JP2004364413A - 渦電流式減速装置用ロータ及びそのロータを備えた渦電流式減速装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い制動トルクや、長時間の連続運転を可能とする。
【解決手段】ドラム2aの外周部に冷却フィン2bを形成し、アーム2cを介して回転軸1に取り付ける、ロータ2に作用する磁束密度が対向するロータ表面の領域内でほぼ均一となる部分を有する永久磁石4を備えた渦電流式減速装置用ロータ2である。ドラム2aの厚みta1,ta2を回転軸1方向に異ならせるべく、ドラム2aの外周面2aaにテーパをつける。必要に応じて冷却フィン2bの高さh1 ,h2 を、回転軸1の軸方向に異ならせるべく、冷却フィン2bの高さ方向先端面2baにテーパをつける。
【効果】制動ON時、ドラムの回転軸方向の熱膨張量を異ならせて、永久磁石とドラムとの間隔を大きくし、ドラムの温度上昇を抑制して長時間の連続使用を可能となす。また、永久磁石とドラムとの間隔を小さいまま保持し、ドラムが高温になった時の制動力の低下を抑制して高い制動トルクを維持する。
【選択図】 図1
【解決手段】ドラム2aの外周部に冷却フィン2bを形成し、アーム2cを介して回転軸1に取り付ける、ロータ2に作用する磁束密度が対向するロータ表面の領域内でほぼ均一となる部分を有する永久磁石4を備えた渦電流式減速装置用ロータ2である。ドラム2aの厚みta1,ta2を回転軸1方向に異ならせるべく、ドラム2aの外周面2aaにテーパをつける。必要に応じて冷却フィン2bの高さh1 ,h2 を、回転軸1の軸方向に異ならせるべく、冷却フィン2bの高さ方向先端面2baにテーパをつける。
【効果】制動ON時、ドラムの回転軸方向の熱膨張量を異ならせて、永久磁石とドラムとの間隔を大きくし、ドラムの温度上昇を抑制して長時間の連続使用を可能となす。また、永久磁石とドラムとの間隔を小さいまま保持し、ドラムが高温になった時の制動力の低下を抑制して高い制動トルクを維持する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、制動補助装置としてバスやトラック等の大型自動車に取付けられる渦電流式減速装置用ロータ及びそのロータを備えた渦電流式減速装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、長い降坂時等において、安定した減速を行い、フットブレーキの使用回数を減少させて、ライニングの異常摩耗やフェード現象を防止するのと共に、制動停止距離を短縮することを目的として、バスやトラック等の大型自動車に、主ブレーキであるフットブレーキや補助ブレーキである排気ブレーキに加えて取付けられるようになってきた渦電流式減速装置は、最近では、制動時に通電を必要としない永久磁石を使用するものが多くなってきている。
【0003】
この永久磁石を使用した渦電流式減速装置として、例えば図7に示すように、回転軸1に一体的に取り付けられた導電性材料で形成されたロータ2と、このロータ2に対向して支持され、ロータ2の周方向に沿って磁極の向きを互いに逆向きとなるよう、強磁性体の支持リング3に一定の間隔を存して配置された永久磁石4群と、この永久磁石4群と前記ロータ2との間に、前記永久磁石4群の各永久磁石4と同じ間隔を存して介設された強磁性体のポールピース5群と、このポールピース5群の各ポールピース5の間に介設された非磁性体の支持体6部分を備え、複数のシリンダー7のロッド7aの出退動作によって支持リング3を介して永久磁石4がロータ2と磁気的に全面対向する制動ON(図7の上半分参照)となしたり、また、ロータ2に磁束が入って行かない磁気回路的に離脱した制動OFF(図7の下半分参照)となしたりする形式のものがある(例えば特許文献1〜3参照。)。なお、図7中の2aはロータ2を構成する円筒状のドラム、2bはこのドラム2aの外周に形成された冷却フィン、2cは前記ドラム2aを回転軸1に一体的に取り付けるためのアーム、8は永久磁石4群を配置した支持リング3の前記移動を案内するガイドロッドを示す。
【0004】
【特許文献1】
実開平3−45083号公報(第1頁、第1図)
【特許文献2】
実開平4−28783号公報(第1頁、第1図)
【特許文献3】
特開平4−359665号公報(第2頁、図1)
【0005】
ところで、上記構成の渦電流式減速装置では、ポールピース5と永久磁石4が磁気的に全面対向する、いわゆる制動ONの状態になると、回転するドラム2aが永久磁石4からの磁界を横切る時にドラム2aに生じる渦電流が熱エネルギーに変わってドラム2aを加熱することになる。すなわち車両の運動エネルギー(回転エネルギー)が熱エネルギーに変換されることで、車両に対して制動力が発生することになる。
【0006】
このような渦電流式減速装置では、車両の運動エネルギーをドラム2aを介して熱エネルギーに変換し、制動力を発揮しているため、使用頻度の増加に伴ってドラム2aの温度が上昇して制動効率が低下したり、損傷が発生し易くなったりする。従って、ドラム2aの外周面に、一定の角度を存して円周方向に等間隔に多数の冷却フィン2bを設けてドラム2aの放熱性能を高め、ドラム2aの温度上昇を抑制するようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
