JP2004500832A - 細胞外多糖類を過剰生産する乳酸菌の突然変異体 - Google Patents
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Abstract
この発明は、α−ホスホグルコムターゼをコードする遺伝子の変異により、細胞外多糖類を過剰生産する乳酸菌に関する。この突然変異は、発酵製品の製造又は細胞外多糖類の生産に特に有用である。
Description
【0001】
この発明は、乳酸菌による外細胞性ヘテロ多糖の生産の制御に関する。
【0002】
一般に、多糖類は、食品のみならず、化粧品及び医薬品の添加剤、例えば増粘剤及び/又はゲル化剤、テキスチャー安定化剤、代用油脂などとして多量に使用されている。こうして使用される多糖類のうち、特に微生物、具体的には細菌によって生産される多糖類、例えばデキストラン、キサンタン、ジェラン、プルランなどが挙げられる。
【0003】
多くの乳酸菌種、特にラクトコッカス、例えばラクトコッカス・ラクティス、ロイコノストック、例えばロイコノストック・メゼンテロイデス、ストレプトコッカス、例えばストレプトコッカス・テルモフィラス及びラクトバシラス、例えばラクトバシラス・カゼイ、ラクトバシラス・サケ、ラクトバシラス・ラムノサス、ラクトバシラス・アシドフィルス、ラクトバシラス・デルブリュッキィ亜種ブルガリカス(bulgaricus)及びラクトバシラス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)などが、多糖類を生産する。
これらの多糖類は2つのカテゴリー: 単糖の重合により得られるホモ多糖類、例えばデキストラン、及び2以上の異なる糖(一般にD−ガラクトース、D−グルコース及びL−ラムノース)からなる基本単位が組み合わさった複雑な構造を有するヘテロ多糖類に分類することができる。
【0004】
乳酸菌のヘテロ多糖類は、一般的な用語EPS(細胞外多糖類(exopolysaccharides))として従来称されており、これを以降でも用いる。それらは、発酵乳製品のテキスチャー、口ざわり(mouthfeel)及びレオロジーの発生に主要な役割を果たしている。さらに、それらの幾つかは、健康に有用な種々の作用を発揮し得る生物活性を有することが認められている[レビュウには、DE VUYST 及びDEGEEST, FEMS Microbiology Reviews, 23, 153−177, (1999)参照]。
【0005】
しかし、乳酸菌によって生産されるヘテロ多糖類の量は一般に少ない(発酵製品L当たり10〜200 mgのオーダー)。テキスチャーを改善するために、発酵製品の製造者は、他のテキスチャー剤、例えば安定化剤(改質澱粉、カラギーナン、グアー、ペクチン、ゼラチンなど)を加える。しかし、これらの添加は、(例えば天然のヨーグルトで)常に承認されているとは限らず、一般に製品の味と香りに影響を及ぼす。したがって、製品において外細胞性へテロ多糖類(EPS)の生産を最適化することが、好ましい。
【0006】
上記の、農製品(agrofoods)産業におけるEPSの重要性から、多くの研究は、温度、pH及び培地の組成に対する作用によりバイオ技術処理を最適化することによる、その生産の増加法に関連している。しかし、これらの方法は、ある種の農製品処理、例えば培地と発酵条件が各製品タイプに特異的な発酵乳製品の生産に関して適用し難い場合がある。したがって、これらの生産は、EPSの生産を改善するために、処理を最適化する従来法の用途を余儀なく制限している。これらの方法の代替法は、これらの処理に適した株、つまり大量に、及び/又はEPSの生産を発酵製品の製造条件下で制御し得る、EPSの生産が可能な株を用いることであろう。
【0007】
乳酸菌によるEPS生産の主たる制限のひとつは、これらのEPSの生合成と、利用可能な糖を用いるための他の代謝経路との競合に起因している可能性がある。実際、ホモ多糖類は培地中に存在する基質から特異的な細胞外酵素によって主に生産されるが、ヘテロ多糖類の合成は、細胞内の少なくとも一部で生じる。特に、トリホスフェートヌクレオチドとの反応で活性化される糖からなる、ヘテロ多糖類前駆体(ヌクレオチド糖)の形成は、他の代謝経路、特に解糖の一因となる細胞質内酵素を含むであろう。ここで、解糖反応は、乳酸菌の発酵代謝のために、EPS合成に関連する反応よりかなり活性である。
発明者らは、EPSを生ずるために、培地で利用可能な糖、特にガラクトースを使用するための能力を制御し、特に増大し得る乳酸菌を得ることを目的とした。
【0008】
この目的のため、ヌクレオチド糖の合成に関わる遺伝子、EPSの前駆体及び/又は解糖経路とEPS生合成との接点に関わる遺伝子を研究した。後者のうち、ガラクトースの代謝誘導体の解糖中間体への変換に関与するホスホグルコムターゼ(PGM)の遺伝子、及びEPSの前駆体であって、ヌクレオチド糖の形成を触媒するグルコース−1−ホスフェートウリジルトランスフェラーゼの遺伝子に、特に興味が置かれた。
DE VUYST及びDEGEEST (上記文献)は、ホスホグルコムターゼは、解糖とEPS生合成とのあいだで重要な関連づけの役割を果たしている可能性があり、また、この酵素に炭素の流れ(carbon flow)の一部を流用すると、EPS生産を増すことができるとの仮説を提唱している。しかし、彼らは、このことを有効に行えるかどうかが依然として確認されるべきであることも強調している。
【0009】
ホスホグルコムターゼをエンコードする遺伝子[GENBANK AF165218]をストレプトコッカス・ニューモニエで不活化させると、EPSを形成する細菌の莢膜の生産が劇的に低下し、この細菌は別のpgm遺伝子を有しているが、細胞の生存力もまた高度に損なわれることが、最近報告されている[HARDYら、J Bacteriol., 1854−1863, (2000)]。
α−PGM及びβ−PGMの存在は、エル・ラクティスで報告されている;しかし、β−PGMに相当する遺伝子のみが単離されている[QIANら、Microbiology, 143, 855−865, (1997)]。乳酸菌のα−PGMをエンコードし得る遺伝子は、今日まで遺伝学的には特徴付けられていない。
【0010】
ここで、発明者らは、ストレプトコッカス・テルモフィラスのα−PGMをエンコードするpgm遺伝子のクローニング及び特徴づけに成功した。
この遺伝子は、番号SEQ ID NO: 1で添付の配列リストに示しており、相当するポリペプチドは番号SEQ ID NO: 2で示している。
【0011】
この発明の対象は、アミノ酸配列が、配列SEQ ID NO: 2で示されるα−PGMと少なくとも70%の同一性又は少なくとも85%の類似性、好ましくは80%の同一性又は少なくとも90%の類似性、有利には少なくとも90%の同一性又は少なくとも95%の類似性、もっとも好ましくは少なくとも95%の同一性又は少なくとも99%の類似性を示す、α−PGMをエンコードする核酸配列、及び該配列の20bpより多いいずれかのフラグメントである。
基準配列との配列の同一性%は、残基位置が最大限に一致するように2つの配列をアラインした際に、基準配列の残基と同一の、この配列の残基の%として定義される。アミノ酸配列が基準配列と少なくともX%の同一性を示すポリペプチドは、したがって、基準配列の100アミノ酸当たり100−X個までの修飾を含むことができる。これらの修飾には、アミノ酸残基の欠失、置換又は挿入が含まれ、それは連続的でも非連続的であってもよい。
【0012】
基準配列との配列の類似性%は、残基の位置が最大限に一致するよう2つの配列をアラインした際に、基準配列の残基と同一であるか、又はひとつの同類置換によってのみ基準配列と異なるこの配列の残基の%としてここに定義される。用語「同類置換」は、タンパク質の機能特性を変えない類似の物理化学特性(大きさ、電荷又は極性)を有する別の残基でアミノ酸残基を置換することを意味することを意図する。したがって、アミノ酸配列が基準配列と少なくともX%の類似性を示すポリペプチドは、基準配列の100アミノ酸当たり、100−X個までの非保存修飾を含むことができる。これらの修飾には、アミノ酸残基の欠失、非同類置換又は挿入が含まれ、それらは連続的でも非連続的であってもよい。
