JP2004348110A - 画像表示媒体および画像形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 光照射による書き換え型の画像表示媒体に対する、高精細・高品質のカラー画像形成において、画像形成時間の短縮と、形成画像の発色保持性確保を可能とするような画像表示媒体および画像形成方法を提供することを目的とするものであり、より具体的にはそのために画像形成における消色行程の消色感度の大小を切り替えることが可能な画像表示媒体および画像形成方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 少なくともフォトクロミック化合物と電子受容性化合物を含むマイクロカプセルを含有する感光層を支持基板上に形成した画像表示媒体であって、該電子受容性化合物がルイス酸化合物であり、ルイス酸部位を除く長鎖構造部位の炭素数が12以上であることを特徴とする画像表示媒体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、画像表示媒体および画像形成方法に関し、詳しくは、光照射により画像を繰り返し形成することが可能な画像表示媒体および画像形成方法に関するものである。
光照射により可逆的な色変化を示すフォトクロミック化合物を用いた書き換え型の表示媒体に関する提案は以前からなされてはいるが、カラー画像を何度も書き換えできる実用的な表示媒体および方法に関する提案は未だ見あたらない。
フォトクロミック化合物を用いてカラー画像を形成する方法としては、例えば特許文献1において、254nmの紫外光照射で黄橙色、313nmの紫外光照射で赤色、365nmの紫外光照射で青紫色に発色するフォトクロミック性ジアリールエテン化合物を3種類混合して、それぞれの波長の紫外光を照射する方法が提案されている。フルカラー画像を形成するためには3原色(青、緑、赤またはイエロー、マゼンタ、シアン)を発色する3種類以上のフォトクロミック化合物の消・発色を光で制御しなければならないが、上記の方法では3種類の紫外光波長域によって各材料の発色の有無が選択できることが必要であり、つまり紫外域での吸収帯に重なりがない3種類以上のフォトクロミック化合物が必要であり、さらにそれらの化合物が発色状態において上記3原色を示さなければならないが、そのような化合物の系は実際には見あたらない。また、実用化には発色特性だけではなく、繰り返し耐久性、熱・湿安定性なども考慮しなければならず、これらの全てを満たす材料を開発するのは大変困難である。
また、特許文献2においては、発色状態でイエロー、マゼンタ、シアンを示す3種類のフォトクロミック性フルギド化合物に対して、366nmの紫外光で全フォトクロミック化合物を発色させた後にカラーポジフィルム越しに白色光を照射することにより、各フォトクロミック性フルギド化合物を必要に応じて選択的に消色してカラー画像を得る方法が提案されている。この方法では、紫外光源が1種類だけで対応できるという利点があるものの、形成したい画像のカラーポジフィルムが必要であり、その都度これを準備するのは全く実際的でなく、近年のオフィスワークにおけるカラー画像出力に用いるには全く適切ではない。これらを含め、関連の提案、つまりフォトクロミック化合物を用いた書き換え型の表示媒体および方法に関する提案については、カラー画像を対象とした実用的なものは未だ見あたらない。
このような状況および問題を鑑みて、本発明者らは先に、発色状態における極大吸収波長が異なる複数のフォトクロミック化合物を含む感光層を支持基板上に形成した画像表示媒体に、高精細な多色画像を簡単に繰り返し形成する方法および装置に関するいくつかの提案をしてきており(例えば特許文献3及び特許文献4参照)、それらの提案のなかには、画像を形成する時間と、形成後の画像の発色保持性に関するさらなる改善のための提案もあった。すなわち、画像形成においては、紫外光照射によって感光層に含有される全種類のフォトクロミック化合物を発色させた後、発色した各々のフォトクロミック化合物の極大吸収波長に対応した波長域の可視光をそれぞれ所定の領域に照射して各フォトクロミック化合物を選択的に消色することにより、多色画像を形成する方法がある。しかしこの方法では、可視光による消色工程に比較的多くの時間を要する場合が多く、この点からは消色感度が大きいフォトクロミック化合物を用いることが望まれるが、一方形成後の画像が照明下で観察される場合の発色保持性の点からは、消色感度が小さいフォトクロミック化合物を用いることが望まれることとなる。このように、画像形成時間の短縮と、形成画像の発色保持性確保という2つの課題は、フォトクロミック化合物の消色感度に関して相反する特性を要求するものであり、前記2つの課題を考慮したより好ましい改善のためには、画像を形成するときのみ一時的にフォトクロミック化合物の消色感度を増大させ、画像形成後は消色感度を減少させるという、消色感度の制御技術が必要となったのである。
これに対して本発明者らは、フォトクロミック化合物と電子受容性化合物の相互作用を簡単な熱処理で切り替えることにより、フォトクロミック化合物の消色感度を切り替える技術を見出し、上述の画像表示媒体、画像形成方法および画像形成装置に展開させて提案してきたが、技術的検討の進展に伴い、重要な要素であるフォトクロミック化合物と電子受容性化合物の相互作用が、場合によってはバインダー材などの他の媒体構成要素により好ましくない影響を受ける可能性があることがわかってきた。
特開平5−271649号公報 特開平7−199401号公報 特願2002−37944号公報 特願2002−117934号公報
本発明は、光照射による書き換え型の画像表示媒体に対する、高精細・高品質のカラー画像形成において、画像形成時間の短縮と、形成画像の発色保持性確保を可能とするような画像表示媒体および画像形成方法を提供することを目的とするものであり、より具体的にはそのために画像形成における消色行程の消色感度の大小を切り替えることが可能な画像表示媒体および画像形成方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記のような状況および問題を鑑みて鋭意研究した結果、本発明に到ったものである。
本発明は下記(1)〜(14)の構成よりなる。
(1) 少なくともフォトクロミック化合物と電子受容性化合物を含むマイクロカプセルを含有する感光層を支持基板上に形成した画像表示媒体であって、該電子受容性化合物がルイス酸化合物であり、ルイス酸部位を除く長鎖構造部位の炭素数が12以上であることを特徴とする画像表示媒体。
(2) 前記フォトクロミック化合物がフルギド系化合物であることを特徴とする前記(1)に記載の画像表示媒体。
(3) 前記感光層が、少なくともマイクロカプセルとバインダー材からなることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の画像表示媒体。
(4) 前記マイクロカプセル中に赤外吸収色素が含まれることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の画像表示媒体。
(5) 前記感光層が、少なくともマイクロカプセルとバインダー材と赤外吸収色素とからなることを特徴とする前記(3)に記載の画像表示媒体。
(6) さらに感光層と支持基板の間あるいは感光層の上に、赤外吸収色素を含む発熱層を設けることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の画像表示媒体。
(7) 前記フォトクロミック化合物として発色状態における極大吸収波長が異なる2種類以上のフォトクロミック化合物を用いることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の画像表示媒体。
(8) 前記フォトクロミック化合物として、発色状態における極大吸収波長が400nm以上500nm未満の範囲にあるフォトクロミック化合物(A)と、発色状態における極大吸収波長が500nm以上600nm未満の範囲にあるフォトクロミック化合物(B)と、発色状態における極大吸収波長が600nm以上700nm未満の範囲にあるフォトクロミック化合物(C)をすべて用いることを特徴とする前記(7)に記載の画像表示媒体。
(9) マイクロカプセルが、フォトクロミック化合物として上記(A)のみを含むマイクロカプセルと、フォトクロミック化合物として上記(B)のみを含むマイクロカプセルと、フォトクロミック化合物として上記(C)のみを含むマイクロカプセルからなることを特徴とする前記(8)に記載の画像表示媒体。
(10) 感光層あるいは発熱層の表面に保護層を設けることを特徴とする前記(1)〜(9)のいずれか一項に記載の画像表示媒体。
(11) 前記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の画像表示媒体およびそれらの感光層あるいは発熱層の表面に保護層を形成した画像表示媒体に対し、少なくとも紫外光照射によって感光層に含有されるフォトクロミック化合物を発色させる工程、電子受容性化合物の溶融温度以上の温度に加熱する工程、発色したフォトクロミック化合物の極大吸収波長に対応した波長域の可視光を所定の領域に照射して消色する工程、および電子受容性化合物の溶融温度以下の温度に加熱する工程を施すことを特徴とする画像形成方法。
