JP2004354125A - 光線路特性の解析方法及び光線路試験システム及び光線路試験監視システム - Google Patents
光線路特性の解析方法及び光線路試験システム及び光線路試験監視システム Download PDFInfo
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Abstract
【課題】片側端からの光パルス試験でも光線路の接続点の損失を高精度で評価することができる光線路特性の解析方法及び光線路試験システム及び光線路試験監視システムを提供する。
【解決手段】ターミネーションフィルタに到達するまでの光パルスにより生じた後方散乱光の受光強度から解析した光ファイバの接続点20での接続損失値Lsと(図3(a)参照)、ターミネーションフィルタで反射された光パルスにより生じ、更にターミネーションフィルタで反射された後方散乱光の受光強度から解析した光ファイバの接続点20での接続損失値Lisと(図3(b)参照)を用いて、光ファイバの接続点における接続損失の真値sを算出する。
【選択図】 図3
【解決手段】ターミネーションフィルタに到達するまでの光パルスにより生じた後方散乱光の受光強度から解析した光ファイバの接続点20での接続損失値Lsと(図3(a)参照)、ターミネーションフィルタで反射された光パルスにより生じ、更にターミネーションフィルタで反射された後方散乱光の受光強度から解析した光ファイバの接続点20での接続損失値Lisと(図3(b)参照)を用いて、光ファイバの接続点における接続損失の真値sを算出する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信設備の光線路の特性の解析方法及び光線路の特性の解析を行う光線路試験システム及びその監視を行う光線路試験監視システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
光線路試験監視システムは、光通信サービスに影響を与えることなく、光線路である光ファイバケーブルを試験、監視するシステムである。従来の光線路試験監視システム(特許文献1参照)を図4に示し、図4に基づいて従来の光線路試験監視システムの構成を説明する。
【0003】
図4に示すように、光線路を構成する光ファイバ5は、電気通信設備を設置する通信設備ビル1に設置され、光信号を送受信する伝送装置2と、ユーザビル3に設置され、伝送装置1に対向して光信号を送受信する伝送装置4との間に接続されている。又、設備情報を管理する設備管理センタ6には、光線路設備のデータベース7と、後述する光試験装置15を遠隔で操作する操作端末8が設置され、通信網9を介して通信設備ビル1と設備管理センタ6との間が接続されている。
【0004】
従来の光線路試験監視システムでは、通信設備ビル1内の光ファイバ5に、試験光を光ファイバ5へ合分波すると共に、伝送装置2への試験光を遮断する光カプラモジュール12が設置され、ユーザビル3内の伝送装置4の直前の光ファイバ5に、通信光を透過すると共に、伝送装置4への試験光を遮断するターミネーションフィルタ23が接続されている。又、光カプラモジュール12には、試験が実施される光ファイバ心線を選択する心線選択装置16が接続されて光成端架14が構成されており、この光成端架14に光試験装置15が接続されている。この光試験装置15は、心線選択装置16と後述の光測定器18とを選択する光測定器・試験架選択装置(以下、FTESと呼ぶ。)17と、光パルス試験器(以下、OTDRと呼ぶ。)、損失試験光源、心線対照光源、パワーメータの機能をもつ光測定器18と、操作端末8からの試験指示を受け取り、試験結果を設備センタに送信する試験制御装置19等から構成される。
【0005】
図5は、図4に示した光カプラモジュール12の詳細を示す図である。
図5に示すように、光カプラモジュール12は、試験光と通信光を合分波して光ファイバ5に結合させる光カプラ10と、通信光を透過すると共に、試験光を遮断するフィルタ11とからなる。図4を参照して説明すると、Aポートには伝送装置2側の光ファイバ5cが接続され、Bポートには伝送装置4側の光ファイバ5aが接続される。つまり、Aポート、Bポートは、伝送装置2と伝送装置4との間を送受信する通信光用のポートとなっている。一方、試験光用のポートとなるCポート、Dポートには、心線選択装置16が接続され、Cポートは光ファイバ5及び伝送装置4側を、Dポートは伝送装置2側を試験するときに選択されて、光試験装置15が接続されることとなる。
【0006】
次に、図4に示した従来の光線路試験監視システムを用いて、光線路の障害を検知する方法を説明する。
【0007】
図4に示す従来の光線路試験監視システムでは、設備管理センタ6にある操作端末8から、データベース7に基づいて試験命令を光試験装置15に出す。この命令にしたがって、光試験装置15の試験制御装置19は、FTES17で光測定器18を選択し、更に、光カプラの試験光入出カポートが収容されている心線選択装置16で、指定された光ファイバ心線が接続された光カプラモジュール12の試験光入カポートを選択する。光測定器18からの試験光が光通信サービスに影響を与えないように、伝送装置2と伝送装置4の前にはフィルタ11とターミネーションフィルタ23が、それぞれ設置されており、これにより、光試験装置15から指定された光ファイバ5のインサービス試験が可能となる。
【0008】
又、伝送装置2又は伝送装置4での故障と、光線路区間(光ファイバ5)での故障とを切り分けるため、ターミネーションフィルタ23は、開放端でのフレネル反射よりも試験光を大きく反射するように設計されている。通常、光ファイバの開放端のフレネル反射は約−15dBであり、例えば、ターミネーションフィルタの試験光の反射を−12dB以上に設定した場合、反射が−15dB以下に減少することによって光線路の故障、つまり、破断が分かることになる。
【0009】
ここで、フィルタ11及びターミネーションフィルタ23について、更に説明を行う。
フィルタ11には、誘電体多層膜型光フィルタが一般的に用いられている。誘電体多層膜は、屈折率の異なる薄い膜を石英ガラス等に数十〜数百層も積層した多層膜構造をしており、光ファイバや導波路や光コネクタ部分に特定の角度で挿入することによって、特定の波長のみをクラッドに反射させ、透過、遮断波長帯域や遮断波長の反射量を調節できるものである。このような誘電体多層膜を用いたフィルタ11の光学特性を図6(a)に示す。図6(a)に示すように、フィルタ11は、1.26μm〜1.58μmの帯域では、1.0dB以下の透過損失であり、通信光として用いる波長帯域では小さい損失で通信光を透過することがわかる。又、1.58から1.64μmの帯域では、透過損失が増加しており、試験光として用いる1.65μmでは、約40dBの透過損失、つまり、約40dBの遮断量を持つことがわかる。なお、フィルタ11での試験光の反射減衰量は、誘電体多層膜フィルタの挿入角度の調整により40dB以上にすることが可能である。
