JP2004507372A - 工作機械スピンドルにおける工具または工作物用テンションジャッキの作動装置 - Google Patents

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Abstract

本発明は、工作機械スピンドルにおける工具または工作物用テンションジャッキの作動装置であって、ハウジング(5,6)の内部に配置され、工具または工作物用テンションジャッキ(2)を作動する加圧ピストン(10)を含む作動装置に関する。漏出流体を簡単に排出できる小型で省スペースの作動装置を提供するため、互いに間隔を隔てた複数の貫通ボア(16)を、ハウジング(5,6)の側壁(17)において中心軸線(15)を中心としてその周囲に形成し、加圧ピストンの補助により軸方向に移動可能な加圧プランジャ(14)をこのボア内に配置し、ハウジングが、加圧プランジャ(14)同士の間に径方向外向きに延びる部分(25)を有する少なくとも1つの漏出流路(22)を含む。

Description

【0001】
(技術分野)
本発明は、請求項1の前段(upper clause)に記載の、工作機械スピンドルにおける工具または工作物用テンションジャッキ(a tool or a workpiece tensioning jack)の作動装置に関する。
【0002】
(背景技術)
工作機械または処理センタの加工スピンドルは、原則として、処理工具の自動的な緊張及び解放のための、一体型テンションジャッキを備える。従来の工具テンションジャッキにおいては、通常、カップばねパケット(cup spring packet)によって張力をかけられたテンションロッド(tensioning rod)の前端部に位置し、工具または工具ホルダの対応する締めボルトに係合するテンション挟持部材(tensioning grasper)によって工具を保持する。工具を解放するには、通常油圧で作動するピストンシリンダ装置によって、テンションロッドをカップばねパケットの張力に抗して逆向きに移動することにより、テンションジョーを開いて工具を解放する。多くの場合、冷却剤用内側注入口が設けられ、潤滑冷却剤を、加工スピンドルの内部を通過させ、例えば中空のテンションロッドを介して、工具に供給することができる。ただし、この場合、加工中に、静止する接続部材から回転する部品に潤滑冷却剤を適当な装置を通過させて送る必要があり、原則として、いわゆる回転リードスルー(回転貫通体:rotary lead throughs)が使用される。回転リードスルーでは、冷却剤の固定部品から回転部品への移行は、互いに対してスライドする密閉リングにより実現する。特に省スペースの小型デザインを実現するために、この回転リードスルーを工具用テンションジャッキの作動装置内に一体形成することができる。しかしながら、このタイプの回転リードスルーは、完全に漏れを防止できるわけではなく、静止部品と回転部品の接続部においては特に潤滑冷却剤が漏出する可能性がある。このため、小型デザインにおける主な課題は、漏出流体を適切かつ確実に除去することである。
【0003】
ドイツ特許DE19543612C1により、工具または工作物のテンションジャッキのための同様の作動装置が知られている。この作動装置は、ハウジング内部に配置され、ばねの集合体により予め張力が付与されたテンションロッドを作動させる加圧ピストンを含む。この作動装置には、回転リードスルーが一体形成されている。回転リードスルーは、テンションロッドに接合した第1のスライド座金(slide washer)と、別のシール部分に配置された第2のスライド座金とを含む。リングピストンとして設計された加圧ピストンは、固定装置部分において軸方向に移動するシリンダ内に配置されている。リングピストンがシリンダ内で加圧されると、ピストンは内部係合要素によりスピンドルに対して突っ張り、軸方向に移動するシリンダに、対応する対向力を作用させる。こうして、テンションロッドと回転リードスルーがともに移動する。
【0004】
本発明の目的は、漏出した流体を簡単に除去できる、上述のタイプの小型で省スペース型の作動装置を生成することである。
【0005】
本発明においては、上記の目的は、請求項1の特性を備えた作動装置により達成される。
【0006】