【0013】
したがって、既定パラメータでBLASTp プログラム[ALTSCHULら、Nucleic Acids Res., 25, 3389−3402, (1997)]を用いる「GENBANK nr」データベースでの検索によって同定される、配列SEQ ID NO: 2と最大の同一性又は類似性を示すポリペプチドは、以下のとおりである:
− バシラス・サチリスのybbTタンパク質: 57%同一及び69% 類似;
− スタフィロコッカス・アウレウスのfemDタンパク質: 53% 同一及び69% 類似;
− ストレプトマイセス・ケルコロールの仮説上のホスホグルコムターゼ: 42% 同一及び55% 類似;
− シュードモナス・シリンゲのmrsA同族体: 41% 同一及び54% 類似;
− マイコバクテリウム・レプレのmrsA同族体: 41% 同一及び54% 類似。
【0014】
QIANら(上記公報)に記載されるエル・ラクティスのpgm遺伝子との有意なホモロジーは、認められなかった。HARDYら(上記公報)に記載されるエス・ニューモニエのpgm遺伝子との同一性%は、31%未満である。
発明者らは、エス・テルモフィラスのpgm遺伝子について部位特異的突然変異を行い、驚くべきことに、この遺伝子の全体又は一部の不活化がEPS生産の増加をもたらすことを認めた。
【0015】
また、この発明の対象は、α−ホスホグルコムターゼのpgm遺伝子が全体又は部分的に不活化されている、EPS過剰生産性の乳酸菌の突然変異体である。
この乳酸菌は、ストレプトコッカス及びラクトバシラスから選択される、中温性又は高温性の細菌であることが好ましい。一例としては、それは、ラクトコッカス・ラクティス、ストレプトコッカス・テルモフィラス、リューコノストク・メゼンテロイデ、ラクトバシラス・カゼイ、ラクトバシラス・デルブリュッキィ、ラクトバシラス・サケなどであってもよい。
【0016】
pgm遺伝子の不活化は、α−PGMをエンコードする配列及び/又はその発現を制御する配列に1以上の突然変異を行って生じてもよい。
特に、当業者にそれ自体で公知であり、所望の位置で、遺伝子に所定の変異を導入できる部位特異的突然変異技術を利用してもよい。
したがって、例えばコード配列又は制御配列、外因性配列、例えばトランスポゾンに導入することによって、pgm遺伝子を不活化させることができる。
有利には、相同組換えによって、変異配列でpgmの野生型配列を置換することもできる。この場合、連続的又は非連続的であり得る1以上のヌクレオチドの挿入、欠失又は置換による1以上の修飾を、変異を意図する遺伝子領域のそれと同一の配列に行う。
【0017】
この発明の好ましい具体例によれば、変異配列は、ベクターにクローンした細菌のDNAフラグメントと細菌ゲノムの同族体領域との組換え(単純な乗換え)によって組み込みを可能にするベクターに挿入される。次に、ベクター配列を切除することにより、二次組換え事象(二重乗換え)を生じ、修飾型による野生型染色体形態に置換を生じることができる。
乳酸菌の染色体に外因性配列を組み込むことができるベクターは、それ自体公知で、多くの乳酸菌種に利用可能である; ベクターは、例えば非複製ベクター、不安定な複製ベクター又は条件付で複製するベクター、挿入配列を有するベクターなどであってもよい。
【0018】
ある場合には、挿入を意図した変異配列を有するDNAで、直接細菌を形質転換することも可能である。
この発明によるpgm遺伝子の突然変異体は、ランダム突然変異誘発(例えば化学的突然変異誘発又放射線)によっても得ることができる; それらは、その表現型特性に基づいてスクリーンすることによって乳酸菌の培養物から選択される天然の突然変異体であってもよい。
実際、α−PGMが部分的又は全体的に不活性な突然変異体は、ラクトースで正常に成長し、グルコース又はガラクトースのみでは極めてゆっくりと成長する。したがって、このような突然変異体は、天然の変異体であろうが、突然変異誘発から得られる変異体であろうが、この特性に基づいて直接選択することができる。
【0019】
pgm遺伝子における突然変異の存在及びこれらの突然変異の性質は、配列SEQ ID NO: 1から得られる核酸プライマー又はプローブ又は株を用いて、従来の分子生物学技術で容易に確認することができる。
望ましい場合には、pgm遺伝子を誘導性プロモーターの転写制御下に置くことによって、例えば培養条件の目的として、EPS生産を意のままに増加又は減少させることもできる。
また、発明者らは、エス・テルモフィラスのグルコース−1−ホスフェートウリジルトランスフェラーゼをエンコードするgalU遺伝子をクローンし、特徴付けた。この遺伝子を、番号SEQ ID NO: 3で添付の配列リストに示す。この遺伝子でエンコードされるGalUタンパク質は、番号SEQ ID NO: 4で示す。
【0020】
また、この発明の対象は、アミノ酸配列が、配列SEQ ID NO: 4で示されるグルコース−1−ホスフェートウリジルトランスフェラーゼと、少なくとも90%の同一性又は少なくとも95%の類似性、有利には少なくとも95%の同一性又は少なくとも99%の類似性を示すグルコース−1−ホスフェートウリジルトランスフェラーゼをエンコードする核酸配列である。
【0021】
つまり、BLASTp プログラム[ALTSCHULら、Nucleic Acids Res., 25, 3389−3402, (1997)]を用いて「GENBANK nr」データベースで検索して同定される、配列SEQ ID NO: 4と最大の同一性又は類似性%を示すポリペプチドは、以下のとおりである:
− ストレプトコッカス・ミュータンスのグルコース−1−ホスフェートウリジルトランスフェラーゼ: 87% 同一及び 93% 類似;
− ストレプトコッカス・ニューモニエのGalUタンパク質: 87% 同一及び93% 類似;
− ストレプトコッカス・ピオゲネスのUDP−グルコースピロホスホリラ−ゼ: 84% 同一及び 90% 類似;
− ストレプトコッカス・ニューモニエのCap3Cタンパク質: 76% 同一及び88% 類似;
− バシラス・サチリスのUDP−グルコースピロホスホリラ−ゼ: 55% 同一及び74% 類似。
【0022】
galU遺伝子を過剰発現することによって、その前駆体量を増して、EPS生合成を増すことができる。
したがって、この発明の対象は、galU遺伝子が過剰発現される、EPSを過剰生産する乳酸菌の突然変異体でもある。
このような突然変異体は、乳酸菌にこの遺伝子の1以上のコピーを導入し、及び/又は強力なプロモーターでそのプロモーターを置換することによって得ることができる。好ましくは、変異体は、部分的に又は全体的に不活性なα−PGMをも有する乳酸菌から得られる。
【0023】
この発明による突然変異体株は、特にエス・テルモフィラス、特にガラクトースでのその成長能について選択されたエス・テルモフィラスの株から得てもよい。実際、この細菌では、EPSの生合成を制限する別の要因は、多くの株が、成長のためであれ、EPSの生合成のためであれ、ガラクトースを有効に使用しないとの事実に起因している可能性がある。
発明者らは、ガラクトースでの成長能について選択したエス・テルモフィラスのgal+ 株は、大量のEPSを合成できることを認めた。その成長にガラクトースを使用できるこれらのクローンを用いると、大量になると考えられる、コロニーを生ずる株を二次的に選択することができ、これにより、EPSが大量に合成される。
【0024】
したがって、この発明による突然変異体の生産用原料としてエス・テルモフィラスのこれらのgal+ 株を使用することは、そのEPSの生産能をさらに改善する。
この発明による乳酸菌株は、EPS含量を制御、特に増加することが望まれる発酵製品、特に食品の製造、またEPSの製造に有利に用いることができる。
