JP2004503393A - 多層ポリマーフィルムおよびその使用 - Google Patents
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Abstract
情報を記憶し、または検索するための多層フィルムの使用であって、前記情報が、フィルムの多層構造と相互に関連しており、前記多層フィルムが、少なくとも2つの異なるタイプの層を備えており、それぞれのタイプの層が異なった光学的性質を示し、多層フィルムが、異なるタイプの層の少なくとも2つのそれぞれからなる、複数の層を備えている多層フィルムの使用。前記多層フィルムを利用する、情報記憶の方法、記憶されている情報を検索する方法、ならびに、偽造行為または詐欺行為に対して保護する方法。
Description
【0001】
(発明の背景)
本発明は、異なる光学的性質に基づいて識別可能な、異なるタイプの層を備える多層フィルムの、情報の記憶および検索における使用に関する。多層フィルムは、偽造防止デバイスとしての用途を有する。
【0002】
偽造行為は、世界的に増加しており、また世界経済にとって年間2,500億ドル(約29.7兆円)以上の損害になる問題である。クレジットカード、文書、アパレル、ビデオ、自動車部品、および航空機部品を含めて、多くの製品が被害を受けている。
【0003】
一般に使用されている、情報を記憶するための1つのデバイスは、バーコードである。適当な装置およびソフトウェアを用いて光学的に走査した場合、バーコードを数学的コードとして表現できることが知られている。手持ちスキャナが、一般に使用される。次いで、この数学的コードを、所望の情報の検索のため、または検証の目的で、データベース中に記憶しているコードと相互に関連させることができる。データベースは、走査を行う地点に位置するローカルデータベースとすることができ、または遠隔的な位置とし、知られている電気通信手段によってアクセスできる。バーコードの1つの欠点は、バーコードの構造を容易に見分けることが可能なので、バーコードを容易に複製できることである。この理由のため、従来の光学的に走査されるバーコードは、偽造防止デバイスとして使用するのに、必ずしも特に適しているものではない。
【0004】
ホログラムなど、多くの他の既存偽造防止技術は、人間の目に視覚できる方法を利用している。裸眼では視覚できない、または見分けられない、したがって、複写するのが遥かに困難なコードを包含する技術を提供することが望ましいであろう。高度機密保護の応用分野における、1つのかなり最近の発展は、ラベル内部における表面下レーザマーキングを含むものである。この方法は高度の機密保護を提供するが、比較的複雑、かつ錯綜した作製およびデータ検索の方法を伴う。
【0005】
ポリエステルフィルムはすでに、カードおよびラベルの用途向けの基板として使用されている。フィルムの一体化機能として存在する機密保護機能は、このような用途におけるポリエステルフィルムの有用性を増すであろう。その内部に、裸眼では視覚できないコードが埋め込まれたポリエステルフィルムは、このような用途において特に有用性を有するであろう。
【0006】
多層フィルムの調製については、知られている。米国特許3647612号は、2つ以上の熱可塑性材料の流れを提供し、この2つ以上の流れを、複数の一般には平行層を有する単一の流れに整列し、この流れを分割し再び組み合せることにより流れを機械的に操作して、層の数を増加させ、次いで、この流れを薄いシートまたはフィルムに成形することを含む多層フィルムの調製方法を開示している。この層は、可視光に対して透明な、樹脂状材料からなり、多層フィルム構造が真珠光沢のある外観を有している。欧州特許0426636号は、透明な熱可塑性樹脂状材料の一般的に平行な複数の平行層を含む多層共押出し光反射フィルムを開示している。
【0007】
欧州特許0592284号は、硬いポリマー材料と延性のあるポリマー材料との交互層を有する引裂き抵抗性のある多層フィルムであって、ガラス張り部材の飛散防止用積層品として有用なものとすることができるフィルムを開示している。
【0008】
米国特許5759467号は、テレフタル酸ポリエステルとナフタレンジカルボン酸ポリエステルとの、複数の交互層を備える多層ポリエステルフィルムを開示している。このフィルムは、増加した引張り強さを有し、とりわけ、磁気媒体基板として有用であると教示されている。
【0009】
欧州特許0492894号は、流体質量中に界面を生成させることによる多層フィルム生産のための方法および装置を開示している。この方法は、第1の複合流を少なくとも2つの枝流に分割するステップと、枝流を再配置するステップと、1つの軸に沿って対称に広げるステップと、他の軸に沿って対称に縮めるステップと、枝流を、第1の複合流よりも多数の、別々のポリマー材料層を含む第2の複合流に再び組み合せるステップとであって、広げるステップおよび縮めるステップが、個々の枝流のいずれかについて、または第2の複合流について行われるステップを含む。
【0010】
国際公開98/06587号は、不透明な、好ましくは黒色の、2.0を超える光学濃度を有するコア層と、その両面上に、写真シートとして使用する、または他の画像用途向けの、白色の外側層とを有するポリエスエルフィルムを開示している。同様の用途向けに、国際公開98/07068号は、2.0を超える光学濃度を有する不透明な、好ましくは黒色の、第1の層と、白色の第2の層とを有するポリエスエルフィルムを開示している。
【0011】
利便性があり、高価でない、詐欺的行為と戦う技術であって、高いレベルの機密保護をもたらし、かつ、偽造に対する高度の抵抗性を有する技術を提供することが、本発明の目的である。
【0012】
(発明の概要)
本発明によって、情報を記憶し、または検索するのに多層フィルムを使用することを提供するものであり、前記情報は、フィルムの多層構造と相互に関連しており、また、前記多層フィルムは、少なくとも2つの異なるタイプの層を備える多層フィルムであり、その多層フィルムの使用においてそれぞれのタイプの層は異なった光学的性質を示し、かつ、その多層フィルムは、異なるタイプの層の少なくとも2つのそれぞれからなる、複数の層を備えている。
【0013】
本発明を、下記の図面を参照して例示する。
【0014】
(開示の詳細な説明)
好ましい実施形態において、それぞれのタイプの層の光学的性質における差異は、その上に入射する光に対する、それぞれのタイプの層の、異なった反射率に関連する。すなわち、1つのタイプの層は、その上に入射する光に対して、他のタイプの層よりも相対的に反射性が大きい。相対的反射率の差異は、電磁放射線の、何らかの波長または波長範囲に関連させることができる。電磁スペクトルの可視および紫外領域、またはそれらの一部、における波長が、特に注目される。したがって、好ましい実施形態において、それぞれのタイプの層は、可視光(または可視光の、選択された波長または波長範囲)に対する相対的反射率の差異、または紫外光(または紫外光の、選択された波長または波長範囲)に対する相対的反射率の差異を示している。代替的な実施形態において、それぞれのタイプの層は、平面偏光に対する、相対的反射率の差異を示している。
【0015】
代替的な実施形態において、それぞれのタイプの層の光学的性質における差異は、それぞれのタイプの層の、異なった蛍光性に関連する、すなわち、1つの種類の層は、他の種類の層よりも相対的に蛍光性が高い。
【0016】
光学的性質における差異が、電磁スペクトルの可視領域における光の、相対的反射率の差異であることが好ましい。それぞれのタイプの層が、その上に入射する可視光の実質的に全ての波長に対して、それらの相対的反射率の差異を示すことが、特に好ましい。
【0017】
フィルム内の層の数に関する上限は全くなく、1000層を超える層を有するフィルムを製造することが可能である。
【0018】
しかし、より少ない層を有するフィルムが、同様に本発明の目的に、合致する。一実施形態において、層の数は、4から100、好ましくは6から80、より好ましくは8から50、また特に10から30である。
【0019】
好ましい実施形態において、多層フィルムは、2つの異なった種類の層、すなわち、複数のタイプAの層、および複数のタイプBの層であって、タイプAの層が、タイプBの層の光学的性質と異なっており、かつタイプBの層の光学的性質から識別できる光学的性質を示す層だけを備えている。そのフィルムにおけるそれぞれのタイプの層の数は、2から1000を超えるまでである。
【0020】
特に好ましい実施形態において、多層フィルムは、その上に入射する光に関して、それらの相対的反射率に基づいて互いに識別できる、2つの異なるタイプの層、タイプAおよびタイプB、だけを備えている。この実施形態において、タイプAの層は、その上に入射する光を、50%を超えて、好ましくは65%を超えて、好ましくは80%を超えて、好ましくは90%を超えて、好ましくは95%を超えて、また好ましくは99%を超えて、反射するのが好ましく、また、タイプBの層は、その上に入射する光の50%未満、好ましくは65%未満、好ましくは80%未満、好ましくは90%未満、好ましくは95%未満、また好ましくは99%未満、を反射するのが好ましい。この実施形態において、タイプBの層は、その上に入射する光を、50%を超えて、好ましくは65%を超えて、好ましくは80%を超えて、好ましくは90%を超えて、好ましくは95%を超えて、また好ましくは99%を超えて、吸収するのが好ましい。
【0021】
したがって、多層フィルムは、その端部に沿ってフィルムの断面を見た場合、それらの光学的性質に基づいて識別できる一連の層を備えている。上記に示したように、適当な装置およびソフトウェアを用いて光学的に走査した場合、バーコードは数学的コードとして表現できる。対応する形で、多層フィルム構造も、適当な装置およびソフトウェアを用いて光学的に走査した場合、数学的コードとして表現することが可能である。したがって、従来のバーコードと同様な形で、電子スキャナを用いる光学的な走査により、多層フィルムを読み取り、かつ多層フィルムに照会することが可能である。したがって、真正性の照合、または情報の検索を求めて、多層フィルムに対し、その中に保持されるコードを検索すること、およびそのコードを、データベース内に保持されている情報と相互に関連させること、を照会することができる。
【0022】
標準バーコードは一般に、それぞれ異なる幅の、交替する白色および黒色の帯を備えている。同様に、多層フィルムの断面に保持される「バーコード」は、フィルムにおける隣接する層から、光学的に識別できる層を備えている。もちろん、フィルム内の各層の厚さは、従来のバーコードにおける、交替する白色および黒色の帯が、変動する幅のものであることと同様な形で、変動可能である。隣接する層から、光学的に識別できる層は、単一の別々の層からなることができ、または、それぞれが同一の光学的性質を有する、複数の個々の層から構成することができる。
【0023】
本発明において使用するための多層フィルムの合計厚さは、約5μmから約5mm、好ましくは約5μmから約1mm、好ましくは約5μmから約500μm、より好ましくは約12μmから約350μm、また詳細には約30μmから約200μm、の範囲にあることが好ましい。したがって、フィルムが、その断面内に保持する「バーコード」の大きさは、従来の光学的に走査するバーコードの大きさよりも、遥かに小さい。したがって、多層フィルムの「バーコード」の構造、およびその中に保持される情報は、世界的に多層ポリエステルフィルムを生産する装置のある場所がほとんどないので、複製するのは、不可能ではないにしても、遥かに困難であろう。
【0024】
さらに、大きさが小さいということは、多層フィルムの断面にある「バーコード」、およびその中に保持される情報が、専門的な装置なしには、アクセスするのが遥かに困難であろうことを意味する。それぞれの層の、光の可視領域における、光学的性質の差異に依存する、本発明の実施形態において、多層フィルムの別々の層は、通常、裸眼では視覚できないであろう。
【0025】
したがって、本発明において用いられる多層フィルムは、コードまたは指紋を内蔵することができ、高いレベルの機密保護を要する用途における使用に適している。したがって、本発明は、機密保護情報のコード化を要する、または、商品の出所もしくはサービスが重要かつ価値がある、銀行券、旅券、身分証明書、入力カード、銀行カードおよびクレジットカード、高品質の商品向けラベル、包装、ならびに、任意の他の用途などの、機密保護および詐欺的行為防止の方法における、広範な用途を有することができるであろう。本発明において用いられる多層フィルムは、作製方法およびデータ検索方法がより低コストで、かつより効率的であろうという点で、例えば、機密保護ラベル内の表面下レーザマーキングにまさる利点を有するであろう。
【0026】
その上、上記に示したように、ポリエステルフィルムはすでに、機密保護カードおよびラベルの用途に基板として使用されている。したがって、本発明において使用する多層フィルムは、基板としても、また機密保護デバイスそれ自体としてもともに機能し、それによりコストを低減させるであろう。製造の効率および経済性改善のほかに、本発明はまた、機密保護のレベル向上に関する利点をも提供する。上記に示したように、世界的に多層ポリエステルフィルムを生産する装置のある地点はほとんどない。その上さらに、「付加的な」システムである機密保護システム、すなわち、そのシステムにおいて、機密保護デバイスが身分証明書またはクレジットカードなどの物品に適用され、または内蔵されるシステムに関して、本発明による、一体型基板/機密保護デバイスの一元的製造方法は、機密保護デバイス、またはその中のコード、が盗難、または不注意な開示によって入手されてしまう危険性を低減している。
