JP2004506685A - 食欲の制御と肥満の治療のためのヒスタミンh3受容体逆アゴニストの使用 - Google Patents
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Abstract
食欲の調節と肥満の治療におけるヒスタミンH3受容体逆アゴニストの使用のための方法を開示する。現在好ましい逆アゴニストはイミダゾール誘導体である。
Description
【0001】
(発明の分野)
本発明は、食欲の調節及び肥満の治療におけるヒスタミンH3受容体逆アゴニストの使用のための方法を対象とする。現在好ましい逆アゴニストはイミダゾール誘導体である。
【0002】
(発明の背景)
肥満は体脂肪の過剰な蓄積の状態と説明することができ、実質的に高い罹病率と死亡率、ならびに心理学的な問題、経済実績の低下そして差別にも結びつく、主要な公衆衛生上の問題であると広く認められている。肥満によって引き起こされる又は増悪されると思われる健康上の問題は、冠状動脈心臓病、脳卒中、閉塞性睡眠時無呼吸症候群、糖尿病、通風、高脂血症、変形性関節症、受精能低下、心理・社会的機能の損傷、身体的機敏性の低下と高い事故危険度、及び産科学的能力の損傷を含む。
【0003】
肥満の原因ははっきりしないままである。しかし、肥満が遺伝的由来であるか又は遺伝子型と環境の相互作用によって促進されるものであるか、又はその両方であっても、エネルギー摂取が代謝及び身体的(作業)エネルギー消費を超えており、そのために脂肪沈積に使用されうる過剰エネルギーとなってきたに違いないことは明白である。この正のエネルギーバランスを達成する上での種々の機序の相対的重要性に関しては、かなりの不確実さが残されている。
【0004】
肥満の治療は困難である。肥満者において罹病率と死亡率が上昇することは広く認識されているが、食事療法が早期死亡の長期的危険度の低下をもたらすかどうかは明らかでない。肥満の主要な処置は多くの異なる形態の食事療法であったが、それらはしばしば信頼できる学術的根拠のない一時的な流行である。結果は、食事療法が体重減少を目指す女性の84%、及び男性の76から78%における体重減少養生法の要素であることを示した。さらなる重要な肥満処置は、実際の運動期間とその後の休止期間の両方において、エネルギー消費を高める身体活動である。従って、付随してエネルギー摂取が上昇しないことを条件として、運動は負のエネルギーバランスを促進することができる。しかしながら、運動が体重減少を促進する上での成果はごく少しであることが認められている。食事療法と運動ならびに行動制限を組み合わせたプログラムが、広く体重減少への最適のアプローチとみなされている。食事制限単独では、体重減少を促進する上では非常に成果を収めることができるが、体重減少の重要な要素は脂肪がほとんどない組織であると考えられる。さらに、食事制限は総エネルギー消費の低下をもたらし、これは負のエネルギーバランスの度合を低下させる働きをする。食事制限と運動の両方を含む組み合わせプログラムは、実質的な脂肪の減少を促進し、同時に脂肪がほとんどない組織の維持を促進することが試験で明らかにされている。
【0005】
それ故、肥満が問題であり、その信頼しうる治療が確立されていないことは明白である。肥満の軽減に有効な薬剤と治療養生法を開発することが引き続き求められている。本発明者らは今、予想外にもある種の群の化合物、すなわちヒスタミンH3受容体逆アゴニストが肥満の治療における使用のために特に有益であることを発見した。
【0006】
ヒスタミン(2−(4−イミダゾリル)エチルアミン)は、自然の状態で植物及び動物の大部分の組織において認められる。これは、表面膜内又は膜上に局在する細胞受容体と結合することによってその生物学的作用を及ぼす。少なくとも3つの異なる種類の受容体が存在し、それは、H1、H2及びH3である。ヒスタミンの既知の作用の一部は、平滑筋及び心筋、内皮及び神経細胞ならびに胃の分泌細胞に及ぼされる。
【0007】
ヒスタミンH3受容体は最も新しく同定された受容体である。H3受容体アンタゴニストによるこの受容体の刺激は、中枢神経系疾患、精神障害、睡眠障害及び摂食障害の動物モデルにおいて使用されてきた。このために合成された化合物の大部分はヒスタミンの誘導体、言い換えると2−置換イミダゾールである。
【0008】
例えば、H3受容体アンタゴニストはWO96/40126号、WO96/38142号及び米国特許第5,990,317号、同第6,008,240号及び5,652,258号に開示されている。さらに、米国特許第5,486,526号では、一部のH3受容体アンタゴニストは食欲抑制剤として有用性を持つことが開示されている。
【0009】
さらに、EP 0 982 300 A2号において非イミダゾールアルキルアミンヒスタミンH3受容体アンタゴニストが肥満の治療のために有用性を持つと開示された。フェニル−アルキル−イミダゾールヒスタミンH3受容体アンタゴニストは、米国特許第5,990,147号及び同第6,034,251号において肥満の治療のために有用性を持つと開示された。
【0010】
チオペラミドは、Itohらにより「ヒスタミンH3受容体アンタゴニスト、チオペラミドはラットにおいてNPY誘導の摂食を抑制するが、Dynorphin A誘導の摂食は抑制しない(Thioperamide,a histamine H3 receptor antagnist,suppresses NPY−but not Dynorphin A−induced feeding in rats)」、Regulatory Peptides,75−76(1998)373−376の中で、おそらくある種の条件下でラットにおける食物摂取に影響を及ぼすと開示されたヒスタミンH3受容体アンタゴニストである。Clarkらにより「ラット大脳皮質膜においてチオペラミド及びクロベンプロピットのヒスタミンH3受容体への結合に対するナトリウムイオンとグアニンヌクレオチドの差異的効果(Differential effect of sodium ions and guanine nucleotides on the binding of thioperamide and clobenpuropit to histamine H3−receptors in rat cerebral cortical membranes)」、British Journal of Pharmacology(1995)114、357−362において、チオペラミドはH3受容体の様々な立体配座に差異的親和性を持つと主張された。そのような差異的親和性は逆アゴニスムの特徴である。同様に、チオペラミドとブリムアミド(burimamide)は、Westらにより「2つのH3−ヒスタミン受容体サブタイプの同定(Identification of Two H3−Histamine Receptor Subtypes)」、Molecular Pharmacology(1990)38:610−613において、H3受容体上の2つのクラスの部位を識別する化合物として開示された。チオペラミドに加えて、アンタゴニストGT−2212及びGT−2016(5−シクロヘキシル−1−(4−イミダゾール−4−イル−ピペリジル)ペンタン−1−オン)も、Tedfordらにより「新しい高親和性ヒスタミンH3受容体リガンドとしてのトランス−2−(1H−イミダゾール−4−イル)シクロプロパン誘導体の開発(Developmento of trans−2−(1H−imidazol−4−yl)cyclopropane Derivatives as New High−Affinity Histamine H3 Receptor Ligands)」、The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics,289:1160−1168、1999の中で潜在的逆アゴニストであると主張された。
