JP2004146670A - マスクのパターン位置の誤差測定方法及びこれに使用される露光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】マスクのパターン位置の誤差測定を高精度で行う。
【解決手段】露光装置を使用した測定方法である。マスク30に設けられたマークM1と、ウエハ40が搭載されるパレット44に設けられたマークWP1とを、各マークにそれぞれピントを合わせることが可能な2組の結像光学系を有する顕微鏡撮像装置150によって同時に撮像するステップと、得られるマークの画像信号に基づいてマークM1とマークWP1との相対的な位置ずれ量を測定するステップと、パレットを所定距離L移動させるとともに、他の箇所のマークM2と、マークWP1とを同時に撮像するステップと、得られる各マークの画像信号に基づいてマークM2とマークWP1との相対的な位置ずれ量を測定するステップと、パレットの移動距離L及び測定した位置ずれ量に基づいてマスクのパターン位置の誤差を求めるステップと、を含む。
【選択図】 図9
【解決手段】露光装置を使用した測定方法である。マスク30に設けられたマークM1と、ウエハ40が搭載されるパレット44に設けられたマークWP1とを、各マークにそれぞれピントを合わせることが可能な2組の結像光学系を有する顕微鏡撮像装置150によって同時に撮像するステップと、得られるマークの画像信号に基づいてマークM1とマークWP1との相対的な位置ずれ量を測定するステップと、パレットを所定距離L移動させるとともに、他の箇所のマークM2と、マークWP1とを同時に撮像するステップと、得られる各マークの画像信号に基づいてマークM2とマークWP1との相対的な位置ずれ量を測定するステップと、パレットの移動距離L及び測定した位置ずれ量に基づいてマスクのパターン位置の誤差を求めるステップと、を含む。
【選択図】 図9
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はマスクのパターン位置の誤差測定方法及びこれに使用される露光装置に係り、特に半導体ウエハに近接配置されたマスクのマスクパターンをウエハ上のレジスト層に等倍転写する露光装置におけるマスクのパターン位置の誤差測定方法及びこれに使用される露光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の位置合わせ装置が適用される露光装置として、電子ビーム近接露光装置が提案されている(特許文献1等。)。
【0003】
図10は上記電子ビーム近接露光装置の基本構成を示す図である。この電子ビーム近接露光装置10は、主として電子ビーム15を発生する電子ビーム源14、電子ビーム15を平行ビームにするレンズ16及び整形アパーチャ18を含む電子銃12と、主偏向器22、24及び副偏向器26、28を含み、電子ビームを光軸に平行に走査する走査手段20と、マスク30とから構成されている。
【0004】
マスク30は、表面にレジスト層42が形成されたウエハ40に近接するように(マスク30とウエハ40との隙間が、たとえば50μmとなるように)配置される。この状態で、マスク30に垂直に電子ビームを照射すると、マスク30のマスクパターンを通過した電子ビームがウエハ40上のレジスト層42に照射される。
【0005】
また、走査手段20は、図11に示されるように電子ビーム15がマスク30の全面を走査するように電子ビームを偏向制御する。これにより、マスク30のマスクパターンがウエハ40上のレジスト層42に等倍転写される。
【0006】
この電子ビーム近接露光装置10は、図12に示されるように真空チャンバ50内に設けられている。また、真空チャンバ50内には、ウエハ40を吸着するために静電チャック60と、この静電チャック60に吸着されたウエハ40を水平の直交2軸方向(X方向及びY方向)に移動させるとともに、水平面内で回転させるためのウエハステージ70が設けられている。ウエハステージ70は、マスクパターンの等倍転写が終了するごとにウエハ40を所定量移動させ、これにより1枚のウエハ40に複数のマスクパターンが転写できるようにしている。なお、80は、マスク30をX方向及びY方向に移動させることができるマスクステージである。
【0007】
ところで、ウエハはそれぞれマスクパターンの異なる複数のマスクを用いて複数回露光され、これにより集積回路が形成される。そして、各マスクパターンの露光時には、露光するマスクパターンが、既に露光済みのマスクパターンと所定の位置関係になるようにマスクとウエハとを相対的に位置合わせを行う必要がある。
【0008】
従来のこの種のマスクは、図13に示されるような断面形状をなしている。すなわち、パターン部30Cとなるメンブレン層32Aは、SiC、ダイヤモンド、Si等の薄膜で形成されており、このメンブレン層32Aの厚さは0.3〜1μmが一般的である。そして、このメンブレン層32Aの片面の周縁部を支持層30Bにより支持している構造となっている。
【0009】
このマスク30のパターン部30Cのパターン位置の誤差測定方法としては、顕微鏡と精密測定ステージとを組み合わせた装置により行われるのが一般的であった。この種の測定装置としては、ライカ社製の装置、商品名:IPRO、ニコン社製の装置、商品名:光波座標測定器、等が一般的である。
【0010】
【特許文献1】
米国特許第5831272号(日本特許第2951947号に対応)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のマスクのパターン位置の誤差測定方法には、以下に指摘されるような問題点があり、測定結果が生かしきれていなかった。
【0012】
(a)重力の影響で、メンブレン層に歪を生じる。すなわち、メンブレン層の厚さは非常に小さく、自重による撓みを生じやすい。一方、従来の誤差測定方法では、図13に示される姿勢で測定がなされる。これに対し、実際の使用時には、図14に示されるように、測定時と反転された姿勢で、支持層30Bが静電チャック62に吸着される。したがって、測定時と実際の使用時とでメンブレン層30Aの歪状態が異なる。
【0013】
(b)マスクを静電チャックに吸着すると歪状態が変化する。すなわち、測定時には、マスク30は測定装置の測定ステージ上に静置(拘束なしで)されるのが一般的である。これに対し、実際の使用時には、支持層30Bが静電チャック62に吸着される。したがって、静電チャック62の吸着面の加工精度、静電チャック62の吸着力等の影響により、測定時と実際の使用時とでメンブレン層30Aの歪状態が異なる。
【0014】
(c)環境の影響で歪状態が変化する。特に雰囲気温度の差で歪状態が変化する。すなわち、測定時には、測定室は恒温状態が保たれているのが一般的である。これに対し、実際の使用時には、チャンバ内の雰囲気状態が必ずしも測定室の雰囲気状態と同一にはならない。その結果、マスク30の熱膨張係数と温度差により、歪状態が異なることとなる。
【0015】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、マスクのパターン位置の誤差測定が高精度で行える、マスクのパターン位置の誤差測定方法及びこれに使用される露光装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明は、ウエハにマスクを近接配置し、該マスクに形成されたマスクパターンを前記ウエハ上のレジスト層に転写する露光装置を使用したマスクのパターン位置の誤差測定方法であって、前記マスクの2以上の箇所に設けられた位置合わせ用の第1のマークのうちの1箇所の前記第1のマークと、前記ウエハが搭載されるパレット、ウエハステージ又は前記ウエハに設けられた位置合わせ用の第2のマークとを、各マークが設けられた面と直交する方向から同時に撮像するステップであって、前記第1のマーク及び前記第2のマークにそれぞれピントを合わせることが可能な2組の結像光学系を有する顕微鏡撮像装置によって同時に撮像するステップと、前記顕微鏡撮像装置から得られる前記1箇所の第1のマーク及び前記第2のマークの画像信号に基づいて前記第1のマークと前記第2のマークとの相対的な位置ずれ量を測定するステップと、前記第2のマークを前記ウエハステージにより所定距離移動させるとともに、前記顕微鏡撮像装置も略同じ距離移動させ、他の箇所の前記第1のマークと、前記第2のマークとを前記顕微鏡撮像装置によって同時に撮像するステップと、前記顕微鏡撮像装置から得られる前記他の箇所の第1のマーク及び第2のマークの画像信号に基づいて前記第1のマークと第2のマークとの相対的な位置ずれ量を測定するステップと、前記パレットの移動距離及び前記測定した位置ずれ量に基づいて前記マスクのパターン位置の誤差を求めるステップと、を含むことを特徴とするマスクのパターン位置の誤差測定方法及びこれに使用される露光装置を提供する。