【0027】
多層フィルムの層は、1つまたは複数のジカルボン酸、またはそれらの低位アルキル(炭素原子6個まで)ジエステル、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,5−、2,6−、もしくは2,7−ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、ヘキサヒドロ−テレフタル酸、または1,2−ビス−p−カルボキシフェノキシエタン(場合によっては、ピバル酸などのモノカルボン酸とともに)を、1つまたは複数のグリコール、明確には脂肪族または環状脂肪族グリコール、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、および1,4−シクロヘキサンジメタノール、と縮合させることにより得られる、合成線状ポリマーなどの任意のフィルム形成材料から成形できる。脂肪族グリコールが好ましい。ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートが、好ましいポリエステルである。ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
【0028】
本発明の好ましい実施形態において、多層フィルムの、それぞれのタイプの層は、同一の材料、好ましくは同一のポリエステルを含む。溶融点が低い方の材料が劣化することのないように、種々の層を含む材料が同一の温度で処理可能であり、かつ、同様な溶融体粘度を有することが好ましい。したがって、各層の材料の特性によって、滞留時間および処理温度を調節しなければならないであろう。これらの層が、結晶性および/または半結晶性ポリエステル材料を含むことも好ましい。
【0029】
多層フィルムにおける、それぞれのタイプの層を、一軸配向させることができるが、フィルム平面内で2つの互いに垂直な方向に引張ることにより二軸配向させて、機械的性質および物理性状の満足される組合せを達成するのが好ましい。配向は、配向したフィルムを生産するため、当技術分野で知られている任意の方法、例えばインフレーション方法(tubular process)またはフラットフィルム方法、によって、行うことができる。
【0030】
インフレーション方法では、熱可塑性ポリエステルチューブを押出し、その後これを急冷し、再加熱し、次いで、内部ガス圧により広げて、横配向を誘発し、かつ縦配向を誘発する速度で延伸させることにより、同時に二軸配向を行うことができる。
【0031】
好ましいフラットフィルム方法では、層形成ポリエステルを、スロットダイを通して押出し、冷却した注型ドラム上で迅速に急冷して、ポリエステルが確実に無定形状態まで急冷されるようにする。次いで、ポリエステルのガラス転移温度を超える温度で、急冷した押出し物を少なくとも1つの方向に延伸することにより、配向を行う。平坦な、急冷された押出し物を、フィルム延伸機を通し、最初1つの方向に、通常は縦方向、すなわち前方方向に、次いで横方向に延伸させ、逐次的配向を行うことができる。押出し物の前方延伸が、1組の回転するロール上で、または2対のニップロール間で便利に行われ、次いで横延伸が、テンタ装置内で行われる。延伸は、ポリエステルの性質によって決まる範囲まで行うものとし、例えば、ポリエチレンテレフタレートは通常、配向されたフィルムの寸法が、延伸のその方向、またはそれぞれの方向における原寸法の2から5、より好ましくは2.5から4.5倍になるように延伸させる。1方向だけの配向を要する場合、より大きい引張り比(例えば、約8倍まで)を使用できる。バランスのとれた性状が所望される場合には、それが好ましいことであるが、機械方向および横方向に、等しく延伸する必要はない。
【0032】
延伸したフィルムは、寸法を拘束して、ポリエステルのガラス転移温度を超えるが、その溶融温度未満の温度で熱硬化させて、ポリエステルの結晶化を誘発し、寸法を安定化することができ、かつ、それが好ましい。フィルムの収縮が、重要な関心事ではない用途では、フィルムを比較的低温で、熱硬化させることができ、または全く熱硬化させない。他方で、フィルムを熱硬化させる温度を上昇させると、フィルムの引裂き抵抗性が変化し得る。したがって、実際の熱硬化温度および時間は、フィルムの組成、および所期の用途により変動するであろうが、フィルムの引裂き抵抗性状が実質的に劣化するように選択すべきでない。これらの制約の中で、熱硬化温度約135°から205℃が一般に望ましい。
【0033】
多層フィルムの成形は、当技術分野で知られている任意の技術により、行うことができる。しかし、複合フィルムの成形は、マルチオリフィスダイの独立したオリフィスを通って、それぞれのフィルム形成層を同時押出しし、その後まだ溶融している層を一つに結合するか、または、好ましくは、それぞれのフィルム形成層の、溶融した材料流を、単一チャンネル同時押出しにより、ダイマニホールドに向かう1つのチャンネルに先ず結合し、その後、互いに混合することのない流線形の流れという条件のもとで、ダイオリフィスから一緒に押出すか、のいずれかにによって、同時押出しにより行うのが便利である。
【0034】
1つのこのような技術が、米国特許第3565985号(Schrenk他)中に開示されている。多層フィルムを作製する際、マルチマニホールドダイか、または、個々の層が積層流の条件のもとで合流して、一体化した多層フィルムをもたらすフィードブロック方法か、のいずれかにより、溶融体の同時押出しを行うことができる。より明確には、流動可能な状態にある各層の材料の別々の流れが、それぞれ所定の数の、より小さい副流に分割される。次いで、これらのより小さい流れが、所定のパターンの層に組み合わされて、流動可能な状態で、これらの材料層の配列を形成する。配列において、各層は、隣接する層に密着している。この配列は一般に、うず高く積重なった層を含み、次いでこれらの層を圧縮して、高さを縮める。マルチマニホールドダイによるアプローチでは、積重なりを圧縮する間、フィルム幅は一定であるが、フィードブロックによるアプローチでは、フィルム幅が広がる。いずれの場合も、比較的薄く、幅廣のフィルムが得られる。得られたフィルムを複数の個々のサブフィルムに分割し、次いでそれらを1つずつ積み重ねて、最終のフィルムにおける層数を増加させる、層多重化装置も使用できる。
【0035】
一実施形態において、下記に、かつ図1に記述するように、同時押出ししたポリマー材料の別々の層を含む複合流に層多重化装置を使用して、多層フィルムの調製を行うことができる。図1において、z軸は、第1の複合流の流動方向であり、x軸は、層界面の横寸法に沿って、第1の複合流について横方向に伸び、またy軸は、垂直に、層界面から離れて第1の複合流層の厚さ方向に伸びる:
(1)同時押出しした、ポリマー材料の別々の層を含む第1の複合流のx方向への広がり。その場合、層間の界面はx−z平面に存在する。
(2)多重の枝流への、x軸に沿った、第1の複合流の分割。
(3)z軸に沿って流れる間の枝流の再配列。枝流はy軸に沿って積み重ねられる。
(4)第2の複合流を形成する、枝流の再組合せ。
(5)y軸に沿う、第2の複合流の縮小。
【0036】
層多重化装置は、異なるポリマーを、同時押出しブロック中で組み合せている後の位置にある。溶融体が層多重化装置を出た後、溶融体はダイを通過し、所望の結晶度を有するフィルムへと製造される。任意の数の押出し機を使用しこの方法を実施して、所要の第1の複合流をもたらす。第1の複合流はまた、直列または並列に配置した、2つ以上の層多重化装置を使用して、層多重化を受けることもできる。
【0037】
多層フィルムを組み立てるのに、積層、コーティング、または押出しコーティングなどの他の製造技術を使用できる。例えば、積層では、光学的性質における必要な差異を有する複数の予備形成層を一緒に、温度および/または圧力のもとで(例えば、加熱した積層ローラ、または加熱したプレスを使用し)、互いに隣接する層に付着させる。フィルムはまた、1つまたは複数の予備形成層上に、1つまたは複数の層を連続的に注型することによっても、製造できる。多層フィルムの選択された層を前処理することが望ましい場合、または材料を容易に同時押出しできない場合、上述の溶融体同時押出し方法にまさる、押出しコーティングが好ましいであろう。押出しコーティングでは、第1の層は、注型したウェブ、一軸配向フィルム、または二軸配向フィルムのいずれかの上に押し出し、その後の層は、前にもたらした層上に逐次コーティングする。この方法を例示したものは、米国特許第3741253号である。
【0038】
多層フィルムの製造において、任意の組合せの、上記の方法技術を採用できる。例えば、3つ以上の押出し機の使用、および2つ以上の同時押出しフィルムの積層によって、より複雑な構造を有し、したがってより複雑化したコードを記憶可能なフィルムの生産が可能であろう。
【0039】
多層フィルムのそれぞれの層は、連続層である必要はない。したがって、所与の層を、フィルム全体に渡って連続または不連続とすることができる。フィルムの断面が、数学的コードを表示することを可能とするために、第一の要求条件は、所与の層が、隣接する層と、光学的に識別できなければならないことである。
【0040】
好ましい実施形態において、多層フィルムは、複数の白色層と、複数の暗色層とを備えている。
【0041】
本明細書で使用する用語「白色層」は、多層フィルムに存在する他のタイプの層よりも光を、好ましくは電磁スペクトルの可視領域における実質的に全ての波長の光を、相対的に多く反射するタイプの層を意味する。本明細書で使用する用語「暗色層」は、多層フィルムに存在する他のタイプの層よりも光を、好ましくは電磁スペクトルの可視領域における実質的に全ての波長の光を、相対的に少なく反射するタイプの層を意味する。好ましい実施形態において、本明細書で使用する用語「暗色層」は、多層フィルムに存在する他のタイプの層よりも光を、好ましくは電磁スペクトルの可視領域における実質的に全ての波長の光を、相対的に多く吸収し、または多く透過する、好ましくは多く吸収する、タイプの層を意味する。
【0042】
好ましい実施形態において、本明細書で使用する用語「白色層」は、その上に入射する光の電磁スペクトルの可視領域における実質的に全ての波長のものを反射する層を意味し、本明細書で使用する用語「暗色層」は、その上に入射する光の電磁スペクトルの可視領域における実質的に全ての波長のものを吸収する層を意味する。
【0043】
下記の記述は、本発明の多層フィルムの暗色および白色層による可視光の、それぞれ吸収および反射に関する、本発明の好ましい実施形態を対象とする。しかし、下記の節で詳細に記述する特定のフィルムは、本発明の原理を例示することだけを意図し、本発明はこのようなタイプのフィルムに限定されるものではないことを強調する。
【0044】
暗色層は不透明であり、そのことは、暗色層が、2.0を超える、好ましくは2.5から10、より好ましくは3.0から7.0、詳細には3.5から6.0、また特に4.5から5.5の範囲にある、本明細書で記述する透過光学濃度(TOD)を示すことをさす。前述のTOD範囲は特に、厚さ20μmの暗色層に適用できる。暗色層は、有効な量の、カーボンブラックなどの不透明化剤、またはアルミニウム粉末などの金属質充てん材を内蔵させることにより不透明とするのが便利である。カーボンブラック、特にファーネス型カーボンブラックとして知られるカーボンブラックが、特に好ましい不透明化剤である。
【0045】
暗色層は、第1の層のポリエステルの重量に対して0.05重量%から10重量%、より好ましくは1重量%から7重量%、詳細には2重量%から6重量%、また特に3重量%から5重量%の範囲にある、不透明化剤を含むのが好ましい。不透明化剤は、カーボンブラックのものが好ましく、0.005から10μm、より好ましくは0.01から1.5μm、特に0.015から0.1μm、また詳細には0.02から0.05μmの範囲にある、平均粒子直径を有するのが適当である。
【0046】
不透明化剤は、当技術分野で知られている従来の技術により測定した、20から300、より好ましくは50から200、また詳細には110から160m2gm−1の範囲にあるBET表面積を有することが好ましい。
【0047】
暗色層は、適正には灰色、または好ましくは黒色であり、その外部表面が、10から60、より好ましくは15から50、詳細には20から40、また特に25から35の範囲にある、国際照明委員会(CIE)実験室表色座標系L*値を示すのがより好ましい。
【0048】
本発明の一実施形態において、暗色層は追加的に、下記に記述する少なくとも1つの白化剤を含む。暗色層は、白色層中に存在する白化剤と同一の白化剤を含むのが好ましい。すなわち、暗色層および白色層は、少なくとも1つの共通の白化剤、好ましくは硫酸バリウム、を含むのが好ましい。暗色層は、白色層中に存在する同一の白化剤の重量に対して、5重量%から95重量%、より好ましくは10重量%から70重量%、詳細には20重量%から50重量%、また、特に25重量%から35重量%の範囲にある白化剤、好ましくは硫酸バリウム、を含むのが好ましい。
【0049】
