JP2004358959A - 積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 フッ素樹脂を用いた積層体であって高度の耐燃料透過性を有するものを提供する。
【解決手段】 フッ素樹脂からなる層(A)と、フッ素非含有有機材料からなる層(B)とを有する積層体であって、上記積層体は、燃料透過速度が1.5g/m2/day以下である積層体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、積層体に関する。
ガソリン等の燃料移送配管材としては、加工性、防錆性、軽量化、経済性等の点から、樹脂積層体を用いることが主流になりつつあるが、燃料蒸散規制の厳格化に伴い、耐燃料透過性の向上に対する要請が大きくなってきた。
耐燃料透過性の樹脂積層体としては、ポリブチレンテレフタレート〔PBT〕、ポリブチレンナフタレート〔PBN〕、ポリエチレンテレフタレート〔PET〕及びポリエチレンナフタレート〔PEN〕からなる群より選ばれた少なくとも1種類を主成分とする層とPBTを主成分とする層とを積層してなる樹脂製チューブ(例えば、特許文献1参照。)や、ポリフェニレンサルファイド〔PPS〕を主成分とする樹脂層とPBTを主成分とする樹脂層とを含む樹脂製チューブが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性等が不充分という問題があった。
耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性に優れた樹脂としてはフッ素樹脂があるが、フッ素樹脂は、機械的強度や寸法安定性に劣り高価であるので、他の有機材料と積層することが望ましい。
フッ素樹脂と他の有機材料との積層体であって耐燃料透過性を有するものとしては、ポリアミド12〔PA12〕からなる層、テトラフルオロエチレン〔TFE〕/パーフルオロ(メチルビニルエーテル)〔PMVE〕共重合体からなる層、及び、エチレン/TFE共重合体〔ETFE〕に導電性を付与してなる層からなる3層積層体、又は、PA12からなる層、TFE/ヘキサフルオロプロピレン共重合体〔FEP〕からなる層、及び、ETFEに導電性を付与してなる層からなる3層積層体が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、近年、これらの3層共重合体では得ることのできないより高度の耐燃料透過性が求められるようになってきた。
特開2002−213655号公報 特開2002−267054号公報 国際公開第01/18142号パンフレット
本発明の目的は、上記現状に鑑み、フッ素樹脂を用いた積層体であって高度の耐燃料透過性を有するものを提供することにある。
本発明は、フッ素樹脂からなる層(A)と、フッ素非含有有機材料からなる層(B)とを有する積層体であって、上記積層体は、燃料透過速度が1.5g/m/day以下である積層体である。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の積層体は、上記積層体は、燃料透過速度が1.5g/m/day以下であるものである。
本明細書において、上記燃料透過速度は、単位日数単位面積当たりの燃料透過質量であり、イソオクタン、トルエン及びエタノールを45:45:10の容積比で混合したイソオクタン/トルエン/エタノール混合溶媒〔CE10〕を用いて、SAEJ1737に準じて60℃での透過量を測定し得られる値である。
本発明の積層体は、上記燃料透過速度が上述の範囲内であることから、高度の耐燃料透過性を有するものとすることができる。燃料透過速度は上述の範囲内であれば下限を例えば、0.1g/m/dayとすることができる。燃料透過速度の好ましい上限は、1.2g/m/day、より好ましい上限は、1.0g/m/dayである。
本発明の積層体は、フッ素樹脂からなる層(A)と、フッ素非含有有機材料からなる層(B)とを有する積層体である。
フッ素樹脂は、フッ素含有エチレン性単量体に由来する繰り返し単位を有する含フッ素エチレン性重合体からなる樹脂である。本明細書において、ポリマー鎖中、単量体1個に由来する繰り返し単位を「単量体単位」ということがある。
本明細書において、上記フッ素含有エチレン性単量体は、フッ素原子を有し、後述の接着性官能基を有しないビニル基含有単量体である。
上記フッ素含有エチレン性単量体としては特に限定されず、例えば、テトラフルオロエチレン〔TFE〕、フッ化ビニリデン〔VdF〕、クロロトリフルオロエチレン〔CTFE〕、フッ化ビニル〔VF〕、へキサフルオロイソブテン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕類、下記一般式(I)
CX=CX(CF (I):
(式中、X、X及びXは、同一若しくは異なって、水素原子又はフッ素原子を表し、Xは、水素原子、フッ素原子又は塩素原子を表し、nは、1〜10の整数を表す。)で表されるビニル単量体等が挙げられ、これらのなかから1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記一般式(I)で表されるビニル単量体としては特に限定されないが、例えば、パーフルオロ(1,1,2−トリハイドロ−1−ヘキセン)、パーフルオロ(1,1,5−トリハイドロ−1−ペンテン)等の下記一般式(i):
CH=CX(CF (i)
(式中、Xは、水素原子又はフッ素原子を表し、Xは、水素原子、フッ素原子又は塩素原子を表し、nは、1〜10の整数を表す。)で表されるビニル単量体;ヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕等が挙げられる。
上記含フッ素エチレン性重合体としては、上述のフッ素含有エチレン性単量体に由来する単量体単位のほか、所望によりフッ素非含有エチレン性単量体に由来する単量体単位を有するものであってよい。
本明細書において、上記フッ素非含有エチレン性単量体は、フッ素原子を有さず、後述の接着性官能基を有しないビニル基含有単量体である。上記フッ素非含有エチレン性単量体としては特に限定されないが、例えば、エチレン〔Et〕、プロピレン〔Pr〕、1−ブテン、2−ブテン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等が挙げられ、これらのなかから1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記含フッ素エチレン性重合体としては、テトラフルオロエチレン系共重合体〔TFE系共重合体〕が好ましい。本明細書において、上記TFE系共重合体は、TFEに由来するテトラフルオロエチレン単位〔TFE単位〕を有する重合体である。上記TFE単位は、分子構造〔−CF−CF−〕で表される。上記TFE系共重合体は、TFEに由来する分子構造とともに、TFE以外のフッ素含有エチレン性単量体に由来する単量体単位及び/又はフッ素非含有エチレン性単量体に由来する単量体単位をそれぞれ1種若しくは2種以上有するものであってもよい。
上記TFE系共重合体としては特に限定されず、例えば、Et/TFE/HFP共重合体、Et/TFE共重合体、TFE/VdF/HFP共重合体、TFE/PAVE共重合体、TFE/HFP共重合体、TFE/HFP/PAVE共重合体等が挙げられる。
