JP2004355442A - 非接触データキャリア - Google Patents
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Abstract
【課題】耐久性に優れ、かつ、多品種少量生産を安価に実現可能な非接触データキャリアを提供することを課題とする。
【解決手段】絶縁基材11の一方の面に、アンテナコイルを構成する主回路12をアルミニウムエッチングにより形成すると共に、ICチップ13を実装する他方の面に、第1及び第2副回路14,15を銀ペーストのスクリーン印刷により形成する。概ね主回路12の外周側端部12aと第1副回路14の電極部14aとにより第1コンデンサ部16を生成する一方、概ね主回路12の内周側端部12cと第2副回路15の電極部15aとにより第2コンデンサ部17を生成し、これらのコンデンサ部16,17を介して主回路12と両副回路14,15、つまり主回路12とICチップ13とを電気的に接続する。
【選択図】 図1
【解決手段】絶縁基材11の一方の面に、アンテナコイルを構成する主回路12をアルミニウムエッチングにより形成すると共に、ICチップ13を実装する他方の面に、第1及び第2副回路14,15を銀ペーストのスクリーン印刷により形成する。概ね主回路12の外周側端部12aと第1副回路14の電極部14aとにより第1コンデンサ部16を生成する一方、概ね主回路12の内周側端部12cと第2副回路15の電極部15aとにより第2コンデンサ部17を生成し、これらのコンデンサ部16,17を介して主回路12と両副回路14,15、つまり主回路12とICチップ13とを電気的に接続する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に非接触状態で信号の送受が可能な非接触データキャリアに関し、データキャリアの技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
近年、非接触状態で情報の送受信が可能な非接触ICカード、非接触ICタグ、あるいは非接触ラベル等の非接触データキャリア(あるいは、RFID:Radio Frequency Identificationともいう)は、これらを外部機器に近接させることで両者間の信号送受が可能であるという利便性から、各種決済や情報管理等の多岐にわたる分野で利用されている。この非接触データキャリアのうち、例えば非接触ICカードでは、一般に、カード状の絶縁基材に形成されたアンテナコイルと、外部からの情報の書き込み及び読み出しを行うためのICチップとが電気的に接続されている。これにより、アンテナコイルやICチップに内蔵されたコンデンサ等により共振回路が形成され、外部機器との間で、主に磁界を媒体として信号の送受が効率よく行われるようになる。
【0003】
このような非接触ICカードとして、例えば、特許文献1に記載のものがある。この非接触ICカードでは、絶縁基材の一方の面にアンテナコイルが形成され、アンテナコイルの外周側及び内周側端部の近傍に、アンテナコイルの一部分を跨ぐようにストリップ状の絶縁層が設けられている。そして、該絶縁層上に、アンテナコイルの内周側端部に連結すると共に外周側端部方向に延びる延長回路が設けられており、ICチップは、該延長回路端部と上記外周側端部とを介して接続されている。その場合、アンテナコイル及び延長回路は、導電性インクの印刷により形成される一方、絶縁層は、絶縁性インクの印刷により形成される。
【0004】
これにより、アンテナコイルの両端部間の間隔が小型化傾向にあるICチップの寸法に比較して広い場合等においても、短絡を生じさせることなく、アンテナコイルとICチップとを良好に接続することが可能となる。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−345301号公報(第4頁、図6)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記特許文献1に記載の非接触ICカードでは、アンテナコイルを形成したのちに、その一部分を跨ぐ絶縁層を絶縁性インクの印刷により形成する工程や、該絶縁層上に延長回路を導電性インクの印刷により形成する工程が必要となり、非接触ICカードの製造工程が複雑化するという問題がある。
【0007】
この問題を解消する方法の1つとして、上記絶縁層の形成を省略することが考えられる。例えば主回路であるアンテナコイルが形成された面と絶縁基材を挟んで反対側の面に一対の副回路を設け、該副回路にICチップを接続すると共に、各副回路をそれぞれ主回路の外周側及び内周側端部と対向させ、絶縁基材を挟んでカシメ加工する方法がある。しかしながら、このカシメ加工は、比較的簡便にアンテナコイルと副回路、つまりアンテナコイルとICチップとの電気的接続を提供する反面、絶縁基材を穿孔するから、該絶縁基材の機械的強度を損なうことになり、その結果、非接触ICカードの耐久性に問題が生じることがある。
【0008】
また、上記特許文献1に記載の非接触ICカードでは、主回路であるアンテナコイルの形成に導電性インクの印刷が適用されている。例えば、汎用性のある銀ペーストの印刷は、仕様変更に柔軟に対応可能であるから多品種少量生産には好ましいものの、一方で銀ペーストは高価な材料であるため、多品種少量生産を安価に実現することはできないという、別なる問題が生じることがある。しかも、銀ペーストのような導電性樹脂材料は、銀粒子以外に接着性を付与するための各種樹脂材料を含有するので、銅やアルミニウムに比較して高抵抗であり、アンテナコイルに対して特段の低抵抗化が要求される場合には不向きである。
【0009】
そして、上記副回路は、アンテナコイルの両端部にICチップを接続するための単なる導線として機能するのみであって、共振回路の電気定数の変更を通して、種々開発されるICチップの仕様に対応させることまではできない。すなわち、非接触ICカード等の非接触データキャリアに用いられる周波数は13.56MHzが世界的な主流となってきているが、上記共振回路の場合、各種ICチップの仕様、つまり特に静電容量に応じて、アンテナコイルのインダクタンスを変更することにより、所定の共振周波数を達成することが容易にはできないという問題がある。
【0010】
そこで、本発明は、以上の現状に鑑み、耐久性に優れ、かつ、多品種少量生産を安価に実現可能な非接触データキャリアを提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は次のように構成したことを特徴とする。
【0012】
まず、請求項1に記載の発明は、絶縁性を有する基材と、該基材に形成されてアンテナコイルを構成する主回路と、外部からの情報の書き込み及び読み出しを行うためのICチップとを有し、非接触状態で信号の送受が可能な非接触データキャリアに関するもので、上記基材の主回路形成面と反対側の面に、ICチップが接続された一対の副回路が形成されていると共に、主回路の両端部と各副回路とが上記基材を挟んで対向配置されてコンデンサ部が生成されており、これらのコンデンサ部を介して主回路と副回路とが接続されていることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、主回路と副回路とを基材の各面にそれぞれ設けたから、比較的複雑かつ形成が面倒な構成の主回路を各種仕様に拘わらず共有的に用いることが可能となると共に、上記基材の主回路形成面とは反対側の面に、比較的単純かつ形成し易い構成の副回路を各種仕様に応じて柔軟に取り揃えることができる。
【0014】
そして、例えば、副回路の面積を変更することによりコンデンサ部の静電容量が変更され、ICチップから見て、共振回路の等価的なインダクタンスを変更することができる。
【0015】
したがって、各種仕様、特に各種静電容量のICチップに応じて共振周波数を容易に所定値に設計することができるため、各種仕様に容易に適合する、つまり多品種少量生産を安価に実現する非接触データキャリアが得られるようになる。
【0016】
また、共振回路の共振周波数の微調整が可能となり、量産時に共振周波数のばらつきがあっても、このばらつきを解消するように調整することができるメリットがある。