暗色層の厚さは、0.1から50μm、より好ましくは0.2から20μm、詳細には0.5から15μm、また特に1から12μmの範囲にあるのが好ましい。
【0050】
白色層は,0.4から1.75、より好ましくは0.6から1.3、詳細には0.7から1.1、また特に0.8から1.0の範囲にある、透過光学濃度(TOD)を示すのが好ましい。前述のTOD範囲は特に、厚さ60μmの白色層に適用できる。白色層は、有効な量の白化剤を組み込むことにより白色にするのが便利である。適正な白化剤には、微粒無機充てん材、非相容性樹脂充てん材、または2つ以上のこのような充てん材の混合物が含まれる。
【0051】
白色層を作り出すのに適した微粒無機充てん材には、従来の無機顔料および充てん材と、アルミナ、シリカ、およびチタニアなどの特に金属またはメタロイド酸化物と、カルシウムおよびバリウムの炭酸塩および硫酸塩などのアルカリ金属塩が含まれる。適正な無機充てん材は均一とし、二酸化チタンまたは硫酸バリウムだけなど、本質的に単一の充てん材材料または化合物から構成することができる。別法として、少なくとも一部の充てん材を不均一とし、主な充てん材材料を、追加の改質成分と関連させることができる。例えば、主な充てん材粒子を、顔料、せっけん、界面活性剤カップリング剤、または他の改質剤などの、表面改質剤で処理して、充てん材が白色層ポリマーと相容性である度合を助長し、または変更することができる。
【0052】
適正な微粒無機充てん材は、非ボイディングまたはボイディングタイプのものとすることができる。ボイディング(voiding)とは、少なくとも一部の別々の閉じた気泡を内蔵する気泡構造を含むことをいう。硫酸バリウムは、ボイドの形成が得られる充てん材の一例である。二酸化チタンは、使用する特定の種類の二酸化チタンによって、ボイディングまたは非ボイディングタイプのものとすることができる。本発明の好ましい実施形態において、白色層は、二酸化チタンまたは硫酸バリウム、および特にこれらの混合物を含む。
【0053】
白色層に組み込む無機充てん材の量は、白色層ポリエステルの重量に対して、望ましくは5重量%以上、かつ60重量%未満とすべきである。特に満足される白色度のレベルは、充てん材の濃度が、白色層ポリエステルの重量に対して、好ましくは10重量%から55重量%、より好ましくは15重量%から50重量%、詳細には20重量%から45重量%、また、特に25重量%から35重量%の範囲にあるとき、達成される。発明の、特に好ましい実施形態において、白色層は、二酸化チタンおよび硫酸バリウムの混合物を含み、それらは3から0.3:1、より好ましくは2から0.5:1、詳細には1.5から0.7:1、また、特に1.1から0.9:1の範囲における重量比で存在することが好ましい。
【0054】
二酸化チタン充てん材粒子は、アナターゼ、またはルチル結晶形のものとすることができる。二酸化チタン粒子は、主部分がアナターゼ、より好ましくは少なくとも60重量%、詳細には少なくとも80重量%、また特におよそ100重量%のアナターゼを含むのが好ましい。その粒子は、塩化物方法を用い、または好ましくは硫酸塩方法によるなど、標準的手順により調製することができる。
【0055】
本発明の一実施形態において、二酸化チタン粒子を、好ましくは、アルミニウム、ケイ素、亜鉛、マグネシウム、またはそれらの混合物などの無機酸化物で被覆する。コーティングが追加的に、適正には8から30個、好ましくは12から24個の炭素原子を有する脂肪酸、および好ましくはアルカノールなどの有機化合物を含むのが好ましい。ポリジメチルシロキサンまたはポリメチル水素シロキサンなどのポリジオルガノシロキサンまたはポリオルガノ水素シロキサンが、適正な有機化合物である。
【0056】
コーティングは、水性懸濁液中で、二酸化チタン粒子に適正に施される。無機酸化物は、水性懸濁液中で、アルミン酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、硝酸アルミニム、ケイ酸、またはケイ酸ナトリウムなどの水溶性化合物から析出される。
【0057】
個々の、または一次二酸化チタン粒子は、電子顕微鏡で測定し、0.05から0.4μm、好ましくは0.1から0.3μm、またより好ましくは0.2から0.25μmの範囲にある、平均結晶粒径を有するのが適正である。本発明の好ましい実施形態において、主な二酸化チタン粒子は集合して、複数の二酸化チタン粒子を含むクラスタまたは集塊を形成する。一次二酸化チタン粒子の集合過程は、二酸化チタンの実際の合成の間、ならびに/またはポリエステルおよび/もしくはポリエステルフィルム製造プロセスの間に行われる可能性がある。
【0058】
無機充てん材、適正には集合した二酸化チタンおよび/または硫酸バリウム、は、0.1から1.5μm、より好ましくは0.2から1.2μm、詳細には0.4から1.0μm、また特に0.6から0.9μmの範囲にある、体積分布メディアン粒子直径(体積%を粒子の直径に関連づける、累積分布曲線上で読み取った全粒子の体積の50%に対応する球の直径に等しい−しばしば「D(v,0.5)」値と呼ぶ)を有する。
【0059】
白色層中に組み込まれるいずれの充てん材粒子も、20μmを超える実際の粒径を有するべきではないことが好ましい。このような粒径を超える粒子は、当技術分野で知られているふるい分け工程により除去できる。しかし、ふるい分け操作が、選択した粒径を超える全粒子の除去に必ずしも全体として成功するとは限らない。したがって、実際問題として、粒子数で99.9%の粒径が20μmを超えるべきではない。最も好ましくは、粒子の99.9%が10μmを超えるべきではない。充てん材粒子の少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%が体積分布メディアン粒子直径±0.5μm、および詳細には±0.3μm、の範囲内にあることが好ましい。
【0060】
本明細書において記述する充てん材粒子の粒径は、電子顕微鏡、クールタカウンタ、沈降分析、および静的もしくは動的光散乱により測定できる。レーザ光回折に基づく技術が好ましい。メディアン粒径は、選択した粒径未満の粒子体積の百分率を表わす累積分布曲線をプロットし、50番目の百分位数を測定することにより測定できる。充てん材粒子の体積分布メディアン粒子直径は、充てん材をエチレングリコール中に高せん断(例えばChemcoll)ミキサで分散させた後、Malvern Instruments Mastersize MS15 Particle Sizerを用い、適正に測定される。
【0061】
「非相容性樹脂」とは、白色層の押出しおよび製造中に遭遇する最高温度で、溶融しない、またはポリエステルと実質的に混和できない樹脂をいう。このような樹脂には、ポリエステルフィルム中に組み込むための、ポリアミドおよびオレフィンポリマー、詳細には、その分子中に炭素原子6個までを含有するモノアルファオレフィンのホモポリマーまたはコポリマーが含まれる。詳細にはポリエチレンテレフタレート白色層に組み込むのに、好ましい材料には、低密度または高密度ホモポリマー、詳細にはポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリ−4−メチルペンテン−1、などのオレフィンポリマー、オレフィンコポリマー、特にエチレン−プロピレンコポリマー、またはそれらの2つ以上の混合物が含まれる。ランダム、ブロック、またはグラフトコポリマーが使用できる。
【0062】
白色層内における前述のオレフィンポリマーの分散性は、所望の特性を付与するには不十分である。したがって、オレフィンポリマー軟化剤とともに分散剤を組み込むのが好ましい。分散剤は、カルボキシル化ポリオレフィン、詳細にはカルボキシル化ポリエチレン、を含むのが便利である。適正なカルボキシル化ポリオレフィンは、150〜100000センチポアズ(好ましくは150〜50000センチポアズ)の範囲にあるBrookfield粘度(140℃)、および、5〜200mgKOH/g(好ましくは5〜50mgKOH/g)の範囲にある酸価を有するものを含む。酸価は、ポリマー1gを中和するのに要するKOHmg数である。
【0063】
分散剤の量は、所要の度合の分散性をもたらすように選択できるが、オレフィンポリマーの重量に対して0.05重量%から50重量%、好ましくは0.5重量%から20重量%の範囲にあるのが、好都合である。
【0064】
白色層中に存在する非相容性樹脂充てん材の量は、白色層ポリエステルの重量に対して、2重量%から30重量%、より好ましくは3重量%から20重量%、詳細には4重量%から15重量%、また、特に5重量%から10重量%の範囲にあるのが好ましい。
【0065】
本発明の一実施形態において、白色層は、光学的光沢剤を含む。光学的光沢剤は、ポリマーまたはポリマーフィルム生産の任意の段階で含ませ得る。光学的光沢剤は、グリコールに添加し、または別法としてその後、ポリエステルフィルムの成形前に、例えば、押出しの間、注入によって、ポリエステルへの添加により添加するのが好ましい。光学的光沢剤は、白色層ポリエステルの重量に対して重量で、50から1500ppm、より好ましくは100から1000ppm、詳細には200から600ppm、また特に250から350ppm、の範囲にある量で添加するのが好ましい。適正な光学的光沢剤には、商品名「Uvitex」MES、「Uvitex」OB、「Leucopur」EGM、および「Eastobrite」OB−1、のもとで市販されているものが含まれる。
【0066】
暗色層および/または白色層の成分は、従来のやり方で一緒に混合できる。例えば、ポリエステルを得るモノマー反応物と混合することにより、または成分を、タンブルもしくは乾式ブレンディングすることにより、または押出し機中でコンパウンドさせることにより、ポリエステルと混合し、引続いて冷却し、かつ通常は、グラニュールまたはチップに粉砕する。別法として、マスターバッチ技術を使用することができる。
【0067】
白色層の表面は、本明細書に記載するように測定する、L*、a*およびb*についての、下記のCIE実験室表色座標系値を有することが好ましい。L*値は、適正には85を超え、好ましくは90から100、より好ましくは93から99、また詳細には95から98の範囲にある。a*値は、好ましくは−2から3、より好ましくは−1から2、詳細には0から1.5、また特に0.3から0.9の範囲にある。b*値は、好ましくは−10から0、より好ましくは−10から−3、詳細には−9から−5、また特に−8から−7の範囲にある。
【0068】
表色座標系値は、白色層のフィルム形成ポリエステル中に、青色および/またはマゼンタ染料などの、適正な染料を組み込むことにより修正できる。例えば、青色染料を、白色層ポリエステルの重量に対して、好ましくは10から1000ppm、より好ましくは30から500ppm、詳細には50から200ppm、また特に100から150ppm、の範囲にある濃度で使用できる。別法として、または追加として、マゼンタ染料を、白色層ポリエステルの重量に対して、好ましくは2から200ppm、より好ましくは4から100ppm、詳細には7から50ppm、また特に10から15ppm、の範囲にある濃度で使用できる。
【0069】
白色層の表面は、80から120、より好ましくは85から110、詳細には90から105、また特に95から100単位の範囲にある、本明細書に記述するように測定した、白色度指数を示すのが好ましい。
【0070】
白色層の厚さは、好ましくは0.1から50μm、より好ましくは0.2から20μm、詳細には0.5から15μm、また特に1から12μmの範囲にある。
【0071】
ポリエステルフィルム層は、所望される場合、ポリマーフィルムの製造に従来使用されている任意の添加剤を含有できる。したがって、染料、顔料、ボイディング剤、滑剤、酸化防止剤、ブロック防止剤、界面活性剤、滑り助剤、光沢改良剤、プロデグラダント(prodegradant)、難燃剤、紫外光安定剤、粘度改質剤、および分散性安定剤などの薬剤を適宜組み込むことができる。
【0072】
それぞれの層を識別するため、紫外波長のものの吸収および反射に関連した本発明の実施形態において、それぞれのタイプの層は、異なったレベルの1つまたは複数の紫外線(UV)吸収剤を含む。UV吸収剤は、本発明の多層フィルムの調製に使用する他の材料と相容性のある、当分野の技術者に知られている任意のものとすることができる。UV吸収剤は、電磁スペクトルの紫外領域にある、実質的に全ての波長、または紫外領域内の選択された波長帯域内の実質的に全ての波長を吸収することができる。2つのタイプの層、タイプAおよびタイプB、だけが存在する本発明の好ましい実施形態において、タイプAの層は、実質的に全くUV吸収剤を含まないが、タイプBの層は、適当なUV源および検出器を用いて分析した場合、タイプBの層をタイプAの層と識別するのに有効な量のUV吸収剤を含む。
【0073】
