JP2004359916A - 有機溶剤吸収ゲル成形体及びその製造方法 - Google Patents
有機溶剤吸収ゲル成形体及びその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004359916A JP2004359916A JP2003163305A JP2003163305A JP2004359916A JP 2004359916 A JP2004359916 A JP 2004359916A JP 2003163305 A JP2003163305 A JP 2003163305A JP 2003163305 A JP2003163305 A JP 2003163305A JP 2004359916 A JP2004359916 A JP 2004359916A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- organic solvent
- weight
- group
- molded article
- absorbing gel
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
- Colloid Chemistry (AREA)
- Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)
Abstract
【解決手段】カルボン酸基を有するセルロース誘導体原料100重量部に対して、弱アルカリ水溶液3〜2,000重量部又は有機溶剤3〜1,000重量部を含む混合物に、放射線を照射して橋かけさせることにより得られることを特徴とする、有機溶剤吸収ゲル成形体。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カルボン酸基を有するセルロース誘導体を、弱アルカリ液、又はアセトン、メチルアセテートやメタノール等の有機溶剤に加え良く練った混合物に、電離性放射線を照射して得られるハイドロゲルであって、有機溶剤を吸収するゲルに関するものである。本発明のハイドロゲルは、放射線橋かけにより生成した三次元の網目構造に、クロロホルム、アセトン、メタノール等の有機溶剤を多量に保持することができ、保持された有機溶剤は、多少の圧力負荷では滲み出すことがない。本発明のゲルによれば、有機溶剤の揮発防止や漏れた有機溶剤の流失防止への応用が期待できる。
【0002】
【従来の技術】
放射線加工技術を利用すれば、生成されるラジカルをきっかけとしたグラフト重合反応、橋かけ反応、又は分解反応により、高分子材料の改質が可能となる。上記のうち特に有用な反応は橋かけ反応である。これは、高分子ラジカル同士の再結合反応により三次元の網目構造が形成される反応である。放射線による橋かけ技術は、自動車のエンジン周りに使われている電線被覆材、家庭用の発泡マット、自動車用ラジアルタイヤ等に、それらの耐熱性の改善を目的として応用されている。
【0003】
ここで、機能性材料の一つとして、多量に吸水するゲル、すなわちハイドロゲルが存在する。ハイドロゲルは、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、又はポリビニルピロリドン等の水溶性高分子の水溶液を、電離性放射線で照射することにより容易に得ることができる。このハイドロゲルは、高分子内部に水を多量に吸収し保持できるため、使い捨てオムツ等の衛生用品や保湿材として医療・化粧品の分野で応用されている。
【0004】
一方、近年、タンカー、工場、家庭、レストラン等からの油の流出により、河川、湖沼、海洋及び土壌の汚染等の環境破壊が問題になっている。これらの問題を解決するため、アルキルスチレン/ジビニルベンゼン共重合体、又は、t−ブチルメタクリレート若しくはメンチルメタクリレートをはじめとするメタクリレート系架橋重合体等を材料とした、高分子内部に油を取り込む機能を有する自己膨潤型の吸油性ゲルが応用されている。
【0005】
しかし、これらの高分子は、生分解性を有しておらず、使用後の燃焼廃棄処理において有害なダイオキシンの発生する恐れがあるという問題が存在する。また、燃焼処理反応炉の温度低下、燃焼時に発生する熱及び排出ガスによる地球温暖化、燃焼により生ずる灰の埋設処理地の確保等、種々の社会的な問題も生じている。
【0006】
このような問題点を解決する材料として、セルロース又はデンプン等の多糖類やデンプンから合成されるポリ乳酸等の、天然由来の生分解性高分子材料が注目されている。これら生分解性高分子材料は、石油系合成高分子材料と異なりコンポスト化処理によって消化・分解され、土に還元することができ、更に肥料として植物に活力を与えることができる資源循環型の材料である。
【0007】