【0017】
そして、主回路と各副回路との電気的接続は、主回路の両端部と各副回路により生成されたコンデンサ部を介して達成される。その場合の接続構造は、例えばカシメ構造のように基材の機械的強度を損なうものではないから、折り曲げ等に対する耐久性に優れた非接触データキャリアが実現される。
【0018】
次に、請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の非接触データキャリアにおいて、主回路は、アルミニウムエッチングにより形成されていることを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、各種仕様に拘わらず共有的に用いられる主回路を、一般に大量生産性に優れたアルミニウムエッチングにより形成するから、低コスト化が図られる。
【0020】
また、請求項3に記載の発明は、上記請求項1または請求項2に記載の非接触データキャリアにおいて、副回路は、導電性樹脂材料の印刷により形成されていることを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、主回路に比較して長さの短い、あるいは面積の小さい副回路に限定して、一般に仕様変更にも柔軟に対応可能な銀ペースト等の導電性樹脂材料の印刷を適用することにより、高コスト化と高抵抗化とを極力抑制しつつ、各種仕様に適合させることが可能となる。
【0022】
また、請求項4に記載の発明は、上記請求項3に記載の非接触データキャリアにおいて、ICチップは、該ICチップに設けられたバンプを介した圧接法により副回路に接続されていることを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、ICチップの接続構造がさらに具体化される。つまり、ICチップをバンプを介して、例えば導電性樹脂材料でなる副回路に圧接するという、接続性の面で相性がよく、かつ簡素な構成であるため、実装の信頼性を維持しつつ、さらなる低コスト化が実現される。
【0024】
一方、請求項5に記載の発明は、上記請求項1または請求項2に記載の非接触データキャリアにおいて、副回路は、アルミニウムエッチングにより形成されていることを特徴とする。
【0025】
この発明によれば、副回路をアルミニウムで構成するから、該副回路の低抵抗化が実現され、コンデンサ部の性能が向上する。
【0026】
また、請求項6に記載の発明は、上記請求項5に記載の非接触データキャリアにおいて、ICチップは、該ICチップに設けられたバンプを介した超音波接合法により副回路に接続されていることを特徴とする。
【0027】
アルミニウムでなる副回路にICチップを接続する場合、副回路の表層に形成された絶縁性のアルミニウム酸化膜の存在により、良好な電気的接続が得られない可能性がある。そのような場合に、この発明によれば、例えばICチップに超音波振動を印加しつつ押圧してアルミニウム酸化膜を破壊することにより、ICチップのバンプと副回路との間で金属/金属接合が実現され、もって良好な電気的接続が得られるようになる。したがって、簡素な構成でありながら、アルミニウム上への実装という上記困難を伴う構成であっても、極めて容易に、付加的技術なしに、実装の信頼性を維持することができる。
【0028】
そして、請求項7に記載の発明は、上記請求項5または請求項6に記載の非接触データキャリアにおいて、少なくとも一方の副回路は、切断除去を容易にする被切断部を備えていることを特徴とする。
【0029】
この発明によれば、副回路の形成後に、該副回路の所定部分を被切断部で切断除去することにより、コンデンサ部の電極面積を可変とすることが容易となる。したがって、各種仕様により柔軟に対応可能な非接触データキャリアが実現される。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、まず、本発明の第1の実施の形態に係る非接触データキャリアとしての非接触ICカードについて説明する。
【0031】
図1及び図2に示すように、この非接触ICカード1は、カード状の絶縁基材11と、絶縁基材11の図例上裏側の面に形成されてアンテナコイルを構成する主回路12と、表側の面に配設されたICチップ13と、同じく表側の面に形成されてICチップ13が接続された一対の副回路14,15とを有するインレットシート1aを、樹脂シート1bで封入したものである。
【0032】
図1〜図3に示すように、このインレットシート1aでは、主回路12は、ポリエチレンテレフタレート樹脂製の絶縁基材11の一方の面にアルミニウムエッチングにより形成され、該絶縁基材11の一方の短辺近傍に配置された矩形状の外周側端部12aと、該外周側端部12aから図例上反時計回りに螺旋状に延びるコイル部12bと、該コイル部12bから絶縁基材11の中央近傍に延設された矩形状の内周側端部12cとを有する。
【0033】
ICチップ13は、外部機器から受信した信号に基いて演算処理を行い、かつ、演算結果を外部機器に送信する機能を有するもので、主回路12と絶縁基材11を挟んで反対側の面に実装されている。
【0034】
第1及び第2副回路14,15は、ICチップ13が配設される面に、銀ペーストのスクリーン印刷により形成されている。第1副回路14は、矩形状かつ比較的大面積とされた電極部14aとICチップ13方向に延びる細長い延設部14bとを有し、このうち電極部14aは、主回路12の外周側端部12aと対向する位置に設けられている。第2副回路15は、矩形状かつ比較的大面積とされた電極部15aとICチップ13方向に延びる延設部15bとを有し、このうち電極部15aは、主回路12の内周側端部12cと対向する位置に設けられている。
【0035】
そして、図1、図2、及び図4に示すように、概ね第1副回路14の電極部14aと主回路12の外周側端部12aと絶縁基材11とで第1コンデンサ部16が、また、図1、図2、及び図5に示すように、概ね第2副回路15の電極部15aと主回路12の内周側端部12cと絶縁基材11とで第2コンデンサ部17が、それぞれ生成されている。
【0036】
そして、図6に示すように、ICチップ13の図示しないパッド部にはバンプ13a…13aが設けられており、ICチップ13は、該バンプ13a…13aを介して第1及び第2副回路14,15の延設部14b,15bに圧接されることにより実装されている。
【0037】
ここで、この非接触ICカード1の製造方法の一例について説明する。
【0038】
まず、ポリエチレンテレフタレート樹脂製の絶縁基材11の一方の面にアルミニウム箔を貼着し、例えば塩化第二鉄溶液のような酸溶液、または、例えば水酸化ナトリウム溶液のようなアルカリ溶液へディッピングする周知のエッチング処理により、所定形状の主回路12を形成する。なお、絶縁基板11には、その他に、ABS樹脂、ポリプロピレン樹脂等の各種樹脂が適用可能である。また、アルミニウム箔を貼着する代わりにアルミニウム蒸着等の周知の方法により、アルミニウム層を絶縁基材11に設けることができる。
【0039】
次いで、絶縁基材11の他方の面に、銀ペーストを用いたスクリーン印刷により、所定形状の第1及び第2回路14,15を形成する。その場合、第1及び第2副回路14,15の電極部14a,15aと、主回路12の外周側及び内周側端部12a,12cと、絶縁基材11とにより、第1及び第2コンデンサ部16,17が生成されると共に、第1副回路14と主回路12の外周側端部12a、及び第2副回路15と主回路12の内周側端部12cとは、該コンデンサ部16,17を介してそれぞれ電気的に接続される。
【0040】
そして、第1及び第2副回路14,15の延設部14b,15bの端部の所定箇所に、金でなるバンプ13a…13aが設けられたICチップ13を、フェイスダウンでマウントしたのち圧接することにより、ICチップ13と第1及び第2副回路14,15、つまりICチップ13と主回路12とを電気的に接続する。なお、バンプ材料には周知のものが適用可能であり、金の他に、パラジウム、銀、ニッケル、はんだ等の金属、あるいは、銀ペースト等の導電性樹脂材料が例示される。
