JP2004357375A - 駆動力配分装置の制御方法および制御装置 - Google Patents
駆動力配分装置の制御方法および制御装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004357375A JP2004357375A JP2003150132A JP2003150132A JP2004357375A JP 2004357375 A JP2004357375 A JP 2004357375A JP 2003150132 A JP2003150132 A JP 2003150132A JP 2003150132 A JP2003150132 A JP 2003150132A JP 2004357375 A JP2004357375 A JP 2004357375A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- braking force
- regenerative braking
- torque
- control
- hybrid vehicle
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
- 238000000034 method Methods 0.000 title claims abstract description 83
- 230000001172 regenerating effect Effects 0.000 claims abstract description 197
- 238000002485 combustion reaction Methods 0.000 claims description 14
- 230000008569 process Effects 0.000 description 60
- 238000004364 calculation method Methods 0.000 description 33
- 238000012545 processing Methods 0.000 description 33
- 230000007246 mechanism Effects 0.000 description 26
- 230000006399 behavior Effects 0.000 description 13
- 238000010248 power generation Methods 0.000 description 8
- 230000005540 biological transmission Effects 0.000 description 7
- 238000010586 diagram Methods 0.000 description 7
- 238000011156 evaluation Methods 0.000 description 6
- 238000002474 experimental method Methods 0.000 description 6
- 230000005856 abnormality Effects 0.000 description 5
- 238000006243 chemical reaction Methods 0.000 description 4
- 238000004891 communication Methods 0.000 description 3
- 238000001514 detection method Methods 0.000 description 3
- 230000006870 function Effects 0.000 description 3
- 230000006872 improvement Effects 0.000 description 3
- 239000000696 magnetic material Substances 0.000 description 3
- 230000008929 regeneration Effects 0.000 description 3
- 238000011069 regeneration method Methods 0.000 description 3
- 238000005516 engineering process Methods 0.000 description 2
- 230000005284 excitation Effects 0.000 description 2
- 230000004044 response Effects 0.000 description 2
- 238000012546 transfer Methods 0.000 description 2
- 230000002159 abnormal effect Effects 0.000 description 1
- 230000001154 acute effect Effects 0.000 description 1
- 230000008901 benefit Effects 0.000 description 1
- 230000000903 blocking effect Effects 0.000 description 1
- 230000000994 depressogenic effect Effects 0.000 description 1
- 230000000694 effects Effects 0.000 description 1
- 230000004907 flux Effects 0.000 description 1
- 238000007562 laser obscuration time method Methods 0.000 description 1
- 230000002093 peripheral effect Effects 0.000 description 1
- 238000002360 preparation method Methods 0.000 description 1
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02T—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
- Y02T10/00—Road transport of goods or passengers
- Y02T10/60—Other road transportation technologies with climate change mitigation effect
- Y02T10/7072—Electromobility specific charging systems or methods for batteries, ultracapacitors, supercapacitors or double-layer capacitors
Landscapes
- Electric Propulsion And Braking For Vehicles (AREA)
- Arrangement Of Transmissions (AREA)
- Arrangement And Driving Of Transmission Devices (AREA)
- Hybrid Electric Vehicles (AREA)
- Regulating Braking Force (AREA)
- Control Of Vehicle Engines Or Engines For Specific Uses (AREA)
Abstract
【解決手段】駆動力配分装置を制御するITCC_ECUでは、回生ブレーキ装置による回生制動力によりハイブリッド車両が制動されている場合(S105でYes)、回生制動力を前輪および後輪に配分するように駆動力配分装置を制御する(S113)。これにより、ハイブリッド車両の前輪および後輪の四輪に制動力が配分されるので、前輪あるいは後輪の二輪で制動する場合に比べて、ひとつの車輪に対する制動力を小さくすることができる。そのため、滑りやすい低μ路等において、回生制動の効率を向上することができる。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハイブリッド車両を駆動可能な内燃機関および電動モータの少なくとも一方から発生する駆動力を、当該ハイブリッド車両の前輪および後輪に配分可能な駆動力配分装置の制御方法および制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
発電機としても機能する電動モータと内燃機関とを備え、これらの電動モータおよび内燃機関の少なくとも一方により発生する駆動力によって駆動されるハイブリッド車両の回生制動に関する技術として、例えば、下記、特許文献1、2に開示されるものがある。
【0003】
【特許文献1】
特開2003−125501号公報(第2頁〜第5頁、図1〜4)
【特許文献2】
特開2003−102108号公報(第2頁〜第7頁、図1〜3)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1、2に代表されるようなハイブリッド車両の回生制動に関する技術の多くは、電動モータによる回生によって生じた電気エネルギをバッテリに蓄える際に、バッテリが満充電状態にある場合の技術的な課題を解決するものである。
【0005】
このことは、四輪駆動制御を可能にする駆動力配分装置を搭載したハイブリッド車両においても同様である一方、回生制動時の制動効率や車両の挙動安定性の向上は、ハイブリッド車両においても変わることなく解決あるいは改善が求められている技術的な課題である。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、回生制動の効率を向上し得る駆動力配分装置の制御方法および制御装置を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、車両の挙動安定性を向上し得る駆動力配分装置の制御方法および制御装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段および発明の作用・効果】
