JP2004352620A - アズレン含有水性液剤及びその包装体 - Google Patents

アズレン含有水性液剤及びその包装体 Download PDF

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Kiyoshi Masuda
清 増田
Masaya Azuma
正也 東
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Abstract

【課題】アルコール類を使用しなくても、アズレンスルホン酸塩を高濃度に可溶化させることができるアズレン含有水性液剤およびその包装体を提供する。
【解決手段】本発明のアズレン含有水性液剤は、アズレンスルホン酸塩と、非イオン界面活性剤としてポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体と、を含有するものであり、好ましくは、溶解補助剤としてのポリビニルピロリドン、安定化剤としてのグリチルリチン酸塩を含有し、更に、リン酸塩を含有してpH7.2〜8.5に調整されていることが好ましい。このアズレン含有水性液剤は、黒色、橙色又は茶色の透明性材製の包装容器に充填されることが好ましい。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アズレンスルホン酸塩を有効成分として含有し、消化器、口腔咽喉、耳鼻科、眼科、皮膚科などの領域における抗炎症剤として使用することができるアズレン含有水性液剤、およびその包装体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アズレンスルホン酸塩は、菊科植物カミツレの精油成分であるカマアズレン(1,4−ジメチル−7−エチルアズレン)や、ユソウ木やユーカリの油成分であるグアイアズレン(1,4−ジメチル−7−イソプロピルアズレン)などの植物精油中に発現するアズレン誘導体の3位にスルホン酸基を導入した水溶性塩であり、従来より消化器、口腔咽喉、耳鼻科、眼科、皮膚科などの領域において炎症性疾患の治療及び予防を目的として広く使用されている。
【0003】
かかるアズレンスルホン酸塩は水溶性であるが、従来一般には、顆粒剤、散剤、錠剤、トローチ剤などの固形製剤として、服薬時に水に溶かして用いる用時溶解型や、服用時に溶け出すことを前提とした剤型とされている。これは、アズレンスルホン酸塩が、特に水溶液の形態では、光や熱などによって分解されやすく、不安定なことによるものである。
【0004】
そこで、特公平7−35342号公報には、アズレン類を含む液剤に炭酸水素塩を配合するとともに30〜100重量%のアルコール類を用いてアズレン類を安定化させたアズレン含有液剤が提案されている。また、特許第2724943号公報には、アズレンスルホン酸ナトリウムと20〜80w/v%の多価アルコールを含有する水性溶液製剤が提案されている。更に、特開平11−246513号公報には、アズレンスルホン酸塩の水溶解性と安定性向上剤として、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルやポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などの非イオン界面活性剤とアルコール類とを組み合わせて配合したアズレン水性液剤が提案されている。
【0005】
また、特公平8−32626号公報には、アズレンの抗炎症効果を増強させるために、アズレン類、四級アンモニウム塩、HLBが8〜13.5の非イオン界面活性剤、及びアルコール類を含有するアズレン系抗炎症剤が提案されている。
【0006】
【特許文献1】特公平7−35342号公報
【0007】
【特許文献2】特許第2724943号公報
【0008】
【特許文献3】特開平11−246513号公報
【0009】
【特許文献4】特公平8−32626号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1〜4では、いずれもアズレンスルホン酸塩を水に溶解させるためにアルコール類を配合している。しかしながら、アルコールは刺激が強く、例えば含嗽液などの口腔用剤として使用した場合、口中の荒れや、口腔・咽頭の刺激感などといった副作用が認められる場合がある。そのため、アルコールを極力使用しないでアズレンスルホン酸塩を可溶化させることが求められる。
【0011】
