JP2004351438A - スチフナ付きh形鋼部材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一対のフランジ1bとこれらを連結するウェブ1aとを有するH形鋼部材1にスチフナ3を取り付けてスチフナ付きH形鋼部材を製造する方法であって、ウェブ1aに形成されたウェブ開口部7aにスチフナ3を装着して、ウェブ開口部7aの内面とスチフナ3の被溶接側面により囲まれるウェブ側溶接空間6bを形成し、一対のフランジ1bに形成したフランジ貫通孔7bからウェブ側溶接空間6bに溶接用ワイヤー8を供給しつつエレクトロスラグ溶接を行って、スチフナ3とウェブ1aとを接合することを特徴とする。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スチフナによって補強したスチフナ付きH形鋼部材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、構造物の柱材として、角形断面柱の他にH形鋼柱が多く用いられている。H形鋼柱は、耐力・剛性に方向性を有するなど力学特性の欠点を設計面で配慮すれば、角形断面柱に劣らぬ性能を発揮できる一方、加工工程が少ないので、角形断面柱の場合と比較して安価に製作できる。
【0003】
鋼柱には、これに梁を接合する柱梁接合部に、この部分を補強するために、ダイアフラム(水平スチフナ)等のスチフナ(補剛材)を接合することが行われている。H形鋼柱の場合には、図6に示すように、H形鋼柱40の内側に2枚のダイアフラム41を挿入し、各ダイアフラム41の3辺を、炭酸ガスアーク溶接などの積層溶接42により、H形鋼柱40のウェブ40aおよびフランジ40b,40bに固着している。このようなスチフナ付きH形鋼部材は、既製の部材(H形鋼)を柱材として用いて製作コストを削減でき、また柱を切断せずに構成されているので、力学特性に優れている。
【0004】
しかしながら、このスチフナ付きH形鋼部材において、ダイアフラムの板厚が大きい場合には、積層溶接の積層数も多くなるので、溶接工数が増加し、結果として経済性が著しく損なわれるという問題がある。また、柱梁接合部において接合される2つの梁の梁せいが異なる場合には、ダイアフラムが上下に近接して配置されることがある。そのような場合には、溶接用ワイヤーが入りにくく、施工性が悪いという問題がある。そこで、本発明者らは、特許文献1においてエレクトロスラグ溶接を用いるスチフナ付きH形鋼部材の製造方法を提案した。
【0005】
この方法では、H形鋼部材の柱梁接合部において、H形鋼部材のウェブの両側に、裏当材とスチフナを仮組みして、ウェブおよびフランジとスチフナの間にそれぞれ溶接空間を構成する。そして、フランジには、ウェブとスチフナの間の溶接空間に通じる貫通孔を形成し、この貫通孔から当該溶接空間に溶接ワイヤーを挿入することによってエレクトロスラグ溶接を施し、H形鋼部材のウェブとスチフナとを、エレクトロスラグ溶接により接合している。
【0006】
また、ウェブにもフランジの近傍の部分にウェブ貫通孔を形成し、ウェブの両側に形成されたフランジとスチフナの間の溶接空間を連絡する。そして、このウェブ貫通孔を通して溶接ワイヤーを挿入することによって、ウェブの両側のフランジ沿いの溶接空間を一度に溶接して、フランジとスチフナを接合するようにしている。
【0007】
これにより、エレクトロスラグ溶接のような大入熱溶接手法を採用して、強度の大きい高品質の溶接部を効率的に形成することができる。また、通常の方法で行えば両側に6条の溶接を行なう必要があるところを4条で済ませることができるので、溶接作業の手間を大きく軽減することができる。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−224862号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、さらに溶接の条数を減らすことができれば、作業の手間をさらに軽減し、製造コストの大幅な低減を図ることができる。また、そのような作業の手間を軽減しつつ、溶接部の強度低下等の品質低下を招くことがないようにする必要がある。
