JP2004352102A - クローラ式作業機械の昇降用ステップ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ステップがサイドフレームの外側面に対して開いた状態を、ステップの通常の状態にすることができ、走行体の外側方からステップに外力が与えられたときには、その外力によりステップを外側面に対して閉じさせることができるクローラ式作業機械の昇降用ステップ装置の提供。
【解決手段】引張コイルばね64によりステップ61をサイドフレーム7の外側面7aに対して開く方向に付勢し、ステップ61を通常は所定角度θmax、例えば45°まで開いた状態に保持しておく。そして、走行体3の外側方から転がってきた岩石がステップ61に衝突した場合のように、走行体3の外側方からステップ61に外力が与えられたときには、ステップ61が引張コイルばね64による付勢力に抗して、外側面7aに対して閉じるようにした。
【選択図】 図4
【解決手段】引張コイルばね64によりステップ61をサイドフレーム7の外側面7aに対して開く方向に付勢し、ステップ61を通常は所定角度θmax、例えば45°まで開いた状態に保持しておく。そして、走行体3の外側方から転がってきた岩石がステップ61に衝突した場合のように、走行体3の外側方からステップ61に外力が与えられたときには、ステップ61が引張コイルばね64による付勢力に抗して、外側面7aに対して閉じるようにした。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、クローラ式ショベルやクレーン等のクローラ式作業機械に備えられる走行体側部のサイドフレームに設置され、オペレータがクローラ式作業機械に昇り降りする際の、足の踏み場となるステップを有するクローラ式作業機械の昇降用ステップ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
クローラ式作業機械の昇降用ステップ装置の従来技術について説明する。
【0003】
[第1の従来技術]
クローラ式ショベルの走行体は、その左右両側部に履帯が装着されるサイドフレームを備えている。そして、このサイドフレームの外側面には、従来から昇降用ステップ装置が設置されている。
【0004】
そして、従来の昇降用ステップ装置には、一端部がサイドフレームの外側面に取り付けられる脚部と、この脚部の他端部に設けられ、オペレータが履帯に昇り降りする際に足の踏み場となる踏み部とを有するステップを備えるものがある。脚部は、走行体の上下方向に揺動可能となるように、一端部がサイドフレームの外側面に軸支されている。
【0005】
また、この昇降用ステップ装置は、脚部の他端部が一端部よりも高い位置にあって脚部が外側面に対して閉じる方向に最も揺動した状態を脚部の揺動の始点として、外側面に対して開く方向への脚部の揺動角度の限度を、予め設定した角度に規制する開限度規制手段が設けられている。
【0006】
この開限度規制手段は、サイドフレームの外側面に設けられ、正面視形状がL字状の部材である。このL字状の部材は、その一端側が外側面に直角で他端側が外側面に平行な状態で、他端部がステップの揺動の軸心よりも上方の高さ位置に配置され、一端部が外側面に固着されている。これにより、ステップが外側面に対して開く方向に前記予め設定した角度まで揺動したとき、L字状の部材の他端部が脚部に下方から当接して、ステップの開く方向の揺動が規制されるようになっている。
【0007】
また、他の開限度規制手段としては、脚部の一端部に外側面方向に延設され、外側面に設けられた孔に挿通される延設部と、外側面の裏面側に位置する延設部の端部に設けられ、上方向に突出する突出部とを備えているものがある。この開限度規制手段では、脚部が外側面に対して開く方向に揺動すると、突出部が外側面の裏面に近づく方向に揺動し、ステップが前記予め設定した角度まで開いたときに、突出部が外側面の裏面に当接して、ステップの開く方向の揺動が規制されるようになっている。
【0008】
また、この昇降用ステップ装置では、脚部の揺動の軸心よりも上方において、脚部とサイドフレームの外側面が引張コイルばねにより連結されており、これによって、脚部、すなわちステップがサイドフレームの外側面に対して閉じる方向に常に付勢されている。
【0009】
また、前記引張コイルばねの代りに、外側面の裏面側に位置する前記延長部の部分におもりを設けて、このおもりの重みにより、ステップを閉じる方向に付勢するものもある。
【0010】
このように構成された従来の昇降用ステップ装置では、ステップが引張コイルばねによる引張力や、おもりの重みにより閉じる方向に付勢されて外側面に対して閉じた状態に保持される。つまり、ステップが、通常、履帯の幅よりも内側に格納されているので、走行体の外側方から転がってくる岩石がステップに衝突する可能性を低減することができる。(特許文献1参照)
[第2の従来技術]
また、他の従来のクローラ式作業機械の昇降用ステップ装置としては、一端がサイドフレームの外側面に固着される1対の脚部と、この1対の脚部の他端部間に架け渡される踏み部とにより、平面視形状がコ字状に形成されたステップからなるものがある。(特許文献2参照)
【0011】
【特許文献1】
特開2001−164603号公報(段落0047〜00101、図3〜10)
【0012】
【特許文献2】
特開平6−87380号公報(段落0011,0012、図15)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の第1の従来技術では、引張コイルばねの引張力により、ステップが通常は閉じた状態になっているので、オペレータは履帯に昇り降りする際、ステップを足で開く必要がある。つまり、第1の従来技術では、ステップを足で開くのが煩わしい。
【0014】
また、第2の従来技術では、走行体の外側方から転がってきた岩石がステップに衝突しやすく、ステップを損傷させる恐れがある。
【0015】
本発明は、上述の実情を考慮してなされたもので、その目的は、ステップがサイドフレームの外側面に対して開いた状態を、ステップの通常の状態とすることができ、走行体の外側方からステップに外力が与えられたときには、その外力によりステップを外側面に対して閉じさせることができるクローラ式作業機械の昇降用ステップ装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、走行体の左右両側部であって履帯が装着される1対のサイドフレームの、少なくとも一方の外側面にステップを備え、このステップが、踏み部と、この踏み部に一端部側が接続された少なくとも2つの脚部とを有し、これらの脚部の他端部側を、揺動軸を介して前記サイドフレームの外側面に取付けることにより、各脚部を外側面側に対して前記走行体の上下方向に揺動可能に設けた昇降用ステップ装置において、前記踏み部を、前記脚部の他端部側よりも高い位置に位置させ、前記脚部の最大揺動角度を予め設定した角度に規制する開限度規制手段を設け、前記ステップの重心の位置を、前記外側面及び前記揺動軸よりも外側に常に位置するように設定したことを特徴とする。
【0017】
このように構成した請求項1に係る発明では、ステップの重心が、常に、外側面及び揺動軸よりも外側に位置しているので、脚部は常に開く方向に付勢されている。したがって、ステップは、通常、脚部が予め設定した角度まで開いた状態で、脚部の開く方向の揺動を開限度規制手段より規制されている。
【0018】
このようにステップが開いた状態で、例えば走行体の外側方からステップに岩石が衝突した場合のように、走行体の外側方からステップに外力が与えられると、ステップの脚部が予め設定した角度に保持されているので、すなわち、踏み部が脚部の他端部側よりも高い位置にあるので、脚部に対して閉じる方向で外力が作用し、これにより、ステップが重心による付勢力に抗して閉じる。
【0019】
そして、ステップに与えられた外力が取り除かれると、ステップは、重心による付勢力により、開く方向に揺動して予め設定した角度まで再び開き、開限度規制手段により開く方向の揺動が規制される、すなわち、開いた状態に自動的に復帰する。
【0020】
つまり、請求項1に係る発明によれば、ステップが外側面に対して開いた状態を、ステップの通常の状態にすることができ、走行体の外側方からステップに外力が与えられたときには、その外力によりステップを外側面に対して閉じさせることができる。
【0021】
また、請求項2に係る発明は、走行体の左右両側部であって履帯が装着される1対のサイドフレームの、少なくとも一方の外側面にステップを備え、このステップが、踏み部と、この踏み部に一端部側が接続された少なくとも2つの脚部とを有し、これらの脚部の他端部側を、揺動軸を介して前記サイドフレームの外側面に取付けることにより、各脚部を外側面側に対して前記走行体の上下方向に揺動可能に設けた昇降用ステップ装置において、前記踏み部を、前記脚部の他端部側よりも高い位置に位置させ、前記脚部の最大揺動角度を予め設定した角度に規制する開限度規制手段を設け、前記ステップを前記外側面に対して開く方向に常に付勢する弾性部材の一端側を前記外側面に、他端側を前記ステップに取付けたことを特徴とする。
【0022】
