JP2004363312A - 対基板作業ライン管理システム - Google Patents

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光昭 加藤
Mitsuru Mitsuharu
満 三治
Tomokatsu Kubota
知克 久保田
Takafumi Sasaki
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Abstract

【課題】複数の対基板差作業ラインを効率的に管理することを可能とするための管理システム得る。
【解決手段】ラインから生産に関する情報を入手し、生産管理情報を作成する機能を有する生産管理装置と、その生産管理情報に基づいて、ラインごとの進捗状況を示す画面を表示する表示装置とを備えた管理システムとする。具体的には、対象とされるラインに対して、遅延への対応処置の必要性の高さに応じた順位付けをして表示する。また、画面のリンクを利用して、1つの特定ラインの進捗状況についての詳細情報を示す画面130を表示させるようにする。進捗状況のグラフ化134により、現在の遅れ、あるいは将来の遅れを容易に把握できるようにするとともに、ラインに含まれる各作業機のタクト140を表示して、どの作業機が不調であるかを追求するための指針とする。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品実装ライン等の回路基板に対しての作業を行う生産ラインである対基板作業ラインを管理するためのシステムに関し、詳しくは、複数のラインの生産状況を管理するためのシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子部品実装ライン等の対基板作業ラインは、回路基板にクリームはんだを印刷するはんだ印刷機,回路基板に回路部品を実装する回路部品実装機,はんだ付けを行うリフロー炉等の各種対基板作業機を含んで構成されている。多種多様の電子回路が数多く生産される今日においては、対基板作業を実施する工場,事業所には、数多くの対基板作業ラインを配置されることが一般的である。これまでに、対基板作業ラインを管理するシステム、詳しくは、ラインの生産状況,ラインを構成する対基板作業機の稼動状況等を管理するためのシステムに関する技術として、例えば、下記特許文献に記載の技術等が存在する。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−138468号公報
【特許文献2】
特開平9−29588号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効果】
ところが、上記特許文献に記載の技術は、1つの対基板作業ラインを管理の対象とするものであり、複数のラインを対象とする場合に、必ずしも有効な技術であるとは限らない。そこで、本発明は、複数の対基板差作業ラインを効率的に管理することを可能とするためのシステム得ることを課題としてなされたものであり、本発明によって、下記各態様の対基板作業ライン管理システムが得られる。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも本発明の理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術的特徴およびそれらの組合わせが以下の各項に記載のものに限定されると解釈されるべきではない。また、一つの項に複数の事項が記載されている場合、それら複数の事項を常に一緒に採用しなければならないわけではない。一部の事項のみを選択して採用することも可能である。
【0005】
なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当し、(3)項が請求項2に、(4)項が請求項3に、(5)項が請求項4に、(7)項が請求項5に、(10)項が請求項6に、(13)項が請求項7に、(16)項が請求項8に、それぞれ相当する。
【0006】
(1)回路基板に対して各種の作業を行う1以上の対基板作業機がそれぞれに配置されて構成された複数の対基板作業ラインを管理するためのシステムであって、
(a)前記複数の対基板作業ラインの生産に関する情報を入手し、その入手した情報を処理して生産管理に利用可能な情報である生産管理情報を作成する生産管理装置と、(b)前記作成された生産管理情報に基づいて、前記複数の対基板作業ラインの生産状況に関する表示画面である生産状況関連表示画面を表示する表示装置とを備え、
前記表示装置が、前記生産状況関連表示画面として、前記複数の対基板作業ラインのうちの少なくとも1以上のものである対象ラインの各々の生産状況を一覧として示す画面である対象ライン生産状況表示画面を表示するものであることを特徴とする対基板作業ライン管理システム。
【0007】
本項に記載の態様は、電子部品実装ライン等の対基板作業ライン(以下、単に「ライン」と略する場合がある)を複数管理するものであり、それら対基板作業ラインのうちの少なくとも一部のものについての生産状況を一覧として表示するものである。対象となるラインについての管理情報を一目で確認できる。例えば、複数のラインの生産状況が並んで示されるような表示画面であれば、個々のラインの生産状況を、他のラインと比較して把握することも可能である。
【0008】
本項にいう「複数の対基板作業ライン」とは、管理対象としての対基板作業ラインが複数存在することを意味する。例えば、1つの工場,事業所等に複数のラインが存在する場合、必ずしもそのすべてを管理対象とすることを要しない。そのうちの一部の複数のラインを管理対象とするシステムであればよい。これに対し、「対象ライン」は、表示の対象としてのラインである。「対象ライン」は、1つでもよいが、他との比較、たくさんのラインの生産状況を確認できる等の観点からすれば、複数であることが望ましい。ラインを構成する対基板作業機(以下、単に「作業機」と略することがある)は、種々のものが含まれる。例えば、回路基板の表面にクリームはんだを印刷するはんだ印刷機、回路基板の表面に回路部品を固定するための接着剤を塗布する接着剤塗布機(「ディスペンサ」とも呼ばれる)、回路基板の表面に回路部品を実装する部品実装機,クリームはんだを溶融させてはんだ付けを行うリフロー炉,それらの作業機の作業結果を検査する検査作業機,それらの作業機間の搬送や搬送に関する作業を行う搬送関連作業機等、種々のものが含まれる。なお、1つのラインに存在する作業機のすべてが本システムの管理対象とされることは必須ではなく、本項にいう「1以上の対基板作業機」は、管理対象とならない作業機を含むものでもよく、逆に、管理対象となる作業機のみを含むものであってもよい。
【0009】