(12) 前記(4)〜(6)のいずれか一項に記載の画像表示媒体およびそれらの感光層あるいは発熱層の表面に保護層を形成した画像表示媒体に対する加熱方法が赤外光照射であることを特徴とする前記(11)に記載の画像形成方法。
(13) 前記(7)〜(9)のいずれか一項に記載の画像表示媒体およびそれらの感光層あるいは発熱層の表面に保護層を形成した画像表示媒体に対し、少なくとも紫外光照射によって感光層に含有される全種類のフォトクロミック化合物を発色させる工程、電子受容性化合物の溶融温度以上の温度に加熱する工程、発色した各々のフォトクロミック化合物の極大吸収波長に対応した波長域の可視光をそれぞれ所定の領域に照射して各フォトクロミック化合物を選択的に消色する工程、および電子受容性化合物の溶融温度以下の温度に加熱する工程を施すことを特徴とする画像形成方法。
(14) 前記加熱方法が赤外光照射であることを特徴とする前記(13)に記載の画像形成方法。
本発明の請求項1および2の構成とすることにより、フルギド系化合物と電子受容性化合物との相互作用を疎外し得る他の媒体構成要素の影響を排除し、確実な両化合物の相互作用の制御が可能となり、結果として消色感度の可逆切り替えが可能な画像表示媒体が得られる。
請求項3の構成とすることにより、マイクロカプセル相互、およびマイクロカプセルと支持基板との付着性が向上し、膜としての物理強度が大きな感光層、そして画像表示媒体が得られる。
請求項4の構成とすることにより、光照射処理のみで消色感度の可逆制御が可能な画像表示媒体が得られる。また赤外吸収色素がフルギド系化合物および電子受容性化合物とともにマイクロカプセル中に存在するため、赤外吸収色素の発熱により効率的な熱処理が可能となる。
請求項5の構成とすることにより、光照射処理のみで消色感度の可逆制御が可能な画像表示媒体が得られる。マイクロカプセルの形成に関する制約が少なく自由度が大きい。
請求項6の構成とすることにより、光照射処理のみで消色感度の可逆制御が可能な画像表示媒体が得られる。マイクロカプセルの形成および感光層の形成に関する制約が少なく自由度が大きい。
請求項7の構成とすることにより、多色表示が可能であり、かつ消色感度の可逆制御が可能な画像表示媒体が得られる。
請求項8の構成とすることにより、広い色相範囲での色表現が可能で、かつ消色感度の可逆制御が可能となり、画像形成時間の短縮と、形成画像の発色保持性確保の両立が可能となる。
請求項9の構成とすることにより、用いる各フルギド系化合物ごとに消色感度の変化程度の調整が可能になる。
請求項10の構成とすることにより、物理的および化学的に、画像表示媒体としての耐久性が向上する。
請求項11の構成とすることにより、消色感度の可逆制御が可能となり、画像形成時間の短縮と、形成画像の発色保持性確保の両立が可能となる。
請求項12の構成とすることにより、光照射処理のみで消色感度の可逆制御が可能となり、画像形成時間の短縮と、形成画像の発色保持性確保の両立が可能となる。
請求項13の構成とすることにより、多色表示が可能で、かつ消色感度の可逆制御が可能となり、画像形成時間の短縮と、形成画像の発色保持性確保の両立が可能となる。
請求項14の構成とすることにより、多色表示が可能で、かつ光照射処理のみで消色感度の可逆制御が可能となり、画像形成時間の短縮と、形成画像の発色保持性確保の両立が可能となる。
まず、本発明が関わるところの、フォトクロミック化合物を含む感光層を基板上に形成した画像表示媒体、およびそれに対して光照射によりカラー画像を形成する方法について説明する。
ここで用いられる画像表示媒体が、発色状態における極大吸収波長が異なる、つまり発色状態において認識される色が異なる、2種類以上のフォトクロミック化合物を含む感光層を支持基板上に形成して作製される場合について説明する。このような画像表示媒体に紫外光照射することによって、感光層に含有される全種類のフォトクロミック化合物を発色させた後、発色した各々のフォトクロミック化合物の可視域吸収帯に対応した波長域(極大吸収波長付近の波長域)の光をそれぞれ所定の領域に照射して対応する特定のフォトクロミック化合物を選択的に消色することにより、所望のカラー画像が得られる(図1参照)。
もう少し詳しく説明すれば、発色状態における極大吸収波長が異なるということは、つまり認識される色が異なるということであり、この極大吸収波長は、表示に用いたい色に対応して設定されればよく、また該フォトクロミック化合物の種類も、表示に用いたい色の数に対応して設定されればよい。発色状態における極大吸収波長が400〜500nmの範囲にあるフォトクロミック化合物と、発色状態における極大吸収波長が500〜600nmの範囲にあるフォトクロミック化合物と、発色状態における極大吸収波長が600〜700nmの範囲にあるフォトクロミック化合物をすべて含有するもので感光層を構成すれば、発色状態において認識される色はそれぞれ、ほぼイエロー、マゼンタ、シアンに相当し、これらにより3原色が構成される。さらに、例えば可視光照射工程で各フォトクロミック化合物の消色の程度を調整することで、各フォトクロミック化合物により得られる色の濃度を制御することが可能なので、前述の画像表示方法により色再現範囲が広い多色表示が可能となる。
以上は、発色状態における極大吸収波長が異なる、2種類以上のフォトクロミック化合物を含む感光層からなる画像表示媒体に対して画像を形成する場合について述べた。1種類のフォトクロミック化合物のみを含む感光層からなる画像表示媒体を対象とする場合は、発色の色相は1つでその濃度が異なる、いわゆるモノクロ画像が形成されることになるが、その感光層に含まれるフォトクロミック化合物の発色の程度を制御して画像を形成するという基本的な方法については上述のカラー画像の形成の場合と同様である。
感光層に含有させるフォトクロミック化合物としては、熱不可逆型のフルギド系化合物、ジアリールエテン系化合物、熱可逆型のスピロピラン系化合物、スピロオキサジン系化合物等を始めとするフォトクロミック性を示す化合物が用いられるが、熱不可逆型の化合物を用いることが好ましい。感光層を構成する材料としては該フォトクロミック化合物のほかに、バインダー材料があるが、該フォトクロミック化合物のフォトクロミズム機能に悪影響を与えることがなく、また該フォトクロミック化合物と相溶性が良く、成膜可能であり、硬化後の透明性に優れる樹脂材料を用いることが好ましい。このような材料として、例えば、ポリスチレン、ポリエステル、ポリメタクリル酸メチル、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニルなどが挙げられる。
支持基板の材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネートなどのような透明材料、および紙などの不透明材料が挙げられる。
感光層を形成する方法としては塗布法のほかに蒸着法も挙げられるが、塗布法が簡便であり、該フォトクロミック化合物とバインダー材料をともに溶媒に溶かして、印刷法、スピンコート法などの方法により塗布し、乾燥して成膜すればよい。感光層は、各色に発色するフォトクロミック化合物全てをバインダー材料とともに均一に混合して単一層としても良いし、各フォトクロミック化合物とバインダー材料とからなる層を積層して複数層としてもよい。
本発明は、以上に述べたフォトクロミック化合物を含む感光層を基板上に形成した画像表示媒体、およびそれに対して光照射により画像を形成する方法をもとに、上述の課題すなわち「画像形成時間の短縮」と「形成画像の発色保持性確保」の両立のための消色感度の制御について検討した結果得られたものである。以下に本発明を詳述する。
本発明の特徴の一つは、[1]少なくともフォトクロミック化合物と電子受容性化合物を含むマイクロカプセルを含有する感光層を支持基板上に形成した画像表示媒体であって、該電子受容性化合物がルイス酸化合物であり、ルイス酸部位を除く長鎖構造部位の炭素数が12以上であること(請求項1に対応)、および該フォトクロミック化合物がフルギド系化合物であり、かつ該電子受容性化合物がルイス酸化合物であり、ルイス酸部位を除く長鎖構造部位の炭素数が12以上であること(請求項2に対応)である。
本発明のもう一つの特徴は、[2]上述のような画像表示媒体に対し、少なくとも紫外光照射によって感光層に含有されるフォトクロミック化合物を発色させる工程、電子受容性化合物の溶融温度以上の温度に加熱する工程、発色したフォトクロミック化合物の極大吸収波長に対応した波長域の可視光を所定の領域に照射して消色する工程、および電子受容性化合物の溶融温度以下の温度に加熱する工程を施すことである。(請求項11に対応)
これにより、消色感度の制御、すなわち画像を形成するときのみ一時的にフォトクロミック化合物の消色感度を増大させ、画像形成後は消色感度を減少させることが可能となる。
これは次のように説明される。フォトクロミック化合物の消色感度は消色反応量子収率(φCE)に直接的に依存するものであり、消色感度の変化を扱うことはほぼφCEの変化を扱うことにほかならない。以下ではφCEの変化が消色感度の変化であるとして記述する。