このように構成した請求項2に係る発明では、ステップは、弾性部材より常に開く方向に付勢されているので、通常、脚部が予め設定した角度まで開いた状態で、脚部の開く方向の揺動を開限度規制手段により規制されている。
【0023】
このようにステップが開いた状態で、例えば走行体の外側方からステップに岩石が衝突した場合のように、走行体の外側方からステップに外力が与えられると、踏み部が脚部の他端部側よりも高い位置にあるので、脚部に対して閉じる方向で外力が作用し、これにより、ステップが弾性部材による付勢力に抗して閉じる。
【0024】
そして、ステップに与えられた外力が取り除かれると、ステップは弾性部材による付勢力により開き、脚部が予め設定した角度まで開くと開限度規制手段により脚部の開く方向の揺動が規制される、すなわち、ステップは開いた状態に自動的に復帰する。
【0025】
つまり、請求項2に係る発明によっても、ステップが外側面に対して開いた状態を、ステップの通常の状態にすることができ、走行体の外側方からステップに外力が与えられたときには、その外力によりステップを外側面に対して閉じさせることができる。
【0026】
また、請求項3に係る発明は、走行体の左右両側部であって履帯が装着される1対のサイドフレームの、少なくとも一方の外側面にステップを備え、このステップが、踏み部と、この踏み部に一端部側が接続された少なくとも2つの脚部とを有し、これらの脚部の他端部側を、揺動軸を介して前記サイドフレームの外側面に取付けることにより、各脚部を外側面側に対して前記走行体の上下方向に揺動可能に設けた昇降用ステップ装置において、前記踏み部を、前記脚部の他端部側よりも高い位置に位置させ、前記脚部の最大揺動角度を予め設定した角度に規制する開限度規制手段を設け、前記ステップの重心の位置を、前記外側面及び前記揺動軸よりも外側に常に位置するように設定し、前記ステップを前記外側面に対して開く方向に常に付勢する弾性部材の一端側を前記外側面に、他端側を前記ステップに取付けたことを特徴とする。
【0027】
また、請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれかに係る発明において、前記開限度規制手段が、前記脚部の他端部側に設けられ、脚部が前記予め設定した角度まで開いたときに、前記外側面に当接する当接部を有することを特徴とする。
【0028】
また、請求項5に係る発明は、請求項1〜3のいずれかに係る発明において、前記開限度規制手段が、前記脚部の揺動の軸心よりも上方で前記ステップと前記外側面とを連結し、前記脚部が前記予め設定した角度まで開いたときに、前記脚部の前記開く方向への揺動を規制し、前記脚部が前記予め設定した角度から閉じる方向に揺動するのを許容する連結部材を有することを特徴とする。
【0029】
また、請求項6に係る発明は、請求項1〜3のいずれかに係る発明において、前記開限度規制手段が、前記脚部の他端部側に設けられ、脚部が前記予め設定した角度まで開いたときに、前記外側面に当接する当接部と、前記脚部の揺動の軸心よりも上方で前記ステップと前記外側面とを連結し、前記脚部が前記予め設定した角度まで開いたときに、前記脚部の前記開く方向への揺動を規制し、前記脚部が前記予め設定した角度から閉じる方向に揺動するのを許容する連結部材とを有することを特徴とする。
【0030】
また、請求項7に係る発明は、走行体の左右両側部であって履帯が装着される1対のサイドフレームの、少なくとも一方の外側面にステップを備え、このステップが、踏み部と、この踏み部に一端部側が接続された少なくとも2つの脚部とを有し、これらの脚部の他端部側を、揺動軸を介して前記サイドフレームの外側面に取付けることにより、各脚部を外側面側に対して前記走行体の上下方向に揺動可能に設けた昇降用ステップ装置において、前記脚部における前記揺動軸よりも外側に位置する部分に一端側が取付けられ、前記外側面における前記揺動軸よりも下方に位置する部分に他端部が取付けられる引張コイルばねを備えるとともに、前記脚部の他端部側に設けられ、脚部を予め設定した角度まで開いたときに前記外側面に当接して脚部の開く方向への揺動を規制する当接部を有する開限度規制手段を備えることを特徴とする。
【0031】
また、請求項8に係る発明は、走行体の左右両側部であって履帯が装着される1対のサイドフレームの、少なくとも一方の外側面にステップを備え、このステップが、踏み部と、この踏み部に一端部側が接続された少なくとも2つの脚部とを有し、これらの脚部の他端部側を、揺動軸を介して前記サイドフレームの外側面に取付けることにより、各脚部を外側面側に対して前記走行体の上下方向に揺動可能に設けた昇降用ステップ装置において、直線状に弾性復帰する性質を有し、前記脚部の揺動の軸心よりも上方で一端が前記外側面に、他端が前記脚部に取付けられるとともに、前記脚部が予め設定した角度まで開くのに十分な長さ寸法に設定された索状部材と、前記脚部の他端部側に設けられ、前記脚部を前記予め設定した角度まで開いたときに前記外側面に当接して脚部の開く方向への揺動を規制する当接部を有する開限度規制手段と、前記ステップの重心の位置が前記外側面及び前記揺動軸よりも外側に常に位置するように、前記脚部の閉じる方向への揺動の限度を、脚部が予め設定した小角度開いた状態に規制する閉限度規制手段とを備えたことを特徴とする。
【0032】
また、請求項9に係る発明は、請求項8に係る発明において、前記閉限度規制手段が、前記揺動の軸心よりも上方に位置する前記外側面の部分に設けられ、前記脚部が前記予め設定した小角度まで閉じたときに前記脚部に当接するように、前記外側面から外側方に向かって突出させた突出部からなることを特徴とする。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下に本発明のクローラ式作業機械の昇降用ステップの実施形態について説明する。
【0034】
[第1の実施形態]
第1の実施形態について図を用いて説明する。
【0035】
図1は、本発明の第1,第2の実施形態が備えられるクローラ式ショベルの側面図、図2は、図1のA−A断面図、図3は、第1の実施形態の平面図、図4は、第1実施形態の拡大正面図、図5は、図4に示すステップが閉じている途中の状態を示す正面図である。
【0036】
第1の実施形態は、クローラ式作業機械、例えば図1に示すクローラ式ショベル1に設けられる昇降用ステップ装置6である。図1に示すショベル1は、運転室や機械室等が搭載される旋回体2と、ブーム、アーム及びバケット等から構成されたフロント作業機3と、走行体4とを備えている。旋回体2は、図2に示す走行体4上に図示しない旋回輪を介して設けられている。また、走行体4は、センタフレーム8と、このセンタフレーム8の左右両側部に設けられる1対のサイドフレーム7とから大略構成されるトラックフレーム9を備えており、サイドフレーム7の周囲には、無端状の履帯4が装着されている。
【0037】
そして、昇降用ステップ装置6は、同図2に示すように、1対のサイドフレーム7の少なくとも一方の外側面7aに設けられ、オペレータが履帯5に昇り降りする際に足を掛けるステップ61を備えている。
【0038】
このステップ61は、図3に示すように、オペレータが履帯5に昇り降りする際に踏む踏み部61aと、この踏む部61aに一端部側に接続され他端部側がサイドフレーム7の外側面7aに取り付けられる少なくとの2つの、例えば1対の脚部61bとを、平面視形状をコ字状となるように一体に形成してなる。
【0039】
サイドフレーム7の外側面7aには、2つのブラケット67をショベル1の前後方向に配置して固着してある。このれらのブラケット67の間隔寸法は、1対の脚部61bの間隔寸法に対応させてある。各ブラケット67の位置には、各脚部61bの他端部側を配置してある。そして、各ブラケット67と各脚部61bの他端部側とに、ショベル1の前後方向と平行に揺動軸63を挿入することによって、脚部61b、すなわちステップ61を、揺動軸63を中心にショベル1の上下方向に揺動可能にしてある。
【0040】
また、昇降用ステップ装置6では、脚部61bの一端部側が他端部側よりも高い位置にあって脚部61bが外側面7aに対して閉じる方向に最も揺動した状態を、脚部61bの揺動の始点として、外側面7aに対して開く方向への脚部61bの揺動角度の限度、すなわち、最大揺動角度を、予め設定してある。
【0041】
最大揺動角度は、図4に示すように、脚部61bの一端部側を他端部側よりも高い位置に位置させた状態の角度θmax、例えば45°であり、それ以上脚部61bが開かないように後述の開限度規制手段により規制してある。なお、角度θmaxは、例えば、脚部61bの揺動の軸心を含み外側面7aに平行な平面Pと、脚部61bの長手方向に平行な直線とにより形成される鋭角の角度である。
【0042】
開眼度規制手段は、脚部61bの一端部に設けられ、脚部61bが開く方向に揺動したときに外側面7a方向に揺動する揺動部61dと、この揺動部61dに設けられ、脚部61bが外側面7aに対して角度θmax(45°)まで開いたときに外側面7aに当接する当接部61cとからなる。当接部61cは、例えば図4に示すように、揺動部61dに設けられ、外側面7aに面接触するる平坦面からなる。
【0043】
