JP2003065213A - ゼンマイ及びゼンマイを用いた機器 - Google Patents

ゼンマイ及びゼンマイを用いた機器

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JP2003065213A
JP2003065213A JP2001255125A JP2001255125A JP2003065213A JP 2003065213 A JP2003065213 A JP 2003065213A JP 2001255125 A JP2001255125 A JP 2001255125A JP 2001255125 A JP2001255125 A JP 2001255125A JP 2003065213 A JP2003065213 A JP 2003065213A
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Osamu Takahashi
理 高橋
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Abstract

(57)【要約】 【課題】トルクの制御範囲が小さく、機器の駆動部の耐
久性を向上することができるゼンマイ及びこのゼンマイ
を用いた機器を提供すること。 【解決手段】電子式機械時計の動力源として用いられる
ゼンマイを超弾性材料であるNi−Ti合金で構成す
る。超弾性材料は弾性率が低く、除荷時の応力が一定で
ある範囲が広いため、データG1のようにゼンマイのト
ルクカーブの傾きが略水平になる。トルクの制御範囲が
小さくなるので、制御誤差が生じにくくなり、電子制御
式機械時計の精度を向上させることができる。また、巻
き上げた直後のトルクT2と駆動部である発電機等を駆
動させるのに必要なトルクT0との差が小さいため、従
来のように必要以上に大きなトルクが駆動部にかから
ず、これらの駆動部の耐久性を向上することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゼンマイ及びゼン
マイにより駆動可能な駆動部を有する機器に関する。
【0002】
【背景技術】従来から、時計やオルゴール等の機器の動
力源としてゼンマイが使用されている。ゼンマイに使用
される材料としては、炭素鋼、ステンレス、コバルト合
金が一般的である。また、本願出願人はアモルファス金
属を用いたゼンマイも提案している(国際公開番号WO
99/12080号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】炭素鋼、ステンレス、
コバルト合金等を使用した一般的なゼンマイは、図10
のグラフにおけるデータG100に示すように、ゼンマ
イを巻き上げた直後(巻数Nmax)のトルクT1は大きい
が、ゼンマイが巻きほどけるに従って、トルクは直線的
に急速に低下する。一方、アモルファス金属を使用した
ゼンマイは、炭素鋼等を使用したゼンマイに比べ、図1
0のデータG101に示すように、ゼンマイがある程度
ほどけるまでは、トルクカーブの傾きは小さくなる。こ
のため、巻数の変化によるトルクの変動は従来のゼンマ
イに比べて小さいが、巻数の変化によってトルクが変動
する傾向は一般的なゼンマイと同じである。
【0004】このようなトルクが変動するゼンマイを、
オルゴールや時計等、駆動部に一定速度の動きを要する
機器の動力に使用した場合、ゼンマイから駆動部にかか
るトルクを一定に保つためにブレーキをかける必要があ
る。従って、巻き上げた直後のトルクT1に対してはブ
レーキトルクを大きくし、トルクの低下に従って徐々に
ブレーキトルクを小さくしなければならず、トルクの制
御範囲が広くなるため、制御誤差が生じやすいととも
に、ブレーキ制御範囲の広い高性能の制御装置が必要と
なり、コストが高くなるという問題がある。
【0005】また、ゼンマイを動力として用いた場合に
は、その持続時間を確保するために、ゼンマイがほどけ
てトルクが低下した状態でも、駆動部を駆動できるよう
に構成する必要がある。そのため、通常は、駆動部が駆
動するのに必要なトルクはT 0程度に設計される。この
ため、ゼンマイを巻き上げた直後のトルクT1はこのト
ルクT0よりもかなり大きくなり、機器の駆動部に必要
