JP2004501902A - N−[4−(3−クロロ−4−フルオロフェニルアミノ)−7−(3−モルホリン−4−イルプロポキシ)−キナゾリン−6−イル]−アクリルアミドジヒドロクロリドの多形性形態/水和物 - Google Patents

N−[4−(3−クロロ−4−フルオロフェニルアミノ)−7−(3−モルホリン−4−イルプロポキシ)−キナゾリン−6−イル]−アクリルアミドジヒドロクロリドの多形性形態/水和物 Download PDF

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Abstract

N−[4−(3−クロロ−4−フルオロフェニルアミノ)−7−(3−モルホリン−4−イルプロポキシ)−キナゾリン−6−イル]−アクリルアミドジヒドロクロリドの形態A、B、H及びM、並びにそれらの調製方法が提供される。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
下式のN−[4−(3−クロロ−4−フルオロフェニルアミノ)−7−(3−モルホリン−4−イルプロポキシ)−キナゾリン−6−イル]−アクリルアミドジヒドロクロリド:
【化2】
Figure 2004501902
は、とりわけ各種の腫瘍の治療に使用される新しいクラスのEGFレセプターの高い有効性の不可逆的チロシンキナーゼインヒビターの代表物である(WO−97/38983)。対応する遊離塩基の調製は、出願日が1998年11月19日である米国特許出願90/109065に記載されている。
【0002】
【従来の技術】
活性物質の各種の多形性形態/水和物が、医薬の安定性、可溶性、製剤特性、及び調製に対して強い影響を有することができることは既知である。
【0003】
さらに、身体における各種の取り込み及び分配速度が、作用の場で活性物質の各種の濃度の結果を有することができ、かくして各種の生物学的作用が発揮されるため、活性物質の各種の多形性形態/水和物が、それ自体で作用に強く影響することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題及び課題を解決するための手段】
遊離塩基から化合物(I)を調製する場合、驚くべきことに、化合物(I)は、各種の多形性形態/水和物を形成できることが示された。これらは、X線パウダー図、示差走査熱量測定曲線、及びカールフィッシャー法によって測定された水分値において明らかに異なり、それらのIRスペクトルによってあまり明らかではないが異なる。
【0005】
化合物(I)の各種の多形性形態/水和物が、前述の物理的測定方法によって明らかに特徴付けることについて、活性物質の未知の多形性形態/水和物の出現が、医薬の調製に強い影響を発揮するという事実は、物理的または化学的パラメーターによって明らかには特徴付けされていない活性物質の多形性形態/水和物の使用で生産されている医薬は市販できないことによって、問題となる医薬の製剤の場合及び公的な条件(例えばFDAの条件)で考慮されることができる。
【0006】
関連する調査の範囲で、化合物(I)の4種の異なる多形性形態/水和物が調製されており、とりわけ約3モルの水を有する形態A、約3モルの水を有する形態Aの多形性化合物としての形態B、約7モルの水を有する形態H、及び約1モルの水を有する形態Mに特徴付けされている。
【0007】
化合物(I)の各種の形態AからMの特徴付けは、X線パウダー図、示差走査熱量測定図、及びIRスペクトル、並びにカールフィッシャー法によって測定された水分値、及びそれらの元素分析値から生じた。前記図及びスペクトルは、図面に説明されている。
【0008】
【発明の実施の形態】
20部の無水エタノール及び1部の水との混合物中の遊離塩基及び水性塩酸からの化合物(I)の調製の場合、約1モルの水を有する化合物(I)の形態Mが生ずる。
【0009】
もし化合物(I)の形態Mを、10部の無水エタノール及び1部の水の混合物から結晶化すると、化合物(I)は、約3モルの水を有する形態Aで得られる。水から化合物(I)の形態Aを結晶化し、次いで得られた結晶を適切に乾燥した場合、形態Bと称される、約3モルの水を含む化合物(I)の形態Aに対する多形性の化合物が得られる。
【0010】
水中の遊離塩基及び塩酸からの化合物(I)の調製は、適切な産物の乾燥の後、化合物(I)の形態Bを導く。
【0011】
