JP2004346648A - 防水パン - Google Patents
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Abstract
【解決手段】方形の平面形状を有するパネル1の四周に側壁2を形成し、パネル1の前縁沿いに排水溝部を凹設した合成樹脂製の防水パンPであって、パネル1の排水溝部を除いた部分の表面に、排水溝部に通じる小溝部4を形成すると共に、パネル1の裏面にリブ6a,6bを小溝部4の位置に合わせて形成した構成とする。パネル表面の小溝部4とパネル裏面のリブ6a,6bの位置が合致していると、小溝部4がリブ6a,6bで補強されて強度低下を生じず、リブ形成部分でヒケが発生しても小溝部4と重なるので美観の低下を防止できる。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、バルコニーやテラスなどに敷設される合成樹脂製の防水パンに関する。
【0002】
【従来の技術】
バルコニーやテラスなどに敷設される合成樹脂製の一般的な防水パンは、方形の平面形状を備えたパネルの四周に側壁を形成し、パネルの前縁沿いに排水溝部を凹設した構造を有している。このような防水パンの中には、パネルの表面に小溝部を形成してパネル表面の水はけの向上と防滑性を付与すると共に、パネルの裏面にリブを形成して防水パンの強度向上を図ったものがある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−209906号公報(第1図、第2図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1の防水パンのようにパネルの表面と裏面に小溝部とリブを形成した従来の防水パンは、小溝部の位置に合わせてリブを形成していないため、肉厚の薄くなった小溝部をリブで補強することができず、防水パンの強度が小溝部の形成箇所で部分的に低下するという問題があった。
【0005】
また、上記のように小溝部とリブの位置がずれていると、プレス成形等の手段で防水パンを一体成形したときに、リブを形成した箇所のパネル表面に凹みが生じる(いわゆるヒケの発生)ため、美観が損なわれて商品価値が低下するという問題もあった。
【0006】
本発明は、これらの問題を解決し得る合成樹脂製の防水パンを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る防水パンは、方形の平面形状を有するパネルの四周に側壁を形成し、パネルの前縁沿いに排水溝部を凹設した合成樹脂製の防水パンであって、パネルの排水溝部を除いた部分の表面に、排水溝部に通じる小溝部を形成すると共に、パネルの裏面にリブを小溝部の位置に合わせて形成したことを特徴とするものである。
【0008】
この防水パンのように、パネルの表面に形成された小溝部の位置に合わせてパネルの裏面にリブが形成されていると、パネルの肉厚の薄くなった小溝部がリブで補強されるため、防水パンのパネルの強度が小溝部の形成箇所で部分的に低下することがなくなる。そして、成形の際にヒケが発生し、リブを形成した箇所のパネル表面に凹みが生じても、この凹みの発生箇所はパネル表面の小溝部の形成箇所に合致するため、美観が損なわれて商品価値が低下する心配もなくなる。
【0009】
本発明の防水パンにおいては、パネルの裏面のリブの両側に、パネルの肉厚よりも厚い肉盛部を形成することが好ましく、このように肉盛部を形成すると、パネルの小溝部の形成箇所の強度やリブの付根部分の強度が向上し、クラック等の発生を抑制できる利点がある。
【0010】
また、本発明の防水パンにおいては、小溝部を格子状に形成すると共に、小溝部の位置に合わせてリブを格子状に形成することが好ましく、さらに、パネルの格子状の小溝部によって囲まれた表面に、小溝部よりも小さな凹条を小溝部に通じるように格子状に形成することが好ましい。このようにすると、パネル表面の水が凹条から小溝部を通ってすみやかに排水溝部に流れ込むため水はけ性能が向上すると共に、凹条と小溝部によって適度な滑り止め作用が発揮されるため、足を滑らせて転倒する危険性がなくなる。
【0011】
また、本発明の防水パンにおいては、小溝部の位置に合わせて格子状に形成されたリブのうち、一方向に延びるリブの高さをこれと直交する方向に延びるリブの高さよりも低くすることが好ましく、このようにすると、防水パンの強度を維持したまま、防水パンの軽量化とコストダウンを図ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳述する。
【0013】
図1は本発明の一実施形態に係る防水パンの平面図、図2は同防水パンの底面図、図3の(a)(b)(c)はそれぞれ図1のA−A線断面図、B−B線断面図、C−C線断面図、図4は同防水パンの拡大部分平面図、図5は同防水パンの凹条を省略したパネルの拡大部分斜視図、図6は同防水パンの一施工例を示す断面図である。
【0014】
この防水パンPは、SMC(シートモールディングコンパウンド)等のガラス繊維強化ポリエステルからなる材料をプレス成形してなる合成樹脂製の防水パンであって、図1〜図3に示すように、長方形の平面形状を有するパネル1の四周に漏水を防止する側壁2が形成されている。そして、パネル1の前縁沿いには排水溝部3が凹設されており、この排水溝部3の両端部に排水口3a,3aが形成されている。
【0015】
このパネル1の表面には、排水溝部3に通じる小溝部4が格子状に形成されており、この格子状の小溝部4によって囲まれたパネル1表面には、図4に示すように、小溝部4よりも小さな凹条5が小溝部4に通じるように格子状に形成されている。従って、パネル1の表面に降る雨水等は、この凹条5から小溝部4を通って排水溝部3へすみやかに流れ込むため、パネル1表面の水はけ性能は良好である。また、歩行の際には、足裏が凹条5や小溝部4に引っ掛かって適度な滑り止め作用が発揮されるため、足を滑らせて転倒する心配がなく安全である。
