JP2004353304A - 落橋防止装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】橋桁の橋軸方向端部に、一方の端部が取り付けられた連結ケーブル4により橋桁が橋脚、橋台等の下部構造から落下するのを防止するための落橋防止装置1であって、橋桁の端部に設けられ、連結ケーブル4が挿通される挿通孔7を有するブラケット5と、このブラケット5から突出する連結ケーブル4の端部に固定されたストッパ9とを備え、ブラケット5とストッパ9との間の連結ケーブル4の外周に、互いに隣接するものどうしが逆向きとなるように多数の皿ばね状部材16を嵌合配置した。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、大地震時に橋桁が橋脚や橋台等の下部構造から落下するのを防止する落橋防止装置に関し、さらに詳細には通常の地震時においては橋桁の変位を制限し、大地震時にはエネルギーを吸収する機能を備えた落橋防止装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
大地震により橋脚や橋台に水平力が作用すると、橋脚や橋台の損壊のみならす、それらが振動して橋桁が落下すなわち落橋するという被害をもたらす。このような橋桁の落下を防止するための落橋防止として、橋脚上の桁間や橋台と桁とをPCケーブルにより連結するもの、あるいはリンクにより連結するものが知られている。
【0003】
しかし、これら従来の落橋防止装置は、大地震時においてそのエネルギーを吸収する機構を備えておらず、荷重が急激に作用する構造となっている。また、既設橋梁の耐震補強の際には、変位制限装置(地震時のエネルギー吸収装置)と落橋防止装置とを設置することが多いが、これら2つを個別に設置するのは困難が多い。
【0004】
このような背景のもと、落橋防止装置にエネルギー吸収機能を持たせたものが提案されている(特許文献1参照)。この文献に記載された落橋防止装置は、連結ケーブルに金属製筒体を遊嵌するとともに、ウェッジプレートを設け、橋桁の変位によりウェッジプレートが筒体の径を拡径させることにより、地震時のエネルギーを吸収するようにしたものである。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−64914
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は上記のような技術的背景に基づいてなされたものであって、次の目的を達成するものである。
この発明の目的は、橋桁の変位を制限し、かつ地震時におけるエネルギーを吸収する機能を備えた落橋防止装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記課題を達成するために、次のような手段を採用している。
すなわち、この発明は、橋桁(3)の橋軸方向端部に、一方の端部が取り付けられた連結ケーブル(4)により前記橋桁(3)が橋脚、橋台等の下部構造から落下するのを防止するための落橋防止装置(1)であって、
前記橋桁(3)の端部に設けられ、前記連結ケーブル(4)が挿通される挿通孔(7)を有するブラケット(5)と、このブラケット(5)から突出する連結ケーブル(4)の端部に固定されたストッパ(9)とを備え、
前記ブラケット(5)と前記ストッパ(9)との間の連結ケーブル(4)の外周に、互いに隣接するものどうしが逆向きとなるように多数の皿ばね状部材(16)を嵌合配置したことを特徴とする落橋防止装置にある。
【0008】
前記各皿ばね状部材(16)は、互いに隣接するものどうしが当接する外周縁が平坦面(17)に形成されていることが好ましい。
【0009】
より具体的には、前記ストッパ(9)側の前記ブラケット(5)の面に配置され、前記連結ケーブル(4)が貫通する緩衝具(10)と、この緩衝具(10)と前記ストッパ(9)との間に配置され、前記連結ケーブル(4)の外周に軸方向に移動自在に嵌合される押圧板(13)と、この押圧板(13)と前記ストッパ(9)との間に配置され、前記連結ケーブル(4)を取り囲むコイルスプリング(15)とを備え、前記多数の皿ばね状部材(16)は、前記押圧板(13)と前記緩衝具(10)との間に配置されている。
【0010】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を図面を参照しながら以下に説明する。図1及び図2は、この発明の実施形態を示し、図1は橋軸直角方向に沿って見た全体正面図、図2は断面図である。この実施形態は、橋脚2の上部において橋軸方向端部が対向して設置される橋桁3,3間に、この発明による落橋防止装置を取り付けた例である。
【0011】
落橋防止装置1は橋桁3の各端部に取り付けられ、これらの桁端部を連結する部材である連結ケーブル4を有している。また、落橋防止装置1は、橋桁3に取り付けるためのブラケット5を有し、このブラケット5はソールプレート6を介して橋桁3に固定されている。図2に示すように、ブラケット5には連結ケーブル4が挿通される挿通孔7が設けられている。ブラケット5から突出する連結ケーブル4の端部には雄ねじ部8が形成され、この雄ねじ部8にストッパを構成するナット9が螺着されている。
【0012】
ブラケット5のストッパ9側の面には緩衝具10が設けられている。緩衝具10はゴム体11と支圧板12とからなり、この緩衝具10を連結ケーブル4が貫通している。ストッパ9と支圧板12との間に押圧板13が配置されている。この押圧板13は連結ケーブル4に軸方向に移動自在に嵌合している。雄ねじ部8には係止筒体14が螺着され、この係止筒体14の先端フランジ14aと押圧板13との間に連結ケーブル4を取り囲むコイルスプリング15が配置されている。係止筒体14の取り付け位置を適宜変えることにより、コイルスプリング15の伸縮ストロークを変えることができる。
