JP2004356276A - 荷電粒子ビーム近接露光方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】マスクとウエハとの位置合わせを高スループットかつ高精度で実現する。
【解決手段】マスクの2箇所に設けられた第1のマークと、ウエハの2箇所に設けられた第2のマークとを直交する方向から撮像し、一方の第1及び第2のマークにピントを合わせることが可能な2組の結像光学系を有する第1の顕微鏡撮像装置で同時に撮像するとともに、他方の第1及び第2のマークにピントを合わせることが可能な2組の結像光学系を有する第2の顕微鏡撮像装置で同時に撮像するステップと、第1の顕微鏡撮像装置から得られる一方の第1及び第2のマークの画像信号に基づいて位置ずれ量を測定するとともに、第2の顕微鏡撮像装置から得られる他方の第1及び第2のマークの画像信号に基づいて位置ずれ量を測定するステップと、測定した位置ずれ量に基づいてマスクとウエハとを位置合わせするステップと、マスクパターンをウエハ上のレジスト層に転写するステップと、を含む。
【選択図】 図9
【解決手段】マスクの2箇所に設けられた第1のマークと、ウエハの2箇所に設けられた第2のマークとを直交する方向から撮像し、一方の第1及び第2のマークにピントを合わせることが可能な2組の結像光学系を有する第1の顕微鏡撮像装置で同時に撮像するとともに、他方の第1及び第2のマークにピントを合わせることが可能な2組の結像光学系を有する第2の顕微鏡撮像装置で同時に撮像するステップと、第1の顕微鏡撮像装置から得られる一方の第1及び第2のマークの画像信号に基づいて位置ずれ量を測定するとともに、第2の顕微鏡撮像装置から得られる他方の第1及び第2のマークの画像信号に基づいて位置ずれ量を測定するステップと、測定した位置ずれ量に基づいてマスクとウエハとを位置合わせするステップと、マスクパターンをウエハ上のレジスト層に転写するステップと、を含む。
【選択図】 図9
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は荷電粒子ビーム近接露光方法及び装置に係り、特に半導体ウエハに近接配置されたマスクのマスクパターンをウエハ上のレジスト層に等倍転写する荷電粒子ビーム近接露光方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の露光装置として、電子ビーム近接露光装置が提案されている(特許文献1)。
【0003】
図25は上記電子ビーム近接露光装置の基本構成を示す図である。この電子ビーム近接露光装置10は、主として電子ビーム15を発生する電子ビーム源14、電子ビーム15を平行ビームにするレンズ16及び整形アパーチャ18を含む電子銃12と、主偏向器22、24及び副偏向器26、28を含み、電子ビームを光軸に平行に走査する走査手段20と、マスク30とから構成されている。
【0004】
前記マスク30は、表面にレジスト層42が形成されたウエハ40に近接するように(マスク30とウエハ40との隙間が、たとえば50μmとなるように)配置される。この状態で、マスク30に垂直に電子ビームを照射すると、マスク30のマスクパターンを通過した電子ビームがウエハ40上のレジスト層42に照射される。
【0005】
また、走査手段20は、図26に示されるように電子ビーム15がマスク30の全面を走査するように電子ビームを偏向制御する。これにより、マスク30のマスクパターンがウエハ40上のレジスト層42に等倍転写される。
【0006】
この電子ビーム近接露光装置10は、図27に示されるように真空チャンバ50内に設けられている。また、真空チャンバ50内には、ウエハ40を吸着するために静電チャック60と、この静電チャック60に吸着されたウエハ40を水平の直交2軸方向(X方向及びY方向)に移動させるとともに、水平面内で回転させるためのウエハステージ70が設けられている。ウエハステージ70は、マスクパターンの等倍転写が終了するごとにウエハ40を所定量移動させ、これにより1枚のウエハ40に複数のマスクパターンが転写できるようにしている。なお、図27上で、ウエハ40の導通をとるために、ウエハ40の上面に押し当てられた導通ピン81が設けられる。
【0007】
ところで、ウエハはそれぞれマスクパターンの異なる複数のマスクを用いて複数回露光され、これにより集積回路が形成される。そして、各マスクパターンの露光時には、露光するマスクパターンが、既に露光済みのマスクパターンと所定の位置関係になるようにマスクとウエハとを相対的に位置合わせを行う必要がある。
【0008】
一方、従来のマスクとウエハの位置合わせ方法として、斜方検出法が知られている(特許文献2参照)。
【0009】
斜方検出法は、撮影光軸がウエハに近接配置されたマスク面に対して斜めになるように光学系を配置し、ウエハに設けられた位置合わせ用のウエハマークと、マスクに設けられた位置合わせ用のマスクマークとを同時に撮像し、その撮像した画像から各マーク間の位置ずれを検出し、この位置ずれがゼロになるようにマスクとウエハとを位置合わせするようにしている。
【0010】
この斜方検出法は、露光を遮らないように顕微鏡撮像装置を配置することができ、露光中に光学系を退避させる必要がなく、露光中でも各マークを撮像することができるという利点がある。
【0011】
また、この斜方検出法の問題点を解消すべく、後述するマスクとウエハの位置合わせ方法及び装置に関する提案が本出願人によりなされている(特許文献3参照)。
【0012】
【特許文献1】
米国特許第5,831,272 号(日本特許第2951947 号に対応)
【0013】
【特許文献2】
特開平11−243048号公報
【0014】
【特許文献3】
特開2003−37036号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の斜方検出法による位置合わせ方法は、1つの顕微鏡撮像装置によってウエハマークとマスクマークとの一方向(すなわち、X方向及びY方向のうちの一方の方向)の位置ずれ量しか測定することができず、その結果、複数の顕微鏡撮像装置を配設しなけらばならないという問題がある。すなわち、マスクとウエハとのX方向及びY方向の位置合わせを行う場合には2つの顕微鏡撮像装置を配設しなけらばならず、またマスクとウエハとの回転方向の位置決めも行う場合には3つの顕微鏡撮像装置を配設しなければならないという問題がある。
【0016】
このような事情に鑑みて本出願人によりなされたマスクとウエハの位置合わせ方法及び装置に関する提案(特許文献3参照)は、1つの顕微鏡撮像装置によってマスクとウエハとの高精度の位置合わせを実現することができる技術であり、大幅な改善が期待されている。
【0017】
ところが、市場は高精度のみならず、更に高スループットが実現できる装置を求めており、従来になかった高速、高精度の荷電粒子ビーム近接露光装置の上市が期待されている。
【0018】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、高スループット、かつ、マスクとウエハとの高精度の位置合わせを実現することができる荷電粒子ビーム近接露光方法及び装置を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本願請求項1に係る発明は、ウエハにマスクを近接配置し、荷電粒子ビームによって該マスクに形成されたマスクパターンを前記ウエハ上のレジスト層に転写する荷電粒子ビーム近接露光方法において、前記マスクの2箇所に設けられた位置合わせ用の第1のマークと、前記ウエハが搭載されるパレット又は前記ウエハの2箇所に設けられた位置合わせ用の第2のマークとを各マークが設けられた面と直交する方向から略同時に撮像するステップであって、一方の前記第1のマーク及び第2のマークにそれぞれピントを合わせることが可能な2組の結像光学系を有する第1の顕微鏡撮像装置によって同時に撮像するとともに、他方の前記第1のマーク及び第2のマークにそれぞれピントを合わせることが可能な2組の結像光学系を有する第2の顕微鏡撮像装置によって同時に撮像するステップと、前記第1の顕微鏡撮像装置から得られる一方の前記第1のマーク及び第2のマークの画像信号に基づいて一方の前記第1のマークと第2のマークとの相対的な位置ずれ量を測定するとともに、前記第2の顕微鏡撮像装置から得られる他方の前記第1のマーク及び第2のマークの画像信号に基づいて他方の前記第1のマークと第2のマークとの相対的な位置ずれ量を測定するステップと、前記測定した位置ずれ量に基づいて前記マスクとウエハとを相対的に位置合わせするステップと、前記マスクパターンを前記ウエハ上のレジスト層に転写するステップと、を含むことを特徴としている。
【0020】
すなわち、顕微鏡撮像装置は、第1のマーク及び第2のマークが設けられている面と直交する方向から各マークを同時に撮像することができるとともに、各マークにそれぞれピントが合った画像信号を得ることができる。そして、顕微鏡撮像装置から同時に得られる第1のマーク及び第2のマークの画像信号に基づいて第1のマークと第2のマークとの相対的な位置ずれ量を測定するようにしている。すなわち、各マークが設けられている面と直交する方向から各マークを撮像することにより、1つの顕微鏡撮像装置によって第1のマークと第2のマークとの二次元の位置ずれ量を測定することができる。
【0021】
また、顕微鏡撮像装置の基準位置(たとえば、顕微鏡の十字マーク)を基準にして第1のマーク及び第2のマークの位置を測定しておらず、顕微鏡撮像装置から同時に得られる第1のマークと第2のマークとの画像信号に基づいて各マーク間の相対的な位置ずれ量を測定するようにしたため、顕微鏡撮像装置の基準位置の変動に影響を受けない位置ずれ量の測定ができる。
【0022】
更に、第1のマークと第2のマークはそれぞれ2箇所に設けられ、それぞれの位置において、顕微鏡撮像装置を配することができる。したがって、顕微鏡撮像装置とウエハ又はマスクとの相対移動の回数が大幅に減少し、その結果、高スループットが実現できる。
【0023】
なお、荷電粒子ビームとは、電子ビーム、X線等の荷電粒子のビームを指し、半導体製造装置に適用される各種のビームが使用できる。
【0024】
本願請求項2に示されるように、前記位置合わせするステップは、前記測定した位置ずれ量より、XY方向の位置ずれ量がゼロになるように前記マスク及びウエハのうちの一方をXY方向に移動させるステップと、前記測定した位置ずれ量より、θ方向の位置ずれ量及びマスクのマスク歪み量がゼロになるように前記荷電粒子ビームの入射角度を制御するステップと、を有することを特徴としている。
【0025】
すなわち、マーク同士のXY方向のずれ量補正は、XY方向の微動調整によるのが容易である。また、θ方向のずれ量補正、マスクのマスク歪み量補正は、荷電粒子ビーム(電子ビーム等)の入射角度制御によるのが容易である。
【0026】
特に、θ方向のずれ量補正をウエハステージ等の微動調整によって行った場合、マスクとウエハとの相対的な回転が生じ、ウエハ上の異なる位置においては更にθ方向のずれ量補正が必要になり、計算等が煩雑になる。これに対し、θ方向のずれ量補正を電子ビーム等の入射角度制御によって行えば、マスクとウエハとの相対的な回転が生じないので、このような不具合は生じない。
【0027】
本願請求項3に示されるように、前記マスクは転写位置に固定され、前記第1及び第2の顕微鏡撮像装置は、転写するステップ時に前記露光装置における露光領域外に退避し、前記撮像するステップ時に前記第1のマーク及び第2のマークを視野内に入れるべく移動することを特徴としている。
【0028】
すなわち、顕微鏡撮像装置を移動させてマスクの第1のマークとウエハの第2のマークとを視野内に入れ、ここでマスクとウエハとの位置関係を予め測定しておき、その後、転写時には顕微鏡撮像装置を退避させるとともに、測定したマスクとウエハとの位置関係に基づいてウエハの各ダイの位置合わせを行うようにしている。
【0029】
本願請求項4に示されるように、前記マスクに設けられた第1のマークは、前記マスクのX方向の位置を検出するための2箇所に配される第1のマスクマーク及び第2のマスクマークと、前記マスクのY方向の位置を検出するための第3のマスクマークとからなり、前記第1のマスクマーク及び第2のマスクマークは、いずれもY方向を向いた複数本の平行線パターンであり、かつ、前記第1のマスクマーク及び第2のマスクマークはY方向に所定距離離れて対向して設けられ、前記第3のマスクマークは、X方向を向いた複数本の平行線パターンであり、前記ウエハが搭載されるパレット又は前記ウエハに設けられた第2のマークは、前記パレット又はウエハのX方向の位置を検出するための第1のウエハマークと、前記パレット又はウエハのY方向の位置を検出するための第2のウエハマークとからなり、前記第1のウエハマークは、Y方向を向いた複数本の平行線パターンであり、前記第2のウエハマークは、X方向を向いた複数本の平行線パターンであり、これらの第1のウエハマーク及び第2のウエハマークは、前記顕微鏡撮像装置の視野内に前記第1のマーク及び第2のマークが入っているときに、前記第1のマスクマーク、第2のマスクマーク及び第3のマスクマークと対向する位置に配置されることを特徴としている。
【0030】
すなわち、第1のマークは、Y方向を向いた複数本の平行線パターンである第1のマスクマーク及び第2のマスクマークと、X方向を向いた複数本の平行線パターンである第3のマスクマークとの3つからなり、第1のマスクマーク及び第2のマスクマークはY方向に所定距離離れて対向して設けられている。
【0031】
一方、第2のマークは、Y方向を向いた複数本の平行線パターンである第1のウエハマークと、X方向を向いた複数本の平行線パターンである第2のウエハマークとの2つからなる。
【0032】
そして、第1のマスクマークと第2のマスクマークとの間に第1のウエハマークが配されるように位置決めすれば、マスクとウエハとのX方向の位置ずれ量の検出が容易となる。また、第3のマスクマークと第2のウエハマークとが対向して配されるように位置決めすれば、マスクとウエハとのY方向の位置ずれ量の検出が容易となる。
【0033】
本願請求項5に示されるように、前記マスクには、前記パレット又はウエハに設けられた第2のマークを撮像するための開口が形成されていることを特徴としている。
【0034】
すなわち、マスクの膜厚が小さければ、マスクを透過して第2のマークを撮像できるが、マスクに開口が形成されていれば、第2のマークを撮像はより確実に行える。
【0035】
本願請求項6に係る発明は、ウエハにマスクを近接配置し、荷電粒子ビームによって該マスクに形成されたマスクパターンを前記ウエハ上のレジスト層に転写する荷電粒子ビーム近接露光装置において、前記マスクの2箇所に設けられた位置合わせ用の第1のマークと、前記ウエハが搭載されるパレット又は前記ウエハの2箇所に設けられた位置合わせ用の第2のマークとを各マークが設けられた面と直交する方向から同時に撮像する顕微鏡撮像装置であって、前記第1のマーク及び第2のマークにそれぞれピントを合わせることが可能な2組の結像光学系を有する2台の顕微鏡撮像装置と、前記顕微鏡撮像装置から得られる前記第1のマーク及び第2のマークの画像信号に基づいて前記第1のマークと第2のマークとの相対的な位置ずれ量を測定する位置ずれ量測定手段と、前記測定した位置ずれ量に基づいて前記位置ずれ量がゼロになるように前記マスクとウエハとを相対的に位置合わせする手段と、荷電粒子ビームによって前記マスクに形成されたマスクパターンを前記ウエハ上のレジスト層に転写する手段と、を備えたことを特徴としている。