【0010】
一方、ターミネーションフィルタ23には、挿入角度を調節して試験光の反射を−12dB以上にした誘電体多層膜フィルタやファイバブラッググレーティング(以下、FBGと略す。)が用いられる。FBG型光フィルタは光ファイバに紫外線を照射して、光ファイバのコア又はコアとクラッドの長手方向に、数百nm程度の周期で数万本の屈折率の異なる格子を形成したものである。この屈折率変調の周期条件がブラッグの反射条件を満たすことにより、特定波長のみを反射させ、それ以外の波長は透過させることができるものである。このようなFBG型光フィルタを用いたターミネーションフィルタ23の光学特性を図6(b)に示す。図6(b)に示すように、ターミネーションフィルタ23は、1.26μm〜1.625μmの帯域では透過損失が小さく、通信光を0.8dB以下の透過損失で透過する。1.625μmから1.645μmの帯域では、透過損失が急激に上昇し、試験光として用いる1.65μmでは、試験光の遮断量が20dBとなる。なお、ターミネーションフィルタ23では、試験光が約−1dBで反射している。
【0011】
次に、図4の光線路試験監視システムにおいて、インサービス試験でOTDR試験を行った場合について、図7、図8を用いて説明する。なお、このときの試験光の波長は1.65μmとした。
【0012】
従来、光線路試験監視システムにおいて、OTDRを用いて光線路の接続点の接続損失を求めるには、接続点を挟む両区間の光線路における後方散乱光の受光強度の近似直線を求め、接続点における受光強度の段差により接続損失を算出する5点法を用いて自動解析を行っている(非特許文献1参照)。
【0013】
通常、OTDRを用いた光ファイバの測定では、図7に示すように、終端の光コネクタ21でフレネル反射が立ち、ファイバ区間としては、OTDRから入射された光パルスのレーリー後方散乱光が測定される。又、ファイバ区間の途中に接続点20がある場合は、図7の▲3▼の部分に示すような段差が測定される。
【0014】
図8は、図7の▲3▼の部分を拡大して示したものである。
図8に示すように、接続点20の前後のファイバ区間(光ファイバ5a、5b)の後方散乱光の傾きと、接続点20における段差から、前述の5点法を用いて、接続点における接続損失を算出することができる。
【0015】
具体的に説明すると、光ファイバの片側端から試験光である光パルスを入射してOTDR試験を実施した場合、接続点20における接続損失は、二つの異なる光ファイバ5a、5bのレーリー後方散乱光のレベル差と真の接続損失とが合わされた段差として測定される。つまり、図8に示すように、実際の接続損失(接続損失の真値)をsとした時、OTDR測定波形から算出される段差の値Lsは、前後の光ファイバのレーリー後方散乱光のレベル差aも含んでしまうため、実際の接続損失sとレーリー後方散乱光のレベルの差aの和として測定される。これを数式で表すと以下の式となる。
Ls=s+a
又、同じ光ファイバを逆方向から測定した場合には、OTDR測定波形から算出される接続点20における接続損失Lisは、以下の数式で表される。
Lis=s−a
したがって、光ファイバの両端からそれぞれ測定した場合、これらの測定結果の平均値をとると、
(Ls+Lis)/2=((s+a)十(s−a))/2=s
となり、接続損失の真値sを得ることができる。
【0016】
【特許文献1】
特開平2−1632号公報(第4−9頁、第1−8図)
【非特許文献1】
石原廣司監修、「実務に役立つ光ファイバ技術200のポイント」、電気通信協会、平成13年6月25日、p.296
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
光パルス試験器(OTDR)を用いて接続点での接続損失を正確に測定するには、光ファイバの両端から測定を行い、測定された値の平均値をとればよい。しかしながら、現実には、光線路試験監視システムを用いた場合、通信設備ビル側での片側端からのOTDR試験となることが多いために、接続点での段差、つまり、接続損失の測定値は、接続点の前後の二つの異なる光ファイバのレーリー後方散乱光のレベル差と真の接続損失とが合わされた値として常に測定される。又、光ファイバの片側端からOTDR試験を行った場合、接続点の段差が上向きに現れたり、下向きに現れたり、又、段差のない状態で現れることもあり、接続点での段差を正確に測定できないおそれもある。
【0018】
更に、通信設備ビルとユーザビルとの間を結ぶ光ファイバケーブルが、例えば、製造メーカの違いや製造時期の違いにより、接続点前後でレーリー後方散乱光のレベルが大きく異なる光ファイバを用いて接続されている場合もあり、この場合、OTDRにて測定された接続損失の誤差も大きくなってしまうため、接続点の評価を高精度に行えないという問題があった。
【0019】
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、片側端からの光パルス試験でも光線路の接続点の損失を高精度で評価することができる光線路特性の解析方法及び光線路試験システム及び光線路試験監視システムを提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明に係る光線路特性の解析方法は、
試験光を入出力する光合分岐手段(光カプラ)を、両端部が伝送装置に接続された光ファイバからなる光線路の一方の伝送装置の近傍に挿入し、
通信光を透過すると共に、試験光を遮断して、高効率に反射する試験光反射手段(ターミネーションフィルタ)を、他方の伝送装置の直前に挿入し、
光線路の距離及び受光強度からなる光学特性を計測する光試験手段(光パルス試験器)からの光パルス等の試験光を、光合分岐手段を介して光線路に入射し、
試験光反射手段に到達するまでの試験光により生じた後方散乱光の受光強度を、光試験手段により自動的に解析して、光線路の接続点での第1の接続損失値を求め、
試験光反射手段で反射された試験光により生じ、更に試験光反射手段で反射された後方散乱光の受光強度を、光試験手段により自動的に解析して、接続点での第2の接続損失値を求め、
