JP2004351714A - 車両用内装部材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】成形型および取付部品等を共通化する。
【解決手段】基材20と、表皮材22と、この表皮材24の表面に貼着される化粧材24とからなる車両用内装部材11を製造するに際し、予め化粧材24と略同一の厚みを有する剥離材26を表皮材22の表面に剥離可能に被着する。そして、剥離材26が表面に貼着された表皮材22と基材20とを型成形する。次いで、表皮材22から剥離材26を剥離し、これにより露出した該表皮材22の表面に化粧材24を貼着する。
【選択図】 図5
【解決手段】基材20と、表皮材22と、この表皮材24の表面に貼着される化粧材24とからなる車両用内装部材11を製造するに際し、予め化粧材24と略同一の厚みを有する剥離材26を表皮材22の表面に剥離可能に被着する。そして、剥離材26が表面に貼着された表皮材22と基材20とを型成形する。次いで、表皮材22から剥離材26を剥離し、これにより露出した該表皮材22の表面に化粧材24を貼着する。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両用内装部材の製造方法に関し、更に詳細には、少なくとも基材と、表皮材と、この表皮材の表面に貼着される化粧材とからなる複層構造の車両用内装部材の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
乗用車等の車両における乗員室内には、インストルメントパネル、フロアコンソール、ドアパネル等の各種車両用内装部材が設置されている。このうち乗員室の前方に設置されるインストルメントパネルは、図8に例示するように、車幅方向に延在する比較的大型の内装部材であって、各種車載装置や取付部品等の設置用基体としての機能を有しており、スピードメータや各種警告灯等をユニット化した計器盤を運転席側に設け、小間物等を収納するグローブボックスを助手席側に設けると共に、エアコンユニットの空調操作パネルやオーディオユニット等をセンターコンソール部に設置する形態のものが多い。そして前記取付部品の一例として、前記インストルメントパネル10には、図示しないエアコンユニットから送出される調温空気を乗員室内へ吹出案内する複数のエアアウトレット12が設置されている。このエアアウトレット12は、図9に示すように、各配設位置に対応して前記インストルメントパネル10に貫設された各取付開口部14に挿通して取付けられ、該インストルメントパネル10の裏側で該エアアウトレット12とエアコンユニットとが図示しない空気ダクトで連通接続されている。
【0003】
また、前記インストルメントパネル10は、合成樹脂製の基材20と、この基材20に被着して該インストルメントパネル10の意匠面をなす表皮材21と、前記基材20および表皮材21の間に介在させたウレタンフォーム等の発泡体28とから構成されている(図9参照)。この複層タイプのインストルメントパネル10は、前記基材20と表皮材21との間に弾力性を有する発泡体28を介在させることで、質感や触感の向上および衝撃吸収等を図り得る利点があるので多くの車両で採用されている。
【0004】
また前記インストルメントパネル10は、乗員室前方において略全幅に亘って延在する大型の車両用内装部材であるから装飾効果を高める機能をも有しており、意匠形状,デザイン等が充分に検討されると共にその質感向上が重要なポイントとなっている。従って、表面に適宜「シボ」加工等の所要の模様を付して成形して、意匠面として利用し得る表皮材21を用いることで、質感向上が図られている。また、前記表皮材21の表面に別の樹脂シート,合成皮革,ファブリック,本革等の化粧材24を貼着することで、更に質感を向上させて高級感を演出したインストルメントパネルも採用されている。このように、前記表皮材21の表面に化粧材24を貼着した場合、同一の形状の取付部品等を流用しつつも、所謂高級仕様の車両用内装部材とすることができ、同一の車種において、前述した表皮材21が露出する所謂一般仕様の車両用内装部材と差別化を図るようになっている。なお、インストルメントパネルに関連する技術は、例えば特許文献1に開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2003−80972号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記表皮材21に化粧材24を貼着したインストルメントパネルは、該表皮材21自体が意匠面となっているインストルメントパネル10と比較して、該化粧材24の厚さ分だけ仕上がり寸法が大きくなる(図9の2点鎖線)。例えば前記エアアウトレット12の場合には、前記取付開口部14の開口領域が化粧材24の厚みに相当する分だけ狭くなるため、該エアアウトレット12の外部輪郭サイズが、該取付開口部14より相対的に大きくなり、適切な取付が不可能となる問題があった。従って、前記各種車載装置や取付部品等は、前記化粧材24の厚さを勘案したサイズのものを別途用意する必要があった。しかしながら、複数の取付部品等を備えることは、コストの増加に繋がってしまう問題が指摘される。
【0007】
一方、前記化粧材24を貼着後のインストルメントパネルの仕上がり寸法を、前記表皮材21が意匠面をなすインストルメントパネル10と同一寸法に設定すると、前記取付部品等を共通化することができる。しかしながら、前記化粧材24の貼付け厚さ分だけ寸法を小さく設定した表皮材と、通常の表皮材21との2種類の表皮材を用意する必要がある。このため、表皮材の成形型やウレタンフォーム等を発泡充填する際の発泡成形型を複数用意する必要があり、これら複数の成形型を備えることによるコストの増加を招いてしまう難点があった。