【0036】
本願請求項7に示されるように、前記位置合わせする手段は、前記測定した位置ずれ量より、XY方向の位置ずれ量がゼロになるように前記マスク及びウエハのうちの一方をXY方向に移動させる手段と、前記測定した位置ずれ量より、θ方向の位置ずれ量及びマスクのマスク歪み量がゼロになるように前記荷電粒子ビームの入射角度を制御する手段と、を有することを特徴としている。
【0037】
本願請求項8に示されるように、前記顕微鏡撮像装置は、第1の撮像素子と、第2の撮像素子と、第1のレンズと、前記第1のマークを前記第1のレンズを介して前記第1の撮像素子に結像させるための第2のレンズと、前記第2のマークを前記第1のレンズを介して前記第2の撮像素子に結像させるための第3のレンズと、前記第1のレンズ、第2のレンズ及び第3のレンズのうちの少なくとも2つを独立に移動させるピント調整手段と、前記第1のレンズを介して照明光を出射する照明手段とを有することを特徴としている。
【0038】
顕微鏡撮像装置は、近接配置されるマスクとウエハとの間隔等を変更してもピント調整手段によって第1のマーク及び第2のマークにそれぞれピントを合わせることができ、第1のマークと第2のマークとの相対的な位置ずれ量を精度よく測定することができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って、本発明に係る荷電粒子ビーム近接露光方法及び装置の好ましい実施の形態について説明する。
【0040】
図1は、本発明に係る荷電粒子ビーム近接露光装置のアライメント機構系を含む電子ビーム近接露光装置の全体構成図であり、図2は、要部縦断面図であり、図3は、要部上面図である。なお、電子ビーム近接露光装置としての主要な構成は、図25乃至図27に示したものと同様のため、同一、類似の構成に関する詳細な説明は省略する。
【0041】
図1、図2及び図3に示されるように、顕微鏡撮像装置150(151)には、ランプハウス110から光ファイバ111、光学系112、及び真空チャンバ50の天板に設けられた窓54、及び光ファイバ113を介して照明光が導かれるようになっている。また、この顕微鏡撮像装置150(151)は、電子光学鏡筒102とマスク32との間に顕微鏡先端の対物レンズ120等が挿入できるように構成されている。
【0042】
この顕微鏡撮像装置150(151)は、移動可能となっており、電子ビーム近接露光装置による転写時に邪魔にならない露光領域外に退避できる。この顕微鏡撮像装置150(151)は、電子ビーム近接露光装置に2つ設けられるが(第1の顕微鏡撮像装置150及び第2の顕微鏡撮像装置151)、同一の仕様であることより、図2及び図3においては1つのみ図示してある。
【0043】
顕微鏡撮像装置150、151とは別に、マスク32及びウエハ40の概略位置決め(コースアライメント)用の顕微鏡がそれぞれ設けられている。すなわち、マスク32のコースアライメント用の顕微鏡152がウエハステージ70に固定されており、ウエハ40のコースアライメント用の顕微鏡154が真空チャンバ50内に固定されている。また、ウエハ40の高さ検出器156がウエハステージ70に固定されており、この高さ検出器156より上方に、マスク32の高さ検出器158がウエハステージ70により支持固定されている。
【0044】
顕微鏡撮像装置150(151)の照明手段を構成するランプハウス110は、真空チャンバ50の外側に配設され、このランプハウス110から出射される照明光は、光ファイバ111、照明用の光学系112、及び真空チャンバ50の天板に設けられた窓54を介して顕微鏡撮像装置150(151)内に導かれるようになっている。
【0045】
マスク32が取り付けられているマスクステージ82は、X方向及びY方向に位置合せが可能な範囲で若干量だけ移動できるようになっている。
【0046】
図4はマスク32の平面図である。このマスク32は、8インチマスクであり、4種類のマスクパターンP1〜P4が形成されている。また、各マスクパターンの左右の位置には、位置合わせ用のマスクマークM(第1のマーク)が形成されており、各マスクパターンとマスクマークMとは一定の関係をもって形成されている。なお、図4上で、M1、M2は、マスクパターンP1の左右の位置に形成されたマスクマークを示している。その他に、後述するコースアライメントの際に使用するコースアライメントマークC1、C2がマスク32の左右方向両端部に設けられている。
【0047】
顕微鏡撮像装置150(151)によってマスクマークM1を観察する場合には、このマスクマークM1が顕微鏡撮像装置150(151)の視野Vに入るように顕微鏡撮像装置150(151)を移動させる。なお、マスクステージ82の位置(x、y)は、レーザ干渉計LXM、LYM(図9参照)によって測定できるようになっている。
【0048】
一方、ウエハ40は、図5に示されるようにウエハパレット44上に図示しない電磁チャックによって吸着固定される。このウエハパレット44は、図27に示したウエハステージ70の電磁チャック60上に搭載され固定される。なお、図27は、ウエハパレット44を使用せずに、ウエハ40が直接電磁チャック60上に搭載されている場合に関して示している。
【0049】
ウエハパレット44には、図5に示されるようにパレットマークWP1、WP2…が設けられている。これらのパレットマークWP1、WP2…は、ウエハ40の上面と面一の位置にマークが形成されている。
【0050】
また、ウエハ40には、各種のマスクパターンの転写等によって複数のダイDが形成されるが、これらのダイDの位置合わせ用のダイマークDM(第2のマーク)がウエハ40上に形成されている。なお、パレットマークWP1、WP2と、各ダイマークDMとの位置関係は、ウエハ40をウエハパレット44に搭載した後、別途測定されデータとして保存されている。したがって、ウエハステージ70上でのパレットマークWP1、WP2の位置が検知できれば、各ダイマークDMの位置は前記パレットマークWP1、WP2と各ダイマークDMとの位置関係から計算で求めることができる。なお、ウエハステージ70の位置(X、Y)は、レーザ干渉計LXW、LYW(図9参照)によって測定できるようになっている。
【0051】
図2及び図3に示した顕微鏡撮像装置150(151)は、マスク32のマスクマークM1とダイマークDM1若しくはパレットマークWP1とを同時に観察し、又は、マスク32のマスクマークM2とダイマークDM2若しくはパレットマークWP2とを同時に観察し、各マーク間の位置ずれ量を測定するもので、マスク面及びウエハパレット面(ウエハ面)と直交する方向から同時に撮像するとともに、高さ(Z方向の位置)が異なる各マークに同時にピントを合わせることが可能な2組の結像光学系を有している。
【0052】
図6は上記顕微鏡撮像装置150(151)の詳細を示す光学部品配置図である。同図に示されるように顕微鏡撮像装置150(151)の結像光学系は、対物レンズ120(第1のレンズ)を共通にして3つの光路に分岐している。すなわち、顕微鏡撮像装置150(151)は、マスクマークMを固体撮像素子(CCD)130に結像させるマスクマーク撮像用光学系と、ダイマークDM若しくはパレットマークWPをCCD131に結像させるダイマーク撮像用光学系と、マスクマークMをCCD132に結像させるオートフォーカス用光学系とを有している。
【0053】
マスクマーク撮像用光学系は、対物レンズ120、ハーフミラー121、122、及びマスクマーク結像用レンズ123(第2のレンズ)から構成され、ダイマーク撮像用光学系は、対物レンズ120、ハーフミラー121、122、124及びダイマーク結像用レンズ125(第3のレンズ)から構成され、オートフォーカス用光学系は、対物レンズ120、ハーフミラー121、122、124及びフォーカス用レンズ126から構成されている。
【0054】
また、顕微鏡撮像装置150(151)は、対物レンズ120、ハーフミラー121、全反射ミラー127、レンズ128、及び光学系112、光ファイバ111からなる照明用光学系と、この照明用光学系を介して照明光を出射するランプハウス110とからなる照明手段を有している。なお、照明光学系内の光学系112は、NA可変絞り112A、レンズ112B、及び視野可変絞り112Cから構成されている。
【0055】
また、対物レンズ120及びダイマーク結像用レンズ125は、それぞれ光軸方向に微小量移動できるようになっており、対物レンズ120をたとえばピエゾ素子によって移動させることによってマスクマークMがCCD130に結像するようにピント調整が行われ、ダイマーク結像用レンズ125を移動させることによってダイマークDM又はパレットマークPMがCCD131に結像するようにピント調整が行われる。
【0056】
すなわち、対物レンズ120は、オートフォーカス用光学系を介してマスクマークMを撮像するCCD132の出力信号のコントラストが最大になるように自動的にレンズ位置が制御される。ここで、オートフォーカス用光学系及びマスクマーク撮像用光学系は、マスクマークMがCCD132に結像されるときにCCD130にも結像されるように予め調整されている。したがって、CCD132にマスクマークMが結像するように対物レンズ120を移動させることにより、CCD130にマスクマークMを結像させることができる。なお、オートフォーカス用光学系は、ピント調整が容易にできるようにマスクマーク撮像用光学系よりも撮影倍率が低くなっている。
【0057】
また、CCD131は、マスク32からたとえば50μm下側に配置されるウエハ40(パレット)が結像するようにダイマーク結像用レンズ125の位置が調整されているが、マスク32とウエハ40との隙間が変更される場合にもダイマークDM又はパレットマークWPが結像できるように、ダイマーク結像用レンズ125は、たとえば超音波モータなどによって光軸方向に微小量移動できるようになっている。
【0058】
なお、この実施の形態では、対物レンズ120とダイマーク結像用レンズ125とがそれぞれピント調整用に光軸方向に移動できるようになっているが、これに限らず、対物レンズ120、マスクマーク結像用レンズ123及びダイマーク結像用レンズ125のうちの少なくとも2つが光軸方向に移動できるように構成すれば、マスクマークM及びダイマークDM又はパレットマークWPにそれぞれピントを合わせることができる。
【0059】
また、この顕微鏡撮像装置150(151)は、瞳位置に図示しない位相差板が着脱できるようになっており、位相差顕微鏡としての機能を備えている。更に、この顕微鏡撮像装置150(151)に適用される照明手段は、落射照明又は臨界照明に手動で切り替えられるように構成されている。
【0060】
また、この実施の形態では、マスクマークMとダイマークDM又はパレットマークWPとがそれぞれ結像される2つのCCD(CCD130、131)を設けるようにしているが、2組の結像光学系の光路をミラーやハーフミラーを介して合流させ、マスクマークMとダイマークDM又はパレットマークWPとを1つのCCDに結像させるようにしてもよい。
【0061】
図7はマスクマークMとダイマークDM又はパレットマークWPとを1つのCCDに結像させる顕微鏡撮像装置150’(151’)の光学部品配置図である。なお、図6と共通する部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0062】
図7に示されるように、この顕微鏡撮像装置150’(151’)のマスクマーク撮像用光学系は、対物レンズ120、ハーフミラー140、141、反射ミラー143、マスクマーク結像用レンズ123、及びハーフミラー144から構成され、ダイマーク撮像用光学系は、対物レンズ120、ハーフミラー140、141、ダイマーク結像用レンズ125、ハーフミラー142、及び144から構成されている。また、オートフォーカス用光学系は、対物レンズ120、ハーフミラー140、141、ダイマーク結像用レンズ125、ハーフミラー142、及びフォーカス用レンズ126から構成されている。
【0063】
上記構成のマスクマーク撮像用光学系及びダイマーク撮像用光学系は、同一のアライメント用CCD145にマスクマークMとダイマークDM又はパレットマークWPとを同時に結像させることができる。
【0064】
次に、マスクマークMとダイマークDM又はパレットマークWPとの位置ずれ量の検出方法について説明する。
【0065】
図8は顕微鏡撮像装置150(151)の視野V内にマスクマークMと、ダイマークDMとを入れた場合に関して示している。マスクマークMは、マスクのX方向の位置を検出するための2箇所に配される第1のマスクマークMX1及び第2のマスクマークMX2と、マスクのY方向の位置を検出するための第3のマスクマークMY とからなる。
【0066】
このうち、第1のマスクマークMX1及び第2のマスクマークMX2は、いずれもY方向を向いた5本の平行線パターンの開口から構成され、また、第1のマスクマークMX1及び第2のマスクマークMX2はY方向に所定距離離れて対向して設けられている。第3のマスクマークMY は、X方向を向いた5本の平行線パターンの開口から構成されている。第3のマスクマークMY のX方向の配置位置は、第1のマスクマークMX1及び第2のマスクマークMX2の右方であり、Y方向の配置位置は、第1のマスクマークMX1及び第2のマスクマークMX2の中間位置である。
【0067】
ダイマークDMは、ウエハのX方向の位置を検出するための第1のウエハマークであるダイマークDMX と、ウエハのY方向の位置を検出するための第2のウエハマークであるダイマークDMY とからなる。このうち、ダイマークDMX は、Y方向を向いた5本の平行線パターンの凸部(又は凹部)から構成され、ダイマークDMY は、X方向を向いた5本の平行線パターンの凸部(又は凹部)から構成されている。
【0068】
これらのダイマークDMX 及びダイマークDMY は、顕微鏡撮像装置150(151)の視野V内に、マスクマークM及びダイマークDMが入っているときに、第1のマスクマークMX1及び第2のマスクマークMX2と対向する位置にダイマークDMX が配され、第3のマスクマークMY と対向する位置にダイマークDMY が配されるような位置に設けられる。
【0069】
すなわち、図8において、ダイマークDMX は、第1のマスクマークMX1及び第2のマスクマークMX2とのY方向の中間に配されており、ダイマークDMY はダイマークDMX をX方向の中間に挟んで第3のマスクマークMY と対向する位置に配されている。
【0070】
また、マスク32には、マスク32の下方に位置するダイマークDMを観察するための矩形の開口33が形成されている。この開口33により、ダイマークDMでの散乱光による像は、マスク32によって減衰することなく撮像されるため、ダイマークDMの像と背景とのコントラストが低下することがない。
【0071】
マスクマークMとダイマークDMとの位置ずれ量を求める場合には、マスクマークMが結像されるCCD130から得られる画像信号を信号処理し、第1のマスクマークMX1及び第2のマスクマークMX2の中心位置とマスクマークMY の中心位置をそれぞれ求める。同様にしてダイマークDMが結像されるCCD131から得られる画像信号を信号処理し、ダイマークDMX の中心位置とダイマークDMY の中心位置をそれぞれ求める。
