JP2004350389A - 電気車の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電気車を停止させる制御において、電気ブレーキの適用範囲を最大限に広げることを可能にする電気車の制御装置の提供。
【解決手段】永久磁石同期電動機6の回転子の位置および速度を検知する回転子位置速度検知手段6と、永久磁石同期電動機6のトルクを制御する制御器5と、回転子位置速度検知手段4の出力に基づいて永久磁石同期電動機6が停止したことを判定する停止判定手段3と、ブレーキ指令と停止判定手段3の判定出力とに基づき電気ブレーキ指令を生成し該指令を制御器5に対してトルク指令として与える電気ブレーキ指令生成器2とを具備する
【選択図】 図1
【解決手段】永久磁石同期電動機6の回転子の位置および速度を検知する回転子位置速度検知手段6と、永久磁石同期電動機6のトルクを制御する制御器5と、回転子位置速度検知手段4の出力に基づいて永久磁石同期電動機6が停止したことを判定する停止判定手段3と、ブレーキ指令と停止判定手段3の判定出力とに基づき電気ブレーキ指令を生成し該指令を制御器5に対してトルク指令として与える電気ブレーキ指令生成器2とを具備する
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブレーキ制御を改良した電気車の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気車を駆動する電動機としては、トルク制御性に優れる直流機が長く用いられてきたが、近年、ベクトル制御の適用により、交流電動機のトルク制御が精度よく行えるようになり、誘導電動機が広く用いられるようになった。
【0003】
かかる誘導電動機をベクトル制御するにあたっては、誘導電動機の回転子の速度を検出する必要があるが、電気車の制御では、60パルス/回転のパルスジェネレータを速度検出器として用いて速度検出を行っている。
【0004】
速度検出器としてパルスジェネレータの場合、回転数に比例したパルスが生成され、それをカウントすることで、速度を検出している。したがって、電気車が減速し、停止直前になると、生成されるパルスが少なくなり、速度検出の精度が低下する。
【0005】
一方、電気車のブレーキには、機械的に制輪子を踏面またはディスクに押し付けることでブレーキ力を発生させる空気ブレーキと、電動機を発電機として動作させ、ブレーキ方向のトルクを発生させる電気ブレーキとがあり、高速域では電気ブレーキを中心に用い、停止前の低速域では空気ブレーキを主体として用いている。
【0006】
交流電動機の適用とともに、制輪子の磨耗を抑え、乗り心地を改善するため、できるだけ電気ブレーキの適用範囲を広げ、停止まで電気ブレーキを適用する制御が試みられているが、上述した誘導電動機により駆動される電気車の制御装置においては、パルスジェネレータを用いて速度を検出するようにしているため、停止状態の検出に速度推定器を設けるとともに、停止前に電気ブレーキ指令を絞って空気ブレーキを立ち上げ、停止動作をおこなっている(特許文献1及び特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−251701号公報
【0008】
【特許文献2】
特開2002−171602号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
誘導電動機により駆動される電気車の制御装置において、電気ブレーキを用いて電気車を停止させる場合、停止タイミングを捉えて、電気ブレーキを絞る必要があるが、速度推定器を用いて停止状態を検出する場合、線路の勾配条件や荷重条件等により推定結果に誤差が生じることが避けられない。このため、正確に停止タイミングを捉えることが難しく、完全に停止するまで電気ブレーキのみで制動をかけることは難しく、ある程度の速度で電気ブレーキトルクを絞り、空気ブレーキを併用させる形で停止せざるをえなかった。
【0010】
本発明の目的は、電気車を停止させる制御において、電気ブレーキの適用範囲を最大限に広げることを可能にする電気車の制御装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
永久磁石同期電動機により駆動される電気車の制御装置において、
前記永久磁石同期電動機の回転子の位置および速度を検知する回転子位置速度検知手段と、
