JP3862776B2 - 乳酸菌産生エキソポリサッカライド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エキソポリサッカライドの生合成に関与する少なくとも1種の酵素をコードする乳酸菌の染色体DNAフラグメントの使用、ならびにこれらのフラグメントによってコードされる酵素に関する。
【0002】
【従来の技術】
乳酸菌はそれらの培養培地中に2種類のポリサッカライド、すなわち単一糖の反復アッセンブリーから構成されるデキストランもしくはレバンのようなホモポリサッカライド、および反復単位を形成する数種の異なる糖のアッセンブリーから構成され一般にエキソポリサッカライドもしくはEPS(EPSは「エキソポリサッカライド」の略号である)と呼ばれるヘテロポリサッカライドを産生できることが知られている(Cerning J.,Bacteries,〔乳酸菌〕,第1巻,Rossart H.& Luquet F.M.著,Lorica,309−329頁,1994)。
【0003】
EPSを産生する乳酸菌は、酸性化したミルクへ粘着性および/または滑らかなクリーム様の舌ざわりを付与できる(Cerningら,FEMS Microbiol.,87,113−130,1990)。EPSはまた、ヒトまたは動物の健康にとくに有利な生物活性、たとえば抗腫瘍活性もしくはプロバイオティックな活性を発揮することもできる(Oda M.ら,Agric.Biol.Chem.,47,1623−1625,1983;EP94870139.6)。
【0004】
さらに、その工業は乳酸菌内でのEPSの生合成の遺伝的不安定性の問題に直面している。これは一般に、すべてまたは一部の乳酸菌によるEPS産生の発酵時の損失として現れる(上記”Cerning J.”参照)。したがって、工業的発酵産物はそのEPS含量が変動しやすく、常に許容できるものとは限らない。これらの問題を除去するため、工業的製造に際し現在では、最初の性質を失った細菌を分離できるように、細菌を単離し周期的に性質を調べる方法に頼っている。
【0005】
好中温乳酸菌、すなわち至適増殖温度28〜37℃の乳酸菌におけるEPS生合成には、糖の連結を行う少なくとも1種の酵素が関与する。このような酵素をコードする好中温乳酸菌の染色体またはプラスミド遺伝子の同定および配列決定はまだ行われていないが、EPSの生合成に関与するプラスミドは知られている。
【0006】
すなわち、WO 92/02142には、発酵乳の粘度を増大させることができる物質を乳酸連鎖球菌の亜種(Lactococcus lactis subsp.lactis;好中温菌)内で産生させるプラスミドpHV67の存在が開示されている.US5,066,588には、乳酸連鎖球菌(Streptococcus lactis)に増粘特性を付与できるStreptococcus cremoris(好中温菌)の株に由来する2つのプラスミドが記載されている。同様に、Vescovoらは、チーズ乳酸桿菌の亜種(Lactobacillus casei subsp.casei株;好中温菌)から、いわゆる細胞外のシックナーの産生に関連する機能、Muc+表現型をコードするプラスミドを証明している(Vescovoら,BiotechnologyLetters,Vol.2,709−712,1989)。
【0007】
最後に、Van der Bergらは、清酒乳酸菌(Lactobacillus sake;好中温菌)からEPSの生合成に関与する染色体遺伝子群の単離を探究している(Van der Berg D.J.C.ら, FirstInternational Conference on Polusaccharide Engineering,Trondheim,Norway,1994年6月6〜8日)。しかしながら、遺伝子はまだ同定も配列決定もされていない。
【0008】
さらに、好熱乳酸菌、すなわち至適増殖温度37〜45℃の乳酸菌におけるEPSの生合成はまだよく知られていない、しかしながら、プラスミドに関連しないことはわかっている。すなわち、Vescovoらは、乳酸桿菌の亜種(Lactobacillus delbrueckii subsp.Bulgaricus株201;好熱菌)のMuc+表現型が染色体機能に連結していることを示している(Vescovoら, Biotechnology Letters,Vol.2,709−712,1989)。
【0009】
すなわち、今日まで、好中温または好熱乳酸菌のEPSをコードする染色体またはプラスミド遺伝子または遺伝子群は,同定も配列決定もされていない。
【0010】
したがって、乳酸菌における本来のEPS産生を修復または安定化する手段を提供することはきわめて有益である。さらに、EPSの構造を修飾する手段を提供し、有利な性質を有する新たなEPSを創製することは有益である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、インビボおよびインビトロにおけるEPSの合成を制御、修飾および/または修復する新規な手段を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この目的のために、本発明は、リピート構造
【化4】
(式中、nは>1であり、Aはβ−D−Galp,β−D−Glcpならびにそれらのアセチルおよびホスファチル誘導体からなる群より選ばれ、xおよびyは2,3,4,5または6である。ただしx=yではない)をもつEPSの生合成に関与する少なくとも1種の酵素をコードする染色体起源の乳酸菌DNAに関する。
【0013】
本発明の他の課題は、本発明のDNAフラグメントからなる組換えベクターに関する。
【0014】
本発明の他の課題は、リピート構造
【化5】
を有するEPSの生合成に関与可能なタンパク質であって、配列番号:2,配列番号:3,配列番号:4,配列番号:5,配列番号:6,配列番号:7,配列番号:8,配列番号:9,配列番号:10,配列番号:11,配列番号:12,配列番号:13および配列番号:14の配列ならびにその相同配列からなる群より選ばれるアミノ酸配列をもつタンパク質に関する(配列は以下の配列表に示す)。
【0015】
本発明の他の課題は、本発明のDNAフラグメントをゲノム内にインテグレートされてまたは複製可能なプラスミドの補助によって有する乳酸菌に関する。
【0016】
本発明の他の課題は、(1)本発明の酵素をコードするDNAフラグメントを、宿主細胞内での自動複製または宿主細胞へのインテグレートを可能にする配列からなるベクター中にクローニングし、(2)宿主細胞を上記ベクターでトランスフォームし、ついで(3)トランスフォームされた宿主細胞をEPSの産生に適当な条件下に培養する、EPSの製造方法に関する。
【0017】
本発明はまた、(1)EPSの生合成に関与する少なくとも1種の酵素をコードするDNAフラグメントをベクター中にクローニングし、(2)乳酸菌を上記ベクターでトランスフォームし、次いで(3)トランスフォームされた乳酸菌を新たなEPSの産生に適当な条件下に培養する、新たなEPSを製造する他の方法に関する。
【0018】
したがって、本発明は、乳酸菌におけるEPSの産生の修復または修飾のために、本発明のDNAフラグメントの利用の可能性の道を開くものである。すなわち、たとえば、液状デザート、ヨーグルト、スープ、乳製アイスクリーム、コーヒークリーム、ソースまたはマヨネーズのような飲料または食品の増粘およびクリーム化の目的でのEPSの製造のために、本発明のDNAの乳酸菌内における発現または過剰発現を企図することが可能である。
【0019】