【0072】
上記のようにして求めたマスクマークMの中心位置を示すCCD130上の画素位置と、ダイマークDMの中心位置を示すCCD131上の画素位置との画素位置の差分に基づいてマスクマークMとダイマークDMとの位置ずれ量を測定する。そして、測定した位置ずれ量がゼロになるように、ウエハステージ70又はマスクステージ82をX方向及びY方向に移動させ、マスクマークMが示す位置とダイマークDMが示す位置とを一致させる。また、転写時において、θ方向の位置ずれ量及びマスクのマスク歪み量がゼロになるように電子ビームの入射角度を制御する。この詳細については後述する。
【0073】
なお、図8は、マスクマークMが示す位置とダイマークDMが示す位置とが一致している場合に関して示している。また、顕微鏡撮像装置150(151)の対物レンズ120が微小量移動すると、撮影倍率が変動するが、図8に示される形状のマスクマークMが示す位置及びダイマークDMが示す位置は、顕微鏡撮像装置150(151)の撮影倍率が変動しても変化量が極めて少ない。
【0074】
図9は電子ビーム近接露光装置の制御部の実施の形態を示すブロック図である。同図において、中央処理装置(CPU)200は、装置全体を統括制御するもので、マスクとウエハとの位置合わせ時の処理、露光時の電子ビームの偏向制御等を行う。顕微鏡撮像装置150及び顕微鏡撮像装置151での撮像によって得られたマスクマークM及びダイマークDMを示す各画像信号は、信号処理回路202に加えられる。信号処理回路202は、入力した各画像信号に基づいてマスクマークMとダイマークDMとの位置ずれ量を算出する。
【0075】
CPU200は、信号処理回路202から入力するX方向及びY方向の位置ずれ量がゼロになるように、ステージ駆動回路204を介してウエハステージ70を移動させ、又はステージ駆動回路206を介してマスクステージ82を移動させる。
【0076】
また、CPU200は、マスクマークMとダイマークDMとが一致したときのウエハステージ70のX方向及びY方向の位置(X、Y)をレーザ干渉計LXW、LYWから取り込み、同様にマスクステージ82のX方向及びY方向の位置(x、y)をレーザ干渉計LXM、LYMから取り込み、メモリ203に記憶させる。また、メモリ203には、図5で説明したようにパレットマークWP1、WP2と、各ダイマークDMとの位置関係を示すデータが保存されている。なお、メモリ203に記憶したウエハステージ70やマスクステージ82の位置等に基づくマスクとウエハとの位置合わせ制御の詳細については後述する。
【0077】
更に、CPU200は、マスクを走査する際の偏向量データとともにマスクの歪みに応じた補正データをデジタル演算回路205に供給し、デジタル演算回路205は偏向量データに基づいてマスクを走査するためのデジタル信号を主DAC/AMP208に出力し、補正データに基づいてマスクの歪みを補正するためのデジタル信号、及びθ方向の位置ずれ量がゼロになるように電子ビームの入射角度を制御するデジタル信号を副DAC/AMP210に出力する。なお、デジタル演算回路205による電子ビームの入射角度制御については後述する。
【0078】
主DAC/AMP208は、入力したデジタル信号をアナログ信号に変換したのち増幅し、これを図25に示される主偏向器22、24に出力する。これにより、電子ビーム15は、光軸と平行な状態を維持したまま、図26に示されるようにマスクの全面を走査するように偏向される。また、副DAC/AMP210は、入力したデジタル信号をアナログ信号に変換したのち増幅し、これを図25に示される副偏向器26、28に出力する。これにより、電子ビーム15のマスクへの入射角度が制御され、マスクが歪んでいてもマスクパターンを正規の位置に転写できるようにしている。
【0079】
その他、コースアライメント用の顕微鏡152及び154からの信号も、信号処理回路202を経由してCPU200へ送られる。
【0080】
図10は本発明に係る荷電粒子ビーム近接露光方法を含む電子ビーム近接露光方法の動作手順を示すフローチャートである。この電子ビーム近接露光方法の動作手順においては、図4に示されるマスク32のマスクパターンP1を転写する例について説明する。
【0081】
まず、マスク32を電子ビーム近接露光装置に搬入し、マスクステージ82にロードする(ステップS10)。次いで、マスク32が水平になるように位置調整(レベリング)を行う(ステップS12)。次いで、マスク32のXY方向の概略位置決め(コースアライメント)を行う(ステップS14)。これについては、別紙により説明する。図11は、マスク32のコースアライメントの詳細手順を示すフローチャートであり、図12は、マスク32のコースアライメントの概要を示す斜視図である。
【0082】
先ず、ウエハステージ70上に固定されたコースアライメント用の顕微鏡152が計測位置に来るように、ウエハステージ70を移動させる(ステップS14A)。図12においては、顕微鏡152がマスク32のコースアライメントマークC2を視野に入れるように位置合せされている。なお、図12において、マスク32の中央には転写領域P(図4におけるP1〜P4)が配されており、転写領域Pの両側にはコースアライメントマークC1及びC2が配されている。
【0083】
次いで、顕微鏡152によってマスク32のコースアライメントマークC2を読み取る(ステップS14B)。そして、マスクステージ82(図2参照)を移動させ、マスク32の他のコースアライメントマークC1が顕微鏡152の視野に入るように位置合せする(ステップS14C)。
【0084】
次いで、顕微鏡152によってマスク32の他のコースアライメントマークC1を読み取り、コースアライメントマークC1及びC2の位置が適当か否か閾値判定を行う(ステップS14D)。具体的には、コースアライメントマークC1とC2とを結ぶ直線がX軸となす角度が所定の角度(閾値)未満であるか否かを判定する。すなわち、ウエハステージ70基準で、マスク32の水平面内での回転量を判定する。
【0085】
判定の結果、所定の角度未満である場合(OK)には、コースアライメントが終了と判断して次工程(ステップS16)へ進み、所定の角度以上である場合(NG)には、コースアライメント不良と判断して、X軸となす角度が小さくなる方向にマスクステージ82をθ方向に回転させ、ステップS14Bに戻って再度コースアライメントマークC1及びC2の読み取りを行う。そして、コースアライメントが終了するまで、このループを繰り返す。
【0086】
図10に戻って、次のステップにおいては、精密位置決め(ファインアライメント)を行う(ステップS16)。これについては、別紙により説明する。図13は、ファインアライメントの詳細手順を示すフローチャートであり、図14は、ファインアライメントの概要を示す斜視図である。
【0087】
先ず、顕微鏡撮像装置150及び151を計測位置に来るように移動させる(ステップS16A)。図14においては、顕微鏡撮像装置150がウエハステージ70上に固定されたウエハパレット44のパレットマークWPを視野に入れるように位置合せされている。なお、この段階では、ウエハ40は、未だウエハパレット44に搭載されていない。
【0088】
次いで、顕微鏡撮像装置150によってウエハパレット44のパレットマークWPを読み取る(ステップS16B)。そして、ウエハステージ70を移動させ、同一のパレットマークWPが顕微鏡撮像装置151の視野に入るように位置合せする(ステップS16C)。
【0089】
次いで、顕微鏡撮像装置151によって同一のパレットマークWPを読み取り、ウエハステージ70上のウエハパレット44の位置が適当か否か閾値判定を行う(ステップS16D)。具体的には、パレットマークWPの移動軌跡である直線と、顕微鏡撮像装置150の対物レンズ120の中心と顕微鏡撮像装置151の対物レンズ120の中心とを結ぶ直線(すなわちX軸)とがなす角度が所定の角度(閾値)未満であるか否かを判定する。すなわち、顕微鏡撮像装置150及び151基準で、ウエハパレット44の水平面内での回転量を判定する。
【0090】
判定の結果、所定の角度未満である場合(OK)には、ファインアライメントが終了と判断して次工程(ステップS18)へ進み、所定の角度以上である場合(NG)には、ファインアライメント不良と判断して、両直線同士のなす角度が小さくなる方向にウエハパレット44をθ方向に回転させ、ステップS16Bに戻って再度パレットマークWPの読み取りを行う。そして、ファインアライメントが終了するまで、このループを繰り返す。
【0091】
図10に戻って、次のステップにおいては、ウエハ40を電子ビーム近接露光装置に搬入し、ウエハパレット44上にロードする(ステップS18)。次いで、ウエハ40が水平になるように位置調整(レベリング)を行う(ステップS20)。次いで、ウエハ40のXY方向の概略位置決め(コースアライメント)を行う(ステップS22)。これについては、別紙により説明する。図15は、ウエハ40のコースアライメントの詳細手順を示すフローチャートであり、図16は、ウエハ40のコースアライメントの概要を示す斜視図である。
【0092】
先ず、ウエハステージ70上方に固定されたコースアライメント用の顕微鏡154が計測位置に来るように、ウエハステージ70を移動させる(ステップS22A)。図16においては、顕微鏡154がウエハパレット44のパレットマークWP1(図5参照)を視野に入れるように位置合せされている。
【0093】
次いで、顕微鏡154によってウエハパレット44のパレットマークWP1を読み取る(ステップS22B)。そして、ウエハステージ70を移動させ、ウエハパレット44の他のパレットマークWP2が顕微鏡154の視野に入るように位置合せする(ステップS22C)。
【0094】
次いで、顕微鏡154によって、ウエハパレット44の他のパレットマークWP2を読み取り、パレットマークWP1及びWP2の位置が適当か否か閾値判定を行う(ステップS22D)。具体的には、パレットマークWP1とWP2とを結ぶ直線がX軸となす角度が所定の角度(閾値)未満であるか否かを判定する。すなわち、装置本体(顕微鏡154)基準で、ウエハパレット44の水平面内での回転量を判定する。
【0095】
判定の結果、所定の角度未満である場合(OK)には、コースアライメントが終了と判断して次工程(ステップS22E)へ進み、所定の角度以上である場合(NG)には、コースアライメント不良と判断して、X軸となす角度が小さくなる方向にウエハパレット44をθ方向に回転させ、ステップS22Bに戻って再度パレットマークWP1及びWP2の読み取りを行う。そして、コースアライメントが終了するまで、このループを繰り返す。
【0096】
ステップS22Eにおいて、レーザ干渉計LXW、LYWの座標位置を保存する。
【0097】
なお、ステップS22においては、ウエハパレット44の両端に位置するパレットマークWP1及びWP2を顕微鏡154により読み取るので、パレットマークWP1とWP2との中間の座標、すなわち、ウエハパレット44の中心CNの座標も求まることとなる。
【0098】
図10に戻って、次のステップにおいては、顕微鏡撮像装置150及び151によりマスク32の2箇所に設けられたマスクマークM(第1のマーク)と、ウエハ40の2箇所に設けられたダイマークDM(第2のマーク)とを同時に撮像する(ステップS24)。以下、このステップをグローバル計測と称呼する。図17は、このグローバル計測の概要を示す斜視図である。このグローバル計測は、ウエハ40の各ダイD1、D2…Dn 単位で行う。
【0099】
グローバル計測において、たとえば、顕微鏡撮像装置150は、視野内のマスクマークM1(図4参照。以下同じ)及びダイマークDM1(図5参照。以下同じ)にそれぞれピントが合うように、また、顕微鏡撮像装置151は、視野内のマスクマークM2及びダイマークDM2にそれぞれピントが合うように、図6で説明したように対物レンズ120やダイマーク結像用レンズ125を移動させる。
【0100】
そして、顕微鏡撮像装置150によりマスクマークM1及びダイマークDM1を測定し、顕微鏡撮像装置151によりマスクマークM2及びダイマークDM2を測定する。
【0101】
ステップS24のグローバル計測において、ウエハ40の測定すべき全てのダイDの測定が終了したか否かを判別し、終了していない場合には、ウエハ40の測定すべき次のダイDを、マスク32のマスクパターンP1の位置に位置合わせを行い、再び各マークのピント合せを行い、マスクマークM及びダイマークDMを測定する。
【0102】
なお、ここで「ウエハ40の測定すべき全てのダイD」としているのは、ウエハ40の全てのダイDの測定をしなくても、転写精度が確保できることが多いからであり、一部のダイDの測定のみとすることにより、スループットが大幅に向上するからである。
【0103】
この場合、測定すべきダイDとしては、たとえば、ウエハ40の対角線上の両隅にある2つのダイD、ウエハ40の対角線上の4隅にある4つのダイD、複数のダイDのうち3つおきのダイD、5つおきのダイD等の態様が考えられる。
【0104】
本実施の態様においては、図18に示されるように、ウエハ40の全21個のダイDのうち、塗り潰した4個のダイDa、Db、Dc及びDdの測定のみとしている。そして、マスクマークM1(図4参照)を基準にしてダイマークDM1(図5参照)を測定し、マスクマークM2を基準にしてダイマークDM2を測定する。
【0105】
ステップS24のグローバル計測において、ウエハ40の測定すべき全てのダイDの測定が終了した場合には、次のステップ(ステップS26)に移る。
【0106】
次のステップにおいては、ステップS24で測定した結果に基づいてマスク32のマスクパターンP1(図4参照)とウエハ40のダイDa、Db、Dc及びDdとのXY方向の位置ずれ量、θ方向の位置ずれ量、及び、マスク32のマスク歪み量を計算する(ステップS26)。
【0107】
このようにマスクパターンP1とウエハ40の各ダイDとの間にXY方向の位置ずれを生じた場合、θ方向の位置ずれを生じた場合、マスク32にマスク歪みを生じた場合について、それぞれ図に従って説明する。図19は、マスクパターンとウエハ40の各ダイDとの間にXY方向の位置ずれを生じた状態を示す概念図であり、図20は、マスクパターンとウエハ40の各ダイDとの間にθ方向の位置ずれを生じた状態を示す概念図であり、図21は、マスクにマスク歪みを生じた状態を示す概念図である。
【0108】
図19〜図21の各図において、ウエハ40の各ダイDの配置は、既述の図18と同一となっている。これに対し、転写されるマスクパターンは太い実線で重ねて表示されている。
【0109】
図19においては、転写されるマスクパターンが各ダイDに対してXY方向の位置ずれを生じた状態を示しているが、この太い実線のマスクパターンTは以下のようにして算出される。既述したように、グローバル計測においては、ウエハ40の全21個のダイDのうち、図18において塗り潰した4個のダイDの測定のみであり、この4個のダイDに対するマスクパターンのXY方向の位置ずれ量が求まる。この4個のマスクパターンのXY方向の位置ずれ量を基にして、θ方向の位置ずれ量及びマスクのマスク歪みがないものと仮定した上で、他の17個のダイDに対応するマスクパターンの転写位置を算出する。そして、全21個のダイDに対応する位置ずれとして太い実線Tで表示する。