前記永久磁石同期電動機のトルクを制御する制御器と、
前記回転子位置速度検知手段の出力に基づいて前記永久磁石同期電動機が停止したことを判定する停止判定手段と、
ブレーキ指令と前記停止判定手段の判定出力とに基づき電気ブレーキ指令を生成し、該指令を前記制御器に対してトルク指令として与える電気ブレーキ指令生成器と
を具備することを特徴とする。
【0012】
本発明では、永久磁石同期電動機によって駆動される電気車の駆動システムを対象とし、零速度まで精度よく速度を検知できる高精度の回転子位置速度検知手段を設け、その速度検知信号に基づき、永久磁石同期電動機のトルクを制御することで、停止時の電気ブレーキを最大限に活用できる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1の記載の電気車の制御装置において、
ブレーキ指令と前記停止判定手段の出力に基づき、空気ブレーキを制御する空気ブレーキ制御器を備えたことを特徴としている。
【0014】
本発明により、電気車が停止する際、電気ブレーキ指令が絞られるのに伴い、空気ブレーキの指令が立ち上がり、空気ブレーキによるパーキングブレーキをかけることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の電気車の制御装置において、空気ブレーキの応答に合わせて、前記停止判定手段が前記永久磁石同期電動機が停止したと判定する速度をゼロ速度より大きく設定することを特徴としている。
【0016】
本発明により、空気ブレーキの応答遅れ時間に合わせて、空気ブレーキ指令が早めに立ち上がるため、停止過程のトータルのブレーキ力の変動が小さくおさえられ、乗り心地をそこなうことなく、停止させることができる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の電気車の制御装置において、前記電気ブレーキ指令生成器の出力から第2の電気ブレーキ指令を生成する電気ブレーキ指令変換器を設け、前記空気ブレーキ制御器に前記第2の電気ブレーキ指令を与えることを特徴としている。
【0018】
本発明において、制御器に与えられ、永久磁石同期電動機のトルク制御の指令として用いられる電気ブレーキ指令より、第2の電気ブレーキ指令を、早く絞込みことができるため、空気ブレーキ指令が早く立ち上がり、電気ブレーキの絞込み開始をできるだけ遅くし、電気ブレーキの適用範囲を広くしながら、パーキングブレーキとしての空気ブレーキの立ち上がりも早め、停止過程のトータルのブレーキ力の変動を最小限にすることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る電気車の制御装置の実施形態について図面を参照して説明する。
【0020】
(第1実施形態:請求項1対応)
図1は、第1実施形態の電気車の制御装置を示し、図示しない架線からパンタグラフ11及びフィルタリアクトル12及びフィルタコンデンサ13を介して、電力変換器7に電力を供給している。電力変換器7は、主幹制御器1、電気ブレーキ指令生成器2、停止判定手段3、回転位置速度検出手段4及び制御器5からなる電気車制御装置により電圧指令を受け、永久磁石同期電動機6をトルク制御するようになっている。
【0021】
主幹制御器1は、電気車が走行している状態から停止に至る過程において、ノッチ指令を読み取り、停止に必要なブレーキ力指令を生成、電気ブレーキ指令生成器2に与える。
【0022】
電気ブレーキ指令生成器2は、停止に必要ブレーキ力と停止判定手段3の出力である判定結果とから、電気ブレーキ指令を生成する。
【0023】
停止判定手段3は、回転子位置速度検知手段4の出力である速度信号を入力とし、速度がゼロとなったことを判定する。
【0024】
一般に、永久磁石同期電動機6は磁極位置に応じて適切な位相の電圧を固定子に印加しないと安定したトルクが発生できないため、回転子位置速度検知手段4としては、レゾルバなど停止まで高精度に回転子位置・速度が検知できるセンサを用いている。従って停止判定手段3は、確実に停止状態を判定できる。もちろん、回転子位置速度検知手段4としては、レゾルバに限ることなく、停止まで高精度に回転子位置・速度が検知できるセンサであれば何ら形態は問わないものである。
【0025】
制御器5は、電気ブレーキ指令生成器2で生成した電気ブレーキ指令をトルク指令をとして取り込み、制御器5は、回転子位置速度検知手段4により、永久磁石同期電動機6の回転子位置(磁極位置)を検知して、永久磁石同期電動機6が必要な電気ブレーキ力を発生するように、適切な位相の電圧指令を電力変換器7に与える。