本発明は、このような事情に鑑みて為されたもので、溶接部の品質を維持しつつ、溶接の条数を減らすことができるスチフナ付きH形鋼部材の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載のスチフナ付きH形鋼部材の製造方法は、一対のフランジとこれらを連結するウェブとを有するH形鋼部材にスチフナを取り付けてスチフナ付きH形鋼部材を製造する方法であって、前記ウェブに形成されたウェブ開口部に前記スチフナを装着して、前記ウェブ開口部の内面と前記スチフナの被溶接面により囲まれるウェブ側溶接空間を形成し、前記フランジに形成したフランジ貫通孔から前記ウェブ側溶接空間に溶接用ワイヤーを供給しつつエレクトロスラグ溶接を行って、前記スチフナと前記ウェブとを接合することを特徴とする。
【0011】
請求項1に記載の発明においては、エレクトロスラグ溶接を用いることによって、スチフナの板厚が大きくなった場合でも、多層の溶接を必要としない溶接作業によって、スチフナをH形鋼部材に強固に取り付けることができる。また、ウェブ側溶接空間に溶接を施すことによって、ウェブ側溶接空間を囲むウェブ開口部の内面とスチフナの被溶接面が一体に接合される。すなわち、ウェブの両側にあるスチフナの部分とウェブとを一度に接合することができ、したがってウェブの両側に配置されるスチフナとウェブとの接合が1条の溶接で済むので、溶接工程が削減される。
スチフナの被溶接面は、スチフナの端面またはスチフナに形成した開口部の内面に形成される。また、ウェブ側溶接空間は、ウェブ開口部の内面とスチフナの被溶接面のみによって形成されるだけでなく、必要に応じて裏当材やシールドビードを用いて形成される。
【0012】
請求項2に記載のスチフナ付きH形鋼部材の製造方法は、請求項1に記載の発明において、前記スチフナが一対のダイアフラムから構成され、これらの端面を前記被溶接面として前記ウェブ開口部において互いに対向させることにより前記ウェブ側溶接空間を形成することを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明においては、スチフナが一対のダイアフラムから構成されているので、個々のダイアフラムが軽量であり、溶接の際の仮組み作業等が容易になる。
【0014】
請求項3に記載のスチフナ付きH形鋼部材の製造方法は、請求項1に記載の発明において、前記スチフナは、一枚のダイアフラムから構成され、このダイアフラムの中央部に、該ダイアフラムを前記ウェブ開口部に挿通した時に該ウェブ開口部と交差して前記ウェブ側溶接空間を形成するダイアフラム開口部を有し、このダイアフラム開口部の内面を前記被溶接面とすることを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載の発明においては、スチフナが一枚のダイアフラムから構成されているので、スチフナの用意および取り付け作業の工程が削減される。
【0016】
請求項4に記載のスチフナ付きH形鋼部材の製造方法は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の発明において、前記一対のフランジの間の距離よりも幅の短いスチフナを用い、前記スチフナと前記フランジとの間にフランジ側溶接空間を構成し、該フランジ側溶接空間に溶接用ワイヤーを供給しつつエレクトロスラグ溶接を行って、前記スチフナと前記フランジとを接合することを特徴とする。
【0017】
請求項4に記載の発明においては、スチフナとフランジの間の接合もエレクトロスラグ溶接によって行われ、1回の溶接で強固な溶接部を形成することができる。例えば、フランジ側溶接空間の溶接を先に行う場合には、フランジ側溶接空間に形成された溶接部にフランジ貫通孔を形成し、前記ウェブ側溶接空間の溶接を行なえば良い。また、ウェブ側溶接空間の溶接を先に行う場合には、ウェブ側溶接空間に形成された溶接部に孔を形成してウェブの両側のフランジ溶接空間を連通し、前記フランジ側溶接空間の溶接を行なえば、フランジ側溶接空間の溶接工程が削減される。
