JP2004502910A - バネ、このバネを利用した駆動機構、機器および時計 - Google Patents

バネ、このバネを利用した駆動機構、機器および時計 Download PDF

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Abstract

電子制御式機械時計の駆動機構としての香箱車1に、DLC薄膜からなる皮膜をコーティングした弾性素材の表面を有するゼンマイ1Aを設ける。ゼンマイ1Aは、皮膜により、優れた耐食性を備え、その摺動抵抗が低減されたものとなるうえ、靱性および硬度の両方を充分確保できるようになるので、比例限が大きくなり、ゼンマイ1Aに蓄積されるエネルギ量が増える。

Description

【0001】
技術分野
本発明は、機械要素として利用されるバネ、このバネを利用した駆動機構、機器および時計に関する。
【0002】
背景技術
従来、弾性を備えた鋼やステンレス等の素材を加工し、用途に応じた弾性係数を備えた各種のバネが製造されている。
例えば、ガソリンエンジンの吸気バルブおよび排気バルブの駆動に利用されているコイル状のバネ、車両の足まわりに設けられる緩衝装置に利用されている板状のバネ、玩具や時計等の動力源として利用されている渦巻き状のゼンマイ等が知られている。
ここで、玩具を駆動するゼンマイは、玩具の駆動時間が短くてもよく、また、耐久性は、さほど要求されないので、鋼製あるいはステンレス製のものが採用されている。
【0003】
一方、腕時計等の時計を駆動するゼンマイは、駆動時間が長く、また、耐久性が要求されるので、クロム、コバルトやニッケルを含む合金製等から形成され、許容応力および疲労強度に優れた高性能なゼンマイが利用されている。
ここで、コバルトやニッケルを含む合金製等から形成されたゼンマイは、酸等の化学薬品に侵食されにくく、充分な耐食性が確保されている。
【0004】
また、ゼンマイを巻き締め、機械的エネルギを充分ゼンマイに蓄積した後、ゼンマイを開放し、ゼンマイに蓄積された機械的エネルギを取り出す際に、ゼンマイを収納する香箱等のケースとゼンマイとの接触、および、巻き締められたゼンマイの側面同士の接触により、摺動抵抗が発生し、この摺動抵抗により、前述の機械的エネルギが失われるので、二硫化モリブデン等を含む潤滑剤やテフロン(登録商標)加工等の表面処理等により、ゼンマイの摺動抵抗の低減が図られている。
【0005】
このようなゼンマイ等のバネは、電池に比べて蓄積されるエネルギ量が小さいという問題がある。
例えば、腕時計では、ゼンマイに蓄積されるエネルギ密度は、一次電池の1/1000程度、二次電池の1/10程度であり、ゼンマイで駆動すると、駆動時間を2日間程度しか確保できないのに対し、一次電池で駆動すると、駆動時間を2年間以上確保できる。
【0006】
なお、ゼンマイ等のバネに蓄積されるエネルギ量を増やすにあたり、耐食性が損なわれると、長期間にわたって利用できない場合があり、耐久性についての問題が生じる。
また、蓄積エネルギ量の増大に伴って、摺動抵抗が増大すると、バネから取り出せる機械的エネルギが減るので、蓄積エネルギ量を増大しても、実質的に利用できるエネルギの量が充分に確保できない可能性が生じる。
【0007】
本発明の第1の目的は、蓄積されるエネルギ量が増えるようになるバネ、このバネを利用した駆動機構、機器および時計を提供することにある。
本発明の第2の目的は、優れた耐食性を備えたバネ、このバネを利用した駆動機構、機器および時計を提供することにある。
本発明の第3の目的は、摺動抵抗の低減が図れるようになるバネ、このバネを利用した駆動機構、機器および時計を提供することにある。
【0008】
発明の開示
本発明の第1発明は、弾性を備えた素材を加工したバネであって、前記素材の表面の少なくとも一部に、前記素材とは、組成および機械的特性が異なる皮膜が形成されていることを特徴とする。
ここで、弾性を備えた素材とは、鋼やステンレス等の弾性に優れた、いわゆる弾性部材に限らず、合成樹脂等の比較的柔らかな材質からなり、ある程度の弾性を備えたものも含んだものである。
また、皮膜とは、素材の表面に他の物質を付着させた薄膜、素材である金属の表面を酸化させた酸化膜、および、素材の表面から内部に他の物質を拡散させた拡散層を含むものである。
【0009】
このような本第1発明では、機械的特性が互いに異なる素材および皮膜でバネを形成するので、素材および皮膜のそれぞれに備えられた優れた機械的特性を活用することにより、バネに優れた耐食性を付与するとともに、その摺動抵抗を低減し、かつ、蓄積されるエネルギ量を増やすことが可能となる。
すなわち、バネに蓄えることができるエネルギUは次式で表すことができる。
【0010】
【数1】
Figure 2004502910
【0011】
この式において、Vはバネの体積、σはバネの比例限、Eはヤング率である。 この式から、バネに蓄えることができるエネルギUが、ヤング率に反比例するとともに、比例限の二乗に比例しているので、所定のヤング率が確保されている場合には、バネの比例限を大きくすればよいことがわかる。
【0012】
従って、素材および皮膜の一方に弾性に優れた材質を採用し、素材および皮膜の他方に靱性に優れた材質を採用すれば、ヤング率の確保と、比例限の増大との両方が実現でき、蓄積エネルギ量の増大を図れるようになる。
特に、硬質の皮膜を素材に形成すれば、ヤング率および比例限の両方の増大が図れ、バネに蓄積されるエネルギUは、比例限の二乗に比例するので、ヤング率が大きくなっても、蓄積エネルギ量が確実に増大するようになる。
【0013】
また、皮膜として耐食性に優れた材質のものを採用すれば、素材の化学的特性に関係なく、バネに優れた耐食性が付与されるようになる。
さらに、皮膜として自己潤滑性に優れた材質、あるいは、摩擦抵抗が小さい材質のものを採用すれば、潤滑剤の添加や表面処理を行わなくとも、バネの摺動抵抗の低減が図れるようになる。
【0014】