接続点における接続損失の真の値を、第1の接続損失値と第2の接続損失値とから算出する。
上記方法により、光線路の両端から光試験手段による測定を行わなくても、つまり、光線路の片側端からの光試験手段による測定でも、光線路の接続点の接続損失の真値を、レーリー後方散乱光のレベル差を含むことなく、測定することが可能となる。
【0021】
上記課題を解決する本発明に係る光線路試験システムは、
両端部が伝送装置に接続された光ファイバからなる光線路の一方の伝送装置近傍に挿入され、試験光を入出力する光合分岐手段(光カプラ)と、
他方の伝送装置の直前に挿入され、通信光を透過すると共に、試験光を遮断して、高効率に反射する試験光反射手段(ターミネーションフィルタ)と、
光合分岐手段を介して光線路に光パルス等の試験光を入射すると共に、光線路の距離及び受光強度からなる光学特性を計測する光試験手段(光パルス試験器)とを有し、
試験光反射手段に到達するまでの試験光により生じた後方散乱光の受光強度から解析した光線路の接続点での第1の接続損失値と、
試験光反射手段で反射された試験光により生じ、更に試験光反射手段で反射された後方散乱光の受光強度から解析した接続点での第2の接続損失値とを用いて、
接続点における接続損失の真の値を算出する解析手段を備える。
上記構成により、光線路の両端から光試験手段による測定を行わなくても、つまり、光線路の片側端からの光試験手段による測定でも、光線路の接続点の接続損失の真値を、レーリー後方散乱光のレベル差を含むことなく、測定することが可能となる。
【0022】
上記課題を解決する本発明に係る光線路試験監視システムは、
通信網を介して遠隔で操作を行う操作手段(操作端末等)と、
操作手段からの指示を受けて、上記光線路試験システムの光試験手段を制御すると共に、光試験手段での試験結果を操作手段に送信する試験制御手段(試験制御手段)とを備え、
上記光線路試験システムを監視するものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明に係る光線路試験監視システムの一例を図1に示し、図1に基づいて本発明に係る光線路試験監視システムの構成を説明する。
【0024】
図1に示すように、光線路を構成する光ファイバ5は、その両端部に、電気通信設備を設置する通信設備ビル1に設置され、光信号を送受信する伝送装置2と、ユーザビル3(又は、他の通信設備ビル)に設置され、伝送装置1に対向して光信号を送受信する伝送装置4が接続されている。又、設備情報を管理する設備管理センタ6には、光線路設備のデータベース7と、後述する光試験装置15を遠隔で操作する操作端末8が設置され、通信網9を介して通信設備ビル1と設備管理センタ6との間が接続されている。操作手段となる上記データベース7、操作端末8等が後述する光線路試験システムを操作し、監視することで、光線路試験監視システムとして機能する。
【0025】
本発明に係る光線路試験システムでは、通信設備ビル1内の光ファイバ5(つまり、一方の片側端となる伝送装置2の近傍)に、試験光を光ファイバ5へ合分波すると共に、伝送装置2への試験光を遮断する光カプラモジュール12が挿入される。又、他方の片側端となるユーザビル3内の伝送装置4の直前の光ファイバ5に、通信光を透過すると共に、伝送装置4への試験光を遮断するターミネーションフィルタ13が接続されている。光カプラモジュール12には、試験が実施される光ファイバ心線を選択する心線選択装置16が接続されて光成端架14が構成されており、この光成端架14に光試験装置15が接続されている。この光試験装置15は、心線選択装置16と後述の光測定器18とを選択する光測定器・試験架選択装置(FTES)17と、光パルス試験器(OTDR)、損失試験光源、心線対照光源、パワーメータの機能をもつ光測定器18と、操作端末8からの試験指示を受け取り、光測定器18を制御すると共に、試験結果を設備センタ6に送信する試験制御装置19等を有している。なお、OTDRは試験光となる光パルスを入射すると共に、光線路の距離及び受光強度からなる光学特性を計測するものである。又、図1では、簡略にするために、光ファイバ5及び光カプラモジュール12を、それぞれ1つ記載したが、実際は、数百本の光ファイバ及びそれに対応する光カプラモジュールが設置されている。
【0026】
光カプラモジュール12は、試験光を入出力することで、試験光と通信光とを合分波して光ファイバ5に結合させる光カプラ10と、通信光を透過すると共に、試験光を遮断するフィルタ11とからなる。つまり、光カプラモジュール12は、伝送装置2と伝送装置4との間を送受信する通信光用のポートとして、伝送装置2側の光ファイバ5cが接続されるポートと、伝送装置4側の光ファイバ5aが接続されるポートを有し、更に、心線選択装置16が接続される試験光用の2つポートを有する。試験光用の2つポートは、試験を行うときに、いずれかのポートが選択されて、光ファイバ5及び伝送装置4側、又は、伝送装置2側のいずれかに光試験装置15が接続されて、試験光が入射されることとなる。なお、フィルタ11は伝送装置2の直前であればどこでもよく、必ずしも、光カプラモジュール12内に設ける必要はない。
【0027】
従来の光線路試験監視システムでのターミネーションフィルタ23(図4参照)は、通信光を透過すると共に、試験光を遮断するものであるが、通信光の反射を抑えることを考慮して、その反射の強さは、開放端でのフレネル反射(約−15dB)よりもやや大きく試験光を反射させるものであった。しかしながら、本発明に係る光線路試験監視システムでは、その基本的な構成が従来と略同等とはいえ、本発明に係るターミネーションフィルタ13として、試験光を高効率で反射し、かつ、反射損失量の小さいFBGフィルタを用いている。更に、ターミネーションフィルタ13に到達するまでの試験光により生じたレーリー後方散乱光の受光強度を、OTDR波形の測定により解析して、光線路の接続点での接続損失(第1の接続損失)を求め、加えて、ターミネーションフィルタ13で反射された試験光により生じたレーリー後方散乱光の受光強度を、OTDR波形の測定により解析して、光線路の接続点での接続損失(第2の接続損失)を求め、これらの接続損失より真の接続損失を算出する解析手段18aを有している。上記構成であるため、片側端からのみ試験光を入射して、測定を行うにもかかわらず、異なるレーリー後方散乱光のレベル差に影響を受けることなく、精度よく接続損失の真値を算出することができる。
【0028】