原則として、本発明において、任意の有機または無機UV吸収剤、具体的にはポリエステルとの使用に適したもの、を使用することができる。適正な例には、Encyclopaedia of Chemical Technology、Kirk−Othmer、第3版、John Wiley & Sons、23巻、615〜627ページに開示されている有機UV吸収剤が含まれる。UV吸収剤の特定な例には、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール(米国特許4684679号、米国特許4812498号、および米国特許4681905号)、ベンゾキサジノン(米国特許4446262号、米国特許5251064号、および米国特許5264539号)、およびトリアジン(米国特許3244708号、米国特許3843371号、米国特許4619956号、米国特許5288778号、および国際公開94/05645号)が含まれる。前述の文書の教示は、参照により本明細書に組み入れられている。UV吸収剤は、不揮発性であり、かつ製品の過度の黄色化をもたらさないことが好ましい。
【0074】
本発明の一実施形態において、UV吸収剤を化学的に、層形成ポリエステルの鎖内に組み込むことができる。例えば、それらの教示が、参照により本明細書に組み入れられている欧州特許A−0006686号、欧州特許A−0031202号、欧州特許A−0031203号、および欧州特許A−0076582号、中に記載されるように、ポリエステル中にベンゾフェノンを組み込むことにより、好ましいUV安定ポリエステルが生成される。
【0075】
本発明の好ましい実施形態において、UV吸収剤は、1つまたは複数のトリアジン、より好ましくはヒドロキシフェニルトリアジン、また詳細には式1のヒドロキシフェニルトリアジン化合物を含む:
【0076】
【化1】
【0077】
上式において、Rは水素、C1−C18アルキル、ハロゲンによりもしくはC1−C12アルコキシにより置換されたC2−C6アルキルであり、またはベンジルであり、またR1は水素またはメチルである。Rは、C1−C12アルキルまたはベンジル、より好ましくはC3−C6アルキル、また詳細にはヘキシルが好ましい。R1は、水素が好ましい。特に好ましいUV吸収剤は、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシル)オキシ−フェニルであり、Ciba−Additives社からTinuvin(商標)1577FFとして市販されている。好ましいUV吸収剤のさらなる例は、マロン酸ベンジリデンエステル(Sandoz社からSanduvor(商標)PR−25として市販)、およびベンゾキサジノン(Cytec社からCyasorb(商標)3638として市販)である。
【0078】
適正な無機UV吸収剤には、酸化亜鉛または二酸化チタンなどの金属酸化物粒子が含まれる。本明細書において前に記述したものなどの二酸化チタン粒子が特に好ましい。
【0079】
層中に組み込むUV吸収剤の量は一般に、その層のポリマーの重量に対して0.1重量%から10重量%、より好ましくは0.5重量%から9重量%、より好ましくは1.2重量%から8重量%、詳細には2重量%から6重量%、また、特に3.2重量%から5.5重量%の範囲にある。本発明の一実施形態では、有機UV吸収剤、好ましくはトリアジン、および無機UV吸収剤、好ましくは二酸化チタン、の両方が存在する。無機UV吸収剤の、有機UV吸収剤に対する、重量比率は、0.5から10:1、より好ましくは1から5:1、また詳細には1.5から2.5:1の範囲にあるのが好ましい。
【0080】
本発明のさらなる実施形態において、それぞれのタイプの層には、異なるように着色された顔料を組み込むことができる。この実施形態では、それぞれのタイプの層が、電磁スペクトルの可視領域における、異なった波長の光を反射するので、多層フィルム内の、それぞれのタイプの層を識別できる。別法として、それぞれのタイプの層には、電磁スペクトルの紫外領域における、異なった波長のUV光を吸収する、異なったUV吸収剤を組み込むことができる。多層フィルムにおいて、(i)選択された波長の、または実質的に全ての波長の可視光を反射するタイプの層、(ii)選択された波長の、または実質的に全ての波長の紫外光を反射するタイプの層、を組み合せることも可能である。この場合、もちろん、電磁スペクトルの、可視領域および紫外領域の両方の波長に渡って光学的に走査することが必要であろう。このやり方で、高度に複雑な層構造を作り出し、したがって複雑な機密保護コードを作成し、より大量の情報を記憶することが可能である。
【0081】
多層フィルムはまた、インク受容性コーティングを備えることもできる。インク受容性コーティングは、フィルムへのインクの付着性を改良し、その表面に容易に施すことができるインクの範囲を増大させる。インク受容性コーティングは、当分野の技術者によく知られている、任意のこのようなコーティングとすることができる。例えば、インク受容性コーティングは、その開示が参照により本明細書に組み入れられている、欧州特許A−0429179号に開示されるコーティングなど、アクリル成分、および架橋成分(例えば、メラミンホルムアルデヒド)を含むことができる。
【0082】
上記に示したように、多層フィルムの構造を、数学的コードなどの、コードに変換することができ、したがって、このようなフィルムを電子的に読み取り可能な情報により、必要な時および場合に検索するため、コード化することが可能である。情報の検索は、電子スキャナを使用して、フィルムの断面を光学的に走査することにより達成できる。フィルム構造を読み取る1つの方法は、例えば顕微鏡を使用して、フィルムの断面の顕微鏡写真を撮ることである。次いで、顕微鏡写真をディジタル化する、すなわち、当技術分野で知られている技術により、顕微鏡写真を画素(pixel)に分解し、それを解析することにより、数学的コードに変換する。数学的コードは、次いで、ローカルデータベースまたは遠隔のデータベースに記憶されているコードと相互に関連させ、必要な情報を検索する。しかし、多層フィルムを、1つの操作で走査し、かつディジタル化するのが好ましい。
【0083】
本発明のさらなる態様によって、本明細書に記述するように、本質的に、複数の白色層および複数の暗色層を備えている多層フィルムを提供する。
【0084】
本発明のさらなる態様によって、情報を記憶する方法を提供するものであり、その方法は、
(i)少なくとも2つの異なるタイプの層を備えている多層フィルムであって、それぞれのタイプの層が異なった光学的性質を示し、多層フィルムが、異なるタイプの層の少なくとも2つのそれぞれからなる、複数の層を備えている多層フィルムを提供するステップと、
(ii)フィルムの端部に沿ってフィルムの断面を光学的に走査することにより、フィルムの多層構造をコードに変換するステップと、
(iii)前記コードを、1つまたは複数の情報の項目に割り当てるステップと、
(iv)1つまたは複数の情報の項目、および、その項目に割り当てられたコードを含むデータベースを任意選択で提供するステップと
を含む。
【0085】
本発明のさらなる態様によって、記憶された情報を検索する方法を提供するものであり、その方法は、
(i)少なくとも2つの異なるタイプの層を備えている多層フィルムであって、それぞれのタイプの層が異なった光学的性質を示し、多層フィルムが、異なるタイプの層の少なくとも2つのそれぞれからなる、複数の層を備えている、多層フィルムを提供するステップと、
(ii)フィルムの端部に沿ってフィルムの断面を光学的に走査することにより多層フィルムに照会し、多層構造をコードに変換するステップと、
(iii)前記コードを、1つまたは複数の情報の項目と相互に関連させるステップと、
(iv)1つまたは複数の情報の項目、および、その項目に割り当てられたコードを含むデータベースを任意選択で提供するステップと
を含む。
【0086】
本発明のさらなる態様によって、偽造行為または詐欺行為に対して保護する方法を提供するものであり、その方法は、
(i)少なくとも2つの異なるタイプの層を備えている多層フィルムであって、それぞれのタイプの層が異なった光学的性質を示し、その多層フィルムが、異なるタイプの層の少なくとも2つのそれぞれからなる、複数の層を備えている、多層フィルムを提供するステップと、
(ii)フィルムの端部に沿ってフィルムの断面を光学的に走査することにより、フィルムの多層構造を第1のコードに変換するステップと、
(iii)第1のコードを、1つまたは複数の情報の項目に、任意選択で割り当てるステップと、
(iv)第1のコード、および任意選択で第1のコードに割り当てられた情報を、データベースに記憶するステップと
(v)フィルムの端部に沿ってフィルムの断面を光学的に走査することにより多層フィルムに照会し、多層構造を第2のコードに変換するステップと、
(vi)そのようにして得られた第2のコードを、データベース内に保持されている第1のコードと相互に関連させるステップと
を含む。
【0087】
本明細書に記述する方法において、コードは、数学的コード、または他の代表的コードとすることができる。
【0088】
図1を参照すると、2層複合溶融体の流れ(1)が、同時押出しブロック(2)へと進み、次いで、4レーンの層多重化装置(3)を通って進む。次いで、ポリマー材料は、ダイ(4)に進んで、8層複合体の流れ(5)を提供する。
【0089】
図2、図3、および図4を参照すると、顕微鏡写真が明瞭に、多層フィルムの交互の、白色および暗色層を示している。図4において、x軸はミクロンでのものであり、y軸は明るさを表わす。
【0090】
本明細書において、フィルムのある性状を測定するため、下記の試験方法を使用している:
(i)Machbeth Densitometer TR927(Dent and Woods Limited、Basingstoke、英国、から入手)を使用して、透過モードで、フィルムの透過光学濃度(TOD)を測定した。
(ii)白色層の外部表面のL*、a*およびb*表色座標系値(CIE(1976))、および白色度指数は、アメリカ材料試験協会(ASTM)D313に記載される原理に基づいて、Colorgard System 2000、Model/45(Pacific Scientificにより製造)を使用して測定した。
【0091】
本発明は、さらに、下記の実施例を参照することにより例示する。他に示さない限り、全ての部および百分率は、重量による。
【0092】
(実施例)
フィルムの調製
従来の同時押出し方法により成形した3層の白色/灰色/白色組成物を、層多重化装置を通過させることにより、構造(BABBABBABBAB、ただしB=白色層、およびA=灰色層)の、厚さ100μmを有する12層フィルムを調製した。
【0093】
従来のポリエステルフィルム製造ラインを使用し、12層フィルムを生産した。2台の押出し機を使用して、フィルムを生産した。二酸化チタン20%を含む白色ポリマーを、主押出し機中で押し出し、そのポリマーは全フィルムのおよそ62重量%を含んでいた。二酸化チタン20%、およびカーボンブラック0.5%を含む灰色ポリマーを、補押出し機中で押し出し、そのポリマーは全フィルムの約38重量%を含んでいた。これらのポリマーブレンドは両方とも、充てん材を含まないPETを、マスターバッチとブレンドすることにより作製した。
【0094】
ポリマーを独立して押し出すとすぐに、溶融体流は接合ブロックを通過させ、溶融体をBABの配列とした。ただし、Bが白色層であり、灰色がA層である。次いで、「カム型」射出ブロックを使用して、溶融体流を、所望の配列BABで接触させた。得られた複合3層溶融体流は、次いで、2台の溶融体スプリッタを通過させて、最終の構造BABBABBABBABが得られた。次いで、この12層溶融体流を、従来のダイを使用して、冷却した注型ロール上に押し出した。次いで、このフィルムを、80℃で機械方向に約3.0倍、110℃で横方向に3.3倍、逐次的に延伸した。
【0095】
注型したフィルムおよび配向させたフィルムの両方の、白色および灰色層の断面を顕微鏡下で観察し、顕微鏡写真を得た(図2および図3を参照されたい)。それらの画像を、下記に記述する手順で「ディジタル化」した。
【0096】
フィルム解析
パソコン(PC)上の画像は、多数の色の点、または画素からなる。画像の小部分をよく見ると、画素の集合体が現れる。それぞれの画素は、画素の色を構成するのに用いる赤、緑、および青の量を命令するRGB(赤緑青)値を使用して定義する。これらの値は、0から255の範囲にある。グレースケール(「黒および白」)画像の場合、画素は、灰色の陰影、したがって等量の赤、緑、および青、を使用して各画素の色を表わす。1つの画素について、グレースケール画像上に、RGB値の任意の1つを取ることにより、0(黒)から255(白)の範囲にある値で表わされる、画像上のその点の明るさが、効果的に調べられている。
【0097】
フィルムの層を識別するのに下記の方法を使用した:
1.拡大した端部上の画像を撮り、PCのタグ画像ファイルフォーマット(TIFF)に記憶した。TIFFは、画素色彩情報のほかにフォーマット化情報を内蔵する標準ビットマップ画像フォーマットである。画素色彩情報にアクセスするため、画像を、Rawデータフォーマット(Raw)に変換した(Paintshop Proを使用)。Rawフォーマットは画像を、それぞれの画素RGB値を表わす一連の8ビット2進数の値として記憶する。8ビット(1バイト)は、0と255の間の10進数を表わすことができ、したがって画素のRGB値を表わすことができる。3チャンネル(色彩)画像は1画素当り3バイトを使用するが、グレースケール画像は、1画素当り1バイトを使用するだけである。例えば、第1の5画素、したがって、グレースケール生データファイルの5バイト(8ビット=1バイト)は、下記の例のように見えるであろう。
例えば、10010001 00001000 01000010 00010001 11100001...
