JP2004361468A - 光導波路 - Google Patents
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Abstract
【課題】光導波路の上部クラッド層高温ベーク処理時にコア層分岐点近傍に発生する気泡の付着を抑制して光学的特性の劣化を防止する。
【解決手段】本発明は、基板2上面全面に下部クラッド層3が形成されると共に、該下部クラッド層3上面に1以上の分岐点13を有するコア層10が長手方向全長に及んで形成され、更に、該コア層10の上面、及び、側面がバッファー層11によって被覆されると共に、該バッファー層11の上面、及び、側面が上部クラッド層12で被覆される光導波路9を提供する。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明は、基板2上面全面に下部クラッド層3が形成されると共に、該下部クラッド層3上面に1以上の分岐点13を有するコア層10が長手方向全長に及んで形成され、更に、該コア層10の上面、及び、側面がバッファー層11によって被覆されると共に、該バッファー層11の上面、及び、側面が上部クラッド層12で被覆される光導波路9を提供する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、1以上の分岐を有する光導波路に関するものであり、特に、光導波路の上部クラッド層形成時にコア層の分岐点近傍に発生する気泡の発生を抑制して光学的特性の劣化防止を図った光導波路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の此種光導波路を図4乃至図6に従って説明する。図4に於て、1は光導波路であり、該光導波路1はシリコン基板等の基板2上面全面に下部クラッド層3が回転塗布により形成され、該下部クラッド層3上面全面に、同じく回転塗布によりコア層4が形成され、更に、フォトリソグラフ法、及び、乾式エッチング法を用いて該コア層4は複数の平面視Y字形に成形され、更に、上部クラッド層5が該コア層4及び露出する前記下部クラッド層3上面を被覆する如く形成されたのち、1個のY字形コア層4を夫々備えた複数の長尺板状にカットされたものである。
【0003】
そして、前記下部クラッド層3、前記コア層4、及び、前記上部クラッド層5はフッ素化ポリイミド樹脂で形成されると共に、該コア層4は該上下部クラッド層5,3と屈折率の異なるフッ素化ポリイミド樹脂によって形成され、該コア層4内に光を閉じ込められる構成となっている。
【0004】
尚、前記下部クラッド層3、コア層4及び上部クラッド層5は回転塗布後、夫々イミド化のための高温ベーク処理が行われる。
【0005】
然しながら、前記光導波路1は、前記コア層4が分岐コア層6,7に分岐する分岐点8に於て、分岐点8を頂点とし図5に示す如く、該分岐コア層6,7が接触状態から、該分岐コア層6,7が該分岐点8から更に下流側に離間するに従って、図6に示す如く、該分岐コア層6,7が互いに離間するように形成されており、従って、前記分岐点8近傍には前記分岐点8を頂点とし前記分岐コア層6,7の膜厚が垂直状の壁となる狭い間隙が形成され、前述の上部クラッド層5を高温ベーク処理する際、このベーク処理で発生した気泡が前記分岐点8近傍で抜けず付着し前記下部クラッド層3、コア層4及び上部クラッド層5と異なる屈折率の該気泡により光導波路の伝搬効率等の光学的特性を著しく劣化させてしまう虞があった。
【0006】
又、同様な光導波路が特許文献1の図8に記載されており、該光導波路を製造する場合においても、前記光導波路1と同様に分岐点近傍に気泡が付着する虞がある。
【0007】
そこで、光導波路の上部クラッド層高温ベーク処理時にコア層分岐点近傍に発生する気泡の付着を抑制して光学的特性の劣化を防止するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【0008】
【特許文献1】
特再表98/37445号公報 (第11頁、第8図)
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、基板上面全面に下部クラッド層が形成されると共に、該下部クラッド層上面に1以上の分岐点を有するコア層が長手方向全長に及んで形成され、更に、該コア層の上面、及び、側面がバッファー層によって被覆されると共に、該バッファー層の上面、及び、側面が上部クラッド層で被覆されることを特徴とする光導波路である。
【0010】
