JP2004352686A - ヒドラゾン化合物含有コラーゲン蓄積促進及び/又は減少抑制のための組成物 - Google Patents
ヒドラゾン化合物含有コラーゲン蓄積促進及び/又は減少抑制のための組成物 Download PDFInfo
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- ANJYHOJJVBARTQ-UHFFFAOYSA-N C(c1ccccc1)=N/Nc1nc([nH]c2ccccc22)c2nn1 Chemical compound C(c1ccccc1)=N/Nc1nc([nH]c2ccccc22)c2nn1 ANJYHOJJVBARTQ-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
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- Nitrogen Condensed Heterocyclic Rings (AREA)
- Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒドラゾン化合物を含有する、コラーゲン蓄積促進及び/又は減少抑制のための組成物等に関する。
【0002】
【従来の技術】
体の中で最も大量に存在するタンパク質であるコラーゲン、特にその中で存在量の最も多いI型コラーゲンの主たる役割は、線維性成分としての力学的支持性である。各種臓器の構成細胞の1つである線維芽細胞は、コラーゲン、エラスチン、フィブロネクチン等の線維状タンパク質やヒアルロン酸等のグリコサミノグルカン等を産生し、これら細胞外マトリックスが3次元的な構造を形成することにより、組織が保持、維持されている。そのため、コラーゲンの質的量的な変化は力学的支持体としてのコラーゲン線維の機能的変化をもたらし、例えば、I型コラーゲンが有機成分の中心を占める骨基質ではコラーゲン量の減少に伴い、その脆弱化が起こると考えられている。また、加齢や紫外線等によって皮膚に生じるしわ等の組織容態や、異常創傷治癒、歯周病、骨粗しょう症、慢性関節リウマチ等の疾患においては、コラーゲン合成の低下とコラーゲン分解の促進とがそれら疾患又は組織容態の遷延に影響している(例えば、非特許文献1乃至5参照)。
実際、レチノイン酸、ビタミンC類、1α,25−ジヒドロキシビタミンD3、安息香酸化合物等の公知のコラーゲン合成促進剤を外用剤として用いることにより、しわ等の組織容態が改善されることがすでに報告されている(例えば、非特許文献6及び非特許文献7、並びに特許文献1参照)。また、骨粗しょう症等の疾患を改善させるエストロゲンは、骨芽細胞のコラーゲン合成を促進し、しかもマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)−1(以下、MMP−1と記載することもある。)の産生を抑制することがすでに報告されている(例えば、非特許文献8及び非特許文献9参照)。
【0003】
組織中のコラーゲン量は、合成と分解とのバランスにより既定されるが、それらは種々の細胞増殖因子、サイトカイン、低分子化合物等によって調節されている。例えば、サイトカインの1種であるTGF−βはよく知られたコラーゲン等の細胞外マトッリクスの発現促進因子であるが、一方では、コラーゲンの分解を触媒する各種マトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)の発現抑制因子でもある。具体的には、例えば、TGF−βはヒト肺線維芽細胞のI、III、V型コラーゲンの産生や、ヒト胎児線維芽細胞のフィブロネクチンの産生を高める一方、MMP−1、MMP−2及びMMP−9の産生を抑制する(例えば、非特許文献10及び非特許文献11参照)。
また動物個体レベルにおける研究において、TGF−βトランスジェニックマウスでは創傷治癒の促進が起こり、さらに、TGF−β遺伝子をリウマチモデル動物に導入したところ、当該疾患が改善したことが報告されている(例えば、非特許文献12参照)。
以上のことから、コラーゲン合成の促進とコラーゲン分解の抑制により、コラーゲン蓄積促進及び/又は減少抑制の効果を有する低分子化合物は、しわ、異常創傷治癒、歯周病、骨粗しょう症、慢性関節リウマチ等の組織中のコラーゲン量の減少を伴う疾患又は組織容態を改善させ、その結果、当該化合物を有効成分として含有する医薬品、医薬部外品、化粧品、食品等の開発につながる。
【非特許文献1】
Mol.Cell.Biochem.,194,99,(1999)
【非特許文献2】
British J.Dermatol.,93,639,(1975)
【非特許文献3】
J.Periodontal Res.,37,1,(2002)
【非特許文献4】
Ann.NY Acad.Sci.,878,191,(1999)
【非特許文献5】
Arthritis Rheum.,44,2503,(2001)
【非特許文献6】
J.Invest.Dermatol.,96,975,(1991)
【非特許文献7】
J.Dermatol.Sci.,8,18,(1984)
【非特許文献8】
J.Cell.Biochem.,86,251,(2002)
【非特許文献9】
Endocrine,15,291,(2001)
【非特許文献10】
Lab.Invest.,63,171,(1990)
【非特許文献11】
J.Invest.Dermatol.,94,365,(1990)
【非特許文献12】
Gene Ther.,4,553,(1997)
【特許文献1】