【0011】
逆アゴニストはG−蛋白質結合受容体の不活性立体配座を優先的に安定化させるリガンドである。ヒスタミンH3受容体に関してはいくつかの逆アゴニストだけが暫定的に同定された。現在までのところ、ヒスタミンH3受容体逆アゴニストとしての化合物の同定と、何らかの特定治療のためのその化合物の使用との間の結びつきに関する言及は為されていない。
【0012】
本発明者らは今、ある種のヒスタミンH3受容体アンタゴニストが逆アゴニストであり、他のヒスタミンH3受容体アンタゴニストは食欲抑制に影響を及ぼさないが、これらの逆アゴニストは食欲の抑制を通じて選択的に肥満を治療するために使用できることを発見した。
【0013】
(発明の概要)
本発明は、体重減少を促進し、摂食障害を治療するための方法であって、そのような体重減少又は治療を必要とする患者にヒスタミンH3受容体の逆アゴニストの有効量を投与することを含み、該逆アゴニストがチオペラミドではないことを条件とする方法に関する。現在、食欲抑制のための好ましい逆アゴニストは、4−{(1R,2R)−トランス−2−[O−(2−シクロヘキシルエチル)カルボキサミド]シクロプロピル}イミダゾール、4−{(1R,2R)−トランス−2−[O−(2−シクロヘキシルメチル)カルボキサミド]シクロプロピル}イミダゾール及び3−(1H−イミダゾール−4−イル)プロピル−ジ(p−フルオロフェニル)−メチルエーテルである。該逆アゴニストは、静脈内、筋肉内、腹腔内又は皮下注射によって、あるいは経口的に投与しうる。約0.01mg/kgから約200mg/kgまでの逆アゴニストを単回用量又は1日当りの分割用量で投与しうる。
【0014】
(発明の詳細な説明)
本発明は、食欲の調節及び肥満の治療におけるヒスタミンH3受容体逆アゴニストの使用のための方法を対象とする。現在好ましい逆アゴニストはイミダゾール誘導体である。
【0015】
用語の定義
ここで使用するとき、治療の語は予防ならびに確立された肥満の軽減を含む。肥満の治療に加えて、本発明による方法は、冠状動脈心臓病、脳卒中、閉塞性睡眠時無呼吸症候群、糖尿病、通風、高脂血症、変形性関節症、受精能低下、心理・社会的機能の損傷、身体的機敏性低下と事故危険度上昇、及び産科学的能力の損傷のような肥満に関連する状態の治療における適用を持つ。食べることへの欲求の低下は実際の食物摂取の低下を導き、患者の活動レベルが同じままであるか又は上昇する場合には体重減少を促進するので、食欲を抑制する逆アゴニストの能力が肥満の治療におけるそれらの使用の基礎である。
【0016】
認められている肥満分類の臨床及び疫学的測定は、キログラム体重をメートル身長の二乗で割った値と定義されるボディマス指数(BMI)である。典型的には、25から30のBMIは過剰体重とみなされ、30以上が肥満とみなされる。本発明による治療は一般にBMIを約29から31未満に低下させることを指す。しかし、肥満は本質的に分類が難しいこと、そして一部には身体の肥満性が1つの連続体であるがゆえに、肥満の定義についてのカットオフポイントは必然的に恣意的であることは当業者に認識されている。しかしながら一般的には、本発明による治療は、望ましくはもはや患者に重要な健康上の危険性がない程度まで肥満を予防又は軽減する。
【0017】
ここで使用するとき、「組成物」の語は、規定された量の規定された成分を含む生成物、ならびに規定された量の規定された成分の組合せから直接又は間接的に生じる何らかの生成物を包含することが意図されている。
【0018】
本発明の逆アゴニストは、無機又は有機酸から誘導される薬学的に許容される塩の形態で使用することができる。「薬学的に許容される塩」の語句は、適切な医学的判断の範囲内で、適切でない毒性、刺激、アレルギー反応等を伴わずにヒト及び下等動物の組織と接触して使用するのに適しており、妥当な利益/危険度比に釣り合った塩を意味する。薬学的に許容される塩は当該技術において周知である。例えば、S.M.BergeらはJ.Pharmaceutical Sciences,1977、66:1及び以下参照、において薬学的に許容される塩を詳細に述べている。塩は、本発明の化合物の最終的な単離と精製の際にin situで、又は別途に遊離塩基性官能基を適当な有機酸と反応させることによって調製できる。代表的な酸性付加塩は、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、スルホン酸ショウノウ、ジグルコン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩(イソチオネート)、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、リン酸塩、グルタミン酸塩、重炭酸塩、p−トルエンスルホン酸塩及びウンデカン酸塩を含むが、これらに限定されない。また、塩基性窒素含有基を、塩化、臭化及びヨウ化メチル、エチル、プロピル及びブチルのようなハロゲン化低級アルキル、硫酸ジメチル、ジエチル、ジブチル及びジアミルのような硫酸ジアルキル、塩化、臭化及びヨウ化デシル、ラウリル、ミリスチル及びステアリルのような長鎖ハロゲン化物、臭化ベンジル及びフェネチルのようなハロゲン化アリールアルキルその他のような物質で四級化することもできる。それによって水溶性又は油溶性又は分散性の産物が得られる。薬学的に許容される酸性付加塩を形成するために使用できる酸の例は、塩酸、臭化水素酸、硫酸及びリン酸のような無機酸及びシュウ酸、マレイン酸、コハク酸及びクエン酸のような有機酸を含む。
【0019】
塩基付加塩は、カルボン酸含有部分を薬学的に許容される金属カチオンの水酸化物、炭酸塩又は重炭酸塩のような適当な塩基あるいはアンモニアあるいは有機第一、第二又は第三アミンと反応させることにより、本発明の逆アゴニストの最終的な単離と精製の際にin situで調製することができる。薬学的に許容される塩は、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム及びアルミニウム塩等のようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属に基づくカチオン、及び、特にアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、及びエチルアンモニウムを含む非毒性第四アンモニア及びアミンカチオンを含むが、これらに限定されない。塩基付加塩の形成のために有用な他の代表的な有機アミンは、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、ピペラジン等を含む。
