JP2004357595A - スピニングリールの逆転防止装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、ころがり部材の保持機構のリール本体への設置の簡易コンパクト化と軽量化、機構作動の安定円滑化、強度・耐久性の向上、並びにコストの低減を図るようにした魚釣用リールの逆転防止装置を提供する。
【解決手段】本発明は、リール本体4に取付固定した環状外枠10と回転軸3との間に位置して外径方向の移動が規制されるころがり部材7を収容するガイド孔8を有する環状保持体9を前記回転軸上に回動可能に設け、リール本体に設けた操作部材13により前記環状保持体と共に前記ころがり部材を楔作用状態と楔作用しない状態に切換可能とし、前記環状保持体に前記ころがり部材を楔作用する方向に付勢する手段11を設けた魚釣用リールの逆転防止装置において、前記前記環状保持体の逆転防止状態時に前記ころがり部材を押圧する押圧突起18をガイド孔の内面に突設したものです。
【選択図】 図7
【解決手段】本発明は、リール本体4に取付固定した環状外枠10と回転軸3との間に位置して外径方向の移動が規制されるころがり部材7を収容するガイド孔8を有する環状保持体9を前記回転軸上に回動可能に設け、リール本体に設けた操作部材13により前記環状保持体と共に前記ころがり部材を楔作用状態と楔作用しない状態に切換可能とし、前記環状保持体に前記ころがり部材を楔作用する方向に付勢する手段11を設けた魚釣用リールの逆転防止装置において、前記前記環状保持体の逆転防止状態時に前記ころがり部材を押圧する押圧突起18をガイド孔の内面に突設したものです。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は魚釣用リールの回転軸を逆転防止状態と逆転可能状態とに切換できるようにした魚釣用リールの逆転防止装置の改良に関するものです。
【0002】
【従来の技術】
魚釣用リールの回転軸の回転防止手段として、ころがり部材の楔作用を利用して回転軸を逆転防止状態にしたり、正逆転可能状態に切換ることができるようにすることが特開昭54−141285号公報で知られています。
【0003】
しかし、前記従来の方式は、ころがり部材を楔作用をするガイド溝を形成したリール本体に固定された保持体の一側面に規制板を回動可能に設け、該規制板に突設した係止片によりガイド溝内の前記ころがり部材を楔作用をする作動位置と楔作用をしない非作動位置に規制保持するようにしているため、係止片によりガイド溝の周方向のスペースが大きくなり、特に強度、耐久性を向上するためころがり部材の数を増加する場合には一層逆転防止機構部が大型化してリール本体内の限られたスペース内にコンパクトに設置することが困難となる欠陥があると共に切換部材の回転によりその係止片で特にころがり部材を作動位置から非作動位置に円滑かつ支障なく移動操作することが難しく、係止片が変形損傷したり、ころがり部材を傷付けたりすることがあり、ころがり部材による逆転防止機能及び切換機能を正常に作動保持できない等の問題点がある。
【0004】
この解決策として、特開平6−225673号公報、並びに特開平10−56925号公報には、前記係止片を突設した規制板に代えて、前記ガイド溝内に回動可能に設けた環状保持体の周方向に複数形成したガイド孔に前後方向への移動を規制して前記ころがり部材を収容することが提案されています。
【0005】
しかし、特開平6−225673号公報にて提案のものは、前記前記環状保持体の逆転防止状態切換時に前記ころがり部材を押圧するガイド孔の内面と該ガイド孔に収容したころがり部材との間に該ころがり部材を楔作用する方向に付勢するU字状のバネ部材を設置するものであり、また、特開平10−56925号公報にて提案のものは、前記前記環状保持体の逆転防止状態切換時に前記ころがり部材を押圧するガイド孔の内面と該ガイド孔に収容したころがり部材との間に該ころがり部材を楔作用する方向に付勢するV字状のバネ部材を環状保持体成形時に一体に形成するものであるため、該バネ部材の設置スペース及びこの弾性変形スペースが必要となって、可及的に環状保持体、しいてはリール本体の大型化・重量増加に繋がるのみならず、バネ部材がへたり易いため、耐久性に問題があるばかりか、作動精度の維持にも難があり、しかも、前者にあっては、別途にころがり部材の設置数量に対応したバネ部材が必要となって、部品価格及びこの管理費用の上昇、及び組込み作業の煩雑化のためにコスト高になりますし、後者にあっては、薄肉のバネ部材を一体に成形するものであるため、成形条件の規制や成形品の歩留まりの低下、金型製作費の上昇、金型の耐久性の短縮に伴うコスト高になるものでした。