公開特許公報、特開平8−208463
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況下において、組織中のコラーゲン量の減少を伴う疾患又は組織容態を改善させるような薬剤の開発・提供が切望されている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる状況の下、鋭意検討した結果、下記の式(I)で示される尿素化合物が、I型コラーゲン遺伝子の転写を促進し、MMP−1遺伝子の転写を抑制する能力を有することを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、
1.式(I)
(式中、Xは水素原子又はメトキシ基を示す。)
で示されるヒドラゾン化合物(以下、本化合物と記すこともある。)を含有する、コラーゲン蓄積促進及び/又は減少抑制のための組成物(以下、本発明組成物と記すこともある。);
2.I型コラーゲン遺伝子の転写を促進し、マトリックスメタロプロテアーゼ−1(MMP−1)遺伝子の転写を抑制するための、式(I)
(式中、Xは水素原子又はメトキシ基を示す。)
で示されるヒドラゾン化合物の使用;
3.組織中のコラーゲン量の減少を伴う疾患又は組織容態と診断されうる哺乳動物に対して、有効量の式(I)
(式中、Xは水素原子又はメトキシ基を示す。)
で示されるヒドラゾン化合物を投与する工程を有することを特徴とする組織中のコラーゲン量の蓄積促進及び/又は減少抑制方法(以下、本発明方法と記すこともある。);
等を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、詳細に本発明を説明する。
【0007】
本発明組成物に含有される本化合物は、下記の式(II)(式中、Xは水素原子又はメトキシ基を示す。)で示されるベンズアルデヒド化合物と、ヒドラジン化合物(III)とを縮合することにより製造することができる。
上記の縮合方法としては、例えば、J.Heterocyclic Chem.,(1989),26,769等に記載された方法をあげることができる。
表1に、化合物番号(1)〜(4)で表される本化合物を示す。
【0008】
本化合物
【0009】
【表1】
【0010】
本化合物のうち、化合物番号(1)で示される本化合物は、例えば、J.Heterocyclic Chem.,(1989),26,769等に記載されており、また化合物番号(2)で示される化合物は、Ambinter社(パリ(フランス))カタログ等に記載されており、また化合物番号(3)で示される化合物は、Pharmazie,(1987),42,664等に記載されており、また化合物番号(4)で示される化合物は、AsinEx社(モスクワ(ロシア))カタログ等に記載されており、いずれも公知である。しかしながら、当該文献には組織内におけるI型コラーゲン遺伝子の転写促進、MMP−1遺伝子の転写抑制、ひいてはコラーゲン蓄積促進及び/又は減少抑制の効果に係る記載は何ら存在していない。
【0011】
本発明組成物は、例えば、本化合物を1種又は2種以上と、薬学的に許容される担体、賦形剤、及び/又は、医薬品添加剤、食品添加剤若しくは化粧品添加剤等とが混合されてなる組成物等である。本化合物自体又は本発明組成物は、I型コラーゲン遺伝子の転写を促進し、MMP−1遺伝子の転写を抑制する能力を有する。当該能力は、I型コラーゲン遺伝子の発現量を増加させ、MMP−1遺伝子の発現量を減少させて、組織中のコラーゲンの蓄積促進及び/又は減少抑制の効果を導くことにより、組織中のコラーゲン量の減少を伴う疾患又は組織容態を改善するために重要であり、当該目的のための医薬品、医薬部外品、化粧品、食品等としての利用が考えられる。
本発明組成物又は本化合物の適用可能な疾患又は組織容態としては、種々の原因により組織中のコラーゲン量が減少し、その結果、臓器・組織の機能低下をもたらす疾患又は組織容態を改善するために用いることができる。例えば、加齢や紫外線等によって皮膚に生じるしわや、異常創傷治癒、歯周病、骨粗しょう症、慢性関節リウマチ等の疾患をあげることができる。
用いられる薬学的に許容される担体、賦形剤、及び/又は、医薬品添加剤、食品添加剤若しくは化粧品添加剤等は、前記組成物の具体的用途に応じて適宜選択することができる。また、当該組成物の形態も、具体的用途に応じて、例えば、種々の固体、液体等の形態とすることができる。
例えば、本発明組成物又は本化合物を医薬品として用いる場合には、具体的な形態として、例えば、散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、シロップ剤、カプセル剤、懸濁化剤、エマルジョン剤、エキス剤及び丸剤等の経口剤、注射剤、外用液剤、軟膏剤等の経皮吸収剤(皮膚外用剤)、坐剤及び局所等の非経口剤等をあげることができる。
経口剤は、例えば、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、澱粉、コーンスターチ、白糖、乳糖、ぶどう糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、ポリビニルピロリドン、結晶セルロース、大豆レシチン、ショ糖、脂肪酸エステル、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、ケイ酸マグネシウム、無水ケイ酸等の担体や賦形剤、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、流動性促進剤、希釈剤、保存剤、着色剤、香料、安定化剤、保湿剤、防腐剤、酸化防止剤等の医薬品添加剤を用いて、通常の方法に従って製造することができる。
