JP2004348103A - フォトレジスト剥離剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】シリコン基板の表面へのダメージが少なく、しかもドライエッチング工程やイオン注入工程を経たフォトレジスト、フォトレジストを酸素プラズマで処理した後に生じる残渣物の剥離性能に優れたフォトレジスト剥離剤を提供する。
【解決手段】塩基性化合物と、腐食抑制剤と、スルホキシド類、スルホン類、アミド類、ラクタム類、イミダゾリジノン類、ラクトン類、多価アルコール類および環状アルコール類からなる群から選ばれる少なくとも一つの有機化合物と、オキシエチレン基およびオキシプロピレン基を有する化合物とを含むことを特徴とするフォトレジスト剥離剤。
【選択図】 なし
【解決手段】塩基性化合物と、腐食抑制剤と、スルホキシド類、スルホン類、アミド類、ラクタム類、イミダゾリジノン類、ラクトン類、多価アルコール類および環状アルコール類からなる群から選ばれる少なくとも一つの有機化合物と、オキシエチレン基およびオキシプロピレン基を有する化合物とを含むことを特徴とするフォトレジスト剥離剤。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フォトレジスト剥離剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
LSI素子や液晶パネル素子等の半導体素子は、フォトレジストによるパターニング工程、ドライエッチング工程またはイオン注入工程、必要に応じて灰化工程、パターニングされたフォトレジストを除去するフォトレジスト剥離工程などを経て一般に製造される。
【0003】
ドライエッチング工程またはイオン注入工程を経たフォトレジスト表面は、エッチングガス等に曝されることで硬化し、難溶解性の膜に変質する。難溶解性の膜の除去を効率的に行うために、酸素プラズマ等を用いて難溶解性の膜を灰化する場合もある。
フォトレジスト剥離剤は、難溶解性の膜に変質したフォトレジストや、灰化によって除去できなかった残渣物を除去するために使用されるが、ポリシリコン膜、シリコン酸化膜、タングステン膜等が露出しているシリコン基板も該剥離剤に曝されることから、前記した膜やシリコン基板へのダメージが少ないフォトレジスト剥離剤の開発が望まれていた。
【0004】
本発明者らは、水酸化物と、金属の腐食抑制剤と、有機化合物と、オキシエチレン基やオキシプロピレン基を有する化合物とを含む洗浄液をすでに提案しているが(特許文献1参照)、該洗浄液は、シリコン基板の表面へのダメージは少ないものの、ドライエッチング工程やイオン注入工程を経たフォトレジスト、フォトレジストを酸素プラズマで処理した後に生じる残渣物の剥離性能にはなお改善の余地があった。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−214200
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、シリコン基板の表面へのダメージが少なく、しかもドライエッチング工程やイオン注入工程を経たフォトレジスト、フォトレジストを酸素プラズマで処理した後に生じる残渣物の剥離性能に優れたフォトレジスト剥離剤を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記したような問題を解決し得るフォトレジスト剥離剤を見出すべく、鋭意検討を重ねた結果、オキシエチレン基およびオキシプロピレン基を有する化合物と、腐食抑制剤と、特定の有機化合物とを含有するフォトレジスト剥離剤が、ポリシリコンやシリコン酸化膜等各種の膜表面やシリコン基板の表面へのダメージが少なく、しかもドライエッチング工程やイオン注入工程を経たフォトレジスト、フォトレジストを酸素プラズマで処理した後に生じる残渣物の剥離性能に優れていることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
即ち、本発明は、塩基性化合物と、腐食抑制剤と、スルホキシド類、スルホン類、アミド類、ラクタム類、イミダゾリジノン類、ラクトン類、多価アルコール類および環状アルコール類からなる群から選ばれる少なくとも一つの有機化合物と、下記式(I)及び/又は式(II)で示される化合物とを含むことを特徴とするフォトレジスト剥離剤を提供するものである。
HO−((EO)x−(PO)y)z−H (I)
(EOはオキシエチレン基を表わし、POはオキシプロピレン基を表わし、x及びyはx/(x+y)=0.05〜0.4を満足する整数を表わし、zは正の整数を表わす。)
R−[((EO)x−(PO)y)z−H]m (II)
(EO、PO、x、y、zは前記と同じ意味を表わし、Rは、R1−O−、H2N−R2−NH−、H2N−R2−N< 、−HN−R2−N< 、>N−R2−N< 、H2N−R3−O−、−HN−R3−O−、または >N−R3−O− を表わし、R1は炭素数1〜20のアルキル基を表わし、R2およびR3は炭素数1〜10のアルキレン基を表わし、mは1以上4以下の整数を表わす。)
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のフォトレジスト剥離剤は、塩基性化合物と、腐食抑制剤と、スルホキシド類、スルホン類、アミド類、ラクタム類、イミダゾリジノン類、ラクトン類、多価アルコール類および環状アルコール類からなる群から選ばれる少なくとも一つの有機化合物と、下記式(I)及び/又は式(II)で示される化合物とを含有するものである。
HO−((EO)x−(PO)y)z−H (I)
式中、EOはオキシエチレン基を表わし、POはオキシプロピレン基を表わし、x及びyはx/(x+y)=0.05〜0.4を満足する整数を表わし、zは正の整数を表わす。
R−[((EO)x−(PO)y)z−H]m (II)