【0006】
従って、上記課題の解決のために、本願出願人は、特開2001−292666号公報及び特開2002−176886号公報にて前記ガイド孔毎に設置していたバネ部材に代えて環状保持体の少なくとも逆転防止状態切換時にガイド孔内に収容したころがり部材を楔作用する方向に付勢するU字状のバネ部材を環状保持体に作用させるようにすることを提案しました。
【0007】
しかし、先に提案の構成のみでは、ガイド溝を形成する内・外輪とこの間にあって両者間に楔作用をするころがり部材との製造誤差があるところがり部材が内・外輪間に均一に接触せずに、ころがり部材や内・外輪に傷が発生して作動不良の原因となるばかりか、ころがり部材が振動して異音が発生するために釣人に不快感を与えるものでした。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の魚釣用リールのこのような問題点を改善して、ころがり部材の保持機構のリール本体への設置の簡易コンパクト化と軽量化、機構の作動の安定円滑化、強度・耐久性の向上、並びにコストの低減を図るようにした魚釣用リールの逆転防止装置を提供することを目的とするものです。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するために、ハンドル回転に連動回転する回転軸上のリール本体に環状外枠を取付固定し、該環状外枠の径方向内側と回転軸の径方向外側との間に位置し前記環状外枠の内周で径方向の外方移動が規制されるころがり部材を収容する周方向に複数形成したガイド孔を有する環状保持体を前記回転軸上に回動可能に設け、リール本体に回動可能に支持した操作部材の回動操作により前記環状保持体を回動して前記ころがり部材を楔作用する釣糸捲取り方向には回転するが逆転しない逆転防止状態と楔作用しない正逆転可能状態に切換可能とすると共に、前記環状保持体の少なくとも逆転防止状態時に前記環状保持体に前記ころがり部材を楔作用する方向に付勢する付勢手段とを設けた魚釣用リールの逆転防止装置において、前記前記環状保持体の逆転防止状態時に前記ころがり部材を押圧するガイド孔の内面の前後方向中央に押圧突起を突設したことを特徴とするものです。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に係る魚釣用リールの逆転防止装置の一実施形態を魚釣用スピニングリールに実施した場合で説明すると、図1は、本発明の一実施形態に係る逆転防止装置を備えたスピニングリールの縦断面図、図2は、図1に示すリールの平面断面図、図3は、図1のA−A断面図、図4は、図3の要部拡大図、図5は、図4のB−B断面図、図6は、図4のC−C断面図、図7は、前記実施形態に係る環状保持体の外形図をそれぞれ示します。
【0011】
本実施形態に係る魚釣用スピニングリールは、公知のようにローター1を固着しかつハンドル軸の駆動歯車と噛合するピニオン2を設けた回転軸筒3は、リール本体4の前部に軸受5、5’を介して回転自在に支持され、該回転軸筒3の前記軸受5の後部には一体的にカラー6が係合嵌着されている。
【0012】
前記カラー6の外側には周方向に複数形成したころがり部材7を収容するガイド孔8を形成しかつころがり部材7を前後両側から支承した環状保持体9が回転自在に嵌着されると共に該環状保持体9はリール本体4に取付け固定された環状外枠10の径方向の内側に回動可能に嵌着し、前記ころがり部材7の外方移動が規制されております。
【0013】
また、前記環状保持体9とリール本体4との間には、後述するようにガイド孔8に収容されたころがり部材7がカラー6に対して楔作用をする方向に付勢する発条11が設けられており、回転軸筒3がローター1と共に釣糸捲取り方向に回動するときはその回転を許容し、回転軸筒3が逆転しようとすると、ころがり部材7の楔作用により回転軸筒3とローター1とをカラー6を介して逆転阻止するようにクラッチ機構12を構成しています。
【0014】
前記環状保持体9は、これを回動するための回動操作部材13(図1及び図3を参照)と前記発条11にて連結され、該回動操作部材13は、リール本体4に支持された操作杆14を回動することによって発条11を介して環状保持体9を回動してガイド孔8に収容されているころがり部材7を図3の楔作用をする作動位置に切換保持するように構成されています。
【0015】
そして、該環状保持体9は、前記回動操作部材13を前記操作杆14にて図3に示す楔作用をする作動位置から反時計方向に回動操作することによって発条による付勢力が解除されて、図示しない楔作用をしない非作動位置に切換保持するように構成されています。