この発明は、この発明による乳酸菌株の入手及び使用の実施例に言及する以下のさらなる記載によって、明確に理解されるであろう。
【0025】
実施例1: EPS合成のためにより有効にガラクトースを用いるエス・テルモフィラス株の選択
A) ガラクトースを有効に使用できる株を、RHODIA 及びDANONEのコレクション: RD488 (JIM7446) (RHODIA コレクション)及び ext 1.5 (JIM7459) (DANONE コレクション)からのエス・テルモフィラスの工業用酵母(industrial leavens)の培養物を用いて選択した。
【0026】
このため、ラクトース1%を含むM17培地[TERZAGHI 及びSANDINE, Appl. Microbiol., 29, 807−813, (1975)]での12時間培養物を、ガラクトース1%含有 M17寒天プレートに沈積させ、42℃で2日間インキュベートする。こうして得たコロニーをガラクトース1%含有M17寒天プレートにストリークし、 一晩42℃でインキュベートする。こうしてM17ガラクトースで成長させたコロニーを回収し、ガラクトース1%含有液体M17で42℃で6時間成長させ、コレクションに入れる。他の培地、例えば糖の源を制御し得る、SISSLERら[Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 96, No. 16, 8985−8990, (1999)]に記載の化学的に明らかな培地は、この選択のためにも用いることができる。
【0027】
得られた株が、実際、より有効にガラクトースを使用できることを確認するために、これらの株及びその親株の成長を比較する。
以下のようにして、成長させる: 10 g のウシ抽出物/l (DFICO)を加え、ガラクトース1%を含むBELLIKER培地(DIFCO Laboratories)10ml中の一晩前養物を100倍に希釈し、糖(ショ糖、乳糖、グルコース又はガラクトース)2%含有M17 培地2ml中で4時間42℃で成長させる。次いで、それらを、糖1%含有M17培地200μlに2%で接種する。次いで、株の成長を、BIOSCREENシステム(LABSYSTEMS)を用いて追跡する。
図1は、工業上の株JIM7459 (1A)及びこの株から選択されたgal+ 変異体(1B)の、種々の糖に対する成長を示す。
【0028】
B) 成長にガラクトースをすでに使用できるクローンから、さらなる選択を行うことができる。体積が大きいと考えられるコロニー生産クローンを、次いでプレートで探索する。これらの株は、さらに有効にガラクトースを使用する。
図2は、工業上の株(JIM7446, DANONE コレクション)の培養物から、上記Aに記載のようにして選択したgal+ 変異体(2A)、及びコロニーの大きさに基づいて、このgal+ 変異体の培養物から選択したgal++ 変異体(2B)の種々の糖に対する成長を示す。
【0029】
化学的に明らかな培地又はM17培地でこれらの種々の株を成長させた後、 gal+ 変異体の細菌のペレットは野生型株のそれよりも繊維質(filamentous)で、これが、得られた変異体とその親株とのEPS生産を異にしている可能性がある。これらの株のEPS生産は、化学的に明らかな培地80ml中の培養物から測定した[SISSLERら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 96, No. 16, 8985−8990, (1999)]。
成長後、培養物を16000 g で10 分4℃で遠心分離する。細胞ペレットを除き、上清を24時間4℃で沈澱させる(2容量の100%エタノール/上清1容量)。沈澱後、16000 gで15分4℃で遠心分離を行う。上清を除き、ペレットを水60 mlに再懸濁する。4日間、1日当たり水を3〜4回交換しながら、水に透析する。フェノール/硫酸法を用いて、EPSをアッセイする[DUBOISら、Analytical Chemistry, 28, 350−356, (1956)]。
【0030】
7446 Gal+ 株及びより有効にガラクトースを使用できるこの株の変異体の場合に得た結果を、以下の表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
ガラクトース存在下での成長後、ガラクトースをより有効に用いる株は、EPSの量を増加する。
【0033】
実施例2: ストレプトコッカス・テルモフィラスのPGM遺伝子のクローニング及び該遺伝子が不活性な変異体の構築
遺伝子のクローニング :
ストレプトコッカス・テルモフィラスのpgm遺伝子は、エス・テルモフィラスの染色体DNAから、リバースPCR(OCHMANら、Biotechnology (NY), 8, No. 8, 759−760, (1990))によって得ることができる。エス・テルモフィラスの染色体DNAを、制限酵素(BamHi、 EcoRI、HindIII、NcoI、PsI、XhI)で消化し、切断生成物を環化し、次いで逆鎖に相補的なプライマー: OST15、OST16、OSY23〜OST26 (表2)を用いるPCRで増幅する。
【0034】
【表2】
【0035】
得られたバンドをゲルから抽出し、シークエンスする。pgm遺伝子及びそのフランキング領域からなるクローンフラグメントの配列を、番号SEQ ID NO: 1で添付の配列リストに示す。
ストレプトコッカス・テルモフィラスのpgm遺伝子のオープンリーディングフレームの長さは、1350 bpである。
【0036】
pgm 遺伝子の変異体の構築
pgm遺伝子の活性を低下させるために、発明者らは、相同組換えで遺伝子にベクターを挿入することによる不活化ストラテジを採用した。不活化の一般的なストラテジを、図3に示す。最初に、pgm遺伝子に内在的なフラグメントを含む温度感受性複製プラスミドを、温度感受性複製ベクター pG+host [BISWAS ら、J. Bacteriol., 175, 11, 3628−3635, (1993); PCT 出願WO/181164]を用いて構築した。それぞれpgm遺伝子の650 及び835 bpを示すオリゴヌクレオチドOST29+OST31 及び OST28+OST31を用いて作成した2つのPCRフラグメントを、pG+hostにクローンし、プラスミドpST28 及びpST29を作成した。
【0037】
【表3】
【0038】
pST28によって保持される650 bpのフラグメントは遺伝子の中枢であり、したがって、その挿入は遺伝子の全体的な不活化を生じるものと予想される。pST29によって保持される835 bpのフラグメントは、翻訳開始コドンを有するが、そのリボソーム結合部位のない、遺伝子の5’位置に局在する部分を含む。染色体へのpST29の挿入は、pgmの翻訳を極めて大きく低下させ、極めて低い基本的な発現のみを可能にすることが、予想される。
プラスミドpG+host、pST28 及びpST29を、エス・テルモフィラスの株JIM7446 及びJIM7459に30℃で形質転換により導入し、次いで、図3に図示するように、単純な乗換えによって組み込んだ。単純な乗換えによる組み込みは、以下を変更して、BISWASら[上記公報、(1993)]により記載されるプロトコルにしたがって行った:
【0039】
プラスミドpG+host又はその誘導体を含むストレプトコッカス・テルモフィラスの株を、エリスロマイシンの存在下で30℃で一晩成長させ、次いで同一培地中で50倍に希釈する。次に、それらを42℃に6時間移す。次に、試料を希釈し、最初にエリスロマイシンを含むM17プレートに42℃でプレートアウトし、組み込み事象を見出し、次に抗生物質のないM17プレートに30℃でプレートアウトし、生存能力のある細胞の全数を検出する。細胞当たりの組み込み頻度を、これらのカウントの比から算出する。これらのプラスミドの組み込み頻度は、pG+host、pST28 及びpST29に対してそれぞれ3.5×10−3、3×10−3 及び10−2である。これらの組み込みそれぞれから得たクローンを単離し、株STJ3、STJ1 及びSTJ2それぞれを得た。