このように角度θmaxを45°に設定したのは、例えば走行体3の外側方から転がってきた岩石がステップ61に衝突したことにより、ステップ61に外力が与えられたときに、脚部61bの長手方向に交差する方向において脚部61bの下方から上方に向かう方向で外力が作用しやすくなるようにし、すなわち、脚部61bの閉じる方向で外力が作用しやすくなるようにし、これにより、ステップ6を閉じやすくるためである。言い換えると、角度θmaxが大きすぎると、例えば90°付近であると、走行体3の外側方から岩石がステップ61に衝突したときに、脚部61bの長手方向に沿って外力が作用したり、脚部61bの長手方向に交差する方向において脚部61bの上方から下方に向かう方向で外力が作用しやすくなり、すなわち、脚部61bの長手方向に交差する方向において脚部61bの下方から上方に向かう方向で外力が作用しにくくなり、ステップ61が閉じにくくなるので、角度θmaxを45°に設定してある。
【0044】
なお、脚部61bの長さ寸法は、脚部61bが45°まで開いた状態にあるとき、図2に示すように履帯5の幅よりも外側に踏み部61aが突出するように設定してある。
【0045】
また、昇降用ステップ装置6は、ステップ61の脚部61bとサイドフレーム7の外側面7aとを連結して、ステップ61を外側面7aに対して開く方向に常に付勢する弾性部材を備えている。
【0046】
この弾性部材は、図3〜5に示すように、例えば引張コイルばね64からなる。この引張コイルばね64の一端は、揺動の軸心よりも下方において、取付部材66を介して外側面7aに取り付けてある。また、この引張コイルばね64の他端は、脚部61bにおける揺動軸63付近の部分に、取付部材65を介して取り付けてある。取付部材65は、脚部61bが閉じる方向に最も揺動した状態において、脚部61bの揺動の軸心を含み外側面7aに平行な平面Pよりも外側面7aから離れた位置にある脚部61bにおける部分に配置してある。
【0047】
このように構成した第1の実施形態は、次のように動作する。
【0048】
ステップ61の脚部61bは、引張コイルばね64により常に開く方向に付勢されている。また、ステップ61の当接部61cは、脚部61bが45°まで開くと外側面7aに当接し、これにより、脚部61bの開く方向の揺動が規制される。つまり、ステップ61は、引張コイルばね64と当接部61cとにより、通常、脚部61bが外側面7aに対して45°まで開いた状態に保持されている。
【0049】
そして、このようにステップ61が開いた状態で、ステップ61に走行体3の外側方から外力が与えられると、例えば走行体3の外側方から転がってきた岩石がステップ61に衝突すると、脚部61bに対して閉じる方向で外力が作用する。これにより、脚部61bは、引張コイルばね64による付勢力に対抗しながら、すなわち、引張コイルばね64を伸ばしながら、図5に示すように閉じる方向に揺動する。
【0050】
前記岩石がステップ3から離れると、すなわち、岩石によりステップ61に与えられていた外力が取り除かれると、脚部61bが引張コイルばね64によって引張られ、外側面7aに対して開く方向に揺動する。そして、脚部61bが45°まで開くと、当接部61cが外側面7aに当接する。つまり、ステップ61が開いた状態に自動的に復帰する。
【0051】
第1の実施形態によれば、次の効果が得られる。
【0052】
引張コイルばね64によりステップ61が常に開く方向に付勢され、当接部61cによりステップ61の開く方向の揺動の限度が予め設定した角度θmaxに規制されるので、サイドフレーム7の外側面7aに対してステップ61が開いた状態を、ステップ61の通常の状態にすることがきる。これにより、オペレータは履帯5に昇り降りする際にステップ61を足で開く必要がなく、容易にステップ61に足を掛けることができる。
【0053】
また、ステップ61を外側面7aに揺動可能に設けたので、走行体3の外側方からステップ61に外力が与えられたときに、その外力によりステップ61をサイドフレーム7の外側面7a方向に閉じさせることができる。したがって、走行体3の外側方から転がってきた岩石がステップ61に衝突した場合に、ステップ61の損傷を防止または軽減できる。
【0054】
また、引張コイルばね64の弾性力により、ステップ61に与えられる衝撃を吸収しつつ、ステップ61を閉じさせることができるので、より確実にステップ61の損傷を防止または軽減することができる。
【0055】
また、ステップ61が開いた状態において踏み部61aが履帯5の幅よりも外側に突出しているので、オペレータが履帯5上から目視によりステップ61の位置を確認できる。これにより、履帯5から降りる際にオペレータはステップ61の位置を足で探る必要がなく、降りやすい。
【0056】
なお、第1の実施形態では、開限度規制手段を、揺動部61dと当接部61cとにより構成したが、本発明はこれに限るものではなく、脚部61の揺動の軸心よりも上方においてワイヤーロープ、チェーン、リンクなどの連結部材によりステップ6と外側面7aを連結して、脚部61bが45°まで開いたときに、脚部61bの開く方向の揺動を規制し、脚部61bが開いた状態から閉じる方向に揺動するのを許容するように構成してもよい。
【0057】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態について図を用いて説明する。
【0058】
図6は、第2の実施形態の平面図、図7は、第2実施形態の拡大正面図、図8は、図7に示すステップが閉じた状態を示す正面図である。なお、図6〜8では、図3〜5に示したものと同等のものに図3〜5に付した符号と同じ符号を付してある。
【0059】
第2の実施形態は、図6〜8に示す昇降用ステップ装置6Aである。この第2の実施形態は、ステップ61を外側面7aに対して開く方向に常に付勢する弾性部材、すなわち直線状に弾性復帰する性質を有する索条部材、例えばワイヤーロープ70と、このワイヤーロープ70が取り付けられる取付部材71,72と、外側面7aに設けられる突出部73とを備える点で、第1の実施形態と異なっており、それ以外は第1の実施形態と同様に構成してある。
【0060】
ワイヤーロープ70は、ステップ61の揺動の軸心よりも上方において脚部61bと外側面7aを連結するものである。つまり、ワイヤーロープ70の一端は、外側面7aにおける揺動軸63よりも上方に位置する部分に、取付部材72を介して回動可能に取り付けてある。また、ワイヤーロープ70の他端は、脚部61bにおける揺動軸63よりも脚部61bの他端側に位置する部分、例えば踏み部61a付近に位置する部分に、取付部材71を介して回動可能に取り付けてある。
【0061】
なお、ワイヤーロープ70の長さ寸法は、図7に示すように、脚部61bが45°開いた状態において、ワイヤーロープ70が直線状になるように設定してある。つまり、ワイヤーロープ70は、ステップ61を開く方向に常に付勢する手段であるだけでなく、当接部61cによるステップ61の開く方向の揺動の規制を補助する手段を兼ねている。
【0062】
また、前記取付部材72は、外側面7aから外側方に突出する突出部73に設けてある。この突出部73は、脚部61bの揺動の軸心を含み外側面7aに平行な平面Pよりも外側面7aから離れた位置に、すなわち外側面7a及び揺動軸63よりも外側に、常にステップ61の重心が位置するように、脚部61bの閉じる方向への揺動の限度を、脚部61bが予め設定した小角度開いた状態に規制する閉限度規制手段である。
【0063】
つまり、この突出部73は、図6に示すように脚部61bよりも上方で脚部61bに対して上下方向において重なる位置に設けられており、図8に示すように脚部61bが開いた状態から小角度θminまで揺動したときに、脚部61bの踏み部61a付近に当接することにより、脚部61bの閉じる方向の揺動を規制するものである。なお、小角度θminとは、前記角度θmaxと同様に、平面Pと、脚部61bの長手方向に平行な直線とにより形成される鋭角の角度である。
【0064】
このように構成した第2の実施形態は、次のように動作する。
【0065】
ステップ61の脚部61bは、ワイヤーロープ70とステップ61の重心とにより、開く方向に常に付勢されている。また、ステップ61の当接部61cは、脚部61bが外側面7aに対して45°まで開くと、外側面7aに当接し、これにより、脚部61bの開く方向の揺動が規制される。つまり、ステップ61は、ワイヤーロープ70、ステップ61の重心、及び当接部61cにより、通常、脚部61bが外側面7aに対して45°開いた状態に保持されている。
【0066】
また、このようにステップ61が開いた状態では、外側面7aに設けられた取付部材72と脚部61bに設けられた取付部材71との間においてワイヤーロープ70が直線状になる、すなわち張っている。これにより、踏み部61aに上方から大きな荷重がかかった場合、例えばオペレータが踏み部61aに勢いよく乗った場合、その荷重の当接部61cによる支持が、ワイヤーロープ70により補助される。
【0067】
また、このようにステップ61が開いた状態で、走行体3の外側方からステップ61に外力が与えられると、例えば走行体3の外側方から転がってきた岩石がステップ61に衝突すると、脚部61bに閉じる方向で外力が作用する。これにより、脚部61bは、ワイヤーロープ70による付勢力に対抗しながら、すなわち、ワイヤーロープ70を撓ませながら、閉じる方向に揺動して、例えば図8に示すように突出部73に当接する。
