JP2004359905A - 新規な共重合体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】共重合体は、α,β−不飽和カルボン酸単量体および/またはその塩と下記一般式(1)で示される単量体とを含む単量体成分を重合させてなる。
【化1】
(式(1)中、Anはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドからなる群より選ばれる1種以上、nは平均値で10〜300であって、(An)nは平均値で10以上のエチレンオキシドを必須とし、Xは−CH2−、−C(O)−、−C(O)−NH−からなる群より選ばれる1種、mは0または1であり、Rは炭化水素基である。)
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルカリ溶液に溶解した際にその粘性を高めることのできる、新規な共重合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
α,β−不飽和カルボン酸単量体やその塩のような酸性基を有する単量体を共重合して得られるアルカリ溶液に可溶な共重合体が、種々知られている。これらの共重合体のうちでも、アルカリ溶液に溶解した後に、共重合体中の疎水基同士が会合して増粘性を高める共重合体があり(たとえば、特許文献1、2、3参照)、たとえば増粘剤として利用されているが、さらにアルカリ溶解性に優れ、かつ、より高い増粘性を有する共重合体の開発が期待されている。
【0003】
【特許文献1】
特開昭58−189299号公報
【0004】
【特許文献2】
特開平8−225618号公報
【0005】
【特許文献3】
特許第2553841号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、アルカリ溶解性に優れ、かつ、アルカリ溶液に溶解した際にその粘性を飛躍的に高めることのできる、新規な共重合体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、α,β−不飽和カルボン酸単量体および/またはその塩由来の構造単位とともに、マレイン酸エステルである特定の単量体由来の構造単位を共重合体に導入することにより、優れたアルカリ溶解性を発現させるとともに、共重合体が有する疎水基の疎水性を高めて粘性を飛躍的に向上させることができることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明にかかる共重合体は、α,β−不飽和カルボン酸単量体および/またはその塩と下記一般式(1)で示される単量体とを含む単量体成分を重合させてなる。
【0008】
【化2】
【0009】
(式(1)中、Anはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドからなる群より選ばれる1種以上、nは平均値で10〜300であって、(An)nは平均値で10以上のエチレンオキシドを必須とし、Xは−CH2−、−C(O)−、−C(O)−NH−からなる群より選ばれる1種、mは0または1であり、Rは炭化水素基である。)
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の共重合体は、α,β−不飽和カルボン酸単量体および/またはその塩と前記一般式(1)で示される単量体とを含む単量体成分を重合させて得られる。
本発明の共重合体は、α,β−不飽和カルボン酸単量体および/またはその塩を共重合してなることにより、アルカリ可溶性となり得る。なお、α,β−不飽和カルボン酸単量体および/またはその塩は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0011】
α,β−不飽和カルボン酸単量体としては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロキシプロピオン酸、シトラコン酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸等が挙げられ、これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸が、他の単量体との共重合性が良好であるため、好ましい。また、α,β−不飽和カルボン酸単量体の塩としては、たとえば、前記α,β−不飽和カルボン酸単量体のナトリウム塩、カリウム塩等の金属塩や、アンモニウム塩等が挙げられる。
前記単量体成分におけるα,β−不飽和カルボン酸単量体および/またはその塩の含有割合は、10〜70モル%であることが好ましく、20〜60モル%であることがより好ましい。α,β−不飽和カルボン酸単量体および/またはその塩が単量体成分(全単量体)に対して10モル%未満であると、アルカリ可溶し難く、充分な増粘性が得られないおそれがあり、一方、70モル%を超えると、後述するエマルション重合における重合安定性が保てないこととなる。
【0012】
本発明の共重合体は、前記一般式(1)で示される単量体を共重合してなることにより、優れたアルカリ溶解性を備え、アルカリ溶液に溶解した際にその粘性を飛躍的に高めることができるものとなる。詳しくは、一般式(1)で示される単量体は、マレイン酸由来のカルボキシル基と、R(炭化水素基)とが、エチレンオキシドを必須とする特定の有機基を介して結合してなる単量体であり、カルボキシル基により優れたアルカリ溶解性を発現するとともに、R(炭化水素基)からなる疎水性基同士が分子間で強く会合するため、アルカリ溶液に溶解した際に、本発明の共重合体の粘性を飛躍的に高めることができるのである。なお、一般式(1)で示される単量体は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0013】