【0110】
図20においては、転写されるマスクパターンが各ダイDに対してθ方向の位置ずれを生じた状態を示しているが、この太い実線のマスクパターンTは以下のようにして算出される。既述したように、グローバル計測においては、ウエハ40の全21個のダイDのうち、図18において塗り潰した4個のダイDの測定のみであり、この4個のダイDに対するマスクパターンのθ方向の位置ずれ量が求まる。この4個のマスクパターンのθ方向の位置ずれ量を基にして、XY方向の位置ずれ量及びマスクのマスク歪みがないものと仮定した上で、他の17個のダイDに対応するマスクパターンの転写位置を算出する。そして、全21個のダイDに対応する位置ずれとして太い実線Tで表示する。
【0111】
図21においては、マスクにマスク歪みを生じ、マスクの拡大倍率が異なることとなり、転写されるマスクパターンが各ダイDに対して放射状に位置ずれを生じた状態を示している。すなわち、中心部のダイDC においては、ダイDC と転写されるマスクパターンとが一致しているが、他のダイDにおいては、ダイDに対し転写されるマスクパターンが外径方向に放射状に位置ずれしている。この太い実線のマスクパターンTは以下のようにして算出される。
【0112】
既述したように、グローバル計測においては、ウエハ40の全21個のダイDのうち、図18において塗り潰した4個のダイDの測定のみであり、この4個のダイDに対するマスクパターンの位置ずれ量が求まる。この4個のマスクパターンのXY方向の位置ずれ量より、マスクのマスク歪みが算出される。算出されたマスク歪みを基にして、XY方向の位置ずれ量及びθ方向の位置ずれ量がないものと仮定した上で、他の17個のダイDに対応するマスクパターンの転写位置を算出する。そして、全21個のダイDに対応する位置ずれとして太い実線Tで表示する。
【0113】
ステップS26において、同ステップで算出されたマスクパターンP1(図4参照)とウエハ40の全てのダイDとのXY方向の位置ずれ量、θ方向の位置ずれ量、及び、マスク32のマスク歪み量より、転写の際の各ダイDのXY方向の修正量、θ方向の修正量、及びマスク歪みの修正量を算出する。そして、これにより転写の際に使用するショットマップを作製しておく。
【0114】
なお、このショットマップの作製にあたって、たとえば測定した4個のダイDのうち、1個のダイDに対応するマスク歪み量が他の3個のダイDと大きく異なっているような場合もあるが、この場合には、当該ダイDに対応するマスク歪み量は測定値を使用し、その周縁のダイDに対応するマスク歪み量は他の3個のダイDに対応するマスク歪み量の値も考慮して補間法等により算出する。
【0115】
各ダイDのθ方向のずれ量θは、マスク32に対するウエハ40のθ方向のずれ量θt と、ウエハ40に対する各ダイDのθ方向のずれ量θi との合算値である。
【0116】
ウエハ40に対する各ダイDのθ方向のずれ量θi が無視できるレベルの場合には、本実施の態様のように、4個のダイDの測定を行い、この測定値よりマスク32に対するウエハ40のθ方向のずれ量θt を求め、これより各ダイDのθ方向のずれ量θが得られる。
【0117】
ウエハ40に対する各ダイDのθ方向のずれ量θi が無視できないレベルであり、各ダイD毎にばらついている場合には、たとえば本実施の態様のように、4個のダイDの測定を行い、この測定値よりウエハ40に対する測定したダイDのθ方向のずれ量θを求め、測定を省略したダイDのθ方向のずれ量θは、測定したダイDのずれ量θより補間法で算出すればよい。
【0118】
以上のように、ショットマップの作製にあたっては、個々のダイD単位でのXY方向の修正量、θ方向の修正量、及びマスク歪みの修正量を算出しておく。
【0119】
このショットマップにおける個々のダイD単位でのθ方向の修正量、及びマスク歪みの修正量を図示する。図22は、ショットマップにおけるダイ単位のθ方向の修正量を示す概念図であり、図23は、ショットマップにおけるダイ単位のマスク歪みの修正量を示す概念図である。
【0120】
図22及び図23において、ウエハ40の各ダイDの配置は、既述の図18と同一となっている。これに対し、ダイ単位の修正量Sは太い実線で重ねて表示されている。図22に示されるように、いずれのダイDもθ方向(反時計回り)に修正して転写するが、修正量がダイD毎に異なっている。また、図23に示されるように、ダイDによってはマスクパターンを拡大して転写するものもあれば、ダイDによってはマスクパターンを縮小して転写するものもある。
【0121】
次のステップにおいて、転写を行うべくウエハステージ70を転写位置に移動させる(ステップS28)。この移動に際して、ショットマップにおけるダイ単位のXY方向の修正量が移動量に加算(又は減算)される。
【0122】
次いで、電子ビームによってマスク32に形成されたマスクパターンをウエハ40に転写する(ステップS30)。この転写に際して、ショットマップにおけるダイ単位のθ方向の修正量(図22参照)、及びマスク歪みの修正量(図23参照)が加味される。そして、副偏向器26、28により転写時における電子ビームの入射角度の制御を行う。
【0123】
この電子ビームの入射角度の計算は、既述のように、ウエハ40の各ダイDに対するマスク32のθ方向のずれ補正量と、マスク32のマスク歪みの補正量とよりなる。
【0124】
マスクのマスク歪みの補正については、既述のように、CPU200、デジタル演算回路205、副DAC/AMP210等によりなされる。すなわち、CPU200から供給されるマスクの歪みに応じた補正データに基づいて、デジタル演算回路205は、マスク歪みを補正するように電子ビームのマスクパターンへの入射角度を制御(傾き補正)する。
【0125】
いま、図24に示されるように電子ビーム15のマスク32への入射角度をΨ、マスク32とウエハ44との間隔をGとすると、入射角度Ψによるマスクパターンの転写位置のシフト量δは、次式、
【0126】
【数1】
δ=G・tan Ψ
で表される。図24上ではマスクパターンは、シフト量δだけ当初の位置からずれた位置に転写される。したがって、電子ビームの走査位置に応じて入射角度Ψを変化させることにより、転写位置を変化させることができる。
【0127】
マスク歪みを補正は、たとえば図23に示されるようにマスクパターンを拡大したり、マスクパターンを縮小したりして転写することにより、マスク歪みのない状態でマスクパターンが転写されたのと同じになるように電子ビームの傾き補正を行うことによりなされる。
【0128】
以上のように制御しながら、電子ビームによってマスク32に形成されたマスクパターンをウエハに転写する。
【0129】
続いて、全てのダイの転写が終了したか否かを判別し(ステップS32)、終了していない場合にはステップS28に戻って他のダイの位置合わせを行い、再びマスクパターンの転写を行う。このようにして全てのダイの転写が終了すると、ウエハをアンロードして終了する。
【0130】
以上、本発明に係る荷電粒子ビーム近接露光方法及び装置の実施形態の例について説明したが、本発明は上記実施形態の例に限定されるものではなく、各種の態様が採り得る。
【0131】
たとえば、本実施の形態では、マスクマークMとダイマークDとの位置ずれ量がゼロになるようにマスクステージ又はウエハステージを移動させ、そのときのマスクステージ及びウエハステージの移動位置を測定するようにしたが、これに限らず、マスクマークMとダイマークDとの位置ずれ量を顕微鏡撮像装置の画面上の位置ずれ量から測定するとともに、この測定時におけるマスクステージ及びウエハステージの移動位置を測定し、これらの測定結果に基づいてマスクマークMとダイマークDとの位置ずれ量がゼロになるときのマスクステージ及びウエハステージの移動位置を算出するようにしてもよい。
【0132】
また、本実施の形態では、ウエハ40がウエハパレット44に搭載され、更にウエハパレット44がウエハステージ70(ウエハステージ70の電磁チャック60)に搭載される例について説明したが、これに限らず、本発明はウエハ40を直接ウエハステージ70上の電磁チャック60に吸着させる場合にも適用できる。
【0133】
また、本実施の形態では、マスク32のマスクマークMとウエハ40のダイマークDとの位置ずれ量が測定されているが、これに代えて、マスク32のマスクマークMとウエハパレット44上の少なくとも2つのパレットマークWPの位置を測定する態様であってもよい。この場合には、図5で説明したように予め測定されているパレットマークWPと各ダイマークDMとの位置関係を示すデータと前記式(1)で得られる位置データとに基づいて、位置合せを行えばよい。
【0134】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、顕微鏡撮像装置は、第1のマーク及び第2のマークが設けられている面と直交する方向から各マークを同時に撮像することができるとともに、各マークにそれぞれピントが合った画像信号を得ることができる。そして、顕微鏡撮像装置から同時に得られる第1のマーク及び第2のマークの画像信号に基づいて第1のマークと第2のマークとの相対的な位置ずれ量を測定するようにしている。すなわち、各マークが設けられている面と直交する方向から各マークを撮像することにより、1つの顕微鏡撮像装置によって第1のマークと第2のマークとの二次元の位置ずれ量を測定することができる。
【0135】
また、顕微鏡撮像装置の基準位置(たとえば、顕微鏡の十字マーク)を基準にして第1のマーク及び第2のマークの位置を測定しておらず、顕微鏡撮像装置から同時に得られる第1のマークと第2のマークとの画像信号に基づいて各マーク間の相対的な位置ずれ量を測定するようにしたため、顕微鏡撮像装置の基準位置の変動に影響を受けない位置ずれ量の測定ができる。
【0136】
更に、第1のマークと第2のマークはそれぞれ2箇所に設けられ、それぞれの位置において、顕微鏡撮像装置を配することができる。したがって、顕微鏡撮像装置とウエハ又はマスクとの相対移動の回数が大幅に減少し、その結果、高スループットが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る荷電粒子ビーム近接露光装置のアライメント機構系を含む電子ビーム近接露光装置の全体構成図
【図2】図1に示した電子ビーム近接露光装置の要部縦断面図
【図3】図1に示した電子ビーム近接露光装置の要部上面図
【図4】図1に示した電子ビーム近接露光装置に使用されるマスクの平面図
【図5】ウエハが搭載されたウエハパレットの平面図
【図6】本発明に適用される顕微鏡撮像装置の詳細を示す光学部品配置図
【図7】本発明に適用される顕微鏡撮像装置の他の実施の形態を示す光学部品配置図
【図8】顕微鏡撮像装置によってマスクマークとダイマークとの位置ずれ量を検出する方法を説明するために用いた図
【図9】電子ビーム近接露光装置の制御部の実施の形態を示すブロック図
【図10】本発明に係る荷電粒子ビーム近接露光方法を含む電子ビーム近接露光方法の動作手順を示すフローチャート
【図11】マスクのコースアライメントの詳細手順を示すフローチャート
【図12】マスクのコースアライメントの概要を示す斜視図
【図13】ファインアライメントの詳細手順を示すフローチャート
【図14】ファインアライメントの概要を示す斜視図
【図15】ウエハのコースアライメントの詳細手順を示すフローチャート
【図16】ウエハのコースアライメントの概要を示す斜視図
【図17】グローバル計測の概要を示す斜視図
【図18】ウエハの測定すべきダイの配置を示す平面図
【図19】マスクパターンとウエハの各ダイとの間にXY方向の位置ずれを生じた状態を示す概念図
【図20】マスクパターンとウエハの各ダイとの間にθ方向の位置ずれを生じた状態を示す概念図
【図21】マスクにマスク歪みを生じた状態を示す概念図
【図22】ショットマップにおけるダイ単位のθ方向の修正量を示す概念図
【図23】ショットマップにおけるダイ単位のマスク歪みの修正量を示す概念図
【図24】副偏向器によって電子ビームの転写位置をシフトする様子を示す図
【図25】電子ビーム近接露光装置の基本構成を示す図
【図26】電子ビームによるマスクの走査を説明するために用いた図
【図27】電子ビーム近接露光装置の全体構成図
【符号の説明】
15…電子ビーム、22、24…主偏向器、26、28…副偏向器、32…マスク、40…ウエハ、44…ウエハパレット、70…ウエハステージ、80…マスクステージ、84…顕微鏡ステージ、150、151…顕微鏡撮像装置、110…ランプハウス、120…対物レンズ、123…マスクマーク結像用レンズ、125…ダイマーク結像用レンズ、130、131、145…CCD、200…CPU、203…メモリ、204、206…ステージ駆動回路、LXM、LYM、LXW、LYW…レーザ干渉計、M、M1、M2…マスクマーク、WP、WP1、WP2…パレットマーク、D…ダイ、DM…ダイマーク
【発明の属する技術分野】
本発明は荷電粒子ビーム近接露光方法及び装置に係り、特に半導体ウエハに近接配置されたマスクのマスクパターンをウエハ上のレジスト層に等倍転写する荷電粒子ビーム近接露光方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の露光装置として、電子ビーム近接露光装置が提案されている(特許文献1)。
【0003】
図25は上記電子ビーム近接露光装置の基本構成を示す図である。この電子ビーム近接露光装置10は、主として電子ビーム15を発生する電子ビーム源14、電子ビーム15を平行ビームにするレンズ16及び整形アパーチャ18を含む電子銃12と、主偏向器22、24及び副偏向器26、28を含み、電子ビームを光軸に平行に走査する走査手段20と、マスク30とから構成されている。
【0004】
前記マスク30は、表面にレジスト層42が形成されたウエハ40に近接するように(マスク30とウエハ40との隙間が、たとえば50μmとなるように)配置される。この状態で、マスク30に垂直に電子ビームを照射すると、マスク30のマスクパターンを通過した電子ビームがウエハ40上のレジスト層42に照射される。
【0005】
また、走査手段20は、図26に示されるように電子ビーム15がマスク30の全面を走査するように電子ビームを偏向制御する。これにより、マスク30のマスクパターンがウエハ40上のレジスト層42に等倍転写される。
【0006】
この電子ビーム近接露光装置10は、図27に示されるように真空チャンバ50内に設けられている。また、真空チャンバ50内には、ウエハ40を吸着するために静電チャック60と、この静電チャック60に吸着されたウエハ40を水平の直交2軸方向(X方向及びY方向)に移動させるとともに、水平面内で回転させるためのウエハステージ70が設けられている。ウエハステージ70は、マスクパターンの等倍転写が終了するごとにウエハ40を所定量移動させ、これにより1枚のウエハ40に複数のマスクパターンが転写できるようにしている。なお、図27上で、ウエハ40の導通をとるために、ウエハ40の上面に押し当てられた導通ピン81が設けられる。
【0007】
ところで、ウエハはそれぞれマスクパターンの異なる複数のマスクを用いて複数回露光され、これにより集積回路が形成される。そして、各マスクパターンの露光時には、露光するマスクパターンが、既に露光済みのマスクパターンと所定の位置関係になるようにマスクとウエハとを相対的に位置合わせを行う必要がある。
【0008】