【0040】
STJ1 (pST28)、STJ2 (pST29) 及びSTJ3 (pG+host)の株を、グルコース及びガラクトースを含む化学的に明らかな培地のプレート、又はグルコースのみもしくはガラクトースのみのいずれかを含む同一培地のプレートで成長させた。得られた結果を、表4に示す。
【0041】
【表4】
【0042】
したがって、STJ1 及びSTJ2のクローンはグルコース又はガラクトースのみでは成長しないが、通常ラクトースもしくはグルコースとガラクトースの混合物で成長する。これは、グルコースとガラクトースの代謝が、この株で実際に分離していること、及び活性に影響を受ける遺伝子が実際にpgmであることを示している。
これらの結果は、不活化遺伝子が、EPS経路と解糖を連絡する酵素を明らかにエンコードしていることを示している。したがって、おそらくそれは、配列が乳酸菌でいまだ実験的に特徴付けられていないα−PGMをエンコードしている。
【0043】
pgm 遺伝子に突然変異を有する ストレプトコッカス・テルモフィラス株 STJ2 によって産生される EPS のアッセイ
上記実施例1に記載するように、EPSをアッセイする。
pgm遺伝子の発現に関し影響を受けた株でのEPS生産は、20 mg/lである。したがって、この生産は、親株7446 Gal++について得た8 mg/lに例えると、2.5倍の増加に相当する。
【0044】
実施例3: 工業上の株から得たpgm 遺伝子変異体によるEPS生産
上記実施例2に記載のプラスミドpST29 を用い、工業上の株(DANONE コレクション) Ext 1.1 (JIM7455)及び Ext 1.10 (JIM7464)を形質転換した。これらの株は、様々な組成(Ext 1.1 について1−glu:2−gal:1−galNac 及びExt 1.10について3−gal:1−rha)を有し、JIM7446株によって生産されるもの(3−glu:4−gal)と異なるEPSを生じる。
【0045】
エレクトロポレーションの後、細胞を12時間30℃でプレートアウトし、次にプレートを42℃に置き、プラスミドに存在するpgm配列と染色体に存在する配列との相同組換えによってpgm遺伝子にプラスミドpST29を組み込ませる。エリスロマイシンの存在下、42℃で成長しうる突然変異細菌のコロニーを得た。これらの細菌は、グルコース及びガラクトースの存在下、CDM(化学的に明らかな培地)で成長することもできるが、グルコースのみ又はガラクトースのみの存在下では成長できない。
プラスミドpST29で形質転換した株について、エリスロマイシンの存在下(5 μg/ml)、2% ラクトース、1.5% カジトン(casitone)及び10 mMユレアを含むCDM 10ml中で形質転換又は非形質転換の株を培養した。種々の株によって生産したEPSは、42℃で67.5時間培養した後、アッセイした。得られた結果を、以下の表5に示す。
【0046】
【表5】
【0047】
本発明によってpgm遺伝子が不活化される株は、等しいバイオマスで、由来源の株の2〜2.5倍のEPSを生じることが認められる。
【0048】
実施例4: 二重乗換えによるpgm遺伝子の変異体の構築
内部変異によって不活化したpgm遺伝子を含むベクターpSTJ6を、マトリクスとしてプラスミドpST29、及び点突然変異を有するpgm遺伝子の配列から得られ、特にNsiI部位の形成を誘導する以下のプライマーを用いて、リバースPCR増幅によって構築した。
【化1】
【0049】
プライマーに導入した変異に下線を付す: 形成したNsiI部位を斜体で示す。
PCR産物をNsiIで切断し、それ自体に再連結し、ベクター pSTJ6を得る。
このベクターは、エス・テルモフィラスJIM7446への形質転換により導入する。
コロニーを30℃で12時間プレートアウトし、次いで24時間42℃で成長させ、プラスミドに存在するpgm配列と染色体に存在する配列との組換えによって、最初の乗換えを介して染色体にベクターを組み込ませる。こうして得た、エリスロマイシン耐性で、42℃で成長しうるコロニーを、次いで30℃で成長させ、pG+host配列のいずれかの側に存在するpgm配列間の組換えによる二次乗換えで、pG+hostプラスミド配列の切除を促進する。次に、エリスロマイシンでの選択がない42℃での成長段階によって、細胞からpG+hostを除く。こうして得た株は、もはやベクターpG+hostの配列を全く含まず、特に抗生物質耐性の遺伝子を含まない。
【0050】
それは、pgm遺伝子の一部に変異が存在することによってのみ、エス・テルモフィラスの由来株JIM7446と異なる。pgm遺伝子のこの部分の最初の配列と変異配列を、以下に示す; 突然変異に下線を付す。
最初の配列:
【化2】
突然変異の配列:
【化3】
【0051】
突然変異株は、上記実施例2及び3に記載した、pgm変異に特徴的な表現型を有する。それは、グルコースとガラクトースの存在下CDMで成長できるが、グルコースのみ又はガラクトースのみの存在下では成長できない。この株によるEPS生産の親株に対する増加は、実施例2及び3に記載される、pST29で形質転換した株の場合に認められるものに匹敵している。
【0052】
実施例5: GALUを過剰生産する変異体の構築
グルコース −1− ホスフェートウリジルトランスフェラーゼをエンコードする galU 遺伝子のクローニング
全galU遺伝子は、逆鎖に相補的なプライマー(OST13、OST14、OST21 及び OST22) (表6)を用いて、エス・テルモフィラスの染色体DNAからリバースPCR [OCHMANら、(1990)、上記公報]によって得ることができる。
【0053】
【表6】
【0054】
得られたバンドをゲルから抽出し、シークエンスする。
galU 遺伝子からなるクローンフラグメントの配列を、番号SEQ ID NO: 3で添付の配列リストに示す。
galU遺伝子の大きさは、914 bpである。
【0055】
GalU の過剰発現
galU遺伝子(ターミネーター及びそのリボソーム結合部位を有する)を、オリゴヌクレオチドOST44 及びOST45 (表7)で増幅し、ApaI部位のエル・ラクティスのp45 プロモーター[SIBAKOVら、Appl. Environ. Microbiol., 57, 341−348, (1991)]の下流にクローンした。
【0056】
【表7】
【0057】
P45、次いでgalUを有する得られたプラスミドのSmaIフラグメントを精製し、エス・テルモフィラスで複製するベクターpGKV259のSmaI部位に挿入した。 P45プロモーターの制御下でgalU遺伝子を発現するプラスミドpGKV259 [VAN DER VOSSENら、Appl. Environ. Microbiol., 53, 2452−2457, (1987)]を、pSTJ4と称する(図4)。このプラスミドを、エス・テルモフィラスの株 JIM7446 もしくはJIM7459又はpgm遺伝子に突然変異を含む株(STJ2)に形質転換により導入する。
【図面の簡単な説明】
【図1】
工業上の株JIM7459 (1A)及びこの株から選択されたgal+ 変異体(1B)の、種々の糖に対する成長を示す。
【図2】
工業上の株(JIM7446, DANONE コレクション)の培養物から、上記Aに記載のようにして選択したgal+ 変異体(2A)、及びコロニーの大きさに基づいて、このgal+ 変異体の培養物から選択したgal++ 変異体(2B)の種々の糖に対する成長を示す。
【図3】
不活化の一般的なストラテジを示す。
【図4】
P45プロモーターの制御下でgalU遺伝子を発現するプラスミドpGKV259を、pSTJ4と称する。
この発明は、乳酸菌による外細胞性ヘテロ多糖の生産の制御に関する。
【0002】
一般に、多糖類は、食品のみならず、化粧品及び医薬品の添加剤、例えば増粘剤及び/又はゲル化剤、テキスチャー安定化剤、代用油脂などとして多量に使用されている。こうして使用される多糖類のうち、特に微生物、具体的には細菌によって生産される多糖類、例えばデキストラン、キサンタン、ジェラン、プルランなどが挙げられる。
