JP2004361775A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】アモルファスシリコン感光体を使用した画像形成装置において、ジッタによる画像の乱れを発生させることなく、ドラム表面の研磨によって画像流れ現象やフィルミング現象を防止することができるクリーニング機構及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】クリーニングブレード12よりも感光体の移動方向の上流側に設けられ残留トナーを周面に付着させて感光体表面を摺擦研磨する複数のクリーニングローラ6a、6bとを備え、隣接したクリーニングローラの回転方向が互いに異なり、感光体1と対向する位置において、感光体1の移動方向と逆方向に移動するクリーニングローラの回転速度が、感光体1の回転速度よりも遅く設定されており、且つ、感光体1の移動方向と同方向に移動するクリーニングローラの回転速度が、感光体1の回転速度と同等以上に設定されていることを特徴とする画像形成装置。
【選択図】図1
【解決手段】クリーニングブレード12よりも感光体の移動方向の上流側に設けられ残留トナーを周面に付着させて感光体表面を摺擦研磨する複数のクリーニングローラ6a、6bとを備え、隣接したクリーニングローラの回転方向が互いに異なり、感光体1と対向する位置において、感光体1の移動方向と逆方向に移動するクリーニングローラの回転速度が、感光体1の回転速度よりも遅く設定されており、且つ、感光体1の移動方向と同方向に移動するクリーニングローラの回転速度が、感光体1の回転速度と同等以上に設定されていることを特徴とする画像形成装置。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はアモルファスシリコン(以下、a−Siと略記する)系感光体を用いた画像形成装置に関し、特に研磨ローラを用いて像流れの発生を抑制した画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ドラム又はベルト等の表面にa−Si系の感光層を被着形成してなる感光体を搭載した画像形成装置においては、高硬度、且つ、長寿命という特徴である反面、像流れが発生していた。
【0003】
このような像流れは次のような原因で発生する。すなわち、帯電装置で放電させるとNOx やSOx 等の水溶性イオン生成物ができて感光体表面の微小な溝部に入り込む。微小溝部に入り込んだ水溶性イオン生成物は通常のクリーニングでは取り除くことができず感光体に残存する。このような状態で、高湿度環境の下では、水溶性イオン生成物が大気中の水分を吸収して感光体の抵抗値を低下させ、これにより、静電潜像のエッジ部において電位の広がりが生じ、その結果、像流れが発生する。
【0004】
このような問題を解決するために、感光体をヒータで加熱して吸収された水分を蒸発させて感光体の抵抗値が下がるのを抑えていた。しかしながら、このようなヒータにより感光体を加熱する方式の画像形成装置では、電極や電源などの部品点数が多くなり、コストアップになるばかりか、安全性の問題も考慮する必要があった。
【0005】
そこで、ヒータを用いないで、これに代えて、クリーニングローラを転写装置とクリーニングブレードの間に設け、さらに、研磨剤が付着したトナーの内、転写後に感光体表面に残る残留トナーをクリーニングローラの周面に担持させ、このトナーが担持されたクリーニングローラにより感光体の表面を研磨することで、感光体の表面粗さを小さくし、これにより、感光体表面の微小な溝部に入った水溶性イオン生成物を容易に除去させる技術が知られている。
【0006】
例えば、特開平7−234619には、感光体ドラム周囲にクリーニングブレードとクリーニングローラとを備え、クリーニングローラが、感光体ドラムと対向する位置において感光体ドラムの回転方向と逆方向に、且つ、感光体ドラムに対して120%の周速で回転する画像形成装置が開示されている。クリーニングローラを感光体ドラムとの対向位置にて逆方向に回転させると、同方向に回転させる場合に比較して、クリーニングローラと感光体ドラムとのニップ部で、研磨剤が付着したトナーを多量に担持することができ高い研磨力が得られる。また、クリーニングローラの回転速度を感光体ドラムの回転速度よりも大きく設定することで更に研磨力を向上させることができる。