一方、従来のマスクとウエハの位置合わせ方法として、斜方検出法が知られている(特許文献2参照)。
【0009】
斜方検出法は、撮影光軸がウエハに近接配置されたマスク面に対して斜めになるように光学系を配置し、ウエハに設けられた位置合わせ用のウエハマークと、マスクに設けられた位置合わせ用のマスクマークとを同時に撮像し、その撮像した画像から各マーク間の位置ずれを検出し、この位置ずれがゼロになるようにマスクとウエハとを位置合わせするようにしている。
【0010】
この斜方検出法は、露光を遮らないように顕微鏡撮像装置を配置することができ、露光中に光学系を退避させる必要がなく、露光中でも各マークを撮像することができるという利点がある。
【0011】
また、この斜方検出法の問題点を解消すべく、後述するマスクとウエハの位置合わせ方法及び装置に関する提案が本出願人によりなされている(特許文献3参照)。
【0012】
【特許文献1】
米国特許第5,831,272 号(日本特許第2951947 号に対応)
【0013】
【特許文献2】
特開平11−243048号公報
【0014】
【特許文献3】
特開2003−37036号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の斜方検出法による位置合わせ方法は、1つの顕微鏡撮像装置によってウエハマークとマスクマークとの一方向(すなわち、X方向及びY方向のうちの一方の方向)の位置ずれ量しか測定することができず、その結果、複数の顕微鏡撮像装置を配設しなけらばならないという問題がある。すなわち、マスクとウエハとのX方向及びY方向の位置合わせを行う場合には2つの顕微鏡撮像装置を配設しなけらばならず、またマスクとウエハとの回転方向の位置決めも行う場合には3つの顕微鏡撮像装置を配設しなければならないという問題がある。
【0016】
このような事情に鑑みて本出願人によりなされたマスクとウエハの位置合わせ方法及び装置に関する提案(特許文献3参照)は、1つの顕微鏡撮像装置によってマスクとウエハとの高精度の位置合わせを実現することができる技術であり、大幅な改善が期待されている。
【0017】
ところが、市場は高精度のみならず、更に高スループットが実現できる装置を求めており、従来になかった高速、高精度の荷電粒子ビーム近接露光装置の上市が期待されている。
【0018】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、高スループット、かつ、マスクとウエハとの高精度の位置合わせを実現することができる荷電粒子ビーム近接露光方法及び装置を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本願請求項1に係る発明は、ウエハにマスクを近接配置し、荷電粒子ビームによって該マスクに形成されたマスクパターンを前記ウエハ上のレジスト層に転写する荷電粒子ビーム近接露光方法において、前記マスクの2箇所に設けられた位置合わせ用の第1のマークと、前記ウエハが搭載されるパレット又は前記ウエハの2箇所に設けられた位置合わせ用の第2のマークとを各マークが設けられた面と直交する方向から略同時に撮像するステップであって、一方の前記第1のマーク及び第2のマークにそれぞれピントを合わせることが可能な2組の結像光学系を有する第1の顕微鏡撮像装置によって同時に撮像するとともに、他方の前記第1のマーク及び第2のマークにそれぞれピントを合わせることが可能な2組の結像光学系を有する第2の顕微鏡撮像装置によって同時に撮像するステップと、前記第1の顕微鏡撮像装置から得られる一方の前記第1のマーク及び第2のマークの画像信号に基づいて一方の前記第1のマークと第2のマークとの相対的な位置ずれ量を測定するとともに、前記第2の顕微鏡撮像装置から得られる他方の前記第1のマーク及び第2のマークの画像信号に基づいて他方の前記第1のマークと第2のマークとの相対的な位置ずれ量を測定するステップと、前記測定した位置ずれ量に基づいて前記マスクとウエハとを相対的に位置合わせするステップと、前記マスクパターンを前記ウエハ上のレジスト層に転写するステップと、を含むことを特徴としている。
【0020】
すなわち、顕微鏡撮像装置は、第1のマーク及び第2のマークが設けられている面と直交する方向から各マークを同時に撮像することができるとともに、各マークにそれぞれピントが合った画像信号を得ることができる。そして、顕微鏡撮像装置から同時に得られる第1のマーク及び第2のマークの画像信号に基づいて第1のマークと第2のマークとの相対的な位置ずれ量を測定するようにしている。すなわち、各マークが設けられている面と直交する方向から各マークを撮像することにより、1つの顕微鏡撮像装置によって第1のマークと第2のマークとの二次元の位置ずれ量を測定することができる。
【0021】
また、顕微鏡撮像装置の基準位置(たとえば、顕微鏡の十字マーク)を基準にして第1のマーク及び第2のマークの位置を測定しておらず、顕微鏡撮像装置から同時に得られる第1のマークと第2のマークとの画像信号に基づいて各マーク間の相対的な位置ずれ量を測定するようにしたため、顕微鏡撮像装置の基準位置の変動に影響を受けない位置ずれ量の測定ができる。
【0022】
更に、第1のマークと第2のマークはそれぞれ2箇所に設けられ、それぞれの位置において、顕微鏡撮像装置を配することができる。したがって、顕微鏡撮像装置とウエハ又はマスクとの相対移動の回数が大幅に減少し、その結果、高スループットが実現できる。
【0023】
なお、荷電粒子ビームとは、電子ビーム、X線等の荷電粒子のビームを指し、半導体製造装置に適用される各種のビームが使用できる。
【0024】
本願請求項2に示されるように、前記位置合わせするステップは、前記測定した位置ずれ量より、XY方向の位置ずれ量がゼロになるように前記マスク及びウエハのうちの一方をXY方向に移動させるステップと、前記測定した位置ずれ量より、θ方向の位置ずれ量及びマスクのマスク歪み量がゼロになるように前記荷電粒子ビームの入射角度を制御するステップと、を有することを特徴としている。
【0025】
すなわち、マーク同士のXY方向のずれ量補正は、XY方向の微動調整によるのが容易である。また、θ方向のずれ量補正、マスクのマスク歪み量補正は、荷電粒子ビーム(電子ビーム等)の入射角度制御によるのが容易である。
【0026】
特に、θ方向のずれ量補正をウエハステージ等の微動調整によって行った場合、マスクとウエハとの相対的な回転が生じ、ウエハ上の異なる位置においては更にθ方向のずれ量補正が必要になり、計算等が煩雑になる。これに対し、θ方向のずれ量補正を電子ビーム等の入射角度制御によって行えば、マスクとウエハとの相対的な回転が生じないので、このような不具合は生じない。
【0027】
本願請求項3に示されるように、前記マスクは転写位置に固定され、前記第1及び第2の顕微鏡撮像装置は、転写するステップ時に前記露光装置における露光領域外に退避し、前記撮像するステップ時に前記第1のマーク及び第2のマークを視野内に入れるべく移動することを特徴としている。
【0028】
すなわち、顕微鏡撮像装置を移動させてマスクの第1のマークとウエハの第2のマークとを視野内に入れ、ここでマスクとウエハとの位置関係を予め測定しておき、その後、転写時には顕微鏡撮像装置を退避させるとともに、測定したマスクとウエハとの位置関係に基づいてウエハの各ダイの位置合わせを行うようにしている。
【0029】
本願請求項4に示されるように、前記マスクに設けられた第1のマークは、前記マスクのX方向の位置を検出するための2箇所に配される第1のマスクマーク及び第2のマスクマークと、前記マスクのY方向の位置を検出するための第3のマスクマークとからなり、前記第1のマスクマーク及び第2のマスクマークは、いずれもY方向を向いた複数本の平行線パターンであり、かつ、前記第1のマスクマーク及び第2のマスクマークはY方向に所定距離離れて対向して設けられ、前記第3のマスクマークは、X方向を向いた複数本の平行線パターンであり、前記ウエハが搭載されるパレット又は前記ウエハに設けられた第2のマークは、前記パレット又はウエハのX方向の位置を検出するための第1のウエハマークと、前記パレット又はウエハのY方向の位置を検出するための第2のウエハマークとからなり、前記第1のウエハマークは、Y方向を向いた複数本の平行線パターンであり、前記第2のウエハマークは、X方向を向いた複数本の平行線パターンであり、これらの第1のウエハマーク及び第2のウエハマークは、前記顕微鏡撮像装置の視野内に前記第1のマーク及び第2のマークが入っているときに、前記第1のマスクマーク、第2のマスクマーク及び第3のマスクマークと対向する位置に配置されることを特徴としている。
【0030】
すなわち、第1のマークは、Y方向を向いた複数本の平行線パターンである第1のマスクマーク及び第2のマスクマークと、X方向を向いた複数本の平行線パターンである第3のマスクマークとの3つからなり、第1のマスクマーク及び第2のマスクマークはY方向に所定距離離れて対向して設けられている。
【0031】
一方、第2のマークは、Y方向を向いた複数本の平行線パターンである第1のウエハマークと、X方向を向いた複数本の平行線パターンである第2のウエハマークとの2つからなる。
【0032】
そして、第1のマスクマークと第2のマスクマークとの間に第1のウエハマークが配されるように位置決めすれば、マスクとウエハとのX方向の位置ずれ量の検出が容易となる。また、第3のマスクマークと第2のウエハマークとが対向して配されるように位置決めすれば、マスクとウエハとのY方向の位置ずれ量の検出が容易となる。
【0033】
本願請求項5に示されるように、前記マスクには、前記パレット又はウエハに設けられた第2のマークを撮像するための開口が形成されていることを特徴としている。
【0034】
すなわち、マスクの膜厚が小さければ、マスクを透過して第2のマークを撮像できるが、マスクに開口が形成されていれば、第2のマークを撮像はより確実に行える。
【0035】
本願請求項6に係る発明は、ウエハにマスクを近接配置し、荷電粒子ビームによって該マスクに形成されたマスクパターンを前記ウエハ上のレジスト層に転写する荷電粒子ビーム近接露光装置において、前記マスクの2箇所に設けられた位置合わせ用の第1のマークと、前記ウエハが搭載されるパレット又は前記ウエハの2箇所に設けられた位置合わせ用の第2のマークとを各マークが設けられた面と直交する方向から同時に撮像する顕微鏡撮像装置であって、前記第1のマーク及び第2のマークにそれぞれピントを合わせることが可能な2組の結像光学系を有する2台の顕微鏡撮像装置と、前記顕微鏡撮像装置から得られる前記第1のマーク及び第2のマークの画像信号に基づいて前記第1のマークと第2のマークとの相対的な位置ずれ量を測定する位置ずれ量測定手段と、前記測定した位置ずれ量に基づいて前記位置ずれ量がゼロになるように前記マスクとウエハとを相対的に位置合わせする手段と、荷電粒子ビームによって前記マスクに形成されたマスクパターンを前記ウエハ上のレジスト層に転写する手段と、を備えたことを特徴としている。
【0036】
本願請求項7に示されるように、前記位置合わせする手段は、前記測定した位置ずれ量より、XY方向の位置ずれ量がゼロになるように前記マスク及びウエハのうちの一方をXY方向に移動させる手段と、前記測定した位置ずれ量より、θ方向の位置ずれ量及びマスクのマスク歪み量がゼロになるように前記荷電粒子ビームの入射角度を制御する手段と、を有することを特徴としている。
【0037】
本願請求項8に示されるように、前記顕微鏡撮像装置は、第1の撮像素子と、第2の撮像素子と、第1のレンズと、前記第1のマークを前記第1のレンズを介して前記第1の撮像素子に結像させるための第2のレンズと、前記第2のマークを前記第1のレンズを介して前記第2の撮像素子に結像させるための第3のレンズと、前記第1のレンズ、第2のレンズ及び第3のレンズのうちの少なくとも2つを独立に移動させるピント調整手段と、前記第1のレンズを介して照明光を出射する照明手段とを有することを特徴としている。
【0038】
顕微鏡撮像装置は、近接配置されるマスクとウエハとの間隔等を変更してもピント調整手段によって第1のマーク及び第2のマークにそれぞれピントを合わせることができ、第1のマークと第2のマークとの相対的な位置ずれ量を精度よく測定することができる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って、本発明に係る荷電粒子ビーム近接露光方法及び装置の好ましい実施の形態について説明する。
【0040】
図1は、本発明に係る荷電粒子ビーム近接露光装置のアライメント機構系を含む電子ビーム近接露光装置の全体構成図であり、図2は、要部縦断面図であり、図3は、要部上面図である。なお、電子ビーム近接露光装置としての主要な構成は、図25乃至図27に示したものと同様のため、同一、類似の構成に関する詳細な説明は省略する。
【0041】
図1、図2及び図3に示されるように、顕微鏡撮像装置150(151)には、ランプハウス110から光ファイバ111、光学系112、及び真空チャンバ50の天板に設けられた窓54、及び光ファイバ113を介して照明光が導かれるようになっている。また、この顕微鏡撮像装置150(151)は、電子光学鏡筒102とマスク32との間に顕微鏡先端の対物レンズ120等が挿入できるように構成されている。
【0042】
この顕微鏡撮像装置150(151)は、移動可能となっており、電子ビーム近接露光装置による転写時に邪魔にならない露光領域外に退避できる。この顕微鏡撮像装置150(151)は、電子ビーム近接露光装置に2つ設けられるが(第1の顕微鏡撮像装置150及び第2の顕微鏡撮像装置151)、同一の仕様であることより、図2及び図3においては1つのみ図示してある。
【0043】
顕微鏡撮像装置150、151とは別に、マスク32及びウエハ40の概略位置決め(コースアライメント)用の顕微鏡がそれぞれ設けられている。すなわち、マスク32のコースアライメント用の顕微鏡152がウエハステージ70に固定されており、ウエハ40のコースアライメント用の顕微鏡154が真空チャンバ50内に固定されている。また、ウエハ40の高さ検出器156がウエハステージ70に固定されており、この高さ検出器156より上方に、マスク32の高さ検出器158がウエハステージ70により支持固定されている。
【0044】
顕微鏡撮像装置150(151)の照明手段を構成するランプハウス110は、真空チャンバ50の外側に配設され、このランプハウス110から出射される照明光は、光ファイバ111、照明用の光学系112、及び真空チャンバ50の天板に設けられた窓54を介して顕微鏡撮像装置150(151)内に導かれるようになっている。
【0045】
マスク32が取り付けられているマスクステージ82は、X方向及びY方向に位置合せが可能な範囲で若干量だけ移動できるようになっている。
【0046】
図4はマスク32の平面図である。このマスク32は、8インチマスクであり、4種類のマスクパターンP1〜P4が形成されている。また、各マスクパターンの左右の位置には、位置合わせ用のマスクマークM(第1のマーク)が形成されており、各マスクパターンとマスクマークMとは一定の関係をもって形成されている。なお、図4上で、M1、M2は、マスクパターンP1の左右の位置に形成されたマスクマークを示している。その他に、後述するコースアライメントの際に使用するコースアライメントマークC1、C2がマスク32の左右方向両端部に設けられている。