特許文献1には、セルラーゼ等の酵素で分解するアルキルセルロース誘導体の放射線橋かけしたハイドロゲルが、吸水性に優れ、生分解性が向上したことが記載されているが、この放射線橋かけによるセルロース誘導体ゲルが有機溶剤を吸収することは見出されていない。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−2703号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、生分解性高分子材料であるセルロースに、有機溶剤吸収性を導入し、使用中に破断しない強度を付与することにある。また、本発明は、特に廃水処理の用途において、クロロホルムやアセトンを多量に吸収する優れた有機溶剤吸収ゲル成形体及びその製造方法を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記本発明の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、セルロース誘導体を含む原料を、弱アルカリ水溶液若しくは有機溶剤に混合し、溶液のままか又は所要形状に成形した後に電離性放射線を照射することによって、有機溶剤に溶解しないセルロースゲル成形体を得ることに成功した。
【0011】
要するに、本発明は、有機溶剤吸収ゲル成形体であって、カルボン酸基を有するセルロース誘導体原料100重量部に対して、弱アルカリ水溶液3〜2,000重量部又は有機溶剤3〜1,000重量部を含む混合物に、放射線を照射して橋かけさせることにより得られることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明は、有機溶剤吸収ゲル成形体の製造方法であって、カルボン酸基を有するセルロース誘導体原料100重量部に対して、弱アルカリ水溶液3〜2,000重量部又は有機溶剤3〜1,000重量部を含む混合物を形成し、放射線を照射することにより該混合物を橋かけさせることを含むものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について、詳細に述べる。
【0014】
本発明の目的に供されるセルロース誘導体は、カルボン酸基を有しており、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)、セルロースアセテートヘキサヒドロフタレート(CAHHP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートフタレート(HPMCAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースヘキサヒドロフタレート(HPMCHHP)、ヒドロキシプロピルメチルセルローステトラヒドロフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートマレート、ヒドロキシプロピルメチルセルローストリメリテート、セルロースアセテートトリメリテート、酢酸セルロース、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、又はこれらの混合物であり、アルカリ現像タイプのフォトレジスト製品のバインダーに使用されている工業的に得られるものでよく、特に市販品を使用することができる。
【0015】
従って、本発明において、原料セルロース誘導体は、グルコース単位当たり少なくとも一つ以上のヒドロキシプロポキシル基、メトキシル基、フタリル基、アセチル基、サクシノイル基、ヘキサヒドロフタリル基、カルボキシベンゾイル基、テトラヒドロフタロイル基、マレイル基又はトリメリロイル基を有していてもよい。本発明の原料セルロース誘導体の平均置換度は0.01以上である。
【0016】
本発明の目的に供される有機溶剤吸収成形体は、以下に示す手順により製造することができる。
【0017】
まず、粉末状のセルロース誘導体を、容易に分散又は溶解するように、溶剤に添加し混合物を形成し、均一な高濃度の粘ちょうな溶液ないしペースト(のり)状の溶液を形成する。
【0018】
望ましくは、セルロース誘導体濃度が5〜50%であるペースト状の水溶液を形成する。
【0019】
次いで、均一に溶解させたこのペースト状溶液をおよそ15〜20℃の低温で加圧成形し、所要形状(例えば、板状)の成形体を得る。
【0020】
本発明の目的に供されるセルロース誘導体と混ぜる溶剤は、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム等の工業的に得られるアルカリ塩を溶解した0.1〜5%濃度の水溶液、アセトン、メチルエチルケトン、ギ酸、酢酸、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルアセテート、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、2−プロパノール、1,4−ジオキサン、クロロホルム、トルエン、キシレン等の一般有機溶剤、又はアセトン/エタノール(1/1比)、塩化メチレン/エタノール(1/1比)、メタノール/水(9/1、8/2、7/3、6/4、1/1比)等の混合溶液を使用することができる。
【0021】
本発明において、溶剤はメタノール又はアセトンが望ましく、また、1〜5%の炭酸ナトリウム水溶液が特に望ましい。
【0022】
本発明において、溶剤の量は、セルロース誘導体原料100重量部に対して、弱アルカリ水溶液3〜2,000重量部又は有機溶剤3〜1,000重量部が好ましい。
【0023】