近年、渦電流式減速装置を搭載する車種が増加し、高い制動トルクを維持することができる渦電流式減速装置や長時間の連続運転が可能な渦電流式減速装置等、搭載車種に応じた多様な渦電流式減速装置が望まれている。しかしながら、従来のロータにおいては回転軸の軸方向(以下、単に「回転軸方向」 という。)におけるドラムの厚みや、冷却フィンの高さや厚み等を一定にしていたため、回転軸方向におけるドラムの熱膨張量を制御することが難しく、高い制動トルクを維持することができる渦電流式減速装置や、長時間の連続運転が可能な渦電流式減速装置を得ることが困難であった。
【0008】
本発明は、上記した問題点に鑑みてなされたものであり、高い制動トルクを維持することができる渦電流式減速装置や、長時間の連続運転が可能な渦電流式減速装置を得ることができるロータ及びそのロータを備えた渦電流式減速装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明に係るロータに作用する磁束密度が、それに対向するロータ表面の領域内でほぼ均一となる部分を有するような磁力源(例えば永久磁石等)を備えた渦電流式減速装置に用いるロータは、ドラムの厚みを回転軸方向に異ならせるべく、ドラム外周面にテーパをつけている。そして、このようにすることで、制動ON時、熱膨張によって磁力源とドラムの内周面との間隔を大きくしたり、小さいまま保持したりできるようになる。
【0010】
ここで、「ロータに作用する磁束密度が対向するロータ表面の領域内でほぼ均一となる部分を有するような磁力源」とは、磁力源のロータに投影された部分のうち、磁力源の磁束密度にばらつきの無い部分を有するような磁力の大きさが均一に分布している部分を備える磁力源を指す。例えば、磁力源としては、磁極面(主に磁束が垂直に出ている面)に対して反対側の磁極面との距離、すなわち「厚み」が均一となっている部分を有する永久磁石であったり、少なくともコア(磁心)部分を有する電磁石などがそれに相当する。つまり磁束密度が均一とみなせる面的な広がりをもった磁力源であればよい。なお、「ほぼ均一」とは、技術的に見て合理的に均一とみなせる範囲をいい、誤差的な変動が含まれても良いような状況を指す。
【0011】
上記の本発明に係るロータを備えた本発明に係る渦電流式減速装置にあっては、高い制動トルクを維持することができるようになったり、また、長時間の連続運転が可能になる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る渦電流式減速装置用ロータを、例示図面を参照しつつ説明し、このロータを備えた本発明に係る渦電流式減速装置の説明に及ぶ。
本発明に係る渦電流式減速装置用ロータ2は、例えば図1〜図3に例示するように、磁力源として、対向する磁極面が平行で、磁極面からほぼ均一な密度で磁束が出る永久磁石を備えた渦電流式減速装置に用いるロータであって、支持部材例えばアーム2cを介して回転軸1に取り付けられる当該渦電流式減速装置におけるロータ2に、ドラム2aの外周部に冷却フィン2bを形成し、前記ドラム2aの厚みを回転軸方向に異ならせるべく、ドラム2aの外周面2aaにテーパをつけたものである。
【0013】
すなわち、本発明に係る渦電流式減速装置のロータ2は、従来の考え方とは全く異なり、磁力源からの磁束密度はほぼ均一にした状態で、ドラム2aの厚みを前記回転軸方向に異ならせるべく、ドラム2aの外周面2aaにテーパをつけ、前記ドラム2aと前記アーム(支持部材)2cとの接続方向を選ぶことにより、ドラム2aの回転軸方向における熱膨張量を異ならせ、永久磁石4とドラム2aの内周面2abの間隔dを初期設定状態から大きく変化させたり、初期設定状態を可及的に維持させたりする。
【0014】
例えば、図1(b)、図2(c)(d)に例示するように、ドラム2aの前部の厚みta1を後部の厚みta2よりも薄肉となし、厚肉の後部にアーム2cを接続した場合には、厚みの薄いドラム2aの前部の熱膨張が大きくなる結果、永久磁石4とドラム2aの内周面2abの間隔dが大きくなって、制動トルクが低下する。その結果、ドラム2aの温度上昇が抑制され、耐熱温度に達するまでの時間が長くなって、長時間の連続使用が可能になる。なお、制動ON直後のドラム2aが変形していない状態での制動トルクは、初期設定時の制動トルクを確保できるため、最高制動トルクは低下しない。
【0015】
なお、本発明において、「ドラム2aの前部」とは、ドラム2aの開口部側、通常は、搭載される車両の進行方向前寄りを、また、「ドラム2aの後部」とは、ドラム2aの支持部材(アーム2c)側、通常は、搭載される車両の進行方向後寄りを言う。
【0016】
反対に、図1(a)、図2(a)(b)に例示するように、ドラム2aの後部の厚みta2を前部の厚みta1よりも薄肉となし、この薄肉の後部にアーム2cを接続した場合には、前述の場合に比べてドラム2aの前部における熱膨張(熱膨張量の平均値)が小さくなる結果、永久磁石4とドラム2aの内周面2abとの間隔dを、可及的に初期設定状態を維持することができて、ロータ2が高温になったときの制動トルクの低下が小さくなるので、高い制動トルクを時間的により長く維持できる装置を得ることができる。なお、支持部材として、図ではアームを例示しているが、円板形状等の板状の支持部材(側板)を用いてもよく、更にアームや側板に強度を保持しながら軽量化の為の孔を開けたり、強度向上の為にプレス等の加工を施し、凹凸をつけるようにしても良い。