2.画像から、1画素の広さのサンプル面積を選択した。
3.Visual Basicアプリケーションを使用して、2進数Rawデータファイルをテキストファイルに変換し、それぞれのバイトにより表わされる10進数の値を生ファイル中に保持した。
4.エクセル97により、テキストファイル中に保持されているデータをスプレッドシート中に読み取り、そこから、それを使ってチャートをプロットすることができる。数学的フィルタを使用して、テキストファイルをバーコードに変換できる。
【0098】
実施例は、電子的に読み取ることができる情報で、多層フィルムをコード化することが可能であることを示している。より独特の機密保護コードを作り出すため、もちろん、フィルムの構造を変更して、実施例の、簡単な12層フィルムの構造よりも遥かに複雑な構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
多層フィルムを製造するのに使用できる、多層化装置を例示する概略図である。
【図2】
注型された多層フィルムの断面の顕微鏡写真である。
【図3】
配向された多層フィルムの断面の顕微鏡写真である。
【図4】
本明細書に記述されている手順によって、顕微鏡写真をディジタル化することにより得られた、明るさのプロフィル(またはRGB値)のプロットを、重ね合わせている、図2の顕微鏡写真である。
(発明の背景)
本発明は、異なる光学的性質に基づいて識別可能な、異なるタイプの層を備える多層フィルムの、情報の記憶および検索における使用に関する。多層フィルムは、偽造防止デバイスとしての用途を有する。
【0002】
偽造行為は、世界的に増加しており、また世界経済にとって年間2,500億ドル(約29.7兆円)以上の損害になる問題である。クレジットカード、文書、アパレル、ビデオ、自動車部品、および航空機部品を含めて、多くの製品が被害を受けている。
【0003】
一般に使用されている、情報を記憶するための1つのデバイスは、バーコードである。適当な装置およびソフトウェアを用いて光学的に走査した場合、バーコードを数学的コードとして表現できることが知られている。手持ちスキャナが、一般に使用される。次いで、この数学的コードを、所望の情報の検索のため、または検証の目的で、データベース中に記憶しているコードと相互に関連させることができる。データベースは、走査を行う地点に位置するローカルデータベースとすることができ、または遠隔的な位置とし、知られている電気通信手段によってアクセスできる。バーコードの1つの欠点は、バーコードの構造を容易に見分けることが可能なので、バーコードを容易に複製できることである。この理由のため、従来の光学的に走査されるバーコードは、偽造防止デバイスとして使用するのに、必ずしも特に適しているものではない。
【0004】
ホログラムなど、多くの他の既存偽造防止技術は、人間の目に視覚できる方法を利用している。裸眼では視覚できない、または見分けられない、したがって、複写するのが遥かに困難なコードを包含する技術を提供することが望ましいであろう。高度機密保護の応用分野における、1つのかなり最近の発展は、ラベル内部における表面下レーザマーキングを含むものである。この方法は高度の機密保護を提供するが、比較的複雑、かつ錯綜した作製およびデータ検索の方法を伴う。
【0005】
ポリエステルフィルムはすでに、カードおよびラベルの用途向けの基板として使用されている。フィルムの一体化機能として存在する機密保護機能は、このような用途におけるポリエステルフィルムの有用性を増すであろう。その内部に、裸眼では視覚できないコードが埋め込まれたポリエステルフィルムは、このような用途において特に有用性を有するであろう。
【0006】
多層フィルムの調製については、知られている。米国特許3647612号は、2つ以上の熱可塑性材料の流れを提供し、この2つ以上の流れを、複数の一般には平行層を有する単一の流れに整列し、この流れを分割し再び組み合せることにより流れを機械的に操作して、層の数を増加させ、次いで、この流れを薄いシートまたはフィルムに成形することを含む多層フィルムの調製方法を開示している。この層は、可視光に対して透明な、樹脂状材料からなり、多層フィルム構造が真珠光沢のある外観を有している。欧州特許0426636号は、透明な熱可塑性樹脂状材料の一般的に平行な複数の平行層を含む多層共押出し光反射フィルムを開示している。
【0007】
欧州特許0592284号は、硬いポリマー材料と延性のあるポリマー材料との交互層を有する引裂き抵抗性のある多層フィルムであって、ガラス張り部材の飛散防止用積層品として有用なものとすることができるフィルムを開示している。
【0008】
米国特許5759467号は、テレフタル酸ポリエステルとナフタレンジカルボン酸ポリエステルとの、複数の交互層を備える多層ポリエステルフィルムを開示している。このフィルムは、増加した引張り強さを有し、とりわけ、磁気媒体基板として有用であると教示されている。
【0009】
欧州特許0492894号は、流体質量中に界面を生成させることによる多層フィルム生産のための方法および装置を開示している。この方法は、第1の複合流を少なくとも2つの枝流に分割するステップと、枝流を再配置するステップと、1つの軸に沿って対称に広げるステップと、他の軸に沿って対称に縮めるステップと、枝流を、第1の複合流よりも多数の、別々のポリマー材料層を含む第2の複合流に再び組み合せるステップとであって、広げるステップおよび縮めるステップが、個々の枝流のいずれかについて、または第2の複合流について行われるステップを含む。
【0010】
国際公開98/06587号は、不透明な、好ましくは黒色の、2.0を超える光学濃度を有するコア層と、その両面上に、写真シートとして使用する、または他の画像用途向けの、白色の外側層とを有するポリエスエルフィルムを開示している。同様の用途向けに、国際公開98/07068号は、2.0を超える光学濃度を有する不透明な、好ましくは黒色の、第1の層と、白色の第2の層とを有するポリエスエルフィルムを開示している。
【0011】
利便性があり、高価でない、詐欺的行為と戦う技術であって、高いレベルの機密保護をもたらし、かつ、偽造に対する高度の抵抗性を有する技術を提供することが、本発明の目的である。
【0012】
(発明の概要)
本発明によって、情報を記憶し、または検索するのに多層フィルムを使用することを提供するものであり、前記情報は、フィルムの多層構造と相互に関連しており、また、前記多層フィルムは、少なくとも2つの異なるタイプの層を備える多層フィルムであり、その多層フィルムの使用においてそれぞれのタイプの層は異なった光学的性質を示し、かつ、その多層フィルムは、異なるタイプの層の少なくとも2つのそれぞれからなる、複数の層を備えている。
【0013】
本発明を、下記の図面を参照して例示する。
【0014】
(開示の詳細な説明)
好ましい実施形態において、それぞれのタイプの層の光学的性質における差異は、その上に入射する光に対する、それぞれのタイプの層の、異なった反射率に関連する。すなわち、1つのタイプの層は、その上に入射する光に対して、他のタイプの層よりも相対的に反射性が大きい。相対的反射率の差異は、電磁放射線の、何らかの波長または波長範囲に関連させることができる。電磁スペクトルの可視および紫外領域、またはそれらの一部、における波長が、特に注目される。したがって、好ましい実施形態において、それぞれのタイプの層は、可視光(または可視光の、選択された波長または波長範囲)に対する相対的反射率の差異、または紫外光(または紫外光の、選択された波長または波長範囲)に対する相対的反射率の差異を示している。代替的な実施形態において、それぞれのタイプの層は、平面偏光に対する、相対的反射率の差異を示している。
【0015】
代替的な実施形態において、それぞれのタイプの層の光学的性質における差異は、それぞれのタイプの層の、異なった蛍光性に関連する、すなわち、1つの種類の層は、他の種類の層よりも相対的に蛍光性が高い。
【0016】
光学的性質における差異が、電磁スペクトルの可視領域における光の、相対的反射率の差異であることが好ましい。それぞれのタイプの層が、その上に入射する可視光の実質的に全ての波長に対して、それらの相対的反射率の差異を示すことが、特に好ましい。
【0017】
フィルム内の層の数に関する上限は全くなく、1000層を超える層を有するフィルムを製造することが可能である。
【0018】
しかし、より少ない層を有するフィルムが、同様に本発明の目的に、合致する。一実施形態において、層の数は、4から100、好ましくは6から80、より好ましくは8から50、また特に10から30である。
【0019】
好ましい実施形態において、多層フィルムは、2つの異なった種類の層、すなわち、複数のタイプAの層、および複数のタイプBの層であって、タイプAの層が、タイプBの層の光学的性質と異なっており、かつタイプBの層の光学的性質から識別できる光学的性質を示す層だけを備えている。そのフィルムにおけるそれぞれのタイプの層の数は、2から1000を超えるまでである。
【0020】
特に好ましい実施形態において、多層フィルムは、その上に入射する光に関して、それらの相対的反射率に基づいて互いに識別できる、2つの異なるタイプの層、タイプAおよびタイプB、だけを備えている。この実施形態において、タイプAの層は、その上に入射する光を、50%を超えて、好ましくは65%を超えて、好ましくは80%を超えて、好ましくは90%を超えて、好ましくは95%を超えて、また好ましくは99%を超えて、反射するのが好ましく、また、タイプBの層は、その上に入射する光の50%未満、好ましくは65%未満、好ましくは80%未満、好ましくは90%未満、好ましくは95%未満、また好ましくは99%未満、を反射するのが好ましい。この実施形態において、タイプBの層は、その上に入射する光を、50%を超えて、好ましくは65%を超えて、好ましくは80%を超えて、好ましくは90%を超えて、好ましくは95%を超えて、また好ましくは99%を超えて、吸収するのが好ましい。
【0021】
したがって、多層フィルムは、その端部に沿ってフィルムの断面を見た場合、それらの光学的性質に基づいて識別できる一連の層を備えている。上記に示したように、適当な装置およびソフトウェアを用いて光学的に走査した場合、バーコードは数学的コードとして表現できる。対応する形で、多層フィルム構造も、適当な装置およびソフトウェアを用いて光学的に走査した場合、数学的コードとして表現することが可能である。したがって、従来のバーコードと同様な形で、電子スキャナを用いる光学的な走査により、多層フィルムを読み取り、かつ多層フィルムに照会することが可能である。したがって、真正性の照合、または情報の検索を求めて、多層フィルムに対し、その中に保持されるコードを検索すること、およびそのコードを、データベース内に保持されている情報と相互に関連させること、を照会することができる。
【0022】
標準バーコードは一般に、それぞれ異なる幅の、交替する白色および黒色の帯を備えている。同様に、多層フィルムの断面に保持される「バーコード」は、フィルムにおける隣接する層から、光学的に識別できる層を備えている。もちろん、フィルム内の各層の厚さは、従来のバーコードにおける、交替する白色および黒色の帯が、変動する幅のものであることと同様な形で、変動可能である。隣接する層から、光学的に識別できる層は、単一の別々の層からなることができ、または、それぞれが同一の光学的性質を有する、複数の個々の層から構成することができる。
【0023】
本発明において使用するための多層フィルムの合計厚さは、約5μmから約5mm、好ましくは約5μmから約1mm、好ましくは約5μmから約500μm、より好ましくは約12μmから約350μm、また詳細には約30μmから約200μm、の範囲にあることが好ましい。したがって、フィルムが、その断面内に保持する「バーコード」の大きさは、従来の光学的に走査するバーコードの大きさよりも、遥かに小さい。したがって、多層フィルムの「バーコード」の構造、およびその中に保持される情報は、世界的に多層ポリエステルフィルムを生産する装置のある場所がほとんどないので、複製するのは、不可能ではないにしても、遥かに困難であろう。
【0024】
さらに、大きさが小さいということは、多層フィルムの断面にある「バーコード」、およびその中に保持される情報が、専門的な装置なしには、アクセスするのが遥かに困難であろうことを意味する。それぞれの層の、光の可視領域における、光学的性質の差異に依存する、本発明の実施形態において、多層フィルムの別々の層は、通常、裸眼では視覚できないであろう。
【0025】
したがって、本発明において用いられる多層フィルムは、コードまたは指紋を内蔵することができ、高いレベルの機密保護を要する用途における使用に適している。したがって、本発明は、機密保護情報のコード化を要する、または、商品の出所もしくはサービスが重要かつ価値がある、銀行券、旅券、身分証明書、入力カード、銀行カードおよびクレジットカード、高品質の商品向けラベル、包装、ならびに、任意の他の用途などの、機密保護および詐欺的行為防止の方法における、広範な用途を有することができるであろう。本発明において用いられる多層フィルムは、作製方法およびデータ検索方法がより低コストで、かつより効率的であろうという点で、例えば、機密保護ラベル内の表面下レーザマーキングにまさる利点を有するであろう。
【0026】
その上、上記に示したように、ポリエステルフィルムはすでに、機密保護カードおよびラベルの用途に基板として使用されている。したがって、本発明において使用する多層フィルムは、基板としても、また機密保護デバイスそれ自体としてもともに機能し、それによりコストを低減させるであろう。製造の効率および経済性改善のほかに、本発明はまた、機密保護のレベル向上に関する利点をも提供する。上記に示したように、世界的に多層ポリエステルフィルムを生産する装置のある地点はほとんどない。その上さらに、「付加的な」システムである機密保護システム、すなわち、そのシステムにおいて、機密保護デバイスが身分証明書またはクレジットカードなどの物品に適用され、または内蔵されるシステムに関して、本発明による、一体型基板/機密保護デバイスの一元的製造方法は、機密保護デバイス、またはその中のコード、が盗難、または不注意な開示によって入手されてしまう危険性を低減している。
【0027】
多層フィルムの層は、1つまたは複数のジカルボン酸、またはそれらの低位アルキル(炭素原子6個まで)ジエステル、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,5−、2,6−、もしくは2,7−ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、ヘキサヒドロ−テレフタル酸、または1,2−ビス−p−カルボキシフェノキシエタン(場合によっては、ピバル酸などのモノカルボン酸とともに)を、1つまたは複数のグリコール、明確には脂肪族または環状脂肪族グリコール、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、および1,4−シクロヘキサンジメタノール、と縮合させることにより得られる、合成線状ポリマーなどの任意のフィルム形成材料から成形できる。脂肪族グリコールが好ましい。ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートが、好ましいポリエステルである。ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
