JP2004503831A - マルチパス多光子吸収方法および装置 - Google Patents
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Abstract
多光子吸収プロセスの効率を増大させるための方法および装置。この方法は、光反応性組成物を提供するステップと、少なくとも2つの光子の同時吸収をもたらすのに十分な光を提供するステップと、光源からの光を少なくとも1回通過させるように光反応性組成物を露光させるステップと、少なくとも1つの光学素子を用いて光の第1のトランジットの少なくとも一部分を前記光反応性組成物内に方向付けるステップとを含み、少なくとも1回のトランジットで吸収されない複数の光子を用いて次のトランジットで前記光反応性組成物を露光する。
Description
【0001】
優先権の宣言
本願は2000年6月15日出願され、その内容が引用によって本明細書に組み入れられる米国特許仮出願第60/211,704号の優先権を主張するものである。
【0002】
発明の分野
本発明は(硬化など)多光子吸収プロセスにおいて用いられる光源の効率を強化するための方法に関するものであり、同方法は光を複数回反応性組成物内を通過させるステップを含んでいる。
【0003】
発明の背景
分子による二光子吸収は1931年にGoppert−Mayerによって予言されたものである。1960年にパルス化ルビー・レーザが発明されると、二光子吸収の実験的観察が現実のものとなった。それ以後、二光子励起は生物学、光データ記憶、その他の分野で実際に応用されている。
【0004】
二光子誘発光プロセスと単一光子誘発プロセスとの間には2つの重要な違いがある。単一光子吸収は入射光強度と直線的に相関するが、二次関数的に相関する。より高次の吸収は入射強度のそれに相関したより高い次数で変化する。その結果、3次元空間解像度で多光子プロセスを実行することができる。また、多光子プロセスは2つ、あるいはそれ以上の光子の同時吸収を伴っており、吸収発色団は、個々の光子がその発色団を励起するのには不十分なエネルギーを持っているとしても、その総エネルギーが励起状態の多光子光線感作物質のエネルギーと等しい多数の光子によって励起される。励起光は硬化基質あるいは材料内での単一光子吸収によって減衰されないから、物質内のその深度に焦点を合わせたビームを使用することで、単一光子励起で行われる以上に物質内の大きな深度で分子を選択的に励起させることが可能である。これらの2つの光子は、例えば、組織あるいは他の生体物質内に励起を加える。
【0005】
主たる利点は多光子吸収を光硬化および微細加工の蝋域に適用することによって達成される。例えば、多光子リソグラフィあるいは立体リソグラフィにおいては、多光子吸収の強度を非線形的に変えることで、用いられている光の回折限界より小さなサイズを有する特徴を書き込んだり、あるいは(これもホログラフィにとって興味深い)3次元での特徴の書き込みを可能にしてくれる。しかしながら、そうした加工は書き込み速度が遅く、レーザー出力が高い場合に限られている。従って、多光子吸収システムの処理量と効率を向上させる方法が求められている。
【0006】
発明の要約
本発明は多光子吸収プロセスの効率を向上させる方法を提供する。この方法は光反応性組成物を提供するステップと、前記光反応性組成物による少なくとも2つの光子の同時吸収に十分な光源を提供するステップと、前記光源からの光の少なくとも第1のトランジット(transit)に(好ましくは、例えば約10ナノ秒未満のパルス長を有する近赤外線パルスレーザーを用いてパルス照射を行うことによって)前記光反応性組成物を露光させるステップと、前記光の第1のトランジットの少なくとも一部分を少なくとも1つの光学素子を用いて前記光反応性組成物に向けるステップによって構成され、前記第1のトランジットで吸収されなかった複数の光子が次のトランジットで前記光反応性組成物を露光させるのに使用されることを特徴としている。
【0007】
多光子吸収プロセスにおける高出力レーザー光線のより効率的な使用が前記レーザー光線を前記光反応性組成物内を複数回通過させることで達成されることが本発明の利点である。このことは集光ミラー、導波管、あるいはキューブ・コーナー反射性素子などの適切な光学素子を用いることで達成される。
【0008】
好ましくは、前記光の第1のトランジットの少なくとも一部分を前記光反応性組成物内に戻すよう方向付けるステップは、前記光の第1のトランジットに露光されたのと同じ場所で前記光の第1のトランジットの少なくとも一部分を前記光反応性組成物内に戻すよう方向付けるステップを含んでいる。あるいは、前記光の第1のトランジットの少なくとも一部分を前記光反応性組成物内に戻るよう方向付けるステップは、前記光の第1のトランジットに露光されたのとは異なった場所で前記光の第1のトランジットの少なくとも一部分を前記光反応性組成物内に戻るよう方向付けるステップを含んでいる。
【0009】
本発明はまた、多光子吸収プロセスの効率を増大させる方法において、光反応性組成物を提供するステップと、前記光反応性組成物による少なくとも2つの光子の同時吸収に十分な光源を提供するステップと、前記光反応性組成物内の第1の焦点に光を集光させるステップと、前記光の第2の部分を前記光反応性組成物内に第2の焦点で集光させるステップとを含み、光の第1の部分が前記光反応性組成物によって吸収され、光の第2の部分が前記光反応性組成物を通過する、方法を提供する。
【0010】
好ましくは、前記光の第2の部分を第2の焦点に集光させるステップがさらに、前記光の第2の部分を前記光反応性組成物を通じて反射させるステップを含んでいる。あるいは、前記光の第2の部分を集光させるステップが前記光の第2の部分を複数の焦点に集光させるステップを含んでいる。好ましくは、前記光の第2の部分を反射させるステップが、集光を伴わずに前記光反応性組成物を通じて光の第2の部分の複数のトランジットを反射するステップを含んでいる。
【0011】
好ましくは、前記光の第2の部分の複数のトランジットを反射するステップは、複数の光学素子間で光の第2の部分を選択的に方向付けるステップを含み、前記複数の光学素子の少なくとも1つが集光を伴わずに前記光を前記光反応性組成物を通じて選択的に反射することができ、前記複数の光学素子の少なくとも1つが前記光反応性組成物内の焦点に前記光を選択的に集光させることができる。
【0012】
必要に応じて、前記光反応性組成物を通じて前記光の第2の部分を反射させて前記光の第2の部分を集光させるステップが1回以上反復されて複数の焦点がつくりだされる。さらに、必要に応じて、前記光の第2の部分を反射させるステップが、集光を伴わずに前記光反応性組成物を通じて前記光の第2の部分の複数のトランジットを反射させるステップを含んでいる。
【0013】
好ましくは、光反応性組成物は第1の焦点の近傍で硬化され、同時に第2の焦点の近傍で硬化される硬化性種を含んでいる。必要に応じて、前記第1の焦点と前記第2の焦点は前記光反応性組成物内の同じ位置にある。
【0014】
本発明はまた、多光子吸収プロセスの効率を増大させる方法を提供する。この方法は、反射性基板上に配置された光反応性組成物を提供するステップと、前記光反応性組成物によって少なくとも2つの光子の同時吸収に十分な光を提供するための光源を提供するステップと、前記光反応性組成物を第1の焦点の光源からの光に露光させるステップと、そして前記光を前記反射性基板によって前記光反応性組成物内に反射して戻すステップとを含んでいる。好ましくは、この方法はさらに、前記光を第2の焦点で反射して前記光反応性組成物内に戻すための光学素子に前記光をあてるステップを含んでいる。より好ましくは、この方法においては、前記反射性基板で前記光を反射させ、さらに前記光を1つの光学素子で反射させるステップが1回以上反復されて、複数の焦点がつくられる。
【0015】
本発明の光反応性組成物はモノマー、オリゴマー、反応性ポリマー、およびそれらの混合物などの硬化性種であるが、硬化不能な種でも使用できる。硬化性種の好ましい例としては、添加−重合可能モノマーおよびオリゴマー、添加−架橋可能ポリマー、陽イオン重合可能モノマーおよびオリゴマー、陽イオン架橋可能なポリマー、そしてそれらの混合物である。
【0016】
好ましくは、前記光反応性組成物は多光子光増感剤も含んでいる。光化学組成物は電子供与体化合物を含んでいる場合と含まない場合がある。光反応性組成物は任意に、光開始剤と含んでいてもよい。
【0017】
好ましい光開始剤は、固体の総重量に対して重量で約5%から約99.79%の少なくとも1つの反応種と、約0.01重量%から約10重量%の少なくとも1つの多光子光増感剤と、最大約10重量%の少なくとも1つの電子供与体化合物と、約0.1重量%〜約10重量%の少なくとも1つの光開始剤を含んでいる。
【0018】
本発明はまた、多光子吸収のための装置を提供する。この装置は、光反応性組成物と、前記光反応性組成物によって少なくとも2つの光子が同時に吸収されるために十分な光を提供するための光源と、複数の光学素子で構成され、前記光反応性組成物が前記複数の光学素子の少なくとも2つの間に配置されており、前記複数の光学素子の少なくとも1つの光学素子が集光を伴わずに前記光反応性組成物を通じて前記光を選択的に反射させることができ、さらに前記複数の光学素子の少なくとも1つの光学素子が前記光反応性組成物内の焦点に前記光を選択的に集光させることができる。
【0019】
前記光学素子は好ましくは1つ以上の凹球面ミラー、凹非球面ミラー、平面ミラー、デジタル・マイクロミラー装置、偏光器、レンズ、逆反射装置、格子、位相マスク、ホログラム、分散装置、ポッケルスセル(Pockels cells)、導波管、ウェーブ・プレート、逆反射液晶、プリズム、そしてそれらの組み合わせを含んでいる。
【0020】
前記光源は好ましくはパルスレーザーで構成されている。好ましくは、この光の波長は約300nm〜約1500nmの範囲、より好ましくは約600〜約1100nmの範囲、そして最も好ましくは約750nm〜約850nmの範囲である。
【0021】
定義
ここで用いられている場合、
『多光子吸収』とは2つ以上の光子を同時に吸収して、同じエネルギーの単一の光子の吸収によってはエネルギー的に到達できない反応性のある電子励起状態になることを意味している。
【0022】
『同時』とは2つの事象が10−14秒以内に起きることを意味している。
【0023】
『電子的励起状態』とはエネルギーがその分子の電子的基底状態より高く、光の吸収によって到達することができ、10−13秒以上持続する1つの分子の電子的状態を意味する。
【0024】
『反応』とは硬化(重合化および/又は架橋)を起こすこと、および脱重合化その他の反応を起こすことを意味する。
【0025】
『光学システム』とは光を制御するシステムを意味しており、このシステムはレンズ、ミラーなどの反射性光学素子、および格子などの回折生性光学素子で構成される群から選択される少なくとも1つの要素を含み、そうした光学素子は分散器、導波管、および光学分野で周知の他の要素を含むものとする。
【0026】
『露光システム』とは1つの光学素子と、光源を意味する。
【0027】
『十分な光』とは多光子吸収を起こすのに十分な強度と適切な波長の光を意味する。
【0028】
『光増感剤』とは光開始剤を活性化してそれとの作用で光反応開始種を生成するのに必要な低めのエネルギーの光を吸収することで光開始剤を活性化するのに必要なエネルギーを低下させる分子を意味している。
【0029】
(光開始剤系の成分の)『光化学的に有効な量』とは、(例えば、強度、粘度、色、pH、屈折率、あるいはその他の物理的あるいは化学的特性)の変化で示されるような)選択された条件下での少なくとも部分的変化をその反応種に起こすのに十分な量を意味する。
【0030】
『トランジット』とは光をある体積の光反応性組成物を完全に通過させることを意味する。
【0031】
『焦点』あるいは『集光』とは平行化された光を1つの点に集めること、あるいは1つの対象物の像を形成することを意味する。
【0032】
実施の形態の説明
多光子吸収のための1つの好ましいシステムは、光源と適切な光学素子、および少なくとも1つの反応種、少なくとも1つの多光子光増感剤、任意には少なくとも1つの電子供与体化合物、そして任意には少なくとも1つの光反応性組成物に対する光開始剤を含む光反応性組成物を含んでいる。光開始剤は通常、その反応種が陽イオン樹脂である場合を除けば、オプション可能である。
【0033】
実際には、本発明による方法は光反応性組成物をその光反応性組成物に反応(例えば硬化)をもたらすのに十分なエネルギーの光源に露光させることで複雑で3次元的な物体を作成するために用いることができる。好ましくは、未反応物質は、例えば、溶媒やその他の周知の手段を用いて洗浄することによって望ましい物体から分離される。
【0034】
通常の光硬化とは違って、1つの光反応性組成物が露光される場合、非常に少ない量の入射光が吸収され、使用される。利用できる光の量によって硬化システムは限定されていないが、近い将来それが可能になるであろう。サンプル中を光(例えばレーザー)を複数回通過させることで、その光をより効率的に利用することができるようになる。短いパルス光子は発生させるためにかなりの資源が必要であり、現段階では既存の光源をスケール・アップさせる方法はないので、2つの光子重合化を具体化する上で多重投下が重要な役割を果たす可能性がある。反射されて光反応性組成物に向けられる光は前のトランジットで対象となったのと同じ焦点に向けることができるし、別の焦点に向けることもできる。
【0035】
図1は本発明の1つの実施の形態による多光子吸収装置10を示しており、この場合、光は反射されて、光反応性組成物内の前回のトランジットの場合と同じ焦点に向けられている。装置10は少なくとも1つの第1の光学素子20と、少なくとも1つの第2の光学素子30と、そして光反応性組成物12を含んでいる。以下にさらに詳細に述べる光反応性組成物12は好ましくは作像収差を防ぎ、その作像装置の十分な作動距離を有効利用するのに十分な高度の均一の厚みを有している。
【0036】
図1に示されているように、光40は少なくとも軸50に全体として平行な1つの第1の光学素子20に到達する。前記少なくとも1つの光学素子20はその光を前記光反応性組成物12内の焦点14に集光させる。前記少なくとも1つの光学素子20は軸50上にその中心22aを有する集光レンズを含んでいる。集光レンズとして示されているが、前記少なくとも1つの第1の光学素子20は光を焦点に集めるいずれの適切な光学装置を含んでいてもよい。この技術分野でよく知られているように、集光レンズ22は平行な光をそのレンズ22aの中心から焦点距離fに等しい距離にある焦点に集光させる。ここで、前記集光レンズ22aの中心22aから焦点距離14までの距離はレンズ22の焦点距離fに等しい。焦点14に集光された後、光40はそれが光反応性組成物12を出て行くと、広がり始める。
【0037】
発散ビーム40は前記少なくとも1つの第1の光学素子20から光反応性組成物12の反対側に配置された少なくとも1つの第2の光学素子30によって集められる。この少なくとも1つの第2の光学素子30は第1の反射面34を有する球面集光ミラーを含んでいる。図1では球面集光ミラーとして示してあるが、前記少なくとも1つの第2の光学素子30は非球面ミラーなどこの技術分野で衆知のいずれの適切な光学装置、あるいは同じ効果を生み出す要素、例えば平行化レンズおよび平面ミラーなどの組み合わせを含んでいてもよい。発散ビーム40を集めた後、前記球面集光ミラー32はその光を光反応性組成物12の方向に反射して、焦点14に集光させる。先行技術でよく知られているように、球面集光ミラーなどの反射性球面集光学素子は、そのミラーとその焦点との間の媒体に対して、そのミラーの曲率半径の2分の1に屈折率nを掛けた値と等しい焦点距離fを有している。ここで、球面状集光ミラー32は軸50に沿ってそのミラーの頂点36からそのミラーの焦点14までの距離に等しい焦点距離を有しているので、ミラー32は焦点14上の像を光化学組成物12内の同じ位置に正確に投射する。
【0038】
前記少なくとも1つの光学素子30は光40を焦点14に再び集光するので、光反応性組成物12が受ける光の量は有効に倍化される。この光反応性組成物12は光学素子20および30に対して動かされ、その組成物を任意のパターンで反応(例えば硬化)をもたらす。これによって、光反応性組成物は単一トランジット構成の場合と比較して少なくとも2倍の速さで動かすことができ、しかも同じ量の吸収エネルギーを受けることができるので、製造速度が2倍に増大する。
【0039】
図2は図1の多光子吸収装置10の別の実施の形態を示している。図2で、少なくとも1つの第2の光学素子30は角度θで傾斜されていて、この角度は軸50と頂点36と第2の焦点16を結ぶ軸38によって形成される角度に相当する。前記少なくとも1つの第2の光学素子30の傾斜は、光40が第2の焦点16に集光されるようにするためのものである。同じレーザー・ビーム40が光反応性組成物12内の複数の場所(つまり、第1の焦点14と第2の焦点16)を反応(例えば、硬化)させるために用いられているのであるから、これによって第2の利得も得られることになる。両方の場合で、前記少なくとも1つの光学素子は、集光を最大限にするために、前記少なくとも1つの第1の光学素子20によって用いられるもの以上の開口数を持っていなければならない。
【0040】
少なくとも理論的には、図2に示されている原理を、十分な光強度が得られる限り、サンプル中を何回(n)でも通過させる方式に拡張することができる。図3a〜3eはそうした方式のいくつかの実行可能な実施の形態を示している。
【0041】
図3aは複数の第1の光学素子130、複数の第2の光学素子140、光化学組成物112、そして光学素子132によって集光される光ビーム150を示している。前記複数の第1の光学素子130は球面集光ミラー130a〜130bを含んでおり、そして前記第2の光学素子140は球面集光ミラー140a〜140bを含んでいる。光学素子132は集光レンズ134を含んでいる。光反応性組成物112は前記複数の第1の光学素子130と前記第2の光学素子との間になるように配置されている。図に示されているように、前記複数の第1の光学素子130と前記第2の光学素子140との間の距離は前記球面集光ミラー130a〜130eおよび140a〜140eのそれぞれの曲率半径(R)と等しい。
【0042】
図3aに示されているように、光ビーム150は集光レンズ134を通じて送られ、この集光レンズ150はビーム150を光反応性組成物112内の第1の焦点距離114aに集光させる。前記第1の焦点114aは集光レンズ134の焦点距離である距離fにある。光反応性組成物112を出て行く発散光は球面集光ミラー140aによって集められ、反射される。前記第1の焦点114aは球面集光ミラー140aの焦点距離とほぼ等しい距離fにあるので、前記第1の焦点114aからの光は平行な、あるいは平行化されたビーム154aとして反射され、焦点に集光せずに光化学組成物112内を通過するので、前記光化学組成物112との反応(例えば硬化)は起こらない。これは、無視できる程度の2つの光子吸収が大直径、平行化ビーム154a〜eがその光反応性組成物を通過する際に起きるようにパルス化された光150のビームの強度を設定することによって達成することができる。
【0043】
再平行化された光ビーム154aが球面集光ミラー130aに到達すると、それが光ビーム152bとして反射され、それが第2の焦点114bに集光されて、焦点114bで光反応性組成物112の反応(例えば硬化)をもたらす。焦点114bのスポット・サイズは前記複数の第1および第2の光学素子130および140の開口数に依存する。
【0044】
図3aからも分かるように、多光子吸収装置100は光反応性組成物112を通じて集光された、あるいは集光されていない光を集め、反射し続けるよういずれの数の第1および第2の光学素子でも含むことができる。
【0045】
3次元パターンを作り出すためには、前記光反応性組成物は前記複数の第1および第2の光学素子130および140の両方を固定したまま、xyz面で走査される。あるいは、それらの間の距離を一定(例えば曲率半径)に保ち、光反応性組成物を固定したまま、前記第1および第2の光学素子130および140のアレイを群として動かすことも可能である。このシステムは複数の場所で3次元パターンを再現するのに適している。
【0046】
光学素子(例えば、ミラー)130および140を曲率半径Rの2倍の距離に離れて配置させることで複数の場所で3次元パターンを作り出すために適している別システムをつくることができる。図3bで、図3aに示す多重投下多光子吸収装置100の別の実施の形態が示されており、この場合、複数の第1の光学素子130が前記複数の第2の光学素子140から球面集光ミラー130a〜130b、そして140a〜140bの曲率半径の2倍の距離に位置している。これらのミラーを2Rの距離に離れて配置することで、光ビーム152および154a〜154bが焦点114b〜114で光反応性組成物112を通過する度に前記第1の焦点114aの像が(つまり、拡大なしで)再現される。そして光反応性組成物112がxyz平面で走査されて、パターンを作り出す。
【0047】
複数の作像スポットで形成される任意のパターンを作り出すためには、各ミラーへの能動的な集光制御を組み込むのが好ましい。これを行うための1つの方法は、各曲面ミラーの前に(その反射性をON/OFF切り換えできるような)平面ミラーを配置することである。図3aはそうした手法の例を示している。
【0048】
図3aに示されている実施の形態は図3aに示されている多重投下多光子吸収装置100に類似している。図3cで、多重投下多光子吸収装置は4つの書き込みスポット(つまり、焦点214a、214b、214cおよび214d)と、(硬化などの反応をもたらす)吸収が起きない2つの領域を作り出すように構成される。装置200は複数の第1の光学素子230、複数の第2の光学素子240、そして光反応性組成物212を含んでいる。図3aに示されているように、前記複数の第1の光学素子230は前記複数の第2の光学素子240から球面集光ミラー230a〜230eと240a〜240eの曲率半径に等しい距離に離れて配置されている。
【0049】
図3cの多光子吸収装置200と図3aに示されている実施の形態との違いは、平面ミラー232a、232b、242aおよび242bが球面集光ミラー230b、230c、240c、および240dの前に配置されていることである。集光レンズは最初に光ビーム250を焦点214aに集光させ、その光ビーム250は球面集光ミラー240aによって反射される。光反応性組成物212を通過した後、光ビーム254aは球面集光ミラー230aによって反射されて、焦点214bを通じて球面集光ミラー240bに送られ、再度光反応性組成物212を通過して図3cに示されているように球面集光ミラー230bの前面に配置された平面ミラーである光学素子232aに達する。平面ミラー232aはこの技術分野で知られているいずれの適切な平面ミラーであってもよい。平面ミラー232aは電場でON/OFFできるようなタイプのものであってもよい。平面ミラーがONの場合、光ビーム254bは集光を伴わずに告ぎの書き込み位置に向けられる。平面ミラーがOFFの場合、下にある球面集光ミラー230bがその光を光反応性組成物に集光させる。前記ミラーの起動速度に基づいて、平面ミラーおよび球面ミラーの構成を処理中に変更したり、光画像形成プロセスの開始時に予め設定することもできる。
【0050】
図3cに示す平面ミラー232aと球面集光ミラー230bを用いた構成の例を図3dに別の実施の形態として示す。この場合、平面ミラー系300は平面ミラー310と凹面ミラー370を含んでいる。平面ミラー310は制御可能な(偏向光で用いることができる)反射性を有している。平面ミラー系300がON状態の場合、光ビーム350は経路350aを通じて偏向器320を通過して、逆反射液晶層に入る。ON状態では、この逆反射液晶層330はその光の偏向状態を、それが下の反射性偏向器340の透過軸に対して垂直になりように回転させる。光ビーム350の偏向はそれによって下の反射性偏向器340に対して垂直になるから、そのビーム350は偏向器340を通過しなくなる。その代わりに、ビーム350は経路350bに沿って、そして偏向器320を通じて反射される。
【0051】
平面ミラー系300がOFF状態にある場合に、光ビーム360は経路360aを通じて偏向器320aを通過して、液晶層330に入り、液晶層330がそれが反射性偏向器340の透過軸に平行になるようにそのビーム360の偏向状態を回転させる。ビーム340は反射性偏向器340を通過して、凹面ミラー370に進み、そこで反射性偏向器340と液晶層330を通じて経路360bに沿って再度集光されて、光反応性組成物内に焦点を形成する(例えば、図3cの光反応性組成物212参照)。
【0052】
同様の作用は、ミラーのONおよびOFF状態を達成するためにそのミラーの界面近くで総内部反射(TIR)と挫折TIRを用いることによって達成される。このTIR効果はそのミラーの界面近くに配置された圧電駆動膜(あるいはその他の手段Iを用いて阻むこともできるであろう。膜(あるいはその他の物質)が圧電ミラーに近づけられると、その界面近くに存在する瞬時的な波が膜と結合して、そのミラーの反射性を低下させる。
【0053】
もうひとつの可能性はその光反応性組成物を通じての複数回の通過中に書き込みを行うための特定の場所を(二通りの方法で)選択するためにそれらのミラーを物理的に動かす方法である。こうした方法の1つの実施の形態が図3eに示されており、静止球面集光ミラーと可動平面ミラーが直線的アレイ構成で交互に配置されている。図3eで、多重投下多光子吸収装置400は複数の第1の光学素子420、複数の第2の光学素子430、および前記複数の第1の光学素子420と前記複数の第2の光学素子430の間に配置された光反応性組成物412を含んでいる。前記複数の第1の光学素子420は球面集光ミラー422a、422b、422c、および422cを含んでおり、これらは平面ミラー424a、424b、および424cと交互に配置されている。前記複数の第2の光学素子430は球面集光ミラーは432a、432b、432c、および432cを含んでおり、これらは平面ミラー434a、434b、434cおよび434dと交互に配置されている。これらの平面ミラーは平行化された光ビームを凹面ミラーに向けてそのビームを光反応性組成物412内に向けるか、あるいは次の平面ミラーに向けて焦点の1つをうまくスキップするかのいずれかのために方向操作することができる。
【0054】
例えば、平面ミラー434aは光ビーム440を球面集光ミラー422aの方向に反射し、平面ミラー434dが光ビーム440を球面集光ミラー422dの方向に反射する。また、平面ミラー434aを傾斜させて、ビーム440を平面ミラー424aの方向に反射させ、平面ミラー424aがビーム440を平面ミラー434bの方向に向けて、球面集光ミラー422aをバイパスする構成も可能です。図3eに示されているミラー構成は第1の焦点414aに書き込みを行い、2つの未反応(例えば未硬化)物質領域を残し、そして第2の焦点414bで別のスポットを買い込むように構成されている。Texas Instruments社が生産しているようなデジタル・マイクロミラー装置などの微細電子機械システムがこうした構成には有用である。
【0055】
ビームが本発明による多光子反応性(例えば光活性化)組成物を何回も通過すると、その強度は種々の要因、例えば物質の不完全性、小さなミラーおよびレンズからの回折ロスなどによって失われることからゆっくりと低下していく。これによって、最初の通過時より最後の書き込みスポットにおける光の量の方が少なくなる。こうした欠陥はミラーか屈折反射装置をビームを正確にそれが通過した経路に沿って戻るように方向付けるアレイの最後に配置することで克服することができる。1回の通過あたりのロスが正確に分かったら、1回の通過あたりの光の量をできるだけ一定にするために、反射装置を位置調整することができる。その光パルスを再圧縮するために分散補償要素も加えることができる。
【0056】
そのシステム全体を通じて伝播する可能性のある作像収差も問題である。球面レンズの場合と同様、球面ミラーは軸ずれ収差を起こす傾向があり、そのミラーに垂直あるいはそれに近い角度で入射するビームに対して最もよく用いられている。図3a〜3eに示すような軸ずれ集光状態においては非球面が好ましい。
【0057】
図3a〜3eに示すような多重投下システムにおいては、ミラーの屈折率とパルス分散にかなりの注意を払う必要があるが、それはそれらが物質による吸収より有効レーザー強度のロスに大きくかかわる可能性があるからである。
【0058】
光反応性組成物のための基板はレーザー波長において好ましく透明であり、さらに好ましくは分散性ができるだけ小さいことが好ましいが、集光ミラーの能動的焦点距離制御を導入するようにシステム能力を拡張すると、反射性基板の基質が可能である。
【0059】
図4は本発明の1つの実施の形態を示しており、この実施の形態での集光ミラーの能動的焦点距離制御が示されている。図4に示されているように、焦点距離の前と後の伝播距離の違いを補償するために、能動的焦点距離制御が必要である。この焦点距離制御は集光ミラーの形状を調節するか、あるいはビーム経路のいろいろな部分で可変光遅延を導入することで達成することができる。
【0060】
図4は複数の光学素子520、光ビーム530、光反応性組成物512、そして反射性基板540で構成されている多重投下多光子吸収装置500を示している。前記複数の光学素子520は球面集光ミラー520a、520b、そして520cを含んでいる。
【0061】
図に示されているように、ビーム530は球面集光ミラー520aによって光反応性組成物512内の第1の焦点514に対して反射、集光される。前記第1の焦点514に集光された後、ビーム530が反射性基板540によって球面集光ミラー520bの方向に反射され、そこで前記基板の方向に反射されて、第2の焦点516で再度集光される。図4に示されているように、球面集光ミラー520bはミラー520aより曲率が高く、従って、短い曲率半径を有している。この短い曲率半径によってビーム530は光反応性組成物512内の第1の焦点距離514より光反応性組成物512の表面により近い第2の焦点に再集光される。
【0062】
近い第2の焦点に再集光された後、ビーム530は再度反射性基板540によって反射されて、球面集光ミラー520cの方向に向けられる。図に示されているように、ミラー520cはミラー520aおよび520bよりやや眺めの曲率半径を有している。この長めの半径の故に、ビーム530が反射されて第1の焦点514あるいは第2の焦点516のいずれよりも反射性基板540の表面に近い第3の焦点に再び集光される。前記複数の光学素子520の曲率半径を変更することで、光反応性組成物512内に種々のパターンを形成することができる。
【0063】
本発明で有益は光反応性組成物は少なくとも1つの反応種、少なくとも1つの多光子光増感剤、任意に少なくとも1つの電子供与体化合物、そして任意に少なくとも1つの前記光反応性組成物に対する光開始剤を含んでいる。
【0064】
反応種
光反応性組成物で使用するのにてきした反応種には硬化可能種と硬化不能種とがある。一般的には硬化性種が好まれ、例えば、付加重合可能モノマーと付加架橋可能ポリマー(アクリレート、メタクリレート、そしてスチレンなどのある種のビニル化合物などの自由ラジカル重合可能あるいは架橋可能エチレン不飽和種など)と、(例えば、エポキシ、ビニル・エーテル、シアネートなどの)陽イオン重合可能モノマー及びオリゴマーと陽イオン架橋可能なポリマー、あるいはそれらの混合物である。
【0065】
