JP2004349636A - 半導体レーザ素子及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】光ピックアップ等の光源として組み込まれた場合に、光学系からの戻り光があってもノイズを生じない半導体レーザ素子及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】複数の半導体層が積層されてなる多層膜部13と、この多層膜部13に積層された活性層11とを少なくとも備える。多層膜部13は、活性層11のレーザ光出射端面11a側の端面に、活性層11に対して垂直方向の断面形状が凹凸状の凹凸面部20を有する。この凹凸面部20は、多層膜部13における活性層11とは反対側の最も離れた位置の半導体層から活性層11の厚み中心より多層膜部13側の50μm以下の位置の間に、複数の凹部と凸部が交互に連設してなる。
【選択図】 図1
【解決手段】複数の半導体層が積層されてなる多層膜部13と、この多層膜部13に積層された活性層11とを少なくとも備える。多層膜部13は、活性層11のレーザ光出射端面11a側の端面に、活性層11に対して垂直方向の断面形状が凹凸状の凹凸面部20を有する。この凹凸面部20は、多層膜部13における活性層11とは反対側の最も離れた位置の半導体層から活性層11の厚み中心より多層膜部13側の50μm以下の位置の間に、複数の凹部と凸部が交互に連設してなる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体レーザ素子及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、レーザ戻り光対策に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、CD用、DVD用、MD用光ピックアップに用いられる半導体レーザ素子に対する需要は益々拡大してきており、それに伴って特性のばらつきが少なく、より信頼性に優れた半導体レーザ素子の要求が高まっている。また、コンピュータの情報記憶装置としてのCD−ROM、CD−R/RW等の光ピックアップに用いられる半導体レーザ素子に対する需要は今後もさらに拡大していくものと見込まれる。このようなレーザ光によって光ディスクの記録または再生を行う光ピックアップ等において、光源として半導体レーザ素子を組み込む場合には、光学系からの半導レーザ素子へのレーザ戻り光によってノイズが発生して種々の問題が生じることが知られている。すなわち、半導体レーザ素子においては、一般に、へき開により形成された鏡面を光出射側の素子端面に有するが、光学系からの戻り光がこの素子端面で反射されて再び光学系に入り込むことによりノイズが発生するのである。光学系からのレーザ戻り光が半導体レーザ素子へ再入射される位置は、一般的にレーザ光出射位置より約50〜80μm離れた位置といわれている。例えば、回析格子により3ビームを発生させる構成の光ピックアップの場合は、レーザ戻り光はレーザ光出射部の上下数十μmの位置に戻り、この戻り光が光出射側の素子端面で反射されて光学系に再び戻ると、トラッキングノイズの原因となる。
【0003】
このような問題を防ぐために、従来、以下のような方法が用いられている。
第1の方法は、レーザ活性層(レーザ発振面)と一方の電極が固定されるヒートシンクとの間の距離を10〜70μmとし、レーザ活性層と他方の電極との間の距離を40〜70μmとすることにより、3ビームのサイドビームが光出射側の素子端面に入射されない構造とするものである(例えば、特許文献1参照)。第2の方法は、半導体レーザ素子自体の厚みを薄くすることにより、3ビームのサイドビームが光出射側の素子端面に入射されない構造とするものである(例えば、特許文献2参照)。
第3の方法は、半導体レーザ素子においてサイドビームが戻ってくる位置の端面コート膜を充分反射率の低いものにしたり、あるいはサイドビームが戻ってくる位置に反射率が低い物質、光吸収率の高い物質、表面の荒れた薄膜を形成することにより、サイドビームが光出射側の素子端面に入射しても反射しないようにするものである(例えば、特許文献3、4、5参照)。
第4の方法は、半導体レーザ素子においてサイドビームが戻ってくる位置をダイシング又はエッチング等の方法によって粗面化することにより、半導体レーザ素子に戻ったサイドビームを乱反射させて再び光学系に戻らないようにするものである(例えば、特許文献6参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開昭62−52737号公報
【特許文献2】
特開昭61−24030号公報
【特許文献3】
特開昭62−18080号公報
【特許文献4】
特開平6−204609号公報
【特許文献5】
特開平6−302004号公報
【特許文献6】
特開昭61−128587号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来の方法には、以下のような問題点があった。
上記第1の方法では、レーザ活性層と他方の電極との間の膜厚の厚い層を形成するために主として液相エピタキシャル成長(LPE)法が用いられており、工程数が増加することや、LPE法は成長温度を比較的高温にする必要があるため、半導体レーザ素子の多層構造内で不純物の拡散が生じ、半導体レーザ素子特性を設計通りに作製するのが困難であり歩留りが低下するという問題があった。
上記第2の方法では、半導体レーザ素子の製造工程においてウエハが肉薄になるので、ウエハの強度が低下して製造工程中に破損が生じ易く、また取り扱いが困難であるため作業性も低下する。
上記第3の方法では、素子端面のレーザ光出射端面を除くレーザ戻り光が当たる部分のみに低光反射材料からなる膜を高精度に形成することが難しい。
上記第4の方法では、ダイシング加工により半導体ウエハの一部分を切削して光学的に粗い面を形成する。一般的にダイシングによる切削は、切削対象ウエハを支持シートに貼り付け、それをダイシング装置のステージ上にセットし切削を行う。切り込み深さの制御は、ステージ上を基準点(0点)とし、その基準点から上方何μmまでダイシングブレードを下降させるかによって制御している。従って、ダイシングブレードの下降位置が一定であっても、半導体ウエハの厚みばらつき及び支持シートの厚みばらつきによって、実際の切り込み深さがばらつく。このようにダイシング加工による切り込み深さの厳密な制御は困難であるため、戻り光の入射位置となる部分のみをカットするのは非常に困難であると共に、ダイシング加工は切削時の機械的ストレスが大きいため、切削時のウエハ破損が生じ易いという不具合もある。
【0006】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであり、光ピックアップ等の光源として組み込まれた場合に、光学系からの戻り光があってもノイズを生じない半導体レーザ素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かくして、本発明によれば、複数の半導体層が積層されてなる多層膜部と、この多層膜部に積層された活性層とを少なくとも備え、
前記多層膜部は、前記活性層のレーザ光出射端面側の端面に、活性層に対して垂直方向の断面形状が凹凸状の凹凸面部を有し、
凹凸面部は、多層膜部における活性層とは反対側の最も離れた位置の半導体層から活性層の厚み中心より多層膜部側の50μm以下の位置の間に、複数の凹部と凸部が交互に連設してなる半導体レーザ素子が提供される。
【0008】
ここで、本発明において、対象とする半導体レーザ素子としては、特に限定されるものではなく、各種発振波長の半導体レーザ素子に適用することができるが、レーザ光によって光ディスクの記録、消去あるいは再生を行う光ディスク用ピックアップの光源として用いられるものが好適である。例えば、AlGaAs系、
AlGaInP系、窒化物系等の半導体レーザ素子を挙げることができる。なお、半導体レーザ素子の具体的な構成について、詳しくは後述の実施の形態にて説明する。
【0009】
本発明の半導体レーザ素子によれば、光ディスク用ピックアップの光源として用いた場合に、レーザ光出射端面側の多層膜部の端面におけるレーザ戻り光が当たる部分、つまり多層膜部における活性層とは反対側の最も離れた位置の半導体層から活性層の厚み中心より多層膜部側の50μm以下の位置の間に、凹凸面部を有するため、この凹凸面部にレーザ戻り光を確実に当てることができ、凹凸面部に当たったレーザ戻り光を散乱(乱反射)させて光学系への再入射を大幅に軽減することができ、トラッキングやノイズなどの悪影響の発生を効果的に抑制することができる。
【0010】
本発明において、多層膜部は、次の(1)(2)のように構成することができる。
(1)多層膜部の少なくとも隣接する各半導体層は、所定のエッチング液に対してエッチング速度が異なる組成とする。具体的には、AlGaAs系の半導体レーザ素子の場合、多層膜部は、AlxGa(1−x)As層(0<x≦1)からなる半導体層とAlyGa(1−y)As層(y<x)からなる半導体層が交互に積層されてなる積層構造が挙げられる。この場合、x=0.4〜0.6が好ましく、x=0.45〜0.55がさらに好ましい。また、AlyGa(1−y)As層は、y=0とした場合、GaAs層とすることもできる。