以上に大きな力がかかり、長期間にわたって機器を使用
する場合には駆動部が破損するおそれがあり、機器の駆
動部の耐久性をあまり高くできないという問題もある。
【0006】本発明の目的は、トルクの制御範囲が小さ
く、駆動部の耐久性を向上することができるゼンマイ及
びこのゼンマイを用いた機器を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のゼンマイは、超
弾性材料から構成され、動力源として用いられることを
特徴とするものである。ここで、超弾性材料とは、オー
ステナイト温度領域(オーステナイト相領域)におい
て、外力(荷重)を加えると応力誘起マルテンサイト相
に変態し、外力を取り除くと(除荷すると)、直ちに元
のオーステナイト相に戻るものをいう。例えば、具体的
には、マルテンサイト相とオーステナイト相との間の変
態温度が室温以下の低い温度であり、室温において超弾
性を示す材料であり、荷重を加えた際に、8%程度の歪
みが弾性的にもとに戻るもの、つまり回復歪みが8%程
度であるものをいい、図5に示すような応力−歪み曲線
を描くものがである。
【0008】超弾性材料は、弾性率が低く、除荷時の応
力が一定である範囲が広いため、ゼンマイを超弾性材料
で構成すると、ゼンマイがある程度解けるまでは、トル
クカーブの傾きが略水平になる。従って、このゼンマイ
により機器の駆動部を駆動させれば、トルクの制御範囲
が小さくなるので、トルク差による制御誤差が生じにく
くなり、機器の駆動精度を向上させることができる。ま
た、超弾性材料の弾性率は低く、従来の一般的なゼンマ
イを巻き上げた直後のトルクT1と駆動部が駆動するの
に必要なトルクT0との差に比べ、本発明のゼンマイを
巻き上げた直後のトルクT2とトルクT0との差は小さく
なり、従来のように、必要以上に大きなトルクが機器の
駆動部にかからないため、駆動部の耐久性を向上するこ
とができる。
【0009】この際、前記超弾性材料はNi−Ti合金
または、Ni−Ti合金にFe、Co、Cr、V、P
d、Alのうち一種類または二種類以上を含んだ合金で
あることが好ましい。室温において超弾性を示す合金と
しては、Ni−Ti系合金、銅系合金の一部、鉄系合金
の一部があるが、特にNi−Ti系の合金は強度、耐疲
労、耐食性等の点で優れており、ゼンマイとして使用す
るのに適している。
【0010】本発明の機器は、請求項1または請求項2
に記載のゼンマイと、このゼンマイにより駆動可能な駆
動部とを有することを特徴とするものである。ここで、
機器とは、動力源として超弾性材料からなるゼンマイを
備えた装置であればよく、例えば、時計、オルゴール、
玩具等の様々な機器が利用できる。機器は、超弾性材料
から構成されるゼンマイを用いているため、ゼンマイが
ある程度解けるまでは、トルクカーブの傾きが略水平と
なり、ブレーキトルクを加えることによるブレーキ制御
を行わなくても、駆動部の動きをある程度一定とするこ
とができる。従って、機器が、駆動部の速度制御の精度
をそれほど高くする必要がない玩具等である場合には、
制御装置なしでも使用することができ、これらの製造コ
ストをの低下することができる。また、ゼンマイを巻き
上げた直後のトルクT2と駆動部が駆動するのに必要な
トルクT0との差は小さいものとなり、従来のように、
ゼンマイを巻き上げた直後に必要以上に大きなトルクが
機器の駆動部にかからないため、駆動部の耐久性を向上
することができる。
【0011】さらに、機器は、駆動部の駆動を制御する
制御装置を有することが好ましい。このような制御装置
を設ければ、駆動部の動きを一定に保つことができ、機
器の駆動精度を高めることができるため、時計やオルゴ
ールのような、ゼンマイで駆動される指針や、オルゴー
ルの回転円板、ドラムの駆動精度が要求される機器にも
適用できる。その上、超弾性材料からなるゼンマイは、
巻数の変化に対するトルクの変動が小さく、トルクの制
御範囲を小さくできるので、制御装置による制御誤差も
減少し、駆動部の駆動精度を向上することができる。さ
らに、トルクの制御範囲が小さいため、ブレーキ制御範
囲の広い高精度の制御装置を設ける必要がなく、機器の
コストを低下させることもできる。
【0012】また、前記駆動部は、前記ゼンマイから供