【0008】
【発明の目的】
この発明は、従来の技術に係る車両用内装部材の製造方法に内在する前記問題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、表皮材の表面に化粧材を貼着させる車両用内装部材を製造するに際し、表皮材が意匠面をなす車両用内装部材と、成形型および取付部品等を共通化してコストを低減し得る車両用内装部材の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を克服し、所定の目的を達成するため本発明に係る車両用内装部材の製造方法は、
少なくとも基材と、表皮材と、この表皮材の表面に貼着される化粧材とからなる車両用内装部材を製造するに際し、
前記表皮材の表面に前記化粧材を貼着するに先立って、該化粧材と略同一の厚みを有する剥離材を該表皮材の表面に剥離可能に被着する工程と、
前記剥離材が表面に被着された表皮材を前記基材に接合させる工程と、
前記表皮材から前記剥離材を剥離し、これにより露出した該表皮材の表面に前記化粧材を貼着する工程とからなることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る車両用内装部材の製造方法につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。ここで、インストルメントパネル、フロアコンソール、ドアパネル等の車両用内装部材の中から、一例としてインストルメントパネルを挙げ、このインストルメントパネルを製造する際について説明する。なお、説明の便宜上、図8または図9に示したインストルメントパネルの構成要素と同一の要素については、同一の符号を使用して詳細な説明は省略する。
【0011】
図1に示すように、実施例のインストルメントパネル11は、このインストルメントパネル11の基体をなす基材20と、該インストルメントパネル11の意匠形状をなす表皮材22と、この基材20と表皮材22との間に充填されたウレタンフォーム等からなる発泡体28と、該表皮材22の表面に貼着され、該インストルメントパネル11の意匠面をなす本革等の化粧材24とから構成される複層構造の部材である。前記インストルメントパネル11には、エアアウトレット12の各配設位置に対応して前記取付開口部14が貫設されている。
【0012】
前記インストルメントパネル11は、図2に示すように、前記基材20を成形する基材形成工程S1と、表皮材22および剥離材26を重ね合わせた状態で一体的に成形すると同時に、剥離材26を表皮材22に被着させる表皮材形成工程S2と、基材形成工程S1から得られた基材20および表皮材形成工程S2から得られた表皮材22の間に発泡体28を充填する基体形成工程S3との各工程により、先ず該インストルメントパネル11のパネル基体30が形成される(図5(a)参照)。次いで、化粧材形成工程S4、すなわち前記パネル基体30における表皮材22の表面からの剥離材26を剥離する剥離工程S4aと、これにより露出した表皮材22に化粧材24を貼着する貼着工程S4bとを経ることで製造作業が完了するようになっている。各工程について、以下に具体的に説明する。
【0013】
前記基材形成工程S1は、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂素材を、例えば図示しないインジェクション成形型を利用して一体的にインジェクション成形することで、前記インストルメントパネル11の意匠形状を前提とした形状で、該インストルメントパネル11の基体をなす所要の剛性を備えた基材20を得る工程である。そして、得られた前記基材20には、エアアウトレット12等の取付部品の配設位置に対応する部位に、取付開口部14が開設されるよう設定されている。
【0014】
前記表皮材形成工程S2は、前記基材形成工程S1と独立して別途進行され、前記インストルメントパネル11の意匠形状に表皮材22および剥離材26を重ね合わせた状態で一体的に成形すると同時に、剥離材26を表皮材22に被着させる工程である。前記剥離材26は、後述する貼着工程S4aで貼着される前記化粧材24の厚さと略同一厚さに設定され、前記表皮材22から剥離可能となっている。ちなみに、前記表皮材22および剥離材26は、後述する如く、熱可塑性合成樹脂のシート材32,36を真空成形することで得られる。
【0015】
すなわち表皮材形成工程S2は、図3に示すように、2枚のシート材32,36(便宜上、シート材32を「第1シート材」、シート材36を「第2シート材」と云う)を重ね合わせ、これら夫々の第1シート材32および第2シート材36を、真空吸引状態にある真空成形型40の成形面40aに対して、適宜の位置に適宜数の通孔34が貫設された第1シート材32の側から吸引密着させる。これにより、一方の内側に位置する第1シート材32が前記表皮材22として成形されると共に、他方の外側に位置する第2シート材36が、該表皮材22の表面に被着した状態で前記剥離材26として成形される。
【0016】
より具体的には、前記第2シート材36と、適宜に複数の通孔34が貫設された第1シート材32とを重ね合わせてクランプ部材50,50で把持する。このクランプ部材50,50で把持した両シート材32,36を図示しないヒータ等の熱源で加熱して軟化させた状態で真空成形型40に位置決めセットし、該真空成形型40の内部空間42に空気導通管46を介して接続した空気圧調整源48を運転して空気を吸引することにより、両シート材32,36を真空成形型40の成形面40aに密着させ、その後に冷却して所定形状に成形するものである。このとき、前記両シート材32,36は、前記通孔34を備えた第1シート材32が前記真空成形型40の成形面40aに被着するようセットされる。