【0020】
本発明の逆アゴニストの局所投与のための剤型は、粉末、スプレー、軟膏及び吸入剤を含む。活性化合物を無菌条件下で薬学的に許容される担体及び何らかの必要な防腐剤、必要に応じた緩衝剤又は噴射剤と混合する。
【0021】
本発明の製薬組成物中の有効成分の実際の用量レベルは、特定の患者について所望する治療応答を達成するために有効な活性化合物の量が得られるように変化させることができる。選択する用量レベルは、特定の化合物の活性、投与経路、治療する状態の重症度及び治療する患者の状態と過去の病歴に依存するであろう。しかし、所望する治療効果を達成するのに必要とされるよりも低いレベルの化合物用量から出発して、所望する効果が達成されるまで徐々に用量を高めていくことは当該技術の範囲内である。
【0022】
上記又は他の治療において使用するとき、治療上有効な量の本発明の逆アゴニストの1つを純粋な形態又は、そのような形態が存在する場合には、薬学的に許容される塩、エステル又はプロドラッグの形態で用いることができる。あるいは、目的とする化合物を1又はそれ以上の薬学的に許容される賦形剤と組み合わせて含有する製薬組成物として化合物を投与することができる。本発明の化合物の「治療上有効な量」の語句は、何らかの医学的治療に適用される妥当な利益/危険度比で、疾患を治療するのに十分な化合物の量を意味する。しかし、本発明の化合物及び組成物の総一日量は、適切な医学的判断の範囲内で主治医によって決定されることは明白であろう。特定の患者についての特定の治療上有効な用量レベルは、治療する疾患と疾患の重症度、用いる特定化合物の活性、用いる特定組成物、患者の年齢、体重、全般的健康状態、性別及び食事、投与時間、投与経路、及び用いる特定化合物の排泄速度、治療期間、用いる化合物との組み合わせまたは同時に使用する薬剤。及び医学技術において既知の同様の因子を含む様々な因子に依存するであろう。例えば、所望する治療効果を達成するのに必要とされるよりも低いレベルの化合物用量から出発して、所望する効果が達成されるまで徐々に用量を高めていくことは十分に当該技術の範囲内である。
【0023】
ヒト又は下等動物に投与する本発明の逆アゴニストの総一日用量は、約0.0001から約1000mg/kg/日までの範囲をとりうる。経口投与のためには、より好ましい用量は約0.001から約5mg/kg/日までの範囲でありうる。所望する場合には、投与のために有効一日用量を多回用量に分けることができる。その結果として、単回用量組成物は、該当する量又はその約数であって一日量を構成する量も含みうる。
【0024】
本発明の化合物が食欲を抑制する能力を実施例において、下記で詳細に説明する。これらの実施例は本発明の好ましい実施形態と有用性を説明するために提示するものであり、付属の特許請求の範囲の中に記載がない限り本発明を限定することを意図しない。
【0025】
実施例1
G−蛋白質非結合受容体に対する様々なイミダゾール誘導体の親和性を調べるために、ヒスタミンH3受容体結合分析を次のように実施した。雄性SD(Sprague−Dawley.以下SDとする)ラットをHarlan Laboratories of Indianapolis,Indianaより購入し、1ケージに2匹ずつ収容して、the Animal Welfare Act of 1994及び改正に従ってTeklad Mouse/Rat Diet 7012(Harlan Laboratories of Indianapolis,Indianaより入手可能)と水を自由に摂取させ、12時間明/暗スケジュールで飼育した。組織採取の前に少なくとも1週間、動物を実験室条件に順応させた。
【0026】
Westらの「2つのH3ヒスタミン受容体サブタイプの同定(Identification of Two H3−Histamine Receptor Subtypes)」、Mol.Pharmacol.38:610−613(1990)における方法に従い、Tedfordらが「新しい高親和性ヒスタミンH3受容体リガンドとしてのトランス−2−(1H−イミダゾール−4−イル)シクロプロパン誘導体の開発(Development of trans−2−(1H−imidazol−4−yl)Cyclopropane Derivatives As New High−Affinity Histamine H3 Receptor Ligands)」、J.Pharmacol.Exp.Ther.289:1160−1168(1999)において修正したように、H3選択的アゴニストリガンド[3H]−Nα−メチルヒスタミン([3H]NAMHA、78.9Ci/ミリモル、NEN Research Products,Boston,MAより入手可能)を使用してラット大脳皮質膜においてヒスタミンH3受容体の親和性を測定した。
【0027】
動物をNO2吸入によって麻酔し、速やかな断頭によって安楽死させた。大脳皮質組織を採取し、ドライアイス上で凍結した。EDTA(10mM)、フェニルメチルスルホニルフルオライド(0.1mM)、キモスタチン及びロイペプチン(各々0.2mg/50mL)を含む25mMトリス緩衝液(4℃でpH7.5)中でTissue Tearerを用いてラット皮質を機械的にホモジナイズした。ホモジネートをSorvall遠心分離機において40,000×gで30分間遠心分離した。ペレットを水25mlに再懸濁し、氷上で30分間溶解した。次に再びホモジネートを遠心分離して、膜溶解を反復した。膜を遠心分離し、最終的な膜ペレットを14容積の水に再懸濁して、約200μg蛋白質/100μlの最終濃度を得た。懸濁液を使用まで−80℃で凍結保存した。Coomassie Plus Protein Assay(Pierce of Rockford,Illinoisより入手可能)を用いて蛋白質濃度を測定した。
【0028】
表1と2は、一部のヒスタミンH3受容体結合化合物が、GTPγS(グアノシン5’−o−(3−チオトリホスフェート))で処理した受容体試料に対して高い親和性を示すことを明らかにしている。GTPγSは受容体からのG−蛋白質の解離を引き起こす。データは各々の表について[3H]−Nα−メチルヒスタミン結合(平均)のパーセントとして示している。被験化合物は放射性標識化合物[3H]−Nα−メチルヒスタミンとの結合に関して競合する。被験化合物が結合受容体よりも非結合受容体に選択的に結合するときには、トリス処理系におけるよりもトリス−GTPγS処理系において放射性標識ヒスタミンH3受容体リガンドに関してより低いパーセンテージの結合が測定される。
【0029】