給される機械的エネルギを伝達する機械的エネルギ伝達
装置と、この機械的エネルギ伝達装置によって伝達され
た機械的エネルギによって駆動され、誘起電力を発生し
て電気的エネルギを供給する発電機とを備え、前記制御
装置は、前記電気的エネルギにより駆動されて、前記発
電機の回転周期を制御する回転制御装置であることが好
ましい。制御装置としては、電池や外部電源等により動
くものも考えられるが、ゼンマイによる機械的エネルギ
によって発電する発電機を備えていれば、制御装置を駆
動する電力をその発電機で得ることができる。このた
め、ゼンマイを巻き上げれば機器を作動させることがで
き、外部電源や電池が不要なため、携帯用あるいは非常
用の機器に適したものとなる。さらに、電池が不要なの
で、電池切れで使用できないということがなく、いつで
も利用することができる上、電池の廃却による環境破壊
を防止することもできる。
【0013】また、前記機械的エネルギ伝達装置は輪列
により構成され、前記機器は、この輪列に結合された指
針を備える電子制御式機械時計であることが好ましい。
電子制御式機械時計は、指針及び発電機をゼンマイで駆
動し、発電機に回転制御装置によりブレーキをかけるこ
とで、ロータつまりは指針の回転数を調速するものであ
り、従来の機械式時計のようにゼンマイを巻き上げるだ
けで駆動することができるとともに、クオーツ時計と同
様の電子制御式であるため、機械時計に比べて指針をよ
り正確に運針させて正確に時刻を表示することができ
る。さらに、電子制御式機械時計は、ゼンマイがある程
度ほどけるまでは、トルクカーブの傾きが小さいゼンマ
イを使用しており、ブレーキトルクが小さくてよいた
め、発電機の発電効率を向上することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態の電
子制御式機械時計の要部を示す平面図であり、図2及び
図3はその断面図である。電子制御式機械時計は、ゼン
マイ1a、香箱歯車1b、香箱真1c及び香箱蓋1dか
らなる香箱車1を備えている。ゼンマイ1aは、外端が
香箱歯車1b、内端が香箱真1cに固定される。香箱真
1cは、地板2と輪列受3に支持され、角穴車4と一体
で回転するように角穴ネジ5により固定されている。
【0015】角穴車4は、時計方向には回転するが反時
計方向には回転しないように、こはぜ6と噛み合ってい
る。なお、角穴車4を時計方向に回転しゼンマイ1aを
巻く方法は、機械時計の自動巻または手巻機構と同様で
あるため、説明を省略する。香箱歯車1bの回転は、7
倍に増速されて二番車7へ、順次6.4倍増速されて三
番車8へ、9.375倍増速されて四番車9へ、3倍増
速されて五番車10へ、10倍増速されて六番車11
へ、10倍増速されてロータ12へと、合計126,0
00倍に増速されている。従って、これらの各番車7〜
11からなる輪列によってゼンマイ1aからの機械的エ
ネルギを発電機のロータ12に伝達する機械エネルギ伝
達装置が構成されている。
【0016】また、二番車7には筒かな7aが、筒かな
7aには分針13が、四番車9には秒針14がそれぞれ
固定されている。従って、二番車7を1rphで、四番
車9を1rpmで回転させるためには、ロータ12は5
rpsで回転するように制御すればよい。このときの香
箱歯車1bは、1/7rphとなる。
【0017】この電子制御式機械時計は、ロータ12、
ステータ15、コイルブロック16から構成される発電
機20を備えている。ロータ12は、ロータ磁石12
a、ロータかな12b、ロータ慣性円板12cから構成
される。ロータ慣性円板12cは、香箱車1からの駆動
トルク変動に対しロータ12の回転速度数変動を少なく
するためのものである。ステータ15は、ステータ体1
5aに4万ターンのステータコイル15bを巻線したも
のである。コイルブロック16は、磁心16aに11万
ターンのコイル16bを巻線したものである。ここで、
ステータ体15aと磁心16aはPCパーマロイ等で構
成されている。また、ステータコイル15bとコイル1
6bは、各々の発電電圧を加えた出力電圧がでるように
直列に接続されている。
【0018】ここで、上述した香箱車1内部のゼンマイ
1aを説明する。このゼンマイ1aは、図4に示すよう