投与量は、投与される哺乳動物の年令、性別、体重、疾患の程度、本発明組成物又は本化合物の種類、投与形態等によって異なるが、通常は経口の場合にはヒト成人で1日あたり有効成分量として約1mg〜約2g、好ましくは有効成分量として約5mg〜約1gを投与すればよい。また、前記の1日の投与量を1回または数回に分けて投与することができる。
非経口剤のうち、注射剤は、生理食塩水、滅菌水リンゲル液等の水溶性溶剤、植物油、脂肪酸エステル等の非水溶性溶剤、ブドウ糖、塩化ナトリウム等の等張化剤、溶解補助剤、安定化剤、防腐剤、懸濁化剤、乳化剤等の医薬品添加剤を用いて、通常の方法に従って製造することができる。外用液剤、ゲル状軟膏等の経皮吸収剤、直腸内投与のための坐剤等も通常の方法に従って製造することができる。このような非経口剤を投与するには、注射(皮下、静脈内等)、経皮投与、直腸投与すればよい。局所剤は、例えば、本化合物をエチレンビニル酢酸ポリマー等の徐放性ポリマーのペレットに取り込ませて製造することができる。このペレットを治療すべき組織中に外科的に移植すればよい。
投与量は、投与される哺乳動物の年令、性別、体重、疾患の程度、本発明組成物又は本化合物の種類、投与形態等によって異なるが、通常は注射の場合にはヒト成人で有効成分量として約0.1mg〜約500mgを投与すればよい。また、前記の1日の投与量を1回または数回に分けて投与することができる。
本発明組成物又は本化合物を化粧品として用いる場合には、具体的な形態としては、例えば、クリーム、ローション剤等をあげることができる。ローション剤は、例えば、懸濁剤、乳化剤、保存剤等の化粧品添加剤を用いて、通常の方法に従って製造することができる。
投与量は、投与される哺乳動物の年令、性別、体重、疾患の程度、本発明組成物又は本化合物の種類、投与形態等によって異なるが、通常ヒト成人で有効成分量として約0.01mg〜約50mgを投与すればよい。また、前記の1日の投与量を1回または数回に分けて投与することができる。
本発明組成物又は本化合物を食品として用いる場合には、具体的な形態としては、例えば、粉末、錠剤、飲料、摂取可能なゲル若しくはシロップとの混合液状物、例えば、調味料、和菓子、洋菓子、氷菓、飲料、スプレッド、ペースト、漬物、ビン缶詰、畜肉加工品、魚肉・水産加工品、乳・卵加工品、野菜加工品、果実加工品、穀類加工品等の一般的な飲食物や嗜好物等をあげることができる。また、家畜、家禽、蜜蜂、蚕、魚等の飼育動物のための飼料や餌料への食品添加物等もあげられる。
投与量は、投与される哺乳動物の年令、性別、体重、疾患の程度、本発明組成物又は本化合物の種類、投与形態等によって異なるが、通常ヒト成人で有効成分量として約0.1mg〜約500mgを投与すればよい。また、前記の1日の投与量を1回または数回に分けて投与することができる。
【0012】
【実施例】
以下に実施例を挙げ、本発明を更に具体的に説明する。
【0013】
実施例1(I型コラーゲン遺伝子の発現量及びMMP−1遺伝子の発現量を指標とした、被験化合物が有するコラーゲンの蓄積促進及び/又は減少抑制の効果測定)
正常ヒト胎児皮膚線維芽細胞(Clontech、カタログ番号CC−2509)を12ウエルプレートに1ウエルあたり5x104個播き、37℃、5% CO2雰囲気下で一晩培養した。培養された細胞をDulbecco’s−MEM(日水製薬、カタログ番号05919)培地で洗浄した後に、非働化牛胎児血清(以下、FBSと記す。ThermoTrace社、カタログ番号15−010−0500V)を0.1(v/v)%含むDulbecco’s−MEM培地(以下、D−MEM(0.1%)と記す。)0.5ml添加した。その後、化合物番号(4)で示される本化合物を0.5mMとなるようジメチルスルホキシド(以下、DMSOと記す。)にそれぞれ溶解させてなる溶液を添加(最終濃度1μM)した。また、対照としてDMSOを1μl、陽性対照として2.5μg/mlのTGF−βを1μl添加(最終濃度5ng/ml)した。37℃、5% CO2雰囲気下で3日間培養した後、培養上清と細胞とを分離した。
分離された細胞からRNeasy Mini kit(QIAGEN、カタログ番号74106)を用い、全RNA(約30μl)を抽出した。抽出された全RNA 5μl(50ng)に、20μM オリゴdT 1μl及びRNaseフリー蒸留水 4μlを加えて65℃、5分間インキュベートした直後に氷冷した。当該溶液10μlに、5xバッファー 4μl、MgCl2 2.4μl、10mM dNTP 1μl、RNasin 1μl、ImpromII 1μl、RNaseフリー蒸留水 0.6μl(以上全てPromega社)を加えて25℃で5分間、42℃で1時間、70℃で15分間の条件で逆転写反応した。