もし化合物(I)の形態Bが無水メタノール中に溶解され、溶媒が室温で蒸発されると、約7モルの水を有する化合物(I)の形態Hが得られる。形態Hは、1N塩酸から形態AまたはBを結晶化し、得られた結晶を適切に乾燥することによっても得ることができる。
【0012】
前述のように、再生産可能な方法で得られた化合物(I)の異なる多形性形態/水和物A、B、H及びMは、それらのX線パウダー図、及び示差走査熱量測定図、並びにカールフィッシャー法による水分値において明らかに異なり、並びにそれらのIRスペクトルによってあまり明らかではないが異なる。各種の形態の間のさらなる差異は、80℃または150℃での固体物質の加熱に対する各種の安定性にある。形態AまたはBと比較して、形態Mはより安定な形態であることが分かる。
【0013】
遊離塩基及び塩酸からの化合物(I)の調製において、X線パウダー図に従って、形態AとBの混合形態であり、形態AとB自体に似た3モルの水の明確な水含量を有する結晶である産物もまた得ることができる。
【0014】
本発明に係る化合物(I)の各種の形態は、化合物(I)自体と同じ態様で、不可逆的チロシンキナーゼインヒビターとしての使用に適するものであり、それ故ガン、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、子宮内膜症、及び乾癬の治療のための医薬の入手に適している。
【0015】
以下の実施例は、本発明をより詳細に説明するためのものであり、いかなる態様でも本発明を制限するものではない。
【0016】
【実施例】
実施例1
形態MのN−[4−(3−クロロ−4−フルオロフェニルアミノ)−7−(3−モルホリン−4−イルプロポキシ)−キナゾリン−6−イル]−アクリルアミドジヒドロクロリドの調製
【0017】
機械的攪拌子、還流コンデンサー、及び滴下漏斗を備えた6lの三首フラスコに、300gのN−[4−(3−クロロ−4−フルオロフェニルアミノ)−7−(3−モルホリン−4−イルプロポキシ)−キナゾリン−6−イル]−アクリルアミド及び4lの無水エタノールを供給する。攪拌しながら懸濁物を35℃に加熱する。次いで100mlの濃縮塩酸と100mlの水の混合物を、30秒以内でそれに滴下し、反応混合物をさらに74℃に加熱する。40℃で透明な溶液が生じ、約50℃で溶液は濁り、結晶化が開始する。攪拌しながら、反応混合物をゆっくりと室温に冷却し、次いでさらに2℃で2時間アイスバスで冷却する。沈殿した結晶を吸引して濾過し、60℃で40時間循環乾燥キャビネットで乾燥する。その後、産物を0.5mmKressnerふるいで注意深くふるい分ける。314.2gの産物が得られる。
【0018】
カールフィッシャー法による水分:2.84%
元素分析(C2425ClFN×2HCl×HO)
Figure 2004501902
【0019】
実施例2
形態AのN−[4−(3−クロロ−4−フルオロフェニルアミノ)−7−(3−モルホリン−4−イルプロポキシ)−キナゾリン−6−イル]−アクリルアミドジヒドロクロリドの調製
【0020】
120gの形態MのN−[4−(3−クロロ−4−フルオロフェニルアミノ)−7−(3−モルホリン−4−イルプロポキシ)−キナゾリン−6−イル]−アクリルアミドジヒドロクロリド、及び300mlの10部の無水エタノールと1部の水(v/v)の混合物の懸濁液を、攪拌しながら75℃に加熱する。黄色の溶液を、折り畳んだフィルターで濾過し、濾液をゆっくりと攪拌しながら冷却する。室温で3時間さらに攪拌し、次いで2時間アイスバスで攪拌する。沈殿した産物を吸引して濾過し、循環乾燥キャビネットで40℃で3時間、60℃で36時間乾燥する。10.7gの産物が得られる。
【0021】
カールフィッシャー法による水分:8.82%
元素分析(C2425ClFN×2HCl×3HO)
Figure 2004501902
【0022】
実施例3
形態BのN−[4−(3−クロロ−4−フルオロフェニルアミノ)−7−(3−モルホリン−4−イルプロポキシ)−キナゾリン−6−イル]−アクリルアミドジヒドロクロリドの調製
【0023】