に香箱真1cに対する巻き取り方向とは反対側にクセ付
され、平面略S字状の自由展開形状を有している。ゼン
マイ1aは超弾性材料で構成されている。超弾性材料
は、具体的にはNi−Ti合金であり、この合金の合金
組成は、例えば、原子%でNiが50.5〜51.5、
Tiが残部(49.5〜48.5%)となっている。超
弾性材料は、オーステナイト温度領域において、外力を
加えると応力誘起マルテンサイト相に変態し、除荷する
と直ちにオーステナイト相に戻るという性質を有してい
る。従って、荷重を加えた場合でも塑性変形することな
く、例えば、8%程度もの大きな歪みが弾性的にもとに
戻りる性質を有し、図5に示されるような応力−歪み曲
線を描くような超弾性材料もある。また、この超弾性材
料は、この超弾性合金は8%程度もの大きな歪みが元に
戻り、除荷時の応力が一定である範囲が約0.5〜54
〜7%と広く、弾性係数も小さい(6000から800
0kgf/mm2程度)という特性もを有している。この超弾
性材料から構成されたゼンマイ1aのトルクTと巻数N
との関係は図10のデータG1に示すように、ほとんど
傾きがないものとなる。また、ゼンマイを巻き上げた直
後のトルクT2と駆動部である発電機20や輪列(各番
車7〜11)を駆動するのに必要なトルクT0との差
は、従来のゼンマイに比べて小さくなっている。
【0019】次に、電子制御式機械時計の制御回路につ
いて、図6及び図7を参照して説明する。図6には、本
実施形態の機能を示すブロック図が示されている。発電
機20は、増速輪列(各番車7から11)を介してゼン
マイ1aによって駆動され、誘起電力を発生して電気的
エネルギを供給する。この発電機20からの交流出力
は、昇圧整流、全波整流、半波整流、トランジスタ整流
等からなる整流回路21を通して整流され、コンデンサ
等で構成された電源回路21aに充電供給される。
【0020】なお、本実施形態では、整流回路21を含
むブレーキ回路を発電機20に設けている。具体的に
は、発電機20の出力端である第1の端子MG1、第2
の端子MG2を短絡させてショートブレーキを掛ける第
1および第2のスイッチ121,122によりブレーキ
回路が構成されている。
【0021】図7に示すように、第1のスイッチ121
は、第2の端子MG2にゲートが接続されたPchの第
1の電界効果型トランジスタ(FET)126と、整流
回路21に設けられたチョッピング信号発生部180か
らのチョッピング信号(チョッピングパルス)CH3が
ゲートに入力される第2の電界効果型トランジスタ12
7とが並列に接続されて構成されている。
【0022】また、第2のスイッチ122は、第1の端
子MG1にゲートが接続されたPchの第3の電界効果
型トランジスタ(FET)128と、チョッピング信号
発生部180からのチョッピング信号(チョッピングパ
ルス)CH3がゲートに入力される第4の電界効果型ト
ランジスタ129とが並列に接続されて構成されてい
る。
【0023】そして、発電機20に接続された昇圧用の
コンデンサ123、ダイオード124,125、第1の
スイッチ121、第2のスイッチ122により倍電圧整
流回路(簡易同期昇圧チョッピング整流回路)2135
が構成されている。なお、ダイオード124,125と
しては、一方向に電流を流す一方向性素子であればよ
く、その種類は問わない。特に、電子制御式機械時計で
は、発電機20の起電圧が小さいため、ダイオード12
4,125としては降下電圧Vfが小さいショットキー
バリアダイオードを用いることが好ましい。また、ダイ
オード124としては、逆リーク電流が小さいシリコン
ダイオードを用いることが好ましい。
【0024】前記ブレーキ回路は、電源回路(コンデン
サ)21aから供給される電力によって駆動される回転
制御装置50により制御されている。この回転制御装置
50は、図6に示すように、発振回路51、ロータの回
転検出回路53、ブレーキの制御回路56を備えて構成
されている。
【0025】発振回路51は時間標準源である水晶振動
子51Aを用いて発振信号を出力し、この発振信号は分
周回路によってある一定周期まで分周され、基準信号f
sとして出力されている。回転検出回路53は、発電機
20の回転周期に対応して回転検出信号FG1を出力す
る。