【0017】
ところで、上記の本発明に係る渦電流式減速装置のロータ2において、ドラム2aの外周面2aaに形成された冷却フィン2bの高さは、図1に例示したように、回転軸方向に同一(h1 =h2 )のものには限らない。例えば、回転軸方向に高さを異ならせるべく、例えば図2に例示したように、冷却フィン2bの高さ方向先端面2baにテーパをつけた場合には、回転軸方向の冷却能が変化するので、回転軸方向におけるドラム2aの熱膨張量の変化をより細かく制御することができる。
【0018】
この場合、図2(b)(c)に例示したように、ドラム2aの前部側の冷却フィン2bの高さh1 よりも後部の高さh2 を低くしたり、図2(a)(d)に例示したように、反対に後部の高さh2 よりも前部の高さh1 を低くしたり、また、その際、図3に例示したように、ドラム2aの厚みと冷却フィン2bの高さの合計が一定(ta1+h1 =ta2+h2 )になるようにする等しても良い。なお、冷却フィン2bの「高さ」とは、ドラム2aの外周面2aaを基準として、回転軸1から放射状に径方向に広がる方向へのフィンの長さを言う。
【0019】
また、冷却フィン2bの高さ方向先端面2baにテーパをつけることに加えて、冷却フィン2bの厚みtb1,tb2を、図4に例示したように、前記回転軸方向に,すなわち、ドラム2aの前部と後部とで異ならせるべく、冷却フィン2bの両側面2bbにテーパをつけたり(この場合、勿論、片方の側面2bbにのみ勾配をつけることでも良い。)、また、冷却フィン2bの高さ方向の先端側の厚みが、付け根部の厚みよりも薄くなるようにすれば、冷却能のより細かな制御が可能になる。なお、冷却フィン2bの「厚み」とは、冷却フィン2bの長手方向と直交するドラム2aの側面方向から見た場合の、冷却フィン2bの高さ方向と直交する方向の両側面2bb間の長さを言う。
【0020】
上記の本発明に係る渦電流式減速装置のロータにあっては、ドラム2aの外周面2aaにテーパをつけたり、冷却フィン2bの高さや厚みを前部と後部で異ならせたりすることで、鋳造によって製作する際に、従来のような分割した中子を使用せずに、一体の中子で前記ドラムと前記支持部材とを鋳造することができるようになり、鋳造効率が大幅に向上する。この鋳造に際しては、冷却フィン2bの高さ方向の先端部は、図4に示すように凸湾曲状に、また、付け根部は凹湾曲状に形成することが望ましい。そして、その際、鋳鋼材によって製造した場合には、強度的にもより優れたロータを得ることができる。
【0021】
上記の本発明に係るロータを備えた本発明に係る渦電流式減速装置にあっては、永久磁石4などの大きさを大きくすることなく、高い制動トルクを維持することができるようになったり、また、長時間の連続運転が可能になる。
【0022】
【実施例】
以下、本発明に係る渦電流式減速装置のロータの効果を確認するために行った実験結果について説明する。
実験は、有限要素法解析で評価した以下の寸法等のロータ(図5(a)(b)参照)を用い、以下の評価条件にて行った。
【0023】
〔ロータの寸法等〕
ドラムの内周面径(直径):400mm
ロータ外径(直径):450mm
ロータの回転軸方向長さ:80mm
ドラムの厚さ:薄肉側10mm、厚肉側12mm
冷却フィンの高さ:ドラムの薄肉側15mm、ドラムの厚肉側13mm
冷却フィンの枚数:60枚
冷却フィンの断面形状:厚み5mmの長方形状
ロータの回転方向に対する冷却フィンの傾斜角:45°
支持部材数:アーム10本
材質:JIS SCM415(クロム−モリブデン鋼)
【0024】
〔評価条件〕
ロータが室温(30℃)である時を初期状態とし、ロータの回転軸方向中央部の内表面温度(ドラムの内周面の温度)が650℃になるまで、回転数2000rpm(制動トルク:500N・m)で使用した時点での内表面の半径方向変形量を評価した。
【0025】
評価結果を図6に示す。図6において縦軸はドラムの変形量(半径拡大量)、横軸はアームからの距離をロータの回転軸方向長さで規格化した値であり、横軸の0はアームを取り付ける側面、1はアームと反対側の側面に相当する。
【0026】
本発明の実施例のうち、ドラムの厚肉側をアームで支持した場合は、熱容量が小さく、剛性の低いドラムの薄肉側の変形が大きくなる(図6の○印参照)。その結果、永久磁石とドラムの内周面との間隔が大きくなって制動トルクが低下し、ドラムの温度上昇が抑制され、耐熱温度に達するまでの時間が長くなって、長時間の連続使用が可能になる。
【0027】
一方、ドラムの薄肉側をアームで支持した場合は、ドラムの厚肉側を支持する場合に比べて変形が小さくなる(図6の●印参照)。その結果、永久磁石とドラムの内周面との間隔を可及的に初期設定状態のまま維持でき、ドラムが高温になった時の制動力の低下が小さくなって、高い制動トルクが得られるようになる。
【0028】