フッ素樹脂としては、含フッ素エチレン性重合体を、1種又は2種以上組み合わせて用いたものであってもよい。
フッ素樹脂は、燃料透過係数が1g・mm/m/day以下であるフッ素樹脂(a)を含むものであることが好ましい。
上記フッ素樹脂(a)は、パーフルオロ系樹脂であることが好ましい。
上記パーフルオロ系樹脂は、フッ素樹脂の中でも耐熱性、耐薬品性、撥水・撥油性、非粘着性、電気絶縁性、低薬液透過性、低燃料透過性等に最も優れており、上記パーフルオロ系樹脂からなる層を表面に有する積層体は、フッ素樹脂の特長を充分に発現することができる。
上記パーフルオロ系樹脂は、パーフルオロ系ポリマーからなるものである。
本明細書において、上記「パーフルオロ系ポリマー」なる用語における「パーフルオロ系」とは、ポリマーの分子構造中の主要単量体単位が完全にフッ素化されていることを意味する。
上記主要単量体単位は、ポリマーの融点等の物性を決定づける1種又は2種以上の単量体に由来する単量体単位であり、通常、ポリマーの分子構造中における全単量体単位が由来する単量体の80モル%以上を占める単量体に由来する単量体単位である。上記モル分率は例えば100モル%であってもよい。
上記パーフルオロ系ポリマーは、上記パーフルオロ系ポリマーにおける主要単量体単位の上記モル分率が100モル%未満である場合、主要単量体単位以外の単量体単位については、完全にフッ素化されていなくてもよい点で、パーフルオロポリマーとは区別すべき概念である。上記パーフルオロ系ポリマーは、上記パーフルオロ系ポリマーの全単量体単位が主要単量体単位である場合、及び、主要単量体単位以外の単量体単位が完全にフッ素化されている場合において、上記パーフルオロ系ポリマーは、パーフルオロポリマーである点で、パーフルオロポリマーを含む概念である。
上記パーフルオロ系ポリマーとしては特に限定されず、例えば、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(メチルビニルエーテル)共重合体〔MFA〕、TFE/HFP共重合体等が挙げられる。
上記フッ素樹脂(a)は、燃料透過係数が1g・mm/m/day以下である
フッ素樹脂であれば、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記フッ素樹脂(a)として用いるパーフルオロ系ポリマーとしては、TFE単位と、下記一般式(ii)
CF=CF−Rf (ii)
(式中、Rfは、CF又はORfを表し、Rfは、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるパーフルオロ単量体に由来するパーフルオロ単量体単位とを有する共重合体(I)が好ましい。
上記パーフルオロ単量体単位は、1種であってよいし、2種以上であってもよい。
上記共重合体(I)としては特に限定されず、例えば、1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
上記共重合体(I)を2種以上用いる場合、それらは相溶性が良いので、溶融により混合して明確な境界がない層を形成することができ、混合量比は、この層全体として好ましい燃料透過係数と好ましい融点とを有するように調整する。
本発明の積層体における層(A)は、上記共重合体(I)を2種以上用いる場合、用いる共重合体(I)の各種類を予め混合することなく、共押出機に投入して積層体を作製したり、別々に作製した層を積み重ねて熱溶融することにより、後述の接着性官能基を導入しなくても、相溶性によって層(A)内の各層間接着性に優れたものとすることができる。
本発明の積層体における層(A)は、上記共重合体(I)を2種以上用いる場合、また、用いる共重合体(I)の各種類を予め混合してポリマーアロイを調整したのち、形成したものであってもよい。
上記共重合体(I)としては特に限定されず、例えば、
(I−I)TFE単位80〜95モル%、好ましくは88〜93モル%、ヘキサフルオロプロピレン単位5〜20モル%、好ましくは7〜12モル%の共重合体、
(I−II)TFE単位85〜97モル%、下記一般式(iia)
CF=CF−ORf (iia)
(式中、Rfは、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表される少なくとも1種類のパーフルオロ単量体単位3〜15モル%の共重合体、
(I−III)TFE単位80〜95モル%、ヘキサフルオロプロピレン単位と上記一般式(iia)で表される少なくとも1種類のパーフルオロ単量体単位との合計が5〜20モル%の共重合体
等が挙げられる。
上記(I−I)、(I−II)及び(I−III)の共重合体について記載した単量体単位は、上述のパーフルオロ系ポリマーにおける主要単量体単位であり、上述の各単量体単位のモル%は、パーフルオロ系ポリマーにおける主要単量体単位が由来する単量体の全量を100モル%としたときのモル分率である。
上記(I−III)の共重合体は、上記範囲内で組成を変えることにより、後述のフッ素樹脂(a1)、フッ素樹脂(a2)の何れにもなり得る。
上記フッ素樹脂(a)として用いるフッ素樹脂のうち、少なくとも1種類は、燃料透過係数が0.5g・mm/m/day以下であることが好ましく、0.3g・mm/m/day以下であることがより好ましい。
フッ素樹脂(a)は、燃料透過係数が0.3g・mm/m/day以下であるフッ素樹脂(a1)を含むものが好ましい。
上記フッ素樹脂(a1)の燃料透過係数の好ましい上限は、0.27g・mm/m/dayである。
本発明の積層体は、上記フッ素樹脂(a1)からなる層(A)を有することにより、例えば、燃料透過速度が上述の範囲内となるような、高度の耐燃料透過性を容易に達成することができる。
上記フッ素樹脂(a1)としては、例えば、上記(I−I)の共重合体、(I−III)の共重合体等が挙げられる。
本発明の積層体におけるフッ素樹脂(a1)を構成するポリマーとしては、また、成形性と薬液低透過性とに優れる点で、CTFEと、Et及び/又はフッ素含有単量体とからなるクロロトリフルオロエチレン共重合体〔CTFE共重合体〕(以下、「CTFE共重合体(I)」ということがある。)であることが好ましい。
上記CTFE共重合体(I)における「フッ素含有単量体」は、フッ素含有エチレン性単量体として上述したもののうちCTFE以外のものであれば特に限定されないが、好ましくは、TFE、VdF、HFP、PAVE、又は、上記一般式(i)で表されるビニル単量体である。上記フッ素含有単量体は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記CTFE共重合体(I)としては特に限定されず、例えば、CTFE/PAVE共重合体、CTFE/VdF共重合体、CTFE/HFP共重合体、CTFE/Et共重合体等が挙げられ、また、3元以上の共重合体として、後述のCTFE共重合体(II)について例示したもの等が挙げられる。
フッ素樹脂(a1)を構成するポリマーは、クロロトリフルオロエチレン単位〔CTFE単位〕、テトラフルオロエチレン単位〔TFE単位〕、並びに、CTFE及びTFEと共重合可能な単量体〔A〕に由来する単量体〔A〕単位から構成されるクロロトリフルオロエチレン共重合体(以下、「CTFE共重合体(II)」ということがある。)であってもよい。