【0017】
本発明によれば、マスクの実際の使用状態で、パターン位置の誤差測定が行える。したがって、従来問題となっていた、(a)重力の影響、(b)静電チャックへの吸着による歪、(c)環境の影響、の全ての問題が解消でき、マスクのパターン位置の誤差測定が高精度で行える。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に従って本発明に係るマスクのパターン位置の誤差測定方法に使用される露光装置の好ましい実施の形態について説明する。図1は本発明に使用されるマスクとウエハの位置合わせ装置の実施の形態のアライメント機構系を含む電子ビーム近接露光装置の要部縦断面図であり、図2は、図1に示した電子ビーム近接露光装置の要部上面図である。なお、電子ビーム近接露光装置としての主要な構成は、図10乃至図12に示したものと同様のため、その詳細な説明は省略する。
【0019】
図1及び図2に示されるように、この電子ビーム近接露光装置には、1つのアライメントユニット(顕微鏡撮像装置)150が、顕微鏡ステージ84によってX方向及びY方向に移動できるようになっている。各図において、102は電子光学鏡筒である。
【0020】
顕微鏡撮像装置150の照明手段を構成するランプハウス110は、真空チャンバ50の外側に配設され、このランプハウス110から出射される照明光は、光ファイバ111、照明用の光学系112、真空チャンバ50の天板に設けられた窓54、及び光ファイバ113を介して顕微鏡撮像装置150内に導かれるようになっている。
【0021】
マスクステージ80に取り付けられたマスク30は移動せず、顕微鏡撮像装置150が顕微鏡ステージ84によってX方向及びY方向に移動できるようになっている。
【0022】
図3はマスク30の平面図である。このマスク30は、8インチマスクであり、4種類のマスクパターンP1〜P4が形成されている。また、各マスクパターンの左右の位置には、位置合わせ用のマスクマークが形成されており、各マスクパターンとマスクマークとは一定の関係をもって形成されている。なお、図3上で、M1、M2は、マスクパターンP1の左右の位置に形成されたマスクマークを示している。
【0023】
顕微鏡撮像装置150によってマスクマークM1を観察する場合には、このマスクマークM1が顕微鏡撮像装置150の視野Vに入るように顕微鏡ステージ84を移動させる。なお、この顕微鏡ステージ84の位置(x、y)は、レーザ干渉計LXM、LYM(図8参照)によって測定できるようになっている。
【0024】
一方、ウエハ40は、図4に示されるようにウエハパレット44上に図示しない電磁チャックによって吸着固定される。このウエハパレット44は、図12に示したウエハステージ70の電磁チャック60上に搭載され固定される。なお、図12は、ウエハパレット44を使用せずに、ウエハ40が直接電磁チャック60上に搭載されている場合に関して示している。
【0025】
ウエハパレット44は、図4に示されるようにパレットマークWP1、WP2が設けられている。これらのパレットマークWP1、WP2は、ウエハ40の上面と面一の位置にマークが形成されている。
【0026】
また、ウエハ40には、各種のマスクパターンの転写等によって複数のダイDが形成されるが、これらのダイDの位置合わせ用のダイマークDMがウエハ40上に形成されている。なお、パレットマークWP1、WP2と、各ダイマークDMとの位置関係は、ウエハ40をウエハパレット44に搭載した後、別途測定されデータとして保存されている。したがって、ウエハステージ70上でのパレットマークWP1、WP2の位置が検知できれば、各ダイマークDMの位置は前記パレットマークWP1、WP2と各ダイマークDMとの位置関係から計算で求めることができる。なお、ウエハステージ70の位置(X、Y)は、レーザ干渉計LXW、LYW(図8参照)によって測定できるようになっている。
【0027】
図1及び図2に示される顕微鏡撮像装置150は、マスク30のマスクマークM1又はM2と、パレットマークWP1又はWP2とを同時に観察し、各マーク間の位置ずれ量を測定するもので、マスク面及びウエハパレット面(ウエハ面)と直交する方向から同時に撮像するとともに、高さ(Z方向の位置)が異なる各マークに、同時にピントを合わせることが可能な2組の結像光学系を有している。
【0028】
図5は上記顕微鏡撮像装置150の詳細を示す光学部品配置図である。同図に示されるように顕微鏡撮像装置150の結像光学系は、対物レンズ120を共通にして3つの光路に分岐している。すなわち、顕微鏡撮像装置150は、マスクマークを固体撮像素子(CCD)130に結像させるマスクマーク撮像用光学系と、パレットマークをCCD131に結像させるパレットマーク撮像用光学系と、マスクマークをCCD132に結像させるオートフォーカス用光学系とを有している。
【0029】
マスクマーク撮像用光学系は、対物レンズ120、ハーフミラー121、122及びマスクマーク結像用リレーレンズ123から構成され、パレットマーク撮像用光学系は、対物レンズ120、ハーフミラー121、122、124及びパレットマーク結像用リレーレンズ125から構成され、オートフォーカス用光学系は、対物レンズ120、ハーフミラー121、122、124及びフォーカス用レンズ126から構成されている。
【0030】
顕微鏡撮像装置150は、対物レンズ120、ハーフミラー121、全反射ミラー127、レンズ128、光ファイバ113、光学系112及び光ファイバ111からなる照明用光学系と、この照明用光学系を介して照明光を出射するランプハウス110とからなる照明手段を有している。照明光学系内の光学系112は、NA可変絞り112A、レンズ112B、及び視野可変絞り112Cから構成されている。
【0031】
対物レンズ120及びパレットマーク結像用リレーレンズ125は、それぞれ光軸方向に微小量移動できるようになっており、対物レンズ120をたとえばピエゾ素子によって移動させることによって、マスクマークがCCD130に結像するようにピント調整が行われ、パレットマーク結像用リレーレンズ125を移動させることによって、パレットマークがCCD131に結像するようにピント調整が行われる。
【0032】
すなわち、対物レンズ120は、オートフォーカス用光学系を介して、マスクマークを撮像するCCD132の出力信号のコントラストが最大になるように、自動的にレンズ位置が制御される。ここで、オートフォーカス用光学系及びマスクマーク撮像用光学系は、マスクマークがCCD132に結像されるときに、CCD130にも結像されるように予め調整されている。したがって、CCD132にマスクマークが結像するように対物レンズ120を移動させることにより、CCD130にマスクマークを結像させることができる。なお、オートフォーカス用光学系は、ピント調整が容易にできるように、マスクマーク撮像用光学系よりも撮影倍率が低くなっている。
【0033】
また、CCD131は、マスク30から、たとえば50μm下側に配置されるウエハ(パレットマーク)が結像するように、パレットマーク結像用リレーレンズ125の位置が調整されているが、マスクとウエハとの隙間が変更される場合にもパレットマークが結像できるように、パレットマーク結像用リレーレンズ125は、たとえば超音波モータなどによって光軸方向に微小量移動できるようになっている。
【0034】
なお、この実施の形態では、対物レンズ120とパレットマーク結像用リレーレンズ125とがそれぞれピント調整用に光軸方向に移動できるようになっているが、これに限らず、対物レンズ120、マスクマーク結像用リレーレンズ123及びパレットマーク結像用リレーレンズ125のうちの少なくとも2つが光軸方向に移動できるように構成すれば、マスクマーク及びパレットマークにそれぞれピントを合わせることができる。
【0035】