【0007】
【特許文献1】
特開平7−234619
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1のように、クリーニングローラを感光体ドラムとの対向位置にて逆方向に、且つ、感光体ドラムの回転に比較して大きな回転速度で回転させると、感光体の研磨力を十分に向上させることはできるが、クリーニングローラと感光体ドラムの摺擦負荷と負荷変動の影響で、回転むらや回転位置ずれによるジッタが発生し易く、中間調画像の画像形成時には画像の乱れとなって現れるという問題があり、特にデジタル方式、カラー方式の画像形成装置では目立ちやすいものとなる。
【0009】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、ジッタによる画像の乱れを発生させることなく、ドラム表面の研磨によって画像流れ現象やフィルミング現象を防止することができるクリーニング機構及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、アモルファスシリコン系感光体の周囲に、この感光体表面に形成された静電潜像に研磨剤が付着したトナーを供給するための現像装置と、この現像装置により形成されたトナー像を記録材に転写するための転写装置と、前記感光体に残留したトナーを除去するためのクリーニング装置とを配設した画像形成装置であって、前記クリーニング装置が、前記感光体表面の残留トナーを除去するためのクリーニングブレードと、クリーニングブレードよりも感光体の移動方向の上流側に設けられ前記残留トナーを周面に付着させて前記感光体表面を摺擦研磨する複数のクリーニングローラとを備え、隣接したクリーニングローラの回転方向が互いに異なるように設定されており、前記感光体と対向する位置において、前記感光体の移動方向と逆方向に移動するクリーニングローラの回転速度が、前記感光体の回転速度よりも遅く設定されており、且つ、前記感光体の移動方向と同方向に移動するクリーニングローラの回転速度が、前記感光体の回転速度と同等以上に設定されていることを特徴とする。
【0011】
前記画像形成装置によれば、隣接したクリーニングローラの回転方向が互いに異なるように設定されており、感光体の研磨力が高く摺擦負荷が大きい、感光体と対向する位置において感光体の移動方向と逆方向に移動するクリーニングローラの回転速度が、感光体の回転速度よりも遅く設定されているために、研磨力を維持した状態でクリーニングローラと感光体ドラムの摺擦負荷を減少させることができる。そして、感光体の研磨力が低く摺擦負荷の小さい、感光体と対向する位置において感光体の移動方向と同方向に移動するクリーニングローラの回転速度が、感光体の回転速度と同等以上に設定されているために、研磨力を維持した状態でクリーニングローラと感光体ドラムの摺擦負荷と負荷変動を減少させることができる。
【0012】
【発明の実施形態】
以下、本発明を図1〜図4に基づいて説明する。図1は、画像形成装置の一例であるプリンタAの概略構成図、図2はプリンタAに搭載したa−Si系の感光体の層構成を示す断面図、図3はクリーニング装置の拡大説明図である。
【0013】
プリンタAは図1に示すようにドラム状に形成された感光体1の回転方向に沿って帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5、クリーニング装置9、除電装置10が順次配設され、その画像形成として、まず帯電装置2で感光体1表面を帯電し、次に露光装置3により静電潜像を形成し、更に、現像装置4のローラ40で感光体1表面側にトナーを搬送した後、その静電潜像にトナーを付着させてトナー像化し、このトナー像を転写装置5の転写ローラ50で転写紙11に転写させる。一方、転写されなかった残留トナーはクリーニング装置9で除去され、トナーを除去した後の感光体1表面の残留電荷を除電装置10で除電する。続いて次の画像形成を行うために、再度、帯電装置2を作動させて上述の動作を繰り返す。