適切なエチレン不飽和種は、例えば、Palazzottoらに対する米国特許第5,545,676号の欄1、65行目から欄2、26行までに述べられており、モノ−、ジ−、及びポリ−アクリレートとメタクリレート(例えば、メチル・アクリレート、メチル・メタクリレート、エチル・アクリレート、イソプロピル・メタアクリレート、n−ヘキシル・アクリレート、スチアリル・アクリレート、アリル・アクリレート、グリセル・ジアクリレート、グリセロル・トリアクリレート、エチレングリコル・ジアクリレート、ジエチレングリコル・ジアクリレート、トリエチレングリコル・ジメタクリレート、1,3−プロパンジオール・ジアクリレート、1,3−プロパンジオール・ジメタクリレート、トリエチロルプロパン・トリアクリレート、1,2,4−ブタントリオール・トリメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジオール・ジアクリレート、ペンタエリスリトル・トリアクリレート、ペンタエリスリトル・テトラアクリレート、ペンタエリスリトル・テトラメタクリレート、ソルビトール・ヘキサクリレート、bis[1−(2−アクリロキシ)]−p−エトキシフェニルジメチルエタン、bis[1−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシ)]−p−プロポキシフェニルジメチルメタン、トリシドロキシエチル−イソシアニュレート・トリメタクリレート、分子量は約200〜500のポリエチレン・グリコールのbis−アクリレート及びbis−メタクリレート、米国特許第4,652,274号に開示されているようなアクリレート化モノマーの共重合可能な混合物、及び米国特許第4,642,126号に開示されているようなアクリレート化オリゴマー;不飽和アミド類(例えば、メチレンbis−アクリルアミド、メチレンbis−アクリルアミド、メチレンbis−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンbis−アクリルアミド、ジエチレン・トリアミンtris−アクリルアミド及びベータ−メタクリアミノエチル・メタクリレート);ビニル化合物(例えば、スチレン、ジアリル・フタレート、ジビニル・サクシネート、ジビニル・アジペート、及びジビニル・フタレートなど、及びそれらの混合物が含まれる。適切な反応性ポリマーとしては1つのポリマー鎖あたり1〜約50程度の(メタ)アクリレート基を有するペンダント(メタ)アクリレートなどがある。そうしたポリマーの実例にはSartomer社から市販されているSarboxTM樹脂などの芳香酸(メタ)アクリレート半エステル樹脂(例えば、SarboxTM400、401、402、404、及び405)などがある。その他の遊離ラジカルによって硬化可能な有益な反応性ポリマーとしては炭化水素骨格と付随ペプチド基を有しており遊離ラジカルでポリマー化可能な機能がそれに取り付けられているポリマーなどがあり、例えば米国特許第5,235,015号(Ali等)に述べられているものなどがそれに該当する。望ましい場合、2つ以上のモノマー、オリゴマー及び/又は反応性ポリマーの混合物も用いることができる。エチレン不飽和種のうちで好ましいものにはアクリレート、芳香酸アクリレート(メタ)クリレート半エステル樹脂、そして、炭化水素骨格と付随ペプチド基を有しており遊離ラジカルでポリマー化可能な機能がそれに取り付けられているポリマーなどがある。
【0066】
適切な陽イオン反応種は、例えば、米国特許第5,998,495号及び同第6,025,406号でOxmanらによって開示されており、エポキシ樹脂を含んでいる。エポキシドとも呼ばれるこうした物質にはモノマー性エポキシ化合物とポリマー性タイプのエポキシドなどがあり、脂肪性、脂環性、芳香性、そして複素環性のものである場合もある。これらの物質は通常は、平均して、少なくとも1つの分子あたり1つ(好ましくは1.5個、そしてより好ましくは少なくとも2つ程度)の重合化可能なエポキシ基を有している。これらの重合化エポキシドには末端エポキシ基を有する直鎖ポリマー(例えば、ポリオキシアルキレン・グリコールのジグリシジル・エーテル)、骨格オキシタン単位を有するポリマー(例えば、ポリブタジエン・ポリエポキシド)、そして付随エポキシ基を有するポリマー(例えば、グリシジル・メタクリレート・ポリマーあるいはコポリマーなど)がある。エポキシドは純粋な化合物であってもよいし、1分子あたり1つ、2つ、あるいはそれ以上のエポキシ基を含んでいる化合物の混合物であってもよい。例えば、この骨格はいずれのタイプのものであってもよく、そしてその上の置換基も室温での陽イオン硬化に実質的に影響を及ぼさないようなものであれば、どんなタイプのものであってもよい。使用可能な置換基の例としてはハロゲン、エステル基、スルホン酸基、シロキシ基、ニトロ基、リン酸基などがある。これらエポキシ含有物質の分子量は約58から約100,000あるいはそれ以上の範囲である。
【0067】
有益なエポキシ含有物質にはエポキシシクロヘキサンカルボキシレートなどの酸化シクロヘキセン基を含むものがあり、代表的な例としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキサン・カルボキシレ−ト及びbis(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペートなどがある。こうした性質を有する有益なエポキシドのより詳細なリストは米国特許第3,117,099号に参照することができる。
【0068】
その他の有益なエポキシ含有物質には
【化1】
の式で示されるグリシジル・エーテル・モノマーがあり、この式で、R’はアルキル又はアリルであり、nは1〜6の範囲の整数である。例としては多水酸基を過剰な量のエピクロロヒドリンなどのクロロヒドリンと反応させて得られる多水酸基フェノールのグリシジル・エーテル(例えば、2,2−bis−(2,3−エポキシプロポキシフェノール)−プロパン)などがある。このタイプのエポキシドのさらに別の例は米国特許第3,018,262号に述べられており、さらに、Handbook of Epoxy Resins,Lee and Neville,McGraw−Hill Book Co.,New York(1967)でも参照できる。
【0069】
多数の市販エポキシ樹脂も用いることができる。特に、入手し易いエポキシドには酸化アクタデシレン、エピクロロヒドリン、酸化スチレン、酸化ビニル・シクロヘキセン、グリシドル、グリシジルメタクリレン、ビスフェノールAのジグリシル・エーテル(例えば、Resolution Performance Products社、前Shell Chemicals Co.から発売されているEponTM828、EponTM825、EponTM1004、及びEponTM1010など、及びDow Chemical Co.から発売されているDERTM−331、DERTM−332及びDERTM−334など)、二酸化ビニルシクロヘキセン(例えばUnion Carbide Corp.から発売されているERL−4206など)、3,4−エポキシシツキヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキセン・カルボキシレート(例えば、Union Carbide Corpから市販されているERL−4221又はCyracureTMUVR 6110あるいはUVR 6105など)、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチル−シクロヘキセン・カルボキシレート(例えばUnion Carbide CorpのERL−4201)、bis(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート(例えば、Union Carbide CorpのERL−4289)、bis(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル(例えば、Union Carbide CorpのERL−0400)、ポリプロピレン・グリコールから修正された脂肪性エポキシ(例えばUnion Carbide CorpのERL−4050及びERL−4052)、二酸化ジペンテン(例えば、Union Carbide CorpのERL−4269)、エポキシ化ポリブタジエン(例えばFMC CorpのOxironTM2001)、エポキシ機能性を有するシリコン樹脂、難燃性エポキシ樹脂(例えば、Dow Chemical Coから市販されているシュウ酸化ビビスフェノール・タイプのエポキシ樹脂であるDERTM−580)、フェノールアルデヒド・ノバラクの1,4−ブタンジオール・ジグリシル・エーテル(例えば、Dow Chemical CoからのDENTM−431及びDENTM−438)、レソルチノル・ジグリシジル・エーテル(例えば、Koppers Company,Inc.からのKoporiteTM)、bis(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート(例えば、Union Carbide CorpのERL−4299あるいはUVR−6128)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン(例えば、Union Carbide CorpのERL−4234)、一酸化ビニルシクロヘキセン1,2−エポキシヘキサデカン(例えば、Union Carbide CorpのUVR−6216)、アルキルC8−C10グリシル・エーテル(例えば、Resolution Performance ProductsからのHeloxyTM Modifier7)、アルキルC12−C14グリシル・エーテル(例えば、Resolution Performance ProductsからのHeloxyTM Modifier8)、ブチル・グリシジル・エーテル(例えば、Resolution Performance ProductsからのHeloxyTM Modifier61)、クレシル・グリシジル・エーテル(例えば、Resolution Performance ProductsからのHeloxyTM Modifier62)、p−tert−ブチルフェニル・グリシジル・エーテル(例えば、Resolution Performance ProductsからのHeloxyTM Modifier65)、1,4−ブタンジオールのグリシジル・エーテルなど多機能性グリシジル・エーテル(例えば、Resolution Performance ProductsからのHeloxyTM Modifier67)、ネオペンチル・グリコールのグリシジル・エーテル(例えば、Resolution Performance ProductsからのHeloxyTM Modifier68)、シクロヘキサンジメタノールのジグリシル・エーテル(例えば、Resolution Performance ProductsからのHeloxyTM Modifier107)、トリメチロル・エタン・エーテル(例えば、Resolution Performance ProductsからのHeloxyTM Modifier44)、トリメチロール・プロパン・トリグリシル・エーテル(例えば、Resolution Performance ProductsからのHeloxyTM Modifier48)、脂肪性ポリオールのポリグリシル・エーテル(例えば、Resolution Performance ProductsからのHeloxyTM Modifier84)、ポリグリコール・ジエポキシド(例えば、Resolution Performance ProductsからのHeloxyTM Modifier32)、ビスフェノールFエポキシド(例えば、Ciba−Geigy Corp.から発売されているEponTM−1138あるいはGY−281)、そして9,9−bis[4−(2,3−エポキシプロポキシ)−フェニル]フルオレノン(例えば、Resolution Performance Products社のEponTM1079)などである。
【0070】
他の有益なエポキシ樹脂には(グリシジルアクリレート及びグリシジルメタクリレートなどの)グリシドルのアクリル酸エステルの1つ、あるいは複数の共重合可能なビニル化合物などがある。そうしたコポリマーの例としては1:1スチレン−グリシジルメタクリレート、1:1メチルメタクリレート−グリシジルアクリレート、及び62.5:24:13.5メチルメタクリレート−エチルアクリレート−グリシジルメタクリレートなどがある。他の有益なエポキシ樹脂も良く知られており、エピクロロヒドリン、アルキレン酸化物(例えば、酸化プロピレン)、酸化スチレン、アルケニル酸化物(例えば、酸化ブタジエン)、そしてグリシジル・エステル(例えば、エチル・グリシデート)などが含まれる。
【0071】
有益なエポキシ機能性ポリマーには米国特許第4,279,717号(Eckberg)に述べられており、General Electric Companyから市販されているようなものなどエポキシ機能性シリコンがある。これらはポリメチルシロキサンで、1〜20モル%のケイ素原子がエポキシアルキル基(好ましくは、米国特許第5,753,346号(Kessel)に述べられているようなエポキシ・シクロヘキシルエチル)で置換されたものである。
【0072】
種々のエポキシ含有物質の混合物も用いることができる。こうした混合物はエポキシ含有化合物の2つ以上の重量平均分子量分布(例えば、低分子量(200以下)、中間分子量(約200〜10,000)、そして高分子量(約10,000以上))を有している。あるいは、又はそれに加えて、エポキシ樹脂は異なった化学的性質(脂肪性及び芳香性など)あるいは機能性(極性及び非極性)を有するエポキシ含有物質の混合物を含んでいてもよい。その他の陽イオン反応性ポリマー(例えばビニル・エーテルなど)も必要であれば加えることができる。
【0073】
好ましいエポキシには芳香性グリシジル・エポキシド(例えばResolution Performance Products社から市販されているEponTMなど)及び環式脂肪性エポキシ(Union Carbide社発売のERL−4221及びERL−4299など)がある。
【0074】
適切な陽イオン反応種も、ビニル・エーテル・モノマー、オリゴマー、そして反応性ポリマー(例えば、メチル・ビニル・エーテル、エチル・ビニル・エーテルtert−ブチル・ビニル・エーテル、イソブチル・ビニル・エーテル、トリエチレングリコール・ジビニル・エーテル(Internationl Speciality Products,Wayne,NJから市販されているRapi−CureTM DVE−3)、トリメチロルプロパン・トリビニル・エーテル(Base Corp.,Mount Olive,NJから市販されているTMPTVE)、そしてAllied Signal社発売のVectomerTMジビニル・エーテル樹脂(例えば、VectomerTM2010、VectomerTM2020、VectomerTM4010、そしてVectomerTM4020と他の製造業者から初版されているその同等品))と、それらの混合物を含んでいる。1つ、あるいは複数のビニル・エーテル樹脂及び/又は1つ以上のエポキシ樹脂を(いずれの割合ででも)混合したものも利用することができる。多水酸機能性物質(例えば、米国特許第5,856,373号(Kaisaki等))もエポキシ及び/又はビニル・エーテル機能性物質と組み合わせて用いることができる。
【0075】
非硬化種としては、例えば、その可溶性が酸又はラジカル誘発反応によって増大される反応性ポリマーなどがある。こうした反応性ポリマーには、例えば、光発生酸によて水溶性酸基に転換することができるエステル基を含んだ水不溶性ポリマー(例えば、ポリ(tert−ブトキシカルボニルオキシスチレン)がある。非硬化樹脂にはR.D.Allen,G.M,Walraff,W.D,Hinsberg,and L.L.Simptonによって‘‘High Performances Acrylic Polymers for Chemically Amplified Photoresist Applications’’J.Vac.Sci.Technol.B,9,3357(1991)に述べられているような化学的に増幅されるフォトレジストがある。これら化学的に増幅されるフォトレジストというコンセプトは現在ではマイクロチップ製造業界ではひろく行き渡っており、特に0.5ミクロン(あるいはさらに0.2ミクロン)以下の特性が知られている。こうしたフォトレジストでは、触媒性の種(通常水素イオン)を光照射によって発生させることができ、これには一連の化学反応が関与している。こうした一連の化学反応は水素がより多数の水素イオンや他の酸性種を発生させて、それによって反応速度を増大させるような反応を開始した場合に起きる。典型的な酸触媒化学増幅フォトレジスト・システムの例にはデプロテクション(例えば、米国特許第4,491,628号に述べられているようなt−ブトキシカルボニロキシスチレン・レジスト、米国特許第3,779,778号に述べられているようなトトラハイドロピラン(THP)メタクリレート系物質、THP−フェノール性物質、そしてP.D.Allen等によってProc.SPIE,2438,474(1995)に述べられているようなt−ブチル・メタクリレート系物質など);脱重合化(例えば、ポリフタルアルデヒド系物質);そして再構成(例えば、ピナコール再構成に基づく物質)などがある。
【0076】
有益な非硬化性種としては、ロイコ染料などもあり、これは多光子光増感剤系によって発生される酸によって酸化されるまでは無色のままであり、酸化されると目に見えるような色を示す傾向がある。(酸化された染料は電磁スペクトルの可視部分(約400〜700nm)の光が吸収されるので発色する)。本発明において有益なロイコ染料は通常の酸化条件下で反応性を示し、酸化可能であるが、通常の環境条件の下ではそれほど反応性を示さず、酸化しないようなものである。そうした化学的タイプのロイコ染料は画像形成関係の化学者に多数知られている。
【0077】
本発明で有用なロイコ染料にはアクリレート化ロイコ・アジン、フェノキサジン、フェノチアジンなどがあり、これらは、部分的に
【化2】
の式で示すことができ、この式で、Xは、O、S、及び−N−R11からなる群から選択され、Sが好ましく、R1とR2はそれぞれHと炭素原子が1−4個程度のアルキル基から選択され、好ましくはメチルであり;R5は炭素原子が1−約16のアルキル基、炭素原子が1−約16個のアルキル基、そして炭素原子が最大16個までのアリル基であり;R8は−N(R1)(R2)、H、炭素原子が1〜約4のアルキル基(R1とR2は上に述べたように選択、定義されるものとする);R9とR10はHと炭素原子数が1〜約4のアルキル基からそれぞれ選択され;そして、R11は炭素原子数が1〜約4のアルキル基と炭素原子数が最大11個までのアリル基から選択される(好ましくはフェニル基)。以下の化合物はこのタイプのロイコ染料の例である。
【化3】
【0078】
他の有用なロイコ染料には、Leuco Crystal Violet(4,4’,4’’−メチリジネトリス−(N,N−ジメシルアニリン)、Leuco Malachite Green(p,p’−ベンジルイデネビス−(N,N−ジメチルジアミン))、以下の構造を有するLeuco Atacryl Orange−LGM(色インデックスBasic Orange 21,Comp.No.48035(フィッシャー塩基タイプ化合物))、
【化4】
以下の構造を有するLeuco Atacryl Brillant Red−4G(Color Index Basic Red 14)
【化5】
以下の構造を有するLeuco Atacryl Yellow−R(Color Index Basic Yellow 11,Comp.No.48055)
【化6】
Leuc Ethyl Violet(4,4’,4’’−メチルイジネトリス−(N,N−ジエチルアニリン)、Leuco Victoria Blue−BGO(Color Index Basic Blue728a,Comp. No.44040;4,4’−メチルイジネビス−(N,N−ジエチルアニリン)−4−(N−エチル−1−ナフタルアミン)、及びLeuco Atlantic Fuchsime Crude(4,4’,4’’−メチルイジネトリス−アニリン)がある。
【0079】
ロイコ染料は通常は光感作層の総重量に対して重量で少なくとも約0.01重量%(好ましくは、少なくとも約0,3重量%、より好ましくは少なくとも約1重量%、そして最も好ましくは、少なくとも約2〜10重量%)のレベルで存在していてよい。結合剤、安定剤、表面活性剤、静電気防止剤、コーティング剤、潤滑剤、充填剤なども前記光感作層に存在していてもよい。当業者であれば添加剤の望ましい量は容易に分かるであろう。例えば、充填剤の量は書き込み波長に望ましくない散乱が起きないように選択される。
【0080】
望ましいのであれば、異なったタイプの反応種の混合物を光反応性組成物で用いることもできる。例えば、遊離ラジカル−反応種と陽イオン反応種の混合物、硬化可能種と非硬化種の混合物なども有益である。
【0081】
光反応開始剤系
(1)多光子光増感剤
光反応性組成物の多光子光反応開始剤系での使用に適した多光子光増感剤は十分な光に露光された場合に少なくとも2つの光子を同時に吸収することができるものである。好ましくは、それらはフルオレセインのものより大きな2光子吸収断面(つまり、3’,6’−ジヒドロキシスピロ[イソベンゼンフラン−1(3H),9’−[9H]キサンテン]3−oneのそれより大きな吸収断面)を有している。一般的に、この断面はC.Xu及びW.W.Webb in J.Opt.Soc.Am.B,13,481(1996)(これは国際公報第WO98/21521号の85頁、18〜22行によってMarder and Perry等によっても引用されている)に述べられている方法で測定した場合、約50×10−50cm4秒/光子以上であってもよい。
【0082】
この方法はその光増感剤の2光子フルオレセイン強度の基準化合物の強度との(同じ励起強度及び光反応開始剤濃度条件下での)比較ステップを含んでいる。基準化合物は光反応開始剤吸収及び蛍光によってカバーされるスペクトル範囲にできるだけ適合するように選択することができる。1つの可能な実験的設定において、励起ビームを励起強度の50%が光増感剤に入り、残りの50%が基準物質に入るように2つのアームに分割することができる。そして前記光増感剤の基準化合物に対する相対蛍光強度は、2つの光倍増管チューブあるいはその他の較正済み検出装置で測定することができる。最後に、両方の化合物の蛍光量子効率を1光子励起状況で測定することができる。
【0083】
蛍光及び燐光量子イールドを判定するための方法はこの技術分野ではよく知られている。一般的には問題の化合物の蛍光(あるいは燐光)スペクトル下の領域を周知の蛍光(あるいは燐光)量子イールドを有する標準的発光化合物の蛍光(または燐光)スペクトル下で比較し、そして、(例えば、励起波長でのその組成物の最適密度、蛍光検出装置の形状、放射波長の差、そして前記検出装置の異なった波長への応答を考慮に入れた)適切な訂正が行われる。標準的な方法は、例えば、Handbook of Fluorescence Spectra of Aromatic Molecules, Second Edition,page24〜27,Academic Press,New York(1971)の中でI.B.Berlmanによって、J.Phys.Chem.,75,991〜1024(1971)でJ.N.Demas and G.A.Crosbyによって;そしてJ.Phys.Chem.,80,969〜974(1976)おいてJ.V.Morris,M.A,Mahoneyによって、述べられている。
【0084】
放射状態が1又は2光子励起の下で同じであると仮定して(共通の仮定)、光増感剤の2光子断面(δsam)はδrefK(Isam/Iref)(φsam/φref)と等しく、ここでδrefは基準化合物の2光子吸収断面であり、Isamは光増感剤の蛍光強度であり、Irefは基準化合物の蛍光強度であり、φsamは光増感剤の蛍光量子効率であり、φrefは基準物質の蛍光量子効率であり、そしてKは光経路と2つの検出装置の応答のわずかな違いに対応するための補正係数である。Kはサンプル及び基準アームの両方で同じ光増感剤に対する応答を測定することで判定できる。有効な測定を行うためには、励起力に対する2光子蛍光強度の明らかな二次関数的依存を確認することができ、光増感剤と基準化合物の両方の比較的低い濃度を(蛍光再吸収し光増感剤凝集効果を避けるために)用いることができる。
【0085】
その光増感剤が蛍光性にものでなければ、電子的励起状態のイールド(yield)を測定して周知の標準と比較することができる。蛍光イールドを判定する上に述べた方法に加えて、励起状態イールドを測定する種々の方法が知られている(例えば、一過性吸収、燐光イールド、光化学反応物生成あるいは光増感剤の(光反応からの)消失など)。
【0086】
好ましくは、光増感剤の2光子吸収断面はフルオレシンの約1.5倍以上(言い換えると、前記の方法で測定して約75×10−50cm4秒/光子以上)、そしてより好ましくはフルオレシンの約2倍以上(言い換えると、前記の方法で測定して約100×10−50cm4秒/光子以上)、最も好ましくはフルオレシンの約3倍以上(言い換えると、前記の方法で測定して約150×10−50cm4秒/光子以上)、任意には、フルオレシンの約4倍以上(言い換えると、前記の方法で測定して約200×10−50cm4秒/光子以上)である。
【0087】
好ましくは、前記光増感剤は反応種に(その反応種が液体であれば)可溶性であり、反応種およびその組成物に含まれているいずれの(以下に述べるような)結合剤とも共存可能である。最も好ましくは、この光増感剤は米国特許第3,729,313号で述べられているテスト手順を用いて、その非ハブの単一光子吸収スペクトルに重なり合う波長範囲(単一光子吸収条件)で連続的に照射することで2−メチル−4,6−bis(トリクロロメチル)−s−トリアジンを感光性にすることができる。現在利用できる素材を用いて、このテストは以下のように実行することができる。
【0088】
以下の組成:つまり、(単位体積あたり)5(重量)%溶液を45,000〜55,000分子重量のメタノールに溶かしたもの5.0部、9.0〜13.0%ヒドロキシル含有ポリビニル・ブチラル(ButvarTMB76、Monsanto)、0.3部のトリメチロルプロパン;及び0.03部の2−メチル−4,6−bis(トリクロロメチル)−s−トリアジン(Bull.Chem.Soc.Japan,42,2924〜2930(1969)参照)の組成を有する標準テスト溶液を調製する。この溶液に、0.01部のテストされる化合物を光増感剤として加える。得られた溶液を0.05mmのナイフ・オリフィスを用いて0.05mmの清潔なポリエステル・フィルム上にナイフ・コーティングし、その被膜を30分間程度空気乾燥する。0.05mmの透明なポリエステル・カバー・フィルムを乾燥しているが柔からで粘着性の被覆上にできるだけ空気を閉じ込めないように注意しながら被せる。得られたサンドイッチ構造を可視光線と紫外線の両方の領域で光を提供するタングステン光源(FCHTM 650ワット・クオーツ・ヨード・ランプ、General Electric)からの光に161,000Luxの入射光に3分間露光させる。露光はステンシルを介して行い、前記構造に露光された領域と露光されない領域を作り出すことができる。露光語、フィルムを取り外し、そして被覆を通常静電写真法で使われるようなカラー・トナー粉末などの細かに分割された色付き粉末で処理する。テストされる物質が光増感剤であれば、トリメチロルプロパン・トリメタクリレート・モノマーが2−メチル−4,6−bis(トリクロロメチル)−s−トリアジンからの光発生遊離ラジカルによって露光領域内でポリマー化される。ポリマー化された領域は基本的にはねばつきがなく、色付き粉末は選択的に、基本的にはその被覆のねばついた非露光領域だけに接着して、その型板に対応した目で見える画像を形成する。
【0089】
好ましくは、光増感剤は一部には保存安定性を考慮に入れて選択することもできる。従って、特定の光増感剤の選択はある程度用いられる特定の反応種(及び電子供与体化合物及び/又は光反応開始剤の選択)にかかっている。
【0090】
特に好ましい多光子光増感剤には、Rhodamine B(つまり、N−[9−(2−カルボキシフェニル)−6−(ジチルアミノ)−3H−キサンタン−3−イリデン]−N−エチルエタンアミニウム・クロライド、及びRhordamineBのヘキサフルオロアツモネート塩)及び、例えば、国際特許公報WO98/21521及びWO99/53242でMarderとPerry等によって開示されているような4つの種類の光増感剤など、大きな多光子吸収断面を示すものなどである。これら4つの種類は以下の通りである。(a)2つのドナーが接合π(pi)電子ブリッジに接続されている分子、(b)2つのドナーが1つ以上の電子受容基によって置換されている接合π(pi)電子ブリッジに接続されている分子、(c)2つの受容体が接合π(pi)電子ブリッジに接続されている分子、そして(d)2つの受容体が1つ以上の電子受容基によって置換されている接合π(pi)電子ブリッジに接続されている分子。(ここで、『ブリッジ』とは2つ以上の化学基を接続する分子フラグメント、『ドナー』は接合π(pi)電子ブリッジn結合することができる低イオン化ポテンシャルを有する原始あるいは基を、そして『受容体』とは接合π(pi)電子ブリッジに結合することができる高電子親和性を有する原子または基をそれぞれ意味している)。
【0091】
かかる光増感剤の代表的な例としては、下記式が挙げられる。
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【0092】
上に述べた4つのタイプの光増感剤は標準的なWittig条件下でアルデヒドをイリドに反応させるか、あるいは国際特許No.WO98/21521に詳述されているようにMcMurray反応を用いて調製することができる。
【0093】
他の化合物はReinhardt等によって(例えば、国際特許第6,100,405、5,859,251及び5,770,737で)大きな多光子吸収断面を有するものと述べられているが、これらの断面は上に述べたのとは別の方法で測定されたものである。相した化合物の代表的な例は以下の通りである。
【化12】
【化13】
【0094】
本発明において光増感剤として利用できる可能性がある他の化合物は、フルオレシン、p−bis(o−メチルスチリル)ベンゼン、エオシン、ローズ・ベンガル、エリスロシン、クマリン307(Eastman Kodak)、Cascade Blue ヒドラジン塩、Luccifer Yellow CHアンモニウム塩、4,4−ジフルオロ−1,3,5,7,8−ペンタメチル−4−ボラ−3α、4α−ジアザインデセン−2,6−ジスルホン酸塩、1,1−ジオクタルデシル−3,3,3’,3’−テトラメチルインドカルボシアニン、インド−1ペンタカリウム塩(Molecular Probes)、5−ジエチルアミノナフタレン−1−スルホニル・ヒドラジン、4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドル・ジヒドロクロライド、5,7−ジヨード−3−ブトキシ−6−フルオロン、9−フルオロン−2−カルボン酸、そして以下の構造を有する化合物である。
【化14】
【化15】
【化16】
【0095】
(2)電子供与体化合物
光反応性組成物の多光子光反応開始剤系内で有用な電子供与体化合物は(その光増感剤自体を除いて)前記光増感剤の電子励起状態に電子を提供できる化合物である。これらの電子供与体化合物は好ましくはゼロよりか大きく、標準飽和カロメル電極に対するp−ジメトキシベンゼンのそれ以下である酸化ポテンシャルを有している。好ましくは、酸化ポテンシャルは標準飽和カロメル電極(SCE)を基準として約0.3〜1ボルトの間である。
【0096】
電子供与体化合物はさらに反応種内に可溶性であることが好ましく、一部には(上に述べたような)保存安定性を考慮に入れて選択される。適切なドナーは通常望ましい波長の光に露光されると、(硬化などの)反応速度あるいは画像密度を増大させることができる。
【0097】
陽イオン反応種を用いて作業する場合、当業者は、電子供与体化合物は、かなりの塩基性を有している場合は陽イオン性反応に対して悪影響を及ぼす場合があることを認識するであろう。(例えば、米国特許第6,025,406号(Oxman等)、欄7、行62から欄8、行49参照)。
【0098】
一般的に、特定の光増感剤及び光反応開始剤と共に使用するのに適した電子供与体化合物は(例えば、米国特許第4,859,572号(Farid等)に述べられているように)それら3つの構成部分の酸化還元ポテンシャルを比較することで選択される。こうしたポテンシャルは(例えば、R.J.Cox,Photographic Sensitivity,Chapter15,Academic Press(1973)に述べられている方法で)実験的に測定することができ、あるいはN.L.Weinburg,Ed.,Technique of Electroorganic Synthesis part II Techniques of Chemistry,Vol.V(1975)、及びC.K,Mann and K.K.Barnes,Electronchemical reactions in Noaqueous Systems(1970)などの参考文献にも示されている。このポテンシャルは相対的エネルギー関係を反映しており、そして以下の方法で電子供与体化合物選択に適用することができる。
【0099】