「対基板作業ラインの生産に関する情報」とは、ライン自体の情報に限られず、ラインを構成する作業機に関する情報、作業機を構成する装置,デバイス等に関する情報であってもよい。また、「生産に関する情報」には、例えば、生産品名、生産のために作業機を作動させるプログラム,生産数量,生産時間,故障,不良等に関する種々の情報が含まれる。「生産管理情報」は、例えば、工場,事業所等の管理者,監督者、ライン,作業機をメンテナンスするメンテナンス要員、ラインの操作,生産の補助的作業を行うためにラインに従事するオペレータ等にとって、自らの作業,仕事に活用できる情報等が含まれる。前記生産に関する情報がそのまま生産管理情報とされてもよく(本発明においては、この場合も作成の一態様として取り扱う)、また、生産に関する情報に対して、演算等の何らかの処理を施して生産管理情報とされてもよい。表示される「生産状況」は、後に説明する進捗状況、ラインの好不調等のステータスに関する状況等の種々のものが含まれる。生産状況を示すものである限りにおいて、前記生産に関する情報,生産管理情報がそのまま表示されるものであってもよく、表示に適した形態にまで処理されるものであってもよい。また、「一覧として示す」とは、例えば、テーブル,リスト等の形態のみを意味するものではなく、グラフ等の種々の表示形態のも含まれる。例えば、対象ラインのすべてに関する生産状況が、一画面として表示され、看視者によってそれらの各ラインについての状況が把握可能な状態で表示される態様等が含まれる。
【0010】
本システムを構成する「生産管理装置」は、例えばコンピュータを主体とする装置とすることができる。生産管理装置は、各ラインと接続され、各ラインの生産に関する情報をタイムリーに入手できるものであることが望ましい。また、入手した情報を取捨選択,処理等する機能を備えて生産管理情報を作成するものであることが望ましく、また、その作成された生産管理情報を記憶する機能を備えるものであることが望ましい。つまり、生産管理装置は、複数のラインの生産に関してのデータベースとして存在するものであることが望ましいのである。各ラインを構成する作業機の制御盤、あるいは各ラインに備わるラインの制御盤のいずれかのものが、生産管理装置として機能する態様であってもよく、各ラインとは別体に設けられる態様であってもよい。また、「表示装置」は、生産情報作成装置自体の出力装置であってもよく、生産情報作成装置とは別に設けられた装置、例えば、コンピュータを主体とするとともに、ディスプレイ等の出力装置を備えた装置であってもよい。表示装置の数は特に限定されるものではなく、1つであっても複数であってもよい。例えば、作業機の制御盤,ラインの制御盤が表示装置とされる態様であってもよく、また、オペレータが携帯する携帯電話,PDA装置等の端末装置を表示装置とすることも可能である
【0011】
(2)当該管理システムが、設定された条件に従って上記対象ラインを選択する機能を備えた(1)項に記載の対基板作業ライン管理システム。
【0012】
例えば、管理対象であるラインのすべてを監視するのでは情報が多すぎて煩雑な場合がある。本態様は、あるルールで選択れたラインのみを対象ライン生産状況表示画面の表示対象とするすることで、効率のよい管理が実現する。設定された条件とは、特に限定されるものではない。例えば、当該システムにアクセスする者に基づき、その者に応じて選択する態様とすることができる。例えば、あるオペレータ,メンテナンス要員等が、自身が担任するラインが設定されている場合に、その担任範囲となるラインのみ選択される態様である。また、後に説明するラインの進捗状況に応じて選択する態様とすることもできる。例えば、進捗状況において、所定の遅れが発生している場合に、その遅れが発生しているラインのみを対象として選択する態様である。また、ラインのステータスに応じて選択する態様を採用することもできる。例えば、ラインの生産速度が所定の率を超えて下回っている場合に、その下回っているラインのみを対象として選択する態様である。
【0013】
(3)前記生産管理装置が、前記生産管理情報として、前記複数の対基板作業ラインの各々の生産進捗状況についての情報である生産進捗状況情報を作成するものであり、
前記表示装置が、前記対象ライン生産状況表示画面として、前記対象ラインの各々の前記生産進捗状況を示す画面を表示するものである(1)項または(2)項に記載の対基板作業ライン管理システム。
【0014】
ラインの生産進捗状況を管理することは、生産管理の基本ともいえることであり、進捗状況を表示できる本項に記載の態様によれば実用的なシステムが実現する。各ラインから入手される進捗状況の基となる情報は、回路基板の生産枚数,生産時間等であればよい。例えば、システムが時刻を管理している場合は、「今、1枚の生産が終わった」旨の情報を、次々刻々を受け取ることにより、システム側において、管理情報としての進捗状況を作成することが可能である。進捗状況として表示する情報として、例えば、現時点での遅れ、例えば、計画に対して現時点で遅れている時間,遅れている生産枚数等や、将来における遅れ、例えば、現在の生産品ロットの計画上の終了予定時刻,工場の操業終了予定時刻等における遅れ時間,遅れ枚数等、種々の指標を表示させることが可能である。また、遅れといった概念の指標ではなく、ラインの生産ペースの良否を、進捗状況の指標とすることも可能である。例えば、ラインが良好な状態にある場合の生産速度(例えば、ラインタクト、スループット等)に対する現時点での生産速度の差,割合といった情報を進捗状況として表示することも可能である。
【0015】
(4)前記生産管理装置が、前記生産進捗状況情報として、前記複数の対基板作業ラインの生産に関する情報に基づいてそれら複数の対基板作業ラインの各々についての生産進捗状況に関する順位付けがなされた情報を作成するものであり、
前記表示装置が、前記対象ライン生産状況表示画面として、前記対象ラインの各々の前記生産進捗状況が前記順位付けに従って示された画面を表示するものである(3)項に記載の対基板作業ライン管理システム。
【0016】
本項に記載の態様によれば、例えば、進捗状況の悪い、つまり、遅れているラインの順にランキングされた表示をすることにより、例えば、順位の高いラインを重点監視したり最も順位の高いラインに対して早期に対応処置を施したりすること等が可能であり、効率のよい管理が実現する。本項に記載の態様においては、順位付けの条件等が特に限定されるものではないが、例えば、先に述べたように、現時点における遅れの大きい順であるとか、現在の生産ロットの生産が終了した時点での遅れの大きい順であるとか、終了予想時刻と完成品の納入予定時刻との差の大きな順であるとかいった条件に従った順位付けをすることが可能である。また、先に述べたように、生産のペースが悪い順にランキングして表示させる態様を採用することも可能である。なお、「順位付けに従って示された」表示形態とは、具体的には、例えば、その順位付けを対象ラインの各々に付して表示する表示形態や、ランキングされた順に対象ラインが並ぶような表示形態とすることができる。また、「順位付け」とは、1,2,・・・というように順番をつけることだけを意味するものではなく、Aランク,Bランク,・・・といった等級等に区別すること等も含まれる概念である。