【0068】
前記岩石がステップ61から離れると、すなわち、その岩石によりステップ61に与えられていた外力が取り除かれると、撓んでいたワイヤーロープ70が直線状に弾性復帰することにより脚部61bが開く方向に押し出されることによって、また、ステップ61の重心による重力の作用により脚部61bが開く方向に引張られることによって、ステップ61は開いた状態に自動的に復帰する。
【0069】
第2の実施形態によれば、次の効果が得られる。
【0070】
ワイヤーロープ70とステップ61の重心とによりステップ61が常に開く方向に付勢され、当接部61cによりステップ61の開く方向の揺動の限度が予め設定した角度θmaxに規制されるので、サイドフレーム7の外側面7aに対してステップ61が開いた状態を、ステップ61の通常の状態にすることがきる。これにより、オペレータは履帯5に昇り降りする際にステップ61を足で開く必要がなく、容易にステップ61に足を掛けることができる。
【0071】
また、ステップ61を外側面7aに揺動可能に設けたので、走行体3の外側方からステップ61に外力が与えられたときに、その外力によりステップ61をサイドフレーム7の外側面7aに対して閉じさせることができる。したがって、走行体3の外側方から転がってきた岩石がステップ61に衝突した場合に、ステップ61の損傷を防止または軽減できる。
【0072】
また、ワイヤーロープ70の弾性力により、ステップ61に与えられる衝撃を吸収しつつ、ステップ61を外側面7aに対して閉じさせることができるので、より確実にステップ61の損傷の防止または軽減することができる。
【0073】
また、ステップ61が開いた状態において踏み部61aが履帯5の幅よりも外側に突出しているので、オペレータが履帯5上から目視によりステップ61の位置を確認できる。これにより、履帯5から降りる際にオペレータはステップ61の位置を足で探る必要がなく、降りやすい。
【0074】
また、特に第2の実施形態では、オペレータが勢いよくステップ6に乗った場合のように、踏み部61aに上方から大きな荷重がかかった場合に、その荷重の当接部61cによる支持を、ワイヤーロープ70により補助できるので、当接部61cから外側面7aに与えられる荷重を軽減することができる。
【0075】
なお、第2の実施形態では、ワイヤーロープ70と、ステップ61の重心により、ステップ61を開く方向に付勢しているが、本発明はこれに限るものではなく、ワイヤーロープ70のみ、または、ステップ61の重心のみによって、ステップ61を開く方向に付勢してもよい。
【0076】
また、第2の実施形態では、開限度規制手段を、揺動部61dと、当接部61cと、ワイヤーロープ70とにより構成し、踏み部61aにかかる荷重を、当接部61cとワイヤーロープ70により支えるようにしてあるが、本発明はこれに限るものではない。例えば、ステップ61が開いた状態でワイヤーロープ70が弛んでいるようにして、踏み部61aにかかる荷重を当接部61cのみにより支えるようにしてもよい。また、ワイヤーロープ70のみにより踏み部61aにかかる荷重を支えるようにてもよい。また、ステップ61が開いた状態でワイヤーロープ70が弛んでいるようにし、このワイヤーロープ70の他に、脚部61bの揺動の軸心の上方において外側面7aとステップ61とを連結するワイヤーロープ、チェーン、リンクなどの連結部材を設けて、この連結部材を開限度規制手段としてもよい。
【0077】
また、第2の実施形態では、外側面7aに突出部73を設けることにより、ステップ61の重心の位置が、平面Pよりも外側面7aから離れた位置にあるようにしたが、本発明はこれに限るものではなく、外側面7aに突出部を設ける代りに、脚部61bに突出部を設けてもよい。また、外側面7aに突出部73を設けたり、脚部61bに突出部を設ける代りに、ステップ61の重心が平面Pよりも外側面7aから離れた位置に常にあるように、ステップ61の形状を設定してもよい。
【0078】
【発明の効果】
以上に説明したように、各請求項に係る発明によれば、サイドフレームの外側面に対してステップが開いた状態を、ステップの通常の状態にすることができるので、オペレータは履帯に昇り降りする際にステップを足で開く必要がなく、容易にステップに足を掛けることができる。
【0079】
また、走行体の外側方から転がってきた岩石がステップに衝突した場合などのように、ステップに走行体の外側方から外力が与えられたときには、その外力によりステップを外側面に対して閉じさせることができるので、ステップの損傷を防止または軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のクローラ式作業機械の昇降用ステップ装置の第1,第2の実施形態が備えられるクローラ式ショベルの側面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】第1の実施形態の平面図である。
【図4】図4は、第1実施形態の拡大正面図である。
【図5】図4に示すステップが閉じている途中の状態を示す正面図である。
【図6】第2の実施形態の平面図である。
【図7】第2実施形態の拡大正面図である。
【図8】図7に示すステップが閉じた状態を示す正面図である。
【符号の説明】
1 クローラ式ショベル(クローラ式作業機械)
2 旋回体
4 走行体
5 履帯
6 昇降用ステップ装置
6A 昇降用ステップ装置
7 サイドフレーム
7a 外側面
61 ステップ
61a 踏み部
61b 脚部
61c 当接部(開限度規制手段)
61d 揺動部(開限度規制手段)
63 揺動軸
64 引張コイルばね(弾性部材)
70 ワイヤーロープ(弾性部材、連結部材)
73 突出部(閉限度規制手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、クローラ式ショベルやクレーン等のクローラ式作業機械に備えられる走行体側部のサイドフレームに設置され、オペレータがクローラ式作業機械に昇り降りする際の、足の踏み場となるステップを有するクローラ式作業機械の昇降用ステップ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
クローラ式作業機械の昇降用ステップ装置の従来技術について説明する。
【0003】
[第1の従来技術]
クローラ式ショベルの走行体は、その左右両側部に履帯が装着されるサイドフレームを備えている。そして、このサイドフレームの外側面には、従来から昇降用ステップ装置が設置されている。
【0004】
そして、従来の昇降用ステップ装置には、一端部がサイドフレームの外側面に取り付けられる脚部と、この脚部の他端部に設けられ、オペレータが履帯に昇り降りする際に足の踏み場となる踏み部とを有するステップを備えるものがある。脚部は、走行体の上下方向に揺動可能となるように、一端部がサイドフレームの外側面に軸支されている。
【0005】
また、この昇降用ステップ装置は、脚部の他端部が一端部よりも高い位置にあって脚部が外側面に対して閉じる方向に最も揺動した状態を脚部の揺動の始点として、外側面に対して開く方向への脚部の揺動角度の限度を、予め設定した角度に規制する開限度規制手段が設けられている。
【0006】
この開限度規制手段は、サイドフレームの外側面に設けられ、正面視形状がL字状の部材である。このL字状の部材は、その一端側が外側面に直角で他端側が外側面に平行な状態で、他端部がステップの揺動の軸心よりも上方の高さ位置に配置され、一端部が外側面に固着されている。これにより、ステップが外側面に対して開く方向に前記予め設定した角度まで揺動したとき、L字状の部材の他端部が脚部に下方から当接して、ステップの開く方向の揺動が規制されるようになっている。
【0007】
また、他の開限度規制手段としては、脚部の一端部に外側面方向に延設され、外側面に設けられた孔に挿通される延設部と、外側面の裏面側に位置する延設部の端部に設けられ、上方向に突出する突出部とを備えているものがある。この開限度規制手段では、脚部が外側面に対して開く方向に揺動すると、突出部が外側面の裏面に近づく方向に揺動し、ステップが前記予め設定した角度まで開いたときに、突出部が外側面の裏面に当接して、ステップの開く方向の揺動が規制されるようになっている。
【0008】
また、この昇降用ステップ装置では、脚部の揺動の軸心よりも上方において、脚部とサイドフレームの外側面が引張コイルばねにより連結されており、これによって、脚部、すなわちステップがサイドフレームの外側面に対して閉じる方向に常に付勢されている。
【0009】
また、前記引張コイルばねの代りに、外側面の裏面側に位置する前記延長部の部分におもりを設けて、このおもりの重みにより、ステップを閉じる方向に付勢するものもある。
【0010】
このように構成された従来の昇降用ステップ装置では、ステップが引張コイルばねによる引張力や、おもりの重みにより閉じる方向に付勢されて外側面に対して閉じた状態に保持される。つまり、ステップが、通常、履帯の幅よりも内側に格納されているので、走行体の外側方から転がってくる岩石がステップに衝突する可能性を低減することができる。(特許文献1参照)