【0047】
顕微鏡撮像装置150(151)によってマスクマークM1を観察する場合には、このマスクマークM1が顕微鏡撮像装置150(151)の視野Vに入るように顕微鏡撮像装置150(151)を移動させる。なお、マスクステージ82の位置(x、y)は、レーザ干渉計LXM、LYM(図9参照)によって測定できるようになっている。
【0048】
一方、ウエハ40は、図5に示されるようにウエハパレット44上に図示しない電磁チャックによって吸着固定される。このウエハパレット44は、図27に示したウエハステージ70の電磁チャック60上に搭載され固定される。なお、図27は、ウエハパレット44を使用せずに、ウエハ40が直接電磁チャック60上に搭載されている場合に関して示している。
【0049】
ウエハパレット44には、図5に示されるようにパレットマークWP1、WP2…が設けられている。これらのパレットマークWP1、WP2…は、ウエハ40の上面と面一の位置にマークが形成されている。
【0050】
また、ウエハ40には、各種のマスクパターンの転写等によって複数のダイDが形成されるが、これらのダイDの位置合わせ用のダイマークDM(第2のマーク)がウエハ40上に形成されている。なお、パレットマークWP1、WP2と、各ダイマークDMとの位置関係は、ウエハ40をウエハパレット44に搭載した後、別途測定されデータとして保存されている。したがって、ウエハステージ70上でのパレットマークWP1、WP2の位置が検知できれば、各ダイマークDMの位置は前記パレットマークWP1、WP2と各ダイマークDMとの位置関係から計算で求めることができる。なお、ウエハステージ70の位置(X、Y)は、レーザ干渉計LXW、LYW(図9参照)によって測定できるようになっている。
【0051】
図2及び図3に示した顕微鏡撮像装置150(151)は、マスク32のマスクマークM1とダイマークDM1若しくはパレットマークWP1とを同時に観察し、又は、マスク32のマスクマークM2とダイマークDM2若しくはパレットマークWP2とを同時に観察し、各マーク間の位置ずれ量を測定するもので、マスク面及びウエハパレット面(ウエハ面)と直交する方向から同時に撮像するとともに、高さ(Z方向の位置)が異なる各マークに同時にピントを合わせることが可能な2組の結像光学系を有している。
【0052】
図6は上記顕微鏡撮像装置150(151)の詳細を示す光学部品配置図である。同図に示されるように顕微鏡撮像装置150(151)の結像光学系は、対物レンズ120(第1のレンズ)を共通にして3つの光路に分岐している。すなわち、顕微鏡撮像装置150(151)は、マスクマークMを固体撮像素子(CCD)130に結像させるマスクマーク撮像用光学系と、ダイマークDM若しくはパレットマークWPをCCD131に結像させるダイマーク撮像用光学系と、マスクマークMをCCD132に結像させるオートフォーカス用光学系とを有している。
【0053】
マスクマーク撮像用光学系は、対物レンズ120、ハーフミラー121、122、及びマスクマーク結像用レンズ123(第2のレンズ)から構成され、ダイマーク撮像用光学系は、対物レンズ120、ハーフミラー121、122、124及びダイマーク結像用レンズ125(第3のレンズ)から構成され、オートフォーカス用光学系は、対物レンズ120、ハーフミラー121、122、124及びフォーカス用レンズ126から構成されている。
【0054】
また、顕微鏡撮像装置150(151)は、対物レンズ120、ハーフミラー121、全反射ミラー127、レンズ128、及び光学系112、光ファイバ111からなる照明用光学系と、この照明用光学系を介して照明光を出射するランプハウス110とからなる照明手段を有している。なお、照明光学系内の光学系112は、NA可変絞り112A、レンズ112B、及び視野可変絞り112Cから構成されている。
【0055】
また、対物レンズ120及びダイマーク結像用レンズ125は、それぞれ光軸方向に微小量移動できるようになっており、対物レンズ120をたとえばピエゾ素子によって移動させることによってマスクマークMがCCD130に結像するようにピント調整が行われ、ダイマーク結像用レンズ125を移動させることによってダイマークDM又はパレットマークPMがCCD131に結像するようにピント調整が行われる。
【0056】
すなわち、対物レンズ120は、オートフォーカス用光学系を介してマスクマークMを撮像するCCD132の出力信号のコントラストが最大になるように自動的にレンズ位置が制御される。ここで、オートフォーカス用光学系及びマスクマーク撮像用光学系は、マスクマークMがCCD132に結像されるときにCCD130にも結像されるように予め調整されている。したがって、CCD132にマスクマークMが結像するように対物レンズ120を移動させることにより、CCD130にマスクマークMを結像させることができる。なお、オートフォーカス用光学系は、ピント調整が容易にできるようにマスクマーク撮像用光学系よりも撮影倍率が低くなっている。
【0057】
また、CCD131は、マスク32からたとえば50μm下側に配置されるウエハ40(パレット)が結像するようにダイマーク結像用レンズ125の位置が調整されているが、マスク32とウエハ40との隙間が変更される場合にもダイマークDM又はパレットマークWPが結像できるように、ダイマーク結像用レンズ125は、たとえば超音波モータなどによって光軸方向に微小量移動できるようになっている。
【0058】
なお、この実施の形態では、対物レンズ120とダイマーク結像用レンズ125とがそれぞれピント調整用に光軸方向に移動できるようになっているが、これに限らず、対物レンズ120、マスクマーク結像用レンズ123及びダイマーク結像用レンズ125のうちの少なくとも2つが光軸方向に移動できるように構成すれば、マスクマークM及びダイマークDM又はパレットマークWPにそれぞれピントを合わせることができる。
【0059】
また、この顕微鏡撮像装置150(151)は、瞳位置に図示しない位相差板が着脱できるようになっており、位相差顕微鏡としての機能を備えている。更に、この顕微鏡撮像装置150(151)に適用される照明手段は、落射照明又は臨界照明に手動で切り替えられるように構成されている。
【0060】
また、この実施の形態では、マスクマークMとダイマークDM又はパレットマークWPとがそれぞれ結像される2つのCCD(CCD130、131)を設けるようにしているが、2組の結像光学系の光路をミラーやハーフミラーを介して合流させ、マスクマークMとダイマークDM又はパレットマークWPとを1つのCCDに結像させるようにしてもよい。
【0061】
図7はマスクマークMとダイマークDM又はパレットマークWPとを1つのCCDに結像させる顕微鏡撮像装置150’(151’)の光学部品配置図である。なお、図6と共通する部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0062】
図7に示されるように、この顕微鏡撮像装置150’(151’)のマスクマーク撮像用光学系は、対物レンズ120、ハーフミラー140、141、反射ミラー143、マスクマーク結像用レンズ123、及びハーフミラー144から構成され、ダイマーク撮像用光学系は、対物レンズ120、ハーフミラー140、141、ダイマーク結像用レンズ125、ハーフミラー142、及び144から構成されている。また、オートフォーカス用光学系は、対物レンズ120、ハーフミラー140、141、ダイマーク結像用レンズ125、ハーフミラー142、及びフォーカス用レンズ126から構成されている。
【0063】
上記構成のマスクマーク撮像用光学系及びダイマーク撮像用光学系は、同一のアライメント用CCD145にマスクマークMとダイマークDM又はパレットマークWPとを同時に結像させることができる。
【0064】
次に、マスクマークMとダイマークDM又はパレットマークWPとの位置ずれ量の検出方法について説明する。
【0065】
図8は顕微鏡撮像装置150(151)の視野V内にマスクマークMと、ダイマークDMとを入れた場合に関して示している。マスクマークMは、マスクのX方向の位置を検出するための2箇所に配される第1のマスクマークMX1及び第2のマスクマークMX2と、マスクのY方向の位置を検出するための第3のマスクマークMY とからなる。
【0066】
このうち、第1のマスクマークMX1及び第2のマスクマークMX2は、いずれもY方向を向いた5本の平行線パターンの開口から構成され、また、第1のマスクマークMX1及び第2のマスクマークMX2はY方向に所定距離離れて対向して設けられている。第3のマスクマークMY は、X方向を向いた5本の平行線パターンの開口から構成されている。第3のマスクマークMY のX方向の配置位置は、第1のマスクマークMX1及び第2のマスクマークMX2の右方であり、Y方向の配置位置は、第1のマスクマークMX1及び第2のマスクマークMX2の中間位置である。
【0067】
ダイマークDMは、ウエハのX方向の位置を検出するための第1のウエハマークであるダイマークDMX と、ウエハのY方向の位置を検出するための第2のウエハマークであるダイマークDMY とからなる。このうち、ダイマークDMX は、Y方向を向いた5本の平行線パターンの凸部(又は凹部)から構成され、ダイマークDMY は、X方向を向いた5本の平行線パターンの凸部(又は凹部)から構成されている。
【0068】
これらのダイマークDMX 及びダイマークDMY は、顕微鏡撮像装置150(151)の視野V内に、マスクマークM及びダイマークDMが入っているときに、第1のマスクマークMX1及び第2のマスクマークMX2と対向する位置にダイマークDMX が配され、第3のマスクマークMY と対向する位置にダイマークDMY が配されるような位置に設けられる。
【0069】
すなわち、図8において、ダイマークDMX は、第1のマスクマークMX1及び第2のマスクマークMX2とのY方向の中間に配されており、ダイマークDMY はダイマークDMX をX方向の中間に挟んで第3のマスクマークMY と対向する位置に配されている。
【0070】
また、マスク32には、マスク32の下方に位置するダイマークDMを観察するための矩形の開口33が形成されている。この開口33により、ダイマークDMでの散乱光による像は、マスク32によって減衰することなく撮像されるため、ダイマークDMの像と背景とのコントラストが低下することがない。
【0071】
マスクマークMとダイマークDMとの位置ずれ量を求める場合には、マスクマークMが結像されるCCD130から得られる画像信号を信号処理し、第1のマスクマークMX1及び第2のマスクマークMX2の中心位置とマスクマークMY の中心位置をそれぞれ求める。同様にしてダイマークDMが結像されるCCD131から得られる画像信号を信号処理し、ダイマークDMX の中心位置とダイマークDMY の中心位置をそれぞれ求める。
【0072】
上記のようにして求めたマスクマークMの中心位置を示すCCD130上の画素位置と、ダイマークDMの中心位置を示すCCD131上の画素位置との画素位置の差分に基づいてマスクマークMとダイマークDMとの位置ずれ量を測定する。そして、測定した位置ずれ量がゼロになるように、ウエハステージ70又はマスクステージ82をX方向及びY方向に移動させ、マスクマークMが示す位置とダイマークDMが示す位置とを一致させる。また、転写時において、θ方向の位置ずれ量及びマスクのマスク歪み量がゼロになるように電子ビームの入射角度を制御する。この詳細については後述する。
【0073】
なお、図8は、マスクマークMが示す位置とダイマークDMが示す位置とが一致している場合に関して示している。また、顕微鏡撮像装置150(151)の対物レンズ120が微小量移動すると、撮影倍率が変動するが、図8に示される形状のマスクマークMが示す位置及びダイマークDMが示す位置は、顕微鏡撮像装置150(151)の撮影倍率が変動しても変化量が極めて少ない。
【0074】
図9は電子ビーム近接露光装置の制御部の実施の形態を示すブロック図である。同図において、中央処理装置(CPU)200は、装置全体を統括制御するもので、マスクとウエハとの位置合わせ時の処理、露光時の電子ビームの偏向制御等を行う。顕微鏡撮像装置150及び顕微鏡撮像装置151での撮像によって得られたマスクマークM及びダイマークDMを示す各画像信号は、信号処理回路202に加えられる。信号処理回路202は、入力した各画像信号に基づいてマスクマークMとダイマークDMとの位置ずれ量を算出する。
【0075】
CPU200は、信号処理回路202から入力するX方向及びY方向の位置ずれ量がゼロになるように、ステージ駆動回路204を介してウエハステージ70を移動させ、又はステージ駆動回路206を介してマスクステージ82を移動させる。
【0076】
また、CPU200は、マスクマークMとダイマークDMとが一致したときのウエハステージ70のX方向及びY方向の位置(X、Y)をレーザ干渉計LXW、LYWから取り込み、同様にマスクステージ82のX方向及びY方向の位置(x、y)をレーザ干渉計LXM、LYMから取り込み、メモリ203に記憶させる。また、メモリ203には、図5で説明したようにパレットマークWP1、WP2と、各ダイマークDMとの位置関係を示すデータが保存されている。なお、メモリ203に記憶したウエハステージ70やマスクステージ82の位置等に基づくマスクとウエハとの位置合わせ制御の詳細については後述する。
【0077】
更に、CPU200は、マスクを走査する際の偏向量データとともにマスクの歪みに応じた補正データをデジタル演算回路205に供給し、デジタル演算回路205は偏向量データに基づいてマスクを走査するためのデジタル信号を主DAC/AMP208に出力し、補正データに基づいてマスクの歪みを補正するためのデジタル信号、及びθ方向の位置ずれ量がゼロになるように電子ビームの入射角度を制御するデジタル信号を副DAC/AMP210に出力する。なお、デジタル演算回路205による電子ビームの入射角度制御については後述する。
【0078】
主DAC/AMP208は、入力したデジタル信号をアナログ信号に変換したのち増幅し、これを図25に示される主偏向器22、24に出力する。これにより、電子ビーム15は、光軸と平行な状態を維持したまま、図26に示されるようにマスクの全面を走査するように偏向される。また、副DAC/AMP210は、入力したデジタル信号をアナログ信号に変換したのち増幅し、これを図25に示される副偏向器26、28に出力する。これにより、電子ビーム15のマスクへの入射角度が制御され、マスクが歪んでいてもマスクパターンを正規の位置に転写できるようにしている。
【0079】
その他、コースアライメント用の顕微鏡152及び154からの信号も、信号処理回路202を経由してCPU200へ送られる。
【0080】
図10は本発明に係る荷電粒子ビーム近接露光方法を含む電子ビーム近接露光方法の動作手順を示すフローチャートである。この電子ビーム近接露光方法の動作手順においては、図4に示されるマスク32のマスクパターンP1を転写する例について説明する。
【0081】
まず、マスク32を電子ビーム近接露光装置に搬入し、マスクステージ82にロードする(ステップS10)。次いで、マスク32が水平になるように位置調整(レベリング)を行う(ステップS12)。次いで、マスク32のXY方向の概略位置決め(コースアライメント)を行う(ステップS14)。これについては、別紙により説明する。図11は、マスク32のコースアライメントの詳細手順を示すフローチャートであり、図12は、マスク32のコースアライメントの概要を示す斜視図である。