【0026】制御回路56は、アップダウンカウンタ等
からなる制動制御装置と、チョッピング信号発生部18
0とを有している。アップダウンカウンタには、基準信
号fsと、回転検出信号FG1とが入力され、その位相
差の累積値がアップダウンカウンタから出力される。こ
のアップダウンカウンタからの出力はチョッピング信号
発生部180に入力され、チョッピング信号発生部18
0からの出力CH3は、第2,4の電界効果型トランジ
スタ127,129のゲートに入力される。
【0027】チョッピング信号(チョッピングパルス)
CH3からLレベル信号が出力されると、トランジスタ
127,129はオン状態に維持され、発電機20がシ
ョートされてブレーキが掛かる。一方、出力CH3から
Hレベル信号が出力されると、トランジスタ127,1
29はオフ状態に維持され、発電機20にはブレーキが
加わらない。従って、ロータ12の回転(回転検出信号
FG1)が基準信号fsよりも早い場合には、デューテ
ィ比(トランジスタ127,129をオンしている比
率)の大きなチョッピング信号CH3を出力して発電機
20に大きなブレーキを加え、基準信号fsよりも遅い
場合には、デューティ比の小さなチョッピング信号CH
3を出力して発電機20に加わるブレーキを小さくする
ことで、発電機20をチョッピングによりブレーキ制御
することができる。
【0028】このようなチョッピング信号によるブレー
キ制御を行うと、その充電特性およびブレーキ特性は、
チョッピング信号CH3のデューティ比および周波数に
より、図8,図9に示すようになる。すなわち、チョッ
ピング周波数を、25,50,100,500,100
0Hzの5段階に切り替えた際の、スイッチをオンして
いる比率を表すデューティーサイクル(duty)の各値で
のコンデンサの充電電圧(発電電圧)および駆動トルク
(ブレーキトルク)を測定したところ、図8,9に示す
ようになった。なお、発電機20のロータの回転周波数
は10Hzに設定した。チョッピング周波数が25Hz
の場合を除いて、いずれもが0.8Vを上回る電圧を充
電でき、電圧を一定値(0.8V)以上維持できる。ま
た、チョッピング周波数により、dutyを大きくした時の
駆動トルクの上昇カーブは異なるが、dutyが0.9にな
ると、ほぼ等しい駆動トルクとなることが分かる。従っ
て、特にチョッピング周波数が、50Hzつまりロータ
の回転周波数の5倍以上あれば、充電電圧を一定値以上
に維持しながら、ブレーキ性能を向上することができ
る。
【0029】このような本実施形態によれば、以下の効
果を奏することができる。 (1) 動力源となるゼンマイ1aを超弾性材料であるNi
−Ti合金で形成しているので、ゼンマイ1aがある程
度ほどけるまでは、ゼンマイ1aから供給される機械的
エネルギのトルクカーブの傾きを略水平にすることがで
きる。そのため、機械的エネルギのトルク制御範囲が小
さくなるので、トルク差による制御誤差が生じにくくな
り、電子制御式機械時計の精度を向上させることができ
る。
【0030】(2) ゼンマイ1aのトルク制御範囲が小さ
いため、ブレーキ制御範囲の広い高精度の回転制御装置
50を設ける必要がなく、電子制御式機械時計のコスト
を低下させることもできる。
【0031】(3) 超弾性材料は弾性率が低く、この超弾
性材料から構成されるゼンマイ1aを巻き上げた直後の
トルクT2と駆動部である発電機20および輪列を駆動
させるのに必要なトルクT0との差が小さいため、従来
のように必要以上に大きなトルクが電子制御式機械時計
の駆動部にかからず、これらの駆動部の耐久性を向上す
ることができる。
【0032】(4) トルクカーブの傾きが小さいゼンマイ
1aを使用しており、ブレーキトルクが小さくてよいた
め、発電機20の発電電力を向上することができ、高効
率の発電機20にすることができる。従って、腕時計の
ような小型の機器において効率のよい発電を行うことが
でき、小型機器への適用に適したものにできる。
【0033】(5) さらに、本実施形態では、発電機20
のブレーキ制御をチョッピング信号によって行っている
ので、発電機20のロータ磁石12aを小さくし、磁束
を小さくして、発電電圧が小さくなってしまっても、図
8及び図9の結果からも明らかなように、dutyを大きく
