JP2004361096A - 電子ビーム放出管とこれを用いた電子ビーム照射装置 - Google Patents

電子ビーム放出管とこれを用いた電子ビーム照射装置 Download PDF

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川 哲 也 平
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Abstract

【課題】故障や劣化を生じた照射窓やカソード等の部品だけを交換して再生使用することができると同時に、電子ビーム照射装置に取り付けて使用する際に面倒なコンディショニング作業を行う必要がない電子ビーム放出管を提供する。
【解決手段】胴部1に内装された電子発生部2と対向する位置に電子ビームを透過させる照射窓5が設けられたヘッド部3に、電子ビーム放出管E1の内部を真空排気する真空排気装置への配管接続口6が設けられ、該ヘッド部3と胴部1との連通部9を開閉自在なゲート板11で遮断して胴部1内を気密状態とするゲートバルブ10が設けられている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内部を高真空に排気しながら電子ビームを放出させるタイプの電子ビーム放出管とこれを用いた電子ビーム照射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の電子ビーム照射装置は、加速電圧150kV以上、照射窓の面積が80cm以上で、稼動中に内部を高真空に排気しているものが一般的であるが、電子ビーム放出管に相当する部分を他の部分から切り離して着脱できる構造にはなっていない。
【0003】図4はその代表的な従来装置の構成を示し、高真空ポンプ119によって真空排気される円筒形チャンバー104内の中央部にカソード114とグリッド115が配置されている。カソード114とグリッド115は保守を容易にするために通常カソードユニット116に収められており、この部分が電子ビーム照射装置の電子発生部103を構成している。
【0004】そして、チャンバー104の外壁の一部に、電子ビームを透過する照射窓101が設けられている。照射窓101は、電子を透過する薄い照射窓箔105からなり、これをサポート板118と窓箔押さえ板117とで保持した部分が電子ビーム照射装置のヘッド部102を構成している。
【0005】装置の運転中は、カソード114とグリッド115に高電圧電源でそれぞれ負の高電圧電位がかけられて、アースに接続されたチャンバー104及び照射窓箔105との間に高電圧の電界が生じる。これによりカソード114で発生しグリッド115に集められた電子が照射窓箔105に向けて加速され、電子の一部は照射窓箔105を突き抜けてチャンバー104の外部へ放出される。
【0006】この種の装置において、使用中に故障や劣化を生じやすく、また最も早く寿命が尽きるのは照射窓101を構成する照射窓箔105である。また、電子発生部103のカソード114も消耗部品に指定されている。これらの部品は、故障や劣化による不具合を生じなくとも、予め定められた使用期間ごとに定期交換される。
【0007】また、電子ビーム放出管に相当する部分を着脱することができない図4の従来装置は、該装置の設置現場で照射窓箔105やカソード114の交換作業を行わなければならないが、その作業手順は下記(1)〜(7)の如く非常に煩雑なものであるから、装置の稼動を半日から1日程度停止しなければならず、また、交換作業は専門的な知識と経験を必要とするので、熟練した技術者のみしか行うことができないという不便があった。
(1)装置の稼動を停止する。
(2)チャンバー104内に大気(又は大気圧の不活性ガス)を導入する。
(3)旧い照射窓箔105とその保持部品117、118を取り外してヘッド 部102を開放する。
(4)チャンバー104内のカソードユニット116を分解し、旧いカソード 114を取り外して新品と交換する。
(5)新品の照射窓箔105を保持部品117、118でヘッド部102に取 り付ける。