逆転写反応溶液 5μlに、配列番号1、2で示される各10pmol/μlプライマー 2μl、配列番号3で示されるI型コラーゲン検出用プローブ(FAM−ctactggcga aacctgtatc cgggc−TAMRA)(アプライドバイオシステム社) 1.25μl、TaqMan Universal PCR Master Mix(アプライドバイオシステム社) 12.5μl、滅菌水 2.25μlをOptical 96−Well Reaction Plate(アプライドバイオシステム社、カタログ番号N801−0560)のウエル中で混合した。同様に、配列番号4、5で示されるプライマー及び配列番号6で示されるMMP−1検出用プローブ(FAM−ctactggcga aacctgtatc cgggc−TAMRA)(アプライドバイオシステム社)又はGAPDH検出用プローブ(アプライドバイオシステム社、カタログ番号4310884E)を各々別々のウエル中で混合した。スタンダードとしては逆転写反応溶液5μlの代わりに、予め調製した正常ヒト胎児皮膚線維芽細胞cDNA 500、250、125、62.5、31.25、15.625ng/μl 各5μlを用いた。その後、Gene Amp 5700(アプライドバイオシステム社)を用いて50℃で5分間の1サイクル、95℃で15秒間及び60℃で1分間の40サイクルの条件でPCR反応した。定量はスタンダード直線を作成した後、各サンプルのI型コラーゲン量、MMP−1量及びGAPDH量を算出し、次式に従ってI型コラーゲン遺伝子の発現量(即ち、転写量)及びMMP−1遺伝子の発現量(即ち、転写量)を算出した。
I型コラーゲン遺伝子の発現量(補正値)=測定されたI型コラーゲン遺伝子の発現量/GAPDH量
MMP−1遺伝子の発現量(補正値)=測定されたMMP−1遺伝子の発現量/GAPDH量
被験化合物が化合物番号(4)で示される本化合物である場合における、I型コラーゲン遺伝子の発現量及びMMP−1遺伝子の発現量は表2のとおりであり、I型コラーゲン遺伝子の転写を促進し、MMP−1遺伝子の転写を抑制する能力が確認された。
【0014】
【表2】
*コントロールでの値を100とした場合の相対値で示す。
【0015】
実施例2(非分解I型コラーゲンのタンパク量を指標とした、被験化合物が有するコラーゲンの蓄積促進及び/又は減少抑制の効果測定)
実施例1記載の培養上清 50μlに、25mM 酢酸p−アミノフェニル水銀(アマシャムファルマシア社、カタログ番号RPN2629)1μlを添加し、37℃、1時間インキュベートした。得られた反応液 10μlを10% ポリアクリルヒドラゾンゲル電気泳動した後、PVDF膜に転写(250mA、90分間)した。タンパク質が転写されたPVDF膜を5%スキムミルク溶液中で振とうさせながら30分間インキュベートした後、0.1% Tween20を含むPBS溶液(以下、PBS−Tと記す。)で洗浄し、1000倍希釈したウサギ抗I型コラーゲン抗体(Polyscience社、カタログ番号23706)を加えて室温、1時間インキュベートした。次に、PBS−Tで3回、各10分間振とうさせながら洗浄した後、1000倍希釈したヤギ抗ウサギIgG抗体−HRP(Santa Cruz社、カタログ番号sc−2004)を加えて室温、1時間インキュベートした。PBS−Tで3回洗浄した後、ECL Western Blotting Detection Reagents(アマシャムファルマシア社、カタログ番号RPN2106)を加え、ルミノ・イメージアナライザーLAS−1000plus(FUJIFILM社)を用いて約200kDa及び150kDa部分の発光を検出し、Image Gauge(FUJIFILM社)を用いて定量した。得られた値を非分解I型コラーゲンのタンパク量とした。
化合物番号(4)で示される本化合物の非分解I型コラーゲンのタンパク量は、表3のとおりであり、コラーゲンの蓄積能力が確認された。
【0016】
【表3】
*コントロールでの値を100とした場合の相対値で示す。
【0017】
【発明の効果】
本発明により、式(I)で示されるヒドラゾン化合物を含有する、コラーゲン蓄積促進及び/又は減少抑制のための組成物等が提供可能となる。
【0018】
[配列表フリーテキスト]
配列番号1
I型コラーゲン遺伝子を検出するために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号2
I型コラーゲン遺伝子を検出するために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号3
I型コラーゲン遺伝子を検出するために設計されたオリゴヌクレオチドプローブ
配列番号4
MMP−1遺伝子を検出するために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー配列番号5
MMP−1遺伝子を検出するために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー配列番号6
MMP−1遺伝子を検出するために設計されたオリゴヌクレオチドプローブ
【0019】
【配列表】
【発明の効果】
本発明により、組織におけるI型コラーゲン遺伝子の発現量を増加させ、MMP−1遺伝子の発現量を減少させ、非分解I型コラーゲンタンパクの蓄積量を増加させることにより、組織中のコラーゲン量の減少を伴う疾患を改善させる薬剤(即ち、コラーゲン蓄積促進剤)の開発・提供が可能となる。
【0020】
[配列表フリーテキスト]
配列番号1
I型コラーゲン DNAを検出するために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号2
I型コラーゲン DNAを検出するために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号3
I型コラーゲン DNAを検出するために設計されたオリゴヌクレオチドプローブ
配列番号4
MMP−1 DNAを検出するために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号2
MMP−1 DNAを検出するために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号3