以上のようなバネにおいては、前記皮膜として、前記素材よりも硬いものを設けることが好ましい。
このように皮膜を素材よりも硬くすれば、素材が比較的柔らかいものであっても、皮膜によって、充分大きなヤング率の確保が可能となるうえ、バネの比例限も向上して、素材の材質で充分な靱性を確保することが可能となり、バネの体積をさほど増加させることなく蓄積エネルギ量の増大が容易に図れるようになる。
【0015】
ここで、バネには、一層の皮膜を設けるだけでなく、複数層の皮膜を設けてもよい。例えば、組成が互いに異なる複数層の皮膜を積層してもよいし、組成物の含有比率が著しく異なる複数の皮膜を積層してもよい。
このようにすれば、一種類の皮膜では、素材への付着強度、ならびに、バネの耐食性および摺動特性のすべてを改善できなくとも、特性の異なる複数種類の皮膜を設け、一の皮膜で付着強度を改善し、残りの皮膜でバネの耐食性および摺動特性等を改善することができ、高性能のバネが実現されるようになる。
【0016】
例えば、高い硬度を備えているが、素材への付着強度が小さい第1の材質と、第1の皮膜および素材の両方に強く付着する第2の材質とを用意し、第2の材質からなる第2の皮膜を素材に直接形成し、この第2の皮膜の上に、第1の材質からなる第1の皮膜を形成すれば、付着強度の大きな第1の皮膜が得られるようになる。
あるいは、高い硬度を備えているが、耐食性および自己潤滑性に劣る第1の材質と、耐食性および自己潤滑性の両方に優れた第2の材質とを用意し、第1の材質からなる第1の皮膜を素材に直接形成し、この第1の皮膜の上に、第2の材質からなる第2の皮膜を形成すれば、耐食性および自己潤滑性の両方に優れたバネが得られるようになる。
【0017】
また、前述のバネにおいて、前記素材を帯状に加工するとともに、渦巻き状に巻くことにより、当該バネをゼンマイとすることができる。
前述のバネをゼンマイとすれば、素材に皮膜をコーティングすることにより、蓄積されるエネルギ量が増えることとあいまって、ゼンマイの形態がエネルギを機械的に蓄積するのに好適なものであることから、同じサイズであれば、他の形態のバネよりもエネルギの蓄積量が多くなり、エネルギ密度の増大を図ることが可能となる。
【0018】
さらに、前記素材は、弾性変形の際に圧縮力が加わる部分の表面に、前記皮膜が設けられていることが好ましい。
このようにすれば、皮膜の材質として、非常に硬く、かつ圧縮力に対して強いが、張力に対しては脆い特性を有するものを採用しても、あるいは、素材への付着強度が小さい皮膜を形成しても、圧縮力が加わる部分に皮膜を形成するので、バネを変形させても、素材から皮膜が剥がれることがなく、バネの耐久性を損なうことない。
【0019】
そして、前記皮膜としては、前記素材よりも硬質の物質を当該素材の表面にコーティングした薄膜を採用することができる。
ここで、皮膜としてコーティング可能な材質は、非常に硬く、かつ、圧縮力に対して強いものが多数種類あり、しかも、このような材質は、容易に入手可能であるうえ、耐食性や摺動抵抗の小さいものが多いので、当該材質の皮膜を素材にコーティングすれば、エネルギの蓄積量の増大が図れるうえ、耐食性に優れ、かつ、摺動抵抗の小さいバネが容易に実現される。
【0020】
例えば、主に炭素からなる皮膜を素材にコーティングすれば、ダイアモンドに近い硬度が得られ、バネに蓄積可能なエネルギ量が増大され、優れた耐食性がバネに付与され、かつ、バネの摺動抵抗を著しく低減される。
また、前記素材としては、非金属材料から形成されたものも採用できる。
【0021】
前述のような本第1発明では、素材側の弾性が充分でなくとも、換言すれば、素材では充分なヤング率が確保できなくとも、皮膜側で充分な弾性が確保できるようになるので、非金属材料、例えば、合成樹脂で素材を形成しても何ら問題が生じない。
しかも、素材の材質として、靱性に優れた材質、例えば、アラミド繊維で補強された合成樹脂等が採用可能となり、靱性の向上により、この点からも、エネルギの蓄積量の増大が図れる。
【0022】
さらに、前記皮膜としては、成膜温度が常温に近い物理的蒸着法により前記素材に形成されたものを採用するのが好ましい。
ここで、物理的蒸着法としては、成膜温度が0〜100℃の範囲内となる高真空アーク放電蒸着法が採用でき、高真空アーク放電蒸着法によれば、炭素皮膜を素材に形成する場合には、成膜温度を20〜60℃の範囲内にできる。
このようにすれば、素材の材質として、熱の影響を受けやすい合成樹脂等の材質が採用可能となり、素材を形成する材質の選択範囲が広がる。
そして、精密加工が容易な合成樹脂等の材質で素材を形成すれば、射出成形等を利用することにより、高性能のバネを効率よく製造することが可能となる。
【0023】
一方、前記皮膜としては、前述した素材の表面にコーティングした薄膜だけでなく、前記素材を構成する物質と強く結合する拡散物質を当該素材の表面から内部に拡散させることにより、当該素材よりも硬質に形成された拡散層も採用することができる。
このような拡散層を皮膜として採用した場合でも、前述の薄膜を皮膜として採用した場合と同様に、機械的特性が互いに異なる素材および皮膜でバネを形成するので、素材および皮膜のそれぞれに備えられた優れた機械的特性を活用することにより、バネに優れた耐食性を付与するとともに、その摺動抵抗を低減し、かつ、蓄積されるエネルギ量を増やすことが可能となる。
【0024】
なお、素材がクロムを含むステンレス鋼等の合金である場合には、クロムとの結合力が強い窒素を拡散物質として採用するのが好ましい。
この際、前記素材は、熱拡散処理が可能な金属材料から形成されていることが好ましい。
このような金属材料を素材として採用すれば、合成樹脂等の他の材料に比較して金属材料は、高い温度に加熱しても、機械的特性や形状等を維持することが可能なので、素材の拡散処理を行うにあたり、処理温度を高温にでき、拡散物質の拡散速度を速め、拡散処理に要する時間の短縮が図れるようになる。
【0025】
