JP2004351836A - シート材の凹凸形成方法と同方法により製造されるシート状ゴム製型および発泡体ゴムシート - Google Patents
シート材の凹凸形成方法と同方法により製造されるシート状ゴム製型および発泡体ゴムシート Download PDFInfo
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Abstract
【課題】シート状のエラストマー製品、特にゴム組成物の表面に比較的深い凹凸で規則性を有する各種形状の型を容易に形成でき、安価にエラストマー製品を提供できるシート材の凹凸形成方法を提供する。
【解決手段】この金網33上に離型フィルム34のシリコーン処理面を上面にして重ね合わせたのち、この上に発泡体ゴム組成物の未加硫ゴムシート32を重ね合わせ、つづいて他の発泡体ゴム組成物の未加硫ゴムシート31をその上に重ね合わせて積層した状態で、それらを一体的にロートキュア10で加圧・加熱することにより未加硫ゴムシート31・32を加硫するとともに発泡させたのち、金網33および離型フィルム34をそれぞれ引き離すように発泡体ゴムシート32から分離することにより発泡体ゴムシート30の一面に凹凸形状を形成する。
【選択図】 図4
【解決手段】この金網33上に離型フィルム34のシリコーン処理面を上面にして重ね合わせたのち、この上に発泡体ゴム組成物の未加硫ゴムシート32を重ね合わせ、つづいて他の発泡体ゴム組成物の未加硫ゴムシート31をその上に重ね合わせて積層した状態で、それらを一体的にロートキュア10で加圧・加熱することにより未加硫ゴムシート31・32を加硫するとともに発泡させたのち、金網33および離型フィルム34をそれぞれ引き離すように発泡体ゴムシート32から分離することにより発泡体ゴムシート30の一面に凹凸形状を形成する。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性エラストマーやゴム組成物などの加熱により軟化し且つ膨張する高分子材料からなるシート材に凹凸を形成する方法と同凹凸形成方法により製造されるシート材(たとえばシート状ゴム製型や発泡体ゴムシート)に関するもので、とくに熱可塑性エラストマーや熱硬化性エラストマーの一面に凹凸形状を形成するのに有効な発明である。詳しくは、とくに幼児用遊戯場床材や高齢者居住用床材などに用いられるゴム発泡シート(発泡体ゴムシート)の表面に、滑り止め防止やデザインとしての凹凸形状を形成するのに好適で、エラストマー製品の表面に規則性のある凹凸形状を形成する方法とその方法を適用したエラストマー製品を安価に製造するための発明に関する。さらに本発明は、エラストマー製品のほか、ゴム製型に凹凸の型形状を形成するのにも適用できる発明に関する。
【0002】
【従来の技術】
1)たとえば、塩化ビニル樹脂のような熱可塑性エラストマー製シート材の表面に凹凸形状を形成する場合、連続して加熱することにより軟化させた圧延シートをロール表面に凹凸の型を刻設したエンボスロールにて圧接し、圧延シートに凹凸形状を形成している。
【0003】
2)また、熱硬化性エラストマーの場合には、型を付けようとする凹凸の形状および寸法に対応した金型をあらかじめ製作し、この金型にエラストマーを充填して加圧および加熱したのち、硬化したエラストマーを金型から抜き出すことによりシート材を製造している。
【0004】
3)その他の先行技術として、所定の形態を表面に形成した型付き面を有する型付けフィルムをその繰り出しロールから送り出し、ニップロールと冷却ロール間に供給するとともに、Tダイスから型付けフィルムの型付け面に溶融樹脂を押し出してラミネートさせることによりラミネートシート材を形成した後、型付けフィルムを剥離することによりシート材に型付けする方法が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
4)別の先行技術として、長尺プラスチック板の一端部に長手方向に向けて型付けプレス手段により型板状の初期型付けを施すとともに、初期型付けに倣ってプラスチック板の長手方向に型付けロール手段によって順次型板状の本型付けを施すプラスチック板の型付け方法が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【0006】
5)さらに、ゴム製品の場合には、長尺シート以外の型形状のものでは、上記した熱硬化性エラストマーの場合と同様にあらかじめ金型を製作してその金型にゴム材料を充填し、加圧・加熱したのちに金型から抜き出して凹凸の型を形成しているが、長尺ゴムシートの場合は、金属製の金型に変えてゴム材料で長尺の金型(ゴム製型)を加硫して製作し、この長尺ゴム製型と未加硫ゴムシート材を一体的に重ね合わせて配置し、連続加硫機であるロートプレスにて加圧・加熱することによって未加硫ゴムシート材を加硫することにより、ゴム製型の型形状をゴムシート材へ転写させてゴムシート材の表面に凹凸の型形状を形成している。なお、ゴム製型は、所定サイズの金属板の表面に切削機により所望の凹凸形状に対応する溝を切削加工して金属型を製作し、この金属型を未加硫ゴムシートに転写して加硫することにより形成している。また、上記のようにして型付けした長尺ゴムシートに、さらに研削や研磨による後加工を施して表面に形成された凹凸の型形状を仕上げることもある。
【0007】
【特許文献1】
特開平05−57789号公報(段落番号0010、0017および図1〜図5)
【特許文献2】
特許2928744号掲載公報(段落番号0008、0009および図2・図3)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の各凹凸形成方法では、つぎのような不都合がある。すなわち、
1) エンボスロールの製作に膨大な費用を要する上に、型形状を変更するたびにその型形状に対応するエンボスロールが必要になる。
【0009】
2) 金型の製作に膨大な費用を要する上に、型形状を変更するたびにその型形状に対応する金型が必要になる。しかも、一般に金型の長さによってシート材の長さが制限を受けるため、長尺のシート材の型付けには不向きである。
【0010】
3) 特許文献1の方法では、型付けフィルムの型付け面の凹凸度合いが比較的浅いものに限られているから、たとえば床材のような分厚いシート材の型付けには向かない上に、深い型を付けることができない。
【0011】
4) 特許文献2の方法は、長尺のプラスチック板を長手方向に沿って段階的に型付けするもので、プラスチック板の長手方向に連続する型を付けるため、板厚はほぼ一定で板全体が幅方向に凹凸形状をなす型形状に制限される。このため、シート材の表面にだけ凹凸の型付けを施す場合は適用できない。
【0012】
この発明は上述の点に鑑みなされたもので、シート状のエラストマー製品、特にゴム組成物の表面に比較的深い凹凸で規則性を有する各種形状の型を容易に形成でき、安価にエラストマー製品を提供できるようにすること、特に発泡ゴム組成物の表面に凹凸を形成するのに好適で、エラストマー製品に限らずゴム製型の製作にも適用でき、安価にかつ簡単に規則性を有する各種形状の型付けを可能にする、シート材の凹凸形成方法および同方法を用いて製造されるシート状ゴム製型や発泡体ゴムシートなどのシート材を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため本発明のシート材の凹凸形成方法(請求項1)は、熱可塑性エラストマーやゴム組成物などの加熱により軟化し且つ膨張する高分子材料からなるシート材の一面に、凹凸形成部材をシート状離型体を介在させて重ね合わせ、これらを一体的に加圧・加熱したのち、前記凹凸形成部材および前記シート状離型体を前記シート材の一面側から引きはがすことにより分離してシート材の一面に凹凸を形成する方法であって、前記凹凸形成部材として、菱形金網、クリンプ金網、亀甲金網、織金網、溶接金網、鉄筋格子などの各種形状の金網、パンチングメタル、エキスパンドメタル、天然繊維網又は合成繊維網、所定形状の凹み又は開口を規則的に有する合成樹脂板のうちから選択されるところの、加圧・加熱下で変形しないものを択一的に使用するとともに、前記シート状離型体として、離型フィルム、離型紙、離型処理を施した布から選択されるところの、屈曲変形自在で耐加熱性・耐加圧性を備えたもののうちから選択されるものを択一的に使用することを特徴とする。