また、この顕微鏡撮像装置150は、瞳位置に図示しない位相差板が着脱できるようになっており、位相差顕微鏡としての機能を備えている。更に、この顕微鏡撮像装置150に適用される照明手段は、落射照明又は臨界照明に手動で切り替えられるように構成されている。
【0036】
また、この実施の形態では、マスクマークとパレットマークとがそれぞれ結像される2つのCCD(CCD130、131)を設けるようにしているが、2組の結像光学系の光路をミラーやハーフミラーを介して合流させ、マスクマークとパレットマークとを1つのCCDに結像させるようにしてもよい。
【0037】
図6はマスクマークとパレットマークとを1つのCCDに結像させる顕微鏡撮像装置150’の光学部品配置図である。なお、図5と共通する部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0038】
図6に示されるように、この顕微鏡撮像装置150’のマスクマーク撮像用光学系は、対物レンズ120、ハーフミラー140、141、反射ミラー143、マスクマーク結像用リレーレンズ123、及びハーフミラー144から構成され、パレットマーク撮像用光学系は、対物レンズ120、ハーフミラー140、141、パレットマーク結像用リレーレンズ125、ハーフミラー142、及びハーフミラー144から構成されている。また、オートフォーカス用光学系は、対物レンズ120、ハーフミラー140、141、パレットマーク結像用リレーレンズ125、ハーフミラー142、及びフォーカス用レンズ126から構成されている。
【0039】
上記構成のマスクマーク撮像用光学系及びパレットマーク撮像用光学系は、同一のアライメント用CCD145にマスクマークとパレットマークとを同時に結像させることができる。
【0040】
次に、マスクマークとパレットマークとの位置ずれ量の検出方法について説明する。図7は顕微鏡撮像装置150の視野V内にマスクマークMと、パレットマークWPとを入れた場合に関して示している。マスクマークMは、マスクのX方向の位置を検出するための5×2個の開口からなるマスクマークMX と、マスクのY方向の位置を検出するための5×2個の開口からなるマスクマークMY とから構成されており、パレットマークWPは、ウエハパレットのX方向の位置を検出するための5本の凸部(又は凹部)からなるパレットマークWPX と、ウエハパレットのY方向の位置を検出するための5本の凸部(又は凹部)からなるパレットマークWPY とから構成されている。
【0041】
このマスク30は、マスク30の下方に位置するパレットマークWPを観察できる程度の膜厚(既述のように、0.3〜1μm)に形成されている。したがって、パレットマークWPは実線で表示してある。
【0042】
なお、マスク30には、マスク30の下方に位置するパレットマークWPを観察するためのL字状の開口を形成する構成も採用できる。この構成にすれば、開口により、パレットマークWPでの散乱光による像は、マスク30によって減衰することなく撮像されるため、パレットマークWPの像と背景とのコントラストが低下することがない。
【0043】
マスクマークMとパレットマークWPとの位置ずれ量を求める場合には、マスクマークMが結像されるCCD130から得られる画像信号を信号処理し、マスクマークMX の中心位置とマスクマークMY の中心位置をそれぞれ求める。同様にしてパレットマークWPが結像されるCCD131から得られる画像信号を信号処理し、パレットマークWPX の中心位置とパレットマークWPY の中心位置をそれぞれ求める。
【0044】
上記のようにして求めたマスクマークMの中心位置を示すCCD130上の画素位置と、パレットマークWPの中心位置を示すCCD131上の画素位置との画素位置の差分に基づいてマスクマークMとパレットマークWPとの位置ずれ量を測定する。
【0045】
そして、露光時にマスクとウエハとの位置合わせを行う場合には、測定した位置ずれ量がゼロになるように、ウエハステージ70又はマスクステージ80を移動させ、マスクマークMが示す位置とパレットマークWPが示す位置とを一致させる。
【0046】
一方、本発明に係る、マスクのパターン位置の誤差測定方法を行う際には、測定したマスクマークMとパレットマークWPとの位置ずれ量を、電子ビーム近接露光装置の制御部等に記憶させておく。ただし、本発明においても、最初の測定箇所においては、測定した位置ずれ量がゼロになるように、ウエハステージ70又はマスクステージ80を移動させ、マスクマークMが示す位置とパレットマークWPが示す位置とを一致させる方法を採用してもよい。
【0047】
なお、図7は、マスクマークMが示す位置とパレットマークWPが示す位置とが一致している場合に関して示している。また、顕微鏡撮像装置150の対物レンズ120が微小量移動すると、撮影倍率が変動するが、図7に示される形状のマスクマークMが示す位置及びパレットマークWPが示す位置は、顕微鏡撮像装置150の撮影倍率が変動しても変化量が極めて少ない。
【0048】
図8は電子ビーム近接露光装置の制御部の実施の形態を示すブロック図である。同図において、中央処理装置(CPU)200は、装置全体を統括制御するもので、マスクとウエハとの位置合わせ時の処理、露光時の電子ビームの偏向制御等を行う。顕微鏡撮像装置150での撮像によって得られたマスクマークM及びパレットマークWPを示す各画像信号は、信号処理回路202に加えられる。信号処理回路202は、入力した各画像信号に基づいてマスクマークMとパレットマークWPとの位置ずれ量を算出する。
【0049】
CPU200は、露光時にマスクとウエハの位置合わせを行う場合には、信号処理回路202から入力する位置ずれ量がゼロになるようにステージ駆動回路204を介してウエハステージ70を移動させ、又はステージ駆動回路206を介してマスクステージ80を移動させる。
【0050】
また、CPU200は、マスクマークMとパレットマークWPとが一致したときのウエハステージ70のX方向及びY方向の位置(X、Y)をレーザ干渉計LXW、LYWから取り込み、同様にマスクステージ80のX方向及びY方向の位置(x、y)をレーザ干渉計LXM、LYMから取り込み、メモリ203に記憶させる。メモリ203には、図4で説明したようにパレットマークWP1、WP2と、各ダイマークDMとの位置関係を示すデータが保存されている。
【0051】
露光時にマスクとウエハの位置合わせを行う場合には、メモリ203に記憶したウエハステージ70やマスクステージ80の位置等に基づいてマスクとウエハとの位置合わせ制御がなされる。この詳細については省略する。
【0052】
更に、CPU200は、マスクを走査する際の偏向量データとともにマスクの歪みに応じた補正データをデジタル演算回路205に供給し、デジタル演算回路205は偏向量データに基づいてマスクを走査するためのデジタル信号を主DAC/AMP208に出力し、補正データに基づいてマスクの歪みを補正するためのデジタル信号を副DAC/AMP210に出力する。
【0053】
主DAC/AMP208は、入力したデジタル信号をアナログ信号に変換したのち増幅し、これを図10に示される主偏向器22、24に出力する。これにより、電子ビーム15は、光軸と平行な状態を維持したまま、図11に示されるようにマスクの全面を走査するように偏向される。また、副DAC/AMP210は、入力したデジタル信号をアナログ信号に変換したのち増幅し、これを図10に示す副偏向器26、28に出力する。これにより、電子ビーム15のマスクへの入射角度が制御され、マスクが歪んでいてもマスクパターンを正規の位置に転写できるようにしている。
【0054】
以上で説明した電子ビーム近接露光装置は、既述のように、本来の目的は、マスクとウエハとの位置合わせを行い、ウエハ上のレジスト層の露光を行うものである。ただし、マスクとウエハとの位置合わせ方法を含む電子ビーム近接露光方法の動作手順についての説明は省略する。これについては、本願出願人による発明が別途なされている(特願2001−221270号)。
【0055】
次に、以上で説明した電子ビーム近接露光装置を使用した、マスクのパターン位置の誤差測定方法の動作手順について説明する。図9は、マスクのパターン位置の誤差測定方法の概要を説明する概念図である。
【0056】