MMP−1 DNAを検出するために設計されたオリゴヌクレオチドプローブ
【0021】
【配列表】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒドラゾン化合物を含有する、コラーゲン蓄積促進及び/又は減少抑制のための組成物等に関する。
【0002】
【従来の技術】
体の中で最も大量に存在するタンパク質であるコラーゲン、特にその中で存在量の最も多いI型コラーゲンの主たる役割は、線維性成分としての力学的支持性である。各種臓器の構成細胞の1つである線維芽細胞は、コラーゲン、エラスチン、フィブロネクチン等の線維状タンパク質やヒアルロン酸等のグリコサミノグルカン等を産生し、これら細胞外マトリックスが3次元的な構造を形成することにより、組織が保持、維持されている。そのため、コラーゲンの質的量的な変化は力学的支持体としてのコラーゲン線維の機能的変化をもたらし、例えば、I型コラーゲンが有機成分の中心を占める骨基質ではコラーゲン量の減少に伴い、その脆弱化が起こると考えられている。また、加齢や紫外線等によって皮膚に生じるしわ等の組織容態や、異常創傷治癒、歯周病、骨粗しょう症、慢性関節リウマチ等の疾患においては、コラーゲン合成の低下とコラーゲン分解の促進とがそれら疾患又は組織容態の遷延に影響している(例えば、非特許文献1乃至5参照)。
実際、レチノイン酸、ビタミンC類、1α,25−ジヒドロキシビタミンD3、安息香酸化合物等の公知のコラーゲン合成促進剤を外用剤として用いることにより、しわ等の組織容態が改善されることがすでに報告されている(例えば、非特許文献6及び非特許文献7、並びに特許文献1参照)。また、骨粗しょう症等の疾患を改善させるエストロゲンは、骨芽細胞のコラーゲン合成を促進し、しかもマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)−1(以下、MMP−1と記載することもある。)の産生を抑制することがすでに報告されている(例えば、非特許文献8及び非特許文献9参照)。
【0003】
組織中のコラーゲン量は、合成と分解とのバランスにより既定されるが、それらは種々の細胞増殖因子、サイトカイン、低分子化合物等によって調節されている。例えば、サイトカインの1種であるTGF−βはよく知られたコラーゲン等の細胞外マトッリクスの発現促進因子であるが、一方では、コラーゲンの分解を触媒する各種マトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)の発現抑制因子でもある。具体的には、例えば、TGF−βはヒト肺線維芽細胞のI、III、V型コラーゲンの産生や、ヒト胎児線維芽細胞のフィブロネクチンの産生を高める一方、MMP−1、MMP−2及びMMP−9の産生を抑制する(例えば、非特許文献10及び非特許文献11参照)。
また動物個体レベルにおける研究において、TGF−βトランスジェニックマウスでは創傷治癒の促進が起こり、さらに、TGF−β遺伝子をリウマチモデル動物に導入したところ、当該疾患が改善したことが報告されている(例えば、非特許文献12参照)。
以上のことから、コラーゲン合成の促進とコラーゲン分解の抑制により、コラーゲン蓄積促進及び/又は減少抑制の効果を有する低分子化合物は、しわ、異常創傷治癒、歯周病、骨粗しょう症、慢性関節リウマチ等の組織中のコラーゲン量の減少を伴う疾患又は組織容態を改善させ、その結果、当該化合物を有効成分として含有する医薬品、医薬部外品、化粧品、食品等の開発につながる。
【非特許文献1】
Mol.Cell.Biochem.,194,99,(1999)
【非特許文献2】
British J.Dermatol.,93,639,(1975)
【非特許文献3】
J.Periodontal Res.,37,1,(2002)
【非特許文献4】
Ann.NY Acad.Sci.,878,191,(1999)
【非特許文献5】
Arthritis Rheum.,44,2503,(2001)
【非特許文献6】
J.Invest.Dermatol.,96,975,(1991)
【非特許文献7】
J.Dermatol.Sci.,8,18,(1984)
【非特許文献8】
J.Cell.Biochem.,86,251,(2002)
【非特許文献9】
Endocrine,15,291,(2001)
【非特許文献10】
Lab.Invest.,63,171,(1990)
【非特許文献11】
J.Invest.Dermatol.,94,365,(1990)
【非特許文献12】
Gene Ther.,4,553,(1997)
【特許文献1】
公開特許公報、特開平8−208463
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況下において、組織中のコラーゲン量の減少を伴う疾患又は組織容態を改善させるような薬剤の開発・提供が切望されている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる状況の下、鋭意検討した結果、下記の式(I)で示される尿素化合物が、I型コラーゲン遺伝子の転写を促進し、MMP−1遺伝子の転写を抑制する能力を有することを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、
1.式(I)
(式中、Xは水素原子又はメトキシ基を示す。)
で示されるヒドラゾン化合物(以下、本化合物と記すこともある。)を含有する、コラーゲン蓄積促進及び/又は減少抑制のための組成物(以下、本発明組成物と記すこともある。);