することによって、発電電圧が大きくなるため、必要な
電圧を確保することができる。このため、発電機20の
ロータ磁石12aを小さくできるので、発電機20にお
ける鉄損を小さくでき、その分、発電効率を向上するこ
とができる。
【0034】(6) その上、ロータ磁石12aが小さくな
ると、ブレーキトルクも小さくなってしまい、従来のゼ
ンマイを使用したのでは、ゼンマイの巻き上げ直後の大
きなトルクを制御できず、指針が進みすぎてしまう。こ
れに対し、本実施形態のような、超弾性材料から構成さ
れるゼンマイ1aを使用すれば、トルクが略一定であ
り、ゼンマイ1aを巻き上げた直後のトルクT2と駆動
部である発電機20、輪列を駆動させるのに必要なトル
クT0との差が小さいため、大きなブレーキトルクをか
ける必要がなく、小さなブレーキトルクによっても確実
に制御することができる。従って、超弾性材料のゼンマ
イ1aを用いれば、ロータ磁石12aを小さくしてduty
を大きくすることで、鉄損を小さくでき、かつ、発電電
圧も一定値以上に維持できるので、持続時間が長く、か
つ、高精度の電子制御式機械時計とすることができる。
【0035】なお、本発明は前述の実施の形態に限定さ
れるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での
変形、改良等は本発明に含まれるものである。例えば、
前記実施形態では機器を電子制御式機械時計としていた
が、がんぎ車およびアンクル等からなる脱進機とテンプ
等からなる調速機とを備えた機械式時計(メカ時計)に
適用してもよい。この場合も、ゼンマイ1aのトルク変
動が小さいため、トルク差による制御誤差が生じにくく
なり、従来にくらべて高精度の時計にすることができ
る。また、本発明を適用した時計としては、腕時計に限
らず、置き時計や掛時計等のクロック、懐中時計等の携
帯型時計にも適用できる。
【0036】また、本発明の機器としては、オルゴール
やメトロノームなどでもよい。例えば、機器をオルゴー
ルとする場合には、輪列の歯車で、回転円板や回転ドラ
ム(シリンダ)を回転させ、この回転ドラムなどに植設
されたピンで振動板を弾いて音を発生させるようにすれ
ばよい。この場合も、トルクカーブの傾きが略水平であ
るゼンマイを使用しているため、回転ドラムなどを一定
速度で高精度に回転させることができ、正確な演奏を長
時間行うことができる。また、本発明をメトロノームに
適用する場合にも、輪列の歯車にメトロノーム音発信車
を付け、その車の回転により、メトロノーム音片を弾い
て周期的なメトロノーム音を発音させるようにすればよ
く、非常に精度の高いメトロノームにすることができ
る。
【0037】さらに、機器としては、ゼンマイ1aを動
力源とする車、船、飛行機等の玩具でもよい。例えば、
車の玩具において、本発明のゼンマイ1aによってタイ
ヤを回転させるようにすれば、何ら制御装置を設けなく
ても、タイヤを一定速度で回転させることができ、安定
した走行を長時間に渡って行うことができる。
【0038】また、本発明のゼンマイ1aは、安定した
トルクを長時間与えることができるので、発電機20の
動力源としても適している。このため、本発明は、電力
によって駆動され、かつ携帯用途などに利用された電源
確保が難しい各種の機器、例えば、携帯型血圧計、携帯
電話機、ページャ、歩数計、電卓、携帯用パーソナルコ
ンピュータ、電子手帳、携帯ラジオ、電気かみそり、電
気駆動のモーターやランプ等を内蔵する玩具等の各種の
機器に適用してもよい。これらの各種機器において、そ
の駆動部の速度制御の精度が必要な場合には、制御装置
を設ける必要があるが、その速度制御をそれほど高くす
る必要がない場合、例えば、ある程度の速度範囲でロー
タが回転して発電が行われていればよい場合には、制御
装置を設けなくてもよい。
【0039】さらに、ゼンマイ1aなどの機械的エネル
ギ源からの機械的エネルギを発電機に伝達する機械的エ
ネルギ伝達装置としては、前記各実施形態のような輪列
(歯車)に限らず、摩擦車、ベルト及びプーリ、チェー
ン及びスプロケットホイール、ラック及びピニオン、カ
ムなどを利用したものでもよく、機器の種類などに応じ
て適宜設定すればよい。また、ゼンマイ1aを構成する
超弾性材料としては、原子%でNiが50.5〜51.