比較として、ドラムを図5(c)に示すように逆V字型に形成した場合は、上記の本発明の実施例と同じ寸法等のロータを使用して同様の実験を行ったところ、図6の×印で示したような結果が得られた。すなわち、この比較例のロータでは、ドラム内表面の半径方向の変位量は、ちょうど前述の本発明の実施例の間であり、本発明のドラムの薄肉側をアームで支持した場合のように、高い制動トルクを得ることもできず、また、本発明のドラムの厚肉側をアームで支持した場合のように、長時間、連続使用することもできない。
【0029】
本発明は、上記の実施例に限るものではなく、冷却フィン2bの高さや厚みにテーパを付けた場合には、更に細かな制御が可能になるなど、各請求項に記載の技術的範囲に属する例では、その請求項が備えた作用効果を奏するようになることは言うまでもない。
【0030】
また、以上の本発明は、図7で説明した軸方向移動式の渦電流式減速装置に限るものではなく、円筒状のロータを適用するものであれば、単列旋回式や複列旋回式の渦電流式減速装置、或いは、電磁石を使用したものにも適用可能であり、これら磁力源がロータの内周面に対して対向するように配置され、これら磁力源から当該ロータの内周長面に作用する磁束密度または磁界の強さがほぼ均一な部分、または、領域を有するものである限り適用可能である。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るロータに作用する磁束密度又は磁界の強さが、対向するロータ表面の領域内でほぼ均一となる部分を有する磁力源を備えた渦電流式減速装置のロータでは、ドラムの厚みを回転軸方向に異ならせるべく、ドラムの外周面にテーパをつけているので、制動ON時、ドラムの回転軸方向の熱膨張量が異なり、永久磁石とドラムとの間隔が大きくなったり、小さいまま保持できるようになったりする。
【0032】
そして、本発明に係る上記ロータでは、鋳造によって製作する際に、一体の中子で鋳造できるようになるので、ドラムと支持部材とを鋳造により一体に形成することが可能になって、鋳造効率が大幅に向上する。
【0033】
また、本発明に係る上記ロータにおいて、さらに冷却フィンの高さや厚みを異ならせれば、冷却フィンの回転軸方向で冷却能が変化するので、前記ドラムの熱膨張量の変化をより細かく制御できるようになる。
【0034】
従って、本発明に係る上記渦電流式減速装置にあっては、ドラムと永久磁石との間隔を広げることなく、ドラムの温度上昇を抑制することができるので、耐熱温度に達するまでの時間が長くなって、長時間の連続使用を可能となすことができる。また、永久磁石とドラムとの間隔が初期設定状態を維持するようにできるので、永久磁石とドラムとの間隔を小さく保持でき、ドラムが高温になった時の制動力の低下が小さくなって、高い制動トルクを維持できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】冷却フィンの高さが回転軸方向に一定の場合の本発明に係るロータの一例を示す要部説明図であり、(a)はドラム前部が厚肉で、薄肉側に支持部材としてのアームが接続されている例、(b)はドラム前部が薄肉で、厚肉側に支持部材としてのアームが接続されている例である。
【図2】本発明に係るロータの一例を示す要部説明図であり、(a)はドラム前部が厚肉で、薄肉側に支持部材としてのアームが接続されており、冷却フィンの高さは、ドラム前部が低く、後部が高い場合の例、(b)はドラム前部が厚肉で、薄肉側に支持部材としてのアームが接続されており、冷却フィンの高さは、ドラム前部が高く、後部が低い場合の例、(c)はドラム前部が薄肉で、厚肉側に支持部材としてのアームが接続されており、冷却フィンの高さは、ドラム前部が高く、後部が低い場合の例、(d)はドラム前部が薄肉で、厚肉側に支持部材としてのアームが接続されており、冷却フィンの高さは、ドラム前部が低く、後部が高い場合の例である。
【図3】図2において、ドラムの肉厚と冷却フィンの高さの合計が一定の場合の一例を示した図である。
【図4】本発明に係るロータの一例を示す要部説明図であり、(a)は冷却フィンの上方から見た図、(b)は(a)の矢視B図、(c)は(a)の矢視C図である。
【図5】実験に使用したロータの有限要素法解析で評価した形状の説明図で、(a)(b)は本発明例、(c)は比較例を示した図である。
【図6】本発明に係るロータの効果を説明する図で、回転軸方向のドラムの半径方向変位量の一例を示した図である。
【図7】従来の渦電流式減速装置の一例を示した図である。
【符号の説明】
1 回転軸
2 ロータ
2a ドラム
2aa 外周面
2ab 内周面
2b 冷却フィン
2ba 先端面
2bb 側面
2c 支持部材(アーム)
【発明の属する技術分野】
本発明は、制動補助装置としてバスやトラック等の大型自動車に取付けられる渦電流式減速装置用ロータ及びそのロータを備えた渦電流式減速装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、長い降坂時等において、安定した減速を行い、フットブレーキの使用回数を減少させて、ライニングの異常摩耗やフェード現象を防止するのと共に、制動停止距離を短縮することを目的として、バスやトラック等の大型自動車に、主ブレーキであるフットブレーキや補助ブレーキである排気ブレーキに加えて取付けられるようになってきた渦電流式減速装置は、最近では、制動時に通電を必要としない永久磁石を使用するものが多くなってきている。