表1の結果は、化合物1が、GTPγS処理した皮質膜試料に対して処理していない試料よりも高い見かけ親和性で結合することを示している。逆に、化合物2のような一部のヒスタミンH3受容体結合分子は、表2が示唆するように、2つの膜試料への結合において比較的差がないことを示す。G−蛋白質非結合受容体への優先結合を示す化合物が「逆アゴニスト」と称された(Milliganら、「逆アゴニスム:薬理学的好奇心かあるいは潜在的な治療戦略か?(Inverse Agonism:Pharmacological Curiosity or Potential Therapeutic Strategy?)」、Trends Pharmacol.Sci.16:10−13(1995)及び「逆アゴニスムと受容体数の調節(Inverse Agonism and the Regulation of Receptor Number)」、Trends Pharmacol.Sci.18:468−474(1997))。それ故,化合物1のような分子はヒスタミンH3受容体逆アゴニストとして分類することができ、一方非結合又は結合受容体に関してほとんど選択性を持たない化合物2のような分子はアンタゴニストと称される。
【0030】
試験した化合物の構造は下記の該当する表に示されている。化合物は、WO96/40126号、WO96/38142号及び米国特許第5,990,317号、同第6,008,240号及び同第5,486,526号に開示されている手順に従って調製した。
【0031】
【表1】
【0032】
化合物1=4−((1R,2R)−トランス−2−(O−(2−シクロヘキシルエチル)カルボキシアミド)シクロプロピル}イミダゾール
【0033】
【化1】
【0034】
【表2】
【0035】
化合物2=(3Z)−4−(6−シクロヘキシルヘクス−3−エン−1−イル)イミダゾール
【0036】
【化2】
【0037】
様々なヒスタミンH3受容体結合化合物も、上述した手順によりG−蛋白質非結合受容体試料への優先結合に関して調べた。この分析の結果を表3に要約する。この表は、GTPγS処理及び非処理受容体試料(後者は結合と非結合のヒスタミンH3受容体の混合物を含む)に関する明らかな結合親和性を列挙している。また2つの膜試料に関する結合親和性の比率も表3に示している。この比率の数値が高いほど、G−蛋白質非結合受容体に対する被験化合物の結合親和性が大きい。少なくとも2の比率を有する化合物は非結合受容体に選択的に結合する。
【0038】
【表3】
【0039】
化合物3=4−((1R,2R)−トランス−2−(O−(2−シクロヘキシルメチル)カルボキシアミド)シクロプロピル}イミダゾール
【0040】
【化3】
【0041】
化合物4=4−(((5S)(3Z)−5−アミノ−6−シクロヘキシル)へクス−3−エン−1−イル)イミダゾール
【0042】
【化4】
【0043】
化合物5=4−(N−(5−シクロヘキシルペンタン−1−オン−1−イル)ピペリジン−4−イル)イミダゾール
【0044】
【化5】
【0045】
化合物6=(1R,2R)−トランス−4−(2−(5,5−ジメチルへクス−1−イニル)シクロプロピル)イミダゾール
【0046】
【化6】
【0047】
化合物7=4−((1R,2R)−トランス−2−(O−(2,6−ジクロロフェニルメチル)カルボキシアミド)シクロプロピル}イミダゾール
【0048】
【化7】
【0049】
化合物8=3−(1H−イミダゾール−4−イル)プロピル−ジ(p−フルオロフェニル)−メチルエーテル
【0050】
【化8】
【0051】
化合物9=4−((1R,2R)−トランス−2−(O−(3,3−ジメチル−ブタ−1−イル)カルボキシアミド)シクロプロピル)イミダゾール
【0052】
【化9】
【0053】
実施例2
表3に要約した化合物を、成体SDラットによる食物消費を抑制する能力に関して検討した。雄性SDラットをHarlan Laboratories of Indianapolis,Indianaより購入し、1ケージに1匹ずつ収容して、12時間ずつの明/暗スケジュール(午後12時30分に照明を消す)に保持し、粉末Teklad Mouse/Rat Diet 7012(Harlan Laboratories of Indianapolis,Indianaより入手可能)と水を自由に摂取させた。食物摂取試験を開始する前に1から2週間、ラットを実験室条件と食餌に順応させた。実験の当日に、被験化合物を賦形剤/担体中に溶解又は懸濁し、暗周期開始の30から60分前にラットに投与した(腹腔内又は経口)。暗周期開始から1、2、4及び24時間後に食物摂取を測定した。あるいは、食物摂取への化合物の作用を評価する前24時間ラットを絶食させた(水は摂取させた)。これらの試験については、化合物又は賦形剤/担体を投与し、ラットを標準的な小動物代謝チェンバーに収容して、粉末Teklad Mouse/Rat Diet 7012と水を自由に摂取させた。食餌供給の開始から2及び4時間後に食物摂取を測定した。
【0054】
例示的な結果を表4に示す。データはグラム、平均±semで表わした累積食物摂取である。表の中で、*は賦形剤処置ラットと比較した食物摂取の有意の低下を示す(t−検定、p<0.05)。化合物3の単回投与は24時間まで食物消費の有意の低下を生じさせた(表4)。
【0055】
【表4】
【0056】
各々の化合物の腹腔内投与から2時間後のラットによる食物摂取のパーセント低下を表5に示す。表からわかるように、一部の化合物(すなわち1、3−5、8)は統計的に有意の食物消費の低下を生じさせた。逆に、化合物2、6、7及び9はラットが消費する食物の量に測定可能な影響を及ぼさなかった。興味深いことに、GTPγS処理受容体試料に対して非処理試料よりも約2倍高い親和性を有する化合物は食欲抑制作用を生じさせるが、この比率以下に属する化合物は食物消費に評価しうる変化を引き起こさなかった(表3及び5参照)。従って、逆アゴニストは食物消費の有意の低下を生じさせるが、アンタゴニストは低下をもたらさない。表5において、*は賦形剤処置ラットと比較した食物摂取の有意の低下を示す(t−検定、p<0.05)。表5のex vivo結合値は、腹腔内投与後に脳内で1/2の最大H3受容体占有率を得るために必要な薬剤用量を表わす。表5に示す用量値は、食物摂取試験の際に使用した薬剤の用量を表わす。すべての場合に、試験した用量は脳内で1/2の最大H3受容体占有率を得るために必要な量を上回った。
【0057】
【表5】
引用したすべての参考文献は参照して本明細書に組み込まれる。
【0058】
本発明は上記の説明と実施例によって例示される。上記の説明に照らして当業者には多くの変法が明らかになるので、上記の説明は非制限的な例示として提示するものである。付属の特許請求の範囲と精神内でのそのようなすべての変法は、特許請求の範囲に包含されることが意図されている。
【0059】
前述の特許請求において定義されるような本発明の概念と範囲から逸脱することなく、ここで述べる本発明の方法の組成物、操作及び手順に変更を加えることができる。
(発明の分野)
本発明は、食欲の調節及び肥満の治療におけるヒスタミンH3受容体逆アゴニストの使用のための方法を対象とする。現在好ましい逆アゴニストはイミダゾール誘導体である。
【0002】
(発明の背景)