(2)多層膜部の各半導体層は、その厚さ方向の組成分布が、所定のエッチング液に対してエッチング速度が異なるものとする。具体的には、AlGaAs系の半導体レーザ素子の場合、多層膜部は、AlxGa(1−x)As層からなる半導体層が複数積層されてなり、各半導体層は厚さ方向に好ましくはx=0.3〜0.5の組成分布で構成されているものが挙げられ、x=0.40から0.50がさらに好ましい。
【0011】
本発明は、上記構成(1)(2)の半導体レーザ素子を、次の▲1▼▲2▼の製造方法によりそれぞれ製造することができる。
▲1▼半導体ウエハの表面に複数の半導体層を積層して多層膜部を形成する工程(a)と、
前記多層膜部の表面に少なくとも活性層を積層して半導体レーザウエハを得る工程(b)と、
半導体レーザウエハの多層膜部側の裏面に、半導体レーザ素子のレーザ光出射端面相当位置にマスク開口部を有するエッチングマスクを形成する工程(c)と、
前記半導体レーザウエハの裏面における半導体レーザ素子のレーザ光出射端面相当位置を1段階目のウエットエッチングにより溝を形成し、その後2段階目のウエットエッチングによりこの溝の側面側に露出した多層膜部に、活性層に対して垂直方向の断面形状が凹凸状の凹凸面部を形成する工程(d)とを備え、
前記工程(d)は、多層膜部における活性層とは反対側の最も離れた位置の半導体層から活性層の厚み中心より多層膜部側の50μm以下の位置の間に、複数の凹部と凸部が交互に連設してなる前記凹凸面部を形成する半導体レーザ素子の製造方法。
▲2▼半導体ウエハの表面に複数の半導体層を積層して多層膜部を形成する工程(a)と、
前記多層膜部の表面に少なくとも活性層を積層して半導体レーザウエハを得る工程(b)と、
半導体レーザウエハの多層膜部側の裏面に、半導体レーザ素子のレーザ光出射端面相当位置にマスク開口部を有するエッチングマスクを形成する工程(c)と、
前記半導体レーザウエハを前記マスク開口部でへき開して複数のレーザバーに分割する工程(e)と、
前記レーザバーにおける活性層のレーザ光出射端面をレジスト膜で被覆した状態でウエットエッチングして、レーザ光出射端面側の多層膜部の端面に、活性層に対して垂直方向の断面形状が凹凸状の凹凸面部を形成する工程(f)とを備え、
前記工程(f)は、多層膜部における活性層とは反対側の最も離れた位置の半導体層から活性層の厚み中心より多層膜部側の50μm以下の位置の間に、複数の凹部と凸部が交互に連設してなる凹凸面部を形成する半導体レーザ素子の製造方法。
【0012】
つまり、上記製造方法▲1▼▲2▼は、工程(a)(b)(c)は同様であるが、工程(c)の後、製造方法▲1▼では、半導体レーザウエハを1段階目のウエットエッチングによりレーザ光出射端面相当位置に溝を形成し、その後2段階目のウエットエッチングにより溝の側面側に露出した多層膜部に凹凸面部を形成する。なお、その後従来公知の方法によって半導体レーザウエハの溝部分をへき開して複数のレーザバーに分割し、各レーザバーをチップサイズに切断して半導体レーザ素子を得ることができる。
これに対し、製造方法▲2▼では、工程(c)の後、先ず半導体レーザウエハのレーザ光出射端面相当位置を複数のレーザバーに分割し、ウエットエッチングにて各レーザバーの光出射端面側の端面における多層膜部部分に凹凸面部を形成する。なお、その後従来公知の方法によって各レーザバーをチップサイズに切断して半導体レーザ素子を得ることができる。なお、半導体レーザウエハを複数のレーザバーに分割する方法としては、主として物理的(機械的)な従来技術により行うことが効率的でよいが、化学的なウエットエッチングにて行うことも可能である。
【0013】
上記製造方法▲1▼によれば、ウェハプロセス時に凹凸面部を形成できるため作業性がよいという利点が得られ、上記製造方法▲2▼によれば、多層膜部が露出していることから多層膜部のエッチング制御が行い易いという利点が得られる。
【0014】
さらに、このような製造方法▲1▼▲2▼において、半導体ウエハの表面に複数の半導体層を積層して多層膜部を形成する方法(工程(a))は、従来公知の気相成長等(例えばMOCVD法、MBE法など)で成膜することができるが、この際、後工程で行うウエットエッチングの所定のエッチング液に対してエッチング速度が異なる組成の半導体層を隣接させて積層する方法(a−1)と、後工程で行うウエットエッチングの所定のエッチング液に対してエッチング速度が異なる厚さ方向の組成分布を有する半導体層を積層する方法(a−2)の何れかを選択することができる。
前記方法(a−1)として具体的には、AlGaAs系の半導体レーザ素子を製造する場合、AlxGa(1−x)As層(0<x≦1、好ましくはx=0.4〜0.6)からなる半導体層とAlyGa(1−y)As層(y<x)からなる半導体層を交互に積層して多層膜部を形成する。これにより、前記構成(1)の半導体レーザ素子を製造することができる。
一方、前記方法(a−2)として具体的には、AlGaAs系の半導体レーザ素子を製造する場合、AlxGa(1−x)As層(厚さ方向にx=0.3〜0.5の組成分布)からなる半導体層を複数積層して多層膜部を形成する。これにより、前記構成(2)の半導体レーザ素子を製造することができる。
【0015】
また、本発明の半導体レーザ素子の製造方法において、多層膜部の表面には活性層をエピタキシャル成長によって形成することができ、エピタキシャル成長に際しては、固相エピタキシー(SPE)、液相エピタキシー(LPE)、気相エピタキーシー(VPE)、分子線エピタキシー(MBE)などの方法を用いることができ、例えばAlGaAs系の半導体レーザ素子の場合はMOCVDが好ましい。
【0016】
本発明の半導体レーザ素子の製造方法によれば、光ディスクのピックアップ用光源として用いることができ、かつ戻りレーザ光を素子端面の凹凸面部に当てて乱反射させることにより光学系への再入射を抑制し、トラッキングやノイズなどの悪影響の発生を効果的に抑制することができる上記半導体レーザ素子を製造することができる。また、多層膜部の成膜に際して、前記方法(a−1)又は前記方法(a−2)を採用することにより、ウエットエッチングによってレーザ光出射端面側の多層膜部の端面におけるレーザ戻り光が当たる部分に凹凸面部を容易に形成することができる。また、従来の第1の方法のようにLPE法を用いることなく、MOCVD法、MBE法等の気相成長法を用いて多層膜部を成膜することができるため、製造工程を短縮することができると共に、良好な特性の半導体レーザ素子を歩留まりよく製造することができる。また、従来の第2の方法のように半導体レーザウエハが薄くなることや、第3の方法のように深さ制御及びダイシングによる機械的ストレスによって、ウエハ破損を生じるという問題を解消することが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る半導体レーザ素子及びその製造方法の実施の形態を図面に基づいて詳説する。なお、本発明は実施の形態に限定されるものではない。
【0018】
[実施の形態1]
図1は本発明の実施の形態1の半導体レーザ素子の概略構造を示す断面図であって、光ピックアップの光源として使用された状態を表し、図2は同実施の形態1の半導体レーザ素子の製造方法を説明する図であって、活性層を有する半導体レーザウエハを共振器長方向から見た断面図であり、図3は図2の半導体レーザウエハの下面を所定厚みまで切削してn型電極を形成した状態を示す断面図であり、図4は図3の半導体レーザウエハのp型電極上にエッチングマスクを形成した状態を共振器長方向と直交する方向から見た断面図であり、図5は図4の半導体レーザウエハのマスク開口部からウエットエッチングを行った状態を示す断面図であり、図6はフッ化水素酸とAlGaAsのエッチングレート混晶比依存性を表すグラフ図である。なお、図1において、矢印Aはレーザ出射光、矢印Bは光学系からのレーザ戻り光、矢印Cはレーザ戻り光が乱反射した散乱光、矢印Dは共振器長方向である。
【0019】
この実施の形態1の半導体レーザ素子10は、図1に示すように、活性層11を有する発光層部12と、発光層部12上に設けられ、複数の半導体層が積層されてなる多層膜部13と、発光層部12の下面側及び多層膜部13の上面側にそれぞれ形成された電極とを備え、発光層部12側が光ピックアップのサブマウント1上にダイボンドされて使用される。
【0020】
本実施の形態では、AlGaAs系の半導体レーザ素子の場合を例示しており、図1と図3を参照してその具体構成を説明する。
多層膜部13は、n型AlxGa(1−x)As層13a(x=0.4〜0.6)とn型GaAs層13bとが交互に積層されて厚みT1:30〜55μmに形成されてなる。なお、n型AlxGa(1−x)As層13a及びn型GaAs層13bは、その厚みがそれぞれ1μm以下である。
発光層部12は、多層膜部13側から順にn型GaAsバッファ層12a、n型Al0.5Ga0.5As第1クラッド層12b、Al0.14Ga0.86As活性層11、p型Al0.5Ga0.5As第2クラッド層12c、複数のリッジ状のp型 Al0.5Ga0.5As第3クラッド層12dが成膜され、リッジ状の各第3クラッド層12d間における2段階目クラッド層12c上にn型Al0.7Ga0.3As電流ブロック層12eが設けられ、さらにそれらの上にp型GaAsコンタクト層12fが設けられてなる。この発光層部12の厚みT2は25〜55μmである。
そして、多層膜部13には例えばAu−Geから成るn型電極14が積層され、発光層部12には例えばAu−Znから成るp型電極15が積層されて、全体としての厚みT3:85〜110μmの半導体レーザ素子10が構成されている。