(6)高真空ポンプ119でチャンバー104内を真空排気する。
(7)装置の電源を入れて、装置の状態を観察しながら加速電圧及び電流を定 格仕様に達するまで徐々に高めるコンディショニング作業を行う。
【0008】なお、従来装置の中には、照射窓やカソードの交換作業を簡略化するためにそれらが設けられた電子ビーム放出管を装置から取り外して一括交換できるようにしたものもある。この種の装置に用いる電子ビーム放出管としては、電子発生部が内装される胴部と、その電子発生部で発生した電子ビームを照射する窓穴と該窓穴を気密封止する電子透過性の照射窓が設けられたヘッド部とで、真空管の如き高真空の気密容器を形成することによって真空排気装置を不要とした真空管タイプの電子ビーム放出管があり(特許文献1参照)、このタイプの電子ビーム放出管は、これを新品と交換して、その新品のコンディショニング作業を行うだけで、交換作業が完了するので、装置の稼動停止時間が著しく短縮されるという利点がある。
【0009】
【特許文献1】
特表平10−512092号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、真空管タイプの電子ビーム放出管は、十数万〜数十万円もする非常に高価な商品でありながら、再生利用することができない使い捨て商品であり、そのうえ、照射窓とカソードのいずれか一方が故障すれば、新品と交換しなければならないという不利がある。
【0011】つまり、照射窓の耐久寿命は、通常1000〜2000時間とされているのに対し、カソードの耐久寿命は、通常5000時間以上であり、また、その他の部品は更にそれ以上の耐久寿命を有しているが、真空管タイプの電子ビーム放出管は、耐久寿命の最も短い照射窓の使用期間が経過すると、カソードその他の部品の使用期間が未だ経過していなくとも、その電子ビーム放出管を新品と交換しなければならないという経済的な不利がある。
【0012】まして、照射窓の使用期間が経過しないうちに、その照射窓やカソード等に突発的な故障が生じて、高価な電子ビーム放出管の交換を余儀なくされるとなれば、著しく不経済であると同時に、省資源の観点からも好ましくない。
【0013】また、真空管タイプの電子ビーム放出管も、これを電子ビーム照射装置に取り付けた後に、コンディショニング作業を行う必要があり、そのコンディショニング作業は通常1時間〜数時間を要するので、その間は電子ビーム照射装置の稼動を停止しなければならず、その分だけ装置の稼働率が低下する。
【0014】そこで本発明は、故障や劣化を生じた照射窓やカソード等の部品だけを交換して何度も再生使用することができると同時に、電子ビーム照射装置に取り付けて使用する際に面倒なコンディショニング作業を行う必要がない電子ビーム放出管を提供すること等を技術的課題としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、電子発生部が内装される胴部と、その電子発生部と対向する位置に電子ビームを透過させる照射窓が設けられたヘッド部とで成る電子ビーム放出管において、前記ヘッド部に真空排気装置への配管接続口が設けられ、該ヘッド部と前記胴部との連通部を開閉自在なゲート板で遮断して前記胴部内を気密状態とするゲートバルブが設けられていることを特徴とする。
【0016】本発明の電子ビーム放出管を使用する際は、ゲートバルブのゲート板をヘッド部と胴部との連通部から退避させてその連通部を開放すると共に、ヘッド部に設けられた真空排気装置への配管接続口から真空排気して放出管内を高真空に維持した状態で電子ビームを照射する。
【0017】そして、その使用中に、ヘッド部に設けられた照射窓が故障や劣化を生じたときは、電子ビームの照射を停止して、ヘッド部に設けられた真空排気装置への配管接続口から放出管内へ不活性ガスを導入するか、あるいは放出管内を高真空に維持したまま、ヘッド部と胴部との連通部をゲートバルブのゲート板で遮断して胴部内を気密状態とした後、ヘッド部の配管接続口から大気を導入して、電子ビーム放出管を電子ビーム照射装置から取り外し、これを新しい電子ビーム放出管と一括交換する。
