JP2004352844A - ポリ乳酸系樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(a)ポリ乳酸系樹脂100重量部に対し、(b)滑剤0.3〜3重量部を含有するポリ乳酸系樹脂組成物、およびポリ乳酸系樹脂組成物を構成する各成分を溶融混練後、ホットカットするポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】本発明は、異型押出成形品用途、射出成形品用途に優れた加工特性を有し、かつ、乾燥工程を必要としないポリ乳酸系樹脂組成物とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂は、包装材料、食品用容器、雑貨、家庭用電化製品などに広く使用されている。これらの製品は使用後、家庭や工場から廃棄されるが、最終的にはごみ処理埋設用の土地に廃棄されたり、焼却場での焼却処理がなされている。
近年、これら熱可塑性樹脂の使用量が大きく増加してきており、これに伴い、家庭や工場から廃棄される量も急増しており、大都市周辺では埋設する土地の不足が深刻な問題となっている。また、これら熱可塑性樹脂が環境中に廃棄された場合、これら熱可塑性樹脂が、その化学的安定性により分解することなく残留し、景観を損ない、海洋生物の生活環境を汚染するなどの問題を引き起こしており、大きな社会問題になっている。
一方、これら熱可塑性樹脂を焼却処理した場合、高温で焼却処理すれば、有害なアウトガス発生を抑制することができるが、この方法は発生する燃焼熱により焼却炉の耐久年数を縮めることがある。
そこで、これらの問題を解決するために生分解性ポリマーが近年注目されている。特に、ポリ乳酸は出発原料に再生容易な植物資源を利用できるため、枯渇する石油資源から脱却でき、これらの利点から、汎用樹脂の代替として期待されている。
【0003】
このように、ポリ乳酸樹脂が注目され、各種用途への要求があり、様々な機能を付与したコンパウンドペレットが必要となっている。例えば、ポリ乳酸樹脂は衝撃強度が弱いという問題があり、衝撃強度改良を目的として柔軟な成分を添加する場合や、成形加工性を改良する目的として無機充填材を添加する場合がある。また、多様化する用途に併せ、様々な機能性添加剤(導電性カーボン、帯電防止剤)を添加する場合もある。
【0004】
さて、コンパウンドペレットを製造する場合、ポリ乳酸に関しては、通常は、溶融混練後、混練機のダイスから紐状の溶融物を押出し、水にて冷却後、カッター装置によりペレット化し、攪拌機能を有する乾燥機にて乾燥後使用する方法が取られている。しかしながら、攪拌機能を持たない乾燥機(ホッパドライヤー)で約80℃にて乾燥を行った場合、ペレットが装置内ブロッキングし、乾燥装置内から取り出せないという問題が発生する。また、乾燥しないで成形を行った場合、水分の影響で成形品に発泡現象がみられるなどの不具合が発生する。つまり、これまでの方法では、特殊な装置を有する乾燥設備が必要であった。
ホットカットによりペレットなどの組成物を得ることが可能であれば、大きな装置を必要とせずに製造が可能となり、生産効率が向上し(ストランド切れによる生産低下がない)、さらに、特殊な装置を有する乾燥設備も必要としない。しかしながら、ポリ乳酸は、金属剥離性が悪いために、現在はポリ乳酸をホットカットする技術は存在しない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述のような従来の問題点に着目し、異形押出成形品、射出成形品用途に使用することができる、優れた加工性を有するポリ乳酸系樹脂組成物、および、ストランド切れによる生産低下がなく、生産効率が向上し、さらに、特殊な装置を有する乾燥設備も必要としないポリ乳酸系樹脂組成物とその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(a)ポリ乳酸系樹脂100重量部に対し、(b)滑剤0.3〜3重量部を含有することを特徴とするポリ乳酸系樹脂組成物に関する。
上記のポリ乳酸系樹脂組成物には、さらに、(c)充填材3〜120重量部を含有させてもよい。
ここで、(b)滑剤としては、ポリエチレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、脂肪酸ワックス、グリコール脂肪酸エステルワックス、グリセリン脂肪酸エステルワックス、脂肪酸エステルワックス、クエン酸エステルワックス、モンタン酸エステルワックス、モンタン酸部分ケン化エステルワックス、ジペンタエリスルトールエステルワックスおよび金属石鹸の群から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
また、(c)充填材としては、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、酸化チタン、硫酸バリウム、タルク、クレー、マイカ、木粉、籾殻、紙粉およびデンプンの群から選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