【0003】
多くの乳酸菌種、特にラクトコッカス、例えばラクトコッカス・ラクティス、ロイコノストック、例えばロイコノストック・メゼンテロイデス、ストレプトコッカス、例えばストレプトコッカス・テルモフィラス及びラクトバシラス、例えばラクトバシラス・カゼイ、ラクトバシラス・サケ、ラクトバシラス・ラムノサス、ラクトバシラス・アシドフィルス、ラクトバシラス・デルブリュッキィ亜種ブルガリカス(bulgaricus)及びラクトバシラス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)などが、多糖類を生産する。
これらの多糖類は2つのカテゴリー: 単糖の重合により得られるホモ多糖類、例えばデキストラン、及び2以上の異なる糖(一般にD−ガラクトース、D−グルコース及びL−ラムノース)からなる基本単位が組み合わさった複雑な構造を有するヘテロ多糖類に分類することができる。
【0004】
乳酸菌のヘテロ多糖類は、一般的な用語EPS(細胞外多糖類(exopolysaccharides))として従来称されており、これを以降でも用いる。それらは、発酵乳製品のテキスチャー、口ざわり(mouthfeel)及びレオロジーの発生に主要な役割を果たしている。さらに、それらの幾つかは、健康に有用な種々の作用を発揮し得る生物活性を有することが認められている[レビュウには、DE VUYST 及びDEGEEST, FEMS Microbiology Reviews, 23, 153−177, (1999)参照]。
【0005】
しかし、乳酸菌によって生産されるヘテロ多糖類の量は一般に少ない(発酵製品L当たり10〜200 mgのオーダー)。テキスチャーを改善するために、発酵製品の製造者は、他のテキスチャー剤、例えば安定化剤(改質澱粉、カラギーナン、グアー、ペクチン、ゼラチンなど)を加える。しかし、これらの添加は、(例えば天然のヨーグルトで)常に承認されているとは限らず、一般に製品の味と香りに影響を及ぼす。したがって、製品において外細胞性へテロ多糖類(EPS)の生産を最適化することが、好ましい。
【0006】
上記の、農製品(agrofoods)産業におけるEPSの重要性から、多くの研究は、温度、pH及び培地の組成に対する作用によりバイオ技術処理を最適化することによる、その生産の増加法に関連している。しかし、これらの方法は、ある種の農製品処理、例えば培地と発酵条件が各製品タイプに特異的な発酵乳製品の生産に関して適用し難い場合がある。したがって、これらの生産は、EPSの生産を改善するために、処理を最適化する従来法の用途を余儀なく制限している。これらの方法の代替法は、これらの処理に適した株、つまり大量に、及び/又はEPSの生産を発酵製品の製造条件下で制御し得る、EPSの生産が可能な株を用いることであろう。
【0007】
乳酸菌によるEPS生産の主たる制限のひとつは、これらのEPSの生合成と、利用可能な糖を用いるための他の代謝経路との競合に起因している可能性がある。実際、ホモ多糖類は培地中に存在する基質から特異的な細胞外酵素によって主に生産されるが、ヘテロ多糖類の合成は、細胞内の少なくとも一部で生じる。特に、トリホスフェートヌクレオチドとの反応で活性化される糖からなる、ヘテロ多糖類前駆体(ヌクレオチド糖)の形成は、他の代謝経路、特に解糖の一因となる細胞質内酵素を含むであろう。ここで、解糖反応は、乳酸菌の発酵代謝のために、EPS合成に関連する反応よりかなり活性である。
発明者らは、EPSを生ずるために、培地で利用可能な糖、特にガラクトースを使用するための能力を制御し、特に増大し得る乳酸菌を得ることを目的とした。
【0008】
この目的のため、ヌクレオチド糖の合成に関わる遺伝子、EPSの前駆体及び/又は解糖経路とEPS生合成との接点に関わる遺伝子を研究した。後者のうち、ガラクトースの代謝誘導体の解糖中間体への変換に関与するホスホグルコムターゼ(PGM)の遺伝子、及びEPSの前駆体であって、ヌクレオチド糖の形成を触媒するグルコース−1−ホスフェートウリジルトランスフェラーゼの遺伝子に、特に興味が置かれた。
DE VUYST及びDEGEEST (上記文献)は、ホスホグルコムターゼは、解糖とEPS生合成とのあいだで重要な関連づけの役割を果たしている可能性があり、また、この酵素に炭素の流れ(carbon flow)の一部を流用すると、EPS生産を増すことができるとの仮説を提唱している。しかし、彼らは、このことを有効に行えるかどうかが依然として確認されるべきであることも強調している。
【0009】
ホスホグルコムターゼをエンコードする遺伝子[GENBANK AF165218]をストレプトコッカス・ニューモニエで不活化させると、EPSを形成する細菌の莢膜の生産が劇的に低下し、この細菌は別のpgm遺伝子を有しているが、細胞の生存力もまた高度に損なわれることが、最近報告されている[HARDYら、J Bacteriol., 1854−1863, (2000)]。
α−PGM及びβ−PGMの存在は、エル・ラクティスで報告されている;しかし、β−PGMに相当する遺伝子のみが単離されている[QIANら、Microbiology, 143, 855−865, (1997)]。乳酸菌のα−PGMをエンコードし得る遺伝子は、今日まで遺伝学的には特徴付けられていない。
【0010】
ここで、発明者らは、ストレプトコッカス・テルモフィラスのα−PGMをエンコードするpgm遺伝子のクローニング及び特徴づけに成功した。
この遺伝子は、番号SEQ ID NO: 1で添付の配列リストに示しており、相当するポリペプチドは番号SEQ ID NO: 2で示している。
【0011】
この発明の対象は、アミノ酸配列が、配列SEQ ID NO: 2で示されるα−PGMと少なくとも70%の同一性又は少なくとも85%の類似性、好ましくは80%の同一性又は少なくとも90%の類似性、有利には少なくとも90%の同一性又は少なくとも95%の類似性、もっとも好ましくは少なくとも95%の同一性又は少なくとも99%の類似性を示す、α−PGMをエンコードする核酸配列、及び該配列の20bpより多いいずれかのフラグメントである。
基準配列との配列の同一性%は、残基位置が最大限に一致するように2つの配列をアラインした際に、基準配列の残基と同一の、この配列の残基の%として定義される。アミノ酸配列が基準配列と少なくともX%の同一性を示すポリペプチドは、したがって、基準配列の100アミノ酸当たり100−X個までの修飾を含むことができる。これらの修飾には、アミノ酸残基の欠失、置換又は挿入が含まれ、それは連続的でも非連続的であってもよい。
【0012】
基準配列との配列の類似性%は、残基の位置が最大限に一致するよう2つの配列をアラインした際に、基準配列の残基と同一であるか、又はひとつの同類置換によってのみ基準配列と異なるこの配列の残基の%としてここに定義される。用語「同類置換」は、タンパク質の機能特性を変えない類似の物理化学特性(大きさ、電荷又は極性)を有する別の残基でアミノ酸残基を置換することを意味することを意図する。したがって、アミノ酸配列が基準配列と少なくともX%の類似性を示すポリペプチドは、基準配列の100アミノ酸当たり、100−X個までの非保存修飾を含むことができる。これらの修飾には、アミノ酸残基の欠失、非同類置換又は挿入が含まれ、それらは連続的でも非連続的であってもよい。
【0013】
したがって、既定パラメータでBLASTp プログラム[ALTSCHULら、Nucleic Acids Res., 25, 3389−3402, (1997)]を用いる「GENBANK nr」データベースでの検索によって同定される、配列SEQ ID NO: 2と最大の同一性又は類似性を示すポリペプチドは、以下のとおりである:
− バシラス・サチリスのybbTタンパク質: 57%同一及び69% 類似;
− スタフィロコッカス・アウレウスのfemDタンパク質: 53% 同一及び69% 類似;