上記目的を達成するため、請求項1の駆動力配分装置の制御方法では、ハイブリッド車両を駆動可能な内燃機関および電動モータの少なくとも一方から発生する駆動力を、当該ハイブリッド車両の前輪および後輪に配分可能な駆動力配分装置の制御方法であって、前記電動モータによる回生制動力により前記ハイブリッド車両が制動されている場合、前記回生制動力を前記前輪および前記後輪に配分するように前記駆動力配分装置を制御する回生制動力配分制御ステップを含むことを技術的特徴とする。
【0008】
請求項7の駆動力配分装置の制御装置方法では、ハイブリッド車両を駆動可能な内燃機関および電動モータの少なくとも一方から発生する駆動力を、当該ハイブリッド車両の前輪および後輪に配分可能な駆動力配分装置の制御装置であって、前記電動モータによる回生制動力により前記ハイブリッド車両が制動されている場合、前記回生制動力を前記前輪および前記後輪に配分するように前記駆動力配分装置を制御する回生制動力配分制御手段を備えることを技術的特徴とする。
【0009】
請求項1および請求項7の発明では、電動モータによる回生制動力によりハイブリッド車両が制動されている場合、回生制動力を前輪および後輪に配分するように駆動力配分装置を制御する。これにより、当該ハイブリッド車両の前輪および後輪の四輪に制動力が配分されるので、前輪あるいは後輪の二輪で制動する場合に比べて、ひとつの車輪に対する制動力を小さくすることができる。そのため、滑りやすい低μ路等において、回生制動の効率を向上することができる。
【0010】
また、請求項2の駆動力配分装置の制御方法では、請求項1において、前記回生制動力配分制御ステップは、前記電動モータを制御するモータ制御装置から入力される所定の制御情報に基づいて前記回生制動力の配分制御を行うことを技術的特徴とする。
【0011】
請求項8の駆動力配分装置の制御装置では、請求項7において、前記回生制動力配分制御手段は、前記電動モータを制御するモータ制御装置から入力される所定の制御情報に基づいて前記回生制動力の配分制御を行うことを技術的特徴とする。
【0012】
請求項2および請求項8の発明では、回生制動力配分制御は、電動モータを制御するモータ制御装置から入力される所定の制御情報に基づいて回生制動力の配分制御を行う。これにより、モータ制御装置から入力される所定の制御情報、例えば要求制動トルクに応じて回生制動力の配分制御を行うので、必要以上の制動トルクを配分したり、あるいは必要な制動トルクに満たない配分をするといった事態を防止することができる。したがって、適正な制動力が前輪および後輪に伝達されるので、回生制動効率の向上に加えて車両の挙動安定性を向上することができる。
【0013】
さらに、請求項3の駆動力配分装置の制御方法では、請求項1において、前記回生制動力配分制御ステップは、前記ハイブリッド車両の速度と前記前輪および前記後輪の回転速度差とに基づいて前記回生制動力の配分制御を行うことを技術的特徴とする。
【0014】
請求項9の駆動力配分装置の制御装置では、請求項7において、前記回生制動力配分制御手段は、前記ハイブリッド車両の速度と前記前輪および前記後輪の回転速度差とに基づいて前記回生制動力の配分制御を行うことを技術的特徴とする。
【0015】
請求項3および請求項9の発明では、回生制動力配分制御は、ハイブリッド車両の速度と前輪および後輪の回転速度差とに基づいて回生制動力の配分制御を行う。これにより、車速に対応した制動トルクおよび前後輪の回転速度差に対応した制動トルクを、前輪および後輪に配分することができる。したがって、車速と前後輪の回転速度差に応じた適正な制動力が前輪および後輪に伝達されるので、回生制動効率の向上に加えて車両の挙動安定性を向上することができる。
【0016】
さらにまた、請求項4の駆動力配分装置の制御方法では、請求項1において、前記回生制動力に加え、前記ハイブリッド車両が備える機械式制動装置による機械ブレーキ力によっても前記ハイブリッド車両が制動されている場合、前記回生制動力配分制御ステップは、前記機械ブレーキ力と前記ハイブリッド車両の速度と前記前輪および前記後輪の回転速度差とに基づいて前記回生制動力の配分制御を行うことを技術的特徴とする。
【0017】
請求項10の駆動力配分装置の制御装置では、請求項7において、前記回生制動力に加え、前記ハイブリッド車両が備える機械式制動装置による機械ブレーキ力によっても前記ハイブリッド車両が制動されている場合、前記回生制動力配分制御手段は、前記機械ブレーキ力と前記ハイブリッド車両の速度と前記前輪および前記後輪の回転速度差とに基づいて前記回生制動力の配分制御を行うことを技術的特徴とする。
【0018】
請求項4および請求項10の発明では、回生制動力配分制御は、機械ブレーキ力とハイブリッド車両の速度と前輪および後輪の回転速度差とに基づいて回生制動力の配分制御を行う。これにより、機械式制動装置による機械ブレーキ力が作用している場合には、当該機械ブレーキ力にも基づいて、車速に対応した制動トルクおよび前後輪の回転速度差に対応した制動トルクを、前輪および後輪に配分することができる。したがって、運転者による機械式制動装置のブレーキ操作時においても、車速と前後輪の回転速度差に応じた適正な制動力が前輪および後輪に伝達されるので、回生制動効率の向上に加えて車両の挙動安定性を一層向上することができる。
【0019】
また、請求項5の駆動力配分装置の制御方法では、請求項1において、前記回生制動力に加え、前記内燃機関によるエンジンブレーキ力によっても前記ハイブリッド車両が制動されている場合、前記回生制動力配分制御ステップは、前記エンジンブレーキ力と前記ハイブリッド車両の速度と前記前輪および前記後輪の回転速度差とに基づいて前記回生制動力の配分制御を行うことを技術的特徴とする。
【0020】
請求項11の駆動力配分装置の制御装置では、請求項7において、前記回生制動力に加え、前記内燃機関によるエンジンブレーキ力によっても前記ハイブリッド車両が制動されている場合、前記回生制動力配分制御手段は、前記エンジンブレーキ力と前記ハイブリッド車両の速度と前記前輪および前記後輪の回転速度差とに基づいて前記回生制動力の配分制御を行うことを技術的特徴とする。
【0021】
請求項5および請求項11の発明では、回生制動力配分制御は、エンジンブレーキ力とハイブリッド車両の速度と前輪および後輪の回転速度差とに基づいて回生制動力の配分制御を行う。これにより、内燃機関によるエンジンブレーキ力が作用している場合には、当該エンジンブレーキ力にも基づいて、車速に対応した制動トルクおよび前後輪の回転速度差に対応した制動トルクを、前輪および後輪に配分することができる。したがって、エンジンブレーキ時においても、車速と前後輪の回転速度差に応じた適正な制動力が前輪および後輪に伝達されるので、回生制動効率の向上に加えて車両の挙動安定性を一層向上することができる。
【0022】
またさらに、請求項6の駆動力配分装置の制御方法では、請求項1〜5のいずれか一項において、前記回生制動力配分制御ステップは、前記前輪および前記後輪のいずれか一方に配分された前記回生制動力による制動トルクが所定値を超えている場合には、当該所定値以下の制動トルクを発生するように前記回生制動力の配分制御を行うことを技術的特徴とする。
【0023】
請求項12の駆動力配分装置の制御装置では、請求項7〜11のいずれか一項において、前記回生制動力配分制御手段は、前記前輪および前記後輪のいずれか一方に配分された前記回生制動力による制動トルクが所定値を超えている場合には、当該所定値以下の制動トルクを発生するように前記回生制動力の配分制御を行うことを技術的特徴とする。
【0024】
請求項6および請求項12の発明では、回生制動力配分制御は、前輪および後輪のいずれか一方に配分された回生制動力による制動トルクが所定値を超えている場合には、当該所定値以下の制動トルクを発生するように回生制動力の配分制御を行う。これにより、前輪および後輪には所定値を超えた制動トルクが配分されるのを防止するので、例えば、前輪または後輪のいずれかにおいて許容される伝達トルクを超えた制動トルクが配分されてしまう事態を防止できる。したがって、例えば、機械的な故障等の発生を回避することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の駆動力配分装置の制御方法および制御装置の実施形態について図を参照して説明する。本実施形態では、駆動力配分装置20およびその制御装置としてのITCC_ECU30を四輪駆動型のハイブリッド車両に搭載した例を挙げて説明する。以下、第1実施形態〜第3実施形態の3つの形態に分けて説明するが、機械的および電気的なハードウェア構成についてはいずれの実施形態も同様であるので、各実施形態の説明をする前に、各実施形態共通のハードウェア構成を図1〜図3に基づいて説明する。
【0026】
図1に示すように、ハイブリッド車両HVは、当該ハイブリッド車両HVを駆動可能なエンジンEGおよび電動モータMを車両の前方に搭載しており、いわゆるFF車を基本とするものである。ハイブリッド車両HVの駆動時には、エンジンEGおよび電動モータMの少なくとも一方から発生する駆動力が、トランスミッションTMとトランスファーTFとを介して第1プロペラシャフトPSa および第2プロペラシャフトPSb に伝達される。そして、第1プロペラシャフトPSa に伝達された駆動力は、前輪FR、FLを駆動するために、フロントディファレンシャルFDを介してフロントドライブシャフトFDSに伝えられ、また第2プロペラシャフトPSb に伝達された駆動力は、後輪RR、RLを駆動するために、駆動力配分装置20およびリアディファレンシャルRDを介してリアドライブシャフトRDSに伝えられる。
【0027】
ここで駆動力配分装置20は、後述するような構成を採ることにより、第2プロペラシャフトPSb から入力された駆動力を任意の比率でリアディファレンシャルRDに出力する機能を有するものである。
【0028】