式中、EO、PO、x、y、zは前記と同じ意味を表わし、Rは、R1−O−、H2N−R2−NH−、H2N−R2−N< 、−HN−R2−N< 、>N−R2−N< 、H2N−R3−O−、−HN−R3−O−、または >N−R3−O− を表わし、R1は炭素数1〜20のアルキル基を表わし、R2およびR3は炭素数1〜10のアルキレン基を表わし、mは1以上4以下の整数を表わす。
【0010】
塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム等の無機化合物、水酸化テトラメチルアンモニウム、コリン等の第4級アンモニウムの水酸化物、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−メチルアミノエタノール、2−エチルアミノエタノール、N−メチルジエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、1−アミノ−2−プロパノール、モノプロパノールアミン、ジブタノールアミン等のアルカノールアミン類などが挙げられる。
これらの中で、シリコン基板等の半導体基板の表面を金属汚染させないという観点から、水酸化アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、コリンなどの金属を含まない塩基性化合物が好適に使用される。
剥離剤中の塩基性化合物の濃度は、0.01〜31重量%であることが好ましく、より好ましくは0.05〜10重量%、さらに好ましくは0.1〜5.0重量%である。0.01重量%未満では、フォトレジストの剥離性能が不十分となる傾向があり、一方、31重量%を超えると、金属配線や半導体基板にダメージを与える傾向がある。
【0011】
腐食抑制剤は、分子内に、窒素原子、酸素原子、燐原子、硫黄原子の少なくとも一つの原子を有する有機化合物を含有するものであることが好ましい。
中でも分子内に少なくとも1つのメルカプト基を含む化合物、分子内に少なくとも2つの水酸基を含む有機化合物、分子内に少なくとも1つの水酸基と少なくとも1つのカルボキシル基を含む有機化合物、分子内に少なくとも1つのメルカプト基と少なくとも1つの水酸基を含む化合物で、該化合物を構成する炭素数が2以上であり、メルカプト基が結合している炭素と水酸基が結合している炭素とが隣接している脂肪族アルコール系化合物、および分子内に少なくとも1つのアゾールを含む化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物であることが好ましく、これらの腐食抑制剤は、露出している膜の種類により前記の含まれる元素を適宜選択することが好ましい。
露出している膜がタングステンの場合、分子内に少なくとも1つのメルカプト基を有する化合物、分子内に少なくとも2つの水酸基を含む有機化合物、分子内に少なくとも1つの水酸基と少なくとも1つのカルボキシル基を含む有機化合物、またはこれらの混合物などを用いることができる。
【0012】
分子内に少なくとも1つのメルカプト基を有する化合物としては、例えば、チオ酢酸、チオ安息香酸、チオグリコール、チオグリセロール、システイン等が挙げられる。
分子内に少なくとも2つの水酸基を含む有機化合物または分子内に少なくとも1つの水酸基と少なくとも1つのカルボキシル基を含む有機化合物としては、例えば、トレイトール、エリトリトール、アドニトール、アラビトール、マンニトール、キシリトール、タリトール、ソルビトール、カテコール、t−ブチルカテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ピロガロール、没食子酸、タンニン酸等が挙げられる。
【0013】
露出している膜が銅の場合、分子内に少なくとも2つの水酸基を含む有機化合物、分子内に少なくとも1つのメルカプト基と少なくとも1つの水酸基を含む化合物で、該化合物を構成する炭素数が2以上であり、メルカプト基が結合している炭素と水酸基が結合している炭素とが隣接している脂肪族アルコール系化合物、分子内に少なくとも1つのアゾールを含む化合物などを用いることができる。
分子内に少なくとも2つの水酸基を含む有機化合物としては、前記と同じものが挙げられる。
該脂肪族アルコール系化合物としては、例えば、チオグリコール、チオグリセロール等が挙げられる。
分子内に少なくとも1つのアゾールを含む化合物としては、例えば、ベンゾトリアゾール、トルトライアゾール、4メチルイミダゾール、5ーヒドロキシメチルー4ーメチルイミダゾール、3ーアミノトリアゾール等が挙げられる。
露出している膜がシリコン酸化膜の場合、分子内に少なくとも2つの水酸基を含む有機化合物を用いることができる。
分子内に少なくとも2つの水酸基を含む有機化合物としては、前記と同じものが挙げられる。
【0014】
剥離剤中に含まれるこれら金属の腐食抑制剤の濃度は、0.0001〜5重量%であることが好ましく、より好ましくは0.001〜1重量%である。0.0001重量%未満では、露出している膜に対する腐食抑制効果を十分に発揮することができない傾向があり、5重量%を超えると、剥離剤調合時の溶解性に問題が生じる傾向がある。
【0015】
本発明で使用される有機化合物としては、例えば、スルホキシド類、スルホン類、アミド類、ラクタム類、イミダゾリジノン類、ラクトン類、多価アルコール類、環状アルコール類、またはこれらの混合物などが挙げられる。