【0021】
さらに、この半導体レーザ素子10は、活性層11のレーザ光出射端面11a側における多層膜部13の端面に、活性層に対して垂直方向の断面形状が凹凸状の凹凸面部20を有している。この凹凸面部20は、多層膜部13における活性層11とは反対側の最も離れた位置の半導体層(n型AlxGa(1−x)As層13a)から活性層11の厚み中心より多層膜部13側の所定寸法L1:50μm以下の位置の間に、複数の凹部と凸部が交互に連設してなる。つまり、活性層11の厚み中心から多層膜部13までの距離L2は50μm以下とされている。なお、半導体レーザ素子10のレーザ光出射端面11aとは反対の端面にも、半導体レーザ素子10の製造時に対称的に形成された同様の凹凸面部が設けられている。
【0022】
次に、この半導体レーザ素子10の製造方法について説明する。
図2に示すように、先ず、半導体ウエハであるn型GaAs基板16上に有機金属気相成長(MOCVD法)により、n型GaAsバッファ層17を成長させる。その後、MOCVD法により、膜厚1μm以下のn型AlxGa(1−x)As層13a(x=0.4〜0.6)と、膜厚1μm以下のn型GaAs層13bを上記厚みT1:30〜55μmとなるまで交互に積層して、多層膜部13を形成する(工程(a))。
【0023】
続いて、多層膜部13のn型GaAs層13b上に、n型GaAsバッファ層12a、n型Al0.5Ga0.5As第1クラッド層12b、Al0.14Ga0.86As活性層11、p型 Al0.5Ga0.5As第2クラッド層12c、p型Al0.5Ga0.5As第3クラッド層12dを成膜する。その後、第3クラッド層12dの表面にエッチングマスクをフォトグラフィー法により形成し、所定位置に配置されたマスク開口部から第3クラッド層12dにドライエッチング又はウエットエッチングを行って、複数のリッジ状に第3クラッド層12dを加工し、リッジ状の各第3クラッド層12d間における2段階目クラッド層28上にn型Al0.7Ga0.3As電流ブロック層12eを設ける。そして、さらに複数の第3クラッド層12d及び複数の電流ブロック層12e上にp型GaAsコンタクト層12fを設けて、全体の厚みT2が25〜55μmの発光層部12を形成する(工程(b))。このようにして得られた半導体レーザウエハW1は、その活性層11の厚み中心から多層膜部13までの厚みL2が50μm以下とされている。なお、発光層部12の各層はMOCVD法により成膜することができる。
【0024】
次いで、上記工程(a)(b)で得られた半導体レーザウエハW1(図1参照)の発光層部12のp型コンタクト層12fの表面全面にAnZn/Mo/Auから成るp型電極15を設け、その後、図3に示すように、後工程で行うレーザバーへの分割を容易とするために全体の厚みT3が85〜110μm程度となるまでn型GaAs基板16側をバックグラインダ等で研磨し、洗浄し、研磨した面にAuGeNi/Auから成るn型電極14を設ける。
【0025】
次に、図4に示すように、上記工程で得られた半導体レーザウエハW2(図3参照)の多層膜部13側を上に向け、n型電極14上における半導体レーザ素子のレーザ光出射端面相当位置にストレートなマスク開口部18aを有するエッチングマスク18をフォトリソグラフィー法にて形成する(工程(c))。
【0026】
次に、図4の状態の半導体レーザウエハW3において、マスク開口部18a(光出射面相当位置の直上)のn型電極14を、ヨウ素系のエッチング液によりウェットエッチングして除去する。そして、図5に示すように、硫酸系又はリン酸系のエッチャントを用いた1段階目のウエットエッチングにより溝19を形成する。この溝19の最深部の位置は、活性層11の厚み中心から多層膜部13側へ50μm(寸法L1)離なれた位置よりも活性層11側まで達しており、本実施の形態の場合、溝19の最深部の位置は発光層部12のn型GaAsバッファ層12aまで達している。これにより、溝19の側面には多層膜部13の異なるエッチングレートのn型AlxGa(1−x)As層13a、13a、…とn型GaAs層13b、13b、…が露出する。その後、フッ化水素酸を用いた2段階目のウエットエッチングを行って、溝19の側面における多層膜部13部分に、活性層11に対して垂直方向の断面形状が凹凸状の凹凸面部20を形成する(工程(d))。このとき、図6に示すように、フッ化水素酸は一般的にAl混晶比xが大きいほどエッチングレートが速くなるため、フッ化水素酸でウエットエッチングを行うと、n型GaAs層13bはエッチングされずにn型AlxGa(1−x)As層13a(x=0.4〜0.6)のみがエッチングされるため、各n型AlxGa(1−x)As層13aが凹部となり、各n型GaAs層13bが凸部となった凹凸面部20が溝19内に形成される。
【0027】
その後、前記工程(d)にて得られた半導体レーザウエハW4のエッチングマスク(レジストパターン)18をレジスト剥離液で除去し、半導体レーザ素子の光出射端面相当位置である溝19でへき開することにより、半導体レーザ素子を複数含むレーザバーを得る。続いて、得られたレーザバーの両側のへき開面を非対称にコーティングして一方のへき開面側の発光層部12の端面をレーザ光出射端面11aとし、このレーザバーを物理的な従来技術により個々のチップサイズに分割することにより、図1に示すような本実施の形態1の半導体レーザ素子10が完成する。
【0028】
このようにして製造された半導体レーザ素子10は、その光出射端面側の多層膜部13の端面が、厚み方向の断面形状が連続した矩形凹凸状の凹凸面部20を有するため、この凹凸面部20に入射したレーザ戻り光Bは乱反射することとなり、光学系への再入射が十分に抑制される(図1参照)。
なお、上記実施の形態1では、AlxGa(1−x)As層(x=0.4〜0.6)とn型GaAs層を交互に積層した構造になっているが、GaAs層をAlyGa(1−y)As層(y<x)としてもよい。
【0029】
[実施の形態2]
上記実施の形態1では、2段階目のウエットエッチングに際して、フッ化水素酸を使用したが、実施の形態2の半導体レーザ素子の製造方法においては、フッ化水素酸の代わりにアンモニア系エッチャントを用いる。このアンモニア系エッチャントとしては、例えばNH4OH(28vol%):H2O2(31vol%):H2O=1:30:50体積比)を用いることができる。このアンモニア系エッチャントを第2のウエットエッチングで用いた場合、溝19内(図5参照)に露出しているn型GaAs層13bのみエッチングされ、n型AlxGa(1−x)As層13a(x=0.4〜0.6)はエッチングされないため、n型GaAs層13bが凹部となりn型AlxGa(1−x)As層13aが凸部となった凹凸面部が形成される。なお、アンモニア系エッチャントを使用した場合、n型GaAs層13bをn型AlyGa(1−y)As層(y=0〜0.3)としてもよい。
【0030】
[実施の形態3]
図7は本発明の実施の形態3の半導体レーザ素子の製造方法を説明する図であって、ウエットエッチング前の状態を表し、図8は同実施の形態3の製造方法においてウエットエッチング後の状態を示す断面図である。なお、図8において、実施の形態1と同様の要素には同一の符号を付している。
【0031】
この実施の形態3は、上記実施の形態1で説明したエッチングマスクの形成工程(c)までは同様であるが、その後の工程が異なる。
つまり、図4に示した半導体レーザウエハW3を得た後、半導体レーザ素子の光出射端面相当位置に形成されたマスク開口部18aに沿って半導体レーザウエハW3をへき開して複数のレーザバーに分割する。この場合、へき開を容易とするために、前工程にて全体の厚みT3が85〜110μm程度となるまでn型GaAs基板側をバックグラインダ等で予め研磨しておくことが望ましい。これにより、レーザバーのへき開面側には、エッチングレートの異なるn型AlxGa(1−x)As層13a(x=0.4〜0.6)とn型GaAs層13bが交互に積層した多層膜部13が露出する(図8参照)。
【0032】
次いで、図7に示すように、スライドガラス2上にレジスト3を所定の厚みに塗布し、各レーザバーS1を、発光層部12側を下にしてスライドガラス2上に並べる。これにより、レーザバーS1はスライドガラス2上に塗布されたレジスト3により発光層部12のみ被覆される。その後、フッ化水素酸又はアンモニア系エッチャントを用いて、へき開面側に露出した多層膜部13をウエットエッチングすることにより、図8に示すように多層膜部13の光出射端面側に凹凸面部20を形成する。その後、エッチングマスク18をレジスト剥離液で除去し、レーザバーS1を個々のチップサイズに分割することにより、本実施の形態3の半導体レーザ素子が完成する。
【0033】
[実施の形態4]
図9は本発明の実施の形態3の半導体レーザ素子の製造方法を説明する図であって、多層膜部の各半導体層における厚み方向のAl混晶比分布を表し、図10は同実施の形態4の製造方法において2段階目のウエットエッチング後の状態を示す断面図である。なお、図9において、矢印Eは成膜方向を表している。また、図10において、実施の形態1と同様の要素には同一の符号を付している。
【0034】