光増感剤が電子的励起状態にある場合、その光増感剤の最高占有分子軌道(HOMO)はより高いエネルギー・レベル(つまり、その光増感剤の最低非占有分子軌道(LUMO))に上昇しており、それが最初に占有していた分子軌道内に空隙が残されている。光反応開始剤はより高いエネルギー軌道から電子を受け取り、そして、特定の相対的エネルギー関係が満たされると、その電子供与体化合物は電子を提供して最初の占有軌道の空隙を満たす。
【0100】
その光反応開始剤の還元ポテンシャルが光増感剤と比較してよりネガティブ(あるいはよりポジティブ)である場合、これは発熱プロセスであるから、その光増感剤のより高いエネルギー軌道内の電子はその光増感剤からその光反応開始剤の最低非占有分子軌道(LUMO)に移る。そのプロセスが多少球熱性であれば(つまり、その光増感剤の還元ポテンシャルが光反応開始剤のそれと比較して最大0.1ボルトよりネガティブであっても)、周辺の熱活性がそうした小さなバリアを易々と乗り越えてしまう。
【0101】
同様の方法で、電子供与体化合物の酸化ポテンシャルが光反応開始剤のそれと比較してポジティブではない場合(あるいはよりネガティブであれば)、土でかのHOMOから光増感剤の軌道空隙に移動する電子はより高い電位からより低い電位に移動しているのであって、これも発熱性プロセスを示している。このプロセスが多少吸熱性であっても(つまり、その光増感剤の酸化ポテンシャルが電子供与体化合物のそれより最大0.1ボルトよりポジティブであっても)、周辺熱活性化がそうした小さなバリアを容易に克服してしまう。
【0102】
光増感剤の還元ポテンシャルが光反応開始剤のそれと比較して最大0.1ボルトよりネガティブであれば、あるいは光増感剤の酸化ポテンシャルがその電子供与体化合物のそれと比較して0.1ボルトよりポジティブである軽度の吸熱性反応は、光反応開始剤と電子供与体化合物のどちらが最初にその励起状態にある光増感剤と反応するかには関係なく、どの瞬間にでも起きる。光反応開始剤あるいは電子供与体化合物がその励起状態にある光増感剤と反応している場合、その反応は発熱性であるか、多少の吸熱性であることが好ましい。光反応開始剤か電子供与体化合物が光増感剤イオン・ラジカルと反応している場合も発熱性反応が望ましいが、それでもより吸熱性の反応が多くの瞬間に起きることが予想される。従って、光反応開始剤の還元ポテンシャルは二番目に反応する光反応開始剤のそれと比較して最大0.2ボルト(あるいはそれ以上)よりネガティブであってよいし、あるいは光増感剤の酸化ポテンシャルが二番目に反応する電子供与体化合物のそれと比較して最大0.2ボルト(あるいはそれ以上)ポジティブであってもよい。
【0103】
適切な電子供与体化合物には、例えば、D.F.FatonがAdvances in Photochemistory,edited by B.Voman et al.,Volume13,pp.427〜488,John Wiley and Sons,New York(1986)で、あるいはOxmann等が米国特許第6,025,406号の欄7、行42〜61で、そしてPalazzotto等が米国特許第5,545,676号の欄4、行14から欄5、行18に述べているようなものがある。そうした電子供与体化合物は(トリエタノールアミン、ヒドラジン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、トリフェノールアミン(及びそのトリフェニルホスフィン及びトリフェニルアルシン類似物など、アミノアルデヒド、そしてアミノシランなどを含む)アミン類、(ホスホルアミドを含む)アミド類、(チオエーテルを含む)エーテル類、硫酸及びその塩、フェノシアニドの塩、アスコルピン酸とその塩、キサンタンの塩、エチレン・ジアミン・四酢酸、(アルキル)n(アリル)nホウ酸塩(n+m=4)(好ましくはテトラアルキスアンモニウム塩)、SnR4化合物(各Rはアルキル、アラルキル(特にベンジル)、アリル、そしてアルカリル基からなる群からそれぞれ選択される)種々の有機金属化合物(例えば、n−C3H7Sn(CH3)3、(アリル)Sn(CH3)3、及び(ベンジル)Sn(n−C3H7)3などの化合物)、フェロシンなど、及びそれらの混合物である。電子供与体化合物は未置換でもよいし、1つ以上の非干渉性置換基で置換されていてもよい。特に好ましい電子供与体化合物は(窒素、酸素、リン、及び硫黄原子などの)電子ドナー原子とその電子ドナー原子に加えて炭素又はケイ素原子に結合した抽出可能な水素原子を含んでいる。
【0104】
好ましいアミン系電子供与体化合物にはアルキル−、アリル−、アルカリル−、及びアラルキル−アミン(例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、トリエタノールアミン、アミルアミン、2,4−ジメチルアニリン、2,3−ジメチルアニリン、o−、m−、及びp−トルイジン、ベンジルアミン、アミノピリジン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチルジアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、N,N’−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、N,N’−ジエチル−2−ブテン−1,4−ジアミン、N,N’−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、ピペラジン、4,4’−トリメチレンジピペラジン、4,4’−エチレンジピペラジン、p−N,N−ジメチル−アミノフェンタノル、及びp−N,N−ジメチルアミノベンゾニトリル);アミノアルデヒド(例えば、p−N,N−ジメチルアミノベンズアルデヒド、p−N,N−ジエチルアミノベンズアルデヒド、9−ジュロリジン、及び4−モルフォインベンズアルデヒド);そしてアミノシラン(例えば、トリエチルシリルモルフォリン、トリメチルシリルピペリジン、bis(ジメチルアミノ)ジフェニルシラン、tris(ジメチルアミノ)メチルシラン、N,N−ジエチルアミノトリメチルシラン、tris(ジメチルアミノ)フェニルシラン、tris(メチルシリル)アミン、bis(ジメチルシリル)アミン、N,N−bis(ジメチルシリル)アニリン、N−フェニル−N−ジメチルシリルアニリン、及びN,N−ジメチル−N−ジメチルシリルアミン);及びそれらの混合物である。三級芳香性アルキルアミン、特に少なくとも1つの電子引き出し基を芳香管上に有しているものが特に優れた保存安定性を有していることが分かっている。優れた保存安定性は室温で個体であるアミンを用いても得ることができる。優れた写真速度は1つ以上のジュロジニル構成部分を含むアミンを用いて得られた。
【0105】
好ましいアミン系電子供与体化合物にはN,N−ジメチルアセトアミン、N,N−ジエチルアセトアミン、N−メチル−N−フェニルアセトアミン、ヘキサメチルホスホルアミン、ヘキサエチルホスホルアミン、ヘキサプロピルホスホルアミン、酸化トリモルホリンホスフィン、酸化トリピペラジノホスフィン、及びそれらの混合物である。
【0106】
好ましいアルキルアリルボレート塩には以下のものがある。
Ar3B−(n−C4H9)N+(C2H5)4
Ar3B−(n−C4H9)N+(CH3)4
Ar3B−(n−C4H9)N+(n−C4H9)4
Ar3B−(n−C4H9)Li+
Ar3B−(n−C4H9)N+(C6H13)4
Ar3B−(C4H9)N+(CH3)3(CH2)2CO2(CH2)CH3
Ar3B−(C4H9)N+(CH3)3(CH2)2OCO(CH2)2CH3
Ar3B−(sec−C4H9)N+(CH3)3(CH2)2CO2(CH2)CH3
Ar3B−(sec−C4H9)N+(C6H13)4
Ar3B−(C4H9)N+(C8H17)4
Ar3B−(C4H9)N+(CH3)4
(p−CH3O−C6H4)3B−(n−C4H9)N+(n−C4H9)4
Ar3B−(C4H9)N+(CH3)3(CH2)2OH
ArB−(n−C4H9)3N+(CH3)4
ArB−(C2H5)3N+(CH3)4
Ar2B−(n−C4H9)2N+(CH3)4
Ar3B−(C4H9)N+(C4H9)4
Ar4B−N+(C4H9)4
ArB−(CH3)3N+(CH3)4
(n−C4H9)4B−N+(CH3)4
Ar3B−(C4H9)P+(C4H9)4
(ここで、Arはフェニル、ナフチル、置換(好ましくはフルオロ置換)フェニル、置換ナフチル、及びより多くの融合芳香環を有する同様の基)、及びテトラメチルアンモニウムn−ブチルトリフェニルボレート及びテトラブチルアンモニウムn−ヘキシル−tris(3−フルオロフェニル)ボレート(Ciba Specialty Chemicals CorporationからCGI 437及びCGI 746として市販)、及びそれらの混合物である。
【0107】
適切なエーテル電子供与体化合物は4,4’−ジメトキシビフェニル、1,2,4−トリエトキシベンゼン、1,2,4,5−テトラメトキシベンゼンなど、及びそれらの混合物である。適切な尿素電子供与体化合物はN,N’−ジメチルウレア、N,N−ジメチルウレア、N,N’−ジフェニルウレア、テトラメチルチオウレア、テトラエチルチオウレア、テトラ−n−ブチルチオウレア、N,N−ジ−n−ブチルチオウレア、N,N’−ジ−n−ブチルチオウレア、N,N−ジフェニルチオウレア、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジエチルチオウレアなど、及びそれらの混合物である。
【0108】
遊離ラジカル誘発反応のための好ましい電子供与体化合物は1つ以上のジュロリジニル構成部分、アルキルボレート塩、及び芳香性硫酸塩を含むアミンなどである。しかしながら、そうした反応のためには、望ましければ(例えば、光反応性組成物の保存安定性を改善したり、あるいは解像度、コントラスト、そしてレシプロシティを修正するなど)、こうした電子供与体化合物を使用しなくてもよい場合もある。酸誘発反応のための好ましい電子供与体化合物には4−ジメチルアミノ安息香酸、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、3−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノベンゾイン、4−ジメチルアミノベンズアルデヒド、4−ジメチルアミノベンゾニトリル、4−ジメチルアミノフェネチル・アルコール、及び1,2,4−トリメトキシベンゼンなどである。
【0109】
(3)光反応開始剤
光反応性組成物の反応種の適切な光反応開始剤は電子励起状態にある他行し光増感剤からの電子を受け入れることで感光性にすることができ、少なくとも遊離ラジカル及び/又は酸の形成をもたらす。こうした光反応開始剤には、ヨードニウム塩(例えば、ジアリルヨードニウム塩)、クロロメチレート化トリアジン(例えば、2−メチル−4,6−bis(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−tris(トリクロロメチル)−s−トリアジン、及び2−アリル−4,6−bis(トリクロロメチル)−s−トリアジン)、ジアゾニウム塩(例えば、任意にアルキル、アルコキシ、ハロ、又はニトロなどの基によって置換されたフェニルジアゾニウム塩)、スルホニウム塩(例えば、任意にアルキル又はアルコキシ基、そして任意に隣接アリル構成部分に架橋している2,2’−オキシ基トリアリルスルホニウム塩で置換されたトリアリルスルホニウム)、アジニウム塩(例えば、N−アルコキシピリジニウム)、そしてトリアリルイミダゾリル・ダイマー(好ましくは、任意にアルキル、アルコキシ、又はハロによって置換された2,2’,4,4’,5,5’−テトラフェニル−1’1’−ビイミダゾルなどの2,4,5−トリフェニルイミダゾイル・ダイマー)など、及びそれらの混合物である。
【0110】
光反応開始剤は好ましくは反応種に対して可溶性であり、好ましくは保存時の安定性も優れている(つまり、光増感剤と電子供与体化合物の存在下で溶解された場合に反応種の反応を自発的に促進しない)。従って、特定の光反応開始剤の選択はある程度その特定の反応種、光増感剤、及び上に述べたような電子供与体化合物に依存している。好ましい光反応開始剤はPCT特許出願WO98/21521及びWO995/3242においてMarder,Perry等によって、さらにPCT特許出願WO99/54784においてGoodman等によって述べられているような大きな多光子吸収断面を有しているものである。
【0111】
適切なヨードニウム塩には米国特許第5,545,676号の欄2、行28〜46でPalazzoto等によって述べられているようなものがある。適切なヨードニウム塩は米国特許第3,729,313号、同第3,741,769号、同第3,808,006号、同第4,250,053号及び同第4,394,403号に述べられている。ヨードニウム塩は単純な塩(例えば、Cl−、Br−、I−、又はC4H5SO3 −)あるいは金属複合体塩(例えば、SbF6 −、PF6 −、BF4 −、テトラキス(ペルフルオロフェニル)ボレート、SbF5OH−あるいはAsF6 −)である。ヨードニウム塩の混合物も必要があれば用いることができる。
【0112】
有益な芳香性ヨードニウム錯体塩光反応開始剤の例としては、ジフェニルヨードニウム・テトラフルオロボレート;ジ(4−メチルフェニル)ヨードニウム・テトラフルオロボレート;フェニル−4−メチルフェニルヨードニウム・トトラフルオロボレート;ジ(4−ヘプチルフェニル)ヨードニウム・テトラフルオロボレート;ジ(3−ニトロフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート;ジ(4−クロロフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート;ジ(ナフチル)ヨードニウム・テトラフルオロボレート、ジ(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウム・テトラフルオロボレート;ジフェニルヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート;ジ(4−メチルフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート;ジフェニルヨードニウム・ヘキサフルオロアルセネート;ジ(4−フェノキシフェニル)ヨードニウム・テトラフルオロボレート;フェニル−2−チオニルヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート;3,5−ジメチルピラゾリル−4−フェニルヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート;ジフェニルヨードニウム・ヘキサフルオロアンチモネート;2,2’−ジフェニルヨードニウム・テトラフルオロボレート;ジ(2,4−ジクロロフェニル)ヨニ・ヘキサフルオロホスフェート;ジ(4−ブロモフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート;ジ(4−メトキシフェニル)ヨニ・ヘキサフルオロホスフェート;ジ(3−カルボキシフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート;ジ(3−オキシカルボニルフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート;ジ(3−メトキシスルホニルフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート;ジ(4−アセトアミドフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート;ジ(2−ベンゾチエニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート;及びジフェニルヨードニウム・ヘキサフルオロアンチモネートなど、及びそれらの混合物である。芳香性ヨードニウム錯体塩はBeringeret.al.,J.Am.Chem.Soc.,81,342(1959)に従って(例えば、ジフェニルヨードニウム・ビスルフェート)の転換によって調製することができる。
【0113】
好ましいヨードニウム塩はジフェニルヨードニウム(塩化ジフェニルヨードニウム、ジフェニルヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート、及びジフェニルヨードニウム・テトラフルオロボレート)、ジアリルヨードニウム・ヘキサフルオロホアンチモネート(例えば、Sartometer Companyから市販されているSarCatTMSR 1012)、及びそれらの混合物である。
【0114】
有益なジクロロメチル化トリアジンには米国特許第3,779,778号(Smith等)、欄8、行45〜50に述べられているものがあり、それには2,4−bis(トリクロロメチル)−6−メチル−s−トリアジン、2,4,6−tris(トリクロロエチル)−s−トリアジン、そして米国特許第3,987,037号及び同第3,954,475号(Bonham等)に開示されているより好ましいクロモルホア置換ビニルハロメチル−s−トラジンなどである。
【0115】
有益なジアゾニウム塩には米国特許第4,394,433号(gatzkeら)に述べられているものなどがあり、それには外部ジアゾニウム基(−N+=N)及び陰イオンを有する感光芳香性構成部分を含んでいるもの(例えば、塩素、トリ−イソプロピル・ナフタレン・スルホネート、テトラフルオロボレート、及びbis(ペルフルオロアルキルスルホニル)メチドなど)などである。有益なジアゾニウムの例には1−ジアゾ−4−アニリロベンゼン、N−(4−ジアゾ−2,4−ジメトキシフェニル)ピロリンジン、1−ジアゾ−2,4−ジエトキシ−4−モルホリノ・ベンゼン、1−ジアゾ−4−ベンゾイル・アミノ−2,5−ジエトキシ・ベンゼン、4−ジアゾ−2,5−ジブトキシ・フェニル・モルホリノ、4−ジアゾ−1−ジメチルアニリン、1−ジアゾ−N,N−ジメチルアニリン、1−ジアゾ−4−N−メチル−N−ヒドロキシエチル・アニリンなどである。
【0116】
有効なスルホニウム塩は米国特許第4,250,053号(Smith)、欄1、行66から欄4、行2に述べられており、以下の式:
【化17】
で示されるもの、R1、R2、及びR3はそれぞれ炭素原子数が約4〜約20炭素原子の芳香基(例えば、置換あるいは未置換フェニル、ナフチル、チエニル、及びフラニルなどで、置換基はアルコキシ、アルキルチオ、アリルチオ、ハロゲンなどである)及び炭素原子数が1から約20のアルキル基からなる群から選択されるものである。ここで述べられている『アルキル』とは置換アルキル(例えば、ハロゲン、アルコキシ、又はアリルで置換されたもの)などである。R1、R2、及びR3の少なくとも1つは芳香性であり、そして、好ましくはそれぞれが独立して芳香性である。Zは共有結合、酸素、硫黄、−S(=O)−、−C(=O)−、−(O=)S(=O)−、及び−N(R)−であり、Rは(フェニルなど炭素数が約6〜20の)アリル、(アセチル、ベンゾイルなど炭素数が約2〜約20の)アリル、炭素−炭素結合、あるいは−(R4−)C(−R5)−であり、R4とR5は水素、炭素数が1〜約4のアルキル基、炭素数が約2〜約4のアルケニル基からなる群からそれぞれ選択され、X−は以下に述べると通りである。
【0117】
スルホニウム(及びその他のタイプの光反応開始剤)のための適切な陰イオン、X−には、例えば、イミド、メチド、ボロン、燐、アンチモン、砒素、及びアルミニウムを中心とする陽イオンなど種々の陰イオンが含まれる。
【0118】
適切なイミド及びメチド陰イオンは(C2F5SO2)2N−、(C4F9SO2)2N−、(C8F17SO2)3C−、(CF3SO2)3C−、(CF3SO2)2N−、(C4F9SO2)3C−、(CF3SO2)2(C4F9SO2)C−、(CF3SO2)(C4F9SO2)2N−、((CF3)2NC2F4SO2)2N−、(CF3)2NC2F4SO2C−(SO2CF3)2、(3,5−bis(CF3)C6H3)SO2N−SO2CF3、C6H5SO2C−(SO2CF3)2,C6H5SO2N−SO2CF3などである。このタイプの陰には(RfSO2)3C−で示されるものがあり、ここでRfは炭素原子数が1〜約4のペルフルオロアルキル・ラジカルである。
【0119】
適切なボロン中心陰イオンとしては、F4B−、(3,5−bis(CF3)C6H3)4B−、(C6F5)4B−、(p−CF3C6H4)4B−、(m−CF3C6H4)4B−、(p−FC6H4)4B−、(C6F5)3(CH3)B−、(C6F5)3(n−C4H9)B−、(p−CH3C6H4)3(C6F5)B−、(C6F5)3FB−、(C6H5)3(C6F5)B−、(CH3)2(p−CF3C6H4)2B−、(C6F5)3(n−C18H37O)B−などである。好ましいボロン中心陰イオンは通常3つ以上のハロゲン置換芳香性炭化水素ラジカルがボロンに取り付けられており、最も好ましいハロゲンはフッ素である。好ましい陰イオンは、(3,5−bis(CF3)C6H3)4B−、(C6F5)4B−、(C6F5)3(n−C6H9)B−、(C6F5)3FB−及び(C6F5)3(CH3)B−などである。
【0120】
他の金属を含有する適切な陰イオンは、例えば、(3,5−bis(CF3)C6H3)4Al−、(C6F5)4Al−、(C6F5)2F4P−、(C6F5)F5P−、F6P−、(C6F5)F5Sb−、F6Sb−、(HO)F5Sb−、及びF6As−。上に述べたリストはすべてを挙げつくしたものではなく、他の有益なホウ素中心非求核塩類、及びその他の金属や非金属を含んだ有益な陰イオンも(上に示した一般式から)当業者には明らかであろう。
【0121】
好ましくは、陰イオンX−はテトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、及びヒドロキシペンタフルオロアンチモネートからなる群から(例えば、エポキシ樹脂などの陽イオン反応種と共に使用するために)選ばれる。
【0122】
適切なスルホニウム塩光反応開始剤としては:
トリフェニルスルホニウム、
メチルジフェニルスルホニウム・テトラフルオロボレート
ジメチルフェニルスルホニウム・ヘキサフルオロホスフェート
トリフェニルスルホニウム・ヘキサフルオロホスフェート
トリフェニルスルホニウム・ヘキサフルオロアンチモネート
ジフェニルナフチルスルホニウム・ヘキサフルオロアルセネート
トリトルスルホニウム・ヘキサフルオロホスフェート
アニシルジフェニルスルホニウム・ヘキサフルオロアンチモネート
4−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム・テトラフルオロボレート
4−クロロフェニルジフェニルスルホニウム・ヘキサフルオロホスフェート
トリ(4−フェノキシフェニル)スルホニウム・ヘキサフルオロホスフェート
ジ(4−エトキシフェニル)メチルスルホニウム・ヘキサフルオロアルセネート
4−アセトニルフェニルジフェニルスルホニウム・テトラフルオロボレート
4−チオメトキシフェニルジフェニルスルホニウム・ヘキサフルオロホスフェート
ジ(メトキシスルホニルフェニル)メチルスルホニウム・ヘキサフルオロアンチモネート、
ジ(ニトロフェニル)フェニルスルホニウム・ヘキサフルオロアンチモネート
ジ(カルボメトキシフェニル)メチルスルホニウム・ヘキサフルオロホスフェート、
4−アセタミドフェニルジフェニルスルホニウム・テトラフルオロボレート、 ジメチルナフチルスルホニウム・ヘキサフルオロホスフェート、
トリフルオロメチルジフェニルスルホニウム・テトラフルオロボレート、
p−(フェニルチオフェニル)ジフェニルニルスルホニウム・ヘキサフルオロアンチモネート
10−メチルフェノキサアシイニウム・ヘキサフルオロホスフェート
5−メチルチアントレニウム・ヘキサフルオロホスフェート
10−フェニル−9,9−ジメチルチオキサン・ヘキサフルオロホスフェート
10−フェニル−9−オキソチオキサンテニウム・テトラフルオロボレート
5−メチル−10−オキソチアントレニウム・テトラフルオロボレート
5−メチル−10,10−ジオキソチアントレニウム・ヘキサフルオロホスフェート
などである。
【0123】
好ましいスルホニウム塩はトリアリルスルホニウム・ヘキサフルオロアンチモネート(例えば、Sartomer Companyから市販されているSarCatTMSR1011)、トリアリルスルホニウム・ヘキサフルオロホスフェート(例えば、Sartomer Companyから市販されているSarCatTM SR1011)、そしてトリアリルスルホニウム・ヘキサフルオロアンチモニウム(例えば、Sartomer Companyから市販されているSarCatTMK185)などのトリアリル置換基である。
【0124】
有用なアジニウム塩には、米国特許第4,859,572号(Fraid等)、欄8、行51〜欄9、行46に開示されているものなどがあり、それにはピリジニウム、ジアジニウム、あるいはトリアジニウム構成部分などである。アジニウム構成部分は1つ以上の芳香環、通常は炭素環式芳香環(例えば、キノリニウム、イソキノリリウム、ベンソジアジニウム、及びナフトジアゾニウム構成部分)を含んでおり、アジニウム環と融合されている。アジニウム環内の窒素原子の四元化置換基が電子的に励起された状態の光増感剤のアジニウム光反応開始剤への電子移送が起きると遊離ラジカルとして放出される。1つの好ましい形態で、前記四元化置換基はオキシ置換基である。アジニウムの環窒素原子を四元化するオキシ置換基、−O、−Tは種々の合成オキシ置換基から選択することができる。構成部分Tは、例えば、メチル、エチル、ブチルなどのアリキル・ラジカルである。アルキル・ラジカルは置換されたものでもよい。例えば、アラルキル(例えば、ベンジル及びフェネチルなど)及びスルフォアルキル(例えば、スルオホメチル)ラジカルなどが役に立つ可能性がある。別の形態で、Tは例えば−OC(O)−T1ラジカルであり、この場合Tは上に述べた種々のアルキル及びアラルキル・ラジカルのいずれであってもよい。さらに、T1はフェニルやナフチルなどいずれのラジカルであってもよい。アリル・ラジカルは置換されてもよい。例えば、T1はトリル又はキシリル・ラジカルであってもよい。Tは通常、1〜約18の炭素原子を含んでいる。各例のアルキル構成部分は好ましくは低級アルキル構成部分であり、各例のアリル構成部分は好ましくは約6〜約10個の炭素原子を含んでいる。オキシ置換基−O、−Tが1個または2個の炭素原子を含んでいる場合に最高の活性レベルが実現される。アジニウム核は四元化置換基以外の置換基を含んでいてはならない。しかしながら、他の置換基の存在はこれら光反応開始剤の活性にとって絶対に必要なものでもない。
【0125】
有益なトリアリルイミダゾイル・ダイマーは米国特許第4,963,471号(Trout等)の、欄8、行18〜28に述べられているものなのである。これらのダイマーは、例えば、2−(o−クロロフェニル)−4,5−bis(m−メトキシフェニル)−1,1’−ビミダゾール;2,2’−bis(0−クロロフェニル)−4,4’5,5’−テトラフェニル−1,1’−ビミダゾール;そして、2,2’−bis(o−クロロフェニル)−4,4’、5,5’−テトラフェニル−1,1’−ビミダゾル;そして、2,5−bis(o−クロロフェニル)−4−[3,4−ジメトキシフェニル]−1,1’−ビミダゾルなどである。
【0126】
好ましい光反応開始剤はヨードニウム塩(より好ましくは2,4,5−トリフェニルイミダゾリル・ダイマー)、スルホニウム塩、そしてジアゾニウム塩などである。より好ましくは、アリルヨードニウム塩、クロロメチル化トリアジン、そして2,4,5−トリフェニルイミダゾリル・ダイマーなどである(アリルヨードニウム及びトリアジンが最も好ましい)。
【0127】
光反応性組成物の調製
反応種、多光子光増感剤、電子供与体化合物、そして光反応開始剤は上に述べた方法、あるいは先行技術のその他の方法ででも調製することができ、その多くは市販されている。これら4つの成分はどんな組み合わせ順番及び方法ででも(任意には攪拌しながら)『安全な光』条件下で組み合わせることができるが、光反応開始剤を最後に(そして、他の成分の溶解を促進するために任意に用いられる加熱ステップの後に)加えることが(保存寿命及び熱的安定性の観点から)好ましい。必要であれば溶媒を用いることもできるが、その場合、その溶媒はその組成物の成分とはあまり反応しないように選択されねばならない。適切な溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、及びアセトニトリルなどがある。反応種自体が他の成分のための溶媒として機能する場合もある。
【0128】
光反応開始剤系の成分は(上に述べたような)光化学的に有効な量で存在している。一般的に、この組成物は重量基準で少なくとも約5%、好ましくは少なくとも約10%、そしてより好ましくは少なくとも約20%の1つ以上の反応種を含んでいる。通常、その組成物は重量基準で最大99.79%、好ましくは約95%、そしてより好ましくは最大約80%の1つ以上の反応種を含んでいる。一般的に、前記組成物は1つ以上の反応種に対する重量を基準として少なくとも約0.01%、好ましくは約0.1%、より好ましくは少なくとも約0.2%の1つ以上の光増感剤を含んでいる。通常、前記組成物は重量で約10%、好ましくは最大約5%、そしてより好ましくは最大約2%の1つ以上の光増感剤を含んでいる。好ましくは、前記組成物は少なくとも重量で約0.1%の電子ドナーを含んでいる。好ましくは、前記組成物は重量で約10%、そして好ましくは約5%の1つ以上の電子ドナーを含んでいる。好ましくは、前記組成物は重量で約0.1%の1つ以上の光反応開始剤を含んでいる。好ましくは、前記組成物は重量で最大約10%、そして好ましくは約5%の1つ以上の光反応開始剤を含んでいる。前記反応種がロイコ染料である場合、前記組成物は通常重量で少なくとも約0.01%、好ましくは少なくとも約0.3%、より好ましくは少なくとも約1%、そして最も好ましくは少なくとも約2%の1つ以上のロイコ染料を有している。前記反応種がロイコ染料である場合、前記組成物は通常重量で最大約10%の1つ以上にロイコ染料を含んでいる。これらの割合は溶液ではなく、固体ベース、つまり成分の総重量に基づくものである。
【0129】
望ましい最終的使用形態に基づいて、非常に多数の補助剤を含めることができる。適切な補助剤は溶剤、希釈剤、樹脂、結合剤、可塑剤、含量、染料、無機あるいは有機強化あるいな延伸用充填材(好ましい重量は前記組成物総重量の約10%)、揺変性剤、指示薬、反応抑止剤、安定剤、紫外線吸収剤、薬剤(例えば、浸出可能なフッ化物)などなどである。そうした補助剤の量及びタイプ、そして組成物に添加する方法は当業者には周知である。
【0130】
例えば、粘着性を制御し、そして膜形成特性を提供するために前記組成物に非反応性ポリマー性結合剤を含めることはこの発明の範囲内である。そうしたポリマー性結合剤は通常は、前記反応種との共存性を基準として選択される。例えば、反応種に対して用いられるのと同じ溶媒に可溶性で、反応種の反応の過程に悪影響を及ぼす機能基を含んでいないポリマー性結合剤を用いることもできる。結合剤は望ましい膜形成特性と溶液レオロジーを達成するのに適した分子量(例えば、5,000〜1,000,000ドルトンの範囲、好ましくは約10,000〜500,000ドルトン、より好ましくは約15,000〜250,000ドルトンの範囲)を有している。適切なポリマー性結合剤には、例えば、ポリスチレン、ポリ(メチル・メタクリレート)、ポリ(スチレン)−co−(アクリロニトリル)、セルロース・アセテート・ブチレートなどがある。
【0131】
露光を行う前に、得られた光反応性組成物を、必要であれば、当業者に知られている(例えば、ナイフ・コーティング及びスピン・コーティングなどを含めて)種々の被覆方法で基板上に被覆することができる。この基質は特定の使用目的や用いられる露光方法に基づいてフィルム、シート、及びその他の面など種々のものから選択することができる。好ましい基板は通常は均一の厚みをもった光反応性組成物の層をつくるのに十分な平坦性を有している。被覆がそれほど必要でない使用例の場合は、その光反応性組成物はバルク形態で露光させることもできる。
【0132】
露光システム及びその使用