【0018】上記の如くして電子ビーム照射装置から取り外した旧い電子ビーム放出管は、胴部内がゲートバルブにより不活性ガス雰囲気あるいは真空状態に保持されているので、その胴部内に内装された電子発生部のカソードとして、例えば活性化後に大気又は酸素、水蒸気を含む雰囲気等に晒されると化学変化を起こして電子放出特性が著しく低下して事実上使用不能となる酸化物カソードを用いている場合であっても、該カソードが大気等に晒されて使用不能となることを回避できる。
【0019】したがって、旧い電子ビーム放出管は、未だ使用可能なカソードを交換することなく、故障や劣化を生じた照射窓をヘッド部から取り外して新品の照射窓と交換するだけで再生使用することができ、しかも、その使用の際に、カソードを活性化処理する必要がないので、これを電子ビーム照射装置に取り付けてヘッド部の配管接続口から真空排気すると共に、該ヘッド部と胴部との連通部を遮断するゲートバルブのゲート板を開放するだけで、コンディショニング作業を行うことなく電子ビーム照射装置を再稼動させることができる。
【0020】次に、請求項4に係る発明は、電子発生部が内装される胴部と、その電子発生部と対向する位置に電子ビームの放出口が設けられたヘッド部とで成る電子ビーム放出管において、前記放出口もしくは該放出口と前記胴部との間を開閉自在なゲート板で遮断して前記胴部内を気密状態とするゲートバルブが設けられていることを特徴とする。
【0021】本発明の電子ビーム放出管は、これを取り付ける電子ビーム照射装置の照射処理室内を高真空に排気してその照射処理室内の被処理物に電子ビームを照射するのに好適な電子ビーム放出管であって、その使用前に、これを予め電子ビーム照射装置の照射処理室と同じように高真空に排気される真空チャンバに取り付けて、ヘッド部に設けられた電子ビームの放出口から放出管内を真空排気し、放出管内の気密状態を検査するリークチェックを行うと共に、高電圧電源に接続してコンディショニングなどの前処理を行った後、放出管の内部を真空状態としたままゲートバルブを閉鎖するか、あるいは真空チャンバ内に窒素等の不活性ガスを導入して放出管内を不活性ガス雰囲気とした状態でゲートバルブを閉鎖する。
【0022】これにより、本発明の電子ビーム放出管は、電子ビームの放出口が設けられたヘッド部を真空チャンバで成る被処理物の照射処理室に気密に取り付けて、該照射処理室内を高真空に排気すると共に、電子ビームの放出口もしくはその放出口と胴部との間を遮断していたゲートバルブのゲート板を開放するだけで、コンディショニングなどの前処理を行うことなく直ちに使用開始することができるので、電子ビーム照射装置の稼働率が大幅に向上する。
【0023】また、電子ビームが照射窓を透過して照射されるようになっていると、その照射窓を透過した電子のエネルギー強度にバラツキが生じ、特に照射窓を形成する金属箔の厚みが大きいほどそのバラツキが顕著になって電子到達距離を一定に制御することが困難であるが、本発明の電子ビーム放出管は、ゲートバルブを設けることによって照射窓を不要とし、照射窓によって電子のエネルギー強度にバラツキが生ずるという問題を解消することができる。
【0024】次に、請求項5に係る発明は、請求項4の電子ビーム放出管を用いた電子ビーム照射装置であって、該電子ビーム照射装置は、電子発生部が内装される胴部と、その電子発生部と対向する位置に電子ビームの放出口が設けられたヘッド部とで成り、前記放出口もしくは該放出口と前記胴部との間を開閉自在なゲート板で遮断して前記胴部内を気密状態とするゲートバルブが設けられた電子ビーム放出管が、前記放出口から照射する電子ビームで処理する被処理物が搬入出される照射処理室に対して気密に取り付けられると共に、該照射処理室が、その内部を高真空に排気する真空チャンバに構成されていることを特徴とする。
【0025】本発明の電子ビーム照射装置は、真空チャンバで成る照射処理室内を真空排気して、該照射処理室に対して気密に取り付けられた電子ビーム放出管内を電子ビームの放出口を通じて真空排気することにより、その放出管内を高真空に保持するための照射窓が不要となって、電子ビームを照射窓を透過させることなく直接照射できるので、照射窓によって電子のエネルギー強度にバラツキが生ずるという問題を解消することができる。