また、前記拡散層は、前記拡散物質の元素を含んで構成される分子からなるガスを高真空炉内に送り込み、当該素材の表面から内部に前記拡散物質を拡散させる拡散処理法により、前記素材に形成されたものであることが望ましい。
このようにすれば、素材の内部に拡散物質を混入して硬質な拡散層を形成するので、拡散層と素材との境界部分に脆弱な層が形成されることがなく、弾性変形を何度も繰り返しても、拡散層の欠損や剥離が生じることがなく、優れた耐久性を有するバネが得られるようになる。
【0026】
本発明の第2発明は、上述のように形成したバネを利用していることを特徴とする駆動機構である。
このような本第2発明によれば、バネに蓄えることができるエネルギが増えるので、同じサイズの一般的な駆動機構よりも、連続的に駆動できる時間が長くなる。
【0027】
また、素材および皮膜の材質を、駆動機構の用途に応じて適宜選択することにより、駆動機構の性能向上が図れる。
例えば、皮膜の材質として、耐食性に優れたのものを採用すれば、駆動機構の耐食性の向上が図れる。また、皮膜の材質として、自己潤滑性に優れたものを採用すれば、バネ自体が発生する駆動力が同じでも、駆動機構から取り出せる駆動力は、通常のバネを利用した駆動機構よりも強力となる。
【0028】
本発明の第3発明は、上述のように形成したバネを利用していることを特徴とする機器である。
このような本第3発明によれば、前述の第2発明と同様に、バネに蓄えることができるエネルギが増えるので、連続的に運転できる時間が長くなる。
一方、運転時間を長くする必要がなければバネのサイズを小さくできるので、このバネを利用した駆動機構、ひいては、当該機器のサイズを小型化することが可能となる。
【0029】
本発明の第4発明は、上述のように形成したバネを、電子制御式機械時計あるいは単なる機械式時計の動力源として利用するものである。
すなわち、本第4発明は、機械的エネルギを蓄積する機械的エネルギ蓄積手段と、この機械的エネルギ蓄積手段により駆動される発電機と、前記機械的エネルギ蓄積手段および前記発電機を相互に連結する輪列と、この輪列に結合された指針と、前記発電機の回転速度を制御する回転制御手段とを備えた電子制御式の時計、あるいは、機械的エネルギを蓄積する機械的エネルギ蓄積手段を備え、この機械的エネルギ蓄積手段により駆動される時計において、前記機械的エネルギ蓄積手段として、素材の表面の少なくとも一部に、前記素材とは機械的特性が異なる皮膜がコーティングされているバネを利用したことを特徴とするものである。
【0030】
このような本第4発明によれば、バネに蓄えることができるエネルギが増え、バネの単位体積あたりのエネルギ、すなわち、エネルギ密度が大きくなるので、同じ寸法のものを採用する場合には、本第1発明のバネにより、時計の持続時間を長くすることが可能となる、あるいは、同じ持続時間を達成する場合には、バネの寸法が小さくなるので、時計の小型・軽量化が達成される。
【0031】
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0032】
[第1実施形態]
図1ないし図3には、本発明の第1実施形態に係る電子制御式機械時計が示されている。図1は、本第1実施形態における要部の断面図であり、図2は、図1のII−II線における断面図であり、図3は、図1のIII−III線における断面図である。
この電子制御式機械時計は、本発明に基づく機器であり、香箱車1の内部に収納されたゼンマイ1Aを駆動機構とし、このゼンマイ1Aで発電機20を駆動するとともに、発電機20の駆動速度を一定に調速することで、発電機20に係合する指針13,14,17を一定速度で回転させるようになっている。
【0033】
図において、香箱車1には、前述のゼンマイ1Aの他に、香箱1B、香箱真1Cおよび香箱蓋1Dが備えられている。
このうち、香箱真1Cは、地板2と輪列受3に支持され、角穴車4と一体で回転するように角穴ネジ5により固定されている。
角穴車4は、時計方向には回転するが反時計方向には回転しないように、こはぜ6と噛み合っている。なお、角穴車4を時計方向に回転し、ゼンマイ1Aを巻き締める機構は、自動巻または手巻の機械時計と同様であるため、その説明を省略する。
【0034】
ゼンマイ1Aの回転駆動力は、歯車7〜11からなる増速輪列を介して、発電機20に伝達されている。
すなわち、香箱1Bから二番車7へは、回転数が7.0 倍に増速され、二番車7から三番車8へは、回転数が6.4 倍に増速され、三番車8から四番車9へは、回転数が9.375 倍に増速され、四番車9から五番車10へは、回転数が3.0 倍に増速され、五番車10から六番車11へは、回転数が10.0倍に増速され、六番車11からロータ12へは、回転数が10.0倍に増速されるようになっている。これにより、香箱1Bの回転駆動力は、都合、126,000 倍に増速されてロータ12に伝達されるようになっている。
【0035】
これらの歯車7〜11により、機械的エネルギ源であるゼンマイ1Aの機械的エネルギを発電機20に伝達する機械エネルギ伝達装置が構成されている。
二番車7には、筒かな7Aと、筒かな7Aに固定された分針13とが設けられ、四番車9には、秒針14が固定され、筒車7Bには、時針17が固定されている。
ここで、香箱1Bの回転速度は、二番車7が毎時1回転、四番車9が毎分1回転、ロータ12の回転速度が毎秒8回転となるように調速されている。このときの香箱1Bの回転速度は毎時1/7回転となっている。そして、これらの各針13,14,17によって、時刻を指示する時刻指示装置が構成されている。
【0036】
機械的エネルギ源であるゼンマイ1Aは、図4に示されるように、全体が帯状に形成されるとともに渦巻き状に巻かれたバネである。図4(A)は、香箱車1を横に破断した平断面図であり、図4(B)は、香箱車1を縦に破断した縦断面図である。
ゼンマイ1Aの外側の端部には、他の部分よりも厚い係止部1Eが設けられ、この係止部1Eは、香箱車1の内側面に設けられた凹部1Fに固定されている。これら係止部1Eの凹部1Fへの固定により、巻き締められたゼンマイ1Aが発生する時計方向の回転駆動力が香箱車1に受け止められるようになっている。