【0016】
なお、図中15は、環状保持体9の軸方向の抜け止め防止片であり、本実施形態においては、軸受5の座板を介して環状保持体9が軸方向に移動しないようにリール本体4にビス止めされています。
【0017】
尚、図中16は、環状保持体9に設けた発条掛けであり、17は回動操作部材14に設けた発条掛けであり、該発条掛け16,17に前記発条11の両端を掛けています。
【0018】
従って操作杆14で回動操作部材13を介して環状保持体9を回動してころがり部材7が楔作用をする作動位置に保持される図3の状態においては、回転軸筒3はローター1を釣糸捲取り方向に回転することができる一方、その逆転はころがり部材7の楔作用で阻止されて釣糸の張力による釣糸の放出ができない状態になりますが、環状保持体9を操作杆14で反時計方向に回動してころがり部材7への付勢力を解除した楔作用をしない非作動位置に保持された状態では、回転軸筒3は正転及び逆転自在となり、釣糸の張力による釣糸の放出も可能な状態になります。
【0019】
しかしてこの場合、ころがり部材7は操作杆14で回動する環状保持体9に保持されて楔作用する逆転防止状態と楔作用しない正逆転可能状態とに切換えられることにより、回転軸筒3周囲の限られたスペース内にコンパクトに設置することができ、多くのころがり部材7を設けることによってその強度、耐久性を向上させることができると共にころがり部材7による逆転防止機能及び切換等の機構の作動も常時安定して円滑確実に行うことができます。
【0020】
また、本実施形態における環状保持体9のころがり部材7を収容するガイド孔8の内面における環状保持体9を逆転防止状態切換時に前記ころがり部材7を押圧する内面の前後方向中央には、図4、図6及び図7に示すように押圧突起18が突設されています。
【0021】
従って、本実施形態におけるころがり部材7は、回動操作部材13にて環状保持体9を逆転防止状態に切換えることによって発条11の付勢力が付勢されるとガイド孔8の内面の前後方向中央に突設された押圧突起18にてころがり部材7の前後方向中央部が押圧されながらカラー6の外周面にて案内されつつ環状外枠9の内周面との間で図3に示す楔作用をする作動位置に案内されるためにカラー6、ころがり部材7、或いは環状外枠9の製造において若干の誤差があってもころがり部材7をカラー6と環状外枠9との間に均一に接触させることができるので、これら部材表面への損傷を防止できて機構の強度・耐久性を向上しえます。
【0022】
また、本実施形態におけるころがり部材7は、押圧突起18にてカラー6と環状外枠9との間に均一に接触するように押圧案内されるために、楔作用する逆転防止状態を確実・強固に具現化できるのみならず、当該状態への移行不良に伴うころがり部材7の振動に起因しての異音の発生を防止できます。
【0023】
また、本実施形態における環状保持体9のガイド孔8内には、バネ部材等を設けることなく押圧突起18が設けられるのみであるために設置スペースが少なくてすみ、強度を落とすことなく環状保持体9の小径化を可能とし、しいては、クラッチ機構12、リール本体4の小型化による軽量化を図ることができます。
【0024】
更にまた、本実施形態におけるクラッチ機構12は、ころがり部材7を楔作用方向に付勢する発条11を複数のガイド孔8内に個々に設ける必要がないために製造・部品管理コスト、及びこの組込みコスト等の大幅な削減ができますし、この耐久性を各段に向上することができます。
【0025】
図8は、本発明に係る魚釣用リールの逆転防止装置の他の実施形態を魚釣用スピニングリールに実施した前述一実施形態における図3に対応する
断面図を示します。
【0026】
本実施形態に係る魚釣用スピニングリールの概要は、前述の実施形態とほぼ同様な公知の形態であるために符号を統一させて詳細な説明は省略し、前述の実施形態と相違する点のみの説明に留めます。
【0027】
本実施形態における回転軸筒の後部にも一体的にカラー6が係合嵌着され、該カラー6の外側にも周方向に複数形成したころがり部材7を収容するガイド孔8を形成しかつころがり部材7を前後両側から支承した環状保持体9が回転自在に嵌着され、該環状保持体9は、リール本体4に固着された環状外枠10の径方向の内側に回動可能に嵌着されて、該環状外枠10にて前記ころがり部材7の外方移動が規制されております。
【0028】