フルギド系化合物の消色感度は、一般式(1)、(2)およびこれらの式の説明で後述する芳香環部位の化学構造に基づく電子的性状(電子供与性・受容性)により大きく異なる。具体的には芳香環部位の電子供与性が大きいと消色感度は小さく、電子供与性が小さいと消色感度は大きい。そしてある特定の構造の化合物についても、その分子を取り囲む媒体の電子的性状によって消色感度は変化し得る。つまり媒体との相互作用により芳香環部位の電子的性状が見かけ上変化するということであり、媒体中の電子受容性部位とフルギド系化合物の芳香環部位との相互作用の程度が大きくなれば、芳香環部位の電子供与性が減少して消色感度は増大する。逆に前記相互作用の程度が小さくなれば、芳香環部位の電子供与性が増大して消色感度は減少する。したがって、前記相互作用の程度を制御すれば消色感度の制御が可能となる。
また、ジアリールエテン系化合物の消色感度については、一般式(3)およびこの式の説明で後述する2つの5員環とそれぞれR、R、およびR、Rを含む部位の化学構造に基づく電子的性状(電子供与性・受容性)により大きく異なり、それらの部位の電子供与性が大きい構造ほど消色感度は小さく、電子供与性が小さい構造ほど消色感度は大きい。そしてある特定の構造のジアリールエテン化合物についても、その分子を取り囲む媒体の電子的性状によって、その相互作用により前述の部位の電子的性状が見かけ上変化し、媒体中の電子受容性部位との相互作用の程度が大きくなれば、前述の部位の電子供与性が減少して消色感度は増大する。逆に前記相互作用の程度が小さくなれば、前述の部位の電子供与性が増大して消色感度は減少する。したがって、前記相互作用の程度を制御すれば消色感度の制御が可能となる。
そして[1]に記載した構造の画像表示媒体に対し、[2]に記載した工程を施すことでこの消色感度の制御が可能となる。
これは、以下のように説明できる。
フルギド化合物を例にとって説明すると、前記画像表示媒体の感光層中のフルギド系化合物は紫外光照射によって発色する。その後感光層を前記電子受容性化合物の溶融温度以上の温度(I)に一時的に加熱することにより、前記電子受容性化合物がある程度規則的に集合した状態が形成され、電子受容性化合物の酸性基部位がフルギド系化合物の芳香環部位と密に相互作用を持った状態で安定化する(以下ではこの状態を「状態A」と呼ぶ)。これは消色感度が大きい状態であり、この状態において可視光照射による消色工程を施すことにより、少ないエネルギーですなわち短時間で消色工程が行なわれ、画像形成が終了する。さらにこの後、感光層を前記電子受容性化合物の溶融温度以下の温度(II)に一時的に加熱することにより(前記電子受容性化合物の溶融温度以上の温度に一時的に加熱して徐冷してもよい)、電子受容性化合物の酸性基部位どうしが密に集合し、フルギド系化合物の芳香環部位との相互作用が小さい状態で安定化する(以下ではこの状態を「状態B」と呼ぶ)。これは消色感度が小さい状態であり、したがって照明光などによる消色が起こりにくい、形成画像の発色保持性が高い状態となる。
前述の状態Aを得るべく電子受容性化合物の溶融温度以上の温度(I)に一時的に加熱する工程においては、フルギド系化合物の溶融温度が電子受容性化合物の溶融温度よりも高い場合は、フルギド系化合物の溶融温度以上の温度に加熱することが好ましいが、電子受容性化合物の溶融温度より高ければよい。加熱後は急冷することが好ましい。徐冷すると状態Bに変化する確率が増えてくる。これは状態Aを得るための加熱温度領域よりも低温の領域に状態Bを得るための加熱温度領域が存在するためである。したがって、状態Aにある感光層を特定の温度領域に加熱することにより状態Bを得ることができる。状態Aを得るために電子受容性化合物の溶融温度以上の温度(I)に一時的に加熱する工程、および状態Bを得るために電子受容性化合物の溶融温度以下の温度(II)に一時的に加熱する工程における加熱温度の設定は、用いるフルギド系化合物と電子受容性化合物およびバインダーの種類や組み合わせに応じて適切に設定されることになる。
本発明において用いられるフルギド系化合物としては、一般式(1)で示すフルギド化合物や、一般式(2)で示すフルギミド化合物を始めとして、これらの化合物を構造中に含みフォトクロミック性を示す化合物が挙げられる。
Figure 2004348110
(式中、R11、R12、R13、R14はそれぞれ独立して、水素、アルキル基、アルコキシ基、芳香環、複素芳香環などであり、R11、R12、R13、R14のうち少なくとも一つは芳香環あるいは複素芳香環を含む構造とする。)
Figure 2004348110
(式中、R15、R16、R17、R18およびR19はおよびそれぞれ独立して、水素、アルキル基、アルコキシ基、芳香環、複素芳香環などであり、R15、R16、R17、R18のうち少なくとも一つは芳香環あるいは複素芳香環を含む構造とする。)
本発明において用いられるジアリールエテン系化合物としては、一般式(3)で示す化合物を始めとして、これらの化合物を構造中に含みフォトクロミック性を示す化合物が挙げられる。
Figure 2004348110
(式中、R、R、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して、水素、アルキル基、アルコキシ基、芳香環、複素芳香環などである。またXおよびYはそれぞれ独立して酸素、硫黄、あるいは窒素であり、窒素の場合はさらに水素、アルキル基、アルコキシ基、芳香環、複素芳香環などが結合しているものである。)
本発明において用いられる電子受容性化合物としては、基本的に分子内に、フルギド系化合物の芳香環部位と相互作用して芳香環部位の電子的性状に変化を与えうる構造であるルイス酸と、分子間の凝集力をコントロールする脂肪族基などを含む炭素数12以上の長鎖構造を合わせ持つ化合物である。脂肪族基は、直鎖状または分枝状のアルキル基、アルケニル基が包含され、ハロゲン、アルコキシ基、エステル基等の置換基を有していてもよい。
ルイス酸化合物としては、例えばホスホン酸化合物、脂肪族カルボン酸化合物、フェノール化合物等が挙げられる。
ホスホン酸化合物としては、下記一般式(4)で表わされる化合物を用いることができる。
−PO(OH) (4)
(ただし、Rは脂肪族基などを含む炭素数12以上の長鎖構造を表わす。)
一般式(4)で表わされる有機リン酸化合物の具体例としては、たとえば以下のものが挙げられる。ドデシルホスホン酸、ドコシルホスホン酸、ヘキサデシルホスホン酸、オクタデシルホスホン酸、エイコシルホスホン酸、ドコシルホスホン酸、テトラコシルホスホン酸、ヘキサコシルホスホン酸、オクタコシルホスホン酸等。
脂肪族カルボン酸化合物としては、下記一般式(5)で表わされるα−ヒドロキシ脂肪族カルボン酸化合物を用いることができる。
−CH(OH)−COOH (5)
(ただし、Rは脂肪族基などを含む炭素数12以上の長鎖構造を表わす。)
一般式(5)で表わされるα−ヒドロキシ脂肪族カルボン酸化合物としては、たとえば以下のものが挙げられる。α−ヒドロキシドデカン酸、α−ヒドロキシテトラデカン酸、α−ヒドロキシヘキサデカン酸、α−ヒドロキシオクタデカン酸、α−ヒドロキシペンタデカン酸、α−ヒドロキシエイコサン酸、α−ヒドロキシドコサン酸、α−ヒドロキシテトラコサン酸、α−ヒドロキシヘキサコサン酸、α−ヒドロキシオクタコサン酸等。
脂肪族カルボン酸化合物としては、ハロゲン元素で置換された脂肪族基などを含む炭素数12以上の長鎖構造をもつカルボン酸化合物で、その少なくともα位またはβ位の炭素にハロゲン元素を持つものを用いることができる。このような化合物の具体例としては、たとえば以下のものを挙げることができる。2−ブロモヘキサデカン酸、2−ブロモヘプタデカン酸、2−ブロモオクタデカン酸、2−ブロモエイコサン酸、2−ブロモドコサン酸、2−ブロモテトラコサン酸、3−ブロモオクタデカン酸、3−ブロモエイコサン酸、2,3−ジブロモオクタデカン酸、2−フルオロドデカン酸、2−フルオロテトラデカン酸、2−フルオロヘキサデカン酸、2−フルオロオクタデカン酸、2−フルオロエイコサン酸、2−フルオロドコサン酸、2−ヨードヘキサデカン酸、2−ヨードオクタデカン酸、3−ヨードヘキサデカン酸、3−ヨードオクタデカン酸、パーフルオロオクタデカン酸等。
脂肪族カルボン酸化合物としては、炭素鎖中にオキソ基を持つ脂肪族基などを含む炭素数12以上の長鎖構造をもつカルボン酸化合物で、その少なくともα位、β位またはγ位の炭素がオキソ基となっているものを用いることができる。このような化合物の具体例としては、たとえば以下のものを挙げることができる。2−オキソドデカン酸、2−オキソテトラデカン酸、2−オキソヘキサデカン酸、2−オキソオクタデカン酸、2−オキソエイコサン酸、2−オキソテトラコサン酸、3−オキソドデカン酸、3−オキソテトラデカン酸、3−オキソヘキサデカン酸、3−オキソオクタデカン酸、3−オキソエイコサン酸、3−オキソテトラコサン酸、4−オキソヘキサデカン酸、4−オキソオクタデカン酸、4−オキソドコサン酸等。
脂肪族カルボン酸化合物としては、下記一般式(6)で表わされる二塩基酸を用いることができる。
Figure 2004348110
(ただし、Rは脂肪族基などを含む炭素数12以上の長鎖構造を表わし、Xは酸素原子またはイオウ原子を表わし、Xが酸素原子の場合はnは1、またXがイオウ原子の場合はnは1または2を表わす。)