【0018】
請求項5に記載のスチフナ付きH形鋼部材の製造方法は、請求項4に記載の発明において、前記スチフナを前記ウェブ開口部に装着したときに前記スチフナの側面と前記ウェブ開口部の端部との間に隙間ができる幅のスチフナを用い、この隙間によって前記ウェブの両側の前記フランジ側溶接空間が通じていることを特徴とする。
【0019】
請求項5に記載の発明においては、ウェブの両側のフランジ側溶接空間が連通しているので、1回の溶接によってウェブの両側においてフランジとスチフナの接合を行なうことができ、溶接工程を削減することができる。
【0020】
請求項6に記載のスチフナ付きH形鋼部材の製造方法は、請求項4に記載の発明において、前記スチフナに、前記ウェブ側溶接空間と前記フランジ側溶接空間を仕切る漏れ止め部を設けたことを特徴とする。
【0021】
請求項6に記載の発明においては、スチフナに、前記ウェブ側溶接空間と前記フランジ側溶接空間を仕切る漏れ止め部が設けられているので、いずれを先に溶接する場合でも、他方に溶接金属が漏出することがなく、溶接作業が円滑に行われる。このような漏れ止め部は、スチフナの突出部として、あるいは1枚のダイアフラムの内部に開口部を形成する際の連結部として構成される。
【0022】
ここで、上記各請求項において、H形鋼部材とは、熱間圧延によって製造されるH形鋼からなる部材に限定されず、溶接組み立てや押し出し成形などにより形成されるH形断面を有する鋼材一般からなる部材を意味する。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、各図において、同一構成要素には同一符号を付してその説明を簡略化する。
図1は、本発明をH形鋼柱に適用した場合の第1の実施の形態を示すもので、(a)は縦断面図、(b)は横断面図である。
【0024】
H形鋼からなるH形鋼柱(H形鋼部材)1は、長手方向に直交する断面において、対向する2つのフランジ1b、1bをウェブ1aで連結したH形構造をしており、この実施の形態では建築構造物の柱として使用されている。H形鋼柱1には、その所定高さの柱梁接合部において、水平方向に延びかつ互いに直交する2つのH形鋼梁2,2が接合されている。このような柱梁接合部においては、これらのH形鋼梁2,2からの曲げ荷重を負荷するための補強構造が構成されている。
【0025】
すなわち、H形鋼柱1には、H形鋼梁2の上側フランジ2aおよび下側フランジ2bが接合される高さ位置において、ウェブの両側に四角形の板状の一対のダイアフラム(水平スチフナ)3が、H形鋼柱1のウェブ1aと両フランジ1b,1bとで三方を囲まれた空間内に水平に配置されて、取り付けられている。各ダイアフラム3のウェブ1aと両フランジ1b,1bに面する3辺の外周部には、表裏両面に裏当材4,4が取り付けられており、これによってダイアフラム3とウェブ1aと両フランジ1b,1bの間に溶接空間が形成されている。そして、これらの溶接空間に、エレクトロスラグ溶接5aを用いて溶接金属を充填することにより、ダイアフラム3がH形鋼柱1のウェブ1aおよび両フランジ1b,1bに固着されている。H形鋼梁2,2の一方は、H形鋼柱1のフランジ1bの外面に接合され、他方は、上述のように取り付けられたダイアフラム3の外側に向く辺に接合されている。
【0026】
図2は、H形鋼柱1に互いに直交する状態で接合される2つのH形鋼梁2,12の梁せいが異なる場合の柱梁接合部を示している。ダイアフラム3は、図1の場合と同様に、エレクトロスラグ溶接5aを用いて、H形鋼柱1に取り付けられている。この柱梁接合部においては、例えば両H形鋼梁2,12の上側フランジ2a,12aの位置を揃えているので、下側フランジ2b,12bに対応する位置に取り付けられるダイアフラム3,3が上下に近接して配置されている。しかしながら、後述するように、裏当金4どうしが当接するまでダイアフラム3,3が互いに近づいても、また多数のダイアフラム3が近接しても、エレクトロスラグ溶接を用いれば、その溶接施工性が低下することはない。
【0027】