この実施の形態4では、半導体ウエハ上に複数の半導体層を積層して多層膜部を形成するに際して、図9に示すように、各半導体層中の成膜方向(矢印E)のAl混晶比を変化させる。具体的には、n型GaAs基板上に、n型GaAsバッファ層17を積層し、その後、1〜5μm程度のn型AlxGa(1−x)As層33aを成膜方向(矢印E)にx=0.3〜0.5又は0.5〜0.3の混晶比分布を持たせて複数層を積層して多層膜部33を形成する。本実施の形態4の場合、多層膜部33の形成に際しては、MOCVD法により1層のn型AlxGa(1−x)As層33aを成膜する間に、成膜するに伴ってx=0.5〜0.3に変化させるべく原料ガス中のAl、Ga、Asの割合を制御する。その後は、実施の形態1と同様に多層膜部33上にn型GaAsバッファ層12a、n型Al0.5Ga0.5As第1クラッド層、Al0.14Ga0.86As活性層等を順次形成して発光層部を形成し、表裏両面にp型電極及びn型電極を設けて半導体レーザウエハを形成すればよい。
【0035】
その後、得られた半導体レーザウエハの多層膜部33側を上に向けて、n型電極上に半導体レーザ素子のレーザ光出射端面相当位置にマスク開口部を有するエッチングマスクを形成する。次いで、図10に示すように、マスク開口部から1段階目のウエットエッチングを行って半導体レーザウエハW5に溝34を形成する。このとき、溝34の最深部の位置が、活性層11の厚み中心から多層膜部33側へ寸法L1:50μm離なれた位置よりも活性層11側まで達する。その後、溝34内に2段階目のウエットエッチングを行うことにより、露出した多層膜部33の各n型AlxGa(1−x)As層33a(x=0.5〜0.3)は、その厚み方向の発光層12側(x=0.3)よりもその反対側(x=0.5)の方がエッチングレートが速いため、活性層11に対して垂直方向の断面形状が下方(発光層部12側)に広がった鋸歯状の凹凸面部35が形成される。
【0036】
このようにして製造された半導体レーザ素子は、その光出射端面側の多層膜部33の端面が、厚み方向の断面形状が下方に広がった鋸歯状の凹凸面部35を有するため、この凹凸面部35に入射したレーザ戻り光は主として活性層11とは反対側の斜め上方へ乱反射することとなり、光学系への再入射が効果的に抑制される(図1参照)。
なお、凹凸面部35の断面形状は、上方(発光層部12とは反対側)に広がった鋸歯状としてもよい。この場合、多層膜部の各AlxGa(1−x)As層を形成するに際して、成膜方向(矢印E)にx=0.3〜0.5に変化させるAl混晶比とすればよい(図9参照)。
【0037】
[実施の形態5]
図11は本発明の実施の形態5の半導体レーザ素子の製造方法を説明する図であって、ウエットエッチング後の状態を示す断面図である。なお、図11において、実施の形態1〜4と同様の要素には同一の符号を付している。
【0038】
この実施の形態5では、上記実施の形態4で説明したように半導体ウエハ上の多層膜部33の各n型AlxGa(1−x)As層33aを成膜方向にx=0.5〜0.3で変化するAl混晶比で形成し、さらに発光層部12、p型電極、n型電極を形成し、n型電極上にエッチングマスク18を形成した半導体レーザウエハを作製する。そして、上記実施の形態3で説明したように、得られた半導体レーザウエハを、複数のレーザバーS2に分割し、レジスト3が塗布されたスライドガラス2上に各レーザバーS2を並べ、フッ化水素酸又はアンモニア系エッチャントを用いてウエットエッチングを行う。レーザバーS2のへき開面側に露出した多層膜部13をウエットエッチングすることにより、図11に示すように多層膜部33の光出射端面側に鋸歯状の凹凸面部35が形成される。その後、エッチングマスク18をレジスト剥離液で除去し、レーザバーS2を個々のチップサイズに分割することにより、本実施の形態5の半導体レーザ素子が完成する。
【0039】
[他の実施の形態]
1.上記実施の形態1〜5では、AlGaAs系の半導体レーザ素子において、活性層のAl混晶比を0.13〜0.14程度、クラッド層のAl混晶比を0.45〜0.60程度に設定しているが、Al混晶比は、活性層及びクラッド層とも0以上で、かつ、クラッド層のAl混晶比が活性層のAl混晶比よりも大きい範囲であれば、任意に設定することができる。また、AlGaAs系以外の半導体レーザ素子、例えばAlGaInP系や窒化物系等の他の化合物半導体素子についても同様である。
2.上記実施の形態1では、Al混晶比が異なる2種類の半導体層を交互に積層して多層膜部を形成した場合を例示したが、少なくとも隣接する半導体のAl混晶比が異なれば(好ましくは大きく異なれば)よく、3種類以上の半導体層を積層して多層膜部を形成することも可能である。
3.上記実施の形態1〜5の半導体レーザ素子では、発光層部の共振器長方向側の両端面のうち一方をレーザ光が出射する出射端面としたが、発光層部の他方の端面からもレーザ光を出射させ、その戻り光を他方の凹凸面部に再入射させて乱反射させることも可能である。
4.多層膜部の凹凸面形状は、上記実施の形態のごとく、断面形状が矩形凹凸状のみの場合、あるいは鋸歯状のみの場合以外にも、これら両方を組み合わせて複雑化させた形状でもよい。
【0040】
【発明の効果】
本発明の半導体レーザ素子によれば、光ディスク用ピックアップの光源として用いた場合に、レーザ光出射端面側の多層膜部の端面におけるレーザ戻り光が当たる部分、つまり多層膜部における活性層とは反対側の最も離れた位置の半導体層から活性層の厚み中心より多層膜部側の50μm以下の位置の間に、凹凸面部を有するため、この凹凸面部にレーザ戻り光を確実に当てることができ、凹凸面部に当たったレーザ戻り光を散乱(乱反射)させて光学系への再入射を大幅に軽減することができ、トラッキングやノイズなどの悪影響の発生を効果的に抑制することができる。
また、本発明の半導体レーザ素子の製造方法によれば、光ディスクのピックアップ用光源として用いることができ、かつ戻りレーザ光を素子端面の凹凸面部に当てて乱反射させることにより光学系への再入射を抑制し、トラッキングやノイズなどの悪影響の発生を効果的に抑制することができる上記半導体レーザ素子を製造することができる。また、多層膜部の成膜に際して、ウエットエッチングによってレーザ光出射端面側の多層膜部の端面におけるレーザ戻り光が当たる部分に凹凸面部を容易に形成することができる。また、従来の第1の方法のようにLPE法を用いることなく、MOCVD法、MBE法等の気相成長法を用いて多層膜部を成膜することができるため、製造工程を短縮することができると共に、良好な特性の半導体レーザ素子を歩留まりよく製造することができる。また、従来の第2の方法のように半導体レーザウエハが薄くなることや、第3の方法のように深さ制御及びダイシングによる機械的ストレスによって、ウエハ破損を生じるという問題を解消することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の半導体レーザ素子の概略構造を示す断面図であって、光ピックアップの光源として使用された状態を表す。
【図2】同実施の形態1の半導体レーザ素子の製造方法を説明する図であって、活性層を有する半導体レーザウエハを共振器長方向から見た断面図である。
【図3】図2の半導体レーザウエハの下面を所定厚みまで切削してn型電極を形成した状態を示す断面図である。
【図4】図3の半導体レーザウエハのp型電極上にエッチングマスクを形成した状態を共振器長方向と直交する方向から見た断面図である。
【図5】図4の半導体レーザウエハのマスク開口部からウエットエッチングを行った状態を示す断面図である。
【図6】フッ化水素酸とAlGaAsのエッチングレート混晶比依存性を表すグラフ図である。
【図7】本発明の実施の形態3の半導体レーザ素子の製造方法を説明する図であって、ウエットエッチング前の状態を表す。
【図8】同実施の形態3の製造方法においてウエットエッチング後の状態を示す断面図である。
【図9】本発明の実施の形態3の半導体レーザ素子の製造方法を説明する図であって、多層膜部の各半導体層における厚み方向のAl混晶比分布を表す。
【図10】同実施の形態4の製造方法において2段階目のウエットエッチング後の状態を示す断面図である。
【図11】本発明の実施の形態5の半導体レーザ素子の製造方法を説明する図であって、ウエットエッチング後の状態を示す断面図である。
【符号の説明】
11 活性層
11a レーザ光出射端面
12 発光層部
13、33 多層膜部
13a、33a AlxGa(1−x)As層(半導体層)
13b GaAs層(半導体層)
20、35 凹凸面部
A レーザ出射光
B レーザ戻り光
C 散乱光
D 共振器長方向
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体レーザ素子及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、レーザ戻り光対策に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、CD用、DVD用、MD用光ピックアップに用いられる半導体レーザ素子に対する需要は益々拡大してきており、それに伴って特性のばらつきが少なく、より信頼性に優れた半導体レーザ素子の要求が高まっている。また、コンピュータの情報記憶装置としてのCD−ROM、CD−R/RW等の光ピックアップに用いられる半導体レーザ素子に対する需要は今後もさらに拡大していくものと見込まれる。このようなレーザ光によって光ディスクの記録または再生を行う光ピックアップ等において、光源として半導体レーザ素子を組み込む場合には、光学系からの半導レーザ素子へのレーザ戻り光によってノイズが発生して種々の問題が生じることが知られている。すなわち、半導体レーザ素子においては、一般に、へき開により形成された鏡面を光出射側の素子端面に有するが、光学系からの戻り光がこの素子端面で反射されて再び光学系に入り込むことによりノイズが発生するのである。光学系からのレーザ戻り光が半導体レーザ素子へ再入射される位置は、一般的にレーザ光出射位置より約50〜80μm離れた位置といわれている。例えば、回析格子により3ビームを発生させる構成の光ピックアップの場合は、レーザ戻り光はレーザ光出射部の上下数十μmの位置に戻り、この戻り光が光出射側の素子端面で反射されて光学系に再び戻ると、トラッキングノイズの原因となる。