【0017】
すなわち、前記真空成形型40の成形面40aは、外部と内部空間42とを連通する複数個の空気流通孔44が適宜位置に開設してあり、前記空気圧調整源48を運転して内部空間42内に適宜の負圧を形成することにより、第1シート材32と成形面40aとの間に介在する空気が各空気流通孔44を介して内部空間16内へ吸引され、この際の真空圧を利用して該第1シート材32を成形面40aに好適に密着させるようになっている。そして、前記第1シート材32には、重ね合わせて把持された第2シート材36に連通する複数個の通孔34が適宜位置に貫設されているため、前記空気圧調整源48を運転して内部空間42内に適宜の負圧を形成することにより、該第1シート材32と第2シート材36との間に介在する空気が各通孔34を介して内部空間42内へ吸引される。この際の真空圧を利用して第2シート材36が第1シート材32と伴に真空成形型40の成型面40aに押付けられ、両シート材32,36に該真空成形型40の形状が転写される。
【0018】
内側に位置している第1シート材32は、表皮材22として成形され、外側の第2シート材36は剥離材36として成形される。前記両シート材32,36を所定形状に真空成形して得られた表皮材22および剥離材26は、インストルメントパネル11の意匠形状を呈する複雑な形状のため、双方が係合状態となって該表皮材22の表面に剥離材26が被着して一体的になっている。また、真空成形された前記第2シート材36は、成形完了して剥離材26となった際に、化粧材24の厚さと略同一厚さになっている。そして、前記剥離材26が被着された表皮材22は、前記空気圧調整源48から内部空間42へ空気を送り込んで該空間42内に適宜の正圧を形成することにより、この内部空間42内の空気が各空気流通孔44から噴出し、この際の噴出圧を利用して真空成形型40の成形面40aから剥離される。そして、前記剥離材26が被着された状態で形成された表皮材22において、前記基材20と同様にエアアウトレット12等の各取付部品の配設位置に対応する部位を、後工程においてカッタ等により切除することで、取付開口部14に対応する開口部が開設される。
【0019】
なお、実施例では雄型の真空成形型40で真空成形する場合について説明したが、雌型の真空成形型で成形する際は、第2シート材36に通孔34が貫設され、該第2シート材36が前記真空成形型の成形面に被着するようセットされる。また、前記表皮材22の意匠形状が単純で、該表皮材22と剥離材26との被着状態が好適に維持できない場合は、少なくとも基体形成工程S3で両材22,26が分離しない程度の緩い接着等の手段により、これらを被着するようにしてもよい。すなわち、前記表皮材22の表面への剥離材26の被着方法は、次工程の基体形成工程S3において、被着状態が維持されると共に、剥離工程S4aで好適に該表皮材22の表面から剥離材26を剥離し得る方法であればよい。
【0020】
前述した基材形成工程S1で成形された基材20および表皮材形成工程S2で成形された剥離材26が被着された表皮材22は、前記基体形成工程S3において、ウレタンフォームからなる発泡体28を間に充填させることで一体的に型成形される。この基体形成工程S3で使用される発泡成形型52は、図4(a)に示すように、所要の雄形形状を呈するコア55を突設した上型54と、対応の雌形形状を呈するキャビテイ57を凹設した下型56とから構成されている。成形に先立ち上型54は下型56に対して開放状態に保持され、前記基材20は上型54のコア55にセットされると共に、前記剥離材26が被着された表皮材22は、該剥離材26側を下型56のキャビテイ57に密着させた状態でセットされる。なお、前記基材20および表皮材22を夫々セットした状態で発泡成形型52を型閉めした際に、基材20および表皮材22の間には所要の発泡空間53が形成され、この発泡空間53の厚み寸法は発泡体28の肉厚となるよう設定されている(図4(b)参照)。
【0021】
前記発泡成形型52の型閉めに先立ち、前記下型56にセットした前記表皮材22の上面(裏面)に所要量のウレタン原液を注入した後、該発泡成形型52を型閉めして所要時間保持することで、該基材20と表皮材22との間にウレタンフォームからなる発泡体28が発泡充填される。これにより、発泡硬化した発泡体28を介して基材20に対して表皮材22が接合され、該表皮材22の表面に剥離材26が被着した複層の一体成形品としてのパネル基体30が得られる。
【0022】
化粧材形成工程S4は、前記表皮材22の表面から前記剥離材26を剥ぎ取る剥離工程S4aと、この剥離工程S4aにより露出した表皮材22の表面に化粧材24を貼着する貼着工程S4bとから構成されている。先ず、前記基体形成工程S3で得られたパネル基体30における表皮材22の表面に被着している剥離材26を剥ぎ取る(図5(a)参照)。ここで、前記表皮材22は、前記基体形成工程S3において形成された発泡体28に接着されている。これに対し、前記剥離材26は、前記表皮材形成工程S2において、前記表皮材22と一体的に成形したものの、該表皮材22に対しては、剥離可能に被着されているため、表皮材22の表面からの剥離が許容される。
【0023】
前記剥離材26を剥ぎ取って露出させた表皮材22に対し、その表面に接着剤等を所要の手段で塗布した後、前記化粧材24を貼付ける貼付工程S4bを経ることで、該化粧材24が意匠面を形成する複層のインストルメントパネル11が得られる(図5(b),(c)参照)。図示していないが前記化粧材24は、予め所要の意匠形状に成形しておくことで、前記貼付工程S4bにおいて貼付け作業を好適に実施できる。なお、本実施例の化粧材24は、本革の他に、別の樹脂シート、合成皮革、ファブリック等を採用することも可能である。