上記単量体〔A〕としては、フッ素含有エチレン性単量体及びフッ素非含有エチレン性単量体として上述したもののうち、CTFE又はTFE以外のものであれば特に限定されないが、好ましくは、VdF、HFP、PAVE、又は、上記一般式(i)で表されるビニル単量体である。
上記単量体〔A〕として用いるPAVEは、上記一般式(ii)で表されるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)であることが好ましく、なかでも、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)〔PMVE〕、パーフルオロ(プロビルビニルエーテル)〔PPVE〕がより好ましく、耐熱性の点でPPVEが更に好ましい。
上記単量体〔A〕は、PAVEとして、上記一般式(i)で表されるビニル単量体として、それぞれ1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記CTFE共重合体(II)としては特に限定されず、例えば、CTFE/TFE/HFP共重合体、CTFE/TFE/VdF共重合体、CTFE/TFE/PAVE共重合体、CTFE/TFE/Et共重合体、CTFE/TFE/HFP/PAVE共重合体、CTFE/TFE/VdF/PAVE共重合体等が挙げられ、なかでも、CTFE/TFE/PAVE共重合体が好ましい。
上記CTFE共重合体(II)におけるCTFE単位及び上記TFE単位は、合計で90〜99.9モル%であり、上記単量体〔A〕単位は、10〜0.1モル%であることが好ましい。上記単量体〔A〕単位が0.1モル%未満であると、成形性、耐環境応力割れ性及び耐ストレスクラック性に劣りやすく、10モル%を超えると、薬液低透過性、耐熱性、機械特性に劣る傾向にある。
上記単量体〔A〕がPAVEである場合、上記単量体〔A〕単位のより好ましい下限は、0.5モル%、より好ましい上限は、7モル%、更に好ましい上限は、3モル%である。
上記CTFE共重合体は、樹脂を構成するものである。
本明細書において、(I)、(II)等の符号を付さず、単に「CTFE共重合体」という場合、CTFE共重合体(I)、CTFE共重合体(II)の何れも含む意味で用いる。
上記CTFE共重合体は、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等の従来公知の重合方法により得ることができるが、懸濁重合により得たものであることが好ましい。
上記CTFE共重合体としては、融点〔Tm〕が150℃〜300℃であるものが好ましい。より好ましい下限は、170℃である。
上記Tmは、示差走査熱量計〔DSC〕を用いて10℃/分の速度で昇温したときの融解ピークに対応する温度である。
上記CTFE共重合体としては、加熱試験に供したCTFE共重合体の1質量%が分解する温度〔Tx〕が380℃以上であるものが好ましい。より好ましい下限は、390℃、更に好ましい下限は、400℃である。
上記熱分解温度〔Tx〕は、示差熱・熱重量測定装置〔TG−DTA〕を用いて加熱試験に供したCTFE共重合体の質量が1質量%減少する時の温度を測定することにより得られる値である。
上記CTFE共重合体としては、上記融点〔Tm〕と、CTFE共重合体の1質量%が分解する温度〔Tx〕との差〔Tx−Tm〕が100℃以上であることが好ましい。100℃未満であると、成形可能な範囲が狭すぎて成形条件の選択の幅が小さくなる。上記CTFE共重合体は、成形可能な温度範囲が上述のように広いので、共押出成形を行う場合、相手材として高融点ポリマーを用いることができる。上記差〔Tx−Tm〕のより好ましい下限は、190℃である。上記差〔Tx−Tm〕は、上記範囲内であれば成形条件の選択の幅が充分に広い点で上限を例えば、200℃とすることができる。
上記フッ素樹脂(a)としては、上記フッ素樹脂(a1)に加えて、更に、燃料透過係数が0.3g・mm/m/dayを超え、1g・mm/m/day以下であるフッ素樹脂(a2)をも含むものが好ましい。
本発明の積層体は、上記フッ素樹脂(a1)とフッ素樹脂(a2)とからなる層(A)を有することにより、所望の耐燃料透過性を有するように容易に調整することができる。上記フッ素樹脂(a2)の燃料透過係数の好ましい上限は、0.9g・mm/m/day、より好ましい上限は、0.85g・mm/m/dayであり、好ましい下限は、0.35g・mm/m/day、より好ましい下限は、0.4g・mm/m/dayである。
上記フッ素樹脂(a2)としては、例えば、上述の(I−II)の共重合体、(I−III)の共重合体等が挙げられる。
本明細書において、上記燃料透過係数は、イソオクタン、トルエン及びエタノールを45:45:10の容積比で混合したイソオクタン/トルエン/エタノール混合溶媒を投入した燃料透過係数測定用カップに測定対象樹脂から得たシートを入れ、60℃において測定した質量変化から算出される値である。
本発明の積層体において、層(A)は、共重合体(I)を2種以上用いる場合について上述したようにフッ素樹脂(a1)とフッ素樹脂(a2)とのポリマーアロイによって形成してもよいし、フッ素樹脂(a1)とフッ素樹脂(a2)とを積層してなるものであってもよく、フッ素樹脂(a1)とフッ素樹脂(a2)とを積層したものは、後述の接着性官能基を導入しなくても、相溶性により、充分な接着性を有することができる。
上記フッ素樹脂(a1)とフッ素樹脂(a2)とのポリマーアロイを形成する方法としては、上記フッ素樹脂(a1)とフッ素樹脂(a2)とを所望により予めドライブレンドした後、従来公知の溶融混練によって行う。上記溶融混練には、例えば、高温ニーダ、スクリュー式押出機等を用いることができ、後述の導電性材料を混合させる場合、均一に導電性材料を混合するために、二軸押出機を用いることが好ましい。
フッ素樹脂は、本発明の積層体において、層(A)と層(A)に隣接する相手材との層間接着性が求められる用途においては、接着性フッ素樹脂であることが好ましい。上記相手材としては特に限定されず、例えば、フッ素非含有有機材料からなる層(B)等が挙げられる。
上記接着性フッ素樹脂は、層(A)の相手材がフッ素非含有有機材料からなる層(B)である場合、層(B)との接着性を有するものが好ましい。
上記接着性フッ素樹脂としては、例えば、接着性官能基を有することにより、及び/又は、接着性官能基とは異なる分子構造上の部位が加熱により接着性を発揮する構造に変化することにより、接着性を有するもの等が挙げられる。本明細書において、上述の共重合体(I)等からなるフッ素樹脂(a)を含む含フッ素エチレン性共重合体は接着性フッ素樹脂を含み得る概念である。上記接着性フッ素樹脂としては、接着性に優れる点で、接着性官能基を有するものが好ましい。本明細書において、「接着性官能基」とは、相手材との接着に関与し得る官能基を意味する。
上記接着性官能基としては、層(B)をなすフッ素非含有有機材料が極性官能基を有する場合、極性官能基と反応し得るか又は水素結合等の分子間相互作用をし得るものであれば特に限定されない。