【0082】
先ず、ウエハステージ70上に固定されたコースアライメント用の顕微鏡152が計測位置に来るように、ウエハステージ70を移動させる(ステップS14A)。図12においては、顕微鏡152がマスク32のコースアライメントマークC2を視野に入れるように位置合せされている。なお、図12において、マスク32の中央には転写領域P(図4におけるP1〜P4)が配されており、転写領域Pの両側にはコースアライメントマークC1及びC2が配されている。
【0083】
次いで、顕微鏡152によってマスク32のコースアライメントマークC2を読み取る(ステップS14B)。そして、マスクステージ82(図2参照)を移動させ、マスク32の他のコースアライメントマークC1が顕微鏡152の視野に入るように位置合せする(ステップS14C)。
【0084】
次いで、顕微鏡152によってマスク32の他のコースアライメントマークC1を読み取り、コースアライメントマークC1及びC2の位置が適当か否か閾値判定を行う(ステップS14D)。具体的には、コースアライメントマークC1とC2とを結ぶ直線がX軸となす角度が所定の角度(閾値)未満であるか否かを判定する。すなわち、ウエハステージ70基準で、マスク32の水平面内での回転量を判定する。
【0085】
判定の結果、所定の角度未満である場合(OK)には、コースアライメントが終了と判断して次工程(ステップS16)へ進み、所定の角度以上である場合(NG)には、コースアライメント不良と判断して、X軸となす角度が小さくなる方向にマスクステージ82をθ方向に回転させ、ステップS14Bに戻って再度コースアライメントマークC1及びC2の読み取りを行う。そして、コースアライメントが終了するまで、このループを繰り返す。
【0086】
図10に戻って、次のステップにおいては、精密位置決め(ファインアライメント)を行う(ステップS16)。これについては、別紙により説明する。図13は、ファインアライメントの詳細手順を示すフローチャートであり、図14は、ファインアライメントの概要を示す斜視図である。
【0087】
先ず、顕微鏡撮像装置150及び151を計測位置に来るように移動させる(ステップS16A)。図14においては、顕微鏡撮像装置150がウエハステージ70上に固定されたウエハパレット44のパレットマークWPを視野に入れるように位置合せされている。なお、この段階では、ウエハ40は、未だウエハパレット44に搭載されていない。
【0088】
次いで、顕微鏡撮像装置150によってウエハパレット44のパレットマークWPを読み取る(ステップS16B)。そして、ウエハステージ70を移動させ、同一のパレットマークWPが顕微鏡撮像装置151の視野に入るように位置合せする(ステップS16C)。
【0089】
次いで、顕微鏡撮像装置151によって同一のパレットマークWPを読み取り、ウエハステージ70上のウエハパレット44の位置が適当か否か閾値判定を行う(ステップS16D)。具体的には、パレットマークWPの移動軌跡である直線と、顕微鏡撮像装置150の対物レンズ120の中心と顕微鏡撮像装置151の対物レンズ120の中心とを結ぶ直線(すなわちX軸)とがなす角度が所定の角度(閾値)未満であるか否かを判定する。すなわち、顕微鏡撮像装置150及び151基準で、ウエハパレット44の水平面内での回転量を判定する。
【0090】
判定の結果、所定の角度未満である場合(OK)には、ファインアライメントが終了と判断して次工程(ステップS18)へ進み、所定の角度以上である場合(NG)には、ファインアライメント不良と判断して、両直線同士のなす角度が小さくなる方向にウエハパレット44をθ方向に回転させ、ステップS16Bに戻って再度パレットマークWPの読み取りを行う。そして、ファインアライメントが終了するまで、このループを繰り返す。
【0091】
図10に戻って、次のステップにおいては、ウエハ40を電子ビーム近接露光装置に搬入し、ウエハパレット44上にロードする(ステップS18)。次いで、ウエハ40が水平になるように位置調整(レベリング)を行う(ステップS20)。次いで、ウエハ40のXY方向の概略位置決め(コースアライメント)を行う(ステップS22)。これについては、別紙により説明する。図15は、ウエハ40のコースアライメントの詳細手順を示すフローチャートであり、図16は、ウエハ40のコースアライメントの概要を示す斜視図である。
【0092】
先ず、ウエハステージ70上方に固定されたコースアライメント用の顕微鏡154が計測位置に来るように、ウエハステージ70を移動させる(ステップS22A)。図16においては、顕微鏡154がウエハパレット44のパレットマークWP1(図5参照)を視野に入れるように位置合せされている。
【0093】
次いで、顕微鏡154によってウエハパレット44のパレットマークWP1を読み取る(ステップS22B)。そして、ウエハステージ70を移動させ、ウエハパレット44の他のパレットマークWP2が顕微鏡154の視野に入るように位置合せする(ステップS22C)。
【0094】
次いで、顕微鏡154によって、ウエハパレット44の他のパレットマークWP2を読み取り、パレットマークWP1及びWP2の位置が適当か否か閾値判定を行う(ステップS22D)。具体的には、パレットマークWP1とWP2とを結ぶ直線がX軸となす角度が所定の角度(閾値)未満であるか否かを判定する。すなわち、装置本体(顕微鏡154)基準で、ウエハパレット44の水平面内での回転量を判定する。
【0095】
判定の結果、所定の角度未満である場合(OK)には、コースアライメントが終了と判断して次工程(ステップS22E)へ進み、所定の角度以上である場合(NG)には、コースアライメント不良と判断して、X軸となす角度が小さくなる方向にウエハパレット44をθ方向に回転させ、ステップS22Bに戻って再度パレットマークWP1及びWP2の読み取りを行う。そして、コースアライメントが終了するまで、このループを繰り返す。
【0096】
ステップS22Eにおいて、レーザ干渉計LXW、LYWの座標位置を保存する。
【0097】
なお、ステップS22においては、ウエハパレット44の両端に位置するパレットマークWP1及びWP2を顕微鏡154により読み取るので、パレットマークWP1とWP2との中間の座標、すなわち、ウエハパレット44の中心CNの座標も求まることとなる。
【0098】
図10に戻って、次のステップにおいては、顕微鏡撮像装置150及び151によりマスク32の2箇所に設けられたマスクマークM(第1のマーク)と、ウエハ40の2箇所に設けられたダイマークDM(第2のマーク)とを同時に撮像する(ステップS24)。以下、このステップをグローバル計測と称呼する。図17は、このグローバル計測の概要を示す斜視図である。このグローバル計測は、ウエハ40の各ダイD1、D2…Dn 単位で行う。
【0099】
グローバル計測において、たとえば、顕微鏡撮像装置150は、視野内のマスクマークM1(図4参照。以下同じ)及びダイマークDM1(図5参照。以下同じ)にそれぞれピントが合うように、また、顕微鏡撮像装置151は、視野内のマスクマークM2及びダイマークDM2にそれぞれピントが合うように、図6で説明したように対物レンズ120やダイマーク結像用レンズ125を移動させる。
【0100】
そして、顕微鏡撮像装置150によりマスクマークM1及びダイマークDM1を測定し、顕微鏡撮像装置151によりマスクマークM2及びダイマークDM2を測定する。
【0101】
ステップS24のグローバル計測において、ウエハ40の測定すべき全てのダイDの測定が終了したか否かを判別し、終了していない場合には、ウエハ40の測定すべき次のダイDを、マスク32のマスクパターンP1の位置に位置合わせを行い、再び各マークのピント合せを行い、マスクマークM及びダイマークDMを測定する。
【0102】
なお、ここで「ウエハ40の測定すべき全てのダイD」としているのは、ウエハ40の全てのダイDの測定をしなくても、転写精度が確保できることが多いからであり、一部のダイDの測定のみとすることにより、スループットが大幅に向上するからである。
【0103】
この場合、測定すべきダイDとしては、たとえば、ウエハ40の対角線上の両隅にある2つのダイD、ウエハ40の対角線上の4隅にある4つのダイD、複数のダイDのうち3つおきのダイD、5つおきのダイD等の態様が考えられる。
【0104】
本実施の態様においては、図18に示されるように、ウエハ40の全21個のダイDのうち、塗り潰した4個のダイDa、Db、Dc及びDdの測定のみとしている。そして、マスクマークM1(図4参照)を基準にしてダイマークDM1(図5参照)を測定し、マスクマークM2を基準にしてダイマークDM2を測定する。
【0105】
ステップS24のグローバル計測において、ウエハ40の測定すべき全てのダイDの測定が終了した場合には、次のステップ(ステップS26)に移る。
【0106】
次のステップにおいては、ステップS24で測定した結果に基づいてマスク32のマスクパターンP1(図4参照)とウエハ40のダイDa、Db、Dc及びDdとのXY方向の位置ずれ量、θ方向の位置ずれ量、及び、マスク32のマスク歪み量を計算する(ステップS26)。
【0107】
このようにマスクパターンP1とウエハ40の各ダイDとの間にXY方向の位置ずれを生じた場合、θ方向の位置ずれを生じた場合、マスク32にマスク歪みを生じた場合について、それぞれ図に従って説明する。図19は、マスクパターンとウエハ40の各ダイDとの間にXY方向の位置ずれを生じた状態を示す概念図であり、図20は、マスクパターンとウエハ40の各ダイDとの間にθ方向の位置ずれを生じた状態を示す概念図であり、図21は、マスクにマスク歪みを生じた状態を示す概念図である。
【0108】
図19〜図21の各図において、ウエハ40の各ダイDの配置は、既述の図18と同一となっている。これに対し、転写されるマスクパターンは太い実線で重ねて表示されている。
【0109】
図19においては、転写されるマスクパターンが各ダイDに対してXY方向の位置ずれを生じた状態を示しているが、この太い実線のマスクパターンTは以下のようにして算出される。既述したように、グローバル計測においては、ウエハ40の全21個のダイDのうち、図18において塗り潰した4個のダイDの測定のみであり、この4個のダイDに対するマスクパターンのXY方向の位置ずれ量が求まる。この4個のマスクパターンのXY方向の位置ずれ量を基にして、θ方向の位置ずれ量及びマスクのマスク歪みがないものと仮定した上で、他の17個のダイDに対応するマスクパターンの転写位置を算出する。そして、全21個のダイDに対応する位置ずれとして太い実線Tで表示する。
【0110】
図20においては、転写されるマスクパターンが各ダイDに対してθ方向の位置ずれを生じた状態を示しているが、この太い実線のマスクパターンTは以下のようにして算出される。既述したように、グローバル計測においては、ウエハ40の全21個のダイDのうち、図18において塗り潰した4個のダイDの測定のみであり、この4個のダイDに対するマスクパターンのθ方向の位置ずれ量が求まる。この4個のマスクパターンのθ方向の位置ずれ量を基にして、XY方向の位置ずれ量及びマスクのマスク歪みがないものと仮定した上で、他の17個のダイDに対応するマスクパターンの転写位置を算出する。そして、全21個のダイDに対応する位置ずれとして太い実線Tで表示する。
【0111】
図21においては、マスクにマスク歪みを生じ、マスクの拡大倍率が異なることとなり、転写されるマスクパターンが各ダイDに対して放射状に位置ずれを生じた状態を示している。すなわち、中心部のダイDC においては、ダイDC と転写されるマスクパターンとが一致しているが、他のダイDにおいては、ダイDに対し転写されるマスクパターンが外径方向に放射状に位置ずれしている。この太い実線のマスクパターンTは以下のようにして算出される。
【0112】
既述したように、グローバル計測においては、ウエハ40の全21個のダイDのうち、図18において塗り潰した4個のダイDの測定のみであり、この4個のダイDに対するマスクパターンの位置ずれ量が求まる。この4個のマスクパターンのXY方向の位置ずれ量より、マスクのマスク歪みが算出される。算出されたマスク歪みを基にして、XY方向の位置ずれ量及びθ方向の位置ずれ量がないものと仮定した上で、他の17個のダイDに対応するマスクパターンの転写位置を算出する。そして、全21個のダイDに対応する位置ずれとして太い実線Tで表示する。
【0113】
ステップS26において、同ステップで算出されたマスクパターンP1(図4参照)とウエハ40の全てのダイDとのXY方向の位置ずれ量、θ方向の位置ずれ量、及び、マスク32のマスク歪み量より、転写の際の各ダイDのXY方向の修正量、θ方向の修正量、及びマスク歪みの修正量を算出する。そして、これにより転写の際に使用するショットマップを作製しておく。
【0114】
なお、このショットマップの作製にあたって、たとえば測定した4個のダイDのうち、1個のダイDに対応するマスク歪み量が他の3個のダイDと大きく異なっているような場合もあるが、この場合には、当該ダイDに対応するマスク歪み量は測定値を使用し、その周縁のダイDに対応するマスク歪み量は他の3個のダイDに対応するマスク歪み量の値も考慮して補間法等により算出する。
【0115】
各ダイDのθ方向のずれ量θは、マスク32に対するウエハ40のθ方向のずれ量θt と、ウエハ40に対する各ダイDのθ方向のずれ量θi との合算値である。
【0116】
ウエハ40に対する各ダイDのθ方向のずれ量θi が無視できるレベルの場合には、本実施の態様のように、4個のダイDの測定を行い、この測定値よりマスク32に対するウエハ40のθ方向のずれ量θt を求め、これより各ダイDのθ方向のずれ量θが得られる。
【0117】
ウエハ40に対する各ダイDのθ方向のずれ量θi が無視できないレベルであり、各ダイD毎にばらついている場合には、たとえば本実施の態様のように、4個のダイDの測定を行い、この測定値よりウエハ40に対する測定したダイDのθ方向のずれ量θを求め、測定を省略したダイDのθ方向のずれ量θは、測定したダイDのずれ量θより補間法で算出すればよい。
【0118】
以上のように、ショットマップの作製にあたっては、個々のダイD単位でのXY方向の修正量、θ方向の修正量、及びマスク歪みの修正量を算出しておく。
【0119】
このショットマップにおける個々のダイD単位でのθ方向の修正量、及びマスク歪みの修正量を図示する。図22は、ショットマップにおけるダイ単位のθ方向の修正量を示す概念図であり、図23は、ショットマップにおけるダイ単位のマスク歪みの修正量を示す概念図である。
【0120】
図22及び図23において、ウエハ40の各ダイDの配置は、既述の図18と同一となっている。これに対し、ダイ単位の修正量Sは太い実線で重ねて表示されている。図22に示されるように、いずれのダイDもθ方向(反時計回り)に修正して転写するが、修正量がダイD毎に異なっている。また、図23に示されるように、ダイDによってはマスクパターンを拡大して転写するものもあれば、ダイDによってはマスクパターンを縮小して転写するものもある。
【0121】