該請求項1記載の発明によれば、該バッファー層が該コア層を被覆することにより、該バッファー層によって濡れ性が向上し、前記上部クラッド層の高温ベーク処理時に発生する気泡の付着を抑制することができ、仮に前記上部クラッド層の高温ベーク処理時に発生する気泡が付着しても、前記バッファー層によって直接前記コア層に付着しないため光導波路の光学的特性の劣化が抑制される。
【0011】
又、請求項2記載の発明は、上記バッファー層は上記上部クラッド層と略同一或いはコア層より小さく且つ上部クラッド層より大きい屈折率である。
【0012】
該請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加え、該バッファー層によってコア層内の光を十分屈折させることが可能となり、仮に前記上部クラッド層の高温ベーク処理時に発生する気泡が付着しても、前記バッファー層によって直接前記コア層に付着しないため、光学的特性の劣化を抑制することができる。
【0013】
更に、請求項3記載の発明は、上記バッファー層の膜厚は上記上部クラッド層の膜厚の略1/10以下である。
【0014】
該請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2記載の発明の効果と同様の効果が期待できる。又、該バッファー層が該コア層を該クラッド層より薄膜で被覆することにより、該バッファー層の高温ベーク処理時の気泡の発生が抑制される。
【0015】
更に又、請求項4記載の発明は、上記分岐点で上記コア層が分岐されて形成される2つの分岐コア層の分岐始端が相互に所定間隔離間している。
【0016】
該請求項4記載の発明によれば、請求項1,2,3又は4記載の発明の効果に加え、上記分岐点での該バッファー層を被覆する上部クラッド層の高温ベーク処理時に発生する気泡の付着を更に円滑に抑制することができ、前記光導波路の光学的特性の劣化を防止することができる
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図1乃至図3に従って詳述する。尚、説明の都合上、従来例と同一構成部分については同一符号を付してその説明を省略する。
【0018】
図1及び図2に於て、9は光導波路であり、該光導波路9は従来例の光導波路(図4に於て1)の下部クラッド層(図4に於て3)上にコア層(図4に於て4)が形成され、該コア層に上部クラッド層(図4に於て5)が被覆される構成に代えて、下部クラッド層3上にY字形のコア層10が形成され、該コア層10の上面及び側面、並びに、露出する該下部クラッド層3上面にバッファー層11が被覆され、且つ、該バッファー層11上面、及び、側面に上部クラッド層12が被覆される構成となっている。
【0019】
更に、詳述すると、前記コア層10は前記下部クラッド層3の上面の長手方向全長に及んでY字形に形成され、分岐点13で、2つの分岐コア層14,15に分岐されると共に、該分岐コア層14,15の分岐始端14a,15aが所定間隔W離間されて形成されている。
【0020】
そして、該コア層10の上面、及び、側面に例えばフッ素化ポリイミド樹脂から成る前記バッファー層11が回転塗布等により1μm以上被覆され、該バッファー層11の上面、及び、側面に同じく回転塗布等によりフッ素化ポリイミド樹脂から成る上部クラッド層12が被覆されている。
【0021】
尚、前記下部クラッド層3、コア層10、バッファー層11及び上部クラッド層12は回転塗布後、夫々イミド化のための高温ベーク処理が行われる。
【0022】
又、前記バッファー層11は前記上部クラッド層12と略同一又はコア屈折率より小さく、且つ、上部クラッド屈折率より大きい屈折率に形成されると共に、バッファー層11の膜厚は該上部クラッド層12の1/10以下の薄膜に形成されている。
【0023】
而して、前記分岐コア層14,15の分岐始端14a,15aが所定間隔W離間されて形成されていることにより、従来例の分岐コア層(図4に於て6,7)間の狭い隙間がなくなり、該分岐コア層14,15を被覆する前記バッファー層11、及び、該バッファー層11を被覆する前記上部クラッド層12の形成が円滑に行われて、特に、前記分岐点13近傍の気泡の発生が抑制され、前記光導波路9の光学的特性の劣化を防止することができる。
【0024】
そして、該コア層10の上面、及び、側面に前記バッファー層11が被覆され、該バッファー層11の上面、及び、側面に上部クラッド層12が被覆されているので、該コア層10の分岐点形成時の例えばイオンエッチングによる荒れが生じた部分が前記バッファー層11によって被覆されることにより濡れ性が良好となり、該上部クラッド層12の高温ベーク処理時に発生する気泡の付着が抑制されて光学的特性の劣化を抑制することができる。