一般式(1)において、Anは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドからなる群より選ばれる1種以上であり、nは、Anの数であり、平均値で10〜300であるが、(An)nは平均値で10以上のエチレンオキシドを必須とすることが、会合性基の効果を発現させるうえで重要である。nは、好ましくは10〜100、さらに好ましくは20〜80、特に好ましくは20〜60、最も好ましくは20〜40であるのがよい。
一般式(1)において、Xは、−CH2−、−C(O)−、−C(O)−NH−からなる群より選ばれる1種であり、mは、0または1である。
【0014】
一般式(1)において、Rは炭化水素基であり、疎水性の高い基であることが好ましい。具体的には、Rは、炭素数8〜30の炭化水素基が好ましく、たとえば、オクチル基、ノニル基、トリデシル基、ドデシル基、オクタデシル基等のアルキル基;フェニル基、ナフチル基、アントリル基等のアリール基;ノニルフェニル基、ドデシルフェニル基等のアルキルアリール基;シクロオクチル基、コレスタニル基、ラノスタニル基等の多環式アルキル基;等を挙げることができる。これらの中でも、炭素数8〜30のアルキル基が好ましく、炭素数12〜20のアルキル基がより好ましく、炭素数16〜20のアルキル基がさらに好ましく、炭素数18のアルキル基が最も好ましい。
【0015】
なお、一般式(1)で示される単量体の製造方法については、特に限定はなく、たとえば、無水マレイン酸にポリオキシエチレンモノアルキルエーテルを付加する方法などによって一般式(1)で示される単量体を得ることができる。
一般式(1)で示される単量体の具体例としては、たとえば、オクタデシルポリオキシエチレンマレイン酸エステル、ドデシルポリオキシエチレンマレイン酸エステル、トリデシルポリオキシエチレンマレイン酸エステル、ノニルポリオキシエチレンマレイン酸エステル、オクチルポリオキシエチレンマレイン酸エステル等が挙げられる。
【0016】
前記単量体成分における一般式(1)で示される単量体の含有割合は、0.01〜4モル%であることが好ましく、0.04〜1モル%であることがより好ましい。一般式(1)で示される単量体が単量体成分(全単量体)に対して0.01モル%未満であると、本発明の共重合体における疎水性基の量が不足し、アルカリ溶液に溶解した際に、その粘性を高める効果が低くなるおそれがあり、一方、4モル%を超えると、分子内(同一重合体内)での疎水性基同士の会合が増加し、粘性を高める効果が低下するおそれがあると同時に、後述するエマルション重合によって共重合体を得ることが困難になる。
【0017】
前記単量体成分は、α,β−不飽和カルボン酸単量体および/またはその塩と前記一般式(1)で示される単量体とのほかに、これらの単量体と共重合可能な不飽和単量体を含んでいてもよい。このような不飽和単量体としては、たとえば、下記1)のようなカルボキシル基以外の酸基を有する酸性単量体、下記2)のような架橋性単量体、下記3)のようなその他の単量体等が挙げられる。たとえば、単量体成分が下記1)のようなカルボキシル基以外の酸基を有する酸性単量体をも含むものであると、アルカリ可溶性をさらに向上させることができ、単量体成分が下記2)のような架橋性単量体をも含むものであると、架橋により分子量の高い共重合体として、さらに高い増粘性を発現させることができ、単量体成分が下記3)のようなその他の単量体をも含むものであると、後述するエマルション重合を容易に行なうことができる。なお、下記1)〜3)のような不飽和単量体は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0018】
1)ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート等のスルホン酸基含有単量体;モノ(2−メタクリロイルオキシエチル)ホスフェート、モノ(2−アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−3−クロロプロピルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルホスフェート等のリン酸基含有単量体;等。
2)(メタ)アクリル酸と、エチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の多価アルコールとのエステル化物等の分子内に重合性不飽和基を2個以上有する多官能(メタ)アクリル酸エステル系重合性単量体;メチレン(メタ)アクリルアミド等の分子内に重合性不飽和基を2個以上有する多官能(メタ)アクリル酸アミド系重合性単量体;ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジアリルフマレート等の分子内に重合性不飽和基を2個以上有する多官能アリル系重合性単量体;(メタ)アクリル酸アリル、ジビニルベンゼン;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等の架橋性(メタ)アクリルアミド系重合性単量体;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリエトキシシラン等のケイ素原子に直結する加水分解性ケイ素基含有重合性単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、アクリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有重合性単量体;2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−ビニルオキサゾリン等のオキサゾリン基含有重合性単量体;(メタ)アクリル酸−2−アジリジニルエチル、(メタ)アクロイルアジリジン等のアジリジン基含有重合性単量体;等。