【0003】
この永久磁石を使用した渦電流式減速装置として、例えば図7に示すように、回転軸1に一体的に取り付けられた導電性材料で形成されたロータ2と、このロータ2に対向して支持され、ロータ2の周方向に沿って磁極の向きを互いに逆向きとなるよう、強磁性体の支持リング3に一定の間隔を存して配置された永久磁石4群と、この永久磁石4群と前記ロータ2との間に、前記永久磁石4群の各永久磁石4と同じ間隔を存して介設された強磁性体のポールピース5群と、このポールピース5群の各ポールピース5の間に介設された非磁性体の支持体6部分を備え、複数のシリンダー7のロッド7aの出退動作によって支持リング3を介して永久磁石4がロータ2と磁気的に全面対向する制動ON(図7の上半分参照)となしたり、また、ロータ2に磁束が入って行かない磁気回路的に離脱した制動OFF(図7の下半分参照)となしたりする形式のものがある(例えば特許文献1〜3参照。)。なお、図7中の2aはロータ2を構成する円筒状のドラム、2bはこのドラム2aの外周に形成された冷却フィン、2cは前記ドラム2aを回転軸1に一体的に取り付けるためのアーム、8は永久磁石4群を配置した支持リング3の前記移動を案内するガイドロッドを示す。
【0004】
【特許文献1】
実開平3−45083号公報(第1頁、第1図)
【特許文献2】
実開平4−28783号公報(第1頁、第1図)
【特許文献3】
特開平4−359665号公報(第2頁、図1)
【0005】
ところで、上記構成の渦電流式減速装置では、ポールピース5と永久磁石4が磁気的に全面対向する、いわゆる制動ONの状態になると、回転するドラム2aが永久磁石4からの磁界を横切る時にドラム2aに生じる渦電流が熱エネルギーに変わってドラム2aを加熱することになる。すなわち車両の運動エネルギー(回転エネルギー)が熱エネルギーに変換されることで、車両に対して制動力が発生することになる。
【0006】
このような渦電流式減速装置では、車両の運動エネルギーをドラム2aを介して熱エネルギーに変換し、制動力を発揮しているため、使用頻度の増加に伴ってドラム2aの温度が上昇して制動効率が低下したり、損傷が発生し易くなったりする。従って、ドラム2aの外周面に、一定の角度を存して円周方向に等間隔に多数の冷却フィン2bを設けてドラム2aの放熱性能を高め、ドラム2aの温度上昇を抑制するようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
近年、渦電流式減速装置を搭載する車種が増加し、高い制動トルクを維持することができる渦電流式減速装置や長時間の連続運転が可能な渦電流式減速装置等、搭載車種に応じた多様な渦電流式減速装置が望まれている。しかしながら、従来のロータにおいては回転軸の軸方向(以下、単に「回転軸方向」 という。)におけるドラムの厚みや、冷却フィンの高さや厚み等を一定にしていたため、回転軸方向におけるドラムの熱膨張量を制御することが難しく、高い制動トルクを維持することができる渦電流式減速装置や、長時間の連続運転が可能な渦電流式減速装置を得ることが困難であった。
【0008】
本発明は、上記した問題点に鑑みてなされたものであり、高い制動トルクを維持することができる渦電流式減速装置や、長時間の連続運転が可能な渦電流式減速装置を得ることができるロータ及びそのロータを備えた渦電流式減速装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明に係るロータに作用する磁束密度が、それに対向するロータ表面の領域内でほぼ均一となる部分を有するような磁力源(例えば永久磁石等)を備えた渦電流式減速装置に用いるロータは、ドラムの厚みを回転軸方向に異ならせるべく、ドラム外周面にテーパをつけている。そして、このようにすることで、制動ON時、熱膨張によって磁力源とドラムの内周面との間隔を大きくしたり、小さいまま保持したりできるようになる。
【0010】
ここで、「ロータに作用する磁束密度が対向するロータ表面の領域内でほぼ均一となる部分を有するような磁力源」とは、磁力源のロータに投影された部分のうち、磁力源の磁束密度にばらつきの無い部分を有するような磁力の大きさが均一に分布している部分を備える磁力源を指す。例えば、磁力源としては、磁極面(主に磁束が垂直に出ている面)に対して反対側の磁極面との距離、すなわち「厚み」が均一となっている部分を有する永久磁石であったり、少なくともコア(磁心)部分を有する電磁石などがそれに相当する。つまり磁束密度が均一とみなせる面的な広がりをもった磁力源であればよい。なお、「ほぼ均一」とは、技術的に見て合理的に均一とみなせる範囲をいい、誤差的な変動が含まれても良いような状況を指す。
【0011】
上記の本発明に係るロータを備えた本発明に係る渦電流式減速装置にあっては、高い制動トルクを維持することができるようになったり、また、長時間の連続運転が可能になる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る渦電流式減速装置用ロータを、例示図面を参照しつつ説明し、このロータを備えた本発明に係る渦電流式減速装置の説明に及ぶ。