また、上記特許文献1,2,4では、アズレンスルホン酸塩の濃度がせいぜい0.3w/v%であり、携帯性などの観点からはより高濃度の水性液剤が求められる。しかし、従来の技術では、1w/v%を越えるような高濃度のアズレン含有水性液剤は、アルコール類を使用しなければ調製は困難であり、上記した副作用の点から改良が求められている。
【0012】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、アルコール類を使用しなくても、アズレンスルホン酸塩を高濃度に可溶化させることができ、また安定なアズレン含有水性液剤およびその包装体を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、アズレンスルホン酸塩を水中に溶解させる際に、非イオン界面活性剤としてポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体を用いることで、アルコール類を使用しなくても高濃度に溶解させることができることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明によれば、アズレンスルホン酸塩と、非イオン界面活性剤としてポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体とを含有するアズレン含有水性液剤が提供される。
【0015】
かかる本発明のアズレン含有水性液剤においては、前記非イオン界面活性剤として、前記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体と、これ以外のポリオキシエチレン型非イオン界面活性剤とを併用することが好ましい。また、該アズレン含有水性液剤には、溶解補助剤として、ポリビニルピロリドンを更に含有させることが好ましい。更に、該アズレン含有水性液剤には、アズレンスルホン酸塩の安定化剤としてグリチルリチン酸塩を更に含有させることが好ましく、また、アズレンスルホン酸塩の安定性を高めるために、リン酸塩を含有させてpH7.2〜8.5に調整することが好ましい。
【0016】
本発明によれば、また、上記したアズレン含有水性液剤が、黒色、橙色又は茶色の透明性材製の包装容器に充填されてなるアズレン含有水性液剤の包装体が提供され、アズレンスルホン酸塩の光に対する安定性を向上することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明のアズレン含有水性液剤は、薬効成分としてアズレンスルホン酸塩を含有する。アズレンスルホン酸塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。
【0018】
アズレンスルホン酸塩の含有量は、特に限定されないが、0.5〜10w/v%であることが好ましく、より好ましくは1.5〜6w/v%である。このような高濃度とすることにより、製品容量を小さくすることができることから携帯性に優れ、また服薬に際し使用濃度の水溶液を調製するときに水中に滴下することにより滴数で計量することができ、取り扱い性にも優れる。
【0019】
本発明のアズレン含有水性液剤では、非イオン界面活性剤としてポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体(以下、POEPOP共重合体と称する)を用いて、アズレンスルホン酸塩を水中に溶解させる。POEPOP共重合体を用いることにより、アルコール類を用いなくても、アズレンスルホン酸塩を高濃度に水中に溶解させることができ、また光や熱に対するアズレンスルホン酸塩の安定性を高めることができる。また、POEPOP共重合体は、他の界面活性剤に見られる泡立ちが少なく、消泡効果を持つため、特に他の界面活性剤と併用する場合に、界面活性剤特有の泡立ちを抑えることができ、また製造後の泡切れもよい。
【0020】
該POEPOP共重合体としては、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンのブロック共重合体、より詳細には、一般にプルロニック型界面活性剤と称され、下記一般式(1)で表される、ポリプロピレングリコールを疎水基としてエチレンオキシドを付加により親水性を付与した非イオン界面活性剤が好ましく用いられる。
【0021】
HO(CO)−(CO)−(CO)H …(1)