【0026】また、被処理物を照射処理室に搬入出する際に、電子ビーム放出管に設けられたゲートバルブを閉鎖して、その胴部内を気密状態に保持することができるので、胴部に内装された電子発生部のカソードして例えば酸化物カソードを用いた場合でも、該カソードが被処理物の搬入出口から照射処理室に侵入する大気によって電子放出特性の低下を生ずることを防止できる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面によって具体的に説明する。
図1は本発明に係る電子ビーム放出管の一例を示す断面図、図2はその要部の構成を概略的に示す断面図、図3は本発明に係る電子ビーム放出管の他の例とこれを用いた電子ビーム照射装置の一例を示す断面図である。
【0028】図1の電子ビーム放出管E1は、電子発生部2が内装される胴部1と、その電子発生部2と対向する位置に電子ビームを放出させる窓穴4を気密封止する照射窓5が設けられたヘッド部3とで形成されている。胴部1は、ガラス等の電気絶縁材料で成形され、ヘッド部3は、窓穴4と真空排気装置(図示せず)への配管接続口6とを有するヘッド本体3aと、該ヘッド本体3aに電子ビームを透過させる照射窓5の外縁部を密着させるように圧し当てて窓穴4を気密封止する押圧体3bとで構成され、該押圧体3bが、ヘッド本体3aに対してボルト7で脱着可能に締め止められるように構成されている。
【0029】ヘッド部3を構成するヘッド本体3aと押圧体3bは、いずれもX線を透過させにくいステンレス等の金属で形成され、押圧体3bには、その中央部にヘッド本体3aの窓穴4と連通する広角穴8が穿設されている。
【0030】そして、胴部1とヘッド部3との間には、それら胴部1とヘッド部3との連通部9を開閉自在なゲート板11で遮断して胴部1内を気密状態とするステンレス製のゲートバルブ10が介装されている。このゲートバルブ10は、連通部9の内径と略同等程度の開口径を有するバルブシート部12と、該バルブシート部12に対してゲート板11を進退させる開閉操作用のハンドル13とを有し、該ゲートバルブ10に対して、胴部1とヘッド部3とが、バルブシート部12を挟んでその両面側から各々ボルト14、15によって脱着可能に固定されている。
【0031】なお、ゲートバルブ10は、手動式に限らず、空圧式等の遠隔操作式を用いてもよい。また、胴部1は、ゲートバルブ10に対してステンレス製の継手金具16を介して固定されるようになっており、継手金具16は、その上端部に嵌着する胴部1の先端部外周に装着されたO−リング17を押圧して圧縮変形させるO−リング押さえ18をボルト19で締め止めることによって胴部1を脱着可能に取り付けると同時に、その胴部1の取り付け箇所を気密に封止し、また、その下端部をシールリング等(図示せず)を介してゲートバルブ10にボルト14で締め止める構造になっている。
【0032】胴部1に内装された電子発生部2は、酸化物カソード等で成るカソード20と、グリッド21とで構成され、それらがカソード20から生ずる電子の散乱を遮蔽するシールド管22内に配設されている。一方、ヘッド部3には、ヘッド本体3aに設けた配管接続口6の開口端に真空排気装置の真空配管に接続するための継手23が設けられると共に、照射窓5を冷却するための冷却気体を供給する気体通路24が設けられている。
【0033】しかして、図1の電子ビーム放出管E1を使用する際は、ゲートバルブ10のハンドル13をバルブ開方向に駆動して、ゲート板11を胴部1とヘッド部3との連通部9に開口するバルブシート部12から退避させてその連通部9を開放すると共に、ヘッド部3に設けられた真空排気装置への配管接続口6から真空排気して放出管内を高真空に維持した状態で電子ビームを照射する。