具体的には、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ビス(2−ヒドロキシエチル)スルホン、テトラメチレンスルホン等のスルホン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等のアミド類、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−プロピル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシメチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン等のラクタム類、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジイソプロピル−2−イミダゾリジノン等のイミダゾリジノン類、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコール類、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等の環状アルコール類及びその誘導体などが挙げられる。
これらの中で、フォトレジストの剥離性の観点から、ジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラヒドロフルフリルアルコールが好ましく使用され、中でもテトラメチレンスルホン、N−メチル−2−ピロリドンがより好ましい。
【0016】
剥離剤中での該有機化合物の濃度は、2〜99.5重量%であることが好ましく、10〜99.5重量%であることがより好ましい。該濃度が2重量%未満、または99.5重量%を超えると、レジストや残渣物除去性が低下する傾向がある。
【0017】
本発明で使用される前記式(I)及び/又は(II)で示される化合物において、EOはオキシエチレン基[−CH2−CH2−O−]を表わし、POはオキシプロピレン基[−CH(CH3)−CH2−O−]または[−CH2−CH(CH3)−O−]を表わす。
x及びyは、x/(x+y)が0.05〜0.4を満足する整数を表わす。
x/(x+y)が0.05未満では、洗浄液調整時の溶解性が不十分となり、一方0.4を超えると、液の消泡性が不十分となる。
ここで、一般式(I)及び(II)における((EO)x−(PO)y)zで示されるユニットは、ブロック共重合体であってもランダム共重合体であっても、ブロック性を帯びたランダム共重合体であってもよいことを表わす。これらの中で、ブロック共重合体であることが好ましい。
【0018】
式(II)中、Rは、R1−O−、H2N−R2−NH−、H2N−R2−N< 、−HN−R2−N< 、>N−R2−N< ,H2N−R3−O−、−HN−R3−O−、または >N−R3−O− を表わし、R1は炭素数1〜20のアルキル基を表わし、R2およびR3は炭素数1〜10のアルキレン基を表わす。
R1−O−は、R1−OHの水酸基から水素原子を除いた残基であるが、R1−OHとしては、例えば、2−エチルヘキシルアルコール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、オレイルアルコール、牛脂アルコール、ヤシ油アルコール等の1価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1、3ープロパンジオール、1、2ーブタンジオール、1、3ーブタンジオール、2、3ーブタンジオール、1、4ーブタンジオール、2ーメチルー1、2ープロパンジオール、2ーメチルー1、3ープロパンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどが挙げられる。
H2N−R2−NH−、H2N−R2−N< 、−HN−R2−N< 、>N−R2−N< は、H2N−R2−NH2のアミンから水素原子を除いた残基であるが、H2N−R2−NH2としては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミンなどが挙げられる。
H2N−R3−O−、−HN−R3−O−、または >N−R3−O− は、H2N−R3−OHから水素原子を除いた残基であるが、H2N−R3−OHとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−メチルアミノエタノール、2−エチルアミノエタノール、N−メチルジエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、1−アミノ−2−プロパノール、モノプロパノールアミン、ジブタノールアミンなどが挙げられる。
【0019】
前記式(I)及び/又は(II)で示される化合物中の、(PO)y部分の平均分子量は500〜5000であることが好ましい。
平均分子量が500未満では、洗浄性能が不十分となる傾向があり、一方、平均分子量が5000を超えると、調合時の溶解性が不十分となる傾向がある。
式(I)及び/又は(II)で示される化合物と、前記塩基性化合物との重量比は、(0.3×10−4〜1):1であることが好ましい。重量比が0.3×10−4未満では、半導体素子を製造する際に露出するシリコン表面が腐食する傾向があり、重量比が1を超えると、調合時及び使用時に液の発泡が起こり易くなる傾向がある。
【0020】
式(I)及び/又は(II)で示される化合物としては、例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン2−エチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン合成アルコールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレントリデシルエーテル、エチレンジアミン付加型ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等が挙げられる。
式(I)及び/又は(II)で示される化合物は、市販されており、具体的には、アデカプルロニックL31、L61、L44、L64、L68、TR701、TR702、TR704、TR504、TR304(旭電化(株)製、以降アデカL31、L61、L44、L64、L68、TR701、TR702、TR704、TR504、TR304と略す)、レオコン1015H,1020H(ライオン(株)製)、エパン410、420、610、710、720(第一工業製薬(株)製)、BLAUNON NFB−2040、ファインサーフ560、ファインサーフTDP−0633K(青木油脂(株)製)等を挙げることができる。