【0014】
次に上述の構成の中で、本発明の特徴である感光体、トナー、クリーニング装置の構成について説明する。
<感光体>
図2に示すように、導電性基板20上に、例えば、a−Si系の光導電層21を形成し、その上面にa−Si系のSiC、SiN、SiO、SiON、SiCNなどの無機絶縁体または無機半導体から成る表面保護層22が積層されている。
<トナー>
トナーは表面に研磨剤が付着している。このトナーは、それ自体が画像を形成するだけでなく、転写装置5で未転写となった残余のトナーを利用して感光体1の表面を研摩するために用いられる。トナーの構成としては、バインダ樹脂をトナー母粒子として表面にシリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア等の研磨剤を付着させる。この研磨剤をトナー母粒子に付着させる方法としては、静電的に吸着させてもよく、トナー母粒子の表面に熱的・機械的な衝撃を加えることで研磨剤を打ち込んで保持させてもよい。このように打ち込んだ研磨剤の粒子はトナー母粒子に完全に埋没させるのではなく一部突き出すように構成してもよい。
<クリーニング装置>
図3に示すように感光体1の表面に当接し、転写されずに感光体1の表面に残った残留トナーを除去するクリーニングブレード12と、感光体1表面を研摩する2つのクリーニングローラ6a、6bとを備える。また、クリーニングローラ6a、6bの下部にはクリーニングローラ6a、6bに当接し、クリーニングローラ上のトナーを除去する弾性平板部材のスクレーパ7a、7bを備える。スクレーパ7a、7bにより除去されたトナーは搬送スパイラル8により回収される。
【0015】
クリーニングブレード12は感光体1に対する耐磨耗性,ゴム弾性の安定性,確実なクリーニング性からウレタンゴムが用いられ、そのゴム硬度はJIS Aで60〜80度のものが使用される。
【0016】
クリーニングローラ6は、シャフト60a、60bの外周に発泡ウレタンゴムを被覆形成して成る。この発泡ウレタンゴムの硬度としては、発泡ウレタンゴムの中央部にシャフト60a、60bを挿入させた状態で、20〜60度HS(アスカーC)のものが使用される。
【0017】
本発明において、例えばクリーニング装置が2つのクリニングローラ6a、6bを備える場合、2つのクリーニングローラの回転方向は互いに異なり、感光体の研磨力が高く摺擦負荷が大きい、感光体と対向する位置において感光体の移動方向と逆方向に移動する(以下、「カウンター回転する」と表現する)クリーニングローラ6aの回転速度が、感光体の回転速度よりも遅く設定され、且つ、感光体の研磨力が低く摺擦負荷の小さい、感光体と対向する位置において感光体の移動方向と同方向に移動する(以下、「トレール回転する」と表現する)クリーニングローラ6bの回転速度が、感光体の回転速度と同等以上に設定されている。このために、研磨力を維持した状態でクリーニングローラと感光体ドラムの摺擦負荷と負荷変動を減少させることができる。
【0018】
ここで、カウンター回転するクリーニングローラ6aの回転速度は感光体の回転速度に対して0.1〜0.5倍、好ましくは0.2〜0.3倍に設定される。またトレール回転するクリーニングローラ6bの回転速度は感光体の回転速度に対して1〜2倍、好ましくは1.1〜1.3倍に設定される。クリーニングローラ6a、6bの回転速度が前記範囲を下回る場合には感光体の研磨力が低下して画像流れが発生し、前記範囲を上回る場合にはジッタが発生する。
【0019】
上記のように2つのクリーニングローラを備える場合には、図3に示すように、感光体移動方向上流側に設けられたクリーニングローラ6bがトレール回転するように設定し、感光体移動方向下流側に設けられたクリーニングローラ6aがカウンター回転するように設定することが好ましい。
【0020】
このように回転方向を設定することで、図3に示すように、クリーニングブレード12により除去された残留トナーがクリーニングローラ6aの上部(X)に滞留し、クリーニングローラ6aに保持された状態で感光体1の表面を研磨する。その後、クリーニングローラ6aに保持されたトナーはスクレーパ7aにより除去される。スクレーパ7aは金属の平板で構成されており、平板部の一辺がクリーニングローラ6aに一定の圧で当接する。スクレーパ7aで除去されたトナーは、一部がクリーニングローラ6b上に受止められ、一部は搬送スパイラル8によって回収される。