【0025】
又、前記バッファー層11は前記上部クラッド層12と略同一或いはコア層より小さく且つ上部クラッド層より大きい屈折率に形成されるので、該バッファー層11によって前記コア層10内の光を十分屈折させて閉じ込めることが可能となるので、仮に前記上部クラッド層の高温ベーク処理時に発生する気泡が付着しても、前記バッファー層11によって直接前記コア層10に付着しないため、光学的特性の劣化を抑制することができる。
【0026】
更に、前記バッファー層11は前記上部クラッド層12の1/10以下の薄膜に形成されているので、該バッファー層11の高温ベーク処理時の気泡の発生が抑制されると共に、該バッファー層11の形成によって濡れ性が向上し、該上部クラッド層12の高温ベーク処理時に発生する気泡の付着を抑制することができ、前記光導波路9の光学的特性の劣化を防止することができる。
【0027】
又、例え、前記分岐点13近傍に前記上部クラッド層12の高温ベーク処理時に発生する気泡が付着した場合に於ても、図3に示すように該上部クラッド層12の高温ベーク処理時に発生する気泡は前記コア層10から前記バッファー層11の膜厚によって1μm以上離間しているので、該コア層10の光学的特性を劣化させることはない。
【0028】
尚、図3は横軸にコアの壁面から気泡までの距離を示し、縦軸にこの距離による損失を示すグラフである。
【0029】
又、前記バッファー層11の形成については、前記上部クラッド層12の固形分濃度を下げた低粘度材料を用いて回転塗布することも可能であり、又は、該上部クラッド層12と同一組成材料を高速回転塗布することも可能であり、或いは、蒸着重合法により成膜することも可能である。そして、そのいずれの場合に於ても、前述と略同様の効果が期待できる。
【0030】
又、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【0031】
【発明の効果】
本発明は上記一実施の形態に詳述したように、請求項1記載の発明は、基板上面全面に下部クラッド層が形成されると共に、該下部クラッド層上面に1以上の分岐点を有するコア層が長手方向全長に及んで形成され、更に、該コア層の上面、及び、側面がバッファー層によって被覆されると共に、該バッファー層の上面、及び、側面が上部クラッド層で被覆されるので、該バッファー層が該コア層を被覆することにより、該バッファー層によって濡れ性が向上し、前記上部クラッド層の高温ベーク処理時に発生する気泡が円滑に除去可能となり、特に、前記分岐点近傍の気泡の付着が抑制され、前記光導波路の光学的特性の劣化を抑制することができる。
【0032】
又、請求項2記載の発明は、上記バッファー層は上記上部クラッド層と略同一或いはコア層より小さく、且つ、該上部クラッド層より大きい屈折率であるので、請求項1記載の発明の効果に加え、該バッファー層によってコア層内の光を十分屈折させることが可能となり、仮に前記上部クラッド層の高温ベーク処理時に発生する気泡が付着しても、前記バッファー層によって直接前記コア層に付着しないため光学的特性の劣化を抑制することができる。
【0033】
更に、請求項3記載の発明は、上記バッファー層の膜厚は上記上部クラッド層の膜厚の略1/10以下であるので、請求項1又は2記載の発明の効果と同様の効果が期待できる。又、該バッファー層が該コア層を該クラッド層より薄膜で被覆することにより、該バッファー層の高温ベーク処理時の気泡の発生が抑制される。
【0034】
更に又、請求項4記載の発明は、上記分岐点で上記コア層が分岐されて形成される2つの分岐コア層の分岐始端が相互に所定間隔離間しているので、請求項1,2又は3記載の発明の効果に加え、上記分岐点での該バッファー層を被覆する上部クラッド層の高温ベーク処理時に発生する気泡の付着を更に円滑に抑制することができ、前記光導波路の光学的特性の劣化を防止することができる等、正に著大なる効果を奏する発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明の一実施の形態を示し、光導波路の平面図。
(b)図1(a)のA−A線断面図。
【図2】図1(a)のB−B線断面図。
【図3】気泡―導波路間距離と光学的損失の関係を示すグラフ。
【図4】(a)従来例を示し、光導波路の平面図。
(b)図4(a)のC−C線断面図。
【図5】図4(a)のD−D線断面図。
【図6】図4(a)のE−E線断面図。
【符号の説明】
2 基板
3 下部クラッド層
9 光導波路
10 コア層