次に、本発明は、上記のポリ乳酸系樹脂組成物を構成する各成分を溶融混練後、ホットカットすることを特徴とするポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法に関する。
また、本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、異型押出成形品用途もしくは射出成形品用途に好適である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物を構成する各成分について以下に説明する。
(a)ポリ乳酸系樹脂
本発明において、(a)ポリ乳酸系樹脂とは、実質的にL−乳酸および/またはD−乳酸由来のモノマー単位のみで構成されるポリマーである。
ここで、「実質的に」とは、本発明の効果を損なわない範囲で、L−乳酸またはD−乳酸に由来しない、他のモノマー単位を含んでいても良い。
【0008】
(a)ポリ乳酸系樹脂の製造方法としては、既知の任意の重合方法を採用することができる。例えば、特開平7−33861号公報、特開昭59−96123号公報、高分子討論会予稿集44巻、3198−3199頁に記載のような乳酸からの直接脱水縮合、または乳酸環状二量体ラクチドの開環重合によって合成することができる。
ラクチドの合成、精製および重合操作は、例えば米国特許4057537号明細書、公開欧州特許出願第261572号明細書、Polymer Bulletin, 14, 491−495 (1985)、およびMakromol Chem., 187, 1611−1628 (1986) などの文献に様々に記載されている。
この重合反応に用いる触媒は特に限定されるものではないが、公知の乳酸重合用触媒を用いることができる。例えば、乳酸スズ、酒石酸スズ、ジカプリル酸スズ、ジラウリル酸スズ、ジパルミチン酸スズ、ジステアリン酸スズ、ジオレイン酸スズ、α−ナフエト酸スズ、β−ナフエト酸スズ、オクチル酸スズなどの有機スズ系化合物、粉末スズ、亜鉛末、ハロゲン化亜鉛、酸化亜鉛、有機亜鉛系化合物、テトラプロピルチタネートなどのチタン系化合物、ジルコニウムイソプロポキシドなどのジルコニウム系化合物、三酸化アンチモンなどのアンチモン系化合物などを挙げることができる。これらの中でも、スズまたはスズ化合物からなる触媒が活性の点から特に好ましい。これら触媒の使用量は、一般にラクチドに対して0.001〜5重量%程度である。
【0009】
重合反応は、上記触媒の存在下、触媒種によって異なるが、通常、100〜200℃の温度で行うことができる。また、特開平7−247345号公報に記載のような2段階重合を行うことも好ましい。
最も代表的に知られているのは、乳酸の無水環状二量体であるラクチドを開環重合する方法(ラクチド法)であるが、乳酸を直接縮合重合しても構わない。
【0010】
また、(a)ポリ乳酸系樹脂の分子量としては、重量平均分子量で、50,000〜1,000,000の範囲が好ましい。重量平均分子量が50,000未満では機械物性などが十分発現されず、一方、1,000,000を超える場合は加工性に劣る。
(a)ポリ乳酸系樹脂が、L−乳酸および/またはD−乳酸に由来するモノマー単位だけからなる場合には、重合体は結晶性で高融点を有する。そして、L−乳酸、D−乳酸由来のモノマー単位の比率(L/D比と略称する)を変化させることにより、結晶性・融点を自在に調節することができるので、用途に応じ、実用特性を制御することが可能である。
【0011】
(b)滑剤
本発明において、(b)滑剤としては、炭化水素系滑剤、塩素化炭化水素系滑剤、フルオロカーボン、脂肪酸系滑剤、脂肪酸アミド系滑剤、エステル系滑剤、アルコール系滑剤、金属石鹸系滑剤、これらの混合系が挙げられる。
炭化水素系滑剤としては、流動パラフィン(流動点:−15〜−35℃)、天然パラフィン(57〜63℃)、マイクロワックス(石油から得られる微結晶のロウ、炭素数32〜72)、合成パラフィン、低分子量ポリエチレン(ポリエチレンワックス、分子量1,500〜2,000の低分子量ポリエチレン)が挙げられる。
脂肪酸系滑剤とは、炭素数10以上の脂肪酸であり、例えばステアリン酸、ラウリン酸、オキシ脂肪酸が挙げられる。
脂肪酸アミド系滑剤とは、脂肪酸から誘導されるアミド結合を有する化合物であり、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、メチレンビスステアロアミド、ニチレンビスステアロアミド、オレイン酸網祖、エシル酸アミドが挙げられる。
エステル系滑剤としては、脂肪酸の低級アルコールエステル、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステルが挙げられる。
アルコール系滑剤としては、炭素数16以上のセチルアルコール、ステアリルアルコールが挙げられる。
金属石鹸系滑剤とは、炭素数12〜30の脂肪酸から誘導される金属石鹸であり、ステアリン酸鉛などが挙げられる。
特に好ましいものとしては、金属セッケン、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、高級脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪族低級アルコールが挙げられる。