【0037】
一方、ゼンマイ1Aの内側の端部には、ゼンマイ1Aの表裏を貫通する係止孔1Gが設けられ、この係止孔1Gは、香箱真1Cの側面に設けられた突起1Hと係合している。これら係止孔1Gおよび突起1Hの係合により、香箱真1Cの時計方向の回転駆動力が、巻き戻された状態のゼンマイ1Aに受け止められるようになっている。
これにより、角穴車4に加えられる時計方向の回転駆動力により、ゼンマイ1Aが巻き締められるようになっている。
【0038】
ここで、ゼンマイ1Aは、クロム、コバルト及びニッケルを含む合金からなる、靱性および耐久性に優れた素材を帯状に加工したものである。なお、ゼンマイ1Aの素材を形成する合金の主要成分および含有率(重量%)は、次の通りである。
Co:30〜45%、Ni:10〜20%、Cr:8〜15%、W: 3〜5%、
Mo: 3〜12%,C:0.03%未満、 Ti:0.1 〜2%、Mn: 0. 1〜2%、
Si:  0.1〜2%、Fe:残
【0039】
ゼンマイ1Aの両面には、機械的特性が異なる皮膜がコーティングされている。なお、ゼンマイ1Aを形成する合金としては、商品名SPRON(セイコー株式会社製)等が採用できる。
【0040】
皮膜は、炭素のアモルファスであって、素材よりも硬い硬質のダイヤモンド・ライク・カーボン(以下、「DLC」という。)からなる薄膜である。この皮膜は、固形カーボンを使用した高真空アーク放電による蒸着法で素材の表面に形成されたものである。この高真空アーク放電による蒸着法は、成膜温度が20〜60℃といった、常温に近い温度で蒸着が行える物理蒸着法である。
この皮膜は、酸やアルカリに溶解しない優れた耐食性を備えるとともに、その表面がなめららかで、摩擦係数が0.1程度の低いものとなっている。この皮膜により、ゼンマイ1Aの表面には、優れた耐食性と、大きな自己潤滑性とが付与されている。
【0041】
ここで、合金製の素材よりも硬いDLCの皮膜を設け、皮膜によって、充分大きなヤング率の確保が可能されるようになっている。また、皮膜は、充分な靱性を確保できる範囲で通常よりも薄くなっている。これにより、ゼンマイ1Aの厚さ寸法は、同じトルクを発生可能な通常のゼンマイよりも小さくなっている。
【0042】
図1〜図3に戻って、発電機20には、ロータ12、ステータ15およびコイルブロック16が設けられている。このうち、ロータ12は、ロータ磁石12A 、ロータかな12B 、および、ロータ慣性円板12C を備えたものとなっている。ロータ慣性円板12C は、香箱1Bからの駆動トルク変動を緩和し、ロータ12の回転数変動を少なくするためのものである。ステータ15は、ステータ体15A の周囲に4万ターンのステータコイル15B を設けたものである。
【0043】
コイルブロック16は、磁心16A の周囲に11万ターンのコイル16B を設けたものである。ここで、ステータ体15A および磁心16A は、PCパーマロイ等の磁性体からなるものである。また、ステータコイル15B およびコイル16B は、互いの出力電圧が加算されるように直列に接続されている。
発電機20の回転速度は、以下に説明する回転制御回路23により、予め設定された速度に調速されるようになっている。なお、発電機20の回転速度は、通常の時計では、一つの設定値に設定されるが、クロノグラフ等の時計では、複数の設定値に切り替え可能に設定されている。
【0044】
図5には、本第1実施形態における、回転制御回路23を含んだ回路構成が示されている。
発電機20は、ゼンマイ1Aの回転駆動力により誘導起電力を発生する交流発電機である。発電機20からの交流出力は、昇圧をも行う整流回路21によって、電圧の昇圧および直流への変換が行われ、コンデンサを含んで構成された電源回路22に供給されている。
回転制御回路23は、所定周波数の信号を出力する発振回路24と、この発振回路24が出力する信号を分周する分周回路25と、発電機20に設けられているロータ12の回転速度を検出する回転検出回路26と、ロータ12に加える制動力を制御する制動制御回路27とを備えたものである。
【0045】
発振回路24は、温度変化等にほとんど左右されず、所定の周波数(32.768kHz)で安定して振動する水晶振動子24A を用いた発振回路である。この発振回路24の振動を基準としてロータ12の回転が調節されるようになっている。
分周回路25は、12段のフリップフロップを備え、発振回路24が出力する所定の周波数(32.768kHz) の信号を分周した、低い周波数(8Hz)の信号fsを出力するものである。
回転検出回路26は、発電機20のロータ12に回転速度に応じた信号である回転検出信号FGを出力するものである。回転検出信号FGは、ノイズを除去するためにバンドパス・フィルターを介して、発電機20の出力電圧を取り出して波形整形したものである。
【0046】
制動制御回路27は、回転速度の基準となる信号fsと回転検出信号FGとを比較し、比較結果に応じて、発電機20のステータコイル15B およびコイル16B に流れる電流を調節することにより、発電機20のロータ12に加える電磁ブレーキの制動力を加減するものである。
例えば、ロータ12に加わる電磁ブレーキの制動力を微妙に調節可能としたい場合には、制動制御回路27として、トランジスタ等のスイッチング素子と直流抵抗とを直列に接続した回路を備え、スイッチング素子のON−OFF動作を高速で繰り返させ、OFF時間に対するON時間を調節することにより、電磁ブレーキの制動力を微妙に調節できるようにしたものが採用できる。
【0047】
このような制動制御回路27により、信号fsに対して回転検出信号FGの周波数が高いときは、OFF時間に対するON時間を長くし、電磁ブレーキの制動力を強くする一方、信号fsに対して回転検出信号FGの周波数が低いときは、制動制御回路27は、OFF時間に対するON時間を短くし、電磁ブレーキの制動力を弱め、指針13,14,17が正確に時刻を指示するようになっている。