11 バッファー層
12 上部クラッド層
13 分岐点
14,15 分岐コア層
14a,15a 分岐始端
W 所定間隔
【発明の属する技術分野】
この発明は、1以上の分岐を有する光導波路に関するものであり、特に、光導波路の上部クラッド層形成時にコア層の分岐点近傍に発生する気泡の発生を抑制して光学的特性の劣化防止を図った光導波路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の此種光導波路を図4乃至図6に従って説明する。図4に於て、1は光導波路であり、該光導波路1はシリコン基板等の基板2上面全面に下部クラッド層3が回転塗布により形成され、該下部クラッド層3上面全面に、同じく回転塗布によりコア層4が形成され、更に、フォトリソグラフ法、及び、乾式エッチング法を用いて該コア層4は複数の平面視Y字形に成形され、更に、上部クラッド層5が該コア層4及び露出する前記下部クラッド層3上面を被覆する如く形成されたのち、1個のY字形コア層4を夫々備えた複数の長尺板状にカットされたものである。
【0003】
そして、前記下部クラッド層3、前記コア層4、及び、前記上部クラッド層5はフッ素化ポリイミド樹脂で形成されると共に、該コア層4は該上下部クラッド層5,3と屈折率の異なるフッ素化ポリイミド樹脂によって形成され、該コア層4内に光を閉じ込められる構成となっている。
【0004】
尚、前記下部クラッド層3、コア層4及び上部クラッド層5は回転塗布後、夫々イミド化のための高温ベーク処理が行われる。
【0005】
然しながら、前記光導波路1は、前記コア層4が分岐コア層6,7に分岐する分岐点8に於て、分岐点8を頂点とし図5に示す如く、該分岐コア層6,7が接触状態から、該分岐コア層6,7が該分岐点8から更に下流側に離間するに従って、図6に示す如く、該分岐コア層6,7が互いに離間するように形成されており、従って、前記分岐点8近傍には前記分岐点8を頂点とし前記分岐コア層6,7の膜厚が垂直状の壁となる狭い間隙が形成され、前述の上部クラッド層5を高温ベーク処理する際、このベーク処理で発生した気泡が前記分岐点8近傍で抜けず付着し前記下部クラッド層3、コア層4及び上部クラッド層5と異なる屈折率の該気泡により光導波路の伝搬効率等の光学的特性を著しく劣化させてしまう虞があった。
【0006】
又、同様な光導波路が特許文献1の図8に記載されており、該光導波路を製造する場合においても、前記光導波路1と同様に分岐点近傍に気泡が付着する虞がある。
【0007】
そこで、光導波路の上部クラッド層高温ベーク処理時にコア層分岐点近傍に発生する気泡の付着を抑制して光学的特性の劣化を防止するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【0008】
【特許文献1】
特再表98/37445号公報 (第11頁、第8図)
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、基板上面全面に下部クラッド層が形成されると共に、該下部クラッド層上面に1以上の分岐点を有するコア層が長手方向全長に及んで形成され、更に、該コア層の上面、及び、側面がバッファー層によって被覆されると共に、該バッファー層の上面、及び、側面が上部クラッド層で被覆されることを特徴とする光導波路である。
【0010】
該請求項1記載の発明によれば、該バッファー層が該コア層を被覆することにより、該バッファー層によって濡れ性が向上し、前記上部クラッド層の高温ベーク処理時に発生する気泡の付着を抑制することができ、仮に前記上部クラッド層の高温ベーク処理時に発生する気泡が付着しても、前記バッファー層によって直接前記コア層に付着しないため光導波路の光学的特性の劣化が抑制される。
【0011】
又、請求項2記載の発明は、上記バッファー層は上記上部クラッド層と略同一或いはコア層より小さく且つ上部クラッド層より大きい屈折率である。
【0012】
該請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加え、該バッファー層によってコア層内の光を十分屈折させることが可能となり、仮に前記上部クラッド層の高温ベーク処理時に発生する気泡が付着しても、前記バッファー層によって直接前記コア層に付着しないため、光学的特性の劣化を抑制することができる。
【0013】
更に、請求項3記載の発明は、上記バッファー層の膜厚は上記上部クラッド層の膜厚の略1/10以下である。
【0014】