5、Tiが49.5〜48.5であるNi−Ti合金を
使用したが、この合金組成に限らず、超弾性の特性を示
す合金組成であればよい。さらに、Ni−Ti合金にF
e、Cr、V、Pd、Alのうち1種類または2種類を
加えたものでゼンマイを構成してもよい。例えば、Ni
を原子%で49.5〜51.5、Fe等を合計1%以下
含み、残部をTiとする合金組成の超弾性材料でゼンマ
イを構成してもよい合金がある。また、超弾性材料とし
ては、Ni−Ti系の合金に限らず、銅系や鉄系の合金
等でもよく、超弾性の特性を有する材料であればよい。
ただし、Ni−Ti系の合金は、銅系や鉄系の合金に比
べ、強度、耐疲労、耐食性等の点で優れており、ゼンマ
イとして使用するのに適している。
【0040】
【発明の効果】このような本発明のゼンマイ及びこのゼ
ンマイを用いた機器によれば、トルクの制御範囲が小さ
く、機器の駆動部の耐久性を向上することができるとい
う効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかる電子制御式機械時
計の要部を示す平面図である。
【図2】図1の要部を示す断面図である。
【図3】図1の要部を示す断面図である。
【図4】前記電子制御式機械時計のゼンマイを示す平面
図である。
【図5】前記ゼンマイを構成する超弾性材料の応力と歪
みとの関係を示すグラフである。
【図6】前記電子制御式機械時計の要部の構成を示すブ
ロック図である。
【図7】前記実施形態の整流回路の構成を示す回路図で
ある。
【図8】チョッピング周波数と充電電圧との関係を示す
グラフである。
【図9】チョッピング周波数と駆動トルクとの関係を示
すグラフである。
【図10】トルクと巻数との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 香箱車 1a ゼンマイ 1b 香箱歯車 2 地板 3 輪列受 7 二番車 8 三番車 9 四番車 10 五番車 11 六番車 12 ロータ 12a ロータ磁石 12c ロータ慣性円板 13 分針 14 秒針 15 ステータ 16 コイルブロック 16a 磁心 16b コイル 20 発電機 21 整流回路 50 回転制御装置 51 発振回路 51A 水晶振動子 53 回転検出回路 56 制御回路 121,122 スイッチ 123 コンデンサ 124,125 ダイオード 127,129 電界効果型トランジスタ 180 チョッピング信号発生部

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超弾性材料から構成され、動力源として
    用いられることを特徴とするゼンマイ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のゼンマイにおいて、 前記超弾性材料はNi−Ti合金または、Ni−Ti合
    金にFe、Co、Cr、V、Pd、Alのうち一種類ま
    たは二種類以上を含んだ合金であることを特徴とするゼ
    ンマイ。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載のゼンマ
    イと、このゼンマイにより駆動可能な駆動部とを有する
    ことを特徴とする機器。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の機器において、 前記駆動部の駆動を制御する制御装置を有することを特
    徴とする機器。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の機器において、 前記駆動部は、前記ゼンマイから供給される機械的エネ
    ルギを伝達する機械的エネルギ伝達装置と、この機械的
    エネルギ伝達装置によって伝達された機械的エネルギに
    よって駆動され、誘起電力を発生して電気的エネルギを
    供給する発電機とを備え、 前記制御装置は、前記電気的エネルギにより駆動されて
    前記発電機の回転周期を制御する回転制御装置であるこ
    とを特徴とする機器。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の機器において、 前記機械的エネルギ伝達装置は輪列により構成され、 前記機器は、この輪列に結合された指針を備える電子制
    御式機械時計であることを特徴とする機器。
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