加圧プランジャを互いに間隔を隔てて配置することにより、加圧プランジャ間に、1つ以上の漏出穿孔(leakage bores)または漏出流路が通過する空間が形成され、ここに漏出流体が背圧を受けることなく流れ込むため、この流体を回収したり、あるいは流体に対応する通路を通過させることにより除去することができる。特に、工作機械スピンドルの垂直位置においては、漏出流体は重力により下方に流れるため、適当な間隔で排出できる。あるいは、必要に応じて、適当な通路を通過させて漏出流体を連続的に排出させることもできる。本発明による作動装置は特に小型の装置であるため、利用可能な空間がほとんど存在しない工作機械に非常に適している。
【0007】
本発明の有用な実施形態及び好ましい改良が従属クレームに記載されている。
【0008】
例えば、単純設計で低コストの実施形態では、ハウジングが、内側ハウジング部と、これにしっかり固定された外側ハウジング部とを含み、加圧ピストンのための環状加圧空間が形成されている。漏出流路は、好ましくは、ハウジングの中心軸に対して平行および垂直に延びる穿孔により形成される。これらの穿孔は、その外側開放端部が、ストッパプラグまたは排出ねじによりシールされている。あるいは、対応する排出路に通じている。
【0009】
作動装置のハウジング内部には、動作中に回転する工作機械スピンドルのための動作流体と洗浄(クリーニング)流体の少なくともいずれかを注入するための回転リードスルーが設けられている。回転リードスルーは好ましくは、別体のハウジング内に配置され、装着または取り外しが簡単にできる。
【0010】
さらに、クランプ面などをクリーニングするための空気流入通路を、作動装置のハウジングに設けることができる。
【0011】
さらなる詳細及び効果が、図面を参照した好ましい1設計例に関する以下の説明に示されている。
【0012】
(発明を実施するための最良の形態)
図1は、工作機械スピンドル1に組み付けられた工具テンションジャッキ2の一部及び工作機械スピンドル1に対する動作流体と洗浄流体の少なくともいずれかを注入するためのいわゆる回転リードスルー4を備えた作動装置3を示している。図示される工具テンションジャッキ2及び作動装置3の部品は、図1の上半分においては解放状態を示し、下半分においては緊張状態を示している。
【0013】
図1より明らかなように、作動装置3は、内側ハウジング部5と、これにしっかりとねじ固定された外側ハウジング部6とから構成される、中空の円筒ハウジングを含む。これら内側及び外側ハウジング部5及び6により形成される加圧チャンバ9は、ガスケット7または8により外側からシールされている。この加圧チャンバ9内部を、環状の加圧ピストン10が軸方向にスライド移動できる。加圧ピストン10は、内側及び外側シール要素11,12により、環状加圧チャンバ9の内壁及び外壁に対してシールされている。円周方向に同一の角度で互いに間隔をあけて配置された複数の円筒加圧プランジャ14は、その内端部が加圧ピストン10の前側部13に位置する。この前側部13は、工具テンションジャッキ2の方向に向いている。加圧プランジャ14の他端部は、図1の上半分に示される解放状態において、ハウジング外に突出している。加圧プランジャ14は、ハウジング部5に形成されたラジアルフランジ17において、ハウジングの中心軸線15を中心に、その周囲に形成された、互いに間隔をあけた貫通ボア16内に配置されている。このフランジは、ハウジングの1側壁を形成する。さらに、加圧プランジャ14は、ラジアルフランジ17において適当なシールリング18によりハウジングに対してシールされ、加圧チャンバ9内部に位置するガイドリング20の、当該プランジャ14に対応するガイド孔19内を軸方向に移動できる。
【0014】
中央ボア開口部21を有するハウジング部5は、複数の漏出流路22を含む。漏出流路22は、ボア開口部21の内壁における環状溝23から、ラジアルフランジ17の外周面においてねじ46によりシールされた排出開口24まで延びている。漏出流路22は、2つの加圧プランジャ間で、中心軸線15を横切る方向に、径方向外向きに排出開口24まで延びるラジアルフランジ17内の部分25と、この部分25に対して直角に位置し、中心軸線15に平行して、ボア開口21の内壁と圧縮チャンバ9との間を延びる部分26とにより形成されている。好ましくは、漏出流路22は、ハウジング部5の後側部及び外側部から延び、ストッパプラグ27またはねじ46によりシールされたボアにより形成される。さらなる排出孔28が、ラジアルフランジ17の前方側において部分25に開口している。この排出孔28も同様にシールねじによってシールできる。