【0028】
本発明の好ましい実施形態において、多層フィルムの、それぞれのタイプの層は、同一の材料、好ましくは同一のポリエステルを含む。溶融点が低い方の材料が劣化することのないように、種々の層を含む材料が同一の温度で処理可能であり、かつ、同様な溶融体粘度を有することが好ましい。したがって、各層の材料の特性によって、滞留時間および処理温度を調節しなければならないであろう。これらの層が、結晶性および/または半結晶性ポリエステル材料を含むことも好ましい。
【0029】
多層フィルムにおける、それぞれのタイプの層を、一軸配向させることができるが、フィルム平面内で2つの互いに垂直な方向に引張ることにより二軸配向させて、機械的性質および物理性状の満足される組合せを達成するのが好ましい。配向は、配向したフィルムを生産するため、当技術分野で知られている任意の方法、例えばインフレーション方法(tubular process)またはフラットフィルム方法、によって、行うことができる。
【0030】
インフレーション方法では、熱可塑性ポリエステルチューブを押出し、その後これを急冷し、再加熱し、次いで、内部ガス圧により広げて、横配向を誘発し、かつ縦配向を誘発する速度で延伸させることにより、同時に二軸配向を行うことができる。
【0031】
好ましいフラットフィルム方法では、層形成ポリエステルを、スロットダイを通して押出し、冷却した注型ドラム上で迅速に急冷して、ポリエステルが確実に無定形状態まで急冷されるようにする。次いで、ポリエステルのガラス転移温度を超える温度で、急冷した押出し物を少なくとも1つの方向に延伸することにより、配向を行う。平坦な、急冷された押出し物を、フィルム延伸機を通し、最初1つの方向に、通常は縦方向、すなわち前方方向に、次いで横方向に延伸させ、逐次的配向を行うことができる。押出し物の前方延伸が、1組の回転するロール上で、または2対のニップロール間で便利に行われ、次いで横延伸が、テンタ装置内で行われる。延伸は、ポリエステルの性質によって決まる範囲まで行うものとし、例えば、ポリエチレンテレフタレートは通常、配向されたフィルムの寸法が、延伸のその方向、またはそれぞれの方向における原寸法の2から5、より好ましくは2.5から4.5倍になるように延伸させる。1方向だけの配向を要する場合、より大きい引張り比(例えば、約8倍まで)を使用できる。バランスのとれた性状が所望される場合には、それが好ましいことであるが、機械方向および横方向に、等しく延伸する必要はない。
【0032】
延伸したフィルムは、寸法を拘束して、ポリエステルのガラス転移温度を超えるが、その溶融温度未満の温度で熱硬化させて、ポリエステルの結晶化を誘発し、寸法を安定化することができ、かつ、それが好ましい。フィルムの収縮が、重要な関心事ではない用途では、フィルムを比較的低温で、熱硬化させることができ、または全く熱硬化させない。他方で、フィルムを熱硬化させる温度を上昇させると、フィルムの引裂き抵抗性が変化し得る。したがって、実際の熱硬化温度および時間は、フィルムの組成、および所期の用途により変動するであろうが、フィルムの引裂き抵抗性状が実質的に劣化するように選択すべきでない。これらの制約の中で、熱硬化温度約135°から205℃が一般に望ましい。
【0033】
多層フィルムの成形は、当技術分野で知られている任意の技術により、行うことができる。しかし、複合フィルムの成形は、マルチオリフィスダイの独立したオリフィスを通って、それぞれのフィルム形成層を同時押出しし、その後まだ溶融している層を一つに結合するか、または、好ましくは、それぞれのフィルム形成層の、溶融した材料流を、単一チャンネル同時押出しにより、ダイマニホールドに向かう1つのチャンネルに先ず結合し、その後、互いに混合することのない流線形の流れという条件のもとで、ダイオリフィスから一緒に押出すか、のいずれかにによって、同時押出しにより行うのが便利である。
【0034】
1つのこのような技術が、米国特許第3565985号(Schrenk他)中に開示されている。多層フィルムを作製する際、マルチマニホールドダイか、または、個々の層が積層流の条件のもとで合流して、一体化した多層フィルムをもたらすフィードブロック方法か、のいずれかにより、溶融体の同時押出しを行うことができる。より明確には、流動可能な状態にある各層の材料の別々の流れが、それぞれ所定の数の、より小さい副流に分割される。次いで、これらのより小さい流れが、所定のパターンの層に組み合わされて、流動可能な状態で、これらの材料層の配列を形成する。配列において、各層は、隣接する層に密着している。この配列は一般に、うず高く積重なった層を含み、次いでこれらの層を圧縮して、高さを縮める。マルチマニホールドダイによるアプローチでは、積重なりを圧縮する間、フィルム幅は一定であるが、フィードブロックによるアプローチでは、フィルム幅が広がる。いずれの場合も、比較的薄く、幅廣のフィルムが得られる。得られたフィルムを複数の個々のサブフィルムに分割し、次いでそれらを1つずつ積み重ねて、最終のフィルムにおける層数を増加させる、層多重化装置も使用できる。
【0035】
一実施形態において、下記に、かつ図1に記述するように、同時押出ししたポリマー材料の別々の層を含む複合流に層多重化装置を使用して、多層フィルムの調製を行うことができる。図1において、z軸は、第1の複合流の流動方向であり、x軸は、層界面の横寸法に沿って、第1の複合流について横方向に伸び、またy軸は、垂直に、層界面から離れて第1の複合流層の厚さ方向に伸びる:
(1)同時押出しした、ポリマー材料の別々の層を含む第1の複合流のx方向への広がり。その場合、層間の界面はx−z平面に存在する。
(2)多重の枝流への、x軸に沿った、第1の複合流の分割。
(3)z軸に沿って流れる間の枝流の再配列。枝流はy軸に沿って積み重ねられる。
(4)第2の複合流を形成する、枝流の再組合せ。
(5)y軸に沿う、第2の複合流の縮小。
【0036】
層多重化装置は、異なるポリマーを、同時押出しブロック中で組み合せている後の位置にある。溶融体が層多重化装置を出た後、溶融体はダイを通過し、所望の結晶度を有するフィルムへと製造される。任意の数の押出し機を使用しこの方法を実施して、所要の第1の複合流をもたらす。第1の複合流はまた、直列または並列に配置した、2つ以上の層多重化装置を使用して、層多重化を受けることもできる。
【0037】
多層フィルムを組み立てるのに、積層、コーティング、または押出しコーティングなどの他の製造技術を使用できる。例えば、積層では、光学的性質における必要な差異を有する複数の予備形成層を一緒に、温度および/または圧力のもとで(例えば、加熱した積層ローラ、または加熱したプレスを使用し)、互いに隣接する層に付着させる。フィルムはまた、1つまたは複数の予備形成層上に、1つまたは複数の層を連続的に注型することによっても、製造できる。多層フィルムの選択された層を前処理することが望ましい場合、または材料を容易に同時押出しできない場合、上述の溶融体同時押出し方法にまさる、押出しコーティングが好ましいであろう。押出しコーティングでは、第1の層は、注型したウェブ、一軸配向フィルム、または二軸配向フィルムのいずれかの上に押し出し、その後の層は、前にもたらした層上に逐次コーティングする。この方法を例示したものは、米国特許第3741253号である。
【0038】
多層フィルムの製造において、任意の組合せの、上記の方法技術を採用できる。例えば、3つ以上の押出し機の使用、および2つ以上の同時押出しフィルムの積層によって、より複雑な構造を有し、したがってより複雑化したコードを記憶可能なフィルムの生産が可能であろう。
【0039】
多層フィルムのそれぞれの層は、連続層である必要はない。したがって、所与の層を、フィルム全体に渡って連続または不連続とすることができる。フィルムの断面が、数学的コードを表示することを可能とするために、第一の要求条件は、所与の層が、隣接する層と、光学的に識別できなければならないことである。
【0040】
好ましい実施形態において、多層フィルムは、複数の白色層と、複数の暗色層とを備えている。
【0041】
本明細書で使用する用語「白色層」は、多層フィルムに存在する他のタイプの層よりも光を、好ましくは電磁スペクトルの可視領域における実質的に全ての波長の光を、相対的に多く反射するタイプの層を意味する。本明細書で使用する用語「暗色層」は、多層フィルムに存在する他のタイプの層よりも光を、好ましくは電磁スペクトルの可視領域における実質的に全ての波長の光を、相対的に少なく反射するタイプの層を意味する。好ましい実施形態において、本明細書で使用する用語「暗色層」は、多層フィルムに存在する他のタイプの層よりも光を、好ましくは電磁スペクトルの可視領域における実質的に全ての波長の光を、相対的に多く吸収し、または多く透過する、好ましくは多く吸収する、タイプの層を意味する。
【0042】
好ましい実施形態において、本明細書で使用する用語「白色層」は、その上に入射する光の電磁スペクトルの可視領域における実質的に全ての波長のものを反射する層を意味し、本明細書で使用する用語「暗色層」は、その上に入射する光の電磁スペクトルの可視領域における実質的に全ての波長のものを吸収する層を意味する。
【0043】
下記の記述は、本発明の多層フィルムの暗色および白色層による可視光の、それぞれ吸収および反射に関する、本発明の好ましい実施形態を対象とする。しかし、下記の節で詳細に記述する特定のフィルムは、本発明の原理を例示することだけを意図し、本発明はこのようなタイプのフィルムに限定されるものではないことを強調する。
【0044】
暗色層は不透明であり、そのことは、暗色層が、2.0を超える、好ましくは2.5から10、より好ましくは3.0から7.0、詳細には3.5から6.0、また特に4.5から5.5の範囲にある、本明細書で記述する透過光学濃度(TOD)を示すことをさす。前述のTOD範囲は特に、厚さ20μmの暗色層に適用できる。暗色層は、有効な量の、カーボンブラックなどの不透明化剤、またはアルミニウム粉末などの金属質充てん材を内蔵させることにより不透明とするのが便利である。カーボンブラック、特にファーネス型カーボンブラックとして知られるカーボンブラックが、特に好ましい不透明化剤である。
【0045】
暗色層は、第1の層のポリエステルの重量に対して0.05重量%から10重量%、より好ましくは1重量%から7重量%、詳細には2重量%から6重量%、また特に3重量%から5重量%の範囲にある、不透明化剤を含むのが好ましい。不透明化剤は、カーボンブラックのものが好ましく、0.005から10μm、より好ましくは0.01から1.5μm、特に0.015から0.1μm、また詳細には0.02から0.05μmの範囲にある、平均粒子直径を有するのが適当である。
【0046】
不透明化剤は、当技術分野で知られている従来の技術により測定した、20から300、より好ましくは50から200、また詳細には110から160m2gm−1の範囲にあるBET表面積を有することが好ましい。
【0047】
暗色層は、適正には灰色、または好ましくは黒色であり、その外部表面が、10から60、より好ましくは15から50、詳細には20から40、また特に25から35の範囲にある、国際照明委員会(CIE)実験室表色座標系L*値を示すのがより好ましい。
【0048】
本発明の一実施形態において、暗色層は追加的に、下記に記述する少なくとも1つの白化剤を含む。暗色層は、白色層中に存在する白化剤と同一の白化剤を含むのが好ましい。すなわち、暗色層および白色層は、少なくとも1つの共通の白化剤、好ましくは硫酸バリウム、を含むのが好ましい。暗色層は、白色層中に存在する同一の白化剤の重量に対して、5重量%から95重量%、より好ましくは10重量%から70重量%、詳細には20重量%から50重量%、また、特に25重量%から35重量%の範囲にある白化剤、好ましくは硫酸バリウム、を含むのが好ましい。
【0049】
暗色層の厚さは、0.1から50μm、より好ましくは0.2から20μm、詳細には0.5から15μm、また特に1から12μmの範囲にあるのが好ましい。
【0050】
白色層は,0.4から1.75、より好ましくは0.6から1.3、詳細には0.7から1.1、また特に0.8から1.0の範囲にある、透過光学濃度(TOD)を示すのが好ましい。前述のTOD範囲は特に、厚さ60μmの白色層に適用できる。白色層は、有効な量の白化剤を組み込むことにより白色にするのが便利である。適正な白化剤には、微粒無機充てん材、非相容性樹脂充てん材、または2つ以上のこのような充てん材の混合物が含まれる。
【0051】
白色層を作り出すのに適した微粒無機充てん材には、従来の無機顔料および充てん材と、アルミナ、シリカ、およびチタニアなどの特に金属またはメタロイド酸化物と、カルシウムおよびバリウムの炭酸塩および硫酸塩などのアルカリ金属塩が含まれる。適正な無機充てん材は均一とし、二酸化チタンまたは硫酸バリウムだけなど、本質的に単一の充てん材材料または化合物から構成することができる。別法として、少なくとも一部の充てん材を不均一とし、主な充てん材材料を、追加の改質成分と関連させることができる。例えば、主な充てん材粒子を、顔料、せっけん、界面活性剤カップリング剤、または他の改質剤などの、表面改質剤で処理して、充てん材が白色層ポリマーと相容性である度合を助長し、または変更することができる。
【0052】
適正な微粒無機充てん材は、非ボイディングまたはボイディングタイプのものとすることができる。ボイディング(voiding)とは、少なくとも一部の別々の閉じた気泡を内蔵する気泡構造を含むことをいう。硫酸バリウムは、ボイドの形成が得られる充てん材の一例である。二酸化チタンは、使用する特定の種類の二酸化チタンによって、ボイディングまたは非ボイディングタイプのものとすることができる。本発明の好ましい実施形態において、白色層は、二酸化チタンまたは硫酸バリウム、および特にこれらの混合物を含む。
【0053】
白色層に組み込む無機充てん材の量は、白色層ポリエステルの重量に対して、望ましくは5重量%以上、かつ60重量%未満とすべきである。特に満足される白色度のレベルは、充てん材の濃度が、白色層ポリエステルの重量に対して、好ましくは10重量%から55重量%、より好ましくは15重量%から50重量%、詳細には20重量%から45重量%、また、特に25重量%から35重量%の範囲にあるとき、達成される。発明の、特に好ましい実施形態において、白色層は、二酸化チタンおよび硫酸バリウムの混合物を含み、それらは3から0.3:1、より好ましくは2から0.5:1、詳細には1.5から0.7:1、また、特に1.1から0.9:1の範囲における重量比で存在することが好ましい。
【0054】
二酸化チタン充てん材粒子は、アナターゼ、またはルチル結晶形のものとすることができる。二酸化チタン粒子は、主部分がアナターゼ、より好ましくは少なくとも60重量%、詳細には少なくとも80重量%、また特におよそ100重量%のアナターゼを含むのが好ましい。その粒子は、塩化物方法を用い、または好ましくは硫酸塩方法によるなど、標準的手順により調製することができる。