【0021】
本発明のフォトレジスト剥離剤中には、水は含まれていても含まれていなくてもよい。例えば、本発明において塩基性化合物として使用する水酸化アンモニウムや水酸化テトラメチルアンモニウム、コリン等は、通常、20〜60%程度の水溶液として用いられており、この水溶液を用いて所定の濃度の塩基性化合物濃度にするために水を使用することは特に制限されず、本発明において使用される金属の腐食抑制剤の溶解性を向上させるために任意に水を添加することもできる。
【0022】
本発明のフォトレジスト剥離剤は、所定量の上記した各成分を混合することにより得ることができる。混合の方法は、特に限定されるものではなく、種々の公知の方法を適用することができる。
【0023】
本発明のフォトレジスト剥離剤を用いてフォトレジストを剥離する方法としては、例えば、本発明のフォトレジスト剥離剤と半導体基板を10〜80℃で接触せしめる方法などが挙げられる。剥離剤と半導体基板を接触せしめる方法としては、例えば、該剥離剤中に半導体基板を浸漬させる方法、半導体基板の表面に該剥離剤を吹きつける方法、これらの方法に超音波の照射等を併用する方法などが挙げられる。
【0024】
本発明のフォトレジスト剥離剤は、フォトレジストの剥離性能に優れたものであり、しかも単結晶シリコン、アモルファスシリコン、多結晶シリコン等のシリコン、及びタングステンといった金属に対する侵食性が抑制されたものであるので、液晶ディスプレイ、シリコン基板を用いる集積回路デバイス等のレジスト剥離工程において好適に使用することができる。
【0025】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明が実施例により限定されるものでないことは言うまでもない。
【0026】
実施例1、比較例1〜3
被処理基板として、シリコン基板上に市販のフォトレジストをスピンコートによって成膜した後、公知の技術により露光、パターニング処理を行った後、パターニングによりレジスト膜よる露出したシリコン基板面に、イオン注入法によりAsイオンを注入したサンプル(A)、同じくシリコン基板上に1000Åの熱酸化膜を形成した後、厚さ1000Åのアモルファスシリコン膜を成膜したサンプル(B)、シリコン基板上に厚さ1000Åの窒化珪素膜を形成した後、厚さ10000Åのタングステン膜を形成したサンプル(C)を用いた。
該サンプルを恒温浴中、40℃に保持された表1記載の剥離剤に浸漬し、その後、サンプル(A)については基板からのレジスト除去性を光学顕微鏡観察にて、サンプル(B)、サンプル(C)についてはアモルファスシリコン、タングステンに対する腐食性を侵食速度の測定により評価を行った。結果を表1に示す。
【0027】
【表1】
*1 アデカTR702:
オキシプロピレン基の平均分子量が2501〜3000、x/(x+y)=0.2、Rが >N−R2−N< で、R2はエチレンであり、m=4である式(II)で示される化合物。
*2 ○:レジスト除去性良好、×:レジスト除去されない
*3 (Å/分)
実施例1に示した組成液においては、ヒ素(As)をイオン注入したレジストにおいても良好な除去性を示し、かつタングステン(W)やアモルファスシリコンに対する侵食も少ないものが得られた。
【0028】
実施例2、3、比較例4
被処理基板として、シリコン酸化膜を形成したシリコン基板上に市販のフォトレジストをスピンコートによって成膜した後、公知の技術により露光、パターニング処理を行い、パターニングによって露出したシリコン酸化膜をドライエッチングにより除去した後、イオン注入法によりAsイオンを注入し、その後公知の技術によりプラズマ処理によってレジスト膜を灰化させたサンプル(D)を用いた。
該サンプルを恒温浴中、55℃に保持された表2記載の剥離剤に浸漬し、その後、サンプル(D)の基板からのレジスト残渣物の除去性と、シリコン酸化膜表面の荒れを電子顕微鏡観察にて観察した。
【表2】
*4 ○:レジスト残渣除去性良好、×:レジスト残渣除去不十分
*5 ○:シリコン酸化膜表面荒れなし ×:シリコン酸化膜表面荒れあり
実施例2,3に示した組成液においては、ヒ素(As)をイオン注入したレジスト灰化後の残渣について良好な除去性を示し、かつシリコン酸化膜に対する表面荒れも少ないものが得られた。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、ポリシリコンやシリコン酸化膜等各種の膜表面やシリコン基板の表面へのダメージが少なく、しかもドライエッチング工程やイオン注入工程を経たフォトレジスト、フォトレジストをプラズマ処理した後に生じる残渣物の剥離性能に優れたフォトレジスト剥離剤を提供することが可能となる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、フォトレジスト剥離剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
LSI素子や液晶パネル素子等の半導体素子は、フォトレジストによるパターニング工程、ドライエッチング工程またはイオン注入工程、必要に応じて灰化工程、パターニングされたフォトレジストを除去するフォトレジスト剥離工程などを経て一般に製造される。
【0003】
ドライエッチング工程またはイオン注入工程を経たフォトレジスト表面は、エッチングガス等に曝されることで硬化し、難溶解性の膜に変質する。難溶解性の膜の除去を効率的に行うために、酸素プラズマ等を用いて難溶解性の膜を灰化する場合もある。
フォトレジスト剥離剤は、難溶解性の膜に変質したフォトレジストや、灰化によって除去できなかった残渣物を除去するために使用されるが、ポリシリコン膜、シリコン酸化膜、タングステン膜等が露出しているシリコン基板も該剥離剤に曝されることから、前記した膜やシリコン基板へのダメージが少ないフォトレジスト剥離剤の開発が望まれていた。