【0003】
このような問題を防ぐために、従来、以下のような方法が用いられている。
第1の方法は、レーザ活性層(レーザ発振面)と一方の電極が固定されるヒートシンクとの間の距離を10〜70μmとし、レーザ活性層と他方の電極との間の距離を40〜70μmとすることにより、3ビームのサイドビームが光出射側の素子端面に入射されない構造とするものである(例えば、特許文献1参照)。第2の方法は、半導体レーザ素子自体の厚みを薄くすることにより、3ビームのサイドビームが光出射側の素子端面に入射されない構造とするものである(例えば、特許文献2参照)。
第3の方法は、半導体レーザ素子においてサイドビームが戻ってくる位置の端面コート膜を充分反射率の低いものにしたり、あるいはサイドビームが戻ってくる位置に反射率が低い物質、光吸収率の高い物質、表面の荒れた薄膜を形成することにより、サイドビームが光出射側の素子端面に入射しても反射しないようにするものである(例えば、特許文献3、4、5参照)。
第4の方法は、半導体レーザ素子においてサイドビームが戻ってくる位置をダイシング又はエッチング等の方法によって粗面化することにより、半導体レーザ素子に戻ったサイドビームを乱反射させて再び光学系に戻らないようにするものである(例えば、特許文献6参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開昭62−52737号公報
【特許文献2】
特開昭61−24030号公報
【特許文献3】
特開昭62−18080号公報
【特許文献4】
特開平6−204609号公報
【特許文献5】
特開平6−302004号公報
【特許文献6】
特開昭61−128587号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来の方法には、以下のような問題点があった。
上記第1の方法では、レーザ活性層と他方の電極との間の膜厚の厚い層を形成するために主として液相エピタキシャル成長(LPE)法が用いられており、工程数が増加することや、LPE法は成長温度を比較的高温にする必要があるため、半導体レーザ素子の多層構造内で不純物の拡散が生じ、半導体レーザ素子特性を設計通りに作製するのが困難であり歩留りが低下するという問題があった。
上記第2の方法では、半導体レーザ素子の製造工程においてウエハが肉薄になるので、ウエハの強度が低下して製造工程中に破損が生じ易く、また取り扱いが困難であるため作業性も低下する。
上記第3の方法では、素子端面のレーザ光出射端面を除くレーザ戻り光が当たる部分のみに低光反射材料からなる膜を高精度に形成することが難しい。
上記第4の方法では、ダイシング加工により半導体ウエハの一部分を切削して光学的に粗い面を形成する。一般的にダイシングによる切削は、切削対象ウエハを支持シートに貼り付け、それをダイシング装置のステージ上にセットし切削を行う。切り込み深さの制御は、ステージ上を基準点(0点)とし、その基準点から上方何μmまでダイシングブレードを下降させるかによって制御している。従って、ダイシングブレードの下降位置が一定であっても、半導体ウエハの厚みばらつき及び支持シートの厚みばらつきによって、実際の切り込み深さがばらつく。このようにダイシング加工による切り込み深さの厳密な制御は困難であるため、戻り光の入射位置となる部分のみをカットするのは非常に困難であると共に、ダイシング加工は切削時の機械的ストレスが大きいため、切削時のウエハ破損が生じ易いという不具合もある。
【0006】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであり、光ピックアップ等の光源として組み込まれた場合に、光学系からの戻り光があってもノイズを生じない半導体レーザ素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かくして、本発明によれば、複数の半導体層が積層されてなる多層膜部と、この多層膜部に積層された活性層とを少なくとも備え、
前記多層膜部は、前記活性層のレーザ光出射端面側の端面に、活性層に対して垂直方向の断面形状が凹凸状の凹凸面部を有し、
凹凸面部は、多層膜部における活性層とは反対側の最も離れた位置の半導体層から活性層の厚み中心より多層膜部側の50μm以下の位置の間に、複数の凹部と凸部が交互に連設してなる半導体レーザ素子が提供される。
【0008】
ここで、本発明において、対象とする半導体レーザ素子としては、特に限定されるものではなく、各種発振波長の半導体レーザ素子に適用することができるが、レーザ光によって光ディスクの記録、消去あるいは再生を行う光ディスク用ピックアップの光源として用いられるものが好適である。例えば、AlGaAs系、
AlGaInP系、窒化物系等の半導体レーザ素子を挙げることができる。なお、半導体レーザ素子の具体的な構成について、詳しくは後述の実施の形態にて説明する。
【0009】
本発明の半導体レーザ素子によれば、光ディスク用ピックアップの光源として用いた場合に、レーザ光出射端面側の多層膜部の端面におけるレーザ戻り光が当たる部分、つまり多層膜部における活性層とは反対側の最も離れた位置の半導体層から活性層の厚み中心より多層膜部側の50μm以下の位置の間に、凹凸面部を有するため、この凹凸面部にレーザ戻り光を確実に当てることができ、凹凸面部に当たったレーザ戻り光を散乱(乱反射)させて光学系への再入射を大幅に軽減することができ、トラッキングやノイズなどの悪影響の発生を効果的に抑制することができる。
【0010】
本発明において、多層膜部は、次の(1)(2)のように構成することができる。
(1)多層膜部の少なくとも隣接する各半導体層は、所定のエッチング液に対してエッチング速度が異なる組成とする。具体的には、AlGaAs系の半導体レーザ素子の場合、多層膜部は、AlxGa(1−x)As層(0<x≦1)からなる半導体層とAlyGa(1−y)As層(y<x)からなる半導体層が交互に積層されてなる積層構造が挙げられる。この場合、x=0.4〜0.6が好ましく、x=0.45〜0.55がさらに好ましい。また、AlyGa(1−y)As層は、y=0とした場合、GaAs層とすることもできる。
(2)多層膜部の各半導体層は、その厚さ方向の組成分布が、所定のエッチング液に対してエッチング速度が異なるものとする。具体的には、AlGaAs系の半導体レーザ素子の場合、多層膜部は、AlxGa(1−x)As層からなる半導体層が複数積層されてなり、各半導体層は厚さ方向に好ましくはx=0.3〜0.5の組成分布で構成されているものが挙げられ、x=0.40から0.50がさらに好ましい。
【0011】
本発明は、上記構成(1)(2)の半導体レーザ素子を、次の▲1▼▲2▼の製造方法によりそれぞれ製造することができる。
▲1▼半導体ウエハの表面に複数の半導体層を積層して多層膜部を形成する工程(a)と、
前記多層膜部の表面に少なくとも活性層を積層して半導体レーザウエハを得る工程(b)と、
半導体レーザウエハの多層膜部側の裏面に、半導体レーザ素子のレーザ光出射端面相当位置にマスク開口部を有するエッチングマスクを形成する工程(c)と、
前記半導体レーザウエハの裏面における半導体レーザ素子のレーザ光出射端面相当位置を1段階目のウエットエッチングにより溝を形成し、その後2段階目のウエットエッチングによりこの溝の側面側に露出した多層膜部に、活性層に対して垂直方向の断面形状が凹凸状の凹凸面部を形成する工程(d)とを備え、
前記工程(d)は、多層膜部における活性層とは反対側の最も離れた位置の半導体層から活性層の厚み中心より多層膜部側の50μm以下の位置の間に、複数の凹部と凸部が交互に連設してなる前記凹凸面部を形成する半導体レーザ素子の製造方法。
▲2▼半導体ウエハの表面に複数の半導体層を積層して多層膜部を形成する工程(a)と、
前記多層膜部の表面に少なくとも活性層を積層して半導体レーザウエハを得る工程(b)と、
半導体レーザウエハの多層膜部側の裏面に、半導体レーザ素子のレーザ光出射端面相当位置にマスク開口部を有するエッチングマスクを形成する工程(c)と、
前記半導体レーザウエハを前記マスク開口部でへき開して複数のレーザバーに分割する工程(e)と、
前記レーザバーにおける活性層のレーザ光出射端面をレジスト膜で被覆した状態でウエットエッチングして、レーザ光出射端面側の多層膜部の端面に、活性層に対して垂直方向の断面形状が凹凸状の凹凸面部を形成する工程(f)とを備え、
前記工程(f)は、多層膜部における活性層とは反対側の最も離れた位置の半導体層から活性層の厚み中心より多層膜部側の50μm以下の位置の間に、複数の凹部と凸部が交互に連設してなる凹凸面部を形成する半導体レーザ素子の製造方法。
【0012】