例えば、ポリエチレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、脂肪酸ワックス、グリコール脂肪酸エステルワックス、グリセリン脂肪酸エステルワックス、脂肪酸エステルワックス、クエン酸エステルワックス、モンタン酸エステルワックス、モンタン酸部分ケン化エステルワックス、ジペンタエリスルトールエステルワックス、金属石鹸の1種類以上を使用することができる。
【0012】
(b)滑剤の配合量は、(a)ポリ乳酸系樹脂100重量部に対して、0.3〜3重量部であり、好ましくは、0.5〜2重量部、さらに好ましくは、0.7〜1.7重量部である。配合量が0.3重量部未満では、金属剥離性に乏しく、ホットカットによるペレタイズが困難であり、一方、3重量部を超えると、滑剤増量の効果はほとんど得られないばかりか、混練性が低下したり、滑剤の噴出しが起こるなどの不具合が生じる。
【0013】
(c)充填材
本発明において、(c)充填材としては、有機または無機の充填材どちらでもよく、繊維状または粉粒状の充填材があり、例えば、シリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、軽石粉、軽石バルーン、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム、タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、グラファイト、アルミニウム粉、硫化モリブデン、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維などを挙げることができる。好ましくは、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、酸化チタン、硫酸バリウム、タルク、マイカ、木粉、籾殻、紙粉、デンプンから選ばれた1種類以上である。
【0014】
(c)充填材の配合量は(a)ポリ乳酸系樹脂100重量部に対して、500重量部以下、好ましくは0.3〜120重量部であり、さらに好ましくは、3〜50重量部である。配合量が0.3重量部未満では、充填剤添加の効果(寸法安定性、ブロッキング防止性)が得られず、一方、500重量部を超えると本組成物の溶融成形が困難となる。
【0015】
本発明においては、(a)ポリ乳酸系樹脂以外の(d)脂肪族ポリエステル(以下、単に「脂肪族ポリエステル」という)を、さらにポリ乳酸系樹脂組成物に含有させてもよい。脂肪族ポリエステルとは、例えば脂肪族カルボン酸成分と脂肪族アルコール成分からなるポリマーである。(d)脂肪族ポリエステルの製造方法としては、これらを直接重合して高分子量物を得る方法と、オリゴマー程度に重合した後、鎖延長剤などで高分子量物を得る間接的な方法がある。
本発明に使用される(d)脂肪族ポリエステルは、ジカルボン酸とジオールからなることが好ましい。脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン酸などの化合物、またはこれらの無水物や誘導体が挙げられる。一方、脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどのグリコール系化合物、およびこれらの誘導体が一般的である。いずれも炭素数2〜10のアルキレン基、シクロ環基またはシクロアルキレン基をもつ化合物で、縮重合により製造される。カルボン酸成分あるいはアルコール成分のいずれにおいても、2種以上用いても構わない。
【0016】
また、溶融粘度の向上のために、ポリマー中に分岐を設ける目的で3官能以上のカルボン酸、アルコールあるいはヒドロキシカルボン酸を用いても構わない。これらの成分は、多量に用いると得られるポリマーが架橋構造を持ち、熱可塑性でなくなったり、熱可塑性であっても部分的に高度に架橋構造をもったミクロゲルを生じる場合がある。従って、これら3官能以上の成分は、ポリマー中に含まれる割合はごくわずかで、ポリマーの化学的性質、物理的性質を大きく左右するものではない程度に含まれる。多官能成分としては、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸あるいはペンタエリスリットやトリメチロールプロパンなどを用いることができる。製造方法のうち、直接重合法は、上記の化合物を選択して化合物中に含まれる、あるいは重合中に発生する水分を除去しながら高分子量物を得る方法である。また、間接重合法としては、上記化合物を選択してオリゴマー程度に重合した後、分子量増大を目的として、少量の鎖延長剤、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなどのジイソシアネート化合物を使用して高分子量化する。
【0017】