【0026】
電力変換器7が出力する電圧は、永久磁石同期電動機6の固定子巻き線に印加され、回転子の永久磁石のつくる磁界との間でトルク指令に応じたブレーキトルクを発生する。従って、電気車が減速されて、速度がゼロに達し、停止判定手段3が停止状態と判定すると、電気ブレーキ指令生成器2は電気ブレーキ指令を絞り込む。それを受けて永久磁石同期電動機6の電気ブレーキ力も絞り込まれ、電気車が停止状態をつづけることができる。
【0027】
以上のように第1実施形態では、電動機として永久磁石同期電動機6を用い且つパルスジェネレータに比べ1000倍以上の分解能を持つレゾルバなどの回転子位置速度検知手段4を用いているため、従来方式で必要であった低速度域での速度推定器を用いる必要がなく、推定誤差による影響もない。
【0028】
また、速度がゼロに達し停止状態となったことを確実に検知できるので、電気ブレーキのみで確実に電気車を停止させることができ、電気ブレーキを最大限に利用できる。
【0029】
以上は、停止速度判定手段3としてレゾルバ等の回転センサを用いることで説明したが、回転センサの検出信号の代わりに、センサレス制御の速度推定値を用いてもよい。永久磁石同期電動機6のセンサレス制御は、従来の誘導電動機の速度検出に比べて、低速まで精度よく検知するものとなっているので、センサレス制御の速度推定値を用いても第1実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
【0030】
(第2実施形態:請求項2対応)
次に、図1と同一部分には同一符号を付した図2を参照して第2実施形態の電気車の制御装置を説明する。
【0031】
第2実施形態の電気車の制御装置は、第1実施形態に加えて、主幹制御器1からの必要ブレーキ力指令と電気ブレーキ指令とを受けて空気ブレーキ9を制御する空気ブレーキ制御器8を追加した構成となっている。
【0032】
この構成で、電気車が停止する際に空気ブレーキ制御器8は、第1の実施形態にて説明した動作で電気ブレーキにより停止し、電気ブレーキが絞り込まれると、空気ブレーキ制御器8によって、必要ブレーキ力指令と絞り込まれた後の電気ブレーキ指令を比較して、空気ブレーキを動作させ、パーキングブレーキがかかる。
【0033】
第1実施形態にて電気ブレーキで停止できるが、停止直後に電気ブレーキをゼロ速度まで絞り込んでしまうと、停止中のブレーキ力もゼロとなってしまうのに対し、本実施形態では、図3に示すように、電気ブレーキが絞り込まれた直後から空気ブレーキが立ち上がり始めるので、停止中はパーキングブレーキがかかり、勾配のある線路上での停止する際などでも、確実に停止状態を保つことができる。
【0034】
(第3実施形態:請求項3対応)
第3実施形態は、第2実施形態において停止状態と判定する速度を、ゼロ速度より大きくし、電気ブレーキ指令を絞り込むレートを実ブレーキ指令の立ち上がりの早さに合わせたレートとしたものである。
【0035】
空気ブレーキは機械的な動作が伴うため、応答に遅れが伴うが、図4に示すように、停止と判定する速度をゼロより大きいV0に設定し、空気ブレーキの応答の遅れに合わせて、電気ブレーキを絞れば、空気ブレーキの応答遅れによるパーキングブレーキ動作の遅れを改善でき、電気ブレーキと空気ブレーキの合計のブレーキ力をほぼ一定にたもつことができるので、滑らかな停止動作が得られ、乗り心地を損なうことなく停止できる。
【0036】
(第4実施形態:請求項4対応)
次に、図1,図2と同一部分には同一符号を付した図5を参照して第4実施形態の電気車の制御装置を説明する。
【0037】
本実施形態は、第3実施形態に加えて、電気ブレーキ指令変換器10を追加している。電気ブレーキ指令生成器2で生成された第1の電気ブレーキ指令を、電気ブレーキ指令変換器10で変換し、この変換出力である第2の電気ブレーキ指令を、空気ブレーキ制御器8に入力した構成となっている。
【0038】
この構成は、第2の電気ブレーキ指令を、第1のブレーキ指令より早めに減少させ、それに基づいて空気ブレーキ制御器8を動作させることで、空気ブレーキの立ち上がりを早めるようにしたものである。
【0039】