【0024】
しかる後に、前述した各工程S1〜S4を経て製造された前記インストルメントパネル11にエアアウトレット12等の取付部品を取付ける。実施例では、図6に例示するように、前記インストルメントパネル11に貫設された取付開口部14に、基材20側からエアアウトレット12を挿通し、該エアアウトレット12の側方に延出して形成された取付片16の図示しない孔部にビス18を挿通し、前記インストルメントパネル11の基材20に一体的に成形された取付部20aに螺合させることで、エアアウトレット12がインストルメントパネル11に固定される。
【0025】
このように、本実施例の車両用内装部材の製造方法では、前記表皮材形成工程S2において、予め前記化粧材24の厚さと略同一厚さで剥離可能な剥離材26を表皮材22に被着することで、表皮材23自体が露出して意匠面をなすインストルメントパネル13(図7参照)に用いられる表皮材23と外形形状が同一となる。従って、基体形成工程S3において、表皮材23が意匠面をなすインストルメントパネル13と同じ発泡成形型52を用いることが可能であり、発泡成形型52の共通化を図ることができる。
【0026】
また、前記表皮材形成工程S2において、予め前記化粧材24の厚さと略同一厚さで剥離可能な剥離材26を表皮材22に被着させ、前記化粧材形成工程S4で該剥離材26を剥がした後に化粧材24を貼着することで、前記表皮材23が意匠面を形成するインストルメントパネル13の仕上がり寸法T2(図7参照)と、前記表皮材22に化粧材24を貼着したインストルメントパネル11の仕上がり寸法T1(図6参照)とを略同一寸法とすることができる。更に、前記化粧材24の有無にかかわらず、エアアウトレット12の取付開口部14の寸法D1,D2も略同一とすることができる。すなわち、前記表皮材23が意匠面を形成するインストルメントパネル13および化粧材24を表皮材22に貼着するインストルメントパネル11について、同一の成形型で製造されたものであっても、同一の各種装置やエアアウトレット12等の取付部品を取付けることができる。
【0027】
実施例の表皮材成形工程S2において、重ね合わせた第1および第2シート材32,36の真空成形型40に当接する側の前記第1シート材32に通孔34が開設されている。すなわち、第1および第2シート材32,36を重ね合わせた状態であっても、通孔34を介して外側の第2シート材36を真空吸引して、第1および第2シート材32,36を一体的に真空成形をすることができ、前記表皮材22の成形と同時に、該表皮材22の表面に剥離材26を被着することが可能である。
【0028】
また、前記表皮材22に被着させる剥離材26として熱可塑性樹脂を採用した場合には、再利用することが可能である。
【0029】
なお、前記インストルメントパネル11は、前記基材20と表皮材22との間に発泡体28を介在させて接合したものが用いられたが、これに限定されず、基材20に直接表皮材22を貼着することで接合させた構成や、表皮材22をセットした成形型に樹脂を注入して、この樹脂が基材20として成形されることで基材20を表皮材22と一体的に型成形した構成等のものにも採用することができる。また、前記表皮材形成工程S2において、前記表皮材22と剥離材26とを別々に成形した後、該表皮材22の表面に剥離材26を被着してもよい。この場合、前記表皮材22や剥離材26の成形は、真空成形ではなく、パウダースラッシュ成形等の別の成形方法を取ることができる。
【0030】
【発明の効果】
以上に説明した如く、本発明に係る車両用内装部材の製造方法によれば、表皮材の表面に化粧材を貼着するに先立って、化粧材と略同一の厚みを有する剥離材を表皮材の表面に剥離可能に被着することで、基材と表皮材との接合にあたって、成形型を共通化できると共に、仕上がり寸法が表皮材自体が意匠面をなす車両用内装部材と同一となり、各種車載装置や取付部品等も共通化することができる利点がある。従って、前記各種車載装置や取付部品等および発泡成形型を、化粧材の貼付けの有無により同一車種に対して2種類用意する必要が無くなり、コストの低減することが可能となる等の有益な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な実施例に係る車両用内装部材の製造方法により製造されたインストルメントパネルの部分斜視図である。
【図2】実施例に係る車両用内装部材の製造方法の工程図である。
【図3】実施例の表皮成形工程に用いられる真空成形型の断面図である。
【図4】実施例の発泡成形工程に用いられる発泡成形型の断面図である。
【図5】実施例の剥離工程および貼付工程での状態を示す断面図である。
【図6】実施例の車両用内装部材の製造方法を用いて製造されたインストルメントパネルに取付部品を組付けた状態を示す断面図である。
【図7】実施例と同一の成形型を用いて製造された表皮材が意匠面を形成するインストルメントパネルに実施例と同一の取付部品を組付けた状態を示す断面図である。
【図8】インストルメントパネルの概略斜視図である。
【図9】インストルメントパネルに取付部品を組付けた状態を示す断面図である。
【符号の説明】
11 インストルメントパネル(車両用内装部材)
20 基材
22 表皮材
24 化粧材
32 第1シート材(シート材)
36 第2シート材(シート材)
S2 表皮材形成工程(工程)
S3 基体形成工程(工程)
S4 化粧材形成工程(工程)
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両用内装部材の製造方法に関し、更に詳細には、少なくとも基材と、表皮材と、この表皮材の表面に貼着される化粧材とからなる複層構造の車両用内装部材の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