[第2の従来技術]
また、他の従来のクローラ式作業機械の昇降用ステップ装置としては、一端がサイドフレームの外側面に固着される1対の脚部と、この1対の脚部の他端部間に架け渡される踏み部とにより、平面視形状がコ字状に形成されたステップからなるものがある。(特許文献2参照)
【0011】
【特許文献1】
特開2001−164603号公報(段落0047〜00101、図3〜10)
【0012】
【特許文献2】
特開平6−87380号公報(段落0011,0012、図15)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の第1の従来技術では、引張コイルばねの引張力により、ステップが通常は閉じた状態になっているので、オペレータは履帯に昇り降りする際、ステップを足で開く必要がある。つまり、第1の従来技術では、ステップを足で開くのが煩わしい。
【0014】
また、第2の従来技術では、走行体の外側方から転がってきた岩石がステップに衝突しやすく、ステップを損傷させる恐れがある。
【0015】
本発明は、上述の実情を考慮してなされたもので、その目的は、ステップがサイドフレームの外側面に対して開いた状態を、ステップの通常の状態とすることができ、走行体の外側方からステップに外力が与えられたときには、その外力によりステップを外側面に対して閉じさせることができるクローラ式作業機械の昇降用ステップ装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、走行体の左右両側部であって履帯が装着される1対のサイドフレームの、少なくとも一方の外側面にステップを備え、このステップが、踏み部と、この踏み部に一端部側が接続された少なくとも2つの脚部とを有し、これらの脚部の他端部側を、揺動軸を介して前記サイドフレームの外側面に取付けることにより、各脚部を外側面側に対して前記走行体の上下方向に揺動可能に設けた昇降用ステップ装置において、前記踏み部を、前記脚部の他端部側よりも高い位置に位置させ、前記脚部の最大揺動角度を予め設定した角度に規制する開限度規制手段を設け、前記ステップの重心の位置を、前記外側面及び前記揺動軸よりも外側に常に位置するように設定したことを特徴とする。
【0017】
このように構成した請求項1に係る発明では、ステップの重心が、常に、外側面及び揺動軸よりも外側に位置しているので、脚部は常に開く方向に付勢されている。したがって、ステップは、通常、脚部が予め設定した角度まで開いた状態で、脚部の開く方向の揺動を開限度規制手段より規制されている。
【0018】
このようにステップが開いた状態で、例えば走行体の外側方からステップに岩石が衝突した場合のように、走行体の外側方からステップに外力が与えられると、ステップの脚部が予め設定した角度に保持されているので、すなわち、踏み部が脚部の他端部側よりも高い位置にあるので、脚部に対して閉じる方向で外力が作用し、これにより、ステップが重心による付勢力に抗して閉じる。
【0019】
そして、ステップに与えられた外力が取り除かれると、ステップは、重心による付勢力により、開く方向に揺動して予め設定した角度まで再び開き、開限度規制手段により開く方向の揺動が規制される、すなわち、開いた状態に自動的に復帰する。
【0020】
つまり、請求項1に係る発明によれば、ステップが外側面に対して開いた状態を、ステップの通常の状態にすることができ、走行体の外側方からステップに外力が与えられたときには、その外力によりステップを外側面に対して閉じさせることができる。
【0021】
また、請求項2に係る発明は、走行体の左右両側部であって履帯が装着される1対のサイドフレームの、少なくとも一方の外側面にステップを備え、このステップが、踏み部と、この踏み部に一端部側が接続された少なくとも2つの脚部とを有し、これらの脚部の他端部側を、揺動軸を介して前記サイドフレームの外側面に取付けることにより、各脚部を外側面側に対して前記走行体の上下方向に揺動可能に設けた昇降用ステップ装置において、前記踏み部を、前記脚部の他端部側よりも高い位置に位置させ、前記脚部の最大揺動角度を予め設定した角度に規制する開限度規制手段を設け、前記ステップを前記外側面に対して開く方向に常に付勢する弾性部材の一端側を前記外側面に、他端側を前記ステップに取付けたことを特徴とする。
【0022】
このように構成した請求項2に係る発明では、ステップは、弾性部材より常に開く方向に付勢されているので、通常、脚部が予め設定した角度まで開いた状態で、脚部の開く方向の揺動を開限度規制手段により規制されている。
【0023】
このようにステップが開いた状態で、例えば走行体の外側方からステップに岩石が衝突した場合のように、走行体の外側方からステップに外力が与えられると、踏み部が脚部の他端部側よりも高い位置にあるので、脚部に対して閉じる方向で外力が作用し、これにより、ステップが弾性部材による付勢力に抗して閉じる。
【0024】
そして、ステップに与えられた外力が取り除かれると、ステップは弾性部材による付勢力により開き、脚部が予め設定した角度まで開くと開限度規制手段により脚部の開く方向の揺動が規制される、すなわち、ステップは開いた状態に自動的に復帰する。
【0025】
つまり、請求項2に係る発明によっても、ステップが外側面に対して開いた状態を、ステップの通常の状態にすることができ、走行体の外側方からステップに外力が与えられたときには、その外力によりステップを外側面に対して閉じさせることができる。
【0026】
また、請求項3に係る発明は、走行体の左右両側部であって履帯が装着される1対のサイドフレームの、少なくとも一方の外側面にステップを備え、このステップが、踏み部と、この踏み部に一端部側が接続された少なくとも2つの脚部とを有し、これらの脚部の他端部側を、揺動軸を介して前記サイドフレームの外側面に取付けることにより、各脚部を外側面側に対して前記走行体の上下方向に揺動可能に設けた昇降用ステップ装置において、前記踏み部を、前記脚部の他端部側よりも高い位置に位置させ、前記脚部の最大揺動角度を予め設定した角度に規制する開限度規制手段を設け、前記ステップの重心の位置を、前記外側面及び前記揺動軸よりも外側に常に位置するように設定し、前記ステップを前記外側面に対して開く方向に常に付勢する弾性部材の一端側を前記外側面に、他端側を前記ステップに取付けたことを特徴とする。
【0027】
また、請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれかに係る発明において、前記開限度規制手段が、前記脚部の他端部側に設けられ、脚部が前記予め設定した角度まで開いたときに、前記外側面に当接する当接部を有することを特徴とする。
【0028】
また、請求項5に係る発明は、請求項1〜3のいずれかに係る発明において、前記開限度規制手段が、前記脚部の揺動の軸心よりも上方で前記ステップと前記外側面とを連結し、前記脚部が前記予め設定した角度まで開いたときに、前記脚部の前記開く方向への揺動を規制し、前記脚部が前記予め設定した角度から閉じる方向に揺動するのを許容する連結部材を有することを特徴とする。
【0029】
また、請求項6に係る発明は、請求項1〜3のいずれかに係る発明において、前記開限度規制手段が、前記脚部の他端部側に設けられ、脚部が前記予め設定した角度まで開いたときに、前記外側面に当接する当接部と、前記脚部の揺動の軸心よりも上方で前記ステップと前記外側面とを連結し、前記脚部が前記予め設定した角度まで開いたときに、前記脚部の前記開く方向への揺動を規制し、前記脚部が前記予め設定した角度から閉じる方向に揺動するのを許容する連結部材とを有することを特徴とする。
【0030】
また、請求項7に係る発明は、走行体の左右両側部であって履帯が装着される1対のサイドフレームの、少なくとも一方の外側面にステップを備え、このステップが、踏み部と、この踏み部に一端部側が接続された少なくとも2つの脚部とを有し、これらの脚部の他端部側を、揺動軸を介して前記サイドフレームの外側面に取付けることにより、各脚部を外側面側に対して前記走行体の上下方向に揺動可能に設けた昇降用ステップ装置において、前記脚部における前記揺動軸よりも外側に位置する部分に一端側が取付けられ、前記外側面における前記揺動軸よりも下方に位置する部分に他端部が取付けられる引張コイルばねを備えるとともに、前記脚部の他端部側に設けられ、脚部を予め設定した角度まで開いたときに前記外側面に当接して脚部の開く方向への揺動を規制する当接部を有する開限度規制手段を備えることを特徴とする。
【0031】
また、請求項8に係る発明は、走行体の左右両側部であって履帯が装着される1対のサイドフレームの、少なくとも一方の外側面にステップを備え、このステップが、踏み部と、この踏み部に一端部側が接続された少なくとも2つの脚部とを有し、これらの脚部の他端部側を、揺動軸を介して前記サイドフレームの外側面に取付けることにより、各脚部を外側面側に対して前記走行体の上下方向に揺動可能に設けた昇降用ステップ装置において、直線状に弾性復帰する性質を有し、前記脚部の揺動の軸心よりも上方で一端が前記外側面に、他端が前記脚部に取付けられるとともに、前記脚部が予め設定した角度まで開くのに十分な長さ寸法に設定された索状部材と、前記脚部の他端部側に設けられ、前記脚部を前記予め設定した角度まで開いたときに前記外側面に当接して脚部の開く方向への揺動を規制する当接部を有する開限度規制手段と、前記ステップの重心の位置が前記外側面及び前記揺動軸よりも外側に常に位置するように、前記脚部の閉じる方向への揺動の限度を、脚部が予め設定した小角度開いた状態に規制する閉限度規制手段とを備えたことを特徴とする。