第2の電気ブレーキ指令の例を、図6に示す。図6では、第1の電気ブレーキを速度V0で停止判定したのに伴い、第1の電気ブレーキ指令を絞り始め、それと同時に第2の電気ブレーキ指令をステップ状に減少させたパターンとしている。結果として、空気ブレーキ指令はステップ状に立ち上がるので、空気ブレーキの立ち上がりは早められ、電気ブレーキのみでブレーキをかける範囲を拡大することができる。
【0040】
なお、本願発明は、上記各実施形態に限定されるものでなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合、組み合わされた効果が得られる。さらに、上記各実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が省略されることで発明が抽出された場合には、その抽出された発明を実施する場合には省略部分が周知慣用技術で適宜補われるものである。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、電気車の停止状態を精度よくに検知でき、電気ブレーキの適用範囲を最大限に広げながら、電気車を確実に停止させることができると共に、空気ブレーキによるパーキングブレーキをかける際にも、乗り心地を損なうことなくを停止動作を行える電気車の制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電気車の制御装置の第1実施形態を示す図。
【図2】本発明に係る電気車の制御装置の第2実施形態を示す図。
【図3】本発明に係る電気車の制御装置の第2実施形態の動作を説明する図。
【図4】本発明に係る電気車の制御装置の第3実施形態を示す図。
【図5】本発明に係る電気車の制御装置の第4実施形態を示す図。
【図6】本発明に係る電気車の制御装置の第4実施形態の第2の空気ブレーキ指令の一例を示す図。
【符号の説明】
1…主幹制御器、2…電気ブレーキ指令生成器、3…停止判定手段、4…回転子位置速度検知手段、5…制御器、6…永久磁石同期電動機、7…電力変換器、8…空気ブレーキ制御器、9…空気ブレーキ、10…電気ブレーキ指令変換器、11…パンタグラフ、12…フィルタリアクトル、13…フィルタコンデンサ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブレーキ制御を改良した電気車の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気車を駆動する電動機としては、トルク制御性に優れる直流機が長く用いられてきたが、近年、ベクトル制御の適用により、交流電動機のトルク制御が精度よく行えるようになり、誘導電動機が広く用いられるようになった。
【0003】
かかる誘導電動機をベクトル制御するにあたっては、誘導電動機の回転子の速度を検出する必要があるが、電気車の制御では、60パルス/回転のパルスジェネレータを速度検出器として用いて速度検出を行っている。
【0004】
速度検出器としてパルスジェネレータの場合、回転数に比例したパルスが生成され、それをカウントすることで、速度を検出している。したがって、電気車が減速し、停止直前になると、生成されるパルスが少なくなり、速度検出の精度が低下する。
【0005】
一方、電気車のブレーキには、機械的に制輪子を踏面またはディスクに押し付けることでブレーキ力を発生させる空気ブレーキと、電動機を発電機として動作させ、ブレーキ方向のトルクを発生させる電気ブレーキとがあり、高速域では電気ブレーキを中心に用い、停止前の低速域では空気ブレーキを主体として用いている。
【0006】
交流電動機の適用とともに、制輪子の磨耗を抑え、乗り心地を改善するため、できるだけ電気ブレーキの適用範囲を広げ、停止まで電気ブレーキを適用する制御が試みられているが、上述した誘導電動機により駆動される電気車の制御装置においては、パルスジェネレータを用いて速度を検出するようにしているため、停止状態の検出に速度推定器を設けるとともに、停止前に電気ブレーキ指令を絞って空気ブレーキを立ち上げ、停止動作をおこなっている(特許文献1及び特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−251701号公報
【0008】
【特許文献2】
特開2002−171602号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