【0041】
ICチップ13を第1及び第2副回路14,15に圧接ののち、ICチップ13と両副回路14,15ないし絶縁基材11との間の隙間に接着剤を吐出、封止の上、熱硬化させることにより、所定の構成とされたインレットシート1aが得られる。
【0042】
インレットシート1aは複数の樹脂シート1bにより封入されて、非接触ICカード1が得られる。なお、インレットシート1aを、射出成形により封入してもよい。
【0043】
こうして得られた非接触ICカード1は、以下の特徴を有している。
【0044】
まず、主回路12と第1及び第2副回路14,15とを絶縁基材11の各面にそれぞれ設けたから、比較的複雑かつ形成が面倒で、形成後に仕様変更が困難な構成の主回路12を共有的に用いることが可能となると共に、絶縁基材11の主回路12形成面とは反対側の面に、比較的単純かつ形成し易い構成の第1及び第2副回路14,15を各種仕様に応じて柔軟に取り揃えることができる。
【0045】
そして、図7に示すように、この場合の共振回路は、主回路12のインダクタンスLと、ICチップ13の内蔵するコンデンサ及び生成された両コンデンサ部16,17の静電容量C0,C1,C2とで構成される直列共振回路である。ここで、インダクタンスLを固定的に設定すると共に、一例として図1に矢印Dで示す二点鎖線のように、第2副回路15の電極部15aの面積を変更することにより、第2コンデンサ部17の静電容量C2が変更され、ICチップ13から見て、共振回路の等価的なインダクタンスL′を変更することができる。
【0046】
すなわち、ICチップ13から見たインピーダンスZは、主回路12のインダクタンスL、第1及び第2コンデンサ部16,17の合成静電容量Cとに基き、数1で表される。ここで、ωは角周波数である。
【0047】
【数1】
【0048】
そして、上記等価的なインダクタンスL′は、数2で表される。
【0049】
【数2】
【0050】
この場合、第2コンデンサ部17の静電容量C2、ひいては合成静電容量Cを変化させると、等価的に主回路12のインダクタンスLが変化することになる。
【0051】
これにより、各種仕様、特に各種静電容量のICチップ13に応じて共振周波数を容易に所定値に設計することができるため、各種仕様に容易に適合する、つまり多品種少量生産を安価に実現する非接触ICカード1が得られるようになる。
【0052】
また、共振回路の共振周波数の微調整が可能となり、量産時に共振周波数のばらつきがあっても、このばらつきを解消するように調整することができるメリットがある。
【0053】
また、同じICチップ13で同じ共振周波数を得るためには、1/ω2C分だけ大きなインダクタンスLを主回路12に形成することになるから、外部機器から交流磁界を得たときに大きな誘導電圧が生じ、非接触ICカード1の感度に他ならないQ値を大きく設計することができるようになり、その結果、例えば通信距離を伸ばすことが可能となるメリットがある。
【0054】
なお、第1副回路14の電極部14aの面積を変更することにより、第1コンデンサ部16の静電容量C1を変更してもよい。また、両副回路14,15のいずれについても、電極部14a,15aの面積を変更してもよい。
【0055】
また、各種仕様に拘わらず共有的に用いられる主回路12を、一般に大量生産性に優れたアルミニウムエッチングにより形成するから、低コスト化が図られる。
【0056】
また、主回路12に比較して長さの短い、あるいは面積の小さい第1及び第2副回路14,15に限定して、一般に仕様変更にも柔軟に対応可能な銀ペーストのスクリーン印刷を適用することにより、高コスト化と高抵抗化とを極力抑制しつつ、各種仕様に適合させることが可能となる。
【0057】
また、ICチップ13の実装に際しては、バンプ13a…13aが設けられたICチップ13を銀ペーストでなる第1及び第2副回路14,15に圧接するという、接続性の面で相性がよく、かつ簡素な構成で達成されるため、実装の信頼性を維持しつつ、さらなる低コスト化が実現される。
【0058】
そして何よりも、主回路12と副回路14,15との電気的接続は、主回路12と第1及び第2副回路14,15と絶縁基材11とにより生成された第1及び第2コンデンサ部16,17を介して達成されている。したがって、こうしてなる接続構造は、例えばカシメ構造のように絶縁基材11の機械的強度を損なうものではないから、折り曲げ等に対する耐久性に優れた非接触ICカード1が実現される。例えば、この非接触ICカード1に対するJIS X 6321−1に準拠した曲げ捻れ試験において、試験前後で共振周波数、Q値、通信距離等に変化は見られず、耐久性に問題がないことが確認されている。
【0059】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る非接触ICカードについて説明する。なお、前述した第1の実施の形態と共通する構成要素に対しては、特に混乱を招かない限り、同一符号を用いることにする。
【0060】
図8及び図9に示すように、この非接触ICカード2は、カード状の絶縁基材11と、絶縁基材11の図例上裏側の面に形成されてアンテナコイルを構成する主回路22と、表側の面に配設されたICチップ13と、同じく表側の面に形成されてICチップ13が接続された一対の副回路24,25とを有するインレットシート2aを、樹脂シート2bで封入したものである。
【0061】
図8〜図10に示すように、このインレットシート2aでは、主回路22は、ポリエチレンテレフタレート樹脂製の絶縁基材11の一方の面にアルミニウムエッチングにより形成され、該絶縁基材11の一方の短辺近傍に配置された矩形状の外周側端部22aと、該外周側端部22aから図例上反時計回りに螺旋状に延びるコイル部22bと、該コイル部22bから絶縁基材11の中央近傍に延設されて、一方に延びる6つの櫛歯22c′…22c′が設けられた内周側端部22cを有する。
【0062】
ICチップ13は、第1の実施の形態におけるものと同様であるので、説明を省略する。
【0063】
第1及び第2副回路24,25は、ICチップ13が配設される面に、アルミニウムエッチングにより形成されている。第1副回路24は、前述した第1の実施の形態における第1副回路14と同様の形状とされ、電極部24aと延設部24bとを有し、このうち電極部24aは、主回路22の外周側端部22aと対向する位置に設けられている。第2副回路25は、その一部分の切断除去を容易にするための被切断部を提供可能とする櫛歯状とされ、一方に延びる6つの櫛歯25a′…25a′が設けられた電極部25aとICチップ13方向に延びる延設部25bとを有し、このうち電極部25aは、主回路22の内周側端部22cと対向する位置に設けられている。
【0064】
そして、図8、図9、及び図11に示すように、概ね第1副回路24の電極部24aと主回路22の外周側端部22aと絶縁基材11とで第1コンデンサ部26が、また、図8、図8、及び図12に示すように、概ね第2副回路25の電極部25aと主回路22の内周側端部22cと絶縁基材11とで第2コンデンサ部27が、それぞれ生成されている。
【0065】
そして、図13に示すように、ICチップ13の図示しないパッド部にはバンプ13a…13aが設けられており、ICチップ13は、該バンプ13a…13aを介して第1及び第2副回路24,25の延設部24b,25bと超音波接合されることにより実装されている。
【0066】
ここで、この非接触ICカード2の製造方法の一例について説明する。
【0067】
まず、ポリエチレンテレフタレート樹脂製の絶縁基材11の一方の面にアルミニウム箔を貼着すると共に他方の面にもアルミニウム箔を貼着し、前述した第1の実施の形態と同様のエッチング処理により所定形状の主回路22、第1副回路24、及び第2副回路25を形成する。その場合、第1及び第2副回路24,25の電極部24a,25aと、主回路22の外周側及び内周側端部22a,22cと、絶縁基材11とにより、第1及び第2コンデンサ部26,27が生成されると共に、第1副回路24と主回路22の外周側端部22a、及び第2副回路25と主回路22の内周側端部22cとは、該コンデンサ部26,27を介してそれぞれ電気的に接続される。