2.I型コラーゲン遺伝子の転写を促進し、マトリックスメタロプロテアーゼ−1(MMP−1)遺伝子の転写を抑制するための、式(I)
(式中、Xは水素原子又はメトキシ基を示す。)
で示されるヒドラゾン化合物の使用;
3.組織中のコラーゲン量の減少を伴う疾患又は組織容態と診断されうる哺乳動物に対して、有効量の式(I)
(式中、Xは水素原子又はメトキシ基を示す。)
で示されるヒドラゾン化合物を投与する工程を有することを特徴とする組織中のコラーゲン量の蓄積促進及び/又は減少抑制方法(以下、本発明方法と記すこともある。);
等を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、詳細に本発明を説明する。
【0007】
本発明組成物に含有される本化合物は、下記の式(II)(式中、Xは水素原子又はメトキシ基を示す。)で示されるベンズアルデヒド化合物と、ヒドラジン化合物(III)とを縮合することにより製造することができる。
上記の縮合方法としては、例えば、J.Heterocyclic Chem.,(1989),26,769等に記載された方法をあげることができる。
表1に、化合物番号(1)〜(4)で表される本化合物を示す。
【0008】
本化合物
【0009】
【表1】
【0010】
本化合物のうち、化合物番号(1)で示される本化合物は、例えば、J.Heterocyclic Chem.,(1989),26,769等に記載されており、また化合物番号(2)で示される化合物は、Ambinter社(パリ(フランス))カタログ等に記載されており、また化合物番号(3)で示される化合物は、Pharmazie,(1987),42,664等に記載されており、また化合物番号(4)で示される化合物は、AsinEx社(モスクワ(ロシア))カタログ等に記載されており、いずれも公知である。しかしながら、当該文献には組織内におけるI型コラーゲン遺伝子の転写促進、MMP−1遺伝子の転写抑制、ひいてはコラーゲン蓄積促進及び/又は減少抑制の効果に係る記載は何ら存在していない。
【0011】
本発明組成物は、例えば、本化合物を1種又は2種以上と、薬学的に許容される担体、賦形剤、及び/又は、医薬品添加剤、食品添加剤若しくは化粧品添加剤等とが混合されてなる組成物等である。本化合物自体又は本発明組成物は、I型コラーゲン遺伝子の転写を促進し、MMP−1遺伝子の転写を抑制する能力を有する。当該能力は、I型コラーゲン遺伝子の発現量を増加させ、MMP−1遺伝子の発現量を減少させて、組織中のコラーゲンの蓄積促進及び/又は減少抑制の効果を導くことにより、組織中のコラーゲン量の減少を伴う疾患又は組織容態を改善するために重要であり、当該目的のための医薬品、医薬部外品、化粧品、食品等としての利用が考えられる。
本発明組成物又は本化合物の適用可能な疾患又は組織容態としては、種々の原因により組織中のコラーゲン量が減少し、その結果、臓器・組織の機能低下をもたらす疾患又は組織容態を改善するために用いることができる。例えば、加齢や紫外線等によって皮膚に生じるしわや、異常創傷治癒、歯周病、骨粗しょう症、慢性関節リウマチ等の疾患をあげることができる。
用いられる薬学的に許容される担体、賦形剤、及び/又は、医薬品添加剤、食品添加剤若しくは化粧品添加剤等は、前記組成物の具体的用途に応じて適宜選択することができる。また、当該組成物の形態も、具体的用途に応じて、例えば、種々の固体、液体等の形態とすることができる。
例えば、本発明組成物又は本化合物を医薬品として用いる場合には、具体的な形態として、例えば、散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、シロップ剤、カプセル剤、懸濁化剤、エマルジョン剤、エキス剤及び丸剤等の経口剤、注射剤、外用液剤、軟膏剤等の経皮吸収剤(皮膚外用剤)、坐剤及び局所等の非経口剤等をあげることができる。
経口剤は、例えば、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、澱粉、コーンスターチ、白糖、乳糖、ぶどう糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、ポリビニルピロリドン、結晶セルロース、大豆レシチン、ショ糖、脂肪酸エステル、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、ケイ酸マグネシウム、無水ケイ酸等の担体や賦形剤、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、流動性促進剤、希釈剤、保存剤、着色剤、香料、安定化剤、保湿剤、防腐剤、酸化防止剤等の医薬品添加剤を用いて、通常の方法に従って製造することができる。
投与量は、投与される哺乳動物の年令、性別、体重、疾患の程度、本発明組成物又は本化合物の種類、投与形態等によって異なるが、通常は経口の場合にはヒト成人で1日あたり有効成分量として約1mg〜約2g、好ましくは有効成分量として約5mg〜約1gを投与すればよい。また、前記の1日の投与量を1回または数回に分けて投与することができる。
非経口剤のうち、注射剤は、生理食塩水、滅菌水リンゲル液等の水溶性溶剤、植物油、脂肪酸エステル等の非水溶性溶剤、ブドウ糖、塩化ナトリウム等の等張化剤、溶解補助剤、安定化剤、防腐剤、懸濁化剤、乳化剤等の医薬品添加剤を用いて、通常の方法に従って製造することができる。外用液剤、ゲル状軟膏等の経皮吸収剤、直腸内投与のための坐剤等も通常の方法に従って製造することができる。このような非経口剤を投与するには、注射(皮下、静脈内等)、経皮投与、直腸投与すればよい。局所剤は、例えば、本化合物をエチレンビニル酢酸ポリマー等の徐放性ポリマーのペレットに取り込ませて製造することができる。このペレットを治療すべき組織中に外科的に移植すればよい。