【0055】
本発明の一実施形態において、二酸化チタン粒子を、好ましくは、アルミニウム、ケイ素、亜鉛、マグネシウム、またはそれらの混合物などの無機酸化物で被覆する。コーティングが追加的に、適正には8から30個、好ましくは12から24個の炭素原子を有する脂肪酸、および好ましくはアルカノールなどの有機化合物を含むのが好ましい。ポリジメチルシロキサンまたはポリメチル水素シロキサンなどのポリジオルガノシロキサンまたはポリオルガノ水素シロキサンが、適正な有機化合物である。
【0056】
コーティングは、水性懸濁液中で、二酸化チタン粒子に適正に施される。無機酸化物は、水性懸濁液中で、アルミン酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、硝酸アルミニム、ケイ酸、またはケイ酸ナトリウムなどの水溶性化合物から析出される。
【0057】
個々の、または一次二酸化チタン粒子は、電子顕微鏡で測定し、0.05から0.4μm、好ましくは0.1から0.3μm、またより好ましくは0.2から0.25μmの範囲にある、平均結晶粒径を有するのが適正である。本発明の好ましい実施形態において、主な二酸化チタン粒子は集合して、複数の二酸化チタン粒子を含むクラスタまたは集塊を形成する。一次二酸化チタン粒子の集合過程は、二酸化チタンの実際の合成の間、ならびに/またはポリエステルおよび/もしくはポリエステルフィルム製造プロセスの間に行われる可能性がある。
【0058】
無機充てん材、適正には集合した二酸化チタンおよび/または硫酸バリウム、は、0.1から1.5μm、より好ましくは0.2から1.2μm、詳細には0.4から1.0μm、また特に0.6から0.9μmの範囲にある、体積分布メディアン粒子直径(体積%を粒子の直径に関連づける、累積分布曲線上で読み取った全粒子の体積の50%に対応する球の直径に等しい−しばしば「D(v,0.5)」値と呼ぶ)を有する。
【0059】
白色層中に組み込まれるいずれの充てん材粒子も、20μmを超える実際の粒径を有するべきではないことが好ましい。このような粒径を超える粒子は、当技術分野で知られているふるい分け工程により除去できる。しかし、ふるい分け操作が、選択した粒径を超える全粒子の除去に必ずしも全体として成功するとは限らない。したがって、実際問題として、粒子数で99.9%の粒径が20μmを超えるべきではない。最も好ましくは、粒子の99.9%が10μmを超えるべきではない。充てん材粒子の少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%が体積分布メディアン粒子直径±0.5μm、および詳細には±0.3μm、の範囲内にあることが好ましい。
【0060】
本明細書において記述する充てん材粒子の粒径は、電子顕微鏡、クールタカウンタ、沈降分析、および静的もしくは動的光散乱により測定できる。レーザ光回折に基づく技術が好ましい。メディアン粒径は、選択した粒径未満の粒子体積の百分率を表わす累積分布曲線をプロットし、50番目の百分位数を測定することにより測定できる。充てん材粒子の体積分布メディアン粒子直径は、充てん材をエチレングリコール中に高せん断(例えばChemcoll)ミキサで分散させた後、Malvern Instruments Mastersize MS15 Particle Sizerを用い、適正に測定される。
【0061】
「非相容性樹脂」とは、白色層の押出しおよび製造中に遭遇する最高温度で、溶融しない、またはポリエステルと実質的に混和できない樹脂をいう。このような樹脂には、ポリエステルフィルム中に組み込むための、ポリアミドおよびオレフィンポリマー、詳細には、その分子中に炭素原子6個までを含有するモノアルファオレフィンのホモポリマーまたはコポリマーが含まれる。詳細にはポリエチレンテレフタレート白色層に組み込むのに、好ましい材料には、低密度または高密度ホモポリマー、詳細にはポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリ−4−メチルペンテン−1、などのオレフィンポリマー、オレフィンコポリマー、特にエチレン−プロピレンコポリマー、またはそれらの2つ以上の混合物が含まれる。ランダム、ブロック、またはグラフトコポリマーが使用できる。
【0062】
白色層内における前述のオレフィンポリマーの分散性は、所望の特性を付与するには不十分である。したがって、オレフィンポリマー軟化剤とともに分散剤を組み込むのが好ましい。分散剤は、カルボキシル化ポリオレフィン、詳細にはカルボキシル化ポリエチレン、を含むのが便利である。適正なカルボキシル化ポリオレフィンは、150〜100000センチポアズ(好ましくは150〜50000センチポアズ)の範囲にあるBrookfield粘度(140℃)、および、5〜200mgKOH/g(好ましくは5〜50mgKOH/g)の範囲にある酸価を有するものを含む。酸価は、ポリマー1gを中和するのに要するKOHmg数である。
【0063】
分散剤の量は、所要の度合の分散性をもたらすように選択できるが、オレフィンポリマーの重量に対して0.05重量%から50重量%、好ましくは0.5重量%から20重量%の範囲にあるのが、好都合である。
【0064】
白色層中に存在する非相容性樹脂充てん材の量は、白色層ポリエステルの重量に対して、2重量%から30重量%、より好ましくは3重量%から20重量%、詳細には4重量%から15重量%、また、特に5重量%から10重量%の範囲にあるのが好ましい。
【0065】
本発明の一実施形態において、白色層は、光学的光沢剤を含む。光学的光沢剤は、ポリマーまたはポリマーフィルム生産の任意の段階で含ませ得る。光学的光沢剤は、グリコールに添加し、または別法としてその後、ポリエステルフィルムの成形前に、例えば、押出しの間、注入によって、ポリエステルへの添加により添加するのが好ましい。光学的光沢剤は、白色層ポリエステルの重量に対して重量で、50から1500ppm、より好ましくは100から1000ppm、詳細には200から600ppm、また特に250から350ppm、の範囲にある量で添加するのが好ましい。適正な光学的光沢剤には、商品名「Uvitex」MES、「Uvitex」OB、「Leucopur」EGM、および「Eastobrite」OB−1、のもとで市販されているものが含まれる。
【0066】
暗色層および/または白色層の成分は、従来のやり方で一緒に混合できる。例えば、ポリエステルを得るモノマー反応物と混合することにより、または成分を、タンブルもしくは乾式ブレンディングすることにより、または押出し機中でコンパウンドさせることにより、ポリエステルと混合し、引続いて冷却し、かつ通常は、グラニュールまたはチップに粉砕する。別法として、マスターバッチ技術を使用することができる。
【0067】
白色層の表面は、本明細書に記載するように測定する、L*、a*およびb*についての、下記のCIE実験室表色座標系値を有することが好ましい。L*値は、適正には85を超え、好ましくは90から100、より好ましくは93から99、また詳細には95から98の範囲にある。a*値は、好ましくは−2から3、より好ましくは−1から2、詳細には0から1.5、また特に0.3から0.9の範囲にある。b*値は、好ましくは−10から0、より好ましくは−10から−3、詳細には−9から−5、また特に−8から−7の範囲にある。
【0068】
表色座標系値は、白色層のフィルム形成ポリエステル中に、青色および/またはマゼンタ染料などの、適正な染料を組み込むことにより修正できる。例えば、青色染料を、白色層ポリエステルの重量に対して、好ましくは10から1000ppm、より好ましくは30から500ppm、詳細には50から200ppm、また特に100から150ppm、の範囲にある濃度で使用できる。別法として、または追加として、マゼンタ染料を、白色層ポリエステルの重量に対して、好ましくは2から200ppm、より好ましくは4から100ppm、詳細には7から50ppm、また特に10から15ppm、の範囲にある濃度で使用できる。
【0069】
白色層の表面は、80から120、より好ましくは85から110、詳細には90から105、また特に95から100単位の範囲にある、本明細書に記述するように測定した、白色度指数を示すのが好ましい。
【0070】
白色層の厚さは、好ましくは0.1から50μm、より好ましくは0.2から20μm、詳細には0.5から15μm、また特に1から12μmの範囲にある。
【0071】
ポリエステルフィルム層は、所望される場合、ポリマーフィルムの製造に従来使用されている任意の添加剤を含有できる。したがって、染料、顔料、ボイディング剤、滑剤、酸化防止剤、ブロック防止剤、界面活性剤、滑り助剤、光沢改良剤、プロデグラダント(prodegradant)、難燃剤、紫外光安定剤、粘度改質剤、および分散性安定剤などの薬剤を適宜組み込むことができる。
【0072】
それぞれの層を識別するため、紫外波長のものの吸収および反射に関連した本発明の実施形態において、それぞれのタイプの層は、異なったレベルの1つまたは複数の紫外線(UV)吸収剤を含む。UV吸収剤は、本発明の多層フィルムの調製に使用する他の材料と相容性のある、当分野の技術者に知られている任意のものとすることができる。UV吸収剤は、電磁スペクトルの紫外領域にある、実質的に全ての波長、または紫外領域内の選択された波長帯域内の実質的に全ての波長を吸収することができる。2つのタイプの層、タイプAおよびタイプB、だけが存在する本発明の好ましい実施形態において、タイプAの層は、実質的に全くUV吸収剤を含まないが、タイプBの層は、適当なUV源および検出器を用いて分析した場合、タイプBの層をタイプAの層と識別するのに有効な量のUV吸収剤を含む。
【0073】
原則として、本発明において、任意の有機または無機UV吸収剤、具体的にはポリエステルとの使用に適したもの、を使用することができる。適正な例には、Encyclopaedia of Chemical Technology、Kirk−Othmer、第3版、John Wiley & Sons、23巻、615〜627ページに開示されている有機UV吸収剤が含まれる。UV吸収剤の特定な例には、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール(米国特許4684679号、米国特許4812498号、および米国特許4681905号)、ベンゾキサジノン(米国特許4446262号、米国特許5251064号、および米国特許5264539号)、およびトリアジン(米国特許3244708号、米国特許3843371号、米国特許4619956号、米国特許5288778号、および国際公開94/05645号)が含まれる。前述の文書の教示は、参照により本明細書に組み入れられている。UV吸収剤は、不揮発性であり、かつ製品の過度の黄色化をもたらさないことが好ましい。
【0074】
本発明の一実施形態において、UV吸収剤を化学的に、層形成ポリエステルの鎖内に組み込むことができる。例えば、それらの教示が、参照により本明細書に組み入れられている欧州特許A−0006686号、欧州特許A−0031202号、欧州特許A−0031203号、および欧州特許A−0076582号、中に記載されるように、ポリエステル中にベンゾフェノンを組み込むことにより、好ましいUV安定ポリエステルが生成される。
【0075】
本発明の好ましい実施形態において、UV吸収剤は、1つまたは複数のトリアジン、より好ましくはヒドロキシフェニルトリアジン、また詳細には式1のヒドロキシフェニルトリアジン化合物を含む:
【0076】
【化1】
【0077】
上式において、Rは水素、C1−C18アルキル、ハロゲンによりもしくはC1−C12アルコキシにより置換されたC2−C6アルキルであり、またはベンジルであり、またR1は水素またはメチルである。Rは、C1−C12アルキルまたはベンジル、より好ましくはC3−C6アルキル、また詳細にはヘキシルが好ましい。R1は、水素が好ましい。特に好ましいUV吸収剤は、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシル)オキシ−フェニルであり、Ciba−Additives社からTinuvin(商標)1577FFとして市販されている。好ましいUV吸収剤のさらなる例は、マロン酸ベンジリデンエステル(Sandoz社からSanduvor(商標)PR−25として市販)、およびベンゾキサジノン(Cytec社からCyasorb(商標)3638として市販)である。
【0078】
適正な無機UV吸収剤には、酸化亜鉛または二酸化チタンなどの金属酸化物粒子が含まれる。本明細書において前に記述したものなどの二酸化チタン粒子が特に好ましい。
【0079】
層中に組み込むUV吸収剤の量は一般に、その層のポリマーの重量に対して0.1重量%から10重量%、より好ましくは0.5重量%から9重量%、より好ましくは1.2重量%から8重量%、詳細には2重量%から6重量%、また、特に3.2重量%から5.5重量%の範囲にある。本発明の一実施形態では、有機UV吸収剤、好ましくはトリアジン、および無機UV吸収剤、好ましくは二酸化チタン、の両方が存在する。無機UV吸収剤の、有機UV吸収剤に対する、重量比率は、0.5から10:1、より好ましくは1から5:1、また詳細には1.5から2.5:1の範囲にあるのが好ましい。
【0080】
本発明のさらなる実施形態において、それぞれのタイプの層には、異なるように着色された顔料を組み込むことができる。この実施形態では、それぞれのタイプの層が、電磁スペクトルの可視領域における、異なった波長の光を反射するので、多層フィルム内の、それぞれのタイプの層を識別できる。別法として、それぞれのタイプの層には、電磁スペクトルの紫外領域における、異なった波長のUV光を吸収する、異なったUV吸収剤を組み込むことができる。多層フィルムにおいて、(i)選択された波長の、または実質的に全ての波長の可視光を反射するタイプの層、(ii)選択された波長の、または実質的に全ての波長の紫外光を反射するタイプの層、を組み合せることも可能である。この場合、もちろん、電磁スペクトルの、可視領域および紫外領域の両方の波長に渡って光学的に走査することが必要であろう。このやり方で、高度に複雑な層構造を作り出し、したがって複雑な機密保護コードを作成し、より大量の情報を記憶することが可能である。
【0081】
多層フィルムはまた、インク受容性コーティングを備えることもできる。インク受容性コーティングは、フィルムへのインクの付着性を改良し、その表面に容易に施すことができるインクの範囲を増大させる。インク受容性コーティングは、当分野の技術者によく知られている、任意のこのようなコーティングとすることができる。例えば、インク受容性コーティングは、その開示が参照により本明細書に組み入れられている、欧州特許A−0429179号に開示されるコーティングなど、アクリル成分、および架橋成分(例えば、メラミンホルムアルデヒド)を含むことができる。
【0082】