一方、ハイブリッド車両HVの制動時には、図略のブレーキペダルを運転者が踏み込むことにより、ブレーキ機構BKa,BKb,BKc,BKd (以下「ブレーキ機構BKa−d 」と略記する。)が作動してこれによる機械ブレーキ力によって前輪FR、FLおよび後輪RR、RLがそれぞれ制動される。またこれと同時に、制動時には、前輪FR、FLの回転により第1プロペラシャフトPSa 、トランスファーTFおよびトランスミッションTMを介して電動モータMが発電機として作動するので、これをバッテリBATTや図略のブレーキ抵抗器に与えることより発生する回生制動力によっても前輪FR、FLが制動される。本実施形態では、これに加え、電動モータMによる回生制動力を、駆動力配分装置20により前輪FR、FLおよび後輪RR、RLに配分することによって、後輪RR、RLにも回生制動力が作用するように駆動力配分装置20を司るITCC_ECU30を制御する。これにより回生制動効率の向上や車両挙動安定性の向上を可能にしている。なお、このような制動時におけるITCC_ECU30による駆動力配分装置20の制御のことを、以下「回生ブレーキ制御」という。またモータM、バッテリBATT、ブレーキ抵抗器およびINV_ECU 50を以下「回生ブレーキ装置」という。
【0029】
なお、図1に示すように、前輪FR、FLおよび後輪RR、RLには、それぞれに車輪の回転速度を検出し得る車輪速センサWSa,WSb,WSc,WSd (以下「車輪速センサWSa−d 」と略記する。)が設けられており、またエンジンEGの吸気経路の途中に設けられるスロットルバルブにはその開度を検出し得るスロットル開度センサSVが設けられている。そして、これらの各センサから出力される車輪速度信号(WSa−d)やスロットル開度信号(SV)は、センサ情報としてITCC_ECU30に入力される。
【0030】
ここで、駆動力配分装置20の構成を図2に基づいて説明する。なお図2(A) は、本実施形態に係る駆動力配分装置20の構成を示す部分断面図で、駆動力配分装置20は回転軸線Lに対して略対称の構成を採るため、同図おいては駆動力配分装置20の略半分の部位を示し、他の略半分の部位は省略してある。
【0031】
図2(A) に示すように、駆動力配分装置20は、主に、アウタケース20a、インナシャフト20b、メインクラッチ機構20c、パイロットクラッチ機構20d、カム機構20e等を備えている。
【0032】
アウタケース20aは、有底筒状のハウジング21aと、ハウジング21aの後端開口部に嵌合螺着されて同開口部を覆蓋するリヤカバー21bとにより形成されている。なお、アウタケース20aを構成するハウジング21aの前端部には、図1に示す第2プロペラシャフトPSb の末端部がトルク伝達可能に連結されている。
【0033】
インナシャフト20bは、リヤカバー21bの中央部を液密に貫通してアウタケース20a内に同軸状に挿入されており、軸方向を規制された状態で、ハウジング21aとリヤカバー21bとに回転可能に支持されている。そして、このインナシャフト20bには、図1に示すリアディファレンシャルRDがトルク伝達可能に連結されている。
【0034】
メインクラッチ機構20cは、湿式多板式の摩擦クラッチであり、インナクラッチプレート22aおよびアウタクラッチプレート22bからなる複数のクラッチプレートを備え、ハウジング21a内に配設されている。各インナクラッチプレート22aは、インナシャフト20bの外周にスプライン嵌合して軸方向へ移動可能に組み付けられている。また、各アウタクラッチプレート22bは、ハウジング21aの内周にスプライン嵌合して軸方向へ移動可能に組み付けられている。各インナクラッチプレート22aと各アウタクラッチプレート22bとは交互に配置され、互いに当接して摩擦係合するとともに、互いに離間して自由状態となる。
【0035】
パイロットクラッチ機構20dは、電磁クラッチであり、電磁石23、摩擦クラッチ24、アーマチャ25、ヨーク26から構成されている。
環状の電磁石23は、回転軸線L周りに巻回された電磁コイル23aから構成され、ヨーク26に嵌着された状態でリヤカバー21bの環状ギャラリー21dに所定の隙間を介して嵌合されている。ヨーク26は、リヤカバー21bの後端部の外周に回転可能に支持された状態で車体側に固定されている。
【0036】
リヤカバー21bは、半径方向の断面形状が略L字形の磁性材料からなる内筒部と、その内筒部の外周に設けられた略環状の磁性材料からなる外筒部と、その内筒部と外筒部との間に固定された略環状の非磁性材料からなる遮断部材21cとから形成されている。
【0037】
摩擦クラッチ24は、アウタクラッチプレート24aおよびインナクラッチプレート24bからなる複数のクラッチプレートを備えた湿式多板式の摩擦クラッチである。各アウタクラッチプレート24aは、ハウジング21aの内周にスプライン嵌合して軸方向へ移動可能に組み付けられている。また、各インナクラッチプレート24bは、カム機構20eを構成する第1カム部材27aの外周にスプライン嵌合して軸方向へ移動可能に組み付けられている。
【0038】
環状のアーマチャ25は、ハウジング21aの内周にスプライン嵌合して軸方向へ移動可能に組み付けられており、摩擦クラッチ24の前側に配置されて摩擦クラッチ24と対向している。これにより、電磁石23を励磁する励磁電流を電磁コイル23aに通電することで、電磁石23を基点としてヨーク26→リヤカバー21b→摩擦クラッチ24→アーマチャ25の経路で循環する磁束が通るループ状の循環磁路が形成される。
【0039】
カム機構20eは、第1カム部材27a、第2カム部材27b、カムフォロアー27cから構成されている。第1カム部材27aは、インナシャフト20bの外周に回転可能に嵌合され、かつ、リヤカバー21bに回転可能に支承されており、その外周に摩擦クラッチ24のインナクラッチプレート24bがスプライン嵌合している。第2カム部材27bは、インナシャフト20bの外周にスプライン嵌合されて一体回転可能に組み付けられており、メインクラッチ機構20cのインナクラッチプレート22aの後側に対向して配置されている。第1カム部材27aと第2カム部材27bとの互いに対向するカム溝には、ボール状のカムフォロアー27cが嵌合されている。
【0040】
このように構成された駆動力配分装置20においては、電磁石23の電磁コイル23aに流れる励磁電流は、ITCC_ECU30におけるデューティ制御により設定された所定の電流値に制御される。これにより、パイロットクラッチ機構20dを構成する電磁石23の電磁コイル23aが非通電状態、即ち、励磁電流が供給されていない場合には磁路は形成されず、摩擦クラッチ24は非係合状態になり、パイロットクラッチ機構20dは非作動状態になる。すると、カム機構20eを構成する第1カム部材27aは、カムフォロアー27cを介して第2カム部材27bと一体回転可能になり、メインクラッチ機構20cは非作動状態になるため、ハイブリッド車両HVは、二輪駆動モードとなる。
【0041】
一方、電磁石23の電磁コイル23aに励磁電流が通電されると、パイロットクラッチ機構20dには電磁石23を基点とするループ状の循環磁路が形成されて磁力が発生し、電磁石23はアーマチャ25を吸引する。そのため、アーマチャ25は摩擦クラッチ24を押圧し摩擦係合してトルクを発生させ、カム機構20eの第1カム部材27aをアウタケース20a側へ連結させて、第2カム部材27bとの間に相対回転を生じさせる。すると、カム機構20eでは、カムフォロアー27cが両カム部材27a,27bを互いに離間する方向ヘ移動させるスラスト力が発生する。
【0042】
これにより、第2カム部材27bはメインクラッチ機構20c側へ押動され、ハウジング21aの奥璧部と第2カム部材27bとでメインクラッチ機構20cを押圧し、摩擦クラッチ24の摩擦係合力に応じてメインクラッチ機構20cを摩擦係合させるので、アウタケース20aとインナシャフト20bとの間でトルク伝達が生じ、ハイブリッド車両HVは、第2プロペラシャフトPSb とリアディファレンシャルRDとが非連結状態とロック状態との間で四輪駆動モードとなる。この四輪駆動モードでは、車両の走行状態に応じて、前輪FR、FLと後輪RR、RL間の駆動力分配比を100:0(二輪駆動状態)からロック状態の範囲で制御することができる。
【0043】
ここで、このような励磁電流のデューティ制御を行うITCC_ECU30の構成および駆動力分配制御の一例を図2(B) および図3を参照して説明する。
図2(B) に示すように、ITCC_ECU30は、A/D変換器等の周辺LSI、メモリ等を備えたMPU(Micro Processor Unit)や入出力インタフェイスI/F等から構成されており、各種センサ情報等を入出力インタフェイスI/Fを介して入力可能にしている。またITCC_ECU30には、駆動力配分装置20の電磁石23を駆動可能な電磁クラッチ駆動回路35が接続されている。これにより、メモリに格納された所定の制御プログラムに従って駆動力配分装置20の制御を可能にしている。
【0044】
例えば、本実施形態のITCC_ECU30では、駆動力配分装置20に対して図3に示すような駆動力分配制御を行っている。
即ち、車輪速センサWSa−d から出力される車輪速度信号が入力されると、ΔN演算部30aにより前輪FR、FLと後輪RR、RLとの車輪速度の差ΔN(=前輪車輪速度−後輪車輪速度)を演算する処理が行われ、その演算結果がΔNトルク演算部30dに出力される。また、当該車輪速度信号がタイトコーナ判定部30bに入力されると、タイトコーナ判定部30bでは当該車輪速度信号に基づいて当該ハイブリッド車両HVが鋭角なカーブを走行しているか否かの判定処理が行われ、その結果がΔNトルク演算部30dに出力される。さらに当該車輪速度信号が車速演算部30cに入力されると、車速演算部30cにより当該ハイブリッド車両HVの走行速度、つまり車速を演算する処理が行われて車速情報がΔNトルク演算部30dに出力される。
【0045】
そして、さらにスロットル開度センサSVから出力されるスロットル開度信号をΔNトルク演算部30dに入力することにより、当該ΔNトルク演算部30dでは、前後車輪速度差ΔN、タイトコーナ判定結果、車速情報およびスロットル開度信号に基づいて、所定の演算式あるいは所定の参照マップからΔNトルクを求める演算処理が行われる。そのため、これにより求められたΔNトルクはプレトルク演算部30eの出力に加算されて指令電流演算部30fに出力される。
【0046】
一方、スロットル開度センサSVから出力されるスロットル開度信号や車速演算部30cにより演算された車速情報は、プレトルク演算部30eにも入力されて、プレトルク演算部30eにより所定の演算式あるいは所定の参照マップからプレトルクを求める演算処理が行われる。このプレトルクは、ΔNトルク演算部30dの出力に加算されて指令電流演算部30fに出力される。