次いで、本発明では、上記ののり状成形体に、重イオン線、アルファ線、ベータ線等の電子線か、又はエックス線、ガンマ線等の電離性放射線を照射する。線種については、重イオン等の大きな粒子線ではセルロース分子に与える影響にムラができる可能性があることから、工業的によく用いられている電子線やガンマ線の使用が望ましい。
【0024】
本発明における放射線照射量、すなわち線量は、セルロース誘導体を橋かけするのに必要十分な線量である必要がある。具体的には、0.5〜500kGyが望ましく、更に望ましくは50〜150kGyである。
【0025】
また、本発明においては、所要形状に成形することなく、溶液状の混合物に放射線を照射してもよい。
【0026】
原料セルロース誘導体は放射線照射により橋かけし、その結果、ゲルは照射後に粘度増加を伴う。
【0027】
本発明の有機溶剤吸収ゲル成形体は、弱アルカリ性水溶液、有機溶剤、及び混合溶液を吸収することができる。吸収可能な溶液としては、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の工業的に得られるアルカリ類を溶解した0.1〜5%濃度の水溶液、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、2−プロパノール、エチレングリコール等のアルコール類、ジイソプロピルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ギ酸、酢酸等のカルボン酸類、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルアセテート等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、ピリジン、ピコリン、アニリン等のアミン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類、ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物類、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホアミド等の含硫黄化合物類、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素、クロロベンゼン等の含ハロゲン化合物類等の揮発性と不揮発性とを問わない全ての有機溶剤が挙げられ、また、アセトン/エタノール(1/1比)、ジクロルメタン/メタノール(1/1比)、塩化メチレン/エタノール(1/1比)、メタノール/水(9/1、8/2、7/3、6/4、1/1比)等の混合溶液も含まれる。
【0028】
本発明の有機溶剤吸収ゲル成形体の吸収率は、精製水について自重1に対し5重量倍以上、有機溶剤について自重1に対し1重量倍以上である。
【0029】
以下、本発明について、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0030】
【実施例】
以下の実施例において使用した原料セルロース誘導体(信越化学工業(株)製)は次のものである。
【0031】
A: ジクロルメタン/メタノール(1/1)混液中、10重量%濃度のヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)
20℃の粘度 42.1(mm2/s)、メトキシル基含量 19.2%(平均置換度1.9)、ヒドロキシプロポキシル基含量 6.4%(平均置換度0.25)、カルボキシベンゾイル基含量 33.6%(平均置換度0.65)
B: ジクロルメタン/メタノール(1/1)混液中、10重量%濃度のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)
20℃の粘度 2.78(mm2/s)、メトキシル基含量 23.2%(平均置換度1.9)、ヒドロキシプロポキシル基含量 7.2%(平均置換度0.25)、アセチル基含量 9.0%(平均置換度0.55)、サクシノイル基含量 11.4%(平均置換度0.3)
C: ジクロルメタン/メタノール(1/1)混液中、10重量%濃度のヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートフタレート(HPMCAP)
20℃の粘度 40.5(mPa・s)、メトキシル基含量 14.7%(平均置換度1.4)、ヒドロキシプロポキシル基含量 4.6%(平均置換度0.2)、アセチル基含量 8.5%(平均置換度0.6)、サクシノイル基含量 29.6%(平均置換度0.6)
D: ジクロルメタン/メタノール(1/1)混液中、10重量%濃度のヒドロキシプロピルメチルセルロースヘキサヒドロフタレート(HPMCHHP)
20℃の粘度 57.5(mPa・s)、メトキシル基含量 17.6%(平均置換度1.9)、ヒドロキシプロポキシル基含量 5.8%(平均置換度0.25)、ヘキサヒドロフタリル基含量 38.3%(平均置換度0.8)
以下の実施例において、ゲル分率は次のようにして求めた。
【0032】
放射線照射後に得られたゲルを乾燥し、更に50℃の真空乾燥器中で恒量になるまで乾燥させた。乾燥した試料を200メッシュのステンレス網に入れ、室温で48時間多量のアセトンに漫漬した。このとき、橋かけしていない溶解部分はアセトン側に移るため、ゲル成分のみが金網中に残る。ゲル成分を包含したステンレス網をアセトンでよく洗浄してから、更にメタノール中に1時間浸漬し、その後50℃で24時間乾燥させた。ゲル分率は次式により算出した。