一般式(6)で表わされる二塩基酸の具体例としては、たとえば、以下のものが挙げられる。2−(ドデシルオキシ)こはく酸、2−(テトラデシルオキシ)こはく酸、2−(ヘキサデシルオキシ)こはく酸、2−(オクタデシルオキシ)こはく酸、2−(エイコシルオキシ)こはく酸、2−(ドコシルオキシ)こはく酸、2−(テトラコシルオキシ)こはく酸、2−(ドデシルチオ)こはく酸、2−(テトラデシルチオ)こはく酸、2−(ヘキサデシルオキシ)こはく酸、2−(オクタデシルチオ)こはく酸、2−(エイコシルチオ)こはく酸、2−(ドコシルチオ)こはく酸、2−(テトラコシルチオ)こはく酸、2−(ドデシルジチオ)こはく酸、2−(テトラデシルジチオ)こはく酸、2−(ヘキサデシルジチオ)こはく酸、2−(オクタデシルジチオ)こはく酸、2−(エイコシルジチオ)こはく酸、2−(ドコシルジチオ)こはく酸、2−(テトラコシルジチオ)こはく酸等。
脂肪族カルボン酸化合物としては、下記一般式(7)で表わされる二塩基酸を用いることができる。
Figure 2004348110
(ただし、R、R、Rは水素又は脂肪族基を表わし、このうち少なくとも1つは脂肪族基などを含む炭素数12以上の長鎖構造である。)
一般式(7)で表わされる二塩基酸の具体例としては、たとえば以下のものが挙げられる。ドデシルこはく酸、トリデシルこはく酸、テトラデシルこはく酸、ペンタデシルこはく酸、オクタデシルこはく酸、エイコシルこはく酸、ドコシルこはく酸、2,3−ジヘキサデシルこはく酸、2,3−ジオクタデシルこはく酸、2−メチル−3−ドデシルこはく酸、2−メチル−3−テトラデシルこはく酸、2−メチル−3−ヘキサデシルこはく酸、2−メチル−3−ドデシルこはく酸、2−エチル−3−ドデシルこはく酸、2−プロピル−3−ドデシルこはく酸、2−オクチル−3−ヘキサデシルこはく酸、2−テトラデシル−3−オクタデシルこはく酸等。
脂肪族カルボン酸化合物としては、下記一般式(8)で表わされる二塩基酸を用いることができる。
Figure 2004348110
(ただし、R、Rは水素又は脂肪族基を表わし、このうち少なくとも1つは脂肪族基などを含む炭素数12以上の長鎖構造である。)
一般式(8)で表わされる二塩基酸の具体例としては、たとえば以下のものが挙げられる。ドデシルマロン酸、テトラデシルマロン酸、ヘキサデシルマロン酸、オクタデシルマロン酸、エイコシルマロン酸、ドコシルマロン酸、テトラコシルマロン酸、ジドデシルマロン酸、ジテトラデシルマロン酸、ジヘキサデシルマロン酸、ジオクタデシルマロン酸、ジエイコシルマロン酸、ジドコシルマロン酸、メチルオクタデシルマロン酸、メチルエイコシルマロン酸、メチルドコシルマロン酸、メチルテトラコシルマロン酸、エチルオクタデシルマロン酸、エチルエイコシルマロン酸、エチルドコシルマロン酸、エチルテトラコシルマロン酸等。
脂肪族カルボン酸化合物としては、下記一般式(9)で表わされる二塩基酸を用いることができる。
Figure 2004348110
(ただし、Rは脂肪族基などを含む炭素数12以上の長鎖構造を表わし、nは0または1を表わし、mは1、2または3を表わし、nが0の場合、mは2または3であり、nが1の場合はmは1または2を表わす。)
一般式(9)で表わされる二塩基酸の具体例としては、たとえば以下のものが挙げられる。2−ドデシルグルタル酸、2−ヘキサデシルグルタル酸、2−オクタデシルグルタル酸、2−エイコシルグルタル酸、2−ドコシルグルタル酸、2−ドデシルアジピン酸、2−ペンタデシルアジピン酸、2−オクタデシルアジピン酸、2−エイコシルアジピン酸、2−ドコシルアジピン酸等。
フェノール化合物としては、下記一般式(10)で表わされる化合物を用いることができる。
Figure 2004348110
(ただし、Yは−S−、−O−、−CONH−又は−COO−を表わし、R10は脂肪族基などを含む炭素数12以上の長鎖構造を表わし、nは1、2または3である。)
一般式(10)で表わされるフェノール化合物の具体例としては、たとえば以下のものが挙げられる。p−(ドデシルチオ)フェノール、p−(テトラデシルチオ)フェノール、p−(ヘキサデシルチオ)フェノール、p−(オクタデシルチオ)フェノール、p−(エイコシルチオ)フェノール、p−(ドコシルチオ)フェノール、p−(テトラコシルチオ)フェノール、p−(ドデシルオキシ)フェノール、p−(テトラデシルオキシ)フェノール、p−(ヘキサデシルオキシ)フェノール、p−(オクタデシルオキシ)フェノール、p−(エイコシルオキシ)フェノール、p−(ドコシルオキシ)フェノール、p−(テトラコシルオキシ)フェノール、p−ドデシルカルバモイルフェノール、p−テトラデシルカルバモイルフェノール、p−ヘキサデシルカルバモイルフェノール、p−オクタデシルカルバモイルフェノール、p−エイコシルカルバモイルフェノール、p−ドコシルカルバモイルフェノール、p−テトラコシルカルバモイルフェノール、没食子酸ヘキサデシルエステル、没食子酸オクタデシルエステル、没食子酸エイコシルエステル、没食子酸ドコシルエステル、没食子酸テトラコシルエステル等。
上述のフルギド系化合物および電子受容性化合物を含むマイクロカプセルの形成方法としては、界面重合法、in−situ重合法、コアセルベーション法などの従来のよく知られている方法で良く、特に制限はなく、例えば以下のような手順で形成できる。
上述のフルギド系化合物と電子受容性化合物の熱溶融物あるいは共通溶媒に溶解させた溶液を、カプセルのシェル(皮膜)形成材料と、必要に応じて界面活性剤、保護コロイド、pH調整剤、電解質などを含有させた水または有機溶媒中に加え、高速攪拌により乳化または分散させて所望のサイズの微粒子とし、上述のような一般的な方法で前記微粒子と水または有機溶媒との界面においてシェルを形成すればよい。シェル形成材料としては例えばポリ尿素、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ゼラチン、エチルセルロース、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニルなどの高分子化合物が挙げられる。またシェル(皮膜)形成後に、例えばメラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、アルデヒド系化合物、イソシアネート系化合物などで処理して架橋してもよい。架橋によって、シェルをより強固にでき、耐熱性を向上することができる。さらにその表面を、アラビアゴム、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸アマイド、スチレン−無水マレイン酸共重合物、エチレン−無水マレイン酸共重合物などの親水性高分子化合物により被覆すれば、シェルはより一層強固なものになる。
マイクロカプセルのサイズとしては、粒径0.1μm〜50μm程度が好ましい。
フルギド系化合物と電子受容性化合物の混合比については、用いる各材料の組み合わせにより適切な混合比が異なる場合があり一概には言えないが、フルギド系化合物:5〜30質量%、電子受容性化合物:20〜80質量%の範囲で混合した場合に好ましい結果が得られることが多い。
このようにマイクロカプセル化することで、フルギド系化合物と電子受容性化合物との相互作用を疎外し得る他の媒体構成要素の影響を排除し、両化合物の相互作用の確実な制御が可能となり、結果として得られる画像表示媒体の消色感度の確実な可逆切り替えが可能となる。
支持基板の材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネートなどのような透明材料、およびこれらに白または他の色に着色した材料や紙などの不透明材料が挙げられる。
上述のように得られたマイクロカプセルは、不要な水または有機溶媒を除いた後、さらに必要に応じて加熱または減圧するなどしてマイクロカプセル中の溶媒を除去し、適当な分散媒に分散させて、例えば印刷法、スピンコート法、ブレード法などの塗布法に類する方法で支持基板上に置き、感光層を形成することができる。
紫外光を照射する光源としては、水銀ランプやキセノンランプなどに光学フィルターを組み合わせて所望の波長域の紫外光を取り出して用いてもよいし、LEDやLDなどの特定波長域の光を発する発光素子を用いてもよい。
可視光を照射する光源としては、白色光光源に光学フィルターを組み合わせた構成のランプ類を用いてもよいし、LEDやLDなどの特定波長域の光を発する発光素子を用いてもよい。所望の領域にのみ照射するような場合は、例えば微小な領域ごとに照射のオン/オフが制御できる発光面を連続して並べて形成した光源アレイと、感光層を支持基板上に形成した画像表示媒体とを相対的に移動させながら光源アレイの各発光面の照射のオン/オフを制御することによってもそれが可能となる。
加熱手段としては、ヒートローラー、サーマルヘッド、ハロゲンヒーター、セラミックヒーター、石英管ヒーターなどをはじめとする従来のヒーター類を用いることができ、前記ヒーター類の加熱温度や、画像表示媒体との近接距離と時間、あるいは当接圧と時間などの条件により、画像表示媒体の感光層の加熱温度、加熱時間などを調整できる。
本発明のもう一つの特徴は、[3]感光層が、少なくともマイクロカプセルとバインダー材からなることである(請求項3に対応)。バインダー材としては、成膜可能であり、硬化後の透明性に優れる樹脂材料を用いることが好ましい。このような材料として、例えば、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニルなどが挙げられる。またこのほかに、フェノキシ樹脂、芳香族ポリエステル、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等を用いることもできる。これらのようなバインダー材を適当な溶媒に溶解させた溶液にマイクロカプセルを分散させ、例えば印刷法、スピンコート法、ブレード法などの塗布法で支持基板上に成膜することができる。これによりマイクロカプセル相互、およびマイクロカプセルと支持基板との付着性が向上し、膜としての物理強度が大きな感光層、そして画像表示媒体が得られる。