まず、マスク30の2以上の箇所に設けられた位置合わせ用の第1のマークであるマスクマークMのうちの1箇所のマスクマークM1と、ウエハ40が搭載されるウエハパレット44に設けられた位置合わせ用の第2のマークであるパレットマークWP1とを顕微鏡撮像装置150によって同時に撮像する。得られたマスクマークM1及びパレットマークWP1の画像信号に基づいて、これらマスクマークM1とパレットマークWP1との相対的な位置ずれ量を算出する(以上、図中の実線部分)。
【0057】
次いで、測定した位置ずれ量がゼロになるように、ウエハステージ70(図12参照)を移動させ、マスクマークM1が示すマークの中心位置とパレットマークWP1が示すマークの中心位置とを一致させる。この際の、ウエハステージ70のX方向及びY方向の位置(X、Y)を検出するレーザ干渉計LXW、LYWのX座標及びY座標を(0、0)に零リセット又は座標系を記憶する。
【0058】
マスクマークM1が示すマークの中心位置とパレットマークWP1が示すマークの中心位置とが完全には一致しない場合もあり得る。この場合には、レーザ干渉計LXW、LYWの座標位置(X0 、Y0 )と、再度顕微鏡撮像装置150により撮影した画像信号に基づいて算出された位置ずれ量(dX0 、dY0 )から、中心位置が一致する座標系(X0 +dX0 、Y0 +dY0 )を算出する。
【0059】
次に、ウエハステージ70を所定距離移動させる(この例では、X方向に距離L)とともに、顕微鏡撮像装置150も略同じ距離移動させ、マスク30の他の箇所のマスクマークM2と、パレットマークWP1とを顕微鏡撮像装置150によって同時に撮像する。得られたマスクマークM2及びパレットマークWP1の画像信号に基づいて、これらマスクマークM2とパレットマークWP1との相対的な位置ずれ量を算出する(以上、図中の想像線部分)。
【0060】
この場合、パレットマークWP1のXY座標は(L、0)であり、マスクマークM2の相対的な位置ずれ量はこれを基準に求まる。したがって、マスクマークM1に対するマスクマークM2のパターン位置の誤差が求まる。
【0061】
マスク30の図示しない他の箇所のマスクマークMについても同様の処理手順を採ることにより、該箇所における、マスクマークM1に対するマスクマークMのパターン位置の誤差が求まる。
【0062】
以上、本発明に係るマスクのパターン位置の誤差測定方法は、所定の既知の位置に配されるパレットマークWP1に対する該箇所近傍のマスクマークMの相対的な位置ずれ量を求め、これにより、マスクマークM1に対する該箇所近傍のマスクマークMのパターン位置の誤差を求める方法であり、ウエハステージ70のX方向及びY方向の位置(X、Y)を検出するレーザ干渉計LXW、LYWの検出精度に依存するものである。
【0063】
このレーザ干渉計LXW、LYWの検出精度は非常に高く、サブnmの精度が得られるものもあり、電子ビーム近接露光装置に使用されるマスクのパターン位置の誤差測定方法にも好適に使用できるものである。
【0064】
本発明に係るマスクのパターン位置の誤差測定方法は、露光装置の機上で測定を行うものであることより、露光装置の稼働率の低下となる懸念はあるものの、それを補っても余りあるメリットが期待できるものである。
【0065】
すなわち、従来のパターン位置測定装置を使用し、オフラインでマスクのパターン位置の誤差測定を行う場合、マスクを恒温室に長時間静置した後でないと測定精度が得られず、その測定精度にしても、既述のように(a)〜(c)の各種問題点があり、本発明に対し各種の点で劣る。
【0066】
以上、本発明に係るマスクのパターン位置の誤差測定方法及びこれに使用される露光装置の実施形態の例について説明したが、本発明は上記実施形態の例に限定されるものではなく、各種の態様が採り得る。
【0067】
たとえば、上記実施形態の例では、最初の測定箇所において、位置ずれ量がゼロになるように、ウエハステージ70を移動させ、マスクマークM1が示すマークの中心位置とパレットマークWP1が示すマークの中心位置とを一致させたが、このような操作を行わず、位置ずれ量を記憶させて(たとえば、X座標及びY座標で(X0 、Y0 )とする)、これを基準に以降の測定箇所において、位置ずれ量を算出してもよい。
【0068】
また、上記実施形態の例では、マスクステージ80に取り付けられたマスク30は移動せず、顕微鏡撮像装置150及びウエハステージ70がX方向及びY方向に移動できるようになっているが、ウエハステージは移動せず、マスクステージがX方向及びY方向に移動できるようになっている態様であってもよい。この場合でも、ウエハステージとマスクステージとの相対移動ができることより、本発明の技術的思想と均等範囲にあると言える。
【0069】
また、この実施の形態では、ウエハ40がウエハパレット44に搭載され、更にウエハパレット44がウエハステージ70(ウエハステージ70の電磁チャック60)に搭載される例について説明したが、これに限らず、本発明はウエハ40を直接ウエハステージ70上の電磁チャック60に吸着させる場合にも適用できる。この場合には、ウエハパレット44のパレットマークWP1、WP2の位置を測定する代わりに、ウエハ40上のダイマークDM(図9参照)の位置を測定する。
【0070】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、マスクの実際の使用状態で、パターン位置の誤差測定が行える。したがって、従来問題となっていた、(a)重力の影響、(b)静電チャックへの吸着による歪、(c)環境の影響、の全ての問題が解消でき、マスクのパターン位置の誤差測定が高精度で行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用されるマスクとウエハの位置合わせ装置の実施の形態のアライメント機構系を含む電子ビーム近接露光装置の要部縦断面図
【図2】図1に示した電子ビーム近接露光装置の要部上面図
【図3】図1に示した電子ビーム近接露光装置に使用されるマスクの平面図
【図4】ウエハが搭載されたウエハパレットの平面図
【図5】顕微鏡撮像装置の詳細を示す光学部品配置図
【図6】顕微鏡撮像装置の他の実施の形態を示す光学部品配置図
【図7】顕微鏡撮像装置によってマスクマークとパレットマークとの位置ずれ量を検出する方法を説明するために用いた図
【図8】電子ビーム近接露光装置の制御部の実施の形態を示すブロック図
【図9】本発明に係るマスクのパターン位置の誤差測定方法の概要を説明する概念図
【図10】電子ビーム近接露光装置の基本構成を示す図
【図11】電子ビームによるマスクの走査を説明するために用いた図
【図12】電子ビーム近接露光装置の全体構成図
【図13】マスクの構成を示す断面図
【図14】使用時のマスクの構成を示す断面図
【符号の説明】
15…電子ビーム、22、24…主偏向器、26、28…副偏向器、30…マスク、30A…メンブレン層、30B…支持層、30C…パターン部、40…ウエハ、44…ウエハパレット、70…ウエハステージ、80…マスクステージ、84…顕微鏡ステージ、110…ランプハウス、120…対物レンズ、123…マスクマーク結像用リレーレンズ、125…パレットマーク結像用リレーレンズ、130、131、145…CCD、150…顕微鏡撮像装置、200…CPU、203…メモリ、204、206…ステージ駆動回路、LXM、LYM、LXW、LYW…レーザ干渉計、M、M1、M2…マスクマーク、WP、WP1、WP2…パレットマーク、D…ダイ、DM…ダイマーク
【発明の属する技術分野】
本発明はマスクのパターン位置の誤差測定方法及びこれに使用される露光装置に係り、特に半導体ウエハに近接配置されたマスクのマスクパターンをウエハ上のレジスト層に等倍転写する露光装置におけるマスクのパターン位置の誤差測定方法及びこれに使用される露光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の位置合わせ装置が適用される露光装置として、電子ビーム近接露光装置が提案されている(特許文献1等。)。
【0003】
図10は上記電子ビーム近接露光装置の基本構成を示す図である。この電子ビーム近接露光装置10は、主として電子ビーム15を発生する電子ビーム源14、電子ビーム15を平行ビームにするレンズ16及び整形アパーチャ18を含む電子銃12と、主偏向器22、24及び副偏向器26、28を含み、電子ビームを光軸に平行に走査する走査手段20と、マスク30とから構成されている。
【0004】