肥満は体脂肪の過剰な蓄積の状態と説明することができ、実質的に高い罹病率と死亡率、ならびに心理学的な問題、経済実績の低下そして差別にも結びつく、主要な公衆衛生上の問題であると広く認められている。肥満によって引き起こされる又は増悪されると思われる健康上の問題は、冠状動脈心臓病、脳卒中、閉塞性睡眠時無呼吸症候群、糖尿病、通風、高脂血症、変形性関節症、受精能低下、心理・社会的機能の損傷、身体的機敏性の低下と高い事故危険度、及び産科学的能力の損傷を含む。
【0003】
肥満の原因ははっきりしないままである。しかし、肥満が遺伝的由来であるか又は遺伝子型と環境の相互作用によって促進されるものであるか、又はその両方であっても、エネルギー摂取が代謝及び身体的(作業)エネルギー消費を超えており、そのために脂肪沈積に使用されうる過剰エネルギーとなってきたに違いないことは明白である。この正のエネルギーバランスを達成する上での種々の機序の相対的重要性に関しては、かなりの不確実さが残されている。
【0004】
肥満の治療は困難である。肥満者において罹病率と死亡率が上昇することは広く認識されているが、食事療法が早期死亡の長期的危険度の低下をもたらすかどうかは明らかでない。肥満の主要な処置は多くの異なる形態の食事療法であったが、それらはしばしば信頼できる学術的根拠のない一時的な流行である。結果は、食事療法が体重減少を目指す女性の84%、及び男性の76から78%における体重減少養生法の要素であることを示した。さらなる重要な肥満処置は、実際の運動期間とその後の休止期間の両方において、エネルギー消費を高める身体活動である。従って、付随してエネルギー摂取が上昇しないことを条件として、運動は負のエネルギーバランスを促進することができる。しかしながら、運動が体重減少を促進する上での成果はごく少しであることが認められている。食事療法と運動ならびに行動制限を組み合わせたプログラムが、広く体重減少への最適のアプローチとみなされている。食事制限単独では、体重減少を促進する上では非常に成果を収めることができるが、体重減少の重要な要素は脂肪がほとんどない組織であると考えられる。さらに、食事制限は総エネルギー消費の低下をもたらし、これは負のエネルギーバランスの度合を低下させる働きをする。食事制限と運動の両方を含む組み合わせプログラムは、実質的な脂肪の減少を促進し、同時に脂肪がほとんどない組織の維持を促進することが試験で明らかにされている。
【0005】
それ故、肥満が問題であり、その信頼しうる治療が確立されていないことは明白である。肥満の軽減に有効な薬剤と治療養生法を開発することが引き続き求められている。本発明者らは今、予想外にもある種の群の化合物、すなわちヒスタミンH3受容体逆アゴニストが肥満の治療における使用のために特に有益であることを発見した。
【0006】
ヒスタミン(2−(4−イミダゾリル)エチルアミン)は、自然の状態で植物及び動物の大部分の組織において認められる。これは、表面膜内又は膜上に局在する細胞受容体と結合することによってその生物学的作用を及ぼす。少なくとも3つの異なる種類の受容体が存在し、それは、H1、H2及びH3である。ヒスタミンの既知の作用の一部は、平滑筋及び心筋、内皮及び神経細胞ならびに胃の分泌細胞に及ぼされる。
【0007】
ヒスタミンH3受容体は最も新しく同定された受容体である。H3受容体アンタゴニストによるこの受容体の刺激は、中枢神経系疾患、精神障害、睡眠障害及び摂食障害の動物モデルにおいて使用されてきた。このために合成された化合物の大部分はヒスタミンの誘導体、言い換えると2−置換イミダゾールである。
【0008】
例えば、H3受容体アンタゴニストはWO96/40126号、WO96/38142号及び米国特許第5,990,317号、同第6,008,240号及び5,652,258号に開示されている。さらに、米国特許第5,486,526号では、一部のH3受容体アンタゴニストは食欲抑制剤として有用性を持つことが開示されている。
【0009】
さらに、EP 0 982 300 A2号において非イミダゾールアルキルアミンヒスタミンH3受容体アンタゴニストが肥満の治療のために有用性を持つと開示された。フェニル−アルキル−イミダゾールヒスタミンH3受容体アンタゴニストは、米国特許第5,990,147号及び同第6,034,251号において肥満の治療のために有用性を持つと開示された。
【0010】
チオペラミドは、Itohらにより「ヒスタミンH3受容体アンタゴニスト、チオペラミドはラットにおいてNPY誘導の摂食を抑制するが、Dynorphin A誘導の摂食は抑制しない(Thioperamide,a histamine H3 receptor antagnist,suppresses NPY−but not Dynorphin A−induced feeding in rats)」、Regulatory Peptides,75−76(1998)373−376の中で、おそらくある種の条件下でラットにおける食物摂取に影響を及ぼすと開示されたヒスタミンH3受容体アンタゴニストである。Clarkらにより「ラット大脳皮質膜においてチオペラミド及びクロベンプロピットのヒスタミンH3受容体への結合に対するナトリウムイオンとグアニンヌクレオチドの差異的効果(Differential effect of sodium ions and guanine nucleotides on the binding of thioperamide and clobenpuropit to histamine H3−receptors in rat cerebral cortical membranes)」、British Journal of Pharmacology(1995)114、357−362において、チオペラミドはH3受容体の様々な立体配座に差異的親和性を持つと主張された。そのような差異的親和性は逆アゴニスムの特徴である。同様に、チオペラミドとブリムアミド(burimamide)は、Westらにより「2つのH3−ヒスタミン受容体サブタイプの同定(Identification of Two H3−Histamine Receptor Subtypes)」、Molecular Pharmacology(1990)38:610−613において、H3受容体上の2つのクラスの部位を識別する化合物として開示された。チオペラミドに加えて、アンタゴニストGT−2212及びGT−2016(5−シクロヘキシル−1−(4−イミダゾール−4−イル−ピペリジル)ペンタン−1−オン)も、Tedfordらにより「新しい高親和性ヒスタミンH3受容体リガンドとしてのトランス−2−(1H−イミダゾール−4−イル)シクロプロパン誘導体の開発(Developmento of trans−2−(1H−imidazol−4−yl)cyclopropane Derivatives as New High−Affinity Histamine H3 Receptor Ligands)」、The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics,289:1160−1168、1999の中で潜在的逆アゴニストであると主張された。
【0011】