【0014】
上記したとおり従来はシート材の凹凸形状に対応した金型を製作し、この金型を用いて凹凸形状をシート材に形成していたが、上記の構成をもつ本発明のシート材の凹凸形成方法によると、金型の代わりにたとえば金網を使用してシート材の一面に凹凸形状を形成できる。凹凸形状は所定形状の規則的なくり返し凹凸模様に限られるが、市販の金網やパンチングメタルなどを購入するだけでよいため、非常に安価に且つ簡単に凹凸形状を形成できる。また、金網等は離型フィルム等の離型体を介在させて高分子材料シートに重ね合わせたうえ加圧・加熱することにより凹凸形状を形成するから、離型体の厚みを変えることで凹凸形状の深さを容易に変更できるとともに、加圧・加熱後における製品としてのシート材の一面に対する金網等の剥離を無理なく行える。
【0015】
請求項2に記載のように、前記高分子材料製シート材として、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブチルゴム、アクリルニトリルブタジエンゴム、エチレン−プロピレンターポリマーから選択される少なくとも一つのジエン系ポリマーからなるゴムを用いた長尺のゴム組成物を圧延した未加硫ゴムシートを使用することができる。
【0016】
請求項2記載の凹凸形成方法によると、加圧・加熱により未加硫ゴムシートが加硫されることで凹凸形状が形成されるから、形成された凹凸形状が長期にわたり安定して保たれ、変形等により形状が崩れたりしない。
【0017】
請求項3記載の発明であるシート材の凹凸形成方法は、ゴム組成物を圧延して未加硫ゴムシートを製造し、ゴム製型の補強体を構成する合成樹脂繊維からなる平織物の上に、前記ゴムシートを重ね合わせ、このゴムシート上にシート状離型体(たとえば合成樹脂繊維からなる平織物)を介してあるいは直接に、重ね合わせたのち、各種形状の金網又は天然繊維網・合成繊維網あるいはパンチングメタル、エキスパンドメタル若しくは所定形状の凹み又は開口を規則的に有する合成樹脂板のいずれかからなる凹凸形成部材を前記シート状離型体上に配置し、それらを一体的に積層した状態で加圧・加熱することにより加硫したのち、前記凹凸形成部材を前記ゴムシートから引きはがすことによりゴム製型に凹凸形状を形成することを特徴とする。
【0018】
請求項3記載の凹凸形成方法によると、従来切削加工等により金型を製作して形成していたゴム製型が金型を製作せずに金網等の市販品からなる凹凸形成部材を用いて簡単にしかも非常に安く形成することができ、凹凸形状を容易に変更できる。とくに未加硫ゴムシートをはじめとし、凹凸形成部材にいたるまで長尺な部材を使用できるから、ロートキュアのような連続加硫機により加硫することにより、たとえば50m程度の長尺ゴム製型も安価に且つ短時間で製造できる。
【0019】
請求項4記載の発明であるシート材の凹凸形成方法は、ゴム組成物を主体とし、発泡剤および着色剤を混合した発泡体ゴム組成物を圧延して複数枚の未加硫ゴムシートをそれぞれ製造し、各種形状の金網又は天然繊維網・合成繊維網あるいはパンチングメタル若しくは所定形状の凹み又は開口を規則的に有する合成樹脂板のいずれかからなる凹凸形成部材を最下位置にし、この凹凸形成部材上にシート状離型体(たとえば合成樹脂繊維からなる平織物)の離型処理面を上面にして重ね合わせ、この上に前記発泡体ゴム組成物の未加硫ゴムシートの少なくとも一枚を重ね合わせ、つづいて残りの前記発泡体ゴム組成物の未加硫ゴムシートをその上に重ね合わせて積層した状態で、それらを一体的に加圧・加熱することにより前記発泡体ゴム組成物の未加硫ゴムシートを加硫するとともに発泡させたのち、前記凹凸形成部材およびシート状離型体をそれぞれ引き離すように発泡体ゴムシートから分離することにより一面に凹凸形状を形成することを特徴とする。
【0020】
請求項4に記載の凹凸形成方法によると、所定形状の凹凸形状を規則的に繰り返した各種の凹凸形状を、色彩を施した発泡体ゴムシートの一面に簡単に且つ非常に安価に形成でき、同発泡体ゴムシートの表面に凹凸形状を形成すれば、凹凸模様として外観を引き立てるだけでなく、ゴムシートの色彩を異ならせることにより凹凸模様の色彩が凹凸模様以外のシート面の色彩と異なる彩りになって一層際だつ上に、滑り止め作用も発揮するので、発泡体ゴムシートのクッション性と相俟って、たとえば幼児用遊技場の床材や高齢者住宅用床材に適用するのに最適である。また発泡体ゴムシートの裏面に凹凸形状を形成すれば、たとえば床材を床面に敷設する際に床材が定位置にしっかりと固定でき、敷設作業が容易に行える。
【0021】
請求項5記載の発明であるシート状ゴム製型は、ゴム組成物を圧延して未加硫ゴムシートを製造し、ゴム製型の補強体を構成する合成樹脂繊維からなる平織物の上に、前記ゴムシートを重ね合わせ、このゴムシート上にシート状離型体(たとえば合成樹脂繊維からなる平織物)を介してあるいは直接に、重ね合わせたのち、各種形状の金網又は天然繊維網・合成繊維網あるいはパンチングメタル、エキスパンドメタル若しくは所定形状の凹み又は開口を規則的に有する合成樹脂板のいずれかからなる凹凸形成部材を前記シート状離型体上に配置し、それらを一体的に積層した状態で加圧・加熱することにより加硫したのち、前記凹凸形成部材を前記ゴムシートから引きはがすことにより一面に凹凸形状を形成して製造したことを特徴とする。
【0022】
請求項5に記載のゴム製型によると、用途に応じて多種多様の凹凸形状を備えることができ、従来の金型を用いて形成されるゴム製型に比べて非常に安価で、しかも簡単に凹凸形状を変更できる。
【0023】
請求項6記載の発明である発泡体ゴムシートは、ゴム組成物を主体とし、発泡剤および着色剤を混合した発泡体ゴム組成物を圧延して複数枚の未加硫ゴムシートをそれぞれ製造し、各種形状の金網又は天然繊維網・合成繊維網あるいはパンチングメタル、エキスパンドメタル若しくは所定形状の凹み又は開口を規則的に有する合成樹脂板のいずれかからなる凹凸形成部材を最下位置にし、この凹凸形成部材上にシート状離型体の離型処理面を上面にして重ね合わせ、この上に前記発泡体ゴム組成物の未加硫ゴムシートの少なくとも一枚を重ね合わせ、つづいて残りの前記発泡体ゴム組成物の未加硫ゴムシートをその上に重ね合わせて積層した状態で、それらを一体的に加圧・加熱することにより前記発泡体ゴム組成物の未加硫ゴムシートを加硫するとともに発泡させたのち、前記凹凸形成部材およびシート状離型体をそれぞれ引き離すように発泡体ゴムシートから分離することにより一面に凹凸形状を形成して製造したことを特徴とする。
【0024】
請求項6に記載の発泡体ゴムシートは、従来のものに比べて非常に安価にしかも用途に応じて凹凸形状を簡単に変更することができ、多種多様の凹凸形状を備えることができ、凹凸形状が長期にわたり安定して保持される。しかも、凹凸模様として外観を引き立てるだけでなく、ゴムシートの色彩を異ならせることにより、凹凸模様の色彩が凹凸模様以外のシート面の色彩と異なる彩りになって一層際だつことができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる凹凸形成方法および同方法により製造される製品の実施の形態について実施例を挙げて説明する。
【0026】
【実施例1】
凹状の型を表面に有する長尺のゴム製型の製作に適用:
1) 公知のブチルゴム組成物を材料とし、複数のロール(カレンダーロール)により圧延して、幅1500mm×長さ50m×厚さ5mmの長尺ブチルゴムシートを製造する。
【0027】
2) ゴム製型の補強体を構成するポリエステル繊維からなる平織物(撚り470T×470T・組織密度100本/inch×100本/inch・上記長尺ブチルゴムシートと同サイズ)の上に、上記長尺ブチルゴムを重ね合わせる。この長尺ブチルゴムシート上に、離型体を構成する6,6ナイロン繊維からなる平織物(撚り470T×235T・組織密度128本/inch×90本/inch)を重ね合わせる。前記補強用平織物は、あらかじめ長尺ブチルゴムと接着させるためのRFL処理を施しておく。
【0028】