本発明に係る渦電流式減速装置用ロータ2は、例えば図1〜図3に例示するように、磁力源として、対向する磁極面が平行で、磁極面からほぼ均一な密度で磁束が出る永久磁石を備えた渦電流式減速装置に用いるロータであって、支持部材例えばアーム2cを介して回転軸1に取り付けられる当該渦電流式減速装置におけるロータ2に、ドラム2aの外周部に冷却フィン2bを形成し、前記ドラム2aの厚みを回転軸方向に異ならせるべく、ドラム2aの外周面2aaにテーパをつけたものである。
【0013】
すなわち、本発明に係る渦電流式減速装置のロータ2は、従来の考え方とは全く異なり、磁力源からの磁束密度はほぼ均一にした状態で、ドラム2aの厚みを前記回転軸方向に異ならせるべく、ドラム2aの外周面2aaにテーパをつけ、前記ドラム2aと前記アーム(支持部材)2cとの接続方向を選ぶことにより、ドラム2aの回転軸方向における熱膨張量を異ならせ、永久磁石4とドラム2aの内周面2abの間隔dを初期設定状態から大きく変化させたり、初期設定状態を可及的に維持させたりする。
【0014】
例えば、図1(b)、図2(c)(d)に例示するように、ドラム2aの前部の厚みta1を後部の厚みta2よりも薄肉となし、厚肉の後部にアーム2cを接続した場合には、厚みの薄いドラム2aの前部の熱膨張が大きくなる結果、永久磁石4とドラム2aの内周面2abの間隔dが大きくなって、制動トルクが低下する。その結果、ドラム2aの温度上昇が抑制され、耐熱温度に達するまでの時間が長くなって、長時間の連続使用が可能になる。なお、制動ON直後のドラム2aが変形していない状態での制動トルクは、初期設定時の制動トルクを確保できるため、最高制動トルクは低下しない。
【0015】
なお、本発明において、「ドラム2aの前部」とは、ドラム2aの開口部側、通常は、搭載される車両の進行方向前寄りを、また、「ドラム2aの後部」とは、ドラム2aの支持部材(アーム2c)側、通常は、搭載される車両の進行方向後寄りを言う。
【0016】
反対に、図1(a)、図2(a)(b)に例示するように、ドラム2aの後部の厚みta2を前部の厚みta1よりも薄肉となし、この薄肉の後部にアーム2cを接続した場合には、前述の場合に比べてドラム2aの前部における熱膨張(熱膨張量の平均値)が小さくなる結果、永久磁石4とドラム2aの内周面2abとの間隔dを、可及的に初期設定状態を維持することができて、ロータ2が高温になったときの制動トルクの低下が小さくなるので、高い制動トルクを時間的により長く維持できる装置を得ることができる。なお、支持部材として、図ではアームを例示しているが、円板形状等の板状の支持部材(側板)を用いてもよく、更にアームや側板に強度を保持しながら軽量化の為の孔を開けたり、強度向上の為にプレス等の加工を施し、凹凸をつけるようにしても良い。
【0017】
ところで、上記の本発明に係る渦電流式減速装置のロータ2において、ドラム2aの外周面2aaに形成された冷却フィン2bの高さは、図1に例示したように、回転軸方向に同一(h1 =h2 )のものには限らない。例えば、回転軸方向に高さを異ならせるべく、例えば図2に例示したように、冷却フィン2bの高さ方向先端面2baにテーパをつけた場合には、回転軸方向の冷却能が変化するので、回転軸方向におけるドラム2aの熱膨張量の変化をより細かく制御することができる。
【0018】
この場合、図2(b)(c)に例示したように、ドラム2aの前部側の冷却フィン2bの高さh1 よりも後部の高さh2 を低くしたり、図2(a)(d)に例示したように、反対に後部の高さh2 よりも前部の高さh1 を低くしたり、また、その際、図3に例示したように、ドラム2aの厚みと冷却フィン2bの高さの合計が一定(ta1+h1 =ta2+h2 )になるようにする等しても良い。なお、冷却フィン2bの「高さ」とは、ドラム2aの外周面2aaを基準として、回転軸1から放射状に径方向に広がる方向へのフィンの長さを言う。
【0019】
また、冷却フィン2bの高さ方向先端面2baにテーパをつけることに加えて、冷却フィン2bの厚みtb1,tb2を、図4に例示したように、前記回転軸方向に,すなわち、ドラム2aの前部と後部とで異ならせるべく、冷却フィン2bの両側面2bbにテーパをつけたり(この場合、勿論、片方の側面2bbにのみ勾配をつけることでも良い。)、また、冷却フィン2bの高さ方向の先端側の厚みが、付け根部の厚みよりも薄くなるようにすれば、冷却能のより細かな制御が可能になる。なお、冷却フィン2bの「厚み」とは、冷却フィン2bの長手方向と直交するドラム2aの側面方向から見た場合の、冷却フィン2bの高さ方向と直交する方向の両側面2bb間の長さを言う。
【0020】
上記の本発明に係る渦電流式減速装置のロータにあっては、ドラム2aの外周面2aaにテーパをつけたり、冷却フィン2bの高さや厚みを前部と後部で異ならせたりすることで、鋳造によって製作する際に、従来のような分割した中子を使用せずに、一体の中子で前記ドラムと前記支持部材とを鋳造することができるようになり、鋳造効率が大幅に向上する。この鋳造に際しては、冷却フィン2bの高さ方向の先端部は、図4に示すように凸湾曲状に、また、付け根部は凹湾曲状に形成することが望ましい。そして、その際、鋳鋼材によって製造した場合には、強度的にもより優れたロータを得ることができる。
【0021】