乗用車等の車両における乗員室内には、インストルメントパネル、フロアコンソール、ドアパネル等の各種車両用内装部材が設置されている。このうち乗員室の前方に設置されるインストルメントパネルは、図8に例示するように、車幅方向に延在する比較的大型の内装部材であって、各種車載装置や取付部品等の設置用基体としての機能を有しており、スピードメータや各種警告灯等をユニット化した計器盤を運転席側に設け、小間物等を収納するグローブボックスを助手席側に設けると共に、エアコンユニットの空調操作パネルやオーディオユニット等をセンターコンソール部に設置する形態のものが多い。そして前記取付部品の一例として、前記インストルメントパネル10には、図示しないエアコンユニットから送出される調温空気を乗員室内へ吹出案内する複数のエアアウトレット12が設置されている。このエアアウトレット12は、図9に示すように、各配設位置に対応して前記インストルメントパネル10に貫設された各取付開口部14に挿通して取付けられ、該インストルメントパネル10の裏側で該エアアウトレット12とエアコンユニットとが図示しない空気ダクトで連通接続されている。
【0003】
また、前記インストルメントパネル10は、合成樹脂製の基材20と、この基材20に被着して該インストルメントパネル10の意匠面をなす表皮材21と、前記基材20および表皮材21の間に介在させたウレタンフォーム等の発泡体28とから構成されている(図9参照)。この複層タイプのインストルメントパネル10は、前記基材20と表皮材21との間に弾力性を有する発泡体28を介在させることで、質感や触感の向上および衝撃吸収等を図り得る利点があるので多くの車両で採用されている。
【0004】
また前記インストルメントパネル10は、乗員室前方において略全幅に亘って延在する大型の車両用内装部材であるから装飾効果を高める機能をも有しており、意匠形状,デザイン等が充分に検討されると共にその質感向上が重要なポイントとなっている。従って、表面に適宜「シボ」加工等の所要の模様を付して成形して、意匠面として利用し得る表皮材21を用いることで、質感向上が図られている。また、前記表皮材21の表面に別の樹脂シート,合成皮革,ファブリック,本革等の化粧材24を貼着することで、更に質感を向上させて高級感を演出したインストルメントパネルも採用されている。このように、前記表皮材21の表面に化粧材24を貼着した場合、同一の形状の取付部品等を流用しつつも、所謂高級仕様の車両用内装部材とすることができ、同一の車種において、前述した表皮材21が露出する所謂一般仕様の車両用内装部材と差別化を図るようになっている。なお、インストルメントパネルに関連する技術は、例えば特許文献1に開示されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2003−80972号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記表皮材21に化粧材24を貼着したインストルメントパネルは、該表皮材21自体が意匠面となっているインストルメントパネル10と比較して、該化粧材24の厚さ分だけ仕上がり寸法が大きくなる(図9の2点鎖線)。例えば前記エアアウトレット12の場合には、前記取付開口部14の開口領域が化粧材24の厚みに相当する分だけ狭くなるため、該エアアウトレット12の外部輪郭サイズが、該取付開口部14より相対的に大きくなり、適切な取付が不可能となる問題があった。従って、前記各種車載装置や取付部品等は、前記化粧材24の厚さを勘案したサイズのものを別途用意する必要があった。しかしながら、複数の取付部品等を備えることは、コストの増加に繋がってしまう問題が指摘される。
【0007】
一方、前記化粧材24を貼着後のインストルメントパネルの仕上がり寸法を、前記表皮材21が意匠面をなすインストルメントパネル10と同一寸法に設定すると、前記取付部品等を共通化することができる。しかしながら、前記化粧材24の貼付け厚さ分だけ寸法を小さく設定した表皮材と、通常の表皮材21との2種類の表皮材を用意する必要がある。このため、表皮材の成形型やウレタンフォーム等を発泡充填する際の発泡成形型を複数用意する必要があり、これら複数の成形型を備えることによるコストの増加を招いてしまう難点があった。
【0008】
【発明の目的】
この発明は、従来の技術に係る車両用内装部材の製造方法に内在する前記問題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、表皮材の表面に化粧材を貼着させる車両用内装部材を製造するに際し、表皮材が意匠面をなす車両用内装部材と、成形型および取付部品等を共通化してコストを低減し得る車両用内装部材の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を克服し、所定の目的を達成するため本発明に係る車両用内装部材の製造方法は、
少なくとも基材と、表皮材と、この表皮材の表面に貼着される化粧材とからなる車両用内装部材を製造するに際し、
前記表皮材の表面に前記化粧材を貼着するに先立って、該化粧材と略同一の厚みを有する剥離材を該表皮材の表面に剥離可能に被着する工程と、
前記剥離材が表面に被着された表皮材を前記基材に接合させる工程と、
前記表皮材から前記剥離材を剥離し、これにより露出した該表皮材の表面に前記化粧材を貼着する工程とからなることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る車両用内装部材の製造方法につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。ここで、インストルメントパネル、フロアコンソール、ドアパネル等の車両用内装部材の中から、一例としてインストルメントパネルを挙げ、このインストルメントパネルを製造する際について説明する。なお、説明の便宜上、図8または図9に示したインストルメントパネルの構成要素と同一の要素については、同一の符号を使用して詳細な説明は省略する。