【0047】
これにより、指令電流演算部30fでは、ΔNトルクとプレトルクとを加算部により加算して得られる指令トルクを、トルク電流に変換する処理が行われ、目標トルクを発生させる電流指令値が生成されるので、この電流指令値と電流検出回路37により検出した電流検出信号とを加算部により差分演算して、この差分をPI制御部30gに入力する。
【0048】
このような比例積分制御が行われることで、駆動力配分装置20の電磁石23に与えるべき励磁電流を算出することができるので、その後段のPWM出力変換部30hではこの電流指令値に対してパルス幅変調をかけることによって駆動回路35による駆動力配分装置20のデューティ制御が可能となる。そしてこのようなデューティ制御により電磁石23に流れる励磁電流は、電流検出回路37により検出されて前述した加算部により電流指令値と差分演算されるので、電流フィードバックループが形成される。
【0049】
かかるITCC_ECU30による駆動力分配制御により、ハイブリッド車両HVの挙動に基づいて前後車輪速度差ΔNが変化すると、それにより指令トルク、つまり駆動力配分装置20による前輪FR、FLおよび後輪RR、RLへの駆動力配分が決定されてハイブリッド車両HVの挙動が変化し、これにより新たな指令トルクが決定されるというフィードバックループを構成する。そのため、ΔNトルク演算部30dにより演算されるΔNトルクは、フィードバックトルクと称されることがある。これに対し、プレトルク演算部30eにより演算されるプレトルクは、運転者によるアクセルペダルの踏込み量に従って変動するスロットル開度信号や車速情報等の事前にわかる情報に基づいて求められているので、フィードフォワードトルクと称されることがある。
【0050】
このようにハイブリッド車両HVの駆動時には、上述の如くITCC_ECU30によって駆動力配分装置20が制御されるので、このような駆動時の駆動力分配制御のことを、以下「通常制御」と呼ぶことにする。
次に、図4〜図9に基づいてハイブリッド車両HVの制動時におけるITCC_ECU30による駆動力配分装置20の各制御態様を第1実施形態〜第3実施形態として説明する。
【0051】
[第1実施形態]
本実施形態に係るハイブリッド車両HVでは、前述した通常制御に加え、制動時において回生ブレーキ制御を行うため、図4に示すような制御を行っている。なお、この図4に示す制御処理は、例えば5ミリ秒ごと等の定期的に行われる、いわゆるタイマ割り込み処理としてITCC_ECU30により実行されるものである。
【0052】
まず、ステップS101により回生ブレーキ情報を読み込む処理が行われる。この回生ブレーキ情報は、例えば、INV_ECU 50から回生ブレーキ力に関する情報あるいは回生ブレーキの状態にあることを示す回生ブレーキフラグをもらうことにより得られるものである。なおITCC_ECU30とINV_ECU 50とはネットワーク等により相互に通信可能に接続されている。
【0053】
続くS103では、回生ブレーキ装置が異常であるか否かを判断する処理が行われる。即ち、回生ブレーキ装置として機能する、モータMやINV_ECU 50等に異常が生じているか否かの情報(回生ブレーキ装置状態情報)が、ステップS101により読み込まれる回生ブレーキ情報に含まれていたり、あるいは後述するネットワークレベルで個別にやり取りされるデータに含まれていたりするので、ステップS103により、これらに基づいてモータMやINV_ECU 50等に異常があるか否かを判断する。
【0054】
ステップS103によりモータMやINV_ECU 50等に異常があると判断された場合には(S103でYes)、回生ブレーキ装置としてモータM等を使用することはできないので、通常制御も回生ブレーキ制御も行うことなく、本制御処理を終了する。一方、ステップS103によりモータMやINV_ECU 50等に異常があると判断されない場合には(S103でNo)、次のステップS105に処理を移行する。
【0055】
次のステップS105では、現在、回生ブレーキ動作中であるか否かの判断処理が行われる。即ち、ステップS105により、ハイブリッド車両HVが現在、回生ブレーキによる制動中であるか否かを判断する。具体的には、例えば、ステップS101により読み込んだ回生ブレーキフラグに基づいて行われ、回生ブレーキフラグが立っている(例えば1がセットされている)と判断された場合には(S105でYes)、ステップS113に処理を移して回生制御モード処理を行う。一方、回生ブレーキフラグが立っていると判断されなかった場合には(S105でNo)、ステップS107で前回のブレーキ状態を判断する。
【0056】
ステップS107では、前回は回生ブレーキ動作をしていたか否かの判断処理が行われる。即ち、前回、本制御処理を実行した際にはステップS113による回生ブレーキ制御を行っていたか否かをステップS107により判断する。具体的には、例えば、ステップS113による回生ブレーキ制御の移行時にセットされるフラグ等を参照することにより、当該フラグが立っていれば、前回、回生ブレーキ動作をしていたと判断し(S107でYes)、ステップS111に処理を移して復帰処理を行う。一方、当該フラグが立っていなければ、前回、回生ブレーキ動作をしていたとは判断されないため(S107でNo)、続くステップS109に処理を移して前述した通常処理を行う。
【0057】
ステップS111では、回生ブレーキ制御からの復帰処理が行われる。即ち、ステップS113による回生ブレーキ制御時に駆動力配分装置20により制動力配分されているときの目標トルクと、通常の四輪駆動時に駆動力配分装置20により駆動力配分されているときの目標トルクと、の間には差があるため、当該差を徐々に減らして両目標トルク間を滑らかにつなぐ緩衝制御処理がステップS111により行われる。
【0058】
一方、ステップS113では回生ブレーキ制御が行われる。この回生ブレーキ制御は、特許請求の範囲に記載の「回生制動力配分制御ステップ(請求項1)」または「回生制動力配分制御手段(請求項7)」に相当するもので、モータMによる回生制動力によりハイブリッド車両HVが制動されている場合(ステップS105でYes)、回生制動力を前輪FR、FLおよび後輪RR、RLに配分するように駆動力配分装置20を制御するものである。
【0059】
ここでステップS113による回生ブレーキ制御処理等を図5に基づいて説明する。回生ブレーキ制御処理を説明する前に、図5(A) を参照してITCC_ECU30とINV_ECU 50との間で行われるネットワークレベルのデータのやり取りについて概要を説明する。
【0060】
前述したように、ITCC_ECU30とINV_ECU 50との間はネットワーク等により相互に通信可能に接続されている。そのため、両者の間では、図4に示す制御処理と並行して図5(A) に示すようなデータ(情報)の授受が行われている。
例えば、ITCC_ECU30側が正常に動作しているか否かを示す▲1▼ITCC状態情報を所定時間ごとにITCC_ECU30からINV_ECU 50に送出している。これに対して、INV_ECU 50からITCC_ECU30へは、前述したように、モータMやINV_ECU 50に異常が生じているか否かの情報を、▲2▼回生ブレーキ装置状態情報あるいは回生発電動作フラグとして所定時間ごとに送出している。
【0061】
また、本第1実施形態では、図5(B) に示すように、INV_ECU 50が主(ホスト)となり、従(スレーブ)としてのITCC_ECU30に対して要求トルク情報を送出するので、INV_ECU 50からITCC_ECU30には、▲3▼要求トルクアクティブ情報や▲4▼要求トルク情報も送出される。そしてこれに呼応してITCC_ECU30からは、駆動力配分装置20に出力した指令トルクに関する▲5▼指令トルク情報および回生ブレーキ状態である旨を伝える情報がINV_ECU 50に出力される。
【0062】
このようなネットワークレベルにおけるデータ(情報)の授受を回生ブレーキ制御処理(1) として図5(B) を参照して説明すると次のようになる。
図5(B) に示すように、回生ブレーキ制御処理(1) では、INV_ECU 50から送出された▲3▼要求トルクアクティブ情報によって▲4▼要求トルク情報が送出されてくることを事前に知ると、▲4▼要求トルク情報を待って、ステップS201によりINV_ECU 50から送出されてきた▲4▼要求トルク情報を読み込む。なお、このステップS201により読み込まれる▲4▼要求トルク情報は、特許請求の範囲に記載の「所定の制御情報(請求項2、8)」に相当するものである。
【0063】
次に、ステップS203により当該要求トルク情報に基づく要求トルクを駆動力配分装置20に対する指令トルクとして設定する。具体的には、例えば、図3に示すΔNトルク演算部30dやプレトルク演算部30eによる指令トルクを指令電流演算部30fに出力することなく、INV_ECU 50から受けた要求トルクを指令トルクとして、指令電流演算部30fに直接出力する。なお、このステップS203による処理は、特許請求の範囲に記載の「所定の制御情報に基づいて回生制動力の配分制御を行うこと(請求項2、8)に相当するものである。
【0064】
続いてステップS205により駆動力配分装置20に出力した指令トルクに関する▲5▼指令トルク情報および回生ブレーキ状態である旨を伝える情報をINV_ECU 50に送出する。これにより、INV_ECU 50では、ITCC_ECU30により与えられた駆動力配分装置20の指令トルクを知ることができるので、この情報とINV_ECU 50自身が入手する他の制御情報(例えばバッテリBATTの充電状態に関する充電情報やブレーキ機構BKa−d による機械ブレーキ力に関するブレーキ情報等)とに基づいて新たな▲4▼要求トルク情報を生成してITCC_ECU30に送出する。
【0065】
このような一連の回生ブレーキ制御処理(1) が終了すると、図4に示す制御処理を終了し、次回の実行に備える。
このように本第1実施形態に係る制御処理(図4)によると、ITCC_ECU30では、回生ブレーキ装置による回生制動力によりハイブリッド車両HVが制動されている場合(S105でYes)、回生制動力を前輪FR、FLおよび後輪RR、RLに配分するように駆動力配分装置20を制御する。これにより、ハイブリッド車両HVの前輪FR、FLおよび後輪RR、RLの四輪に制動力が配分されるので、前輪FR、FLあるいは後輪RR、RLの二輪で制動する場合に比べて、ひとつの車輪に対する制動力を小さくすることができる。そのため、滑りやすい低μ路等において、回生制動の効率を向上することができる。