【0017】
(5)前記生産管理装置が、進捗状況が遅延状況にある場合におけるその遅延状況に対応する処置である遅延対応処置の必要性の高さに応じた順位付けがなされた情報を作成するものである(4)項に記載の対基板作業ライン管理システム。
【0018】
ラインを管理する上において、遅延に対応する処置を施すか否か、どのラインに対して優先的に処置を施すかを、瞬時に判断することが困難である場合が多い。本項に記載の態様によれば、遅延対応処置の必要性を示す表示がなされるため、より効率的な管理が可能となる。具体的には、例えば、前述の遅れ、前述の生産ペースの悪化等が、その製品に応じて設定された基準から外れた程度に基づいて必要性の高さを判断し、その判断に基づいて順位付けをすることが可能である。
【0019】
(6)前記生産管理装置が、前記遅延対応処置の必要性の高さとしての、前記遅延対応処置を行う時期についてのパラメータである緊急度と前記遅延による損害の大きさについてのパラメータである損害度との少なくとも一方に応じた順位付けがなされた情報を作成するものである(5)項に記載の対基板作業ライン管理システム。
【0020】
遅延対応処置の必要性は、種々の観点から決定することが可能である。本項に例示した緊急度,損害度は、実際の管理においてなされる判断基準の典型であり、これら典型的な判断基準に従った順位付けがなされた本項に記載の態様は、実用的なシステムとなる。例えば、その製品を完了しなければならないとする一応のデッドラインとなる時期に基づく遅れの大きさをもって緊急度とすることができ、生産ペースの悪化による損失の金額の大きさをもって損害度とすることができる。また緊急度と損害度との両者に基づいて順位付けをする場合、例えば、緊急度と損害度とのそれぞれに設定された係数を乗じ、その乗じた値を合計することによって、複数の尺度による必要性を一元化したパラメータとして算出し、そのパラメータの大きさに基づいて順位付けする態様を採用することができる。
【0021】
(7)前記表示装置が、前記生産状況関連表示画面として、さらに、前記対象ラインのうちの1つである特定ラインについての生産状況を示す画面である特定ライン生産状況表示画面を表示するものである(1)項ないし(6)項のいずれかに記載の対基板作業ライン管理システム。
【0022】
対象ラインの一覧表示では、細密な生産状況の管理が困難な場合がある。本項に記載の態様によれば、特定の1つのラインのみの生産状況を示す画面を表示することで、よりきめ細かなラインの管理が可能なシステムが実現する。
【0023】
(8)前記表示装置が、前記対象ライン生産状況表示画面から前記特定ライン生産状況表示画面への切り替えを、前記対象ライン生産状況表示画面を看視する看視者によって画面表示に従って行われるところの、前記対象ライン生産状況表示画面に表示された前記対象ラインの中からの前記特定ラインの選択指示に基づいて行うものである(7)項に記載の対基板作業ライン管理システム。
【0024】
ラインを監視する者は、対象ライン生産状況表示画面を見て、その中に表示されたラインの中から特定ラインを決定することが一般的であり、その場合、本項に記載の態様によれば、目的とするラインの生産状況に関する詳細な情報を容易に取得することが可能となる。具体的には、画面に表示された対象ラインに付されたNo.等をキーボート等の入力装置から入力するといった方法で切り替わるような表示装置とすることが可能である。また、表示画面が、WWWブラウザによるWeb画面等である場合に、それのハイパーリンク機能を利用して、対象ラインの中から選択したものの表示をクリックすることにより、その選択されたラインに関する表示画面を表示させるような態様の表示装置とすることが可能である。
【0025】
(9)前記表示装置が、前記特定ライン生産状況表示画面として、前記特定ラインの生産進捗状況をグラフ形式で示す画面を表示するものである(7)項または(8)項に記載の対基板作業ライン管理システム。
【0026】
グラフ形式の情報は、看視者の感覚に訴える効果が高く、また、看視者にとって生産状況の把握が容易となる。また、生産状況が悪化している場合は、その悪化の状態,悪化の原因等に関係する情報を容易に認知できる表示形態となる。具体的には、例えば、現在行っている生産ロットに対して、現時点までの作業実績と、現時点での生産ペースが将来も継続すると仮定した場合の実績予測とを、設定された標準状態における実績である標準実績(目標とされる実績であってもよい)と重ね合わせたグラグ(例えば、横軸を時刻,縦軸を生産数量とする線グラフ)にして示す画面を表示するような態様とすることができる。
【0027】
(10)前記生産管理装置が、前記生産管理情報として、前記複数の対基板作業ラインの各々に配置された前記1以上の対基板作業機の各々の稼動状況についての情報である作業機稼動状況情報を作成するものであり、
前記表示装置が、前記特定ライン生産状況表示画面として、前記特定ラインに配置された前記1以上の対基板作業機の各々の稼動状況を一覧として示す画面を表示するものである(7)項ないし(9)項のいずれかに記載の対基板作業ライン管理システム。
【0028】
ラインを構成する作業機の各々の稼動状況は、ラインの進捗状況,生産速度等を左右するファクタとなる。したがって、それら作業機の稼動状況を一覧として示す画面は、各作業機の稼動状況を容易に比較することができ、ラインの生産状況の悪化の原因の分析,追及等において有用な情報を示す画面となる。「稼動状況」は、例えば、作業機タクト(作業が完了した回路基板がその作業機から搬出される時間的ピッチ)、作業機タクト内におけるその作業機の実質的な作業時間,作業機の作業停止時間,待機時間等、作業速度に影響を与える作業エラーの回数,頻度等の指標によって表すことができる。
【0029】
(11)前記生産管理装置が、前記作業機稼動状況情報として、前記1以上の対基板作業機の各々についての作業速度を示すパラメータを含む情報を作成するものであり、
前記表示装置が、前記特定ライン生産状況表示画面として、前記特定ラインに配置された前記1以上の対基板作業機の各々の前記パラメータを示す画面を表示するものである(10)項に記載の対基板作業ライン管理システム。
【0030】
本項にいう「作業速度を示すパラメータ」は、稼動状況の指標の1つであり、具体的には、作業機が一定の時間あたりに作業を完了する回路基板の枚数(いわゆるスループット)、作業機タクト等を意味する。また、間接的にではあるが、1枚の回路基板に対しての主作業を行っている時間(待機している時間等を除く時間)等も、作業速度を示すパラメータとなり得る。作業速度を示すパラメータの値を参照すれば、例えば、ライン内における各作業機のコンディションの良否を知ることが可能であり、また、ラインの進捗状況が良好でない場合に、そのラインにおいてどの作業機に原因があるかを探知することも可能である。
【0031】