式中、a,b,cは正の整数である。ポリオキシプロピレン基の分子量は、特に限定されないが、1000〜3000であることが好ましく、より好ましくは1500〜2500である。また、ポリオキシエチレン基の含有量も、特に限定されないが、全分子中に占める重量比で30〜80%であることが好ましく、より好ましくは40〜60%である。該POEPOP共重合体は、また、HLBが10以上であることが好ましく、より好ましくは11〜16である。
【0022】
POEPOP共重合体の配合量は、1〜10w/v%であることが好ましく、より好ましくは3〜6w/v%である。
【0023】
本発明のアズレン含有水性液剤においては、上記POEPOP共重合体とともに、他の界面活性剤を併用することが好ましい。併用する界面活性剤としては、POEPOP共重合体以外の非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤が挙げられる。
【0024】
併用する非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油などの、親水基としてポリオキシエチレン基を有するポリオキシエチレン型非イオン界面活性剤が好ましい。これらのポリオキシエチレン型非イオン界面活性剤と上記POEPOP共重合体とを併用することにより、アズレンスルホン酸塩をより高濃度にかつ安定して溶解させることができる。これら併用する非イオン界面活性剤のHLBとしては、14以上であることが好ましく、より好ましくは14〜18である。
【0025】
また、上記の併用するアニオン界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩、アルキルスルホン酸塩などが挙げられる。
【0026】
これらの他の界面活性剤を併用する場合、その配合量は1〜15w/v%であることが好ましく、より好ましくは4〜12w/v%である。
【0027】
本発明のアズレン含有水性液剤においては、アズレンスルホン酸塩の溶解補助剤として、ポリビニルピロリドンを配合することが好ましい。ポリビニルピロリドンは、この種の水性液剤において増粘剤として用いられることはあるものの、アズレンスルホン酸塩の溶解を補助して保存時の析出を防ぐという効果については知られていない。本発明では、後記実施例で示されているように、ポリビニルピロリドンを配合することにより、アズレンスルホン酸塩の溶解を補助して保存性を高めることができる。また、その増粘効果により投薬部位での滞留時間を向上させることができる。
【0028】
ポリビニルピロリドンの配合量は、特に限定されないが、1〜10w/v%であることが好ましく、より好ましくは3〜5w/v%である。また、ポリビニルピロリドンの平均分子量は、特に限定されないが、28,000〜1,500,000であることが好ましい。
【0029】
本発明のアズレン含有水性液剤においては、アズレンスルホン酸塩の安定化剤として、グリチルリチン酸二カリウムなどのグリチルリチン酸塩を配合することが好ましい。グリチルリチン酸塩は、この種の水性液剤において矯味剤として用いられることはあるものの、アズレンスルホン酸塩の安定化剤として作用することは知られていない。本発明では、後記実施例で示されているように、グリチルリチン酸塩を配合することにより、アズレンスルホン酸塩の特に熱に対する安定性を向上できることを見い出した。
【0030】
グリチルリチン酸塩の配合量は、特に限定されないが、0.1〜3w/v%であることが好ましく、より好ましくは0.5〜2w/v%である。
【0031】
本発明のアズレン含有水性液剤においては、リン酸塩を更に配合して、液剤のpHを7.2〜8.5に調整することが好ましい。このようにリン酸塩緩衝剤を用いて弱アルカリ性とすることにより、アズレンスルホン酸塩を熱や光に対して安定化させることができ、分解を抑えることができる。
【0032】
リン酸塩としては、リン酸のアルカリ金属塩、これらの結晶水付加物、又はこれらの混合物が挙げられる。リン酸塩の配合量は、特に限定されないが、0.01〜3w/v%であることが好ましい。また、水性液剤のpHは7.5〜8.2であることがより好ましい。なお、pHの微調整は、水酸化ナトリウムや塩酸などを用いて行うことができる。
【0033】
本発明のアズレン含有水性液剤には、上記した各成分の他に、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲内で、この種の医薬製剤に配合される補助添加剤、例えば、抗酸化剤、増粘剤、防腐剤、矯味剤などを配合することもできる。また、本発明のアズレン含有水性液剤は、基本的にはアルコール類を含有しないものであるが、上記した副作用を生じない範囲内でグリセリンなどのアルコール類を配合しても構わない。