【0066】
また、本第1実施形態に係る回生ブレーキ制御処理(1)(図5(B))によると、ITCC_ECU30では、回生ブレーキ装置のモータMを制御するINV_ECU 50から入力される▲4▼要求トルク情報に基づいて回生制動力の配分制御を行うように駆動力配分装置20に指令トルクを出力する(S203、S205)。これにより、INV_ECU 50から入力される▲4▼要求トルク情報に応じて回生制動力の配分制御を行うので、必要以上の制動トルクを配分したり、あるいは必要な制動トルクに満たない配分をするといった事態を防止することができる。したがって、適正な制動力がハイブリッド車両HVの前輪FR、FLおよび後輪RR、RLに伝達されるので、回生制動効率の向上に加えて当該ハイブリッド車両HVの挙動安定性を向上できる。
【0067】
[第2実施形態]
次に、ITCC_ECU30による駆動力配分装置20の別の制御態様として、第2実施形態に係る制御処理を図6および図7に基づいて説明する。
第2実施形態に係る制御処理では、図6(A) に示すように、INV_ECU 50から▲2▼回生ブレーキ装置状態情報あるいは回生発電動作フラグを受け取った後は、▲3▼要求トルクアクティブ情報や▲4▼要求トルク情報をINV_ECU 50からもらうことなく、ITCC_ECU30側で独自に指令トルクを求めて駆動力配分装置20に出力する点で、前述した第1実施形態による制御処理と異なる。そのため、第1実施形態による制御処理とは図4に示すステップS113の処理内容が異なるほかは、図4に示すような基本となる制御処理の流れ自体は第1実施形態のものと変わるところがないので、図6および図7に加えて図4も適宜参照して説明する。
【0068】
図6(A) に示すように、第2実施形態に係るITCC_ECU30では、ネットワークレベルにおいて▲2▼回生ブレーキ装置状態情報または回生発電動作フラグを読み込むと、図6(B) に示す回生ブレーキ制御処理(2) では、まずステップS301により車速感応トルク配分マップT1を参照する処理が行われる。なお、このステップS301による車速感応トルク配分マップT1の参照は、特許請求の範囲に記載の「ハイブリッド車両の速度に基づいて(請求項3、9)」に相当するものである。
【0069】
具体的には、例えば、ハイブリッド車両HVの車速やスロットル開度に対する制動時のフィードフォワードトルクを、図3に示すプレトルク演算部30eによって得られるように当該プレトルク演算部30eにより参照される車速感応トルク配分マップT1を予め適合評価実験等により設定しておくことで、ハイブリッド車両HVの車速やスロットル開度に基づいた制動時の適切なプレトルクを取得可能にしている。
【0070】
次に、ステップS303によりΔN感応トルク配分マップT2を参照する処理が行われる。例えば、ハイブリッド車両HVの前後車輪速度差ΔNに対する制動時のフィードバックトルクを、図3に示すΔNトルク演算部30dによって得られるように当該ΔNトルク演算部30dにより参照されるΔN感応トルク配分マップT2を予め適合評価実験等により設定しておくことで、ハイブリッド車両HVの前後車輪速度差ΔNに基づいた制動時の適切なΔNトルクを取得可能にしている。なお、このステップS303によるΔN感応トルク配分マップT2の参照は、特許請求の範囲に記載の「前輪および後輪の回転速度差に基づいて(請求項3、9)」に相当するものである。
【0071】
続くステップS305では、ステップS301により得られたプレトルクとステップS303により得られたΔNトルクとを加算し、その結果を駆動力配分装置20に対する指令トルクとして設定する処理が行われる。具体的には、例えば、図3に示すΔNトルク演算部30dによるΔNトルクとプレトルク演算部30eによるプレトルクとを加算器によって加算し指令電流演算部30fに出力する処理を行う。
【0072】
続いてステップS307により駆動力配分装置20に出力した指令トルクに関する▲5▼指令トルク情報および回生ブレーキ状態である旨を伝える情報をINV_ECU 50に送出する。これにより、INV_ECU 50では、現在、ITCC_ECU30により制御されている駆動力配分装置20に対する指令トルクを知ることができる。
【0073】
なお、このステップS305およびステップS307による処理は、特許請求の範囲に記載の「ハイブリッド車両の速度と前輪および後輪の回転速度差とに基づいて回生制動力の配分制御を行うこと(請求項3、9)」に相当するものである。
【0074】
このように本第2実施形態に係る回生ブレーキ制御処理(2)(図6(B))によると、ITCC_ECU30では、ハイブリッド車両HVの速度に対応した制動トルク(フィードフォワードトルク、プレトルク)を車速感応トルク配分マップT1を参照して得るとともに(S301)、また前輪FR、FLおよび後輪RR、RLの前後車輪速度差ΔNに対応した制動トルク(フィードバックトルク、ΔNトルク)をΔN感応トルク配分マップT2を参照して得る(S303)。そして、両トルクの和(T1+T2)に基づいて回生制動力の配分制御を行う(S305、S307)。これにより、車速に対応した制動トルク(フィードフォワードトルク、プレトルク)および前後車輪速度差ΔNに対応した制動トルク(フィードバックトルク、ΔNトルク)を前輪FR、FLおよび後輪RR、RLに配分することができる。したがって、車速と前後車輪速度差ΔNとに応じた適正な制動力が前輪FR、FLおよび後輪RR、RLに伝達されるので、回生制動効率の向上に加えてハイブリッド車両HVの挙動安定性を向上できる。また制動時における、前輪FR、FLおよび後輪RR、RLの負荷軽減や回生発電との干渉も防止できる。
【0075】
また、本第2実施形態では、INV_ECU 50から受け取った▲2▼回生ブレーキ装置状態情報または回生発電動作フラグから、回生ブレーキ力の情報を読み込むことにより、車速等に対応したフィードフォワードトルクによる制動トルクをマップを参照することなく演算により求めるようにして、図7に示すような回生ブレーキ制御処理(2)’を行っても良い。
【0076】
即ち、図7に示すように、ステップS401により、モータMやバッテリBATT等の回生ブレーキ装置として制動可能な回生ブレーキ力の情報をINV_ECU 50から受け取って読み込んだ後、図3に示すΔN演算部30aから前後車輪速度差ΔNの情報をステップS403により読み込む。そして、続くステップS405によりステップS303と同様にΔN感応トルク配分マップを参照する処理を行う。
【0077】
これにより、次のステップS407では、「回生ブレーキ力×前後ブレーキ配分率×トルク換算係数+ΔN感応トルク配分」の演算式により制動トルク配分を求めることができる。つまり、「回生ブレーキ力×前後ブレーキ配分率×トルク換算係数」によって車速等に対応した制動トルク配分が演算により求められるので、この演算による制動トルク配分と、ΔN感応トルク配分マップにより得られるΔN感応トルク配分と、の和(T1+T2)(前演算式中の「+」)を指令トルクとして設定する。
【0078】
なお、ステップS407の演算式における前後ブレーキ配分率は、前輪FR、FLと後輪RR、RLとに配分される制動トルクの比率を定める数値で、例えば前輪FR、FLおよび後輪RR、RLによる接地荷重として定義される。また、トルク換算係数は、ブレーキ力をトルク値に変換する係数である。
【0079】
ステップS407による演算により駆動力配分装置20に対する指令トルクが得られるので、当該指令トルクを図3に示す指令電流演算部30fに出力するとともに、続くステップS409により、駆動力配分装置20に出力した指令トルクに関する▲5▼指令トルク情報および回生ブレーキ状態である旨を伝える情報をINV_ECU 50に送出する。これにより、INV_ECU 50では、現在ITCC_ECU30により制御されている駆動力配分装置20に対する指令トルクを知ることができる。
【0080】
このように本第2実施形態に係る回生ブレーキ制御処理(2)’(図7)によると、ITCC_ECU30では、回生ブレーキ装置による回生ブレーキ力に基づいて演算式「回生ブレーキ力×前後ブレーキ配分率×トルク換算係数」により制動トルク(フィードフォワードトルク、プレトルク)を算出するとともに(S407)、また前輪FR、FLおよび後輪RR、RLの前後車輪速度差ΔNに対応した制動トルク(フィードバックトルク、ΔNトルク)をΔN感応トルク配分マップを参照して得る(S405)。そして、両トルクの和に基づいて回生制動力の配分制御を行う(S407、S409)。これにより、車速に対応した制動トルク(フィードフォワードトルク、プレトルク)および前後車輪速度差ΔNに対応した制動トルク(フィードバックトルク、ΔNトルク)を前輪FR、FLおよび後輪RR、RLに配分することができる。したがって、回生ブレーキ力と前後車輪速度差ΔNとに応じた適正な制動力が前輪FR、FLおよび後輪RR、RLに伝達されるので、回生制動効率の向上に加えてハイブリッド車両HVの挙動安定性を向上できる。また制動時における、前輪FR、FLおよび後輪RR、RLの負荷軽減や回生発電との干渉も防止できる。
【0081】
[第3実施形態]
続いて、ITCC_ECU30による駆動力配分装置20の別の制御態様として、第3実施形態に係る制御処理を図8および図9に基づいて説明する。
第3実施形態に係る制御処理では、図8(A) に示すように、INV_ECU 50から▲2▼回生ブレーキ装置状態情報あるいは回生発電動作フラグを受け取った後は、▲3▼要求トルクアクティブ情報や▲4▼要求トルク情報をINV_ECU 50からもらうことなく、ITCC_ECU30側で独自に指令トルクを決定して駆動力配分装置20に出力する点と、INV_ECU 50あるいは他のECU からブレーキ情報を得てそれに基づいて指令トルクを設定する点で、前述した第1、2実施形態による制御処理と異なる。そこで、第1実施形態による制御処理とは図4に示すステップS113の処理内容が異なるほかは、図4に示すような基本となる制御処理の流れ自体は第1実施形態のものと変わるところがないので、図8および図9に加えて図4も適宜参照して説明する。
