキシ基を含むエラストマー性ポリマーが、エラストマー的性質を有するホモポリマーまたはコポリマーであって、ポリマー中に存在するモノマーの全モル数に対してエポキシ基が1〜60モル%の量で含まれる、
請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。 - エポキシ基を含む前記エラストマー性ポリマーが、エラストマー的性質を有するホモポリマーまたはコポリマーであって、ポリマー中に存在するモノマーの全モル数に対してエポキシ基が2〜40モル%の量で含まれる、請求項9に記載の方法。
- エポキシ基を含む前記エラストマー性ポリマーのガラス転移温度(Tg)が23℃よりも低い、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
- 前記エラストマー性ポリマーの平均分子量が2,000から1,000,000の間である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
- 前記エラストマー性ポリマーの平均分子量が50,000から500,000の間である、請求項12に記載の方法。
- 前記エラストマー性ポリマーが、1種または複数の共役ジエンモノマーから得られるエポキシ化ジエンホモポリマーまたはコポリマーであって、任意にモノビニルアレーンおよび/または極性コモノマーと共重合されている、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
- 前記エラストマー性ポリマーがエポキシ化された天然ゴムである、請求項14に記載の方法。
- 前記エラストマー性ポリマーが、1種または複数のモノオレフィンと、1つまたは複数のエポキシ基を含むオレフィン性コモノマーとのコポリマーである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
- 前記エラストマー性ポリマーが、1種または複数の非エポキシ化エラストマー性ポリマーとの混合物である、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
- 前記脂肪酸のオリゴマーが、エポキシ化ポリマーの重量に対して3重量%から50重量%の間の量で存在する、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
- 前記脂肪酸のオリゴマーが、エポキシ化ポリマーの重量に対して10重量%から30重量%の間の量で存在する、請求項18に記載の方法。
- 前記架橋性エラストマー材料が、有効量のカップリング触媒を含む、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法。
- 架橋されたエラストマー材料から得られる1種または複数の要素を含む車両の車輪用のタイヤであって、前記要素の少なくとも1つが、架橋されるエラストマー材料として、脂肪酸のオリゴマーとの反応によって架橋されたエポキシ基を含むエラストマー性ポリマーを含むことを特徴とするタイヤ。
- 前記エポキシ化されたエラストマー性ポリマーが、実質的に別途の架橋剤を添加することなく架橋されている、請求項21に記載のタイヤ。
- 前記架橋されたエラストマー性材料が、補強用のフィラーをさらに含む、請求項21または22に記載のタイヤ。
- 前記脂肪酸のオリゴマーが、請求項5〜8のいずれか1項により規定される、請求項21〜23のいずれか1項に記載のタイヤ。
- 前記エポキシ基を含むエラストマー性ポリマーが、請求項9〜17のいずれか1項により規定される、請求項21〜24のいずれか1項に記載のタイヤ。
- カーカス構造の周りで同軸上に延在するベルト構造と、該ベルト構造の周りで同軸上に延在し、外周には路面と接触することを目的とする回転表面を有するトレッドバンドとを備えた車両用のタイヤであって、前記トレッドバンドが、脂肪酸のオリゴマーとの反応によって架橋されるエポキシ基を含むエラストマー性ポリマーを含むことを特徴とするタイヤ。
- 前記トレッドバンドが補強用フィラーをさらに含む、請求項26に記載のタイヤ。
- 前記エポキシ化エラストマー性ポリマーが、実質的に別途の架橋剤を添加することなく架橋されている、請求項26または27に記載のタイヤ。
- 前記脂肪酸のオリゴマーが、請求項5〜8のいずれか1項により規定される、請求項26〜28のいずれか1項に記載のタイヤ。
- 前記エポキシ基を含むエラストマー性ポリマーが、請求項9〜17のいずれか1項により規定される、請求項26〜29のいずれか1項に記載のタイヤ。
- (a)エポキシ基を含むエラストマー性ポリマーと、(b)脂肪酸のオリゴマーとを含む架橋性エラストマー組成物を含むトレッドバンド。
- 前記エポキシ化エラストマー組成物が、実質的に別途の架橋剤を添加せず架橋されている、請求項31に記載のトレッドバンド。
- (a)エポキシ基を含むエラストマー性ポリマーと、(b)脂肪酸のオリゴマーとを含む架橋性エラストマー組成物であって、該組成物が実質的に別途の架橋剤を添加しなくても架橋可能となっている、架橋性エラストマー組成物。
- 補強用フィラーをさらに含む、請求項33に記載の架橋性エラストマー組成物。
- 前記脂肪酸のオリゴマーが、ダイマーもしくはトリマー、またはそれらの混合物を含む、請求項33または34に記載の組成物。
- 前記脂肪酸が、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、リシノール酸、リノール酸、リノレン酸およびアラキドン酸、またはそれらの混合物からなる群より選択される、請求項33〜35のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記脂肪酸が植物油である、請求項33〜36のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記植物油が、あまに油、サフラワー油、大豆油、とうもろこし油、綿実油、なたね油、ひまし油、きり油、トール油、タル油酸オクチル、ひまわり油およびオリーブ油、またはそれらの混合物からなる群より選択される、請求項37に記載の組成物。
- エポキシ基を含む前記エラストマー性ポリマーが、エラストマー的性質を有するホモポリマーまたはコポリマーであって、ポリマー中に存在するモノマーの全モル数に対してエポキシ基が1〜60モル%の量で含まれる、請求項33〜38のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記エポキシ基を含むエラストマー性ポリマーが、エラストマー的性質を有するホモポリマーまたはコポリマーであって、ポリマー中に存在するモノマーの全モル数に対してエポキシ基が2〜40モル%の量で含まれる、請求項39に記載の組成物。
- 前記エラストマー性ポリマーが、1種または複数の共役ジエンモノマーから得られるエポキシ化ジエンホモポリマーまたはコポリマーであって、任意にモノビニルアレーンおよび/または極性コモノマーと共重合されている、請求項33〜40のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記エラストマー性ポリマーがエポキシ化された天然ゴムである、請求項41に記載の組成物。
- 前記エラストマー性ポリマーが、1種または複数のモノオレフィンと、1つまたは複数のエポキシ基を含むオレフィン性コモノマーとのコポリマーである、請求項33〜40のいずれか1項に記載の方法。
- 前記脂肪酸のオリゴマーが、エポキシ化ポリマーの重量に対して3重量%から50重量%の間の量で存在する、請求項33〜43のいずれか1項に記載の組成物。
- 前記脂肪酸のオリゴマーが、エポキシ化ポリマーの重量に対して10重量%から30重量%の間の量で存在する、請求項44に記載の組成物。
- 有効量のカップリング触媒をさらに含む、請求項33〜45のいずれか1項に記載の組成物。
- 請求項33〜46のいずれか1項に記載の組成物を架橋させることによって得られる、架橋されたエラストマー製品。
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