本発明はまた、EPSの生合成に関与する乳酸菌の染色体遺伝子を同定する新規な手段の提供を可能にするものである。
【0020】
最後に、本発明はまた、上述のEPSの生合成に関与する新規な酵素を提供する。すなわちこれらの酵素はたとえば、ポリサッカライドたとえばオリゴサッカライドまたはEPSのインビトロ合成または修飾に有利に使用することができる(Ichikawa,Y.ら, American Chemical Society,114,9283−9289,1992)。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下の記述において、「EPS」の語は,反復単位を形成する数種の異なる糖のアッセンブリーから構成され、乳酸菌によって産生されるエキソポリサッカライドを意味する。
【0022】
アセチルおよびホスファチル誘導体の語は、糖の環上の位置C2 〜C6 に、少なくとも1個のアセチルおよびホスファチル基を有するガラクトースまたはグルコースを意味して使用される。
【0023】
本発明の目的では、「相同配列」は、本発明の配列とは少数の核酸またはアミノ酸ベース、たとえば1〜500塩基対(bp)または1〜150のアミノ酸の置換、欠失または付加の点でのみ異なるが同一の機能を有する核酸またはアミノ酸配列を意味するものと理解される。
【0024】
この場合、遺伝子コードの縮重の結果として、同一のポリペプチドをコードする2つのDNA配列はとくに相同であると考えてよい。同様に、同一の抗体によって認識されるタンパク質であって、2つのタンパク質の認識の強度を示す値の比が1000、好ましくは100を越えない2つのタンパク質はたとえば、相同であるとみなされることになる。
【0025】
配列が、本発明の配列と70%以上とくに80%または90%以上のホモロジーを示す場合も相同であると考えられることになる。この場合、ホモロジーは、本発明の配列の場合と同一である相同配列の塩基またはアミノ酸の数と本発明の上記配列の塩基またはアミノ酸の総数の比によって決定される。
【0026】
本発明の目的では、「ハイブリダイズするフラグメント」とは、本発明のフラグメントとサザンブロッティング法(Sambrookら, MolecularCloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,U.S.A.,1989,9.31〜9.58章)によってハイブリダイズできる配列を意味するものと理解される。ハイブリダイゼーションは、非特異的なおよび不安定なハイブリダイゼーションを回避できるように、緊縮条件下に行われることが好ましい。
【0027】
最後に、「フラグメント」または「DNAフラグメント」の語は、合成、インビトロでのたとえば「ポリメラーゼチェーン反応」と呼ばれる既知の方法による再生、またはインビボでのたとえば大腸菌、連鎖乳酸菌または乳酸桿菌好熱型の細菌で再生できる染色体起源の二本鎖DNAと理解されるべきである。
【0028】
本発明のDNAを選択するためには、EPSを産生しない乳酸菌中にEPSを産生する乳酸菌からの大DNAフラグメントのライブラリーを構築し、ついで、EPSを産生するクローン(単数または複数)を選択することができる。この目的には、EPSを産生する乳酸菌のゲノムDNAを比較的稀な制限部位に特異的な制限酵素(BamHI,SalI,PstI)で、またはSau3Aによる部分消化によって、たとえば消化する。消化産物を大フラグメントを受け入れる発現またはインテグレーションプラスミド(例IIに記載のプラスミドpSA3)にクローニングし、組換えプラスミドをEPSを産生しない同種の乳酸菌に導入し、EPSを産生するトランスフォームされた少なくとも1つのクローンを選択し、ついでEPSの産生に関与するDNAフラグメントを旧来の方法で同定し、単離し、配列を決定する。
【0029】
本発明のフラグメントは大サイズとすることが可能で、それらはEPSの生合成に関与する遺伝子群を含有できるという事実から、組換えプラスミドは突然変異誘発処置(UVもしくは化学的処置またはトランスポゾンによる処置)によりEPSの産生能が失われているという事実を除いてそれらのフラグメントの起源である乳酸菌と同一の株に導入するのが好ましい。
【0030】
上述の方法の別法として、たとえば、EPSを産生する乳酸菌株からのDNAフラグメントのプラスミドライブラリーを構築し、同じ乳酸菌の株をその内部では複製不可能なプラスミドでトランスフォームし、同種組換えによってそれらのゲノムにプラスミドがインテグレートされたトランスフォーマントを選択し(たとえば、抗生物質抵抗性による選択)、EPSをもはや産生しないトランスフォーマントを選択し、ついで選択されたトランスフォーマントのインテグレートされたプラスミドに隣接する染色体DNAフラグメントを単離し、配列を決定する。この目的では、トランスフォーマントの染色体を消化し、それをライゲートし、ついでインテグレートされたプラスミドに特異的なプローブを使用して逆PCRを実施するかまたは再循環プラスミドを複製可能な株にライゲーション産物を導入することもできる。
【0031】
上述の選択方法の他の別法として、EPSを産生する乳酸菌をトランスポゾンからなるプラスミドによってトランスフォームし、この細菌を、トランスポゾンがベクターから切除されてゲノム中にランダムにインテグレートされる条件に付し、EPSの産生能を失った細菌のクローンを選択し、トランスポゾンがインテグレートされた上記クローンからゲノムDNAフラグメントを単離することもできる。この方法は以下の例Iに詳細に記述する。
【0032】
上に簡略に述べた選択方法はすべての既知の乳酸菌、とくに好中温乳酸菌たとえば、Streptococcus cremoris,Streptococcus lactis,Lactobacillus casei subsp.caseiおよびLactobacillus sakeならびに好熱乳酸菌たとえば、Streptococcus thermophilus,Lactobacillus delbruecki subsp.bulgaricusおよびLactobacillus helveticusに適用できることが指摘されねばならない。この目的では、本技術分野の熟練者は乳酸菌の各種とくにLactobacillus delbruecki subsp.bulgaricusについて任意に選択できるトランスフォーメーション技術を有する(Sasaki Y.ら, FEMS Microbiology Reviews,12,Fourth Symposium on Lactic Acid Bacteria,Noodwijkerhout,The Netherlands,1993年9月)。
【0033】
さらに、上述の選択方法は、大抵、EPSの生合成に関与する遺伝子または遺伝子群の部分のみの単離を可能にする。しかしながら、本技術分野の熟練者はたとえば、単離されたフラグメントに基づく核酸プローブを用い、残りの部分を含有する1または2以上のクローンを染色体ライブラリー中で選択することにより遺伝子または遺伝子群の残部を容易に同定することができる(例I.6参照)。
【0034】
したがって1995年6月7日付にてCollection Nationale de Culture de Micro organisme(C.N.C.M.,国立培養微生物収集機関),28 rue du Dr Roux,75724 Paris cedex 15,Franceに寄託され、受入番号CNCM I−1590として受理されたStreptococcus thermophilus株の15.2kbのDNA配列を特徴づけることが可能であった。さらに、このグラム陽性株は顕微鏡下に小さい鎖を形成する非鞭毛球菌の外観を呈する。この株は胞子を作らず、通性嫌気性菌である。