【0082】
図8(A) に示すように、第3実施形態に係るITCC_ECU30では、ネットワークレベルにおいて▲2▼回生ブレーキ装置状態情報または回生発電動作フラグを読み込むと、図8(B) に示す回生ブレーキ制御処理(3) では、まずステップS501によりブレーキ情報を読み込む処理が行われる。例えば、INV_ECU 50あるいはブレーキ機構BKa−d を制御するECU 等からネットワークを介してブレーキ情報を取得して読み込む処理をステップS501により行う。
【0083】
続くステップS503では、ステップS501により読み込んだブレーキ情報に基づいてフットブレーキがオンか否か、つまり運転者によるフットブレーキの踏込みがあるか否かの判断処理が行われる。そして、ステップS503によりフットブレーキがオンであると判断されない場合には(S503でNo)、エンジンEGによるエンジンブレーキ力によって制動されていることになるので、ステップS511に処理を移行してエンジンブレーキ時おける車速感応トルク配分マップT1eを参照する。一方、ステップS503によりフットブレーキがオンであると判断される場合には(S503でYes)、ブレーキ機構BKa−d による機械ブレーキ力によって制動されていることになるので、ステップS521に処理を移行してフットブレーキ時おける車速感応トルク配分マップT1fを参照する。
【0084】
なお、ステップS503によりフットブレーキがオンであると判断されない場合は(S503でNo)、特許請求の範囲に記載の「内燃機関によるエンジンブレーキ力によってもハイブリッド車両が制動されている場合(請求項5、11)」に相当し、ステップS503によりフットブレーキがオンであると判断される場合は(S503でYes)、特許請求の範囲に記載の「ハイブリッド車両が備える機械式制動装置による機械ブレーキ力によってもハイブリッド車両が制動されている場合(請求項4、10)」に相当する。
【0085】
ステップS511では、エンジンブレーキ時における車速感応トルク配分マップT1e(T1)を参照する処理が行われる。即ち、この処理は、特許請求の範囲に記載の「エンジンブレーキ力とハイブリッド車両の速度とに基づいて(請求項5、11)」に相当するもので、前述した第2実施形態によるステップS301(図6(B) )とほぼ同様の処理を行うものである。そのため、例えば、エンジンブレーキ時におけるハイブリッド車両HVの車速やスロットル開度に対する制動時のフィードフォワードトルクを、図3に示すプレトルク演算部30eによって得られるように当該プレトルク演算部30eにより参照される車速感応トルク配分マップT1eを予め適合評価実験等により設定しておくことで、エンジンブレーキ時におけるハイブリッド車両HVの車速やスロットル開度に基づいた制動時の適切なプレトルクを取得可能にしている。
【0086】
次のステップS513では、エンジンブレーキ時におけるΔN感応トルク配分マップT2e(T2)を参照する処理が行われる。即ち、この処理は、特許請求の範囲に記載の「エンジンブレーキ力と前輪および後輪の回転速度差とに基づいて(請求項5、11)」に相当するもので、前述した第2実施形態によるステップS303(図6(B) )とほぼ同様の処理を行うものである。そのため、例えば、エンジンブレーキ時におけるハイブリッド車両HVの前後車輪速度差ΔNに対する制動時のフィードバックトルクを、図3に示すΔNトルク演算部30dによって得られるように当該ΔNトルク演算部30dにより参照されるΔN感応トルク配分マップT2eを予め適合評価実験等により設定しておくことで、エンジンブレーキ時におけるハイブリッド車両HVの前後車輪速度差ΔNに基づいた制動時の適切なΔNトルクを取得可能にしている。
【0087】
一方、フットブレーキがオンであると判断された場合には、ステップS521、S523により、それぞれフットブレーキ時における車速感応トルク配分マップT1f(T1)を参照する処理、フットブレーキ時におけるΔN感応トルク配分マップT2f(T2)を参照する処理が行われる。
【0088】
ステップS521では、例えば、フットブレーキ時におけるハイブリッド車両HVの車速やスロットル開度に対する制動時のフィードフォワードトルクを、図3に示すプレトルク演算部30eによって得られるように当該プレトルク演算部30eにより参照される車速感応トルク配分マップT1fを予め適合評価実験等により設定しておく。これにより、フットブレーキ時におけるハイブリッド車両HVの車速やスロットル開度に基づいた制動時の適切なプレトルクを取得可能にする。なお、ステップS521による処理は、特許請求の範囲に記載の「機械ブレーキ力とハイブリッド車両の速度とに基づいて(請求項4、10)」に相当するものある。
【0089】
またステップS523では、例えば、フットブレーキ時におけるハイブリッド車両HVの前後車輪速度差ΔNに対する制動時のフィードバックトルクを、図3に示すΔNトルク演算部30dによって得られるように当該ΔNトルク演算部30dにより参照されるΔN感応トルク配分マップT2eを予め適合評価実験等により設定しておく。これにより、フットブレーキ時におけるハイブリッド車両HVの前後車輪速度差ΔNに基づいた制動時の適切なΔNトルクを取得可能にする。なお、ステップS523による処理は、特許請求の範囲に記載の「機械ブレーキ力と前輪および後輪の回転速度差とに基づいて(請求項4、10)」に相当するものある。
【0090】
このようにステップS511、S513によりエンジンブレーキ時あるいはステップS521、S523によりフットブレーキ時におけるプレトルクおよびΔNトルクが得られると、ステップS531により両トルクを加算し、その結果を駆動力配分装置20に対する指令トルクとして設定する処理が行われる。具体的には、例えば、図3に示すΔNトルク演算部30dによるΔNトルクとプレトルク演算部30eによるプレトルクとを加算器によって加算し指令電流演算部30fに出力する処理を行う。
【0091】
続いてステップS533により駆動力配分装置20に出力した指令トルクに関する▲5▼指令トルク情報および回生ブレーキ状態である旨を伝える情報をINV_ECU 50に送出する。これにより、INV_ECU 50では、現在、ITCC_ECU30により制御されている駆動力配分装置20に対する指令トルクを知ることができる。
【0092】
なお、このステップS531およびステップS533による処理は、特許請求の範囲に記載の「機械ブレーキ力とハイブリッド車両の速度と前輪および後輪の回転速度差とに基づいて回生制動力の配分制御を行うこと(請求項4、10)」および「エンジンブレーキ力とハイブリッド車両の速度と前輪および後輪の回転速度差とに基づいて回生制動力の配分制御を行うこと(請求項5、11)」に相当するものである。
【0093】
このように本第3実施形態に係る回生ブレーキ制御処理(3) (図8)によると、ITCC_ECU30では、ハイブリッド車両HVが備えるフットブレーキのブレーキ機構BKa−d による機械ブレーキ力によっても当該ハイブリッド車両HVが制動されている場合(S503でYes)、フットブレーキ時におけるハイブリッド車両HVの速度に対応した制動トルク(フィードフォワードトルク、プレトルク)を車速感応トルク配分マップT1fを参照して得るとともに(S521)、また前輪FR、FLおよび後輪RR、RLの前後車輪速度差ΔNに対応した制動トルク(フィードバックトルク、ΔNトルク)をΔN感応トルク配分マップT2fを参照して得る(S523)。そして、両トルクの和(T1+T2)に基づいて回生制動力の配分制御を行う(S531、S533)。
【0094】
また、ITCC_ECU30では、エンジンEGによるエンジンブレーキ力によっても当該ハイブリッド車両HVが制動されている場合(S503でNo)、エンジンブレーキ時におけるハイブリッド車両の速度に対応した制動トルク(フィードフォワードトルク、プレトルク)を車速感応トルク配分マップT1eを参照して得るとともに(S511)、また前輪FR、FLおよび後輪RR、RLの前後車輪速度差ΔNに対応した制動トルク(フィードバックトルク、ΔNトルク)をΔN感応トルク配分マップT2eを参照して得る(S513)。そして、両トルクの和(T1+T2)に基づいて回生制動力の配分制御を行う(S531、S533)。
【0095】
これにより、フットブレーキのブレーキ機構BKa−d による機械ブレーキ力が作用している場合には、当該機械ブレーキ力にも基づいて、またエンジンEGによるエンジンブレーキ力が作用している場合には、当該エンジンブレーキ力に基づいて、車速に対応した制動トルク(フィードフォワードトルク、プレトルク)および前後車輪速度差ΔNに対応した制動トルク(フィードバックトルク、ΔNトルク)を前輪FR、FLおよび後輪RR、RLに配分することができる。したがって、運転者によるフットブレーキのブレーキ操作時やエンジンブレーキ時においても、車速と前後車輪速度差ΔNとに応じた適正な制動力が前輪FR、FLおよび後輪RR、RLに伝達されるので、回生制動効率の向上に加えてハイブリッド車両HVの挙動安定性を一層、向上することができる。
【0096】
また、第3実施形態では、図9に示す回生ブレーキ制御処理(3)’のように、前述したステップS531に代えて、ステップS541、S543、S545による各処理を行うようにアルゴリズムを構成しても良い。
【0097】
即ち、図9に示す回生ブレーキ制御処理(3)’では、ステップS511、S513あるいはステップS521、S523により得られたプレトルクとΔNトルクとの和(T1+T2)と、予め設定された所定トルクと、の大小関係を判断する処理をステップS541として追加する。なお、当該和(T1+T2)は特許請求の範囲に記載の「制動トルク」に相当し、また所定トルクは、特許請求の範囲に記載の「所定値」に相当する(請求項6、12)。
【0098】
これにより、プレトルクとΔNトルクとの和(T1+T2)の方が当該所定トルクよりも大きいと判断された場合には(S541で所定トルク<T1+T2)、プレトルクまたはΔNトルクの少なくとも一方に適切なトルクが与えられていない蓋然性が高いので、当該所定トルクを指令トルクとしてステップS543により設定する処理を行う。一方、プレトルクとΔNトルクとの和(T1+T2)が当該所定トルク以下であると判断された場合には(S541で所定トルク≧T1+T2)、プレトルクおよびΔNトルクのいずれも適切なトルクが与えられている蓋然性が高いので、当該和(T1+T2)を指令トルクとしてステップS545により設定する処理を行う。