図3は、H形鋼柱1に2つのダイアフラム3,3を、エレクトロスラグ溶接により接合してスチフナ付きH形鋼部材を製造する方法を示したものである。ダイアフラム3,3は、柱梁接合部において、例えば、H形鋼梁2の上下のフランジ2a,2bが取り付けられる位置に取り付けられる。以下、1つの接合部について説明する。各ダイアフラム3は、H形鋼柱1のウェブ1aおよび両フランジ1b,1bに囲まれた空間に配置された時に、ウェブ1aおよび両フランジ1b,1bの表面と、ダイアフラム3の各辺との間に所定の間隙が形成されるような寸法・形状に形成されている。
【0028】
先ず、同図(a)に示すように、H形鋼柱1のウェブ1aに、ウェブ1aの幅方向に延びるウェブ開口部7aを形成する。次に、同図(b)に示すように、ダイアフラム3の3辺の外周部の表裏に、裏当材4を隅肉溶接5bなどにより仮付けして組み立てる。フランジ1b側では、裏当材4,4はダイアフラム3の端面より突き出た状態で仮付けされる。ダイアフラム3の内端面の両側には、H形鋼柱1のフランジ1b側のエレクトロスラグ溶接をする場合に、ウェブ1a中央側に溶融金属が漏れるのを防止するため、突出部として2つの漏れ止め部3a,3aが形成されている。
【0029】
次に、同図(c)に示すように、それぞれ裏当材4を仮付けした2つのダイアフラム3,3をH形鋼柱1に仮組みする。すなわち、H形鋼柱1のウェブ1aの両側のウェブ1aおよび両フランジ1bで囲まれた各空間にそれぞれダイアフラム3,3を配置し、これらウェブ1aおよび両フランジ1bと、裏当材4とを隅肉溶接5b等により仮付けする。このとき、ウェブ1aの両側に、両フランジ1bの内面、ダイアフラム3の側面および表裏の裏当材4,4によって断面矩形の間隙が形成され、同じフランジ1b側の間隙はウェブ1aに設けたウェブ開口部7aによって互いに連通する。これにより、フランジ1bの内面に沿って左右一対のフランジ側溶接空間6aが形成される。また、ダイアフラム3の先端の漏れ止め部3a,3aは、H形鋼柱1のウェブ開口部7aの内部で、対向して装着されるダイアフラム3の漏れ止め部3a,3aと先端部どうしが密着するように突き合わせられる。これにより、ダイアフラム3,3どうしの端面(被溶接面)と、表裏の裏当材4,4と、ウェブ開口部7aの内面とによって間隙が形成される。この間隙は、後述するように、ウェブ側溶接空間6bを構成する。
【0030】
なお、これらの溶接空間6a,6bから溶接中に溶融金属が漏れるのを防止するため、H形鋼柱1のウェブ1aおよび両フランジ1b,1bと裏当材4との隙間をできるだけ小さく施工することが望ましく、およそ2mmを超えるような大きな隙間が生じた場合には隅肉溶接などで隙間を埋めておく必要がある。
【0031】
次に、エレクトロスラグ溶接を行う。すなわち、同図(d)に示すように、H形鋼柱1をウェブ1aが水平になるように横置きし、フランジ1b側の溶接空間6aの下部に底部タブ板9を配置する。そして、上側からフランジ側溶接空間6aに溶接用ワイヤーを挿入し、下部から上部に向かって垂直にエレクトロスラグ溶接を行い、フランジ側溶接空間6aを溶融金属で充填して溶接部5aを形成する。これにより、1つのフランジ1bの内面にウェブ1aの両側のダイアフラム3,3の縁部および表裏の裏当材4,4を一体に接合する溶接部が、各フランジ1b,1bに1条、計2条形成される。この実施の形態では、両側のフランジ側溶接空間6a,6aのエレクトロスラグ溶接を同時に行っているが、同時ではなく別々に行ってもよい。なお、このとき、ダイアフラム3に設けた漏れ止め部3aが、ウェブ1a側の間隙に溶融金属が流れ出すのを防止している。
【0032】
フランジ1b側のエレクトロスラグ溶接が終了したら、H形鋼柱1を90度回転させてウェブ1aが垂直になるようにする。同図(e)に平面図を、同図(f)に縦断面図を示すように、上下のフランジ1b,1bの中央部に、間隙に連通するフランジ貫通孔7bをそれぞれ形成する。このとき、上下のフランジ貫通孔7bは、フランジ側溶接空間6a,6aに形成された溶接部5a,5aとダイアフラム3の漏れ止め部3a,3aを直線状に貫通して、ダイアフラム3およびウェブ1aで囲まれた間隙に連通し、これによりウェブ側溶接空間6bが形成される。