【0004】
本発明者らは、水酸化物と、金属の腐食抑制剤と、有機化合物と、オキシエチレン基やオキシプロピレン基を有する化合物とを含む洗浄液をすでに提案しているが(特許文献1参照)、該洗浄液は、シリコン基板の表面へのダメージは少ないものの、ドライエッチング工程やイオン注入工程を経たフォトレジスト、フォトレジストを酸素プラズマで処理した後に生じる残渣物の剥離性能にはなお改善の余地があった。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−214200
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、シリコン基板の表面へのダメージが少なく、しかもドライエッチング工程やイオン注入工程を経たフォトレジスト、フォトレジストを酸素プラズマで処理した後に生じる残渣物の剥離性能に優れたフォトレジスト剥離剤を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記したような問題を解決し得るフォトレジスト剥離剤を見出すべく、鋭意検討を重ねた結果、オキシエチレン基およびオキシプロピレン基を有する化合物と、腐食抑制剤と、特定の有機化合物とを含有するフォトレジスト剥離剤が、ポリシリコンやシリコン酸化膜等各種の膜表面やシリコン基板の表面へのダメージが少なく、しかもドライエッチング工程やイオン注入工程を経たフォトレジスト、フォトレジストを酸素プラズマで処理した後に生じる残渣物の剥離性能に優れていることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
即ち、本発明は、塩基性化合物と、腐食抑制剤と、スルホキシド類、スルホン類、アミド類、ラクタム類、イミダゾリジノン類、ラクトン類、多価アルコール類および環状アルコール類からなる群から選ばれる少なくとも一つの有機化合物と、下記式(I)及び/又は式(II)で示される化合物とを含むことを特徴とするフォトレジスト剥離剤を提供するものである。
HO−((EO)x−(PO)y)z−H (I)
(EOはオキシエチレン基を表わし、POはオキシプロピレン基を表わし、x及びyはx/(x+y)=0.05〜0.4を満足する整数を表わし、zは正の整数を表わす。)
R−[((EO)x−(PO)y)z−H]m (II)
(EO、PO、x、y、zは前記と同じ意味を表わし、Rは、R1−O−、H2N−R2−NH−、H2N−R2−N< 、−HN−R2−N< 、>N−R2−N< 、H2N−R3−O−、−HN−R3−O−、または >N−R3−O− を表わし、R1は炭素数1〜20のアルキル基を表わし、R2およびR3は炭素数1〜10のアルキレン基を表わし、mは1以上4以下の整数を表わす。)
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のフォトレジスト剥離剤は、塩基性化合物と、腐食抑制剤と、スルホキシド類、スルホン類、アミド類、ラクタム類、イミダゾリジノン類、ラクトン類、多価アルコール類および環状アルコール類からなる群から選ばれる少なくとも一つの有機化合物と、下記式(I)及び/又は式(II)で示される化合物とを含有するものである。
HO−((EO)x−(PO)y)z−H (I)
式中、EOはオキシエチレン基を表わし、POはオキシプロピレン基を表わし、x及びyはx/(x+y)=0.05〜0.4を満足する整数を表わし、zは正の整数を表わす。
R−[((EO)x−(PO)y)z−H]m (II)
式中、EO、PO、x、y、zは前記と同じ意味を表わし、Rは、R1−O−、H2N−R2−NH−、H2N−R2−N< 、−HN−R2−N< 、>N−R2−N< 、H2N−R3−O−、−HN−R3−O−、または >N−R3−O− を表わし、R1は炭素数1〜20のアルキル基を表わし、R2およびR3は炭素数1〜10のアルキレン基を表わし、mは1以上4以下の整数を表わす。
【0010】
塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム等の無機化合物、水酸化テトラメチルアンモニウム、コリン等の第4級アンモニウムの水酸化物、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−メチルアミノエタノール、2−エチルアミノエタノール、N−メチルジエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、1−アミノ−2−プロパノール、モノプロパノールアミン、ジブタノールアミン等のアルカノールアミン類などが挙げられる。
これらの中で、シリコン基板等の半導体基板の表面を金属汚染させないという観点から、水酸化アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、コリンなどの金属を含まない塩基性化合物が好適に使用される。
剥離剤中の塩基性化合物の濃度は、0.01〜31重量%であることが好ましく、より好ましくは0.05〜10重量%、さらに好ましくは0.1〜5.0重量%である。0.01重量%未満では、フォトレジストの剥離性能が不十分となる傾向があり、一方、31重量%を超えると、金属配線や半導体基板にダメージを与える傾向がある。
【0011】
腐食抑制剤は、分子内に、窒素原子、酸素原子、燐原子、硫黄原子の少なくとも一つの原子を有する有機化合物を含有するものであることが好ましい。