具体的には、試験光である光パルスを高効率で反射するターミネーションフィルタ13を光ファイバ5の他端側に設置したため、OTDRから入射された光パルスがターミネーションフィルタ13で反射されて、あたかも他端側からも光パルスが入射されたような状態になり、その反射された光パルスによるレーリー後方散乱光が更にターミネーションフィルタ13で反射されることで、片側端に設けられたOTDRにて測定が可能となっている。そこで、本発明に係る解析方法の一実施例を、図2、図3を参照して詳細に説明する。
【0029】
図2に終端にFBGフィルタ型のターミネーションフィルタを設置した光線路の場合のOTDR測定波形を示す。
図2に示すように、本発明を用いた場合、OTDR測定波形としては、ターミネーションフィルタ13を中心として、区間Aと区間Bの波形が現れる。区間Aの測定波形は、OTDRから入射された光パルスにより生じたレーリー後方散乱光が受光、測定されたものであり、区間Bの測定波形は、一度ターミネーションフィルタ13で反射された光パルスにより生じたレーリー後方散乱光が、更にターミネーションフィルタ13で反射されてOTDRで受光、測定されたものである。又、区間A、Bの境界の測定波形は、ターミネーションフィルタ13でのフレネル反射が測定されたものである。区間Bの測定波形は、時間軸上で、ちょうど測定対象の光ファイバの長さ分だけずれて、OTDRに到達するため、図2に示したように、光ファイバの終端(ターミネーションフィルタ13の部分)で、ファイバを折り返したような波形が現れる。つまり、測定対象の光ファイバを反対側の端部、すなわちターミネーションフィルタ13側から光パルスを入射して、受光強度を測定したものと同等のOTDR波形を得られることとなる。
【0030】
ここで、光ファイバ5及び接続点20の透過損失をLf、ターミネーションフィルタ13の反射損失をLrlとすると、区間Aで透過損失Lf分の段差、ターミネーションフィルタで反射損失Lrl分の段差ができ、その後、区間Bで透過損失Lf分の段差が現れる。なお、ターミネーションフィルタ13として用いるFBGフィルタの反射損失は約1dBであり、ターミネーションフィルタ13での反射による段差は約1dBと小さい。なお、ターミネーションフィルタ13としては、FBG型光フィルタだけではなく、試験光となる光パルスを高効率で反射し、反射損失が小さいものであれば、その他の光フィルタ、例えば、誘電体多層膜型光フィルタ等も用いることができる。
【0031】
図2に示した区間Aの波形と区間Bの波形を用いて、接続点20における接続損失の真値を求める解析方法を、図3を用いて説明する。
図3(a)は区間Aにおける接続点20の段差(図2の▲1▼の部分に該当)を示し、図3(b)は区間Bにおける接続点20の段差(図2の▲2▼の部分に該当)を示す図である。区間Aにおける接続点20の段差をLs、区間Bにおける接続点20の段差をLis、異なる光ファイバのレーリー後方散乱光のレベルの差をaとし、接続損失の真値をsとすると、それぞれの段差は、両端から測定した場合と同様に、以下の数式で表される。
Ls=s+a
Lis=s−a
これらの測定結果の平均値をとると、
(Ls+Lis)/2=((s+a)+(s−a))/2=s
となり、片側端からのみのOTDR試験で、接続損失の真値を得ることが可能となる。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、光ファイバに光パルスを入射すると共に、光ファイバの距離及び受光強度からなる光学特性を測定し、その測定データから光ファイバの接続点における接続損失を解析する光パルス試験器を、光ファイバの片側端に接続し、ターミネーションフィルタに到達するまでの光パルスにより生じた後方散乱光の受光強度から解析した光ファイバの接続点での接続損失値と、ターミネーションフィルタで反射された光パルスにより生じ、更にターミネーションフィルタで反射された後方散乱光の受光強度から解析した光ファイバの接続点での接続損失値とを用いて、光ファイバの接続点における接続損失の真の値を算出するので、光ファイバの両端から光パルス試験を行うことなく、異なる光ファイバのレーリー後方散乱光のレベル差を含まない接続損失、つまり、接続損失の真値を正確に測定することが可能となる。
【0033】
したがって、光ファイバケーブルの建設工事や故障発生時の光パルス試験おいて、従来の片側端測定と比較して、接続点前後の異なる二つの光ファイバのレーリー後方散乱光のレベルの差を含むことなく、接続損失の真値の測定が可能となり、接続状態の良否判定を、より高精度に行うことができる。又、光通信設備の信頼性を向上させ、保守、運用を効率化させることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光線路試験監視システムの実施形態の一例を示すブロック図である。
【図2】終端にFBG型ターミネーションファイルタを設置した光線路のOTDR波形である。
【図3】反射パルスの後方散乱光による接続損失の解析方法を示すOTDR波形である。
【図4】従来の光線路試験監視システムの構成を示すブロック図である。
【図5】光カプラモジュールの構成の詳細を示す図である。
【図6】誘電体多層膜フィルタ及びFBGフィルタの透過損失スペクトルを示す図である。
【図7】終端に光コネクタを設置した光線路のOTDR波形である。
【図8】接続点における接続損失の解析方法を示すOTDR波形である。
【符号の説明】
1 通信設備ビル
2 伝送装置
3 ユーザビル
4 伝送装置
5 光ファイバ
6 設備管理センタ
7 データベース
8 操作端末
9 通信網
10 光カプラ
11 光フィルタ
12 光カプラモジュール
13 ターミネーションフィルタ
14 光成端架
15 光試験装置
16 心線選択装置(FS)
17 FTES
18 光測定器
18a 解析手段
19 試験制御装置
20 接続点
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信設備の光線路の特性の解析方法及び光線路の特性の解析を行う光線路試験システム及びその監視を行う光線路試験監視システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
光線路試験監視システムは、光通信サービスに影響を与えることなく、光線路である光ファイバケーブルを試験、監視するシステムである。従来の光線路試験監視システム(特許文献1参照)を図4に示し、図4に基づいて従来の光線路試験監視システムの構成を説明する。
【0003】