【0019】
3)スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、エチルビニルベンゼン、クロロメチルスチレン等のスチレン系重合性単量体;(メタ)アクリルアミド、N−モノメチル(メタ)アクリルアミド、N−モノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系重合性単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸と炭素数1〜8のアルコールとのエステルである(メタ)アクリル酸エステル系重合性単量体;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等のシクロヘキシル基含有重合性単量体;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸とポリアルキレングリコールとのモノエステルであるヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル系重合性単量体;ポリエチレングリコール(メタ)アクリルエステル等のポリエチレングリコール鎖含有重合性単量体;酢酸ビニル;(メタ)アクリロニトリル;N−ビニルピロリドン、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール等の塩基性重合性単量体;フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン含有重合性単量体;等。
【0020】
前記単量体成分における前記1)のような酸性単量体の含有割合は、10〜90モル%であることが好ましく、20〜70モル%であることがより好ましい。前記1)のような酸性単量体が単量体成分(全単量体)に対して10モル%未満であると、アルカリ溶液に溶解しにくくなり増粘力を充分に発現させることができなくなるおそれがあり、一方、90モル%を超えると、後述するエマルション重合を行なう際に安定して重合できなくなるおそれがある。
前記単量体成分における前記2)のような架橋性単量体の含有割合は、0.001〜10モル%であることが好ましく、0.01〜5モル%であることがより好ましい。前記2)のような架橋性単量体が単量体成分(全単量体)に対して0.001モル%未満であると、後述する架橋による増粘力の向上効果が期待できなくなる傾向があり、一方、10モル%を超えると、アルカリ溶液に溶解しにくくなり増粘力が低下するおそれがある。
【0021】
前記単量体成分における前記3)のようなその他の単量体の含有割合は、30〜90モル%であることが好ましく、40〜80モル%であることがより好ましい。前記3)のようなその他の単量体が単量体成分(全単量体)に対して30モル%未満であると、後述するエマルション重合における重合安定性が保てなくなるおそれがあり、一方、90モル%を超えると、アルカリ可溶し難いため、充分な増粘性が得られない。
前記単量体成分を重合する際の重合方法については、特に限定はなく、たとえば、水中油型乳化重合(以下、エマルション重合ということがある)、油中水型乳化重合(逆相懸濁重合)、懸濁重合、溶液重合、水溶液重合、塊状重合等を挙げることができる。これらの重合方法のうち、本発明においては、特に、エマルション重合が好ましい。これは、高分子量の共重合体を高濃度で重合できるうえ、取扱い粘度も低く、生産コストも安いからである。
【0022】
前記単量体成分を重合する際には、通常、重合開始剤が用いられる。この重合開始剤は、熱によって分解し、ラジカル分子を発生させる物質であり、特にエマルション重合では、水溶性の開始剤が使用される。重合開始剤としては、たとえば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩類;2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)等の水溶性アゾ化合物;過酸化水素等の熱分解系開始剤;過酸化水素とアスコルビン酸、t−ブチルヒドロパーオキサイドとロンガリット、過硫酸カリウムと金属塩、過硫酸アンモニウムと亜硫酸水素ナトリウム等のレドックス系重合開始剤;等を挙げることができる。なお、これら重合開始剤は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0023】
前記単量体成分の重合をエマルション重合により行なう場合、乳化剤を使用することなく重合させることもできるが、一般には、乳化剤を用いて重合させるのが好ましい。乳化剤としては、特に限定はないが、たとえば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤や、これらの反応性界面活性剤等を挙げることができる。なお、これら乳化剤は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