【0011】
図1に示すように、実施例のインストルメントパネル11は、このインストルメントパネル11の基体をなす基材20と、該インストルメントパネル11の意匠形状をなす表皮材22と、この基材20と表皮材22との間に充填されたウレタンフォーム等からなる発泡体28と、該表皮材22の表面に貼着され、該インストルメントパネル11の意匠面をなす本革等の化粧材24とから構成される複層構造の部材である。前記インストルメントパネル11には、エアアウトレット12の各配設位置に対応して前記取付開口部14が貫設されている。
【0012】
前記インストルメントパネル11は、図2に示すように、前記基材20を成形する基材形成工程S1と、表皮材22および剥離材26を重ね合わせた状態で一体的に成形すると同時に、剥離材26を表皮材22に被着させる表皮材形成工程S2と、基材形成工程S1から得られた基材20および表皮材形成工程S2から得られた表皮材22の間に発泡体28を充填する基体形成工程S3との各工程により、先ず該インストルメントパネル11のパネル基体30が形成される(図5(a)参照)。次いで、化粧材形成工程S4、すなわち前記パネル基体30における表皮材22の表面からの剥離材26を剥離する剥離工程S4aと、これにより露出した表皮材22に化粧材24を貼着する貼着工程S4bとを経ることで製造作業が完了するようになっている。各工程について、以下に具体的に説明する。
【0013】
前記基材形成工程S1は、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂素材を、例えば図示しないインジェクション成形型を利用して一体的にインジェクション成形することで、前記インストルメントパネル11の意匠形状を前提とした形状で、該インストルメントパネル11の基体をなす所要の剛性を備えた基材20を得る工程である。そして、得られた前記基材20には、エアアウトレット12等の取付部品の配設位置に対応する部位に、取付開口部14が開設されるよう設定されている。
【0014】
前記表皮材形成工程S2は、前記基材形成工程S1と独立して別途進行され、前記インストルメントパネル11の意匠形状に表皮材22および剥離材26を重ね合わせた状態で一体的に成形すると同時に、剥離材26を表皮材22に被着させる工程である。前記剥離材26は、後述する貼着工程S4aで貼着される前記化粧材24の厚さと略同一厚さに設定され、前記表皮材22から剥離可能となっている。ちなみに、前記表皮材22および剥離材26は、後述する如く、熱可塑性合成樹脂のシート材32,36を真空成形することで得られる。
【0015】
すなわち表皮材形成工程S2は、図3に示すように、2枚のシート材32,36(便宜上、シート材32を「第1シート材」、シート材36を「第2シート材」と云う)を重ね合わせ、これら夫々の第1シート材32および第2シート材36を、真空吸引状態にある真空成形型40の成形面40aに対して、適宜の位置に適宜数の通孔34が貫設された第1シート材32の側から吸引密着させる。これにより、一方の内側に位置する第1シート材32が前記表皮材22として成形されると共に、他方の外側に位置する第2シート材36が、該表皮材22の表面に被着した状態で前記剥離材26として成形される。
【0016】
より具体的には、前記第2シート材36と、適宜に複数の通孔34が貫設された第1シート材32とを重ね合わせてクランプ部材50,50で把持する。このクランプ部材50,50で把持した両シート材32,36を図示しないヒータ等の熱源で加熱して軟化させた状態で真空成形型40に位置決めセットし、該真空成形型40の内部空間42に空気導通管46を介して接続した空気圧調整源48を運転して空気を吸引することにより、両シート材32,36を真空成形型40の成形面40aに密着させ、その後に冷却して所定形状に成形するものである。このとき、前記両シート材32,36は、前記通孔34を備えた第1シート材32が前記真空成形型40の成形面40aに被着するようセットされる。
【0017】
すなわち、前記真空成形型40の成形面40aは、外部と内部空間42とを連通する複数個の空気流通孔44が適宜位置に開設してあり、前記空気圧調整源48を運転して内部空間42内に適宜の負圧を形成することにより、第1シート材32と成形面40aとの間に介在する空気が各空気流通孔44を介して内部空間16内へ吸引され、この際の真空圧を利用して該第1シート材32を成形面40aに好適に密着させるようになっている。そして、前記第1シート材32には、重ね合わせて把持された第2シート材36に連通する複数個の通孔34が適宜位置に貫設されているため、前記空気圧調整源48を運転して内部空間42内に適宜の負圧を形成することにより、該第1シート材32と第2シート材36との間に介在する空気が各通孔34を介して内部空間42内へ吸引される。この際の真空圧を利用して第2シート材36が第1シート材32と伴に真空成形型40の成型面40aに押付けられ、両シート材32,36に該真空成形型40の形状が転写される。
【0018】