また、前記環状保持体9とリール本体4との間には、、前記環状保持体9の回動軸芯に対して対称な位置にころがり部材7がカラー6に対して楔作用をする方向に付勢する一対の発条11、11が設けられており、回転軸筒3がローター1と共に釣糸捲取り方向に回動するときはその回転を許容し、回転軸筒3が逆転しようとすると、ころがり部材7の楔作用により回転軸筒3とローター1とをカラー6を介して逆転阻止するようにクラッチ機構12を構成しています。
【0029】
また、環状保持体9は、前述と同様にリール本体4に支持された操作杆14を回動することによって回動可能に構成した回動操作部材13にて回動されて、ころがり部材7を図8の楔作用をする作動位置と図示しない楔作用をしない非作動位置とに切換保持するように構成されています。
【0030】
しかし、本実施形態における回動操作部材13には、この回動軸芯より径方向に操作突起19が一体的に突設形成され、回動操作部材13を図8に
示す楔作用をする作動位置から反時計方向に回動操作することによって環状保持体9の回動軸芯より径方向に一体的に突設形成した係合突起20に係合して環状保持体9を発条11による前記付勢力に抗して時計方向に回動させることによって図示しない楔作用をしない非作動位置に切換保持するように構成されています。
【0031】
そして、回動操作部材13を前述とは逆に時計方向に回動復帰させますと、環状保持体9は前記操作突起19と係合突起20との係合が解除されて、発条11の付勢力にて反時計方向に回動復帰されて図8に示す楔作用をする作動位置に復帰されるように構成されています。
【0032】
本実施形態においては、環状保持体9がこの回動軸芯に対して対称な位置に設けられた一対の発条11、11にて楔作用をする方向に付勢されますので、楔作用する方向への作動の安定化を図ることができます。
【0033】
そして、図示はしませんが、本実施形態における環状保持体9のころがり部材7を収容するガイド孔8における環状保持体9を逆転防止状態切換時に前記ころがり部材7を押圧する内面の前後方向中央に前記実施形態と同様に押圧突起18が突設されております。
【0034】
従って、本実施形態におけるころがり部材7は、前記実施形態と同様に環状保持体9を逆転防止状態に切換えることによって発条11の付勢力が付勢されると共に押圧突起18にて押圧されますので、前記実施形態と同様に作動させることができ、前記実施形態と同様の効果を奏することができます。
【0035】
尚、本実施形態における発条11は、環状保持体9の回動軸芯に対して対称な位置に一対設けるようにしましたが、回動軸心を中心とした3方向に3個、或いは4方向に4個設けるようにしても良く、本実施形態の構成に限定されるものではありません。
【0036】
また、前述の実施形態においては、本発明を魚釣用スピニングリールに実施した形態にて説明しましたが、本発明に係る魚釣用リールの逆転防止装置は、図示しませんが、例えば、ハンドル軸とリール本体との間にクラッチ本体12を配置することによって魚釣用両軸受型リールにも実施できるものです。
【0037】
【発明の効果】
本発明は、前記環状保持体の逆転防止状態切換時に前記ころがり部材を押圧するガイド孔の内面の前後方向中央に押圧突起を突設し、該押圧突起にて、前記環状保持体の逆転防止状態時に前記ころがり部材の前後方向中央部を押圧するようにしたので、ころがり部材の保持機構のリール本体への設置の簡易コンパクト化と軽量化、機構作動の安定円滑化、強度・耐久性の向上、並びにコストの低減を図ることができます。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る逆転防止装置を備えたスピニングリールの縦断面図。
【図2】図1に示すリールの平面断面図。
【図3】図1のA−A断面図。
【図4】図3の要部拡大図。
【図5】図4のB−B断面図。
【図6】図4のC−C断面図。
【図7】前記実施形態に係る環状保持体の外形図。
【図8】本発明に係る魚釣用リールの逆転防止装置の他の実施形態を示す図3に対応する断面図。
【符号の説明】
3・・・回転軸(筒)
4・・・リール本体
7・・・ころがり部材
8・・・ガイド孔
9・・・環状保持体
10・・・環状外枠
11・・・発条
12・・・クラッチ機構
13・・・回動操作部材
18・・・押圧突起
【発明が属する技術分野】
本発明は魚釣用リールの回転軸を逆転防止状態と逆転可能状態とに切換できるようにした魚釣用リールの逆転防止装置の改良に関するものです。
【0002】
【従来の技術】
魚釣用リールの回転軸の回転防止手段として、ころがり部材の楔作用を利用して回転軸を逆転防止状態にしたり、正逆転可能状態に切換ることができるようにすることが特開昭54−141285号公報で知られています。