【0033】
次いで、同図(f)に示すように、ウェブ側溶接空間6bの下部に底部タブ板9を配置し、上側からウェブ側溶接空間6bに溶接用ワイヤー8を挿入し、下部から上部に向かって垂直にエレクトロスラグ溶接を行い、ウェブ側溶接空間6bを溶融金属で充填して溶接部5aを形成する。これにより、ウェブ1aの両側から装着されたダイアフラム3,3の先端面、ウェブ開口部7aの内面、表裏の裏当材4,4、およびフランジ側溶接空間6aの溶接部5aと漏れ止め部3a,3aの孔部とを一体に接合する溶接部が1条形成される。この実施の形態の方法では、2つのフランジ側溶接空間6a,6aおよび1つのウェブ側溶接空間6bがH形をなすように形成され、これらに3条の溶接を施すことにより、1個所の補強部が構成される。したがって、従来の場合の4条に比べて、溶接コストが25%程度軽減される。また、図2に示すような、接合される2つのH形鋼梁2,12の梁せいが異なる場合において、ダイアフラム3,3に取り付けられた裏当金4どうしが当接したり、複数のダイアフラム3が近接しても、溶接施工性が低下することがない。
【0034】
図4は、本発明の第2の実施の形態に係るH形鋼柱の製造方法を示すもので、第1の実施の形態において用いた一対のダイアフラムの代わりに、一枚のダイアフラム(水平スチフナ)13を用いるものである。
先ず、同図(a)に示すように、ウェブ1aに第1の実施の形態と同様のウェブ開口部7aを形成する。ダイアフラム13は、予め同図(b)に示すような一枚板として用意されている。すなわち、ダイアフラム13の奥行きは、H形鋼柱1の断面の奥行きと同じであり、幅がH形鋼柱1のフランジ1b間の距離より小さくなっていて、第1の実施の形態と同様に、H形鋼柱1に装着したときに、フランジ1bとの間に間隙が形成されるようになっている。ダイアフラム13の中央部には、予め、幅方向に延びる開口部13bが設けられ、その両側は連結されて漏れ止め連結部13c,13cになっている。開口部13bの幅(短手方向)は、ほぼH形鋼柱1のウェブ1aの厚さに等しい。
【0035】
次に、同図(c)に示すように、ダイアフラム13をH形鋼柱1に装着するために仮組みを行なう。すなわち、H形鋼柱1のウェブ開口部7aにダイアフラム13を差し込み、ダイアフラム13の中央開口部13bとウェブ開口部7aの中心が一致するように位置決めする。この状態で、裏当材4を隅肉溶接5bなどによりダイアフラム13とH形鋼柱1に仮付けして、ダイアフラム13を仮固定する。これにより、同図(d)に示すように、第1の実施の形態と同様の左右一対のフランジ側溶接空間6a,6aがフランジ1bの内面に沿って形成され、また、ダイアフラム13の開口部13bの内面(被溶接面)とウェブ開口部7aの内面によってウェブ側溶接空間6bが形成される。このとき、ウェブ1aを挟んでどちらか一方の側に位置する裏当材4(合計6枚)については、ダイアフラム13をウェブに挿入する前に予めダイアフラム13に取り付けておいても良い。
【0036】
ここで製作された構造は、第1の実施の形態の溶接前の構造と、ダイアフラム13が一枚板であること以外は同じである。次に、同図(d)の工程でフランジ側溶接空間6aの溶接を行い、同図(e)の工程でフランジ貫通孔7bを形成し、同図(f)の工程によってウェブ側溶接空間6bの溶接を行なう(第1の実施の形態と同様の工程なので、説明は省略する。)。この実施の形態においても、漏れ止め部13cによってダイアフラム開口部13b内の溶接用空間へ溶融金属が流れ出すのを防止している。
【0037】
この実施の形態においても、溶接線は3条形成されるので、第1の実施の形態と同様の溶接材料費および工数削減効果が得られる。この実施の形態では、ダイアフラム13が一枚なので、加工や取り付けの工程も少なくて済む。
【0038】
図5は、本発明の第3の実施の形態のスチフナ付きH形鋼部材の製造方法を示すものである。上述した2つの実施の形態では、フランジ側溶接空間6aを先に溶接して、その後、ウェブ側溶接空間6bを形成し、溶接を行っているが、この実施の形態では、ウェブ側溶接空間6bを先に溶接する。