2.6lの水中の250gの形態AのN−[4−(3−クロロ−4−フルオロフェニルアミノ)−7−(3−モルホリン−4−イルプロポキシ)−キナゾリン−6−イル]−アクリルアミドジヒドロクロリドの懸濁液を、攪拌しながら50℃に加熱する。わずかに濁った溶液を、Buchner漏斗(aの孔度)で吸引し、濾液を攪拌せずに室温に冷却する。冷蔵庫で一晩4℃で放置した後、沈殿した産物を吸引しながら濾過し、100mlの水で洗浄し、20mbarで3日間塩化カルシウムで真空デシケーター中で乾燥する。得られた産物を1mmKresnerふるいでふるい分けする。212.2gの産物が得られる。
【0024】
カールフィッシャー法による水分:8.6%
元素分析(C2425ClFN×2HCl×3HO)
Figure 2004501902
【0025】
実施例4
形態HのN−[4−(3−クロロ−4−フルオロフェニルアミノ)−7−(3−モルホリン−4−イルプロポキシ)−キナゾリン−6−イル]−アクリルアミドジヒドロクロリドの調製
【0026】
2gの形態BのN−[4−(3−クロロ−4−フルオロフェニルアミノ)−7−(3−モルホリン−4−イルプロポキシ)−キナゾリン−6−イル]−アクリルアミドジヒドロクロリドを、室温で80mlの無水メタノール中に溶解する。溶液を結晶化皿に濾過し、溶媒が完全に蒸発するまで抽出器の下で維持する(7日間)。
【0027】
カールフィッシャー法による水分:19.95%
元素分析(C2425ClFN×2HCl×7HO)
Figure 2004501902
【0028】
実施例5
形態HのN−[4−(3−クロロ−4−フルオロフェニルアミノ)−7−(3−モルホリン−4−イルプロポキシ)−キナゾリン−6−イル]−アクリルアミドジヒドロクロリド
【0029】
形態Hを、1N塩酸から形態Bの結晶化によって以下のように得ることができる。
【0030】
1gの形態BのN−[4−(3−クロロ−4−フルオロフェニルアミノ)−7−(3−モルホリン−4−イルプロポキシ)−キナゾリン−6−イル]−アクリルアミドジヒドロクロリド、及び20mlの1N塩酸の懸濁液を、60℃に攪拌しながら加熱する。攪拌しながら室温に濾過した溶液を冷却し、それを4℃で冷蔵庫で一晩維持する。沈殿した産物を吸引しながら濾過し、わずかな水で洗浄し、粉砕した後結晶化皿に移し、空気中に開いた皿で室温で2日間乾燥させる。
【0031】
実施例6
温度ストレス実験
熱安定性の調査のために、固体の形態A、B及びMを、口の開いた試験チューブ(l:110mm、d:5mm)またはガラススタンプにより口の閉じた試験チューブに、表に示された温度及び継続時間でオイルバス中で加熱する。その後、残余の産物の純度を、HPLC法(カラム:LunaRP18(25×0.46cm);移動相:アセトニトリル:メタノール:0.02M水性酢酸アンモニウム:トリエチルアミン(55:5:40:0.05))によって調査する。
【0032】
【表1】
Figure 2004501902
(S):ガラススタンプを備えた試験チューブ
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、化合物(I)の形態AのX線パウダー図を示す。
【図2】図2は、化合物(I)の形態BのX線パウダー図を示す。
【図3】図3は、化合物(I)の形態HのX線パウダー図を示す。
【図4】図4は、化合物(I)の形態MのX線パウダー図を示す。
【図5】図5は、化合物(I)の形態Aの示差走査熱量測定図を示す。
【図6】図6は、化合物(I)の形態Bの示差走査熱量測定図を示す
【図7】図7は、化合物(I)の形態Hの示差走査熱量測定図を示す
【図8】図8は、化合物(I)の形態Mの示差走査熱量測定図を示す
【図9】図9は、化合物(I)の形態AのIRスペクトルを示す。
【図10】図10は、化合物(I)の形態BのIRスペクトルを示す
【図11】図11は、化合物(I)の形態HのIRスペクトルを示す
【図12】図12は、化合物(I)の形態MのIRスペクトルを示す

Claims (23)

  1. 下式:
    Figure 2004501902
    に対応するN−[4−(3−クロロ−4−フルオロフェニルアミノ)−7−(3−モルホリン−4−イルプロポキシ)−キナゾリン−6−イル]−アクリルアミドジヒドロクロリドの多形性形態/水和物。
  2. 約3モルの水を含む、請求項1記載のジヒドロクロリドの形態A。
  3. 約3モルの水を有する請求項2記載の形態Aに対する多形性化合物としての、請求項1記載のジヒドロクロリドの形態B。
  4. 約7モルの水を含む、請求項1記載のジヒドロクロリドの形態H。
  5. 約1モルの水を含む、請求項1記載のジヒドロクロリドの形態M。