【0068】
そして、第1及び第2副回路24,25の延設部24b,25bの端部の所定箇所に、金でなるバンプ13a…13aが設けられたICチップ13を、フェイスダウンでマウントしたのち押圧しながら水平方向に超音波振動を印加することにより、ICチップ13と第1及び第2副回路24,25、つまりICチップ13と主回路22とを電気的に接続する。
【0069】
ICチップ13を第1及び第2副回路24,25に超音波接合したのち、ICチップ13と両副回路24,25ないし絶縁基材11との間の隙間に接着剤を吐出、封止の上、熱硬化させることにより、所定の構成とされたインレットシート2aが得られる。
【0070】
インレットシート2aは複数の樹脂シート2bにより封入されて、非接触ICカード2が得られる。なお、インレットシート2aを、射出成形により封入してもよい。
【0071】
こうして得られた非接触ICカード2は、以下の特徴を有している。
【0072】
まず、主回路12と第1及び第2副回路24,25とを絶縁基材11の各面にそれぞれ設けたから、比較的複雑かつ形成が面倒な主回路12を共有的に用いることが可能となると共に、絶縁基材11の主回路12形成面とは反対側の面に、比較的単純かつ形成し易い構成の第1及び第2副回路24,25を各種仕様に応じて柔軟に取り揃えることができる。
【0073】
そして、この場合の共振回路において、主回路12の構成を固定的に設定すると共に、例えば図14に二点鎖線で示すように、第2副回路25の電極部25aの櫛歯25a′,25a′を矢印Hで示す箇所で適宜個数除去するか、あるいはパンチすることにより該第2副回路25の下流側部分を第2コンデンサ部27の構成要素としては寄与させなくして、電極部25aのトータル面積を変更することが容易に可能となる。
【0074】
その場合にも、第1の実施の形態で詳しく説明したと同様な作用ないし特徴が得られる。まず、各種仕様、特に各種静電容量のICチップ13に応じて共振周波数を容易に所定値に設計することができるため、各種仕様に容易に適合する、つまり多品種少量生産を安価に実現する非接触ICカード2が得られるようになる。
【0075】
また、主回路22、ICチップ13、コンデンサ部26,27でなる共振回路の共振周波数の微調整が可能となり、量産時に共振周波数のばらつきがあっても、このばらつきを解消するように調整することができるメリットがある。
【0076】
また、非接触ICカード2の感度に他ならないQ値を大きく設計することができるようになり、その結果、例えば通信距離を伸ばすことが可能となるメリットがある。
【0077】
なお、第1副回路24の電極部24aを櫛歯状に形成した上で同様の方法で面積を変更することにより、第1コンデンサ部26の静電容量を変更してもよい。また、両副回路24,25のいずれにおいても、電極部24a,25aを櫛歯状に形成してもよい。
【0078】
そして、上記第2副回路25に代えて、一例として図15に示すように、2方向に延びる12の櫛歯35a′…35a′が設けられた電極部35aを有する第2副回路35を用いてもよい。この場合、該電極部35aに対向する主回路32の内周側端部32cを、図例のように類似の櫛歯状としてもよい。
【0079】
また、各種仕様に拘わらず共有的に用いられる主回路22を、一般に大量生産性に優れたアルミニウムエッチングにより形成するから、低コスト化が図られる。
【0080】
また、第1及び第2副回路24,25をアルミニウムで構成するから、該副回路24,25の低抵抗化が実現され、第1及び第2コンデンサ部26,27の性能が向上する。
【0081】
また、アルミニウムでなる第1及び第2副回路24,25にICチップ13を接続する場合、該副回路24,25の表層に形成された絶縁性のアルミニウム酸化膜の存在により、良好な電気的接続が得られない可能性がある。本実施の形態の場合、ICチップ13に超音波振動を印加しつつ、バンプ13a…13aを介して押圧してアルミニウム酸化膜を破壊することにより、ICチップ13のバンプ13a…13aと第1及び第2副回路24,25との間で金属/金属接合が実現され、もって良好な電気的接続が得られるようになる。したがって、簡素な構成でありながら、アルミニウム上への実装という上記困難を伴う構成であっても、極めて容易に、付加的技術なしに、実装の信頼性を維持することができる。
【0082】
そして何よりも、主回路22と副回路24,25との電気的接続は、主回路22と第1及び第2副回路24,25と絶縁基材11とにより生成された第1及び第2コンデンサ部26,27を介して達成されている。したがって、こうしてなる接続構造は、例えばカシメ構造のように絶縁基材11の機械的強度を損なうものではないから、折り曲げ等に対する耐久性に優れた非接触ICカード2が実現される。
【0083】
ここで、こうしてなる非接触ICカード2の特性例を示すと表1のようになる。この場合、ICチップ13に汎用の非接触データキャリア用のものを用いている。すなわち、Q値及び通信距離共に、従来の銀ペースト印刷を用いた一般的な技術に基いて得られた非接触ICカードに比較して大きく、優れていることが確認されている。また、通信距離については、櫛歯25a′の切断箇所に応じて変化することが確認されている。そして、この非接触ICカード2に対するJISX 6321−1に準拠した曲げ捻れ試験において、試験前後で共振周波数、Q値、通信距離等に変化は見られず、耐久性に問題がないことが確認されている。
【0084】
【表1】
【0085】
なお、上記第1の実施の形態では、第2副回路15の電極部15aは矩形状に形成されていたが、第2の実施の形態における第2副回路25と同様に櫛歯状に形成してもよい。これにより、各種仕様に対してさらに柔軟に対応可能となる。
【0086】
また、上記第1及び第2の実施の形態では、非接触データキャリアとしての非接触ICカード1,2について説明したが、本発明は、その他、非接触ICタグ、非接触ICラベル等に対しても適用可能であるのはいうまでもない。
【0087】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、耐久性に優れ、かつ、多品種少量生産を安価に実現可能な非接触データキャリアが提供される。すなわち、本発明は、非接触状態で信号の送受が可能な非接触データキャリアに関し、データキャリアの技術分野に広く好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る非接触ICカードの平面図である。
【図2】一部を破断した非接触ICカードの平面図である。
【図3】インレットシートの構成を示す、図1のA−A線による断面図である。
【図4】第1コンデンサ部の構成を示す、図1のB−B線による断面図である。
【図5】第2コンデンサ部の構成を示す、図1のC−C線による断面図である。
【図6】ICチップの実装状態を示す要部拡大断面図である。
【図7】非接触ICカードの等価回路図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る非接触ICカードの平面図である。
【図9】一部を破断した非接触ICカードの平面図である。
【図10】インレットシートの構成を示す、図8のE−E線による断面図である。
【図11】第1コンデンサ部の構成を示す、図8のF−F線による断面図である。
【図12】第2コンデンサ部の構成を示す、図8のG−G線による断面図である。
【図13】ICチップの実装状態を示す要部拡大断面図である。
【図14】第2副回路の電極部における一部の櫛歯を除去した場合の非接触ICカードの平面図である。
【図15】第2副回路の電極部の変形例である。
【符号の説明】
1,2 非接触ICカード(非接触データキャリア)
11 絶縁基材
12,22,32 主回路
13 ICチップ
13a バンプ
14,24 第1副回路
15,25,35 第2副回路
16,26 第1コンデンサ部
17,27 第2コンデンサ部
25a′,35a′ 櫛歯