有用な露光システムは少なくとも1つの光源(通常はパルスレーザー)と少なくとも1つの光学素子を有している。適切な光源は、例えば、アルゴン・イオン・レーザー(例えばCoherent Innova)でポンピングされるフェムト秒近赤外線チタン・サファイア発振器(例えば、Coherent Mira Optima 900−F)である。76MHzで作動するこのレーザーはパルス幅が200フェムト秒で、700〜980nmの範囲でチューニングが可能であり、そして平均出力は最大1.4ワットである。しかしながら、実際には、(光反応性組成物で用いられる)光増感剤に適した波長で(多光子吸収をもたらすのに)十分な強度を提供するどんな光源でも用いることができる。そうした波長は通常は約300nm〜約1500nmの範囲であり、好ましくは約600nm〜約1100nm、より好ましくは約750nm〜約850nmの範囲である。ピーク強度は通常は少なくとも約106W/cm2程度である。パルス・フルーエンス(単位面積あたりのパルスあたりのエネルギー)の上限は通常はその光反応性消耗閾値によって示される。例えば、Q−スイッチNd:YAGレーザー(例えば、Spectra−Physics Quanta−Ray PRO)、可視光線染料レーザー(例えば、Spectra−Physics Quanta−Ray PROでポンピングされるSpectra−Physic Sirah)、そしてQスイッチ・ダイオード・ポンプ・レーザー(例えば、Spectra−Physics FCcarTM)も用いることができる。好ましい光源はパルス長が約10ナノ秒未満(より好ましくは約1ナノ秒以下、最も好ましくは約10ピコ秒以下)の近赤外線レーザーである。上に述べたピーク強度とフルーエンスが満たされる限り、その他のパルス長を用いてもよい。
【0133】
本発明の方法を実行する上で有益な光学素子は屈折性光学素子(例えば、レンズ及びプリズム)、反射性光学素子(例えば、再帰反射装置、あるは集光ミラー)、回折性光学素子(例えば格子、位相マスク、及びホログラム)、分散装置、Pockelセル、導波管、波プレート、複屈折性液晶などである。こうした光学素子は集光、ビーム伝送、ビーム/モード整形、パルス整形、及びパルス・タイミングなどの目的のために有益である。通常、光学素子の組み合わせが用いられ、当業者であれば他の組み合わせも容易に想起するであろう。集光度の高い光を提供するために大きな開口数を有する光学装置を用いるのが望ましい場合がしばしばある。しかしながら、望ましい強度特性(及びその空間的配置)を提供する光学素子のどんな組み合わせでも用いることができる。例えば、露光システムは0.75NA対物レンズ(Zeiss 20X Fluar)を備えた走査共焦点顕微鏡(BioRad MRC600)を用いることもできる。
【0134】
通常、光反応性組成物の露光は(上に述べたような)光源をその組成物内での光強度の三次元空間分布を制御するための手段としての光学素子と共に用いることによって行われる。例えば、パルス化データからの光を、その焦点が組成物の体積内に来るように集光レンズを通過させる。この焦点を望ましい形状に対応する三次元パターンに従って走査、あるいは移動させてそれによって望ましい形状をつくることができる。この組成物の露光あるいは光を当てられる体積は、その組成物自体を移動させてでも、あるいは光源を移動させることによっても(例えば、ガルボ・ミラーを用いてレーザー・ビームを移動させることによってでも)走査させることができる。
【0135】
光が、例えば、その反応種のものとは異なった可溶性特性を有する物質を作り出す反応を誘発する場合、得られる画像は任意に例えば適切な溶媒を用いて、あるいはその他の周知の方法を用いて露光された、あるいは露光されない領域を除去することで現像される。こうした方法で、複雑な、三次元物体をつくることができる。
【0136】
露出時間は通常、画像形成に用いられる露光システムのタイプ(及び開口数、光強度空間分布、レーザー・パルス中のピーク光強度(より高い強度及びより短いパルス継続時間は大雑把に言ってピーク光強度に対応する)などそれに伴う変数)及び露光される組成物の性質(及び光増感剤、光反応開始剤、そして電子供与体化合物の濃度)に依存する。一般的に、焦点領域のピーク光強度をより高くすれば、他のパラメータが同じでも露光時間はより短くなる。直線的な画像形成、あるいは『書き込み』速度は通常、10−8−10−15秒(好ましくは約10−11−10−14秒)のレーザー・パルス継続時間、そして1秒あたり102−109パルス(好ましくは約103−108パルス)を用いた場合約5〜100,000ミクロン/秒である。
【0137】
実施例
本発明の目的と利点を以下の実施例を参照してさらに説明するが、これらの実施例に記載されている具体的な物質と量は、その他の条件および詳細事項と同様、本発明を限定するためのものではない。これらの実施例は例えば光重合化プロセスなどにおいて、入射光の転化効率を増大させるために、多光子吸収プロセスにおいて用いられる未吸収の光を循環させるための光学素子の使用について検討するものである。
【0138】
特に具体的な注記がなければ、これらの実施例で用いられている化学物質はAldrich Chemical Co.,Milwaukee,WIから市販されているものである。Tris(2−ヒドロキシエチンレン)イソシアネート・トリアクリレート、2−フェノキシエチル・アクリレート、およびトリメチルプロパン・アクリレートはそれぞれSR−368、SR−339、およびSR−351の商標で、Sartomer Co.,West Chester,PAから市販されたものである。SR−9008はSartomer Co.,West Chester,PAから市販されているアルコキシル化アクリレートである。
【0139】
ジフェニルヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェートなどの芳香性ヨードニウム錯体塩はBeringer et al.,J.Am.Chem.Soc.,81,342(1959)の教示に従って(例えば、ジフェニルヨードニウム・ビスルフェートなどの)対応する芳香性塩の転移によって調製される。従って、例えば、錯体塩ジフェニルヨードニウム・テトラフルオロボレートは温度が60℃の、29.2グラム(g)の銀フルオロボレート、2グラムのホウフッ化水素酸、そして0.5グラム燐酸を約30ミリリットル(mL)の水に加えた溶液を塩化ジフェニルヨードニウムの44グラム(139ミリモル)溶液に加えて調製した。沈殿した銀ハロゲン化物をろ過で取り出して、ろ過物を濃縮して、ジフェニルヨードニウム・フルオロボレートを生成した。これは再結晶化させて精製することができる。
【0140】
2光子感光性染料、bis−[4−(ジフェニルアミノ)スチリル]−1,4−(ジメトキシ)ベンゼンが以下の手順でつくられた。(1)1,4−bis−ブロモメチル−2,5−ジメトキシベンゼンとトリエチル・ホスフェート(Horner Eamons試薬)との反応;1,4−bis−ブロモメチル−2,5−ジメトキシベンゼンは文献(Syper et al.,Tetrahedron,1983;39,781〜792)に示されている手順でつくられた。1,4−bis−ブロモメチル−2,5−ジメトキシベンゼン(253g、0.78モル)を1000mL丸底フラスコに入れた。トリエチル・ホスフェート(300g、2.10モル)を加えた。これらの反応物を窒素雰囲気下で攪拌しながら48時間加熱した。反応混合物を冷却して、過剰なP(OEt)3をKugelrohr装置を用いて真空内で除去した。望ましい生成物は実際には蒸留されなかったが、Kugelrohr装置を用いて過剰なP(OEt)3を生成物からの蒸留によって除去した。0.1mmHgで100℃に加熱すると、透明の油分が得られた。冷却して、望ましい生成物が固体として得られた。この生成物は次のステップに直接用いるのに適しており、1HMRは提案された構造との一致を示していた。トルエンから再結晶化させたところ、無色の針状の結晶が得られ、より純粋な生成物になったが、これはほとんどの場合次のステップのために必要ではなかった。
【0141】
(2)Bis−[4−(ジフェニルアミノ)スチリル]−1,4−(ジメトキシ)ベンゼンの合成:1000mLの丸底フラスコに較正済み滴下じょうごと磁性攪拌器を取り付けた。このフラスコに上の合成から得られた生成物を加え(Hormer Eamons試薬)(19.8g、45.2モル)、そして、N,N−ジメチルアミノ−p−ベンズアルデヒド(Fluka,25g、91.5ミリモル)も加えた。このフラスコを窒素でフラッシュして、セプタで密封した。無水テトラヒドロフラン(750mL)をそのフラスコ内に注入して、すべての固形成分を溶かした。滴下用じょうごにKOtBu(カリウムt−ブロキシド)(12.5mL、1.0MをTHFに溶かしたもの)を加えた。フラスコ内の溶液を攪拌し、フラスコ内の内容物に30分かけてKOtBu溶液を加えた。この溶液を周辺温度下で一昼夜攪拌し続けた。この反応を次にH2O(500mL)を加えて急冷した。この反応物を攪拌し続けたところ、約30分後に高度に蛍光性の高い黄色の個体がフラスコ内に形成された。この固体をろ過で分離して、空気で乾燥させた。そしてそれをトルエン(450mL)で再結晶化させた。望ましい生成物は蛍光性のある針状結晶(24.7g、81%イールド)として得られた。1HRMは提案された構造と一致していた。
【0142】
実施例1
この実施例は1つ以上のモノマーを光開始剤と反応させるために用いられる光の未吸収部分を循環再利用するための曲面反射性ミラーのアレイの使用について述べるものである。光源は波長1.06マイクロメータ(μm)、パルス幅800ピコ秒(ps)、パルス反復速度12キロヘルツ(kHz)、そして平均出力パワー35ミリワット(mW)で作動するNd:YAGマイクロチップ・レーザーである。この光学素子列は低分散反射鏡と、光出力をサンプルに変えるための光減衰器とで構成されている。減衰器の後で、ビーム拡大システムがレーザーからの光を拡大して、開口数が0.65の40倍顕微鏡対物レンズで構成される作像レンズに光を送る。この対物レンズの焦点距離は4.39ミリメートルである。この光学システムによって、レンズは半径約2μmのスポットを作り出す。これらのテスト基板の場合、反応(例えば硬化)は前記対物レンズの焦点を前記基板とポリマーの界面に合致するように配置することによって行われる。テスト構造は長さ5センチメートル(cm)、ライン間隔0.5cmの連続走査ラインで構成され、すべてのラインは同じ平面上にある。各ラインはレーザーからのエネルギーの1回の通過の結果を示している。
【0143】
この実施例でのサンプルは2つの面および側面を有している。1つの面は光を基板の第2の面あるいはその近くに向け集光させる球面集光表面を有する微小反射体のアレイで構成されている。実際の微小反射体のアレイは基板の一方の面上に球面マイクロレンズ・アレイが形成されているアルミ化ガラスあるいはポリマー性基板で構成されている。この微小反射体のアレイは球面集光学素子を有するアルミ化マイクロレンズである。個々の球面小レンズはアルミ化されると、球面集光微小反射体として機能する。球面集光学素子の場合、焦点距離fは(1/2n)rに等しく、nは反射装置とその焦点の間の媒体の屈折率であり、rは局率半径である。この場合、局率半径の値は厚みに等しい焦点距離を作り出す。比較分析を行うために、アレイの半分をアルミニウムで真空コーティングし、残りの半分にはそれをしなかった。
【0144】
2つの光子反応開始剤を1%負荷してある光反応性組成物の薄い膜がその基板の反対側を覆っている。この光反応性組成物は40重量%のtris(2−ヒドロキシエチレン)イソシアネート・トリアクリレート、59重量%のメチル・メタクリレート(MMA)、そして1重量%の、例えば1,4−bis(ドデシル)−2,5−bis(2,5−ジメトキシ−4−(2,2−ジシアノエチニル)スチリル)ベンゼンをジオキサン溶液に40%濃度で溶かしたものなどの2つの光子吸収剤で構成されている。基板の平面側の光反応性組成物のこの層は厚みが約100μmである。
【0145】
光反応性組成物で被覆した微小反射体の露光は、顕微鏡対物レンズからの高度に集光された光の下をサンプルを動かすことによって行われた。レンズが金属化された部分から金属化されていない部分まで微小反射体基板全体にわたって一定速度で走査された。同じ保護用物質の第2の比較用サンプルは平面上基板を被覆し、書き込み閾値を設定するための機能を果たす。このサンプルの場合の書き込み閾値は微小反射体基板の規定パワー・レベルを提供する。その閾値を上回る書き込みパワーがその微小反射体基板を被覆する2つの光子反応開始剤負荷ほど用組成物を露光する。
【0146】
ジオキサン溶液を用いて反応したポリマー性コーティングを現像すると、未反応領域がその基板から除去されて、光反応したラインが現れる。個々の光反応ラインは約20μmの厚みを有しており幅は約15μmである。さらに、光反応したポリマー性ラインはポリマー性基板に対して良好な接着性を示す。書き込み閾値で、光反応ラインが微小反射体基板の金属化した部分と金属化していない部分の両方に出現する。書き込み閾値以下の場合、光反応ラインはその微小反射体基板の金属化した部分だけに出現する。
【0147】
実施例2
図5に示すように、多重投下多光子吸収装置600は2つの面:第1の面612と第2の面614を有するポリマー性フィルムで構成されるテスト基板610を含んでいる。第1の面612は平面状であるのに対して、第2の面614は逆反射性コーナー・チューブ614a〜614eの微小アレイであるこの逆反射性コーナー・チューブは辺の長さが20μmである。平面状の面612上に、1つの2つの光子反応開始剤負荷光反応性組成物620がその面612を被覆する。コーナー・チューブ614面上で、そのコーナー・チューブの1つの半分は加工されたままで、他方の半分にはアクリレート・ポリマーが充填されていて、コーナー・チューブの逆反射特性を効果的に除去する。
【0148】
2つの光子書き込み用光源(図示せず)は、波長1.06μm、パルス幅800ps、パルス反復速度12kHz、そして平均出力パワー35ミリワットで作動するNd:YAGマイクロチップ・レーザーである。この光学素子列は低分散反射鏡と、光出力をサンプルに変える光減衰器とで構成されている。減衰器の後で、ビーム拡大システムがレーザーからの光を拡大して、開口数が0.65の40倍顕微鏡対物レンズで構成される作像レンズ630に光を送る。この対物レンズ630の焦点距離は4.39ミリメートルである。この光学システムによって、レンズ630は半径約2μmのスポットを作り出す。これらのテスト基板の場合、反応(例えば光硬化)は前記対物レンズ630の焦点を前記基板とポリマーの界面に合致するように配置することによって行われる。テスト構造は長さ5cm、ライン間隔0.5cmの連続走査ラインで構成され、すべてのラインは同じ平面上にある。各ラインはレーザーからのエネルギーの1回の通過の結果を示している。
【0149】
2つの光子反応開始剤を1%負荷してある光反応性組成物620の薄い膜がその基板610の反対側612を覆っている。この光反応性組成物620は40重量%のtris(2−ヒドロキシエチレン)イソシアネート・トリアクリレート、59重量%のメチル・メタクリレート(MMA)、そして1重量%の2つの光子吸収剤をジオキサン溶媒に40%濃度でとかしたもので構成されている。基板610の平面側612の光反応性組成物620のこの層は厚みが約100μmである。
【0150】
光反応性組成物で被覆した微小反射体610の露光は、顕微鏡対物レンズからの高度に集光された光の下をサンプルを動かすことによって行われた。レンズが金属化された部分から金属化されていない部分まで微小反射体基板610全体にわたって一定速度で走査された。同じ保護用物質の第2の比較用サンプルは平面上基板を被覆し、書き込み閾値を設定するための機能を果たす。このサンプルの場合の書き込み閾値は微小反射体基板の規定パワー・レベルを提供する。その閾値を上回る書き込みパワーがその微小反射体基板を被覆する2つの光子反応開始剤負荷ほど用組成物を露光する。
【0151】
ジオキサン溶液を用いて反応したポリマー性コーティングを現像すると、未反応領域がその基板から除去されて、光反応したラインが現れる。個々の光反応ラインは約20μmの厚みを有しており幅は約15μmである。さらに、光反応したポリマー性ラインはポリマー性基板に対して良好な接着性を示す。書き込み閾値で、光反応ラインが微小反射体基板610の金属化した部分と金属化していない部分の両方に出現する。書き込み閾値以下の場合、光反応ラインはその微小反射体基板の金属化した部分だけに出現する。
【0152】
実施例3
本実施例は1つ以上のモノマーを2つの光子反応開始剤と反応させるために用いられる光の未吸収部分を循環、再利用するための反射性基板の使用について述べるものである。光源はダイオード・ポンプTi:サファイア・レーザー(Spectra Phisics,Mountain View,CA)で、波長800ナノメートル(nm)、パルス幅100フェムト秒(fs)、パルス反復速度80メガヘルツ(MHz)、ビーム直径約2ミリメートル(mm)、そして平均出力パワー860ミリワット(mW)で作動する。この光学素子列は低分散反射鏡と、光出力をサンプルに変える光減衰器と、光をサンプルに集光するための10倍顕微鏡対物レンズ(0.25NA)とで構成されている。この光学システムでは、前記レンズが約8μmの直径と、約120μmの深さを有する焦点スポットをつくりだした。これらのテスト基板の場合、反応は前記対物レンズの焦点を前記基板とポリマーの界面に合致するように配置することによって行われた。テスト構造は長さ0.5〜5cm、ライン間隔0.0625cmの連続走査ラインで構成され、すべてのラインは同じ平面上にあった。各ラインはレーザーからのエネルギーの1回の通過の結果を示している。サンプルに伝えられ、較正された光ダイオード(Ophir Optornics Inc.,Danvers,MAから市販される光ダイオード・ヘッドPD300−3W)を用いて顕微鏡対物レンズから出て行くところで測定された平均パワーはこの例では20mWであった。
【0153】
このサンプル基板は天然酸化物を有する4インチ・シリコン・ウエハーで、片方の半分は1500オングストロームのアルミニウムで真空コーティングされて、鏡面状のコーティングを被覆していた。ポリマーの接着性を増強するために、トリエトキシシリルプロピルアクリレートを水性エタノールの溶かした2%溶液(pH:約4.5)を基板上に回転コーティングして、その後、130℃オーブンで10分間焼成した。この光反応性組成物の薄層(表1参照)、ジオキサンに固体成分40重量%(Mallinckrodt Baker,Phillipsburge,NJ)をウエハ全体に回転コーティングして、80℃オーブンで焼成して、溶媒を除去した。最終的光反応性被覆層は約20μmの厚みであった。
【0154】
【表1】
【0155】
光反応性組成物で被覆され、部分的にアルミ化されたウエハは顕微鏡対物からの高度に集光された光の下でサンプルを連続的に動かすとこで発生した。ラインは一定の速度で金属化された領域から金属化されていない領域にいたるまで基板全体に対して走査された。レーザーを1回通過させる毎に、1秒当たり77〜27520マイクロメータ(μm/s)の範囲をカバーするように√2倍ずつ増大された。閾値ドーズを含めるために、基板を異なった箇所を異なった平均レーザー・パワーで反復的に照射した。N,N−ジメチル・ホルムアミドを用いて反応したポリマー性被覆を現像すると、基板から未反応の領域が除去され、光反応したラインが現れた。個々の光反応ラインの幅は速度の増大に伴って24μmから8μmに減少した。さらに、光反応ラインはシリコン基板の金属化した部分としない部分の両方に対して良好な接着性を示した。任意の平均レーザー・パワーに対して閾値は、現像後に光学顕微鏡を用いて検査した場合に光反応が見える最高ステージ速度と定義される。シリコンおよびアルミニウムでの結果を図7に示す。パワー依存性の勾配の増大は金属化された領域での書き込み速度が少なくともむき出しのシリコンの場合と比較して少なくとも2倍であることを示した。そうした結果は、それぞれ独立に作用する前向きおよび反射パルスとの一貫性を示し、従ってアルミニウム上の光反応性組成物はシリコン上の光反応性組成物のエネルギーあるいはドーズの二倍を受け取っていることが示された。
【0156】
実施例4
テスト基板は2つの面を有するポリマー性フィルムで構成されていた。一方の面は平面上で、第2のは比較例Aに示す米国特許第5,138,488号に述べられているように作成された逆反射性コーナー・チューブのアレイを有していた。テスト基板の厚みは約380μmであった。平面状の1つの2つの光子反応開始剤負荷光反応性組成物がその面を被覆していた。光反応性組成物の屈折率および密度は重合化およびその後の照射されたエリアへのモノマー拡散の結果として、照射された領域では増大した。望ましい構造体が得られた後、フィルム全体を1光子光源を用いてブランケット露光し、像を永続的に固定した。コーナー・チューブ上で、そのコーナー・チューブの1つの半分は加工されたままで、他方の半分にはアクリレート・ポリマーが充填されていて、コーナー・チューブの逆反射特性を効果的に除去された。このポリマー性フィルムをガラス基板に取り付けて、その端部を軽くたたいた。
【0157】
光源はダイオード・ポンプTi:サファイア・レーザー(Spectra Phisics,Mountain View,CA)で、波長800nm、パルス幅100fs、パルス反復速度80MHz、ビーム直径約2mm、そして平均出力パワー860mWで作動するものであった。この光学素子列は低分散反射鏡と、光出力をサンプルに変える光減衰器と、光をサンプルに集光するための有効焦点距離39mm、開口数0.09の5倍顕微鏡対物レンズ(0.25NA)とで構成されている。この光学システムでは、前記レンズが約18μmの直径と、約650μmの深さを有する焦点スポットをつくりだした。長い焦点距離が必要であったのは、前向きおよび反射スポットの両方が光反応性組成物内に集光されるようにするためであった(図5参照)。サンプルに伝えられ、較正された光ダイオード(Ophir Optornics Inc.,Danvers,MAから市販される光ダイオード・ヘッドPD300−3W)を用いて顕微鏡対物レンズから出て行くところで測定された平均パワーはこの例では120mWであった。
【0158】
反応は対物レンズの焦点をコーナー・チューブ/ガラス基板界面に合致するように位置調整することで行われた。テスト構造は長さが0.5〜5cm、間隔が0.0625cmの連続走査ラインで構成され、すべてのラインは同じ平面上にあった。各ラインはレーザーからの1回のエネルギー投下の結果を示している。
【0159】
【表2】
【0160】
表2に示されている光反応性組成物を固形分が33%となるように1,2−ジクロロエタンに溶解して、逆反射性基板の平面側に回転コーティングした。溶媒は80℃オーブン内で10分間焼成して取り除いた。最終的な光反応性コーティングは約20μmの厚みであった。光反応性組成物で被覆された逆反射性基板の露光は顕微鏡対物レンズからの高度に集光された光の下でサンプルを移動させることによって行われた。ラインは一定の速度で基板全体にわたって行われた。レーザーを投下する度に、1秒当たり77〜27520マイクロメータ(μm/s)の範囲をカバーするように√2倍ずつ増大された。閾値ドーズを含めるために、基板を異なった箇所を異なった平均レーザー・パワーで反復的に照射した。像全体を露光した後、その光反応性組成物を3つのPhilips TLD 15W−03バルブを用いて30分間ブランケット露光した。同じ光反応性組成物の第2の比較用サンプルは平面状基板を被覆して、書き込み閾値を決めるための役割を果たした。
【0161】
図8aと8bは走査ラインの光学顕微鏡写真である。指数マッチング・オイルをコーナー・チューブからの反射を減らすためにコーナー・チューブの下に置いた。逆反射性スポットは集光ビームの第1の投下によってつくられたラインに沿って現れる。スポットはアクリレート・モノマーを充填して逆反射性特性を除去した場所では現れない。なお、逆反射性スポットは前記光反応性組成物を通じて最初に投下することによってつくられるラインがもはや判別できなくなっても、より早い書き込み速度で引き続き現れた。これは焦点の位置調整が不十分であったか、あるいは前記光反応性組成物内での光の自己集光によるものであろう。
【0162】
実施例5
図6に示されているように、透明な基板710を用いた多重投下多光子吸収装置700では、透過光は再利用されて、再度露光を行うために用いることができる。光源720はダイオード・ポンプTi:サファイア・レーザー(Spectra Phisics,Mountain View,CA)で、波長800nm、パルス幅100fs、パルス反復速度80MHz、ビーム直径約2mm、そして平均出力パワー860mWで作動するものであった。この光学素子列は、図6に示されるように、低分散反射鏡730、732と、光出力を変える光減衰器740と、シャッター745と、光をサンプル710に集光するための10倍顕微鏡対物レンズ750(0.25NA)とで構成されていた。対物レンズ750は直径が約8μmそして焦点深度が約120μmであった。透過光は焦点距離10cmの25mm径、アルミニウム被覆球面集光ミラー760(Newport Corp.,Irvine,CAから市販されているもの)で集光され、サンプル710上に再集光された。このミラーは光反応性組成物が被覆された基板710から20cmの位置の3軸平行移動ステージおよびジンバル・ミラー取付け台に取付けられた。反射光の偏向を90度回転させるためにゼロ・オーダー1/4波長板770(CVI Laser Corp.から市販)をサンプル710と集光ミラー760の間に配置した。直線偏向キューブ780と組み合わされて、これらの光学装置は反射光がレーザー凹部720内に戻るのを防ぐための効果的な光アイソレータを形成した。
【0163】
このテスト基板710は光透過性顕微鏡スライドの一方に被覆された光反応性組成物712で構成されていた。ポリマーの接触を増強するために、トリメトキシシリルプロピルメタクリレートを水性エタノール(pH;約4.5)に溶かした2%溶液を基板上に回転コーティングしてから、130℃オーブン内で10分間焼成した。ジオキサンに固形成分40重量%の光反応性組成物の薄層(図3参照)にウエハ全体に回転コーティングして、溶媒を取り除くために80℃オーブン内で焼成した。最終的な光反応性被覆は厚みが約20μmであった。
【0164】
【表3】
【0165】
反応は基板/ポリマー界面716に合致するように対物レンズ750の焦点714を位置調整することで行われた。集光ミラー760によってつくりだされた焦点714の像もこの界面716上に位置調整された。テスト構造は長さ0.5cm、間隔0.125cmの走査ラインで構成され、すべてのラインは同一平面上にあった。各ラインはレーザー720からのエネルギーの1回の透過の結果を示している。前記光反応性組成物で被覆したスライド710の露光は顕微鏡対物レンズ750と集光ミラー760から高度に集光された光の下をサンプルを連続的に動かすことで行われた。ラインは一定の速度で基板710全体にわたって行われた。レーザーを投下する度に、1秒当たり77〜27520μm/sの範囲をカバーするように√2倍ずつ増大された。閾値ドーズを含めるために、基板を異なった箇所を異なった平均レーザー・パワーで反復的に照射した。露光された光反応性組成物712をN,N−ジメチル・ホルムアルデヒドで現像したところ、基板710から未反応部分が除去され、光反応したラインが現れた。個々の光反応されたラインは24μmから8μmの範囲で、その幅は速度の増大に伴って小さくなった。さらに、光反応したラインはガラス基板710に対して優れた接着性を示した。任意の平均レーザー・パワーに対して、書き込み閾値は、現像後に光学顕微鏡を用いて調べた場合に光反応ラインが見える最高速度として定義された。
【0166】
1つの例で、集光ミラー760から反射された光714はそのサンプルを通じての最初の透過で露出された領域からややずれた位置に調節された。この場合、サンプルを走査する度に2つの平行なラインが現れた。図9a参照。集光ミラーからの反射光を遮断すると、1つのラインだけが現れた(図9b参照)。第2の例で、反射スポット714を露光を増大させるために第1の焦点領域に向けた。そしてサンプルを、ミラー760がブロックされた状態と、非集光分散性基板で覆われているのとの両方で走査した。表4はミラーをブロックした場合と、透過した光の焦点と反射された光の焦点が重なった場合の両方で、平均パワーを約53mWとした場合の閾値を示している。表4のサンプルIVはミラー760がブロックされていないが、焦点が重なっていない場合に、閾値書き込み速度が増大しないことを示している。
【0167】
【表4】
【0168】
ここで引用された特許、特許資料、および公報の開示全体が、個別に引用した場合と同様に本明細書に組み込まれるものとする。本発明の範囲と精神を逸脱せずに本発明に対して種々の修正や変更が可能であることは、当業者には自明であろう。本発明はここで述べられている実施の形態や実施例によって限定されるものではなく、そうした実施の形態や実施例は例として示されているのであって、本発明の範囲は以下の請求項でのみ限定されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1つの実施の形態による多重投下多光子吸収装置を示す図。
【図2】多重投下多光子吸収装置の別の実施の形態を示す図。
【図3a】1つのサンプルを通じての多数(N)の経路に拡張された多重投下多光子吸収装置の別の実施の形態を示す図。
【図3b】1つのサンプルを通じての多数(N)の経路に拡張された多重投下多光子吸収装置の別の実施の形態を示す図。
【図3c】1つのサンプルを通じての多数(N)の経路に拡張された多重投下多光子吸収装置の別の実施の形態を示す図。
【図3d】1つのサンプルを通じての多数(N)の経路に拡張された多重投下多光子吸収装置の別の実施の形態を示す図。
【図3e】1つのサンプルを通じての多数(N)の経路に拡張された多重投下多光子吸収装置の別の実施の形態を示す図。
【図4】集光ミラーの活性距離制御を示す多重投下多光子吸収装置の1つの実施の形態の図。
【図5】実施例2で用いられる多重投下多光子吸収装置を示す図。
【図6】実施例5で用いられる多重投下多光子吸収装置を示す図。
【図7】閾値書き込み速度のパワー依存を示すグラフ。
【図8a】充填されたチューブの光学顕微鏡写真。
【図8b】開放されたチューブの光学顕微鏡写真。
【図9a】(ミラーによりブロックされていない)走査線の光学顕微鏡写真。
【図9b】(ミラーでブロックされた)走査線の光学顕微鏡写真。
優先権の宣言
本願は2000年6月15日出願され、その内容が引用によって本明細書に組み入れられる米国特許仮出願第60/211,704号の優先権を主張するものである。
【0002】
発明の分野
本発明は(硬化など)多光子吸収プロセスにおいて用いられる光源の効率を強化するための方法に関するものであり、同方法は光を複数回反応性組成物内を通過させるステップを含んでいる。
【0003】
発明の背景
分子による二光子吸収は1931年にGoppert−Mayerによって予言されたものである。1960年にパルス化ルビー・レーザが発明されると、二光子吸収の実験的観察が現実のものとなった。それ以後、二光子励起は生物学、光データ記憶、その他の分野で実際に応用されている。
【0004】
二光子誘発光プロセスと単一光子誘発プロセスとの間には2つの重要な違いがある。単一光子吸収は入射光強度と直線的に相関するが、二次関数的に相関する。より高次の吸収は入射強度のそれに相関したより高い次数で変化する。その結果、3次元空間解像度で多光子プロセスを実行することができる。また、多光子プロセスは2つ、あるいはそれ以上の光子の同時吸収を伴っており、吸収発色団は、個々の光子がその発色団を励起するのには不十分なエネルギーを持っているとしても、その総エネルギーが励起状態の多光子光線感作物質のエネルギーと等しい多数の光子によって励起される。励起光は硬化基質あるいは材料内での単一光子吸収によって減衰されないから、物質内のその深度に焦点を合わせたビームを使用することで、単一光子励起で行われる以上に物質内の大きな深度で分子を選択的に励起させることが可能である。これらの2つの光子は、例えば、組織あるいは他の生体物質内に励起を加える。
【0005】
主たる利点は多光子吸収を光硬化および微細加工の蝋域に適用することによって達成される。例えば、多光子リソグラフィあるいは立体リソグラフィにおいては、多光子吸収の強度を非線形的に変えることで、用いられている光の回折限界より小さなサイズを有する特徴を書き込んだり、あるいは(これもホログラフィにとって興味深い)3次元での特徴の書き込みを可能にしてくれる。しかしながら、そうした加工は書き込み速度が遅く、レーザー出力が高い場合に限られている。従って、多光子吸収システムの処理量と効率を向上させる方法が求められている。
【0006】
発明の要約
本発明は多光子吸収プロセスの効率を向上させる方法を提供する。この方法は光反応性組成物を提供するステップと、前記光反応性組成物による少なくとも2つの光子の同時吸収に十分な光源を提供するステップと、前記光源からの光の少なくとも第1のトランジット(transit)に(好ましくは、例えば約10ナノ秒未満のパルス長を有する近赤外線パルスレーザーを用いてパルス照射を行うことによって)前記光反応性組成物を露光させるステップと、前記光の第1のトランジットの少なくとも一部分を少なくとも1つの光学素子を用いて前記光反応性組成物に向けるステップによって構成され、前記第1のトランジットで吸収されなかった複数の光子が次のトランジットで前記光反応性組成物を露光させるのに使用されることを特徴としている。