【0048】
前述のような本第1実施形態によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、合金製の素材およびDLCの皮膜といった機械的特性が互いに異なるものでゼンマイ1Aを形成したので、素材により靱性が確保され、硬質の皮膜により充分なヤング率が確保されるので、ゼンマイ1Aの比例限が増大し、ゼンマイ1Aに蓄積できるエネルギ量を増大することができる。
【0049】
そして、皮膜として優れた耐食性を備えるとともに、その表面がなめらかで、摩擦係数が低いDLCの薄膜を採用し、このような皮膜で素材を覆ったので、ゼンマイ1Aに優れた耐食性を付与できるうえ、その摺動抵抗が低減されるので、ゼンマイ1Aから回転駆動力を取り出すにあたり、フリクションロスが低減され、より大きなトルクを得ることができる。
【0050】
以上により、駆動機構としてのゼンマイ1Aに蓄えることができるエネルギが増えるので、同じサイズの一般的なゼンマイよりも、連続的に電子制御式機械時計を駆動する時間が長くなり、電子制御式機械時計が動き続ける持続時間をより長いものとできる。
また、合金製の素材よりも硬いDLCの皮膜を設け、皮膜によって、充分大きなヤング率の確保を可能とし、充分な靱性を確保できる範囲で、素材を薄くし、ゼンマイ1Aの厚さ寸法を小さくできるようにしたので、完全に巻き戻された状態から、限界まで巻き締められた状態までのゼンマイ1Aの有効巻き数が増え、この点からも、ゼンマイ1Aに蓄積できるエネルギ量を増大することができる。
【0051】
また、バネとして、素材を帯状に加工するとともに、渦巻き状に巻かれて形成されたゼンマイ1Aとしたので、エネルギを機械的に蓄積するのに好適な形態となり、同じサイズであれば、他の形態のバネよりもエネルギの蓄積量が多くなり、エネルギ密度の増大を図ることができる。
さらに、皮膜の成膜方法として、固形カーボンを使用した高真空アーク放電による蒸着法を採用したので、焼き入れや焼き鈍し等の素材の熱処理を行った後に素材の表面に皮膜を成膜しても、この高真空アーク放電による蒸着法は、成膜温度が20〜60℃といった、常温に近い温度で蒸着が行える物理蒸着法であるので、素材が熱による影響を受けなくなり、皮膜成形後も、素材の特性を維持させることができる。
【0052】
[第2実施形態]
図6および図7には、本発明の第2実施形態が示されている。本第2実施形態は、前記第1実施形態におけるバネとしてのゼンマイ1Aを、キーボード30のキー31となる押しボタン32を付勢するための板バネ33としたものである。
【0053】
図6において、キーボード30は、パーソナルコンピュータの手入力用の機器であり、複数のキー31を備えている。
キー31の各々には、図7(A)に示されるように、操作の際に押しボタン32に加わる押圧力では撓まない比較的硬質の補強板34と、この補強板34の上に配置されたメンブレン接点部35とが設けられている。
【0054】
メンブレン接点部35は、可撓性を有するとともに内面に電極パターンが形成された一対の電極シート36と、これらの電極シート36の間に設けられるとともに押しボタン32の位置に応じて孔37が形成されたスペーサ板38とを備えたものである。このうち、電極シート36の各々には、スペーサ板38の孔37の内部において対向する一対の接点39が設けられている。
メンブレン接点部35の上方の面には、板バネ33が一体成形された板バネシート33A が設けられている。板バネシート33A は、比較的硬質の平板状の素材を備えたものである。この際、板バネシート33A の素材の材質としては、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアセタールおよびポリテトラフロロエチレン等の比較的弾性に富んだ合成樹脂、あるいは、金属が採用できる。
【0055】
この板バネシート33A のメンブレン接点部35側の面33B には、DLCの皮膜が高真空アーク放電による蒸着法により設けられている。ここで、皮膜の素材への付着強度が充分確保できない材質で素材が形成されていても、圧縮力が加わる面33B に皮膜を形成し、板バネ33を変形させても、素材から皮膜が剥がれないようになっている。
【0056】
板バネ33は、板バネシート33A の一部分を、メンブレン接点部35とは反対の方向へ切り起こすことにより形成されたものである。ここで、板バネ33の素材は、には、弾性変形の際に圧縮力が加わる部分の表面である面33B に、前述のDLC皮膜がコーティングされている。
板バネ33には、その一部分をメンブレン接点部35側へ切り起こすことにより形成された押圧部33C が設けられている。これらの板バネ33および押圧部33C は、板バネシート33A の上面に設けられた箱状のハウジンク40の内部に収納されている。
【0057】
押しボタン32は、ハウジンク40よりも一回り大きい箱状の部材であり、ハウジンク40を覆うとともに、上下に移動可能にキーボード30に設けられている。押しボタン32の内部には、板バネ33へ向かって延びる突起32A が設けられている。
これにより、板バネ33の付勢力に抗して押しボタン32を押すと、突起32A が、図7(B)に示されるように、板バネ33を介して押圧部33C をメンブレン接点部35側へ押圧し、メンブレン接点部35内の一対の接点39を相互に接触させるようになっている。
【0058】
このような本第2実施形態によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、高真空アーク放電による蒸着法により、板バネシート33A のメンブレン接点部35側の面33B にDLCの皮膜を設け、板バネ33の変形により、皮膜に圧縮力のみが加わり、張力が加わらないようにしたので、皮膜の素材への付着強度が充分確保できない材質で素材を形成しても、素材から皮膜が剥がれることがなく、板バネ33の耐久性を向上することができる。
【0059】
[第3実施形態]