【0039】
先ず、同図(a)に示すように、H形鋼柱1のウェブ1aにおけるダイアフラムを取り付ける位置にウェブ開口部7aを形成するとともに、両フランジ1b,1bの中央部にこのウェブ開口部7aに連通するフランジ貫通孔7bを合計2ケ所形成する。
【0040】
ダイアフラム23(水平スチフナ)は、この実施の形態では第1の実施の形態と同様に2枚用いる。各ダイアフラム23には、同図(b)に示すように、2つの漏れ止め部23a,23aが側方に突出して形成されている。これらの漏れ止め部23a,23aの先端間の距離は、H形鋼柱1のフランジ1bの内面間の距離とほぼ等しくなっており、H形鋼柱1のウェブ1a側のエレクトロスラグ溶接をする場合に、フランジ1b側に溶融金属が漏れるのを防止する。
【0041】
次に、同図(b)に示すように、このダイアフラム23の3辺の外周部表裏に、裏当材4を隅肉溶接5bなどにより仮付けして組み立て、2つのダイアフラム3,3をH形鋼柱1の所定位置に仮組みする。この時、各ダイアフラム23,23は、それらの先端面の間にウェブ1aの厚さ程度の間隙ができるように取り付けられる。これにより、ウェブ開口部7aの内面とダイアフラム23,23の先端面(および必要な裏当材4)に囲まれ、かつフランジ貫通孔7b、7bによって外部に開口するウェブ側溶接空間6bが形成される。このとき、フランジ1bとダイアフラム23,23の間の間隙は、漏れ止め部23a,23aによって塞がれており、フランジ側溶接空間は貫通して形成されていない。
【0042】
次に、H形鋼柱を図3(f)と同様の配置および方法により、上記のように構成されたウェブ側溶接空間のエレクトロスラグ溶接を行う。ウェブ1a側のエレクトロスラグ溶接が終了したら、図5(c)に示すように、フランジ側溶接空間を塞いでいる漏れ止め部23a,23aとウェブ側溶接空間6bに形成された溶接部5aを直線状に穿孔してウェブ貫通孔7cを形成する。これにより、ウェブ1aの両側のフランジ1bとダイアフラム23の間の間隙が連通し、1つのフランジ1bについて1条のフランジ側溶接空間6aが計2条形成される。
【0043】
この後、図3(d)と同様に、フランジ側の溶接空間6aの下部に底部タブ板9を配置し、フランジ側溶接空間6aの上側から溶接用ワイヤー8を挿入し、下部から上部に向かって垂直にエレクトロスラグ溶接を行い、フランジ側溶接空間6aを溶融金属で充填して溶接部5aを形成する。
【0044】
この実施の形態においても、エレクトロスラグ溶接の溶接線は、H形鋼柱1のウェブ1aに1条、両フランジ1b,1bの内側に2条が形成され合計3条となる。フランジ側溶接空間6aの溶接によって、2枚のダイアフラム23,23の2つの側面を1条の溶接線で同時にH形鋼柱1に接合し、また、ウェブ側溶接空間6bの溶接によって、2枚のダイアフラム23、23の先端面をウェブ1aに1条の溶接線で接合する。これにより、溶接工数の削減が図られる。
【0045】
また、H形鋼柱1のウェブ1a側に取り付ける裏当材4の代わりに、隅肉溶接でシールビードを形成してもよい。すなわち、シールビードにより、ダイアフラムとH形鋼柱ウェブとを裏当材を介することなく直接溶接して接合する。この時、溶融金属の漏れが発生しないように、隅肉溶接の脚長を十分に確保する必要がある。
【0046】
また、上記各実施の形態においては、本発明をH形鋼柱に適用した場合を示したが、本発明はこれに限られず、H形鋼からなるH形鋼部材に各種のスチフナ(補剛材)が取り付けられて成る種々のスチフナ付きH形鋼部材に適用することができる。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、多層の溶接を必要としない溶接作業によって、スチフナをH形鋼柱に強固に取り付けることができるとともに、ウェブの両側に配置されるスチフナとウェブとの接合が1条の溶接で済むので、溶接部の品質を維持しつつ、全体としての溶接作業が大幅に軽減される。したがって、信頼性の高いスチフナ付きH形鋼部材を安価で提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のH形鋼部材をH形鋼柱に適用した場合を示す図であって、(a)は縦断面図、(b)は横断面図である。