誘導電動機により駆動される電気車の制御装置において、電気ブレーキを用いて電気車を停止させる場合、停止タイミングを捉えて、電気ブレーキを絞る必要があるが、速度推定器を用いて停止状態を検出する場合、線路の勾配条件や荷重条件等により推定結果に誤差が生じることが避けられない。このため、正確に停止タイミングを捉えることが難しく、完全に停止するまで電気ブレーキのみで制動をかけることは難しく、ある程度の速度で電気ブレーキトルクを絞り、空気ブレーキを併用させる形で停止せざるをえなかった。
【0010】
本発明の目的は、電気車を停止させる制御において、電気ブレーキの適用範囲を最大限に広げることを可能にする電気車の制御装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
永久磁石同期電動機により駆動される電気車の制御装置において、
前記永久磁石同期電動機の回転子の位置および速度を検知する回転子位置速度検知手段と、
前記永久磁石同期電動機のトルクを制御する制御器と、
前記回転子位置速度検知手段の出力に基づいて前記永久磁石同期電動機が停止したことを判定する停止判定手段と、
ブレーキ指令と前記停止判定手段の判定出力とに基づき電気ブレーキ指令を生成し、該指令を前記制御器に対してトルク指令として与える電気ブレーキ指令生成器と
を具備することを特徴とする。
【0012】
本発明では、永久磁石同期電動機によって駆動される電気車の駆動システムを対象とし、零速度まで精度よく速度を検知できる高精度の回転子位置速度検知手段を設け、その速度検知信号に基づき、永久磁石同期電動機のトルクを制御することで、停止時の電気ブレーキを最大限に活用できる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1の記載の電気車の制御装置において、
ブレーキ指令と前記停止判定手段の出力に基づき、空気ブレーキを制御する空気ブレーキ制御器を備えたことを特徴としている。
【0014】
本発明により、電気車が停止する際、電気ブレーキ指令が絞られるのに伴い、空気ブレーキの指令が立ち上がり、空気ブレーキによるパーキングブレーキをかけることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の電気車の制御装置において、空気ブレーキの応答に合わせて、前記停止判定手段が前記永久磁石同期電動機が停止したと判定する速度をゼロ速度より大きく設定することを特徴としている。
【0016】
本発明により、空気ブレーキの応答遅れ時間に合わせて、空気ブレーキ指令が早めに立ち上がるため、停止過程のトータルのブレーキ力の変動が小さくおさえられ、乗り心地をそこなうことなく、停止させることができる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の電気車の制御装置において、前記電気ブレーキ指令生成器の出力から第2の電気ブレーキ指令を生成する電気ブレーキ指令変換器を設け、前記空気ブレーキ制御器に前記第2の電気ブレーキ指令を与えることを特徴としている。
【0018】
本発明において、制御器に与えられ、永久磁石同期電動機のトルク制御の指令として用いられる電気ブレーキ指令より、第2の電気ブレーキ指令を、早く絞込みことができるため、空気ブレーキ指令が早く立ち上がり、電気ブレーキの絞込み開始をできるだけ遅くし、電気ブレーキの適用範囲を広くしながら、パーキングブレーキとしての空気ブレーキの立ち上がりも早め、停止過程のトータルのブレーキ力の変動を最小限にすることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る電気車の制御装置の実施形態について図面を参照して説明する。
【0020】
(第1実施形態:請求項1対応)
図1は、第1実施形態の電気車の制御装置を示し、図示しない架線からパンタグラフ11及びフィルタリアクトル12及びフィルタコンデンサ13を介して、電力変換器7に電力を供給している。電力変換器7は、主幹制御器1、電気ブレーキ指令生成器2、停止判定手段3、回転位置速度検出手段4及び制御器5からなる電気車制御装置により電圧指令を受け、永久磁石同期電動機6をトルク制御するようになっている。
【0021】
主幹制御器1は、電気車が走行している状態から停止に至る過程において、ノッチ指令を読み取り、停止に必要なブレーキ力指令を生成、電気ブレーキ指令生成器2に与える。
【0022】
電気ブレーキ指令生成器2は、停止に必要ブレーキ力と停止判定手段3の出力である判定結果とから、電気ブレーキ指令を生成する。