【0033】
ゲル分率(%)=(溶解成分を除いたゲル乾燥重量/初期乾燥重量)×100
また、吸収率は、照射を行った試料を多量のアセトンに室温で24時間浸漬し、得られたゲルを凍結乾燥して、それを蒸留水、NaCl、MgCl2、CaCl2といった塩水溶液又は有機溶剤に漬け、1グラムのドライゲルが吸収した蒸留水又は有機溶剤のグラム数で表した。
【0034】
(比較例1)
上記の原料A〜Dを固体状及び5%以下の低い濃度の弱アルカリ性水溶液状で放射線照射を行った。その結果、分解が優先的に起きて、橋かけしたゲルは生成されず、有機溶剤吸収体が製造されなかった。
【0035】
(実施例1)
上記原料Aを種々の濃度で5%炭酸ナトリウム水溶液に溶解させ、80kGyの電子線を照射した。各濃度で得られた試料のゲル分率を図1に示す。図1の横軸は、原料Aの濃度(重量%)を示し、縦軸は照射後のHPMCPのゲル分率(重量%)を示す。橋かけ反応は濃度10%以上から開始された。HPMCPゲルにより吸収できる有機溶剤と吸収率とを表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
(実施例2)
上記原料Aを種々の有機溶剤に溶解させ、線量を変化させて電子線を照射した。使用した有機溶剤はメタノール、メチルアセテート、アセトンであり、HPMCPの濃度は40重量%である。
【0038】
線量を変化させて得られた試料のゲル分率を有機溶剤ごとに図2に示す。図2の横軸は、線量(Dose:単位kGy)を示し、縦軸は照射後のHPMCPのゲル分率(重量%)を示す。
【0039】
(実施例3)
上記実施例2で製造したゲルを乾燥させ、このゲルによる有機溶剤の吸収率を検討した。ゲルは、原料を濃度50重量%でメタノール溶液に溶解させたものから得られた試料を使用した。有機溶剤は、アセトン、クロロホルム、メタノール、エタノールを使用した。各線量における吸収率を有機溶剤ごとに図3に示す。図3の横軸は、線量(Dose:単位kGy)を示し、縦軸は照射後のHPMCPの吸収率(g膨潤ゲル/g乾燥ゲル)を示す。
【0040】
(実施例4)
上記原料Cを種々の濃度で5%炭酸ナトリウム水溶液に溶解させ、80kGyの電子線を照射した。濃度を変化させて得られた試料のゲル分率を図4に示す。図4の横軸は、濃度(重量%)を示し、縦軸は照射後のHPMCAPのゲル分率(重量%)を示す。橋かけ反応は濃度20%以上から開始された。HPMCAPゲルにより吸収できる有機溶剤と吸収率とを表2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】
(実施例5)
上記原料Bを30重量%濃度で5%炭酸ナトリウム水溶液に溶解させた試料と50重量%濃度でメタノール溶液に溶解させた試料に電子線を照射した。実施例1、2と同様に、線量が増加するにつれてゲル分率が増加した。
【0043】
(実施例6)
上記原料Dを30重量%濃度で5%炭酸ナトリウム水溶液に溶解させた試料と50重量%濃度でメタノール溶液に溶解させた試料に電子線を照射した。実施例1、2と同様に、線量が増加するにつれてゲル分率が増加した。
【0044】
(実施例7)
上記実施例5で製造したゲルを乾燥させた。乾燥させたゲルによる有機溶剤の吸収率を検討した。ゲルは、原料を濃度50重量%でメタノール溶液に溶解させたものを放射線照射した試料を使用した。有機溶剤は、アセトン、クロロホルム、メタノール、エタノールを使用した。実施例1、3と同様に有機溶剤を吸収した。
【0045】
(実施例8)
上記実施例6で製造したゲルを乾燥させた。乾燥させたゲルによる有機溶剤の吸収率を検討した。ゲルは、原料を濃度50重量%でメタノール溶液に溶解させたものに放射線を照射した試料を使用した。有機溶剤は、アセトン、クロロホルム、メタノール、エタノールを使用した。実施例1、3と同様に有機溶剤を吸収した。
【0046】
【発明の効果】
本発明においては、セルロース誘導体に水溶液状態又はペースト状態で放射線を照射し、橋かけを行うことにより、有機溶剤又はアルカリ性水溶液を多量に吸収する有機溶剤吸収ゲル成形体の合成に成功した。
【0047】
本発明の有機溶剤吸収性ゲル成形体は、有機溶剤吸収性を有しかつ高強度のゲル化物であり、原料のセルロース誘導体の種類、放射線照射時の溶媒の種類、溶媒分の比率、照射線量等の条件に依存して、溶剤の吸収量を制御することができる。
【0048】
また、本発明の有機溶剤吸収ゲル成形体は、揮発性有機溶剤の貯蔵保管に有効であり、更には、放射性物質を含んだ有機溶剤等の流出を防止することが可能である。
【0049】
本発明の有機溶剤吸収ゲル成形体及びその製造方法は、様々な用途への使用が期待できる有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明での実施例1における原料濃度とゲル分率との関係を示すグラフである。
【図2】本発明での実施例2における照射線量とゲル分率との関係を示すグラフである。