図4に示すように、光線路を構成する光ファイバ5は、電気通信設備を設置する通信設備ビル1に設置され、光信号を送受信する伝送装置2と、ユーザビル3に設置され、伝送装置1に対向して光信号を送受信する伝送装置4との間に接続されている。又、設備情報を管理する設備管理センタ6には、光線路設備のデータベース7と、後述する光試験装置15を遠隔で操作する操作端末8が設置され、通信網9を介して通信設備ビル1と設備管理センタ6との間が接続されている。
【0004】
従来の光線路試験監視システムでは、通信設備ビル1内の光ファイバ5に、試験光を光ファイバ5へ合分波すると共に、伝送装置2への試験光を遮断する光カプラモジュール12が設置され、ユーザビル3内の伝送装置4の直前の光ファイバ5に、通信光を透過すると共に、伝送装置4への試験光を遮断するターミネーションフィルタ23が接続されている。又、光カプラモジュール12には、試験が実施される光ファイバ心線を選択する心線選択装置16が接続されて光成端架14が構成されており、この光成端架14に光試験装置15が接続されている。この光試験装置15は、心線選択装置16と後述の光測定器18とを選択する光測定器・試験架選択装置(以下、FTESと呼ぶ。)17と、光パルス試験器(以下、OTDRと呼ぶ。)、損失試験光源、心線対照光源、パワーメータの機能をもつ光測定器18と、操作端末8からの試験指示を受け取り、試験結果を設備センタに送信する試験制御装置19等から構成される。
【0005】
図5は、図4に示した光カプラモジュール12の詳細を示す図である。
図5に示すように、光カプラモジュール12は、試験光と通信光を合分波して光ファイバ5に結合させる光カプラ10と、通信光を透過すると共に、試験光を遮断するフィルタ11とからなる。図4を参照して説明すると、Aポートには伝送装置2側の光ファイバ5cが接続され、Bポートには伝送装置4側の光ファイバ5aが接続される。つまり、Aポート、Bポートは、伝送装置2と伝送装置4との間を送受信する通信光用のポートとなっている。一方、試験光用のポートとなるCポート、Dポートには、心線選択装置16が接続され、Cポートは光ファイバ5及び伝送装置4側を、Dポートは伝送装置2側を試験するときに選択されて、光試験装置15が接続されることとなる。
【0006】
次に、図4に示した従来の光線路試験監視システムを用いて、光線路の障害を検知する方法を説明する。
【0007】
図4に示す従来の光線路試験監視システムでは、設備管理センタ6にある操作端末8から、データベース7に基づいて試験命令を光試験装置15に出す。この命令にしたがって、光試験装置15の試験制御装置19は、FTES17で光測定器18を選択し、更に、光カプラの試験光入出カポートが収容されている心線選択装置16で、指定された光ファイバ心線が接続された光カプラモジュール12の試験光入カポートを選択する。光測定器18からの試験光が光通信サービスに影響を与えないように、伝送装置2と伝送装置4の前にはフィルタ11とターミネーションフィルタ23が、それぞれ設置されており、これにより、光試験装置15から指定された光ファイバ5のインサービス試験が可能となる。
【0008】
又、伝送装置2又は伝送装置4での故障と、光線路区間(光ファイバ5)での故障とを切り分けるため、ターミネーションフィルタ23は、開放端でのフレネル反射よりも試験光を大きく反射するように設計されている。通常、光ファイバの開放端のフレネル反射は約−15dBであり、例えば、ターミネーションフィルタの試験光の反射を−12dB以上に設定した場合、反射が−15dB以下に減少することによって光線路の故障、つまり、破断が分かることになる。
【0009】
ここで、フィルタ11及びターミネーションフィルタ23について、更に説明を行う。
フィルタ11には、誘電体多層膜型光フィルタが一般的に用いられている。誘電体多層膜は、屈折率の異なる薄い膜を石英ガラス等に数十〜数百層も積層した多層膜構造をしており、光ファイバや導波路や光コネクタ部分に特定の角度で挿入することによって、特定の波長のみをクラッドに反射させ、透過、遮断波長帯域や遮断波長の反射量を調節できるものである。このような誘電体多層膜を用いたフィルタ11の光学特性を図6(a)に示す。図6(a)に示すように、フィルタ11は、1.26μm〜1.58μmの帯域では、1.0dB以下の透過損失であり、通信光として用いる波長帯域では小さい損失で通信光を透過することがわかる。又、1.58から1.64μmの帯域では、透過損失が増加しており、試験光として用いる1.65μmでは、約40dBの透過損失、つまり、約40dBの遮断量を持つことがわかる。なお、フィルタ11での試験光の反射減衰量は、誘電体多層膜フィルタの挿入角度の調整により40dB以上にすることが可能である。
【0010】
一方、ターミネーションフィルタ23には、挿入角度を調節して試験光の反射を−12dB以上にした誘電体多層膜フィルタやファイバブラッググレーティング(以下、FBGと略す。)が用いられる。FBG型光フィルタは光ファイバに紫外線を照射して、光ファイバのコア又はコアとクラッドの長手方向に、数百nm程度の周期で数万本の屈折率の異なる格子を形成したものである。この屈折率変調の周期条件がブラッグの反射条件を満たすことにより、特定波長のみを反射させ、それ以外の波長は透過させることができるものである。このようなFBG型光フィルタを用いたターミネーションフィルタ23の光学特性を図6(b)に示す。図6(b)に示すように、ターミネーションフィルタ23は、1.26μm〜1.625μmの帯域では透過損失が小さく、通信光を0.8dB以下の透過損失で透過する。1.625μmから1.645μmの帯域では、透過損失が急激に上昇し、試験光として用いる1.65μmでは、試験光の遮断量が20dBとなる。なお、ターミネーションフィルタ23では、試験光が約−1dBで反射している。
【0011】
次に、図4の光線路試験監視システムにおいて、インサービス試験でOTDR試験を行った場合について、図7、図8を用いて説明する。なお、このときの試験光の波長は1.65μmとした。
【0012】
従来、光線路試験監視システムにおいて、OTDRを用いて光線路の接続点の接続損失を求めるには、接続点を挟む両区間の光線路における後方散乱光の受光強度の近似直線を求め、接続点における受光強度の段差により接続損失を算出する5点法を用いて自動解析を行っている(非特許文献1参照)。
【0013】