【0032】
また、請求項9に係る発明は、請求項8に係る発明において、前記閉限度規制手段が、前記揺動の軸心よりも上方に位置する前記外側面の部分に設けられ、前記脚部が前記予め設定した小角度まで閉じたときに前記脚部に当接するように、前記外側面から外側方に向かって突出させた突出部からなることを特徴とする。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下に本発明のクローラ式作業機械の昇降用ステップの実施形態について説明する。
【0034】
[第1の実施形態]
第1の実施形態について図を用いて説明する。
【0035】
図1は、本発明の第1,第2の実施形態が備えられるクローラ式ショベルの側面図、図2は、図1のA−A断面図、図3は、第1の実施形態の平面図、図4は、第1実施形態の拡大正面図、図5は、図4に示すステップが閉じている途中の状態を示す正面図である。
【0036】
第1の実施形態は、クローラ式作業機械、例えば図1に示すクローラ式ショベル1に設けられる昇降用ステップ装置6である。図1に示すショベル1は、運転室や機械室等が搭載される旋回体2と、ブーム、アーム及びバケット等から構成されたフロント作業機3と、走行体4とを備えている。旋回体2は、図2に示す走行体4上に図示しない旋回輪を介して設けられている。また、走行体4は、センタフレーム8と、このセンタフレーム8の左右両側部に設けられる1対のサイドフレーム7とから大略構成されるトラックフレーム9を備えており、サイドフレーム7の周囲には、無端状の履帯4が装着されている。
【0037】
そして、昇降用ステップ装置6は、同図2に示すように、1対のサイドフレーム7の少なくとも一方の外側面7aに設けられ、オペレータが履帯5に昇り降りする際に足を掛けるステップ61を備えている。
【0038】
このステップ61は、図3に示すように、オペレータが履帯5に昇り降りする際に踏む踏み部61aと、この踏む部61aに一端部側に接続され他端部側がサイドフレーム7の外側面7aに取り付けられる少なくとの2つの、例えば1対の脚部61bとを、平面視形状をコ字状となるように一体に形成してなる。
【0039】
サイドフレーム7の外側面7aには、2つのブラケット67をショベル1の前後方向に配置して固着してある。このれらのブラケット67の間隔寸法は、1対の脚部61bの間隔寸法に対応させてある。各ブラケット67の位置には、各脚部61bの他端部側を配置してある。そして、各ブラケット67と各脚部61bの他端部側とに、ショベル1の前後方向と平行に揺動軸63を挿入することによって、脚部61b、すなわちステップ61を、揺動軸63を中心にショベル1の上下方向に揺動可能にしてある。
【0040】
また、昇降用ステップ装置6では、脚部61bの一端部側が他端部側よりも高い位置にあって脚部61bが外側面7aに対して閉じる方向に最も揺動した状態を、脚部61bの揺動の始点として、外側面7aに対して開く方向への脚部61bの揺動角度の限度、すなわち、最大揺動角度を、予め設定してある。
【0041】
最大揺動角度は、図4に示すように、脚部61bの一端部側を他端部側よりも高い位置に位置させた状態の角度θmax、例えば45°であり、それ以上脚部61bが開かないように後述の開限度規制手段により規制してある。なお、角度θmaxは、例えば、脚部61bの揺動の軸心を含み外側面7aに平行な平面Pと、脚部61bの長手方向に平行な直線とにより形成される鋭角の角度である。
【0042】
開眼度規制手段は、脚部61bの一端部に設けられ、脚部61bが開く方向に揺動したときに外側面7a方向に揺動する揺動部61dと、この揺動部61dに設けられ、脚部61bが外側面7aに対して角度θmax(45°)まで開いたときに外側面7aに当接する当接部61cとからなる。当接部61cは、例えば図4に示すように、揺動部61dに設けられ、外側面7aに面接触するる平坦面からなる。
【0043】
このように角度θmaxを45°に設定したのは、例えば走行体3の外側方から転がってきた岩石がステップ61に衝突したことにより、ステップ61に外力が与えられたときに、脚部61bの長手方向に交差する方向において脚部61bの下方から上方に向かう方向で外力が作用しやすくなるようにし、すなわち、脚部61bの閉じる方向で外力が作用しやすくなるようにし、これにより、ステップ6を閉じやすくるためである。言い換えると、角度θmaxが大きすぎると、例えば90°付近であると、走行体3の外側方から岩石がステップ61に衝突したときに、脚部61bの長手方向に沿って外力が作用したり、脚部61bの長手方向に交差する方向において脚部61bの上方から下方に向かう方向で外力が作用しやすくなり、すなわち、脚部61bの長手方向に交差する方向において脚部61bの下方から上方に向かう方向で外力が作用しにくくなり、ステップ61が閉じにくくなるので、角度θmaxを45°に設定してある。
【0044】
なお、脚部61bの長さ寸法は、脚部61bが45°まで開いた状態にあるとき、図2に示すように履帯5の幅よりも外側に踏み部61aが突出するように設定してある。
【0045】
また、昇降用ステップ装置6は、ステップ61の脚部61bとサイドフレーム7の外側面7aとを連結して、ステップ61を外側面7aに対して開く方向に常に付勢する弾性部材を備えている。
【0046】
この弾性部材は、図3〜5に示すように、例えば引張コイルばね64からなる。この引張コイルばね64の一端は、揺動の軸心よりも下方において、取付部材66を介して外側面7aに取り付けてある。また、この引張コイルばね64の他端は、脚部61bにおける揺動軸63付近の部分に、取付部材65を介して取り付けてある。取付部材65は、脚部61bが閉じる方向に最も揺動した状態において、脚部61bの揺動の軸心を含み外側面7aに平行な平面Pよりも外側面7aから離れた位置にある脚部61bにおける部分に配置してある。
【0047】
このように構成した第1の実施形態は、次のように動作する。
【0048】
ステップ61の脚部61bは、引張コイルばね64により常に開く方向に付勢されている。また、ステップ61の当接部61cは、脚部61bが45°まで開くと外側面7aに当接し、これにより、脚部61bの開く方向の揺動が規制される。つまり、ステップ61は、引張コイルばね64と当接部61cとにより、通常、脚部61bが外側面7aに対して45°まで開いた状態に保持されている。
【0049】
そして、このようにステップ61が開いた状態で、ステップ61に走行体3の外側方から外力が与えられると、例えば走行体3の外側方から転がってきた岩石がステップ61に衝突すると、脚部61bに対して閉じる方向で外力が作用する。これにより、脚部61bは、引張コイルばね64による付勢力に対抗しながら、すなわち、引張コイルばね64を伸ばしながら、図5に示すように閉じる方向に揺動する。
【0050】
前記岩石がステップ3から離れると、すなわち、岩石によりステップ61に与えられていた外力が取り除かれると、脚部61bが引張コイルばね64によって引張られ、外側面7aに対して開く方向に揺動する。そして、脚部61bが45°まで開くと、当接部61cが外側面7aに当接する。つまり、ステップ61が開いた状態に自動的に復帰する。
【0051】
第1の実施形態によれば、次の効果が得られる。
【0052】
引張コイルばね64によりステップ61が常に開く方向に付勢され、当接部61cによりステップ61の開く方向の揺動の限度が予め設定した角度θmaxに規制されるので、サイドフレーム7の外側面7aに対してステップ61が開いた状態を、ステップ61の通常の状態にすることがきる。これにより、オペレータは履帯5に昇り降りする際にステップ61を足で開く必要がなく、容易にステップ61に足を掛けることができる。
【0053】
また、ステップ61を外側面7aに揺動可能に設けたので、走行体3の外側方からステップ61に外力が与えられたときに、その外力によりステップ61をサイドフレーム7の外側面7a方向に閉じさせることができる。したがって、走行体3の外側方から転がってきた岩石がステップ61に衝突した場合に、ステップ61の損傷を防止または軽減できる。
【0054】
また、引張コイルばね64の弾性力により、ステップ61に与えられる衝撃を吸収しつつ、ステップ61を閉じさせることができるので、より確実にステップ61の損傷を防止または軽減することができる。
【0055】
また、ステップ61が開いた状態において踏み部61aが履帯5の幅よりも外側に突出しているので、オペレータが履帯5上から目視によりステップ61の位置を確認できる。これにより、履帯5から降りる際にオペレータはステップ61の位置を足で探る必要がなく、降りやすい。
【0056】
なお、第1の実施形態では、開限度規制手段を、揺動部61dと当接部61cとにより構成したが、本発明はこれに限るものではなく、脚部61の揺動の軸心よりも上方においてワイヤーロープ、チェーン、リンクなどの連結部材によりステップ6と外側面7aを連結して、脚部61bが45°まで開いたときに、脚部61bの開く方向の揺動を規制し、脚部61bが開いた状態から閉じる方向に揺動するのを許容するように構成してもよい。