【0035】
この15.2kbの配列は、リピート構造
【化6】
を有するEPSの生合成に関与する新しい酵素をコードする遺伝子からなる。
【0036】
この15.2kbの配列のヌクレオチド648〜15250は以下の配列表中に配列番号:1として示す。配列番号:1の核酸配列中ヌクレオチド352〜1803, 1807〜2535, 2547〜3239, 3249〜3995, 4051〜4731, 4898〜5854, 6425〜7540, 7736〜8212, 8221〜9192, 9285〜10364,10392〜11339,11302〜12222および12233〜13651によって13の完全遺伝子が区切られる。
【0037】
配列番号:1のすべてまたは部分は、トランスフォーメーション後に、最初はEPSを産生しなかった好中温または好熱乳酸菌、とくにStreptococcusまたはLactococcusのような宿主細胞にEPS生合成の回復を可能にすることを示すことができた。したがって一例を挙げれば、本発明のDNA配列はEPSをもはや産生しないS.thermophilus株CNCMI−1590の変異体(天然の変異体または突然変異に起因する変異体)にEPSの産生を回復させるために使用できる。
【0038】
EPSの生合成を回復させるためには、少なくとも上述の遺伝子からなる配列番号:1の配列の全部または部分をEP564,966に記載の方法によって宿主細胞内にインテグレートすることができる。この方法は本発明の教示の参考として本明細書に導入する。略述すれば、この方法は(1)宿主細胞を、その宿主細胞に由来するオペロンの部分に機能的に(リーディングフレームが保存されて)インテグレートされた上記プラスミドからなりそのドナー内では複製されないドナープラスミドでトランスフォームすること、(2)全プラスミドがインテグレートされてなるトランスフォーマントを同定すること、(3)本発明のフラグメントのみが染色体中にインテグレートされ、プラスミドの他の配列は染色体から切除されたトランスフォーマントを選択すること、および(4)選ばれたトランスフォーマントをEPSの産生に適当な条件下に培養することを可能にした。
【0039】
この方法は機能性プロモーターや翻訳アクティベーターを用いないことを可能にするものではないことに留意すべきである。さらに、EPSの産生に適当な培養条件は本技術分野の熟練者の能力の範囲内にあり、本技術分野の熟練者には、使用される株に応じて、標準培養培地の使用ならびに至適培地のpH、温度および攪拌の選択が可能である。
【0040】
また上記遺伝子の少なくとも1種からなる配列番号:1の配列の全部または部分を、自己複製発現プラスミド中の機能性プロモーターおよび翻訳アクティベーターの下流、必要に応じてターミネーターの上流にクローン化し、ついでこの組換えプラスミドで宿主細胞をトランスフォームすることの選択も可能である。
【0041】
さらに、たとえば、最初はEPSを産生しない連鎖乳酸菌を配列番号:1の配列でトランスフォームした宿主細胞が産生するEPSは、組換え酵素によって正常に合成されるEPS、この場合は株CNCM I−1590によって産生されるEPSとは異なることが観察される。したがって、15.2kbの配列の全部または部分の使用は上述のEPSの変異体の創製を可能にすることができる。
【0042】
同様に、配列番号:1の配列の全部または部分は、トランスフォーメーション後、宿主細胞たとえば、好中温または好熱乳酸菌とくに、StreptococcusまたはLactococcusのような宿主細胞によって最初に産生されるEPSのリピート構造を修飾することを可能にすることを示すことができた。
【0043】
すなわち、これらの観察は、(1)EPSの生合成に関与する少なくとも1種の酵素を全体的または部分的にコードするDNAフラグメントをベクター中にクローン化し、(2)乳酸菌をその組換えベクターでトランスフォームし、(3)必要に応じて、新たなEPSを産生する乳酸菌を選択し、ついで(4)トランスフォームされた乳酸菌を新たなEPSの産生に適当な条件下に培養する、新たなEPSの新規な製造方法の提供の可能性を開くものである。ベクターは好ましくは本発明のタンパク質をコードする。さらに、乳酸菌は上記ベクターによりコードされるタンパク質によって合成されるEPS以外のEPSを産生できる。
【0044】
とくに、第一のEPSの生合成に関与する少なくとも1種の酵素を部分的にコードするDNAフラグメントをインテグレーションベクター中にクローン化し、組換えベクターを必要に応じて第二のEPSを産生できる好中温または好熱乳酸菌中に1もしくは2以上の染色体またはプラスミド遺伝子を介して導入し、インテグレーションベクターがそれらの染色体中にインテグレートされた細菌を単離し、ついで新たなEPSを産生する細菌を第二のEPSの生合成に関与する1または2以上の遺伝子の不活性化によって選択する。好ましくは第一および第二のEPSは同一であり、リピート単位の側鎖への糖の付加または糖の修飾に関与する少なくとも1種の酵素たとえば、スルホ、ホスホまたはアセチルトランスフェラーゼを部分的に(少なくとも15塩基対)コードするDNAフラグメントが選択される。
【0045】
同様に、第一のEPSの生合成に関与する少なくとも1種の酵素の全体をコードするDNAフラグメントを複製可能な発現ベクター中にクローン化し、その組換えベクターを、必要に応じて第二のEPSを1もしくは2以上の染色体またはプラスミド遺伝子を介して産生できる好中温または好熱乳酸菌に導入し、複製可能なベクターを含有する細菌を単離し、ついで第一のEPSの生合成に関与する1または2以上の遺伝子の発現によって新規なEPSを産生する細菌が選択される。好ましくは、糖の修飾に関与する酵素たとえば、スルホ、ホスホもしくはアセチルトランスフェラーゼ、または糖のリピートを付加する酵素たとえばグルコシルもしくはガラクトシルトランスフェラーゼをコードするDNAフラグメントが選択される。
【0046】
配列番号:1の配列に包含される遺伝子の少なくとも1つを全体的にまたは部分的に使用するのが好ましい。EPSの生合成に関与する好中温乳酸菌のプラスミド遺伝子(既知のプラスミドから配列決定できる遺伝子)の少なくとも1つも使用できる。
【0047】
最後に、組換えベクターは、本発明のDNA配列、とくに配列番号:1の配列のすべてまたは部分からなる線状または環状、一本鎖または二本鎖、発現またはインテグレーションベクターとすることができる。EP564,966に記載の方法を使用しない場合には、ベクターが適当な核酸配列(プロモーター、リボソーム結合部位、好ましいコドン)を介して本発明のDNAを発現できるように、またそれがたとえば、様々な細菌とくに大腸菌および/または連鎖球菌からの1もしくは2以上の複製の起源を含有するように注意する必要がある。
【0048】
本発明はまた、配列番号:1の配列遺伝子とくにそれらと相同な配列によってコードされる新たな酵素に関する。したがって、これらの、オリゴサッカライドまたはポリサッカライドたとえばEPSの修飾またはインビトロ合成のための使用が考慮される。この目的では、これらの酵素の少なくとも1種は、細菌中で旧来法によって過剰発現させ、旧来法たとえば培養培地の沈殿および/またはクロマトグラフィーにより精製されることが好ましい。
【0049】
本発明の他の課題は、その染色体にインテグレートされてまたは複製可能なプラスミドの補助により本発明のDNA配列を含む乳酸菌に関する。その配列は好ましくは配列番号:1の配列の遺伝子の少なくとも1つからなる。
【0050】