中でも分子内に少なくとも1つのメルカプト基を含む化合物、分子内に少なくとも2つの水酸基を含む有機化合物、分子内に少なくとも1つの水酸基と少なくとも1つのカルボキシル基を含む有機化合物、分子内に少なくとも1つのメルカプト基と少なくとも1つの水酸基を含む化合物で、該化合物を構成する炭素数が2以上であり、メルカプト基が結合している炭素と水酸基が結合している炭素とが隣接している脂肪族アルコール系化合物、および分子内に少なくとも1つのアゾールを含む化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物であることが好ましく、これらの腐食抑制剤は、露出している膜の種類により前記の含まれる元素を適宜選択することが好ましい。
露出している膜がタングステンの場合、分子内に少なくとも1つのメルカプト基を有する化合物、分子内に少なくとも2つの水酸基を含む有機化合物、分子内に少なくとも1つの水酸基と少なくとも1つのカルボキシル基を含む有機化合物、またはこれらの混合物などを用いることができる。
【0012】
分子内に少なくとも1つのメルカプト基を有する化合物としては、例えば、チオ酢酸、チオ安息香酸、チオグリコール、チオグリセロール、システイン等が挙げられる。
分子内に少なくとも2つの水酸基を含む有機化合物または分子内に少なくとも1つの水酸基と少なくとも1つのカルボキシル基を含む有機化合物としては、例えば、トレイトール、エリトリトール、アドニトール、アラビトール、マンニトール、キシリトール、タリトール、ソルビトール、カテコール、t−ブチルカテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ピロガロール、没食子酸、タンニン酸等が挙げられる。
【0013】
露出している膜が銅の場合、分子内に少なくとも2つの水酸基を含む有機化合物、分子内に少なくとも1つのメルカプト基と少なくとも1つの水酸基を含む化合物で、該化合物を構成する炭素数が2以上であり、メルカプト基が結合している炭素と水酸基が結合している炭素とが隣接している脂肪族アルコール系化合物、分子内に少なくとも1つのアゾールを含む化合物などを用いることができる。
分子内に少なくとも2つの水酸基を含む有機化合物としては、前記と同じものが挙げられる。
該脂肪族アルコール系化合物としては、例えば、チオグリコール、チオグリセロール等が挙げられる。
分子内に少なくとも1つのアゾールを含む化合物としては、例えば、ベンゾトリアゾール、トルトライアゾール、4メチルイミダゾール、5ーヒドロキシメチルー4ーメチルイミダゾール、3ーアミノトリアゾール等が挙げられる。
露出している膜がシリコン酸化膜の場合、分子内に少なくとも2つの水酸基を含む有機化合物を用いることができる。
分子内に少なくとも2つの水酸基を含む有機化合物としては、前記と同じものが挙げられる。
【0014】
剥離剤中に含まれるこれら金属の腐食抑制剤の濃度は、0.0001〜5重量%であることが好ましく、より好ましくは0.001〜1重量%である。0.0001重量%未満では、露出している膜に対する腐食抑制効果を十分に発揮することができない傾向があり、5重量%を超えると、剥離剤調合時の溶解性に問題が生じる傾向がある。
【0015】
本発明で使用される有機化合物としては、例えば、スルホキシド類、スルホン類、アミド類、ラクタム類、イミダゾリジノン類、ラクトン類、多価アルコール類、環状アルコール類、またはこれらの混合物などが挙げられる。
具体的には、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ビス(2−ヒドロキシエチル)スルホン、テトラメチレンスルホン等のスルホン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等のアミド類、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−プロピル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシメチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン等のラクタム類、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジイソプロピル−2−イミダゾリジノン等のイミダゾリジノン類、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコール類、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等の環状アルコール類及びその誘導体などが挙げられる。
これらの中で、フォトレジストの剥離性の観点から、ジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラヒドロフルフリルアルコールが好ましく使用され、中でもテトラメチレンスルホン、N−メチル−2−ピロリドンがより好ましい。
【0016】
剥離剤中での該有機化合物の濃度は、2〜99.5重量%であることが好ましく、10〜99.5重量%であることがより好ましい。該濃度が2重量%未満、または99.5重量%を超えると、レジストや残渣物除去性が低下する傾向がある。
【0017】
本発明で使用される前記式(I)及び/又は(II)で示される化合物において、EOはオキシエチレン基[−CH2−CH2−O−]を表わし、POはオキシプロピレン基[−CH(CH3)−CH2−O−]または[−CH2−CH(CH3)−O−]を表わす。
x及びyは、x/(x+y)が0.05〜0.4を満足する整数を表わす。
x/(x+y)が0.05未満では、洗浄液調整時の溶解性が不十分となり、一方0.4を超えると、液の消泡性が不十分となる。
ここで、一般式(I)及び(II)における((EO)x−(PO)y)zで示されるユニットは、ブロック共重合体であってもランダム共重合体であっても、ブロック性を帯びたランダム共重合体であってもよいことを表わす。これらの中で、ブロック共重合体であることが好ましい。
【0018】