本発明のもう一つの特徴は、[4]マイクロカプセル中に赤外吸収色素が含まれることである(請求項4に対応)。そして[5]赤外光照射により加熱処理を行なうことも本発明のもう一つの特徴である(請求項12に対応)。
前述[1]および[2]において、状態Aを得るために電子受容性化合物の溶融温度以上の温度(I)に一時的に加熱する工程、および状態Bを得るために電子受容性化合物の溶融温度未満の温度(II)に一時的に加熱する工程は、前述の[4]の場合は、赤外光を照射することにより、マイクロカプセル中に含まれる赤外吸収色素が発熱することで可能となる。赤外吸収色素がフルギド系化合物および電子受容性化合物とともにマイクロカプセル中に存在するため、赤外吸収色素の発熱により効率的な熱処理が可能となる。
赤外吸収色素としては700nm以上の赤外域に吸収を持つナフタロシアニン系色素、シアニン系色素、金属錯体系色素などを用いることができる。
フルギド系化合物と電子受容性化合物および赤外吸収色素の混合比については、用いる各材料の組み合わせにより適切な混合比が異なる場合があり一概には言えないが、フルギド系化合物:5〜30質量%、電子受容性化合物:20〜80質量%、赤外吸収色素:5〜30質量%の範囲で混合した場合に好ましい結果が得られることが多い。
赤外光を照射する光源としては、赤外ランプと不要な波長域の光をカットするための光学フィルターを組み合わせた構成の光源を用いてもよいし、LEDやLDなどの特定波長域の光を発する発光素子を用いてもよい。画像表示媒体全面を照射するような場合は照射サイズの大きな光源を用いたり、光源素子を並べてアレイ状に構成したり、あるいは適当な光学系を用いて所定の照射サイズに調整してもよいし、また画像表示媒体の微小な特定箇所を照射する場合は同様に適当な光学系を用いて所定の照射サイズに調整すればよい。感光層の加熱温度は前記赤外光の照射強度や照射時間を調整することによって制御できる。
本発明のもう一つの特徴は、[6]感光層が、少なくともマイクロカプセルとバインダー材および赤外吸収色素からなることである(請求項5に対応)。[3]で、バインダー材を適当な溶媒に溶解させた溶液にマイクロカプセルを分散させ、印刷法、スピンコート法、ブレード法などの塗布法で支持基板上に成膜することにより、マイクロカプセル相互、およびマイクロカプセルと支持基板間にバインダー材が充填された状態で介在する膜状の感光層が得られることを説明したが、このとき予めバインダー材と赤外吸収色素をともに適当な溶媒に溶解させておくことによりバインダー材部分に赤外吸収色素が均一に分散した感光層が得られる。マイクロカプセル中ではなくバインダー材部分に赤外吸収色素を含有させるものであり、マイクロカプセルの形成の自由度は大きい。感光層中のバインダー材は重量でマイクロカプセルの0.1〜100倍とすることが好ましい。
赤外光を照射することで、[4]および[5]のように加熱工程を行なうことが可能となる。
本発明のもう一つの特徴は、[7]感光層と支持基板の間あるいは感光層の上に、赤外吸収色素を含む発熱層を設けることである(請求項6に対応)。マイクロカプセルの形成方法やバインダー材を用いた感光層の形成方法は[3]と同様であり、予め赤外吸収色素を含む発熱層を形成した支持基板上に感光層を形成してもよいし、支持基板上に感光層を形成してから同様の発熱層を形成してもよい。発熱層は赤外吸収色素を適当なバインダー材とともに適当な溶媒に溶解させて塗布法などで形成すればよい。赤外光を照射することで、[4]および「5」と同様に加熱工程を行なうことが可能となる。
本発明のもう一つの特徴は、[8]フォトクロミック化合物として発色状態における極大吸収波長が異なる2種類以上のフルギド系化合物を用いることである(請求項7に対応)。
そして[9]そのような画像表示媒体に対し、少なくとも紫外光照射によって感光層に含有される全種類のフルギド系化合物を発色させる工程、電子受容性化合物の溶融温度以上の温度に加熱する工程、発色した各々のフルギド系化合物の極大吸収波長に対応した波長域の可視光をそれぞれ所定の領域に照射して各フルギド系化合物を選択的に消色する工程、および電子受容性化合物の溶融温度以下の温度に加熱する工程を施すことも本発明の特徴の一つである(請求項13に対応)。そして[10]赤外吸収色素を含む感光層あるいは発熱層を有する画像表示媒体に対して赤外光照射により加熱処理を行なうことも本発明の特徴の一つである(請求項14に対応)。
フルギド系化合物および電子受容性化合物を含む感光層を支持基板上に形成した画像表示媒体に対して、消色感度を制御して画像を形成する、すなわち画像を形成するときのみ一時的にフルギド系化合物の消色感度を増大させ、画像形成後は消色感度を減少させる基本的な方法については上で説明したが、発色状態における極大吸収波長が異なる2種類以上のフルギド系化合物を用いて感光層を形成し、上述の各工程を施すことで多色表示を行なう場合にも、同様に消色感度を制御して画像を形成することが可能となる。
発色状態における極大吸収波長が異なるということは、つまり認識される色が異なるということであるが、この極大吸収波長は、表示に用いたい色に対応して設定されればよく、またフルギド系化合物の種類も、表示に用いたい色の数に対応して設定されればよい。
本発明のもう一つの特徴は、[11]発色状態における極大吸収波長が400nm以上500nm未満の範囲にあるフォトクロミック化合物(A)と、発色状態における極大吸収波長が500nm以上600nm未満の範囲にあるフォトクロミック化合物(B)と、発色状態における極大吸収波長が600nm以上700nm未満の範囲にあるフォトクロミック化合物(C)をすべて感光層中に含有することである(請求項8に対応)。
前記各フォトクロミック化合物の発色状態において認識される色はそれぞれ、ほぼイエロー、マゼンタ、シアンに相当し、これらにより3原色が構成され、さらに、例えば可視光照射工程で各フォトクロミック化合物の消色の程度を調整することで、各フォトクロミック化合物により得られる色の濃度を制御することが可能なので、前述の画像表示方法により色再現範囲が広い多色表示が可能となる。発色工程後、画像表示媒体の同一の領域に複数の波長域の可視光を照射する場合には、同時に照射してもよいし、順次別々に照射してもよい。また順次別々に照射する場合、照射する波長の順番はどのようでもよい。
発色状態における極大吸収波長が400nm以上500nm未満の範囲にあるフルギド系化合物としては、例えば2−[1−(5−メチル−2−p−ジメチルアミノフェニル−4−オキサゾリル)−2−トリフルオロメチルエチリデン]−3−イソプロピリデンコハク酸無水物、2−[1−(5−メチル−3−p−ジメチルアミノフェニル−4−イソオキサゾリル)−2−トリフルオロメチルエチリデン]−3−イソプロピリデンコハク酸無水物、2−[1−(5−メチル−2−p−ジメチルアミノフェニル−4−チアゾリル)−2−トリフルオロメチルエチリデン]−3−イソプロピリデンコハク酸無水物、等が挙げられる。
発色状態における極大吸収波長が500nm以上600nm未満の範囲にあるフルギド系化合物としては、例えば2−[1−(5−メチル−2−p−ジメチルアミノフェニル−4−オキサゾリル)エチリデン]−3−イソプロピリデンコハク酸無水物、2−[1−(5−メチル−2−p−ジメチルアミノフェニル−4−チアゾリル)エチリデン]−3−イソプロピリデンコハク酸無水物、2−[1−(5−メチル−2−p−ジメチルアミノスチリル−4−オキサゾリル)エチリデン]−3−イソプロピリデンコハク酸無水物、2−[1−(5−メチル−(4−p−ジメチルアミノフェニル)ブダジエン−1−イル)−4−オキサゾリル]エチリデン]−3−イソプロピリデンコハク酸無水物、等が挙げられる。
発色状態における極大吸収波長が600nm以上700nm未満の範囲にあるフルギド系化合物としては、例えば2−[1−(2,5−ジメチル−1−p−ジメチルアミノフェニル−3−ピロリル)エチリデン]−3−イソプロピリデンコハク酸無水物、2−[1−(5−メチル−2−p−ジメチルアミノフェニル−1−フェニル−3−ピロリル)エチリデン]−3−イソプロピリデンコハク酸無水物、2−[1−(1,2−ジメチル−5−ジメチルアミノ−3−インドリル)エチリデン]−3−イソプロピリデンコハク酸無水物、2−[2,6−ジメチル−3,5−ビス(p−ジメチルアミノスチリル)ベンジリデン]−3−イソプロピリデンコハク酸無水物、等が挙げられる。
本発明のもう一つの特徴は、[12]フォトクロミック化合物として上記(A)のみを含むマイクロカプセルと、フォトクロミック化合物として上記(B)のみを含むマイクロカプセルと、フォトクロミック化合物として上記(C)のみを含むマイクロカプセルからなることである(請求項9に対応)。