通常、OTDRを用いた光ファイバの測定では、図7に示すように、終端の光コネクタ21でフレネル反射が立ち、ファイバ区間としては、OTDRから入射された光パルスのレーリー後方散乱光が測定される。又、ファイバ区間の途中に接続点20がある場合は、図7の▲3▼の部分に示すような段差が測定される。
【0014】
図8は、図7の▲3▼の部分を拡大して示したものである。
図8に示すように、接続点20の前後のファイバ区間(光ファイバ5a、5b)の後方散乱光の傾きと、接続点20における段差から、前述の5点法を用いて、接続点における接続損失を算出することができる。
【0015】
具体的に説明すると、光ファイバの片側端から試験光である光パルスを入射してOTDR試験を実施した場合、接続点20における接続損失は、二つの異なる光ファイバ5a、5bのレーリー後方散乱光のレベル差と真の接続損失とが合わされた段差として測定される。つまり、図8に示すように、実際の接続損失(接続損失の真値)をsとした時、OTDR測定波形から算出される段差の値Lsは、前後の光ファイバのレーリー後方散乱光のレベル差aも含んでしまうため、実際の接続損失sとレーリー後方散乱光のレベルの差aの和として測定される。これを数式で表すと以下の式となる。
Ls=s+a
又、同じ光ファイバを逆方向から測定した場合には、OTDR測定波形から算出される接続点20における接続損失Lisは、以下の数式で表される。
Lis=s−a
したがって、光ファイバの両端からそれぞれ測定した場合、これらの測定結果の平均値をとると、
(Ls+Lis)/2=((s+a)十(s−a))/2=s
となり、接続損失の真値sを得ることができる。
【0016】
【特許文献1】
特開平2−1632号公報(第4−9頁、第1−8図)
【非特許文献1】
石原廣司監修、「実務に役立つ光ファイバ技術200のポイント」、電気通信協会、平成13年6月25日、p.296
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
光パルス試験器(OTDR)を用いて接続点での接続損失を正確に測定するには、光ファイバの両端から測定を行い、測定された値の平均値をとればよい。しかしながら、現実には、光線路試験監視システムを用いた場合、通信設備ビル側での片側端からのOTDR試験となることが多いために、接続点での段差、つまり、接続損失の測定値は、接続点の前後の二つの異なる光ファイバのレーリー後方散乱光のレベル差と真の接続損失とが合わされた値として常に測定される。又、光ファイバの片側端からOTDR試験を行った場合、接続点の段差が上向きに現れたり、下向きに現れたり、又、段差のない状態で現れることもあり、接続点での段差を正確に測定できないおそれもある。
【0018】
更に、通信設備ビルとユーザビルとの間を結ぶ光ファイバケーブルが、例えば、製造メーカの違いや製造時期の違いにより、接続点前後でレーリー後方散乱光のレベルが大きく異なる光ファイバを用いて接続されている場合もあり、この場合、OTDRにて測定された接続損失の誤差も大きくなってしまうため、接続点の評価を高精度に行えないという問題があった。
【0019】
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、片側端からの光パルス試験でも光線路の接続点の損失を高精度で評価することができる光線路特性の解析方法及び光線路試験システム及び光線路試験監視システムを提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明に係る光線路特性の解析方法は、
試験光を入出力する光合分岐手段(光カプラ)を、両端部が伝送装置に接続された光ファイバからなる光線路の一方の伝送装置の近傍に挿入し、
通信光を透過すると共に、試験光を遮断して、高効率に反射する試験光反射手段(ターミネーションフィルタ)を、他方の伝送装置の直前に挿入し、
光線路の距離及び受光強度からなる光学特性を計測する光試験手段(光パルス試験器)からの光パルス等の試験光を、光合分岐手段を介して光線路に入射し、
試験光反射手段に到達するまでの試験光により生じた後方散乱光の受光強度を、光試験手段により自動的に解析して、光線路の接続点での第1の接続損失値を求め、
試験光反射手段で反射された試験光により生じ、更に試験光反射手段で反射された後方散乱光の受光強度を、光試験手段により自動的に解析して、接続点での第2の接続損失値を求め、
接続点における接続損失の真の値を、第1の接続損失値と第2の接続損失値とから算出する。
上記方法により、光線路の両端から光試験手段による測定を行わなくても、つまり、光線路の片側端からの光試験手段による測定でも、光線路の接続点の接続損失の真値を、レーリー後方散乱光のレベル差を含むことなく、測定することが可能となる。
【0021】
上記課題を解決する本発明に係る光線路試験システムは、
両端部が伝送装置に接続された光ファイバからなる光線路の一方の伝送装置近傍に挿入され、試験光を入出力する光合分岐手段(光カプラ)と、
他方の伝送装置の直前に挿入され、通信光を透過すると共に、試験光を遮断して、高効率に反射する試験光反射手段(ターミネーションフィルタ)と、
光合分岐手段を介して光線路に光パルス等の試験光を入射すると共に、光線路の距離及び受光強度からなる光学特性を計測する光試験手段(光パルス試験器)とを有し、
試験光反射手段に到達するまでの試験光により生じた後方散乱光の受光強度から解析した光線路の接続点での第1の接続損失値と、
試験光反射手段で反射された試験光により生じ、更に試験光反射手段で反射された後方散乱光の受光強度から解析した接続点での第2の接続損失値とを用いて、
接続点における接続損失の真の値を算出する解析手段を備える。
上記構成により、光線路の両端から光試験手段による測定を行わなくても、つまり、光線路の片側端からの光試験手段による測定でも、光線路の接続点の接続損失の真値を、レーリー後方散乱光のレベル差を含むことなく、測定することが可能となる。
【0022】
上記課題を解決する本発明に係る光線路試験監視システムは、
通信網を介して遠隔で操作を行う操作手段(操作端末等)と、
操作手段からの指示を受けて、上記光線路試験システムの光試験手段を制御すると共に、光試験手段での試験結果を操作手段に送信する試験制御手段(試験制御手段)とを備え、
上記光線路試験システムを監視するものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明に係る光線路試験監視システムの一例を図1に示し、図1に基づいて本発明に係る光線路試験監視システムの構成を説明する。
【0024】