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に非接触状態で信号の送受が可能な非接触データキャリアに関し、データキャリアの技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
近年、非接触状態で情報の送受信が可能な非接触ICカード、非接触ICタグ、あるいは非接触ラベル等の非接触データキャリア(あるいは、RFID:Radio Frequency Identificationともいう)は、これらを外部機器に近接させることで両者間の信号送受が可能であるという利便性から、各種決済や情報管理等の多岐にわたる分野で利用されている。この非接触データキャリアのうち、例えば非接触ICカードでは、一般に、カード状の絶縁基材に形成されたアンテナコイルと、外部からの情報の書き込み及び読み出しを行うためのICチップとが電気的に接続されている。これにより、アンテナコイルやICチップに内蔵されたコンデンサ等により共振回路が形成され、外部機器との間で、主に磁界を媒体として信号の送受が効率よく行われるようになる。
【0003】
このような非接触ICカードとして、例えば、特許文献1に記載のものがある。この非接触ICカードでは、絶縁基材の一方の面にアンテナコイルが形成され、アンテナコイルの外周側及び内周側端部の近傍に、アンテナコイルの一部分を跨ぐようにストリップ状の絶縁層が設けられている。そして、該絶縁層上に、アンテナコイルの内周側端部に連結すると共に外周側端部方向に延びる延長回路が設けられており、ICチップは、該延長回路端部と上記外周側端部とを介して接続されている。その場合、アンテナコイル及び延長回路は、導電性インクの印刷により形成される一方、絶縁層は、絶縁性インクの印刷により形成される。
【0004】
これにより、アンテナコイルの両端部間の間隔が小型化傾向にあるICチップの寸法に比較して広い場合等においても、短絡を生じさせることなく、アンテナコイルとICチップとを良好に接続することが可能となる。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−345301号公報(第4頁、図6)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記特許文献1に記載の非接触ICカードでは、アンテナコイルを形成したのちに、その一部分を跨ぐ絶縁層を絶縁性インクの印刷により形成する工程や、該絶縁層上に延長回路を導電性インクの印刷により形成する工程が必要となり、非接触ICカードの製造工程が複雑化するという問題がある。
【0007】
この問題を解消する方法の1つとして、上記絶縁層の形成を省略することが考えられる。例えば主回路であるアンテナコイルが形成された面と絶縁基材を挟んで反対側の面に一対の副回路を設け、該副回路にICチップを接続すると共に、各副回路をそれぞれ主回路の外周側及び内周側端部と対向させ、絶縁基材を挟んでカシメ加工する方法がある。しかしながら、このカシメ加工は、比較的簡便にアンテナコイルと副回路、つまりアンテナコイルとICチップとの電気的接続を提供する反面、絶縁基材を穿孔するから、該絶縁基材の機械的強度を損なうことになり、その結果、非接触ICカードの耐久性に問題が生じることがある。
【0008】
また、上記特許文献1に記載の非接触ICカードでは、主回路であるアンテナコイルの形成に導電性インクの印刷が適用されている。例えば、汎用性のある銀ペーストの印刷は、仕様変更に柔軟に対応可能であるから多品種少量生産には好ましいものの、一方で銀ペーストは高価な材料であるため、多品種少量生産を安価に実現することはできないという、別なる問題が生じることがある。しかも、銀ペーストのような導電性樹脂材料は、銀粒子以外に接着性を付与するための各種樹脂材料を含有するので、銅やアルミニウムに比較して高抵抗であり、アンテナコイルに対して特段の低抵抗化が要求される場合には不向きである。
【0009】
そして、上記副回路は、アンテナコイルの両端部にICチップを接続するための単なる導線として機能するのみであって、共振回路の電気定数の変更を通して、種々開発されるICチップの仕様に対応させることまではできない。すなわち、非接触ICカード等の非接触データキャリアに用いられる周波数は13.56MHzが世界的な主流となってきているが、上記共振回路の場合、各種ICチップの仕様、つまり特に静電容量に応じて、アンテナコイルのインダクタンスを変更することにより、所定の共振周波数を達成することが容易にはできないという問題がある。
【0010】
そこで、本発明は、以上の現状に鑑み、耐久性に優れ、かつ、多品種少量生産を安価に実現可能な非接触データキャリアを提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は次のように構成したことを特徴とする。
【0012】
まず、請求項1に記載の発明は、絶縁性を有する基材と、該基材に形成されてアンテナコイルを構成する主回路と、外部からの情報の書き込み及び読み出しを行うためのICチップとを有し、非接触状態で信号の送受が可能な非接触データキャリアに関するもので、上記基材の主回路形成面と反対側の面に、ICチップが接続された一対の副回路が形成されていると共に、主回路の両端部と各副回路とが上記基材を挟んで対向配置されてコンデンサ部が生成されており、これらのコンデンサ部を介して主回路と副回路とが接続されていることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、主回路と副回路とを基材の各面にそれぞれ設けたから、比較的複雑かつ形成が面倒な構成の主回路を各種仕様に拘わらず共有的に用いることが可能となると共に、上記基材の主回路形成面とは反対側の面に、比較的単純かつ形成し易い構成の副回路を各種仕様に応じて柔軟に取り揃えることができる。
【0014】
そして、例えば、副回路の面積を変更することによりコンデンサ部の静電容量が変更され、ICチップから見て、共振回路の等価的なインダクタンスを変更することができる。
【0015】
したがって、各種仕様、特に各種静電容量のICチップに応じて共振周波数を容易に所定値に設計することができるため、各種仕様に容易に適合する、つまり多品種少量生産を安価に実現する非接触データキャリアが得られるようになる。
【0016】
また、共振回路の共振周波数の微調整が可能となり、量産時に共振周波数のばらつきがあっても、このばらつきを解消するように調整することができるメリットがある。
【0017】
そして、主回路と各副回路との電気的接続は、主回路の両端部と各副回路により生成されたコンデンサ部を介して達成される。その場合の接続構造は、例えばカシメ構造のように基材の機械的強度を損なうものではないから、折り曲げ等に対する耐久性に優れた非接触データキャリアが実現される。
【0018】
次に、請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の非接触データキャリアにおいて、主回路は、アルミニウムエッチングにより形成されていることを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、各種仕様に拘わらず共有的に用いられる主回路を、一般に大量生産性に優れたアルミニウムエッチングにより形成するから、低コスト化が図られる。
【0020】
また、請求項3に記載の発明は、上記請求項1または請求項2に記載の非接触データキャリアにおいて、副回路は、導電性樹脂材料の印刷により形成されていることを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、主回路に比較して長さの短い、あるいは面積の小さい副回路に限定して、一般に仕様変更にも柔軟に対応可能な銀ペースト等の導電性樹脂材料の印刷を適用することにより、高コスト化と高抵抗化とを極力抑制しつつ、各種仕様に適合させることが可能となる。
【0022】