【0003】
しかし、前記従来の方式は、ころがり部材を楔作用をするガイド溝を形成したリール本体に固定された保持体の一側面に規制板を回動可能に設け、該規制板に突設した係止片によりガイド溝内の前記ころがり部材を楔作用をする作動位置と楔作用をしない非作動位置に規制保持するようにしているため、係止片によりガイド溝の周方向のスペースが大きくなり、特に強度、耐久性を向上するためころがり部材の数を増加する場合には一層逆転防止機構部が大型化してリール本体内の限られたスペース内にコンパクトに設置することが困難となる欠陥があると共に切換部材の回転によりその係止片で特にころがり部材を作動位置から非作動位置に円滑かつ支障なく移動操作することが難しく、係止片が変形損傷したり、ころがり部材を傷付けたりすることがあり、ころがり部材による逆転防止機能及び切換機能を正常に作動保持できない等の問題点がある。
【0004】
この解決策として、特開平6−225673号公報、並びに特開平10−56925号公報には、前記係止片を突設した規制板に代えて、前記ガイド溝内に回動可能に設けた環状保持体の周方向に複数形成したガイド孔に前後方向への移動を規制して前記ころがり部材を収容することが提案されています。
【0005】
しかし、特開平6−225673号公報にて提案のものは、前記前記環状保持体の逆転防止状態切換時に前記ころがり部材を押圧するガイド孔の内面と該ガイド孔に収容したころがり部材との間に該ころがり部材を楔作用する方向に付勢するU字状のバネ部材を設置するものであり、また、特開平10−56925号公報にて提案のものは、前記前記環状保持体の逆転防止状態切換時に前記ころがり部材を押圧するガイド孔の内面と該ガイド孔に収容したころがり部材との間に該ころがり部材を楔作用する方向に付勢するV字状のバネ部材を環状保持体成形時に一体に形成するものであるため、該バネ部材の設置スペース及びこの弾性変形スペースが必要となって、可及的に環状保持体、しいてはリール本体の大型化・重量増加に繋がるのみならず、バネ部材がへたり易いため、耐久性に問題があるばかりか、作動精度の維持にも難があり、しかも、前者にあっては、別途にころがり部材の設置数量に対応したバネ部材が必要となって、部品価格及びこの管理費用の上昇、及び組込み作業の煩雑化のためにコスト高になりますし、後者にあっては、薄肉のバネ部材を一体に成形するものであるため、成形条件の規制や成形品の歩留まりの低下、金型製作費の上昇、金型の耐久性の短縮に伴うコスト高になるものでした。
【0006】
従って、上記課題の解決のために、本願出願人は、特開2001−292666号公報及び特開2002−176886号公報にて前記ガイド孔毎に設置していたバネ部材に代えて環状保持体の少なくとも逆転防止状態切換時にガイド孔内に収容したころがり部材を楔作用する方向に付勢するU字状のバネ部材を環状保持体に作用させるようにすることを提案しました。
【0007】
しかし、先に提案の構成のみでは、ガイド溝を形成する内・外輪とこの間にあって両者間に楔作用をするころがり部材との製造誤差があるところがり部材が内・外輪間に均一に接触せずに、ころがり部材や内・外輪に傷が発生して作動不良の原因となるばかりか、ころがり部材が振動して異音が発生するために釣人に不快感を与えるものでした。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の魚釣用リールのこのような問題点を改善して、ころがり部材の保持機構のリール本体への設置の簡易コンパクト化と軽量化、機構の作動の安定円滑化、強度・耐久性の向上、並びにコストの低減を図るようにした魚釣用リールの逆転防止装置を提供することを目的とするものです。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するために、ハンドル回転に連動回転する回転軸上のリール本体に環状外枠を取付固定し、該環状外枠の径方向内側と回転軸の径方向外側との間に位置し前記環状外枠の内周で径方向の外方移動が規制されるころがり部材を収容する周方向に複数形成したガイド孔を有する環状保持体を前記回転軸上に回動可能に設け、リール本体に回動可能に支持した操作部材の回動操作により前記環状保持体を回動して前記ころがり部材を楔作用する釣糸捲取り方向には回転するが逆転しない逆転防止状態と楔作用しない正逆転可能状態に切換可能とすると共に、前記環状保持体の少なくとも逆転防止状態時に前記環状保持体に前記ころがり部材を楔作用する方向に付勢する付勢手段とを設けた魚釣用リールの逆転防止装置において、前記前記環状保持体の逆転防止状態時に前記ころがり部材を押圧するガイド孔の内面の前後方向中央に押圧突起を突設したことを特徴とするものです。