アニオン系界面活性剤としては、たとえば、ナトリウムドデシルサルフェート、カリウムドデシルサルフェート、アンモニウムアルキルサルフェート等のアルキルサルフェート塩;ナトリウムドデシルポリグリコールエーテルサルフェート;ナトリウムスルホリシノエート;スルホン化パラフィン塩等のアルキルスルホネート;ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、アルカリフェノールヒドロキシエチレンのアルカリ金属サルフェート等のアルキルスルホネート;高アルキルナフタレンスルホン酸塩;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;ナトリウムラウレート、トリエタノールアミンオレエート、トリエタノールアミンアビエテート等の脂肪酸塩;ポリオキシアルキルエーテル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンカルボン酸エステル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンフェニルエーテル硫酸エステル塩;コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸塩;ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩等の二重結合を有した反応性アニオン乳化剤等を挙げることができる。
【0024】
ノニオン系界面活性剤としては、たとえば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル;ソルビタン脂肪族エステル;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪族エステル;グリセロールのモノラウレート等の脂肪族モノグリセライド;ポリオキシエチレンオキシプロピレン共重合体;エチレンオキサイドと脂肪族アミン、アミドまたは酸との縮合生成物等を挙げることができる。
前記カチオン系界面活性剤としては、たとえば、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、エステル型ジアルキルアンモニウム塩、アミド型ジアルキルアンモニウム塩、ジアルキルイミダゾリニウム塩等を挙げることができる。
【0025】
前記両性界面活性剤としては、たとえば、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジメチルアミンオキサイド、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリミウムベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン等を挙げることができる。
高分子界面活性剤としては、たとえば、ポリビニルアルコールおよびその変性物;(メタ)アクリル酸系水溶性高分子;ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸系水溶性高分子;ヒドロキシプロピル(メタ)アクリル酸系水溶性高分子;ポリビニルピロリドン等を挙げることができる。
【0026】
前記単量体成分の重合をエマルション重合により行なう場合、分子量低減のために、連鎖移動剤を単量体成分100重量部当たり0.001〜2重量部用いてもよい。連鎖移動剤としては、特に制限はないが、たとえば、四塩化炭素、ブロモホルム、ブロモトリクロロエタン等のハロゲン置換アルカン;n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、テトラデシルメルカプタン、ヘキサデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン;チオグリコール酸ブチル、チオグリコール酸イソオクチル、チオグリコール酸ドデシル等のモノチオグリコール酸アルキル等のチオエステル;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;α−メチルスチレンダイマー、ターピノール、テルピネン、ジペンテン;等を挙げることができる。
【0027】
前記単量体成分の重合をエマルション重合により行なう場合、得られる共重合体の物性に悪影響を及ぼさない範囲で、親水性溶媒や添加剤等をも用いるようにしてもよい。
前記単量体成分の重合をエマルション重合により行なう場合、単量体成分をエマルション重合反応系に添加する方法としては、特に限定はなく、一括添加法、単量体成分滴下法、プレエマルション法、パワーフィード法、シード法、多段添加法等を採用することができる。
前記単量体成分の重合をエマルション重合により行なう場合、重合温度については、特に限定はないが、好ましくは0〜100℃、さらに好ましくは40〜95℃とするのがよい。重合時間についても、特に限定はないが、好ましくは3〜15時間とするのがよい。
【0028】
前記単量体成分の重合をエマルション重合により行なう場合、エマルション重合反応後に得られるエマルション中の不揮発分(すなわち、本発明の共重合体)は、60重量%以下であるのが好ましい。不揮発分が60重量%を超えると、エマルションの粘度が高すぎるため、分散安定性が保てず、凝集が起きる恐れがあるからである。
前記単量体成分の重合をエマルション重合により行なう場合、該エマルションの平均粒径については、特に限定はないが、好ましくは10nm〜1μmであり、さらに好ましくは20〜500nmであるのがよい。エマルションの平均粒径が10nm未満であると、エマルションの粘度が高くなりすぎたり、分散安定性が保てず、凝集するおそれがあり、一方、1μmを超えると、エマルションではなくなる。
【0029】