図1に示すように、光線路を構成する光ファイバ5は、その両端部に、電気通信設備を設置する通信設備ビル1に設置され、光信号を送受信する伝送装置2と、ユーザビル3(又は、他の通信設備ビル)に設置され、伝送装置1に対向して光信号を送受信する伝送装置4が接続されている。又、設備情報を管理する設備管理センタ6には、光線路設備のデータベース7と、後述する光試験装置15を遠隔で操作する操作端末8が設置され、通信網9を介して通信設備ビル1と設備管理センタ6との間が接続されている。操作手段となる上記データベース7、操作端末8等が後述する光線路試験システムを操作し、監視することで、光線路試験監視システムとして機能する。
【0025】
本発明に係る光線路試験システムでは、通信設備ビル1内の光ファイバ5(つまり、一方の片側端となる伝送装置2の近傍)に、試験光を光ファイバ5へ合分波すると共に、伝送装置2への試験光を遮断する光カプラモジュール12が挿入される。又、他方の片側端となるユーザビル3内の伝送装置4の直前の光ファイバ5に、通信光を透過すると共に、伝送装置4への試験光を遮断するターミネーションフィルタ13が接続されている。光カプラモジュール12には、試験が実施される光ファイバ心線を選択する心線選択装置16が接続されて光成端架14が構成されており、この光成端架14に光試験装置15が接続されている。この光試験装置15は、心線選択装置16と後述の光測定器18とを選択する光測定器・試験架選択装置(FTES)17と、光パルス試験器(OTDR)、損失試験光源、心線対照光源、パワーメータの機能をもつ光測定器18と、操作端末8からの試験指示を受け取り、光測定器18を制御すると共に、試験結果を設備センタ6に送信する試験制御装置19等を有している。なお、OTDRは試験光となる光パルスを入射すると共に、光線路の距離及び受光強度からなる光学特性を計測するものである。又、図1では、簡略にするために、光ファイバ5及び光カプラモジュール12を、それぞれ1つ記載したが、実際は、数百本の光ファイバ及びそれに対応する光カプラモジュールが設置されている。
【0026】
光カプラモジュール12は、試験光を入出力することで、試験光と通信光とを合分波して光ファイバ5に結合させる光カプラ10と、通信光を透過すると共に、試験光を遮断するフィルタ11とからなる。つまり、光カプラモジュール12は、伝送装置2と伝送装置4との間を送受信する通信光用のポートとして、伝送装置2側の光ファイバ5cが接続されるポートと、伝送装置4側の光ファイバ5aが接続されるポートを有し、更に、心線選択装置16が接続される試験光用の2つポートを有する。試験光用の2つポートは、試験を行うときに、いずれかのポートが選択されて、光ファイバ5及び伝送装置4側、又は、伝送装置2側のいずれかに光試験装置15が接続されて、試験光が入射されることとなる。なお、フィルタ11は伝送装置2の直前であればどこでもよく、必ずしも、光カプラモジュール12内に設ける必要はない。
【0027】
従来の光線路試験監視システムでのターミネーションフィルタ23(図4参照)は、通信光を透過すると共に、試験光を遮断するものであるが、通信光の反射を抑えることを考慮して、その反射の強さは、開放端でのフレネル反射(約−15dB)よりもやや大きく試験光を反射させるものであった。しかしながら、本発明に係る光線路試験監視システムでは、その基本的な構成が従来と略同等とはいえ、本発明に係るターミネーションフィルタ13として、試験光を高効率で反射し、かつ、反射損失量の小さいFBGフィルタを用いている。更に、ターミネーションフィルタ13に到達するまでの試験光により生じたレーリー後方散乱光の受光強度を、OTDR波形の測定により解析して、光線路の接続点での接続損失(第1の接続損失)を求め、加えて、ターミネーションフィルタ13で反射された試験光により生じたレーリー後方散乱光の受光強度を、OTDR波形の測定により解析して、光線路の接続点での接続損失(第2の接続損失)を求め、これらの接続損失より真の接続損失を算出する解析手段18aを有している。上記構成であるため、片側端からのみ試験光を入射して、測定を行うにもかかわらず、異なるレーリー後方散乱光のレベル差に影響を受けることなく、精度よく接続損失の真値を算出することができる。
【0028】
具体的には、試験光である光パルスを高効率で反射するターミネーションフィルタ13を光ファイバ5の他端側に設置したため、OTDRから入射された光パルスがターミネーションフィルタ13で反射されて、あたかも他端側からも光パルスが入射されたような状態になり、その反射された光パルスによるレーリー後方散乱光が更にターミネーションフィルタ13で反射されることで、片側端に設けられたOTDRにて測定が可能となっている。そこで、本発明に係る解析方法の一実施例を、図2、図3を参照して詳細に説明する。
【0029】
図2に終端にFBGフィルタ型のターミネーションフィルタを設置した光線路の場合のOTDR測定波形を示す。
図2に示すように、本発明を用いた場合、OTDR測定波形としては、ターミネーションフィルタ13を中心として、区間Aと区間Bの波形が現れる。区間Aの測定波形は、OTDRから入射された光パルスにより生じたレーリー後方散乱光が受光、測定されたものであり、区間Bの測定波形は、一度ターミネーションフィルタ13で反射された光パルスにより生じたレーリー後方散乱光が、更にターミネーションフィルタ13で反射されてOTDRで受光、測定されたものである。又、区間A、Bの境界の測定波形は、ターミネーションフィルタ13でのフレネル反射が測定されたものである。区間Bの測定波形は、時間軸上で、ちょうど測定対象の光ファイバの長さ分だけずれて、OTDRに到達するため、図2に示したように、光ファイバの終端(ターミネーションフィルタ13の部分)で、ファイバを折り返したような波形が現れる。つまり、測定対象の光ファイバを反対側の端部、すなわちターミネーションフィルタ13側から光パルスを入射して、受光強度を測定したものと同等のOTDR波形を得られることとなる。
【0030】
ここで、光ファイバ5及び接続点20の透過損失をLf、ターミネーションフィルタ13の反射損失をLrlとすると、区間Aで透過損失Lf分の段差、ターミネーションフィルタで反射損失Lrl分の段差ができ、その後、区間Bで透過損失Lf分の段差が現れる。なお、ターミネーションフィルタ13として用いるFBGフィルタの反射損失は約1dBであり、ターミネーションフィルタ13での反射による段差は約1dBと小さい。なお、ターミネーションフィルタ13としては、FBG型光フィルタだけではなく、試験光となる光パルスを高効率で反射し、反射損失が小さいものであれば、その他の光フィルタ、例えば、誘電体多層膜型光フィルタ等も用いることができる。