【0007】
多光子吸収プロセスにおける高出力レーザー光線のより効率的な使用が前記レーザー光線を前記光反応性組成物内を複数回通過させることで達成されることが本発明の利点である。このことは集光ミラー、導波管、あるいはキューブ・コーナー反射性素子などの適切な光学素子を用いることで達成される。
【0008】
好ましくは、前記光の第1のトランジットの少なくとも一部分を前記光反応性組成物内に戻すよう方向付けるステップは、前記光の第1のトランジットに露光されたのと同じ場所で前記光の第1のトランジットの少なくとも一部分を前記光反応性組成物内に戻すよう方向付けるステップを含んでいる。あるいは、前記光の第1のトランジットの少なくとも一部分を前記光反応性組成物内に戻るよう方向付けるステップは、前記光の第1のトランジットに露光されたのとは異なった場所で前記光の第1のトランジットの少なくとも一部分を前記光反応性組成物内に戻るよう方向付けるステップを含んでいる。
【0009】
本発明はまた、多光子吸収プロセスの効率を増大させる方法において、光反応性組成物を提供するステップと、前記光反応性組成物による少なくとも2つの光子の同時吸収に十分な光源を提供するステップと、前記光反応性組成物内の第1の焦点に光を集光させるステップと、前記光の第2の部分を前記光反応性組成物内に第2の焦点で集光させるステップとを含み、光の第1の部分が前記光反応性組成物によって吸収され、光の第2の部分が前記光反応性組成物を通過する、方法を提供する。
【0010】
好ましくは、前記光の第2の部分を第2の焦点に集光させるステップがさらに、前記光の第2の部分を前記光反応性組成物を通じて反射させるステップを含んでいる。あるいは、前記光の第2の部分を集光させるステップが前記光の第2の部分を複数の焦点に集光させるステップを含んでいる。好ましくは、前記光の第2の部分を反射させるステップが、集光を伴わずに前記光反応性組成物を通じて光の第2の部分の複数のトランジットを反射するステップを含んでいる。
【0011】
好ましくは、前記光の第2の部分の複数のトランジットを反射するステップは、複数の光学素子間で光の第2の部分を選択的に方向付けるステップを含み、前記複数の光学素子の少なくとも1つが集光を伴わずに前記光を前記光反応性組成物を通じて選択的に反射することができ、前記複数の光学素子の少なくとも1つが前記光反応性組成物内の焦点に前記光を選択的に集光させることができる。
【0012】
必要に応じて、前記光反応性組成物を通じて前記光の第2の部分を反射させて前記光の第2の部分を集光させるステップが1回以上反復されて複数の焦点がつくりだされる。さらに、必要に応じて、前記光の第2の部分を反射させるステップが、集光を伴わずに前記光反応性組成物を通じて前記光の第2の部分の複数のトランジットを反射させるステップを含んでいる。
【0013】
好ましくは、光反応性組成物は第1の焦点の近傍で硬化され、同時に第2の焦点の近傍で硬化される硬化性種を含んでいる。必要に応じて、前記第1の焦点と前記第2の焦点は前記光反応性組成物内の同じ位置にある。
【0014】
本発明はまた、多光子吸収プロセスの効率を増大させる方法を提供する。この方法は、反射性基板上に配置された光反応性組成物を提供するステップと、前記光反応性組成物によって少なくとも2つの光子の同時吸収に十分な光を提供するための光源を提供するステップと、前記光反応性組成物を第1の焦点の光源からの光に露光させるステップと、そして前記光を前記反射性基板によって前記光反応性組成物内に反射して戻すステップとを含んでいる。好ましくは、この方法はさらに、前記光を第2の焦点で反射して前記光反応性組成物内に戻すための光学素子に前記光をあてるステップを含んでいる。より好ましくは、この方法においては、前記反射性基板で前記光を反射させ、さらに前記光を1つの光学素子で反射させるステップが1回以上反復されて、複数の焦点がつくられる。
【0015】
本発明の光反応性組成物はモノマー、オリゴマー、反応性ポリマー、およびそれらの混合物などの硬化性種であるが、硬化不能な種でも使用できる。硬化性種の好ましい例としては、添加−重合可能モノマーおよびオリゴマー、添加−架橋可能ポリマー、陽イオン重合可能モノマーおよびオリゴマー、陽イオン架橋可能なポリマー、そしてそれらの混合物である。
【0016】
好ましくは、前記光反応性組成物は多光子光増感剤も含んでいる。光化学組成物は電子供与体化合物を含んでいる場合と含まない場合がある。光反応性組成物は任意に、光開始剤と含んでいてもよい。
【0017】
好ましい光開始剤は、固体の総重量に対して重量で約5%から約99.79%の少なくとも1つの反応種と、約0.01重量%から約10重量%の少なくとも1つの多光子光増感剤と、最大約10重量%の少なくとも1つの電子供与体化合物と、約0.1重量%〜約10重量%の少なくとも1つの光開始剤を含んでいる。
【0018】
本発明はまた、多光子吸収のための装置を提供する。この装置は、光反応性組成物と、前記光反応性組成物によって少なくとも2つの光子が同時に吸収されるために十分な光を提供するための光源と、複数の光学素子で構成され、前記光反応性組成物が前記複数の光学素子の少なくとも2つの間に配置されており、前記複数の光学素子の少なくとも1つの光学素子が集光を伴わずに前記光反応性組成物を通じて前記光を選択的に反射させることができ、さらに前記複数の光学素子の少なくとも1つの光学素子が前記光反応性組成物内の焦点に前記光を選択的に集光させることができる。
【0019】
前記光学素子は好ましくは1つ以上の凹球面ミラー、凹非球面ミラー、平面ミラー、デジタル・マイクロミラー装置、偏光器、レンズ、逆反射装置、格子、位相マスク、ホログラム、分散装置、ポッケルスセル(Pockels cells)、導波管、ウェーブ・プレート、逆反射液晶、プリズム、そしてそれらの組み合わせを含んでいる。
【0020】
前記光源は好ましくはパルスレーザーで構成されている。好ましくは、この光の波長は約300nm〜約1500nmの範囲、より好ましくは約600〜約1100nmの範囲、そして最も好ましくは約750nm〜約850nmの範囲である。
【0021】
定義
ここで用いられている場合、
『多光子吸収』とは2つ以上の光子を同時に吸収して、同じエネルギーの単一の光子の吸収によってはエネルギー的に到達できない反応性のある電子励起状態になることを意味している。
【0022】
『同時』とは2つの事象が10−14秒以内に起きることを意味している。
【0023】
『電子的励起状態』とはエネルギーがその分子の電子的基底状態より高く、光の吸収によって到達することができ、10−13秒以上持続する1つの分子の電子的状態を意味する。
【0024】
『反応』とは硬化(重合化および/又は架橋)を起こすこと、および脱重合化その他の反応を起こすことを意味する。
【0025】
『光学システム』とは光を制御するシステムを意味しており、このシステムはレンズ、ミラーなどの反射性光学素子、および格子などの回折生性光学素子で構成される群から選択される少なくとも1つの要素を含み、そうした光学素子は分散器、導波管、および光学分野で周知の他の要素を含むものとする。
【0026】
『露光システム』とは1つの光学素子と、光源を意味する。
【0027】
『十分な光』とは多光子吸収を起こすのに十分な強度と適切な波長の光を意味する。
【0028】
『光増感剤』とは光開始剤を活性化してそれとの作用で光反応開始種を生成するのに必要な低めのエネルギーの光を吸収することで光開始剤を活性化するのに必要なエネルギーを低下させる分子を意味している。
【0029】
(光開始剤系の成分の)『光化学的に有効な量』とは、(例えば、強度、粘度、色、pH、屈折率、あるいはその他の物理的あるいは化学的特性)の変化で示されるような)選択された条件下での少なくとも部分的変化をその反応種に起こすのに十分な量を意味する。
【0030】
『トランジット』とは光をある体積の光反応性組成物を完全に通過させることを意味する。
【0031】
『焦点』あるいは『集光』とは平行化された光を1つの点に集めること、あるいは1つの対象物の像を形成することを意味する。
【0032】
実施の形態の説明
多光子吸収のための1つの好ましいシステムは、光源と適切な光学素子、および少なくとも1つの反応種、少なくとも1つの多光子光増感剤、任意には少なくとも1つの電子供与体化合物、そして任意には少なくとも1つの光反応性組成物に対する光開始剤を含む光反応性組成物を含んでいる。光開始剤は通常、その反応種が陽イオン樹脂である場合を除けば、オプション可能である。
【0033】
実際には、本発明による方法は光反応性組成物をその光反応性組成物に反応(例えば硬化)をもたらすのに十分なエネルギーの光源に露光させることで複雑で3次元的な物体を作成するために用いることができる。好ましくは、未反応物質は、例えば、溶媒やその他の周知の手段を用いて洗浄することによって望ましい物体から分離される。
【0034】
通常の光硬化とは違って、1つの光反応性組成物が露光される場合、非常に少ない量の入射光が吸収され、使用される。利用できる光の量によって硬化システムは限定されていないが、近い将来それが可能になるであろう。サンプル中を光(例えばレーザー)を複数回通過させることで、その光をより効率的に利用することができるようになる。短いパルス光子は発生させるためにかなりの資源が必要であり、現段階では既存の光源をスケール・アップさせる方法はないので、2つの光子重合化を具体化する上で多重投下が重要な役割を果たす可能性がある。反射されて光反応性組成物に向けられる光は前のトランジットで対象となったのと同じ焦点に向けることができるし、別の焦点に向けることもできる。
【0035】
図1は本発明の1つの実施の形態による多光子吸収装置10を示しており、この場合、光は反射されて、光反応性組成物内の前回のトランジットの場合と同じ焦点に向けられている。装置10は少なくとも1つの第1の光学素子20と、少なくとも1つの第2の光学素子30と、そして光反応性組成物12を含んでいる。以下にさらに詳細に述べる光反応性組成物12は好ましくは作像収差を防ぎ、その作像装置の十分な作動距離を有効利用するのに十分な高度の均一の厚みを有している。
【0036】
図1に示されているように、光40は少なくとも軸50に全体として平行な1つの第1の光学素子20に到達する。前記少なくとも1つの光学素子20はその光を前記光反応性組成物12内の焦点14に集光させる。前記少なくとも1つの光学素子20は軸50上にその中心22aを有する集光レンズを含んでいる。集光レンズとして示されているが、前記少なくとも1つの第1の光学素子20は光を焦点に集めるいずれの適切な光学装置を含んでいてもよい。この技術分野でよく知られているように、集光レンズ22は平行な光をそのレンズ22aの中心から焦点距離fに等しい距離にある焦点に集光させる。ここで、前記集光レンズ22aの中心22aから焦点距離14までの距離はレンズ22の焦点距離fに等しい。焦点14に集光された後、光40はそれが光反応性組成物12を出て行くと、広がり始める。
【0037】
発散ビーム40は前記少なくとも1つの第1の光学素子20から光反応性組成物12の反対側に配置された少なくとも1つの第2の光学素子30によって集められる。この少なくとも1つの第2の光学素子30は第1の反射面34を有する球面集光ミラーを含んでいる。図1では球面集光ミラーとして示してあるが、前記少なくとも1つの第2の光学素子30は非球面ミラーなどこの技術分野で衆知のいずれの適切な光学装置、あるいは同じ効果を生み出す要素、例えば平行化レンズおよび平面ミラーなどの組み合わせを含んでいてもよい。発散ビーム40を集めた後、前記球面集光ミラー32はその光を光反応性組成物12の方向に反射して、焦点14に集光させる。先行技術でよく知られているように、球面集光ミラーなどの反射性球面集光学素子は、そのミラーとその焦点との間の媒体に対して、そのミラーの曲率半径の2分の1に屈折率nを掛けた値と等しい焦点距離fを有している。ここで、球面状集光ミラー32は軸50に沿ってそのミラーの頂点36からそのミラーの焦点14までの距離に等しい焦点距離を有しているので、ミラー32は焦点14上の像を光化学組成物12内の同じ位置に正確に投射する。
【0038】
前記少なくとも1つの光学素子30は光40を焦点14に再び集光するので、光反応性組成物12が受ける光の量は有効に倍化される。この光反応性組成物12は光学素子20および30に対して動かされ、その組成物を任意のパターンで反応(例えば硬化)をもたらす。これによって、光反応性組成物は単一トランジット構成の場合と比較して少なくとも2倍の速さで動かすことができ、しかも同じ量の吸収エネルギーを受けることができるので、製造速度が2倍に増大する。
【0039】
図2は図1の多光子吸収装置10の別の実施の形態を示している。図2で、少なくとも1つの第2の光学素子30は角度θで傾斜されていて、この角度は軸50と頂点36と第2の焦点16を結ぶ軸38によって形成される角度に相当する。前記少なくとも1つの第2の光学素子30の傾斜は、光40が第2の焦点16に集光されるようにするためのものである。同じレーザー・ビーム40が光反応性組成物12内の複数の場所(つまり、第1の焦点14と第2の焦点16)を反応(例えば、硬化)させるために用いられているのであるから、これによって第2の利得も得られることになる。両方の場合で、前記少なくとも1つの光学素子は、集光を最大限にするために、前記少なくとも1つの第1の光学素子20によって用いられるもの以上の開口数を持っていなければならない。
【0040】
少なくとも理論的には、図2に示されている原理を、十分な光強度が得られる限り、サンプル中を何回(n)でも通過させる方式に拡張することができる。図3a〜3eはそうした方式のいくつかの実行可能な実施の形態を示している。
【0041】
図3aは複数の第1の光学素子130、複数の第2の光学素子140、光化学組成物112、そして光学素子132によって集光される光ビーム150を示している。前記複数の第1の光学素子130は球面集光ミラー130a〜130bを含んでおり、そして前記第2の光学素子140は球面集光ミラー140a〜140bを含んでいる。光学素子132は集光レンズ134を含んでいる。光反応性組成物112は前記複数の第1の光学素子130と前記第2の光学素子との間になるように配置されている。図に示されているように、前記複数の第1の光学素子130と前記第2の光学素子140との間の距離は前記球面集光ミラー130a〜130eおよび140a〜140eのそれぞれの曲率半径(R)と等しい。
【0042】
図3aに示されているように、光ビーム150は集光レンズ134を通じて送られ、この集光レンズ150はビーム150を光反応性組成物112内の第1の焦点距離114aに集光させる。前記第1の焦点114aは集光レンズ134の焦点距離である距離fにある。光反応性組成物112を出て行く発散光は球面集光ミラー140aによって集められ、反射される。前記第1の焦点114aは球面集光ミラー140aの焦点距離とほぼ等しい距離fにあるので、前記第1の焦点114aからの光は平行な、あるいは平行化されたビーム154aとして反射され、焦点に集光せずに光化学組成物112内を通過するので、前記光化学組成物112との反応(例えば硬化)は起こらない。これは、無視できる程度の2つの光子吸収が大直径、平行化ビーム154a〜eがその光反応性組成物を通過する際に起きるようにパルス化された光150のビームの強度を設定することによって達成することができる。
【0043】
再平行化された光ビーム154aが球面集光ミラー130aに到達すると、それが光ビーム152bとして反射され、それが第2の焦点114bに集光されて、焦点114bで光反応性組成物112の反応(例えば硬化)をもたらす。焦点114bのスポット・サイズは前記複数の第1および第2の光学素子130および140の開口数に依存する。
【0044】
図3aからも分かるように、多光子吸収装置100は光反応性組成物112を通じて集光された、あるいは集光されていない光を集め、反射し続けるよういずれの数の第1および第2の光学素子でも含むことができる。
【0045】
3次元パターンを作り出すためには、前記光反応性組成物は前記複数の第1および第2の光学素子130および140の両方を固定したまま、xyz面で走査される。あるいは、それらの間の距離を一定(例えば曲率半径)に保ち、光反応性組成物を固定したまま、前記第1および第2の光学素子130および140のアレイを群として動かすことも可能である。このシステムは複数の場所で3次元パターンを再現するのに適している。
【0046】
光学素子(例えば、ミラー)130および140を曲率半径Rの2倍の距離に離れて配置させることで複数の場所で3次元パターンを作り出すために適している別システムをつくることができる。図3bで、図3aに示す多重投下多光子吸収装置100の別の実施の形態が示されており、この場合、複数の第1の光学素子130が前記複数の第2の光学素子140から球面集光ミラー130a〜130b、そして140a〜140bの曲率半径の2倍の距離に位置している。これらのミラーを2Rの距離に離れて配置することで、光ビーム152および154a〜154bが焦点114b〜114で光反応性組成物112を通過する度に前記第1の焦点114aの像が(つまり、拡大なしで)再現される。そして光反応性組成物112がxyz平面で走査されて、パターンを作り出す。
【0047】
複数の作像スポットで形成される任意のパターンを作り出すためには、各ミラーへの能動的な集光制御を組み込むのが好ましい。これを行うための1つの方法は、各曲面ミラーの前に(その反射性をON/OFF切り換えできるような)平面ミラーを配置することである。図3aはそうした手法の例を示している。
【0048】
図3aに示されている実施の形態は図3aに示されている多重投下多光子吸収装置100に類似している。図3cで、多重投下多光子吸収装置は4つの書き込みスポット(つまり、焦点214a、214b、214cおよび214d)と、(硬化などの反応をもたらす)吸収が起きない2つの領域を作り出すように構成される。装置200は複数の第1の光学素子230、複数の第2の光学素子240、そして光反応性組成物212を含んでいる。図3aに示されているように、前記複数の第1の光学素子230は前記複数の第2の光学素子240から球面集光ミラー230a〜230eと240a〜240eの曲率半径に等しい距離に離れて配置されている。
【0049】
図3cの多光子吸収装置200と図3aに示されている実施の形態との違いは、平面ミラー232a、232b、242aおよび242bが球面集光ミラー230b、230c、240c、および240dの前に配置されていることである。集光レンズは最初に光ビーム250を焦点214aに集光させ、その光ビーム250は球面集光ミラー240aによって反射される。光反応性組成物212を通過した後、光ビーム254aは球面集光ミラー230aによって反射されて、焦点214bを通じて球面集光ミラー240bに送られ、再度光反応性組成物212を通過して図3cに示されているように球面集光ミラー230bの前面に配置された平面ミラーである光学素子232aに達する。平面ミラー232aはこの技術分野で知られているいずれの適切な平面ミラーであってもよい。平面ミラー232aは電場でON/OFFできるようなタイプのものであってもよい。平面ミラーがONの場合、光ビーム254bは集光を伴わずに告ぎの書き込み位置に向けられる。平面ミラーがOFFの場合、下にある球面集光ミラー230bがその光を光反応性組成物に集光させる。前記ミラーの起動速度に基づいて、平面ミラーおよび球面ミラーの構成を処理中に変更したり、光画像形成プロセスの開始時に予め設定することもできる。
【0050】
図3cに示す平面ミラー232aと球面集光ミラー230bを用いた構成の例を図3dに別の実施の形態として示す。この場合、平面ミラー系300は平面ミラー310と凹面ミラー370を含んでいる。平面ミラー310は制御可能な(偏向光で用いることができる)反射性を有している。平面ミラー系300がON状態の場合、光ビーム350は経路350aを通じて偏向器320を通過して、逆反射液晶層に入る。ON状態では、この逆反射液晶層330はその光の偏向状態を、それが下の反射性偏向器340の透過軸に対して垂直になりように回転させる。光ビーム350の偏向はそれによって下の反射性偏向器340に対して垂直になるから、そのビーム350は偏向器340を通過しなくなる。その代わりに、ビーム350は経路350bに沿って、そして偏向器320を通じて反射される。
【0051】
平面ミラー系300がOFF状態にある場合に、光ビーム360は経路360aを通じて偏向器320aを通過して、液晶層330に入り、液晶層330がそれが反射性偏向器340の透過軸に平行になるようにそのビーム360の偏向状態を回転させる。ビーム340は反射性偏向器340を通過して、凹面ミラー370に進み、そこで反射性偏向器340と液晶層330を通じて経路360bに沿って再度集光されて、光反応性組成物内に焦点を形成する(例えば、図3cの光反応性組成物212参照)。
【0052】
同様の作用は、ミラーのONおよびOFF状態を達成するためにそのミラーの界面近くで総内部反射(TIR)と挫折TIRを用いることによって達成される。このTIR効果はそのミラーの界面近くに配置された圧電駆動膜(あるいはその他の手段Iを用いて阻むこともできるであろう。膜(あるいはその他の物質)が圧電ミラーに近づけられると、その界面近くに存在する瞬時的な波が膜と結合して、そのミラーの反射性を低下させる。
【0053】
もうひとつの可能性はその光反応性組成物を通じての複数回の通過中に書き込みを行うための特定の場所を(二通りの方法で)選択するためにそれらのミラーを物理的に動かす方法である。こうした方法の1つの実施の形態が図3eに示されており、静止球面集光ミラーと可動平面ミラーが直線的アレイ構成で交互に配置されている。図3eで、多重投下多光子吸収装置400は複数の第1の光学素子420、複数の第2の光学素子430、および前記複数の第1の光学素子420と前記複数の第2の光学素子430の間に配置された光反応性組成物412を含んでいる。前記複数の第1の光学素子420は球面集光ミラー422a、422b、422c、および422cを含んでおり、これらは平面ミラー424a、424b、および424cと交互に配置されている。前記複数の第2の光学素子430は球面集光ミラーは432a、432b、432c、および432cを含んでおり、これらは平面ミラー434a、434b、434cおよび434dと交互に配置されている。これらの平面ミラーは平行化された光ビームを凹面ミラーに向けてそのビームを光反応性組成物412内に向けるか、あるいは次の平面ミラーに向けて焦点の1つをうまくスキップするかのいずれかのために方向操作することができる。
【0054】
例えば、平面ミラー434aは光ビーム440を球面集光ミラー422aの方向に反射し、平面ミラー434dが光ビーム440を球面集光ミラー422dの方向に反射する。また、平面ミラー434aを傾斜させて、ビーム440を平面ミラー424aの方向に反射させ、平面ミラー424aがビーム440を平面ミラー434bの方向に向けて、球面集光ミラー422aをバイパスする構成も可能です。図3eに示されているミラー構成は第1の焦点414aに書き込みを行い、2つの未反応(例えば未硬化)物質領域を残し、そして第2の焦点414bで別のスポットを買い込むように構成されている。Texas Instruments社が生産しているようなデジタル・マイクロミラー装置などの微細電子機械システムがこうした構成には有用である。
【0055】
ビームが本発明による多光子反応性(例えば光活性化)組成物を何回も通過すると、その強度は種々の要因、例えば物質の不完全性、小さなミラーおよびレンズからの回折ロスなどによって失われることからゆっくりと低下していく。これによって、最初の通過時より最後の書き込みスポットにおける光の量の方が少なくなる。こうした欠陥はミラーか屈折反射装置をビームを正確にそれが通過した経路に沿って戻るように方向付けるアレイの最後に配置することで克服することができる。1回の通過あたりのロスが正確に分かったら、1回の通過あたりの光の量をできるだけ一定にするために、反射装置を位置調整することができる。その光パルスを再圧縮するために分散補償要素も加えることができる。
【0056】
そのシステム全体を通じて伝播する可能性のある作像収差も問題である。球面レンズの場合と同様、球面ミラーは軸ずれ収差を起こす傾向があり、そのミラーに垂直あるいはそれに近い角度で入射するビームに対して最もよく用いられている。図3a〜3eに示すような軸ずれ集光状態においては非球面が好ましい。
【0057】
図3a〜3eに示すような多重投下システムにおいては、ミラーの屈折率とパルス分散にかなりの注意を払う必要があるが、それはそれらが物質による吸収より有効レーザー強度のロスに大きくかかわる可能性があるからである。
【0058】
光反応性組成物のための基板はレーザー波長において好ましく透明であり、さらに好ましくは分散性ができるだけ小さいことが好ましいが、集光ミラーの能動的焦点距離制御を導入するようにシステム能力を拡張すると、反射性基板の基質が可能である。
【0059】
図4は本発明の1つの実施の形態を示しており、この実施の形態での集光ミラーの能動的焦点距離制御が示されている。図4に示されているように、焦点距離の前と後の伝播距離の違いを補償するために、能動的焦点距離制御が必要である。この焦点距離制御は集光ミラーの形状を調節するか、あるいはビーム経路のいろいろな部分で可変光遅延を導入することで達成することができる。
【0060】
図4は複数の光学素子520、光ビーム530、光反応性組成物512、そして反射性基板540で構成されている多重投下多光子吸収装置500を示している。前記複数の光学素子520は球面集光ミラー520a、520b、そして520cを含んでいる。
【0061】
図に示されているように、ビーム530は球面集光ミラー520aによって光反応性組成物512内の第1の焦点514に対して反射、集光される。前記第1の焦点514に集光された後、ビーム530が反射性基板540によって球面集光ミラー520bの方向に反射され、そこで前記基板の方向に反射されて、第2の焦点516で再度集光される。図4に示されているように、球面集光ミラー520bはミラー520aより曲率が高く、従って、短い曲率半径を有している。この短い曲率半径によってビーム530は光反応性組成物512内の第1の焦点距離514より光反応性組成物512の表面により近い第2の焦点に再集光される。
【0062】
近い第2の焦点に再集光された後、ビーム530は再度反射性基板540によって反射されて、球面集光ミラー520cの方向に向けられる。図に示されているように、ミラー520cはミラー520aおよび520bよりやや眺めの曲率半径を有している。この長めの半径の故に、ビーム530が反射されて第1の焦点514あるいは第2の焦点516のいずれよりも反射性基板540の表面に近い第3の焦点に再び集光される。前記複数の光学素子520の曲率半径を変更することで、光反応性組成物512内に種々のパターンを形成することができる。
【0063】
本発明で有益は光反応性組成物は少なくとも1つの反応種、少なくとも1つの多光子光増感剤、任意に少なくとも1つの電子供与体化合物、そして任意に少なくとも1つの前記光反応性組成物に対する光開始剤を含んでいる。
【0064】
反応種
光反応性組成物で使用するのにてきした反応種には硬化可能種と硬化不能種とがある。一般的には硬化性種が好まれ、例えば、付加重合可能モノマーと付加架橋可能ポリマー(アクリレート、メタクリレート、そしてスチレンなどのある種のビニル化合物などの自由ラジカル重合可能あるいは架橋可能エチレン不飽和種など)と、(例えば、エポキシ、ビニル・エーテル、シアネートなどの)陽イオン重合可能モノマー及びオリゴマーと陽イオン架橋可能なポリマー、あるいはそれらの混合物である。
【0065】
適切なエチレン不飽和種は、例えば、Palazzottoらに対する米国特許第5,545,676号の欄1、65行目から欄2、26行までに述べられており、モノ−、ジ−、及びポリ−アクリレートとメタクリレート(例えば、メチル・アクリレート、メチル・メタクリレート、エチル・アクリレート、イソプロピル・メタアクリレート、n−ヘキシル・アクリレート、スチアリル・アクリレート、アリル・アクリレート、グリセル・ジアクリレート、グリセロル・トリアクリレート、エチレングリコル・ジアクリレート、ジエチレングリコル・ジアクリレート、トリエチレングリコル・ジメタクリレート、1,3−プロパンジオール・ジアクリレート、1,3−プロパンジオール・ジメタクリレート、トリエチロルプロパン・トリアクリレート、1,2,4−ブタントリオール・トリメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジオール・ジアクリレート、ペンタエリスリトル・トリアクリレート、ペンタエリスリトル・テトラアクリレート、ペンタエリスリトル・テトラメタクリレート、ソルビトール・ヘキサクリレート、bis[1−(2−アクリロキシ)]−p−エトキシフェニルジメチルエタン、bis[1−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシ)]−p−プロポキシフェニルジメチルメタン、トリシドロキシエチル−イソシアニュレート・トリメタクリレート、分子量は約200〜500のポリエチレン・グリコールのbis−アクリレート及びbis−メタクリレート、米国特許第4,652,274号に開示されているようなアクリレート化モノマーの共重合可能な混合物、及び米国特許第4,642,126号に開示されているようなアクリレート化オリゴマー;不飽和アミド類(例えば、メチレンbis−アクリルアミド、メチレンbis−アクリルアミド、メチレンbis−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンbis−アクリルアミド、ジエチレン・トリアミンtris−アクリルアミド及びベータ−メタクリアミノエチル・メタクリレート);ビニル化合物(例えば、スチレン、ジアリル・フタレート、ジビニル・サクシネート、ジビニル・アジペート、及びジビニル・フタレートなど、及びそれらの混合物が含まれる。適切な反応性ポリマーとしては1つのポリマー鎖あたり1〜約50程度の(メタ)アクリレート基を有するペンダント(メタ)アクリレートなどがある。そうしたポリマーの実例にはSartomer社から市販されているSarboxTM樹脂などの芳香酸(メタ)アクリレート半エステル樹脂(例えば、SarboxTM400、401、402、404、及び405)などがある。その他の遊離ラジカルによって硬化可能な有益な反応性ポリマーとしては炭化水素骨格と付随ペプチド基を有しており遊離ラジカルでポリマー化可能な機能がそれに取り付けられているポリマーなどがあり、例えば米国特許第5,235,015号(Ali等)に述べられているものなどがそれに該当する。望ましい場合、2つ以上のモノマー、オリゴマー及び/又は反応性ポリマーの混合物も用いることができる。エチレン不飽和種のうちで好ましいものにはアクリレート、芳香酸アクリレート(メタ)クリレート半エステル樹脂、そして、炭化水素骨格と付随ペプチド基を有しており遊離ラジカルでポリマー化可能な機能がそれに取り付けられているポリマーなどがある。
【0066】
適切な陽イオン反応種は、例えば、米国特許第5,998,495号及び同第6,025,406号でOxmanらによって開示されており、エポキシ樹脂を含んでいる。エポキシドとも呼ばれるこうした物質にはモノマー性エポキシ化合物とポリマー性タイプのエポキシドなどがあり、脂肪性、脂環性、芳香性、そして複素環性のものである場合もある。これらの物質は通常は、平均して、少なくとも1つの分子あたり1つ(好ましくは1.5個、そしてより好ましくは少なくとも2つ程度)の重合化可能なエポキシ基を有している。これらの重合化エポキシドには末端エポキシ基を有する直鎖ポリマー(例えば、ポリオキシアルキレン・グリコールのジグリシジル・エーテル)、骨格オキシタン単位を有するポリマー(例えば、ポリブタジエン・ポリエポキシド)、そして付随エポキシ基を有するポリマー(例えば、グリシジル・メタクリレート・ポリマーあるいはコポリマーなど)がある。エポキシドは純粋な化合物であってもよいし、1分子あたり1つ、2つ、あるいはそれ以上のエポキシ基を含んでいる化合物の混合物であってもよい。例えば、この骨格はいずれのタイプのものであってもよく、そしてその上の置換基も室温での陽イオン硬化に実質的に影響を及ぼさないようなものであれば、どんなタイプのものであってもよい。使用可能な置換基の例としてはハロゲン、エステル基、スルホン酸基、シロキシ基、ニトロ基、リン酸基などがある。これらエポキシ含有物質の分子量は約58から約100,000あるいはそれ以上の範囲である。