該請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2記載の発明の効果と同様の効果が期待できる。又、該バッファー層が該コア層を該クラッド層より薄膜で被覆することにより、該バッファー層の高温ベーク処理時の気泡の発生が抑制される。
【0015】
更に又、請求項4記載の発明は、上記分岐点で上記コア層が分岐されて形成される2つの分岐コア層の分岐始端が相互に所定間隔離間している。
【0016】
該請求項4記載の発明によれば、請求項1,2,3又は4記載の発明の効果に加え、上記分岐点での該バッファー層を被覆する上部クラッド層の高温ベーク処理時に発生する気泡の付着を更に円滑に抑制することができ、前記光導波路の光学的特性の劣化を防止することができる
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図1乃至図3に従って詳述する。尚、説明の都合上、従来例と同一構成部分については同一符号を付してその説明を省略する。
【0018】
図1及び図2に於て、9は光導波路であり、該光導波路9は従来例の光導波路(図4に於て1)の下部クラッド層(図4に於て3)上にコア層(図4に於て4)が形成され、該コア層に上部クラッド層(図4に於て5)が被覆される構成に代えて、下部クラッド層3上にY字形のコア層10が形成され、該コア層10の上面及び側面、並びに、露出する該下部クラッド層3上面にバッファー層11が被覆され、且つ、該バッファー層11上面、及び、側面に上部クラッド層12が被覆される構成となっている。
【0019】
更に、詳述すると、前記コア層10は前記下部クラッド層3の上面の長手方向全長に及んでY字形に形成され、分岐点13で、2つの分岐コア層14,15に分岐されると共に、該分岐コア層14,15の分岐始端14a,15aが所定間隔W離間されて形成されている。
【0020】
そして、該コア層10の上面、及び、側面に例えばフッ素化ポリイミド樹脂から成る前記バッファー層11が回転塗布等により1μm以上被覆され、該バッファー層11の上面、及び、側面に同じく回転塗布等によりフッ素化ポリイミド樹脂から成る上部クラッド層12が被覆されている。
【0021】
尚、前記下部クラッド層3、コア層10、バッファー層11及び上部クラッド層12は回転塗布後、夫々イミド化のための高温ベーク処理が行われる。
【0022】
又、前記バッファー層11は前記上部クラッド層12と略同一又はコア屈折率より小さく、且つ、上部クラッド屈折率より大きい屈折率に形成されると共に、バッファー層11の膜厚は該上部クラッド層12の1/10以下の薄膜に形成されている。
【0023】
而して、前記分岐コア層14,15の分岐始端14a,15aが所定間隔W離間されて形成されていることにより、従来例の分岐コア層(図4に於て6,7)間の狭い隙間がなくなり、該分岐コア層14,15を被覆する前記バッファー層11、及び、該バッファー層11を被覆する前記上部クラッド層12の形成が円滑に行われて、特に、前記分岐点13近傍の気泡の発生が抑制され、前記光導波路9の光学的特性の劣化を防止することができる。
【0024】
そして、該コア層10の上面、及び、側面に前記バッファー層11が被覆され、該バッファー層11の上面、及び、側面に上部クラッド層12が被覆されているので、該コア層10の分岐点形成時の例えばイオンエッチングによる荒れが生じた部分が前記バッファー層11によって被覆されることにより濡れ性が良好となり、該上部クラッド層12の高温ベーク処理時に発生する気泡の付着が抑制されて光学的特性の劣化を抑制することができる。
【0025】
又、前記バッファー層11は前記上部クラッド層12と略同一或いはコア層より小さく且つ上部クラッド層より大きい屈折率に形成されるので、該バッファー層11によって前記コア層10内の光を十分屈折させて閉じ込めることが可能となるので、仮に前記上部クラッド層の高温ベーク処理時に発生する気泡が付着しても、前記バッファー層11によって直接前記コア層10に付着しないため、光学的特性の劣化を抑制することができる。
【0026】
更に、前記バッファー層11は前記上部クラッド層12の1/10以下の薄膜に形成されているので、該バッファー層11の高温ベーク処理時の気泡の発生が抑制されると共に、該バッファー層11の形成によって濡れ性が向上し、該上部クラッド層12の高温ベーク処理時に発生する気泡の付着を抑制することができ、前記光導波路9の光学的特性の劣化を防止することができる。
【0027】
又、例え、前記分岐点13近傍に前記上部クラッド層12の高温ベーク処理時に発生する気泡が付着した場合に於ても、図3に示すように該上部クラッド層12の高温ベーク処理時に発生する気泡は前記コア層10から前記バッファー層11の膜厚によって1μm以上離間しているので、該コア層10の光学的特性を劣化させることはない。