マスク30は、表面にレジスト層42が形成されたウエハ40に近接するように(マスク30とウエハ40との隙間が、たとえば50μmとなるように)配置される。この状態で、マスク30に垂直に電子ビームを照射すると、マスク30のマスクパターンを通過した電子ビームがウエハ40上のレジスト層42に照射される。
【0005】
また、走査手段20は、図11に示されるように電子ビーム15がマスク30の全面を走査するように電子ビームを偏向制御する。これにより、マスク30のマスクパターンがウエハ40上のレジスト層42に等倍転写される。
【0006】
この電子ビーム近接露光装置10は、図12に示されるように真空チャンバ50内に設けられている。また、真空チャンバ50内には、ウエハ40を吸着するために静電チャック60と、この静電チャック60に吸着されたウエハ40を水平の直交2軸方向(X方向及びY方向)に移動させるとともに、水平面内で回転させるためのウエハステージ70が設けられている。ウエハステージ70は、マスクパターンの等倍転写が終了するごとにウエハ40を所定量移動させ、これにより1枚のウエハ40に複数のマスクパターンが転写できるようにしている。なお、80は、マスク30をX方向及びY方向に移動させることができるマスクステージである。
【0007】
ところで、ウエハはそれぞれマスクパターンの異なる複数のマスクを用いて複数回露光され、これにより集積回路が形成される。そして、各マスクパターンの露光時には、露光するマスクパターンが、既に露光済みのマスクパターンと所定の位置関係になるようにマスクとウエハとを相対的に位置合わせを行う必要がある。
【0008】
従来のこの種のマスクは、図13に示されるような断面形状をなしている。すなわち、パターン部30Cとなるメンブレン層32Aは、SiC、ダイヤモンド、Si等の薄膜で形成されており、このメンブレン層32Aの厚さは0.3〜1μmが一般的である。そして、このメンブレン層32Aの片面の周縁部を支持層30Bにより支持している構造となっている。
【0009】
このマスク30のパターン部30Cのパターン位置の誤差測定方法としては、顕微鏡と精密測定ステージとを組み合わせた装置により行われるのが一般的であった。この種の測定装置としては、ライカ社製の装置、商品名:IPRO、ニコン社製の装置、商品名:光波座標測定器、等が一般的である。
【0010】
【特許文献1】
米国特許第5831272号(日本特許第2951947号に対応)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のマスクのパターン位置の誤差測定方法には、以下に指摘されるような問題点があり、測定結果が生かしきれていなかった。
【0012】
(a)重力の影響で、メンブレン層に歪を生じる。すなわち、メンブレン層の厚さは非常に小さく、自重による撓みを生じやすい。一方、従来の誤差測定方法では、図13に示される姿勢で測定がなされる。これに対し、実際の使用時には、図14に示されるように、測定時と反転された姿勢で、支持層30Bが静電チャック62に吸着される。したがって、測定時と実際の使用時とでメンブレン層30Aの歪状態が異なる。
【0013】
(b)マスクを静電チャックに吸着すると歪状態が変化する。すなわち、測定時には、マスク30は測定装置の測定ステージ上に静置(拘束なしで)されるのが一般的である。これに対し、実際の使用時には、支持層30Bが静電チャック62に吸着される。したがって、静電チャック62の吸着面の加工精度、静電チャック62の吸着力等の影響により、測定時と実際の使用時とでメンブレン層30Aの歪状態が異なる。
【0014】
(c)環境の影響で歪状態が変化する。特に雰囲気温度の差で歪状態が変化する。すなわち、測定時には、測定室は恒温状態が保たれているのが一般的である。これに対し、実際の使用時には、チャンバ内の雰囲気状態が必ずしも測定室の雰囲気状態と同一にはならない。その結果、マスク30の熱膨張係数と温度差により、歪状態が異なることとなる。
【0015】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、マスクのパターン位置の誤差測定が高精度で行える、マスクのパターン位置の誤差測定方法及びこれに使用される露光装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明は、ウエハにマスクを近接配置し、該マスクに形成されたマスクパターンを前記ウエハ上のレジスト層に転写する露光装置を使用したマスクのパターン位置の誤差測定方法であって、前記マスクの2以上の箇所に設けられた位置合わせ用の第1のマークのうちの1箇所の前記第1のマークと、前記ウエハが搭載されるパレット、ウエハステージ又は前記ウエハに設けられた位置合わせ用の第2のマークとを、各マークが設けられた面と直交する方向から同時に撮像するステップであって、前記第1のマーク及び前記第2のマークにそれぞれピントを合わせることが可能な2組の結像光学系を有する顕微鏡撮像装置によって同時に撮像するステップと、前記顕微鏡撮像装置から得られる前記1箇所の第1のマーク及び前記第2のマークの画像信号に基づいて前記第1のマークと前記第2のマークとの相対的な位置ずれ量を測定するステップと、前記第2のマークを前記ウエハステージにより所定距離移動させるとともに、前記顕微鏡撮像装置も略同じ距離移動させ、他の箇所の前記第1のマークと、前記第2のマークとを前記顕微鏡撮像装置によって同時に撮像するステップと、前記顕微鏡撮像装置から得られる前記他の箇所の第1のマーク及び第2のマークの画像信号に基づいて前記第1のマークと第2のマークとの相対的な位置ずれ量を測定するステップと、前記パレットの移動距離及び前記測定した位置ずれ量に基づいて前記マスクのパターン位置の誤差を求めるステップと、を含むことを特徴とするマスクのパターン位置の誤差測定方法及びこれに使用される露光装置を提供する。
【0017】
本発明によれば、マスクの実際の使用状態で、パターン位置の誤差測定が行える。したがって、従来問題となっていた、(a)重力の影響、(b)静電チャックへの吸着による歪、(c)環境の影響、の全ての問題が解消でき、マスクのパターン位置の誤差測定が高精度で行える。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に従って本発明に係るマスクのパターン位置の誤差測定方法に使用される露光装置の好ましい実施の形態について説明する。図1は本発明に使用されるマスクとウエハの位置合わせ装置の実施の形態のアライメント機構系を含む電子ビーム近接露光装置の要部縦断面図であり、図2は、図1に示した電子ビーム近接露光装置の要部上面図である。なお、電子ビーム近接露光装置としての主要な構成は、図10乃至図12に示したものと同様のため、その詳細な説明は省略する。
【0019】
図1及び図2に示されるように、この電子ビーム近接露光装置には、1つのアライメントユニット(顕微鏡撮像装置)150が、顕微鏡ステージ84によってX方向及びY方向に移動できるようになっている。各図において、102は電子光学鏡筒である。
【0020】
顕微鏡撮像装置150の照明手段を構成するランプハウス110は、真空チャンバ50の外側に配設され、このランプハウス110から出射される照明光は、光ファイバ111、照明用の光学系112、真空チャンバ50の天板に設けられた窓54、及び光ファイバ113を介して顕微鏡撮像装置150内に導かれるようになっている。
【0021】
マスクステージ80に取り付けられたマスク30は移動せず、顕微鏡撮像装置150が顕微鏡ステージ84によってX方向及びY方向に移動できるようになっている。
【0022】
図3はマスク30の平面図である。このマスク30は、8インチマスクであり、4種類のマスクパターンP1〜P4が形成されている。また、各マスクパターンの左右の位置には、位置合わせ用のマスクマークが形成されており、各マスクパターンとマスクマークとは一定の関係をもって形成されている。なお、図3上で、M1、M2は、マスクパターンP1の左右の位置に形成されたマスクマークを示している。
【0023】
顕微鏡撮像装置150によってマスクマークM1を観察する場合には、このマスクマークM1が顕微鏡撮像装置150の視野Vに入るように顕微鏡ステージ84を移動させる。なお、この顕微鏡ステージ84の位置(x、y)は、レーザ干渉計LXM、LYM(図8参照)によって測定できるようになっている。