【0067】
有益なエポキシ含有物質にはエポキシシクロヘキサンカルボキシレートなどの酸化シクロヘキセン基を含むものがあり、代表的な例としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキサン・カルボキシレ−ト及びbis(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペートなどがある。こうした性質を有する有益なエポキシドのより詳細なリストは米国特許第3,117,099号に参照することができる。
【0068】
その他の有益なエポキシ含有物質には
【化1】
の式で示されるグリシジル・エーテル・モノマーがあり、この式で、R’はアルキル又はアリルであり、nは1〜6の範囲の整数である。例としては多水酸基を過剰な量のエピクロロヒドリンなどのクロロヒドリンと反応させて得られる多水酸基フェノールのグリシジル・エーテル(例えば、2,2−bis−(2,3−エポキシプロポキシフェノール)−プロパン)などがある。このタイプのエポキシドのさらに別の例は米国特許第3,018,262号に述べられており、さらに、Handbook of Epoxy Resins,Lee and Neville,McGraw−Hill Book Co.,New York(1967)でも参照できる。
【0069】
多数の市販エポキシ樹脂も用いることができる。特に、入手し易いエポキシドには酸化アクタデシレン、エピクロロヒドリン、酸化スチレン、酸化ビニル・シクロヘキセン、グリシドル、グリシジルメタクリレン、ビスフェノールAのジグリシル・エーテル(例えば、Resolution Performance Products社、前Shell Chemicals Co.から発売されているEponTM828、EponTM825、EponTM1004、及びEponTM1010など、及びDow Chemical Co.から発売されているDERTM−331、DERTM−332及びDERTM−334など)、二酸化ビニルシクロヘキセン(例えばUnion Carbide Corp.から発売されているERL−4206など)、3,4−エポキシシツキヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキセン・カルボキシレート(例えば、Union Carbide Corpから市販されているERL−4221又はCyracureTMUVR 6110あるいはUVR 6105など)、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチル−シクロヘキセン・カルボキシレート(例えばUnion Carbide CorpのERL−4201)、bis(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート(例えば、Union Carbide CorpのERL−4289)、bis(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル(例えば、Union Carbide CorpのERL−0400)、ポリプロピレン・グリコールから修正された脂肪性エポキシ(例えばUnion Carbide CorpのERL−4050及びERL−4052)、二酸化ジペンテン(例えば、Union Carbide CorpのERL−4269)、エポキシ化ポリブタジエン(例えばFMC CorpのOxironTM2001)、エポキシ機能性を有するシリコン樹脂、難燃性エポキシ樹脂(例えば、Dow Chemical Coから市販されているシュウ酸化ビビスフェノール・タイプのエポキシ樹脂であるDERTM−580)、フェノールアルデヒド・ノバラクの1,4−ブタンジオール・ジグリシル・エーテル(例えば、Dow Chemical CoからのDENTM−431及びDENTM−438)、レソルチノル・ジグリシジル・エーテル(例えば、Koppers Company,Inc.からのKoporiteTM)、bis(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート(例えば、Union Carbide CorpのERL−4299あるいはUVR−6128)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン(例えば、Union Carbide CorpのERL−4234)、一酸化ビニルシクロヘキセン1,2−エポキシヘキサデカン(例えば、Union Carbide CorpのUVR−6216)、アルキルC8−C10グリシル・エーテル(例えば、Resolution Performance ProductsからのHeloxyTM Modifier7)、アルキルC12−C14グリシル・エーテル(例えば、Resolution Performance ProductsからのHeloxyTM Modifier8)、ブチル・グリシジル・エーテル(例えば、Resolution Performance ProductsからのHeloxyTM Modifier61)、クレシル・グリシジル・エーテル(例えば、Resolution Performance ProductsからのHeloxyTM Modifier62)、p−tert−ブチルフェニル・グリシジル・エーテル(例えば、Resolution Performance ProductsからのHeloxyTM Modifier65)、1,4−ブタンジオールのグリシジル・エーテルなど多機能性グリシジル・エーテル(例えば、Resolution Performance ProductsからのHeloxyTM Modifier67)、ネオペンチル・グリコールのグリシジル・エーテル(例えば、Resolution Performance ProductsからのHeloxyTM Modifier68)、シクロヘキサンジメタノールのジグリシル・エーテル(例えば、Resolution Performance ProductsからのHeloxyTM Modifier107)、トリメチロル・エタン・エーテル(例えば、Resolution Performance ProductsからのHeloxyTM Modifier44)、トリメチロール・プロパン・トリグリシル・エーテル(例えば、Resolution Performance ProductsからのHeloxyTM Modifier48)、脂肪性ポリオールのポリグリシル・エーテル(例えば、Resolution Performance ProductsからのHeloxyTM Modifier84)、ポリグリコール・ジエポキシド(例えば、Resolution Performance ProductsからのHeloxyTM Modifier32)、ビスフェノールFエポキシド(例えば、Ciba−Geigy Corp.から発売されているEponTM−1138あるいはGY−281)、そして9,9−bis[4−(2,3−エポキシプロポキシ)−フェニル]フルオレノン(例えば、Resolution Performance Products社のEponTM1079)などである。
【0070】
他の有益なエポキシ樹脂には(グリシジルアクリレート及びグリシジルメタクリレートなどの)グリシドルのアクリル酸エステルの1つ、あるいは複数の共重合可能なビニル化合物などがある。そうしたコポリマーの例としては1:1スチレン−グリシジルメタクリレート、1:1メチルメタクリレート−グリシジルアクリレート、及び62.5:24:13.5メチルメタクリレート−エチルアクリレート−グリシジルメタクリレートなどがある。他の有益なエポキシ樹脂も良く知られており、エピクロロヒドリン、アルキレン酸化物(例えば、酸化プロピレン)、酸化スチレン、アルケニル酸化物(例えば、酸化ブタジエン)、そしてグリシジル・エステル(例えば、エチル・グリシデート)などが含まれる。
【0071】
有益なエポキシ機能性ポリマーには米国特許第4,279,717号(Eckberg)に述べられており、General Electric Companyから市販されているようなものなどエポキシ機能性シリコンがある。これらはポリメチルシロキサンで、1〜20モル%のケイ素原子がエポキシアルキル基(好ましくは、米国特許第5,753,346号(Kessel)に述べられているようなエポキシ・シクロヘキシルエチル)で置換されたものである。
【0072】
種々のエポキシ含有物質の混合物も用いることができる。こうした混合物はエポキシ含有化合物の2つ以上の重量平均分子量分布(例えば、低分子量(200以下)、中間分子量(約200〜10,000)、そして高分子量(約10,000以上))を有している。あるいは、又はそれに加えて、エポキシ樹脂は異なった化学的性質(脂肪性及び芳香性など)あるいは機能性(極性及び非極性)を有するエポキシ含有物質の混合物を含んでいてもよい。その他の陽イオン反応性ポリマー(例えばビニル・エーテルなど)も必要であれば加えることができる。
【0073】
好ましいエポキシには芳香性グリシジル・エポキシド(例えばResolution Performance Products社から市販されているEponTMなど)及び環式脂肪性エポキシ(Union Carbide社発売のERL−4221及びERL−4299など)がある。
【0074】
適切な陽イオン反応種も、ビニル・エーテル・モノマー、オリゴマー、そして反応性ポリマー(例えば、メチル・ビニル・エーテル、エチル・ビニル・エーテルtert−ブチル・ビニル・エーテル、イソブチル・ビニル・エーテル、トリエチレングリコール・ジビニル・エーテル(Internationl Speciality Products,Wayne,NJから市販されているRapi−CureTM DVE−3)、トリメチロルプロパン・トリビニル・エーテル(Base Corp.,Mount Olive,NJから市販されているTMPTVE)、そしてAllied Signal社発売のVectomerTMジビニル・エーテル樹脂(例えば、VectomerTM2010、VectomerTM2020、VectomerTM4010、そしてVectomerTM4020と他の製造業者から初版されているその同等品))と、それらの混合物を含んでいる。1つ、あるいは複数のビニル・エーテル樹脂及び/又は1つ以上のエポキシ樹脂を(いずれの割合ででも)混合したものも利用することができる。多水酸機能性物質(例えば、米国特許第5,856,373号(Kaisaki等))もエポキシ及び/又はビニル・エーテル機能性物質と組み合わせて用いることができる。
【0075】
非硬化種としては、例えば、その可溶性が酸又はラジカル誘発反応によって増大される反応性ポリマーなどがある。こうした反応性ポリマーには、例えば、光発生酸によて水溶性酸基に転換することができるエステル基を含んだ水不溶性ポリマー(例えば、ポリ(tert−ブトキシカルボニルオキシスチレン)がある。非硬化樹脂にはR.D.Allen,G.M,Walraff,W.D,Hinsberg,and L.L.Simptonによって‘‘High Performances Acrylic Polymers for Chemically Amplified Photoresist Applications’’J.Vac.Sci.Technol.B,9,3357(1991)に述べられているような化学的に増幅されるフォトレジストがある。これら化学的に増幅されるフォトレジストというコンセプトは現在ではマイクロチップ製造業界ではひろく行き渡っており、特に0.5ミクロン(あるいはさらに0.2ミクロン)以下の特性が知られている。こうしたフォトレジストでは、触媒性の種(通常水素イオン)を光照射によって発生させることができ、これには一連の化学反応が関与している。こうした一連の化学反応は水素がより多数の水素イオンや他の酸性種を発生させて、それによって反応速度を増大させるような反応を開始した場合に起きる。典型的な酸触媒化学増幅フォトレジスト・システムの例にはデプロテクション(例えば、米国特許第4,491,628号に述べられているようなt−ブトキシカルボニロキシスチレン・レジスト、米国特許第3,779,778号に述べられているようなトトラハイドロピラン(THP)メタクリレート系物質、THP−フェノール性物質、そしてP.D.Allen等によってProc.SPIE,2438,474(1995)に述べられているようなt−ブチル・メタクリレート系物質など);脱重合化(例えば、ポリフタルアルデヒド系物質);そして再構成(例えば、ピナコール再構成に基づく物質)などがある。
【0076】
有益な非硬化性種としては、ロイコ染料などもあり、これは多光子光増感剤系によって発生される酸によって酸化されるまでは無色のままであり、酸化されると目に見えるような色を示す傾向がある。(酸化された染料は電磁スペクトルの可視部分(約400〜700nm)の光が吸収されるので発色する)。本発明において有益なロイコ染料は通常の酸化条件下で反応性を示し、酸化可能であるが、通常の環境条件の下ではそれほど反応性を示さず、酸化しないようなものである。そうした化学的タイプのロイコ染料は画像形成関係の化学者に多数知られている。
【0077】
本発明で有用なロイコ染料にはアクリレート化ロイコ・アジン、フェノキサジン、フェノチアジンなどがあり、これらは、部分的に
【化2】
の式で示すことができ、この式で、Xは、O、S、及び−N−R11からなる群から選択され、Sが好ましく、R1とR2はそれぞれHと炭素原子が1−4個程度のアルキル基から選択され、好ましくはメチルであり;R5は炭素原子が1−約16のアルキル基、炭素原子が1−約16個のアルキル基、そして炭素原子が最大16個までのアリル基であり;R8は−N(R1)(R2)、H、炭素原子が1〜約4のアルキル基(R1とR2は上に述べたように選択、定義されるものとする);R9とR10はHと炭素原子数が1〜約4のアルキル基からそれぞれ選択され;そして、R11は炭素原子数が1〜約4のアルキル基と炭素原子数が最大11個までのアリル基から選択される(好ましくはフェニル基)。以下の化合物はこのタイプのロイコ染料の例である。
【化3】
【0078】
他の有用なロイコ染料には、Leuco Crystal Violet(4,4’,4’’−メチリジネトリス−(N,N−ジメシルアニリン)、Leuco Malachite Green(p,p’−ベンジルイデネビス−(N,N−ジメチルジアミン))、以下の構造を有するLeuco Atacryl Orange−LGM(色インデックスBasic Orange 21,Comp.No.48035(フィッシャー塩基タイプ化合物))、
【化4】
以下の構造を有するLeuco Atacryl Brillant Red−4G(Color Index Basic Red 14)
【化5】
以下の構造を有するLeuco Atacryl Yellow−R(Color Index Basic Yellow 11,Comp.No.48055)
【化6】
Leuc Ethyl Violet(4,4’,4’’−メチルイジネトリス−(N,N−ジエチルアニリン)、Leuco Victoria Blue−BGO(Color Index Basic Blue728a,Comp. No.44040;4,4’−メチルイジネビス−(N,N−ジエチルアニリン)−4−(N−エチル−1−ナフタルアミン)、及びLeuco Atlantic Fuchsime Crude(4,4’,4’’−メチルイジネトリス−アニリン)がある。
【0079】
ロイコ染料は通常は光感作層の総重量に対して重量で少なくとも約0.01重量%(好ましくは、少なくとも約0,3重量%、より好ましくは少なくとも約1重量%、そして最も好ましくは、少なくとも約2〜10重量%)のレベルで存在していてよい。結合剤、安定剤、表面活性剤、静電気防止剤、コーティング剤、潤滑剤、充填剤なども前記光感作層に存在していてもよい。当業者であれば添加剤の望ましい量は容易に分かるであろう。例えば、充填剤の量は書き込み波長に望ましくない散乱が起きないように選択される。
【0080】
望ましいのであれば、異なったタイプの反応種の混合物を光反応性組成物で用いることもできる。例えば、遊離ラジカル−反応種と陽イオン反応種の混合物、硬化可能種と非硬化種の混合物なども有益である。
【0081】
光反応開始剤系
(1)多光子光増感剤
光反応性組成物の多光子光反応開始剤系での使用に適した多光子光増感剤は十分な光に露光された場合に少なくとも2つの光子を同時に吸収することができるものである。好ましくは、それらはフルオレセインのものより大きな2光子吸収断面(つまり、3’,6’−ジヒドロキシスピロ[イソベンゼンフラン−1(3H),9’−[9H]キサンテン]3−oneのそれより大きな吸収断面)を有している。一般的に、この断面はC.Xu及びW.W.Webb in J.Opt.Soc.Am.B,13,481(1996)(これは国際公報第WO98/21521号の85頁、18〜22行によってMarder and Perry等によっても引用されている)に述べられている方法で測定した場合、約50×10−50cm4秒/光子以上であってもよい。
【0082】
この方法はその光増感剤の2光子フルオレセイン強度の基準化合物の強度との(同じ励起強度及び光反応開始剤濃度条件下での)比較ステップを含んでいる。基準化合物は光反応開始剤吸収及び蛍光によってカバーされるスペクトル範囲にできるだけ適合するように選択することができる。1つの可能な実験的設定において、励起ビームを励起強度の50%が光増感剤に入り、残りの50%が基準物質に入るように2つのアームに分割することができる。そして前記光増感剤の基準化合物に対する相対蛍光強度は、2つの光倍増管チューブあるいはその他の較正済み検出装置で測定することができる。最後に、両方の化合物の蛍光量子効率を1光子励起状況で測定することができる。
【0083】
蛍光及び燐光量子イールドを判定するための方法はこの技術分野ではよく知られている。一般的には問題の化合物の蛍光(あるいは燐光)スペクトル下の領域を周知の蛍光(あるいは燐光)量子イールドを有する標準的発光化合物の蛍光(または燐光)スペクトル下で比較し、そして、(例えば、励起波長でのその組成物の最適密度、蛍光検出装置の形状、放射波長の差、そして前記検出装置の異なった波長への応答を考慮に入れた)適切な訂正が行われる。標準的な方法は、例えば、Handbook of Fluorescence Spectra of Aromatic Molecules, Second Edition,page24〜27,Academic Press,New York(1971)の中でI.B.Berlmanによって、J.Phys.Chem.,75,991〜1024(1971)でJ.N.Demas and G.A.Crosbyによって;そしてJ.Phys.Chem.,80,969〜974(1976)おいてJ.V.Morris,M.A,Mahoneyによって、述べられている。
【0084】
放射状態が1又は2光子励起の下で同じであると仮定して(共通の仮定)、光増感剤の2光子断面(δsam)はδrefK(Isam/Iref)(φsam/φref)と等しく、ここでδrefは基準化合物の2光子吸収断面であり、Isamは光増感剤の蛍光強度であり、Irefは基準化合物の蛍光強度であり、φsamは光増感剤の蛍光量子効率であり、φrefは基準物質の蛍光量子効率であり、そしてKは光経路と2つの検出装置の応答のわずかな違いに対応するための補正係数である。Kはサンプル及び基準アームの両方で同じ光増感剤に対する応答を測定することで判定できる。有効な測定を行うためには、励起力に対する2光子蛍光強度の明らかな二次関数的依存を確認することができ、光増感剤と基準化合物の両方の比較的低い濃度を(蛍光再吸収し光増感剤凝集効果を避けるために)用いることができる。
【0085】
その光増感剤が蛍光性にものでなければ、電子的励起状態のイールド(yield)を測定して周知の標準と比較することができる。蛍光イールドを判定する上に述べた方法に加えて、励起状態イールドを測定する種々の方法が知られている(例えば、一過性吸収、燐光イールド、光化学反応物生成あるいは光増感剤の(光反応からの)消失など)。
【0086】
好ましくは、光増感剤の2光子吸収断面はフルオレシンの約1.5倍以上(言い換えると、前記の方法で測定して約75×10−50cm4秒/光子以上)、そしてより好ましくはフルオレシンの約2倍以上(言い換えると、前記の方法で測定して約100×10−50cm4秒/光子以上)、最も好ましくはフルオレシンの約3倍以上(言い換えると、前記の方法で測定して約150×10−50cm4秒/光子以上)、任意には、フルオレシンの約4倍以上(言い換えると、前記の方法で測定して約200×10−50cm4秒/光子以上)である。
【0087】
好ましくは、前記光増感剤は反応種に(その反応種が液体であれば)可溶性であり、反応種およびその組成物に含まれているいずれの(以下に述べるような)結合剤とも共存可能である。最も好ましくは、この光増感剤は米国特許第3,729,313号で述べられているテスト手順を用いて、その非ハブの単一光子吸収スペクトルに重なり合う波長範囲(単一光子吸収条件)で連続的に照射することで2−メチル−4,6−bis(トリクロロメチル)−s−トリアジンを感光性にすることができる。現在利用できる素材を用いて、このテストは以下のように実行することができる。
【0088】
以下の組成:つまり、(単位体積あたり)5(重量)%溶液を45,000〜55,000分子重量のメタノールに溶かしたもの5.0部、9.0〜13.0%ヒドロキシル含有ポリビニル・ブチラル(ButvarTMB76、Monsanto)、0.3部のトリメチロルプロパン;及び0.03部の2−メチル−4,6−bis(トリクロロメチル)−s−トリアジン(Bull.Chem.Soc.Japan,42,2924〜2930(1969)参照)の組成を有する標準テスト溶液を調製する。この溶液に、0.01部のテストされる化合物を光増感剤として加える。得られた溶液を0.05mmのナイフ・オリフィスを用いて0.05mmの清潔なポリエステル・フィルム上にナイフ・コーティングし、その被膜を30分間程度空気乾燥する。0.05mmの透明なポリエステル・カバー・フィルムを乾燥しているが柔からで粘着性の被覆上にできるだけ空気を閉じ込めないように注意しながら被せる。得られたサンドイッチ構造を可視光線と紫外線の両方の領域で光を提供するタングステン光源(FCHTM 650ワット・クオーツ・ヨード・ランプ、General Electric)からの光に161,000Luxの入射光に3分間露光させる。露光はステンシルを介して行い、前記構造に露光された領域と露光されない領域を作り出すことができる。露光語、フィルムを取り外し、そして被覆を通常静電写真法で使われるようなカラー・トナー粉末などの細かに分割された色付き粉末で処理する。テストされる物質が光増感剤であれば、トリメチロルプロパン・トリメタクリレート・モノマーが2−メチル−4,6−bis(トリクロロメチル)−s−トリアジンからの光発生遊離ラジカルによって露光領域内でポリマー化される。ポリマー化された領域は基本的にはねばつきがなく、色付き粉末は選択的に、基本的にはその被覆のねばついた非露光領域だけに接着して、その型板に対応した目で見える画像を形成する。
【0089】
好ましくは、光増感剤は一部には保存安定性を考慮に入れて選択することもできる。従って、特定の光増感剤の選択はある程度用いられる特定の反応種(及び電子供与体化合物及び/又は光反応開始剤の選択)にかかっている。
【0090】
特に好ましい多光子光増感剤には、Rhodamine B(つまり、N−[9−(2−カルボキシフェニル)−6−(ジチルアミノ)−3H−キサンタン−3−イリデン]−N−エチルエタンアミニウム・クロライド、及びRhordamineBのヘキサフルオロアツモネート塩)及び、例えば、国際特許公報WO98/21521及びWO99/53242でMarderとPerry等によって開示されているような4つの種類の光増感剤など、大きな多光子吸収断面を示すものなどである。これら4つの種類は以下の通りである。(a)2つのドナーが接合π(pi)電子ブリッジに接続されている分子、(b)2つのドナーが1つ以上の電子受容基によって置換されている接合π(pi)電子ブリッジに接続されている分子、(c)2つの受容体が接合π(pi)電子ブリッジに接続されている分子、そして(d)2つの受容体が1つ以上の電子受容基によって置換されている接合π(pi)電子ブリッジに接続されている分子。(ここで、『ブリッジ』とは2つ以上の化学基を接続する分子フラグメント、『ドナー』は接合π(pi)電子ブリッジn結合することができる低イオン化ポテンシャルを有する原始あるいは基を、そして『受容体』とは接合π(pi)電子ブリッジに結合することができる高電子親和性を有する原子または基をそれぞれ意味している)。
【0091】
かかる光増感剤の代表的な例としては、下記式が挙げられる。
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【0092】
上に述べた4つのタイプの光増感剤は標準的なWittig条件下でアルデヒドをイリドに反応させるか、あるいは国際特許No.WO98/21521に詳述されているようにMcMurray反応を用いて調製することができる。
【0093】
他の化合物はReinhardt等によって(例えば、国際特許第6,100,405、5,859,251及び5,770,737で)大きな多光子吸収断面を有するものと述べられているが、これらの断面は上に述べたのとは別の方法で測定されたものである。相した化合物の代表的な例は以下の通りである。
【化12】
【化13】
【0094】
本発明において光増感剤として利用できる可能性がある他の化合物は、フルオレシン、p−bis(o−メチルスチリル)ベンゼン、エオシン、ローズ・ベンガル、エリスロシン、クマリン307(Eastman Kodak)、Cascade Blue ヒドラジン塩、Luccifer Yellow CHアンモニウム塩、4,4−ジフルオロ−1,3,5,7,8−ペンタメチル−4−ボラ−3α、4α−ジアザインデセン−2,6−ジスルホン酸塩、1,1−ジオクタルデシル−3,3,3’,3’−テトラメチルインドカルボシアニン、インド−1ペンタカリウム塩(Molecular Probes)、5−ジエチルアミノナフタレン−1−スルホニル・ヒドラジン、4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドル・ジヒドロクロライド、5,7−ジヨード−3−ブトキシ−6−フルオロン、9−フルオロン−2−カルボン酸、そして以下の構造を有する化合物である。
【化14】
【化15】
【化16】
【0095】
(2)電子供与体化合物
光反応性組成物の多光子光反応開始剤系内で有用な電子供与体化合物は(その光増感剤自体を除いて)前記光増感剤の電子励起状態に電子を提供できる化合物である。これらの電子供与体化合物は好ましくはゼロよりか大きく、標準飽和カロメル電極に対するp−ジメトキシベンゼンのそれ以下である酸化ポテンシャルを有している。好ましくは、酸化ポテンシャルは標準飽和カロメル電極(SCE)を基準として約0.3〜1ボルトの間である。
【0096】
電子供与体化合物はさらに反応種内に可溶性であることが好ましく、一部には(上に述べたような)保存安定性を考慮に入れて選択される。適切なドナーは通常望ましい波長の光に露光されると、(硬化などの)反応速度あるいは画像密度を増大させることができる。
【0097】
陽イオン反応種を用いて作業する場合、当業者は、電子供与体化合物は、かなりの塩基性を有している場合は陽イオン性反応に対して悪影響を及ぼす場合があることを認識するであろう。(例えば、米国特許第6,025,406号(Oxman等)、欄7、行62から欄8、行49参照)。
【0098】
一般的に、特定の光増感剤及び光反応開始剤と共に使用するのに適した電子供与体化合物は(例えば、米国特許第4,859,572号(Farid等)に述べられているように)それら3つの構成部分の酸化還元ポテンシャルを比較することで選択される。こうしたポテンシャルは(例えば、R.J.Cox,Photographic Sensitivity,Chapter15,Academic Press(1973)に述べられている方法で)実験的に測定することができ、あるいはN.L.Weinburg,Ed.,Technique of Electroorganic Synthesis part II Techniques of Chemistry,Vol.V(1975)、及びC.K,Mann and K.K.Barnes,Electronchemical reactions in Noaqueous Systems(1970)などの参考文献にも示されている。このポテンシャルは相対的エネルギー関係を反映しており、そして以下の方法で電子供与体化合物選択に適用することができる。
【0099】
光増感剤が電子的励起状態にある場合、その光増感剤の最高占有分子軌道(HOMO)はより高いエネルギー・レベル(つまり、その光増感剤の最低非占有分子軌道(LUMO))に上昇しており、それが最初に占有していた分子軌道内に空隙が残されている。光反応開始剤はより高いエネルギー軌道から電子を受け取り、そして、特定の相対的エネルギー関係が満たされると、その電子供与体化合物は電子を提供して最初の占有軌道の空隙を満たす。
【0100】
その光反応開始剤の還元ポテンシャルが光増感剤と比較してよりネガティブ(あるいはよりポジティブ)である場合、これは発熱プロセスであるから、その光増感剤のより高いエネルギー軌道内の電子はその光増感剤からその光反応開始剤の最低非占有分子軌道(LUMO)に移る。そのプロセスが多少球熱性であれば(つまり、その光増感剤の還元ポテンシャルが光反応開始剤のそれと比較して最大0.1ボルトよりネガティブであっても)、周辺の熱活性がそうした小さなバリアを易々と乗り越えてしまう。
【0101】
同様の方法で、電子供与体化合物の酸化ポテンシャルが光反応開始剤のそれと比較してポジティブではない場合(あるいはよりネガティブであれば)、土でかのHOMOから光増感剤の軌道空隙に移動する電子はより高い電位からより低い電位に移動しているのであって、これも発熱性プロセスを示している。このプロセスが多少吸熱性であっても(つまり、その光増感剤の酸化ポテンシャルが電子供与体化合物のそれより最大0.1ボルトよりポジティブであっても)、周辺熱活性化がそうした小さなバリアを容易に克服してしまう。
【0102】
光増感剤の還元ポテンシャルが光反応開始剤のそれと比較して最大0.1ボルトよりネガティブであれば、あるいは光増感剤の酸化ポテンシャルがその電子供与体化合物のそれと比較して0.1ボルトよりポジティブである軽度の吸熱性反応は、光反応開始剤と電子供与体化合物のどちらが最初にその励起状態にある光増感剤と反応するかには関係なく、どの瞬間にでも起きる。光反応開始剤あるいは電子供与体化合物がその励起状態にある光増感剤と反応している場合、その反応は発熱性であるか、多少の吸熱性であることが好ましい。光反応開始剤か電子供与体化合物が光増感剤イオン・ラジカルと反応している場合も発熱性反応が望ましいが、それでもより吸熱性の反応が多くの瞬間に起きることが予想される。従って、光反応開始剤の還元ポテンシャルは二番目に反応する光反応開始剤のそれと比較して最大0.2ボルト(あるいはそれ以上)よりネガティブであってよいし、あるいは光増感剤の酸化ポテンシャルが二番目に反応する電子供与体化合物のそれと比較して最大0.2ボルト(あるいはそれ以上)ポジティブであってもよい。
【0103】
適切な電子供与体化合物には、例えば、D.F.FatonがAdvances in Photochemistory,edited by B.Voman et al.,Volume13,pp.427〜488,John Wiley and Sons,New York(1986)で、あるいはOxmann等が米国特許第6,025,406号の欄7、行42〜61で、そしてPalazzotto等が米国特許第5,545,676号の欄4、行14から欄5、行18に述べているようなものがある。そうした電子供与体化合物は(トリエタノールアミン、ヒドラジン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、トリフェノールアミン(及びそのトリフェニルホスフィン及びトリフェニルアルシン類似物など、アミノアルデヒド、そしてアミノシランなどを含む)アミン類、(ホスホルアミドを含む)アミド類、(チオエーテルを含む)エーテル類、硫酸及びその塩、フェノシアニドの塩、アスコルピン酸とその塩、キサンタンの塩、エチレン・ジアミン・四酢酸、(アルキル)n(アリル)nホウ酸塩(n+m=4)(好ましくはテトラアルキスアンモニウム塩)、SnR4化合物(各Rはアルキル、アラルキル(特にベンジル)、アリル、そしてアルカリル基からなる群からそれぞれ選択される)種々の有機金属化合物(例えば、n−C3H7Sn(CH3)3、(アリル)Sn(CH3)3、及び(ベンジル)Sn(n−C3H7)3などの化合物)、フェロシンなど、及びそれらの混合物である。電子供与体化合物は未置換でもよいし、1つ以上の非干渉性置換基で置換されていてもよい。特に好ましい電子供与体化合物は(窒素、酸素、リン、及び硫黄原子などの)電子ドナー原子とその電子ドナー原子に加えて炭素又はケイ素原子に結合した抽出可能な水素原子を含んでいる。