また、請求項4に記載の発明は、上記請求項3に記載の非接触データキャリアにおいて、ICチップは、該ICチップに設けられたバンプを介した圧接法により副回路に接続されていることを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、ICチップの接続構造がさらに具体化される。つまり、ICチップをバンプを介して、例えば導電性樹脂材料でなる副回路に圧接するという、接続性の面で相性がよく、かつ簡素な構成であるため、実装の信頼性を維持しつつ、さらなる低コスト化が実現される。
【0024】
一方、請求項5に記載の発明は、上記請求項1または請求項2に記載の非接触データキャリアにおいて、副回路は、アルミニウムエッチングにより形成されていることを特徴とする。
【0025】
この発明によれば、副回路をアルミニウムで構成するから、該副回路の低抵抗化が実現され、コンデンサ部の性能が向上する。
【0026】
また、請求項6に記載の発明は、上記請求項5に記載の非接触データキャリアにおいて、ICチップは、該ICチップに設けられたバンプを介した超音波接合法により副回路に接続されていることを特徴とする。
【0027】
アルミニウムでなる副回路にICチップを接続する場合、副回路の表層に形成された絶縁性のアルミニウム酸化膜の存在により、良好な電気的接続が得られない可能性がある。そのような場合に、この発明によれば、例えばICチップに超音波振動を印加しつつ押圧してアルミニウム酸化膜を破壊することにより、ICチップのバンプと副回路との間で金属/金属接合が実現され、もって良好な電気的接続が得られるようになる。したがって、簡素な構成でありながら、アルミニウム上への実装という上記困難を伴う構成であっても、極めて容易に、付加的技術なしに、実装の信頼性を維持することができる。
【0028】
そして、請求項7に記載の発明は、上記請求項5または請求項6に記載の非接触データキャリアにおいて、少なくとも一方の副回路は、切断除去を容易にする被切断部を備えていることを特徴とする。
【0029】
この発明によれば、副回路の形成後に、該副回路の所定部分を被切断部で切断除去することにより、コンデンサ部の電極面積を可変とすることが容易となる。したがって、各種仕様により柔軟に対応可能な非接触データキャリアが実現される。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、まず、本発明の第1の実施の形態に係る非接触データキャリアとしての非接触ICカードについて説明する。
【0031】
図1及び図2に示すように、この非接触ICカード1は、カード状の絶縁基材11と、絶縁基材11の図例上裏側の面に形成されてアンテナコイルを構成する主回路12と、表側の面に配設されたICチップ13と、同じく表側の面に形成されてICチップ13が接続された一対の副回路14,15とを有するインレットシート1aを、樹脂シート1bで封入したものである。
【0032】
図1〜図3に示すように、このインレットシート1aでは、主回路12は、ポリエチレンテレフタレート樹脂製の絶縁基材11の一方の面にアルミニウムエッチングにより形成され、該絶縁基材11の一方の短辺近傍に配置された矩形状の外周側端部12aと、該外周側端部12aから図例上反時計回りに螺旋状に延びるコイル部12bと、該コイル部12bから絶縁基材11の中央近傍に延設された矩形状の内周側端部12cとを有する。
【0033】
ICチップ13は、外部機器から受信した信号に基いて演算処理を行い、かつ、演算結果を外部機器に送信する機能を有するもので、主回路12と絶縁基材11を挟んで反対側の面に実装されている。
【0034】
第1及び第2副回路14,15は、ICチップ13が配設される面に、銀ペーストのスクリーン印刷により形成されている。第1副回路14は、矩形状かつ比較的大面積とされた電極部14aとICチップ13方向に延びる細長い延設部14bとを有し、このうち電極部14aは、主回路12の外周側端部12aと対向する位置に設けられている。第2副回路15は、矩形状かつ比較的大面積とされた電極部15aとICチップ13方向に延びる延設部15bとを有し、このうち電極部15aは、主回路12の内周側端部12cと対向する位置に設けられている。
【0035】
そして、図1、図2、及び図4に示すように、概ね第1副回路14の電極部14aと主回路12の外周側端部12aと絶縁基材11とで第1コンデンサ部16が、また、図1、図2、及び図5に示すように、概ね第2副回路15の電極部15aと主回路12の内周側端部12cと絶縁基材11とで第2コンデンサ部17が、それぞれ生成されている。
【0036】
そして、図6に示すように、ICチップ13の図示しないパッド部にはバンプ13a…13aが設けられており、ICチップ13は、該バンプ13a…13aを介して第1及び第2副回路14,15の延設部14b,15bに圧接されることにより実装されている。
【0037】
ここで、この非接触ICカード1の製造方法の一例について説明する。
【0038】
まず、ポリエチレンテレフタレート樹脂製の絶縁基材11の一方の面にアルミニウム箔を貼着し、例えば塩化第二鉄溶液のような酸溶液、または、例えば水酸化ナトリウム溶液のようなアルカリ溶液へディッピングする周知のエッチング処理により、所定形状の主回路12を形成する。なお、絶縁基板11には、その他に、ABS樹脂、ポリプロピレン樹脂等の各種樹脂が適用可能である。また、アルミニウム箔を貼着する代わりにアルミニウム蒸着等の周知の方法により、アルミニウム層を絶縁基材11に設けることができる。
【0039】
次いで、絶縁基材11の他方の面に、銀ペーストを用いたスクリーン印刷により、所定形状の第1及び第2回路14,15を形成する。その場合、第1及び第2副回路14,15の電極部14a,15aと、主回路12の外周側及び内周側端部12a,12cと、絶縁基材11とにより、第1及び第2コンデンサ部16,17が生成されると共に、第1副回路14と主回路12の外周側端部12a、及び第2副回路15と主回路12の内周側端部12cとは、該コンデンサ部16,17を介してそれぞれ電気的に接続される。
【0040】
そして、第1及び第2副回路14,15の延設部14b,15bの端部の所定箇所に、金でなるバンプ13a…13aが設けられたICチップ13を、フェイスダウンでマウントしたのち圧接することにより、ICチップ13と第1及び第2副回路14,15、つまりICチップ13と主回路12とを電気的に接続する。なお、バンプ材料には周知のものが適用可能であり、金の他に、パラジウム、銀、ニッケル、はんだ等の金属、あるいは、銀ペースト等の導電性樹脂材料が例示される。
【0041】
ICチップ13を第1及び第2副回路14,15に圧接ののち、ICチップ13と両副回路14,15ないし絶縁基材11との間の隙間に接着剤を吐出、封止の上、熱硬化させることにより、所定の構成とされたインレットシート1aが得られる。
【0042】
インレットシート1aは複数の樹脂シート1bにより封入されて、非接触ICカード1が得られる。なお、インレットシート1aを、射出成形により封入してもよい。
【0043】
こうして得られた非接触ICカード1は、以下の特徴を有している。
【0044】
まず、主回路12と第1及び第2副回路14,15とを絶縁基材11の各面にそれぞれ設けたから、比較的複雑かつ形成が面倒で、形成後に仕様変更が困難な構成の主回路12を共有的に用いることが可能となると共に、絶縁基材11の主回路12形成面とは反対側の面に、比較的単純かつ形成し易い構成の第1及び第2副回路14,15を各種仕様に応じて柔軟に取り揃えることができる。
【0045】
そして、図7に示すように、この場合の共振回路は、主回路12のインダクタンスLと、ICチップ13の内蔵するコンデンサ及び生成された両コンデンサ部16,17の静電容量C0,C1,C2とで構成される直列共振回路である。ここで、インダクタンスLを固定的に設定すると共に、一例として図1に矢印Dで示す二点鎖線のように、第2副回路15の電極部15aの面積を変更することにより、第2コンデンサ部17の静電容量C2が変更され、ICチップ13から見て、共振回路の等価的なインダクタンスL′を変更することができる。
【0046】
すなわち、ICチップ13から見たインピーダンスZは、主回路12のインダクタンスL、第1及び第2コンデンサ部16,17の合成静電容量Cとに基き、数1で表される。ここで、ωは角周波数である。