図8には、本発明の第3実施形態が示されている。本第3実施形態は、前記第2実施形態における板バネ33を、コイルスプリング41としたものである。
図8において、キー42は、前記第2実施形態のキー31と同様に、押しボタン43に加わる押圧力により、補強板34の上に設けられたメンブレン接点部35内の接点39を互いに接触させるものである。
【0060】
メンブレン接点部35の上方は、平板状のカバー部材44で覆われている。このカバー部材44には、メンブレン接点部35に設けられた接点39の位置に応じて孔44A が設けられている。この孔44A には、合成樹脂エラストマ製の素材を備えたラバースプリング45が嵌め込まれている。
【0061】
このラバースプリング45は、合成樹脂エラストマ製の素材の表面全体にDLC皮膜を形成したものである。この皮膜は、高真空アーク放電による蒸着法で形成されたものである。この皮膜により、ラバースプリング45は、酸、アルカリおよび有機溶剤等に溶解しない優れた耐食性を備えたものとなっている。また、その素材となる合成樹脂エラストマが柔らかく、素材だけでは充分な弾性が得られなくとも、DLC皮膜により、ラバースプリング45は、充分な弾性を備えたものとなっている。ラバースプリング45には、メンブレン接点部35を押圧するために円柱状の突起45A が設けられている。
【0062】
これらの補強板34、メンブレン接点部35、カバー部材44およびラバースプリング45は、キーボード30の筐体を形成するハウジンク46内に設けられている。
ハウジンク46には、メンブレン接点部35に設けられた接点39に応じた位置に形成された孔47と、この孔47を囲むように上方へ延びる筒状の案内部48と、この案内部48の外側に配置された断面L字形状の抜け止め部49とが設けられている。
【0063】
押しボタン43の裏面には、ハウジンク46の抜け止め部49に係止される爪50A を備えた係合突起50、外周面が案内部48と接触して押しボタン43の上下移動を案内する筒状の摺動案内部51、および、水平方向に移動しないようにコイルスプリング41を係止させる突起52が設けられている。
【0064】
筒状の摺動案内部51の内部には、有底筒状に形成された摺動部材53が摺動可能に設けられている。
摺動部材53は、水平方向に移動しないようにコイルスプリング41を係止させる突起54が底面に設けられたものである。摺動部材53および押しボタン43の間に、コイルスプリング41が介装され、摺動部材53およびメンブレン接点部35の間に、ラバースプリング45が介装されている。
これにより、コイルスプリング41およびラバースプリング45の付勢力に抗して押しボタン43を押すと、ラバースプリング45の突起45A がメンブレン接点部35を押圧し、メンブレン接点部35内の一対の接点39が接触するようになっている。
【0065】
ここで、コイルスプリング41は、鋼鉄製の線状に加工した素材の表面全体にDLC皮膜を形成したものである。この皮膜は、高真空アーク放電による蒸着法で形成されたものである。この皮膜により、コイルスプリング41は、酸やアルカリに溶解しない優れた耐食性を備えるとともに、その表面の摩擦係数が低下されたものとなっている。
【0066】
このような本第3実施形態によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、ラバースプリング45として、合成樹脂エラストマ製の素材の表面全体にDLC皮膜を形成したものを採用したので、ラバースプリング45に、酸、アルカリおよび有機溶剤等に溶解しない優れた耐食性を付与できるうえ、その素材となる合成樹脂エラストマが柔らかく、素材だけでは充分な弾性が得られなくとも、DLC皮膜により、ラバースプリング45に、充分な弾性を付与することができる。このため、射出成形等で合成樹脂エラストマを成形することにより、高性能のラバースプリング45を効率よく製造することができる。
【0067】
また、コイルスプリング41として、鋼鉄製の線状に加工した素材の表面全体にDLC皮膜を形成したものを採用したので、優れた耐食性を備え、キーボード30の耐久性を向上できるうえ、コイルスプリング41の表面の摩擦係数が低下されるので、スムースな操作が行えるようになり、その操作感を良好なものとできる。
【0068】
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態は、前記第1実施形態における物理的蒸着法により形成した薄膜からなる皮膜を、真空拡散法により、素材の表面から拡散物質を拡散させた拡散層からなる皮膜としたものである。本第4実施形態は、ゼンマイ1Aに形成された皮膜以外については、前記第1実施形態と同様なので、ここでは、拡散層からなる皮膜についてのみ説明し、他の部分についての説明は省略する。
皮膜は、ゼンマイ1Aの素材となる合金に含まれるクロムと強く結合する窒素を拡散物質として採用し、高真空炉の内部で窒素を素材の内部に拡散させる真空ガス窒化処理法で形成した拡散層である。
【0069】
真空ガス窒化処理法としては、例えば、有限会社カナックの「カナック処理」および「ニューカナック処理」が採用できる。
「カナック処理」の概略について説明すると、素材が設置されるとともに高真空にされた真空炉内に、窒素原子を有するNH を主成分とする窒化促進ガスを送り込み、素材を加熱(加熱温度:480〜550℃、加熱時間:3〜5時間)し、素材内に窒素を拡散し、窒素の拡散層を形成する拡散処理法である。
【0070】
また、「ニューカナック処理」は、「カナック処理」で形成した拡散層をさらに強化するものであり、その概略について説明すると、「カナック処理」で処理した素材の拡散層に再度熱エネルギを与え、「カナック処理」による拡散層よりも窒素原子が高密度に分布する第1の拡散層を表面に形成するとともに、第1の拡散層よりも窒素原子の密度が低い第2の拡散層を第1の拡散層の裏側に形成する、二重構造の拡散層を形成する拡散処理法である。
【0071】