3) さらに、亜鉛メッキ鉄線製クリンプ金網(網目間隔12mm・線径2.30mm)を前記離型用平織物上に重ね合わせて配置し、図1に示すように、これらを一端部から長さ約10mの段プレス1の上下の熱盤2・3間で加圧・加熱することにより加硫したのち、焼き境い部分のプレス熱盤を冷却し、10mずつ順に送り焼きすることにより、50mのゴム製型を加硫する。この加硫後に、クリンプ金網を前記離型用平織物から引きはがし、つぎに離型用平織物を引きはがすことにより、表面に約12mm角の格子状で深さ2.3〜4.6mmの溝からなる凹部形状をもつ凹部表面ゴム製型を製作した。
【0029】
上記のようにして本実施例にかかるゴム製型を製作したが、このゴム製型を用いてゴムシート製品の表面に凹凸形状を以下の手順で形成した。
【0030】
4) 図2に示すように、SBRゴム組成物からなる長尺の未加硫ゴムシート21上に、ゴム製型22の凹部表面を重ね合わせた状態で、ロートキュア10の主ドラム11と加圧用無端スチールベルト12間に挿入し、ゴムシート21とゴム製型22を一体的に加圧・加熱することによりゴムシート21の表面に、ゴム製型22の表面凹部形状に対応する凸状型を転写して付けると同時に加硫した。それから、ゴム製型22をゴムシート21の表面からはぎ取り、ゴム製型22およびゴムシート20をそれぞれ巻取ロール16・17に巻き取ることにより表面凸形状のゴムシート製品20を得た。なお、ゴム製型22の表面には、あらかじめシリコーンオイルを塗布し、離型性を高めておいた。
【0031】
【実施例2】
凹状型を表面に有する長尺のゴム製型の製作に適用:
1) 公知のブチルゴム組成物を材料とし、複数のロール(カレンダーロール)により圧延して、幅1500mm×長さ50m×厚さ5mmの長尺ブチレンゴムシートを製造する。
【0032】
2) ゴム製型の補強体を構成するポリエステル繊維からなる平織物(撚り470T×470T・組織密度100本/inch×100本/inch・上記長尺ブチレンゴムシートと同サイズ)の上に、上記長尺ブチレンゴムを重ね合わせる。この長尺ブチレンゴムシート上に、離型体を構成する6,6ナイロン繊維からなる平織物(撚り470T×235T・組織密度128本/inch×90本/inch)を重ね合わせる。前記補強体用平織物は、あらかじめ長尺ブチレンゴムと接着させるためのRFL処理を施しておく。
【0033】
3) さらに、厚さ4mmで8mm角のパンチング穴が縦横に12mmピッチで穿設された長さ1mで幅1500mmの鋼板製パンチングメタルを、離型用平織物上に長さ方向に一連に突き合わせた状態で10枚配置し、図1に示すように、これらを一端部から長さ約10mの段プレス1の上下の熱盤2・3間で加圧・加熱することにより加硫したのち、焼き境い部分のプレス熱盤を冷却し、10mずつ順に送り焼きすることにより、50mのゴム製型を加硫する。この加硫後に、パンチングメタルを前記離型用平織物から引きはがし、つぎに離型用平織物を引きはがすことにより、表面に12mmピッチの約8mm角穴で深さ4.0mmの凹部形状をもつ凹部表面ゴム製型を製作した。
【0034】
【実施例3】
凹凸状の表面模様を形成した発泡ゴムシート製品の製造に適用:
1) SBRゴム組成物を主体とし、発泡剤および赤茶色の色素剤を混合した長尺の未加硫発泡ゴム組成物を、図示を省略したカレンダーロール機を用いて圧延し、厚さ5mm×幅1300mm×長さ50mの圧延ゴムシート32(図3)を製造した。同様に、SBRゴム組成物を主体とし、発泡剤および黒色の色素剤を混合した長尺の未加硫発泡ゴム組成物を、図示を省略したカレンダーロール機を用いて圧延し、厚さ5mm×幅1300mm×長さ50mの圧延ゴムシート31(図3)を製造した。
【0035】
2) 図3に示すように、凹凸形成部材にJIS G3553に規定される亜鉛メッキ鉄線クリンプ金網33(網目間隔10mm・線径0.8mm)を最下位置にし、このクリンプ金網33上に、シート状離型体としてのポリエステルフィルム34(ニッパ(株)製PET38×1M)のシリコーン処理面を上面にして重ね合わせたのち、このポリエステルフィルム34上に赤茶色の圧延ゴムシート32を重ね合わせ、さらに黒色の圧延ゴムシート31をその上に重ね合わせる。このように積層した状態で、図4に示すように連続加硫機であるロートキュア10の主ドラム11とエンドレススチールベルト12との間に、クリンプ金網33をスチールベルト12側にして挿入し、一体的に加圧・加熱することにより加硫するとともに二種類の圧延ゴムシート31・32を発泡させる。加硫後に、クリンプ金網33およびポリエステルフィルム34をそれぞれ引き離すように分離し、別個の巻取ロール16・18にそれぞれ巻き取ると同時に、発泡ゴムシート製品30を製品用巻取ロール17に巻き取る。このようにして、表面に凹凸形状を有する発泡ゴムシート製品30を得た。
【0036】
【実施例4】
凹凸状型を表面に有する長尺のゴム製型の製作および凹凸状の表面模様および裏面模様を有する発泡ゴムシート製品の製造に適用:
凹状の型を表面に有する長尺のゴム製型の製作に適用:
1) 公知のブチルゴム組成物を材料とし、複数のロール(カレンダーロール)により圧延して、幅1500mm×長さ50m×厚さ5mmの長尺ブチルゴムシートを製造する。
【0037】
2) ゴム製型の補強体を構成するポリエステル繊維からなる平織物(撚り470T×470T・組織密度100本/inch×100本/inch・上記長尺ブチルゴムシートと同サイズ)の上に、上記長尺ブチルゴムを重ね合わせる。この長尺ブチルゴムシート上に、離型体を構成する6,6ナイロン繊維からなる平織物(撚り470T×235T・組織密度128本/inch×90本/inch)を重ね合わせる。前記補強体用平織物は、あらかじめ長尺ブチルゴムシートと接着させるためのRFL処理を施しておく。
【0038】
3) さらに、JIS G3553に規定される亜鉛メッキ鉄線クリンプ金網(網目間隔12mm・線径2.30mm)を前記離型用平織物上に重ね合わせて配置し、図1に示すように、これらを一端部から長さ約10mの段プレス1の上下の熱盤2・3間で加圧・加熱することにより加硫したのち、焼き境い部分のプレス熱盤を冷却し、10mずつ順に送り焼きすることにより、50mのゴム製型を加硫する。この加硫後に、クリンプ金網を離型体の平織物から引きはがし、つぎに離型体の平織物を引きはがすことにより、表面に約12mm角の格子状で深さ4.0mmの溝をもつ表面凹凸形状のゴム製型35(図5)を製作した。
【0039】
4) SBRゴム組成物を主体とし、発泡剤および赤茶色の色素剤を混合した長尺の未加硫発泡ゴム組成物を、図示を省略したカレンダーロール機を用いて圧延し、厚さ5mm×幅1300mm×長さ50mの圧延ゴムシート32(図5)を製造した。同様に、SBRゴム組成物を主体とし、発泡剤および黒色の色素剤を混合した長尺の未加硫発泡ゴム組成物を、図示を省略したカレンダーロール機を用いて圧延し、厚さ5mm×幅1300mm×長さ50mの圧延ゴムシート31(図5)を製造した。
【0040】
5) 図5に示すように、凹凸形成部材にJIS G3554に規定される亜鉛メッキ鉄線製亀甲網33(網目間隔10mm・線径0.8mm)を最下位置にし、この亀甲金網33上に、離型体としてのポリエステルフィルム34(ニッパ(株)製PET38×1M)のシリコーン処理面を上面にし、この上に赤茶色の圧延ゴムシート32を重ね合わせ、さらに黒色の圧延ゴムシート31をその上に重ね合わせる。なお、上記のゴム製型35にはあらかじめシリコーンオイルを塗布しておき、離型性を高めておいた。
【0041】
6) このように積層した状態で、図6(a)に示すように、連続加硫機であるローキュア10の主ドラム11とエンドレススチールベルト12との間に、亀甲金網33をスチールベルト12側にしゴム製型35を主ドラム11側にして挿入し、一体的に加圧・加熱することにより加硫するとともに二種類の圧延ゴムシート31・32を発泡させる。加硫後に、図6(b)に示すように、ゴム製型35を圧延ゴムシート31の裏面側のポリエステルフィルム34から、ポリエステルフィルム34を圧延ゴムシート31から引き離すようにして巻取ロール16・20にそれぞれ巻き取って分離するとともに、亀甲金網33およびポリエステルフィルム34をそれぞれ引き離すように分離し、別個の巻取ロール18・19にそれぞれ巻き取ると同時に、発泡ゴムシート製品30を製品用巻取ロール17に巻き取る。このようにして、表面および裏面に凹凸形状をそれぞれ有する発泡ゴムシート製品30を得た。