【0024】
一方、ウエハ40は、図4に示されるようにウエハパレット44上に図示しない電磁チャックによって吸着固定される。このウエハパレット44は、図12に示したウエハステージ70の電磁チャック60上に搭載され固定される。なお、図12は、ウエハパレット44を使用せずに、ウエハ40が直接電磁チャック60上に搭載されている場合に関して示している。
【0025】
ウエハパレット44は、図4に示されるようにパレットマークWP1、WP2が設けられている。これらのパレットマークWP1、WP2は、ウエハ40の上面と面一の位置にマークが形成されている。
【0026】
また、ウエハ40には、各種のマスクパターンの転写等によって複数のダイDが形成されるが、これらのダイDの位置合わせ用のダイマークDMがウエハ40上に形成されている。なお、パレットマークWP1、WP2と、各ダイマークDMとの位置関係は、ウエハ40をウエハパレット44に搭載した後、別途測定されデータとして保存されている。したがって、ウエハステージ70上でのパレットマークWP1、WP2の位置が検知できれば、各ダイマークDMの位置は前記パレットマークWP1、WP2と各ダイマークDMとの位置関係から計算で求めることができる。なお、ウエハステージ70の位置(X、Y)は、レーザ干渉計LXW、LYW(図8参照)によって測定できるようになっている。
【0027】
図1及び図2に示される顕微鏡撮像装置150は、マスク30のマスクマークM1又はM2と、パレットマークWP1又はWP2とを同時に観察し、各マーク間の位置ずれ量を測定するもので、マスク面及びウエハパレット面(ウエハ面)と直交する方向から同時に撮像するとともに、高さ(Z方向の位置)が異なる各マークに、同時にピントを合わせることが可能な2組の結像光学系を有している。
【0028】
図5は上記顕微鏡撮像装置150の詳細を示す光学部品配置図である。同図に示されるように顕微鏡撮像装置150の結像光学系は、対物レンズ120を共通にして3つの光路に分岐している。すなわち、顕微鏡撮像装置150は、マスクマークを固体撮像素子(CCD)130に結像させるマスクマーク撮像用光学系と、パレットマークをCCD131に結像させるパレットマーク撮像用光学系と、マスクマークをCCD132に結像させるオートフォーカス用光学系とを有している。
【0029】
マスクマーク撮像用光学系は、対物レンズ120、ハーフミラー121、122及びマスクマーク結像用リレーレンズ123から構成され、パレットマーク撮像用光学系は、対物レンズ120、ハーフミラー121、122、124及びパレットマーク結像用リレーレンズ125から構成され、オートフォーカス用光学系は、対物レンズ120、ハーフミラー121、122、124及びフォーカス用レンズ126から構成されている。
【0030】
顕微鏡撮像装置150は、対物レンズ120、ハーフミラー121、全反射ミラー127、レンズ128、光ファイバ113、光学系112及び光ファイバ111からなる照明用光学系と、この照明用光学系を介して照明光を出射するランプハウス110とからなる照明手段を有している。照明光学系内の光学系112は、NA可変絞り112A、レンズ112B、及び視野可変絞り112Cから構成されている。
【0031】
対物レンズ120及びパレットマーク結像用リレーレンズ125は、それぞれ光軸方向に微小量移動できるようになっており、対物レンズ120をたとえばピエゾ素子によって移動させることによって、マスクマークがCCD130に結像するようにピント調整が行われ、パレットマーク結像用リレーレンズ125を移動させることによって、パレットマークがCCD131に結像するようにピント調整が行われる。
【0032】
すなわち、対物レンズ120は、オートフォーカス用光学系を介して、マスクマークを撮像するCCD132の出力信号のコントラストが最大になるように、自動的にレンズ位置が制御される。ここで、オートフォーカス用光学系及びマスクマーク撮像用光学系は、マスクマークがCCD132に結像されるときに、CCD130にも結像されるように予め調整されている。したがって、CCD132にマスクマークが結像するように対物レンズ120を移動させることにより、CCD130にマスクマークを結像させることができる。なお、オートフォーカス用光学系は、ピント調整が容易にできるように、マスクマーク撮像用光学系よりも撮影倍率が低くなっている。
【0033】
また、CCD131は、マスク30から、たとえば50μm下側に配置されるウエハ(パレットマーク)が結像するように、パレットマーク結像用リレーレンズ125の位置が調整されているが、マスクとウエハとの隙間が変更される場合にもパレットマークが結像できるように、パレットマーク結像用リレーレンズ125は、たとえば超音波モータなどによって光軸方向に微小量移動できるようになっている。
【0034】
なお、この実施の形態では、対物レンズ120とパレットマーク結像用リレーレンズ125とがそれぞれピント調整用に光軸方向に移動できるようになっているが、これに限らず、対物レンズ120、マスクマーク結像用リレーレンズ123及びパレットマーク結像用リレーレンズ125のうちの少なくとも2つが光軸方向に移動できるように構成すれば、マスクマーク及びパレットマークにそれぞれピントを合わせることができる。
【0035】
また、この顕微鏡撮像装置150は、瞳位置に図示しない位相差板が着脱できるようになっており、位相差顕微鏡としての機能を備えている。更に、この顕微鏡撮像装置150に適用される照明手段は、落射照明又は臨界照明に手動で切り替えられるように構成されている。
【0036】
また、この実施の形態では、マスクマークとパレットマークとがそれぞれ結像される2つのCCD(CCD130、131)を設けるようにしているが、2組の結像光学系の光路をミラーやハーフミラーを介して合流させ、マスクマークとパレットマークとを1つのCCDに結像させるようにしてもよい。
【0037】
図6はマスクマークとパレットマークとを1つのCCDに結像させる顕微鏡撮像装置150’の光学部品配置図である。なお、図5と共通する部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0038】
図6に示されるように、この顕微鏡撮像装置150’のマスクマーク撮像用光学系は、対物レンズ120、ハーフミラー140、141、反射ミラー143、マスクマーク結像用リレーレンズ123、及びハーフミラー144から構成され、パレットマーク撮像用光学系は、対物レンズ120、ハーフミラー140、141、パレットマーク結像用リレーレンズ125、ハーフミラー142、及びハーフミラー144から構成されている。また、オートフォーカス用光学系は、対物レンズ120、ハーフミラー140、141、パレットマーク結像用リレーレンズ125、ハーフミラー142、及びフォーカス用レンズ126から構成されている。
【0039】
上記構成のマスクマーク撮像用光学系及びパレットマーク撮像用光学系は、同一のアライメント用CCD145にマスクマークとパレットマークとを同時に結像させることができる。
【0040】
次に、マスクマークとパレットマークとの位置ずれ量の検出方法について説明する。図7は顕微鏡撮像装置150の視野V内にマスクマークMと、パレットマークWPとを入れた場合に関して示している。マスクマークMは、マスクのX方向の位置を検出するための5×2個の開口からなるマスクマークMX と、マスクのY方向の位置を検出するための5×2個の開口からなるマスクマークMY とから構成されており、パレットマークWPは、ウエハパレットのX方向の位置を検出するための5本の凸部(又は凹部)からなるパレットマークWPX と、ウエハパレットのY方向の位置を検出するための5本の凸部(又は凹部)からなるパレットマークWPY とから構成されている。
【0041】
このマスク30は、マスク30の下方に位置するパレットマークWPを観察できる程度の膜厚(既述のように、0.3〜1μm)に形成されている。したがって、パレットマークWPは実線で表示してある。
【0042】
なお、マスク30には、マスク30の下方に位置するパレットマークWPを観察するためのL字状の開口を形成する構成も採用できる。この構成にすれば、開口により、パレットマークWPでの散乱光による像は、マスク30によって減衰することなく撮像されるため、パレットマークWPの像と背景とのコントラストが低下することがない。