【0028】
尚、図3は横軸にコアの壁面から気泡までの距離を示し、縦軸にこの距離による損失を示すグラフである。
【0029】
又、前記バッファー層11の形成については、前記上部クラッド層12の固形分濃度を下げた低粘度材料を用いて回転塗布することも可能であり、又は、該上部クラッド層12と同一組成材料を高速回転塗布することも可能であり、或いは、蒸着重合法により成膜することも可能である。そして、そのいずれの場合に於ても、前述と略同様の効果が期待できる。
【0030】
又、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【0031】
【発明の効果】
本発明は上記一実施の形態に詳述したように、請求項1記載の発明は、基板上面全面に下部クラッド層が形成されると共に、該下部クラッド層上面に1以上の分岐点を有するコア層が長手方向全長に及んで形成され、更に、該コア層の上面、及び、側面がバッファー層によって被覆されると共に、該バッファー層の上面、及び、側面が上部クラッド層で被覆されるので、該バッファー層が該コア層を被覆することにより、該バッファー層によって濡れ性が向上し、前記上部クラッド層の高温ベーク処理時に発生する気泡が円滑に除去可能となり、特に、前記分岐点近傍の気泡の付着が抑制され、前記光導波路の光学的特性の劣化を抑制することができる。
【0032】
又、請求項2記載の発明は、上記バッファー層は上記上部クラッド層と略同一或いはコア層より小さく、且つ、該上部クラッド層より大きい屈折率であるので、請求項1記載の発明の効果に加え、該バッファー層によってコア層内の光を十分屈折させることが可能となり、仮に前記上部クラッド層の高温ベーク処理時に発生する気泡が付着しても、前記バッファー層によって直接前記コア層に付着しないため光学的特性の劣化を抑制することができる。
【0033】
更に、請求項3記載の発明は、上記バッファー層の膜厚は上記上部クラッド層の膜厚の略1/10以下であるので、請求項1又は2記載の発明の効果と同様の効果が期待できる。又、該バッファー層が該コア層を該クラッド層より薄膜で被覆することにより、該バッファー層の高温ベーク処理時の気泡の発生が抑制される。
【0034】
更に又、請求項4記載の発明は、上記分岐点で上記コア層が分岐されて形成される2つの分岐コア層の分岐始端が相互に所定間隔離間しているので、請求項1,2又は3記載の発明の効果に加え、上記分岐点での該バッファー層を被覆する上部クラッド層の高温ベーク処理時に発生する気泡の付着を更に円滑に抑制することができ、前記光導波路の光学的特性の劣化を防止することができる等、正に著大なる効果を奏する発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明の一実施の形態を示し、光導波路の平面図。
(b)図1(a)のA−A線断面図。
【図2】図1(a)のB−B線断面図。
【図3】気泡―導波路間距離と光学的損失の関係を示すグラフ。
【図4】(a)従来例を示し、光導波路の平面図。
(b)図4(a)のC−C線断面図。
【図5】図4(a)のD−D線断面図。
【図6】図4(a)のE−E線断面図。
【符号の説明】
2 基板
3 下部クラッド層
9 光導波路
10 コア層
11 バッファー層
12 上部クラッド層
13 分岐点
14,15 分岐コア層
14a,15a 分岐始端
W 所定間隔
Claims (4)
- 基板上面全面に下部クラッド層が形成されると共に、該下部クラッド層上面に1以上の分岐点を有するコア層が長手方向全長に及んで形成され、更に、該コア層の上面、及び、側面がバッファー層によって被覆されると共に、該バッファー層の上面、及び、側面が上部クラッド層で被覆されることを特徴とする光導波路。
- 上記バッファー層は上記上部クラッド層と略同一或いはコア層より小さく、且つ、該上部クラッド層より大きい屈折率であることを特徴とする請求項1記載の光導波路。
- 上記バッファー層の膜厚は上記上部クラッド層の膜厚の略1/10以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の光導波路。
- 上記分岐点で上記コア層が分岐されて形成される2つの分岐コア層の分岐始端が相互に所定間隔離間していることを特徴とする請求項1,2又は3記載の光導波路。
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