【0023】
停止判定手段3は、回転子位置速度検知手段4の出力である速度信号を入力とし、速度がゼロとなったことを判定する。
【0024】
一般に、永久磁石同期電動機6は磁極位置に応じて適切な位相の電圧を固定子に印加しないと安定したトルクが発生できないため、回転子位置速度検知手段4としては、レゾルバなど停止まで高精度に回転子位置・速度が検知できるセンサを用いている。従って停止判定手段3は、確実に停止状態を判定できる。もちろん、回転子位置速度検知手段4としては、レゾルバに限ることなく、停止まで高精度に回転子位置・速度が検知できるセンサであれば何ら形態は問わないものである。
【0025】
制御器5は、電気ブレーキ指令生成器2で生成した電気ブレーキ指令をトルク指令をとして取り込み、制御器5は、回転子位置速度検知手段4により、永久磁石同期電動機6の回転子位置(磁極位置)を検知して、永久磁石同期電動機6が必要な電気ブレーキ力を発生するように、適切な位相の電圧指令を電力変換器7に与える。
【0026】
電力変換器7が出力する電圧は、永久磁石同期電動機6の固定子巻き線に印加され、回転子の永久磁石のつくる磁界との間でトルク指令に応じたブレーキトルクを発生する。従って、電気車が減速されて、速度がゼロに達し、停止判定手段3が停止状態と判定すると、電気ブレーキ指令生成器2は電気ブレーキ指令を絞り込む。それを受けて永久磁石同期電動機6の電気ブレーキ力も絞り込まれ、電気車が停止状態をつづけることができる。
【0027】
以上のように第1実施形態では、電動機として永久磁石同期電動機6を用い且つパルスジェネレータに比べ1000倍以上の分解能を持つレゾルバなどの回転子位置速度検知手段4を用いているため、従来方式で必要であった低速度域での速度推定器を用いる必要がなく、推定誤差による影響もない。
【0028】
また、速度がゼロに達し停止状態となったことを確実に検知できるので、電気ブレーキのみで確実に電気車を停止させることができ、電気ブレーキを最大限に利用できる。
【0029】
以上は、停止速度判定手段3としてレゾルバ等の回転センサを用いることで説明したが、回転センサの検出信号の代わりに、センサレス制御の速度推定値を用いてもよい。永久磁石同期電動機6のセンサレス制御は、従来の誘導電動機の速度検出に比べて、低速まで精度よく検知するものとなっているので、センサレス制御の速度推定値を用いても第1実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
【0030】
(第2実施形態:請求項2対応)
次に、図1と同一部分には同一符号を付した図2を参照して第2実施形態の電気車の制御装置を説明する。
【0031】
第2実施形態の電気車の制御装置は、第1実施形態に加えて、主幹制御器1からの必要ブレーキ力指令と電気ブレーキ指令とを受けて空気ブレーキ9を制御する空気ブレーキ制御器8を追加した構成となっている。
【0032】
この構成で、電気車が停止する際に空気ブレーキ制御器8は、第1の実施形態にて説明した動作で電気ブレーキにより停止し、電気ブレーキが絞り込まれると、空気ブレーキ制御器8によって、必要ブレーキ力指令と絞り込まれた後の電気ブレーキ指令を比較して、空気ブレーキを動作させ、パーキングブレーキがかかる。
【0033】
第1実施形態にて電気ブレーキで停止できるが、停止直後に電気ブレーキをゼロ速度まで絞り込んでしまうと、停止中のブレーキ力もゼロとなってしまうのに対し、本実施形態では、図3に示すように、電気ブレーキが絞り込まれた直後から空気ブレーキが立ち上がり始めるので、停止中はパーキングブレーキがかかり、勾配のある線路上での停止する際などでも、確実に停止状態を保つことができる。
【0034】
(第3実施形態:請求項3対応)
第3実施形態は、第2実施形態において停止状態と判定する速度を、ゼロ速度より大きくし、電気ブレーキ指令を絞り込むレートを実ブレーキ指令の立ち上がりの早さに合わせたレートとしたものである。
【0035】
空気ブレーキは機械的な動作が伴うため、応答に遅れが伴うが、図4に示すように、停止と判定する速度をゼロより大きいV0に設定し、空気ブレーキの応答の遅れに合わせて、電気ブレーキを絞れば、空気ブレーキの応答遅れによるパーキングブレーキ動作の遅れを改善でき、電気ブレーキと空気ブレーキの合計のブレーキ力をほぼ一定にたもつことができるので、滑らかな停止動作が得られ、乗り心地を損なうことなく停止できる。