(12)前記生産管理装置が、前記作業機稼動状態情報として、前記複数の対基板作業ラインの各々に配置された前記1以上の対基板作業機のうち、その各々のラインの生産速度を律速する対基板作業機である律速作業機を認定した情報を含む情報を作成するものであり、
前記表示装置が、前記特定ライン配置作業機稼動状況画面として、前記特定ラインについての前記認定された律速作業機を示す画面を表示するものである(10)項または(11)項に記載の対基板作業ライン管理システム。
【0032】
ラインによる作業では、ラインの生産速度は、作業速度が最も遅い作業機のその作業速度に律速され、その作業速度を超える速度を得られない。したがって、ラインを構成する各作業機の作業速度を比較すれば、いずれの作業機が律速作業機であるかが認定できる。本項に記載の態様によれば、例えば、生産速度が低下して進捗状況が悪化したラインについて、その悪化の原因の所在をいち早く認識することが可能となる。
【0033】
(13)前記生産管理装置が、前記生産管理情報として、前記複数の対基板作業ラインの各々に配置された前記1以上の対基板作業機の各々の稼動状況についての情報である作業機稼動状況情報を作成するものであり、
前記表示装置が、前記生産状況関連表示画面として、さらに、前記特定ラインに配置された前記1以上の対基板作業機のうちの1つのものである特定作業機の稼動状況を示す表示画面である特定作業機稼動状況表示画面を表示するものである(7)項ないし(12)項のいずれかに記載の対基板作業ライン管理システム。
【0034】
各作業機の稼動状況は、それらによって構成されるラインの生産状況を左右する。したがって、各作業機の稼動状況を知ることは、例えば、ラインの生産状況の悪化の原因を追求する等の際に有効である。本項に記載の態様では、そのようなメリットが得られる。また、先に述べたように、特定ライン配置作業機稼動状況画面では、ラインを構成する作業機の稼動状況が一覧として示されるため、1つ1つの作業機についての情報量には制限がある。これに対し、本項に記載のの特定作業機稼動状況表示画面は、1つの作業機についての稼動状況が示されるため、その作業機について、詳細な情報を示す表示画面が得られる。
【0035】
(14)前記表示装置が、前記特定ライン生産状況表示画面から前記特定作業機稼動状況表示画面への切り替えを、前記特定ライン生産状況表示画面を看視する看視者によって画面表示に従って行われるところの、前記特定ライン生産状況表示画面に表示された前記1以上の対基板作業機の中からの前記特定作業機の選択指示に基づいて行うものである(13)項に記載の対基板作業ライン管理システム。
【0036】
本項に記載の態様は、先に説明した対象ライン生産状況表示画面から特定ライン生産状況表示画面への切り替えについての態様におけるその切り替えと同様な方法によって、特定ライン生産状況表示画面から特定作業機稼動状況表示画面への切り替えを行う態様である。例えば、前述の画面切替と本項における画面切替とを併用すれば、ラインの生産状況の悪化の原因等の究明を容易に行うことのできるシステムとなる。つまり、原因までのルートをナビゲートする機能を有したシステムが実現する。
【0037】
(15)前記生産管理装置が、前記複数の対基板作業ラインの各々に配置された前記1以上の対基板作業機の各々の作業速度に影響を与える作業エラーの発生状況についての情報である作業エラー発生状況情報を作成するものであり、
前記表示装置が、前記特定作業機稼動状況表示画面として、前記特定作業機の前記作業エラーの発生状況を示す画面を表示するものである(13)項または(14)項に記載の対基板作業ライン管理システム。
【0038】
作業機の一種である部品実装機による対基板作業は、例えば、吸着ノズルを有する実装装置が、部品供給装置であるフィーダから回路部品を取り出し、その取り出し回路部品を作業機内に固定された回路基板の表面に実装することによって行われる。回路部品の吸着ノズルによる保持姿勢が悪かった場合、あるいは、回路部品を取出し損ねた場合(これらを総称して「吸着ミス」と呼ぶことがある)には、部品実装機は自動的にリカバリするのが一般的である。例えば、あるフィーダが不調であったり、ある吸着ノズルが不良であったりする場合、吸着ミスが発生しやすい状況にある。吸着ミス等、自動的にリカバリされる作業エラーは、部品実装機の作業速度を低下させる作業エラーであり、このような作業エラーを減少させることが、ラインの生産状況の改善に繋がる。本項に記載の態様は、作業機からのそのようなエラーに関する情報に基づいて、エラーの発生状況に関する情報を作成し、その作成した情報を、作業機の動作状況を示す画面に含ませる態様であり、本態様によれば、上記作業エラーに起因するラインの生産状況の悪化において、その原因の追求が容易となる。
【0039】
(16)前記表示装置が、前記生産状況関連表示画面の他に、前記複数の対基板作業ラインの各々に配置された前記1以上の対基板作業機の各々の配置場所を示す表示画面である作業機配置場所表示画面を表示するものである(1)項ないし(15)項のいずれかに記載の対基板作業ライン管理システム。
【0040】
数多くのラインを保有する工場である場合や,工場のレイアウトを熟知していない者が対応処置を行う場合等においては、異常な作業機を特定できたとしてもそれがどこに存在するのかを直ちに認識できない場合もあり得る。本項に記載の態様は、作業機のいわゆるレイアウト図を表示するものであり、本態様によれば、作業機の配置場所の認識を容易に行うことが可能である。
【0041】
(17)前記表示装置が、前記生産状況関連表示画面と前記作業機配置場所表示画面との一方から他方への切り替えを、その一方の表示画面を看視する看視者によって画面表示に従って行われるところの、その一方の表示画面に表示された前記1以上の対基板作業機の中からの任意に特定された1つのものの選択指示に基づいて行うものである(16)項に記載の対基板作業ライン管理システム。
【0042】
本項に記載の態様は、先に説明した画面切替と同様の方法にて、生産状況関連表示画面と作業機配置場所表示画面との相互間の切替を行う態様であり、例えば、ラインの生産状況の悪化が生じた場合に、それの原因を探知した後に、その原因が存在する場所をも容易に探知することが可能な態様である。前述したナビゲーション機能のさらなる充実が図れる態様である。
【0043】
(18)前記生産管理装置がサーバとして機能し、前記表示装置がクライアントとして機能するものである(1)項ないし(17)項のいずれかに記載の対基板作業ライン管理システム。
【0044】
本項に記載の態様のようなサーバクライアント型のシステムとすれば、表示装置の操作によって、サーバである生産管理装置の機能を利用して種々の情報を表示装置に表示させることができるため、表示装置が数多く存在する場合であっても、簡便なシステムが構築できる。
【0045】
(19)前記表示装置が、無線通信によって前記生産管理情報装置と結ばれる携帯端末装置である(1)項ないし(18)項のいずれかに記載の対基板作業ライン管理システム。