上記に示したように、多層フィルムの構造を、数学的コードなどの、コードに変換することができ、したがって、このようなフィルムを電子的に読み取り可能な情報により、必要な時および場合に検索するため、コード化することが可能である。情報の検索は、電子スキャナを使用して、フィルムの断面を光学的に走査することにより達成できる。フィルム構造を読み取る1つの方法は、例えば顕微鏡を使用して、フィルムの断面の顕微鏡写真を撮ることである。次いで、顕微鏡写真をディジタル化する、すなわち、当技術分野で知られている技術により、顕微鏡写真を画素(pixel)に分解し、それを解析することにより、数学的コードに変換する。数学的コードは、次いで、ローカルデータベースまたは遠隔のデータベースに記憶されているコードと相互に関連させ、必要な情報を検索する。しかし、多層フィルムを、1つの操作で走査し、かつディジタル化するのが好ましい。
【0083】
本発明のさらなる態様によって、本明細書に記述するように、本質的に、複数の白色層および複数の暗色層を備えている多層フィルムを提供する。
【0084】
本発明のさらなる態様によって、情報を記憶する方法を提供するものであり、その方法は、
(i)少なくとも2つの異なるタイプの層を備えている多層フィルムであって、それぞれのタイプの層が異なった光学的性質を示し、多層フィルムが、異なるタイプの層の少なくとも2つのそれぞれからなる、複数の層を備えている多層フィルムを提供するステップと、
(ii)フィルムの端部に沿ってフィルムの断面を光学的に走査することにより、フィルムの多層構造をコードに変換するステップと、
(iii)前記コードを、1つまたは複数の情報の項目に割り当てるステップと、
(iv)1つまたは複数の情報の項目、および、その項目に割り当てられたコードを含むデータベースを任意選択で提供するステップと
を含む。
【0085】
本発明のさらなる態様によって、記憶された情報を検索する方法を提供するものであり、その方法は、
(i)少なくとも2つの異なるタイプの層を備えている多層フィルムであって、それぞれのタイプの層が異なった光学的性質を示し、多層フィルムが、異なるタイプの層の少なくとも2つのそれぞれからなる、複数の層を備えている、多層フィルムを提供するステップと、
(ii)フィルムの端部に沿ってフィルムの断面を光学的に走査することにより多層フィルムに照会し、多層構造をコードに変換するステップと、
(iii)前記コードを、1つまたは複数の情報の項目と相互に関連させるステップと、
(iv)1つまたは複数の情報の項目、および、その項目に割り当てられたコードを含むデータベースを任意選択で提供するステップと
を含む。
【0086】
本発明のさらなる態様によって、偽造行為または詐欺行為に対して保護する方法を提供するものであり、その方法は、
(i)少なくとも2つの異なるタイプの層を備えている多層フィルムであって、それぞれのタイプの層が異なった光学的性質を示し、その多層フィルムが、異なるタイプの層の少なくとも2つのそれぞれからなる、複数の層を備えている、多層フィルムを提供するステップと、
(ii)フィルムの端部に沿ってフィルムの断面を光学的に走査することにより、フィルムの多層構造を第1のコードに変換するステップと、
(iii)第1のコードを、1つまたは複数の情報の項目に、任意選択で割り当てるステップと、
(iv)第1のコード、および任意選択で第1のコードに割り当てられた情報を、データベースに記憶するステップと
(v)フィルムの端部に沿ってフィルムの断面を光学的に走査することにより多層フィルムに照会し、多層構造を第2のコードに変換するステップと、
(vi)そのようにして得られた第2のコードを、データベース内に保持されている第1のコードと相互に関連させるステップと
を含む。
【0087】
本明細書に記述する方法において、コードは、数学的コード、または他の代表的コードとすることができる。
【0088】
図1を参照すると、2層複合溶融体の流れ(1)が、同時押出しブロック(2)へと進み、次いで、4レーンの層多重化装置(3)を通って進む。次いで、ポリマー材料は、ダイ(4)に進んで、8層複合体の流れ(5)を提供する。
【0089】
図2、図3、および図4を参照すると、顕微鏡写真が明瞭に、多層フィルムの交互の、白色および暗色層を示している。図4において、x軸はミクロンでのものであり、y軸は明るさを表わす。
【0090】
本明細書において、フィルムのある性状を測定するため、下記の試験方法を使用している:
(i)Machbeth Densitometer TR927(Dent and Woods Limited、Basingstoke、英国、から入手)を使用して、透過モードで、フィルムの透過光学濃度(TOD)を測定した。
(ii)白色層の外部表面のL*、a*およびb*表色座標系値(CIE(1976))、および白色度指数は、アメリカ材料試験協会(ASTM)D313に記載される原理に基づいて、Colorgard System 2000、Model/45(Pacific Scientificにより製造)を使用して測定した。
【0091】
本発明は、さらに、下記の実施例を参照することにより例示する。他に示さない限り、全ての部および百分率は、重量による。
【0092】
(実施例)
フィルムの調製
従来の同時押出し方法により成形した3層の白色/灰色/白色組成物を、層多重化装置を通過させることにより、構造(BABBABBABBAB、ただしB=白色層、およびA=灰色層)の、厚さ100μmを有する12層フィルムを調製した。
【0093】
従来のポリエステルフィルム製造ラインを使用し、12層フィルムを生産した。2台の押出し機を使用して、フィルムを生産した。二酸化チタン20%を含む白色ポリマーを、主押出し機中で押し出し、そのポリマーは全フィルムのおよそ62重量%を含んでいた。二酸化チタン20%、およびカーボンブラック0.5%を含む灰色ポリマーを、補押出し機中で押し出し、そのポリマーは全フィルムの約38重量%を含んでいた。これらのポリマーブレンドは両方とも、充てん材を含まないPETを、マスターバッチとブレンドすることにより作製した。
【0094】
ポリマーを独立して押し出すとすぐに、溶融体流は接合ブロックを通過させ、溶融体をBABの配列とした。ただし、Bが白色層であり、灰色がA層である。次いで、「カム型」射出ブロックを使用して、溶融体流を、所望の配列BABで接触させた。得られた複合3層溶融体流は、次いで、2台の溶融体スプリッタを通過させて、最終の構造BABBABBABBABが得られた。次いで、この12層溶融体流を、従来のダイを使用して、冷却した注型ロール上に押し出した。次いで、このフィルムを、80℃で機械方向に約3.0倍、110℃で横方向に3.3倍、逐次的に延伸した。
【0095】
注型したフィルムおよび配向させたフィルムの両方の、白色および灰色層の断面を顕微鏡下で観察し、顕微鏡写真を得た(図2および図3を参照されたい)。それらの画像を、下記に記述する手順で「ディジタル化」した。
【0096】
フィルム解析
パソコン(PC)上の画像は、多数の色の点、または画素からなる。画像の小部分をよく見ると、画素の集合体が現れる。それぞれの画素は、画素の色を構成するのに用いる赤、緑、および青の量を命令するRGB(赤緑青)値を使用して定義する。これらの値は、0から255の範囲にある。グレースケール(「黒および白」)画像の場合、画素は、灰色の陰影、したがって等量の赤、緑、および青、を使用して各画素の色を表わす。1つの画素について、グレースケール画像上に、RGB値の任意の1つを取ることにより、0(黒)から255(白)の範囲にある値で表わされる、画像上のその点の明るさが、効果的に調べられている。
【0097】
フィルムの層を識別するのに下記の方法を使用した:
1.拡大した端部上の画像を撮り、PCのタグ画像ファイルフォーマット(TIFF)に記憶した。TIFFは、画素色彩情報のほかにフォーマット化情報を内蔵する標準ビットマップ画像フォーマットである。画素色彩情報にアクセスするため、画像を、Rawデータフォーマット(Raw)に変換した(Paintshop Proを使用)。Rawフォーマットは画像を、それぞれの画素RGB値を表わす一連の8ビット2進数の値として記憶する。8ビット(1バイト)は、0と255の間の10進数を表わすことができ、したがって画素のRGB値を表わすことができる。3チャンネル(色彩)画像は1画素当り3バイトを使用するが、グレースケール画像は、1画素当り1バイトを使用するだけである。例えば、第1の5画素、したがって、グレースケール生データファイルの5バイト(8ビット=1バイト)は、下記の例のように見えるであろう。
例えば、10010001 00001000 01000010 00010001 11100001...
2.画像から、1画素の広さのサンプル面積を選択した。
3.Visual Basicアプリケーションを使用して、2進数Rawデータファイルをテキストファイルに変換し、それぞれのバイトにより表わされる10進数の値を生ファイル中に保持した。
4.エクセル97により、テキストファイル中に保持されているデータをスプレッドシート中に読み取り、そこから、それを使ってチャートをプロットすることができる。数学的フィルタを使用して、テキストファイルをバーコードに変換できる。
【0098】
実施例は、電子的に読み取ることができる情報で、多層フィルムをコード化することが可能であることを示している。より独特の機密保護コードを作り出すため、もちろん、フィルムの構造を変更して、実施例の、簡単な12層フィルムの構造よりも遥かに複雑な構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
多層フィルムを製造するのに使用できる、多層化装置を例示する概略図である。
【図2】
注型された多層フィルムの断面の顕微鏡写真である。
【図3】
配向された多層フィルムの断面の顕微鏡写真である。
【図4】
本明細書に記述されている手順によって、顕微鏡写真をディジタル化することにより得られた、明るさのプロフィル(またはRGB値)のプロットを、重ね合わせている、図2の顕微鏡写真である。
Claims (20)
- 情報を記憶しまたは検索するための多層フィルムの使用であって、前記情報が、フィルムの多層構造と相互に関連しており、前記多層フィルムが、少なくとも2つの異なるタイプの層を備えており、それぞれのタイプの層が異なった光学的性質を示し、多層フィルムが、前記異なるタイプの層の少なくとも2つのそれぞれからなる、複数の層を備えていることを特徴とする、多層フィルムの使用。
- それぞれのタイプの層が、それらの上に入射する光に対して、それらの相対的反射率の差異を示すことを特徴とする、請求項1に記載の使用。
- それぞれのタイプの層が、それらの上に入射する可視光に対して、それらの相対的反射率の差異を示すことを特徴とする、請求項1に記載の使用。
- それぞれのタイプの層が、それらの上に入射する実質的に全ての波長の可視光に対して、それらの相対的反射率の差異を示すことを特徴とする、請求項1に記載の使用。
- 1つまたは複数の層が、ポリエステルを含むことを特徴とする、請求項1に記載の使用。
- ポリエステルのジカルボン酸化合物がテレフタル酸であることを特徴とする、請求項5に記載の使用。
- ポリエステルのジオール酸化合物がエチレングリコールであることを特徴とする、請求項5に記載の使用。
- フィルムが2つのタイプの層を備えていることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
- 複数の白色層、および複数の暗色層を備えていることを特徴とする、請求項8に記載の使用。
- 暗色層が、暗色層のポリエステルの重量に対して、0.05重量%から10重量%の範囲にある、不透明化剤を含むことを特徴とする、請求項9に記載の使用。
- 不透明化剤がカーボンブラックであることを特徴とする、請求項10に記載の使用。
- 暗色層の外部表面が、10から60の範囲にある、CIE実験室表色座標系L*値を示すことを特徴とする、請求項9に記載の使用。
- 白色層が、白色層のポリエステルの重量に対して、5重量%から60重量%の範囲にある、白化剤を含むことを特徴とする、請求項9に記載の使用。
- 白色層の表面が、85を超えるCIE実験室表色座標系L*値を示すことを特徴とする、請求項9に記載の使用。
- 白色層の表面が、80から120単位の範囲にある、白色度指数を示すことを特徴とする、請求項9に記載の使用。
- 機密保護または偽造防止デバイスであって、少なくとも2つの異なるタイプの層を備える多層フィルムを備えており、それぞれのタイプの層が異なった光学的性質を示し、多層フィルムが、異なるタイプの層の少なくとも2つのそれぞれからなる、複数の層を備えていることを特徴とする、デバイス。
- 複数の白色層、および複数の暗色層を備えていることを特徴とする、請求項16に記載の多層フィルム。
- 情報を記憶する方法であって、
(i)少なくとも2つの異なるタイプの層を備えている多層フィルムであって、それぞれのタイプの層が異なった光学的性質を示し、多層フィルムが、異なるタイプの層の少なくとも2つのそれぞれからなる、複数の層を備えている多層フィルムを提供するステップと、
(ii)フィルムの端部に沿ってフィルムの断面を光学的に走査することにより、フィルムの多層構造をコードに変換するステップと、
(iii)前記コードを、1つまたは複数の情報の項目に割り当てるステップと、
(iv)1つまたは複数の情報の項目、および、その項目に割り当てられたコードを含むデータベースを任意選択で提供するステップと
を含むことを特徴とする方法。 - 記憶された情報を検索する方法であって、
(i)少なくとも2つの異なるタイプの層を備えている多層フィルムであって、それぞれのタイプの層が異なった光学的性質を示し、多層フィルムが、異なるタイプの層の少なくとも2つのそれぞれからなる、複数の層を備えている、多層フィルムを提供するステップと、
(ii)フィルムの端部に沿ってフィルムの断面を光学的に走査することにより多層フィルムに照会し、多層構造をコードに変換するステップと、
(iii)前記コードを、1つまたは複数の情報の項目と相互に関連させるステップと、
(iv)1つまたは複数の情報の項目、およびその項目に割り当てられたコードを含むデータベースを任意選択で提供するステップと
を含むことを特徴とする方法。 - 偽造行為または詐欺行為に対して保護する方法であって、 (i)少なくとも2つの異なるタイプの層を備えている多層フィルムであって、それぞれのタイプの層が異なった光学的性質を示し、多層フィルムが、異なるタイプの層の少なくとも2つのそれぞれからなる、複数の層を備えている、多層フィルムを提供するステップと、
(ii)フィルムの端部に沿ってフィルムの断面を光学的に走査することにより、フィルムの多層構造を第1のコードに変換するステップと、
(iii)第1のコードを、1つまたは複数の情報の項目に、任意選択で割り当てるステップと、
(iv)第1のコード、および任意選択で第1のコードに割り当てられた情報を、データベースに記憶するステップと
(v)フィルムの端部に沿ってフィルムの断面を光学的に走査することにより多層フィルムに照会し、多層構造を第2のコードに変換するステップと、
(vi)そのようにして得られた第2のコードを、データベース内に保持されている第1のコードと相互に関連させるステップと
を含むことを特徴とする方法。
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