【0036】
(第4実施形態:請求項4対応)
次に、図1,図2と同一部分には同一符号を付した図5を参照して第4実施形態の電気車の制御装置を説明する。
【0037】
本実施形態は、第3実施形態に加えて、電気ブレーキ指令変換器10を追加している。電気ブレーキ指令生成器2で生成された第1の電気ブレーキ指令を、電気ブレーキ指令変換器10で変換し、この変換出力である第2の電気ブレーキ指令を、空気ブレーキ制御器8に入力した構成となっている。
【0038】
この構成は、第2の電気ブレーキ指令を、第1のブレーキ指令より早めに減少させ、それに基づいて空気ブレーキ制御器8を動作させることで、空気ブレーキの立ち上がりを早めるようにしたものである。
【0039】
第2の電気ブレーキ指令の例を、図6に示す。図6では、第1の電気ブレーキを速度V0で停止判定したのに伴い、第1の電気ブレーキ指令を絞り始め、それと同時に第2の電気ブレーキ指令をステップ状に減少させたパターンとしている。結果として、空気ブレーキ指令はステップ状に立ち上がるので、空気ブレーキの立ち上がりは早められ、電気ブレーキのみでブレーキをかける範囲を拡大することができる。
【0040】
なお、本願発明は、上記各実施形態に限定されるものでなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合、組み合わされた効果が得られる。さらに、上記各実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が省略されることで発明が抽出された場合には、その抽出された発明を実施する場合には省略部分が周知慣用技術で適宜補われるものである。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、電気車の停止状態を精度よくに検知でき、電気ブレーキの適用範囲を最大限に広げながら、電気車を確実に停止させることができると共に、空気ブレーキによるパーキングブレーキをかける際にも、乗り心地を損なうことなくを停止動作を行える電気車の制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電気車の制御装置の第1実施形態を示す図。
【図2】本発明に係る電気車の制御装置の第2実施形態を示す図。
【図3】本発明に係る電気車の制御装置の第2実施形態の動作を説明する図。
【図4】本発明に係る電気車の制御装置の第3実施形態を示す図。
【図5】本発明に係る電気車の制御装置の第4実施形態を示す図。
【図6】本発明に係る電気車の制御装置の第4実施形態の第2の空気ブレーキ指令の一例を示す図。
【符号の説明】
1…主幹制御器、2…電気ブレーキ指令生成器、3…停止判定手段、4…回転子位置速度検知手段、5…制御器、6…永久磁石同期電動機、7…電力変換器、8…空気ブレーキ制御器、9…空気ブレーキ、10…電気ブレーキ指令変換器、11…パンタグラフ、12…フィルタリアクトル、13…フィルタコンデンサ。
Claims (4)
- 永久磁石同期電動機により駆動される電気車の制御装置において、
前記永久磁石同期電動機の回転子の位置および速度を検知する回転子位置速度検知手段と、
前記永久磁石同期電動機のトルクを制御する制御器と、
前記回転子位置速度検知手段の出力に基づいて前記永久磁石同期電動機が停止したことを判定する停止判定手段と、
ブレーキ指令と前記停止判定手段の判定出力とに基づき電気ブレーキ指令を生成し、該指令を前記制御器に対してトルク指令として与える電気ブレーキ指令生成器と
を具備することを特徴とする電気車の制御装置。 - 請求項1に記載の電気車の制御装置において、前記ブレーキ指令と前記停止判定手段の判定出力に基づき空気ブレーキを制御する空気ブレーキ制御器を更に具備することを特徴とする電気車の制御装置。
- 請求項2に記載の電気車の制御装置において、前記空気ブレーキの応答に合わせて前記停止判定手段が前記永久磁石同期電動機が停止したと判定する速度を、ゼロ速度より大きく設定することを特徴とする電気車の制御装置。
- 請求項2に記載の電気車の制御装置において、前記電気ブレーキ指令生成器の出力から第2の電気ブレーキ指令を生成する電気ブレーキ指令変換器を更に具備し、前記空気ブレーキ制御器に前記第2の電気ブレーキ指令を与えることを特徴とする電気車の制御装置。
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