このような(d)脂肪族ポリエステルは、(a)ポリ乳酸系樹脂100重量部に対して3〜400重量部含有させることができる。3重量部未満では、脂肪族ポリエステル添加の効果、(衝撃強度改良)が得られず、一方、400重量部を超えるとポリ乳酸の性質が生かされず、あまり好ましくない。好ましくは、5〜100重量部、さらに好ましくは、10〜50重量部である。
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲において、任意に、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線防止剤、可塑剤などの他の添加剤や、脂肪族ポリエステル以外の高分子を含有していてもよい。
【0018】
製造方法(ホットカット方法)
本発明の製造方法では、上記の各成分、すなわち、(a)ポリ乳酸系樹脂および(b)滑剤、さらに必要に応じて(c)充填材、(d)脂肪族ポリエステル、その他の添加剤を混合して、溶融混練した後、ホットカットして、組成物を得る。すなわち、(a)成分と(b)成分、必要により(c)成分および/または(d)成分、その他の添加剤を均一に混合したのち、混練機にて溶融混練した後、ホットカット方式にて造粒後、得られたペレットを空冷してペレットを得る。
【0019】
各成分を均一に混合する方法としては、リボンブレンダー、ヘンシルミキサー(高速ミキサー)、タンブラーミキサー、エアーブレンダーを使用することができる。これらの混合機は、各配合物の形態や拡散レベル、および、溶融混練機に応じて選定される。
溶融混練は、通常、100〜220℃、好ましくは130〜190℃で行われる。混練方法としては、バンバリーミキサー、ニーダー、Bussコニーダー、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機(二軸同方向、二軸異方向)などを使用することができる。
【0020】
造粒方法としては、樹脂をバンバリミキサー、ニーダーまたは押出機にて溶融混練後、押出機のダイハウジングに樹脂を送り、ダイプレートのダイ孔から押出して造粒する。バンバリー、ニーダーで溶融混練した場合は、押出機にてさらに混練を行う。ダイプレートに沿って接触回転するカッターで切断する方法、すなわち、ホットカット法で、造粒することができる。
このようにして得られる本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、ホットカット法で造粒後、得られたペレットを空冷しており、ペレットを乾燥する必要がなく、生産効率がよい。また、水分を含まないので、乾燥しなくても、成形時に発泡することがない。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、加工性に非常に優れたものであり、異形押出成形、射出成形することができる。異形押出成形、射出成形の成形機はともに、通常使用される一般式的な仕様のものが使用できる。
特に、押出成形加工性に優れ、なおかつ、溶融混練機、成形機の掃除性も優れる。
【0021】
【実施例】
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例中の部および%は、特に断らない限り重量部および重量%である。
【0022】
実施例および比較例に用いた各種成分は、以下のとおりである。
(a)ポリ乳酸系樹脂
製品名:LACEA H−100(三井化学社製)
ガラス転移温度(Tg):60℃
融解温度(Tm):170℃
(b−1)滑剤
製品名:Licowax OP(クラリアントジャパン社製)
成分:モンタン酸部分ケン化エステルワックス
(b−2)滑剤
製品名:S−100(理研ビタミン社製)
成分:ステアリン酸モノグリセリド
(c−1)充填材
製品名:NS400(三共精粉社製)
成分:炭酸カルシウム
(c−2)充填材
製品名:JA13R(浅田製粉社製)
成分:タルク
(c−3)充填材
製品名:120M(大林工業社製)
成分:木粉 (平均粒径=75μm)
(d)脂肪族ポリエステル
製品名:ビオノーレ#3020(昭和高分子社製)
成分:ポリブチレンサクシネートアジペート
【0023】
評価方法
発泡性; 得られたペレットを40mm単軸押出機にて幅50mm、厚さ
1mのシートに押出した後、シートの表面状態を目視で観察した。
【0024】
実施例1
(a)成分としてポリ乳酸(PLA)を100部、(b)成分としてLicowax OPを1.0部を配合し、これらをヘンシルミキサーにて混合し、溶融混練機としては、スクリュー径65mmの異方向2軸押出機を用い、シリンダー温度140〜180℃に設定し、溶融混練を行い、ホットカット法にて造粒した。結果を表1に示す。
【0025】
実施例2
(a)成分としてポリ乳酸(PLA)を100部、(b)成分としてLicowax OPを1部、S−100を0.3部、(d)成分としてビオノーレ#3020を30部を配合し、実施例1と同様にホットカット法にて造粒した。結果を表1に示す。
【0026】
実施例3
(a)成分としてポリ乳酸(PLA)を100部、(b)成分としてLicowax OPを1部、(c)成分としてJA13Rを45部を配合し、実施例1と同様にホットカット法にて造粒した。結果を表1に示す。
【0027】
実施例4