  6. X線パウダー図において、8.7760°、23.2083°、28.8604°、37.2905°での回折ピーク2Θによって特徴付けされる、請求項1または2記載のジヒドロクロリドの形態A。
  7. 図5記載の示差走査熱量測定図によってさらに特徴付けされる、請求項6記載のジヒドロクロリドの形態A。
  8. X線パウダー図において、11.0986°、19.0075°、25.5280°での回折ピーク2Θによって特徴付けされる、請求項2記載の形態Aの多形性化合物としての、請求項1または3記載のジヒドロクロリドの形態B。
  9. 図6記載の示差走査熱量測定図によってさらに特徴付けされる、請求項8記載のジヒドロクロリドの形態B。
  10. X線パウダー図において、7.4267°、12.0027°、24.9997°、35.1642°での回折ピーク2Θによって特徴付けされる、請求項1または4記載のジヒドロクロリドの形態M。
  11. 図7記載の示差走査熱量測定図によってさらに特徴付けされる、請求項10記載のジヒドロクロリドの形態H。
  12. X線パウダー図において、4.8985°、9.7296°、27.1578°、35.7101°での回折ピーク2Θによって特徴付けされる、請求項1または5記載のジヒドロクロリドの形態M。
  13. 図8記載の示差走査熱量測定図によってさらに特徴付けされる、請求項12記載のジヒドロクロリドの形態M。
  14. 通常の方法で入手可能な遊離塩基N−[4−(3−クロロ−4−フルオロフェニルアミノ)−7−(3−モルホリン−4−イルプロポキシ)−キナゾリン−6−イル]−アクリルアミド及び水性塩酸からの、請求項2記載のジヒドロクロリドの形態Aの調製方法であって、20部の無水エタノールと1部の水の混合物において、形態Mの形成のための反応を実施し、10部の無水エタノールと1部の水の混合物から、形成された形態Mを結晶化することを特徴とする方法。
  15. 請求項2記載の形態Aに対する多形性化合物としての、請求項3記載のジヒドロクロリドの形態Bの調製方法であって、請求項14記載の方法で得られた形態Aを水から結晶化し、得られた結晶を適切な方法で乾燥することを特徴とする方法。
  16. 通常の既知の方法で入手可能な遊離塩基N−[4−(3−クロロ−4−フルオロフェニルアミノ)−7−(3−モルホリン−4−イルプロポキシ)−キナゾリン−6−イル]−アクリルアミド及び水中の塩酸から前記ジヒドロクロリドを調製し、並びに得られたジヒドロクロリドを適切に乾燥することによる、請求項2記載の形態Aに対する多形性形態としての、請求項3記載のジヒドロクロリドの形態Bの調製方法。
  17. a)請求項15または16記載の方法により得られた形態Bを無水エタノール中に溶解する工程、及び室温でのエタノールを蒸発させる工程による、またはb)請求項14記載の方法により得られた形態A、若しくは請求項15または16記載の方法により得られた形態Bを、1N塩酸中に溶解し、それから結晶化する工程、及び得られた結晶を適切に乾燥する工程による、請求項4記載のジヒドロクロリドの形態Hの調製方法。
  18. 通常の既知の方法で入手可能な遊離塩基N−[4−(3−クロロ−4−フルオロフェニルアミノ)−7−(3−モルホリン−4−イルプロポキシ)−キナゾリン−6−イル]−アクリルアミド及び水性塩酸からの、請求項5記載のジヒドロクロリドの形態Mの調製方法であって、20部の無水エタノール及び1部の水の混合物において反応を実施することを特徴とする方法。
  19. 請求項14記載の方法により入手可能な、請求項2記載のジヒドロクロリドの形態A。
  20. 請求項15または16記載の方法により入手可能な、請求項2記載の形態Aに対する多形性化合物としての、請求項3記載のジヒドロクロリドの形態B。
  21. 請求項17記載の方法により入手可能な、請求項4記載のジヒドロクロリドの形態H。
  22. 請求項18記載の方法により入手可能な、請求項5記載のジヒドロクロリドの形態M。
  23. 不可逆的チロシンキナーゼ阻害作用を有する医薬の調製のための、通常のキャリアーまたはアジュバントを伴っても良い、請求項1から13または19から22のいずれか一項記載の形態A、B、H及び/またはMのジヒドロクロリドの一つの使用。
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