【0042】
【比較例1】
比較例1として、従来の凹凸形成方法によるゴム製型の製作手順および同ゴム製型を用いたゴムシートの凹凸形成方法を以下に説明する。
【0043】
1) ゴム製I型の型形状を形成するための金属型を製作する。すなわち、厚さ10mm×00mm×長さ1400mmの鉄板の表面に、切削機により深さ5mmで縦横ともに12mmピッチの溝を切削して金属型51を製作した(図7(a))。同じ手順で、合計22枚の金属型を製作した。
【0044】
2) つぎに、公知のブチルゴム組成物により、厚さ5mm×幅1500mm×長さ50mの圧延したブチルゴムシート41を2本製造した。図1に示す長さ10mの段プレス機の下側熱盤上に、20枚の金属型を一連に連続して敷きつめた。この状態で、上下の熱盤とともに金属型51を所定温度まで加熱したのち、未加硫のブチルゴムシート41を金属型51の表面型上にセットし、さらにブチルゴムシート41上に補強体を構成するポリエステル繊維からなる平織物42(撚り470T×470T・組織密度100本/inch×100本/inch・ブチレンゴムシートと同サイズ)を重ね合わせ、熱盤間で加圧・加熱したのち、熱盤の焼き境え部分を冷却装置にて冷却して順に送り加硫することにより、長さ50mのゴム製I型43を製造した(図7(b))。
3) 上記2)の工程においてゴム製I型43を上記金属型51の代わりに使用する以外は同一にして、長さ50mのゴム製II型44を加硫することにより製造した(図7(c))。
【0045】
4) SBRゴム組成物からなる長尺の未加硫ゴムシート上に、ゴム製II型の凹部表面を重ね合わせた状態で、ロートキュアの主ドラムと加圧用無端スチールベルト間に挿入し、ゴムシートとゴム製II型を一体的に加圧・加熱することによりゴムシートの表面に、ゴム製型の表面凹部形状に対応する凸状型を転写して付けると同時に加硫した。それから、ゴム製II型をゴムシートの表面からはぎ取り、ゴム製II型およびゴムシートをそれぞれ巻取ロールに巻き取ることにより表面凸形状のゴムシート製品を得た。なお、上記ゴム製I型およびゴム製II型の表面には、あらかじめシリコーンオイルを塗布し、離型性を高めておいた。
【0046】
5) 上記の比較例1では、金属型の製作に長期間を要するとともに、製作費用が膨大で、この費用がゴムシートの製造費に反映されるため高コストになる。また、ゴムシートに形成する凸形状を変更する場合、金型段階で変更することになるため、費用は膨大で長期間を要するから、形状の変更は行ないにくい。
【0047】
上記に本発明に関する4つの実施例を示したが、本発明は下記のように実施することができる。
【0048】
▲1▼ 金網等の凹凸形成部材を用いる際にたとえばロートキュアで連続加硫する場合に、主ドラムに接する金網等の外側にもシート状離型体を配置して主ドラムへの傷付きを防止することができる。
【0049】
▲2▼ 上記実施例3では、発泡体ゴムシートの両面に凹凸形状を形成する際に、ゴム製型と金網を使用したが、両面に金網を使用したりあるいは両面にゴム製型を使用したりすることもできる。
【0050】
▲3▼ 上記実施例3・4において、発泡体ゴムシートに代えて非発泡のゴムシートを製造する場合にも同様に適用できる。
【0051】
▲4▼ 上記実施例は全てゴム組成物を用いたゴムシートの製造に関するものであるが、たとえば塩化ビニル樹脂のような熱可塑性エラストマーでは金網等と一体に重ね合わせて加圧・加熱した際に、熱可塑性エラストマーが軟化して金網等に対応する凹凸模様が形成されたのち、熱可塑性エラストマーが冷却され硬化することにより凹凸模様が長期間安定して保持される。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように、本発明にかかるシート材の凹凸形状形成方法と同方法により製造されるゴム製型および発泡体ゴムシートには、次のような優れた効果がある。
【0053】
▲1▼ 本発明は、シート状のエラストマー製品、特にゴム組成物の一面に比較的深い凹凸で規則的な各種凹凸形状を容易に形成でき、また、凹凸形状の変更も容易に行える。これにより、凹凸形状を有するエラストマー製品を安価に提供できる。
【0054】
▲2▼ 特に発泡ゴム組成物の表面に凹凸形状を形成するのに好適で、エラストマー製品に限らずゴム製型の製作にも適用でき、安価にかつ簡単に規則性を有する各種凹凸形状の形成を可能にする。
【0055】
▲3▼ 本発明にかかるゴム製型および発泡体ゴムシートは、従来のものに比べて凹凸形状を極めて安価に形成でき、形状の変更も容易なため、用途に応じて、たとえば幼児用遊技場床材や高齢者居住用床材の場合には滑り止め作用の高い凹凸形状を選択して形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用する段プレスの一例を示す一部を断面で表した斜視図である。
【図2】本発明で使用するロートキュアを用いたゴムシート製品(実施例1)の連続加硫工程を示す概略図である。
【図3】本発明の実施例3におけるクリンプ金網・ポリエステルフィルム・圧延ゴムシート・圧延ゴムシートを順に重ね合わせた状態を下側から示す平面図である。
【図4】本発明で使用するロートキュアを用いたゴムシート製品(実施例3)の連続加硫工程を示す概略図である。
【図5】本発明の実施例4におけるクリンプ金網・ポリエステルフィルム・圧延ゴムシート・圧延ゴムシート・ポリエステルフィルム・ゴム製型を順に重ね合わせた状態を下側から示す平面図である。
【図6】本発明で使用するロートキュアを用いたゴムシート製品(実施例4)の連続加硫工程を示す概略図で、図6(a)は入り口側を拡大して表し、図6(b)は出口側を表している。
【図7】図7(a)〜図7(c)は金属型と同一のゴム製II型を製作するための従来の一般的な手順を示す工程図である。
【符号の説明】
1 段プレス
2・3 熱盤
10 ロートキュア
11 主ドラム
12 エンドレススチールベルト
13〜15 ドラム
20・30 ゴムシート製品
21・31・32 圧延ゴムシート
22・33 金網
34 ポリエステルフィルム
35 ゴム製型
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性エラストマーやゴム組成物などの加熱により軟化し且つ膨張する高分子材料からなるシート材に凹凸を形成する方法と同凹凸形成方法により製造されるシート材(たとえばシート状ゴム製型や発泡体ゴムシート)に関するもので、とくに熱可塑性エラストマーや熱硬化性エラストマーの一面に凹凸形状を形成するのに有効な発明である。詳しくは、とくに幼児用遊戯場床材や高齢者居住用床材などに用いられるゴム発泡シート(発泡体ゴムシート)の表面に、滑り止め防止やデザインとしての凹凸形状を形成するのに好適で、エラストマー製品の表面に規則性のある凹凸形状を形成する方法とその方法を適用したエラストマー製品を安価に製造するための発明に関する。さらに本発明は、エラストマー製品のほか、ゴム製型に凹凸の型形状を形成するのにも適用できる発明に関する。
【0002】
【従来の技術】
1)たとえば、塩化ビニル樹脂のような熱可塑性エラストマー製シート材の表面に凹凸形状を形成する場合、連続して加熱することにより軟化させた圧延シートをロール表面に凹凸の型を刻設したエンボスロールにて圧接し、圧延シートに凹凸形状を形成している。
【0003】
2)また、熱硬化性エラストマーの場合には、型を付けようとする凹凸の形状および寸法に対応した金型をあらかじめ製作し、この金型にエラストマーを充填して加圧および加熱したのち、硬化したエラストマーを金型から抜き出すことによりシート材を製造している。
【0004】