【0034】そして、使用中に、ヘッド部3に取り付けた照射窓5に故障や劣化が生じたときは、電子ビームの照射を停止し、ゲートバルブ10のハンドル13をバルブ閉方向に駆動してゲート板11を胴部1とヘッド部3との連通部9に進出させ、該ゲート板11でその連通部9を遮断した後、ヘッド部3に設けられた真空排気装置への配管接続口6から該ヘッド部3内に大気又は大気圧の不活性ガスを導入し、電子発生部2が内装された胴部1内だけをゲートバルブ10のゲート板11で真空状態に保持して、電子ビーム放出管を電子ビーム照射装置から取り外し、これを新しい電子ビーム放出管と一括交換する。
【0035】上記の如くして電子ビーム照射装置から取り外した旧い電子ビーム放出管は、胴部1内がゲートバルブ10のゲート板11により真空状態に保持されているので、その胴部1に内装された電子発生部2のカソード20が酸化物カソードで成るものであっても、該カソード22が大気等に晒されて使用不能になることが防止される。
【0036】したがって、未だ使用可能なカソード20は交換することなく、故障や劣化を生じた照射窓5を新品の照射窓と交換するだけで、旧い電子ビーム放出管を再生使用することができる。また、照射窓の交換作業は、ヘッド部3のヘッド本体3aにボルト7で締め止められた押圧体3bを脱着するだけで簡単且つ迅速に行うことができる。なお、本発明のヘッド部は、押圧体3bを有さず照射窓をロウ付け等によって取り付けるものであってもよい。つまり、ヘッド部が、例えばゲートバルブ10に対して脱着可能に取り付けられるヘッド本体3bに相当する部分のみで構成されて、該ヘッド部にロウ付け等の接着手段で取り付けた照射窓が故障や劣化を生じたときは、そのヘッド部と新品の照射窓を取り付けたヘッド部とを交換するようにしてもよい。
【0037】また、カソード20が故障や劣化を生じたときは、継手金具16に対してO−リング押さえ18を締め止めるボルト19で固定されている胴部1を継手金具16から取り外して、胴部1内の電子発生部2に設けられているカソード20を新品の酸化物カソード等と簡単に交換することができる。
【0038】そして、カソード20を交換した後は、胴部1を再び継手金具16に取り付け、ゲートバルブ10のゲート板11をヘッド部3と胴部1との連通部9から退避させてその連通部9を開放した状態で、ヘッド部3に設けられた配管接続口6から真空排気して放出管E1内の気密状態を検査するリークチェックを行うと共に、高電圧電源に接続してコンディショニング等の前処理を行った後、放出管E1内に窒素等の不活性ガスを充填するか、あるいは放出管E1内を真空排気した状態のままゲートバルブ10を閉鎖して、該ゲートバルブ10のゲート板11で胴部1内を気密状態に保持し、電子ビーム放出管E1の再生作業が完了する。
【0039】このようにして再生された電子ビーム放出管E1は、これを電子ビーム照射装置に取り付けてヘッド部3の配管接続口6から真空排気すると共に、ゲートバルブ10を開放してゲート板11をヘッド部3と胴部1との連通部9から退避させるだけで、コンディショニング等の前処理を行うことなく直ちに使用開始することができるので、電子ビーム照射装置の稼働率が著しく向上する。
【0040】また、新旧の電子ビーム放出管を電子ビーム照射装置に脱着交換する際と、カソード20を交換する際に開閉されるゲートバルブ10は、その開閉頻度がさほど多くないので、短期間で耐久性が損なわれるおそれが少なく、交換の必要は殆どない。また、胴部1とヘッド部3は、ゲートバルブ10に対して脱着可能に固定されているので、万一破損してもゲートバルブ10から取り外して簡単に交換することができるし、各々の内部を定期的に洗浄することもできる。
【0041】次に、図3に示す電子ビーム放出管E2は、カソード20とグリッド21とを有する電子発生部2が内装される胴部1と、その電子発生部2と対向する位置に電子ビームの放出口26が設けられたヘッド部25とで形成され、その放出口26もしくは放出口26と胴部1との間を開閉自在なゲート板で遮断して胴部1内を気密状態とするゲートバルブ27が設けられている。