本発明はまた、少なくとも15bpの配列番号:1の配列のDNAフラグメントまたはその配列に相補性配列鎖のフラグメントの、PCRを実施するためのプライマーとしてまたはEPSの生合成に関与する乳酸菌の遺伝子のインビトロ検出もしくはインビボ不活性化のためのプローブとしての使用に関する。この下限は、特異的にハイブリダイズする小フラグメントは一般に長さ15〜25bpであるという事実により任意に設定される。
【0051】
【実施例】
本発明のDNAフラグメント、組換えプラスミドおよびトランスフォームされた細菌を得る実施例である以下の記述により、本発明を以下にさらに詳細に説明する。それらの記述に先立ち、培養培地を説明する。しかしながら、これらの実施例は本発明の課題の例示のために記載されるもので、いかなる意味でも本発明の限定を構成するものではないことは自明の通りである。DNAの操作ならびに細菌細胞のクローニングおよびトランスフォーメーションは、とくに指示のない限り、上に引用したSambrookらの著作に記載のプロトコールに従って実施する。百分率はとくに指示のある場合を除き重量%を示す。
【0052】
培地:(固体培地に1.5%のバクトアガールを添加)
−M17(Difco,USA):トリプトン0.5%,ソイトン0.5%,水解ミート0.5%,酵母エキス0.25%,アスコルビン酸0.05%,硫酸マグネシウム0.025%,β−グリセロリン酸二ナトリウム1.9%および水
−LM17:1%ラクトース含有M17培地
−GM17:1%グルコース含有M17培地
−MSK:酵母エキス0.1%含有脱脂粉乳(10%再構築粉末)
−MAM:アミノ酸混合物(495mg/l Ala,343mg/l Arg,682mg/l Asp,59mg/l Cys,1229mg/l Glu,759mg/l Gly,153mg/l His,215mg/l Iso,470mg/l Leu,565mg/l Lys,122mg/l Met,255mg/l Phe,436mg/l Pro,68mg/l Ser,170mg/l Thr,61mg/l Try,304mg/l Val,pH5に調整)10%含有脱脂粉乳(10%再構築粉末)
−HJL:トリプトン3%,牛肉エキス0.2%,酵母エキス1%,ラクトース1%およびKH2 PO4 ,pH6.5,0.5%
−ルテニウムレッド:酵母エキス0.5%,脱脂粉乳粉末10%,スクロース1%,アガール1.5%およびルテニウムレッド0.08g/l(FR2,632,968参照)
【0053】
例I:S.thermophilus株Sfi6のDNAフラグメントのクローニング
I.1.EPSを産生するS.thermophilus株の選択:Nestleコレクションからの乳酸菌の株をHJL液体培地中で培養し、その希釈液をルテニウムレッド固体培地上にプレートアウトする。EPSは細胞壁の染料による染色を防止するので、EPSを産生する株は白色に維持される。これに反して、非産生株は細胞壁のペプチドグリカンに対する染料の親和性のために赤色に染まる。
この方法で、寄託番号CNCM I−1590として寄託され「株Sfi6」の表示で以下の例に指示するS.thermophilus株Sfi6がEPS産生乳酸菌から選択された。
【0054】
I.2.EPSのリピート構造:株Sfi6によって産生されるEPSの構造は、Docoら(Carbohyd.Res.,198,313−321,1995)に報告されている。このEPSは組成Glc:Gal:GalNac=1:2:1、およびテトラサッカライドのリピート単位
【化7】
を有する。
【0055】
I.3.トランスポゾンTn916による突然変異誘発:ストレプトマイシン含量を20から2000μg/mlまで増大させ補充したHJL培地に繰返し移してSfi6株を培養し、自然に抵抗性になる株を選択することによりストレプトマイシン抵抗性とする。
ストレプトマイシン抵抗性Sfi6株、およびトランスポゾンTn916(Tn916はテトラサイクリン抵抗性遺伝子をもつことが知られている;Gawronら,Nature,300,281−283,1982)をもつプラスミドpAM180を含有する腸球菌フェカリス(Enterococcus faecalis)株JH2−2を接合させる。この目的では、E.faecalis株JH2−2のM17培地中37℃での一夜培養液1mlをSfi6株のHJL培地中42℃での一夜培養液10mlと混合し、細胞を遠心分離し、100μlのHJL培地を含む試験管中に再懸濁し、懸濁液をLM17固体培地に適用し、これを37℃で20時間インキュベートし、細胞を掻き落として回収し、10mlのHJL液体培地の試験管中に再懸濁し、試験管を42℃で時々振盪しながら4時間インキュベートし、ついで培養液の希釈液を2.5μg/mlのテトラサイクリンおよび2000μg/mlのストレプトマイシン補充固体LM17培地上にプレートアウトする。
平行して20の接合実験(独立の突然変異誘導)を行うことにより、この方法で2×104 のテトラサイクリンおよびストレプトマイシン抵抗性トランス接合体を選択することが可能であった。
【0056】
I.4.EPSをもはや産生しない〔EPS(−)表現型〕Sfi6株変異体の選択:抵抗性トランス接合体を2.5μg/mlのテトラサイクリンおよび2000μg/mlのストレプトマイシンを補充したルテニウムレッド固体培地に移す。約10%の接合体がEPS(−)の赤いコロニーを形成する。ついで約800個の赤いコロニーを選択し、2.5μg/mlのテトラサイクリンを補充したHJL培地200μlを含むマイクトタイトレーションプレート中で一夜培養する。100μlのHJL培養体をついで1mlのMSKミルク中で培養する。試験した赤いコロニーの約25%がミルク(ミルクは粘稠でも粘着性でもなく、培養上清の分析ではEPSは認められない)中で安定なEPS(−)表現型を示す。他の赤いコロニーはEPS(+)表現型を示すかまたはミルク中数回の継代培養後にEPS(+)表現型を回復する。
結論として、EPS(−)安定変異体は、EPSの生合成に関与する染色体遺伝子中へのトランスポゾンTn916のインテグレーションの結果としてEPS産生能を失ったものである。実際、EPS(−)安定変異体をテトラサイクリンを欠く増殖培地中で培養すると(トランスポゾンの切断および喪失)、EPS(+)表現型を回復できる。
【0057】
I.5.EPS(−)安定変異体の特性:約100個の安定変異体を、Hind IIIで消化したその変異体からの染色体DNAプレパレーションのサザンブロッティングおよび、サザンブロットフィルターのプラスミドpIC182(Hillら, Applied and Env.Micro.,54,1230−1236,1988)由来の放射性tetM遺伝子(テトラサイクリン抵抗性をコードする)とのハイブリダイゼーションによって分析する。分析した約85%の変異体は、「遺伝子座A」と呼ばれる位置に相当する同一の優位なバンドを示す。他の変異体の一部では、細胞壁の生合成に関与する既知の遺伝子座に相当するさらに2つのバンド(遺伝子座BおよびC)が認められる(発表準備中)。
【0058】
I.6.遺伝子座Aの特性:インテグレートされたトランスポゾンTn916に近接する染色体領域は逆PCRによって単離できる。この目的では、任意に選択された変異体(変異体:1)からの染色体DNAプレパレーション1μgを旧来法によりHind IIIで4時間消化し、DNAをフェノール/クロロホルムで抽出し、720μlの水で希釈し、希釈したDNAを56℃に5分間加熱し、DNAを氷上で冷却し、それに80μlの10倍濃度のライゲーション緩衝液および5単位のT4ライガーゼ(Boehringer−Mannheim)を加え12℃で16時間インキュベートし、70℃に15分間加熱してライガーゼを不活性化し、ついでブタノールに数回連続抽出して容量100μlに濃縮する。ライゲーション混合物10μl、100pmolのプライマー、15mM dNTP、10μlの緩衝液および0.2単位のSuper−Taqポリメラーゼ(Stehlin GmbH)をついでPCRデバイスに添加する。核酸プライマーはトランスポゾンTn916の既知配列に基づいて選択される。