− ストレプトマイセス・ケルコロールの仮説上のホスホグルコムターゼ: 42% 同一及び55% 類似;
− シュードモナス・シリンゲのmrsA同族体: 41% 同一及び54% 類似;
− マイコバクテリウム・レプレのmrsA同族体: 41% 同一及び54% 類似。
【0014】
QIANら(上記公報)に記載されるエル・ラクティスのpgm遺伝子との有意なホモロジーは、認められなかった。HARDYら(上記公報)に記載されるエス・ニューモニエのpgm遺伝子との同一性%は、31%未満である。
発明者らは、エス・テルモフィラスのpgm遺伝子について部位特異的突然変異を行い、驚くべきことに、この遺伝子の全体又は一部の不活化がEPS生産の増加をもたらすことを認めた。
【0015】
また、この発明の対象は、α−ホスホグルコムターゼのpgm遺伝子が全体又は部分的に不活化されている、EPS過剰生産性の乳酸菌の突然変異体である。
この乳酸菌は、ストレプトコッカス及びラクトバシラスから選択される、中温性又は高温性の細菌であることが好ましい。一例としては、それは、ラクトコッカス・ラクティス、ストレプトコッカス・テルモフィラス、リューコノストク・メゼンテロイデ、ラクトバシラス・カゼイ、ラクトバシラス・デルブリュッキィ、ラクトバシラス・サケなどであってもよい。
【0016】
pgm遺伝子の不活化は、α−PGMをエンコードする配列及び/又はその発現を制御する配列に1以上の突然変異を行って生じてもよい。
特に、当業者にそれ自体で公知であり、所望の位置で、遺伝子に所定の変異を導入できる部位特異的突然変異技術を利用してもよい。
したがって、例えばコード配列又は制御配列、外因性配列、例えばトランスポゾンに導入することによって、pgm遺伝子を不活化させることができる。
有利には、相同組換えによって、変異配列でpgmの野生型配列を置換することもできる。この場合、連続的又は非連続的であり得る1以上のヌクレオチドの挿入、欠失又は置換による1以上の修飾を、変異を意図する遺伝子領域のそれと同一の配列に行う。
【0017】
この発明の好ましい具体例によれば、変異配列は、ベクターにクローンした細菌のDNAフラグメントと細菌ゲノムの同族体領域との組換え(単純な乗換え)によって組み込みを可能にするベクターに挿入される。次に、ベクター配列を切除することにより、二次組換え事象(二重乗換え)を生じ、修飾型による野生型染色体形態に置換を生じることができる。
乳酸菌の染色体に外因性配列を組み込むことができるベクターは、それ自体公知で、多くの乳酸菌種に利用可能である; ベクターは、例えば非複製ベクター、不安定な複製ベクター又は条件付で複製するベクター、挿入配列を有するベクターなどであってもよい。
【0018】
ある場合には、挿入を意図した変異配列を有するDNAで、直接細菌を形質転換することも可能である。
この発明によるpgm遺伝子の突然変異体は、ランダム突然変異誘発(例えば化学的突然変異誘発又放射線)によっても得ることができる; それらは、その表現型特性に基づいてスクリーンすることによって乳酸菌の培養物から選択される天然の突然変異体であってもよい。
実際、α−PGMが部分的又は全体的に不活性な突然変異体は、ラクトースで正常に成長し、グルコース又はガラクトースのみでは極めてゆっくりと成長する。したがって、このような突然変異体は、天然の変異体であろうが、突然変異誘発から得られる変異体であろうが、この特性に基づいて直接選択することができる。
【0019】
pgm遺伝子における突然変異の存在及びこれらの突然変異の性質は、配列SEQ ID NO: 1から得られる核酸プライマー又はプローブ又は株を用いて、従来の分子生物学技術で容易に確認することができる。
望ましい場合には、pgm遺伝子を誘導性プロモーターの転写制御下に置くことによって、例えば培養条件の目的として、EPS生産を意のままに増加又は減少させることもできる。
また、発明者らは、エス・テルモフィラスのグルコース−1−ホスフェートウリジルトランスフェラーゼをエンコードするgalU遺伝子をクローンし、特徴付けた。この遺伝子を、番号SEQ ID NO: 3で添付の配列リストに示す。この遺伝子でエンコードされるGalUタンパク質は、番号SEQ ID NO: 4で示す。
【0020】
また、この発明の対象は、アミノ酸配列が、配列SEQ ID NO: 4で示されるグルコース−1−ホスフェートウリジルトランスフェラーゼと、少なくとも90%の同一性又は少なくとも95%の類似性、有利には少なくとも95%の同一性又は少なくとも99%の類似性を示すグルコース−1−ホスフェートウリジルトランスフェラーゼをエンコードする核酸配列である。
【0021】
つまり、BLASTp プログラム[ALTSCHULら、Nucleic Acids Res., 25, 3389−3402, (1997)]を用いて「GENBANK nr」データベースで検索して同定される、配列SEQ ID NO: 4と最大の同一性又は類似性%を示すポリペプチドは、以下のとおりである:
− ストレプトコッカス・ミュータンスのグルコース−1−ホスフェートウリジルトランスフェラーゼ: 87% 同一及び 93% 類似;
− ストレプトコッカス・ニューモニエのGalUタンパク質: 87% 同一及び93% 類似;
− ストレプトコッカス・ピオゲネスのUDP−グルコースピロホスホリラ−ゼ: 84% 同一及び 90% 類似;
− ストレプトコッカス・ニューモニエのCap3Cタンパク質: 76% 同一及び88% 類似;
− バシラス・サチリスのUDP−グルコースピロホスホリラ−ゼ: 55% 同一及び74% 類似。
【0022】
galU遺伝子を過剰発現することによって、その前駆体量を増して、EPS生合成を増すことができる。
したがって、この発明の対象は、galU遺伝子が過剰発現される、EPSを過剰生産する乳酸菌の突然変異体でもある。
このような突然変異体は、乳酸菌にこの遺伝子の1以上のコピーを導入し、及び/又は強力なプロモーターでそのプロモーターを置換することによって得ることができる。好ましくは、変異体は、部分的に又は全体的に不活性なα−PGMをも有する乳酸菌から得られる。
【0023】
この発明による突然変異体株は、特にエス・テルモフィラス、特にガラクトースでのその成長能について選択されたエス・テルモフィラスの株から得てもよい。実際、この細菌では、EPSの生合成を制限する別の要因は、多くの株が、成長のためであれ、EPSの生合成のためであれ、ガラクトースを有効に使用しないとの事実に起因している可能性がある。
発明者らは、ガラクトースでの成長能について選択したエス・テルモフィラスのgal+ 株は、大量のEPSを合成できることを認めた。その成長にガラクトースを使用できるこれらのクローンを用いると、大量になると考えられる、コロニーを生ずる株を二次的に選択することができ、これにより、EPSが大量に合成される。
【0024】
したがって、この発明による突然変異体の生産用原料としてエス・テルモフィラスのこれらのgal+ 株を使用することは、そのEPSの生産能をさらに改善する。
この発明による乳酸菌株は、EPS含量を制御、特に増加することが望まれる発酵製品、特に食品の製造、またEPSの製造に有利に用いることができる。
この発明は、この発明による乳酸菌株の入手及び使用の実施例に言及する以下のさらなる記載によって、明確に理解されるであろう。
【0025】
実施例1: EPS合成のためにより有効にガラクトースを用いるエス・テルモフィラス株の選択
A) ガラクトースを有効に使用できる株を、RHODIA 及びDANONEのコレクション: RD488 (JIM7446) (RHODIA コレクション)及び ext 1.5 (JIM7459) (DANONE コレクション)からのエス・テルモフィラスの工業用酵母(industrial leavens)の培養物を用いて選択した。
【0026】