式(II)中、Rは、R1−O−、H2N−R2−NH−、H2N−R2−N< 、−HN−R2−N< 、>N−R2−N< ,H2N−R3−O−、−HN−R3−O−、または >N−R3−O− を表わし、R1は炭素数1〜20のアルキル基を表わし、R2およびR3は炭素数1〜10のアルキレン基を表わす。
R1−O−は、R1−OHの水酸基から水素原子を除いた残基であるが、R1−OHとしては、例えば、2−エチルヘキシルアルコール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、オレイルアルコール、牛脂アルコール、ヤシ油アルコール等の1価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1、3ープロパンジオール、1、2ーブタンジオール、1、3ーブタンジオール、2、3ーブタンジオール、1、4ーブタンジオール、2ーメチルー1、2ープロパンジオール、2ーメチルー1、3ープロパンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどが挙げられる。
H2N−R2−NH−、H2N−R2−N< 、−HN−R2−N< 、>N−R2−N< は、H2N−R2−NH2のアミンから水素原子を除いた残基であるが、H2N−R2−NH2としては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミンなどが挙げられる。
H2N−R3−O−、−HN−R3−O−、または >N−R3−O− は、H2N−R3−OHから水素原子を除いた残基であるが、H2N−R3−OHとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−メチルアミノエタノール、2−エチルアミノエタノール、N−メチルジエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、1−アミノ−2−プロパノール、モノプロパノールアミン、ジブタノールアミンなどが挙げられる。
【0019】
前記式(I)及び/又は(II)で示される化合物中の、(PO)y部分の平均分子量は500〜5000であることが好ましい。
平均分子量が500未満では、洗浄性能が不十分となる傾向があり、一方、平均分子量が5000を超えると、調合時の溶解性が不十分となる傾向がある。
式(I)及び/又は(II)で示される化合物と、前記塩基性化合物との重量比は、(0.3×10−4〜1):1であることが好ましい。重量比が0.3×10−4未満では、半導体素子を製造する際に露出するシリコン表面が腐食する傾向があり、重量比が1を超えると、調合時及び使用時に液の発泡が起こり易くなる傾向がある。
【0020】
式(I)及び/又は(II)で示される化合物としては、例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン2−エチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン合成アルコールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレントリデシルエーテル、エチレンジアミン付加型ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等が挙げられる。
式(I)及び/又は(II)で示される化合物は、市販されており、具体的には、アデカプルロニックL31、L61、L44、L64、L68、TR701、TR702、TR704、TR504、TR304(旭電化(株)製、以降アデカL31、L61、L44、L64、L68、TR701、TR702、TR704、TR504、TR304と略す)、レオコン1015H,1020H(ライオン(株)製)、エパン410、420、610、710、720(第一工業製薬(株)製)、BLAUNON NFB−2040、ファインサーフ560、ファインサーフTDP−0633K(青木油脂(株)製)等を挙げることができる。
【0021】
本発明のフォトレジスト剥離剤中には、水は含まれていても含まれていなくてもよい。例えば、本発明において塩基性化合物として使用する水酸化アンモニウムや水酸化テトラメチルアンモニウム、コリン等は、通常、20〜60%程度の水溶液として用いられており、この水溶液を用いて所定の濃度の塩基性化合物濃度にするために水を使用することは特に制限されず、本発明において使用される金属の腐食抑制剤の溶解性を向上させるために任意に水を添加することもできる。
【0022】
本発明のフォトレジスト剥離剤は、所定量の上記した各成分を混合することにより得ることができる。混合の方法は、特に限定されるものではなく、種々の公知の方法を適用することができる。
【0023】
本発明のフォトレジスト剥離剤を用いてフォトレジストを剥離する方法としては、例えば、本発明のフォトレジスト剥離剤と半導体基板を10〜80℃で接触せしめる方法などが挙げられる。剥離剤と半導体基板を接触せしめる方法としては、例えば、該剥離剤中に半導体基板を浸漬させる方法、半導体基板の表面に該剥離剤を吹きつける方法、これらの方法に超音波の照射等を併用する方法などが挙げられる。
【0024】
本発明のフォトレジスト剥離剤は、フォトレジストの剥離性能に優れたものであり、しかも単結晶シリコン、アモルファスシリコン、多結晶シリコン等のシリコン、及びタングステンといった金属に対する侵食性が抑制されたものであるので、液晶ディスプレイ、シリコン基板を用いる集積回路デバイス等のレジスト剥離工程において好適に使用することができる。
【0025】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明が実施例により限定されるものでないことは言うまでもない。
【0026】
実施例1、比較例1〜3