複数種類のフルギド系化合物を用いて、これまで述べてきたようなマイクロカプセルによる感光層を形成する場合、同一マイクロカプセル中に全種のフルギド系化合物と電子受容性化合物が均一な状態で存在する。その場合、電子受容性化合物の酸性基部位とフルギド系化合物の芳香環部位との相互作用に基づく消色感度の変化挙動は、各フルギド系化合物の芳香環部位の電子的性状により異なりうる。つまり、共通の電子受容性化合物を用いることになるので、各フルギド系化合物の芳香環部位の電子供与性が異なれば、各フルギド系化合物ごとに消色感度の変化程度は異なる場合がある。
これを避け、芳香環部位の電子的性状が異なる複数のフルギド系化合物を用いつつ、前述の消色感度の変化程度を同等に調整したい場合、あるいは各フルギド系化合物についての消色感度の変化程度を任意に設定したい場合、それぞれのフルギド系化合物ごとに適切な相互作用の程度が得られるように電子受容性化合物を選択してマイクロカプセル化し、つまりフルギド系化合物の種類と同数の種類のマイクロカプセルを形成して、それら全てを用いて感光層を形成することにより可能となる。相互作用の程度を考慮したフルギド系化合物と電子受容性化合物の選択の目安の一つとして、フルギド系化合物の芳香環部位の電子供与性と電子受容性化合物の酸性基部位の電子受容性の大きさが挙げられる。両者がともに大きいほど消色感度の変化程度が大きくなり、両者がともに小さいほど消色感度の変化程度が小さくなるという傾向がある。
本発明のもう一つの特徴は、[13]感光層あるいは発熱層の表面に保護層を設けることである。(請求項10に対応)
保護層の材料としては、透明性が高く、硬度が高い点でシリコーン樹脂またはアクリル樹脂またはPVA(ポリビニルアルコール)等が好適に用いられる。保護層を形成することにより感光層は水分や特定のガス等による、感光層を構成する化合物の、必要な機能の発現に関わる反応に対する悪影響を低減することが可能となり、また機械的損傷からも有効に保護されて耐久性が向上する。
(実施例1)
フォトクロミック化合物として、2−[1−(5−メチル−2−p−ジメチルアミノフェニル−4−オキサゾリル)エチリデン]−3−イソプロピリデンコハク酸無水物(以下PC2と呼ぶ)を用い、電子受容性化合物としてドコシルホスホン酸(溶融温度108℃)を用いた。1重量部のPC2と9重量部のドコシルホスホン酸をテトラヒドロフランに溶解させ、保護コロイド水溶液中に加え、高速攪拌して乳化させた。炭酸ナトリウムを加えてpHを9とした後、尿素−ホルムアルデヒドプレポリマーを加え、さらに酢酸を加えてpHを4に調整した後、60℃で反応させることにより分散液界面でプレポリマーが重合して、尿素−ホルムアルデヒド樹脂の皮膜を形成し、粒径約5μmのマイクロカプセルが得られた。この分散液を石英基板上にブレード塗布し、マイクロカプセルが配列した膜を形成し、減圧下で乾燥させた。これをヒーター加熱で一時的に80℃に加熱処理し、吸収スペクトルを測定したところ、320nmに極大吸収波長をもつ、300nm〜400nm弱の範囲に吸収帯が認められ、無色であった。これに高圧水銀ランプから取り出した366nmの紫外光を照射したところマゼンタに発色し、吸収スペクトルの極大吸収波長は525nmであった。これをヒーター加熱で一時的に170℃に加熱処理したところ、色相が赤みを帯びて変化し、吸収スペクトルの極大吸収波長は485nmであった。
これをまた一時的に80℃に加熱処理したところ、色相がマゼンタに戻り、吸収スペクトルの極大吸収波長は525nmであった。
上と同様の処方による膜を白色PET(ポリエチレンテレフタレート)基板(188μm)上に形成し、さらに保護層としてPVA膜(2μm)を形成した。このようにして形成した感光層は無色であり、基板の色が白であるため、作製した画像表示媒体は観察者には白と認識された。
この画像表示媒体の感光層をヒーター加熱で一時的に80℃に加熱処理し、366nmの紫外光を照射して発色反応を飽和させた後、中心波長520nm、半値幅10nmの可視光を照度1mW/cmで照射して、消色反応を飽和させる過程における、照射時間(つまりは照射エネルギー)による反射スペクトル変化を評価し(図2参照)、ボトム波長における反射率全変化量の90%の変化を得るのに要する照射エネルギーを求めたところ、約1500mJ/cmであった(図3参照)。このようにして求めたエネルギーを消色エネルギーと定義し、消色感度の指標とした。
次に、この画像表示媒体の感光層に366nmの紫外光を再び照射して発色反応を飽和させた後、一時的に170℃に加熱処理した後、中心波長480nm、半値幅10nmの可視光を照度1mW/cmで照射して同様にして消色エネルギーを求めたところ、20mJ/cmであった。さらにまたこの画像表示媒体の感光層に366nmの紫外光を照射して発色反応を飽和させ、一時的に今度は80℃に加熱処理した後、中心波長520nm、半値幅10nmの可視光を照度1mW/cmで照射して同様にして消色エネルギーを求めたところ、約1500mJ/cmであった。
(実施例2)
フォトクロミック化合物としてPC2を用い、電子受容性化合物としてドコシルホスホン酸を用いた。1重量部のPC2と9重量部のドコシルホスホン酸をテトラヒドロフランに溶解させ、界面活性剤を含む水溶液中に加え、高速攪拌して乳化させた。これをメラミン−ホルムアルデヒドプレポリマーを含む水溶液中に投入し、さらに酢酸を加えてpHを4.5に調整した後、低速で攪拌しながら70℃で反応させることにより分散液界面でプレポリマーが重合し、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂の皮膜を形成し、粒径約3μmのマイクロカプセルが得られた。この分散液からマイクロカプセルを取り出して減圧下で乾燥させ、ポリカーボネート溶液に分散させて石英基板上にブレード塗布し、ポリカーボネートをバインダーとしたマイクロカプセル膜を形成した。これをヒーター加熱で一時的に80℃に加熱処理し、吸収スペクトルを測定したところ、320nmに極大吸収波長をもつ、300nm〜400nm弱の範囲に吸収帯が認められ、無色であった。これに高圧水銀ランプから取り出した366nmの紫外光を照射したところマゼンタに発色し、吸収スペクトルの極大吸収波長は525nmであった。これをヒーター加熱で一時的に170℃に加熱処理したところ、色相が赤みを帯びて変化し、吸収スペクトルの極大吸収波長は485nmであった。
これをまた一時的に80℃に加熱処理したところ、色相がマゼンタに戻り、吸収スペクトルの極大吸収波長は525nmであった。
上と同様の処方による膜を白色PET(ポリエチレンテレフタレート)基板(188μm)上に形成し、さらに保護層としてPVA膜(2μm)を形成した。このようにして形成した感光層は無色であり、基板の色が白であるため、作製した画像表示媒体は観察者には白と認識された。
この画像表示媒体に実施例1と同様の処理を行なって消色エネルギーを求めた。一時的に80℃に加熱処理したあとの消色エネルギーは約1400mJ/cmであり、一時的に170℃に加熱処理した後の消色エネルギーは約20mJ/cmであった。
(実施例3)
フォトクロミック化合物としてPC2を用い、電子受容性化合物としてドコシルホスホン酸を用いた。1重量部のPC2と9重量部のドコシルホスホン酸をテトラヒドロフランに溶解させ、これを、ゼラチン水溶液とアラビアゴム水溶液を混合して、50℃に昇温し水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを9に調整したものに加え、高速攪拌して乳化させた。さらにpHを4まで徐々に下げて分散液界面にゼラチン/アラビアゴムの濃厚液を析出させた後、温度を下げて皮膜をゲル化し、グルタールアルデヒド水溶液を加えて硬化させた。このようにして粒径約5μmのゼラチン−アラビアゴムを壁材とするマイクロカプセルが得られた。
この分散液からマイクロカプセルを取り出して減圧下で乾燥させ、ポリカーボネート溶液に分散させて石英基板上にブレード塗布し、ポリカーボネートをバインダーとしたマイクロカプセル膜を形成した。これをヒーター加熱で一時的に80℃に加熱処理し、吸収スペクトルを測定したところ、320nmに極大吸収波長をもつ、300nm〜400nm弱の範囲に吸収帯が認められ、無色であった。これに高圧水銀ランプから取り出した366nmの紫外光を照射したところマゼンタに発色し、吸収スペクトルの極大吸収波長は525nmであった。これをヒーター加熱で一時的に170℃に加熱処理したところ、色相が赤みを帯びて変化し、吸収スペクトルの極大吸収波長は485nmであった。
これをまた一時的に80℃に加熱処理したところ、色相がマゼンタに戻り、吸収スペクトルの極大吸収波長は525nmであった。
上と同様の処方による膜を白色PET(ポリエチレンテレフタレート)基板(188μm)上に形成し、さらに保護層としてPVA膜(2μm)を形成した。このようにして形成した感光層は無色であり、基板の色が白であるため、作製した画像表示媒体は観察者には白と認識された。
この画像表示媒体に実施例1と同様の処理を行なって消色エネルギーを求めた。一時的に80℃に加熱処理したあとの消色エネルギーは約1500mJ/cmであり、一時的に170℃に加熱処理した後の消色エネルギーは約20mJ/cmであった。
(実施例4)