【0031】
図2に示した区間Aの波形と区間Bの波形を用いて、接続点20における接続損失の真値を求める解析方法を、図3を用いて説明する。
図3(a)は区間Aにおける接続点20の段差(図2の▲1▼の部分に該当)を示し、図3(b)は区間Bにおける接続点20の段差(図2の▲2▼の部分に該当)を示す図である。区間Aにおける接続点20の段差をLs、区間Bにおける接続点20の段差をLis、異なる光ファイバのレーリー後方散乱光のレベルの差をaとし、接続損失の真値をsとすると、それぞれの段差は、両端から測定した場合と同様に、以下の数式で表される。
Ls=s+a
Lis=s−a
これらの測定結果の平均値をとると、
(Ls+Lis)/2=((s+a)+(s−a))/2=s
となり、片側端からのみのOTDR試験で、接続損失の真値を得ることが可能となる。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、光ファイバに光パルスを入射すると共に、光ファイバの距離及び受光強度からなる光学特性を測定し、その測定データから光ファイバの接続点における接続損失を解析する光パルス試験器を、光ファイバの片側端に接続し、ターミネーションフィルタに到達するまでの光パルスにより生じた後方散乱光の受光強度から解析した光ファイバの接続点での接続損失値と、ターミネーションフィルタで反射された光パルスにより生じ、更にターミネーションフィルタで反射された後方散乱光の受光強度から解析した光ファイバの接続点での接続損失値とを用いて、光ファイバの接続点における接続損失の真の値を算出するので、光ファイバの両端から光パルス試験を行うことなく、異なる光ファイバのレーリー後方散乱光のレベル差を含まない接続損失、つまり、接続損失の真値を正確に測定することが可能となる。
【0033】
したがって、光ファイバケーブルの建設工事や故障発生時の光パルス試験おいて、従来の片側端測定と比較して、接続点前後の異なる二つの光ファイバのレーリー後方散乱光のレベルの差を含むことなく、接続損失の真値の測定が可能となり、接続状態の良否判定を、より高精度に行うことができる。又、光通信設備の信頼性を向上させ、保守、運用を効率化させることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光線路試験監視システムの実施形態の一例を示すブロック図である。
【図2】終端にFBG型ターミネーションファイルタを設置した光線路のOTDR波形である。
【図3】反射パルスの後方散乱光による接続損失の解析方法を示すOTDR波形である。
【図4】従来の光線路試験監視システムの構成を示すブロック図である。
【図5】光カプラモジュールの構成の詳細を示す図である。
【図6】誘電体多層膜フィルタ及びFBGフィルタの透過損失スペクトルを示す図である。
【図7】終端に光コネクタを設置した光線路のOTDR波形である。
【図8】接続点における接続損失の解析方法を示すOTDR波形である。
【符号の説明】
1 通信設備ビル
2 伝送装置
3 ユーザビル
4 伝送装置
5 光ファイバ
6 設備管理センタ
7 データベース
8 操作端末
9 通信網
10 光カプラ
11 光フィルタ
12 光カプラモジュール
13 ターミネーションフィルタ
14 光成端架
15 光試験装置
16 心線選択装置(FS)
17 FTES
18 光測定器
18a 解析手段
19 試験制御装置
20 接続点
Claims (3)
- 試験光を入出力する光合分岐手段を、両端部が伝送装置に接続された光線路の一方の伝送装置の近傍に挿入し、
通信光を透過すると共に、試験光を高効率に反射する試験光反射手段を、他方の伝送装置の直前に挿入し、
前記光線路の距離及び受光強度からなる光学特性を計測する光試験手段からの試験光を、前記光合分岐手段を介して前記光線路に入射し、
前記試験光反射手段に到達するまでの前記試験光により生じた後方散乱光の受光強度を、前記光試験手段により解析して、前記光線路の接続点での第1の接続損失値を求め、
前記試験光反射手段で反射された前記試験光により生じ、更に前記試験光反射手段で反射された後方散乱光の受光強度を、前記光試験手段により解析して、前記接続点での第2の接続損失値を求め、
前記接続点における接続損失の真の値を、前記第1の接続損失値と前記第2の接続損失値とから算出することを特徴とする光線路特性の解析方法。 - 両端部が伝送装置に接続された光線路の一方の伝送装置近傍に挿入され、試験光を入出力する光合分岐手段と、
他方の伝送装置の直前に挿入され、通信光を透過すると共に、試験光を高効率に反射する試験光反射手段と、
前記光合分岐手段を介して前記光線路に試験光を入射すると共に、前記光線路の距離及び受光強度からなる光学特性を計測する光試験手段とを有し、
前記試験光反射手段に到達するまでの前記試験光により生じた後方散乱光の受光強度から解析した前記光線路の接続点での第1の接続損失値と、
前記試験光反射手段で反射された前記試験光により生じ、更に前記試験光反射手段で反射された後方散乱光の受光強度から解析した前記接続点での第2の接続損失値とを用いて、
前記接続点における接続損失の真の値を算出する解析手段を備えたことを特徴とする光線路試験システム。 - 通信網を介して遠隔で操作を行う操作手段と、
前記操作手段からの指示を受けて、請求項2記載の光線路試験システムの前記光試験手段を制御すると共に、前記光試験手段での試験結果を前記操作手段に送信する試験制御手段とを備え、
請求項2記載の光線路試験システムを監視することを特徴とする光線路試験監視システム。
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JP4824817B2 (ja) * | 2006-07-11 | 2011-11-30 | テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル) | 伝送線路挿入損失の推定 |
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-
2003
- 2003-05-28 JP JP2003150199A patent/JP2004354125A/ja active Pending
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