上記接着性官能基としては、例えば、カルボニル基、カーボネート基、ハロゲノホルミル基、ホルミル基、カルボキシル基、カルボニルオキシ基[−C(=O)O−]、酸無水物基[−C(=O)O−C(=O)−]、イソシアネート基、アミド基[−C(=O)−NH−]、イミド基[−C(=O)−NH−C(=O)−]、ウレタン結合[−NH−C(=O)O−]、カルバモイル基[NH−C(=O)−]、カルバモイルオキシ基[NH−C(=O)O−]、ウレイド基[NH−C(=O)−NH−]、オキサモイル基[NH−C(=O)−C(=O)−]等が挙げられる。上記カルボニル基としては、導入が容易であり、反応性が高い点から、カーボネート基の一部であるもの、ハロゲノホルミル基の一部であるものが好ましい。
上記カーボネート基は、一般に[−OC(=O)O−]で表される結合を有する基であり、−OC(=O)O−R基(式中、Rは、有機基、I族原子、II族原子又はVII族原子を表す。)で表されるものである。上記式中のRにおける有機基としては、例えば、炭素数1〜20のアルキル基、エーテル結合を有する炭素数2〜20のアルキル基等が挙げられ、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基、エーテル結合を有する炭素数2〜4のアルキル基等である。上記カーボネート基としては、例えば、−OC(=O)O−CH、−OC(=O)O−C、−OC(=O)O−C17、−OC(=O)O−CHCHOCHCH等が挙げられる。
上記ハロゲノホルミル基は、−COY(式中、Yは、VII族原子を表す。)で表されるものであり、例えば、−COF、−COCl等が挙げられる。
上記接着性官能基の数は、積層する相手材の種類、形状、接着の目的、用途、必要とされる接着力、後述するテトラフルオロエチレン系共重合体の種類と接着方法等の違いにより適宜選択されうる。
上記接着性フッ素樹脂は、接着性官能基を有するものである場合、接着性官能基をポリマー鎖末端又は側鎖の何れかに有する重合体からなるものであってもよいし、ポリマー鎖末端及び側鎖の両方に有する重合体からなるものであってもよい。ポリマー鎖末端に接着性官能基を有する場合は、ポリマー鎖の両方の末端に有していてもよいし、いずれか一方の末端にのみ有していてもよい。上記接着性フッ素樹脂としては、上記接着性官能基を有するものである場合、ポリマー鎖末端に接着性官能基を有する重合体からなるものが、耐熱性、機械特性及び耐薬品性を低下させず、また、生産性、コスト面で有利であるので、好ましい。
上記含フッ素エチレン性重合体の融点としては、130〜280℃が好ましい。上記含フッ素エチレン性共重合体の融点としては、後述のポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等のフッ素非含有有機材料との共押出成形を容易にする観点では、150〜280℃であることがより好ましく、更に好ましい下限は、180℃であり、更に好ましい上限は、260℃である。
上記含フッ素エチレン性重合体の融点は、示差走査熱量計〔DSC〕を用い、10℃/分の速度で昇温したときの融解ピークに対応する温度である。
上記含フッ素エチレン性重合体は、得られる積層体の耐燃料透過性をより高めるため、融点が180℃〜270℃である高融点タイプであって、297℃におけるメルトフローレート〔MFR〕が0.1〜100g/10分であるものを好適に用いることができる。
上記融点のより好ましい下限は、200℃、より好ましい上限は、260℃である。
上記MFRは、メルトインデクサーを用い、5kg荷重下で直径2mm、長さ8mmのノズルから10分間あたりに流出する含フッ素エチレン性重合体の質量を測定し得られる値である。
上記含フッ素エチレン性重合体の重合方法としては特に限定されず、例えば、溶液重合、塊状重合、乳化重合等が挙げられるが、工業的には、懸濁重合が好ましい。懸濁重合は水性媒体中で行うことが好ましく、フッ素系媒体を添加してもよい。上記フッ素系媒体としては、CHCClF、CHCClF、CFCFCClH、CFClCFCFHCl等の水素含有クロロフルオロアルカン類;CFClCFClCFCF、CFCFClCFClCF等の水素非含有クロロフルオロアルカン類;CFCFCFCF,CFCFCFCFCF,CFCFCFCFCFCF等のパーフルオロアルカン類;パーフルオロシクロブタン等のパーフルオロシクロアルカン類等が挙げられ、なかでも、パーフルオロアルカン類、パーフルオロシクロアルカン類が好ましい。
上記含フッ素エチレン性重合体の重合において、重合温度は特に限定されず、0〜100℃でよい。重合圧力は、用いる溶媒の種類、量及び蒸気圧、重合温度等の他の重合条件に応じて適宜定められるが、通常、0〜9.8MPaGであってよい。
上記含フッ素エチレン性重合体の重合において、分子量調整のために、通常の連鎖移動剤、例えばイソペンタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素;メタノール、エタノール等のアルコール;四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、塩化メチル等のハロゲン化炭化水素を用いてもよい。
上記ポリマー鎖末端への接着性官能基の導入方法としては、所望の接着性官能基そのもの又は接着性官能基に変化し得るような官能基を分子構造中に有する重合開始剤を用いて重合を行う方法が一般的である。上記接着性官能基が、例えば、カルボニル基を有するものである場合、パーオキシジカーボネートを重合開始剤として用いて上述の各単量体を重合する方法が経済性の面、耐熱性、耐薬品性等の品質の面で好ましい。
本発明の積層体における層(A)は、上記フッ素樹脂に、更に、導電性材料を配合して導電性を有するものとすることができる。導電性材料としては特に限定されず、例えば、金属、炭素等の導電性単体粉末又は導電性単体繊維;酸化亜鉛等の導電性化合物の粉末;表面導電化処理粉末等が挙げられる。
上記導電性単体粉末又は導電性単体繊維としては特に限定されず、例えば、銅、ニッケル等の金属粉末;鉄、ステンレス等の金属繊維;カーボンブラック、炭素繊維等が挙げられる。
上記表面導電化処理粉末は、ガラスビーズ、酸化チタン等の非導電性粉末の表面に導電化処理を施して得られる粉末である。上記導電化処理の方法としては特に限定されず、例えば、金属スパッタリング、無電解メッキ等が挙げられる。
上述した導電性材料のなかでもカーボンブラックは、経済性や静電荷蓄積防止の観点で有利であるので好適に用いられる。
上記フッ素樹脂に上記導電性材料を配合する場合、溶融混練して予めペレットを作製することが好ましい。
ペレット作製時における溶融混練後のペレット加熱条件としては、フッ素樹脂のガラス転移点以上、フッ素樹脂の融点未満の温度で行うことが一般的であり、通常、130〜200℃において、1〜48時間行うことが好ましい。予めペレットを作製することにより、得られる層(A)においてフッ素樹脂に導電性材料を均一に分散させ、導電性を均質に付与することができる。
上記導電性材料の配合量としては、フッ素樹脂の種類、積層体に要求される導電性能、成形条件等に基づいて適宜決められるが、フッ素樹脂100質量部に対して1〜30質量部であることが好ましい。より好ましい下限は、5質量部、より好ましい上限は、20質量部である。