【0059】
配列番号:15ならびに配列番号:16の配列を有するプライマーを用いると、PCRにより1−kbフラグメントが単離できた。さらに、プライマー配列番号:17および配列番号:18の配列を用いると、4−kbフラグメントが単離できた(以下の配列表参照)。
第三の0.8−kbフラグメントも変異体:1から、そのRsaIで消化した染色体DNAから配列番号:18および配列番号:19の配列(以下の配列表参照)を有するプライマーを用いて第二の逆PCRを実施することにより単離できる。
1−kbおよび0.8−kbフラグメントを線状化プラスミドpGEMT(Promega,USA)中にクローン化した。これらのフラグメントをジデオキシヌクレオチド法で配列決定〔f−mol(登録商標)DNA Sequencing System kit,Promega〕し、整合すると、配列番号:1の配列のヌクレオチド9933〜11643に相当する3つのオープンリーディングフレーム(ORF)をカバーする2つの配列を示す。
【0060】
1−kbおよび4−kbフラグメントはまた、株Sfit6のDNAフラグメントを含有するλ−ZAP Express(Stratagene,USA)ライブラリーのスクリーニングに使用された。この目的では、供給者の推薦に従い、上記変異体からのDNAプレパレーションをSau3Aで部分消化し、フラグメントをアガロースゲル電気泳動によって分離し、5−〜12−kbフラグメントに相当するバンドをゲルから切り出し、DNAを溶出し、ついで予めBamHIで消化したλ−ZAP Expressベクターにライゲートする。ライゲーション産物をGigagold III system(Stratagene)を用いインビトロでエンカプシデートし、次にファージを大腸菌XL1Blue(Stratagene)と供給者の推薦に従い混合し、次に混合物をペトリ皿上にプレートアウトする。組換えプラークをついでそれらのDNAのハイブリダイゼーション、予め放射性とした(Random Primed DNALabelling kit,Boehringer−Mannheim)1−kbおよび4−kbフラグメントととのHybond N membrane(American Life Science,UK)上へのトランスファーにより分析する。
【0061】
3000の組換えプラークから約20の陽性プラークをハイブリダイゼーションによって分離することができ、それからついでλ−ZAP Expressベクターを単離し、次に染色体インサートを含有するpCMVベクターを切り出した(供給者のStratageneの説明書参照)。これらの組換えベクターは以下の実施例中においては「pFS」と呼ばれる。
11のpFSベクターの染色体インサートをついで配列決定した〔f−mol(登録商標)DNA Sequencing System kit〕。これらはベクターpFS14,pFS15,pFS26,pFS30,pFS33,pFS49,pFS50,pFS65,pFS73,pFS80およびpFS86であり、それぞれ配列番号:1のヌクレオチド配列,9314〜14602,1〜3159, 7988〜11253,1702〜7991, 1361〜7229, 4400〜8477, 648〜7676, 5997〜11253,8474〜13489,3550〜7229および648〜1702に相当するフラグメントからなる。
【0062】
異なる染色体インサートの核酸配列を整合することにより、株Sfi6の遺伝子座Aに相当する15.2kbの配列をこの方法で特性づけることができた(図1A参照)。この15.2kbの配列のヌクレオチド648〜15250は配列番号:1の配列中に示されている。
【0063】
I.7.配列番号:1の配列の分析:
配列番号:1の配列は株Sfi6の全epsオペロンから構成される。この配列はepsA,B,C,D,E,F,G,H,I,J,K,LおよびMと呼ばれる同一方向性の13の完全ORFからなる(図1A参照)。この配列にはさらに配列の3’末端に、相補性の配列鎖によってコードされる1つの完全ORFを含有する。orfZと呼ばれるこのORFは多分、他のORFに対するその逆の方向性からオペロンの末端を標識するものであろう。
【0064】
最初の13のORFによってコードされるアミノ酸配列をSwiss−Protデータバンクに存在するタンパク質の配列とソフトウエアFASTA,PEPPLOTおよびPILEUP(GCG−software,Wisconsin,USA)を使用して比較すると、epsオペロンによってコードされる13のタンパク質の機能を推定することが可能である。結果は以下に示す。
【0065】
epsA ORF(ヌクレオチド352〜1803)は自己溶菌酵素N−アセチルムラモイル−L−アラニン(Lazavericら,J.Gen.Microbiol.,138,1949−1961,1992)の調節に関与する枯草菌(Bacillus subtilis)のLytRタンパク質と26.4%の同一性を有するEpsAタンパク質(配列番号:2)をコードする。したがってepsAは多分、epsオペロンのレギュレータータンパク質と考えられる。さらに、オペロンのレギュレーターORFは一般的に他のORFの上流に見出されることからepsA遺伝子は多分、epsオペロンの最初の遺伝子であると思われる。これは、ターミネーターが配列番号:1の配列のヌクレオチド230〜252に、プロモーターがヌクレオチド274〜302に、リボソーム結合部位がヌクレオチド340〜345に見出される事実によって確認される。
【0066】
epsB遺伝子(ヌクレオチド1807〜2535)は、Streptococcus agalactiaeのCpsAタンパク質と67.5%の同一性および黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)のCapCタンパク質と30%の同一性を有する(Rubensら, Mol.Microbiol.,8,843−885,1993;Linら, J.Bacteriol.176,7005−7016,1994)EpsBタンパク質(配列番号:3)をコードする。これらの遺伝子の正確な機能は、それらが細菌の外膜のリン脂質にカップリングするポリサッカライドから構成される莢膜の合成に必須であることを除いてまだ不明である。
【0067】
epsC遺伝子(ヌクレオチド2547〜3239)は、Streptococcus agalactiaeの莢膜の合成に関与する(Rubensら)CpsBタンパク質と52%の同一性を有するEpsCタンパク質をコードする。EpsCはまた、Salmonella typhimurium(ネズミチフス菌)、Salmonella entericaおよび大腸菌のCLDタンパク質の配列(Batchelorら, J.Bacteriol.174,5228−5236,1992;Bastinら,Mol.Microbiol.,7,725−734,1993)と23%の同一性、49%の類似性およびそれに匹敵する疎水性プロファイルを有する。CLDタンパク質はポリサッカライドの合成時にその鎖の長さの制御に関与することが指摘されねばならない。
【0068】
