JP2004358311A - スリットコート方法 - Google Patents

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明彦 小村
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Abstract

【目的】円形等非矩形の布設領域に液塗膜を安定的に布設することができるスリットコート方法を提供すること。
【構成】基板上に液塗膜を形成するスリットコート方法に用いる塗布ヘッドにおいて、2つのL字型形状のリップ部材を互いにスリット幅方向に相対移動可能な構造を成し、スリット幅である塗布液の吐出口幅を可変構造とする。ここで、塗布される液塗膜の膜厚が形成されるために必要な塗布液の供給量と、吐出口幅と、基板に対して塗布ヘッドを相対移動させる速度(塗布速度)とを同期させつつ塗布領域に均一に塗布液を塗布する。又、塗布液を塗布する塗布領域の形状は半導体ウエハー基板上の円形等、非矩形形状とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子デバイス等の製造工程における基板と塗布ヘッドとを相対移動させながら塗布ヘッドから塗布液を吐出して基板上に液塗膜を均一に布設するスリットコート方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
基板と塗布ヘッドとを相対移動させながら、塗布ヘッドから塗布液を吐出して、基板上に液塗膜を均一に布設するスリットコート方法とそれに用いる塗布ヘッドについて図5を用いて説明する。
【0003】
図5は従来のスリットコート方法及びそれを用いる塗布ヘッドを示す正面、上面断面、側面断面の3面図である。
【0004】
塗布ヘッドAは、後リップ部材1、前リップ部材2、スペーサー部材3の主要部材で構成されている。後リップ部材1の内部にはマニュホルド5と塗布液供給路6が存在し、塗布ヘッドAの外部から供給された塗布液Lは塗布液供給路6を通りマニュホルド5に達し、ここで塗布ヘッドAのスリット幅W方向に均一に行き渡り、両リップ部材に狭持されるスペーサー部材3の厚み寸法で決定される隙間寸法、即ちスリット厚さTと、スペーサー部材3の「コ」の字形状の開口部の幅寸法、即ちスリット幅Wとの積で表すことができる流路断面を持つスリット部4を通り、塗布ヘッドAの外部にから吐出される。そして、塗布ヘッドAが塗布液Lを吐出しながら基板S上を基板Sに対して相対移動することにより、均一な液塗膜が基板S上に連続的に布設される。
【0005】
このように、スリットコート方法は、特に角形基板を用い、液塗膜の布設領域が矩形であることが多い液晶ディスプレイ等の電子デバイスの製造工程において、必要な矩形領域のみに液塗膜を布設することができる方法として極めて効果的な方法である。
【0006】
又、上記のようなスリットコート方法において、塗布幅および塗布位置を連続的に変化させた模様をつくることを可能にした塗布ヘッドも提案されている(特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特許第3021838号公報
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような塗布ヘッドを用いたスリットコート方法においては、前述のように液塗膜の矩形布設に対しては適しているが、半導体ウエハー等への液塗膜の略円形布設は困難であった。
【0008】
又、塗布ヘッド内部で、塗布液の流路の幅と位置を調整して、塗布幅及び塗布位置を連続的に変化させた模様を作ることで非矩形布設を可能にした前記特許文献1に記載されている塗布ヘッドは、塗布ヘッドの、塗布液が吐出する吐出口自体の幅は変えず、塗布液の流路の幅、位置を塗布ヘッド内部で調整しているため、基板上に塗布される際の塗布液の実質の塗布幅、塗布位置が不安定であるという問題があった。
【0009】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、円形等非矩形の布設領域に液塗膜を安定的に布設することができるスリットコート方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基板と塗布ヘッドとを相対移動させる際に、同時に塗布ヘッドのスリット幅自体を連続的に変化させることにより、布設液塗膜の幅を連続的に変化させた形状の領域に液塗膜を、塗布幅、塗布位置が安定的に布設できるようにしたものである。
【0011】
即ち、本発明は、基板と塗布ヘッドとを相対的に移動させながら、塗布ヘッドから塗布液を吐出して、基板上に液塗膜を布設するスリットコート方法において、2つのL字型形状のリップ部材を互いにスリット幅方向に相対移動可能な構造を成し、スリット幅を可変構造としたことを特徴とする。
【0012】
尚、本発明方法に使用されるの塗布ヘッドにおいて、各々のリップ部材のD寸法のL字型形状の段差部は別体のシムであっても良い。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0014】
<実施の形態1>
図1は本発明に係る塗布ヘッドの一実施の形態の概略構造を示す正面、上面断面、側面断面の3面図で、スリット幅が広い状態を示している。図2は本発明に係る塗布ヘッドの一実施の形態の概略構造を示す正面、上面断面、側面断面3面図で、スリット幅が狭い状態を示している。
【0015】