本発明の共重合体は、架橋が施されてなることが好ましい。これにより、本発明の共重合体は高分子量となり、より高い増粘力を発揮しうるものとなる。本発明の共重合体を架橋が施されたものとするには、たとえば、前記2)のような架橋性単量体を単量体成分の一部として用いて重合を行なうようにすればよい。また、重合後に、たとえばジイソシアネート化合物のような多官能化合物を添加するなどの架橋処理を施すこともできる。
本発明の共重合体の重量平均分子量は、3,000以上であることが好ましく、特に、本発明の共重合体が架橋の施されたものの場合には、その重量平均分子量は100,000以上であることが好ましい。なお、前記重量平均分子量は、通常、GPCなどによって測定することができるが、架橋が施されたものの場合には、GPCによる測定は困難である。
【0030】
本発明の共重合体は、分子内に少なくとも2個のカルボキシル基を有するので、アルカリ溶解性に優れるものである。そして、アルカリ溶液に溶解後、前記一般式(1)で示される単量体に由来する疎水性基同士が強く会合することによって、溶液の増粘性が高まる。このような性質を利用して、本発明の共重合体は、アルカリ可溶性増粘剤として有用であり、たとえば、建築・建材用塗料、粘着剤、印刷インキ等の増粘剤や、コンクリート用分離低減剤等に配合して利用することができる。
【0031】
【実施例】
以下に、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
以下において単に「部」、「%」とあるのは特にことわりがない限り、それぞれ「重量部」、「重量%」を表すものとする。
<実施例1>
撹拌機、温度計、冷却器、窒素導入管、滴下ロートを備えた四ツ口セパラブルフラスコに、イオン交換水124.5部、ポリオキシエチレンドデシルエーテルのスルホン酸アンモニウム塩2部を投入した。内温68℃で撹拌しながら、緩やかに窒素を流し、反応容器内を完全に窒素置換した。次に、ポリオキシエチレンドデシルエーテルのスルホン酸アンモニウム塩1部をイオン交換水93.2部に溶解させ、これに単量体成分として、メタクリル酸40部、アクリル酸エチル50部、オクタデシルポリオキシエチレンマレイン酸エステル(エチレンオキシド20モル付加:日本乳化剤(株)製「RA−1820」)10部の混合物を投入し、撹拌してプレエマルションを作製した。一方、過硫酸アンモニウム0.23部を、イオン交換水23.2部に混合し、開始剤水溶液を作製した。
【0032】
上記プレエマルションの5%を反応容器に投入して5分撹拌後、亜硫酸水素ナトリウム0.017部を投入した。次いで上記開始剤溶液の5%を反応容器に投入後20分撹拌し、初期重合を行った。反応容器の内温を72℃に保ち、残りのプレエマルションおよび開始剤水溶液を2時間にわたって均一に滴下した。滴下終了後、内温を72℃に保ち、さらに1時間撹拌を続けたのち、冷却して反応を完了し、不揮発分30%のエマルション重合体(1)を得た。
得られたエマルション重合体(1)の3%アルカリ中和水溶液を調製し、そのpHおよび粘度の測定と、アルカリ溶解性の評価を行なった。結果を表1に示す。3%アルカリ中和水溶液は、固形分換算で6部のエマルション重合体を所定の容器に入れ、これをイオン交換水で希釈し、次いで、攪拌棒で攪拌しながら、所定量の0.5規定の水酸化ナトリウム水溶液を加えて合計200部とすることにより調製した。粘度の測定は、BM型粘度計により、表1に示すNoのローターを選択し、6回転にて25℃の粘度を測定した。アルカリ溶解性の評価は、3%アルカリ中和水溶液の色調を目視にて観察し、下記の基準で判定した。
○:無色透明、△:僅かに蛍光色、×:蛍光色
<実施例2>
プレエマルションを作製する際の単量体成分として、メタクリル酸40部、アクリル酸エチル59.9部、オクタデシルポリオキシエチレンマレイン酸エステル(エチレンオキシド20モル付加:日本乳化剤(株)製「RA−1820」)10部、ジアリルフタレート0.1部の混合物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、不揮発分30%のエマルション重合体(2)を得た。
【0033】
得られたエマルション重合体(2)の3%アルカリ中和水溶液を実施例1と同様にして調製し、そのpHおよび粘度の測定と、アルカリ溶解性の評価を実施例1と同様に行なった。結果を表1に示す。
<比較例1>
プレエマルションを作製する際の単量体成分として、メタクリル酸40部、アクリル酸エチル60部の混合物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、不揮発分30%のエマルション重合体(C1)を得た。
得られたエマルション重合体(C1)の3%アルカリ中和水溶液を実施例1と同様にして調製し、そのpHおよび粘度の測定と、アルカリ溶解性の評価を実施例1と同様に行なった。結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
【発明の効果】
本発明にかかる共重合体は、新規であり、アルカリ溶解性に優れ、かつ、アルカリ溶液に溶解した際にその粘性を飛躍的に高めることができる。
Claims (4)
- 前記重合がエマルション重合である、請求項1記載の共重合体。
- 前記単量体成分が架橋性単量体をも含み、共重合体は架橋が施されてなる、請求項1または2に記載の共重合体。
- アルカリ可溶性増粘剤として使用される、請求項1から3までのいずれかに記載の共重合体。
Priority Applications (1)
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