【0021】
クリーニングローラ6bにより受止められたトナーの一部はスクレーパ7bにより除去され、搬送スパイラル8により回収される。スクレーパ7bは金属の平板で構成されており、平板部がクリーニングローラ6bに一定の圧で当接されている。この時、クリーニングローラは発泡弾性部材で構成されており、一部のトナーはスクレーパ7bをすり抜けてクリーニングローラ6bの下部(Y)に滞留し、クリーニングローラ6bに保持された状態で感光体1の表面を研磨する。
【0022】
以上のように、クリーニングブレード12で除去された感光体1表面の残留トナーは、一部はクリーニングローラ6a、6bに保持された状態で感光体1の表面を研磨し、一部は搬送スパイラル8で回収される。この時、感光体の研磨力が高く摺擦負荷が大きいクリーニングローラ6aの回転速度は感光体1の回転速度よりも遅く設定され、感光体の研磨力が低く摺擦負荷の小さいクリーニングローラ6bの回転速度は感光体1の回転速度と同等以上に設定されているために、感光体1表面の研磨力を維持した状態でジッタの発生をなくすことができる。
【0023】
上記実施例は2つのクリーニングローラを設けた場合について説明したが、例えば、クリーニングローラを3つ設ける場合には、2つクリーニングローラの回転方向を互いに異なるように設定し、残り1つのクリーニングローラは、前記2つのクリーニングローラのうちカウンター回転するクリーニングローラに隣接させる場合はトレール回転するように設定し、前記2つのクリーニングローラのうちトレール回転するクリーニングローラに隣接させる場合はカウンター回転するように設定する。そして、それぞれの回転速度を感光体の研磨力と摺擦負荷を考慮した上で総合的に決定すれば良い。
【0024】
クリーニングローラの駆動については特に限定されず、例えば、それぞれのクリーニングローラを独自の駆動系を持つように構成しても良いし、カウンター回転するクリーニングローラのみを独自の駆動系を持つようにし、トレール回転するクリーニングローラを感光体に従動させるように構成しても良い。
【0025】
図3に示すように、カウンター回転するクリーニングローラ6aについては、その上部(X)にトナーが滞留し感光体を研磨する。しかし、このトナー量が必要以上に滞留すると、クリーニングブレード12方向にトナーが戻って、クリーニングブレードからのトナーのすり抜けやクリーニングブレードへのトナーの融着、等の不具合が発生する。このため、非画像形成時(例えば画像形成終了後)に、クリーニングローラ6aの駆動系を切って感光体に従動させて回転させることにより、クリーニングローラ6a上部(X)に滞留した余剰トナーを搬送スパイラル8の方向に移動させるように制御することで前記不具合が発生しない。
【0026】
【発明の効果】
以上のように本発明においては、複数のクリーニングローラを備えたアモルファスシリコン感光体を使用した画像形成装置において、隣接したクリーニングローラの回転方向が互いに異なるように設定されており、前記感光体と対向する位置において、前記感光体の移動方向と逆方向に移動するクリーニングローラの回転速度が、前記感光体の回転速度よりも遅く設定されており、且つ、前記感光体の移動方向と同方向に移動するクリーニングローラの回転速度が、前記感光体の回転速度と同等以上に設定されているので、感光体表面の研磨力を維持した状態でクリーニングローラと感光体ドラムの摺擦負荷と負荷変動を減少させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置の一例であるプリンタの概略説明図である。
【図2】本発明に用いられるa−Si系感光体の層構成を示す図である。
【図3】本発明の画像形成時におけるクリーニング装置の拡大説明図である。
【符号の説明】
1:感光体
2:帯電装置
3:露光装置
4:現像装置
40:現像ローラ
5:転写装置
50:転写ローラ
6a、6b:クリーニングローラ