【0057】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態について図を用いて説明する。
【0058】
図6は、第2の実施形態の平面図、図7は、第2実施形態の拡大正面図、図8は、図7に示すステップが閉じた状態を示す正面図である。なお、図6〜8では、図3〜5に示したものと同等のものに図3〜5に付した符号と同じ符号を付してある。
【0059】
第2の実施形態は、図6〜8に示す昇降用ステップ装置6Aである。この第2の実施形態は、ステップ61を外側面7aに対して開く方向に常に付勢する弾性部材、すなわち直線状に弾性復帰する性質を有する索条部材、例えばワイヤーロープ70と、このワイヤーロープ70が取り付けられる取付部材71,72と、外側面7aに設けられる突出部73とを備える点で、第1の実施形態と異なっており、それ以外は第1の実施形態と同様に構成してある。
【0060】
ワイヤーロープ70は、ステップ61の揺動の軸心よりも上方において脚部61bと外側面7aを連結するものである。つまり、ワイヤーロープ70の一端は、外側面7aにおける揺動軸63よりも上方に位置する部分に、取付部材72を介して回動可能に取り付けてある。また、ワイヤーロープ70の他端は、脚部61bにおける揺動軸63よりも脚部61bの他端側に位置する部分、例えば踏み部61a付近に位置する部分に、取付部材71を介して回動可能に取り付けてある。
【0061】
なお、ワイヤーロープ70の長さ寸法は、図7に示すように、脚部61bが45°開いた状態において、ワイヤーロープ70が直線状になるように設定してある。つまり、ワイヤーロープ70は、ステップ61を開く方向に常に付勢する手段であるだけでなく、当接部61cによるステップ61の開く方向の揺動の規制を補助する手段を兼ねている。
【0062】
また、前記取付部材72は、外側面7aから外側方に突出する突出部73に設けてある。この突出部73は、脚部61bの揺動の軸心を含み外側面7aに平行な平面Pよりも外側面7aから離れた位置に、すなわち外側面7a及び揺動軸63よりも外側に、常にステップ61の重心が位置するように、脚部61bの閉じる方向への揺動の限度を、脚部61bが予め設定した小角度開いた状態に規制する閉限度規制手段である。
【0063】
つまり、この突出部73は、図6に示すように脚部61bよりも上方で脚部61bに対して上下方向において重なる位置に設けられており、図8に示すように脚部61bが開いた状態から小角度θminまで揺動したときに、脚部61bの踏み部61a付近に当接することにより、脚部61bの閉じる方向の揺動を規制するものである。なお、小角度θminとは、前記角度θmaxと同様に、平面Pと、脚部61bの長手方向に平行な直線とにより形成される鋭角の角度である。
【0064】
このように構成した第2の実施形態は、次のように動作する。
【0065】
ステップ61の脚部61bは、ワイヤーロープ70とステップ61の重心とにより、開く方向に常に付勢されている。また、ステップ61の当接部61cは、脚部61bが外側面7aに対して45°まで開くと、外側面7aに当接し、これにより、脚部61bの開く方向の揺動が規制される。つまり、ステップ61は、ワイヤーロープ70、ステップ61の重心、及び当接部61cにより、通常、脚部61bが外側面7aに対して45°開いた状態に保持されている。
【0066】
また、このようにステップ61が開いた状態では、外側面7aに設けられた取付部材72と脚部61bに設けられた取付部材71との間においてワイヤーロープ70が直線状になる、すなわち張っている。これにより、踏み部61aに上方から大きな荷重がかかった場合、例えばオペレータが踏み部61aに勢いよく乗った場合、その荷重の当接部61cによる支持が、ワイヤーロープ70により補助される。
【0067】
また、このようにステップ61が開いた状態で、走行体3の外側方からステップ61に外力が与えられると、例えば走行体3の外側方から転がってきた岩石がステップ61に衝突すると、脚部61bに閉じる方向で外力が作用する。これにより、脚部61bは、ワイヤーロープ70による付勢力に対抗しながら、すなわち、ワイヤーロープ70を撓ませながら、閉じる方向に揺動して、例えば図8に示すように突出部73に当接する。
【0068】
前記岩石がステップ61から離れると、すなわち、その岩石によりステップ61に与えられていた外力が取り除かれると、撓んでいたワイヤーロープ70が直線状に弾性復帰することにより脚部61bが開く方向に押し出されることによって、また、ステップ61の重心による重力の作用により脚部61bが開く方向に引張られることによって、ステップ61は開いた状態に自動的に復帰する。
【0069】
第2の実施形態によれば、次の効果が得られる。
【0070】
ワイヤーロープ70とステップ61の重心とによりステップ61が常に開く方向に付勢され、当接部61cによりステップ61の開く方向の揺動の限度が予め設定した角度θmaxに規制されるので、サイドフレーム7の外側面7aに対してステップ61が開いた状態を、ステップ61の通常の状態にすることがきる。これにより、オペレータは履帯5に昇り降りする際にステップ61を足で開く必要がなく、容易にステップ61に足を掛けることができる。
【0071】
また、ステップ61を外側面7aに揺動可能に設けたので、走行体3の外側方からステップ61に外力が与えられたときに、その外力によりステップ61をサイドフレーム7の外側面7aに対して閉じさせることができる。したがって、走行体3の外側方から転がってきた岩石がステップ61に衝突した場合に、ステップ61の損傷を防止または軽減できる。
【0072】
また、ワイヤーロープ70の弾性力により、ステップ61に与えられる衝撃を吸収しつつ、ステップ61を外側面7aに対して閉じさせることができるので、より確実にステップ61の損傷の防止または軽減することができる。
【0073】
また、ステップ61が開いた状態において踏み部61aが履帯5の幅よりも外側に突出しているので、オペレータが履帯5上から目視によりステップ61の位置を確認できる。これにより、履帯5から降りる際にオペレータはステップ61の位置を足で探る必要がなく、降りやすい。
【0074】
また、特に第2の実施形態では、オペレータが勢いよくステップ6に乗った場合のように、踏み部61aに上方から大きな荷重がかかった場合に、その荷重の当接部61cによる支持を、ワイヤーロープ70により補助できるので、当接部61cから外側面7aに与えられる荷重を軽減することができる。
【0075】
なお、第2の実施形態では、ワイヤーロープ70と、ステップ61の重心により、ステップ61を開く方向に付勢しているが、本発明はこれに限るものではなく、ワイヤーロープ70のみ、または、ステップ61の重心のみによって、ステップ61を開く方向に付勢してもよい。
【0076】
また、第2の実施形態では、開限度規制手段を、揺動部61dと、当接部61cと、ワイヤーロープ70とにより構成し、踏み部61aにかかる荷重を、当接部61cとワイヤーロープ70により支えるようにしてあるが、本発明はこれに限るものではない。例えば、ステップ61が開いた状態でワイヤーロープ70が弛んでいるようにして、踏み部61aにかかる荷重を当接部61cのみにより支えるようにしてもよい。また、ワイヤーロープ70のみにより踏み部61aにかかる荷重を支えるようにてもよい。また、ステップ61が開いた状態でワイヤーロープ70が弛んでいるようにし、このワイヤーロープ70の他に、脚部61bの揺動の軸心の上方において外側面7aとステップ61とを連結するワイヤーロープ、チェーン、リンクなどの連結部材を設けて、この連結部材を開限度規制手段としてもよい。
【0077】
また、第2の実施形態では、外側面7aに突出部73を設けることにより、ステップ61の重心の位置が、平面Pよりも外側面7aから離れた位置にあるようにしたが、本発明はこれに限るものではなく、外側面7aに突出部を設ける代りに、脚部61bに突出部を設けてもよい。また、外側面7aに突出部73を設けたり、脚部61bに突出部を設ける代りに、ステップ61の重心が平面Pよりも外側面7aから離れた位置に常にあるように、ステップ61の形状を設定してもよい。
【0078】
【発明の効果】
以上に説明したように、各請求項に係る発明によれば、サイドフレームの外側面に対してステップが開いた状態を、ステップの通常の状態にすることができるので、オペレータは履帯に昇り降りする際にステップを足で開く必要がなく、容易にステップに足を掛けることができる。
【0079】
また、走行体の外側方から転がってきた岩石がステップに衝突した場合などのように、ステップに走行体の外側方から外力が与えられたときには、その外力によりステップを外側面に対して閉じさせることができるので、ステップの損傷を防止または軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のクローラ式作業機械の昇降用ステップ装置の第1,第2の実施形態が備えられるクローラ式ショベルの側面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】第1の実施形態の平面図である。