内側に位置している第1シート材32は、表皮材22として成形され、外側の第2シート材36は剥離材36として成形される。前記両シート材32,36を所定形状に真空成形して得られた表皮材22および剥離材26は、インストルメントパネル11の意匠形状を呈する複雑な形状のため、双方が係合状態となって該表皮材22の表面に剥離材26が被着して一体的になっている。また、真空成形された前記第2シート材36は、成形完了して剥離材26となった際に、化粧材24の厚さと略同一厚さになっている。そして、前記剥離材26が被着された表皮材22は、前記空気圧調整源48から内部空間42へ空気を送り込んで該空間42内に適宜の正圧を形成することにより、この内部空間42内の空気が各空気流通孔44から噴出し、この際の噴出圧を利用して真空成形型40の成形面40aから剥離される。そして、前記剥離材26が被着された状態で形成された表皮材22において、前記基材20と同様にエアアウトレット12等の各取付部品の配設位置に対応する部位を、後工程においてカッタ等により切除することで、取付開口部14に対応する開口部が開設される。
【0019】
なお、実施例では雄型の真空成形型40で真空成形する場合について説明したが、雌型の真空成形型で成形する際は、第2シート材36に通孔34が貫設され、該第2シート材36が前記真空成形型の成形面に被着するようセットされる。また、前記表皮材22の意匠形状が単純で、該表皮材22と剥離材26との被着状態が好適に維持できない場合は、少なくとも基体形成工程S3で両材22,26が分離しない程度の緩い接着等の手段により、これらを被着するようにしてもよい。すなわち、前記表皮材22の表面への剥離材26の被着方法は、次工程の基体形成工程S3において、被着状態が維持されると共に、剥離工程S4aで好適に該表皮材22の表面から剥離材26を剥離し得る方法であればよい。
【0020】
前述した基材形成工程S1で成形された基材20および表皮材形成工程S2で成形された剥離材26が被着された表皮材22は、前記基体形成工程S3において、ウレタンフォームからなる発泡体28を間に充填させることで一体的に型成形される。この基体形成工程S3で使用される発泡成形型52は、図4(a)に示すように、所要の雄形形状を呈するコア55を突設した上型54と、対応の雌形形状を呈するキャビテイ57を凹設した下型56とから構成されている。成形に先立ち上型54は下型56に対して開放状態に保持され、前記基材20は上型54のコア55にセットされると共に、前記剥離材26が被着された表皮材22は、該剥離材26側を下型56のキャビテイ57に密着させた状態でセットされる。なお、前記基材20および表皮材22を夫々セットした状態で発泡成形型52を型閉めした際に、基材20および表皮材22の間には所要の発泡空間53が形成され、この発泡空間53の厚み寸法は発泡体28の肉厚となるよう設定されている(図4(b)参照)。
【0021】
前記発泡成形型52の型閉めに先立ち、前記下型56にセットした前記表皮材22の上面(裏面)に所要量のウレタン原液を注入した後、該発泡成形型52を型閉めして所要時間保持することで、該基材20と表皮材22との間にウレタンフォームからなる発泡体28が発泡充填される。これにより、発泡硬化した発泡体28を介して基材20に対して表皮材22が接合され、該表皮材22の表面に剥離材26が被着した複層の一体成形品としてのパネル基体30が得られる。
【0022】
化粧材形成工程S4は、前記表皮材22の表面から前記剥離材26を剥ぎ取る剥離工程S4aと、この剥離工程S4aにより露出した表皮材22の表面に化粧材24を貼着する貼着工程S4bとから構成されている。先ず、前記基体形成工程S3で得られたパネル基体30における表皮材22の表面に被着している剥離材26を剥ぎ取る(図5(a)参照)。ここで、前記表皮材22は、前記基体形成工程S3において形成された発泡体28に接着されている。これに対し、前記剥離材26は、前記表皮材形成工程S2において、前記表皮材22と一体的に成形したものの、該表皮材22に対しては、剥離可能に被着されているため、表皮材22の表面からの剥離が許容される。
【0023】
前記剥離材26を剥ぎ取って露出させた表皮材22に対し、その表面に接着剤等を所要の手段で塗布した後、前記化粧材24を貼付ける貼付工程S4bを経ることで、該化粧材24が意匠面を形成する複層のインストルメントパネル11が得られる(図5(b),(c)参照)。図示していないが前記化粧材24は、予め所要の意匠形状に成形しておくことで、前記貼付工程S4bにおいて貼付け作業を好適に実施できる。なお、本実施例の化粧材24は、本革の他に、別の樹脂シート、合成皮革、ファブリック等を採用することも可能である。
【0024】
しかる後に、前述した各工程S1〜S4を経て製造された前記インストルメントパネル11にエアアウトレット12等の取付部品を取付ける。実施例では、図6に例示するように、前記インストルメントパネル11に貫設された取付開口部14に、基材20側からエアアウトレット12を挿通し、該エアアウトレット12の側方に延出して形成された取付片16の図示しない孔部にビス18を挿通し、前記インストルメントパネル11の基材20に一体的に成形された取付部20aに螺合させることで、エアアウトレット12がインストルメントパネル11に固定される。
【0025】
このように、本実施例の車両用内装部材の製造方法では、前記表皮材形成工程S2において、予め前記化粧材24の厚さと略同一厚さで剥離可能な剥離材26を表皮材22に被着することで、表皮材23自体が露出して意匠面をなすインストルメントパネル13(図7参照)に用いられる表皮材23と外形形状が同一となる。従って、基体形成工程S3において、表皮材23が意匠面をなすインストルメントパネル13と同じ発泡成形型52を用いることが可能であり、発泡成形型52の共通化を図ることができる。
【0026】