上記の本発明に係るロータを備えた本発明に係る渦電流式減速装置にあっては、永久磁石4などの大きさを大きくすることなく、高い制動トルクを維持することができるようになったり、また、長時間の連続運転が可能になる。
【0022】
【実施例】
以下、本発明に係る渦電流式減速装置のロータの効果を確認するために行った実験結果について説明する。
実験は、有限要素法解析で評価した以下の寸法等のロータ(図5(a)(b)参照)を用い、以下の評価条件にて行った。
【0023】
〔ロータの寸法等〕
ドラムの内周面径(直径):400mm
ロータ外径(直径):450mm
ロータの回転軸方向長さ:80mm
ドラムの厚さ:薄肉側10mm、厚肉側12mm
冷却フィンの高さ:ドラムの薄肉側15mm、ドラムの厚肉側13mm
冷却フィンの枚数:60枚
冷却フィンの断面形状:厚み5mmの長方形状
ロータの回転方向に対する冷却フィンの傾斜角:45°
支持部材数:アーム10本
材質:JIS SCM415(クロム−モリブデン鋼)
【0024】
〔評価条件〕
ロータが室温(30℃)である時を初期状態とし、ロータの回転軸方向中央部の内表面温度(ドラムの内周面の温度)が650℃になるまで、回転数2000rpm(制動トルク:500N・m)で使用した時点での内表面の半径方向変形量を評価した。
【0025】
評価結果を図6に示す。図6において縦軸はドラムの変形量(半径拡大量)、横軸はアームからの距離をロータの回転軸方向長さで規格化した値であり、横軸の0はアームを取り付ける側面、1はアームと反対側の側面に相当する。
【0026】
本発明の実施例のうち、ドラムの厚肉側をアームで支持した場合は、熱容量が小さく、剛性の低いドラムの薄肉側の変形が大きくなる(図6の○印参照)。その結果、永久磁石とドラムの内周面との間隔が大きくなって制動トルクが低下し、ドラムの温度上昇が抑制され、耐熱温度に達するまでの時間が長くなって、長時間の連続使用が可能になる。
【0027】
一方、ドラムの薄肉側をアームで支持した場合は、ドラムの厚肉側を支持する場合に比べて変形が小さくなる(図6の●印参照)。その結果、永久磁石とドラムの内周面との間隔を可及的に初期設定状態のまま維持でき、ドラムが高温になった時の制動力の低下が小さくなって、高い制動トルクが得られるようになる。
【0028】
比較として、ドラムを図5(c)に示すように逆V字型に形成した場合は、上記の本発明の実施例と同じ寸法等のロータを使用して同様の実験を行ったところ、図6の×印で示したような結果が得られた。すなわち、この比較例のロータでは、ドラム内表面の半径方向の変位量は、ちょうど前述の本発明の実施例の間であり、本発明のドラムの薄肉側をアームで支持した場合のように、高い制動トルクを得ることもできず、また、本発明のドラムの厚肉側をアームで支持した場合のように、長時間、連続使用することもできない。
【0029】
本発明は、上記の実施例に限るものではなく、冷却フィン2bの高さや厚みにテーパを付けた場合には、更に細かな制御が可能になるなど、各請求項に記載の技術的範囲に属する例では、その請求項が備えた作用効果を奏するようになることは言うまでもない。
【0030】
また、以上の本発明は、図7で説明した軸方向移動式の渦電流式減速装置に限るものではなく、円筒状のロータを適用するものであれば、単列旋回式や複列旋回式の渦電流式減速装置、或いは、電磁石を使用したものにも適用可能であり、これら磁力源がロータの内周面に対して対向するように配置され、これら磁力源から当該ロータの内周長面に作用する磁束密度または磁界の強さがほぼ均一な部分、または、領域を有するものである限り適用可能である。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るロータに作用する磁束密度又は磁界の強さが、対向するロータ表面の領域内でほぼ均一となる部分を有する磁力源を備えた渦電流式減速装置のロータでは、ドラムの厚みを回転軸方向に異ならせるべく、ドラムの外周面にテーパをつけているので、制動ON時、ドラムの回転軸方向の熱膨張量が異なり、永久磁石とドラムとの間隔が大きくなったり、小さいまま保持できるようになったりする。
【0032】
そして、本発明に係る上記ロータでは、鋳造によって製作する際に、一体の中子で鋳造できるようになるので、ドラムと支持部材とを鋳造により一体に形成することが可能になって、鋳造効率が大幅に向上する。
【0033】
また、本発明に係る上記ロータにおいて、さらに冷却フィンの高さや厚みを異ならせれば、冷却フィンの回転軸方向で冷却能が変化するので、前記ドラムの熱膨張量の変化をより細かく制御できるようになる。
【0034】
従って、本発明に係る上記渦電流式減速装置にあっては、ドラムと永久磁石との間隔を広げることなく、ドラムの温度上昇を抑制することができるので、耐熱温度に達するまでの時間が長くなって、長時間の連続使用を可能となすことができる。また、永久磁石とドラムとの間隔が初期設定状態を維持するようにできるので、永久磁石とドラムとの間隔を小さく保持でき、ドラムが高温になった時の制動力の低下が小さくなって、高い制動トルクを維持できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】冷却フィンの高さが回転軸方向に一定の場合の本発明に係るロータの一例を示す要部説明図であり、(a)はドラム前部が厚肉で、薄肉側に支持部材としてのアームが接続されている例、(b)はドラム前部が薄肉で、厚肉側に支持部材としてのアームが接続されている例である。