フォトクロミック化合物としてPC2を用い、電子受容性化合物としてドコシルホスホン酸を用い、赤外吸収色素として金属錯体系色素:三井化学PA−1006(以下D1と呼ぶ)を用いた。1重量部のPC2と9重量部のドコシルホスホン酸と1重量部のD1をテトラヒドロフランに溶解させ、保護コロイド水溶液中に加え、高速攪拌して乳化させた。炭酸ナトリウムを加えてpHを9とした後、尿素−ホルムアルデヒドプレポリマーを加え、さらに酢酸を加えてpHを4に調整した後、60℃で反応させることにより分散液界面でプレポリマーが重合して、尿素−ホルムアルデヒド樹脂の皮膜を形成し、粒径約5μmのマイクロカプセルが得られた。この分散液からマイクロカプセルを取り出して減圧下で乾燥させ、ポリカーボネート溶液に分散させて石英基板上にブレード塗布し、ポリカーボネートをバインダーとしたマイクロカプセル膜を形成した。これに赤外光を照射して一時的に80℃に加熱処理し、吸収スペクトルを測定したところ、320nmに極大吸収波長をもつ、300nm〜400nm弱の範囲に吸収帯が認められ、無色であった。これに高圧水銀ランプから取り出した366nmの紫外光を照射したところマゼンタに発色し、吸収スペクトルの極大吸収波長は525nmであった。これに赤外光を照射して一時的に170℃に加熱処理したところ、色相が赤みを帯びて変化し、吸収スペクトルの極大吸収波長は485nmであった。
これをまた一時的に80℃に加熱処理したところ、色相がマゼンタに戻り、吸収スペクトルの極大吸収波長は525nmであった。
上と同様の処方による膜を白色PET(ポリエチレンテレフタレート)基板(188μm)上に形成し、さらに保護層としてPVA膜(2μm)を形成した。このようにして形成した感光層は無色であり、基板の色が白であるため、作製した画像表示媒体は観察者には白と認識された。
この画像表示媒体に実施例1と同様の処理を行なって消色エネルギーを求めた。ただし加熱処理は赤外光照射によって行なった。赤外光照射により一時的に80℃に加熱処理したあとの消色エネルギーは約1500mJ/cmであり、赤外光照射により一時的に170℃に加熱処理した後の消色エネルギーは約20mJ/cmであった。
(実施例5)
実施例1と同様にマイクロカプセルを作製した。次にポリカーボネート溶液にさらにD1をポリカーボネートと同量部だけ添加し、これにマイクロカプセルを分散させて、石英基板上にブレード塗布し、ポリカーボネートおよびD1をバインダーとしたマイクロカプセル膜を形成した。これに赤外光を照射して一時的に80℃に加熱処理し、吸収スペクトルを測定したところ、320nmに極大吸収波長をもつ、300nm〜400nm弱の範囲に吸収帯が認められ、無色であった。これに高圧水銀ランプから取り出した366nmの紫外光を照射したところマゼンタに発色し、吸収スペクトルの極大吸収波長は525nmであった。これに赤外光を照射して一時的に170℃に加熱処理したところ、色相が赤みを帯びて変化し、吸収スペクトルの極大吸収波長は485nmであった。
これをまた一時的に80℃に加熱処理したところ、色相がマゼンタに戻り、吸収スペクトルの極大吸収波長は525nmであった。
上と同様の処方による膜を白色PET(ポリエチレンテレフタレート)基板(188μm)上に形成し、さらに保護層としてPVA膜(2μm)を形成した。このようにして形成した感光層は無色であり、基板の色が白であるため、作製した画像表示媒体は観察者には白と認識された。
この画像表示媒体に実施例4と同様の処理を行なって消色エネルギーを求めた。一時的に80℃に加熱処理したあとの消色エネルギーは約1500mJ/cmであり、一時的に170℃に加熱処理した後の消色エネルギーは約20mJ/cmであった。
(実施例6)
実施例2と同様の画像表示媒体を作製した。ただし、感光層上に、保護層を形成する前に、1重量部のD1、6重量部のポリカーボネートを50重量部のテトラヒドロフランに溶解させた塗布液を塗布して5μmの発熱層を形成し、その上に保護層を形成した。
この画像表示媒体に実施例4と同様の処理を行なって消色エネルギーを求めた。一時的に80℃に加熱処理したあとの消色エネルギーは約1400mJ/cmであり、一時的に170℃に加熱処理した後の消色エネルギーは約20mJ/cmであった。
(実施例7)
フォトクロミック化合物として、2−[1−(5−メチル−2−p−ジメチルアミノフェニル−4−オキサゾリル)−2−トリフルオロメチルエチリデン]−3−イソプロピリデンコハク酸無水物(以下PC1と呼ぶ)、PC2、2−[1−(2,5−ジメチル−1−p−ジメチルアミノフェニル−3−ピロリル)エチリデン]−3−イソプロピリデンコハク酸無水物(以下PC3と呼ぶ)を用い、赤外吸収色素としてD1を用い、電子受容性化合物としてドコシルホスホン酸を用いた。
フォトクロミック化合物としてPC1およびPC3を用い、それぞれについて実施例5と同様にして石英基板上にポリカーボネートおよびD1をバインダーとしたマイクロカプセル膜を形成した。これらに赤外光を照射して一時的に80℃に加熱処理して吸収スペクトルを測定したところ、PC1、PC3を用いて作製したマイクロカプセル膜はそれぞれ337nm、360nmに極大吸収波長をもつ、300nm〜400nm弱の範囲に吸収帯が認められ、いずれも無色であった。これらに高圧水銀ランプから取り出した366nmの紫外光を照射したところ、PC1、PC3を用いて作製したマイクロカプセル膜はそれぞれイエロー、シアンに発色し、吸収スペクトルの極大吸収波長はそれぞれ450nm、660nmであった。これらに赤外光を照射して一時的に170℃に加熱処理したところ、両者とも色相が変化し、吸収スペクトルの極大吸収波長はそれぞれ420nm、620nmであった。これらに再び赤外光を照射して一時的に80℃に加熱処理したところ色相が元に戻り、吸収スペクトルの極大吸収波長はそれぞれ450nm、660nmであった。
上述の過程で作製した、PC1とドコシルホスホン酸を含むマイクロカプセル、PC3とドコシルホスホン酸を含むマイクロカプセル、および実施例5と同様に作製したPC2とドコシルホスホン酸を含むマイクロカプセルを減圧下で乾燥させ、1重量部ずつの3種類のマイクロカプセル、1重量部のD1、および6重量部のポリカーボネートを40重量部のテトラヒドロフランに溶解させた塗布液を白色PET(ポリエチレンテレフタレート)基板(188μm)上に塗布して8μmのマイクロカプセル膜を形成し、さらに保護層としてPVA膜(2μm)を形成した。このようにして形成した感光層は無色であり、基板の色が白であるため、作製した画像表示媒体は観察者には白と認識された。
この画像表示媒体の感光層に赤外光を照射して一時的に80℃に加熱処理し、366nmの紫外光を照射するとPC1、PC2、PC3すべてが発色し、黒色を呈した。また、これに白色光を照射したところ、再び感光層は無色透明になったため、画像表示媒体は白色と認識された。この画像表示媒体に、再び366nmの紫外光を照射して発色させた後、その一部に中心波長450nm、半値幅10nmの可視光を照射したところ、PC1が選択的に消色され、照射部は青色を呈した。また別の一部に中心波長520nm、半値幅10nmの可視光を照射したところ、PC2が選択的に消色され、照射部は緑色を呈した。また別の一部に中心波長660nm、半値幅10nmの可視光を照射したところ、PC3が選択的に消色され、照射部は赤色を呈した。可視光未照射部において、前述の3つの波長分布の可視光を用い、実施例1と同様の要領でPC1、PC2、PC3の消色エネルギーを求めたとところ、それぞれ670mJ/cm、1160mJ/cm、880mJ/cmであった。
次に、この画像表示媒体の感光層に366nmの紫外光を再び照射して発色反応を飽和させた後、赤外光を照射して一時的に170℃に加熱処理した後、中心波長が420nm、480nm、620nmの可視光を用いて同様にしてPC1、PC2、PC3の消色エネルギーを求めたところ、それぞれ20mJ/cm、33mJ/cm、26mJ/cmであった。さらにまたこの画像表示媒体の感光層に366nmの紫外光を照射して発色反応を飽和させ、赤外光を照射して今度は一時的に80℃に加熱処理した後、同様にして消色エネルギーを求めたところ、それぞれ670mJ/cm、1160mJ/cm、880mJ/cmであった。
これにより、3種のフォトクロミック化合物をそれぞれ含んだマイクロカプセルによる感光層を有する画像表示媒体においても、各フォトクロミック化合物の消色エネルギーを赤外光照射処理により可逆的に大きく変化させられることが確認された。
(実施例8)
1重量部のPC1と、1重量部のPC2と、1重量部のPC3と、27重量部のドコシルホスホン酸をテトラヒドロフランに溶解させ、保護コロイド水溶液中に加え、高速攪拌して乳化させた。炭酸ナトリウムを加えてpHを9とした後、尿素−ホルムアルデヒドプレポリマーを加え、さらに酢酸を加えてpHを4に調整した後、60℃で反応させることにより分散液界面でプレポリマーが重合して、尿素−ホルムアルデヒド樹脂の皮膜を形成し、粒径約5μmのマイクロカプセルが得られた。この分散液からマイクロカプセルを取り出して減圧下で乾燥させ、3重量部のマイクロカプセル、1重量部のD1、および6重量部のポリカーボネートを40重量部のテトラヒドロフランに溶解させた塗布液を白色PET(ポリエチレンテレフタレート)基板(188μm)上に塗布して8μmのマイクロカプセル膜を形成し、さらに保護層としてPVA膜(2μm)を形成した。このようにして形成した感光層は無色であり、基板の色が白であるため、作製した画像表示媒体は観察者には白と認識された。