投与量は、投与される哺乳動物の年令、性別、体重、疾患の程度、本発明組成物又は本化合物の種類、投与形態等によって異なるが、通常は注射の場合にはヒト成人で有効成分量として約0.1mg〜約500mgを投与すればよい。また、前記の1日の投与量を1回または数回に分けて投与することができる。
本発明組成物又は本化合物を化粧品として用いる場合には、具体的な形態としては、例えば、クリーム、ローション剤等をあげることができる。ローション剤は、例えば、懸濁剤、乳化剤、保存剤等の化粧品添加剤を用いて、通常の方法に従って製造することができる。
投与量は、投与される哺乳動物の年令、性別、体重、疾患の程度、本発明組成物又は本化合物の種類、投与形態等によって異なるが、通常ヒト成人で有効成分量として約0.01mg〜約50mgを投与すればよい。また、前記の1日の投与量を1回または数回に分けて投与することができる。
本発明組成物又は本化合物を食品として用いる場合には、具体的な形態としては、例えば、粉末、錠剤、飲料、摂取可能なゲル若しくはシロップとの混合液状物、例えば、調味料、和菓子、洋菓子、氷菓、飲料、スプレッド、ペースト、漬物、ビン缶詰、畜肉加工品、魚肉・水産加工品、乳・卵加工品、野菜加工品、果実加工品、穀類加工品等の一般的な飲食物や嗜好物等をあげることができる。また、家畜、家禽、蜜蜂、蚕、魚等の飼育動物のための飼料や餌料への食品添加物等もあげられる。
投与量は、投与される哺乳動物の年令、性別、体重、疾患の程度、本発明組成物又は本化合物の種類、投与形態等によって異なるが、通常ヒト成人で有効成分量として約0.1mg〜約500mgを投与すればよい。また、前記の1日の投与量を1回または数回に分けて投与することができる。
【0012】
【実施例】
以下に実施例を挙げ、本発明を更に具体的に説明する。
【0013】
実施例1(I型コラーゲン遺伝子の発現量及びMMP−1遺伝子の発現量を指標とした、被験化合物が有するコラーゲンの蓄積促進及び/又は減少抑制の効果測定)
正常ヒト胎児皮膚線維芽細胞(Clontech、カタログ番号CC−2509)を12ウエルプレートに1ウエルあたり5x104個播き、37℃、5% CO2雰囲気下で一晩培養した。培養された細胞をDulbecco’s−MEM(日水製薬、カタログ番号05919)培地で洗浄した後に、非働化牛胎児血清(以下、FBSと記す。ThermoTrace社、カタログ番号15−010−0500V)を0.1(v/v)%含むDulbecco’s−MEM培地(以下、D−MEM(0.1%)と記す。)0.5ml添加した。その後、化合物番号(4)で示される本化合物を0.5mMとなるようジメチルスルホキシド(以下、DMSOと記す。)にそれぞれ溶解させてなる溶液を添加(最終濃度1μM)した。また、対照としてDMSOを1μl、陽性対照として2.5μg/mlのTGF−βを1μl添加(最終濃度5ng/ml)した。37℃、5% CO2雰囲気下で3日間培養した後、培養上清と細胞とを分離した。
分離された細胞からRNeasy Mini kit(QIAGEN、カタログ番号74106)を用い、全RNA(約30μl)を抽出した。抽出された全RNA 5μl(50ng)に、20μM オリゴdT 1μl及びRNaseフリー蒸留水 4μlを加えて65℃、5分間インキュベートした直後に氷冷した。当該溶液10μlに、5xバッファー 4μl、MgCl2 2.4μl、10mM dNTP 1μl、RNasin 1μl、ImpromII 1μl、RNaseフリー蒸留水 0.6μl(以上全てPromega社)を加えて25℃で5分間、42℃で1時間、70℃で15分間の条件で逆転写反応した。
逆転写反応溶液 5μlに、配列番号1、2で示される各10pmol/μlプライマー 2μl、配列番号3で示されるI型コラーゲン検出用プローブ(FAM−ctactggcga aacctgtatc cgggc−TAMRA)(アプライドバイオシステム社) 1.25μl、TaqMan Universal PCR Master Mix(アプライドバイオシステム社) 12.5μl、滅菌水 2.25μlをOptical 96−Well Reaction Plate(アプライドバイオシステム社、カタログ番号N801−0560)のウエル中で混合した。同様に、配列番号4、5で示されるプライマー及び配列番号6で示されるMMP−1検出用プローブ(FAM−ctactggcga aacctgtatc cgggc−TAMRA)(アプライドバイオシステム社)又はGAPDH検出用プローブ(アプライドバイオシステム社、カタログ番号4310884E)を各々別々のウエル中で混合した。スタンダードとしては逆転写反応溶液5μlの代わりに、予め調製した正常ヒト胎児皮膚線維芽細胞cDNA 500、250、125、62.5、31.25、15.625ng/μl 各5μlを用いた。その後、Gene Amp 5700(アプライドバイオシステム社)を用いて50℃で5分間の1サイクル、95℃で15秒間及び60℃で1分間の40サイクルの条件でPCR反応した。定量はスタンダード直線を作成した後、各サンプルのI型コラーゲン量、MMP−1量及びGAPDH量を算出し、次式に従ってI型コラーゲン遺伝子の発現量(即ち、転写量)及びMMP−1遺伝子の発現量(即ち、転写量)を算出した。
I型コラーゲン遺伝子の発現量(補正値)=測定されたI型コラーゲン遺伝子の発現量/GAPDH量