このような本第4実施形態によれば、前記第1実施形態と同様の作用、効果を得ることができるとともに、素材の内部に窒素を拡散して硬質な拡散層を形成するので、拡散層と素材との境界部分に脆弱な層が形成されることがなく、弾性変形を何度も繰り返しても、拡散層の欠損や剥離が生じることがなく、優れた耐久性を有するゼンマイ1Aを得ることができる、という効果を付加できる。
【0072】
次に、本発明の効果を具体的な実施例に基づいて説明する。
【0073】
[実施例]
本実施例は、前述の第1および第4実施形態における駆動機構として香箱車1に設けられたゼンマイ1Aに、従来のゼンマイよりも多くのエネルギ量が蓄積できることを検証するためのものである。
本実施例のうち、実施例1では、SPRON製の素材の表面に、DLC薄膜を形成したゼンマイ1Aを採用し、実施例2では、SPRON製の素材の表面に、窒素の拡散層を「カナック処理」で形成したゼンマイ1Aを採用した。
【0074】
そして、実施例1では、所定のトルクが得られる範囲で、ゼンマイ1Aの厚さ寸法をできるだけ小さくし、内径が11.1mmとされ、香箱真の直径が2.8mmとされ、香箱周縁の側壁の厚さ寸法が1.45mmとされた香箱車1内に、前述のゼンマイ1Aを収納し、巻き戻しの状態から巻き締めの状態まで、ゼンマイ1Aを巻くことができる回数を求めた。
【0075】
実施例2では、素材に拡散層を形成するために「カナック処理」を採用するとともに、実施例1と同等の性能が得られるように、ゼンマイ1Aの作製を試みた結果、計画通り、実施例1と同等の性能を有するゼンマイ1Aを得ることができた。
実施例1,2に係るゼンマイ1Aの各部の寸法、ヤング率、最大トルクT、および、巻回数Nを表1に示す。
【0076】
【表1】
Figure 2004502910
【0077】
[比較例]
本比較例は、前記実施例のゼンマイ1Aの比較対照となる、従来からあるゼンマイの一例である。
本比較例では、ゼンマイ1Aと同じ最大トルクが得られる、単なるSPRON製のゼンマイを採用した。そして、前記実施例と同じ香箱車1内に、前述のゼンマイを収納し、巻き戻しの状態から巻き締めの状態まで、ゼンマイを巻くことができる回数を求めた。
このゼンマイの各部の寸法、ヤング率、最大トルクT、および、巻回数Nを表1に示す。
【0078】
[実施例と比較例との対比]
実施例1,2と比較例とを比べると、実施例1,2の方が多くゼンマイをより巻くことができ、その分、電子制御式機械時計が動き続ける持続時間が延長されるようになり、実施例1,2では、比較例に対してエネルギ量を約11%増加させることができた。
ここで、実施例1,2のゼンマイを単なる機械式時計に適用すれば、機械式時計に蓄積可能となるエネルギ蓄積量が約11%増加し、機械式時計が動き続ける持続時間が延長されるようになる。
【0079】
なお、本発明は、前述の各実施形態および実施例に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲で、その改良や変形等をも含むものである。
【0080】
例えば、ゼンマイとしては、両面に硬質皮膜が形成されたものに限らず、渦巻き状に巻かれた状態の中心側(内側)の片面にのみに硬質皮膜が形成され、外周側(外側)の片面には硬質皮膜が形成されていないゼンマイでもよい。
このようにすれば、硬質皮膜には、常に圧縮応力が加わるが、引っ張り方向の応力が加わらないようになり、硬質皮膜は、圧縮応力に強いので、ゼンマイが巻き締められた際に大きな応力があっても、硬質皮膜が破損することはない、という効果や、ゼンマイの片側に形成されるので、硬質皮膜は、厚さ寸法が必要最低限に抑えられ、ゼンマイ全体の厚さ寸法が小さくなり、その分巻き数を多くすることができ、ゼンマイ駆動の持続時間を長くできる、という効果を付与することができる。
【0081】
また、ゼンマイの両面に硬質皮膜を形成する場合には、一方の面に形成される硬質皮膜よりも厚さ寸法が大きい硬質皮膜を、他方の面に形成してもよく、例えば、圧縮応力が加わる面に形成される硬質皮膜を厚くし、引っ張り方向の応力が加わる面に形成される硬質皮膜を薄くしてもよく、あるいは、両方の面に形成される硬質皮膜の種類が互いに異なっていてもよく、換言すれば、一方の面に形成される硬質皮膜と異なる特性の硬質皮膜を、他方の面に形成してもよい。
さらに、バネの素材の材質としては、前記実施形態で示した合金、鋼鉄および合成樹脂に限らず、ステンレス等の他の合金、金属および非金属材料でもよく、本発明によれば、バネを形成する素材の材質の特性が良くなくとも、皮膜のコーティングにより、バネの性能を向上することができる。
【0082】
また、皮膜となる薄膜としては、DLC薄膜に限らず、多結晶あるいは単結晶のダイアモンド薄膜、あるいは、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、炭化チタン、窒化チタンおよび立方晶窒化ホウ素等のセラミック系薄膜、もしくは、ニッケル−リン・メッキ等の金属系の薄膜でもよい。
さらに、皮膜としての薄膜の成膜方法としては、高真空アーク放電による蒸着法に限らず、他の蒸着法、スパッタ法、および、イオンプレーティング法等の物理的成膜方法、ならびに、熱CVD、プラズマCVD、および、光CVD等の化学的成膜方法を採用してもよいが、成膜温度が常温に近いものを採用するのが好ましい。
【0083】
また、皮膜となる拡散層としては、窒素の拡散層に限らず、他の元素からなる拡散層、例えば、素材が鉄鋼である場合には、炭素、ベリリウム、モリブデン、タングステン、バナジウム、チタンおよびタンタルの少なくとも一つを素材に浸透させた拡散層でもよい。
【0084】
さらに、皮膜としての拡散層の形成方法としては、前述の「カナック処理」や「ニューカナック処理」等の気体による拡散処理法に限らず、固体の拡散剤と素材とを拡散炉に入れて密封し、この状態で加熱する固体拡散法や、拡散物質を含んだ液体に素材を漬け、この状態で加熱する液体拡散法も採用できるが、前記第4実施形態のように、「カナック処理」や「ニューカナック処理」を採用すれば拡散処理を行っても素材が変形しないので、精密機械である時計に最適なゼンマイを作製することができる、という効果が得られる。