【0043】
マスクマークMとパレットマークWPとの位置ずれ量を求める場合には、マスクマークMが結像されるCCD130から得られる画像信号を信号処理し、マスクマークMX の中心位置とマスクマークMY の中心位置をそれぞれ求める。同様にしてパレットマークWPが結像されるCCD131から得られる画像信号を信号処理し、パレットマークWPX の中心位置とパレットマークWPY の中心位置をそれぞれ求める。
【0044】
上記のようにして求めたマスクマークMの中心位置を示すCCD130上の画素位置と、パレットマークWPの中心位置を示すCCD131上の画素位置との画素位置の差分に基づいてマスクマークMとパレットマークWPとの位置ずれ量を測定する。
【0045】
そして、露光時にマスクとウエハとの位置合わせを行う場合には、測定した位置ずれ量がゼロになるように、ウエハステージ70又はマスクステージ80を移動させ、マスクマークMが示す位置とパレットマークWPが示す位置とを一致させる。
【0046】
一方、本発明に係る、マスクのパターン位置の誤差測定方法を行う際には、測定したマスクマークMとパレットマークWPとの位置ずれ量を、電子ビーム近接露光装置の制御部等に記憶させておく。ただし、本発明においても、最初の測定箇所においては、測定した位置ずれ量がゼロになるように、ウエハステージ70又はマスクステージ80を移動させ、マスクマークMが示す位置とパレットマークWPが示す位置とを一致させる方法を採用してもよい。
【0047】
なお、図7は、マスクマークMが示す位置とパレットマークWPが示す位置とが一致している場合に関して示している。また、顕微鏡撮像装置150の対物レンズ120が微小量移動すると、撮影倍率が変動するが、図7に示される形状のマスクマークMが示す位置及びパレットマークWPが示す位置は、顕微鏡撮像装置150の撮影倍率が変動しても変化量が極めて少ない。
【0048】
図8は電子ビーム近接露光装置の制御部の実施の形態を示すブロック図である。同図において、中央処理装置(CPU)200は、装置全体を統括制御するもので、マスクとウエハとの位置合わせ時の処理、露光時の電子ビームの偏向制御等を行う。顕微鏡撮像装置150での撮像によって得られたマスクマークM及びパレットマークWPを示す各画像信号は、信号処理回路202に加えられる。信号処理回路202は、入力した各画像信号に基づいてマスクマークMとパレットマークWPとの位置ずれ量を算出する。
【0049】
CPU200は、露光時にマスクとウエハの位置合わせを行う場合には、信号処理回路202から入力する位置ずれ量がゼロになるようにステージ駆動回路204を介してウエハステージ70を移動させ、又はステージ駆動回路206を介してマスクステージ80を移動させる。
【0050】
また、CPU200は、マスクマークMとパレットマークWPとが一致したときのウエハステージ70のX方向及びY方向の位置(X、Y)をレーザ干渉計LXW、LYWから取り込み、同様にマスクステージ80のX方向及びY方向の位置(x、y)をレーザ干渉計LXM、LYMから取り込み、メモリ203に記憶させる。メモリ203には、図4で説明したようにパレットマークWP1、WP2と、各ダイマークDMとの位置関係を示すデータが保存されている。
【0051】
露光時にマスクとウエハの位置合わせを行う場合には、メモリ203に記憶したウエハステージ70やマスクステージ80の位置等に基づいてマスクとウエハとの位置合わせ制御がなされる。この詳細については省略する。
【0052】
更に、CPU200は、マスクを走査する際の偏向量データとともにマスクの歪みに応じた補正データをデジタル演算回路205に供給し、デジタル演算回路205は偏向量データに基づいてマスクを走査するためのデジタル信号を主DAC/AMP208に出力し、補正データに基づいてマスクの歪みを補正するためのデジタル信号を副DAC/AMP210に出力する。
【0053】
主DAC/AMP208は、入力したデジタル信号をアナログ信号に変換したのち増幅し、これを図10に示される主偏向器22、24に出力する。これにより、電子ビーム15は、光軸と平行な状態を維持したまま、図11に示されるようにマスクの全面を走査するように偏向される。また、副DAC/AMP210は、入力したデジタル信号をアナログ信号に変換したのち増幅し、これを図10に示す副偏向器26、28に出力する。これにより、電子ビーム15のマスクへの入射角度が制御され、マスクが歪んでいてもマスクパターンを正規の位置に転写できるようにしている。
【0054】
以上で説明した電子ビーム近接露光装置は、既述のように、本来の目的は、マスクとウエハとの位置合わせを行い、ウエハ上のレジスト層の露光を行うものである。ただし、マスクとウエハとの位置合わせ方法を含む電子ビーム近接露光方法の動作手順についての説明は省略する。これについては、本願出願人による発明が別途なされている(特願2001−221270号)。
【0055】
次に、以上で説明した電子ビーム近接露光装置を使用した、マスクのパターン位置の誤差測定方法の動作手順について説明する。図9は、マスクのパターン位置の誤差測定方法の概要を説明する概念図である。
【0056】
まず、マスク30の2以上の箇所に設けられた位置合わせ用の第1のマークであるマスクマークMのうちの1箇所のマスクマークM1と、ウエハ40が搭載されるウエハパレット44に設けられた位置合わせ用の第2のマークであるパレットマークWP1とを顕微鏡撮像装置150によって同時に撮像する。得られたマスクマークM1及びパレットマークWP1の画像信号に基づいて、これらマスクマークM1とパレットマークWP1との相対的な位置ずれ量を算出する(以上、図中の実線部分)。
【0057】
次いで、測定した位置ずれ量がゼロになるように、ウエハステージ70(図12参照)を移動させ、マスクマークM1が示すマークの中心位置とパレットマークWP1が示すマークの中心位置とを一致させる。この際の、ウエハステージ70のX方向及びY方向の位置(X、Y)を検出するレーザ干渉計LXW、LYWのX座標及びY座標を(0、0)に零リセット又は座標系を記憶する。
【0058】
マスクマークM1が示すマークの中心位置とパレットマークWP1が示すマークの中心位置とが完全には一致しない場合もあり得る。この場合には、レーザ干渉計LXW、LYWの座標位置(X0 、Y0 )と、再度顕微鏡撮像装置150により撮影した画像信号に基づいて算出された位置ずれ量(dX0 、dY0 )から、中心位置が一致する座標系(X0 +dX0 、Y0 +dY0 )を算出する。
【0059】
次に、ウエハステージ70を所定距離移動させる(この例では、X方向に距離L)とともに、顕微鏡撮像装置150も略同じ距離移動させ、マスク30の他の箇所のマスクマークM2と、パレットマークWP1とを顕微鏡撮像装置150によって同時に撮像する。得られたマスクマークM2及びパレットマークWP1の画像信号に基づいて、これらマスクマークM2とパレットマークWP1との相対的な位置ずれ量を算出する(以上、図中の想像線部分)。
【0060】
この場合、パレットマークWP1のXY座標は(L、0)であり、マスクマークM2の相対的な位置ずれ量はこれを基準に求まる。したがって、マスクマークM1に対するマスクマークM2のパターン位置の誤差が求まる。
【0061】
マスク30の図示しない他の箇所のマスクマークMについても同様の処理手順を採ることにより、該箇所における、マスクマークM1に対するマスクマークMのパターン位置の誤差が求まる。
【0062】
以上、本発明に係るマスクのパターン位置の誤差測定方法は、所定の既知の位置に配されるパレットマークWP1に対する該箇所近傍のマスクマークMの相対的な位置ずれ量を求め、これにより、マスクマークM1に対する該箇所近傍のマスクマークMのパターン位置の誤差を求める方法であり、ウエハステージ70のX方向及びY方向の位置(X、Y)を検出するレーザ干渉計LXW、LYWの検出精度に依存するものである。
【0063】
このレーザ干渉計LXW、LYWの検出精度は非常に高く、サブnmの精度が得られるものもあり、電子ビーム近接露光装置に使用されるマスクのパターン位置の誤差測定方法にも好適に使用できるものである。
【0064】
本発明に係るマスクのパターン位置の誤差測定方法は、露光装置の機上で測定を行うものであることより、露光装置の稼働率の低下となる懸念はあるものの、それを補っても余りあるメリットが期待できるものである。