【0042】ゲートバルブ27は、図2に示すゲートバルブ10の如くゲート板11を進退させるバルブシート部12を有しており、該バルブシート部12がそのまま電子ビームの放出口26となるか、もしくはゲートバルブ27にそのバルブシート部と連通する開口部を有する別部材を取り付けて放出口26が形成されている。つまり、ゲートバルブ27は、それ自体が電子ビームの放出口26を設けたヘッド部25を形成する場合や、別途電子ビームの放出口26が設けられたヘッド部25と胴部1との間に介装される場合であってもよい。
【0043】そして、電子ビーム放出管E2は、電子ビーム照射装置の照射処理室29に設けられた電子ビームの照射口30に対して、該照射口30に電子ビームの放出口26を連通させるようにして気密に且つ脱着可能に取り付けられるようになっている。
【0044】照射処理室29は、真空中で電子ビームの照射処理を施すことが要求される半導体等の被処理物31を処理するもので、該照射処理室29に設けられた真空排気口31からその内部を高真空に排気すると共に、該照射処理室29内に開口する電子ビーム放出管E2の放出口26を通じてその放出管E2内部も高真空に排気した状態で、該放出管E2から被処理物31に対して電子ビームを照射するようになっている。
【0045】つまり、照射処理室29は、その内部のみならず電子ビーム放出管E2内も高真空に排気する真空チャンバで構成され、該照射処理室29には、被処理物31の搬入出口を開閉するエアロック・ゲート32、33が設けられている。
【0046】また、図3の電子ビーム照射装置には、照射処理室29に設けられたエアロック・ゲート32、33と電子ビーム放出管E2に設けられたゲートバルブ27とを開閉制御するコントローラ34が設けられている。
【0047】コントローラ34は、例えば、被処理物31が照射処理室29内に搬入されると、エアロック・ゲート32、33を閉鎖させて照射処理室29内を気密状態とし、該照射処理室29に設けられた真空排気口35から真空排気してその内部が高真空となったときに、電子ビーム放出管E2の放出口26を閉鎖しているゲートバルブ27を開放してその放出口26からの電子ビームの照射が可能な状態とする。そして、電子ビーム放出管E2の放出口26から電子ビームが照射されて該電子ビームによる被処理物31の処理が終了すると、ゲートバルブ27を閉鎖させて電子ビーム放出管E2内を高真空に保持し、その状態で照射処理室29の真空排気口35から該照射処理室29内に大気又は不活性ガスが導入されると、エアロック・ゲート32、33を開放させて処理済みの被処理物31の搬出と、新たな被処理物31の搬入が行えるようにする。
【0048】このようにすれば、電子ビーム放出管E2の放出口26を照射窓によって気密封止する必要がないので、電子ビーム放出管の構成部品中で最も耐久寿命が短い照射窓を不要とすることができ、それによって、電子ビーム放出管の使用寿命が飛躍的に向上すると同時に、そのコストも大幅に低減されるだけでなく、電子ビームが照射窓を透過せずに照射されるので電子のエネルギー強度にバラツキが生ずるという問題も解消することができる。
【0049】また、使用中に電子発生部2のカソード20が故障や劣化を生じた電子ビーム放出管E2は、これを照射処理室29の照射口30から取り外して新しい電子ビーム放出管E2と一括交換した後、故障や劣化を生じたカソード20だけを新品のカソードと交換して再生する。
【0050】そして、カソード20を新品のカソードと交換して再生された電子ビーム放出管E2は、これを使用前に、電子ビーム照射装置の照射処理室29と同じように内部を高真空に排気する真空チャンバに取り付けて、放出管E2内を真空排気し、放出管E2内部の気密状態を検査するリークチェックを行うと共に、その状態で高電圧電源に接続してコンディショニングを行い、そのコンディショニング作業が終了した後、放出管E2内を真空排気した状態のままゲートバルブ27を閉鎖するか、あるいは真空チャンバ内に導入する窒素等の不活性ガスを放出管E2内に充填した状態でゲートバルブ27を閉鎖しておく。