epsD遺伝子(ヌクレオチド3249〜3995)は、Streptococcus agalactiaeのCpsCタンパク質と60.5%の同一性、Staphylococcus aureusのCapAタンパク質と34.5%の同一性およびRhizobium melilotiのExoPタンパク質と33%の同一性を有する(Rubensら, Linら, Beckerら,Mol.Gen.Genet.,241,367−379,1993)EpsDタンパク質(配列番号:5)をコードする。ExoPタンパク質は、EPSおよび/またはEPS前駆体のトランスロケーションに関与する膜タンパク質である。
【0069】
epsE遺伝子(ヌクレオチド4051〜4731)は、ガラクトシルトランスフェラーゼ活性を有する多くのタンパク質(Rubensら)と有意なホモロジーを示すEpsEタンパク質(配列番号:6)をコードする。したがって、この遺伝子はガラクトシルトランスフェラーゼをコードするものと思われる。
【0070】
S.thermophilus Sfi6のepsB,C,DおよびE遺伝子は、cpsA,B,CおよびD遺伝子からなるS.agalactiaeのオペロンの場合(Rubensら)に類似することが注目される。しかもそれらは同じ方法で統合されている。2つの株の莢膜のポリサッカライドおよびEPSは極めて異なることから、これは染色体領域が多分これらの2つの種の間で転換したことを指示するものであろう。
【0071】
epsF遺伝子(ヌクレオチド4898〜5854)は、多分ガラクトシルトランスフラーゼとして莢膜の生合成に関与していると考えられる(Linら)S.mutansのCapHおよびCapMとそれぞれ24.5%および23%の同一生を有するEpsFタンパク質(配列番号:7)をコードする。
【0072】
epsG遺伝子(ヌクレオチド6425〜7540)は外膜のLPSポリサッカライドの生合成に関与するSalmonella typhimuriumLT2のN−アセチルグルコサミントランスフェラーゼ(MacLachlanら, J.Bacteriol.,173,7151−7163,1991)と20.5%の同一性および50%の類似性を有するEpsGタンパク質(配列番号:8)をコードする。N−アセチルグルコサミンは株Sfi6のEPSの生合成には関与しないので(アセチル化グルコースはない)、EpsG遺伝子は多分、グリコシルトランスフェラーゼ、N−アセチルガラクトシルトランスフェラーゼ、またはN−アセチルグルコサミンエピメラーゼ活性を有するN−アセチルグリコシルトランスフェラーゼをコードするものと思われる。
【0073】
epsH遺伝子(ヌクレオチド7736〜8212)は、NodL−LacA−CysEアセチルトランスフェラーゼ(Downieら, Mol.Microbiol.,3,1649−1651,1989)と高いホモロジーを有するEpsHタンパク質(配列番号:9)をコードする。したがって、EpsHタンパク質はEPSのN−アセチルガラクトサミンの生合成に関与するアセチルトランスフェラーゼであるものと思われる。
【0074】
epsI遺伝子(ヌクレオチド8221〜9192)はSalmonellatyphimuriumのrfbクラスターのRfbV ORFによってコードされる、グリコシルトランスフェラーゼと考えられるタンパク質(Jiangら;Liuら, J.Bacteriol.,177,4084−4088,1995)と24%の同一性を有するEpsIタンパク質(配列番号:10)をコードする。
【0075】
epsJ遺伝子(ヌクレオチド9285〜10364)は、群BおよびC2サルモネラのO抗原のポリメラーゼにそれ自体類似するSalmonella entericaのrfbクラスターのORFのタンパク質(Leeら, J.Gen.Microbiol.,138,1843−1855,1992;Moronaら,J.Bacteriol.,176,733−747,1994)の場合と20%の同一性およびそれに匹敵する疎水性プロファイルを有するEpsJタンパク質(配列番号:11)をコードする。EpsJ遺伝子はしたがって、EPSのテトラサッカライド単位を重合させることができるEPSポリメラーゼをコードするものと考えられる。
【0076】
epsK遺伝子(ヌクレオチド10392〜11339)は、膜のリン脂質にポリサッカライドをカップリングさせることによっての莢膜の生合成に関与する髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)のlipB遺伝子によってコードされる、タンパク質(Froschら,Mol.Microbiol.,8,483−498,1993)と18%の同一性ならびに42%の類似性を有するEpsKタンパク質(配列番号:12)をコードしている。S.thermophilusが外膜をもたないと仮定すれば(グラム陽性菌)、epsK遺伝子は、EPS輸送分子(多分、EpsCおよびEpsD)およびEPSを切離す酵素と共同して膜を通過するEPSの輸送を分担する細胞膜のリン脂質へのEPSのカップリングに関与する酵素をコードすると考えることができる(Froschらによって提起されたモデルと一致する)。
【0077】
さらに、トランスポゾンTn916は配列番号:1のヌクレオチド10540〜10541の間で、epsオペロンの同定に用いられた変異体:1のepsK遺伝子中にインテグレートされる可能性が指摘される(上記I.6.の項参照)。
【0078】
epsL遺伝子(ヌクレオチド11302〜12222)は既知のタンパク質とはホモロジーを示さないEpsLタンパク質(配列番号:14)をコードする。最初の38のヌクレオチドは、epsKの3’末端と重複し、2つのタンパク質の一律発現とEPSの膜輸送におけるEpsLタンパク質の活性が示唆される。
【0079】
epsM遺伝子(ヌクレオチド12233〜13651)は、Swiss−Protデータバンクからの既知のタンパク質とはホモロジーを示さないEpsMタンパク質(配列番号:13)をコードする。この遺伝子の特異的なプロモーターが上流にないことから、この遺伝子は明らかに株Sfi6のEPSの生合成に関与している。
【0080】
orfZ遺伝子(相補性鎖上13732〜14305)は、epsオペロンにおける他のORFと逆方向に存在する。したがって、株Sfi6のEPSの生合成には多分関与していないと思われる。さらに、Swiss−Protデータバンクの既知のタンパク質とはホモロジーを示さない。
【0081】
結論として、11のpSFベクターから単離された染色体インサート(上記I.6.の項参照)はEPSの生合成に明らかに関与するS.thermophilus株Sfi6の染色体領域をカバーする。このようにして、上流にepsオペロンの開始の範囲を定めるプロモーターを含む13の完全遺伝子が同定できた。
【0082】
例II:epsJ遺伝子の不活性化
epsオペロンのepsJ遺伝子を、EPSの生合成におけるその重要性を確認するために、相同組換えによって不活性化する。