このため、ラクトース1%を含むM17培地[TERZAGHI 及びSANDINE, Appl. Microbiol., 29, 807−813, (1975)]での12時間培養物を、ガラクトース1%含有 M17寒天プレートに沈積させ、42℃で2日間インキュベートする。こうして得たコロニーをガラクトース1%含有M17寒天プレートにストリークし、 一晩42℃でインキュベートする。こうしてM17ガラクトースで成長させたコロニーを回収し、ガラクトース1%含有液体M17で42℃で6時間成長させ、コレクションに入れる。他の培地、例えば糖の源を制御し得る、SISSLERら[Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 96, No. 16, 8985−8990, (1999)]に記載の化学的に明らかな培地は、この選択のためにも用いることができる。
【0027】
得られた株が、実際、より有効にガラクトースを使用できることを確認するために、これらの株及びその親株の成長を比較する。
以下のようにして、成長させる: 10 g のウシ抽出物/l (DFICO)を加え、ガラクトース1%を含むBELLIKER培地(DIFCO Laboratories)10ml中の一晩前養物を100倍に希釈し、糖(ショ糖、乳糖、グルコース又はガラクトース)2%含有M17 培地2ml中で4時間42℃で成長させる。次いで、それらを、糖1%含有M17培地200μlに2%で接種する。次いで、株の成長を、BIOSCREENシステム(LABSYSTEMS)を用いて追跡する。
図1は、工業上の株JIM7459 (1A)及びこの株から選択されたgal+ 変異体(1B)の、種々の糖に対する成長を示す。
【0028】
B) 成長にガラクトースをすでに使用できるクローンから、さらなる選択を行うことができる。体積が大きいと考えられるコロニー生産クローンを、次いでプレートで探索する。これらの株は、さらに有効にガラクトースを使用する。
図2は、工業上の株(JIM7446, DANONE コレクション)の培養物から、上記Aに記載のようにして選択したgal+ 変異体(2A)、及びコロニーの大きさに基づいて、このgal+ 変異体の培養物から選択したgal++ 変異体(2B)の種々の糖に対する成長を示す。
【0029】
化学的に明らかな培地又はM17培地でこれらの種々の株を成長させた後、 gal+ 変異体の細菌のペレットは野生型株のそれよりも繊維質(filamentous)で、これが、得られた変異体とその親株とのEPS生産を異にしている可能性がある。これらの株のEPS生産は、化学的に明らかな培地80ml中の培養物から測定した[SISSLERら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 96, No. 16, 8985−8990, (1999)]。
成長後、培養物を16000 g で10 分4℃で遠心分離する。細胞ペレットを除き、上清を24時間4℃で沈澱させる(2容量の100%エタノール/上清1容量)。沈澱後、16000 gで15分4℃で遠心分離を行う。上清を除き、ペレットを水60 mlに再懸濁する。4日間、1日当たり水を3〜4回交換しながら、水に透析する。フェノール/硫酸法を用いて、EPSをアッセイする[DUBOISら、Analytical Chemistry, 28, 350−356, (1956)]。
【0030】
7446 Gal+ 株及びより有効にガラクトースを使用できるこの株の変異体の場合に得た結果を、以下の表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
ガラクトース存在下での成長後、ガラクトースをより有効に用いる株は、EPSの量を増加する。
【0033】
実施例2: ストレプトコッカス・テルモフィラスのPGM遺伝子のクローニング及び該遺伝子が不活性な変異体の構築
遺伝子のクローニング :
ストレプトコッカス・テルモフィラスのpgm遺伝子は、エス・テルモフィラスの染色体DNAから、リバースPCR(OCHMANら、Biotechnology (NY), 8, No. 8, 759−760, (1990))によって得ることができる。エス・テルモフィラスの染色体DNAを、制限酵素(BamHi、 EcoRI、HindIII、NcoI、PsI、XhI)で消化し、切断生成物を環化し、次いで逆鎖に相補的なプライマー: OST15、OST16、OSY23〜OST26 (表2)を用いるPCRで増幅する。
【0034】
【表2】
【0035】
得られたバンドをゲルから抽出し、シークエンスする。pgm遺伝子及びそのフランキング領域からなるクローンフラグメントの配列を、番号SEQ ID NO: 1で添付の配列リストに示す。
ストレプトコッカス・テルモフィラスのpgm遺伝子のオープンリーディングフレームの長さは、1350 bpである。
【0036】
pgm 遺伝子の変異体の構築
pgm遺伝子の活性を低下させるために、発明者らは、相同組換えで遺伝子にベクターを挿入することによる不活化ストラテジを採用した。不活化の一般的なストラテジを、図3に示す。最初に、pgm遺伝子に内在的なフラグメントを含む温度感受性複製プラスミドを、温度感受性複製ベクター pG+host [BISWAS ら、J. Bacteriol., 175, 11, 3628−3635, (1993); PCT 出願WO/181164]を用いて構築した。それぞれpgm遺伝子の650 及び835 bpを示すオリゴヌクレオチドOST29+OST31 及び OST28+OST31を用いて作成した2つのPCRフラグメントを、pG+hostにクローンし、プラスミドpST28 及びpST29を作成した。
【0037】
【表3】
【0038】
pST28によって保持される650 bpのフラグメントは遺伝子の中枢であり、したがって、その挿入は遺伝子の全体的な不活化を生じるものと予想される。pST29によって保持される835 bpのフラグメントは、翻訳開始コドンを有するが、そのリボソーム結合部位のない、遺伝子の5’位置に局在する部分を含む。染色体へのpST29の挿入は、pgmの翻訳を極めて大きく低下させ、極めて低い基本的な発現のみを可能にすることが、予想される。
プラスミドpG+host、pST28 及びpST29を、エス・テルモフィラスの株JIM7446 及びJIM7459に30℃で形質転換により導入し、次いで、図3に図示するように、単純な乗換えによって組み込んだ。単純な乗換えによる組み込みは、以下を変更して、BISWASら[上記公報、(1993)]により記載されるプロトコルにしたがって行った:
【0039】
プラスミドpG+host又はその誘導体を含むストレプトコッカス・テルモフィラスの株を、エリスロマイシンの存在下で30℃で一晩成長させ、次いで同一培地中で50倍に希釈する。次に、それらを42℃に6時間移す。次に、試料を希釈し、最初にエリスロマイシンを含むM17プレートに42℃でプレートアウトし、組み込み事象を見出し、次に抗生物質のないM17プレートに30℃でプレートアウトし、生存能力のある細胞の全数を検出する。細胞当たりの組み込み頻度を、これらのカウントの比から算出する。これらのプラスミドの組み込み頻度は、pG+host、pST28 及びpST29に対してそれぞれ3.5×10−3、3×10−3 及び10−2である。これらの組み込みそれぞれから得たクローンを単離し、株STJ3、STJ1 及びSTJ2それぞれを得た。
【0040】
STJ1 (pST28)、STJ2 (pST29) 及びSTJ3 (pG+host)の株を、グルコース及びガラクトースを含む化学的に明らかな培地のプレート、又はグルコースのみもしくはガラクトースのみのいずれかを含む同一培地のプレートで成長させた。得られた結果を、表4に示す。
【0041】
【表4】
【0042】
したがって、STJ1 及びSTJ2のクローンはグルコース又はガラクトースのみでは成長しないが、通常ラクトースもしくはグルコースとガラクトースの混合物で成長する。これは、グルコースとガラクトースの代謝が、この株で実際に分離していること、及び活性に影響を受ける遺伝子が実際にpgmであることを示している。