【0047】
【数1】
【0048】
そして、上記等価的なインダクタンスL′は、数2で表される。
【0049】
【数2】
【0050】
この場合、第2コンデンサ部17の静電容量C2、ひいては合成静電容量Cを変化させると、等価的に主回路12のインダクタンスLが変化することになる。
【0051】
これにより、各種仕様、特に各種静電容量のICチップ13に応じて共振周波数を容易に所定値に設計することができるため、各種仕様に容易に適合する、つまり多品種少量生産を安価に実現する非接触ICカード1が得られるようになる。
【0052】
また、共振回路の共振周波数の微調整が可能となり、量産時に共振周波数のばらつきがあっても、このばらつきを解消するように調整することができるメリットがある。
【0053】
また、同じICチップ13で同じ共振周波数を得るためには、1/ω2C分だけ大きなインダクタンスLを主回路12に形成することになるから、外部機器から交流磁界を得たときに大きな誘導電圧が生じ、非接触ICカード1の感度に他ならないQ値を大きく設計することができるようになり、その結果、例えば通信距離を伸ばすことが可能となるメリットがある。
【0054】
なお、第1副回路14の電極部14aの面積を変更することにより、第1コンデンサ部16の静電容量C1を変更してもよい。また、両副回路14,15のいずれについても、電極部14a,15aの面積を変更してもよい。
【0055】
また、各種仕様に拘わらず共有的に用いられる主回路12を、一般に大量生産性に優れたアルミニウムエッチングにより形成するから、低コスト化が図られる。
【0056】
また、主回路12に比較して長さの短い、あるいは面積の小さい第1及び第2副回路14,15に限定して、一般に仕様変更にも柔軟に対応可能な銀ペーストのスクリーン印刷を適用することにより、高コスト化と高抵抗化とを極力抑制しつつ、各種仕様に適合させることが可能となる。
【0057】
また、ICチップ13の実装に際しては、バンプ13a…13aが設けられたICチップ13を銀ペーストでなる第1及び第2副回路14,15に圧接するという、接続性の面で相性がよく、かつ簡素な構成で達成されるため、実装の信頼性を維持しつつ、さらなる低コスト化が実現される。
【0058】
そして何よりも、主回路12と副回路14,15との電気的接続は、主回路12と第1及び第2副回路14,15と絶縁基材11とにより生成された第1及び第2コンデンサ部16,17を介して達成されている。したがって、こうしてなる接続構造は、例えばカシメ構造のように絶縁基材11の機械的強度を損なうものではないから、折り曲げ等に対する耐久性に優れた非接触ICカード1が実現される。例えば、この非接触ICカード1に対するJIS X 6321−1に準拠した曲げ捻れ試験において、試験前後で共振周波数、Q値、通信距離等に変化は見られず、耐久性に問題がないことが確認されている。
【0059】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る非接触ICカードについて説明する。なお、前述した第1の実施の形態と共通する構成要素に対しては、特に混乱を招かない限り、同一符号を用いることにする。
【0060】
図8及び図9に示すように、この非接触ICカード2は、カード状の絶縁基材11と、絶縁基材11の図例上裏側の面に形成されてアンテナコイルを構成する主回路22と、表側の面に配設されたICチップ13と、同じく表側の面に形成されてICチップ13が接続された一対の副回路24,25とを有するインレットシート2aを、樹脂シート2bで封入したものである。
【0061】
図8〜図10に示すように、このインレットシート2aでは、主回路22は、ポリエチレンテレフタレート樹脂製の絶縁基材11の一方の面にアルミニウムエッチングにより形成され、該絶縁基材11の一方の短辺近傍に配置された矩形状の外周側端部22aと、該外周側端部22aから図例上反時計回りに螺旋状に延びるコイル部22bと、該コイル部22bから絶縁基材11の中央近傍に延設されて、一方に延びる6つの櫛歯22c′…22c′が設けられた内周側端部22cを有する。
【0062】
ICチップ13は、第1の実施の形態におけるものと同様であるので、説明を省略する。
【0063】
第1及び第2副回路24,25は、ICチップ13が配設される面に、アルミニウムエッチングにより形成されている。第1副回路24は、前述した第1の実施の形態における第1副回路14と同様の形状とされ、電極部24aと延設部24bとを有し、このうち電極部24aは、主回路22の外周側端部22aと対向する位置に設けられている。第2副回路25は、その一部分の切断除去を容易にするための被切断部を提供可能とする櫛歯状とされ、一方に延びる6つの櫛歯25a′…25a′が設けられた電極部25aとICチップ13方向に延びる延設部25bとを有し、このうち電極部25aは、主回路22の内周側端部22cと対向する位置に設けられている。
【0064】
そして、図8、図9、及び図11に示すように、概ね第1副回路24の電極部24aと主回路22の外周側端部22aと絶縁基材11とで第1コンデンサ部26が、また、図8、図8、及び図12に示すように、概ね第2副回路25の電極部25aと主回路22の内周側端部22cと絶縁基材11とで第2コンデンサ部27が、それぞれ生成されている。
【0065】
そして、図13に示すように、ICチップ13の図示しないパッド部にはバンプ13a…13aが設けられており、ICチップ13は、該バンプ13a…13aを介して第1及び第2副回路24,25の延設部24b,25bと超音波接合されることにより実装されている。
【0066】
ここで、この非接触ICカード2の製造方法の一例について説明する。
【0067】
まず、ポリエチレンテレフタレート樹脂製の絶縁基材11の一方の面にアルミニウム箔を貼着すると共に他方の面にもアルミニウム箔を貼着し、前述した第1の実施の形態と同様のエッチング処理により所定形状の主回路22、第1副回路24、及び第2副回路25を形成する。その場合、第1及び第2副回路24,25の電極部24a,25aと、主回路22の外周側及び内周側端部22a,22cと、絶縁基材11とにより、第1及び第2コンデンサ部26,27が生成されると共に、第1副回路24と主回路22の外周側端部22a、及び第2副回路25と主回路22の内周側端部22cとは、該コンデンサ部26,27を介してそれぞれ電気的に接続される。
【0068】
そして、第1及び第2副回路24,25の延設部24b,25bの端部の所定箇所に、金でなるバンプ13a…13aが設けられたICチップ13を、フェイスダウンでマウントしたのち押圧しながら水平方向に超音波振動を印加することにより、ICチップ13と第1及び第2副回路24,25、つまりICチップ13と主回路22とを電気的に接続する。
【0069】
ICチップ13を第1及び第2副回路24,25に超音波接合したのち、ICチップ13と両副回路24,25ないし絶縁基材11との間の隙間に接着剤を吐出、封止の上、熱硬化させることにより、所定の構成とされたインレットシート2aが得られる。
【0070】
インレットシート2aは複数の樹脂シート2bにより封入されて、非接触ICカード2が得られる。なお、インレットシート2aを、射出成形により封入してもよい。
【0071】
こうして得られた非接触ICカード2は、以下の特徴を有している。
【0072】
まず、主回路12と第1及び第2副回路24,25とを絶縁基材11の各面にそれぞれ設けたから、比較的複雑かつ形成が面倒な主回路12を共有的に用いることが可能となると共に、絶縁基材11の主回路12形成面とは反対側の面に、比較的単純かつ形成し易い構成の第1及び第2副回路24,25を各種仕様に応じて柔軟に取り揃えることができる。
【0073】
そして、この場合の共振回路において、主回路12の構成を固定的に設定すると共に、例えば図14に二点鎖線で示すように、第2副回路25の電極部25aの櫛歯25a′,25a′を矢印Hで示す箇所で適宜個数除去するか、あるいはパンチすることにより該第2副回路25の下流側部分を第2コンデンサ部27の構成要素としては寄与させなくして、電極部25aのトータル面積を変更することが容易に可能となる。