この目的では、0.8−kb PCRフラグメントを含有するプラスミドpGEMT(上記I.6.の項参照)からDraI−SalIフラグメントを単離し、予めEcoRVおよびSaIIで消化した熱感受性プラスミドpSA3(Daoら,Appl.Environ.Microbiol.,49,115−119,1985)にライゲートし、大腸菌株XLl−blueをライゲーション産物でトランスフォームし、トランスフォーマントを選択し、組換えプラスミドを単離し、S.thermophilus株Sfi6をSlosら(Appl.Environ.Microbiol.,57,1333−1339,1991)によって記載された方法から適応された方法により組換えプラスミドでのエレクトロポレーションを用いてトランスフォームする。細胞を2.1kV、25μFおよび400Ωの放電に付し、1mlのHJL培地中に再懸濁し、37℃(許容温度)で4時間インキュベートし、細胞を2.5μg/mlのエリスロマイシンを補充したLM17固体培地上にプレートアウトし、37℃で16時間インキュベートし、ついで生存しているトランスフォームされたコロニーを選択する。選択されたコロニーを2.5μg/mlのエリスロマイシンを補充したHJL培地2ml中で培養液の600nmにおける光学密度(OD600 )が0.2に達するまでインキュベートし、培養液をOD600 が1.0に達するまで45℃にし(プラスミドはも早複製しない)、培養体の希釈液を2.5μg/mlのエリスロマイシン補充LM17固体培地上にプレートアウトし、45℃で12時間インキュベートする。
【0083】
生存したコロニーのepsJ遺伝子に組換えプラスミドpSA3 をインテグレートする。これは、生存コロニーをEcoRIで消化した(pSA3を1箇所でのみ切断する)染色体DNAプレパレーションのサザンブロッティングおよびサザンブロットフィルターの上述の放射性DraI−SalIフラグメントとのハイブリダイゼーションにより確証する。プラスミドpSA3がインテグレートされたコロニーはサザンブロットフィルター上に2つのバンドを示す。さらに、epsJ遺伝子に組換えプラスミドpSA3がインテグレートされたコロニーはルテニウムレッド固体培地上でEPS(−)の表現型を示し、MSKミルク中でそれらの粘着性は喪失した(上記例I.4.参照)。
【0084】
例III:epsA,B,C,D,E,F,G,H,I,J,K,LおよびM遺伝子の不活性化
例IおよびIIに、トランスポゾンまたはインテグレートされるプラスミドの挿入によるepsKおよびepsJ遺伝子の不活性化は株Sfi6におけるEPS生合成を遮断することを示した。
同様に株Sfi6のepsオペロンの他の遺伝子は相同組換えによって不活性化され、したがってEPS生合成の遮断が観察できる。この目的では、上記例I.6.に記載の11個のpFSベクターの一つに由来するORFのフラグメントをPCRで増幅する。それをプラスミドpSA3にクローン化し、ついで前の例における記載と同一条件下に、株Sfi6にトランスフォームおよびインテグレートする。
【0085】
例IV:EPS産生の修復
pFS30をEcoRIで切断し、フラグメントを分離し、5.5−kbフラグメントを予めEcoRIで消化したpFS14にライゲートし、XL1−blue細胞をライゲーション産物でトランスフォームし、トランスフォームされ挿入体が正しい方向性を示すクローンを選択し、pFS30−14と呼ばれるプラスミドを単離し、pFS65中央のEcoRIフラグメントを、予めEcoRIで切断したpFS30−14にライゲートし、XL1−blue細胞をライゲーション産物でトランスフォームし、トランスフォームされ、挿入体が正しい方向性を示すクローンをついで選択する。pFS30−65−14と呼ばれる得られた組換えプラスミドは配列番号:1の配列のヌクレオチド1702〜14602からなる。
【0086】
pFS30−65−14をついでSalIおよびSmaIで切断し、12.9kbフラグメントを分離し、予めEcoRVとSalIで切断したpSA3にライゲート、XL1−blue細胞をライゲーション産物でトランスフォームし、トランスフォームされたクローンを選択し、組換えpSA3プラスミドを単離する。
【0087】
1993年3月29日付で寄託されたS.thermophilus株CNCM I−1292を組換えpSA3プラスミドでエレクトロポレーションによりトランスフォームする。このグラム陽性株は、顕微鏡下に小さい鎖を形成する非鞭毛球菌の外観を呈し、胞子は作らず、通性嫌気性菌であり、EPSを産生せず、そのゲノムにはepsオペロンの5’末端に相当するそのゲノム1000bpを有する。したがって組換えpSA3プラスミドは株CNCM I−1292のゲノムにインテグレートされる。一部のトランスフォームされたクローンはルテニウムレッド固体培地上でEPS(+)の表現型を示し、MSKミルク内で粘着性を有する。
【0088】
例V:EPS産物の修復
株Sfi6の染色体を、配列番号:1の配列を切断はしない酵素(BamHI,SalI,NruI,StuI)で消化し、消化産物をアガロースゲル上で分離し、15−〜25−kbのバンドを溶出し、適当な制限酵素で予め切断したpSA3中にライゲートし、S.thermophilus株CNCM I−1292をエレクトロポレーションによりトランスフォームし、トランスフォーマントはついでフィルター上へのコロニーのトランスファーついでそれらのDNAの予め放射性としたpFS14とのハイブリダイゼーションにより選択する。トランスフォームされた一部のクローンはルテニウムレッド固体培地上でEPS(+)の表現型を示し、MSKミルク内で粘着性を有する。
【0089】
例VI:EPSの修飾
1994年5月18日付で寄託されたS.thermophilus株CNCM I−1422を例Vの組換えpSA3プラスミドでエレクトロポレーションによりトランスフォームする。このグラム陽性株は、顕微鏡下に小さい鎖を形成する非鞭毛球菌の外観を呈し、胞子は作らず、通性嫌気性菌であり、組成Glc:Gal=2:2を有するEPSを産生する。
【0090】
例VII:EPSの修飾
1993年8月5日付で寄託されたS.thermophilus株CNCMI−1351を例Vの組換えpSA3プラスミドでのエレクトロポレーションによってトランスフォームする。このグラム陽性株は、顕微鏡下に小さい鎖を形成する非鞭毛球菌の外観を呈して、胞子は作らず、通性嫌気性菌であり、組成Glc:Gal:Rha=1:3:2を有するEPSを産生する。
【0091】
例VIII:EPSの修飾
株CNCM I−1590の染色体DNAは、Slosら(Appl.Environ.Microbiol.,57,1333−1339,1991)の方法によって単離される。DNAプレパレーションはSacIおよびBamHIで消化し、DNAフラグメントは0.7%アガロースゲル上電気泳動によって分離し、12−〜16−kbフラグメントを溶出し、抽出されたDNAを予めSacIおよびBamHIで消化しついで脱リン酸化したベクターpJIM2279(P.Renault,INRA,Jouy−en−Josas,Paris,Franceから入手)にライゲートする。GM17培地上30℃にて培養したLactococcus lactis株 MG1363(J.Bacteriol.,154,1−9,1983)をDe Vosら(Gene,85,169−176,1989)の方法によりトランスフォームする。トランスフォームされたクローンを、クローンのゲノムDNAと配列番号:15, 16, 17, 18および19の配列を有するプローブの一つとのハイブリダイゼーションにより選択する。400個のトランスフォーマント中、6つの陽性クローンが選択され、その一つが図1Cに示すpFS101と呼ばれるプラスミドを含有する。
【0092】
プラスミドpFS101が組換えEPSの産生を誘導できるか否かを決定するために、L.lactis株MG1363をpFS101でトランスフォームし、ルテニウムレッド固体培地上に直接プレートアウトする。比較のために、プラスミドpJIM2279でトランスフォームされたL.lactis株 MG1363をついでルテニウムレッド固体培地上に直接プレートアウトする。結果はpJIM2279を含むコロニーがすべて赤い表現型〔3000EPS(−)コロニー〕であるが、pFS101を含有するコロニーの99.5%以上が白色の表現型〔800EPS(+)コロニー、2コロニーを除く〕を示す。したがって、pFS101でトランスフォームされたL.lactis株MG1363は組換えEPSを産生する。