逆アゴニストはG−蛋白質結合受容体の不活性立体配座を優先的に安定化させるリガンドである。ヒスタミンH3受容体に関してはいくつかの逆アゴニストだけが暫定的に同定された。現在までのところ、ヒスタミンH3受容体逆アゴニストとしての化合物の同定と、何らかの特定治療のためのその化合物の使用との間の結びつきに関する言及は為されていない。
【0012】
本発明者らは今、ある種のヒスタミンH3受容体アンタゴニストが逆アゴニストであり、他のヒスタミンH3受容体アンタゴニストは食欲抑制に影響を及ぼさないが、これらの逆アゴニストは食欲の抑制を通じて選択的に肥満を治療するために使用できることを発見した。
【0013】
(発明の概要)
本発明は、体重減少を促進し、摂食障害を治療するための方法であって、そのような体重減少又は治療を必要とする患者にヒスタミンH3受容体の逆アゴニストの有効量を投与することを含み、該逆アゴニストがチオペラミドではないことを条件とする方法に関する。現在、食欲抑制のための好ましい逆アゴニストは、4−{(1R,2R)−トランス−2−[O−(2−シクロヘキシルエチル)カルボキサミド]シクロプロピル}イミダゾール、4−{(1R,2R)−トランス−2−[O−(2−シクロヘキシルメチル)カルボキサミド]シクロプロピル}イミダゾール及び3−(1H−イミダゾール−4−イル)プロピル−ジ(p−フルオロフェニル)−メチルエーテルである。該逆アゴニストは、静脈内、筋肉内、腹腔内又は皮下注射によって、あるいは経口的に投与しうる。約0.01mg/kgから約200mg/kgまでの逆アゴニストを単回用量又は1日当りの分割用量で投与しうる。
【0014】
(発明の詳細な説明)
本発明は、食欲の調節及び肥満の治療におけるヒスタミンH3受容体逆アゴニストの使用のための方法を対象とする。現在好ましい逆アゴニストはイミダゾール誘導体である。
【0015】
用語の定義
ここで使用するとき、治療の語は予防ならびに確立された肥満の軽減を含む。肥満の治療に加えて、本発明による方法は、冠状動脈心臓病、脳卒中、閉塞性睡眠時無呼吸症候群、糖尿病、通風、高脂血症、変形性関節症、受精能低下、心理・社会的機能の損傷、身体的機敏性低下と事故危険度上昇、及び産科学的能力の損傷のような肥満に関連する状態の治療における適用を持つ。食べることへの欲求の低下は実際の食物摂取の低下を導き、患者の活動レベルが同じままであるか又は上昇する場合には体重減少を促進するので、食欲を抑制する逆アゴニストの能力が肥満の治療におけるそれらの使用の基礎である。
【0016】
認められている肥満分類の臨床及び疫学的測定は、キログラム体重をメートル身長の二乗で割った値と定義されるボディマス指数(BMI)である。典型的には、25から30のBMIは過剰体重とみなされ、30以上が肥満とみなされる。本発明による治療は一般にBMIを約29から31未満に低下させることを指す。しかし、肥満は本質的に分類が難しいこと、そして一部には身体の肥満性が1つの連続体であるがゆえに、肥満の定義についてのカットオフポイントは必然的に恣意的であることは当業者に認識されている。しかしながら一般的には、本発明による治療は、望ましくはもはや患者に重要な健康上の危険性がない程度まで肥満を予防又は軽減する。
【0017】
ここで使用するとき、「組成物」の語は、規定された量の規定された成分を含む生成物、ならびに規定された量の規定された成分の組合せから直接又は間接的に生じる何らかの生成物を包含することが意図されている。
【0018】
本発明の逆アゴニストは、無機又は有機酸から誘導される薬学的に許容される塩の形態で使用することができる。「薬学的に許容される塩」の語句は、適切な医学的判断の範囲内で、適切でない毒性、刺激、アレルギー反応等を伴わずにヒト及び下等動物の組織と接触して使用するのに適しており、妥当な利益/危険度比に釣り合った塩を意味する。薬学的に許容される塩は当該技術において周知である。例えば、S.M.BergeらはJ.Pharmaceutical Sciences,1977、66:1及び以下参照、において薬学的に許容される塩を詳細に述べている。塩は、本発明の化合物の最終的な単離と精製の際にin situで、又は別途に遊離塩基性官能基を適当な有機酸と反応させることによって調製できる。代表的な酸性付加塩は、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、スルホン酸ショウノウ、ジグルコン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩(イソチオネート)、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、リン酸塩、グルタミン酸塩、重炭酸塩、p−トルエンスルホン酸塩及びウンデカン酸塩を含むが、これらに限定されない。また、塩基性窒素含有基を、塩化、臭化及びヨウ化メチル、エチル、プロピル及びブチルのようなハロゲン化低級アルキル、硫酸ジメチル、ジエチル、ジブチル及びジアミルのような硫酸ジアルキル、塩化、臭化及びヨウ化デシル、ラウリル、ミリスチル及びステアリルのような長鎖ハロゲン化物、臭化ベンジル及びフェネチルのようなハロゲン化アリールアルキルその他のような物質で四級化することもできる。それによって水溶性又は油溶性又は分散性の産物が得られる。薬学的に許容される酸性付加塩を形成するために使用できる酸の例は、塩酸、臭化水素酸、硫酸及びリン酸のような無機酸及びシュウ酸、マレイン酸、コハク酸及びクエン酸のような有機酸を含む。
【0019】
塩基付加塩は、カルボン酸含有部分を薬学的に許容される金属カチオンの水酸化物、炭酸塩又は重炭酸塩のような適当な塩基あるいはアンモニアあるいは有機第一、第二又は第三アミンと反応させることにより、本発明の逆アゴニストの最終的な単離と精製の際にin situで調製することができる。薬学的に許容される塩は、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム及びアルミニウム塩等のようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属に基づくカチオン、及び、特にアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、及びエチルアンモニウムを含む非毒性第四アンモニア及びアミンカチオンを含むが、これらに限定されない。塩基付加塩の形成のために有用な他の代表的な有機アミンは、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、ピペラジン等を含む。
【0020】
本発明の逆アゴニストの局所投与のための剤型は、粉末、スプレー、軟膏及び吸入剤を含む。活性化合物を無菌条件下で薬学的に許容される担体及び何らかの必要な防腐剤、必要に応じた緩衝剤又は噴射剤と混合する。
【0021】
本発明の製薬組成物中の有効成分の実際の用量レベルは、特定の患者について所望する治療応答を達成するために有効な活性化合物の量が得られるように変化させることができる。選択する用量レベルは、特定の化合物の活性、投与経路、治療する状態の重症度及び治療する患者の状態と過去の病歴に依存するであろう。しかし、所望する治療効果を達成するのに必要とされるよりも低いレベルの化合物用量から出発して、所望する効果が達成されるまで徐々に用量を高めていくことは当該技術の範囲内である。