【図2】本発明に係るH形鋼柱を示す図であって、取り付けられるH形鋼梁の梁せいが異なる場合を示す縦断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るスチフナ付きH形鋼部材の製造方法を示す図であって、(a)は縦断面図、(b)はダイアフラムの平面図、(c)は横断面図、(d)は横断面図、(e)は平面図、(f)は縦断面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係るスチフナ付きH形鋼部材の製造方法を示す図であって、(a)は縦断面図、(b)はダイアフラムの平面図、(c)は横断面図、(d)は横断面図、(e)は平面図、(f)は縦断面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係るスチフナ付きH形鋼部材の製造方法を示す図であって、(a)は縦断面図、(b)はダイアフラムの平面図、(c)は横断面図である。
【図6】従来のH形鋼柱を示す図であって、(a)は縦断面図、(b)は横断面図である。
【符号の説明】
1 H形鋼柱(H形鋼部材)
1a ウェブ
1b フランジ
3 ダイアフラム(水平スチフナ)
3a,3a 漏れ止め部
4 裏当金
5a 溶接部
6a フランジ側溶接空間
6b ウェブ側溶接空間
7a ウェブ開口部
7b フランジ貫通孔
7c ウェブ貫通孔
8 溶接用ワイヤー
13 ダイアフラム(水平スチフナ)
13b ダイアフラム開口部
13c 漏れ止め部
23 ダイアフラム(水平スチフナ)
23a 漏れ止め部
Claims (6)
- 一対のフランジとこれらを連結するウェブとを有するH形鋼部材にスチフナを取り付けてスチフナ付きH形鋼部材を製造する方法であって、前記ウェブに形成されたウェブ開口部に前記スチフナを装着して、前記ウェブ開口部の内面と前記スチフナの被溶接面により囲まれるウェブ側溶接空間を形成し、
前記フランジに形成したフランジ貫通孔から前記ウェブ側溶接空間に溶接用ワイヤーを供給しつつエレクトロスラグ溶接を行って、前記スチフナと前記ウェブとを接合することを特徴とするスチフナ付きH形鋼部材の製造方法。 - 前記スチフナは一対のダイアフラムから構成され、これらの端面を前記被溶接面として前記ウェブ開口部において互いに対向させることによりウェブ側溶接空間を形成することを特徴とする請求項1に記載のスチフナ付きH形鋼部材の製造方法。
- 前記スチフナは、一枚のダイアフラムから構成され、このダイアフラムの中央部に、該ダイアフラムを前記ウェブ開口部に挿通した時に該ウェブ開口部と交差して前記ウェブ側溶接空間を形成するダイアフラム開口部を有し、このダイアフラム開口部の内面を前記被溶接面とすることを特徴とする請求項1に記載のスチフナ付きH形鋼部材の製造方法。
- 前記一対のフランジの間の距離よりも幅の短いスチフナを用い、前記スチフナと前記フランジとの間にフランジ側溶接空間を構成し、該フランジ側溶接空間に溶接用ワイヤーを供給しつつエレクトロスラグ溶接を行って、前記スチフナと前記フランジとを接合することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のスチフナ付きH形鋼部材の製造方法。
- 前記スチフナを前記ウェブ開口部に装着したときに前記スチフナの側面と前記ウェブ開口部の端部との間に隙間ができる幅のスチフナを用い、この隙間によって前記ウェブの両側の前記フランジ側溶接空間が通じていることを特徴とする請求項4に記載のスチフナ付きH形鋼部材の製造方法。
- 前記スチフナに、前記ウェブ側溶接空間と前記フランジ側溶接空間を仕切る漏れ止め部を設けたことを特徴とする請求項4に記載のスチフナ付きH形鋼部材の製造方法。
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