7a、7b:スクレーパ
8:搬送スパイラル
9:クリーニング装置
10:除電装置
11:転写紙
12:クリーニングブレード
【発明の属する技術分野】
本発明はアモルファスシリコン(以下、a−Siと略記する)系感光体を用いた画像形成装置に関し、特に研磨ローラを用いて像流れの発生を抑制した画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ドラム又はベルト等の表面にa−Si系の感光層を被着形成してなる感光体を搭載した画像形成装置においては、高硬度、且つ、長寿命という特徴である反面、像流れが発生していた。
【0003】
このような像流れは次のような原因で発生する。すなわち、帯電装置で放電させるとNOx やSOx 等の水溶性イオン生成物ができて感光体表面の微小な溝部に入り込む。微小溝部に入り込んだ水溶性イオン生成物は通常のクリーニングでは取り除くことができず感光体に残存する。このような状態で、高湿度環境の下では、水溶性イオン生成物が大気中の水分を吸収して感光体の抵抗値を低下させ、これにより、静電潜像のエッジ部において電位の広がりが生じ、その結果、像流れが発生する。
【0004】
このような問題を解決するために、感光体をヒータで加熱して吸収された水分を蒸発させて感光体の抵抗値が下がるのを抑えていた。しかしながら、このようなヒータにより感光体を加熱する方式の画像形成装置では、電極や電源などの部品点数が多くなり、コストアップになるばかりか、安全性の問題も考慮する必要があった。
【0005】
そこで、ヒータを用いないで、これに代えて、クリーニングローラを転写装置とクリーニングブレードの間に設け、さらに、研磨剤が付着したトナーの内、転写後に感光体表面に残る残留トナーをクリーニングローラの周面に担持させ、このトナーが担持されたクリーニングローラにより感光体の表面を研磨することで、感光体の表面粗さを小さくし、これにより、感光体表面の微小な溝部に入った水溶性イオン生成物を容易に除去させる技術が知られている。
【0006】
例えば、特開平7−234619には、感光体ドラム周囲にクリーニングブレードとクリーニングローラとを備え、クリーニングローラが、感光体ドラムと対向する位置において感光体ドラムの回転方向と逆方向に、且つ、感光体ドラムに対して120%の周速で回転する画像形成装置が開示されている。クリーニングローラを感光体ドラムとの対向位置にて逆方向に回転させると、同方向に回転させる場合に比較して、クリーニングローラと感光体ドラムとのニップ部で、研磨剤が付着したトナーを多量に担持することができ高い研磨力が得られる。また、クリーニングローラの回転速度を感光体ドラムの回転速度よりも大きく設定することで更に研磨力を向上させることができる。
【0007】
【特許文献1】
特開平7−234619
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1のように、クリーニングローラを感光体ドラムとの対向位置にて逆方向に、且つ、感光体ドラムの回転に比較して大きな回転速度で回転させると、感光体の研磨力を十分に向上させることはできるが、クリーニングローラと感光体ドラムの摺擦負荷と負荷変動の影響で、回転むらや回転位置ずれによるジッタが発生し易く、中間調画像の画像形成時には画像の乱れとなって現れるという問題があり、特にデジタル方式、カラー方式の画像形成装置では目立ちやすいものとなる。
【0009】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、ジッタによる画像の乱れを発生させることなく、ドラム表面の研磨によって画像流れ現象やフィルミング現象を防止することができるクリーニング機構及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、アモルファスシリコン系感光体の周囲に、この感光体表面に形成された静電潜像に研磨剤が付着したトナーを供給するための現像装置と、この現像装置により形成されたトナー像を記録材に転写するための転写装置と、前記感光体に残留したトナーを除去するためのクリーニング装置とを配設した画像形成装置であって、前