【0099】
このように本第3実施形態に係る回生ブレーキ制御処理(3)’(図9)によると、ITCC_ECU30では、プレトルクとΔNトルクとの和(T1+T2)が所定トルクを超えている場合には(S541で所定トルク<T1+T2)、当該所定トルクを発生するように指令トルクを設定する(S543)。これにより、前輪FR、FLおよび後輪RR、RLに、所定トルクを超えた制動トルクが配分されることを防止するので、例えば、前輪FR、FLまたは後輪RR、RLのいずれかにおいて許容される伝達トルクを超えた制動トルクが配分されてしまう事態を防止できる。したがって、例えば、フロントディファレンシャルFDやリアディファレンシャルRD等における機械的な故障等の発生を回避することができる。
【0100】
なお、この図9に示すステップS541、S543、S545による各処理は、例えば、図5におけるステップS203に置き換えたり、また図6におけるステップS305に置き換えたりしても良い。さらに図7に示すステップS407による演算結果を指令トルクに設定する前に、図9に示すステップS541、S543、S545による各処理を経るようにアルゴリズムを変更しても良い。
【0101】
これにより、前述した第1、2実施形態においても、前輪FR、FLおよび後輪RR、RLに、所定トルクを超えた制動トルクが配分されることを防止するので、前述と同様に、例えば、前輪FR、FLまたは後輪RR、RLのいずれかにおいて許容される伝達トルクを超えた制動トルクが配分されてしまう事態を防止できる。したがって、第1、2実施形態においても、フロントディファレンシャルFDやリアディファレンシャルRD等における機械的な故障等の発生を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の各実施形態に係る駆動力配分装置およびその制御装置としてのITCC_ECUを搭載したハイブリッド車両の概略構成例を示す説明図である。
【図2】図2(A) は第1実施形態に係る駆動力配分装置の構成を示す部分断面図で、図2(B) は第1実施形態に係るITCC_ECU30の構成例を示す説明図である。
【図3】本実施形態に係るITCC_ECU30による駆動力配分装置の制御概要を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るITCC_ECU30による制御処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】図5(A) は図4に示す制御処理においてITCC_ECUとINV_ECU との間で行われるネットワークレベルのデータ通信に関する説明図で、図5(B) は図4に示す回生ブレーキ制御処理(1) の流れを示すフローチャートである。
【図6】図6(A) は、本発明の第2実施形態に係るITCC_ECU30による制御処理においてITCC_ECUとINV_ECU との間で行われるネットワークレベルのデータ通信に関する説明図で、図6(B) は回生ブレーキ制御処理(2) の流れを示すフローチャートである。
【図7】図6(B) に示す回生ブレーキ制御処理(2) の他の例として、回生ブレーキ制御処理(2)’の流れを示すフローチャートである。
【図8】図8(A) は、本発明の第3実施形態に係るITCC_ECU30による制御処理においてITCC_ECUとINV_ECU との間で行われるネットワークレベルのデータ通信に関する説明図で、図8(B) は回生ブレーキ制御処理(3) の流れを示すフローチャートである。
【図9】図8(B) に示す回生ブレーキ制御処理(3) の他の例として、回生ブレーキ制御処理(3)’の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
20 駆動力配分装置
30 ITCC_ECU(制御装置、回生制動力配分制御手段)
35 電磁クラッチ駆動回路
50 INV_ECU (モータ制御装置)
HV ハイブリッド車両
EG エンジン(内燃機関)
M 電動モータ
INV インバータ
BATT バッテリ
FR、FL 前輪
RR、RL 後輪
WSa−d 車輪速センサ
SV スロットル開度センサ
BKa−d ブレーキ機構
ΔN 前後車輪速度差(前輪および後輪の回転速度差)
Claims (12)
- ハイブリッド車両を駆動可能な内燃機関および電動モータの少なくとも一方から発生する駆動力を、当該ハイブリッド車両の前輪および後輪に配分可能な駆動力配分装置の制御方法であって、
前記電動モータによる回生制動力により前記ハイブリッド車両が制動されている場合、前記回生制動力を前記前輪および前記後輪に配分するように前記駆動力配分装置を制御する回生制動力配分制御ステップを含むことを特徴とする駆動力配分装置の制御方法。 - 前記回生制動力配分制御ステップは、
前記電動モータを制御するモータ制御装置から入力される所定の制御情報に基づいて前記回生制動力の配分制御を行うことを特徴とする請求項1記載の駆動力配分装置の制御方法。 - 前記回生制動力配分制御ステップは、
前記ハイブリッド車両の速度と前記前輪および前記後輪の回転速度差とに基づいて前記回生制動力の配分制御を行うことを特徴とする請求項1記載の駆動力配分装置の制御方法。 - 前記回生制動力に加え、前記ハイブリッド車両が備える機械式制動装置による機械ブレーキ力によっても前記ハイブリッド車両が制動されている場合、前記回生制動力配分制御ステップは、
前記機械ブレーキ力と前記ハイブリッド車両の速度と前記前輪および前記後輪の回転速度差とに基づいて前記回生制動力の配分制御を行うことを特徴とする請求項1記載の駆動力配分装置の制御方法。 - 前記回生制動力に加え、前記内燃機関によるエンジンブレーキ力によっても前記ハイブリッド車両が制動されている場合、前記回生制動力配分制御ステップは、
前記エンジンブレーキ力と前記ハイブリッド車両の速度と前記前輪および前記後輪の回転速度差とに基づいて前記回生制動力の配分制御を行うことを特徴とする請求項1記載の駆動力配分装置の制御方法。 - 前記回生制動力配分制御ステップは、
前記前輪および前記後輪のいずれか一方に配分された前記回生制動力による制動トルクが所定値を超えている場合には、当該所定値以下の制動トルクを発生するように前記回生制動力の配分制御を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の駆動力配分装置の制御方法。 - ハイブリッド車両を駆動可能な内燃機関および電動モータの少なくとも一方から発生する駆動力を、当該ハイブリッド車両の前輪および後輪に配分可能な駆動力配分装置の制御装置であって、
前記電動モータによる回生制動力により前記ハイブリッド車両が制動されている場合、前記回生制動力を前記前輪および前記後輪に配分するように前記駆動力配分装置を制御する回生制動力配分制御手段を備えることを特徴とする駆動力配分装置の制御装置。 - 前記回生制動力配分制御手段は、
前記電動モータを制御するモータ制御装置から入力される所定の制御情報に基づいて前記回生制動力の配分制御を行うことを特徴とする請求項7記載の駆動力配分装置の制御装置。 - 前記回生制動力配分制御手段は、
前記ハイブリッド車両の速度と前記前輪および前記後輪の回転速度差とに基づいて前記回生制動力の配分制御を行うことを特徴とする請求項7記載の駆動力配分装置の制御装置。 - 前記回生制動力に加え、前記ハイブリッド車両が備える機械式制動装置による機械ブレーキ力によっても前記ハイブリッド車両が制動されている場合、前記回生制動力配分制御手段は、
前記機械ブレーキ力と前記ハイブリッド車両の速度と前記前輪および前記後輪の回転速度差とに基づいて前記回生制動力の配分制御を行うことを特徴とする請求項7記載の駆動力配分装置の制御装置。 - 前記回生制動力に加え、前記内燃機関によるエンジンブレーキ力によっても前記ハイブリッド車両が制動されている場合、前記回生制動力配分制御手段は、
前記エンジンブレーキ力と前記ハイブリッド車両の速度と前記前輪および前記後輪の回転速度差とに基づいて前記回生制動力の配分制御を行うことを特徴とする請求項7記載の駆動力配分装置の制御装置。 - 前記回生制動力配分制御手段は、
前記前輪および前記後輪のいずれか一方に配分された前記回生制動力による制動トルクが所定値を超えている場合には、当該所定値以下の制動トルクを発生するように前記回生制動力の配分制御を行うことを特徴とする請求項7〜11のいずれか一項に記載の駆動力配分装置の制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003150132A JP2004357375A (ja) | 2003-05-28 | 2003-05-28 | 駆動力配分装置の制御方法および制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003150132A JP2004357375A (ja) | 2003-05-28 | 2003-05-28 | 駆動力配分装置の制御方法および制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004357375A true JP2004357375A (ja) | 2004-12-16 |
Family
ID=34046022
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003150132A Pending JP2004357375A (ja) | 2003-05-28 | 2003-05-28 | 駆動力配分装置の制御方法および制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004357375A (ja) |
Cited By (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011223681A (ja) * | 2010-04-06 | 2011-11-04 | Toyota Motor Corp | 回生制動トルクの制御装置 |