被処理基板として、シリコン基板上に市販のフォトレジストをスピンコートによって成膜した後、公知の技術により露光、パターニング処理を行った後、パターニングによりレジスト膜よる露出したシリコン基板面に、イオン注入法によりAsイオンを注入したサンプル(A)、同じくシリコン基板上に1000Åの熱酸化膜を形成した後、厚さ1000Åのアモルファスシリコン膜を成膜したサンプル(B)、シリコン基板上に厚さ1000Åの窒化珪素膜を形成した後、厚さ10000Åのタングステン膜を形成したサンプル(C)を用いた。
該サンプルを恒温浴中、40℃に保持された表1記載の剥離剤に浸漬し、その後、サンプル(A)については基板からのレジスト除去性を光学顕微鏡観察にて、サンプル(B)、サンプル(C)についてはアモルファスシリコン、タングステンに対する腐食性を侵食速度の測定により評価を行った。結果を表1に示す。
【0027】
【表1】
*1 アデカTR702:
オキシプロピレン基の平均分子量が2501〜3000、x/(x+y)=0.2、Rが >N−R2−N< で、R2はエチレンであり、m=4である式(II)で示される化合物。
*2 ○:レジスト除去性良好、×:レジスト除去されない
*3 (Å/分)
実施例1に示した組成液においては、ヒ素(As)をイオン注入したレジストにおいても良好な除去性を示し、かつタングステン(W)やアモルファスシリコンに対する侵食も少ないものが得られた。
【0028】
実施例2、3、比較例4
被処理基板として、シリコン酸化膜を形成したシリコン基板上に市販のフォトレジストをスピンコートによって成膜した後、公知の技術により露光、パターニング処理を行い、パターニングによって露出したシリコン酸化膜をドライエッチングにより除去した後、イオン注入法によりAsイオンを注入し、その後公知の技術によりプラズマ処理によってレジスト膜を灰化させたサンプル(D)を用いた。
該サンプルを恒温浴中、55℃に保持された表2記載の剥離剤に浸漬し、その後、サンプル(D)の基板からのレジスト残渣物の除去性と、シリコン酸化膜表面の荒れを電子顕微鏡観察にて観察した。
【表2】
*4 ○:レジスト残渣除去性良好、×:レジスト残渣除去不十分
*5 ○:シリコン酸化膜表面荒れなし ×:シリコン酸化膜表面荒れあり
実施例2,3に示した組成液においては、ヒ素(As)をイオン注入したレジスト灰化後の残渣について良好な除去性を示し、かつシリコン酸化膜に対する表面荒れも少ないものが得られた。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、ポリシリコンやシリコン酸化膜等各種の膜表面やシリコン基板の表面へのダメージが少なく、しかもドライエッチング工程やイオン注入工程を経たフォトレジスト、フォトレジストをプラズマ処理した後に生じる残渣物の剥離性能に優れたフォトレジスト剥離剤を提供することが可能となる。
Claims (10)
- 塩基性化合物と、腐食抑制剤と、スルホキシド類、スルホン類、アミド類、ラクタム類、イミダゾリジノン類、ラクトン類、多価アルコール類および環状アルコール類からなる群から選ばれる少なくとも一つの有機化合物と、下記式(I)及び/又は式(II)で示される化合物とを含むことを特徴とするフォトレジスト剥離剤。
HO−((EO)x−(PO)y)z−H (I)
(EOはオキシエチレン基を表わし、POはオキシプロピレン基を表わし、x及びyはx/(x+y)=0.05〜0.4を満足する整数を表わし、zは正の整数を表わす。)
R−[((EO)x−(PO)y)z−H]m (II)
(EO、PO、x、y、zは前記と同じ意味を表わし、Rは、R1−O−、H2N−R2−NH−、H2N−R2−N< 、−HN−R2−N< 、>N−R2−N< 、H2N−R3−O−、−HN−R3−O−、または >N−R3−O− を表わし、R1は炭素数1〜20のアルキル基を表わし、R2およびR3は炭素数1〜10のアルキレン基を表わし、mは1以上4以下の整数を表わす。) - 塩基性化合物が、水酸化アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムからなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物である請求項1記載のフォトレジスト剥離剤。
- 塩基性化合物が、水酸化アンモニウムである請求項1または2記載のフォトレジスト剥離剤。
- 塩基性化合物の濃度が、0.01〜31重量%である請求項1〜3のいずれかに記載のフォトレジスト剥離剤。
- 有機化合物の濃度が、0.1〜99.5重量%である請求項1〜4のいずれかに記載のフォトレジスト剥離剤。
- 有機化合物が、N−メチルピロリドンまたはテトラメチレンスルホンである請求項1〜5のいずれかに記載のフォトレジスト剥離剤。
- 腐食抑制剤が、分子内に、窒素原子、酸素原子、燐原子および硫黄原子からなる群から選ばれる少なくとも一つの原子を有する有機化合物を含有する請求項1〜6のいずれかに記載のフォトレジスト剥離剤。
- 腐食抑制剤が、分子内に少なくとも1つのメルカプト基を含む化合物、分子内に少なくとも2つの水酸基を含む有機化合物、分子内に少なくとも1つの水酸基と少なくとも1つのカルボキシル基を含む有機化合物、分子内に少なくとも1つのメルカプト基と少なくとも1つの水酸基を含む化合物で、該化合物を構成する炭素数が2以上であり、メルカプト基が結合している炭素と水酸基が結合している炭素とが隣接している脂肪族アルコール系化合物、および分子内に少なくとも1つのアゾールを含む化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物である請求項1〜7のいずれかに記載のフォトレジスト剥離剤。
- 腐食抑制剤の濃度が、0.0001〜5重量%である請求項1〜8のいずれかに記載のフォトレジスト剥離剤。
- 式(I)及び/又は(II)で示される化合物と、塩基性化合物との重量比が、(0.3×10−4〜1):1である請求項1〜9のいずれかに記載のフォトレジスト剥離剤。
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