(a)成分としてポリ乳酸(PLA)を100部、(b)成分としてLicowax OPを1部、成分(c)成分としてNS400を30部、JA13Rを15部、(d)成分としてビオノーレ#3020を45部を配合し、実施例1と同様にしてホットカット法にて造粒した。結果を表1に示す。
【0028】
実施例5
(a)成分としてポリ乳酸(PLA)を100部、(b)成分としてLicowax OPを1部、(c)成分として事前に乾燥した木粉120Mを5部を配合し、実施例1と同様にホットカット法にて造粒した。結果を表1に示す。
【0029】
比較例1
(a)成分としてポリ乳酸(PLA)を100部、(b)成分としてLicowax OPを1.0部を配合し、実施例1と同様にして溶融混練を行い、ストランドカット法にて造粒した。結果を表2に示す。
【0030】
比較例2
(a)成分としてポリ乳酸(PLA)を100部、(b)成分としてLicowax OPを1部、S−100を0.3部、(d)成分としてビオノーレ#3020を30部を配合し、実施例1と同様にして溶融混練を行い、ストランドカット法にて造粒した。結果を表2に示す。
【0031】
比較例3
(a)成分としてポリ乳酸(PLA)を100部、(b)成分としてLicowax OPを1部、(c)成分としてJA13Rを45部を配合し、実施例1と同様にして溶融混練を行い、ストランドカット法にて造粒した。結果を表2に示す。
【0032】
比較例4
(a)成分としてポリ乳酸(PLA)を100部、(b)成分としてLicowax OPを1部、(c)成分としてNS400を30部、JA13Rを15部、(d)成分としてビオノーレ#3020を45部を配合し、実施例1と同様にして溶融混練を行い、ストランドカット法にて造粒した。結果を表2に示す。
【0033】
比較例5
(a)成分としてポリ乳酸(PLA)を100部、(c)成分としてJA13Rを10部を配合し、実施例1と同様にして溶融混練を行い、ホットカット法にて造粒したが、カッター歯に組成物が付着し、ペレットを得ることができなかった。結果を表2に示す。
【0034】
参考例
(a)成分としてポリ乳酸(PLA)を100部、(b)成分としてLicowax OPを1.0部、S−100を0.3部を配合し、実施例1と同様にして溶融混練を行い、ストランドカット法にて造粒した。得られたペレットを攪拌装置付きホッパードライヤーにて乾燥温度80℃、3時間乾燥した。結果を表2に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【発明の効果】
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物は、ポリ乳酸系樹脂に特定の滑剤、さらには充填材を特定量含有させたことにより、優れた加工特性を有し、このため、異型押出成形品用途、射出成形品用途に用いることが可能となった。
また、本発明の製造方法により、乾燥工程を必要とせず、生産効率よく、ポリ乳酸系樹脂組成物を製造することができる。そして、乾燥しないにもかかわらず、発泡のない成形品を得ることができる。
Claims (7)
- (a)ポリ乳酸系樹脂100重量部に対し、(b)滑剤0.3〜3重量部を含有することを特徴とするポリ乳酸系樹脂組成物。
- さらに、(c)充填材3〜120重量部を含有する請求項1記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
- (b)滑剤がポリエチレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、脂肪酸ワックス、グリコール脂肪酸エステルワックス、グリセリン脂肪酸エステルワックス、脂肪酸エステルワックス、クエン酸エステルワックス、モンタン酸エステルワックス、モンタン酸部分ケン化エステルワックス、ジペンタエリスルトールエステルワックス、および金属石鹸の群から選ばれた少なくとも1種である請求項1または2に記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
- (c)充填材が炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、酸化チタン、硫酸バリウム、タルク、クレー、マイカ、木粉、籾殻、紙粉およびデンプンの群から選ばれた少なくとも1種である請求項2または3記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
- 請求項1〜4の何れか1項記載のポリ乳酸系樹脂組成物を構成する各成分を溶融混練後、ホットカットすることを特徴とするポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法。
- 異型押出成形品用途である請求項1〜4の何れか1項に記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
- 射出成形品用途である請求項1〜4の何れか1項に記載のポリ乳酸系樹脂組成物。
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