【0022】
上記又は他の治療において使用するとき、治療上有効な量の本発明の逆アゴニストの1つを純粋な形態又は、そのような形態が存在する場合には、薬学的に許容される塩、エステル又はプロドラッグの形態で用いることができる。あるいは、目的とする化合物を1又はそれ以上の薬学的に許容される賦形剤と組み合わせて含有する製薬組成物として化合物を投与することができる。本発明の化合物の「治療上有効な量」の語句は、何らかの医学的治療に適用される妥当な利益/危険度比で、疾患を治療するのに十分な化合物の量を意味する。しかし、本発明の化合物及び組成物の総一日量は、適切な医学的判断の範囲内で主治医によって決定されることは明白であろう。特定の患者についての特定の治療上有効な用量レベルは、治療する疾患と疾患の重症度、用いる特定化合物の活性、用いる特定組成物、患者の年齢、体重、全般的健康状態、性別及び食事、投与時間、投与経路、及び用いる特定化合物の排泄速度、治療期間、用いる化合物との組み合わせまたは同時に使用する薬剤。及び医学技術において既知の同様の因子を含む様々な因子に依存するであろう。例えば、所望する治療効果を達成するのに必要とされるよりも低いレベルの化合物用量から出発して、所望する効果が達成されるまで徐々に用量を高めていくことは十分に当該技術の範囲内である。
【0023】
ヒト又は下等動物に投与する本発明の逆アゴニストの総一日用量は、約0.0001から約1000mg/kg/日までの範囲をとりうる。経口投与のためには、より好ましい用量は約0.001から約5mg/kg/日までの範囲でありうる。所望する場合には、投与のために有効一日用量を多回用量に分けることができる。その結果として、単回用量組成物は、該当する量又はその約数であって一日量を構成する量も含みうる。
【0024】
本発明の化合物が食欲を抑制する能力を実施例において、下記で詳細に説明する。これらの実施例は本発明の好ましい実施形態と有用性を説明するために提示するものであり、付属の特許請求の範囲の中に記載がない限り本発明を限定することを意図しない。
【0025】
実施例1
G−蛋白質非結合受容体に対する様々なイミダゾール誘導体の親和性を調べるために、ヒスタミンH3受容体結合分析を次のように実施した。雄性SD(Sprague−Dawley.以下SDとする)ラットをHarlan Laboratories of Indianapolis,Indianaより購入し、1ケージに2匹ずつ収容して、the Animal Welfare Act of 1994及び改正に従ってTeklad Mouse/Rat Diet 7012(Harlan Laboratories of Indianapolis,Indianaより入手可能)と水を自由に摂取させ、12時間明/暗スケジュールで飼育した。組織採取の前に少なくとも1週間、動物を実験室条件に順応させた。
【0026】
Westらの「2つのH3ヒスタミン受容体サブタイプの同定(Identification of Two H3−Histamine Receptor Subtypes)」、Mol.Pharmacol.38:610−613(1990)における方法に従い、Tedfordらが「新しい高親和性ヒスタミンH3受容体リガンドとしてのトランス−2−(1H−イミダゾール−4−イル)シクロプロパン誘導体の開発(Development of trans−2−(1H−imidazol−4−yl)Cyclopropane Derivatives As New High−Affinity Histamine H3 Receptor Ligands)」、J.Pharmacol.Exp.Ther.289:1160−1168(1999)において修正したように、H3選択的アゴニストリガンド[3H]−Nα−メチルヒスタミン([3H]NAMHA、78.9Ci/ミリモル、NEN Research Products,Boston,MAより入手可能)を使用してラット大脳皮質膜においてヒスタミンH3受容体の親和性を測定した。
【0027】
動物をNO2吸入によって麻酔し、速やかな断頭によって安楽死させた。大脳皮質組織を採取し、ドライアイス上で凍結した。EDTA(10mM)、フェニルメチルスルホニルフルオライド(0.1mM)、キモスタチン及びロイペプチン(各々0.2mg/50mL)を含む25mMトリス緩衝液(4℃でpH7.5)中でTissue Tearerを用いてラット皮質を機械的にホモジナイズした。ホモジネートをSorvall遠心分離機において40,000×gで30分間遠心分離した。ペレットを水25mlに再懸濁し、氷上で30分間溶解した。次に再びホモジネートを遠心分離して、膜溶解を反復した。膜を遠心分離し、最終的な膜ペレットを14容積の水に再懸濁して、約200μg蛋白質/100μlの最終濃度を得た。懸濁液を使用まで−80℃で凍結保存した。Coomassie Plus Protein Assay(Pierce of Rockford,Illinoisより入手可能)を用いて蛋白質濃度を測定した。
【0028】
表1と2は、一部のヒスタミンH3受容体結合化合物が、GTPγS(グアノシン5’−o−(3−チオトリホスフェート))で処理した受容体試料に対して高い親和性を示すことを明らかにしている。GTPγSは受容体からのG−蛋白質の解離を引き起こす。データは各々の表について[3H]−Nα−メチルヒスタミン結合(平均)のパーセントとして示している。被験化合物は放射性標識化合物[3H]−Nα−メチルヒスタミンとの結合に関して競合する。被験化合物が結合受容体よりも非結合受容体に選択的に結合するときには、トリス処理系におけるよりもトリス−GTPγS処理系において放射性標識ヒスタミンH3受容体リガンドに関してより低いパーセンテージの結合が測定される。
【0029】
表1の結果は、化合物1が、GTPγS処理した皮質膜試料に対して処理していない試料よりも高い見かけ親和性で結合することを示している。逆に、化合物2のような一部のヒスタミンH3受容体結合分子は、表2が示唆するように、2つの膜試料への結合において比較的差がないことを示す。G−蛋白質非結合受容体への優先結合を示す化合物が「逆アゴニスト」と称された(Milliganら、「逆アゴニスム:薬理学的好奇心かあるいは潜在的な治療戦略か?(Inverse Agonism:Pharmacological Curiosity or Potential Therapeutic Strategy?)」、Trends Pharmacol.Sci.16:10−13(1995)及び「逆アゴニスムと受容体数の調節(Inverse Agonism and the Regulation of Receptor Number)」、Trends Pharmacol.Sci.18:468−474(1997))。それ故,化合物1のような分子はヒスタミンH3受容体逆アゴニストとして分類することができ、一方非結合又は結合受容体に関してほとんど選択性を持たない化合物2のような分子はアンタゴニストと称される。