つまり、上記製造方法▲1▼▲2▼は、工程(a)(b)(c)は同様であるが、工程(c)の後、製造方法▲1▼では、半導体レーザウエハを1段階目のウエットエッチングによりレーザ光出射端面相当位置に溝を形成し、その後2段階目のウエットエッチングにより溝の側面側に露出した多層膜部に凹凸面部を形成する。なお、その後従来公知の方法によって半導体レーザウエハの溝部分をへき開して複数のレーザバーに分割し、各レーザバーをチップサイズに切断して半導体レーザ素子を得ることができる。
これに対し、製造方法▲2▼では、工程(c)の後、先ず半導体レーザウエハのレーザ光出射端面相当位置を複数のレーザバーに分割し、ウエットエッチングにて各レーザバーの光出射端面側の端面における多層膜部部分に凹凸面部を形成する。なお、その後従来公知の方法によって各レーザバーをチップサイズに切断して半導体レーザ素子を得ることができる。なお、半導体レーザウエハを複数のレーザバーに分割する方法としては、主として物理的(機械的)な従来技術により行うことが効率的でよいが、化学的なウエットエッチングにて行うことも可能である。
【0013】
上記製造方法▲1▼によれば、ウェハプロセス時に凹凸面部を形成できるため作業性がよいという利点が得られ、上記製造方法▲2▼によれば、多層膜部が露出していることから多層膜部のエッチング制御が行い易いという利点が得られる。
【0014】
さらに、このような製造方法▲1▼▲2▼において、半導体ウエハの表面に複数の半導体層を積層して多層膜部を形成する方法(工程(a))は、従来公知の気相成長等(例えばMOCVD法、MBE法など)で成膜することができるが、この際、後工程で行うウエットエッチングの所定のエッチング液に対してエッチング速度が異なる組成の半導体層を隣接させて積層する方法(a−1)と、後工程で行うウエットエッチングの所定のエッチング液に対してエッチング速度が異なる厚さ方向の組成分布を有する半導体層を積層する方法(a−2)の何れかを選択することができる。
前記方法(a−1)として具体的には、AlGaAs系の半導体レーザ素子を製造する場合、AlxGa(1−x)As層(0<x≦1、好ましくはx=0.4〜0.6)からなる半導体層とAlyGa(1−y)As層(y<x)からなる半導体層を交互に積層して多層膜部を形成する。これにより、前記構成(1)の半導体レーザ素子を製造することができる。
一方、前記方法(a−2)として具体的には、AlGaAs系の半導体レーザ素子を製造する場合、AlxGa(1−x)As層(厚さ方向にx=0.3〜0.5の組成分布)からなる半導体層を複数積層して多層膜部を形成する。これにより、前記構成(2)の半導体レーザ素子を製造することができる。
【0015】
また、本発明の半導体レーザ素子の製造方法において、多層膜部の表面には活性層をエピタキシャル成長によって形成することができ、エピタキシャル成長に際しては、固相エピタキシー(SPE)、液相エピタキシー(LPE)、気相エピタキーシー(VPE)、分子線エピタキシー(MBE)などの方法を用いることができ、例えばAlGaAs系の半導体レーザ素子の場合はMOCVDが好ましい。
【0016】
本発明の半導体レーザ素子の製造方法によれば、光ディスクのピックアップ用光源として用いることができ、かつ戻りレーザ光を素子端面の凹凸面部に当てて乱反射させることにより光学系への再入射を抑制し、トラッキングやノイズなどの悪影響の発生を効果的に抑制することができる上記半導体レーザ素子を製造することができる。また、多層膜部の成膜に際して、前記方法(a−1)又は前記方法(a−2)を採用することにより、ウエットエッチングによってレーザ光出射端面側の多層膜部の端面におけるレーザ戻り光が当たる部分に凹凸面部を容易に形成することができる。また、従来の第1の方法のようにLPE法を用いることなく、MOCVD法、MBE法等の気相成長法を用いて多層膜部を成膜することができるため、製造工程を短縮することができると共に、良好な特性の半導体レーザ素子を歩留まりよく製造することができる。また、従来の第2の方法のように半導体レーザウエハが薄くなることや、第3の方法のように深さ制御及びダイシングによる機械的ストレスによって、ウエハ破損を生じるという問題を解消することが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る半導体レーザ素子及びその製造方法の実施の形態を図面に基づいて詳説する。なお、本発明は実施の形態に限定されるものではない。
【0018】
[実施の形態1]
図1は本発明の実施の形態1の半導体レーザ素子の概略構造を示す断面図であって、光ピックアップの光源として使用された状態を表し、図2は同実施の形態1の半導体レーザ素子の製造方法を説明する図であって、活性層を有する半導体レーザウエハを共振器長方向から見た断面図であり、図3は図2の半導体レーザウエハの下面を所定厚みまで切削してn型電極を形成した状態を示す断面図であり、図4は図3の半導体レーザウエハのp型電極上にエッチングマスクを形成した状態を共振器長方向と直交する方向から見た断面図であり、図5は図4の半導体レーザウエハのマスク開口部からウエットエッチングを行った状態を示す断面図であり、図6はフッ化水素酸とAlGaAsのエッチングレート混晶比依存性を表すグラフ図である。なお、図1において、矢印Aはレーザ出射光、矢印Bは光学系からのレーザ戻り光、矢印Cはレーザ戻り光が乱反射した散乱光、矢印Dは共振器長方向である。
【0019】
この実施の形態1の半導体レーザ素子10は、図1に示すように、活性層11を有する発光層部12と、発光層部12上に設けられ、複数の半導体層が積層されてなる多層膜部13と、発光層部12の下面側及び多層膜部13の上面側にそれぞれ形成された電極とを備え、発光層部12側が光ピックアップのサブマウント1上にダイボンドされて使用される。
【0020】
本実施の形態では、AlGaAs系の半導体レーザ素子の場合を例示しており、図1と図3を参照してその具体構成を説明する。
多層膜部13は、n型AlxGa(1−x)As層13a(x=0.4〜0.6)とn型GaAs層13bとが交互に積層されて厚みT1:30〜55μmに形成されてなる。なお、n型AlxGa(1−x)As層13a及びn型GaAs層13bは、その厚みがそれぞれ1μm以下である。
発光層部12は、多層膜部13側から順にn型GaAsバッファ層12a、n型Al0.5Ga0.5As第1クラッド層12b、Al0.14Ga0.86As活性層11、p型Al0.5Ga0.5As第2クラッド層12c、複数のリッジ状のp型 Al0.5Ga0.5As第3クラッド層12dが成膜され、リッジ状の各第3クラッド層12d間における2段階目クラッド層12c上にn型Al0.7Ga0.3As電流ブロック層12eが設けられ、さらにそれらの上にp型GaAsコンタクト層12fが設けられてなる。この発光層部12の厚みT2は25〜55μmである。
そして、多層膜部13には例えばAu−Geから成るn型電極14が積層され、発光層部12には例えばAu−Znから成るp型電極15が積層されて、全体としての厚みT3:85〜110μmの半導体レーザ素子10が構成されている。
【0021】
さらに、この半導体レーザ素子10は、活性層11のレーザ光出射端面11a側における多層膜部13の端面に、活性層に対して垂直方向の断面形状が凹凸状の凹凸面部20を有している。この凹凸面部20は、多層膜部13における活性層11とは反対側の最も離れた位置の半導体層(n型AlxGa(1−x)As層13a)から活性層11の厚み中心より多層膜部13側の所定寸法L1:50μm以下の位置の間に、複数の凹部と凸部が交互に連設してなる。つまり、活性層11の厚み中心から多層膜部13までの距離L2は50μm以下とされている。なお、半導体レーザ素子10のレーザ光出射端面11aとは反対の端面にも、半導体レーザ素子10の製造時に対称的に形成された同様の凹凸面部が設けられている。
【0022】
次に、この半導体レーザ素子10の製造方法について説明する。
図2に示すように、先ず、半導体ウエハであるn型GaAs基板16上に有機金属気相成長(MOCVD法)により、n型GaAsバッファ層17を成長させる。その後、MOCVD法により、膜厚1μm以下のn型AlxGa(1−x)As層13a(x=0.4〜0.6)と、膜厚1μm以下のn型GaAs層13bを上記厚みT1:30〜55μmとなるまで交互に積層して、多層膜部13を形成する(工程(a))。
【0023】
続いて、多層膜部13のn型GaAs層13b上に、n型GaAsバッファ層12a、n型Al0.5Ga0.5As第1クラッド層12b、Al0.14Ga0.86As活性層11、p型 Al0.5Ga0.5As第2クラッド層12c、p型Al0.5Ga0.5As第3クラッド層12dを成膜する。その後、第3クラッド層12dの表面にエッチングマスクをフォトグラフィー法により形成し、所定位置に配置されたマスク開口部から第3クラッド層12dにドライエッチング又はウエットエッチングを行って、複数のリッジ状に第3クラッド層12dを加工し、リッジ状の各第3クラッド層12d間における2段階目クラッド層28上にn型Al0.7Ga0.3As電流ブロック層12eを設ける。そして、さらに複数の第3クラッド層12d及び複数の電流ブロック層12e上にp型GaAsコンタクト層12fを設けて、全体の厚みT2が25〜55μmの発光層部12を形成する(工程(b))。このようにして得られた半導体レーザウエハW1は、その活性層11の厚み中心から多層膜部13までの厚みL2が50μm以下とされている。なお、発光層部12の各層はMOCVD法により成膜することができる。
【0024】