3)その他の先行技術として、所定の形態を表面に形成した型付き面を有する型付けフィルムをその繰り出しロールから送り出し、ニップロールと冷却ロール間に供給するとともに、Tダイスから型付けフィルムの型付け面に溶融樹脂を押し出してラミネートさせることによりラミネートシート材を形成した後、型付けフィルムを剥離することによりシート材に型付けする方法が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
4)別の先行技術として、長尺プラスチック板の一端部に長手方向に向けて型付けプレス手段により型板状の初期型付けを施すとともに、初期型付けに倣ってプラスチック板の長手方向に型付けロール手段によって順次型板状の本型付けを施すプラスチック板の型付け方法が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。
【0006】
5)さらに、ゴム製品の場合には、長尺シート以外の型形状のものでは、上記した熱硬化性エラストマーの場合と同様にあらかじめ金型を製作してその金型にゴム材料を充填し、加圧・加熱したのちに金型から抜き出して凹凸の型を形成しているが、長尺ゴムシートの場合は、金属製の金型に変えてゴム材料で長尺の金型(ゴム製型)を加硫して製作し、この長尺ゴム製型と未加硫ゴムシート材を一体的に重ね合わせて配置し、連続加硫機であるロートプレスにて加圧・加熱することによって未加硫ゴムシート材を加硫することにより、ゴム製型の型形状をゴムシート材へ転写させてゴムシート材の表面に凹凸の型形状を形成している。なお、ゴム製型は、所定サイズの金属板の表面に切削機により所望の凹凸形状に対応する溝を切削加工して金属型を製作し、この金属型を未加硫ゴムシートに転写して加硫することにより形成している。また、上記のようにして型付けした長尺ゴムシートに、さらに研削や研磨による後加工を施して表面に形成された凹凸の型形状を仕上げることもある。
【0007】
【特許文献1】
特開平05−57789号公報(段落番号0010、0017および図1〜図5)
【特許文献2】
特許2928744号掲載公報(段落番号0008、0009および図2・図3)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の各凹凸形成方法では、つぎのような不都合がある。すなわち、
1) エンボスロールの製作に膨大な費用を要する上に、型形状を変更するたびにその型形状に対応するエンボスロールが必要になる。
【0009】
2) 金型の製作に膨大な費用を要する上に、型形状を変更するたびにその型形状に対応する金型が必要になる。しかも、一般に金型の長さによってシート材の長さが制限を受けるため、長尺のシート材の型付けには不向きである。
【0010】
3) 特許文献1の方法では、型付けフィルムの型付け面の凹凸度合いが比較的浅いものに限られているから、たとえば床材のような分厚いシート材の型付けには向かない上に、深い型を付けることができない。
【0011】
4) 特許文献2の方法は、長尺のプラスチック板を長手方向に沿って段階的に型付けするもので、プラスチック板の長手方向に連続する型を付けるため、板厚はほぼ一定で板全体が幅方向に凹凸形状をなす型形状に制限される。このため、シート材の表面にだけ凹凸の型付けを施す場合は適用できない。
【0012】
この発明は上述の点に鑑みなされたもので、シート状のエラストマー製品、特にゴム組成物の表面に比較的深い凹凸で規則性を有する各種形状の型を容易に形成でき、安価にエラストマー製品を提供できるようにすること、特に発泡ゴム組成物の表面に凹凸を形成するのに好適で、エラストマー製品に限らずゴム製型の製作にも適用でき、安価にかつ簡単に規則性を有する各種形状の型付けを可能にする、シート材の凹凸形成方法および同方法を用いて製造されるシート状ゴム製型や発泡体ゴムシートなどのシート材を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため本発明のシート材の凹凸形成方法(請求項1)は、熱可塑性エラストマーやゴム組成物などの加熱により軟化し且つ膨張する高分子材料からなるシート材の一面に、凹凸形成部材をシート状離型体を介在させて重ね合わせ、これらを一体的に加圧・加熱したのち、前記凹凸形成部材および前記シート状離型体を前記シート材の一面側から引きはがすことにより分離してシート材の一面に凹凸を形成する方法であって、前記凹凸形成部材として、菱形金網、クリンプ金網、亀甲金網、織金網、溶接金網、鉄筋格子などの各種形状の金網、パンチングメタル、エキスパンドメタル、天然繊維網又は合成繊維網、所定形状の凹み又は開口を規則的に有する合成樹脂板のうちから選択されるところの、加圧・加熱下で変形しないものを択一的に使用するとともに、前記シート状離型体として、離型フィルム、離型紙、離型処理を施した布から選択されるところの、屈曲変形自在で耐加熱性・耐加圧性を備えたもののうちから選択されるものを択一的に使用することを特徴とする。
【0014】
上記したとおり従来はシート材の凹凸形状に対応した金型を製作し、この金型を用いて凹凸形状をシート材に形成していたが、上記の構成をもつ本発明のシート材の凹凸形成方法によると、金型の代わりにたとえば金網を使用してシート材の一面に凹凸形状を形成できる。凹凸形状は所定形状の規則的なくり返し凹凸模様に限られるが、市販の金網やパンチングメタルなどを購入するだけでよいため、非常に安価に且つ簡単に凹凸形状を形成できる。また、金網等は離型フィルム等の離型体を介在させて高分子材料シートに重ね合わせたうえ加圧・加熱することにより凹凸形状を形成するから、離型体の厚みを変えることで凹凸形状の深さを容易に変更できるとともに、加圧・加熱後における製品としてのシート材の一面に対する金網等の剥離を無理なく行える。
【0015】
請求項2に記載のように、前記高分子材料製シート材として、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブチルゴム、アクリルニトリルブタジエンゴム、エチレン−プロピレンターポリマーから選択される少なくとも一つのジエン系ポリマーからなるゴムを用いた長尺のゴム組成物を圧延した未加硫ゴムシートを使用することができる。
【0016】
請求項2記載の凹凸形成方法によると、加圧・加熱により未加硫ゴムシートが加硫されることで凹凸形状が形成されるから、形成された凹凸形状が長期にわたり安定して保たれ、変形等により形状が崩れたりしない。
【0017】
請求項3記載の発明であるシート材の凹凸形成方法は、ゴム組成物を圧延して未加硫ゴムシートを製造し、ゴム製型の補強体を構成する合成樹脂繊維からなる平織物の上に、前記ゴムシートを重ね合わせ、このゴムシート上にシート状離型体(たとえば合成樹脂繊維からなる平織物)を介してあるいは直接に、重ね合わせたのち、各種形状の金網又は天然繊維網・合成繊維網あるいはパンチングメタル、エキスパンドメタル若しくは所定形状の凹み又は開口を規則的に有する合成樹脂板のいずれかからなる凹凸形成部材を前記シート状離型体上に配置し、それらを一体的に積層した状態で加圧・加熱することにより加硫したのち、前記凹凸形成部材を前記ゴムシートから引きはがすことによりゴム製型に凹凸形状を形成することを特徴とする。
【0018】
請求項3記載の凹凸形成方法によると、従来切削加工等により金型を製作して形成していたゴム製型が金型を製作せずに金網等の市販品からなる凹凸形成部材を用いて簡単にしかも非常に安く形成することができ、凹凸形状を容易に変更できる。とくに未加硫ゴムシートをはじめとし、凹凸形成部材にいたるまで長尺な部材を使用できるから、ロートキュアのような連続加硫機により加硫することにより、たとえば50m程度の長尺ゴム製型も安価に且つ短時間で製造できる。
【0019】
請求項4記載の発明であるシート材の凹凸形成方法は、ゴム組成物を主体とし、発泡剤および着色剤を混合した発泡体ゴム組成物を圧延して複数枚の未加硫ゴムシートをそれぞれ製造し、各種形状の金網又は天然繊維網・合成繊維網あるいはパンチングメタル若しくは所定形状の凹み又は開口を規則的に有する合成樹脂板のいずれかからなる凹凸形成部材を最下位置にし、この凹凸形成部材上にシート状離型体(たとえば合成樹脂繊維からなる平織物)の離型処理面を上面にして重ね合わせ、この上に前記発泡体ゴム組成物の未加硫ゴムシートの少なくとも一枚を重ね合わせ、つづいて残りの前記発泡体ゴム組成物の未加硫ゴムシートをその上に重ね合わせて積層した状態で、それらを一体的に加圧・加熱することにより前記発泡体ゴム組成物の未加硫ゴムシートを加硫するとともに発泡させたのち、前記凹凸形成部材およびシート状離型体をそれぞれ引き離すように発泡体ゴムシートから分離することにより一面に凹凸形状を形成することを特徴とする。