これらの結果は、不活化遺伝子が、EPS経路と解糖を連絡する酵素を明らかにエンコードしていることを示している。したがって、おそらくそれは、配列が乳酸菌でいまだ実験的に特徴付けられていないα−PGMをエンコードしている。
【0043】
pgm 遺伝子に突然変異を有する ストレプトコッカス・テルモフィラス株 STJ2 によって産生される EPS のアッセイ
上記実施例1に記載するように、EPSをアッセイする。
pgm遺伝子の発現に関し影響を受けた株でのEPS生産は、20 mg/lである。したがって、この生産は、親株7446 Gal++について得た8 mg/lに例えると、2.5倍の増加に相当する。
【0044】
実施例3: 工業上の株から得たpgm 遺伝子変異体によるEPS生産
上記実施例2に記載のプラスミドpST29 を用い、工業上の株(DANONE コレクション) Ext 1.1 (JIM7455)及び Ext 1.10 (JIM7464)を形質転換した。これらの株は、様々な組成(Ext 1.1 について1−glu:2−gal:1−galNac 及びExt 1.10について3−gal:1−rha)を有し、JIM7446株によって生産されるもの(3−glu:4−gal)と異なるEPSを生じる。
【0045】
エレクトロポレーションの後、細胞を12時間30℃でプレートアウトし、次にプレートを42℃に置き、プラスミドに存在するpgm配列と染色体に存在する配列との相同組換えによってpgm遺伝子にプラスミドpST29を組み込ませる。エリスロマイシンの存在下、42℃で成長しうる突然変異細菌のコロニーを得た。これらの細菌は、グルコース及びガラクトースの存在下、CDM(化学的に明らかな培地)で成長することもできるが、グルコースのみ又はガラクトースのみの存在下では成長できない。
プラスミドpST29で形質転換した株について、エリスロマイシンの存在下(5 μg/ml)、2% ラクトース、1.5% カジトン(casitone)及び10 mMユレアを含むCDM 10ml中で形質転換又は非形質転換の株を培養した。種々の株によって生産したEPSは、42℃で67.5時間培養した後、アッセイした。得られた結果を、以下の表5に示す。
【0046】
【表5】
【0047】
本発明によってpgm遺伝子が不活化される株は、等しいバイオマスで、由来源の株の2〜2.5倍のEPSを生じることが認められる。
【0048】
実施例4: 二重乗換えによるpgm遺伝子の変異体の構築
内部変異によって不活化したpgm遺伝子を含むベクターpSTJ6を、マトリクスとしてプラスミドpST29、及び点突然変異を有するpgm遺伝子の配列から得られ、特にNsiI部位の形成を誘導する以下のプライマーを用いて、リバースPCR増幅によって構築した。
【化1】
【0049】
プライマーに導入した変異に下線を付す: 形成したNsiI部位を斜体で示す。
PCR産物をNsiIで切断し、それ自体に再連結し、ベクター pSTJ6を得る。
このベクターは、エス・テルモフィラスJIM7446への形質転換により導入する。
コロニーを30℃で12時間プレートアウトし、次いで24時間42℃で成長させ、プラスミドに存在するpgm配列と染色体に存在する配列との組換えによって、最初の乗換えを介して染色体にベクターを組み込ませる。こうして得た、エリスロマイシン耐性で、42℃で成長しうるコロニーを、次いで30℃で成長させ、pG+host配列のいずれかの側に存在するpgm配列間の組換えによる二次乗換えで、pG+hostプラスミド配列の切除を促進する。次に、エリスロマイシンでの選択がない42℃での成長段階によって、細胞からpG+hostを除く。こうして得た株は、もはやベクターpG+hostの配列を全く含まず、特に抗生物質耐性の遺伝子を含まない。
【0050】
それは、pgm遺伝子の一部に変異が存在することによってのみ、エス・テルモフィラスの由来株JIM7446と異なる。pgm遺伝子のこの部分の最初の配列と変異配列を、以下に示す; 突然変異に下線を付す。
最初の配列:
【化2】
突然変異の配列:
【化3】
【0051】
突然変異株は、上記実施例2及び3に記載した、pgm変異に特徴的な表現型を有する。それは、グルコースとガラクトースの存在下CDMで成長できるが、グルコースのみ又はガラクトースのみの存在下では成長できない。この株によるEPS生産の親株に対する増加は、実施例2及び3に記載される、pST29で形質転換した株の場合に認められるものに匹敵している。
【0052】
実施例5: GALUを過剰生産する変異体の構築
グルコース −1− ホスフェートウリジルトランスフェラーゼをエンコードする galU 遺伝子のクローニング
全galU遺伝子は、逆鎖に相補的なプライマー(OST13、OST14、OST21 及び OST22) (表6)を用いて、エス・テルモフィラスの染色体DNAからリバースPCR [OCHMANら、(1990)、上記公報]によって得ることができる。
【0053】
【表6】
【0054】
得られたバンドをゲルから抽出し、シークエンスする。
galU 遺伝子からなるクローンフラグメントの配列を、番号SEQ ID NO: 3で添付の配列リストに示す。
galU遺伝子の大きさは、914 bpである。
【0055】
GalU の過剰発現
galU遺伝子(ターミネーター及びそのリボソーム結合部位を有する)を、オリゴヌクレオチドOST44 及びOST45 (表7)で増幅し、ApaI部位のエル・ラクティスのp45 プロモーター[SIBAKOVら、Appl. Environ. Microbiol., 57, 341−348, (1991)]の下流にクローンした。
【0056】
【表7】
【0057】
P45、次いでgalUを有する得られたプラスミドのSmaIフラグメントを精製し、エス・テルモフィラスで複製するベクターpGKV259のSmaI部位に挿入した。 P45プロモーターの制御下でgalU遺伝子を発現するプラスミドpGKV259 [VAN DER VOSSENら、Appl. Environ. Microbiol., 53, 2452−2457, (1987)]を、pSTJ4と称する(図4)。このプラスミドを、エス・テルモフィラスの株 JIM7446 もしくはJIM7459又はpgm遺伝子に突然変異を含む株(STJ2)に形質転換により導入する。
【図面の簡単な説明】
【図1】
工業上の株JIM7459 (1A)及びこの株から選択されたgal+ 変異体(1B)の、種々の糖に対する成長を示す。
【図2】
工業上の株(JIM7446, DANONE コレクション)の培養物から、上記Aに記載のようにして選択したgal+ 変異体(2A)、及びコロニーの大きさに基づいて、このgal+ 変異体の培養物から選択したgal++ 変異体(2B)の種々の糖に対する成長を示す。
【図3】
不活化の一般的なストラテジを示す。
【図4】
P45プロモーターの制御下でgalU遺伝子を発現するプラスミドpGKV259を、pSTJ4と称する。
Claims (7)
- α−ホスホグルコムターゼのpgm遺伝子が、全体に又は部分的に不活化されている、細胞外多糖類を過剰生産する乳酸菌の突然変異体。
- galU遺伝子が、過剰発現される請求項1に記載の変異体。
- 乳酸菌が、ストレプトコッカス・テルモフィラスであることを特徴とする請求項1及び2のいずれか1つに記載の変異体。
- ガラクトースを使用できるストレプトコッカス・テルモフィラス株から得られることを特徴とする、請求項3に記載の変異体。
- 発酵製品を製造するための、請求項1〜4のいずれか1つに記載の乳酸菌の突然変異体の使用。
- 細胞外多糖類を製造するための請求項1〜4のいずれか1つに記載の乳酸菌の突然変異体の使用。
- アミノ酸配列が、配列SEQ ID NO: 2で示されるα−ホスホグルコムターゼと少なくとも70%の同一性又は少なくとも85%の類似性を示す、α−ホスホグルコムターゼをエンコードする核酸。
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