【0074】
その場合にも、第1の実施の形態で詳しく説明したと同様な作用ないし特徴が得られる。まず、各種仕様、特に各種静電容量のICチップ13に応じて共振周波数を容易に所定値に設計することができるため、各種仕様に容易に適合する、つまり多品種少量生産を安価に実現する非接触ICカード2が得られるようになる。
【0075】
また、主回路22、ICチップ13、コンデンサ部26,27でなる共振回路の共振周波数の微調整が可能となり、量産時に共振周波数のばらつきがあっても、このばらつきを解消するように調整することができるメリットがある。
【0076】
また、非接触ICカード2の感度に他ならないQ値を大きく設計することができるようになり、その結果、例えば通信距離を伸ばすことが可能となるメリットがある。
【0077】
なお、第1副回路24の電極部24aを櫛歯状に形成した上で同様の方法で面積を変更することにより、第1コンデンサ部26の静電容量を変更してもよい。また、両副回路24,25のいずれにおいても、電極部24a,25aを櫛歯状に形成してもよい。
【0078】
そして、上記第2副回路25に代えて、一例として図15に示すように、2方向に延びる12の櫛歯35a′…35a′が設けられた電極部35aを有する第2副回路35を用いてもよい。この場合、該電極部35aに対向する主回路32の内周側端部32cを、図例のように類似の櫛歯状としてもよい。
【0079】
また、各種仕様に拘わらず共有的に用いられる主回路22を、一般に大量生産性に優れたアルミニウムエッチングにより形成するから、低コスト化が図られる。
【0080】
また、第1及び第2副回路24,25をアルミニウムで構成するから、該副回路24,25の低抵抗化が実現され、第1及び第2コンデンサ部26,27の性能が向上する。
【0081】
また、アルミニウムでなる第1及び第2副回路24,25にICチップ13を接続する場合、該副回路24,25の表層に形成された絶縁性のアルミニウム酸化膜の存在により、良好な電気的接続が得られない可能性がある。本実施の形態の場合、ICチップ13に超音波振動を印加しつつ、バンプ13a…13aを介して押圧してアルミニウム酸化膜を破壊することにより、ICチップ13のバンプ13a…13aと第1及び第2副回路24,25との間で金属/金属接合が実現され、もって良好な電気的接続が得られるようになる。したがって、簡素な構成でありながら、アルミニウム上への実装という上記困難を伴う構成であっても、極めて容易に、付加的技術なしに、実装の信頼性を維持することができる。
【0082】
そして何よりも、主回路22と副回路24,25との電気的接続は、主回路22と第1及び第2副回路24,25と絶縁基材11とにより生成された第1及び第2コンデンサ部26,27を介して達成されている。したがって、こうしてなる接続構造は、例えばカシメ構造のように絶縁基材11の機械的強度を損なうものではないから、折り曲げ等に対する耐久性に優れた非接触ICカード2が実現される。
【0083】
ここで、こうしてなる非接触ICカード2の特性例を示すと表1のようになる。この場合、ICチップ13に汎用の非接触データキャリア用のものを用いている。すなわち、Q値及び通信距離共に、従来の銀ペースト印刷を用いた一般的な技術に基いて得られた非接触ICカードに比較して大きく、優れていることが確認されている。また、通信距離については、櫛歯25a′の切断箇所に応じて変化することが確認されている。そして、この非接触ICカード2に対するJISX 6321−1に準拠した曲げ捻れ試験において、試験前後で共振周波数、Q値、通信距離等に変化は見られず、耐久性に問題がないことが確認されている。
【0084】
【表1】
【0085】
なお、上記第1の実施の形態では、第2副回路15の電極部15aは矩形状に形成されていたが、第2の実施の形態における第2副回路25と同様に櫛歯状に形成してもよい。これにより、各種仕様に対してさらに柔軟に対応可能となる。
【0086】
また、上記第1及び第2の実施の形態では、非接触データキャリアとしての非接触ICカード1,2について説明したが、本発明は、その他、非接触ICタグ、非接触ICラベル等に対しても適用可能であるのはいうまでもない。
【0087】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、耐久性に優れ、かつ、多品種少量生産を安価に実現可能な非接触データキャリアが提供される。すなわち、本発明は、非接触状態で信号の送受が可能な非接触データキャリアに関し、データキャリアの技術分野に広く好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る非接触ICカードの平面図である。
【図2】一部を破断した非接触ICカードの平面図である。
【図3】インレットシートの構成を示す、図1のA−A線による断面図である。
【図4】第1コンデンサ部の構成を示す、図1のB−B線による断面図である。
【図5】第2コンデンサ部の構成を示す、図1のC−C線による断面図である。
【図6】ICチップの実装状態を示す要部拡大断面図である。
【図7】非接触ICカードの等価回路図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る非接触ICカードの平面図である。
【図9】一部を破断した非接触ICカードの平面図である。
【図10】インレットシートの構成を示す、図8のE−E線による断面図である。
【図11】第1コンデンサ部の構成を示す、図8のF−F線による断面図である。
【図12】第2コンデンサ部の構成を示す、図8のG−G線による断面図である。
【図13】ICチップの実装状態を示す要部拡大断面図である。
【図14】第2副回路の電極部における一部の櫛歯を除去した場合の非接触ICカードの平面図である。
【図15】第2副回路の電極部の変形例である。
【符号の説明】
1,2 非接触ICカード(非接触データキャリア)
11 絶縁基材
12,22,32 主回路
13 ICチップ
13a バンプ
14,24 第1副回路
15,25,35 第2副回路
16,26 第1コンデンサ部
17,27 第2コンデンサ部
25a′,35a′ 櫛歯
Claims (7)
- 絶縁性を有する基材と、該基材に形成されてアンテナコイルを構成する主回路と、外部からの情報の書き込み及び読み出しを行うためのICチップとを有し、非接触状態で信号の送受が可能な非接触データキャリアであって、上記基材の主回路形成面と反対側の面に、ICチップが接続された一対の副回路が形成されていると共に、主回路の両端部と各副回路とが上記基材を挟んで対向配置されてコンデンサ部が生成されており、これらのコンデンサ部を介して主回路と副回路とが接続されていることを特徴とする非接触データキャリア。
- 主回路は、アルミニウムエッチングにより形成されていることを特徴とする請求項1に記載の非接触データキャリア。
- 副回路は、導電性樹脂材料の印刷により形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の非接触データキャリア。
- ICチップは、該ICチップに設けられたバンプを介した圧接法により副回路に接続されていることを特徴とする請求項3に記載の非接触データキャリア。
- 副回路は、アルミニウムエッチングにより形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の非接触データキャリア。
- ICチップは、該ICチップに設けられたバンプを介した超音波接合法により副回路に接続されていることを特徴とする請求項5に記載の非接触データキャリア。
- 少なくとも一方の副回路は、切断除去を容易にする被切断部を備えていることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の非接触データキャリア。
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