【0020】
請求項4に記載の凹凸形成方法によると、所定形状の凹凸形状を規則的に繰り返した各種の凹凸形状を、色彩を施した発泡体ゴムシートの一面に簡単に且つ非常に安価に形成でき、同発泡体ゴムシートの表面に凹凸形状を形成すれば、凹凸模様として外観を引き立てるだけでなく、ゴムシートの色彩を異ならせることにより凹凸模様の色彩が凹凸模様以外のシート面の色彩と異なる彩りになって一層際だつ上に、滑り止め作用も発揮するので、発泡体ゴムシートのクッション性と相俟って、たとえば幼児用遊技場の床材や高齢者住宅用床材に適用するのに最適である。また発泡体ゴムシートの裏面に凹凸形状を形成すれば、たとえば床材を床面に敷設する際に床材が定位置にしっかりと固定でき、敷設作業が容易に行える。
【0021】
請求項5記載の発明であるシート状ゴム製型は、ゴム組成物を圧延して未加硫ゴムシートを製造し、ゴム製型の補強体を構成する合成樹脂繊維からなる平織物の上に、前記ゴムシートを重ね合わせ、このゴムシート上にシート状離型体(たとえば合成樹脂繊維からなる平織物)を介してあるいは直接に、重ね合わせたのち、各種形状の金網又は天然繊維網・合成繊維網あるいはパンチングメタル、エキスパンドメタル若しくは所定形状の凹み又は開口を規則的に有する合成樹脂板のいずれかからなる凹凸形成部材を前記シート状離型体上に配置し、それらを一体的に積層した状態で加圧・加熱することにより加硫したのち、前記凹凸形成部材を前記ゴムシートから引きはがすことにより一面に凹凸形状を形成して製造したことを特徴とする。
【0022】
請求項5に記載のゴム製型によると、用途に応じて多種多様の凹凸形状を備えることができ、従来の金型を用いて形成されるゴム製型に比べて非常に安価で、しかも簡単に凹凸形状を変更できる。
【0023】
請求項6記載の発明である発泡体ゴムシートは、ゴム組成物を主体とし、発泡剤および着色剤を混合した発泡体ゴム組成物を圧延して複数枚の未加硫ゴムシートをそれぞれ製造し、各種形状の金網又は天然繊維網・合成繊維網あるいはパンチングメタル、エキスパンドメタル若しくは所定形状の凹み又は開口を規則的に有する合成樹脂板のいずれかからなる凹凸形成部材を最下位置にし、この凹凸形成部材上にシート状離型体の離型処理面を上面にして重ね合わせ、この上に前記発泡体ゴム組成物の未加硫ゴムシートの少なくとも一枚を重ね合わせ、つづいて残りの前記発泡体ゴム組成物の未加硫ゴムシートをその上に重ね合わせて積層した状態で、それらを一体的に加圧・加熱することにより前記発泡体ゴム組成物の未加硫ゴムシートを加硫するとともに発泡させたのち、前記凹凸形成部材およびシート状離型体をそれぞれ引き離すように発泡体ゴムシートから分離することにより一面に凹凸形状を形成して製造したことを特徴とする。
【0024】
請求項6に記載の発泡体ゴムシートは、従来のものに比べて非常に安価にしかも用途に応じて凹凸形状を簡単に変更することができ、多種多様の凹凸形状を備えることができ、凹凸形状が長期にわたり安定して保持される。しかも、凹凸模様として外観を引き立てるだけでなく、ゴムシートの色彩を異ならせることにより、凹凸模様の色彩が凹凸模様以外のシート面の色彩と異なる彩りになって一層際だつことができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる凹凸形成方法および同方法により製造される製品の実施の形態について実施例を挙げて説明する。
【0026】
【実施例1】
凹状の型を表面に有する長尺のゴム製型の製作に適用:
1) 公知のブチルゴム組成物を材料とし、複数のロール(カレンダーロール)により圧延して、幅1500mm×長さ50m×厚さ5mmの長尺ブチルゴムシートを製造する。
【0027】
2) ゴム製型の補強体を構成するポリエステル繊維からなる平織物(撚り470T×470T・組織密度100本/inch×100本/inch・上記長尺ブチルゴムシートと同サイズ)の上に、上記長尺ブチルゴムを重ね合わせる。この長尺ブチルゴムシート上に、離型体を構成する6,6ナイロン繊維からなる平織物(撚り470T×235T・組織密度128本/inch×90本/inch)を重ね合わせる。前記補強用平織物は、あらかじめ長尺ブチルゴムと接着させるためのRFL処理を施しておく。
【0028】
3) さらに、亜鉛メッキ鉄線製クリンプ金網(網目間隔12mm・線径2.30mm)を前記離型用平織物上に重ね合わせて配置し、図1に示すように、これらを一端部から長さ約10mの段プレス1の上下の熱盤2・3間で加圧・加熱することにより加硫したのち、焼き境い部分のプレス熱盤を冷却し、10mずつ順に送り焼きすることにより、50mのゴム製型を加硫する。この加硫後に、クリンプ金網を前記離型用平織物から引きはがし、つぎに離型用平織物を引きはがすことにより、表面に約12mm角の格子状で深さ2.3〜4.6mmの溝からなる凹部形状をもつ凹部表面ゴム製型を製作した。
【0029】
上記のようにして本実施例にかかるゴム製型を製作したが、このゴム製型を用いてゴムシート製品の表面に凹凸形状を以下の手順で形成した。
【0030】
4) 図2に示すように、SBRゴム組成物からなる長尺の未加硫ゴムシート21上に、ゴム製型22の凹部表面を重ね合わせた状態で、ロートキュア10の主ドラム11と加圧用無端スチールベルト12間に挿入し、ゴムシート21とゴム製型22を一体的に加圧・加熱することによりゴムシート21の表面に、ゴム製型22の表面凹部形状に対応する凸状型を転写して付けると同時に加硫した。それから、ゴム製型22をゴムシート21の表面からはぎ取り、ゴム製型22およびゴムシート20をそれぞれ巻取ロール16・17に巻き取ることにより表面凸形状のゴムシート製品20を得た。なお、ゴム製型22の表面には、あらかじめシリコーンオイルを塗布し、離型性を高めておいた。
【0031】
【実施例2】
凹状型を表面に有する長尺のゴム製型の製作に適用:
1) 公知のブチルゴム組成物を材料とし、複数のロール(カレンダーロール)により圧延して、幅1500mm×長さ50m×厚さ5mmの長尺ブチレンゴムシートを製造する。
【0032】
2) ゴム製型の補強体を構成するポリエステル繊維からなる平織物(撚り470T×470T・組織密度100本/inch×100本/inch・上記長尺ブチレンゴムシートと同サイズ)の上に、上記長尺ブチレンゴムを重ね合わせる。この長尺ブチレンゴムシート上に、離型体を構成する6,6ナイロン繊維からなる平織物(撚り470T×235T・組織密度128本/inch×90本/inch)を重ね合わせる。前記補強体用平織物は、あらかじめ長尺ブチレンゴムと接着させるためのRFL処理を施しておく。
【0033】
3) さらに、厚さ4mmで8mm角のパンチング穴が縦横に12mmピッチで穿設された長さ1mで幅1500mmの鋼板製パンチングメタルを、離型用平織物上に長さ方向に一連に突き合わせた状態で10枚配置し、図1に示すように、これらを一端部から長さ約10mの段プレス1の上下の熱盤2・3間で加圧・加熱することにより加硫したのち、焼き境い部分のプレス熱盤を冷却し、10mずつ順に送り焼きすることにより、50mのゴム製型を加硫する。この加硫後に、パンチングメタルを前記離型用平織物から引きはがし、つぎに離型用平織物を引きはがすことにより、表面に12mmピッチの約8mm角穴で深さ4.0mmの凹部形状をもつ凹部表面ゴム製型を製作した。
【0034】
【実施例3】
凹凸状の表面模様を形成した発泡ゴムシート製品の製造に適用:
1) SBRゴム組成物を主体とし、発泡剤および赤茶色の色素剤を混合した長尺の未加硫発泡ゴム組成物を、図示を省略したカレンダーロール機を用いて圧延し、厚さ5mm×幅1300mm×長さ50mの圧延ゴムシート32(図3)を製造した。同様に、SBRゴム組成物を主体とし、発泡剤および黒色の色素剤を混合した長尺の未加硫発泡ゴム組成物を、図示を省略したカレンダーロール機を用いて圧延し、厚さ5mm×幅1300mm×長さ50mの圧延ゴムシート31(図3)を製造した。