【0015】
外側ハウジング部6の周面には、孔30を介して環状圧縮チャンバ9の後方端につながる第1の、径方向注入開口29が形成されている。この注入開口29を介して、環状の加圧ピストン10に、加圧プランジャ14を進出させるための加圧作用要素として油圧流体を供給することができる。ハウジング部6の第2の径方向注入開口31からは、別の注入ボア32が、中心軸線15に平行に加圧チャンバ9の前端部まで延びている。加圧プランジャ14を後退させるために、加圧ピストン10には注入開口31及び注入ボア32を介して油圧流体を供給することができる。
【0016】
加圧ピストン10によって作動する加圧プランジャ14により、貫通孔を有したテンションロッド34の後端部に固着された加圧ディスクが移動する。テンションロッド34は、動作するスピンドル1内を軸方向に移動可能で、概略的に図示されるカップばねパケット35により、図1の下半分に示す緊張位置に引っ張られる。この設定においては、工具スピンドルに装着した工具は、テンションジャッキによりコーンに引張られる(図示せず)。工具を解放するには、第1の径方向注入開口29及びボア30から加圧ピストン10に圧縮流体を供給する。これにより、加圧ピストン10は、加圧プランジャ14とともに、図1の下半分に示す緊張状態位置から、図1の上半分に示される解放状態位置に移動する。こうして、テンションロッド34は図1に示すように、加圧リング33を介して左方向に移動され、カップばねパケット35が圧縮される。これにより、テンションロッドの前端部に位置するテンションジャッキが工具を解放する。
【0017】
工具を緊張するには、第2の径方向注入開口及び注入ボア32を介して加圧ピストン10に圧縮流体を供給する。加圧ピストン10は、その解放状態位置から緊張状態位置に戻り、テンションロッド34がカップばねパケット35の影響により伸張位置まで引っ張られる。この結果、工具スピンドルに装填された工具は、クランプジャッキにより締め付けられる(図示せず)。
【0018】
回転リードスルー4は、中央通路開口21に位置し、固定された供給ラインを接続するための静止接続部36と、中空接続部38とともに軸方向にスライド可能で、シールされた回転接続パイプ37とを含む。中空接続部38は、テンションロッド34の連続ボア内にねじ込まれている。回転リードスルー4のハウジングから、径方向の漏出孔39が外方向に延び、環状流路23に通じている。漏出した流体は、この漏出孔及び漏出流路22を介して、回転リードスルー4の内部から外に除去することができる。
【0019】
図2において明らかなように、図示される設計では、ハウジングの中心軸線15と同心的に8つの加圧プランジャが、4つの漏れ流体流路22とともに設けられている。4つの漏れ流体流路22は、互いに90度ずらして配置され、それぞれが前面に排出孔28を有する。加圧プランジャ14及び漏出流路22の数は、必要に応じて変更できる。4つの貫通孔40が、それぞれ図3に示されるねじ41に対応するように外側に設けられ、これによりハウジングをスピンドルヘッドなどに固定することができる。さらに、図3には、洗浄流体のための注入流路が示されている。この流路は、外側ハウジング部6において径方向に配置される注入開口42と、中心軸15に平行に延びる注入孔43と、さらに内側ハウジング5において径方向の穿孔45を含む。この穿孔45は注入孔に通じ、斜め注入孔44を介して流路開口21の内壁において開口している。クランプ面などをクリーニングするためのクリーニングエアも、この注入流路から供給することができる。
【0020】
図4A及び4Bには、加圧ピストン10に対する加圧プランジャ14の組み付けが示されている。円筒形の加圧プランジャ14は、互いに対向する2つの平坦側面47を加圧ピストン10に向き合う端部に有し、加圧ピストン10の前面に加圧プランジャ14に向いて形成された、対応するT字溝48にこの側面47が挿入される。このように、加圧プランジャ14は、図4Aに示されるように、径方向にずらすだけで、対応するT字溝48に挿入できる。図4Bに示す装着位置において、さらに、加圧プランジャ14を加圧ピストン10に対して径方向における適所に簡単にロックできる。このように、わずかな製造コストにより、加圧プランジャを加圧ピストンに対してすばやくかつ簡単に組み付けることができる。