この画像表示媒体の感光層に赤外光を照射して一時的に80℃に加熱処理し、366nmの紫外光を照射するとPC1、PC2、PC3すべてが発色し、黒色を呈した。また、これに白色光を照射したところ、再び感光層は無色透明になったため、画像表示媒体は白色と認識された。この画像表示媒体に、再び366nmの紫外光を照射して発色させた後、その一部に中心波長450nm、半値幅10nmの可視光を照射したところ、PC1が選択的に消色され、照射部は青色を呈した。また別の一部に中心波長520nm、半値幅10nmの可視光を照射したところ、PC2が選択的に消色され、照射部は緑色を呈した。また別の一部に中心波長660nm、半値幅10nmの可視光を照射したところ、PC3が選択的に消色され、照射部は赤色を呈した。可視光未照射部において、前述の3つの波長分布の可視光を用い、実施例1と同様の要領でPC1、PC2、PC3の消色エネルギーを求めたとところ、それぞれ670mJ/cm、1160mJ/cm、880mJ/cmであった。
次に、この画像表示媒体の感光層に366nmの紫外光を再び照射して発色反応を飽和させた後、赤外光を照射して一時的に170℃に加熱処理した後、中心波長が420nm、480nm、620nmの可視光を用いて同様にしてPC1、PC2、PC3の消色エネルギーを求めたところ、それぞれ20mJ/cm、33mJ/cm、26mJ/cmであった。さらにまたこの画像表示媒体の感光層に366nmの紫外光を照射して発色反応を飽和させ、赤外光を照射して今度は一時的に80℃に加熱処理した後、同様にして消色エネルギーを求めたところ、それぞれ670mJ/cm、1160mJ/cm、880mJ/cmであった。
これにより、3種のフォトクロミック化合物を含んだマイクロカプセルによる感光層を有する画像表示媒体においても、各フォトクロミック化合物の消色エネルギーを赤外光照射処理により可逆的に大きく変化させられることが確認された。
(実施例9)
1重量部のPC2と9重量部のドコシルホスホン酸と1重量部のD1をテトラヒドロフランに溶解させ、保護コロイド水溶液中に加え、高速攪拌して乳化させた。炭酸ナトリウムを加えてpHを9とした後、尿素−ホルムアルデヒドプレポリマーを加え、さらに酢酸を加えてpHを4に調整した後、60℃で反応させることにより分散液界面でプレポリマーが重合して、尿素−ホルムアルデヒド樹脂の皮膜を形成し、粒径約5μmのマイクロカプセルが得られた。
次にPC2の代わりにPC1を用い、ドコシルホスホン酸の代わりにp−(オクタデシルチオ)フェノールを用いて、上述の方法と同様にしてマイクロカプセルを作製した。
さらにPC2の代わりにPC3を用い、ドコシルホスホン酸の代わりに2−オクタデシルグルタル酸を用いて、上述の方法と同様にしてマイクロカプセルを製した。
これらの分散液からマイクロカプセルを取り出して減圧下で乾燥させ、3者を同量ずつ混合して、ポリカーボネートをバインダーとしたマイクロカプセル膜を白色PET(ポリエチレンテレフタレート)基板(188μm)上に形成し、さらに保護層としてPVA膜(2μm)を形成した。このようにして形成した感光層は無色であり、基板の色が白であるため、作製した画像表示媒体は観察者には白と認識された。
この画像表示媒体の感光層に赤外光を照射して一時的に80℃に加熱処理し、366nmの紫外光を照射するとPC1、PC2、PC3すべてが発色し、黒色を呈した。また、これに白色光を照射したところ、再び感光層は無色透明になったため、画像表示媒体は白色と認識された。この画像表示媒体に、再び366nmの紫外光を照射して発色させた後、その一部に中心波長450nm、半値幅10nmの可視光を照射したところ、PC1が選択的に消色され、照射部は青色を呈した。また別の一部に中心波長520nm、半値幅10nmの可視光を照射したところ、PC2が選択的に消色され、照射部は緑色を呈した。また別の一部に中心波長660nm、半値幅10nmの可視光を照射したところ、PC3が選択的に消色され、照射部は赤色を呈した。可視光未照射部において、前述の3つの波長分布の可視光を用い、実施例1と同様の要領でPC1、PC2、PC3の消色エネルギーを求めたとところ、それぞれ670mJ/cm、1160mJ/cm、880mJ/cmであった。
次に、この画像表示媒体の感光層に366nmの紫外光を再び照射して発色反応を飽和させた後、赤外光を照射して一時的に170℃に加熱処理した後、中心波長が420nm、480nm、620nmの可視光を用いて同様にしてPC1、PC2、PC3の消色エネルギーを求めたところ、それぞれ30mJ/cm、33mJ/cm、32mJ/cmであった。さらにまたこの画像表示媒体の感光層に366nmの紫外光を照射して発色反応を飽和させ、赤外光を照射して今度は一時的に80℃に加熱処理した後、同様にして消色エネルギーを求めたところ、それぞれ670mJ/cm、1160mJ/cm、880mJ/cmであった。
これにより、3種のフォトクロミック化合物に対しそれぞれ異なる電子受容性化合物を用いて感光層を形成することにより、例えば本実施例のようにそれぞれの消色感度をほぼ同等にするなどの調整が可能となることが確認された。
可視光波長による特定感光層の選択的消色を説明する図である。 可視光照射時間に伴う反射スペクトルの変化を示すグラフである。 ボトム波長による反射率の変化を示すグラフである。

Claims (14)

  1. 少なくともフォトクロミック化合物と電子受容性化合物を含むマイクロカプセルを含有する感光層を支持基板上に形成した画像表示媒体であって、該電子受容性化合物がルイス酸化合物であり、ルイス酸部位を除く長鎖構造部位の炭素数が12以上であることを特徴とする画像表示媒体。
  2. 前記フォトクロミック化合物がフルギド系化合物であることを特徴とする請求項1に記載の画像表示媒体。
  3. 前記感光層が、少なくともマイクロカプセルとバインダー材からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像表示媒体。
  4. 前記マイクロカプセル中に赤外吸収色素が含まれることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像表示媒体。
  5. 前記感光層が、少なくともマイクロカプセルとバインダー材と赤外吸収色素とからなることを特徴とする請求項3に記載の画像表示媒体。
  6. さらに感光層と支持基板の間あるいは感光層の上に、赤外吸収色素を含む発熱層を設けることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像表示媒体。
  7. 前記フォトクロミック化合物として発色状態における極大吸収波長が異なる2種類以上のフォトクロミック化合物を用いることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の画像表示媒体。
  8. 前記フォトクロミック化合物として、発色状態における極大吸収波長が400nm以上500nm未満の範囲にあるフォトクロミック化合物(A)と、発色状態における極大吸収波長が500nm以上600nm未満の範囲にあるフォトクロミック化合物(B)と、発色状態における極大吸収波長が600nm以上700nm未満の範囲にあるフォトクロミック化合物(C)をすべて用いることを特徴とする請求項7に記載の画像表示媒体。
  9. マイクロカプセルが、フォトクロミック化合物として上記(A)のみを含むマイクロカプセルと、フォトクロミック化合物として上記(B)のみを含むマイクロカプセルと、フォトクロミック化合物として上記(C)のみを含むマイクロカプセルからなることを特徴とする請求項8に記載の画像表示媒体。
  10. 感光層あるいは発熱層の表面に保護層を設けることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の画像表示媒体。
  11. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の画像表示媒体およびそれらの感光層あるいは発熱層の表面に保護層を形成した画像表示媒体に対し、少なくとも紫外光照射によって感光層に含有されるフォトクロミック化合物を発色させる工程、電子受容性化合物の溶融温度以上の温度に加熱する工程、発色したフォトクロミック化合物の極大吸収波長に対応した波長域の可視光を所定の領域に照射して消色する工程、および電子受容性化合物の溶融温度以下の温度に加熱する工程を施すことを特徴とする画像形成方法。
  12. 請求項4〜6のいずれか一項に記載の画像表示媒体およびそれらの感光層あるいは発熱層の表面に保護層を形成した画像表示媒体に対する加熱方法が赤外光照射であることを特徴とする請求項11に記載の画像形成方法。
  13. 請求項7〜9のいずれか一項に記載の画像表示媒体およびそれらの感光層あるいは発熱層の表面に保護層を形成した画像表示媒体に対し、少なくとも紫外光照射によって感光層に含有される全種類のフォトクロミック化合物を発色させる工程、電子受容性化合物の溶融温度以上の温度に加熱する工程、発色した各々のフォトクロミック化合物の極大吸収波長に対応した波長域の可視光をそれぞれ所定の領域に照射して各フォトクロミック化合物を選択的に消色する工程、および電子受容性化合物の溶融温度以下の温度に加熱する工程を施すことを特徴とする画像形成方法。
  14. 前記加熱方法が赤外光照射であることを特徴とする請求項13に記載の画像形成方法。
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