【図3】本発明での実施例3における照射線量と得られたゲルの有機溶剤吸収率との関係を示すグラフである。
【図4】本発明での実施例4における照射時の原料濃度とゲル分率の関係を示すグラフである。
Claims (8)
- カルボン酸基を有するセルロース誘導体原料100重量部に対して、弱アルカリ水溶液3〜2,000重量部又は有機溶剤3〜1,000重量部を含む混合物に、放射線を照射して橋かけさせることにより得られることを特徴とする、有機溶剤吸収ゲル成形体。
- 原料セルロース誘導体が、グルコース単位当たり少なくとも一つ以上のヒドロキシプロポキシル基、メトキシル基、フタリル基、アセチル基、サクシノイル基、ヘキサヒドロフタリル基、カルボキシベンゾイル基、テトラヒドロフタロイル基、マレイル基又はトリメリロイル基を有することを特徴とする、請求項1記載の有機溶剤吸収ゲル成形体。
- 原料セルロース誘導体の平均置換度が0.01以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の有機溶剤吸収ゲル成形体。
- 放射線照射後に粘度増加を伴うことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機溶剤吸収ゲル成形体。
- 放射線の照射線量が0.5kGy以上であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機溶剤吸収ゲル成形体。
- 精製水についての吸収率が自重1に対し5重量倍以上であることを特徴とする、請求項1記載の有機溶剤吸収ゲル成形体。
- 有機溶剤についての吸収率が自重1に対し1重量倍以上であることを特徴とする、請求項1記載の有機溶剤吸収ゲル成形体。
- カルボン酸基を有するセルロース誘導体原料100重量部に対して、弱アルカリ水溶液3〜2,000重量部又は有機溶剤3〜1,000重量部を含む混合物を形成し、放射線を照射することにより該混合物を橋かけさせることを含む、有機溶剤吸収ゲル成形体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003163305A JP2004359916A (ja) | 2003-06-09 | 2003-06-09 | 有機溶剤吸収ゲル成形体及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003163305A JP2004359916A (ja) | 2003-06-09 | 2003-06-09 | 有機溶剤吸収ゲル成形体及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004359916A true JP2004359916A (ja) | 2004-12-24 |
Family
ID=34055159
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003163305A Pending JP2004359916A (ja) | 2003-06-09 | 2003-06-09 | 有機溶剤吸収ゲル成形体及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004359916A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007277491A (ja) * | 2006-04-12 | 2007-10-25 | Japan Atomic Energy Agency | 温度制御による生分解性ゲルのゲル化制御方法とその成形体 |
JP2009142719A (ja) * | 2007-12-12 | 2009-07-02 | Tokyo Metropolitan Industrial Technology Research Institute | 揮発性有機物回収処理装置及びこれを有する揮発性有機物回収処理システム |
JP2010149086A (ja) * | 2008-12-26 | 2010-07-08 | Tokyo Metropolitan Industrial Technology Research Institute | 揮発性有機化合物ガス含有空気の吸脱着装置及び吸脱着方法 |
WO2012132940A1 (ja) * | 2011-03-25 | 2012-10-04 | ユニ・チャーム株式会社 | 吸収材料およびその製造方法 |
CN104843844A (zh) * | 2015-05-07 | 2015-08-19 | 苏州能华节能环保科技有限公司 | 一种金属加工废水的环保处理剂及其制备方法 |
JP2021503371A (ja) * | 2017-11-17 | 2021-02-12 | ラシルク, インコーポレイテッドRasirc, Inc. | 基材からのプロセスガスを貯蔵および送達する方法、システムおよびデバイス |
US11634816B2 (en) | 2008-07-03 | 2023-04-25 | Rasirc, Inc. | Method, system, and device for storage and delivery of process gas from a substrate |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH02160037A (ja) * | 1988-12-15 | 1990-06-20 | Agency Of Ind Science & Technol | 感温性ゲルの製法 |