【0093】
pFS101でトランスフォームされたL.lactis株 MG1363のEPSの産生は生物体をMAM培地中、pH5.5、30℃において、60rpmで電磁攪拌しながら培養することによって行われる。組換えEPSは培養培地を40%のトリクロロ酢酸と混合し、混合物を8000gで20分間遠心分離し、沈殿を等容量のアセトンと混合し、混合物を4℃で12時間インキュベートし、混合物を10000gで1時間沈殿させ、沈殿を水中に懸濁させ混合物のpHを7に調整し、水に対して24時間透析し、100,000gで1時間超遠心し、上清を回収し、上清を凍結乾燥させる。比較のために、pJIM2279でトランスフォームされたL.lactis株 MG1363を同一条件で培養し、同様にして糖を単離する。
【0094】
中性糖の総量はDuboisら(Anal.Chem.,28,350−356,1956)の方法によって測定する。結果は、pFS101でトランスフォームされた株がグルコース当量で表して10mg/mlの糖を産生するのに対し、pJIM2279でトランスフォームされた株では痕跡(<1mg/l)の糖を産生するにすぎない。
【0095】
組換えEPSの分子量は予め市販のデキストラン(Sigma)2×106 〜5×103 ダルトン(Da)で検量したFPLCシステム(Pharmacia)に接続したSuperose−6(Pharmacia)ゲルろ過カラム上クロマトグラフィーによって評価する。この目的では、250μgの中性糖からなるサンプル0.25〜1mlをカラムに適用し、流速0.5ml/分の50mMリン酸緩衝液pH7.2で溶出する。比較のためにpJIM2279でトランスフォームされた株によって産生された糖も同様に分離する。図2に示す結果は、pJIM2279でトランスフォームされた株は明らかに細胞壁に由来する異種ポリサッカライドを少量(2〜0.5×106 Da;分画8〜15)および低分子量のオリゴサッカライド(モノおよびジサッカライド;分画20〜22)を大量に産生する。これに対し、pFS101でトランスフォームされた株では高分子量の組換えEPS約2×106 Da(分画9)が明らかに認められる。
【0096】
組換えEPSの糖組成はNeeserら(Anal.Biochem.,142,58−67,1984)の方法によってガスクロマトグラフィーで測定する。結果は、pFS101でトランスフォームされた株の培養培地には、モル比でGlc:Galが1:3で含まれる。細胞壁に由来する痕跡のラムノースが検出される。これに対し、GalNacは検出されない。
【0097】
pFS101でトランスフォームされたL.lactis株 MG1363によって産生されるEPSの組成は、S.thermophilus株 CNCMI−1590によって産生されるEPSの組成とは異なる。組換えEPSの構造は、GalNacがガラクトースによって置換されている以外は、株 CNCM I−1590のEPSの構造と同じであると考えるのが妥当である。
【0098】
【配列表】
【0099】
【化8】
【0100】
【化9】
【0101】
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【0133】
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【化40】
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【0149】
【化41】
【0150】
【0151】
【化42】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1A:S.thermophilus株CNCM I−1590のEPSの生合成に関与するオペロンの物理的地図。
プロモーターおよびターミネーターはそれぞれ、旗およびヘアピンで示す。縦の矢印はトランスポゾンTn916の挿入部位の位置を指示する。水平の矢印は可能性のあるオープンリーディングフレーム(ORF)の存在を指示する。ORFに相当する遺伝子の名称はその矢印の下に表示する。制限酵素は略号により示す(S=SacI;H=Hind III;E=EcoRI;B=BamHI)。
図1B:11pFSベクター中に存在する株 CNCM I−1590の染色体インサートの表示。
P1,P2およびP3はスクリーニング時に用いられるプローブの位置を指示する。
図1C:pJIM2279中にクローニングされるSacIからBamHI制限部位までの全epsオペロンからなるゲノムインサートpFS101の表示。
【図2】pFS101またはpJIM2279でトランスフォームしたLactococcus lactis株 MG1363によって産生された糖からなるゲルろ過クロマトグラフィーのフラクションの485nmにおける光学密度のグラフ。フラクション9:2×106 ダルトン(Da);フラクション11〜13:5×105 Da;フラクション14〜16:7.2×104 Da;フラクション17〜18:4×104 Da;フラクション19以上:<5×103 Da。
Claims (9)
- 乳酸菌により産生されるエキソポリサッカライドの生合成に関与する少なくとも1つの酵素をコードするDNA分子であって、前記エキソポリサッカライドが、以下:
- 請求項1に記載のDNA分子を含む組換えベクター。
- 乳酸菌により産生されるエキソポリサッカライドの生合成に関与するタンパク質であって、前記エキソポリサッカライドが、以下:
- 請求項2に記載のベクターによりトランスフォームされた乳酸菌。
- 乳酸菌により産生されるエキソポリサッカライドを製造する方法であって、前記エキソポリサッカライドが、リピート単位を形成する種々の異なる糖の組立てにより形成され、前記方法が、以下:
・請求項3に記載のエキソポリサッカライドの生合成に関与するタンパク質をコードするDNA分子をベクター中にクローニングする工程であって、前記ベクターが自動複製又は宿主細胞へのインテグレーションを可能にする配列をさらに含む、上記工程、
・宿主細胞を前記ベクターを通してトランスフォームする工程、及び
・次いで、前記トランスフォームされた宿主細胞を前記エキソポリサッカライドを産生するために都合の良い条件に培養する工程
からなる、上記方法。 - 前記ベクターが、前記宿主細胞において機能性のプロモーター配列及び翻訳アクティベーター配列をさらに含む、請求項5に記載の方法。
- 乳酸菌により産生されるエキソポリサッカライドを製造する方法であって、前記エキソポリサッカライドが、リピート単位を形成する種々の異なる糖の組立てにより形成され、前記方法が、以下:
・請求項3に記載のエキソポリサッカライドの生合成に関与するタンパク質の少なくとも1つをコードするDNA分子をベクター中にクローニングする工程、
・別のエキソポリサッカライドを産生する乳酸菌を前記ベクターを通してトランスフォームする工程、及び
・次いで、前記トランスフォームされた乳酸菌を新たなエキソポリサッカライドを産生するために都合の良い条件に培養する工程
からなる、上記方法。 - 請求項1に記載のDNA分子をベクター中にクローニングする、請求項6又は7に記載の方法。
- 配列番号:1の配列若しくはその相補鎖の配列の少なくとも15bpからなり、エキソポリサッカライドの生合成に関与する乳酸菌由来の遺伝子をインビトロで検出するためのPCRプライマー又はプローブ。
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