【0013】
支圧板12と押圧板13との間には、多数の皿ばね状部材16が連結ケーブル4に嵌合されて配置されている。皿ばね状部材16は外形形状は周知の皿ばねと同様であり、中央に穴を有する截頭円錐形の部材である。そして、荷重を加えた場合、降伏点に達するまでは弾性を示す。しかし、通常の皿ばねと異なり、この発明では降伏後の塑性変形によるエネルギー吸収も期待しているので皿ばね状部材と称している。
【0014】
皿ばね状部材16は互いに隣接するものどうしが、逆向きとなるように配置されている。この結果、連結ケーブル4が図2において左方に変位すると、皿ばね状部材16は押圧板13によって押圧され、弾性変形さらには塑性変形する。この皿ばね状部材16としては、降伏後の延びが大きいSS400 などの低降伏点鋼が用いられる。
【0015】
皿ばね状部材16は、互いに隣接するものの外周縁が当接して軸方向に押圧しあうことにより変形する。この変形を確実にするために、図3に示すように、各皿ばね状部材16の外周縁は平坦面17に形成されている。
【0016】
再び図2を参照し、緩衝具10から突出している連結ケーブル4は、筒状のカバー18によって覆われている。このカバー18はボルト19によって支圧板12に固定されている。ブラケット5を挟んだストッパ9の反対側には、従来と同様に偏向ブロック20が配置されている。この偏向ブロック20はブラケット5に固定された1対の取付けプレート21に、ボルト22によって固定されている。偏向ブロック20には入口側に向かって拡がる挿通孔22が形成され、この孔22に連結ケーブル4が挿通されている。なお、連結ケーブル4はPC鋼より線23aと、PC鋼より線23aが挿入固定される鋼製のマンション23bと、PC鋼より線23aを被覆する合成樹脂製の被覆材23cとからなっている。
【0017】
上記落橋防止装置において、橋桁3の変位が小さい通常の地震時にはコイルスプリング15が圧縮変形し、橋桁3の変位に対応する。他方、大地震により橋桁3に大変位が生じると、コイルスプリング15が圧縮限度に達して押圧板13が皿ばね状部材16群を押圧する。これにより、皿ばね状部材16は弾性変形し、さらに降伏点に達した後は塑性変形して地震のエネルギーを吸収する。皿ばね状部材16が塑性変形した後は、緩衝ゴム体11が変形してエネルギーを吸収し、それ以上の過大な変位に対しては落橋防止機能が働く。なお、橋桁の大変位によって塑性変形した皿ばね状部材16は、取り替えることができ、繰り返しエネルギー吸収機能と変位制限機能との2つの機能を満足することができる。
【0018】
図4(イ)(ロ)は、それぞれ従来及びこの発明による落橋防止装置における荷重と変位との関係を示す特性線図である。(ロ)に示される、この発明による装置の特性線図において、変位域a,b,cはそれぞれスプリング作用範囲、皿ばね作用範囲及び緩衝ゴム体作用範囲であり、従来のものに比べてエネルギー吸収量を増大させることができた。
【0019】
上記実施形態は例示にすぎず、この発明は種々の形態を採ることができる。例えば、上記実施形態では橋脚上の桁間を連結する構造を示したが、橋台と橋桁とを連結する場合にも、この発明を適用できる。
【0020】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、橋桁の変位を制限し、かつ地震時におけるエネルギーを吸収する機能を備えた落橋防止装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態を示し、橋軸直角方向に沿った方向視による正面図である。
【図2】同実施形態の断面図である。
【図3】皿ばね状部材を拡大して示す断面図である。
【図4】(イ)(ロ)は、それぞれ従来及びこの発明による落橋防止装置における荷重と変位との関係を示す特性線図である。
【符号の説明】
1:落橋防止装置
2:橋脚
3:橋桁
4:連結ケーブル
5:ブラケット
7:挿通孔
9:ナット(ストッパ)
10:緩衝具
11:緩衝ゴム体
12:支圧板
13:押圧板
15:コイルスプリング
16:皿ばね状部材
17:平坦面
Claims (3)
- 橋桁(3)の橋軸方向端部に、一方の端部が取り付けられた連結ケーブル(4)により前記橋桁(3)が橋脚、橋台等の下部構造から落下するのを防止するための落橋防止装置(1)であって、
前記橋桁(3)の端部に設けられ、前記連結ケーブル(4)が挿通される挿通孔(7)を有するブラケット(5)と、このブラケット(5)から突出する連結ケーブル(4)の端部に固定されたストッパ(9)とを備え、
前記ブラケット(5)と前記ストッパ(9)との間の連結ケーブル(4)の外周に、互いに隣接するものどうしが逆向きとなるように多数の皿ばね状部材(16)を嵌合配置したことを特徴とする落橋防止装置。 - 前記各皿ばね状部材(16)は、互いに隣接するものどうしが当接する外周縁が平坦面(17)に形成されていることを特徴とする請求項1記載の落橋防止装置。
- 前記ストッパ(9)側の前記ブラケット(5)の面に配置され、前記連結ケーブル(4)が貫通する緩衝具(10)と、
この緩衝具(10)と前記ストッパ(9)との間に配置され、前記連結ケーブル(4)の外周に軸方向に移動自在に嵌合される押圧板(13)と、
この押圧板(13)と前記ストッパ(9)との間に配置され、前記連結ケーブル(4)を取り囲むコイルスプリング(15)とを備え、
前記多数の皿ばね状部材(16)は、前記押圧板(13)と前記緩衝具(10)との間に配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載の落橋防止装置。
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