JP2001002703A (ja) * | 1999-06-23 | 2001-01-09 | Japan Atom Energy Res Inst | 自己架橋型アルキルセルロース誘導体、及びそれらの製造方法 |
-
2003
- 2003-06-09 JP JP2003163305A patent/JP2004359916A/ja active Pending
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH02160037A (ja) * | 1988-12-15 | 1990-06-20 | Agency Of Ind Science & Technol | 感温性ゲルの製法 |
JP2001002703A (ja) * | 1999-06-23 | 2001-01-09 | Japan Atom Energy Res Inst | 自己架橋型アルキルセルロース誘導体、及びそれらの製造方法 |
Cited By (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007277491A (ja) * | 2006-04-12 | 2007-10-25 | Japan Atomic Energy Agency | 温度制御による生分解性ゲルのゲル化制御方法とその成形体 |
JP2009142719A (ja) * | 2007-12-12 | 2009-07-02 | Tokyo Metropolitan Industrial Technology Research Institute | 揮発性有機物回収処理装置及びこれを有する揮発性有機物回収処理システム |
US11634816B2 (en) | 2008-07-03 | 2023-04-25 | Rasirc, Inc. | Method, system, and device for storage and delivery of process gas from a substrate |
US11634815B2 (en) | 2008-07-03 | 2023-04-25 | Rasirc, Inc. | Method, system, and device for storage and delivery of process gas from a substrate |
JP2010149086A (ja) * | 2008-12-26 | 2010-07-08 | Tokyo Metropolitan Industrial Technology Research Institute | 揮発性有機化合物ガス含有空気の吸脱着装置及び吸脱着方法 |
WO2012132940A1 (ja) * | 2011-03-25 | 2012-10-04 | ユニ・チャーム株式会社 | 吸収材料およびその製造方法 |
JP2012201805A (ja) * | 2011-03-25 | 2012-10-22 | Unicharm Corp | 吸収材料およびその製造方法 |
CN104843844A (zh) * | 2015-05-07 | 2015-08-19 | 苏州能华节能环保科技有限公司 | 一种金属加工废水的环保处理剂及其制备方法 |
JP2021503371A (ja) * | 2017-11-17 | 2021-02-12 | ラシルク, インコーポレイテッドRasirc, Inc. | 基材からのプロセスガスを貯蔵および送達する方法、システムおよびデバイス |
US11635170B2 (en) | 2017-11-17 | 2023-04-25 | Rasirc, Inc. | Method, system, and device for storage and delivery of process gas from a substrate |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Ayouch et al. | Crosslinked carboxymethyl cellulose-hydroxyethyl cellulose hydrogel films for adsorption of cadmium and methylene blue from aqueous solutions | |
JP2003160602A (ja) | 橋かけ構造を有するキチン誘導体及び/又はキトサン誘導体の製造方法 | |
JP2008533215A5 (ja) | ||
JP5024921B2 (ja) | 温度制御による生分解性ゲルのゲル化制御方法とその成形体 | |
JP4819984B2 (ja) | 自己架橋型アルキルセルロース誘導体、及びそれらの製造方法 | |
JP5071766B2 (ja) | 多糖類を原料とするゲルの製造方法 | |