記クリーニング装置が、前記感光体表面の残留トナーを除去するためのクリーニングブレードと、クリーニングブレードよりも感光体の移動方向の上流側に設けられ前記残留トナーを周面に付着させて前記感光体表面を摺擦研磨する複数のクリーニングローラとを備え、隣接したクリーニングローラの回転方向が互いに異なるように設定されており、前記感光体と対向する位置において、前記感光体の移動方向と逆方向に移動するクリーニングローラの回転速度が、前記感光体の回転速度よりも遅く設定されており、且つ、前記感光体の移動方向と同方向に移動するクリーニングローラの回転速度が、前記感光体の回転速度と同等以上に設定されていることを特徴とする。
【0011】
前記画像形成装置によれば、隣接したクリーニングローラの回転方向が互いに異なるように設定されており、感光体の研磨力が高く摺擦負荷が大きい、感光体と対向する位置において感光体の移動方向と逆方向に移動するクリーニングローラの回転速度が、感光体の回転速度よりも遅く設定されているために、研磨力を維持した状態でクリーニングローラと感光体ドラムの摺擦負荷を減少させることができる。そして、感光体の研磨力が低く摺擦負荷の小さい、感光体と対向する位置において感光体の移動方向と同方向に移動するクリーニングローラの回転速度が、感光体の回転速度と同等以上に設定されているために、研磨力を維持した状態でクリーニングローラと感光体ドラムの摺擦負荷と負荷変動を減少させることができる。
【0012】
【発明の実施形態】
以下、本発明を図1〜図4に基づいて説明する。図1は、画像形成装置の一例であるプリンタAの概略構成図、図2はプリンタAに搭載したa−Si系の感光体の層構成を示す断面図、図3はクリーニング装置の拡大説明図である。
【0013】
プリンタAは図1に示すようにドラム状に形成された感光体1の回転方向に沿って帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5、クリーニング装置9、除電装置10が順次配設され、その画像形成として、まず帯電装置2で感光体1表面を帯電し、次に露光装置3により静電潜像を形成し、更に、現像装置4のローラ40で感光体1表面側にトナーを搬送した後、その静電潜像にトナーを付着させてトナー像化し、このトナー像を転写装置5の転写ローラ50で転写紙11に転写させる。一方、転写されなかった残留トナーはクリーニング装置9で除去され、トナーを除去した後の感光体1表面の残留電荷を除電装置10で除電する。続いて次の画像形成を行うために、再度、帯電装置2を作動させて上述の動作を繰り返す。
【0014】
次に上述の構成の中で、本発明の特徴である感光体、トナー、クリーニング装置の構成について説明する。
<感光体>
図2に示すように、導電性基板20上に、例えば、a−Si系の光導電層21を形成し、その上面にa−Si系のSiC、SiN、SiO、SiON、SiCNなどの無機絶縁体または無機半導体から成る表面保護層22が積層されている。
<トナー>
トナーは表面に研磨剤が付着している。このトナーは、それ自体が画像を形成するだけでなく、転写装置5で未転写となった残余のトナーを利用して感光体1の表面を研摩するために用いられる。トナーの構成としては、バインダ樹脂をトナー母粒子として表面にシリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア等の研磨剤を付着させる。この研磨剤をトナー母粒子に付着させる方法としては、静電的に吸着させてもよく、トナー母粒子の表面に熱的・機械的な衝撃を加えることで研磨剤を打ち込んで保持させてもよい。このように打ち込んだ研磨剤の粒子はトナー母粒子に完全に埋没させるのではなく一部突き出すように構成してもよい。
<クリーニング装置>
図3に示すように感光体1の表面に当接し、転写されずに感光体1の表面に残った残留トナーを除去するクリーニングブレード12と、感光体1表面を研摩する2つのクリーニングローラ6a、6bとを備える。また、クリーニングローラ6a、6bの下部にはクリーニングローラ6a、6bに当接し、クリーニングローラ上のトナーを除去する弾性平板部材のスクレーパ7a、7bを備える。スクレーパ7a、7bにより除去されたトナーは搬送スパイラル8により回収される。