【0035】
2) 図3に示すように、凹凸形成部材にJIS G3553に規定される亜鉛メッキ鉄線クリンプ金網33(網目間隔10mm・線径0.8mm)を最下位置にし、このクリンプ金網33上に、シート状離型体としてのポリエステルフィルム34(ニッパ(株)製PET38×1M)のシリコーン処理面を上面にして重ね合わせたのち、このポリエステルフィルム34上に赤茶色の圧延ゴムシート32を重ね合わせ、さらに黒色の圧延ゴムシート31をその上に重ね合わせる。このように積層した状態で、図4に示すように連続加硫機であるロートキュア10の主ドラム11とエンドレススチールベルト12との間に、クリンプ金網33をスチールベルト12側にして挿入し、一体的に加圧・加熱することにより加硫するとともに二種類の圧延ゴムシート31・32を発泡させる。加硫後に、クリンプ金網33およびポリエステルフィルム34をそれぞれ引き離すように分離し、別個の巻取ロール16・18にそれぞれ巻き取ると同時に、発泡ゴムシート製品30を製品用巻取ロール17に巻き取る。このようにして、表面に凹凸形状を有する発泡ゴムシート製品30を得た。
【0036】
【実施例4】
凹凸状型を表面に有する長尺のゴム製型の製作および凹凸状の表面模様および裏面模様を有する発泡ゴムシート製品の製造に適用:
凹状の型を表面に有する長尺のゴム製型の製作に適用:
1) 公知のブチルゴム組成物を材料とし、複数のロール(カレンダーロール)により圧延して、幅1500mm×長さ50m×厚さ5mmの長尺ブチルゴムシートを製造する。
【0037】
2) ゴム製型の補強体を構成するポリエステル繊維からなる平織物(撚り470T×470T・組織密度100本/inch×100本/inch・上記長尺ブチルゴムシートと同サイズ)の上に、上記長尺ブチルゴムを重ね合わせる。この長尺ブチルゴムシート上に、離型体を構成する6,6ナイロン繊維からなる平織物(撚り470T×235T・組織密度128本/inch×90本/inch)を重ね合わせる。前記補強体用平織物は、あらかじめ長尺ブチルゴムシートと接着させるためのRFL処理を施しておく。
【0038】
3) さらに、JIS G3553に規定される亜鉛メッキ鉄線クリンプ金網(網目間隔12mm・線径2.30mm)を前記離型用平織物上に重ね合わせて配置し、図1に示すように、これらを一端部から長さ約10mの段プレス1の上下の熱盤2・3間で加圧・加熱することにより加硫したのち、焼き境い部分のプレス熱盤を冷却し、10mずつ順に送り焼きすることにより、50mのゴム製型を加硫する。この加硫後に、クリンプ金網を離型体の平織物から引きはがし、つぎに離型体の平織物を引きはがすことにより、表面に約12mm角の格子状で深さ4.0mmの溝をもつ表面凹凸形状のゴム製型35(図5)を製作した。
【0039】
4) SBRゴム組成物を主体とし、発泡剤および赤茶色の色素剤を混合した長尺の未加硫発泡ゴム組成物を、図示を省略したカレンダーロール機を用いて圧延し、厚さ5mm×幅1300mm×長さ50mの圧延ゴムシート32(図5)を製造した。同様に、SBRゴム組成物を主体とし、発泡剤および黒色の色素剤を混合した長尺の未加硫発泡ゴム組成物を、図示を省略したカレンダーロール機を用いて圧延し、厚さ5mm×幅1300mm×長さ50mの圧延ゴムシート31(図5)を製造した。
【0040】
5) 図5に示すように、凹凸形成部材にJIS G3554に規定される亜鉛メッキ鉄線製亀甲網33(網目間隔10mm・線径0.8mm)を最下位置にし、この亀甲金網33上に、離型体としてのポリエステルフィルム34(ニッパ(株)製PET38×1M)のシリコーン処理面を上面にし、この上に赤茶色の圧延ゴムシート32を重ね合わせ、さらに黒色の圧延ゴムシート31をその上に重ね合わせる。なお、上記のゴム製型35にはあらかじめシリコーンオイルを塗布しておき、離型性を高めておいた。
【0041】
6) このように積層した状態で、図6(a)に示すように、連続加硫機であるローキュア10の主ドラム11とエンドレススチールベルト12との間に、亀甲金網33をスチールベルト12側にしゴム製型35を主ドラム11側にして挿入し、一体的に加圧・加熱することにより加硫するとともに二種類の圧延ゴムシート31・32を発泡させる。加硫後に、図6(b)に示すように、ゴム製型35を圧延ゴムシート31の裏面側のポリエステルフィルム34から、ポリエステルフィルム34を圧延ゴムシート31から引き離すようにして巻取ロール16・20にそれぞれ巻き取って分離するとともに、亀甲金網33およびポリエステルフィルム34をそれぞれ引き離すように分離し、別個の巻取ロール18・19にそれぞれ巻き取ると同時に、発泡ゴムシート製品30を製品用巻取ロール17に巻き取る。このようにして、表面および裏面に凹凸形状をそれぞれ有する発泡ゴムシート製品30を得た。
【0042】
【比較例1】
比較例1として、従来の凹凸形成方法によるゴム製型の製作手順および同ゴム製型を用いたゴムシートの凹凸形成方法を以下に説明する。
【0043】
1) ゴム製I型の型形状を形成するための金属型を製作する。すなわち、厚さ10mm×00mm×長さ1400mmの鉄板の表面に、切削機により深さ5mmで縦横ともに12mmピッチの溝を切削して金属型51を製作した(図7(a))。同じ手順で、合計22枚の金属型を製作した。
【0044】
2) つぎに、公知のブチルゴム組成物により、厚さ5mm×幅1500mm×長さ50mの圧延したブチルゴムシート41を2本製造した。図1に示す長さ10mの段プレス機の下側熱盤上に、20枚の金属型を一連に連続して敷きつめた。この状態で、上下の熱盤とともに金属型51を所定温度まで加熱したのち、未加硫のブチルゴムシート41を金属型51の表面型上にセットし、さらにブチルゴムシート41上に補強体を構成するポリエステル繊維からなる平織物42(撚り470T×470T・組織密度100本/inch×100本/inch・ブチレンゴムシートと同サイズ)を重ね合わせ、熱盤間で加圧・加熱したのち、熱盤の焼き境え部分を冷却装置にて冷却して順に送り加硫することにより、長さ50mのゴム製I型43を製造した(図7(b))。
3) 上記2)の工程においてゴム製I型43を上記金属型51の代わりに使用する以外は同一にして、長さ50mのゴム製II型44を加硫することにより製造した(図7(c))。
【0045】
4) SBRゴム組成物からなる長尺の未加硫ゴムシート上に、ゴム製II型の凹部表面を重ね合わせた状態で、ロートキュアの主ドラムと加圧用無端スチールベルト間に挿入し、ゴムシートとゴム製II型を一体的に加圧・加熱することによりゴムシートの表面に、ゴム製型の表面凹部形状に対応する凸状型を転写して付けると同時に加硫した。それから、ゴム製II型をゴムシートの表面からはぎ取り、ゴム製II型およびゴムシートをそれぞれ巻取ロールに巻き取ることにより表面凸形状のゴムシート製品を得た。なお、上記ゴム製I型およびゴム製II型の表面には、あらかじめシリコーンオイルを塗布し、離型性を高めておいた。
【0046】
5) 上記の比較例1では、金属型の製作に長期間を要するとともに、製作費用が膨大で、この費用がゴムシートの製造費に反映されるため高コストになる。また、ゴムシートに形成する凸形状を変更する場合、金型段階で変更することになるため、費用は膨大で長期間を要するから、形状の変更は行ないにくい。
【0047】
上記に本発明に関する4つの実施例を示したが、本発明は下記のように実施することができる。
【0048】
▲1▼ 金網等の凹凸形成部材を用いる際にたとえばロートキュアで連続加硫する場合に、主ドラムに接する金網等の外側にもシート状離型体を配置して主ドラムへの傷付きを防止することができる。
【0049】
▲2▼ 上記実施例3では、発泡体ゴムシートの両面に凹凸形状を形成する際に、ゴム製型と金網を使用したが、両面に金網を使用したりあるいは両面にゴム製型を使用したりすることもできる。
【0050】
▲3▼ 上記実施例3・4において、発泡体ゴムシートに代えて非発泡のゴムシートを製造する場合にも同様に適用できる。
【0051】