【0034】
本発明のアズレン含有水性液剤の調製は、この種の液剤の調製に一般に用いられている方法に従い行うことができる。例えば、上記POEPOP共重合体を、場合により他の界面活性剤とともに水に溶解しておき、この界面活性剤の水溶液にアズレンスルホン酸塩を添加して溶解し、更に必要に応じて他の添加剤を加えて溶解させることにより調製することができる。
【0035】
本発明の包装体は、上記した本発明のアズレン含有水性液剤を、黒色、橙色又は茶色の透明性材製の包装容器に充填してなるものである。このような透明性材製の包装容器に充填することにより、外部からの視認による品質検査や分離析出状態の確認を行うことができるとともに、残存液量を確認することができる。
【0036】
上記透明性材の透明度としては、包装容器内部の様子が観察可能な程度であればよく、半透明と呼ばれる透明度の少ないものも含まれる。また、包装容器としては、液剤を充填する容器として機能するものであれば、ガラス材でも合成樹脂材でもよい。好ましくはポリエチレンなどの合成樹脂製容器である。
【0037】
上記包装容器としては、黒色、橙色又は茶色に着色された透明性材からなるものが用いられるが、その理由は、これらの色に着色された透明性材はアズレンスルホン酸塩を分解させる光に対する透過率が少なく、光安定性の向上に寄与するためである。
【0038】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0039】
〔評価方法〕
(1)アズレンスルホン酸ナトリウムの定量法
アズレン含有水性液剤1mL(アズレンスルホン酸ナトリウム約40mg対応量)を正確に量り、水を加えて正確に100mLとし、試料溶液とする。別にアズレンスルホン酸ナトリウム標準品(日本薬局方外医薬品規格のアズレンスルホン酸ナトリウムと同様の方法で水分を測定しておく)を、40mg精密に量り、水を加えて溶かして正確に100mLとし、標準溶液とする。試料溶液と標準溶液につき、水を対照として、層長10mm、波長570nmで、吸光度(試料溶液:At、標準溶液:As)を測定し、下記式からアズレン含有水性液剤中に含まれるアズレンスルホン酸ナトリウムを定量する。
【0040】
アズレンスルホン酸ナトリウムの含有量(mg)=標準品採種量(mg)×At÷As。
【0041】
(2)熱安定性試験
ポリエチレン製容器(点眼容器)にアズレン含有水性液剤を約5mL入れて密封状態にし、温度50℃、湿度75%の高温高湿器に入れ、所定期間経過後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存含量を測定するとともに、外観を観察して色の変化と析出物の有無を評価した。残存含量は、試験前と試験後のアズレンスルホン酸ナトリウムの含有量を上記(1)の定量法により算出して、試験前の含有量に対する試験後の含有量の比率を求めた。
【0042】
(3)光安定性試験
ガラス容器にアズレン含有水性液剤を約5mL入れて密封状態にし、2000Lux/時間の光を照射して、所定期間経過後のアズレンスルホン酸ナトリウムの残存含量を測定するとともに、外観を観察して色の変化と析出物の有無を評価した。残存含量の算出は上記(2)と同様である。
【0043】
(4)保存試験
ポリエチレン製容器(点眼容器)にアズレン含有水性液剤を約5mL入れて密封状態にしたものを、室温下と冷所(2℃)でそれぞれ保存して、所定期間経過後の外観を観察して色の変化と析出物の有無を評価した。
【0044】
〔試験例A〕
下記表1に示す処方に基づき、アズレンスルホン酸ナトリウム水溶液を調製した。調製は、界面活性剤を精製水に60℃加温中で溶解させてから、その水溶液にアズレンスルホン酸ナトリウムを添加して溶解させた。但し、60℃で溶解しにくい界面活性剤については温度を上げて溶解させた。各水溶液について、主薬であるアズレンスルホン酸ナトリウムの調製時の溶解性を評価するとともに、冷所(2℃)と室温下で一日保存して溶解状態を確認した。
【0045】
【表1】
Figure 2004352620
表中の各成分の詳細は以下の通りである(以下の表でも同様)。
【0046】
・POEPOP重合体1:旭電化工業(株)製「アデカプルロニックP−85」。上記式(1)で表される非イオン界面活性剤であり、ポリオキシプロピレン基の分子量が2250、分子中のポリオキシエチレン基の含有量が50重量%、HLB=11.9。
【0047】