【0104】
好ましいアミン系電子供与体化合物にはアルキル−、アリル−、アルカリル−、及びアラルキル−アミン(例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、トリエタノールアミン、アミルアミン、2,4−ジメチルアニリン、2,3−ジメチルアニリン、o−、m−、及びp−トルイジン、ベンジルアミン、アミノピリジン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチルジアミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、N,N’−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、N,N’−ジエチル−2−ブテン−1,4−ジアミン、N,N’−ジメチル−1,6−ヘキサンジアミン、ピペラジン、4,4’−トリメチレンジピペラジン、4,4’−エチレンジピペラジン、p−N,N−ジメチル−アミノフェンタノル、及びp−N,N−ジメチルアミノベンゾニトリル);アミノアルデヒド(例えば、p−N,N−ジメチルアミノベンズアルデヒド、p−N,N−ジエチルアミノベンズアルデヒド、9−ジュロリジン、及び4−モルフォインベンズアルデヒド);そしてアミノシラン(例えば、トリエチルシリルモルフォリン、トリメチルシリルピペリジン、bis(ジメチルアミノ)ジフェニルシラン、tris(ジメチルアミノ)メチルシラン、N,N−ジエチルアミノトリメチルシラン、tris(ジメチルアミノ)フェニルシラン、tris(メチルシリル)アミン、bis(ジメチルシリル)アミン、N,N−bis(ジメチルシリル)アニリン、N−フェニル−N−ジメチルシリルアニリン、及びN,N−ジメチル−N−ジメチルシリルアミン);及びそれらの混合物である。三級芳香性アルキルアミン、特に少なくとも1つの電子引き出し基を芳香管上に有しているものが特に優れた保存安定性を有していることが分かっている。優れた保存安定性は室温で個体であるアミンを用いても得ることができる。優れた写真速度は1つ以上のジュロジニル構成部分を含むアミンを用いて得られた。
【0105】
好ましいアミン系電子供与体化合物にはN,N−ジメチルアセトアミン、N,N−ジエチルアセトアミン、N−メチル−N−フェニルアセトアミン、ヘキサメチルホスホルアミン、ヘキサエチルホスホルアミン、ヘキサプロピルホスホルアミン、酸化トリモルホリンホスフィン、酸化トリピペラジノホスフィン、及びそれらの混合物である。
【0106】
好ましいアルキルアリルボレート塩には以下のものがある。
Ar3B−(n−C4H9)N+(C2H5)4
Ar3B−(n−C4H9)N+(CH3)4
Ar3B−(n−C4H9)N+(n−C4H9)4
Ar3B−(n−C4H9)Li+
Ar3B−(n−C4H9)N+(C6H13)4
Ar3B−(C4H9)N+(CH3)3(CH2)2CO2(CH2)CH3
Ar3B−(C4H9)N+(CH3)3(CH2)2OCO(CH2)2CH3
Ar3B−(sec−C4H9)N+(CH3)3(CH2)2CO2(CH2)CH3
Ar3B−(sec−C4H9)N+(C6H13)4
Ar3B−(C4H9)N+(C8H17)4
Ar3B−(C4H9)N+(CH3)4
(p−CH3O−C6H4)3B−(n−C4H9)N+(n−C4H9)4
Ar3B−(C4H9)N+(CH3)3(CH2)2OH
ArB−(n−C4H9)3N+(CH3)4
ArB−(C2H5)3N+(CH3)4
Ar2B−(n−C4H9)2N+(CH3)4
Ar3B−(C4H9)N+(C4H9)4
Ar4B−N+(C4H9)4
ArB−(CH3)3N+(CH3)4
(n−C4H9)4B−N+(CH3)4
Ar3B−(C4H9)P+(C4H9)4
(ここで、Arはフェニル、ナフチル、置換(好ましくはフルオロ置換)フェニル、置換ナフチル、及びより多くの融合芳香環を有する同様の基)、及びテトラメチルアンモニウムn−ブチルトリフェニルボレート及びテトラブチルアンモニウムn−ヘキシル−tris(3−フルオロフェニル)ボレート(Ciba Specialty Chemicals CorporationからCGI 437及びCGI 746として市販)、及びそれらの混合物である。
【0107】
適切なエーテル電子供与体化合物は4,4’−ジメトキシビフェニル、1,2,4−トリエトキシベンゼン、1,2,4,5−テトラメトキシベンゼンなど、及びそれらの混合物である。適切な尿素電子供与体化合物はN,N’−ジメチルウレア、N,N−ジメチルウレア、N,N’−ジフェニルウレア、テトラメチルチオウレア、テトラエチルチオウレア、テトラ−n−ブチルチオウレア、N,N−ジ−n−ブチルチオウレア、N,N’−ジ−n−ブチルチオウレア、N,N−ジフェニルチオウレア、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジエチルチオウレアなど、及びそれらの混合物である。
【0108】
遊離ラジカル誘発反応のための好ましい電子供与体化合物は1つ以上のジュロリジニル構成部分、アルキルボレート塩、及び芳香性硫酸塩を含むアミンなどである。しかしながら、そうした反応のためには、望ましければ(例えば、光反応性組成物の保存安定性を改善したり、あるいは解像度、コントラスト、そしてレシプロシティを修正するなど)、こうした電子供与体化合物を使用しなくてもよい場合もある。酸誘発反応のための好ましい電子供与体化合物には4−ジメチルアミノ安息香酸、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、3−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノベンゾイン、4−ジメチルアミノベンズアルデヒド、4−ジメチルアミノベンゾニトリル、4−ジメチルアミノフェネチル・アルコール、及び1,2,4−トリメトキシベンゼンなどである。
【0109】
(3)光反応開始剤
光反応性組成物の反応種の適切な光反応開始剤は電子励起状態にある他行し光増感剤からの電子を受け入れることで感光性にすることができ、少なくとも遊離ラジカル及び/又は酸の形成をもたらす。こうした光反応開始剤には、ヨードニウム塩(例えば、ジアリルヨードニウム塩)、クロロメチレート化トリアジン(例えば、2−メチル−4,6−bis(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4,6−tris(トリクロロメチル)−s−トリアジン、及び2−アリル−4,6−bis(トリクロロメチル)−s−トリアジン)、ジアゾニウム塩(例えば、任意にアルキル、アルコキシ、ハロ、又はニトロなどの基によって置換されたフェニルジアゾニウム塩)、スルホニウム塩(例えば、任意にアルキル又はアルコキシ基、そして任意に隣接アリル構成部分に架橋している2,2’−オキシ基トリアリルスルホニウム塩で置換されたトリアリルスルホニウム)、アジニウム塩(例えば、N−アルコキシピリジニウム)、そしてトリアリルイミダゾリル・ダイマー(好ましくは、任意にアルキル、アルコキシ、又はハロによって置換された2,2’,4,4’,5,5’−テトラフェニル−1’1’−ビイミダゾルなどの2,4,5−トリフェニルイミダゾイル・ダイマー)など、及びそれらの混合物である。
【0110】
光反応開始剤は好ましくは反応種に対して可溶性であり、好ましくは保存時の安定性も優れている(つまり、光増感剤と電子供与体化合物の存在下で溶解された場合に反応種の反応を自発的に促進しない)。従って、特定の光反応開始剤の選択はある程度その特定の反応種、光増感剤、及び上に述べたような電子供与体化合物に依存している。好ましい光反応開始剤はPCT特許出願WO98/21521及びWO995/3242においてMarder,Perry等によって、さらにPCT特許出願WO99/54784においてGoodman等によって述べられているような大きな多光子吸収断面を有しているものである。
【0111】
適切なヨードニウム塩には米国特許第5,545,676号の欄2、行28〜46でPalazzoto等によって述べられているようなものがある。適切なヨードニウム塩は米国特許第3,729,313号、同第3,741,769号、同第3,808,006号、同第4,250,053号及び同第4,394,403号に述べられている。ヨードニウム塩は単純な塩(例えば、Cl−、Br−、I−、又はC4H5SO3 −)あるいは金属複合体塩(例えば、SbF6 −、PF6 −、BF4 −、テトラキス(ペルフルオロフェニル)ボレート、SbF5OH−あるいはAsF6 −)である。ヨードニウム塩の混合物も必要があれば用いることができる。
【0112】
有益な芳香性ヨードニウム錯体塩光反応開始剤の例としては、ジフェニルヨードニウム・テトラフルオロボレート;ジ(4−メチルフェニル)ヨードニウム・テトラフルオロボレート;フェニル−4−メチルフェニルヨードニウム・トトラフルオロボレート;ジ(4−ヘプチルフェニル)ヨードニウム・テトラフルオロボレート;ジ(3−ニトロフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート;ジ(4−クロロフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート;ジ(ナフチル)ヨードニウム・テトラフルオロボレート、ジ(4−トリフルオロメチルフェニル)ヨードニウム・テトラフルオロボレート;ジフェニルヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート;ジ(4−メチルフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート;ジフェニルヨードニウム・ヘキサフルオロアルセネート;ジ(4−フェノキシフェニル)ヨードニウム・テトラフルオロボレート;フェニル−2−チオニルヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート;3,5−ジメチルピラゾリル−4−フェニルヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート;ジフェニルヨードニウム・ヘキサフルオロアンチモネート;2,2’−ジフェニルヨードニウム・テトラフルオロボレート;ジ(2,4−ジクロロフェニル)ヨニ・ヘキサフルオロホスフェート;ジ(4−ブロモフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート;ジ(4−メトキシフェニル)ヨニ・ヘキサフルオロホスフェート;ジ(3−カルボキシフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート;ジ(3−オキシカルボニルフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート;ジ(3−メトキシスルホニルフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート;ジ(4−アセトアミドフェニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート;ジ(2−ベンゾチエニル)ヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート;及びジフェニルヨードニウム・ヘキサフルオロアンチモネートなど、及びそれらの混合物である。芳香性ヨードニウム錯体塩はBeringeret.al.,J.Am.Chem.Soc.,81,342(1959)に従って(例えば、ジフェニルヨードニウム・ビスルフェート)の転換によって調製することができる。
【0113】
好ましいヨードニウム塩はジフェニルヨードニウム(塩化ジフェニルヨードニウム、ジフェニルヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート、及びジフェニルヨードニウム・テトラフルオロボレート)、ジアリルヨードニウム・ヘキサフルオロホアンチモネート(例えば、Sartometer Companyから市販されているSarCatTMSR 1012)、及びそれらの混合物である。
【0114】
有益なジクロロメチル化トリアジンには米国特許第3,779,778号(Smith等)、欄8、行45〜50に述べられているものがあり、それには2,4−bis(トリクロロメチル)−6−メチル−s−トリアジン、2,4,6−tris(トリクロロエチル)−s−トリアジン、そして米国特許第3,987,037号及び同第3,954,475号(Bonham等)に開示されているより好ましいクロモルホア置換ビニルハロメチル−s−トラジンなどである。
【0115】
有益なジアゾニウム塩には米国特許第4,394,433号(gatzkeら)に述べられているものなどがあり、それには外部ジアゾニウム基(−N+=N)及び陰イオンを有する感光芳香性構成部分を含んでいるもの(例えば、塩素、トリ−イソプロピル・ナフタレン・スルホネート、テトラフルオロボレート、及びbis(ペルフルオロアルキルスルホニル)メチドなど)などである。有益なジアゾニウムの例には1−ジアゾ−4−アニリロベンゼン、N−(4−ジアゾ−2,4−ジメトキシフェニル)ピロリンジン、1−ジアゾ−2,4−ジエトキシ−4−モルホリノ・ベンゼン、1−ジアゾ−4−ベンゾイル・アミノ−2,5−ジエトキシ・ベンゼン、4−ジアゾ−2,5−ジブトキシ・フェニル・モルホリノ、4−ジアゾ−1−ジメチルアニリン、1−ジアゾ−N,N−ジメチルアニリン、1−ジアゾ−4−N−メチル−N−ヒドロキシエチル・アニリンなどである。
【0116】
有効なスルホニウム塩は米国特許第4,250,053号(Smith)、欄1、行66から欄4、行2に述べられており、以下の式:
【化17】
で示されるもの、R1、R2、及びR3はそれぞれ炭素原子数が約4〜約20炭素原子の芳香基(例えば、置換あるいは未置換フェニル、ナフチル、チエニル、及びフラニルなどで、置換基はアルコキシ、アルキルチオ、アリルチオ、ハロゲンなどである)及び炭素原子数が1から約20のアルキル基からなる群から選択されるものである。ここで述べられている『アルキル』とは置換アルキル(例えば、ハロゲン、アルコキシ、又はアリルで置換されたもの)などである。R1、R2、及びR3の少なくとも1つは芳香性であり、そして、好ましくはそれぞれが独立して芳香性である。Zは共有結合、酸素、硫黄、−S(=O)−、−C(=O)−、−(O=)S(=O)−、及び−N(R)−であり、Rは(フェニルなど炭素数が約6〜20の)アリル、(アセチル、ベンゾイルなど炭素数が約2〜約20の)アリル、炭素−炭素結合、あるいは−(R4−)C(−R5)−であり、R4とR5は水素、炭素数が1〜約4のアルキル基、炭素数が約2〜約4のアルケニル基からなる群からそれぞれ選択され、X−は以下に述べると通りである。
【0117】
スルホニウム(及びその他のタイプの光反応開始剤)のための適切な陰イオン、X−には、例えば、イミド、メチド、ボロン、燐、アンチモン、砒素、及びアルミニウムを中心とする陽イオンなど種々の陰イオンが含まれる。
【0118】
適切なイミド及びメチド陰イオンは(C2F5SO2)2N−、(C4F9SO2)2N−、(C8F17SO2)3C−、(CF3SO2)3C−、(CF3SO2)2N−、(C4F9SO2)3C−、(CF3SO2)2(C4F9SO2)C−、(CF3SO2)(C4F9SO2)2N−、((CF3)2NC2F4SO2)2N−、(CF3)2NC2F4SO2C−(SO2CF3)2、(3,5−bis(CF3)C6H3)SO2N−SO2CF3、C6H5SO2C−(SO2CF3)2,C6H5SO2N−SO2CF3などである。このタイプの陰には(RfSO2)3C−で示されるものがあり、ここでRfは炭素原子数が1〜約4のペルフルオロアルキル・ラジカルである。
【0119】
適切なボロン中心陰イオンとしては、F4B−、(3,5−bis(CF3)C6H3)4B−、(C6F5)4B−、(p−CF3C6H4)4B−、(m−CF3C6H4)4B−、(p−FC6H4)4B−、(C6F5)3(CH3)B−、(C6F5)3(n−C4H9)B−、(p−CH3C6H4)3(C6F5)B−、(C6F5)3FB−、(C6H5)3(C6F5)B−、(CH3)2(p−CF3C6H4)2B−、(C6F5)3(n−C18H37O)B−などである。好ましいボロン中心陰イオンは通常3つ以上のハロゲン置換芳香性炭化水素ラジカルがボロンに取り付けられており、最も好ましいハロゲンはフッ素である。好ましい陰イオンは、(3,5−bis(CF3)C6H3)4B−、(C6F5)4B−、(C6F5)3(n−C6H9)B−、(C6F5)3FB−及び(C6F5)3(CH3)B−などである。
【0120】
他の金属を含有する適切な陰イオンは、例えば、(3,5−bis(CF3)C6H3)4Al−、(C6F5)4Al−、(C6F5)2F4P−、(C6F5)F5P−、F6P−、(C6F5)F5Sb−、F6Sb−、(HO)F5Sb−、及びF6As−。上に述べたリストはすべてを挙げつくしたものではなく、他の有益なホウ素中心非求核塩類、及びその他の金属や非金属を含んだ有益な陰イオンも(上に示した一般式から)当業者には明らかであろう。
【0121】
好ましくは、陰イオンX−はテトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、及びヒドロキシペンタフルオロアンチモネートからなる群から(例えば、エポキシ樹脂などの陽イオン反応種と共に使用するために)選ばれる。
【0122】
適切なスルホニウム塩光反応開始剤としては:
トリフェニルスルホニウム、
メチルジフェニルスルホニウム・テトラフルオロボレート
ジメチルフェニルスルホニウム・ヘキサフルオロホスフェート
トリフェニルスルホニウム・ヘキサフルオロホスフェート
トリフェニルスルホニウム・ヘキサフルオロアンチモネート
ジフェニルナフチルスルホニウム・ヘキサフルオロアルセネート
トリトルスルホニウム・ヘキサフルオロホスフェート
アニシルジフェニルスルホニウム・ヘキサフルオロアンチモネート
4−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム・テトラフルオロボレート
4−クロロフェニルジフェニルスルホニウム・ヘキサフルオロホスフェート
トリ(4−フェノキシフェニル)スルホニウム・ヘキサフルオロホスフェート
ジ(4−エトキシフェニル)メチルスルホニウム・ヘキサフルオロアルセネート
4−アセトニルフェニルジフェニルスルホニウム・テトラフルオロボレート
4−チオメトキシフェニルジフェニルスルホニウム・ヘキサフルオロホスフェート
ジ(メトキシスルホニルフェニル)メチルスルホニウム・ヘキサフルオロアンチモネート、
ジ(ニトロフェニル)フェニルスルホニウム・ヘキサフルオロアンチモネート
ジ(カルボメトキシフェニル)メチルスルホニウム・ヘキサフルオロホスフェート、
4−アセタミドフェニルジフェニルスルホニウム・テトラフルオロボレート、 ジメチルナフチルスルホニウム・ヘキサフルオロホスフェート、
トリフルオロメチルジフェニルスルホニウム・テトラフルオロボレート、
p−(フェニルチオフェニル)ジフェニルニルスルホニウム・ヘキサフルオロアンチモネート
10−メチルフェノキサアシイニウム・ヘキサフルオロホスフェート
5−メチルチアントレニウム・ヘキサフルオロホスフェート
10−フェニル−9,9−ジメチルチオキサン・ヘキサフルオロホスフェート
10−フェニル−9−オキソチオキサンテニウム・テトラフルオロボレート
5−メチル−10−オキソチアントレニウム・テトラフルオロボレート
5−メチル−10,10−ジオキソチアントレニウム・ヘキサフルオロホスフェート
などである。
【0123】
好ましいスルホニウム塩はトリアリルスルホニウム・ヘキサフルオロアンチモネート(例えば、Sartomer Companyから市販されているSarCatTMSR1011)、トリアリルスルホニウム・ヘキサフルオロホスフェート(例えば、Sartomer Companyから市販されているSarCatTM SR1011)、そしてトリアリルスルホニウム・ヘキサフルオロアンチモニウム(例えば、Sartomer Companyから市販されているSarCatTMK185)などのトリアリル置換基である。
【0124】
有用なアジニウム塩には、米国特許第4,859,572号(Fraid等)、欄8、行51〜欄9、行46に開示されているものなどがあり、それにはピリジニウム、ジアジニウム、あるいはトリアジニウム構成部分などである。アジニウム構成部分は1つ以上の芳香環、通常は炭素環式芳香環(例えば、キノリニウム、イソキノリリウム、ベンソジアジニウム、及びナフトジアゾニウム構成部分)を含んでおり、アジニウム環と融合されている。アジニウム環内の窒素原子の四元化置換基が電子的に励起された状態の光増感剤のアジニウム光反応開始剤への電子移送が起きると遊離ラジカルとして放出される。1つの好ましい形態で、前記四元化置換基はオキシ置換基である。アジニウムの環窒素原子を四元化するオキシ置換基、−O、−Tは種々の合成オキシ置換基から選択することができる。構成部分Tは、例えば、メチル、エチル、ブチルなどのアリキル・ラジカルである。アルキル・ラジカルは置換されたものでもよい。例えば、アラルキル(例えば、ベンジル及びフェネチルなど)及びスルフォアルキル(例えば、スルオホメチル)ラジカルなどが役に立つ可能性がある。別の形態で、Tは例えば−OC(O)−T1ラジカルであり、この場合Tは上に述べた種々のアルキル及びアラルキル・ラジカルのいずれであってもよい。さらに、T1はフェニルやナフチルなどいずれのラジカルであってもよい。アリル・ラジカルは置換されてもよい。例えば、T1はトリル又はキシリル・ラジカルであってもよい。Tは通常、1〜約18の炭素原子を含んでいる。各例のアルキル構成部分は好ましくは低級アルキル構成部分であり、各例のアリル構成部分は好ましくは約6〜約10個の炭素原子を含んでいる。オキシ置換基−O、−Tが1個または2個の炭素原子を含んでいる場合に最高の活性レベルが実現される。アジニウム核は四元化置換基以外の置換基を含んでいてはならない。しかしながら、他の置換基の存在はこれら光反応開始剤の活性にとって絶対に必要なものでもない。
【0125】
有益なトリアリルイミダゾイル・ダイマーは米国特許第4,963,471号(Trout等)の、欄8、行18〜28に述べられているものなのである。これらのダイマーは、例えば、2−(o−クロロフェニル)−4,5−bis(m−メトキシフェニル)−1,1’−ビミダゾール;2,2’−bis(0−クロロフェニル)−4,4’5,5’−テトラフェニル−1,1’−ビミダゾール;そして、2,2’−bis(o−クロロフェニル)−4,4’、5,5’−テトラフェニル−1,1’−ビミダゾル;そして、2,5−bis(o−クロロフェニル)−4−[3,4−ジメトキシフェニル]−1,1’−ビミダゾルなどである。
【0126】
好ましい光反応開始剤はヨードニウム塩(より好ましくは2,4,5−トリフェニルイミダゾリル・ダイマー)、スルホニウム塩、そしてジアゾニウム塩などである。より好ましくは、アリルヨードニウム塩、クロロメチル化トリアジン、そして2,4,5−トリフェニルイミダゾリル・ダイマーなどである(アリルヨードニウム及びトリアジンが最も好ましい)。
【0127】
光反応性組成物の調製
反応種、多光子光増感剤、電子供与体化合物、そして光反応開始剤は上に述べた方法、あるいは先行技術のその他の方法ででも調製することができ、その多くは市販されている。これら4つの成分はどんな組み合わせ順番及び方法ででも(任意には攪拌しながら)『安全な光』条件下で組み合わせることができるが、光反応開始剤を最後に(そして、他の成分の溶解を促進するために任意に用いられる加熱ステップの後に)加えることが(保存寿命及び熱的安定性の観点から)好ましい。必要であれば溶媒を用いることもできるが、その場合、その溶媒はその組成物の成分とはあまり反応しないように選択されねばならない。適切な溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、及びアセトニトリルなどがある。反応種自体が他の成分のための溶媒として機能する場合もある。
【0128】
光反応開始剤系の成分は(上に述べたような)光化学的に有効な量で存在している。一般的に、この組成物は重量基準で少なくとも約5%、好ましくは少なくとも約10%、そしてより好ましくは少なくとも約20%の1つ以上の反応種を含んでいる。通常、その組成物は重量基準で最大99.79%、好ましくは約95%、そしてより好ましくは最大約80%の1つ以上の反応種を含んでいる。一般的に、前記組成物は1つ以上の反応種に対する重量を基準として少なくとも約0.01%、好ましくは約0.1%、より好ましくは少なくとも約0.2%の1つ以上の光増感剤を含んでいる。通常、前記組成物は重量で約10%、好ましくは最大約5%、そしてより好ましくは最大約2%の1つ以上の光増感剤を含んでいる。好ましくは、前記組成物は少なくとも重量で約0.1%の電子ドナーを含んでいる。好ましくは、前記組成物は重量で約10%、そして好ましくは約5%の1つ以上の電子ドナーを含んでいる。好ましくは、前記組成物は重量で約0.1%の1つ以上の光反応開始剤を含んでいる。好ましくは、前記組成物は重量で最大約10%、そして好ましくは約5%の1つ以上の光反応開始剤を含んでいる。前記反応種がロイコ染料である場合、前記組成物は通常重量で少なくとも約0.01%、好ましくは少なくとも約0.3%、より好ましくは少なくとも約1%、そして最も好ましくは少なくとも約2%の1つ以上のロイコ染料を有している。前記反応種がロイコ染料である場合、前記組成物は通常重量で最大約10%の1つ以上にロイコ染料を含んでいる。これらの割合は溶液ではなく、固体ベース、つまり成分の総重量に基づくものである。
【0129】
望ましい最終的使用形態に基づいて、非常に多数の補助剤を含めることができる。適切な補助剤は溶剤、希釈剤、樹脂、結合剤、可塑剤、含量、染料、無機あるいは有機強化あるいな延伸用充填材(好ましい重量は前記組成物総重量の約10%)、揺変性剤、指示薬、反応抑止剤、安定剤、紫外線吸収剤、薬剤(例えば、浸出可能なフッ化物)などなどである。そうした補助剤の量及びタイプ、そして組成物に添加する方法は当業者には周知である。
【0130】
例えば、粘着性を制御し、そして膜形成特性を提供するために前記組成物に非反応性ポリマー性結合剤を含めることはこの発明の範囲内である。そうしたポリマー性結合剤は通常は、前記反応種との共存性を基準として選択される。例えば、反応種に対して用いられるのと同じ溶媒に可溶性で、反応種の反応の過程に悪影響を及ぼす機能基を含んでいないポリマー性結合剤を用いることもできる。結合剤は望ましい膜形成特性と溶液レオロジーを達成するのに適した分子量(例えば、5,000〜1,000,000ドルトンの範囲、好ましくは約10,000〜500,000ドルトン、より好ましくは約15,000〜250,000ドルトンの範囲)を有している。適切なポリマー性結合剤には、例えば、ポリスチレン、ポリ(メチル・メタクリレート)、ポリ(スチレン)−co−(アクリロニトリル)、セルロース・アセテート・ブチレートなどがある。
【0131】
露光を行う前に、得られた光反応性組成物を、必要であれば、当業者に知られている(例えば、ナイフ・コーティング及びスピン・コーティングなどを含めて)種々の被覆方法で基板上に被覆することができる。この基質は特定の使用目的や用いられる露光方法に基づいてフィルム、シート、及びその他の面など種々のものから選択することができる。好ましい基板は通常は均一の厚みをもった光反応性組成物の層をつくるのに十分な平坦性を有している。被覆がそれほど必要でない使用例の場合は、その光反応性組成物はバルク形態で露光させることもできる。
【0132】
露光システム及びその使用
有用な露光システムは少なくとも1つの光源(通常はパルスレーザー)と少なくとも1つの光学素子を有している。適切な光源は、例えば、アルゴン・イオン・レーザー(例えばCoherent Innova)でポンピングされるフェムト秒近赤外線チタン・サファイア発振器(例えば、Coherent Mira Optima 900−F)である。76MHzで作動するこのレーザーはパルス幅が200フェムト秒で、700〜980nmの範囲でチューニングが可能であり、そして平均出力は最大1.4ワットである。しかしながら、実際には、(光反応性組成物で用いられる)光増感剤に適した波長で(多光子吸収をもたらすのに)十分な強度を提供するどんな光源でも用いることができる。そうした波長は通常は約300nm〜約1500nmの範囲であり、好ましくは約600nm〜約1100nm、より好ましくは約750nm〜約850nmの範囲である。ピーク強度は通常は少なくとも約106W/cm2程度である。パルス・フルーエンス(単位面積あたりのパルスあたりのエネルギー)の上限は通常はその光反応性消耗閾値によって示される。例えば、Q−スイッチNd:YAGレーザー(例えば、Spectra−Physics Quanta−Ray PRO)、可視光線染料レーザー(例えば、Spectra−Physics Quanta−Ray PROでポンピングされるSpectra−Physic Sirah)、そしてQスイッチ・ダイオード・ポンプ・レーザー(例えば、Spectra−Physics FCcarTM)も用いることができる。好ましい光源はパルス長が約10ナノ秒未満(より好ましくは約1ナノ秒以下、最も好ましくは約10ピコ秒以下)の近赤外線レーザーである。上に述べたピーク強度とフルーエンスが満たされる限り、その他のパルス長を用いてもよい。
【0133】
本発明の方法を実行する上で有益な光学素子は屈折性光学素子(例えば、レンズ及びプリズム)、反射性光学素子(例えば、再帰反射装置、あるは集光ミラー)、回折性光学素子(例えば格子、位相マスク、及びホログラム)、分散装置、Pockelセル、導波管、波プレート、複屈折性液晶などである。こうした光学素子は集光、ビーム伝送、ビーム/モード整形、パルス整形、及びパルス・タイミングなどの目的のために有益である。通常、光学素子の組み合わせが用いられ、当業者であれば他の組み合わせも容易に想起するであろう。集光度の高い光を提供するために大きな開口数を有する光学装置を用いるのが望ましい場合がしばしばある。しかしながら、望ましい強度特性(及びその空間的配置)を提供する光学素子のどんな組み合わせでも用いることができる。例えば、露光システムは0.75NA対物レンズ(Zeiss 20X Fluar)を備えた走査共焦点顕微鏡(BioRad MRC600)を用いることもできる。
【0134】
通常、光反応性組成物の露光は(上に述べたような)光源をその組成物内での光強度の三次元空間分布を制御するための手段としての光学素子と共に用いることによって行われる。例えば、パルス化データからの光を、その焦点が組成物の体積内に来るように集光レンズを通過させる。この焦点を望ましい形状に対応する三次元パターンに従って走査、あるいは移動させてそれによって望ましい形状をつくることができる。この組成物の露光あるいは光を当てられる体積は、その組成物自体を移動させてでも、あるいは光源を移動させることによっても(例えば、ガルボ・ミラーを用いてレーザー・ビームを移動させることによってでも)走査させることができる。
【0135】
光が、例えば、その反応種のものとは異なった可溶性特性を有する物質を作り出す反応を誘発する場合、得られる画像は任意に例えば適切な溶媒を用いて、あるいはその他の周知の方法を用いて露光された、あるいは露光されない領域を除去することで現像される。こうした方法で、複雑な、三次元物体をつくることができる。
【0136】
露出時間は通常、画像形成に用いられる露光システムのタイプ(及び開口数、光強度空間分布、レーザー・パルス中のピーク光強度(より高い強度及びより短いパルス継続時間は大雑把に言ってピーク光強度に対応する)などそれに伴う変数)及び露光される組成物の性質(及び光増感剤、光反応開始剤、そして電子供与体化合物の濃度)に依存する。一般的に、焦点領域のピーク光強度をより高くすれば、他のパラメータが同じでも露光時間はより短くなる。直線的な画像形成、あるいは『書き込み』速度は通常、10−8−10−15秒(好ましくは約10−11−10−14秒)のレーザー・パルス継続時間、そして1秒あたり102−109パルス(好ましくは約103−108パルス)を用いた場合約5〜100,000ミクロン/秒である。