MMP−1遺伝子の発現量(補正値)=測定されたMMP−1遺伝子の発現量/GAPDH量
被験化合物が化合物番号(4)で示される本化合物である場合における、I型コラーゲン遺伝子の発現量及びMMP−1遺伝子の発現量は表2のとおりであり、I型コラーゲン遺伝子の転写を促進し、MMP−1遺伝子の転写を抑制する能力が確認された。
【0014】
【表2】
*コントロールでの値を100とした場合の相対値で示す。
【0015】
実施例2(非分解I型コラーゲンのタンパク量を指標とした、被験化合物が有するコラーゲンの蓄積促進及び/又は減少抑制の効果測定)
実施例1記載の培養上清 50μlに、25mM 酢酸p−アミノフェニル水銀(アマシャムファルマシア社、カタログ番号RPN2629)1μlを添加し、37℃、1時間インキュベートした。得られた反応液 10μlを10% ポリアクリルヒドラゾンゲル電気泳動した後、PVDF膜に転写(250mA、90分間)した。タンパク質が転写されたPVDF膜を5%スキムミルク溶液中で振とうさせながら30分間インキュベートした後、0.1% Tween20を含むPBS溶液(以下、PBS−Tと記す。)で洗浄し、1000倍希釈したウサギ抗I型コラーゲン抗体(Polyscience社、カタログ番号23706)を加えて室温、1時間インキュベートした。次に、PBS−Tで3回、各10分間振とうさせながら洗浄した後、1000倍希釈したヤギ抗ウサギIgG抗体−HRP(Santa Cruz社、カタログ番号sc−2004)を加えて室温、1時間インキュベートした。PBS−Tで3回洗浄した後、ECL Western Blotting Detection Reagents(アマシャムファルマシア社、カタログ番号RPN2106)を加え、ルミノ・イメージアナライザーLAS−1000plus(FUJIFILM社)を用いて約200kDa及び150kDa部分の発光を検出し、Image Gauge(FUJIFILM社)を用いて定量した。得られた値を非分解I型コラーゲンのタンパク量とした。
化合物番号(4)で示される本化合物の非分解I型コラーゲンのタンパク量は、表3のとおりであり、コラーゲンの蓄積能力が確認された。
【0016】
【表3】
*コントロールでの値を100とした場合の相対値で示す。
【0017】
【発明の効果】
本発明により、式(I)で示されるヒドラゾン化合物を含有する、コラーゲン蓄積促進及び/又は減少抑制のための組成物等が提供可能となる。
【0018】
[配列表フリーテキスト]
配列番号1
I型コラーゲン遺伝子を検出するために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号2
I型コラーゲン遺伝子を検出するために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号3
I型コラーゲン遺伝子を検出するために設計されたオリゴヌクレオチドプローブ
配列番号4
MMP−1遺伝子を検出するために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー配列番号5
MMP−1遺伝子を検出するために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー配列番号6
MMP−1遺伝子を検出するために設計されたオリゴヌクレオチドプローブ
【0019】
【配列表】
【発明の効果】
本発明により、組織におけるI型コラーゲン遺伝子の発現量を増加させ、MMP−1遺伝子の発現量を減少させ、非分解I型コラーゲンタンパクの蓄積量を増加させることにより、組織中のコラーゲン量の減少を伴う疾患を改善させる薬剤(即ち、コラーゲン蓄積促進剤)の開発・提供が可能となる。
【0020】
[配列表フリーテキスト]
配列番号1
I型コラーゲン DNAを検出するために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号2
I型コラーゲン DNAを検出するために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号3
I型コラーゲン DNAを検出するために設計されたオリゴヌクレオチドプローブ
配列番号4
MMP−1 DNAを検出するために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号2
MMP−1 DNAを検出するために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号3
MMP−1 DNAを検出するために設計されたオリゴヌクレオチドプローブ
【0021】
【配列表】
Claims (3)
Priority Applications (1)
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JP2003154444A JP2004352686A (ja) | 2003-05-30 | 2003-05-30 | ヒドラゾン化合物含有コラーゲン蓄積促進及び/又は減少抑制のための組成物 |
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JP2003154444A JP2004352686A (ja) | 2003-05-30 | 2003-05-30 | ヒドラゾン化合物含有コラーゲン蓄積促進及び/又は減少抑制のための組成物 |
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