【0046】
例えば、PDA(Personal Digtal Assistant),液晶画面付き携帯電話等の携帯端末を表示装置とすれば、移動して作業することの多いオペレータ,メンテナンス要員が表示装置を常に携帯でき、ラインの生産状況の悪化,作業機の稼動状況における異常等に迅速に対応することが可能である。また、他の作業(例えば、フィーダ交換作業等)において、何らかの携帯端末を利用している場合、その携帯端末を表示装置とすれば、システムの低コスト化等に資することになる。
【0047】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について、図を参照しつつ、詳しく説明する。なお、本発明は、決して下記実施形態に限定されるものではなく、下記実施形態の他前記〔発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効果〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。
【0048】
<管理システムが適用される対基板作業ラインとシステムの構成>
図1に、対基板作業ラインの全体の模式図を示す。工場内には、複数の対基板作業ラインが配置されており、図では、それらのうちの3つの部品実装ライン10a,10b,10cが示されている。ライン10aには、はんだ印刷機20a,ディスペンサ20b,ロータリヘッド型部品装着機20c,XYロボット型部品装着機20d,リフロー炉20eの5つの対基板作業機(「対基板作業機20」,「作業機20」と総称する場合がある)が、ライン10bには、はんだ印刷機10a,2つのXYロボット型部品装着機20d,リフロー炉20eの4つの対基板作業機20が、ライン10cには、はんだ印刷機20a,ディスペンサ20b,2つのロータリヘッド型部品装着機20c,XYロボット型部品装着機20d,リフロー炉20eの6つの対基板作業機20が、それぞれ、その順で一列に配置されている。それぞれの対基板作業ライン(「対基板作業ライン10」,「ライン10」と総称する場合がある)は、各作業機20を統括して管理するホストコンピュータとしてのライン管理装置30を有しており、各作業機20の操作盤32とLAN34を介して接続されている。
【0049】
工場内には、多くの従業者が働いており、図にはその一部が示されている。具体的には、各ライン10のオペレータ40a,ライン管理者40b,工場管理者40cが示されている(これらを「従業者40」と総称する場合がある)。図では、各ライン10に対して1人のオペレータ40aが示されている。また、図に示すライン管理者40bは、ライン10a〜ライン10cの3つのライン10を担任範囲としている。
【0050】
本発明の実施形態である管理システムを構成する生産管理装置50は、各ライン10のライン管理装置30と、もう1つのLAN52を介して接続されている。生産管理装置50は、コンピュータを主体とする装置である。LAN52には、管理者用コンピュータ54と、無線通信装置56とが接続されている。管理者用コンピュータ54は、主に、工場管理者40c向けの端末装置である。無線通信装置56は、ライン管理者40bおよび各オペレータ40aの携帯する携帯端末であるPDA装置58と通信する。上記管理者用コンピュータ54および上記PDA装置58は、管理システムを構成する表示装置とされている。生産管理装置は50は、管理者用コンピュータ54およびPDA装置58から任意にアクセス可能とされており、管理者用コンピュータ54およびPDA装置58は、必要に応じて必要な情報を生産管理装置50から取出して表示する。つまり、生産管理装置50は、サーバとして機能し、管理者用コンピュータ54およびPDA装置58は、そのサーバに対するクライアントとして機能する。
【0051】
<生産管理装置の機能>
図2に、生産管理装置50の機能ブロック図を示す。生産管理装置50は、4つの機能部分を含んで構成されている。その1つであるライン情報入手部70は、各ライン10からの送信されてくる各ライン10の生産に関する情報を入手する。ライン情報入手部70は、例えば、各ライン10から、各ライン10において1つの回路基板の生産が完了した旨の情報,各ライン10に配置された各作業機20においてそれら各作業機20が1つの回路基板に対する作業を終了した旨の情報を入手する。また、各作業機20の稼動状況に関する情報として、各回路基板の作業において実際に主作業を行っていた時間である主作業時間、主作業以外の補助作業(例えば、上流側作業機からの搬入,下流側作業機への搬出等の作業)を行っていた時間である補助作業時間、次に作業する回路基板の受け入れ待ち,下流側作業機への搬出待ち等の時間である待機時間、主作業時間の中に含まれる時間であって発生した作業エラーをリカバリするためのリカバリ作業を行っていたロス時間であるリカバリロス作業時間、装置,デバイス等の不調等により主作業を停止していた時間等をも入手する。また、上記作業エラーの回数を、その原因とともに入手する。作業エラーに関して、部品実装機20c,20dを例にとって説明すれば、回路部品の吸着ミスの回数を、回路部品ごと、部品保持デバイスである吸着ノズルごと、供給するフィーダ(部品供給装置)ごとに、それぞれ区分して入手する。これ以上の説明は省略するが、ライン情報入手部70は、他にも、生産管理に利用できる生産に関する種々の情報を入手する。
【0052】
別の1つの機能部分である管理情報作成処理部72は、ライン情報入手部70が入手した情報を基に、各種の生産管理情報を作成する。また、その作成にあたっては、管理情報格納部74に格納されている基本情報が参照される。基本情報は、例えば、現在各ライン10において生産している生産ロットについての、生産品名、生産プログラム名、生産枚数、生産開始時刻、標準生産終了時刻、限界的生産完了刻限(納期等の都合上、どうしても生産完了させたい時刻)、標準ラインタクト、単位遅延時間あたりの損害額等のライン関連基本情報、各作業機20ごとの標準作業機タクト,標準主作業時間,標準補助作業時間,標準待機時間,主作業時間に含まれる標準的なリカバリロス時間である標準リカバリロス時間等の作業機関連基本情報等が含まれる。なお、「ラインタクト」は、ラインから1の生産品の生産が完了する時間的ピッチを意味し、「作業機タクト」は、作業機から1の回路基板に対する作業が完了してその作業機から搬出される時間的ピッチを意味する。「タクト」はスループットの逆数となる。
【0053】
管理情報作成処理部72によって作成される生産管理情報は、ライン10に関するものについて言えば、例えば、各ライン10ごとの、現在までの生産枚数,現時点での平均ラインタクト(例えば、直近10枚の平均タクト),標準ラインタクト等を基に算出される現時点での遅れ枚数,現時点での遅れ時間、ロット生産完了予想時刻、ロット生産完了時における予想遅れ時間等である。こられらは、生産進捗状況を示す指標であり、これらは生産進捗状況情報である。また、平均ラインタクトと標準ラインタクトとを比較することにより、ライン10のステータスが推定される。