【0015】
クリーニングブレード12は感光体1に対する耐磨耗性,ゴム弾性の安定性,確実なクリーニング性からウレタンゴムが用いられ、そのゴム硬度はJIS Aで60〜80度のものが使用される。
【0016】
クリーニングローラ6は、シャフト60a、60bの外周に発泡ウレタンゴムを被覆形成して成る。この発泡ウレタンゴムの硬度としては、発泡ウレタンゴムの中央部にシャフト60a、60bを挿入させた状態で、20〜60度HS(アスカーC)のものが使用される。
【0017】
本発明において、例えばクリーニング装置が2つのクリニングローラ6a、6bを備える場合、2つのクリーニングローラの回転方向は互いに異なり、感光体の研磨力が高く摺擦負荷が大きい、感光体と対向する位置において感光体の移動方向と逆方向に移動する(以下、「カウンター回転する」と表現する)クリーニングローラ6aの回転速度が、感光体の回転速度よりも遅く設定され、且つ、感光体の研磨力が低く摺擦負荷の小さい、感光体と対向する位置において感光体の移動方向と同方向に移動する(以下、「トレール回転する」と表現する)クリーニングローラ6bの回転速度が、感光体の回転速度と同等以上に設定されている。このために、研磨力を維持した状態でクリーニングローラと感光体ドラムの摺擦負荷と負荷変動を減少させることができる。
【0018】
ここで、カウンター回転するクリーニングローラ6aの回転速度は感光体の回転速度に対して0.1〜0.5倍、好ましくは0.2〜0.3倍に設定される。またトレール回転するクリーニングローラ6bの回転速度は感光体の回転速度に対して1〜2倍、好ましくは1.1〜1.3倍に設定される。クリーニングローラ6a、6bの回転速度が前記範囲を下回る場合には感光体の研磨力が低下して画像流れが発生し、前記範囲を上回る場合にはジッタが発生する。
【0019】
上記のように2つのクリーニングローラを備える場合には、図3に示すように、感光体移動方向上流側に設けられたクリーニングローラ6bがトレール回転するように設定し、感光体移動方向下流側に設けられたクリーニングローラ6aがカウンター回転するように設定することが好ましい。
【0020】
このように回転方向を設定することで、図3に示すように、クリーニングブレード12により除去された残留トナーがクリーニングローラ6aの上部(X)に滞留し、クリーニングローラ6aに保持された状態で感光体1の表面を研磨する。その後、クリーニングローラ6aに保持されたトナーはスクレーパ7aにより除去される。スクレーパ7aは金属の平板で構成されており、平板部の一辺がクリーニングローラ6aに一定の圧で当接する。スクレーパ7aで除去されたトナーは、一部がクリーニングローラ6b上に受止められ、一部は搬送スパイラル8によって回収される。
【0021】
クリーニングローラ6bにより受止められたトナーの一部はスクレーパ7bにより除去され、搬送スパイラル8により回収される。スクレーパ7bは金属の平板で構成されており、平板部がクリーニングローラ6bに一定の圧で当接されている。この時、クリーニングローラは発泡弾性部材で構成されており、一部のトナーはスクレーパ7bをすり抜けてクリーニングローラ6bの下部(Y)に滞留し、クリーニングローラ6bに保持された状態で感光体1の表面を研磨する。
【0022】
以上のように、クリーニングブレード12で除去された感光体1表面の残留トナーは、一部はクリーニングローラ6a、6bに保持された状態で感光体1の表面を研磨し、一部は搬送スパイラル8で回収される。この時、感光体の研磨力が高く摺擦負荷が大きいクリーニングローラ6aの回転速度は感光体1の回転速度よりも遅く設定され、感光体の研磨力が低く摺擦負荷の小さいクリーニングローラ6bの回転速度は感光体1の回転速度と同等以上に設定されているために、感光体1表面の研磨力を維持した状態でジッタの発生をなくすことができる。
【0023】