本発明に係る塗布ヘッドは、図1及び図2に示すように、後リップ部材1と前リップ部材2と天板部材7とを備えている。後リップ部材1と前リップ部材2とは上面断面図に示すように、段差高さDの段差を持つL字型形状を成し、互いに勝手違いの関係に配置され、L字型形状の段差部の組み合わせにより、段差高さD即ちスリット厚さTとスリット幅Wとの積で表すことができる流路断面を持つスリット部4を形成し、スリット部4の上面は天板部材7で塞がれている。
【0016】
互いに勝手違いの関係に配置された後リップ部材1と前リップ部材2とをスリット幅W方向に相対移動させることでスリット部4のスリット幅W寸法を伸縮・変化させる。
【0017】
後リップ部材1の内部にはマニュホルド5と塗布液供給路6が作り込まれている。塗布液Lは塗布ヘッドAの外部より供給され、塗布液供給路6を通ってマニュホルド5に到達し、塗布液Lはスリット幅W方向に均一に行き渡り、スリット部4を通り、塗布ヘッドAの外部に吐出される。
【0018】
以上のように構成された塗布ヘッドAと基板Sとを相対移動させながらスリット幅Wを液塗膜の布設領域の形状に応じて変化させながら、塗布液Lをスリット部4から吐出させることによって、非矩形の布設領域にも液塗膜を布設することができる。
【0019】
本実施の形態では基板に厚さ0.625mm、直径150mmのウエハー基板8を用い、両リップ部材により形成されるスリット厚さT(=段差高さD)を50μm、ウエハー基板8と塗布ヘッドAとの間の隙間Hを200μm、ウエハー基板8と塗布ヘッドAとを相対的に移動させる速度を10mm/secの条件で、塗布ヘッドAのスリット幅Wを、図3に示すようにW1
〜W7 と、液塗膜を布設する領域Cの形状に応じて順次連続的に変化させながら、スリット幅Wと、塗布液Lの供給量と、ウエハー基板8と塗布ヘッドAとを相対的に移動させる速度とを、均一な厚さの液塗膜を布設するように同期させつつ、樹脂材料をウエハー基板8の円形形状の液塗膜布設領域Cに塗布したところ、液塗膜の必要な領域のみに液塗膜を安定的に布設することができた。
【0020】
<実施の形態2>
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
【0021】
本実施の形態では、基板に厚さ0.78mm、寸法330mm×150mmの角基板9を用い、両リップ部材により形成されるスリット厚さT(=段差高さD)を100μm、角基板9と塗布ヘッドAとの間の隙間Hを200μm、角基板9と塗布ヘッドAとを相対的に移動させる速度を10mm/secの条件で塗布ヘッドAのスリット幅Wを、図4に示すようにW11〜W18と、液塗膜を布設する領域Fの形状に応じて順次連続的に変化させながら、スリット幅Wと、塗布液Lの供給量と、角基板9と塗布ヘッドAとを相対的に移動させる速度とを、均一な厚さの液塗膜を布設するように同期させつつ、樹脂材料を角基板9の液塗膜布設領域Fに塗布したところ、液塗膜の必要な領域のみに液塗膜を安定的に布設することができた。
【0022】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、塗布ヘッドのスリット幅を可変構造としたため、矩形だけでなく、円形や略円形等の塗布液布設領域に対してスリットコート方法を用いて基板上に液塗膜を均一に安定的に布設することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る塗布ヘッドの構造を示す正面、上面断面、側面断面の3面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る塗布ヘッドの構造を示す正面、上面断面、側面断面の3面図である。
【図3】本発明の実施例に係る塗布ヘッドのスリット幅を変化させる概念を示したウエハー基板の平面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る塗布ヘッドのスリット幅を変化させる概念を示した角基板の平面図である。
【図5】従来の塗布ヘッドの構造を示す正面、上面断面、側面断面の3面図である。
【符号の説明】
1 後リップ部材
2 前リップ部材
3 シム部材
4 スリット部
5 マニュホルド
6 塗布液供給路
7 天板部材
8 ウエハー基板
9 角基板
A 塗布ヘッド
C ウエハー基板上の液塗膜の布設領域
F 角基板上の液塗膜の布設領域
H 基板と塗布ヘッドとの間の隙間
M 塗布ヘッドが基板に対して相対移動する方向
W スリット幅
W1 〜W7 連続的に変化するスリット幅
W11〜W18 連続的に変化するスリット幅
T スリット厚さ
D 段差高さ
S 基板
L 塗布液

Claims (3)

  1. 基板上に液塗膜を形成するスリットコート方法に用いる塗布ヘッドにおいて、2つのL字型形状のリップ部材を互いにスリット幅方向に相対移動可能な構造を成し、スリット幅である塗布液の吐出口幅を可変構造にしたことを特徴とするスリットコート方法。
  2. 塗布される液塗膜の膜厚が形成されるために必要な塗布液の供給量と、吐出口幅と、基板に対して塗布ヘッドを相対移動させる速度(塗布速度)とを同期させつつ塗布領域に均一に塗布液を塗布することを特徴とする請求項1記載のスリットコート方法。
  3. 塗布液を塗布する塗布領域の形状が半導体ウエハー基板上の円形等、非矩形形状であることを特徴とする請求項1記載のスリットコート方法。
JP2003157766A 2003-06-03 2003-06-03 スリットコート方法 Withdrawn JP2004358311A (ja)

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