次のステップにおいて、転写を行うべくウエハステージ70を転写位置に移動させる(ステップS28)。この移動に際して、ショットマップにおけるダイ単位のXY方向の修正量が移動量に加算(又は減算)される。
【0122】
次いで、電子ビームによってマスク32に形成されたマスクパターンをウエハ40に転写する(ステップS30)。この転写に際して、ショットマップにおけるダイ単位のθ方向の修正量(図22参照)、及びマスク歪みの修正量(図23参照)が加味される。そして、副偏向器26、28により転写時における電子ビームの入射角度の制御を行う。
【0123】
この電子ビームの入射角度の計算は、既述のように、ウエハ40の各ダイDに対するマスク32のθ方向のずれ補正量と、マスク32のマスク歪みの補正量とよりなる。
【0124】
マスクのマスク歪みの補正については、既述のように、CPU200、デジタル演算回路205、副DAC/AMP210等によりなされる。すなわち、CPU200から供給されるマスクの歪みに応じた補正データに基づいて、デジタル演算回路205は、マスク歪みを補正するように電子ビームのマスクパターンへの入射角度を制御(傾き補正)する。
【0125】
いま、図24に示されるように電子ビーム15のマスク32への入射角度をΨ、マスク32とウエハ44との間隔をGとすると、入射角度Ψによるマスクパターンの転写位置のシフト量δは、次式、
【0126】
【数1】
δ=G・tan Ψ
で表される。図24上ではマスクパターンは、シフト量δだけ当初の位置からずれた位置に転写される。したがって、電子ビームの走査位置に応じて入射角度Ψを変化させることにより、転写位置を変化させることができる。
【0127】
マスク歪みを補正は、たとえば図23に示されるようにマスクパターンを拡大したり、マスクパターンを縮小したりして転写することにより、マスク歪みのない状態でマスクパターンが転写されたのと同じになるように電子ビームの傾き補正を行うことによりなされる。
【0128】
以上のように制御しながら、電子ビームによってマスク32に形成されたマスクパターンをウエハに転写する。
【0129】
続いて、全てのダイの転写が終了したか否かを判別し(ステップS32)、終了していない場合にはステップS28に戻って他のダイの位置合わせを行い、再びマスクパターンの転写を行う。このようにして全てのダイの転写が終了すると、ウエハをアンロードして終了する。
【0130】
以上、本発明に係る荷電粒子ビーム近接露光方法及び装置の実施形態の例について説明したが、本発明は上記実施形態の例に限定されるものではなく、各種の態様が採り得る。
【0131】
たとえば、本実施の形態では、マスクマークMとダイマークDとの位置ずれ量がゼロになるようにマスクステージ又はウエハステージを移動させ、そのときのマスクステージ及びウエハステージの移動位置を測定するようにしたが、これに限らず、マスクマークMとダイマークDとの位置ずれ量を顕微鏡撮像装置の画面上の位置ずれ量から測定するとともに、この測定時におけるマスクステージ及びウエハステージの移動位置を測定し、これらの測定結果に基づいてマスクマークMとダイマークDとの位置ずれ量がゼロになるときのマスクステージ及びウエハステージの移動位置を算出するようにしてもよい。
【0132】
また、本実施の形態では、ウエハ40がウエハパレット44に搭載され、更にウエハパレット44がウエハステージ70(ウエハステージ70の電磁チャック60)に搭載される例について説明したが、これに限らず、本発明はウエハ40を直接ウエハステージ70上の電磁チャック60に吸着させる場合にも適用できる。
【0133】
また、本実施の形態では、マスク32のマスクマークMとウエハ40のダイマークDとの位置ずれ量が測定されているが、これに代えて、マスク32のマスクマークMとウエハパレット44上の少なくとも2つのパレットマークWPの位置を測定する態様であってもよい。この場合には、図5で説明したように予め測定されているパレットマークWPと各ダイマークDMとの位置関係を示すデータと前記式(1)で得られる位置データとに基づいて、位置合せを行えばよい。
【0134】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、顕微鏡撮像装置は、第1のマーク及び第2のマークが設けられている面と直交する方向から各マークを同時に撮像することができるとともに、各マークにそれぞれピントが合った画像信号を得ることができる。そして、顕微鏡撮像装置から同時に得られる第1のマーク及び第2のマークの画像信号に基づいて第1のマークと第2のマークとの相対的な位置ずれ量を測定するようにしている。すなわち、各マークが設けられている面と直交する方向から各マークを撮像することにより、1つの顕微鏡撮像装置によって第1のマークと第2のマークとの二次元の位置ずれ量を測定することができる。
【0135】
また、顕微鏡撮像装置の基準位置(たとえば、顕微鏡の十字マーク)を基準にして第1のマーク及び第2のマークの位置を測定しておらず、顕微鏡撮像装置から同時に得られる第1のマークと第2のマークとの画像信号に基づいて各マーク間の相対的な位置ずれ量を測定するようにしたため、顕微鏡撮像装置の基準位置の変動に影響を受けない位置ずれ量の測定ができる。
【0136】
更に、第1のマークと第2のマークはそれぞれ2箇所に設けられ、それぞれの位置において、顕微鏡撮像装置を配することができる。したがって、顕微鏡撮像装置とウエハ又はマスクとの相対移動の回数が大幅に減少し、その結果、高スループットが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る荷電粒子ビーム近接露光装置のアライメント機構系を含む電子ビーム近接露光装置の全体構成図
【図2】図1に示した電子ビーム近接露光装置の要部縦断面図
【図3】図1に示した電子ビーム近接露光装置の要部上面図
【図4】図1に示した電子ビーム近接露光装置に使用されるマスクの平面図
【図5】ウエハが搭載されたウエハパレットの平面図
【図6】本発明に適用される顕微鏡撮像装置の詳細を示す光学部品配置図
【図7】本発明に適用される顕微鏡撮像装置の他の実施の形態を示す光学部品配置図
【図8】顕微鏡撮像装置によってマスクマークとダイマークとの位置ずれ量を検出する方法を説明するために用いた図
【図9】電子ビーム近接露光装置の制御部の実施の形態を示すブロック図
【図10】本発明に係る荷電粒子ビーム近接露光方法を含む電子ビーム近接露光方法の動作手順を示すフローチャート
【図11】マスクのコースアライメントの詳細手順を示すフローチャート
【図12】マスクのコースアライメントの概要を示す斜視図
【図13】ファインアライメントの詳細手順を示すフローチャート
【図14】ファインアライメントの概要を示す斜視図
【図15】ウエハのコースアライメントの詳細手順を示すフローチャート
【図16】ウエハのコースアライメントの概要を示す斜視図
【図17】グローバル計測の概要を示す斜視図
【図18】ウエハの測定すべきダイの配置を示す平面図
【図19】マスクパターンとウエハの各ダイとの間にXY方向の位置ずれを生じた状態を示す概念図
【図20】マスクパターンとウエハの各ダイとの間にθ方向の位置ずれを生じた状態を示す概念図
【図21】マスクにマスク歪みを生じた状態を示す概念図
【図22】ショットマップにおけるダイ単位のθ方向の修正量を示す概念図
【図23】ショットマップにおけるダイ単位のマスク歪みの修正量を示す概念図
【図24】副偏向器によって電子ビームの転写位置をシフトする様子を示す図
【図25】電子ビーム近接露光装置の基本構成を示す図
【図26】電子ビームによるマスクの走査を説明するために用いた図
【図27】電子ビーム近接露光装置の全体構成図
【符号の説明】
15…電子ビーム、22、24…主偏向器、26、28…副偏向器、32…マスク、40…ウエハ、44…ウエハパレット、70…ウエハステージ、80…マスクステージ、84…顕微鏡ステージ、150、151…顕微鏡撮像装置、110…ランプハウス、120…対物レンズ、123…マスクマーク結像用レンズ、125…ダイマーク結像用レンズ、130、131、145…CCD、200…CPU、203…メモリ、204、206…ステージ駆動回路、LXM、LYM、LXW、LYW…レーザ干渉計、M、M1、M2…マスクマーク、WP、WP1、WP2…パレットマーク、D…ダイ、DM…ダイマーク
Claims (8)
- ウエハにマスクを近接配置し、荷電粒子ビームによって該マスクに形成されたマスクパターンを前記ウエハ上のレジスト層に転写する荷電粒子ビーム近接露光方法において、
前記マスクの2箇所に設けられた位置合わせ用の第1のマークと、前記ウエハが搭載されるパレット又は前記ウエハの2箇所に設けられた位置合わせ用の第2のマークとを各マークが設けられた面と直交する方向から略同時に撮像するステップであって、一方の前記第1のマーク及び第2のマークにそれぞれピントを合わせることが可能な2組の結像光学系を有する第1の顕微鏡撮像装置によって同時に撮像するとともに、他方の前記第1のマーク及び第2のマークにそれぞれピントを合わせることが可能な2組の結像光学系を有する第2の顕微鏡撮像装置によって同時に撮像するステップと、
前記第1の顕微鏡撮像装置から得られる一方の前記第1のマーク及び第2のマークの画像信号に基づいて一方の前記第1のマークと第2のマークとの相対的な位置ずれ量を測定するとともに、前記第2の顕微鏡撮像装置から得られる他方の前記第1のマーク及び第2のマークの画像信号に基づいて他方の前記第1のマークと第2のマークとの相対的な位置ずれ量を測定するステップと、
前記測定した位置ずれ量に基づいて前記マスクとウエハとを相対的に位置合わせするステップと、
前記マスクパターンを前記ウエハ上のレジスト層に転写するステップと、
を含むことを特徴とする荷電粒子ビーム近接露光方法。 - 前記位置合わせするステップは、
前記測定した位置ずれ量より、XY方向の位置ずれ量がゼロになるように前記マスク及びウエハのうちの一方をXY方向に移動させるステップと、
前記測定した位置ずれ量より、θ方向の位置ずれ量及びマスクのマスク歪み量がゼロになるように前記荷電粒子ビームの入射角度を制御するステップと、
を有することを特徴とする請求項1に記載の荷電粒子ビーム近接露光方法。 - 前記マスクは転写位置に固定され、前記第1及び第2の顕微鏡撮像装置は、転写するステップ時に前記露光装置における露光領域外に退避し、前記撮像するステップ時に前記第1のマーク及び第2のマークを視野内に入れるべく移動することを特徴とする請求項1又は2に記載の荷電粒子ビーム近接露光方法。
- 前記マスクに設けられた第1のマークは、前記マスクのX方向の位置を検出するための2箇所に配される第1のマスクマーク及び第2のマスクマークと、前記マスクのY方向の位置を検出するための第3のマスクマークとからなり、
前記第1のマスクマーク及び第2のマスクマークは、いずれもY方向を向いた複数本の平行線パターンであり、かつ、前記第1のマスクマーク及び第2のマスクマークはY方向に所定距離離れて対向して設けられ、前記第3のマスクマークは、X方向を向いた複数本の平行線パターンであり、
前記ウエハが搭載されるパレット又は前記ウエハに設けられた第2のマークは、前記パレット又はウエハのX方向の位置を検出するための第1のウエハマークと、前記パレット又はウエハのY方向の位置を検出するための第2のウエハマークとからなり、前記第1のウエハマークは、Y方向を向いた複数本の平行線パターンであり、前記第2のウエハマークは、X方向を向いた複数本の平行線パターンであり、これらの第1のウエハマーク及び第2のウエハマークは、前記顕微鏡撮像装置の視野内に前記第1のマーク及び第2のマークが入っているときに、前記第1のマスクマーク、第2のマスクマーク及び第3のマスクマークと対向する位置に配置されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の荷電粒子ビーム近接露光方法。 - 前記マスクには、前記パレット又はウエハに設けられた第2のマークを撮像するための開口が形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の荷電粒子ビーム近接露光方法。
- ウエハにマスクを近接配置し、荷電粒子ビームによって該マスクに形成されたマスクパターンを前記ウエハ上のレジスト層に転写する荷電粒子ビーム近接露光装置において、
前記マスクの2箇所に設けられた位置合わせ用の第1のマークと、前記ウエハが搭載されるパレット又は前記ウエハの2箇所に設けられた位置合わせ用の第2のマークとを各マークが設けられた面と直交する方向から同時に撮像する顕微鏡撮像装置であって、前記第1のマーク及び第2のマークにそれぞれピントを合わせることが可能な2組の結像光学系を有する2台の顕微鏡撮像装置と、
前記顕微鏡撮像装置から得られる前記第1のマーク及び第2のマークの画像信号に基づいて前記第1のマークと第2のマークとの相対的な位置ずれ量を測定する位置ずれ量測定手段と、
前記測定した位置ずれ量に基づいて前記位置ずれ量がゼロになるように前記マスクとウエハとを相対的に位置合わせする手段と、
荷電粒子ビームによって前記マスクに形成されたマスクパターンを前記ウエハ上のレジスト層に転写する手段と、
を備えたことを特徴とする荷電粒子ビーム近接露光装置。 - 前記位置合わせする手段は、
前記測定した位置ずれ量より、XY方向の位置ずれ量がゼロになるように前記マスク及びウエハのうちの一方をXY方向に移動させる手段と、
前記測定した位置ずれ量より、θ方向の位置ずれ量及びマスクのマスク歪み量がゼロになるように前記荷電粒子ビームの入射角度を制御する手段と、
を有することを特徴とする請求項6に記載の荷電粒子ビーム近接露光装置。 - 前記顕微鏡撮像装置は、第1の撮像素子と、第2の撮像素子と、第1のレンズと、前記第1のマークを前記第1のレンズを介して前記第1の撮像素子に結像させるための第2のレンズと、前記第2のマークを前記第1のレンズを介して前記第2の撮像素子に結像させるための第3のレンズと、前記第1のレンズ、第2のレンズ及び第3のレンズのうちの少なくとも2つを独立に移動させるピント調整手段と、前記第1のレンズを介して照明光を出射する照明手段とを有することを特徴とする請求項6又は7に記載の荷電粒子ビーム近接露光装置。
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JP2003150686A JP2004356276A (ja) | 2003-05-28 | 2003-05-28 | 荷電粒子ビーム近接露光方法及び装置 |
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Family Applications (1)
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006082714A1 (ja) * | 2005-02-02 | 2006-08-10 | Shimadzu Corporation | 走査ビーム照射装置 |
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2003
- 2003-05-28 JP JP2003150686A patent/JP2004356276A/ja active Pending
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