【0054】
さらに、管理情報作成処理部72において、遅延状況に対応する処置を行う必要性の高さを判断する。具体的には、まず、次式により緊急度αが算出される。
α=(Te−TLIM)×k
Te:ロット生産完了予想時刻
LIM:限界的生産完了刻限
:係数
次いで、次式により損害度βが算出される。
β=ΔTe×MDAM×k
ΔTe:ロット生産完了時における予想遅れ時間
DAM:単位遅延時間あたりの損害額
:係数
続いて、次式により、必要性を示すパラメータである必要度γが算出される。
γ=α×k+β×k
:係数
:係数
この必要度γが大きいほど必要性が高いものと推定され、その大きさに応じて、各ライン10の遅延状況が、要処置状況A,要注意状況B,注意不要状況Cの3つに分類される。つまり順位付けがなされるのである。ここで係数k〜kに付いて説明すれば、k,kは、緊急度αと損害度βを同次元化する係数であり、k,kは、緊急度αと損害度βの重み付けの係数である。これらの係数は、生産品,ライン10等に応じて、任意に設定することが可能である。例えば、ある生産品が、それの客先への納入が遅れた場合に高額のペナルティを支払わなければならない生産品である場合に、係数kの値を大きくするといった具合に、目的に応じて種々の設定をすることができる。また、kあるいはkの一方を0とすることにより、緊急度αと損害度βとのいずれか一方のみに基づいて必要度を決定する態様とすることができる。
【0055】
また、管理情報作成処理部72によって、各ライン10を構成する各作業機20に関する生産管理情報も作成される。例えば、現時点での、平均作業機タクト(例えば、直近10枚の平均タクト),現ロットにおける最長作業機タクト,最短作業機タクト、平均主作業時間、主作業率(平均作業機タクトに対する平均主作業時間の割合)等である。平均作業機タクト等は、作業機20の作業速度を示すパラメータである。また、入手した作業エラーに関する情報から、作業エラー率等の作業エラー発生状況情報も作成される。さらに、管理情報作成処理部は、現在の平均ラインタクトとライン10を構成する各作業機20の平均作業機タクトを参照して、いずれの作業機20がそのライン10の生産速度を律速する律速作業機であるかを算出して、それを認定する。これらの情報は、作業機の稼動状況を示す指標であり、作業機稼動状況情報である。
【0056】
作成された生産管理情報(一部に、入手したままのデータをも含む)は、リアルタイムの情報であり、その情報は、管理情報格納部74に格納される。なお、格納された情報は、現ロットの生産が完了した時点において、ロット実績データとして格納され、その実績データは、次回の生産における参照データとして、また、月次,年次等毎に集計されて、工場管理,経営管理等の資料等として、利用されることになる。
【0057】
別の機能部分である表示画面作成処理部76は、管理情報格納部74に格納されている生産管理情報に基づいて、表示装置54,58が表示する表示画面に関するデータを作成する。表示装置54,58は。wwwブラウザを備えており、そのブラウザにて各種の表示画面(いずれもWeb画面)を表示するため、その形式に応じた表示画面データの作成処理が行われる。表示装置54,58は画面の切り替え等の操作を行えるようにされており、その操作情報に基づいて、要求に応じた表示画面のデータを作成するのである。
【0058】
<表示画面と進捗状況の悪化原因の追求のプロセス>
以下に、本管理システムの表示装置54,58に表示される各種の表示画面を説明する中で、その表示画面を参照して、ライン10の生産進捗状況の把握と、進捗状況が悪化している場合におけるその原因の追求のプロセス(本管理システムのナビゲーション機能)を説明する。なお、以下の、説明は、図1に示すライン管理者40bが携帯するPDA装置58による表示画面に基づいて行うものとする。
【0059】
i)対象ライン生産状況表示画面
図3に、PDA装置58に表示される対象ライン生産状況表示画面を示す。この対象ライン生産状況表示画面100は、生産状況関連表示画面の一種である。ライン管理者40bは、ライン10a〜10cを担任範囲とする管理者であり、ライン管理者40bが自身が携帯するPDA装置58から生産管理装置50にアクセスする場合には、まず、自身の従業者コードを入力する。この生産管理装置50は、入力されたコードを認証し、ライン管理者40に応じた対象ラインを選択して、その選択された対象ラインであるライン10a〜10cのみについての生産進捗状況が一覧表示される。つまり、生産管理装置50は、看視者を条件とする選択を行う機能を備えているのである。なお、オペレータ40aの携帯するPDA装置58では、そのオペレータ40aの担任するライン10のみを対象ラインとする表示画面が、管理用コンピュータ54では、選択によって全ライン10の中から任意のものを対象ラインとして、その対象ラインに関する表示画面が、表示されるようになっている。
【0060】
対象ライン生産状況表示画面100には、各ライン10ごとに、そのライン番号102、現在生産している生産ロットの生産品名104,生産プログラムのプログラム名106が表示される。また、生産進捗状況を示す情報として、生産ロット枚数108,現時点生産枚数110,現時点遅れ枚数112,標準生産終了時刻114,ロット生産完了予想時刻116,現時点遅れ時間118,ロット生産完了時予想遅れ時間120が表示される。また、遅延状況への対応処置の必要性である対応処置必要性122が表示され、ラインのステータスを示すステータスシンボル124が表示される。対応処置必要性122としては、先に述べたように、緊急度と損害度とに基づいて算出された必要度に基づく分類名が表示され、ステータスシンボル124としては、平均ラインタクトと標準ラインタクトとの比較による生産速度の低下の程度を示すシンボルが表示される。なお、表示におけるライン10の並び順は、必要度の高い順とされている。
【0061】
ライン番号は、ライン10a〜10cがそれぞれ[0001]〜[0003]とされており、図に示す表示画面では、ライン10cが、対応処置の最も高いことが解る。ちなみに、ライン10cでは、現時点において、生産枚数にして113枚の遅れ、時間にして15分の遅れが生じている。ステータスシンボル124も生産速度が低下している状態であることを示しており、このままのペースで生産を続ければ、現ロットの生産が完了した時点で、40分の遅れとなることが予想される。
【0062】
ライン管理者40bは、各ライン10の進捗状況を確認し、対応処置の必要性の高いライン10cへの対応を行うため、ライン10cの遅延の原因を探ろうと試みる。探索を行う場合に、対応処置必要性122の項目の表示位置(図では、[A]と表示されている部分)をクリックすることにより、表示画面のハイパーリンク機能が発揮されて次の画面が表示される。