【0137】
実施例
本発明の目的と利点を以下の実施例を参照してさらに説明するが、これらの実施例に記載されている具体的な物質と量は、その他の条件および詳細事項と同様、本発明を限定するためのものではない。これらの実施例は例えば光重合化プロセスなどにおいて、入射光の転化効率を増大させるために、多光子吸収プロセスにおいて用いられる未吸収の光を循環させるための光学素子の使用について検討するものである。
【0138】
特に具体的な注記がなければ、これらの実施例で用いられている化学物質はAldrich Chemical Co.,Milwaukee,WIから市販されているものである。Tris(2−ヒドロキシエチンレン)イソシアネート・トリアクリレート、2−フェノキシエチル・アクリレート、およびトリメチルプロパン・アクリレートはそれぞれSR−368、SR−339、およびSR−351の商標で、Sartomer Co.,West Chester,PAから市販されたものである。SR−9008はSartomer Co.,West Chester,PAから市販されているアルコキシル化アクリレートである。
【0139】
ジフェニルヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェートなどの芳香性ヨードニウム錯体塩はBeringer et al.,J.Am.Chem.Soc.,81,342(1959)の教示に従って(例えば、ジフェニルヨードニウム・ビスルフェートなどの)対応する芳香性塩の転移によって調製される。従って、例えば、錯体塩ジフェニルヨードニウム・テトラフルオロボレートは温度が60℃の、29.2グラム(g)の銀フルオロボレート、2グラムのホウフッ化水素酸、そして0.5グラム燐酸を約30ミリリットル(mL)の水に加えた溶液を塩化ジフェニルヨードニウムの44グラム(139ミリモル)溶液に加えて調製した。沈殿した銀ハロゲン化物をろ過で取り出して、ろ過物を濃縮して、ジフェニルヨードニウム・フルオロボレートを生成した。これは再結晶化させて精製することができる。
【0140】
2光子感光性染料、bis−[4−(ジフェニルアミノ)スチリル]−1,4−(ジメトキシ)ベンゼンが以下の手順でつくられた。(1)1,4−bis−ブロモメチル−2,5−ジメトキシベンゼンとトリエチル・ホスフェート(Horner Eamons試薬)との反応;1,4−bis−ブロモメチル−2,5−ジメトキシベンゼンは文献(Syper et al.,Tetrahedron,1983;39,781〜792)に示されている手順でつくられた。1,4−bis−ブロモメチル−2,5−ジメトキシベンゼン(253g、0.78モル)を1000mL丸底フラスコに入れた。トリエチル・ホスフェート(300g、2.10モル)を加えた。これらの反応物を窒素雰囲気下で攪拌しながら48時間加熱した。反応混合物を冷却して、過剰なP(OEt)3をKugelrohr装置を用いて真空内で除去した。望ましい生成物は実際には蒸留されなかったが、Kugelrohr装置を用いて過剰なP(OEt)3を生成物からの蒸留によって除去した。0.1mmHgで100℃に加熱すると、透明の油分が得られた。冷却して、望ましい生成物が固体として得られた。この生成物は次のステップに直接用いるのに適しており、1HMRは提案された構造との一致を示していた。トルエンから再結晶化させたところ、無色の針状の結晶が得られ、より純粋な生成物になったが、これはほとんどの場合次のステップのために必要ではなかった。
【0141】
(2)Bis−[4−(ジフェニルアミノ)スチリル]−1,4−(ジメトキシ)ベンゼンの合成:1000mLの丸底フラスコに較正済み滴下じょうごと磁性攪拌器を取り付けた。このフラスコに上の合成から得られた生成物を加え(Hormer Eamons試薬)(19.8g、45.2モル)、そして、N,N−ジメチルアミノ−p−ベンズアルデヒド(Fluka,25g、91.5ミリモル)も加えた。このフラスコを窒素でフラッシュして、セプタで密封した。無水テトラヒドロフラン(750mL)をそのフラスコ内に注入して、すべての固形成分を溶かした。滴下用じょうごにKOtBu(カリウムt−ブロキシド)(12.5mL、1.0MをTHFに溶かしたもの)を加えた。フラスコ内の溶液を攪拌し、フラスコ内の内容物に30分かけてKOtBu溶液を加えた。この溶液を周辺温度下で一昼夜攪拌し続けた。この反応を次にH2O(500mL)を加えて急冷した。この反応物を攪拌し続けたところ、約30分後に高度に蛍光性の高い黄色の個体がフラスコ内に形成された。この固体をろ過で分離して、空気で乾燥させた。そしてそれをトルエン(450mL)で再結晶化させた。望ましい生成物は蛍光性のある針状結晶(24.7g、81%イールド)として得られた。1HRMは提案された構造と一致していた。
【0142】
実施例1
この実施例は1つ以上のモノマーを光開始剤と反応させるために用いられる光の未吸収部分を循環再利用するための曲面反射性ミラーのアレイの使用について述べるものである。光源は波長1.06マイクロメータ(μm)、パルス幅800ピコ秒(ps)、パルス反復速度12キロヘルツ(kHz)、そして平均出力パワー35ミリワット(mW)で作動するNd:YAGマイクロチップ・レーザーである。この光学素子列は低分散反射鏡と、光出力をサンプルに変えるための光減衰器とで構成されている。減衰器の後で、ビーム拡大システムがレーザーからの光を拡大して、開口数が0.65の40倍顕微鏡対物レンズで構成される作像レンズに光を送る。この対物レンズの焦点距離は4.39ミリメートルである。この光学システムによって、レンズは半径約2μmのスポットを作り出す。これらのテスト基板の場合、反応(例えば硬化)は前記対物レンズの焦点を前記基板とポリマーの界面に合致するように配置することによって行われる。テスト構造は長さ5センチメートル(cm)、ライン間隔0.5cmの連続走査ラインで構成され、すべてのラインは同じ平面上にある。各ラインはレーザーからのエネルギーの1回の通過の結果を示している。
【0143】
この実施例でのサンプルは2つの面および側面を有している。1つの面は光を基板の第2の面あるいはその近くに向け集光させる球面集光表面を有する微小反射体のアレイで構成されている。実際の微小反射体のアレイは基板の一方の面上に球面マイクロレンズ・アレイが形成されているアルミ化ガラスあるいはポリマー性基板で構成されている。この微小反射体のアレイは球面集光学素子を有するアルミ化マイクロレンズである。個々の球面小レンズはアルミ化されると、球面集光微小反射体として機能する。球面集光学素子の場合、焦点距離fは(1/2n)rに等しく、nは反射装置とその焦点の間の媒体の屈折率であり、rは局率半径である。この場合、局率半径の値は厚みに等しい焦点距離を作り出す。比較分析を行うために、アレイの半分をアルミニウムで真空コーティングし、残りの半分にはそれをしなかった。
【0144】
2つの光子反応開始剤を1%負荷してある光反応性組成物の薄い膜がその基板の反対側を覆っている。この光反応性組成物は40重量%のtris(2−ヒドロキシエチレン)イソシアネート・トリアクリレート、59重量%のメチル・メタクリレート(MMA)、そして1重量%の、例えば1,4−bis(ドデシル)−2,5−bis(2,5−ジメトキシ−4−(2,2−ジシアノエチニル)スチリル)ベンゼンをジオキサン溶液に40%濃度で溶かしたものなどの2つの光子吸収剤で構成されている。基板の平面側の光反応性組成物のこの層は厚みが約100μmである。
【0145】
光反応性組成物で被覆した微小反射体の露光は、顕微鏡対物レンズからの高度に集光された光の下をサンプルを動かすことによって行われた。レンズが金属化された部分から金属化されていない部分まで微小反射体基板全体にわたって一定速度で走査された。同じ保護用物質の第2の比較用サンプルは平面上基板を被覆し、書き込み閾値を設定するための機能を果たす。このサンプルの場合の書き込み閾値は微小反射体基板の規定パワー・レベルを提供する。その閾値を上回る書き込みパワーがその微小反射体基板を被覆する2つの光子反応開始剤負荷ほど用組成物を露光する。
【0146】
ジオキサン溶液を用いて反応したポリマー性コーティングを現像すると、未反応領域がその基板から除去されて、光反応したラインが現れる。個々の光反応ラインは約20μmの厚みを有しており幅は約15μmである。さらに、光反応したポリマー性ラインはポリマー性基板に対して良好な接着性を示す。書き込み閾値で、光反応ラインが微小反射体基板の金属化した部分と金属化していない部分の両方に出現する。書き込み閾値以下の場合、光反応ラインはその微小反射体基板の金属化した部分だけに出現する。
【0147】
実施例2
図5に示すように、多重投下多光子吸収装置600は2つの面:第1の面612と第2の面614を有するポリマー性フィルムで構成されるテスト基板610を含んでいる。第1の面612は平面状であるのに対して、第2の面614は逆反射性コーナー・チューブ614a〜614eの微小アレイであるこの逆反射性コーナー・チューブは辺の長さが20μmである。平面状の面612上に、1つの2つの光子反応開始剤負荷光反応性組成物620がその面612を被覆する。コーナー・チューブ614面上で、そのコーナー・チューブの1つの半分は加工されたままで、他方の半分にはアクリレート・ポリマーが充填されていて、コーナー・チューブの逆反射特性を効果的に除去する。
【0148】
2つの光子書き込み用光源(図示せず)は、波長1.06μm、パルス幅800ps、パルス反復速度12kHz、そして平均出力パワー35ミリワットで作動するNd:YAGマイクロチップ・レーザーである。この光学素子列は低分散反射鏡と、光出力をサンプルに変える光減衰器とで構成されている。減衰器の後で、ビーム拡大システムがレーザーからの光を拡大して、開口数が0.65の40倍顕微鏡対物レンズで構成される作像レンズ630に光を送る。この対物レンズ630の焦点距離は4.39ミリメートルである。この光学システムによって、レンズ630は半径約2μmのスポットを作り出す。これらのテスト基板の場合、反応(例えば光硬化)は前記対物レンズ630の焦点を前記基板とポリマーの界面に合致するように配置することによって行われる。テスト構造は長さ5cm、ライン間隔0.5cmの連続走査ラインで構成され、すべてのラインは同じ平面上にある。各ラインはレーザーからのエネルギーの1回の通過の結果を示している。
【0149】
2つの光子反応開始剤を1%負荷してある光反応性組成物620の薄い膜がその基板610の反対側612を覆っている。この光反応性組成物620は40重量%のtris(2−ヒドロキシエチレン)イソシアネート・トリアクリレート、59重量%のメチル・メタクリレート(MMA)、そして1重量%の2つの光子吸収剤をジオキサン溶媒に40%濃度でとかしたもので構成されている。基板610の平面側612の光反応性組成物620のこの層は厚みが約100μmである。
【0150】
光反応性組成物で被覆した微小反射体610の露光は、顕微鏡対物レンズからの高度に集光された光の下をサンプルを動かすことによって行われた。レンズが金属化された部分から金属化されていない部分まで微小反射体基板610全体にわたって一定速度で走査された。同じ保護用物質の第2の比較用サンプルは平面上基板を被覆し、書き込み閾値を設定するための機能を果たす。このサンプルの場合の書き込み閾値は微小反射体基板の規定パワー・レベルを提供する。その閾値を上回る書き込みパワーがその微小反射体基板を被覆する2つの光子反応開始剤負荷ほど用組成物を露光する。
【0151】
ジオキサン溶液を用いて反応したポリマー性コーティングを現像すると、未反応領域がその基板から除去されて、光反応したラインが現れる。個々の光反応ラインは約20μmの厚みを有しており幅は約15μmである。さらに、光反応したポリマー性ラインはポリマー性基板に対して良好な接着性を示す。書き込み閾値で、光反応ラインが微小反射体基板610の金属化した部分と金属化していない部分の両方に出現する。書き込み閾値以下の場合、光反応ラインはその微小反射体基板の金属化した部分だけに出現する。
【0152】
実施例3
本実施例は1つ以上のモノマーを2つの光子反応開始剤と反応させるために用いられる光の未吸収部分を循環、再利用するための反射性基板の使用について述べるものである。光源はダイオード・ポンプTi:サファイア・レーザー(Spectra Phisics,Mountain View,CA)で、波長800ナノメートル(nm)、パルス幅100フェムト秒(fs)、パルス反復速度80メガヘルツ(MHz)、ビーム直径約2ミリメートル(mm)、そして平均出力パワー860ミリワット(mW)で作動する。この光学素子列は低分散反射鏡と、光出力をサンプルに変える光減衰器と、光をサンプルに集光するための10倍顕微鏡対物レンズ(0.25NA)とで構成されている。この光学システムでは、前記レンズが約8μmの直径と、約120μmの深さを有する焦点スポットをつくりだした。これらのテスト基板の場合、反応は前記対物レンズの焦点を前記基板とポリマーの界面に合致するように配置することによって行われた。テスト構造は長さ0.5〜5cm、ライン間隔0.0625cmの連続走査ラインで構成され、すべてのラインは同じ平面上にあった。各ラインはレーザーからのエネルギーの1回の通過の結果を示している。サンプルに伝えられ、較正された光ダイオード(Ophir Optornics Inc.,Danvers,MAから市販される光ダイオード・ヘッドPD300−3W)を用いて顕微鏡対物レンズから出て行くところで測定された平均パワーはこの例では20mWであった。
【0153】
このサンプル基板は天然酸化物を有する4インチ・シリコン・ウエハーで、片方の半分は1500オングストロームのアルミニウムで真空コーティングされて、鏡面状のコーティングを被覆していた。ポリマーの接着性を増強するために、トリエトキシシリルプロピルアクリレートを水性エタノールの溶かした2%溶液(pH:約4.5)を基板上に回転コーティングして、その後、130℃オーブンで10分間焼成した。この光反応性組成物の薄層(表1参照)、ジオキサンに固体成分40重量%(Mallinckrodt Baker,Phillipsburge,NJ)をウエハ全体に回転コーティングして、80℃オーブンで焼成して、溶媒を除去した。最終的光反応性被覆層は約20μmの厚みであった。
【0154】
【表1】
【0155】
光反応性組成物で被覆され、部分的にアルミ化されたウエハは顕微鏡対物からの高度に集光された光の下でサンプルを連続的に動かすとこで発生した。ラインは一定の速度で金属化された領域から金属化されていない領域にいたるまで基板全体に対して走査された。レーザーを1回通過させる毎に、1秒当たり77〜27520マイクロメータ(μm/s)の範囲をカバーするように√2倍ずつ増大された。閾値ドーズを含めるために、基板を異なった箇所を異なった平均レーザー・パワーで反復的に照射した。N,N−ジメチル・ホルムアミドを用いて反応したポリマー性被覆を現像すると、基板から未反応の領域が除去され、光反応したラインが現れた。個々の光反応ラインの幅は速度の増大に伴って24μmから8μmに減少した。さらに、光反応ラインはシリコン基板の金属化した部分としない部分の両方に対して良好な接着性を示した。任意の平均レーザー・パワーに対して閾値は、現像後に光学顕微鏡を用いて検査した場合に光反応が見える最高ステージ速度と定義される。シリコンおよびアルミニウムでの結果を図7に示す。パワー依存性の勾配の増大は金属化された領域での書き込み速度が少なくともむき出しのシリコンの場合と比較して少なくとも2倍であることを示した。そうした結果は、それぞれ独立に作用する前向きおよび反射パルスとの一貫性を示し、従ってアルミニウム上の光反応性組成物はシリコン上の光反応性組成物のエネルギーあるいはドーズの二倍を受け取っていることが示された。
【0156】
実施例4
テスト基板は2つの面を有するポリマー性フィルムで構成されていた。一方の面は平面上で、第2のは比較例Aに示す米国特許第5,138,488号に述べられているように作成された逆反射性コーナー・チューブのアレイを有していた。テスト基板の厚みは約380μmであった。平面状の1つの2つの光子反応開始剤負荷光反応性組成物がその面を被覆していた。光反応性組成物の屈折率および密度は重合化およびその後の照射されたエリアへのモノマー拡散の結果として、照射された領域では増大した。望ましい構造体が得られた後、フィルム全体を1光子光源を用いてブランケット露光し、像を永続的に固定した。コーナー・チューブ上で、そのコーナー・チューブの1つの半分は加工されたままで、他方の半分にはアクリレート・ポリマーが充填されていて、コーナー・チューブの逆反射特性を効果的に除去された。このポリマー性フィルムをガラス基板に取り付けて、その端部を軽くたたいた。
【0157】
光源はダイオード・ポンプTi:サファイア・レーザー(Spectra Phisics,Mountain View,CA)で、波長800nm、パルス幅100fs、パルス反復速度80MHz、ビーム直径約2mm、そして平均出力パワー860mWで作動するものであった。この光学素子列は低分散反射鏡と、光出力をサンプルに変える光減衰器と、光をサンプルに集光するための有効焦点距離39mm、開口数0.09の5倍顕微鏡対物レンズ(0.25NA)とで構成されている。この光学システムでは、前記レンズが約18μmの直径と、約650μmの深さを有する焦点スポットをつくりだした。長い焦点距離が必要であったのは、前向きおよび反射スポットの両方が光反応性組成物内に集光されるようにするためであった(図5参照)。サンプルに伝えられ、較正された光ダイオード(Ophir Optornics Inc.,Danvers,MAから市販される光ダイオード・ヘッドPD300−3W)を用いて顕微鏡対物レンズから出て行くところで測定された平均パワーはこの例では120mWであった。
【0158】
反応は対物レンズの焦点をコーナー・チューブ/ガラス基板界面に合致するように位置調整することで行われた。テスト構造は長さが0.5〜5cm、間隔が0.0625cmの連続走査ラインで構成され、すべてのラインは同じ平面上にあった。各ラインはレーザーからの1回のエネルギー投下の結果を示している。
【0159】
【表2】
【0160】
表2に示されている光反応性組成物を固形分が33%となるように1,2−ジクロロエタンに溶解して、逆反射性基板の平面側に回転コーティングした。溶媒は80℃オーブン内で10分間焼成して取り除いた。最終的な光反応性コーティングは約20μmの厚みであった。光反応性組成物で被覆された逆反射性基板の露光は顕微鏡対物レンズからの高度に集光された光の下でサンプルを移動させることによって行われた。ラインは一定の速度で基板全体にわたって行われた。レーザーを投下する度に、1秒当たり77〜27520マイクロメータ(μm/s)の範囲をカバーするように√2倍ずつ増大された。閾値ドーズを含めるために、基板を異なった箇所を異なった平均レーザー・パワーで反復的に照射した。像全体を露光した後、その光反応性組成物を3つのPhilips TLD 15W−03バルブを用いて30分間ブランケット露光した。同じ光反応性組成物の第2の比較用サンプルは平面状基板を被覆して、書き込み閾値を決めるための役割を果たした。
【0161】
図8aと8bは走査ラインの光学顕微鏡写真である。指数マッチング・オイルをコーナー・チューブからの反射を減らすためにコーナー・チューブの下に置いた。逆反射性スポットは集光ビームの第1の投下によってつくられたラインに沿って現れる。スポットはアクリレート・モノマーを充填して逆反射性特性を除去した場所では現れない。なお、逆反射性スポットは前記光反応性組成物を通じて最初に投下することによってつくられるラインがもはや判別できなくなっても、より早い書き込み速度で引き続き現れた。これは焦点の位置調整が不十分であったか、あるいは前記光反応性組成物内での光の自己集光によるものであろう。
【0162】
実施例5
図6に示されているように、透明な基板710を用いた多重投下多光子吸収装置700では、透過光は再利用されて、再度露光を行うために用いることができる。光源720はダイオード・ポンプTi:サファイア・レーザー(Spectra Phisics,Mountain View,CA)で、波長800nm、パルス幅100fs、パルス反復速度80MHz、ビーム直径約2mm、そして平均出力パワー860mWで作動するものであった。この光学素子列は、図6に示されるように、低分散反射鏡730、732と、光出力を変える光減衰器740と、シャッター745と、光をサンプル710に集光するための10倍顕微鏡対物レンズ750(0.25NA)とで構成されていた。対物レンズ750は直径が約8μmそして焦点深度が約120μmであった。透過光は焦点距離10cmの25mm径、アルミニウム被覆球面集光ミラー760(Newport Corp.,Irvine,CAから市販されているもの)で集光され、サンプル710上に再集光された。このミラーは光反応性組成物が被覆された基板710から20cmの位置の3軸平行移動ステージおよびジンバル・ミラー取付け台に取付けられた。反射光の偏向を90度回転させるためにゼロ・オーダー1/4波長板770(CVI Laser Corp.から市販)をサンプル710と集光ミラー760の間に配置した。直線偏向キューブ780と組み合わされて、これらの光学装置は反射光がレーザー凹部720内に戻るのを防ぐための効果的な光アイソレータを形成した。
【0163】
このテスト基板710は光透過性顕微鏡スライドの一方に被覆された光反応性組成物712で構成されていた。ポリマーの接触を増強するために、トリメトキシシリルプロピルメタクリレートを水性エタノール(pH;約4.5)に溶かした2%溶液を基板上に回転コーティングしてから、130℃オーブン内で10分間焼成した。ジオキサンに固形成分40重量%の光反応性組成物の薄層(図3参照)にウエハ全体に回転コーティングして、溶媒を取り除くために80℃オーブン内で焼成した。最終的な光反応性被覆は厚みが約20μmであった。
【0164】
【表3】
【0165】
反応は基板/ポリマー界面716に合致するように対物レンズ750の焦点714を位置調整することで行われた。集光ミラー760によってつくりだされた焦点714の像もこの界面716上に位置調整された。テスト構造は長さ0.5cm、間隔0.125cmの走査ラインで構成され、すべてのラインは同一平面上にあった。各ラインはレーザー720からのエネルギーの1回の透過の結果を示している。前記光反応性組成物で被覆したスライド710の露光は顕微鏡対物レンズ750と集光ミラー760から高度に集光された光の下をサンプルを連続的に動かすことで行われた。ラインは一定の速度で基板710全体にわたって行われた。レーザーを投下する度に、1秒当たり77〜27520μm/sの範囲をカバーするように√2倍ずつ増大された。閾値ドーズを含めるために、基板を異なった箇所を異なった平均レーザー・パワーで反復的に照射した。露光された光反応性組成物712をN,N−ジメチル・ホルムアルデヒドで現像したところ、基板710から未反応部分が除去され、光反応したラインが現れた。個々の光反応されたラインは24μmから8μmの範囲で、その幅は速度の増大に伴って小さくなった。さらに、光反応したラインはガラス基板710に対して優れた接着性を示した。任意の平均レーザー・パワーに対して、書き込み閾値は、現像後に光学顕微鏡を用いて調べた場合に光反応ラインが見える最高速度として定義された。
【0166】
1つの例で、集光ミラー760から反射された光714はそのサンプルを通じての最初の透過で露出された領域からややずれた位置に調節された。この場合、サンプルを走査する度に2つの平行なラインが現れた。図9a参照。集光ミラーからの反射光を遮断すると、1つのラインだけが現れた(図9b参照)。第2の例で、反射スポット714を露光を増大させるために第1の焦点領域に向けた。そしてサンプルを、ミラー760がブロックされた状態と、非集光分散性基板で覆われているのとの両方で走査した。表4はミラーをブロックした場合と、透過した光の焦点と反射された光の焦点が重なった場合の両方で、平均パワーを約53mWとした場合の閾値を示している。表4のサンプルIVはミラー760がブロックされていないが、焦点が重なっていない場合に、閾値書き込み速度が増大しないことを示している。
【0167】
【表4】
【0168】
ここで引用された特許、特許資料、および公報の開示全体が、個別に引用した場合と同様に本明細書に組み込まれるものとする。本発明の範囲と精神を逸脱せずに本発明に対して種々の修正や変更が可能であることは、当業者には自明であろう。本発明はここで述べられている実施の形態や実施例によって限定されるものではなく、そうした実施の形態や実施例は例として示されているのであって、本発明の範囲は以下の請求項でのみ限定されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1つの実施の形態による多重投下多光子吸収装置を示す図。
【図2】多重投下多光子吸収装置の別の実施の形態を示す図。
【図3a】1つのサンプルを通じての多数(N)の経路に拡張された多重投下多光子吸収装置の別の実施の形態を示す図。
【図3b】1つのサンプルを通じての多数(N)の経路に拡張された多重投下多光子吸収装置の別の実施の形態を示す図。
【図3c】1つのサンプルを通じての多数(N)の経路に拡張された多重投下多光子吸収装置の別の実施の形態を示す図。
【図3d】1つのサンプルを通じての多数(N)の経路に拡張された多重投下多光子吸収装置の別の実施の形態を示す図。
【図3e】1つのサンプルを通じての多数(N)の経路に拡張された多重投下多光子吸収装置の別の実施の形態を示す図。
【図4】集光ミラーの活性距離制御を示す多重投下多光子吸収装置の1つの実施の形態の図。
【図5】実施例2で用いられる多重投下多光子吸収装置を示す図。
【図6】実施例5で用いられる多重投下多光子吸収装置を示す図。
【図7】閾値書き込み速度のパワー依存を示すグラフ。
【図8a】充填されたチューブの光学顕微鏡写真。
【図8b】開放されたチューブの光学顕微鏡写真。
【図9a】(ミラーによりブロックされていない)走査線の光学顕微鏡写真。
【図9b】(ミラーでブロックされた)走査線の光学顕微鏡写真。
Claims (33)
- 多光子吸収プロセスの効率を増大させる方法において、
光反応性組成物を提供するステップと、
前記光反応性組成物による少なくとも2つの光子の同時吸収に十分な光源を提供するステップと、
前記光源からの少なくとも光の第1のトランジットに前記光反応性組成物を露光させるステップと、
前記光の第1のトランジットの少なくとも一部分を少なくとも1つの光学素子を用いて前記光反応性組成物に向けるステップとを含み、
前記第1のトランジットで吸収されなかった複数の光子が次のトランジットで前記光反応性組成物を露光させるのに使用される方法。 - 前記光の第1のトランジットの少なくとも一部分を前記光反応性組成物に向けるステップが前記光の第1のトランジットの少なくとも一部分を前記光の第1のトランジットに露光されたのと同じ場所で前記光反応性組成物に向けられることを含む、請求項1記載の方法。
- 前記光の第1のトランジットの少なくとも一部分を前記光反応性組成物に向けるステップが、前記光の第1のトランジットの少なくとも一部分を前記光の第1のトランジットに露光されたのとは違った場所で前記光反応性組成物に向けられることを含む、請求項1記載の方法。
- 前記光反応性組成物が反応種を含む、請求項1記載の方法。
- 前記反応種が硬化性種である、請求項4記載の方法。
- 前記光反応性組成物が多光子光増感剤を含む、請求項1記載の方法。
- 前記光反応性組成物が電子供与体化合物を含む、請求項1記載の方法。
- 前記光反応性組成物が光開始剤を含む、請求項1記載の方法。
- 前記光反応性組成物が固体の総重量に対して約5重量%から約99.79重量%の少なくとも1つの反応種と、約0.01重量%から約10重量%の少なくとも1つの多光子光増感剤と、最大約10重量%の少なくとも1つの電子供与体化合物と、そして約0.1重量%〜約10重量%の少なくとも1つの光開始剤を含む、請求項1記載の方法。
- 露光ステップがパルス照射のステップを含む、請求項1記載の方法。
- 前記パルス照射のステップが約10ナノ秒未満のパルス長を有する近赤外線パルスレーザーを用いて行われる、請求項10記載の方法。
- 前記光源がパルスレーザーを含む、請求項1記載の方法。
- 多光子吸収プロセスの効率を増大させる方法において、
光反応性組成物を提供するステップと、
前記光反応性組成物による少なくとも2つの光子の同時吸収に十分な光源を提供するステップと、
前記光反応性組成物内の第1の焦点に光を集光させるステップと、
前記光の第2の部分を前記光反応性組成物内に第2の焦点に集光させるステップとを含み、
光の第1の部分が前記光反応性組成物によって吸収され、光の第2の部分が前記光反応性組成物を通過する方法。 - 前記光の第2の部分を第2の焦点に集光させるステップが、前記光反応性組成物を通じて前記光の第2の部分を反射させるステップをさらに含む、請求項13記載の方法。
- 前記光の第2の部分を反射するステップが集光を伴わずに前記光反応性組成物を通じて前記光の第2の部分の複数のトランジットを反射するステップを含む、請求項14記載の方法。
- 前記光の第2の部分の複数のトランジットを反射させるステップが、複数の光学素子間の前記光の第2の部分を選択的に方向付け、前記複数の光学素子の少なくとも1つが集光を伴わずに前記光を光反応性組成物を通じて選択的に反射することができ、前記複数の光学素子の少なくとも1つが前記光反応性組成物内の焦点に光を選択的に集光させることができる、請求項15記載の方法。
- 前記光反応性組成物を通じて前記光の第2の部分を反射し、前記光の第2の部分を集光させるステップが複数の焦点を作り出すために1回以上繰り返される、請求項13記載の方法。
- 前記光の第2の部分を反射するステップが、集光を伴わずに前記光反応性組成物を通じて前記光の第2の部分の複数のトランジットを反射するステップを含む、請求項17記載の方法。
- 前記光反応性組成物が前記第1の焦点の近傍で硬化される、請求項13記載の方法。
- 前記光反応性組成物が前記第2の焦点の近傍で硬化される、請求項13記載の方法。
- 前記第1の焦点と第2の焦点が前記光反応性組成物内の同じ位置にある、請求項13記載の方法。
- 前記光の第2の部分を集光させるステップが、複数の焦点で前記光の第2の部分を集光させるステップを含む、請求項18記載の方法。
- 前記光反応性組成物が反応種を含む、請求項13記載の方法。
- 前記反応種が硬化性種である、請求項23記載の方法。
- 前記光反応性組成物が多光子光増感剤を含む、請求項13記載の方法。
- 前記光反応性組成物が電子供与体化合物を含む、請求項13記載の方法。
- 前記光反応性組成物が光開始剤を含む、請求項13記載の方法。
- 前記光反応性組成物が固体の総重量に対して約5重量%から約99.79重量%の少なくとも1つの反応種と、約0.01重量%から約10重量%の少なくとも1つの多光子光増感剤と、最大約10重量%の少なくとも1つの電子供与体化合物と、約0.1重量%〜約10重量%の少なくとも1つの光開始剤を含む、請求項13記載の方法。
- 前記光源がパルスレーザーを含む、請求項13記載の方法。
- 多光子吸収のための装置において、
光反応性組成物と、
前記光反応性組成物による少なくとも2つの光子の同時吸収に十分な光を提供するための光源と、
複数の光学素子とを含み、
前記光反応性組成物が前記複数の光学素子の少なくとも2つの間に配置され、
前記複数の光学素子の少なくとも1つが集光を伴わずに前記光反応性組成物を通じて前記光を選択的に反射させることができ、
さらに前記複数の光学素子の少なくとも1つが前記光反応性組成物内の焦点に前記光を選択的に集光させることができる装置。 - 多光子吸収プロセスの効率を増大させる方法において、
反射性基板上に配置された光反応性組成物を提供するステップと、
前記光反応性組成物による少なくとも2つの光子の同時吸収に十分な光源を提供するステップと、
前記光反応性組成物を第1の焦点の光源からの前記光に露光させるステップと、
前記光を前記反射性基板によって前記光反応性組成物内に反射して戻すステップとを含む方法。 - 前記光を第2の焦点で前記光反応性組成物内に反射して戻すための光学素子に前記光を向けるステップをさらに含む、請求項31記載の方法。
- 前記反射性基板によって前記光を反射し、光学素子によって前記光を反射するステップが1回以上繰り返されて複数の焦点を作り出す請求項32記載の方法。
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