【図2】本発明に係るロータの一例を示す要部説明図であり、(a)はドラム前部が厚肉で、薄肉側に支持部材としてのアームが接続されており、冷却フィンの高さは、ドラム前部が低く、後部が高い場合の例、(b)はドラム前部が厚肉で、薄肉側に支持部材としてのアームが接続されており、冷却フィンの高さは、ドラム前部が高く、後部が低い場合の例、(c)はドラム前部が薄肉で、厚肉側に支持部材としてのアームが接続されており、冷却フィンの高さは、ドラム前部が高く、後部が低い場合の例、(d)はドラム前部が薄肉で、厚肉側に支持部材としてのアームが接続されており、冷却フィンの高さは、ドラム前部が低く、後部が高い場合の例である。
【図3】図2において、ドラムの肉厚と冷却フィンの高さの合計が一定の場合の一例を示した図である。
【図4】本発明に係るロータの一例を示す要部説明図であり、(a)は冷却フィンの上方から見た図、(b)は(a)の矢視B図、(c)は(a)の矢視C図である。
【図5】実験に使用したロータの有限要素法解析で評価した形状の説明図で、(a)(b)は本発明例、(c)は比較例を示した図である。
【図6】本発明に係るロータの効果を説明する図で、回転軸方向のドラムの半径方向変位量の一例を示した図である。
【図7】従来の渦電流式減速装置の一例を示した図である。
【符号の説明】
1 回転軸
2 ロータ
2a ドラム
2aa 外周面
2ab 内周面
2b 冷却フィン
2ba 先端面
2bb 側面
2c 支持部材(アーム)
Claims (18)
- ドラムの外周部に冷却フィンを形成し、支持部材を介して回転軸に取り付けられた渦電流式減速装置のロータであって、
前記ドラムの厚みを前記回転軸の軸方向に異ならせるべく、ドラム外周面にテーパをつけたことを特徴とする、ロータに作用する磁束密度が対向するロータ表面の領域内でほぼ均一となる部分を有する磁力源を備えた渦電流式減速装置用ロータ。 - 前記ドラムの前部が、後部よりも薄肉であることを特徴とする請求項1記載の渦電流式減速装置用ロータ。
- 前記ドラムの後部が、前部よりも薄肉であることを特徴とする請求項1記載の渦電流式減速装置用ロータ。
- 前記ドラムの外周面に設けられた冷却フィンの高さを、前記回転軸の軸方向に異ならせるべく、冷却フィンの高さ方向先端面にテーパをつけたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の渦電流式減速装置用ロータ。
- 前記冷却フィンの高さは、前部よりも後部が低いことを特徴とする請求項4記載の渦電流式減速装置用ロータ。
- 前記冷却フィンの高さは、後部よりも前部が低いことを特徴とする請求項4記載の渦電流式減速装置用ロータ。
- 前記ドラムの厚みと前記冷却フィンの高さの合計が、前記回転軸の軸方向に一定であることを特徴とする請求項4〜6の何れかに記載の渦電流式減速装置用ロータ。
- 前記冷却フィンの高さは、前記回転軸の軸方向に一定であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の渦電流式減速装置用ロータ。
- 前記冷却フィンの厚みを、前記回転軸の軸方向に異ならせるべく、冷却フィンの少なくとも1つの側面に勾配をつけたことを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の渦電流式減速装置用ロータ。
- 前記支持部材が、前記ドラムの厚肉側に接続されていることを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の渦電流式減速装置用ロータ。
- 前記支持部材が、前記ドラムの薄肉側に接続されていることを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の渦電流式減速装置用ロータ。
- 前記支持部材が、アーム又は側板であることをことを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載の渦電流式減速装置用ロータ。
- 前記冷却フィンは、高さ方向の先端側の厚みを付け根部よりも薄くしたことを特徴とする請求項1〜12の何れかに記載の渦電流式減速装置用ロータ。
- 前記冷却フィンは、高さ方向の先端部が凸湾曲状に形成されていることを特徴とする請求項1〜13の何れかに記載の渦電流式減速装置用ロータ。
- 渦電流式減速装置のロータにおいて、前記冷却フィンは、付け根部が凹湾曲状に形成されていることを特徴とする請求項1〜14の何れかに記載の渦電流式減速装置用ロータ。
- 少なくとも前記ドラムが鋳造によって形成されていることを特徴とする請求項1〜15の何れかに記載の渦電流式減速装置用ロータ。
- 前記ドラムと前記支持部材とが鋳造によって一体的に形成されていることを特徴とする請求項1〜15の何れかに記載の渦電流式減速装置用ロータ。
- 請求項1〜17の何れか記載の渦電流式減速装置用ロータを備えたことを特徴とする渦電流式減速装置。
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