【0021】
本発明は、工作機械スピンドルにおける自動作動された機械工作ジャッキの省スペース構成を実現できる、超小型デザインを特徴とする。
【0022】
本発明は例示された設計例に限定されるものではなく、対応する方法で、例えば工作物用テンションジャッキの作動装置としての使用も可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】工具テンションジャッキの一部及び本発明による作動装置を示す断面図である。
【図2】図1の作動装置の側面図である。
【図3】図1に示した平面とは異なる平面における作動装置の断面図である。
【図4A】加圧ピストンに対する加圧プランジャの組立てを示す図である。
【図4B】加圧ピストンに対する加圧プランジャの組立てを示す図である。

Claims (11)

  1. ハウジング(5,6)の内部に配置され、工具または工作物用テンションジャッキ(2)を作動させる加圧ピストン(10)を含み、
    ハウジング(5,6)の中央通路開口(21)内に配置され、加工用の流体と洗浄用の流体の少なくとも一方を注入するための装置(4)を備える、
    工作機械スピンドル(1)における工具または工作物用テンションジャッキの作動装置であって、
    ハウジング(5,6)の側壁(17)において、中心軸線(15)を中心として、その周囲に、互いに間隔をあけて配置された複数の貫通ボア(16)と、
    前記貫通ボア内に配置され、加圧ピストン(10)の補助により軸方向に移動可能な加圧プランジャ(14)と、
    を含み、
    前記ハウジング(5,6)は、加圧プランジャ(14)間に、径方向外向きに延びる部分(25)を有する少なくとも1つの漏出流路(22)を含み、
    前記装置(4)は、漏れ流体流路(22)に通じる排出開口(39)を有する、
    作動装置。
  2. 請求項1に記載の作動装置において、前記ハウジング(5,6)は、内側ハウジング部(5)と、これにしっかり固着された外側ハウジング部(6)とを、前記加圧ピストン(10)のための加圧空間(9)を形成するように含む、作動装置。
  3. 請求項2に記載の作動装置において、前記内側ハウジング部(5)は、側壁を形成するラジアルフランジ(17)と、前記加圧プランジャ(14)のための前記貫通ボア(16)により特徴付けられている、作動装置。
  4. 請求項2または3項に記載の作動装置において、前記漏出流路(22)は前記内側ハウジング部(5)内を延びる、作動装置。
  5. 請求項3または4項に記載の作動装置において、径方向外向きに延びる漏出流路(22)の部分(25)は、ラジアルフランジ(17)内に位置する、作動装置。
  6. 請求項2乃至5のいずれか1項に記載の作動装置において、漏出流路(22)は、加圧空間(9)内部に、中心軸線(15)に平行に延びるラジアル部分(26)を有する、作動装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の作動装置において、ハウジング(5,6)には、洗浄流体のための注入流路(42,43,44,45)が設けられている、作動装置。
  8. 請求項7に記載の作動装置において、注入流路(42,43,44,45)は、径方向に位置する注入開口(42)と、一つの外側ハウジング部(6)において中心軸線(15)に平行に延びる注入孔(43)と、一つの内側ハウジング部(5)において斜め注入孔(44)を含む径方向の孔とを有する、作動装置。
  9. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の作動装置において、中心軸線(15)を中心としてその周囲に配置された前記加圧プランジャ(14)は、互いに等しい角度で間隔をあけて設けられている、作動装置。
  10. 請求項1乃至9のいずれか1項に記載の作動装置において、前記ハウジング(5,6)は、中心軸線(15)を中心としてその周囲、互いに等しい角度で間隔をあけて設けられた複数の漏出流路(22)を含む、作動装置。
  11. 請求項1乃至10のいずれか1項に記載の作動装置において、前記加圧プランジャ(14)は、前記加圧ピストン(10)の対応するT字溝(48)に径方向に挿入するための、側部平坦領域(47)を有する、作動装置。
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