【0063】
ii)特定ライン生産状況表示画面
図4に示す表示画面は、上記対象ラインのうちライン10cを特定ラインとする特定ライン生産状況表示画面であり、生産状況関連表示画面の一種である。この特定ライン生産状況表示画面130には、ライン番号132の他に、ライン10cの生産進捗状況を示す進捗状況グラフ134、ライン10cの標準ラインタクト136および現時点平均ラインタクト138が表示される。また、ライン10cを構成する6つの作業機20の各々の稼動状況の一覧を示す部分には、それら作業機20の各々の現時点平均作業機タクト140が表示される。
【0064】
進捗状況グラフ134は、横軸を時刻,縦軸を累積生産枚数とするグラフであり、破線で表されているのが、標準的な状態における生産のペースを示す標準状態線142であり、実線で表されているのが現ロットの生産を開始してからの実績線144、二点鎖線で表されているのが現在の生産速度で生産を継続した場合の予想線146である。●は、現ロットの生産完了時点を示し、○は、現時点を示している。このグラフ134から解るように、ライン10cは、順調なペースで生産を開始したが、ある時点で生産速度を低下させて現時点に至っている。標準ラインタクト136および現時点平均ラインタクト138の値も、そのことを裏付けるものとなっている。このままの生産速度で生産を継続すれば、生産の遅延は大きいものとなることが推測できる。
【0065】
各作業機20の作業速度を示すパラメータである現時点平均作業機タクト140を見れば、作業機番号[M3]として示されている作業機20c(ロータリヘッド型部品実装機)の平均作業機タクト140が、作業機番号[M4]と示されている作業機20c(ロータリヘッド型部品実装機)のそれと比較して、大きな値となっているのが解る。このことにより、作業機番号[M3]の作業機20c(以下、「作業機M3」と呼ぶことがある)が、ライン10cの生産速度を律速する律速作業機であると推定できる。本表示画面130では、生産管理装置50の認定結果として律速作業機マーク148が、作業機M3に対して付されており、オペレータ40bは、そのマーク148を参照することにより、律速作業機を特定することもできる。
【0066】
ライン管理者40bは、律速作業機であると推定あるいは認定された作業機番号[M3]の作業機20cの稼動状況の詳細についての調査を試みる。その際、表示画面において、作業機番号[M3]をクリックすることで、ハイパーリンク機能により、次の画面が表示される。
【0067】
なお、ここで説明を逸らせるが、進捗状況グラフ134において、例えば、実績線144がある時点から横軸に平行に描かれた状態では、作業機20は、その平行となっている期間停止していたことが推認できる。また、例えば、実績線144が、その勾配が一旦緩やかになった後、再び元の勾配に戻ったように描かれている場合は、作業機20の調子が復旧したと推認でき、対応処置を行う必要性が低いと判断できる。こののうに生産進捗状況がグラフ形式表示される場合は、そのグラフ表示を参照することにより、有益な情報を得ることができ、また、有益な判断を下すことができるのである。その例示として、図5に、別の進捗状況グラフを示す。このグラフは、生産終了後の実績データに基づくグラフである。先の進捗状況グラフ134と同様に、破線で示されているのが標準的な状態における生産のペースを示す標準状態線142であり、実線で表されているのがロット生産を開始してから生産を終了するまでの実績線144(生産枚数の累積)である。実績線144は、生産ペースが途中で一旦下降し、再び元に戻ったことを示している。このグラフには、時間の経過に伴う単位時間あたりの生産枚数の変化を示す棒グラフが重ね合わされている。この棒グラフは、標準単位時間あたり生産枚数を基準として、実績値がそれよりも大きい場合に図の上方に向かって棒が延び、小さい場合に下方に向かって棒が延びる形式の棒グラフである。棒グラフによれば、ライン10の生産ペースの変化が一目瞭然であり、生産の途中で大きな生産ペースの落ち込みがあったことが、よりはっきりと確認できる。なお、この単位時間あたりの生産枚数というパラメータも、生産速度の指標の1つであり、このパラメータでもって、ライン10の調・不調を判断することも可能である。
【0068】
iii)特定作業機稼動状況表示画面
図6に示す表示画面は、ライン10cを構成する作業機20のうちの作業機M3を特定作業機とする特定作業機稼動状況表示画面であり、生産状況関連表示画面の一種である。この特定作業機稼動状況表示画面160には、ライン番号162,作業機番号164の他に、作業機M3の作業機タクトおよびその時間の内訳を示す帯グラフ166、作業機タクト等を数値で示す作業機タクト等数値表示168、吸着ノズル依拠エラー発生状況表示170、フィーダ依拠エラー発生状況表示172が表示される。なお、図ではそれだけの表示しか示していないが、表示画面をスクロールさせることにより、待機時間,リカバリロス時間,それらの作業機タクト内における割合等の作業時間に関連した表示、部品ごとのエラー発生状況に関する表示等をも看視できるようにされている。
【0069】
帯グラフ166は、作業機タクトと、その時間の内訳、詳しくは、主作業時間,補助作業時間,待機時間等の内訳である。上に表示されているグラフ174は標準状態であり、下に表示されているグラフ176は、現時点の平均状態(直近の10枚における平均状態)である。グラフ176は、主作業時間(網掛けで表示されいる部分)が、グラフ174のそれよりも長くなっている。これは、主作業時間内に大きなリカバリロス時間が含まれていることによるものと推察できる。作業機タクト等数値表示168には、標準作業機タクト178,最短作業機タクト180,最長作業機タクト182,平均作業機タクト184の他に、平均主作業時間186,平均リカバリロス時間188が表示されており、その表示によれば、平均主作業時間186の中に平均ロス時間188が約5sec含まれていることを示している。
【0070】
吸着ノズル依拠エラー発生状況表示170、フィーダ依拠エラー発生状況表示172は、エラーの発生原因となる吸着ノズル,フィーダのそれぞれについての発生回数の多い3つのものが表示される。フィーダ依拠エラー発生状況表示172では、[18]番,[7]番,[4]番のフィーダからの部品取り出しにおいて、それぞれ生産開始から42回,36回,23回の吸着ミスが発生していることが解る。また、吸着ノズル依拠エラー発生状況表示170からは、[4]番の吸着ノズルによる吸着ミスが95回と突出した発生状況となっている。[18]番,[7]番,[4]番のフィーダからの部品取り出しは、[4]番の吸着ノズルによって行われることが生産プログラムから読み取みとることができ、これらの情報から、[4]番の吸着ノズルに何らかの不具合が発生していることが推察できる。この不具合が原因して、作業機M3の作業機タクトが長くなり、ライン10cの生産速度が低下したものと考えることができる。このようなプロセスをたどって、ライン10の進捗状況の悪化の原因が追求できるのである。