【0051】これにより、再生した電子ビーム放出管E2は、照射処理室29に取り付けてからコンディショニング作業を行う必要もなく、直ちに使用開始することができるので、電子ビーム照射装置の稼働率が著しく向上する。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、故障や劣化を生じた照射窓やカソード等の部品だけを交換して何度も再生使用することができると同時に、電子ビーム照射装置に取り付けて使用する際に面倒なコンディショニング作業を行う必要がない電子ビーム放出管を提供することでき、更に、電子のエネルギー強度にバラツキを生じさせる照射窓を不要にすることができる等の種々の優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電子ビーム放出管の一例を示す断面図
【図2】本発明に係る電子ビーム放出管の要部の構成例を概略的に示す断面図
【図3】本発明に係る電子ビーム放出管の他の例とこれを用いた電子ビーム照射装置の一例を示す断面図
【図4】従来の電子ビーム照射装置とその電子ビーム放出管に相当する部分を示す断面図
【符号の説明】
E1……………電子ビーム放出管
1………………胴部
2………………電子発生部
3………………ヘッド部
4………………窓穴
5………………照射窓
6………………真空排気装置への配管接続口
9………………連通部
10………………ゲートバルブ
11………………ゲート板
12………………バルブシート
16………………継手金具
20………………カソード
21………………グリッド
E2……………電子ビーム放出管
25………………ヘッド部
26………………電子ビームの放出口
27………………ゲートバルブ
29………………照射処理室
31………………被処理物
32………………エアロック・ゲート
33………………エアロック・ゲート
34………………コントローラ
35………………真空排気口

Claims (6)

  1. 電子発生部が内装される胴部と、その電子発生部と対向する位置に電子ビームを透過させる照射窓が設けられたヘッド部とで成る電子ビーム放出管において、前記ヘッド部に真空排気装置への配管接続口が設けられ、該ヘッド部と前記胴部との連通部を開閉自在なゲート板で遮断して前記胴部内を気密状態とするゲートバルブが設けられていることを特徴とする電子ビーム放出管。
  2. 前記ヘッド部と前記胴部との間に前記ゲートバルブが介装されると共に、該ゲートバルブに対して前記ヘッド部と前記胴部の双方もしくはいずれか一方が脱着可能に固定されている請求項1記載の電子ビーム放出管。
  3. 前記ヘッド部が、前記照射窓によって気密封止される窓穴と前記配管接続口とを有するヘッド本体と、該ヘッド本体に前記照射窓の外縁部を密着させるように圧し当てて前記窓穴を気密封止する押圧体とで構成され、該押圧体が、前記ヘッド本体に対して脱着可能に締め止められる請求項1又は2記載の電子ビーム放出管。
  4. 電子発生部が内装される胴部と、その電子発生部と対向する位置に電子ビームの放出口が設けられたヘッド部とで成る電子ビーム放出管において、前記放出口もしくは該放出口と前記胴部との間を開閉自在なゲート板で遮断して前記胴部内を気密状態とするゲートバルブが設けられていることを特徴とする電子ビーム放出管。
  5. 電子発生部が内装される胴部と、その電子発生部と対向する位置に電子ビームの放出口が設けられたヘッド部とで成り、前記放出口もしくは該放出口と前記胴部との間を開閉自在なゲート板で遮断して前記胴部内を気密状態とするゲートバルブが設けられた電子ビーム放出管が、前記放出口から照射する電子ビームで処理する被処理物が搬入出される照射処理室に対して気密に取り付けられると共に、該照射処理室が、その内部を高真空に排気する真空チャンバに構成されていることを特徴とする電子ビーム照射装置。
  6. 前記照射処理室に被処理物の搬入出口を開閉するエアロック・ゲートが設けられると共に、該エアロック・ゲートと前記ゲートバルブとを開閉制御するコントローラが設けられている請求項5記載の電子ビーム照射装置。
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