上記フッ素樹脂に導電性材料を配合してなるフッ素樹脂導電性組成物の表面抵抗値は、1×10〜1×10Ω・cmであることが好ましい。より好ましい下限は、1×10Ω・cmであり、より好ましい上限は、1×10Ω・cmである。
本明細書において、上記「フッ素樹脂導電性組成物の表面抵抗値」は、上記導電性材料とフッ素樹脂とを溶融混練して得られたペレットをメルトインデクサーに投入し、上記メルトインデクサー中で200〜400℃の任意の温度で加熱して、押出して得られた押出しストランドの表面抵抗値を、電池式絶縁抵抗計を用いて測定して得られる値である。
本発明における層(A)は、上記導電性材料のほか、本発明の目的を損なわない範囲で、例えば、熱安定剤等の安定剤、補強剤、充填剤、紫外線吸収剤、顔料等の各種添加剤を添加してなるものであってもよい。層(A)は、このような添加剤により、熱安定性、表面硬度、耐摩耗性、帯電性、耐候性等の特性が向上したものとすることができる。
本発明の積層体は、フッ素非含有有機材料からなる層(B)を有するものである。
上記フッ素非含有有機材料は、フッ素原子を含まない有機材料である。
上記フッ素非含有有機材料は、層(A)のフッ素樹脂と共押出可能な樹脂であることが好ましい。
層(B)は、本発明の積層体が上述の層(A)を有するものであるので、耐燃料透過性に優れたものでなくとも、積層体全体として高度の耐燃料透過性を達成することができる点で、耐燃料透過性に優れたものである必要はないが、層(B)のフッ素非含有有機材料として、耐燃料透過性を有する樹脂を用いることを排除するものではないし、耐燃料透過性を有する樹脂を用いることが好ましい。
上記フッ素非含有有機材料として用い得る耐燃料透過性を有する樹脂としては、結晶化度が高いポリマーからなる樹脂であることが好ましく、結晶化度が高く、かつ、極性官能基を有し分子間力が大きいポリマーからなる樹脂であることがより好ましい。
上記極性官能基は、極性を有し上述した接着性フッ素樹脂との接着に関与し得る官能基である。上記極性官能基は、接着性フッ素樹脂が有するものとして上述した接着性官能基と同じ官能基であってもよいが、異なる官能基であってもよい。
上記極性官能基としては特に限定されず、例えば、接着性官能基として上述したもののほか、シアノ基、スルフィド基、ヒドロキシル基等が挙げられ、なかでも、カルボニルオキシ基、シアノ基、スルフィド基、ヒドロキシル基が好ましく、ヒドロキシル基がより好ましい。
上記フッ素非含有有機材料は、ポリアミド系樹脂、及び/又は、ポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。
上記ポリアミド系樹脂は、分子内に繰り返し単位としてアミド結合〔−NH−C(=O)−〕を有するポリマーからなるものである。
上記ポリアミド系樹脂としては、分子内のアミド結合が脂肪族構造又は脂環族構造と結合しているポリマーからなるいわゆるナイロン樹脂、又は、分子内のアミド結合が芳香族構造と結合しているポリマーからなるいわゆるアラミド樹脂のいずれであってもよい。
上記ナイロン樹脂としては特に限定されず、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン6/66、ナイロン66/12、ナイロン46、メタキシリレンジアミン/アジピン酸共重合体等のポリマーからなるものが挙げられ、これらのなかから2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記アラミド樹脂としては特に限定されず、例えば、ポリパラフェニレンテレフタラミド、ポリメタフェニレンイソフタラミド等が挙げられる。
上記ポリアミド系樹脂は、また、繰り返し単位としてアミド結合を有しない構造が分子の一部にブロック共重合又はグラフト共重合されている高分子からなるものであってもよい。このようなポリアミド系樹脂としては、例えば、ナイロン6/ポリエステル共重合体、ナイロン6/ポリエーテル共重合体、ナイロン12/ポリエステル共重合体、ナイロン12/ポリエーテル共重合体等のポリアミド系エラストマーからなるもの等が挙げられる。これらのポリアミド系エラストマーは、ナイロンオリゴマーとポリエステルオリゴマーがエステル結合を介してブロック共重合することにより得られたもの、又は、ナイロンオリゴマーとポリエーテルオリゴマーとがエーテル結合を介してブロック共重合することにより得られたものである。上記ポリエステルオリゴマーとしては、例えば、ポリカプロラクトン、ポリエチレンアジペート等が挙げられ、上記ポリエーテルオリゴマーとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。上記ポリアミド系エラストマーとしては、ナイロン6/ポリテトラメチレングリコール共重合体、ナイロン12/ポリテトラメチレングリコール共重合体が好ましい。
上記ポリアミド系樹脂としては、ポリアミド系樹脂からなる層が薄層でも充分な機械的強度が得られることから、なかでも、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン6/66、ナイロン66/12、ナイロン6/ポリエステル共重合体、ナイロン6/ポリエーテル共重合体、ナイロン12/ポリエステル共重合体、ナイロン12/ポリエーテル共重合体等が挙げられ、これらのなかから2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ポリオレフィン系樹脂は、フッ素原子を有しないビニル基含有単量体に由来する単量体単位を有する樹脂である。上記フッ素原子を有しないビニル基含有単量体としては特に限定されず、例えば、フッ素樹脂に関し上述したフッ素非含有エチレン性単量体であってもよいが、層(A)等の相手材との層間接着性が求められる用途では上述した極性官能基を有するものが好ましい。
上記ポリオレフィン系樹脂としては特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、高密度ポリオレフィン等のポリオレフィンのほか、上記ポリオレフィンを無水マレイン酸等で変性した変性ポリオレフィン等が挙げられる。
上記フッ素非含有有機材料としては、上述したポリアミド系樹脂やポリオレフィン系樹脂のほか、エチレン/ビニルアルコール共重合体からなる樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアラミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂〔ABS〕、塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂〔PEEK〕、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂〔PES〕、ポリエーテルイミド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂等が挙げられる。
本発明の積層体における層(B)は、本発明の目的を損なわない範囲で、例えば、熱安定剤等の安定剤、補強剤、充填剤、紫外線吸収剤、顔料等の各種添加剤を添加してなるものであってもよい。上記層(B)は、このような添加剤により、熱安定性、表面硬度、耐摩耗性、帯電性、耐候性等の特性が向上したものとすることができる。