【0071】
ライン管理者40bは、進捗状況の悪化の原因を追求して特定した後、実際にその原因を含む作業機20に赴き、対応処置、つまり、上記場合は、[4]番の吸着ノズルの清掃,交換等を行う。その際、表示画面において、作業機番号164を示す[M3]の部分をクリックすることで、ハイパーリンク機能により、次の画面が表示される。
【0072】
iv)作業機配置場所表示画面
図7に示す表示画面は、作業機配置場所表示画面であり、この作業機配置場所表示画面200は、工場内に配置されたすべてのライン10およびそれらに配置されている作業機20のすべてが表示されており、それらの配置場所を看視者に教示する。図では、先の画面でクリックした作業機M3に、枠202が表示され、容易にその作業機M3を認識できるようにされている。なお、図では、工場の一部しか表示されていないが、画面をスクロールすることにより、工場全体の配置を伺い知ることが可能である。
【0073】
なお、作業機配置場所表示画面200のいずれかのライン10のいずれかの作業機20が示されている部分をクリックすることにより、先の場合と逆に、その作業機20についての特定作業機稼動状況表示画面160が表示されるようにハイパーリンク機能が設定されている。また、特定作業機稼動状況表示画面160の他の生産状況関連表示画面、つまり、対象ライン生産状況表示画面100,特定ライン生産状況表示画面130からもそれぞれの画面における所定の箇所をクリックすることで、本作業機配置場所表示画面200が表示されるようにされている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である管理システムが適用される対基板作業ラインの全体を示す概念図である。
【図2】上記管理システムを構成する生産管理装置の機能を示す機能ブロック図である。
【図3】上記管理システムを構成する表示装置に表示される対象ライン生産状況表示画面を示す図である。
【図4】上記管理システムを構成する表示装置に表示される特定ライン生産状況表示画面を示す図である。
【図5】上記特定ライン生産状況表示画面内に表示可能なもう1つの進捗状況グラフを示す図である。
【図6】上記管理システムを構成する表示装置に表示される特定作業機稼動状況表示画面を示す図である。
【図7】上記管理システムを構成する表示装置に表示される作業機配置場所表示画面を示すを示す図である。
【符号の説明】
10:部品実装ライン(対基板作業ライン) 20:対基板作業機 30:ライン管理装置 40:従業者 50:生産管理装置 54:管理者用コンピュータ(表示装置) 58:PDA装置(表示装置) 70:ライン情報入手部 72:管理情報作成処理部 74:管理情報格納部 76:表示画面作成処理部 100:対象ライン生産状況表示画面(生産状況関連表示画面) 130:特定ライン生産状況表示画面(生産状況関連表示画面) 160:特定作業機稼動状況表示画面(生産状況関連表示画面) 200:作業機配置場所表示画面

Claims (8)

  1. 回路基板に対して各種の作業を行う1以上の対基板作業機がそれぞれに配置されて構成された複数の対基板作業ラインを管理するためのシステムであって、
    (a)前記複数の対基板作業ラインの生産に関する情報を入手し、その入手した情報を処理して生産管理に利用可能な情報である生産管理情報を作成する生産管理装置と、(b)前記作成された生産管理情報に基づいて、前記複数の対基板作業ラインの生産状況に関する表示画面である生産状況関連表示画面を表示する表示装置とを備え、
    前記表示装置が、前記生産状況関連表示画面として、前記複数の対基板作業ラインのうちの少なくとも1以上のものである対象ラインの各々の生産状況を一覧として示す画面である対象ライン生産状況表示画面を表示するものであることを特徴とする対基板作業ライン管理システム。
  2. 前記生産管理装置が、前記生産管理情報として、前記複数の対基板作業ラインの各々の生産進捗状況についての情報である生産進捗状況情報を作成するものであり、
    前記表示装置が、前記対象ライン生産状況表示画面として、前記対象ラインの各々の前記生産進捗状況を示す画面を表示するものである請求項1に記載の対基板作業ライン管理システム。
  3. 前記生産管理装置が、前記生産進捗状況情報として、前記複数の対基板作業ラインの生産に関する情報に基づいてそれら複数の対基板作業ラインの各々についての生産進捗状況に関する順位付けがなされた情報を作成するものであり、
    前記表示装置が、前記対象ライン生産状況表示画面として、前記対象ラインの各々の前記生産進捗状況が前記順位付けに従って示された画面を表示するものである請求項2に記載の対基板作業ライン管理システム。
  4. 前記生産管理装置が、進捗状況が遅延状況にある場合におけるその遅延状況に対応する処置である遅延対応処置の必要性の高さに応じた順位付けがなされた情報を作成するものである請求項3に記載の対基板作業ライン管理システム。
  5. 前記表示装置が、前記生産状況関連表示画面として、さらに、前記対象ラインのうちの1つである特定ラインについての生産状況を示す画面である特定ライン生産状況表示画面を表示するものである請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の対基板作業ライン管理システム。
  6. 前記生産管理装置が、前記生産管理情報として、前記複数の対基板作業ラインの各々に配置された前記1以上の対基板作業機の各々の稼動状況についての情報である作業機稼動状況情報を作成するものであり、
    前記表示装置が、前記特定ライン生産状況表示画面として、前記特定ラインに配置された前記1以上の対基板作業機の各々の稼動状況を一覧として示す画面を表示するものである請求項5に記載の対基板作業ライン管理システム。
  7. 前記生産管理装置が、前記生産管理情報として、前記複数の対基板作業ラインの各々に配置された前記1以上の対基板作業機の各々の稼動状況についての情報である作業機稼動状況情報を作成するものであり、
    前記表示装置が、前記生産状況関連表示画面として、さらに、前記特定ラインに配置された前記1以上の対基板作業機のうちの1つのものである特定作業機の稼動状況を示す表示画面である特定作業機稼動状況表示画面を表示するものである請求項5または請求項6に記載の対基板作業ライン管理システム。
  8. 前記表示装置が、前記生産状況関連表示画面の他に、前記複数の対基板作業ラインの各々に配置された前記1以上の対基板作業機の各々の配置場所を示す表示画面である作業機配置場所表示画面を表示するものである請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の対基板作業ライン管理システム。
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