次いで、上記工程(a)(b)で得られた半導体レーザウエハW1(図1参照)の発光層部12のp型コンタクト層12fの表面全面にAnZn/Mo/Auから成るp型電極15を設け、その後、図3に示すように、後工程で行うレーザバーへの分割を容易とするために全体の厚みT3が85〜110μm程度となるまでn型GaAs基板16側をバックグラインダ等で研磨し、洗浄し、研磨した面にAuGeNi/Auから成るn型電極14を設ける。
【0025】
次に、図4に示すように、上記工程で得られた半導体レーザウエハW2(図3参照)の多層膜部13側を上に向け、n型電極14上における半導体レーザ素子のレーザ光出射端面相当位置にストレートなマスク開口部18aを有するエッチングマスク18をフォトリソグラフィー法にて形成する(工程(c))。
【0026】
次に、図4の状態の半導体レーザウエハW3において、マスク開口部18a(光出射面相当位置の直上)のn型電極14を、ヨウ素系のエッチング液によりウェットエッチングして除去する。そして、図5に示すように、硫酸系又はリン酸系のエッチャントを用いた1段階目のウエットエッチングにより溝19を形成する。この溝19の最深部の位置は、活性層11の厚み中心から多層膜部13側へ50μm(寸法L1)離なれた位置よりも活性層11側まで達しており、本実施の形態の場合、溝19の最深部の位置は発光層部12のn型GaAsバッファ層12aまで達している。これにより、溝19の側面には多層膜部13の異なるエッチングレートのn型AlxGa(1−x)As層13a、13a、…とn型GaAs層13b、13b、…が露出する。その後、フッ化水素酸を用いた2段階目のウエットエッチングを行って、溝19の側面における多層膜部13部分に、活性層11に対して垂直方向の断面形状が凹凸状の凹凸面部20を形成する(工程(d))。このとき、図6に示すように、フッ化水素酸は一般的にAl混晶比xが大きいほどエッチングレートが速くなるため、フッ化水素酸でウエットエッチングを行うと、n型GaAs層13bはエッチングされずにn型AlxGa(1−x)As層13a(x=0.4〜0.6)のみがエッチングされるため、各n型AlxGa(1−x)As層13aが凹部となり、各n型GaAs層13bが凸部となった凹凸面部20が溝19内に形成される。
【0027】
その後、前記工程(d)にて得られた半導体レーザウエハW4のエッチングマスク(レジストパターン)18をレジスト剥離液で除去し、半導体レーザ素子の光出射端面相当位置である溝19でへき開することにより、半導体レーザ素子を複数含むレーザバーを得る。続いて、得られたレーザバーの両側のへき開面を非対称にコーティングして一方のへき開面側の発光層部12の端面をレーザ光出射端面11aとし、このレーザバーを物理的な従来技術により個々のチップサイズに分割することにより、図1に示すような本実施の形態1の半導体レーザ素子10が完成する。
【0028】
このようにして製造された半導体レーザ素子10は、その光出射端面側の多層膜部13の端面が、厚み方向の断面形状が連続した矩形凹凸状の凹凸面部20を有するため、この凹凸面部20に入射したレーザ戻り光Bは乱反射することとなり、光学系への再入射が十分に抑制される(図1参照)。
なお、上記実施の形態1では、AlxGa(1−x)As層(x=0.4〜0.6)とn型GaAs層を交互に積層した構造になっているが、GaAs層をAlyGa(1−y)As層(y<x)としてもよい。
【0029】
[実施の形態2]
上記実施の形態1では、2段階目のウエットエッチングに際して、フッ化水素酸を使用したが、実施の形態2の半導体レーザ素子の製造方法においては、フッ化水素酸の代わりにアンモニア系エッチャントを用いる。このアンモニア系エッチャントとしては、例えばNH4OH(28vol%):H2O2(31vol%):H2O=1:30:50体積比)を用いることができる。このアンモニア系エッチャントを第2のウエットエッチングで用いた場合、溝19内(図5参照)に露出しているn型GaAs層13bのみエッチングされ、n型AlxGa(1−x)As層13a(x=0.4〜0.6)はエッチングされないため、n型GaAs層13bが凹部となりn型AlxGa(1−x)As層13aが凸部となった凹凸面部が形成される。なお、アンモニア系エッチャントを使用した場合、n型GaAs層13bをn型AlyGa(1−y)As層(y=0〜0.3)としてもよい。
【0030】
[実施の形態3]
図7は本発明の実施の形態3の半導体レーザ素子の製造方法を説明する図であって、ウエットエッチング前の状態を表し、図8は同実施の形態3の製造方法においてウエットエッチング後の状態を示す断面図である。なお、図8において、実施の形態1と同様の要素には同一の符号を付している。
【0031】
この実施の形態3は、上記実施の形態1で説明したエッチングマスクの形成工程(c)までは同様であるが、その後の工程が異なる。
つまり、図4に示した半導体レーザウエハW3を得た後、半導体レーザ素子の光出射端面相当位置に形成されたマスク開口部18aに沿って半導体レーザウエハW3をへき開して複数のレーザバーに分割する。この場合、へき開を容易とするために、前工程にて全体の厚みT3が85〜110μm程度となるまでn型GaAs基板側をバックグラインダ等で予め研磨しておくことが望ましい。これにより、レーザバーのへき開面側には、エッチングレートの異なるn型AlxGa(1−x)As層13a(x=0.4〜0.6)とn型GaAs層13bが交互に積層した多層膜部13が露出する(図8参照)。
【0032】
次いで、図7に示すように、スライドガラス2上にレジスト3を所定の厚みに塗布し、各レーザバーS1を、発光層部12側を下にしてスライドガラス2上に並べる。これにより、レーザバーS1はスライドガラス2上に塗布されたレジスト3により発光層部12のみ被覆される。その後、フッ化水素酸又はアンモニア系エッチャントを用いて、へき開面側に露出した多層膜部13をウエットエッチングすることにより、図8に示すように多層膜部13の光出射端面側に凹凸面部20を形成する。その後、エッチングマスク18をレジスト剥離液で除去し、レーザバーS1を個々のチップサイズに分割することにより、本実施の形態3の半導体レーザ素子が完成する。
【0033】
[実施の形態4]
図9は本発明の実施の形態3の半導体レーザ素子の製造方法を説明する図であって、多層膜部の各半導体層における厚み方向のAl混晶比分布を表し、図10は同実施の形態4の製造方法において2段階目のウエットエッチング後の状態を示す断面図である。なお、図9において、矢印Eは成膜方向を表している。また、図10において、実施の形態1と同様の要素には同一の符号を付している。
【0034】
この実施の形態4では、半導体ウエハ上に複数の半導体層を積層して多層膜部を形成するに際して、図9に示すように、各半導体層中の成膜方向(矢印E)のAl混晶比を変化させる。具体的には、n型GaAs基板上に、n型GaAsバッファ層17を積層し、その後、1〜5μm程度のn型AlxGa(1−x)As層33aを成膜方向(矢印E)にx=0.3〜0.5又は0.5〜0.3の混晶比分布を持たせて複数層を積層して多層膜部33を形成する。本実施の形態4の場合、多層膜部33の形成に際しては、MOCVD法により1層のn型AlxGa(1−x)As層33aを成膜する間に、成膜するに伴ってx=0.5〜0.3に変化させるべく原料ガス中のAl、Ga、Asの割合を制御する。その後は、実施の形態1と同様に多層膜部33上にn型GaAsバッファ層12a、n型Al0.5Ga0.5As第1クラッド層、Al0.14Ga0.86As活性層等を順次形成して発光層部を形成し、表裏両面にp型電極及びn型電極を設けて半導体レーザウエハを形成すればよい。
【0035】
その後、得られた半導体レーザウエハの多層膜部33側を上に向けて、n型電極上に半導体レーザ素子のレーザ光出射端面相当位置にマスク開口部を有するエッチングマスクを形成する。次いで、図10に示すように、マスク開口部から1段階目のウエットエッチングを行って半導体レーザウエハW5に溝34を形成する。このとき、溝34の最深部の位置が、活性層11の厚み中心から多層膜部33側へ寸法L1:50μm離なれた位置よりも活性層11側まで達する。その後、溝34内に2段階目のウエットエッチングを行うことにより、露出した多層膜部33の各n型AlxGa(1−x)As層33a(x=0.5〜0.3)は、その厚み方向の発光層12側(x=0.3)よりもその反対側(x=0.5)の方がエッチングレートが速いため、活性層11に対して垂直方向の断面形状が下方(発光層部12側)に広がった鋸歯状の凹凸面部35が形成される。
【0036】
このようにして製造された半導体レーザ素子は、その光出射端面側の多層膜部33の端面が、厚み方向の断面形状が下方に広がった鋸歯状の凹凸面部35を有するため、この凹凸面部35に入射したレーザ戻り光は主として活性層11とは反対側の斜め上方へ乱反射することとなり、光学系への再入射が効果的に抑制される(図1参照)。
なお、凹凸面部35の断面形状は、上方(発光層部12とは反対側)に広がった鋸歯状としてもよい。この場合、多層膜部の各AlxGa(1−x)As層を形成するに際して、成膜方向(矢印E)にx=0.3〜0.5に変化させるAl混晶比とすればよい(図9参照)。
【0037】
[実施の形態5]
図11は本発明の実施の形態5の半導体レーザ素子の製造方法を説明する図であって、ウエットエッチング後の状態を示す断面図である。なお、図11において、実施の形態1〜4と同様の要素には同一の符号を付している。