【0085】
また、素材に形成される皮膜は、一層に限らず、異なる種類の皮膜を複数層形成してもよい。このようにすれば、一種類の皮膜では、素材への付着強度、ならびに、バネの耐食性および摺動特性のすべてを改善できなくとも、特性の異なる複数種類の皮膜を設け、一の皮膜で付着強度を改善し、残りの皮膜でバネの耐食性および摺動特性等を改善することができ、高性能のバネを実現できる。
【0086】
例えば、高い硬度を備えているが、素材への付着強度が小さい第1の材質と、第1の皮膜および素材の両方に強く付着する第2の材質とを用意し、第2の材質からなる第2の皮膜を素材に直接形成し、この第2の皮膜の上に、第1の材質からなる第1の皮膜を形成すれば、皮膜の付着強度を向上することができる。
あるいは、高い硬度を備えているが、耐食性および自己潤滑性に劣る第1の材質と、耐食性および自己潤滑性の両方に優れた第2の材質とを用意し、第1の材質からなる第1の皮膜を素材に直接形成し、この第1の皮膜の上に、第2の材質からなる第2の皮膜を形成すれば、バネの耐食性および自己潤滑性の両方を優れたものとすることができる。
【0087】
さらに、時計としては、発電機の回転速度を制御する電子制御式機械時計に限らず、テンプとガンギ車とで回転速度を制御する通常の機械式時計でもよく、また、ゼンマイを収納した香箱を1個のみ備えたものに限らず、香箱を2個以上備えたものでもよい。
【0088】
産業上の利用可能性
本発明は、機械要素として利用されるバネ、このバネを利用した駆動機構、機器および時計に関し、例えば、ガソリンエンジンの吸気バルブおよび排気バルブの駆動、車両の足まわりの緩衝装置、玩具や時計、ならびに、オルゴール等の動力源として利用されている渦巻き状のゼンマイ等として好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の第1実施形態の要部を示す平面図である。
【図2】
前記図1のII−II線における断面図である。
【図3】
前記図1のIII−III線における断面図である。
【図4】
前記第1実施形態の香箱車を示す断面図である。
【図5】
前記第1実施形態に係る発電機の回転制御回路を示すブロック図である。
【図6】
本発明の第2実施形態を示す平面図である。
【図7】
前記第2実施形態の要部を示す断面図である。
【図8】
本発明の第3実施形態の要部を示す断面図である。

Claims (15)

  1. 弾性を備えた素材を加工したバネであって、前記素材の表面の少なくとも一部に、前記素材とは、組成および機械的特性が異なる皮膜が形成されていることを特徴とするバネ。
  2. 請求項1に記載のバネにおいて、前記皮膜が前記素材よりも硬いことを特徴とするバネ。
  3. 請求項1または請求項2に記載のバネにおいて、前記皮膜が複数層設けられていることを特徴とするバネ。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のバネにおいて、前記素材が帯状に加工されるとともに、渦巻き状に巻かれることにより、当該バネがゼンマイとなっていることを特徴とするバネ。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のバネにおいて、前記素材が弾性変形する際に、圧縮力が加わる部分の表面に、前記皮膜が設けられていることを特徴とするバネ。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のバネにおいて、前記皮膜は、前記素材よりも硬質の物質を当該素材の表面にコーティングした薄膜であることを特徴とするバネ。
  7. 請求項6に記載のバネにおいて、前記素材が非金属材料から形成されていることを特徴とするバネ。
  8. 請求項6または請求項7に記載のバネにおいて、前記薄膜は、成膜温度が常温に近い物理的蒸着法により前記素材に形成されたものであることを特徴とするバネ。
  9. 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のバネにおいて、前記皮膜は、前記素材を構成する物質と強く結合する拡散物質を当該素材の表面から内部に拡散させることにより、当該素材よりも硬質に形成された拡散層であることを特徴とするバネ。
  10. 請求項9に記載のバネにおいて、前記素材は、熱拡散処理が可能な金属材料から形成されていることを特徴とするバネ。
  11. 請求項9または請求項10に記載のバネにおいて、前記拡散層は、前記拡散物質の元素を含んで構成される分子からなるガスを高真空炉内に送り込み、当該素材の表面から内部に前記拡散物質を拡散させる拡散処理法により、前記素材に形成されたものであることを特徴とするバネ。
  12. 請求項1ないし請求項11のいずれかに記載のバネを動力源として利用していることを特徴とする駆動機構。
  13. 請求項1ないし請求項11のいずれかに記載のバネを利用していることを特徴とする機器。
  14. 機械的エネルギを蓄積する機械的エネルギ蓄積手段と、
    この機械的エネルギ蓄積手段により駆動される発電機と、
    前記機械的エネルギ蓄積手段および前記発電機を相互に連結する輪列と、
    この輪列に結合された指針と、
    前記発電機の回転速度を制御する回転制御手段と
    を備えた電子制御式の時計であって、
    請求項1ないし請求項11のいずれかに記載のバネを前記機械的エネルギ蓄積手段として利用していることを特徴とする時計。
  15. 機械的エネルギ蓄積手段を備え、この機械的エネルギ蓄積手段により駆動される時計であって、請求項1ないし請求項11のいずれかに記載のバネを前記機械的エネルギ蓄積手段として利用していることを特徴とする時計。
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