また、前記表皮材形成工程S2において、予め前記化粧材24の厚さと略同一厚さで剥離可能な剥離材26を表皮材22に被着させ、前記化粧材形成工程S4で該剥離材26を剥がした後に化粧材24を貼着することで、前記表皮材23が意匠面を形成するインストルメントパネル13の仕上がり寸法T2(図7参照)と、前記表皮材22に化粧材24を貼着したインストルメントパネル11の仕上がり寸法T1(図6参照)とを略同一寸法とすることができる。更に、前記化粧材24の有無にかかわらず、エアアウトレット12の取付開口部14の寸法D1,D2も略同一とすることができる。すなわち、前記表皮材23が意匠面を形成するインストルメントパネル13および化粧材24を表皮材22に貼着するインストルメントパネル11について、同一の成形型で製造されたものであっても、同一の各種装置やエアアウトレット12等の取付部品を取付けることができる。
【0027】
実施例の表皮材成形工程S2において、重ね合わせた第1および第2シート材32,36の真空成形型40に当接する側の前記第1シート材32に通孔34が開設されている。すなわち、第1および第2シート材32,36を重ね合わせた状態であっても、通孔34を介して外側の第2シート材36を真空吸引して、第1および第2シート材32,36を一体的に真空成形をすることができ、前記表皮材22の成形と同時に、該表皮材22の表面に剥離材26を被着することが可能である。
【0028】
また、前記表皮材22に被着させる剥離材26として熱可塑性樹脂を採用した場合には、再利用することが可能である。
【0029】
なお、前記インストルメントパネル11は、前記基材20と表皮材22との間に発泡体28を介在させて接合したものが用いられたが、これに限定されず、基材20に直接表皮材22を貼着することで接合させた構成や、表皮材22をセットした成形型に樹脂を注入して、この樹脂が基材20として成形されることで基材20を表皮材22と一体的に型成形した構成等のものにも採用することができる。また、前記表皮材形成工程S2において、前記表皮材22と剥離材26とを別々に成形した後、該表皮材22の表面に剥離材26を被着してもよい。この場合、前記表皮材22や剥離材26の成形は、真空成形ではなく、パウダースラッシュ成形等の別の成形方法を取ることができる。
【0030】
【発明の効果】
以上に説明した如く、本発明に係る車両用内装部材の製造方法によれば、表皮材の表面に化粧材を貼着するに先立って、化粧材と略同一の厚みを有する剥離材を表皮材の表面に剥離可能に被着することで、基材と表皮材との接合にあたって、成形型を共通化できると共に、仕上がり寸法が表皮材自体が意匠面をなす車両用内装部材と同一となり、各種車載装置や取付部品等も共通化することができる利点がある。従って、前記各種車載装置や取付部品等および発泡成形型を、化粧材の貼付けの有無により同一車種に対して2種類用意する必要が無くなり、コストの低減することが可能となる等の有益な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な実施例に係る車両用内装部材の製造方法により製造されたインストルメントパネルの部分斜視図である。
【図2】実施例に係る車両用内装部材の製造方法の工程図である。
【図3】実施例の表皮成形工程に用いられる真空成形型の断面図である。
【図4】実施例の発泡成形工程に用いられる発泡成形型の断面図である。
【図5】実施例の剥離工程および貼付工程での状態を示す断面図である。
【図6】実施例の車両用内装部材の製造方法を用いて製造されたインストルメントパネルに取付部品を組付けた状態を示す断面図である。
【図7】実施例と同一の成形型を用いて製造された表皮材が意匠面を形成するインストルメントパネルに実施例と同一の取付部品を組付けた状態を示す断面図である。
【図8】インストルメントパネルの概略斜視図である。
【図9】インストルメントパネルに取付部品を組付けた状態を示す断面図である。
【符号の説明】
11 インストルメントパネル(車両用内装部材)
20 基材
22 表皮材
24 化粧材
32 第1シート材(シート材)
36 第2シート材(シート材)
S2 表皮材形成工程(工程)
S3 基体形成工程(工程)
S4 化粧材形成工程(工程)
Claims (2)
- 少なくとも基材(20)と、表皮材(22)と、この表皮材(22)の表面に貼着される化粧材(24)とからなる車両用内装部材(11)を製造するに際し、
前記表皮材(22)の表面に前記化粧材(24)を貼着するに先立って、該化粧材(24)と略同一の厚みを有する剥離材(26)を該表皮材(22)の表面に剥離可能に被着する工程(S2)と、
前記剥離材(26)が表面に被着された表皮材(22)を前記基材(20)に接合させる工程(S3)と、
前記表皮材(22)から前記剥離材(26)を剥離し、これにより露出した該表皮材(22)の表面に前記化粧材(24)を貼着する工程(S4)とからなる
ことを特徴とする車両用内装部材の製造方法。 - 前記剥離材(26)を表皮材(22)の表面に被着する工程(S2)において、予め重ね合わせた2枚のシート材(32,36)を用意し、適宜数の通孔(34)が穿設されたシート材(32)を真空成形型(40)に当接させ、該真空成形型(40)を真空吸引することで、両シート材(32,36)を所要形状に真空成形して、何れか一方のシート材(32)を前記表皮材(22)として成形すると共に、何れか他方のシート材(36)を該表皮材(22)に被着された状態で前記剥離材(26)として成形するようになっている請求項1記載の車両用内装部材の製造方法。
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-
2003
- 2003-05-28 JP JP2003151064A patent/JP2004351714A/ja active Pending
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