【0065】
すなわち、従来のパターン位置測定装置を使用し、オフラインでマスクのパターン位置の誤差測定を行う場合、マスクを恒温室に長時間静置した後でないと測定精度が得られず、その測定精度にしても、既述のように(a)〜(c)の各種問題点があり、本発明に対し各種の点で劣る。
【0066】
以上、本発明に係るマスクのパターン位置の誤差測定方法及びこれに使用される露光装置の実施形態の例について説明したが、本発明は上記実施形態の例に限定されるものではなく、各種の態様が採り得る。
【0067】
たとえば、上記実施形態の例では、最初の測定箇所において、位置ずれ量がゼロになるように、ウエハステージ70を移動させ、マスクマークM1が示すマークの中心位置とパレットマークWP1が示すマークの中心位置とを一致させたが、このような操作を行わず、位置ずれ量を記憶させて(たとえば、X座標及びY座標で(X0 、Y0 )とする)、これを基準に以降の測定箇所において、位置ずれ量を算出してもよい。
【0068】
また、上記実施形態の例では、マスクステージ80に取り付けられたマスク30は移動せず、顕微鏡撮像装置150及びウエハステージ70がX方向及びY方向に移動できるようになっているが、ウエハステージは移動せず、マスクステージがX方向及びY方向に移動できるようになっている態様であってもよい。この場合でも、ウエハステージとマスクステージとの相対移動ができることより、本発明の技術的思想と均等範囲にあると言える。
【0069】
また、この実施の形態では、ウエハ40がウエハパレット44に搭載され、更にウエハパレット44がウエハステージ70(ウエハステージ70の電磁チャック60)に搭載される例について説明したが、これに限らず、本発明はウエハ40を直接ウエハステージ70上の電磁チャック60に吸着させる場合にも適用できる。この場合には、ウエハパレット44のパレットマークWP1、WP2の位置を測定する代わりに、ウエハ40上のダイマークDM(図9参照)の位置を測定する。
【0070】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、マスクの実際の使用状態で、パターン位置の誤差測定が行える。したがって、従来問題となっていた、(a)重力の影響、(b)静電チャックへの吸着による歪、(c)環境の影響、の全ての問題が解消でき、マスクのパターン位置の誤差測定が高精度で行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用されるマスクとウエハの位置合わせ装置の実施の形態のアライメント機構系を含む電子ビーム近接露光装置の要部縦断面図
【図2】図1に示した電子ビーム近接露光装置の要部上面図
【図3】図1に示した電子ビーム近接露光装置に使用されるマスクの平面図
【図4】ウエハが搭載されたウエハパレットの平面図
【図5】顕微鏡撮像装置の詳細を示す光学部品配置図
【図6】顕微鏡撮像装置の他の実施の形態を示す光学部品配置図
【図7】顕微鏡撮像装置によってマスクマークとパレットマークとの位置ずれ量を検出する方法を説明するために用いた図
【図8】電子ビーム近接露光装置の制御部の実施の形態を示すブロック図
【図9】本発明に係るマスクのパターン位置の誤差測定方法の概要を説明する概念図
【図10】電子ビーム近接露光装置の基本構成を示す図
【図11】電子ビームによるマスクの走査を説明するために用いた図
【図12】電子ビーム近接露光装置の全体構成図
【図13】マスクの構成を示す断面図
【図14】使用時のマスクの構成を示す断面図
【符号の説明】
15…電子ビーム、22、24…主偏向器、26、28…副偏向器、30…マスク、30A…メンブレン層、30B…支持層、30C…パターン部、40…ウエハ、44…ウエハパレット、70…ウエハステージ、80…マスクステージ、84…顕微鏡ステージ、110…ランプハウス、120…対物レンズ、123…マスクマーク結像用リレーレンズ、125…パレットマーク結像用リレーレンズ、130、131、145…CCD、150…顕微鏡撮像装置、200…CPU、203…メモリ、204、206…ステージ駆動回路、LXM、LYM、LXW、LYW…レーザ干渉計、M、M1、M2…マスクマーク、WP、WP1、WP2…パレットマーク、D…ダイ、DM…ダイマーク
Claims (2)
- ウエハにマスクを近接配置し、該マスクに形成されたマスクパターンを前記ウエハ上のレジスト層に転写する露光装置を使用したマスクのパターン位置の誤差測定方法であって、
前記マスクの2以上の箇所に設けられた位置合わせ用の第1のマークのうちの1箇所の前記第1のマークと、前記ウエハが搭載されるパレット、ウエハステージ又は前記ウエハに設けられた位置合わせ用の第2のマークとを、各マークが設けられた面と直交する方向から同時に撮像するステップであって、前記第1のマーク及び前記第2のマークにそれぞれピントを合わせることが可能な2組の結像光学系を有する顕微鏡撮像装置によって同時に撮像するステップと、
前記顕微鏡撮像装置から得られる前記1箇所の第1のマーク及び前記第2のマークの画像信号に基づいて前記第1のマークと前記第2のマークとの相対的な位置ずれ量を測定するステップと、
前記第2のマークを前記ウエハステージにより所定距離移動させるとともに、前記顕微鏡撮像装置も略同じ距離移動させ、他の箇所の前記第1のマークと、前記第2のマークとを前記顕微鏡撮像装置によって同時に撮像するステップと、
前記顕微鏡撮像装置から得られる前記他の箇所の第1のマーク及び第2のマークの画像信号に基づいて前記第1のマークと第2のマークとの相対的な位置ずれ量を測定するステップと、
前記パレットの移動距離及び前記測定した位置ずれ量に基づいて前記マスクのパターン位置の誤差を求めるステップと、
を含むことを特徴とするマスクのパターン位置の誤差測定方法。 - ウエハにマスクを近接配置し、該マスクに形成されたマスクパターンを前記ウエハ上のレジスト層に転写する露光装置において、
前記マスクに設けられた位置合わせ用の第1のマークと、前記ウエハが搭載されるパレット、ウエハステージ又は前記ウエハに設けられた位置合わせ用の第2のマークとを、各マークが設けられた面と直交する方向から同時に撮像する顕微鏡撮像装置であって、前記第1のマーク及び前記第2のマークにそれぞれピントを合わせることが可能な2組の結像光学系を有する顕微鏡撮像装置と、
前記顕微鏡撮像装置から得られる前記第1のマーク及び前記第2のマークの画像信号に基づいて前記第1のマークと前記第2のマークとの相対的な位置ずれ量を測定する位置ずれ量測定手段と、
前記パレットを所定距離移動させるとともに、該パレットの移動距離を測定する手段と、
前記パレットの移動距離及び前記測定した位置ずれ量に基づいて前記マスクのパターン位置の誤差を求める手段と、
を備えたことを特徴とする露光装置。
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JP2002311170A JP2004146670A (ja) | 2002-10-25 | 2002-10-25 | マスクのパターン位置の誤差測定方法及びこれに使用される露光装置 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2009539109A (ja) * | 2006-06-01 | 2009-11-12 | ケーエルエー−テンカー テクノロジィース コーポレイション | 次数選択されたオーバレイ測定 |
KR101275697B1 (ko) * | 2010-05-25 | 2013-06-14 | 한미반도체 주식회사 | 반도체 자재 정렬방법 |
CN111989763A (zh) * | 2018-04-23 | 2020-11-24 | 东京毅力科创株式会社 | 测定方法和测定装置 |
CN112697792A (zh) * | 2014-12-26 | 2021-04-23 | 希森美康株式会社 | 细胞拍摄装置、细胞拍摄方法及试样池 |
-
2002
- 2002-10-25 JP JP2002311170A patent/JP2004146670A/ja active Pending
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