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に係る魚釣用リールの逆転防止装置の一実施形態を魚釣用スピニングリールに実施した場合で説明すると、図1は、本発明の一実施形態に係る逆転防止装置を備えたスピニングリールの縦断面図、図2は、図1に示すリールの平面断面図、図3は、図1のA−A断面図、図4は、図3の要部拡大図、図5は、図4のB−B断面図、図6は、図4のC−C断面図、図7は、前記実施形態に係る環状保持体の外形図をそれぞれ示します。
【0011】
本実施形態に係る魚釣用スピニングリールは、公知のようにローター1を固着しかつハンドル軸の駆動歯車と噛合するピニオン2を設けた回転軸筒3は、リール本体4の前部に軸受5、5’を介して回転自在に支持され、該回転軸筒3の前記軸受5の後部には一体的にカラー6が係合嵌着されている。
【0012】
前記カラー6の外側には周方向に複数形成したころがり部材7を収容するガイド孔8を形成しかつころがり部材7を前後両側から支承した環状保持体9が回転自在に嵌着されると共に該環状保持体9はリール本体4に取付け固定された環状外枠10の径方向の内側に回動可能に嵌着し、前記ころがり部材7の外方移動が規制されております。
【0013】
また、前記環状保持体9とリール本体4との間には、後述するようにガイド孔8に収容されたころがり部材7がカラー6に対して楔作用をする方向に付勢する発条11が設けられており、回転軸筒3がローター1と共に釣糸捲取り方向に回動するときはその回転を許容し、回転軸筒3が逆転しようとすると、ころがり部材7の楔作用により回転軸筒3とローター1とをカラー6を介して逆転阻止するようにクラッチ機構12を構成しています。
【0014】
前記環状保持体9は、これを回動するための回動操作部材13(図1及び図3を参照)と前記発条11にて連結され、該回動操作部材13は、リール本体4に支持された操作杆14を回動することによって発条11を介して環状保持体9を回動してガイド孔8に収容されているころがり部材7を図3の楔作用をする作動位置に切換保持するように構成されています。
【0015】
そして、該環状保持体9は、前記回動操作部材13を前記操作杆14にて図3に示す楔作用をする作動位置から反時計方向に回動操作することによって発条による付勢力が解除されて、図示しない楔作用をしない非作動位置に切換保持するように構成されています。
【0016】
なお、図中15は、環状保持体9の軸方向の抜け止め防止片であり、本実施形態においては、軸受5の座板を介して環状保持体9が軸方向に移動しないようにリール本体4にビス止めされています。
【0017】
尚、図中16は、環状保持体9に設けた発条掛けであり、17は回動操作部材14に設けた発条掛けであり、該発条掛け16,17に前記発条11の両端を掛けています。
【0018】
従って操作杆14で回動操作部材13を介して環状保持体9を回動してころがり部材7が楔作用をする作動位置に保持される図3の状態においては、回転軸筒3はローター1を釣糸捲取り方向に回転することができる一方、その逆転はころがり部材7の楔作用で阻止されて釣糸の張力による釣糸の放出ができない状態になりますが、環状保持体9を操作杆14で反時計方向に回動してころがり部材7への付勢力を解除した楔作用をしない非作動位置に保持された状態では、回転軸筒3は正転及び逆転自在となり、釣糸の張力による釣糸の放出も可能な状態になります。
【0019】
しかしてこの場合、ころがり部材7は操作杆14で回動する環状保持体9に保持されて楔作用する逆転防止状態と楔作用しない正逆転可能状態とに切換えられることにより、回転軸筒3周囲の限られたスペース内にコンパクトに設置することができ、多くのころがり部材7を設けることによってその強度、耐久性を向上させることができると共にころがり部材7による逆転防止機能及び切換等の機構の作動も常時安定して円滑確実に行うことができます。
【0020】
また、本実施形態における環状保持体9のころがり部材7を収容するガイド孔8の内面における環状保持体9を逆転防止状態切換時に前記ころがり部材7を押圧する内面の前後方向中央には、図4、図6及び図7に示すように押圧突起18が突設されています。
【0021】