JP2011244551A (ja) * | 2010-05-14 | 2011-12-01 | Honda Motor Co Ltd | 電動車両 |
DE112009005233T5 (de) | 2009-10-19 | 2012-12-20 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Antriebsregelung für Standby-Vierradantrieb-Fahrzeug |
CN102897029A (zh) * | 2012-10-24 | 2013-01-30 | 同济大学 | 一种增程式四轮纯电驱动汽车动力系统 |
JP2013252023A (ja) * | 2012-06-01 | 2013-12-12 | Mitsubishi Motors Corp | 電動車両 |
KR101714238B1 (ko) * | 2015-10-21 | 2017-03-22 | 현대자동차주식회사 | 친환경자동차의 제동 제어 방법 |
JP2018518407A (ja) * | 2015-05-26 | 2018-07-12 | ジャガー ランド ローバー リミテッドJaguar Land Rover Limited | ドライブライン制御の制御システム及び方法 |
WO2019082256A1 (ja) * | 2017-10-24 | 2019-05-02 | 日産自動車株式会社 | 四輪駆動車の動力伝達装置 |
WO2019082257A1 (ja) * | 2017-10-24 | 2019-05-02 | 日産自動車株式会社 | 四輪駆動車の動力伝達装置 |
WO2019082258A1 (ja) * | 2017-10-24 | 2019-05-02 | 日産自動車株式会社 | 四輪駆動車の動力伝達装置 |
JP2021041766A (ja) * | 2019-09-09 | 2021-03-18 | トヨタ自動車株式会社 | 電動車両 |
CN113561796A (zh) * | 2021-08-12 | 2021-10-29 | 一汽解放青岛汽车有限公司 | 驻车控制方法、装置、计算机设备和存储介质 |
-
2003
- 2003-05-28 JP JP2003150132A patent/JP2004357375A/ja active Pending
Cited By (22)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE112009005233T5 (de) | 2009-10-19 | 2012-12-20 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Antriebsregelung für Standby-Vierradantrieb-Fahrzeug |
US8700241B2 (en) | 2009-10-19 | 2014-04-15 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Drive control device for standby four-wheel drive vehicle |
DE112009005233B4 (de) * | 2009-10-19 | 2020-12-17 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Antriebsregelung für Standby-Vierradantrieb-Fahrzeug |
JP2011223681A (ja) * | 2010-04-06 | 2011-11-04 | Toyota Motor Corp | 回生制動トルクの制御装置 |
JP2011244551A (ja) * | 2010-05-14 | 2011-12-01 | Honda Motor Co Ltd | 電動車両 |
JP2013252023A (ja) * | 2012-06-01 | 2013-12-12 | Mitsubishi Motors Corp | 電動車両 |
CN102897029A (zh) * | 2012-10-24 | 2013-01-30 | 同济大学 | 一种增程式四轮纯电驱动汽车动力系统 |
JP2018518407A (ja) * | 2015-05-26 | 2018-07-12 | ジャガー ランド ローバー リミテッドJaguar Land Rover Limited | ドライブライン制御の制御システム及び方法 |
US10363822B2 (en) | 2015-10-21 | 2019-07-30 | Hyundai Motor Company | Braking control method and system for eco-friendly vehicle |
KR101714238B1 (ko) * | 2015-10-21 | 2017-03-22 | 현대자동차주식회사 | 친환경자동차의 제동 제어 방법 |
CN106608251A (zh) * | 2015-10-21 | 2017-05-03 | 现代自动车株式会社 | 用于环保车辆的制动控制方法和系统 |
WO2019082257A1 (ja) * | 2017-10-24 | 2019-05-02 | 日産自動車株式会社 | 四輪駆動車の動力伝達装置 |
WO2019082258A1 (ja) * | 2017-10-24 | 2019-05-02 | 日産自動車株式会社 | 四輪駆動車の動力伝達装置 |
CN111247020A (zh) * | 2017-10-24 | 2020-06-05 | 日产自动车株式会社 | 四轮驱动车的动力传递装置 |
JPWO2019082257A1 (ja) * | 2017-10-24 | 2020-07-02 | 日産自動車株式会社 | 四輪駆動車の動力伝達装置 |
JPWO2019082258A1 (ja) * | 2017-10-24 | 2020-07-02 | 日産自動車株式会社 | 四輪駆動車の動力伝達装置 |
US10843559B2 (en) | 2017-10-24 | 2020-11-24 | Nissan Motor Co., Ltd. | Power transmission device for four wheel drive vehicle |
WO2019082256A1 (ja) * | 2017-10-24 | 2019-05-02 | 日産自動車株式会社 | 四輪駆動車の動力伝達装置 |
CN111247020B (zh) * | 2017-10-24 | 2021-10-15 | 日产自动车株式会社 | 四轮驱动车的动力传递装置 |
JP2021041766A (ja) * | 2019-09-09 | 2021-03-18 | トヨタ自動車株式会社 | 電動車両 |
JP7196801B2 (ja) | 2019-09-09 | 2022-12-27 | トヨタ自動車株式会社 | 電動車両 |
CN113561796A (zh) * | 2021-08-12 | 2021-10-29 | 一汽解放青岛汽车有限公司 | 驻车控制方法、装置、计算机设备和存储介质 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4606074B2 (ja) | 電気自動車の回生制動制御方法及び装置 | |
JP5263405B2 (ja) | スタンバイ四輪駆動車両の駆動制御装置 | |
US8573709B2 (en) | Braking control apparatus for electric vehicle | |
US6959971B2 (en) | Vehicle braking apparatus | |
JP2004357375A (ja) | 駆動力配分装置の制御方法および制御装置 | |
JP4998036B2 (ja) | 車両の制御装置 | |
US11440414B2 (en) | Electric vehicle | |
WO2013151104A1 (ja) | ハイブリッド車両の制御装置 | |
JP3480489B2 (ja) | 回生制動制御装置 | |
JP2011218871A (ja) | スタンバイ四輪駆動車 | |
KR20240053087A (ko) | 차량의 트랙션 제어 방법 | |
JP7010174B2 (ja) | ハイブリッド車両の制御装置 | |
JP2010269642A (ja) | ハイブリッド車両の制動制御装置 | |
JP5807907B2 (ja) | ハイブリッド車両の制御装置 | |
JP2011223681A (ja) | 回生制動トルクの制御装置 | |
JP2006197757A (ja) | 車両の回生制動制御装置 | |
JP2013237311A (ja) | 車両制御システム | |
JP2004092570A (ja) | 駆動力伝達制御装置 | |
JP4033044B2 (ja) | 駆動力配分制御装置 | |
CN116890652A (zh) | 电动车辆的控制装置 | |
US20210179056A1 (en) | Eco-friendly vehicle and method of controlling driving force for the same | |
JP6507726B2 (ja) | 動力伝達装置 | |
JP5012190B2 (ja) | ハイブリッド車 | |
WO2023166572A1 (ja) | 車両の制御装置 | |
JP2008132922A (ja) | ハイブリッド車両 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050629 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20050922 |
|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20060301 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060612 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20061113 |