上記実施例は2つのクリーニングローラを設けた場合について説明したが、例えば、クリーニングローラを3つ設ける場合には、2つクリーニングローラの回転方向を互いに異なるように設定し、残り1つのクリーニングローラは、前記2つのクリーニングローラのうちカウンター回転するクリーニングローラに隣接させる場合はトレール回転するように設定し、前記2つのクリーニングローラのうちトレール回転するクリーニングローラに隣接させる場合はカウンター回転するように設定する。そして、それぞれの回転速度を感光体の研磨力と摺擦負荷を考慮した上で総合的に決定すれば良い。
【0024】
クリーニングローラの駆動については特に限定されず、例えば、それぞれのクリーニングローラを独自の駆動系を持つように構成しても良いし、カウンター回転するクリーニングローラのみを独自の駆動系を持つようにし、トレール回転するクリーニングローラを感光体に従動させるように構成しても良い。
【0025】
図3に示すように、カウンター回転するクリーニングローラ6aについては、その上部(X)にトナーが滞留し感光体を研磨する。しかし、このトナー量が必要以上に滞留すると、クリーニングブレード12方向にトナーが戻って、クリーニングブレードからのトナーのすり抜けやクリーニングブレードへのトナーの融着、等の不具合が発生する。このため、非画像形成時(例えば画像形成終了後)に、クリーニングローラ6aの駆動系を切って感光体に従動させて回転させることにより、クリーニングローラ6a上部(X)に滞留した余剰トナーを搬送スパイラル8の方向に移動させるように制御することで前記不具合が発生しない。
【0026】
【発明の効果】
以上のように本発明においては、複数のクリーニングローラを備えたアモルファスシリコン感光体を使用した画像形成装置において、隣接したクリーニングローラの回転方向が互いに異なるように設定されており、前記感光体と対向する位置において、前記感光体の移動方向と逆方向に移動するクリーニングローラの回転速度が、前記感光体の回転速度よりも遅く設定されており、且つ、前記感光体の移動方向と同方向に移動するクリーニングローラの回転速度が、前記感光体の回転速度と同等以上に設定されているので、感光体表面の研磨力を維持した状態でクリーニングローラと感光体ドラムの摺擦負荷と負荷変動を減少させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置の一例であるプリンタの概略説明図である。
【図2】本発明に用いられるa−Si系感光体の層構成を示す図である。
【図3】本発明の画像形成時におけるクリーニング装置の拡大説明図である。
【符号の説明】
1:感光体
2:帯電装置
3:露光装置
4:現像装置
40:現像ローラ
5:転写装置
50:転写ローラ
6a、6b:クリーニングローラ
7a、7b:スクレーパ
8:搬送スパイラル
9:クリーニング装置
10:除電装置
11:転写紙
12:クリーニングブレード
Claims (1)
- アモルファスシリコン系感光体の周囲に、この感光体表面に形成された静電潜像に研磨剤が付着したトナーを供給するための現像装置と、この現像装置により形成されたトナー像を記録材に転写するための転写装置と、前記感光体に残留したトナーを除去するためのクリーニング装置とを配設した画像形成装置であって、
前記クリーニング装置が、前記感光体表面の残留トナーを除去するためのクリーニングブレードと、クリーニングブレードよりも感光体の移動方向の上流側に設けられ前記残留トナーを周面に付着させて前記感光体表面を摺擦研磨する複数のクリーニングローラとを備え、
隣接したクリーニングローラの回転方向が互いに異なるように設定されており、
前記感光体と対向する位置において、前記感光体の移動方向と逆方向に移動するクリーニングローラの回転速度が、前記感光体の回転速度よりも遅く設定されており、且つ、前記感光体の移動方向と同方向に移動するクリーニングローラの回転速度が、前記感光体の回転速度と同等以上に設定されていることを特徴とする画像形成装置。
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- 2003-06-06 JP JP2003161729A patent/JP2004361775A/ja active Pending
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