Nguyen et al. | Gellan gum/bacterial cellulose hydrogel crosslinked with citric acid as an eco-friendly green adsorbent for safranin and crystal violet dye removal | |
Pushpamalar et al. | Preparation of carboxymethyl sago pulp hydrogel from sago waste by electron beam irradiation and swelling behavior in water and various pH media | |
JP3720084B2 (ja) | 吸水性樹脂およびその製造方法並びに吸水性物品 | |
CN102941069A (zh) | 一种可作为重金属吸附剂的水凝胶及其制备方法 | |
JP2013166090A (ja) | ゲル状金属吸着材およびゲル状金属吸着材担持吸着体 | |
JP2004359916A (ja) | 有機溶剤吸収ゲル成形体及びその製造方法 | |
Li et al. | An in situ reactive spray-drying strategy for facile preparation of starch-chitosan based hydrogel microspheres for water treatment application | |
Riyajan et al. | Fabrication and properties of macrocellular modified natural rubber-poly (vinyl alcohol) foam for organic solvent/oil absorption | |
Rahman et al. | Recent development in cellulose nanocrystal-based hydrogel for decolouration of methylene blue from aqueous solution: a review | |
Liu et al. | Facile fabrication of semi-IPN hydrogel adsorbent based on quaternary cellulose via amino-anhydride click reaction in water | |
US5811531A (en) | Absorbent with stability against salts and process for production thereof | |
Veregue et al. | MCM-41/chondroitin sulfate hybrid hydrogels with remarkable mechanical properties and superabsorption of methylene blue | |
Joo et al. | Sustainable cellulose-based hydrogels for water treatment and purification | |
Dafader et al. | Effect of kappa-carrageenan on the properties of poly (vinyl alcohol) hydrogel prepared by the application of gamma radiation | |
Ramnani et al. | Synthesis and characterization of crosslinked chitosan formed by γ irradiation in the presence of carbontetrachloride as a sensitizer | |
JPH08196901A (ja) | 吸水材およびその製造方法 | |
JP3308964B2 (ja) | 分解剤および分解方法 | |
US20130079504A1 (en) | Polysaccharide gel and process for producing same | |
JP2001329070A (ja) | デンプン誘導体の橋かけ及びそれらの製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20060223 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060530 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20081128 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20100304 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20100430 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20100816 |