・ショ糖脂肪酸エステル:三菱化学株式会社製「リョートーシュガーエステルJ1816」。HLB=16。
【0048】
・POE硬化ヒマシ油:日光ケミカルズ(株)製「ニッコールHCO−60」。HLB=14。
【0049】
・POEソルビタン脂肪酸エステル1:花王(株)製「ポリソルベート60」。モノステアリン酸、HLB=14.9。
【0050】
・POEソルビタン脂肪酸エステル2:日光ケミカルズ(株)製「ポリソルベート80」。モノオレイン酸、HLB=15.0。
【0051】
・POEアルキルエーテル:日光ケミカルズ(株)製「ラウロマクロゴールBL−9EX」。HLB=14.5。
【0052】
表1に示すように、非イオン界面活性剤としてPOEPOP重合体を用いることにより(No.1〜3)、アズレンスルホン酸ナトリウムを高濃度に溶解させることができ、また、冷所および室温ともに溶解状態が保持されていた。特に、No.2では冷所保存で4日後においても、またNo.3では冷所保存で1週間後においても溶解状態が保持されていた。また、No.1〜3ともに室温においては15日経過後も溶解状態が保持されていた。これに対し、POEPOP重合体を用いなかったNo.4〜6では、溶解後に室温まで放冷したところ固化してしまった。また、No.7では、調製時には溶解したままであったが、冷所及び室温で1日保存したところ固化してしまった。
【0053】
〔試験例B:緩衝剤による安定性の検討〕
下記表2に示す処方に基づき、アズレンスルホン酸ナトリウム水溶液を調製した。調製は、界面活性剤を精製水に75℃加温中で溶解させてから、その水溶液にアズレンスルホン酸ナトリウムを添加して溶解し、更に各緩衝剤を加え、必要に応じて塩酸又は水酸化ナトリウムを加えてpHを約7.5に調整した。各水溶液について、上記した熱安定性試験と光安定性試験を実施した。
【0054】
【表2】
Figure 2004352620
表2に示すように、リン酸緩衝剤を用いてpHを約7.5に調整した場合(No.8)、緩衝剤を使用しなかった場合(No.11)に比べて、熱及び光の双方に対してアズレンスルホン酸ナトリウムの安定性を向上することができた。これに対し、特にホウ酸緩衝剤を用いた場合(No.10)、熱安定性が大きく悪化して、濃青色の水溶液が黒く変色した。
【0055】
〔試験例C:リン酸緩衝剤のpHの違いによる安定性の検討〕
下記表3に示す処方に基づき、試験例Bと同様にしてアズレンスルホン酸ナトリウム水溶液を調製し、各水溶液について上記した熱安定性試験と光安定性試験を実施した。
【0056】
【表3】
Figure 2004352620
表3に示すように、リン酸緩衝剤を用いてpHを変化させた場合、pH7以下(No.12〜14)では、特に熱に対してアズレンスルホン酸ナトリウムの安定性が大きく悪化し、黒色の浮遊物が生じた。また、pH8.5以上(No.17)ではアズレンスルホン酸ナトリウムの安定性には優れるものの、光安定性試験において結晶の析出が少し認められた。これに対し、pH7.5(No.15)とpH8.0(No.16)では、熱と光の双方の安定性に優れていた。
【0057】
〔試験例D:ポリビニルピロリドンによる溶解補助効果〕
下記表4に示す処方に基づき、アズレンスルホン酸ナトリウム水溶液を調製した。調製は、界面活性剤と水溶性高分子を精製水に対し75℃加温中で溶解させてから、その水溶液にアズレンスルホン酸ナトリウムを添加して溶解し、更にリン酸緩衝剤を加え、必要に応じて塩酸又は水酸化ナトリウムを加えてpHを約7.5に調整した。各水溶液について、上記した熱安定性試験、光安定性試験及び保存試験を実施した。
【0058】
【表4】
Figure 2004352620
表中の「ポリビニルピロリドン1」はBASFジャパン(株)製「ポビドンK−90」(平均分子量=1,200,000)、「ポリビニルピロリドン2」はISPジャパン(株)製「ポビドンK−30」(平均分子量=40,000)である(以下の表でも同様)。
【0059】
表4に示すように、基本処方(No.24)では室温および冷所での保存性に優れるものの、これにリン酸緩衝剤を加えた場合(No.23)、アズレンスルホン酸ナトリウムの安定性は向上するものの、保存性が悪化してしまった。そこで、No.23の処方にポリビニルピロリドンを添加したところ(No.18〜20)、アズレンスルホン酸ナトリウムの安定性を確保しつつ、溶解保存性が大幅に改善されていた。このような効果は他の水溶性高分子を添加した場合(No.21,22)には認められなかった。
【0060】
〔試験例E:グリチルリチン酸塩の安定化効果〕