本発明の積層体において、上記層(A)及び層(B)は、それぞれ、単層であってもよいし、2層以上の多層構造を有するものであってもよい。層(B)が2層以上の多層構造を有する場合、任意の2つの層が隣接している必要は必ずしもなく、例えば、任意の2つの層の間に層(A)が介在していてもよい。
本発明の積層体は、層(A)及び層(B)を有し、更に、その他の層を有するものであってもよい。上記その他の層としては、例えば、エラストマー等からなり上記積層体を振動や衝撃等から保護する層等が挙げられる。
本発明の積層体は、従来の樹脂積層体よりも薄くても燃料透過速度が上述の範囲内となるように高度の耐燃料透過性を有することができる。従来の樹脂積層体は、厚くすることにより耐燃料透過性を向上することはできたが、用途によっては薄いものが好ましく、薄いものでは高度の耐燃料透過性を達成することができなかった。
本発明の積層体は、上述の範囲内の燃料透過速度を有し、かつ、厚みを例えば1mm以下とすることができる。本発明の積層体の厚みは、用途によるが、例えば、後述の燃料チューブに用いる場合、好ましくは、1.5mm以下であり、より好ましくは1.0mm以下である。
上記層(A)の厚みは、用途によるが、0.001〜0.5mmであることが好ましい。より好ましい下限は、0.003mm、更に好ましい下限は、0.01mm、より好ましい上限は、0.4mm、更に好ましい上限は、0.3mmである。
上記層(B)の厚みは、用途によるが、0.005〜5mmであることが好ましい。より好ましい下限は、0.01mmである。
本発明の積層体は、フィルム形状、シート形状、チューブ形状、ホース形状、ボトル形状、タンク形状等の各種形状とすることができる。上記フィルム形状、シート形状、チューブ形状及びホース形状は、蛇腹(corrugated)形状又は渦巻き(convoluted)形状であってもよい。
本発明の積層体は、フッ素樹脂とフッ素非含有有機材料とが共押出可能なものであれば、マルチマニホールド法、フィードブロック法等の従来公知の多層共押製造法によって形成することが一般的である。
本発明の積層体は、以下の用途等に用いることができる。
フィルム、シート類;食品用フィルム、食品用シート、薬品用フィルム、薬品用シート、ダイヤフラムポンプのダイヤフラムや各種パッキン等
チューブ、ホース類;自動車燃料用チューブ若しくは自動車燃料用ホース等の燃料用チューブ又は燃料用ホース、溶剤用チューブ又は溶剤用ホース、塗料用チューブ又は塗料用ホース、自動車のラジエーターホース、エアコンホース、ブレーキホース、電線被覆材、飲食物用チューブ又は飲食物用ホース等
ボトル、容器、タンク類;自動車のラジエータータンク、ガソリンタンク等の燃料用タンク、溶剤用タンク、塗料用タンク、半導体用薬液容器等の薬液容器、飲食物用タンク等
その他;キャブレターのフランジガスケット、燃料ポンプのOリング等の各種自動車用シール、油圧機器のシール等の各種機械関係シール、ギア等
本発明の積層体は、上述したように、燃料透過速度が2g/m/day以下であるので、燃料チューブに用いる燃料チューブ用積層体として好適に用いることができる。
本発明の積層体が燃料チューブ用積層体である場合、燃料チューブの最内層は、層(A)であることが好ましい。燃料チューブの最内層は、ガソリン等の引火性の液体が接して静電荷が蓄積しやすいが、この静電荷によって引火することを避けるため、層(A)として導電性材料を添加してなるものが好ましい。
本発明の積層体は、燃料チューブを含むチューブ、ホース、タンク等の使用時に燃料と接する箇所がある用途に好適に用いることができ、この場合、燃料と接する箇所は層(A)であることが好ましい。上記燃料と接する箇所は、通常、内層であるので、層(A)を内層とする場合、層(B)は外層となる。本明細書において、上記「外層」「内層」は、チューブ、ホース、タンク等の内側・外側の概念を伴う形状において、上記層(A)及び上記層(B)のうちどの層が内側か外側か又はこの二者の間に位置するかを表すにすぎず、上記積層体は、上記層(B)の表面のうち上記層(A)との接面とは反対側の表面上、及び/又は、上記層(A)と上記層(B)との間にそれぞれその他の層を有するものであってもよい。
本明細書において、「中間層」という場合、上記外層と上記内層との間にある層を指す概念である。
本発明の積層体において、接している各層の境界は必ずしも明確である必要はなく、各層を構成するポリマーの分子鎖同士が接している面から相互に侵入し、濃度勾配がある層構造であってもよい。
本発明の燃料チューブ用積層体の好ましい層構成としては特に限定されず、例えば、
層1:接着性フッ素樹脂からなる層
層2:ポリアミド系樹脂からなる層
からなる積層体;
層1:接着性フッ素樹脂からなる層
層2:接着性フッ素樹脂からなる層
層3:ポリアミド系樹脂からなる層
からなる積層体;
層1:接着性フッ素樹脂からなる層
層2:エチレン/ビニルアルコール共重合体からなる樹脂層
層3:変性ポリオレフィン樹脂からなる層
層4:高密度ポリオレフィン樹脂からなる層
からなる積層体;
等が挙げられる。
上述した燃料チューブ用積層体の各層は、層の番号順に積層してなるものである。
本発明の積層体は、上述の構成よりなるので、高度の耐燃料透過性を有するものを得ることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
合成例1 フッ素樹脂F−Aの合成
174L容積のオートクレーブに蒸留水51Lを投入し、充分に窒素置換を行った後、パーフルオロシクロブタン35kgとパーフルオロ(メチルビニルエーテル)(CF=CFOCF)〔PMVE〕10.4kgとを仕込み、系内の温度を35℃、攪拌速度を200rpmに保った。次いで、テトラフルオロエチレン〔TFE〕を0.8MPaまで圧入した後、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネートの50%メタノール溶液0.38kgを投入して重合を開始した。重合の進行とともに系内圧力が低下するので、TFEとPMVEとの組成がモル比で87:13であるガスを連続して供給し、系内圧力を0.8MPaに保ち、20時間継続した。放圧して大気圧に戻した後、得られた反応生成物を水洗、乾燥して20kgの粉末を得た。
この粉末を表1に示した溶融混練条件とペレット加熱条件により、ペレット状のフッ素樹脂F−Aを得た。
但し、表1中、C1、C2、C3及びC4は、シリンダーの4つの温度測定箇所を示す。上記温度測定箇所は、各々等間隔に離れており、C1からC4に向かうにつれ射出孔に近くなる。表1中、ADは、アダプターの温度であり、Dはダイの温度を表す。
Figure 2004358959
合成例2 フッ素樹脂F−Bの合成