【0016】
良好な水はけ性能と滑り止め作用を発揮させるためには、小溝部4の幅を3〜5mm程度、小溝部4深さを0.5〜1mm程度、小溝部4の格子目の一辺の長さを10〜15cm程度、凹条5の幅を0.5〜1mm程度、凹条5の深さを0.5〜1mm程度、凹条5の格子目の一辺の長さを20〜40mm程度とすることが望ましい。
【0017】
上記の排水溝部3は、図3(b)に示すように、その中央から両端部の排水口3a,3aに近づくほど、溝底の高さが漸減して1/100〜3/100程度の流れ勾配がつくように形成されている。このような両流れの排水溝部3を形成すると、排水性能が向上する利点がある。尚、排水溝部3のいずれか一端部に排水口3aを形成し、他端側から排水口3aに向かって片流れの勾配がつくようにしても勿論よい。また、場合によっては、熱膨張率の小さなアルミニウム等で作製した蓋体(不図示)を上記の排水溝部3に周囲から水が流入できるように僅かな隙間をあけて被着してもよい。
【0018】
この防水パンPの排水溝部3を除いたパネル1の裏面には、図2、図3(a)(c)、図5に示すように、リブ6a,6bが格子状の小溝部4の位置に合わせて格子状に形成されており、各リブ6a,6bの付根部分の両側には、パネル1の肉厚よりも厚い肉盛部7が形成されている。そして、パネル1の左右方向(幅方向)に延びるリブ6bの高さは、前後方向(奥行方向)に延びるリブ6aの高さよりも低く形成されており、また、前後方向に延びるリブ6aは一本おき(両端部は二本おき)に排水溝部3の裏面にまで延設されている。尚、前後方向に延びるリブ6aは、パネル1に1/100〜3/100程度の流れ勾配(後端側から前端側に向かう流れ勾配)をつけるために、後端に近づくほどリブの高さが漸増するように形成されている。
【0019】
上記のように、パネル1表面に格子状に形成された小溝部4の位置に合わせてリブ6a,6bがパネル1裏面に格子状に形成されていると、肉厚の薄くなった小溝部4がリブ6a,6bで補強されるため、防水パンPのパネル1の強度が小溝部4の形成箇所で部分的に低下する心配がなく、また、プレス成形によって所謂ヒケが発生しても、ヒケの発生箇所が小溝部4の形成箇所に合致するため、美観が損なわれて商品価値が低下する心配もない。そして、上記のように肉盛部7が形成されていると、パネル1の小溝部4の形成箇所の強度やリブ6a,6bの付根部分の強度が向上してクラック等の発生が抑制され、更に、左右方向のリブ6bの高さが前後方向のリブ6aの高さよりも低く形成されていると、防水パンPの強度を維持したまま、防水パンPの軽量化とコストダウンを図ることが可能となる。
【0020】
以上のような構成の防水パンPは、例えば図6に示すように、ベランダ等に設けられた支持材8の上に排水溝部3を屋外側にして載置固定され、水切り部材9によって防水パンPの周囲の隙間から雨水等が裏側へ浸透しないように防水される。そして、排水溝部3の両端の排水口3aから流出する排水が合流して堅樋10に流れ込むように配管が行われる。尚、排水溝部3の両端の排水口3aから排水が個別の堅樋に流れ込むように配管してもよいことは言うまでもない。
【0021】
【発明の効果】
本発明の防水パンは、その強度が小溝部の形成箇所で部分的に低下することがなく、所謂ヒケが発生しても美観が損なわれて商品価値の低下を招くことがないといった顕著な効果を奏する。そして、格子状の小溝部で囲まれた部分に更に小さな凹条を格子状に形成したものは水はけ性能や滑り止め性能が良好であり、肉盛部を形成したものは、小溝部の形成箇所の強度やリブの付根部分の強度が向上してクラック等の発生を防止でき、一方向のリブの高さを直交するリブの高さより低く形成したものは防水パンの強度を維持したまま軽量化とコストダウンを図ることができるといった効果を併せて奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る防水パンの平面図である。
【図2】同防水パンの底面図である。
【図3】(a)(b)(c)はそれぞれ図1のA−A線断面図、B−B線断面図、C−C線断面図である。
【図4】同防水パンの拡大部分平面図である。
【図5】同防水パンの凹条を省略したパネルの拡大部分斜視図である。
【図6】同防水パンの一施工例を示す断面図である。
【符号の説明】
P 防水パン
1 パネル
2 側壁
3 排水溝部
4 小溝部
5 凹条
6a,6b リブ
7 肉盛部
Claims (5)
- 方形の平面形状を有するパネルの四周に側壁を形成し、パネルの前縁沿いに排水溝部を凹設した合成樹脂製の防水パンであって、
パネルの排水溝部を除いた部分の表面に、排水溝部に通じる小溝部を形成すると共に、パネルの裏面にリブを小溝部の位置に合わせて形成したことを特徴とする防水パン。 - パネルの裏面のリブの両側に、パネルの肉厚よりも厚い肉盛部を形成した請求項1に記載の防水パン。
- 小溝部を格子状に形成すると共に、小溝部の位置に合わせてリブを格子状に形成した請求項1に記載の防水パン。
- パネルの格子状の小溝部によって囲まれた表面に、小溝部よりも小さな凹条を小溝部に通じるように格子状に形成した請求項3に記載の防水パン。
- 一方向に延びるリブの高さを、これと直交する方向に延びるリブの高さよりも低くした請求項3に記載の防水パン。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2003146129A JP2004346648A (ja) | 2003-05-23 | 2003-05-23 | 防水パン |
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- 2003-05-23 JP JP2003146129A patent/JP2004346648A/ja active Pending
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