従って、本実施形態におけるころがり部材7は、回動操作部材13にて環状保持体9を逆転防止状態に切換えることによって発条11の付勢力が付勢されるとガイド孔8の内面の前後方向中央に突設された押圧突起18にてころがり部材7の前後方向中央部が押圧されながらカラー6の外周面にて案内されつつ環状外枠9の内周面との間で図3に示す楔作用をする作動位置に案内されるためにカラー6、ころがり部材7、或いは環状外枠9の製造において若干の誤差があってもころがり部材7をカラー6と環状外枠9との間に均一に接触させることができるので、これら部材表面への損傷を防止できて機構の強度・耐久性を向上しえます。
【0022】
また、本実施形態におけるころがり部材7は、押圧突起18にてカラー6と環状外枠9との間に均一に接触するように押圧案内されるために、楔作用する逆転防止状態を確実・強固に具現化できるのみならず、当該状態への移行不良に伴うころがり部材7の振動に起因しての異音の発生を防止できます。
【0023】
また、本実施形態における環状保持体9のガイド孔8内には、バネ部材等を設けることなく押圧突起18が設けられるのみであるために設置スペースが少なくてすみ、強度を落とすことなく環状保持体9の小径化を可能とし、しいては、クラッチ機構12、リール本体4の小型化による軽量化を図ることができます。
【0024】
更にまた、本実施形態におけるクラッチ機構12は、ころがり部材7を楔作用方向に付勢する発条11を複数のガイド孔8内に個々に設ける必要がないために製造・部品管理コスト、及びこの組込みコスト等の大幅な削減ができますし、この耐久性を各段に向上することができます。
【0025】
図8は、本発明に係る魚釣用リールの逆転防止装置の他の実施形態を魚釣用スピニングリールに実施した前述一実施形態における図3に対応する
断面図を示します。
【0026】
本実施形態に係る魚釣用スピニングリールの概要は、前述の実施形態とほぼ同様な公知の形態であるために符号を統一させて詳細な説明は省略し、前述の実施形態と相違する点のみの説明に留めます。
【0027】
本実施形態における回転軸筒の後部にも一体的にカラー6が係合嵌着され、該カラー6の外側にも周方向に複数形成したころがり部材7を収容するガイド孔8を形成しかつころがり部材7を前後両側から支承した環状保持体9が回転自在に嵌着され、該環状保持体9は、リール本体4に固着された環状外枠10の径方向の内側に回動可能に嵌着されて、該環状外枠10にて前記ころがり部材7の外方移動が規制されております。
【0028】
また、前記環状保持体9とリール本体4との間には、、前記環状保持体9の回動軸芯に対して対称な位置にころがり部材7がカラー6に対して楔作用をする方向に付勢する一対の発条11、11が設けられており、回転軸筒3がローター1と共に釣糸捲取り方向に回動するときはその回転を許容し、回転軸筒3が逆転しようとすると、ころがり部材7の楔作用により回転軸筒3とローター1とをカラー6を介して逆転阻止するようにクラッチ機構12を構成しています。
【0029】
また、環状保持体9は、前述と同様にリール本体4に支持された操作杆14を回動することによって回動可能に構成した回動操作部材13にて回動されて、ころがり部材7を図8の楔作用をする作動位置と図示しない楔作用をしない非作動位置とに切換保持するように構成されています。
【0030】
しかし、本実施形態における回動操作部材13には、この回動軸芯より径方向に操作突起19が一体的に突設形成され、回動操作部材13を図8に
示す楔作用をする作動位置から反時計方向に回動操作することによって環状保持体9の回動軸芯より径方向に一体的に突設形成した係合突起20に係合して環状保持体9を発条11による前記付勢力に抗して時計方向に回動させることによって図示しない楔作用をしない非作動位置に切換保持するように構成されています。
【0031】
そして、回動操作部材13を前述とは逆に時計方向に回動復帰させますと、環状保持体9は前記操作突起19と係合突起20との係合が解除されて、発条11の付勢力にて反時計方向に回動復帰されて図8に示す楔作用をする作動位置に復帰されるように構成されています。
【0032】
本実施形態においては、環状保持体9がこの回動軸芯に対して対称な位置に設けられた一対の発条11、11にて楔作用をする方向に付勢されますので、楔作用する方向への作動の安定化を図ることができます。
【0033】
そして、図示はしませんが、本実施形態における環状保持体9のころがり部材7を収容するガイド孔8における環状保持体9を逆転防止状態切換時に前記ころがり部材7を押圧する内面の前後方向中央に前記実施形態と同様に押圧突起18が突設されております。
【0034】