174L容積のオートクレーブに蒸留水47Lを投入し、充分に窒素置換を行った後、ヘキサフルオロプロピレンを49kg仕込み、系内の温度を34℃、攪拌速度200rpmに保った。次いで、TFEを1.03MPaまで圧入した後、重合開始剤(H(CFCFCOO)を8質量%含むパーフルオロへキサン溶液0.58kgを投入して重合を開始した。重合の進行と共に系内圧力が低下するので、TFEを連続して供給し、系内圧力を1.03MPaに保った。重合の途中に重合開始後6時間経過までは(H(CFCFCOO)の8質量%パーフルオロへキサン溶液を2時間毎に0.58kgを追加し、その後重合終了までは2時間毎に0.3kgを追加し15時間重合を継続した。放圧して大気圧に戻した後、得られた反応生成物を水洗、乾燥して18kgの粉末を得た。
この粉末を表1に示した溶融混練条件とペレット加熱条件により、ペレット状のフッ素樹脂F−Bを得た。
合成例3 フッ素樹脂F−Cの合成
合成例1の粉末と合成例2の粉末各々10kgをヘンシェルミキサーを用いてドライブレンドし、表1に示した溶融混練条件とペレット加熱条件により、ペレット状のフッ素樹脂F−Cを得た。
合成例4 フッ素樹脂F−D導電性組成物の作製
合成例2で得られたフッ素樹脂F−Bの乾燥粉末91質量部と導電性材料(アセチレンブラック)9質量部とをヘンシェルミキサーを用いてドライブレンドし、これを表1に示した溶融混練条件とペレット加熱条件により、ペレット状のフッ素樹脂F−D導電性組成物を得た。
なお、メルトフローレート測定で得たストランドから切り出した棒の表面抵抗値は、10Ω・cm/cmであり、このフッ素樹脂導電性組成物を用いた実施例2の3層チューブの内層の表面抵抗値も10Ω・cm/cmであった。
合成例5 フッ素樹脂F−E導電性組成物の作製
合成例1の粉末と合成例2の粉末各々10kgと、導電性材料としてアセチレンブラック2.0kgとをヘンシェルミキサーを用いてドライブレンドし、これを表1に示した溶融混練条件とペレット加熱条件により、ペレット状のフッ素樹脂F−Eを得た。
なお、メルトフローレート測定で得たストランドから切り出した棒の表面抵抗値は、10Ω・cm/cmであり、このフッ素樹脂導電性組成物を用いた実施例4の2層チューブの内層の表面抵抗値も10Ω・cm/cmであった。
合成例6 フッ素樹脂F−Fの合成
PMVEの仕込み量を13kgとし、連続して供給するTFEガスとPMVEガスとのモル組成比を84:16とした以外は合成例1と同様にして重合を行い、20kgの粉末を得た。
この粉末を表1に示した溶融混練条件とペレット加熱条件でペレット状のフッ素樹脂F−Fを得た。
合成例7 フッ素樹脂F−Gの合成
174L容積のオートクレーブに蒸留水43Lを投入し、充分に窒素置換を行った後、パーフルオロシクロブタン87kgとパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(CF=CFOCFCFCF)[PPVE]4.3kgとを仕込み、系内の温度を35℃、攪拌速度を200rpmに保った。次いで、クロロトリフルオロエチレン〔CTFE〕を8.4kg仕込み、さらにテトラフルオロエチレン〔TFE〕を0.67MPaまで圧入した後、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネートの50%メタノール溶液0.2kgを投入して重合を開始した。
重合の進行とともに系内の圧力が低下するので、TFEとCTFEのガス組成がモル比で39:61となるようにそれぞれを連続して供給し、系内の圧力を0.67MPaに保ち15時間継続した。放圧して大気圧に戻した後、得られた反応生成物を水洗、乾燥して11kgの粉末を得た。
この粉末を表1に示した溶融混練条件とペレット加熱条件により、ペレット状のフッ素樹脂F−Gを得た。
合成例8 フッ素樹脂F−H導電性組成物の作製
合成例7で得られたフッ素樹脂F−Gの乾燥粉末91質量部と導電性材料(アセチレンブラック)9質量部とをヘンシェルミキサーを用いてドライブレンドし、これを表1に示した溶融混練条件とペレット加熱条件により、ペレット状のフッ素樹脂F−H導電性組成物を得た。
なお、メルトフローレート測定で得たストランドから切り出した棒の表面抵抗値は、10Ω・cm/cmであり、このフッ素樹脂導電性組成物を用いた実施例7の2層チューブの内層の表面抵抗値も10Ω・cm/cmであった。
合成例1〜8で得られたフッ素樹脂について以下のような物性評価を行った。
(1)カーボネート基の個数の測定
フッ素樹脂の白色粉末又は溶融押出ペレットの切断片を室温で圧縮成形し、厚さ50〜200μmのフィルムを作成した。このフィルムの赤外吸収スペクトル分析によってカーボネート基〔−OC(=O)O−〕のカルボニル基由来のピークが1810〜1815cm−1〔ν(C=O)〕の吸収波長に現れるので、そのν(C=O)ピークの吸光度を測定し、下記式(a)により接着性フッ素樹脂をなす重合体の主鎖炭素数10個あたりのカーボネート基の個数Nを算出した。
N=500AW/εdf (a)
A:カーボネート基〔−OC(=O)O−〕由来のν(C=O)ピークの吸光度
ε:カーボネート基〔−OC(=O)O−〕由来のν(C=O)ピークのモル吸光度係数。モデル化合物からε=170(l・cm−1・mol−1)とした。
W:接着性フッ素樹脂の組成から計算される単量体の平均分子量
d:フィルムの密度(g/cm
f:フィルムの厚さ(mm)
なお、赤外吸収スペクトル分析は、Perkin−Elmer FTIRスペクトロメーター1760X(パーキンエルマー社製)を用いて40回スキャンした。得られたIRスペクトルをPerkin−Elmer Spectrum for windows Ver.1.4Cを用いて自動でベースラインを判定させ、1810〜1815cm−1のピークの吸光度を測定した。なお、フィルムの厚さはマイクロメーターを用いて測定した。
(2)フッ素樹脂の組成の測定
19FNMR分析により測定した。
(3)融点(Tm)の測定
セイコー型示差走査熱量計〔DSC〕を用い、10℃/分の速度で昇温したときの融解ピークを記録し、極大値に対応する温度を融点(Tm)とした。
(4)フッ素樹脂のメルトフローレート(MFR)の測定
メルトインデクサー(東洋精機製作所社製)を用い、各測定温度において、5kg荷重下で直径2mm、長さ8mmのノズルから単位時間(10分間)あたりに流出するポリマーの質量(g)を測定した。
(5)単層の燃料透過係数の測定
チューブ状の積層体の各層に用いる樹脂のぺレットを、それぞれ、直径120mmの金型に入れ、合成例1と合成例3と合成例5と合成例6のフッ素樹脂は260℃に、また合成例2と合成例4のフッ素樹脂は280℃に、合成例7と合成例8のフッ素樹脂は240℃に加熱したプレス機にセットし、約2.9MPaの圧力で溶融プレスして、厚さ0.15mmのシートを得た。CE10(イソオクタンとトルエンとの容量比50:50の混合物にエタノール10容量%を混合した燃料)を18ml投入した内径40mmφ、高さ20mmのSUS316製の透過係数測定用カップに得られたシートを入れ、60℃における質量変化を1000時間まで測定した。時間あたりの質量変化、接液部のシートの表面積及びシートの厚さから燃料透過係数(g・mm/m/day)を算出した。
結果を表2に示す。
Figure 2004358959
実施例1
マルチマニホールドTダイを装着した3種3層フィルムの押出し装置(プラスチック工学研究所製)を用いて、外層がポリアミド12(商品名:Vestamid X7297、Degussa Huls AG社製)、中間層がフッ素樹脂F−A、内層がフッ素樹脂F−Bとなるように3台の押出し機にそれぞれ供給して、表3に示す押出条件により、外径8mm、内径6mmの3種3層の多層チューブを成形した。