下記表5に示す処方に基づき、アズレンスルホン酸ナトリウム水溶液を調製した。調製は、界面活性剤を精製水に対し75℃加温中で溶解させてから、その水溶液にアズレンスルホン酸ナトリウムを添加して溶解し、更に各安定化剤を加え、必要に応じて塩酸又は水酸化ナトリウムを加えてpHを約7.5に調整した。各水溶液について、上記した熱安定性試験と光安定性試験を実施した。
【0061】
【表5】
Figure 2004352620
表5に示すように、基本処方(No.29)に比べて、グリチルリチン酸二カリウムを添加することにより(No.25)、アズレンスルホン酸ナトリウムの安定性を向上することができた。
【0062】
〔試験例F:包装容器の色の違いによる安定性〕
上記試験例AのNo.1のアズレン含有水性液剤を、下記表6に示す各色のポリエチレン製容器にそれぞれ5mL入れて密封し、容器を立てた状態で、光を2000Lux/時間で14日間(合計約67万Lux)照射して、照射後に上記したアズレンスルホン酸ナトリウムの定量法に従い、定量した。また、照射後、更に室内の窓辺に放置し、5日後と12日後にアズレンスルホン酸ナトリウムを定量した。
【0063】
【表6】
Figure 2004352620
表6に示すように、茶色及び橙色半透明の包装容器に充填した場合(No.30,No.37)、他の半透明容器に充填した場合(No32〜35)に比べて、アズレンスルホン酸ナトリウムの光安定性に優れていた。
【0064】
〔実施例1,2及び比較例1,2〕
下記表7に示す処方に基づき、アズレン含有水性液剤として含嗽液を調製した(なお、この含嗽液は、数滴を約100mLの水に滴下して溶解させたものを含嗽して使用するものである)。調製は、界面活性剤とポリビニルピロリドンを精製水に対し75℃加温中で溶解させてから、その水溶液にアズレンスルホン酸ナトリウムを添加して溶解し、更に他の添加剤を加えて行った。各含嗽液について、上記した熱安定性試験、光安定性試験及び保存試験を実施した。
【0065】
【表7】
Figure 2004352620
表中の「POEPOP重合体2」は、BASFジャパン(株)製「ルトロールF68」であり、上記式(1)で表される非イオン界面活性剤であって、ポリオキシプロピレン基の分子量が1750、分子中のポリオキシエチレン基の含有量が80重量%、HLB=15.5である。
【0066】
表7に示すように、本発明に係る実施例1及び2の含嗽液では、アルコール類を使用しなくても、アズレンスルホン酸ナトリウムを高濃度に可溶化させることができ、室温及び冷所での保存性に優れるとともに、アズレンスルホン酸ナトリウムの熱及び光に対する安定性にも優れていた。
【0067】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、アルコール類を使用しなくても、アズレンスルホン酸塩を高濃度に水中に溶解させることができる。そのため、刺激が少ないという抗炎症剤としての好ましい特性を持つものでありながら、高濃度で取り扱い性に優れるアズレン含有水性液剤を提供することができる。

Claims (6)

  1. アズレンスルホン酸塩と、非イオン界面活性剤としてポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体と、を含有するアズレン含有水性液剤。
  2. 前記非イオン界面活性剤として、前記ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体と、これ以外のポリオキシエチレン型非イオン界面活性剤とを含有することを特徴とする請求項1記載のアズレン含有水性液剤。
  3. ポリビニルピロリドンを更に含有することを特徴とする請求項1又は2記載のアズレン含有水性液剤。
  4. グリチルリチン酸塩を更に含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のアズレン含有水性液剤。
  5. リン酸塩を更に含有し、pH7.2〜8.5に調整されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のアズレン含有水性液剤。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のアズレン含有水性液剤が、黒色、橙色又は茶色の透明性材製の包装容器に充填されてなるアズレン含有水性液剤の包装体。
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