従って、本実施形態におけるころがり部材7は、前記実施形態と同様に環状保持体9を逆転防止状態に切換えることによって発条11の付勢力が付勢されると共に押圧突起18にて押圧されますので、前記実施形態と同様に作動させることができ、前記実施形態と同様の効果を奏することができます。
【0035】
尚、本実施形態における発条11は、環状保持体9の回動軸芯に対して対称な位置に一対設けるようにしましたが、回動軸心を中心とした3方向に3個、或いは4方向に4個設けるようにしても良く、本実施形態の構成に限定されるものではありません。
【0036】
また、前述の実施形態においては、本発明を魚釣用スピニングリールに実施した形態にて説明しましたが、本発明に係る魚釣用リールの逆転防止装置は、図示しませんが、例えば、ハンドル軸とリール本体との間にクラッチ本体12を配置することによって魚釣用両軸受型リールにも実施できるものです。
【0037】
【発明の効果】
本発明は、前記環状保持体の逆転防止状態切換時に前記ころがり部材を押圧するガイド孔の内面の前後方向中央に押圧突起を突設し、該押圧突起にて、前記環状保持体の逆転防止状態時に前記ころがり部材の前後方向中央部を押圧するようにしたので、ころがり部材の保持機構のリール本体への設置の簡易コンパクト化と軽量化、機構作動の安定円滑化、強度・耐久性の向上、並びにコストの低減を図ることができます。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る逆転防止装置を備えたスピニングリールの縦断面図。
【図2】図1に示すリールの平面断面図。
【図3】図1のA−A断面図。
【図4】図3の要部拡大図。
【図5】図4のB−B断面図。
【図6】図4のC−C断面図。
【図7】前記実施形態に係る環状保持体の外形図。
【図8】本発明に係る魚釣用リールの逆転防止装置の他の実施形態を示す図3に対応する断面図。
【符号の説明】
3・・・回転軸(筒)
4・・・リール本体
7・・・ころがり部材
8・・・ガイド孔
9・・・環状保持体
10・・・環状外枠
11・・・発条
12・・・クラッチ機構
13・・・回動操作部材
18・・・押圧突起
Claims (1)
- ハンドル回転に連動回転する回転軸上のリール本体に環状外枠を取付固定し、該環状外枠の径方向内側と回転軸の径方向外側との間に位置し前記環状外枠の内周で径方向の外方移動が規制されるころがり部材を収容する周方向に複数形成したガイド孔を有する環状保持体を前記回転軸上に回動可能に設け、リール本体に回動可能に支持した操作部材の回動操作により前記環状保持体を回動して前記ころがり部材を楔作用する釣糸捲取り方向には回転するが逆転しない逆転防止状態と楔作用しない正逆転可能状態に切換可能とすると共に、前記環状保持体の少なくとも逆転防止状態時に前記環状保持体に前記ころがり部材を楔作用する方向に付勢する付勢手段とを設けた魚釣用リールの逆転防止装置において、前記前記環状保持体の逆転防止状態時に前記ころがり部材を押圧するガイド孔の内面の前後方向中央に押圧突起を突設したことを特徴とする魚釣用リールの逆転防止装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003160391A JP2004357595A (ja) | 2003-06-05 | 2003-06-05 | スピニングリールの逆転防止装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003160391A JP2004357595A (ja) | 2003-06-05 | 2003-06-05 | スピニングリールの逆転防止装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004357595A true JP2004357595A (ja) | 2004-12-24 |
Family
ID=34053185
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2003160391A Pending JP2004357595A (ja) | 2003-06-05 | 2003-06-05 | スピニングリールの逆転防止装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004357595A (ja) |
-
2003
- 2003-06-05 JP JP2003160391A patent/JP2004357595A/ja active Pending
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