▲4▼ 上記実施例は全てゴム組成物を用いたゴムシートの製造に関するものであるが、たとえば塩化ビニル樹脂のような熱可塑性エラストマーでは金網等と一体に重ね合わせて加圧・加熱した際に、熱可塑性エラストマーが軟化して金網等に対応する凹凸模様が形成されたのち、熱可塑性エラストマーが冷却され硬化することにより凹凸模様が長期間安定して保持される。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように、本発明にかかるシート材の凹凸形状形成方法と同方法により製造されるゴム製型および発泡体ゴムシートには、次のような優れた効果がある。
【0053】
▲1▼ 本発明は、シート状のエラストマー製品、特にゴム組成物の一面に比較的深い凹凸で規則的な各種凹凸形状を容易に形成でき、また、凹凸形状の変更も容易に行える。これにより、凹凸形状を有するエラストマー製品を安価に提供できる。
【0054】
▲2▼ 特に発泡ゴム組成物の表面に凹凸形状を形成するのに好適で、エラストマー製品に限らずゴム製型の製作にも適用でき、安価にかつ簡単に規則性を有する各種凹凸形状の形成を可能にする。
【0055】
▲3▼ 本発明にかかるゴム製型および発泡体ゴムシートは、従来のものに比べて凹凸形状を極めて安価に形成でき、形状の変更も容易なため、用途に応じて、たとえば幼児用遊技場床材や高齢者居住用床材の場合には滑り止め作用の高い凹凸形状を選択して形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用する段プレスの一例を示す一部を断面で表した斜視図である。
【図2】本発明で使用するロートキュアを用いたゴムシート製品(実施例1)の連続加硫工程を示す概略図である。
【図3】本発明の実施例3におけるクリンプ金網・ポリエステルフィルム・圧延ゴムシート・圧延ゴムシートを順に重ね合わせた状態を下側から示す平面図である。
【図4】本発明で使用するロートキュアを用いたゴムシート製品(実施例3)の連続加硫工程を示す概略図である。
【図5】本発明の実施例4におけるクリンプ金網・ポリエステルフィルム・圧延ゴムシート・圧延ゴムシート・ポリエステルフィルム・ゴム製型を順に重ね合わせた状態を下側から示す平面図である。
【図6】本発明で使用するロートキュアを用いたゴムシート製品(実施例4)の連続加硫工程を示す概略図で、図6(a)は入り口側を拡大して表し、図6(b)は出口側を表している。
【図7】図7(a)〜図7(c)は金属型と同一のゴム製II型を製作するための従来の一般的な手順を示す工程図である。
【符号の説明】
1 段プレス
2・3 熱盤
10 ロートキュア
11 主ドラム
12 エンドレススチールベルト
13〜15 ドラム
20・30 ゴムシート製品
21・31・32 圧延ゴムシート
22・33 金網
34 ポリエステルフィルム
35 ゴム製型
Claims (6)
- 熱可塑性エラストマーやゴム組成物などの加熱により軟化し且つ膨張する高分子材料からなるシート材の一面に、凹凸形成部材をシート状離型体を介在させて重ね合わせて配置し、これらを一体的に加圧・加熱したのち、前記凹凸形成部材および前記シート状離型体を前記シート材の一面側から引きはがすことにより分離してシート材に凹凸を形成する方法であって、
前記凹凸形成部材として、菱形金網、クリンプ金網、亀甲金網、織金網、溶接金網、鉄筋格子などの各種形状の金網、パンチングメタル、エキスパンドメタル、天然繊維網又は合成繊維網、所定形状の凹み又は開口を規則的に有する合成樹脂板のうちから選択されるところの、加圧・加熱下で変形しないものを択一的に使用するとともに、
前記シート状離型体として、離型フィルム、離型紙、離型処理を施した布から選択されるところの、屈曲変形自在で耐加熱性・耐加圧性をもつもののうちから選択されるものを択一的に使用することを特徴とするシート材の凹凸形成方法。 - 前記高分子材料製シート材として、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブチルゴム、アクリルニトリルブタジエンゴム、エチレン−プロピレンターポリマーから選択される少なくとも一つのジエン系ポリマーからなるゴムを用いた長尺のゴム組成物を圧延した未加硫ゴムシートを使用する請求項1記載のシート材の凹凸形成方法。
- ゴム組成物を圧延して未加硫ゴムシートを製造し、ゴム製型の補強体を構成する合成樹脂繊維からなる平織物の上に、前記ゴムシートを重ね合わせ、このゴムシート上にシート状離型体を介してあるいは直接に、各種形状の金網又は天然繊維網・合成繊維網あるいはパンチングメタル若しくは所定形状の凹み又は開口を規則的に有する合成樹脂板のいずれかからなる凹凸形成部材を配置し、それらを一体的に積層した状態で加圧・加熱することにより加硫したのち、前記凹凸形成部材を前記ゴムシートから引きはがすことによりゴム製型に凹凸形状を形成することを特徴とするシート材の凹凸形成方法。
- ゴム組成物を主体とし、発泡剤および着色剤を混合した発泡体ゴム組成物を圧延して複数枚の未加硫ゴムシートをそれぞれ製造し、
各種形状の金網又は天然繊維網・合成繊維網あるいはパンチングメタル、エキスパンドメタル若しくは所定形状の凹み又は開口を規則的に有する合成樹脂板のいずれかからなる凹凸形成部材を最下位置にし、この凹凸形成部材上にシート状離型体の離型処理面を上面にして重ね合わせ、この上に前記発泡体ゴム組成物の未加硫ゴムシートの少なくとも一枚を重ね合わせ、つづいて残りの前記発泡体ゴム組成物の未加硫ゴムシートをその上に重ね合わせて積層した状態で、それらを一体的に加圧・加熱することにより前記発泡体ゴム組成物の未加硫ゴムシートを加硫するとともに発泡させたのち、前記凹凸形成部材およびシート状離型体をそれぞれ引き離すように発泡体ゴムシートから分離することにより一面に凹凸形状を形成することを特徴とするシート材の凹凸形成方法。 - ゴム組成物を圧延して未加硫ゴムシートを製造し、ゴム製型の補強体を構成する合成樹脂繊維からなる平織物の上に、前記ゴムシートを重ね合わせ、このゴムシート上にシート状離型体を介してあるいは直接に、各種形状の金網又は天然繊維網・合成繊維網あるいはパンチングメタル、エキスパンドメタル若しくは所定形状の凹み又は開口を規則的に有する合成樹脂板のいずれかからなる凹凸形成部材を配置し、それらを一体的に積層した状態で加圧・加熱することにより加硫したのち、前記凹凸形成部材を前記ゴムシートから引きはがすことにより一面に凹凸形状を形成して製造したことを特徴とするシート状ゴム製型。
- ゴム組成物を主体とし、発泡剤および着色剤を混合した発泡体ゴム組成物を圧延して複数枚の未加硫ゴムシートをそれぞれ製造し、
各種形状の金網又は天然繊維網・合成繊維網あるいはパンチングメタル、エキスパンドメタル若しくは所定形状の凹み又は開口を規則的に有する合成樹脂板のいずれかからなる凹凸形成部材を最下位置にし、この凹凸形成部材上にシート状離型体の離型処理面を上面にして重ね合わせ、この上に前記発泡体ゴム組成物の未加硫ゴムシートの少なくとも一枚を重ね合わせ、つづいて残りの前記発泡体ゴム組成物の未加硫ゴムシートをその上に重ね合わせて積層した状態で、それらを一体的に加圧・加熱することにより前記発泡体ゴム組成物の未加硫ゴムシートを加硫するとともに発泡させたのち、前記凹凸形成部材およびシート状離型体をそれぞれ引き離すように発泡体ゴムシートから分離することにより一面に凹凸形状を形成して製造したことを特徴とする発泡体ゴムシート。
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JP2010058301A (ja) * | 2008-09-02 | 2010-03-18 | Isamu Kuremoto | 皮革様シートへの型押し加工方法及びこれによって得られる皮革様シート |
CN102029717A (zh) * | 2010-10-13 | 2011-04-27 | 北京化工大学 | 一种硫化胶加工装置及方法 |
JP2014091294A (ja) * | 2012-11-06 | 2014-05-19 | Shinkoo Mold:Kk | ゴム表面に凹凸を形成する方法 |
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