【0038】
この実施の形態5では、上記実施の形態4で説明したように半導体ウエハ上の多層膜部33の各n型AlxGa(1−x)As層33aを成膜方向にx=0.5〜0.3で変化するAl混晶比で形成し、さらに発光層部12、p型電極、n型電極を形成し、n型電極上にエッチングマスク18を形成した半導体レーザウエハを作製する。そして、上記実施の形態3で説明したように、得られた半導体レーザウエハを、複数のレーザバーS2に分割し、レジスト3が塗布されたスライドガラス2上に各レーザバーS2を並べ、フッ化水素酸又はアンモニア系エッチャントを用いてウエットエッチングを行う。レーザバーS2のへき開面側に露出した多層膜部13をウエットエッチングすることにより、図11に示すように多層膜部33の光出射端面側に鋸歯状の凹凸面部35が形成される。その後、エッチングマスク18をレジスト剥離液で除去し、レーザバーS2を個々のチップサイズに分割することにより、本実施の形態5の半導体レーザ素子が完成する。
【0039】
[他の実施の形態]
1.上記実施の形態1〜5では、AlGaAs系の半導体レーザ素子において、活性層のAl混晶比を0.13〜0.14程度、クラッド層のAl混晶比を0.45〜0.60程度に設定しているが、Al混晶比は、活性層及びクラッド層とも0以上で、かつ、クラッド層のAl混晶比が活性層のAl混晶比よりも大きい範囲であれば、任意に設定することができる。また、AlGaAs系以外の半導体レーザ素子、例えばAlGaInP系や窒化物系等の他の化合物半導体素子についても同様である。
2.上記実施の形態1では、Al混晶比が異なる2種類の半導体層を交互に積層して多層膜部を形成した場合を例示したが、少なくとも隣接する半導体のAl混晶比が異なれば(好ましくは大きく異なれば)よく、3種類以上の半導体層を積層して多層膜部を形成することも可能である。
3.上記実施の形態1〜5の半導体レーザ素子では、発光層部の共振器長方向側の両端面のうち一方をレーザ光が出射する出射端面としたが、発光層部の他方の端面からもレーザ光を出射させ、その戻り光を他方の凹凸面部に再入射させて乱反射させることも可能である。
4.多層膜部の凹凸面形状は、上記実施の形態のごとく、断面形状が矩形凹凸状のみの場合、あるいは鋸歯状のみの場合以外にも、これら両方を組み合わせて複雑化させた形状でもよい。
【0040】
【発明の効果】
本発明の半導体レーザ素子によれば、光ディスク用ピックアップの光源として用いた場合に、レーザ光出射端面側の多層膜部の端面におけるレーザ戻り光が当たる部分、つまり多層膜部における活性層とは反対側の最も離れた位置の半導体層から活性層の厚み中心より多層膜部側の50μm以下の位置の間に、凹凸面部を有するため、この凹凸面部にレーザ戻り光を確実に当てることができ、凹凸面部に当たったレーザ戻り光を散乱(乱反射)させて光学系への再入射を大幅に軽減することができ、トラッキングやノイズなどの悪影響の発生を効果的に抑制することができる。
また、本発明の半導体レーザ素子の製造方法によれば、光ディスクのピックアップ用光源として用いることができ、かつ戻りレーザ光を素子端面の凹凸面部に当てて乱反射させることにより光学系への再入射を抑制し、トラッキングやノイズなどの悪影響の発生を効果的に抑制することができる上記半導体レーザ素子を製造することができる。また、多層膜部の成膜に際して、ウエットエッチングによってレーザ光出射端面側の多層膜部の端面におけるレーザ戻り光が当たる部分に凹凸面部を容易に形成することができる。また、従来の第1の方法のようにLPE法を用いることなく、MOCVD法、MBE法等の気相成長法を用いて多層膜部を成膜することができるため、製造工程を短縮することができると共に、良好な特性の半導体レーザ素子を歩留まりよく製造することができる。また、従来の第2の方法のように半導体レーザウエハが薄くなることや、第3の方法のように深さ制御及びダイシングによる機械的ストレスによって、ウエハ破損を生じるという問題を解消することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の半導体レーザ素子の概略構造を示す断面図であって、光ピックアップの光源として使用された状態を表す。
【図2】同実施の形態1の半導体レーザ素子の製造方法を説明する図であって、活性層を有する半導体レーザウエハを共振器長方向から見た断面図である。
【図3】図2の半導体レーザウエハの下面を所定厚みまで切削してn型電極を形成した状態を示す断面図である。
【図4】図3の半導体レーザウエハのp型電極上にエッチングマスクを形成した状態を共振器長方向と直交する方向から見た断面図である。
【図5】図4の半導体レーザウエハのマスク開口部からウエットエッチングを行った状態を示す断面図である。
【図6】フッ化水素酸とAlGaAsのエッチングレート混晶比依存性を表すグラフ図である。
【図7】本発明の実施の形態3の半導体レーザ素子の製造方法を説明する図であって、ウエットエッチング前の状態を表す。
【図8】同実施の形態3の製造方法においてウエットエッチング後の状態を示す断面図である。
【図9】本発明の実施の形態3の半導体レーザ素子の製造方法を説明する図であって、多層膜部の各半導体層における厚み方向のAl混晶比分布を表す。
【図10】同実施の形態4の製造方法において2段階目のウエットエッチング後の状態を示す断面図である。
【図11】本発明の実施の形態5の半導体レーザ素子の製造方法を説明する図であって、ウエットエッチング後の状態を示す断面図である。
【符号の説明】
11 活性層
11a レーザ光出射端面
12 発光層部
13、33 多層膜部
13a、33a AlxGa(1−x)As層(半導体層)
13b GaAs層(半導体層)
20、35 凹凸面部
A レーザ出射光
B レーザ戻り光
C 散乱光
D 共振器長方向
Claims (9)
- 複数の半導体層が積層されてなる多層膜部と、この多層膜部に積層された活性層とを少なくとも備え、
前記多層膜部は、前記活性層のレーザ光出射端面側の端面に、活性層に対して垂直方向の断面形状が凹凸状の凹凸面部を有し、
凹凸面部は、多層膜部における活性層とは反対側の最も離れた位置の半導体層から活性層の厚み中心より多層膜部側の50μm以下の位置の間に、複数の凹部と凸部が交互に連設してなることを特徴とする半導体レーザ素子。 - 多層膜部の少なくとも隣接する各半導体層は、所定のエッチング液に対してエッチング速度が異なる組成である請求項1に記載の半導体レーザ素子。
- 多層膜部は、AlxGa(1−x)As層(0<x≦1)からなる半導体層とAlyGa(1−y)As層(y<x)からなる半導体層が交互に積層されてなる請求項2に記載の半導体レーザ素子。
- 多層膜部の各半導体層は、その厚さ方向の組成分布が、所定のエッチング液に対してエッチング速度が異なる請求項1に記載の半導体レーザ素子。
- 多層膜部は、AlxGa(1−x)As層からなる半導体層が複数積層されてなり、各半導体層は厚さ方向にx=0.3〜0.5の組成分布で構成されている請求項4に記載の半導体レーザ素子。
- 半導体ウエハの表面に複数の半導体層を積層して多層膜部を形成する工程(a)と、
前記多層膜部の表面に少なくとも活性層を積層して半導体レーザウエハを得る工程(b)と、
半導体レーザウエハの多層膜部側の裏面に、半導体レーザ素子のレーザ光出射端面相当位置にマスク開口部を有するエッチングマスクを形成する工程(c)と、
前記半導体レーザウエハの裏面における半導体レーザ素子のレーザ光出射端面相当位置を1段階目のウエットエッチングにより溝を形成し、その後2段階目のウエットエッチングによりこの溝の側面側に露出した多層膜部に、活性層に対して垂直方向の断面形状が凹凸状の凹凸面部を形成する工程(d)とを備え、
前記工程(d)は、多層膜部における活性層とは反対側の最も離れた位置の半導体層から活性層の厚み中心より多層膜部側の50μm以下の位置の間に、複数の凹部と凸部が交互に連設してなる前記凹凸面部を形成することを特徴とする半導体レーザ素子の製造方法。 - 半導体ウエハの表面に複数の半導体層を積層して多層膜部を形成する工程(a)と、
前記多層膜部の表面に少なくとも活性層を積層して半導体レーザウエハを得る工程(b)と、
半導体レーザウエハの多層膜部側の裏面側に、半導体レーザ素子のレーザ光出射端面相当位置にマスク開口部を有するエッチングマスクを形成する工程(c)と、
前記半導体レーザウエハを前記マスク開口部でへき開して複数のレーザバーに分割する工程(e)と、
前記レーザバーにおける活性層のレーザ光出射端面をレジスト膜で被覆した状態でウエットエッチングして、レーザ光出射端面側の多層膜部の端面に、活性層に対して垂直方向の断面形状が凹凸状の凹凸面部を形成する工程(f)とを備え、
前記工程(f)は、多層膜部における活性層とは反対側の最も離れた位置の半導体層から活性層の厚み中心より多層膜部側の50μm以下の位置の間に、複数の凹部と凸部が交互に連設してなる凹凸面部を形成することを特徴とする半導体レーザ素子の製造方法。 - 工程(a)は、所定のエッチング液に対してエッチング速度が異なる組成の半導体層を隣接させて積層する請求項6又は7に記載の半導体レーザ素子の製造方法。
- 工程(a)は、所定のエッチング液に対してエッチング速度が異なる厚さ方向の組成分布を有する半導体層を積層する請求項6又は7に記載の半導体レーザ素子の製造方法。
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