得られた多層チューブについて、以下の方法により層間接着強度及び燃料透過係数を測定した。
(A)初期接着強度の測定
チューブ状の積層体から1cm幅のテストピースを切り取り、テンシロン万能試験機を用いて、25mm/分の速度で180°剥離試験を行い、伸び量−引張強度グラフにおける極大5点平均を初期接着強度(N/cm)として求めた。
(B) 燃料封入後の接着強度の測定
チューブ状の積層体を40cmの長さにカットし、容量120mlのSUS316製リザーバータンクをスエージロックで取りつけ、CM15(イソオクタンとトルエンとの容量比50:50の混合物)にメタノール15容量%を混合した燃料を投入し、60℃で1000時間封入した後、上記(A)と同様にして接着強度(N/cm)を測定し、燃料封入後の接着強度とした。
(C)積層体の燃料透過速度の測定
チューブ状の積層体を40cmの長さにカットし、容量120mlのSUS316製リザーバータンクをスエージロックで取りつけ、SAEJ1737に準じてCE10の60℃での透過量を測定し、チューブ状の積層体の肉厚より、燃料透過係数(g/m/day)を算出した。
結果を表3に示す。
実施例2
マルチマニホールドTダイを装着した3種3層フィルムの押出し装置(プラスチック工学研究所製)を用いて、外層がポリアミド12(商品名:Vestamid X7297、Degussa Huls AG社製)、中間層がフッ素樹脂F−A、内層がフッ素樹脂F−D導電性組成物となるように3台の押出し機にそれぞれ供給して、表3に示す押出条件により、外径8mm、内径6mmの3種3層の多層チューブを成形した。得られた多層チューブについて、実施例1と同様の評価を行った。成形条件及び評価結果を表3に示す。
実施例3
マルチマニホールドTダイを装着した2種2層フィルムの押出し装置(プラスチック工学研究所製)を用いて、外層がポリアミド12(商品名:Vestamid X7297、Degussa Huls AG社製)、内層がフッ素樹脂F−Cとなるように2台の押出し機にそれぞれ供給して、表3に示す押出条件により、外径8mm、内径6mmの2種2層の多層チューブを成形した。得られた多層チューブについて、実施例1と同様の評価を行った。成形条件及び評価結果を表3に示す。
実施例4
マルチマニホールドTダイを装着した2種2層フィルムの押出し装置(プラスチック工学研究所製)を用いて、外層がポリアミド12(商品名:Vestamid X7297、Degussa Huls AG社製)、内層がフッ素樹脂F−E導電性組成物となるように2台の押出し機にそれぞれ供給して、表3に示す押出条件により、外径8mm、内径6mmの2種2層の多層チューブを成形した。得られた多層チューブについて、実施例1と同様の評価を行った。成形条件及び評価結果を表3に示す。
実施例5
マルチマニホールドダイを装着した4種4層チューブの押出し装置(プラスチック工学研究所製)を用いて、チューブの最内層を合成例3のフッ素樹脂F−C、中間層1をエチレン/ビニルアルコール共重合体からなる樹脂(商品名:エバールF101A、融点183℃、MFR1.3g/10分、クラレ社製)、中間層2を、マレイン酸変性ポリエチレン樹脂(商品名:アドマ−NF528、融点120℃、MFR2.2g/10分、三井化学社製)、及び、外層を高密度ポリエチレン(商品名:ノバッテクHD HJ340、融点131℃、MFR5.0g/10分、日本ポリケム社製)として、4台の押出し機にそれぞれ供給して、表3に示す押出条件により、外径8mm、内径6mmの4種4層のチューブを連続して成形した。最内層のフッ素樹脂層と隣接するエチレン/ビニルアルコール共重合体層との層間接着強度を測定した。成形条件及び評価結果を表3に示す。
実施例6
内層としてフッ素樹脂F−Gを用いた以外は実施例3と同様にして2種2層の多層チューブを成形した。成形条件及び評価結果を表3に示す。
実施例7
内層としてフッ素樹脂F−H導電性組成物を用いた以外は実施例3と同様にして2種2層の多層チューブを成形した。成形条件及び評価結果を表3に示す。
比較例1
マルチマニホールドTダイを装着した2種2層フィルムの押出し装置(プラスチック工学研究所製)を用いて、外層がポリアミド12(商品名:Vestamid X7297、Degussa Huls AG社製)、内層がフッ素樹脂F−Fとなるように2台の押出し機にそれぞれ供給して、表3に示す押出条件により、外径8mm、内径6mmの2種2層の多層チューブを成形した。得られた多層チューブについて、実施例1と同様の評価を行った。成形条件及び評価結果を表3に示す。
Figure 2004358959
表3から、ポリアミド12からなる層とフッ素樹脂からなる層との間に接着性フッ素樹脂の中間層を用いた実施例1及び実施例2は、ポリアミド12とフッ素樹脂との2層構造である実施例3及び実施例4に比べて、高い初期接着強度を有し、燃料透過速度も小さいことがわかった。CTFE共重合体を用いた実施例6及び実施例7は、接着強度を損なわずに燃料透過速度を極めて小さくできることがわかった。
本発明の積層体は、例えば、燃料チューブを含むチューブ、ホース、タンク等の使用時に燃料と接する箇所がある用途に好適に用いることができる。

Claims (8)

  1. フッ素樹脂からなる層(A)と、フッ素非含有有機材料からなる層(B)とを有する積層体であって、
    前記積層体は、燃料透過速度が1.5g/m/day以下である
    ことを特徴とする積層体。
  2. フッ素樹脂は、燃料透過係数が1g・mm/m/day以下であるフッ素樹脂(a)を含むものである請求項1記載の積層体。
  3. フッ素樹脂(a)は、燃料透過係数が0.3g・mm/m/day以下であるフッ素樹脂(a1)を含むものである請求項2記載の積層体。
  4. フッ素樹脂(a)は、パーフルオロ系樹脂である請求項2又は3記載の積層体。
  5. フッ素樹脂(a1)を構成するポリマーは、クロロトリフルオロエチレンと、エチレン及び/又はフッ素含有単量体とからなるクロロトリフルオロエチレン共重合体である請求項3記載の積層体。
  6. フッ素樹脂(a1)を構成するポリマーは、クロロトリフルオロエチレン単位、テトラフルオロエチレン単位、並びに、クロロトリフルオロエチレン及びテトラフルオロエチレンと共重合可能な単量体〔A〕に由来する単量体〔A〕単位から構成されるクロロトリフルオロエチレン共重合体であり、
    前記クロロトリフルオロエチレン単位及び前記テトラフルオロエチレン単位は、合計で90〜99.9モル%であり、
    前記単量体〔A〕単位は、10〜0.1モル%である請求項3記載の積層体。
  7. フッ素非含有有機材料は、ポリアミド系樹脂及び/又はポリオレフィン系樹脂である請求項1、2、3、4、5又は6記載の積層体。
  8. 燃料チューブ用積層体である請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の積層体であって、
    層(A)は、燃料チューブの最内層である積層体。
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