【0030】
試験した化合物の構造は下記の該当する表に示されている。化合物は、WO96/40126号、WO96/38142号及び米国特許第5,990,317号、同第6,008,240号及び同第5,486,526号に開示されている手順に従って調製した。
【0031】
【表1】
【0032】
化合物1=4−((1R,2R)−トランス−2−(O−(2−シクロヘキシルエチル)カルボキシアミド)シクロプロピル}イミダゾール
【0033】
【化1】
【0034】
【表2】
【0035】
化合物2=(3Z)−4−(6−シクロヘキシルヘクス−3−エン−1−イル)イミダゾール
【0036】
【化2】
【0037】
様々なヒスタミンH3受容体結合化合物も、上述した手順によりG−蛋白質非結合受容体試料への優先結合に関して調べた。この分析の結果を表3に要約する。この表は、GTPγS処理及び非処理受容体試料(後者は結合と非結合のヒスタミンH3受容体の混合物を含む)に関する明らかな結合親和性を列挙している。また2つの膜試料に関する結合親和性の比率も表3に示している。この比率の数値が高いほど、G−蛋白質非結合受容体に対する被験化合物の結合親和性が大きい。少なくとも2の比率を有する化合物は非結合受容体に選択的に結合する。
【0038】
【表3】
【0039】
化合物3=4−((1R,2R)−トランス−2−(O−(2−シクロヘキシルメチル)カルボキシアミド)シクロプロピル}イミダゾール
【0040】
【化3】
【0041】
化合物4=4−(((5S)(3Z)−5−アミノ−6−シクロヘキシル)へクス−3−エン−1−イル)イミダゾール
【0042】
【化4】
【0043】
化合物5=4−(N−(5−シクロヘキシルペンタン−1−オン−1−イル)ピペリジン−4−イル)イミダゾール
【0044】
【化5】
【0045】
化合物6=(1R,2R)−トランス−4−(2−(5,5−ジメチルへクス−1−イニル)シクロプロピル)イミダゾール
【0046】
【化6】
【0047】
化合物7=4−((1R,2R)−トランス−2−(O−(2,6−ジクロロフェニルメチル)カルボキシアミド)シクロプロピル}イミダゾール
【0048】
【化7】
【0049】
化合物8=3−(1H−イミダゾール−4−イル)プロピル−ジ(p−フルオロフェニル)−メチルエーテル
【0050】
【化8】
【0051】
化合物9=4−((1R,2R)−トランス−2−(O−(3,3−ジメチル−ブタ−1−イル)カルボキシアミド)シクロプロピル)イミダゾール
【0052】
【化9】
【0053】
実施例2
表3に要約した化合物を、成体SDラットによる食物消費を抑制する能力に関して検討した。雄性SDラットをHarlan Laboratories of Indianapolis,Indianaより購入し、1ケージに1匹ずつ収容して、12時間ずつの明/暗スケジュール(午後12時30分に照明を消す)に保持し、粉末Teklad Mouse/Rat Diet 7012(Harlan Laboratories of Indianapolis,Indianaより入手可能)と水を自由に摂取させた。食物摂取試験を開始する前に1から2週間、ラットを実験室条件と食餌に順応させた。実験の当日に、被験化合物を賦形剤/担体中に溶解又は懸濁し、暗周期開始の30から60分前にラットに投与した(腹腔内又は経口)。暗周期開始から1、2、4及び24時間後に食物摂取を測定した。あるいは、食物摂取への化合物の作用を評価する前24時間ラットを絶食させた(水は摂取させた)。これらの試験については、化合物又は賦形剤/担体を投与し、ラットを標準的な小動物代謝チェンバーに収容して、粉末Teklad Mouse/Rat Diet 7012と水を自由に摂取させた。食餌供給の開始から2及び4時間後に食物摂取を測定した。
【0054】
例示的な結果を表4に示す。データはグラム、平均±semで表わした累積食物摂取である。表の中で、*は賦形剤処置ラットと比較した食物摂取の有意の低下を示す(t−検定、p<0.05)。化合物3の単回投与は24時間まで食物消費の有意の低下を生じさせた(表4)。
【0055】
【表4】
【0056】
各々の化合物の腹腔内投与から2時間後のラットによる食物摂取のパーセント低下を表5に示す。表からわかるように、一部の化合物(すなわち1、3−5、8)は統計的に有意の食物消費の低下を生じさせた。逆に、化合物2、6、7及び9はラットが消費する食物の量に測定可能な影響を及ぼさなかった。興味深いことに、GTPγS処理受容体試料に対して非処理試料よりも約2倍高い親和性を有する化合物は食欲抑制作用を生じさせるが、この比率以下に属する化合物は食物消費に評価しうる変化を引き起こさなかった(表3及び5参照)。従って、逆アゴニストは食物消費の有意の低下を生じさせるが、アンタゴニストは低下をもたらさない。表5において、*は賦形剤処置ラットと比較した食物摂取の有意の低下を示す(t−検定、p<0.05)。表5のex vivo結合値は、腹腔内投与後に脳内で1/2の最大H3受容体占有率を得るために必要な薬剤用量を表わす。表5に示す用量値は、食物摂取試験の際に使用した薬剤の用量を表わす。すべての場合に、試験した用量は脳内で1/2の最大H3受容体占有率を得るために必要な量を上回った。
【0057】
【表5】
引用したすべての参考文献は参照して本明細書に組み込まれる。
【0058】
本発明は上記の説明と実施例によって例示される。上記の説明に照らして当業者には多くの変法が明らかになるので、上記の説明は非制限的な例示として提示するものである。付属の特許請求の範囲と精神内でのそのようなすべての変法は、特許請求の範囲に包含されることが意図されている。
【0059】
前述の特許請求において定義されるような本発明の概念と範囲から逸脱することなく、ここで述べる本発明の方法の組成物、操作及び手順に変更を加えることができる。
Claims (5)
- 体重減少を促進し、摂食障害を治療するための方法であって、そのような体重減少又は治療を必要とする患者にヒスタミンH3受容体の逆アゴニストの有効量を投与することを含み、該逆アゴニストがチオペラミドではないことを条件とする方法。
- 該逆アゴニストが、4−{(1R,2R)−トランス−2−[O−(2−シクロヘキシルエチル)カルボキサミド]シクロプロピル}イミダゾール、4−{(1R,2R)−トランス−2−[O−(2−シクロヘキシルメチル)カルボキサミド]シクロプロピル}イミダゾール及び3−(1H−イミダゾール−4−イル)プロピル−ジ(p−フルオロフェニル)−メチルエーテルから成る群より選択される、請求項1に記載の方法。
- 該逆アゴニストを静脈内、筋肉内、腹腔内又は皮下注射によって投与する、請求項1に記載の方法。
- 該逆アゴニストを経口的に投与する、請求項1に記載の方法。
- 約0.01mg/kgから約200mg/kgまでの該逆アゴニストを単回用量又は1日当りの分割用量で投与する、請求項1に記載の方法。
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