【図4】図4は、第1実施形態の拡大正面図である。
【図5】図4に示すステップが閉じている途中の状態を示す正面図である。
【図6】第2の実施形態の平面図である。
【図7】第2実施形態の拡大正面図である。
【図8】図7に示すステップが閉じた状態を示す正面図である。
【符号の説明】
1 クローラ式ショベル(クローラ式作業機械)
2 旋回体
4 走行体
5 履帯
6 昇降用ステップ装置
6A 昇降用ステップ装置
7 サイドフレーム
7a 外側面
61 ステップ
61a 踏み部
61b 脚部
61c 当接部(開限度規制手段)
61d 揺動部(開限度規制手段)
63 揺動軸
64 引張コイルばね(弾性部材)
70 ワイヤーロープ(弾性部材、連結部材)
73 突出部(閉限度規制手段)
Claims (9)
- 走行体の左右両側部であって履帯が装着される1対のサイドフレームの、少なくとも一方の外側面にステップを備え、
このステップが、踏み部と、この踏み部に一端部側が接続された少なくとも2つの脚部とを有し、これらの脚部の他端部側を、揺動軸を介して前記サイドフレームの外側面に取付けることにより、各脚部を外側面側に対して前記走行体の上下方向に揺動可能に設けた昇降用ステップ装置において、
前記踏み部を、前記脚部の他端部側よりも高い位置に位置させ、前記脚部の最大揺動角度を予め設定した角度に規制する開限度規制手段を設け、前記ステップの重心の位置を、前記外側面及び前記揺動軸よりも外側に常に位置するように設定したことを特徴とするクローラ式作業機械の昇降用ステップ装置。 - 走行体の左右両側部であって履帯が装着される1対のサイドフレームの、少なくとも一方の外側面にステップを備え、
このステップが、踏み部と、この踏み部に一端部側が接続された少なくとも2つの脚部とを有し、これらの脚部の他端部側を、揺動軸を介して前記サイドフレームの外側面に取付けることにより、各脚部を外側面側に対して前記走行体の上下方向に揺動可能に設けた昇降用ステップ装置において、
前記踏み部を、前記脚部の他端部側よりも高い位置に位置させ、前記脚部の最大揺動角度を予め設定した角度に規制する開限度規制手段を設け、
前記ステップを前記外側面に対して開く方向に常に付勢する弾性部材の一端側を前記外側面に、他端側を前記ステップに取付けたことを特徴とするクローラ式作業機械の昇降用ステップ装置。 - 走行体の左右両側部であって履帯が装着される1対のサイドフレームの、少なくとも一方の外側面にステップを備え、
このステップが、踏み部と、この踏み部に一端部側が接続された少なくとも2つの脚部とを有し、これらの脚部の他端部側を、揺動軸を介して前記サイドフレームの外側面に取付けることにより、各脚部を外側面側に対して前記走行体の上下方向に揺動可能に設けた昇降用ステップ装置において、
前記踏み部を、前記脚部の他端部側よりも高い位置に位置させ、前記脚部の最大揺動角度を予め設定した角度に規制する開限度規制手段を設け、
前記ステップの重心の位置を、前記外側面及び前記揺動軸よりも外側に常に位置するように設定し、
前記ステップを前記外側面に対して開く方向に常に付勢する弾性部材の一端側を前記外側面に、他端側を前記ステップに取付けたことを特徴とするクローラ式作業機械の昇降用ステップ装置。 - 前記開限度規制手段が、前記脚部の他端部側に設けられ、脚部が前記予め設定した角度まで開いたときに、前記外側面に当接する当接部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のクローラ式作業機械の昇降用ステップ装置。
- 前記開限度規制手段が、前記脚部の揺動の軸心よりも上方で前記ステップと前記外側面とを連結し、前記脚部が前記予め設定した角度まで開いたときに、前記脚部の前記開く方向への揺動を規制し、前記脚部が前記予め設定した角度から閉じる方向に揺動するのを許容する連結部材を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のクローラ式作業機械の昇降用ステップ装置。
- 前記開限度規制手段が、前記脚部の他端部側に設けられ、脚部が前記予め設定した角度まで開いたときに、前記外側面に当接する当接部と、
前記脚部の揺動の軸心よりも上方で前記ステップと前記外側面とを連結し、前記脚部が前記予め設定した角度まで開いたときに、前記脚部の前記開く方向への揺動を規制し、前記脚部が前記予め設定した角度から閉じる方向に揺動するのを許容する連結部材とを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のクローラ式作業機械の昇降用ステップ装置。 - 走行体の左右両側部であって履帯が装着される1対のサイドフレームの、少なくとも一方の外側面にステップを備え、
このステップが、踏み部と、この踏み部に一端部側が接続された少なくとも2つの脚部とを有し、これらの脚部の他端部側を、揺動軸を介して前記サイドフレームの外側面に取付けることにより、各脚部を外側面側に対して前記走行体の上下方向に揺動可能に設けた昇降用ステップ装置において、
前記脚部における前記揺動軸よりも外側に位置する部分に一端側が取付けられ、前記外側面における前記揺動軸よりも下方に位置する部分に他端部が取付けられる引張コイルばねを備えるとともに、
前記脚部の他端部側に設けられ、脚部を予め設定した角度まで開いたときに前記外側面に当接して脚部の開く方向への揺動を規制する当接部を有する開限度規制手段を備えることを特徴とするクローラ式作業機械の昇降用ステップ装置。 - 走行体の左右両側部であって履帯が装着される1対のサイドフレームの、少なくとも一方の外側面にステップを備え、
このステップが、踏み部と、この踏み部に一端部側が接続された少なくとも2つの脚部とを有し、これらの脚部の他端部側を、揺動軸を介して前記サイドフレームの外側面に取付けることにより、各脚部を外側面側に対して前記走行体の上下方向に揺動可能に設けた昇降用ステップ装置において、
直線状に弾性復帰する性質を有し、前記脚部の揺動の軸心よりも上方で一端が前記外側面に、他端が前記脚部に取付けられるとともに、前記脚部が予め設定した角度まで開くのに十分な長さ寸法に設定された索状部材と、
前記脚部の他端部側に設けられ、前記脚部を前記予め設定した角度まで開いたときに前記外側面に当接して脚部の開く方向への揺動を規制する当接部を有する開限度規制手段と、
前記ステップの重心の位置が前記外側面及び前記揺動軸よりも外側に常に位置するように、前記脚部の閉じる方向への揺動の限度を、脚部が予め設定した小角度開いた状態に規制する閉限度規制手段とを備えたことを特徴とするクローラ式作業機械の昇降用ステップ装置。 - 前記閉限度規制手段が、前記揺動の軸心よりも上方に位置する前記外側面の部分に設けられ、前記脚部が前記予め設定した小角度まで閉じたときに前記脚部に当接するように、前記外側面から外側方に向かって突出させた突出部からなることを特徴とする請求項8記載のクローラ式作業機械の昇降用ステップ装置。
Priority Applications (1)
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JP2003152918A JP2004352102A (ja) | 2003-05-29 | 2003-05-29 | クローラ式作業機械の昇降用ステップ装置 |
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JP2003152918A JP2004352102A (ja) | 2003-05-29 | 2003-05-29 | クローラ式作業機械の昇降用ステップ装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US11613873B2 (en) | 2017-03-07 | 2023-03-28 | Sumitomo Heavy Industries, Ltd. | Shovel and work support system for construction machine |
-
2003
- 2003-05-29 JP JP2003152918A patent/JP2004352102A/ja active Pending
Cited By (2)
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US11613873B2 (en) | 2017-03-07 | 2023-03-28 | Sumitomo Heavy Industries, Ltd. | Shovel and work support system for construction machine |
US12031301B2 (en) | 2017-03-07 | 2024-07-09 | Sumitomo Heavy Industries, Ltd. | Shovel and work support system for construction machine |
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